JP7011311B2 - 脈動吸収機能付きコネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、脈動吸収機能を有する直線形状のコネクタに関し、特に、燃料用配管などの接続に用いるのに好適な脈動吸収機能を有する直線形状のコネクタに関する。
この種のコネクタとして、例えば、特許文献1、2に記載のコネクタがある。特許文献1の図1に記載の直線形状のコネクタ(流体継手)は、継手本体の内部に配置された、樹脂またはゴムからなるベローズ(脈動吸収体)を備え、このベローズは、板形状の支持体を介して継手本体の内面に溶着で固定されている。
特許文献2の図9に記載の直線形状のコネクタ(燃料配管用コネクタ)は、ハウジング(継手本体)とは別に、当該ハウジングと一体的に成形されたシリンダを備え、このシリンダの中にピストンが配置されている。このピストンが、脈動吸収の役割を担う。ここで、上記シリンダは、シリンダ蓋で閉止されている。すなわち、シリンダとシリンダ蓋とは、一体成形品でない。なお、ピストンの外径は、パイプ(燃料配管)の外径に関係なく決定できるので、ピストンの外径を、パイプの外径よりも大きくして、ピストンの脈動吸収機能を高めることは容易である。
特開2010-77973号公報 特開2011-163154号公報
特許文献1の図1に記載の直線形状のコネクタには、次のような問題がある。板形状の支持体を介して継手本体の内面にベローズを溶着で固定するとき、支持体に固定されたベローズを、工具で掴んで(チャックして)、継手本体の中に挿入しておく必要がある。ベローズをチャックして、継手本体の奥に挿入するには、チャック代が必要であるので、例えば、このチャック代分、ベローズの外径を、継手本体の内径よりも小さくしなければならない(特許文献1の図1に記載のベローズ参照)。すなわち、ベローズの外径は、チャック代に制約を受け、特許文献1の図1に記載の直線形状のコネクタのように、継手本体が一体成形品であると、パイプ外径よりも小径のベローズを選択せざるを得ない。
ここで、特許文献2の図9に記載の直線形状のコネクタでは、前記のとおり、ピストンの外径は、パイプ(燃料配管)の外径に関係なく決定できるので、ピストンの外径を、パイプの外径よりも大きくして、ピストンの脈動吸収機能を高めることは容易である。しかしながら、シリンダとシリンダ蓋とが、一体成形品でないので、継手本体が一体成形品である特許文献1の図1に記載のコネクタに比べて、気密の信頼性が低いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、コネクタ本体部を一体的に成形しても、コネクタ本体部の内部に、コネクタ本体部に挿入されるパイプ外径と同径以上の脈動吸収体を配置することができる構成の直線形状の脈動吸収機能付きコネクタを提供することである。
本発明は、パイプが挿入される雌継手部としてのコネクタ本体部と、前記コネクタ本体部の、前記パイプが挿入される側とは反対側の軸方向端部に設けられ、前記コネクタ本体部の内部と連通する流路を有する継手部と、前記コネクタ本体部の内部に配置され、流体の脈動を吸収する脈動吸収体とを備える直線形状の脈動吸収機能付きコネクタである。この脈動吸収機能付きコネクタは、前記パイプが挿入される開口から前記コネクタ本体部の内部に挿入されて、当該内部における前記脈動吸収体の位置を決める吸収体保持部材を備える。前記脈動吸収体は、筒状に形成されており、前記吸収体保持部材は、前記パイプが挿入される筒状のパイプ保持部、および、前記脈動吸収体の筒孔に挿入されることで前記脈動吸収体を保持する吸収体保持部からなる。また、前記吸収体保持部は、前記パイプ保持部よりも小径の筒状に形成され、側面には、前記脈動吸収体に連通するスリットが形成されている。
本発明によれば、パイプが挿入される開口からコネクタ本体部の内部に吸収体保持部材を挿入することで、コネクタ本体部の内部における脈動吸収体の位置決めを行うことができるので、溶着等による固定方法を用いることなく、且つ、工具で脈動吸収体を掴む(チャックする)ことなく、コネクタ本体部の内部に脈動吸収体を配置することができる。すなわち、コネクタ本体部を一体的に成形しても、コネクタ本体部の内部に、コネクタ本体部に挿入されるパイプ外径と同径以上の脈動吸収体を配置することができる。
本発明の一実施形態に係る脈動吸収機能付きコネクタにパイプが接続された状態の脈動吸収機能付きコネクタの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る脈動吸収機能付きコネクタにパイプが接続された状態の脈動吸収機能付きコネクタの断面図である。 図2に示すカラーの斜視図である。 図2に示す脈動吸収体の斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
(コネクタの構成)
図1、2に示すコネクタ100(脈動吸収機能付きコネクタ)は、例えば、インジェクタ(燃料噴射装置、不図示)に、燃料(ガソリンなどの燃料油)を供給するための燃料配管系統において、配管接続に用いられるコネクタである。
このコネクタ100は、パイプ50が挿入される雌継手部としてのコネクタ本体部1と、コネクタ本体部1の、パイプ50が挿入される側とは反対側の軸方向端部に設けられた雄継手部2(継手部)とを備える直線形状(ストレート型)のコネクタである。コネクタ本体部1は、一体成形品であり、例えば、射出成形により一体成形される。また、コネクタ本体部1および雄継手部2についても同様であり、コネクタ本体部1と雄継手部2とは、例えば、射出成形により一体成形される。なお、本実施形態では、コネクタ本体部1と雄継手部2とは直線上に配置されているが、コネクタ本体部1に対して雄継手部2が少し傾いていてもよい。
雄継手部2には、例えば、燃料ホース(不図示)が接続される。なお、図1、2中に符号8を付して示す部品は、コネクタ本体部1にパイプ50を固定するためのリテーナと呼ばれる部品である。パイプ50のスプール部50a(環状凸部)とリテーナ8とが係合させられることで、パイプ50はコネクタ本体部1に固定(ロック)される。なお、リテーナ8のより具体的な例については、例えば、特開2015-48898号公報に記載のリテーナを参照されたい。
ここで、燃料が流れる雄継手部2の流路2a、コネクタ本体部1の内部、および、パイプ50の流路50bは、燃料ポンプ(不図示)により、常時、高い圧力(燃料圧力)がかかった状態となる。そして、インジェクタから燃料が噴射されると、圧力は下がり、インジェクタの弁が閉じると、圧力は上昇する。この繰り返しにより圧力が変動し、この圧力変動が、燃料(流体)の脈動の原因となる。
そこで、燃料(流体)の脈動を吸収するバルーン3(脈動吸収体)が、コネクタ本体部1の内部に配置される。本実施形態のバルーン3は、筒状且つ中空の弾性体であって、その材料は、樹脂、ゴムなどである。燃料の圧力変動が、バルーン3により緩和されることで、燃料の脈動が抑えられる。なお、バルーン3の外径Dm(図3B参照)は、パイプ50の外径Dpよりも大きい。
このバルーン3は、コネクタ本体部1の内部において、カラー4(吸収体保持部材)により、位置決めされるとともに保持される。
カラー4は、パイプ50の先端部が挿入される筒状のパイプ保持部11、および、バルーン3の筒孔3aに挿入されることでバルーン3を保持する吸収体保持部12からなっている。吸収体保持部12の側面には、流体の圧力をバルーン3に伝えるための、バルーン3に連通する複数のスリット12aが形成されている。なお、スリット12aは、1つであってもよい。また、本実施形態のような細長いスリット12aに代えて、円形や楕円や矩形等の形状のスリット(孔)であってもよい。また、吸収体保持部12の先端部12bには、流体の流路となる孔13が形成されている。
また、吸収体保持部12は、筒状であって、その径(外径)は、パイプ保持部11の径(外径)よりも小径とされている。また、本実施形態では、吸収体保持部12の先端部12bが、雄継手部2の、コネクタ本体部1側の開口部の縁2bに当接するように、吸収体保持部12の軸方向の長さLhは、バルーン3の軸方向の長さLmよりも長くされている。
コネクタ100の組立方法について説明する。
まず、カラー4の吸収体保持部12にバルーン3をセットする(挿入する)。次いで、バルーン3がセットされたカラー4を、パイプ50が挿入される開口1aからコネクタ本体部1の内部へ挿入する。例えば、バルーン3がセットされたカラー4を、コネクタ本体部1の内部へ押し込むことで、コネクタ本体部1の内部に、バルーン3がセットされたカラー4を配置する。バルーン3をチャック(掴む)して、コネクタ本体部1の内部へ挿入するようなことは必要ない。なお、コネクタ本体部1の内部にバルーン3を入れた後、カラー4のパイプ保持部11の吸収体保持部12側の先端面(段差部)で押し込むようにして、コネクタ本体部1の内部にバルーン3を入れてもよい。すなわち、コネクタ本体部1の内部に、バルーン3およびカラー4を、別々に入れてもよい。
その後、Oリング5、環状のスペーサ6、Oリング5、環状のスペーサ7を、この順でコネクタ本体部1の内部へ挿入する。なお、本実施形態では、コネクタ本体部1の内部に、Oリング5が2つ挿入されているが、Oリング5の個数は、これに限定されることはない。
(作用・効果)
コネクタ100によると、溶着等による固定方法を用いることなく、且つ、工具で脈動吸収体(バルーン3)を掴む(チャックする)ことなく、コネクタ本体部1の内部に脈動吸収体(バルーン3)を配置することができる。すなわち、コネクタ本体部を一体的に成形しても、コネクタ本体部の内部に、コネクタ本体部に挿入されるパイプ外径と同径以上の脈動吸収体を配置することができる。コネクタ本体部1(コネクタ本体部1および雄継手部2)が一体成形品であることで、コネクタ100の気密の信頼性が維持される。
また、その結果として、脈動吸収体(バルーン3)の外径Dm(図3B参照)を、パイプ50の外径Dpよりも大きくすることができるので(コネクタ本体部1の内径と同等にすることができるので)、脈動吸収体(バルーン3)の脈動吸収機能を従来より高めることも可能である。脈動吸収体(バルーン3)の設置に、溶着等の工程が不要なため、その分、コネクタ100の組立も簡単に行える。
また、コネクタ100にパイプ50が接続されたとき、パイプ50の先端部が、カラー4のパイプ保持部11で支えられるので、流体の脈動などによるパイプ50の動き(ガタツキ)が抑えられ、Oリング5のシール性も低下しにくい。なお、カラー4のパイプ保持部11は、コネクタ本体部1の内部における脈動吸収体(バルーン3)の保持にも寄与する。
さらには、本実施形態では、吸収体保持部12の軸方向の長さLhが、バルーン3の軸方向の長さLmよりも長くされており、吸収体保持部12の先端部12bが、雄継手部2の、コネクタ本体部1側の開口部の縁2bに当接されている。これによると、吸収体保持部12によるバルーン3の支持が安定するとともに、雄継手部2の流路2aをカラー4やバルーン3で塞ぐ心配がない。
(変形例)
上記の実施形態は、次のように変更可能である。
バルーン3のような樹脂、ゴムなどからなる中空の(風船状の)弾性体に代えて、例えば、ゴムスポンジのような弾性を有する独立気孔の多孔質体を筒状に形成したものを、脈動吸収体として用いてもよい。
吸収体保持部12の軸方向の長さLhが、バルーン3の軸方向の長さLm以下であってもよい。また、吸収体保持部12の先端部12bが、雄継手部2の、コネクタ本体部1側の開口部の縁2bに当接していなくてもよい。
コネクタ100の雄継手部2の部分については、この部分が、フランジ継手などにされていてもよい。
なお、コネクタ100の用途は、燃料用配管などの接続に限られるものではない。例えば、内部に水が流れる配管の接続にコネクタ100を用いてもよい。バルーン3(脈動吸収体)で、水の脈動を抑えることができるとともに、水が凍ったときに、コネクタ100や、これに接続されているパイプの割れを防止することができる。さらには、圧縮空気が流れる配管の接続用に、コネクタ100を用いてもよく、この用途では、圧縮空気の脈動が抑えられる。
その他に、当業者が想定できる範囲で、種々の変更を行えることは勿論である。
1:コネクタ本体部
1a:開口
2:雄継手部(継手部)
2a:流路
2b:縁
3:バルーン(脈動吸収体)
3a:筒孔
4:カラー(吸収体保持部材)
11:パイプ保持部
12:吸収体保持部
12a:スリット
12b:先端部
50:パイプ
100:コネクタ(脈動吸収機能付きコネクタ)

Claims (3)

  1. パイプが挿入される雌継手部としてのコネクタ本体部と、
    前記コネクタ本体部の、前記パイプが挿入される側とは反対側の軸方向端部に設けられ、前記コネクタ本体部の内部と連通する流路を有する継手部と、
    前記コネクタ本体部の内部に配置され、流体の脈動を吸収する脈動吸収体と、
    を備える直線形状の脈動吸収機能付きコネクタであって、
    前記パイプが挿入される開口から前記コネクタ本体部の内部に挿入されて、当該内部における前記脈動吸収体の位置を決める吸収体保持部材を備え、
    前記脈動吸収体は、筒状に形成されており、
    前記吸収体保持部材は、前記パイプが挿入される筒状のパイプ保持部、および、前記脈動吸収体の筒孔に挿入されることで前記脈動吸収体を保持する吸収体保持部からなり、
    前記吸収体保持部は、前記パイプ保持部よりも小径の筒状に形成され、側面には、前記脈動吸収体に連通するスリットが形成されている、脈動吸収機能付きコネクタ。
  2. 請求項1に記載の脈動吸収機能付きコネクタにおいて、
    前記コネクタ本体部は、一体成形品であり、
    前記脈動吸収体の外径が、前記パイプの外径よりも大きい、
    脈動吸収機能付きコネクタ
  3. 請求項1または2に記載の脈動吸収機能付きコネクタにおいて、
    前記吸収体保持部の軸方向長さが、前記脈動吸収体の軸方向長さよりも長くされており、
    前記吸収体保持部の先端部が、前記継手部の、前記コネクタ本体部側の開口部の縁に当接されている、
    脈動吸収機能付きコネクタ。
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