JP7010555B2 - フローティングコネクタ - Google Patents
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Description
基板に固定される第一ハウジングと、前記第一ハウジングとは別体の第二ハウジングとが、並列に配された複数の端子部材によって連結されてなり、前記複数の端子部材の各々が有する可撓部の弾性変形により前記第二ハウジングが前記第一ハウジングに対して可動するフローティングコネクタであって、
前記可撓部は、薄板バネによって構成されるとともに、前記薄板バネが前記複数の端子部材の並列方向との直交方向を主たる弾性変形方向とするように配されている
フローティングコネクタが提供される。
先ず、本実施形態に係るフローティングコネクタの構成について説明する。
図1は、フローティングコネクタの側断面構成の一例を模式的に示す説明図である。図2は、フローティングコネクタの平面構成の一例を模式的に示す説明図である。図3は、図1に示すフローティングコネクタのA矢視図である。図4は、図1に示すフローティングコネクタのB矢視図である。図5は、図1に示すフローティングコネクタにおける端子部材の構成例を示す説明図である。
図1~4に示すように、本実施形態で説明するフローティングコネクタ1は、プリント配線基板等の回路基板(以下、単に「基板」という。)2に固定される固定ハウジングとしての第一ハウジング10と、この第一ハウジング10とは別体で形成された可動ハウジングとしての第二ハウジング20と、これらを連結する複数の端子部材30と、を備えている。そして、詳細を後述するように、複数の端子部材30の各々が有する可撓部31が弾性変形することで、第二ハウジング20が第一ハウジング10に対して可動し得るように構成されている。つまり、フローティングコネクタ1は、第二ハウジング20の可動を許容するフローティング機構を搭載したものである。
第一ハウジング10は、例えば樹脂等の絶縁材料の一体成型によって形成されたもので、端子部材30の一部が嵌入される凹部11を有しており、その凹部11に嵌入された端子部材30の一部を基板2上にはんだ付け等で装着することで、その端子部材30とともに基板2に固定されるように構成されている。
第二ハウジング20は、第一ハウジング10と同様に、例えば樹脂等の絶縁材料の一体成型によって形成されたものである。第二ハウジング20には、端子部材30の他の一部が嵌入される係合孔部21と、その係合孔部21に連通する開口部22と、が形成されている。そして、第二ハウジング20は、係合孔部21に嵌入された端子部材30によって支持されるとともに、開口部22を通じて相手側コネクタの外部ピン3が挿抜され得るように構成されている。なお、係合孔部21および開口部22は、端子部材30に対応した数(例えば二つ)が配されている。また、第二ハウジング20の形成材料は、後述する理由により、第一ハウジング10の形成材料と同一であることが好ましい。
図5に示すように、端子部材30は、例えば導電性を有する金属板(例えば銅板または銅合金板)への抜き加工および曲げ加工によって形成されたものであり、薄板バネ310によって構成されており必要に応じて弾性変形する可撓部31と、第一ハウジング10の凹部11に嵌入されて基板2に装着固定される基板装着部32と、第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入される端子接触部33と、を有している。そして、端子部材30は、基板装着部32が第一ハウジング10の凹部11に嵌入され、かつ、端子接触部33が第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入された状態で、第一ハウジング10と第二ハウジング20とを連結するように構成されている。このとき、基板装着部32と端子接触部33との間に配された可撓部31が弾性変形することで、第二ハウジング20が第一ハウジング10に対して可動し得ることになる。
また、薄板バネ310は、その面内方向(板厚方向と直交する方向)が、複数の端子部材30が並ぶ並列方向(外部ピン3のピッチ方向)に沿うように、寝かした状態で配されている。
したがって、薄板バネ310は、複数の端子部材30の並列方向との直交方向を、主たる弾性変形方向とするように配されていることになる。端子部材30の並列方向が水平方向に沿っていれば、薄板バネ310の弾性変形方向は、鉛直方向(鉛直方向と見做せる方向を含む)に沿うことになる。
図1,2,4に示すように、サポート部材40は、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制すべく、可撓部31を構成する薄板バネ310の一部分を支持するように、その可撓部31に付設されたものである。具体的には、サポート部材40は、例えば樹脂等の絶縁材料によって形成されたもので、可撓部31を構成する薄板バネ310の一部分(例えば、第二折り返し部313における基板装着部32側の部分)を鉛直方向下方側から支持するように、第一ハウジング10の凹部11に配置されている。また、サポート部材40は、第二折り返し部313の対称性に対応しつつ、その第二折り返し部313の外縁近傍を支持するように配置されている。
ここで、上述した構成のフローティングコネクタ1を製造する際の手順について、簡単に説明する。
次に、上述した構成のフローティングコネクタ1を使用する場合の具体的な態様について説明する。
図6は、フローティングコネクタの使用態様の一具体例の側面視を示す説明図である。図7は、フローティングコネクタの使用態様の一具体例の平面視を示す説明図である。
フローティングコネクタ1には、その使用に際して、図6(a)に示すように、第二ハウジング20の開口部22を通じて、相手側コネクタの外部ピン3が挿入される(図中矢印C参照)。外部ピン3が挿入されると、その外部ピン3は、図6(b)に示すように、第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入された端子部材30の弾性アーム330と接触する。これにより、外部ピン3は、端子部材30との導通が確保されるとともに、その端子部材30を通じて基板2上の配線との導通が確保されることになる。
このとき、例えば、図6(c)に示すように、外部ピン3に上方側からの力が作用すると(図中矢印D参照)、または嵌合相手である基板2等に下方側からの力が作用すると、これに応じて端子部材30における可撓部31を構成する薄板バネ310が板厚方向に撓むように弾性変形する。これにより、第二ハウジング20は、第一ハウジング10との相対位置が、鉛直方向(上下方向)に沿って下方側に移動する。したがって、上述した力の作用に起因するフローティングコネクタ1と外部ピン3との間の位置ズレは、第二ハウジング20の可動によって吸収されることになる。
また、図7に示すように、他の方向の位置ズレについては、以下のとおりである。
以上のような使用態様を実現するフローティングコネクタ1は、上下方向、左右方向および前後方向のいずれについても、フローティングコネクタ1と外部ピン3との相対位置の位置ズレを吸収することができる。したがって、例えば、フローティングコネクタ1を基板2上に実装する際に位置ズレが生じた場合や、基板2上への実装後に位置ズレが生じた場合等であっても、その位置ズレが吸収されるので、位置ズレに起因する外部ピン3の変形等が生じてしまうことがなく、また、位置ズレに起因して外部ピン3と基板2上の配線との間の導通が損なわれてしまうこともない。このことは、車載用として用いられる場合に非常に有用なものとなる。車載用の場合は、車両走行時に振動等によって、位置ズレが生じてしまうことが考えられるからである。
上述のように、本実施形態のフローティングコネクタ1は、特に上下方向の位置ズレについて、端子部材30の可撓部31を構成する薄板バネ310の弾性変形を利用して、その位置ズレを吸収するように構成されている。つまり、可撓部31を構成する薄板バネ310は、端子部材30の並列方向(すなわち、外部ピン3のピッチ方向)との直交方向(すなわち、上下方向)を主たる弾性変形方向とするように配されている。このように、ピッチ方向との直交方向である上下方向を薄板バネ310の主たる弾性変形方向とすれば、その薄板バネ310によって構成される可撓部31は、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配されることなる。したがって、可撓部31の弾性変形方向がピッチ方向である場合(すなわち、例えば薄板バネ310がピッチ方向に重畳するように構成された場合)に比べると、上下方向への小型化(すなわち、フローティングコネクタ1が実装される基板2から突出する高さ方向の低背化)が容易に実現可能となる。
なお、前後方向の小型化という観点においては、第一接続部311と第二接続部314とを近づけて配するように、薄板バネ310を形成することが好ましい。また、有効スパンの確保(すなわち、可撓部31の可動域確保)という観点においては、第一折り返し部312および第二折り返し部313の延伸長を長くするように、薄板バネ310を形成することが好ましい。
ところで、本実施形態のフローティングコネクタ1は、上述したように、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配することで、小型化(特に低背化)への対応を容易に実現可能としている。
ただし、薄板バネ310を寝かした状態で配して鉛直方向(上下方向)を主たる弾性変形方向とした場合には、図8に示すように、その変形端の側に位置することになる第二ハウジング20と端子部材30の端子接触部33との重量により、第二ハウジング20等が下方側に倒れるように傾いてしまうおそれがある(図中矢印H参照)。
このことから、本実施形態のフローティングコネクタ1においては、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制すべく、薄板バネ310の一部分を支持するサポート部材40が設けられているのである。
図9は、フローティングコネクタにおける薄板バネとサポート部材との位置関係の一具体例を示す説明図である。
本実施形態のフローティングコネクタ1において、薄板バネ310は、上述したように、少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313が対称性を有して配置された平面形状を有している。したがって、薄板バネ310が鉛直方向上方側または鉛直方向下方側に弾性変形する際には、第一折り返し部312および第二折り返し部313のそれぞれが対称軸の両側で略均等に撓むことになる。このように、第一折り返し部312および第二折り返し部313が対称軸の両側で略均等に撓めば、薄板バネ310が弾性変形する際のねじれの発生を抑制できる。このことは、第二ハウジング20のねじれの抑制に繋がるので、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになる点で、非常に有用である。
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果が得られる。
しかも、本実施形態のフローティングコネクタ1では、位置ズレの吸収に寄与する端子部材30の可撓部31が薄板バネ310によって構成されるとともに、その薄板バネ310が端子部材30の並列方向(すなわち、外部ピン3のピッチ方向)との直交方向(すなわち、上下方向)を主たる弾性変形方向とするように配されている。このように、ピッチ方向との直交方向を薄板バネ310の主たる弾性変形方向とすれば、その薄板バネ310によって構成される可撓部31は、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配されることなる。したがって、可撓部31の弾性変形方向がピッチ方向である場合(すなわち、例えば薄板バネ310がピッチ方向に重畳するように構成された場合)に比べると、上下方向への小型化(すなわち、フローティングコネクタ1が実装される基板2から突出する高さ方向の低背化)が容易に実現可能となる。
つまり、本実施形態によれば、位置ズレを吸収し得るように構成されたフローティングコネクタ1において、従来構造よりも小型化(特に低背化)を容易に実現することが可能である。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、サポート部材40が第二ハウジング20の鉛直方向下方側への傾きを規制する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、例えば、鉛直方向下方側に加えて鉛直方向上方側への動きを規制するように構成されたものであってもよい。具体的には、図10(a)に示すように、フローティングコネクタ1aは、薄板バネ310における第二折り返し部313の対称性に対応しつつ、当該第二折り返し部313の可動域の上端近傍にて、当該第二折り返し部313の上面と当接するように配置された可動規制部41を有するものであってもよい。
上述の実施形態では、基板2の上面にフローティングコネクタ1が実装され、可撓部31を構成する薄板バネ310が鉛直方向に沿って弾性変形する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限定されることはない。
上述の実施形態では、相手側コネクタの外部ピン3の一例として、車載用の電池モジュールにおけるシャント抵抗器に用いられるものを挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、様々な電子機器が接続相手となる場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
Claims (6)
- 基板に固定される第一ハウジングと、前記第一ハウジングとは別体の第二ハウジングとが、並列に配された複数の端子部材によって連結されてなり、前記複数の端子部材の各々が有する可撓部の弾性変形により前記第二ハウジングが前記第一ハウジングに対して可動するフローティングコネクタであって、
前記端子部材は、前記可撓部に加えて、前記第一ハウジングに嵌入されて前記基板に固定される基板装着部と、前記第二ハウジングに嵌入されて外部ピンが挿抜される端子接触部と、を有しており、
前記可撓部は、板厚方向に撓むように弾性変形する薄板バネによって構成されるとともに、前記薄板バネが前記複数の端子部材の並列方向との直交方向を弾性変形方向とし、前記弾性変形方向が前記基板の実装面から前記第一ハウジングが突出する高さ方向に沿うように配されており、
前記可撓部を構成する前記薄板バネは、前記基板装着部に接続する第一接続部と、前記第一接続部の端から前記基板装着部の側に向けて延伸する第一折り返し部と、前記第一折り返し部の端から前記端子接触部の側に向けて延伸する第二折り返し部と、前記第二折り返し部の端を前記端子接触部に接続する第二接続部と、を有して形成されているとともに、
前記薄板バネは、少なくとも前記第一折り返し部および前記第二折り返し部が対称性を有して配置された平面形状を有し、前記外部ピンの挿抜方向に沿った仮想線を対称軸として前記第一折り返し部および前記第二折り返し部が当該対称軸の両側に対称に配されている
フローティングコネクタ。 - 前記可撓部は、前記薄板バネの弾性変形方向が鉛直方向に沿うように配されているとともに、
前記可撓部には、弾性変形が生じていない状態の前記薄板バネの一部分を鉛直方向下方側から支持することで前記第二ハウジングの鉛直方向下方側への傾きを規制するサポート部材が付設されている
請求項1に記載のフローティングコネクタ。 - 前記サポート部材は、前記第二折り返し部の前記基板装着部側の部分を鉛直方向下方側から支持するように配置されている
請求項2に記載のフローティングコネクタ。 - 前記サポート部材は、前記第二折り返し部の対称性に対応しつつ当該第二折り返し部の外縁近傍を支持するように配置されている
請求項2または3に記載のフローティングコネクタ。 - 前記第二折り返し部の対称性に対応しつつ当該第二折り返し部の上面と当接するように配置されて前記第二ハウジングの鉛直方向上方側への動きを規制する可動規制部を有する 請求項1から4のいずれか1項に記載のフローティングコネクタ。
- 前記端子接触部は、当該端子接触部に挿入された状態の前記外部ピンとの接触可能領域が、前記端子部材の並列方向および当該外部ピンの挿抜方向への当該外部ピンの所定量の範囲内の位置ズレを許容する大きさに設定されている
請求項1から5のいずれか1項に記載のフローティングコネクタ。
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