最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る車両位置判定システムは、自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両と、前記車両から送信された前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行う判定部とを備える。
このように、道路の路面構造に着目し、車両の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両の傾きから車両の位置を容易に判定することができる。したがって、簡易な構成で車両の走行車線等を識別することができる。
(2)好ましくは、前記車両位置判定システムは、さらに、前記車両の幅方向における絶対的な傾きを示す傾き情報を取得する取得部を備え、前記判定部は、前記横加速度情報および前記傾き情報に基づいて前記判定を行う。
このような構成により、たとえば、他車両の傾きとの比較が不要になり、より容易に車両の走行車線等を識別することができる。
(3)好ましくは、前記車両位置判定システムは、さらに、同一車線における前記車両および他車両の横加速度の比較結果に基づいて算出された、前記車両の幅方向における相対的な傾きを示す傾き情報を取得する取得部を備え、前記判定部は、前記横加速度情報および前記傾き情報に基づいて前記判定を行う。
このような構成により、車両の傾きが不明であっても、他車両との相対的な傾きを用いて、自己車両の道路の幅方向における位置を判定することができる。
(4)より好ましくは、前記判定部は、前記車両から送信された前記横加速度情報の示す横加速度または前記他車両から送信された前記横加速度情報の示す横加速度を前記傾き情報に基づいて補正し、補正後の前記横加速度を含む各前記横加速度の差と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記車両および前記他車両の道路の幅方向における位置関係を判定する。
このような構成により、道路の幅方向における車両の位置が不明であっても、自己の車両が他車両と、たとえば同一車線に存在するか否かを判定することができる。
(5)好ましくは、前記車両は、自己の位置情報を送信可能であり、前記車両位置判定システムは、さらに、前記車両から送信された前記位置情報に基づいて、前記車両の位置する道路の勾配に関する勾配情報を取得する取得部を備え、前記判定部は、前記横加速度情報および前記勾配情報に基づいて前記判定を行う。
このように、横加速度に加えて、各位置の勾配情報を判定に利用する構成により、より正確に車両の走行車線等を識別することができる。
(6)本発明の実施の形態に係る管理装置は、自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両から送信された前記横加速度情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行う判定部とを備える。
このように、道路の路面構造に着目し、車両の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両の傾きから車両の位置を容易に判定することができる。したがって、簡易な構成で車両の走行車線等を識別することができる。
(7)本発明の実施の形態に係る判定方法は、車両位置判定システムにおける判定方法であって、車両が、自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信するステップと、送信された前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行うステップとを含む。
このように、道路の路面構造に着目し、車両の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両の傾きから車両の位置を容易に判定することができる。したがって、簡易な構成で車両の走行車線等を識別することができる。
(8)本発明の実施の形態に係る判定方法は、管理装置における判定方法であって、自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両から送信された前記横加速度情報を取得するステップと、取得した前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行うステップとを含む。
このように、道路の路面構造に着目し、車両の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両の傾きから車両の位置を容易に判定することができる。したがって、簡易な構成で車両の走行車線等を識別することができる。
(9)本発明の実施の形態に係る判定プログラムは、管理装置において用いられる判定プログラムであって、コンピュータを、自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両から送信された前記横加速度情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行う判定部、として機能させるためのプログラムである。
このように、道路の路面構造に着目し、車両の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両の傾きから車両の位置を容易に判定することができる。したがって、簡易な構成で車両の走行車線等を識別することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムの構成を示す図である。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システム201は、車載装置101と、管理装置102と、GPS(Global Positioning System)受信機103と、車速センサ104と、加速度センサ105とを備える。
GPS受信機103は、車両301に搭載され、1または複数の衛星からたとえば定期的にGPS信号を受信して、受信したGPS信号に基づいて車両301の位置検出を行う。なお、GPS受信機103は、車載装置101に搭載されてもよい。GPS信号は、当該GPS信号に基づく車両301の位置検出の状態を示すGPS情報を含む。GPS情報は、たとえば、使用衛星数を示す情報または測位品質を示す情報である。
GPS受信機103は、取得したGPS情報およびGPS信号に基づいて検出した車両301の位置を示す位置情報を、車載装置101へ出力する。
車速センサ104は、車両301の走行速度を定期的に検知し、検知した走行速度を示す速度情報を車載装置101へ出力する。
加速度センサ105は、車両301の進行方向の加速度である縦加速度を定期的に検知し、検知した縦加速度を示す縦加速度情報を車載装置101へ出力する。
また、加速度センサ105は、車両301の幅方向の加速度である横加速度を定期的に検知し、検知した横加速度を示す横加速度情報を車載装置101へ出力する。
車載装置101は、たとえば、テレマティクスにおいて用いられる通信装置であって、LTE(Long Term Evolution)または無線LANによる通信を行う。
車載装置101は、車両301における縦加速度情報および横加速度情報を管理装置102へ送信する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムにおける車載装置の構成を示す図である。
図2を参照して、車載装置101は、検出処理部13と、送信部14と、記憶部16とを含む。
検出処理部13は、たとえばGPS受信機103から受けた位置情報を、送信部14へ出力する。
検出処理部13は、たとえば車速センサ104から受けた速度情報を、送信部14へ出力する。
検出処理部13は、たとえば加速度センサ105から受けた縦加速度情報および横加速度情報を、送信部14へ出力する。
また、車載装置101は、車両301の幅方向における絶対的な傾き、たとえば水平な接地面に対する幅方向の傾きを示す傾き情報(以下、絶対傾き情報とも称する。)を、車両301の製造時または整備時等において与えられ、たとえば記憶部16に保存している。絶対傾き情報は、水平な接地面に対する横加速度を示す情報である。
検出処理部13は、記憶部16から絶対傾き情報を取り出し、送信部14へ出力する。
送信部14は、検出処理部13から受けた速度情報、縦加速度情報、横加速度情報、絶対傾き情報および位置情報に車両301のID(Identification)を付加して管理装置102へ送信する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る位置検出システムにおける管理装置の構成を示す図である。
図3を参照して、管理装置102は、受信部31と、取得部33と、判定部34と、記憶部35とを含む。
記憶部35は、地図情報を保存している。地図情報は、道路の勾配に関する勾配情報を含む。
取得部33は、横加速度情報および絶対傾き情報を取得する。
より詳細には、受信部31は、車両301における送信部14から送信された速度情報、縦加速度情報、横加速度情報、絶対傾き情報および位置情報を受信して記憶部35に保存する。
取得部33は、記憶部35に保存された各情報のうち、有効な横加速度情報および絶対傾き情報を取得して判定部34へ出力する。
具体的には、取得部33は、記憶部35における縦加速度情報および速度情報のうち、速度情報の示す走行速度が0[km/s]あり、かつ、縦加速度情報の示す加速度が0[m/s^2]であるかまたは数[m/s^2]である(以下、停車状態とも称する。)横加速度情報および絶対傾き情報を判定部34へ出力する。ここで「s^2」はsの2乗を意味する。
あるいは、取得部33は、記憶部35における縦加速度情報および速度情報のうち、速度情報の示す走行速度が数[km/s]あり、かつ、縦加速度情報の示す加速度が0[m/s^2]であるかまたは数[m/s^2]である(以下、低速状態とも称する。)横加速度情報および絶対傾き情報を判定部34へ出力する。
以下、車両301が低速状態より速い速度で走行している状態を走行状態とも称する。
取得部33は、車両301から送信された位置情報に基づいて、車両301の位置する道路の勾配に関する勾配情報を取得して判定部34へ出力する。
より詳細には、取得部33は、記憶部35に保存された地図情報を参照し、記憶部35から取得した位置情報の示す位置における道路の勾配に関する勾配情報を取得して判定部34へ出力する。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける勾配情報の一例を示す図である。
図4を参照して、たとえば、片側3車線の道路は、進行方向に対して、中央が高く、外側に向けて1.5%~2%の勾配が設けられており、最も内側の第1車線が1.5%~1.7%の勾配であり、真中の第2車線が1.7%~1.9%の勾配であり、最も外側の第3車線が1.9%~2.0%の勾配である。取得部33は、各車線の勾配を取得して判定部34へ出力する。
判定部34は、取得部33から受けた横加速度情報、絶対傾き情報および勾配情報に基づいて、道路の幅方向における車両301の位置に関する判定を行う。
図5は、道路の幅方向における傾きと横加速度との関係を示す図である。
図5を参照して、横加速度は、重力加速度g×sinθ[m/s^2]に相当するため、以下の式(1)を用いることにより傾斜角度θを算出することができる。
θ=arcsin(横加速度/重力加速度g)・・・(1)
判定部34は、取得部33から受けた横加速度情報、絶対傾き情報から傾斜角度θを算出し、算出した傾斜角度θを勾配に変換する。
より詳細には、判定部34は、式(1)における横加速度として、横加速度情報の示す横加速度から絶対傾き情報の示す傾きの影響を取り除いた横加速度(以下、勾配横加速度とも称する。)を用いて傾斜角度θを算出する。
そして、判定部34は、tanθを計算することにより、算出した傾斜角度θを勾配に変換する。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムにおける横加速度情報および絶対傾き情報から算出される道路の勾配の一例を示す図である。
図6を参照して、車両IDがCAR1である車両301の、横加速度が0.273[m/s^2]であり、かつ車両の傾きが0.123[m/s^2]である場合、勾配横加速度は0.150[m/s^2]であり、当該車両301の位置する道路の勾配は1.53%である。
また、車両IDがCAR2である車両301の、横加速度が0.406[m/s^2]であり、かつ車両の傾きが0.246[m/s^2]である場合、勾配横加速度は0.160[m/s^2]であり、当該車両301の位置する道路の勾配は1.62%である。
また、車両IDがCAR3である車両301の、横加速度が0.613[m/s^2]であり、かつ車両の傾きが0.423[m/s^2]である場合、勾配横加速度は0.190[m/s^2]であり、当該車両301の位置する道路の勾配は1.93%である。
また、車両IDがCAR4である車両301の、横加速度が0.543[m/s^2]であり、かつ車両の傾きが0.363[m/s^2]である場合、勾配横加速度は0.180[m/s^2]であり、当該車両301の位置する道路の勾配は1.83%である。
そして、判定部34は、取得部33から受けた勾配情報の示す勾配と、算出した勾配すなわちtanθとを比較することにより、車両301の位置を判定する。
判定部34は、車両301の位置する道路が図4に示す道路である場合、図6に示すCAR1が位置する道路の勾配は1.53%であるので、CAR1は第1車線を走行していると判断する。
判定部34は、図6に示すCAR2が位置する道路の勾配は1.62%であるので、CAR2は第1車線を走行していると判断する。
判定部34は、図6に示すCAR3が位置する道路の勾配は1.93%であるので、CAR3は第3車線を走行していると判断する。
判定部34は、図6に示すCAR4が位置する道路の勾配は1.83%であるので、CAR4は第2車線を走行していると判断する。
[動作の流れ]
車両位置判定システム201における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムが道路の幅方向における車両の位置に関して判定する処理のシーケンスを示す図である。
図7を参照して、まず、車両301は、自己の縦加速度および横加速度を検知し、検知した縦加速度および横加速度をそれぞれ示す縦加速度情報および横加速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS101)。
また、車両301は、位置情報、速度情報および絶対傾き情報を管理装置102へ送信する(ステップS102)。
同様に、車両301は、ステップS101およびステップS102の動作を繰り返す。
なお、ステップS101およびステップS102の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
次に、管理装置102は、車両301から送信された各情報を保存する(ステップS103)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301の停車状態における横加速度情報であるか、または低速状態における横加速度情報であるかを判断する。(ステップS104)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301の停車状態または低速状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS104でYES)、車両301の位置する道路の勾配を算出する(ステップS105)。
次に、管理装置102は、位置情報を用いて、地図情報に含まれる勾配情報を取得する(ステップS106)。
次に、管理装置102は、算出した勾配と、取得した勾配情報とを比較することにより、道路の幅方向における車両301の位置を判定する(ステップS107)。
一方、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301の走行状態おける横加速度情報であると判断した場合(ステップS104でNO)、新たな情報を車両301から受信するまで待機する(ステップS103)。
管理装置102は、新たな情報を車両301から受信するたびにステップS103~ステップS107の動作を行う。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る管理装置が道路の幅方向における車両の位置に関する判定を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図8を参照して、まず、管理装置102は、車両301から送信された速度情報、位置情報、縦加速度情報、横加速度情報および絶対傾き情報を受信する(ステップS201でYES)。
次に、管理装置102は、受信した各情報を保存する(ステップS202)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301の停車状態における横加速度情報であるか、または低速状態における横加速度情報であるか判断する。(ステップS203)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301の停車状態または低速状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS203でYES)、横加速度情報の示す横加速度から絶対傾き情報の示す傾きを差し引いて勾配横加速度を算出する(ステップS204)。
次に、管理装置102は、勾配横加速度から傾斜角度θを算出して勾配に変換する(ステップS205)。
次に、管理装置102は、位置情報を用いて、地図情報に含まれる勾配情報を取得する(ステップS206)。
次に、管理装置102は、算出した勾配と、取得した勾配情報とを比較することにより、道路の幅方向における車両301の位置を判定する(ステップS207)。そして、管理装置102は、新たな情報を車両301から受信するまで待機する(ステップS201)。
一方、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301の走行状態おける横加速度情報であると判断した場合(ステップS203でNO)、新たな情報を車両301から受信するまで待機する(ステップS201)。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、管理装置102は、車両301から送信された位置情報に基づいて勾配情報を取得し、取得した勾配情報に基づいて道路の幅方向における車両の位置に関する判定を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。管理装置102は、たとえば、勾配が特定のエリアにおける各道路で共通の場合、車両からの位置情報を用いることなく、取得済みの勾配情報に基づいて当該判定を行う構成であってもよい。
ところで、車両が走行する車線を識別することができれば、運転支援または自動走行に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、車両301は、自己の横加速度を検知し、検知した横加速度を示す横加速度情報を送信可能である。判定部34は、車両301から送信された横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における車両301の位置に関する判定を行う。
このように、道路の路面構造に着目し、車両301の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両301の傾きから車両301の位置を容易に判定することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、簡易な構成で車両301の走行車線等を識別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、取得部33は、車両301の幅方向における絶対的な傾きを示す絶対傾き情報を取得する。判定部34は、横加速度情報および絶対傾き情報に基づいて当該判定を行う。
このような構成により、たとえば、他車両の傾きとの比較が不要になり、より容易に車両301の走行車線等を識別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、車両301は、自己の位置情報を送信可能である。取得部33は、車両301から送信された位置情報に基づいて、車両301の位置する道路の勾配に関する勾配情報を取得する。判定部34は、横加速度情報および勾配情報に基づいて当該判定を行う。
このように、横加速度に加えて、各位置の勾配情報を判定に利用する構成により、より正確に車両301の走行車線等を識別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る管理装置では、取得部33は、自己の横加速度を検知し、検知した横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両301から送信された横加速度情報を取得する。判定部34は、取得部33によって取得された横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における車両301の位置に関する判定を行う。
このように、道路の路面構造に着目し、車両301の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両301の傾きから車両301の位置を容易に判定することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る管理装置では、簡易な構成で車両301の走行車線等を識別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムにおける判定方法では、まず、車両301が、自己の横加速度を検知し、検知した横加速度を示す横加速度情報を送信する。次に、送信された横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における車両301の位置に関する判定を行う。
このように、道路の路面構造に着目し、車両301の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両301の傾きから車両301の位置を容易に判定することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る車両位置判定システムにおける判定方法では、簡易な構成で車両301の走行車線等を識別することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る管理装置における判定方法では、まず、自己の横加速度を検知し、検知した横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両301から送信された横加速度情報を取得する。次に、取得した横加速度情報に基づいて道路の幅方向における車両301の位置に関する判定を行う。
このように、道路の路面構造に着目し、車両301の横加速度を用いて判定を行う構成により、道路の勾配に応じた車両301の傾きから車両301の位置を容易に判定することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る管理装置における判定方法では、簡易な構成で車両301の走行車線等を識別することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車両位置判定システムと比べて管理装置が取得する傾き情報の種類が異なる車両位置判定システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車両位置判定システムと同様である。
本発明の第2の実施の形態に係る車両位置判定システムにおいて、車両301は、幅方向における絶対的な傾きを保存していない。車両301は、速度情報、縦加速度情報、横加速度情報、および位置情報に車両301のID(Identification)を付加して管理装置102へ送信する。
管理装置102における取得部33は、同一車線における車両301である車両301Aおよび他の車両301Bの横加速度の比較結果に基づいて算出された、車両301Aの幅方向における相対的な傾きを示す傾き情報(以下、相対傾き情報とも称する。)を取得する。
より詳細には、受信部31は、車両301Aおよび301Bの各々から受信した速度情報、縦加速度情報、横加速度情報および位置情報を記憶部35に保存する。
取得部33は、記憶部35に保存された位置情報を参照して、同一地点における車両301Aおよび301Bの各々の横加速度情報を比較する。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る車両位置判定システムにおける管理装置に保存される横加速度情報の一例を示す図である。
図9は、車両301Aおよび車両301Bが、地点Aにおいて管理装置へ送信した5日分の横加速度情報を示す。
図9を参照して、地点Aにおける車両301AのDAY1での横加速度は0.532[m/s^2]であり、DAY2での横加速度は0.521[m/s^2]であり、DAY3での横加速度は0.492[m/s^2]であり、DAY4での横加速度は0.530[m/s^2]であり、DAY5での横加速度は0.432[m/s^2]である。
また、地点Aにおける車両301BのDAY1での横加速度は0.202[m/s^2]であり、DAY2での横加速度は0.199[m/s^2]であり、DAY3での横加速度は0.212[m/s^2]であり、DAY4での横加速度は0.212[m/s^2]であり、DAY5での横加速度は0.205[m/s^2]である。
取得部33は、地点Aにおける横加速度情報が有効である場合、車両301Aの横加速度情報および車両301Bの横加速度情報を比較して、車両301Aの幅方向における相対的な傾きを算出する。
具体的には、取得部33は、たとえば、記憶部35が保存している地図情報を参照し、地点Aにおいて車両301Aおよび車両301Bが停車状態である場合、各DAYにおける車両301Aの横加速度と車両301Bの横加速度との差を計算し、計算した差の平均値を算出して記憶部35に保存する。
図9に示す横加速度情報において、上記平均値として、車両301Bに対する車両301Aの幅方向における相対的な傾きは、0.310[m/s^2]と算出される。
判定部34は、横加速度情報および車両301Aの幅方向における相対傾き情報に基づいて、道路の幅方向における車両301Aの位置に関する判定を行う。
より詳細には、取得部33は、横加速度情報が有効である場合、車両301Aの横加速度情報、および算出した車両301Aの幅方向における相対的な傾きを、記憶部35から取得して判定部34へ出力する。
たとえば、判定部34は、車両301Aから送信された横加速度情報の示す横加速度または他の車両301Bから送信された横加速度情報の示す横加速度を、相対傾き情報に基づいて補正する。
具体的には、たとえば、図9に示す車両301Aの、地点Bに停車した場合の横加速度が0.520[m/s^2]であるとする。このとき、判定部34は、横加速度情報の示す横加速度を、当該横加速度から相対傾き情報の示す傾き0.310[m/s^2]を差し引いた0.210[m/s^2]に補正する。
そして、判定部34は、たとえば、補正後の横加速度(以下、補正横加速度とも称する。)を含む各横加速度の差と所定の閾値との比較結果に基づいて、車両301Aおよび他の車両301Bの道路の幅方向における位置関係を判定する。
具体的には、たとえば、図9に示す車両301Bが地点Bに停車した場合の横加速度が0.220[m/s^2]であるとする。このとき、判定部34は、車両301Aの補正横加速度0.210[m/s^2]と車両301Bの横加速度0.220[m/s^2]との差である0.010[m/s^2]を算出する。
そして、判定部34は、算出した差0.010[m/s^2]が所定の閾値たとえば0.02[m/s^2]より小さい場合、車両301Aおよび車両301Bが同一車線に存在すると判定する。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムが道路の幅方向における車両の相対的な傾きを算出する処理のシーケンスを示す図である。図10は、車両301Aの相対的な傾きの算出を代表的に示している。
図10を参照して、まず、車両301Aは、自己の縦加速度および横加速度を検知し、検知した縦加速度および横加速度をそれぞれ示す縦加速度情報および横加速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS301)。
また、車両301Aは、位置情報および速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS302)。
同様に、車両301Aは、ステップS301およびステップS302の動作を繰り返す。
なお、ステップS301およびステップS302の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
また、車両301Bは、自己の縦加速度および横加速度を検知し、検知した縦加速度および横加速度をそれぞれ示す縦加速度情報および横加速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS303)。
また、車両301Bは、位置情報および速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS304)。
同様に、車両301Bは、ステップS303およびステップS304の動作を繰り返す。
なお、ステップS303およびステップS304の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
次に、管理装置102は、車両301Aから送信された各情報を保存する(ステップS305)。
また、管理装置102は、車両301Bから送信された各情報を保存する(ステップS306)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301Aの停車状態における横加速度情報であるか、または低速状態における横加速度情報であるかを判断する(ステップS307)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301Aの走行状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS307でNO)、車両301Aから新たな縦加速度情報および横加速度情報を受信するまで待機する(ステップS307)。
一方、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301Aの停車状態または低速状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS307でYES)、車両301Bと比較した車両301Aの相対的な傾きを算出して保存する(ステップS308)。
なお、ステップS301,S302とステップS303,S304との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
また、ステップS305およびステップS306の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムが道路の幅方向における車両の位置に関して判定する処理のシーケンスを示す図である。図11は、車両301Aの位置に関する判定を代表的に示している。
図11を参照して、まず、車両301Aは、自己の縦加速度および横加速度を検知し、検知した縦加速度および横加速度をそれぞれ示す縦加速度情報および横加速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS401)。
また、車両301Aは、位置情報および速度情報を管理装置102へ送信する(ステップS402)。
同様に、車両301Aは、ステップS401およびステップS402の動作を繰り返す。
なお、ステップS401およびステップS402の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
次に、管理装置102は、車両301Aから送信された各情報を保存する(ステップS403)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301Aの停車状態における横加速度情報であるか、または低速状態における横加速度情報であるかを判断する(ステップS404)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301Aの走行状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS404でNO)、車両301Aから新たな縦加速度情報および横加速度情報を受信するまで待機する(ステップS404)。
一方、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301Aの停車状態または低速状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS404でYES)、車両301Aから受信した横加速度情報の示す横加速度を、保存している相対的な傾きに基づいて補正する(ステップS405)。
次に、管理装置102は、補正後の横加速度を、所定の閾値と比較する(ステップS406)。
次に、管理装置102は、補正後の横加速度が所定の閾値以上である場合(ステップS406でYES)、車両301Aおよび車両301Bが同一車線に存在しないと判定する(ステップS407)。
一方、管理装置102は、補正後の横加速度が所定の閾値未満である場合(ステップS406でNO)、車両301Aおよび車両301Bが同一車線に存在すると判定する(ステップS408)。
管理装置102は、新たな情報を車両301Aから受信するたびにステップS403~ステップS408の動作を行う。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る管理装置が道路の幅方向における車両の位置に関する判定を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図12は、車両301Aの位置に関する判定を代表的に示している。
図12を参照して、まず、管理装置102は、車両301B送信された速度情報、位置情報、縦加速度情報および横加速度情報を受信して保存する(ステップS501でYES)。
次に、管理装置102は、車両301Aから送信された速度情報、位置情報、縦加速度情報および横加速度情報を受信する(ステップS502でYES)。
また、管理装置102は、受信した各情報を保存する(ステップS503)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が、車両301Aの停車状態における横加速度情報であるか、または低速状態における横加速度情報であるかを判断する(ステップS504)。
次に、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301Aの走行状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS504でNO)、車両301Aから新たな縦加速度情報および横加速度情報を受信するまで待機する(ステップS502)。
一方、管理装置102は、保存した横加速度情報が車両301Aの停車状態または低速状態における横加速度情報であると判断した場合(ステップS504でYES)、車両301Bと比較した車両301Aの相対的な傾きを算出済みであるか否かを確認する(ステップS505)。
次に、管理装置102は、車両301Bと比較した車両301Aの相対的な傾きを算出済みでない場合(ステップS505でNO)、車両301Bと比較した車両301Aの相対的な傾きを算出して保存する(ステップS506)。そして、管理装置102は、車両301Aから新たな速度情報、位置情報、縦加速度情報および横加速度情報を受信するまで待機する(ステップS502)。
一方、管理装置102は、車両301Bと比較した車両301Aの相対的な傾きを算出済である場合(ステップS505でYES)、車両301Aから受信した横加速度情報の示す横加速度を、保存している相対的な傾きに基づいて補正する(ステップS507)。
次に、管理装置102は、補正後の横加速度を、所定の閾値と比較する(ステップS508)。
次に、管理装置102は、補正後の横加速度が所定の閾値以上である場合(ステップS508でYES)、車両301Aおよび車両301Bが同一車線に存在しないと判定する(ステップS509)。そして、管理装置102は、新たな情報を車両301Aから受信するまで待機する(ステップS502)。
一方、管理装置102は、補正後の横加速度が所定の閾値未満である場合(ステップS508でNO)、車両301Aおよび車両301Bが同一車線に存在すると判定する(ステップS510)。そして、管理装置102は、新たな情報を車両301Aから受信するまで待機する(ステップS502)。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、取得部33は、同一車線における車両301Aおよび他の車両301Bの横加速度の比較結果に基づいて算出された、車両301Aの幅方向における相対傾き情報を取得する。判定部34は、横加速度情報および相対傾き情報に基づいて道路の幅方向における車両301Aの位置に関する判定を行う。
このような構成により、車両301Aの傾きが不明であっても、他の車両301Bとの相対的な傾きを用いて、自己の車両301Aの道路の幅方向における位置を判定することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る車両位置判定システムでは、判定部34は、車両301Aから送信された横加速度情報の示す横加速度または他の車両301Bから送信された横加速度情報の示す横加速度を相対傾き情報に基づいて補正し、補正後の横加速度を含む各横加速度の差と所定の閾値との比較結果に基づいて、車両301Aおよび他の車両301Bの道路の幅方向における位置関係を判定する。
このような構成により、道路の幅方向における車両301Aの位置が不明であっても、自己の車両301Aが他の車両301Bと、たとえば同一車線に存在するか否かを判定することができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る車両位置判定システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両と、
前記車両から送信された前記横加速度情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行う判定部とを備え、
前記横加速度は、前記車両が停車している状態または低速で走行している状態の横加速度であり、
前記判定部は、前記車両の位置する車線を判定する、車両位置判定システム。
[付記2]
自己の横加速度を検知し、検知した前記横加速度を示す横加速度情報を送信可能な車両の幅方向における絶対的な傾きを示す傾き情報を取得する取得部と、
前記車両から送信された前記横加速度情報および前記取得部によって取得された前記傾き情報に基づいて、道路の幅方向における前記車両の位置に関する判定を行う判定部とを備え、
前記横加速度は、前記車両が停車している状態または低速で走行している状態の横加速度であり、
前記判定部は、前記車両の位置する車線を判定する、管理装置。