以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、ロボット手術システム100の構成について説明する。
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置1と、患者側装置2とを備えている。遠隔操作装置1は、患者側装置2に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置2によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置1に入力されると、遠隔操作装置1は、動作態様指令を患者側装置2に送信する。そして、患者側装置2は、遠隔操作装置1から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21に取り付けられた手術器具(surgical instrument)4、および、ロボットアーム22に取り付けられた内視鏡5等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
患者側装置2は、患者Pが横たわる手術台3の傍らに配置される。患者側装置2は、遠隔操作装置1からの入力に応じて、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置2は、複数のロボットアーム21および22と、プラットホーム23と、ポジショナ24と、コントローラ25とを含んでいる。
ロボットアーム21は、複数の関節を有している。ロボットアームの複数の関節は、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とを有している。ロボットアーム21は、コントローラ25を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。なお、ロボットアーム22は、ロボットアーム21と同様の構成を有している。
ロボットアーム21には、先端部に医療器具としての手術器具4が取り外し可能に取り付けられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム21は、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具4を導入する。
手術器具4は、ロボットアーム21に取り付けられるハウジング41(図3参照)と、細長形状のシャフト42(図3参照)と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ43(図3参照)とを備えている。エンドエフェクタ43として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。そして、手術器具4のエンドエフェクタ43は、手術部位の近傍に配置される。
ロボットアーム22には、先端部に医療器具としての内視鏡5が取り外し可能に取り付けられる。内視鏡5は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置1に対して出力される。内視鏡5として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム22は、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡5を導入する。そして、内視鏡5が手術部位の近傍に配置される。
プラットホーム23は、ロボットアーム21およびロボットアーム22を共通に支持している。ポジショナ24は、手術室の床の上に載置され、プラットホーム23を支持している。ポジショナ24は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24aと、柱部24aに連結され、車輪を備え床面を移動可能なベース24bとを有している。
遠隔操作装置1は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置1は、ロボットアーム21の手術器具4およびロボットアーム22の内視鏡5を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置1は、操作者Oによって入力された手術器具4および内視鏡5によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ25を介して患者側装置2へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置1は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台3の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置1は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台3が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、手術器具4の動作(一連の位置および姿勢)および手術器具4個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具4が把持鉗子である場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ43の手首のロール回転位置およびピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具4が高周波ナイフである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具4がスネアワイヤである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
内視鏡5によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡5先端の位置および姿勢を移動させる動作態様、またはズーム倍率を設定する動作態様である。
遠隔操作装置1は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14とを備えている。
操作ハンドル11は、ロボットアーム21および22に取り付けられた医療器具(手術器具4、内視鏡5)を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置1の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
遠隔操作装置1と患者側装置2とは、ロボットアーム21および22の動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成している。操作ハンドル11は、医療器具が取り付けられたロボットアーム21および22はスレーブ側の動作部を構成している。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21の先端部(手術器具4のエンドエフェクタ43)またはロボットアーム22の先端部(内視鏡5)がトレースして移動する。このように、ロボットアーム21または22の動作が制御される。
また、患者側装置2は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21の動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具4のエンドエフェクタ43は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
凝固ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具4に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具4に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡5の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡5の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡5の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡5は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡5が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡5が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡5が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡5が上下左右に移動する。
クラッチペダルは、ロボットアーム21および22と、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具4の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置2のロボットアーム21および22が動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21および22と操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
表示部13は、内視鏡5が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2のロボットアーム22に取り付けられた内視鏡5により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置2に設けられた内視鏡5により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2に設けられた内視鏡5により撮像された2D画像が表示されてもよい。
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。
制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡5によって実行されるべき動作態様指令であるかを判断する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21に対して送信する。これによって、ロボットアーム21が駆動され、この駆動によってロボットアーム21に取り付けられた手術器具4の動作が制御される。
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡5によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム22に対して送信する。これによって、ロボットアーム22が駆動され、この駆動によってロボットアーム22に取り付けられた内視鏡5の動作が制御される。
記憶部142には、例えば手術器具4の種類に応じた制御プログラムが記憶されている。制御部141は、取り付けられた手術器具4の種類に応じてこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置1の操作ハンドル11および操作ペダル部12の少なくともいずれかの動作指令が個別の手術器具4に適合した動作をさせることができる。
画像制御部143は、内視鏡5が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
(手術器具、アダプタ、ドレープおよびロボットアームの構成)
図3~図11を参照して、手術器具4、アダプタ6aを有するストッパ付きアダプタ6、ドレープ7およびロボットアーム21の構成について説明する。
ここで、手術器具4の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具4の先端側をY1方向とし、Y1方向の反対側をY2方向とする。手術器具4とアダプタ6aとが隣接する方向をZ方向とし、Z方向のうち手術器具4側をZ1方向とし、Z1方向の反対側をZ2方向とする。また、Y方向およびZ方向に直交する方向をX方向とし、X方向のうち一方側をX1方向とし、X方向のうち他方側をX2方向とする。
〈取り付け状態〉
図3および図4に示すように、手術器具4は、ロボットアーム21にアダプタ6aを介して取り外し可能に接続される。アダプタ6aは、ロボットアーム21を覆うための滅菌処理されたドレープ7をロボットアーム21との間に挟み込むためのドレープアダプタである。つまり、アダプタ6aは、ドレープ7を取り付け可能に構成されている。
手術器具4は、アダプタ6aのZ1方向側に取り付けられる。アダプタ6aは、ロボットアーム21のZ1方向側に取り付けられる。
ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバー(補助者Sp(図1参照))は、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームの補助者Spがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ7により覆われる。
図4に示すように、ドレープ7は、ロボットアーム21を覆う本体部71と、ロボットアーム21とアダプタ6aとの間に挟み込まれる取付部72とを備えている。本体部71は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなる。本体部71には、ロボットアーム21とアダプタ6aとが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。本体部71の開口部には、開口部を塞ぐように取付部72が設けられている。取付部72は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部72は、本体部71に比べて硬く(撓みにくく)形成されている。取付部72は、ロボットアーム21とアダプタ6aとが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。取付部72の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合する部分に対応するように設けられていてもよい。また、取付部72の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ6aとの複数の係合する部分に対応するように複数設けられていてもよい。
図4および図5に示すように、手術器具4は、複数(4個)の被駆動部材44を有している。被駆動部材44は、ハウジング41内に設けられ、Z方向に延びる回転軸線Gを中心に回転可能に設けられている。複数の被駆動部材44は、エンドエフェクタ43を操作(駆動)するために設けられている。たとえば、被駆動部材44は、シャフト42内に挿通されたワイヤ(図示せず)により、エンドエフェクタ43と接続されている。これにより、被駆動部材44の回転に応じてワイヤが駆動されるとともに、ワイヤの駆動に応じてエンドエフェクタ43が操作(駆動)される。また、たとえば、被駆動部材44は、ギア(図示せず)を介してシャフト42に接続されている。これにより、被駆動部材44の回転に応じてシャフト42が回転されるとともに、シャフト42の回転に応じてエンドエフェクタ43が操作される。
複数の被駆動部材44は、各々、ロボットアーム21からの駆動力をエンドエフェクタ43に伝達されるために、アダプタ6aの後述する駆動伝達部材61と係合する係合凸部441を含んでいる。係合凸部441は、被駆動部材44のZ2方向側の表面からアダプタ6a側(Z2方向側)に向かって突出している。また、係合凸部441は、直線状に並んだ複数の凸部を含み、アダプタ6aの後述する係合凹部611(図4参照)に対応する形状を有している。また、各係合凸部441は、線対称な形状を有している。なお、係合凸部441は、特許請求の範囲の「被駆動部材の係合部」の一例である。
図4および図6に示すように、アダプタ6aは、複数(4個)の駆動伝達部材61と、一対のガイドレール62とを有している。駆動伝達部材61は、ロボットアーム21からの駆動力を手術器具4の被駆動部材44に伝達するように構成されている。つまり、駆動伝達部材61は、手術器具4の被駆動部材44に対応するように設けられている。駆動伝達部材61は、Z方向に延びる回転軸線Bを中心に回転可能に設けられている。
図4に示すように、複数の駆動伝達部材61は、各々、手術器具4の被駆動部材44の係合凸部441と係合する係合凹部611を含んでいる。係合凹部611は、駆動伝達部材61の手術器具4側(Z1方向側)に設けられているとともに、駆動伝達部材61のZ1方向側の表面から手術器具4側とは反対側(Z2方向側)に向かって窪んでいる。また、各係合凹部611は、線対称な形状を有している。なお、係合凹部611は、特許請求の範囲の「駆動伝達部材の第1被係合部」の一例である。
図6に示すように、複数の駆動伝達部材61は、各々、ロボットアーム21の後述する係合凸部211と係合する係合凹部612を含んでいる。係合凹部612は、駆動伝達部材61のロボットアーム21側(Z2方向側)に設けられている。係合凹部612は、駆動伝達部材61のZ2方向側の表面からロボットアーム21側とは反対側(Z1方向側)に向かって窪んでいる。なお、複数の駆動伝達部材61の各々は、互いに実質的に同様の構成を有している。また、各係合凹部612は、線対称な形状を有している。なお、係合凹部612は、特許請求の範囲の「駆動伝達部材の第2被係合部」の一例である。
図7(A)および図7(B)に示すように、駆動伝達部材61は、係合凹部612を有する第1の部材621と、係合凹部611を有する第2の部材622とを含んでいる。第1の部材621は、ロボットアーム21側(Z2方向側)に配置されている。第2の部材622は、手術器具4側(Z1方向側)に配置されている。
第1の部材621および第2の部材622は、ばね623を間に収容している。ばね623は、第1の部材621をZ2方向側に付勢し、第2の部材622をZ1方向側に付勢している。ばね623は、圧縮ばね(圧縮コイルばね)である。第1の部材621は、ばね623を介して第2の部材622に対してZ方向に移動可能に設けられている。また、第2の部材622は、ばね623を介して第1の部材621に対してZ方向に移動可能に設けられている。
第1の部材621と第2の部材622とは、Z方向に延びる回転軸線Bを中心に一体的に回転するように構成されている。具体的には、第1の部材621は、第2の部材622と回転方向に係合する係合凹部621aを有し、第2の部材622は、第1の部材621と回転方向に係合する係合凸部622aを有している。
図4に示すように、一対のガイドレール62は、手術器具4をアダプタ6aに取り付ける際に、手術器具4のY1方向へのスライド移動を案内するように構成されている。具体的には、一対のガイドレール62は、アダプタ6aのZ1方向側の表面63に設けられている。一対のガイドレール62は、Y方向に沿って延びるように設けられている。一対のガイドレール62は、X方向に互いに対向している。
図4および図8に示すように、ロボットアーム21は、フレーム21aと、複数(4個)の駆動部21bと、光センサ21cと、ランプ21dとを有している。複数の駆動部21bの各々は、フレーム21aに取り付けられている。複数の駆動部21bは、アダプタ6aの複数(4個)の駆動伝達部材61に対応するように設けられている。複数の駆動部21bの各々は同様の構成を有しているので、以下では、複数の駆動部21bのうちの1つを参照して説明する。
図9(A)および図9(B)に示すように、駆動部21bは、係合凸部211と、アクチュエータ212と、検出部材213と、ばね214と、エンコーダ215とを含んでいる。なお、係合凸部211は、特許請求の範囲の「駆動部の係合部」の一例である。
検出部材213は、光センサ21cにより検出されるために設けられている。すなわち、検出部材213は、駆動伝達部材61の第2の部材622のZ方向の移動に伴って移動するように設けられている。検出部材213は、駆動伝達部材61の第2の部材622のZ2方向への移動により、光センサ21cにおいて照射されている光を遮光する遮光部213aを有している。遮光部213aは、検出部材213の外周部に設けられている。遮光部213aは、Z2方向に向かって突出している。なお、遮光部213aは、駆動伝達部材61の第2の部材622のZ1方向への移動により、光センサ21cにおいて照射されている光を遮光しなくなるように構成されている。
係合凸部211は、駆動伝達部材61の係合凹部612(図6参照)と係合する。係合凸部211は、駆動部21bのZ1方向側の表面からZ1方向側(アダプタ6a側)に向かって突出している。また、各係合凸部211は、線対称な形状を有している。
アクチュエータ212は、モータを有している。アクチュエータ212は、係合凸部211をZ方向に延びる回転軸線A回りに回転させるように構成されている。これにより、係合凸部211と係合したアダプタ6aの駆動伝達部材61をZ方向に延びる回転軸線B回りに回転させることができるとともに、駆動伝達部材61と係合した手術器具4の被駆動部材44を回転軸線G回りに回転させることができる。なお、回転軸線A、回転軸線Bおよび回転軸線Gは、同軸に配置されている。
エンコーダ215は、アクチュエータ212のモータのシャフトの回転角度を検出する。また、エンコーダ215は、シャフトの回転角度に基づいてシャフトの回転速度を検出するために用いられている。エンコーダ215には、モータのシャフトの現在の回転角度を検出するために、アブソリュート形ロータリエンコーダが好適に用いられる。
ここで、制御部141は、エンコーダ215により検出されたモータのシャフトの回転角度に基づく回転速度の変化に基づいて、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了を検出するように構成されている。具体的には、制御部141は、エンコーダ215により検出されたモータのシャフトの回転速度がしきい値(たとえば、5[rpm])以下になった場合に、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了を検出するように構成されている。また、制御部141は、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了を検出した後、係合完了前の回転方向とは逆方向に駆動部21bを回転させるように構成されている。詳細には、制御部141は、エンコーダ215により、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了を検出した際の駆動部21bの係合凸部211の実際の回転位置と、駆動部21bの係合凸部211の目標回転位置との位置ずれである回転角度の分だけ、係合完了前の回転方向とは逆方向に駆動部21bを回転させるように構成されている。
図10(A)および図10(B)に示すように、光センサ21cは、検出部材213のZ方向の移動に応じた受光量の変化を利用して、アダプタ6aと手術器具4との係合完了を検出するように構成されている。具体的には、光センサ21cは、光を出射する投光部221と、投光部221からの光を受光する受光部222とを有する光透過形のセンサである。
光センサ21cは、検出部材213のZ方向の移動に伴ってZ方向に移動する遮光部213aにより遮光された状態から遮光されない状態に変化することにより、アダプタ6aと手術器具4との係合完了を検出している。つまり、図10(A)に示すように、光センサ21cは、係合凸部441と係合凹部611とが係合しておらず第2の部材622がZ2方向側に位置している場合、投光部221から受光部222へ照射される光が遮光部213aにより遮光されるので、アダプタ6aと手術器具4との係合未完了を検出している。また、図10(B)に示すように、光センサ21cは、係合凸部441と係合凹部611とが係合して第2の部材622がZ1方向側に位置している場合、投光部221から受光部222へ照射される光が遮光部213aにより遮光されないので、アダプタ6aと手術器具4との係合完了を検出している。なお、光センサ21cは、受光時(入光時)にHighを検出し、遮光時にLowを検出するように構成されている。
また、制御部141は、アダプタ6aと手術器具4との係合完了を検出したことに基づいて駆動伝達部材61を回転方向を維持して所定の回転角度の分だけ回転させるように構成されている。詳細には、制御部141は、光センサ21cにより、アダプタ6aと手術器具4との係合完了を検出した際の駆動部21bの係合凸部211の実際の回転位置と、駆動部21bの係合凸部211の目標回転位置との想定される位置ずれである所定の回転角度の分だけ駆動部21bをオーバーラン(余分に回転)させるように構成されている。
ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了およびアダプタ6aと手術器具4との係合完了の両方の検出結果により点灯状態が変化するように構成されている。
すなわち、ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了の場合に点灯するように構成されている。また、ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合未完了の場合に消灯するように構成されている。なお、ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了の際に点灯した後、消灯するように構成されている。
また、ランプ21dは、アダプタ6aと手術器具4との係合完了の場合に点灯するように構成されている。また、ランプ21dは、アダプタ6aと手術器具4との係合未完了の場合に消灯するように構成されている。なお、ランプ21dは、アダプタ6aと手術器具4との係合完了の際に点灯した後、消灯するように構成されている。
なお、ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了およびアダプタ6aと手術器具4との係合完了の両方の場合に緑色などの色で点灯してもよい。そして、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合未完了およびアダプタ6aと手術器具4との係合未完了の両方の場合、消灯するのではなく、係合完了を示す色とは異なる赤色などの色で点灯してもよい。また、ランプ21dは、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了時に点灯する色と、アダプタ6aと手術器具4との係合完了時に点灯する色とを異なる色にしてもよい。
(ストッパの構成)
図4に示すように、ストッパ付きアダプタ6は、駆動部21bと手術器具4との間に配置され、駆動部21bからの駆動力を手術器具4に伝達するために回転する駆動伝達部材61を有するアダプタ6aに対して装着されるストッパ6bを有している。
図11および図12に示すように、ストッパ6bは、アダプタ6a(図4参照)の駆動伝達部材61の回転角度を位置決めして保持した状態でアダプタ6aを保持するように構成されている。
具体的には、ストッパ6bは、ストッパ本体部64と、ストッパ本体部64に設けられ、駆動伝達部材61(図4参照)の回転を規制する回転規制部65とを備えている。ストッパ本体部64は、駆動部21b(図4参照)にアダプタ6aを組み付ける際には回転規制部65により駆動伝達部材61の回転を規制した状態でアダプタ6aに装着されているとともに、駆動部21bにアダプタ6aを組み付けた後にはアダプタ6aから取り外されているように構成されている。
ストッパ本体部64は、ポリプロピレンなどの樹脂材により形成されている。ストッパ本体部64は、肉厚を薄くして形成されている。ストッパ本体部64は、Z1方向側から視て、アダプタ6aのZ1方向側の表面63(図4参照)に対応する形状を有している。ストッパ本体部64のZ1方向側の表面は、略平面状により形成されている。ストッパ本体部64のZ2方向側の表面は、肉厚を薄くするために複数の凹凸を有している。
〈取付部の構成〉
ストッパ本体部64は、アダプタ6a(図4参照)にストッパ本体部64を取り外し可能に取り付ける取付部664を含んでいる。
つまり、取付部664は、アダプタ6aに対するストッパ本体部64の位置を固定した状態で取り付けるとともに、アダプタ6aに対するストッパ本体部64の位置の固定を解除した状態で取り外すように構成されている。具体的には、取付部664は、一対の係合部664aと、一対の撓み部664bと、一対の取手部664cとを有している。
取付部664は、アダプタ6aをストッパ本体部64に取り付けた状態において、ストッパ本体部64のアダプタ6a(図4参照)に対する相対移動を規制するように構成されている。
具体的には、図12および図13に示すように、取付部664の一対の係合部664aは、アダプタ6aに取り外し可能に係合するとともに、アダプタ6aに対するストッパ本体部64の移動を規制するように構成されている。
一対の係合部664aは、ストッパ本体部64のZ方向の移動およびZ方向に平行なストッパ本体部64の中心軸線C1回りの回転を規制するように構成されている。ここで、一対の取手部664cの互いに対向する方向(X方向)において、一対の係合部664aは、それぞれ、一対の取手部664cの中心軸線C1側の内表面から中心軸線C1側に向かって突出している。アダプタ6aとストッパ6bとが隣り合う方向(Z方向)において、一対の係合部664aは、それぞれ、一対の取手部664cのアダプタ6a側に形成されている。一対の係合部664aは、手術器具4の延びる方向(Y方向)において、複数箇所(2箇所)に分けて設けられている。このような一対の係合部664aは、アダプタ6aの移動規制面にZ2方向側から当接することにより、ストッパ本体部64のZ方向の移動を規制している。
詳細には、一対の係合部664aは、アダプタ6aに設けられ、手術器具4のアダプタ6aへの取り付けを案内する一対のガイドレール62(図4参照)のそれぞれに取り外し可能に係合している。
ストッパ本体部64のZ方向の移動は、一対の係合部664aの各々のZ1方向側の部分と一対のガイドレール62のうち一対の係合部664aに対向する部分とをZ方向に当接させることにより規制されている。ストッパ本体部64の中心軸線C1回りの回転は、一対の係合部664aのそれぞれの中心軸線C1側の部分と一対のガイドレール62の中心軸線C1とは逆側の部分とをX方向に当接させることにより規制されている。
一対の撓み部664bは、それぞれ、一対の取手部664cの移動に伴って弾性変形するように構成されている。ここで、一対の取手部664cの対向する方向(X方向)において、一対の撓み部664bは、一対の取手部664cとストッパ本体部64とを接続している。一対の撓み部664bの各々は、アダプタ6aとストッパ6bとが隣接する方向(Z方向)において薄板状に形成されている。一対の撓み部664bの各々は、手術器具4の延びる方向(Y方向)に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2(図14参照)回りの周方向Dにおいて、周方向Dの一方向である方向D1および周方向Dの他方向である方向D2に弾性変形可能である。一対の撓み部664bの肉厚は、それぞれ、一対の取手部664cの肉厚よりも薄い。
また、取付部664は、アダプタ6aのZ1方向側の表面63に直交する方向(Z方向)に沿って、ストッパ本体部64をアダプタ6aに近付けて取り付け可能とするとともに、ストッパ本体部64をアダプタ6aから離して取り外し可能とするように構成されている。
具体的には、取付部664の一対の取手部664cは、ストッパ本体部64の一部を弾性変形させることにより、アダプタ6aから離れる方向D2か、または、アダプタ6aに近づく方向D1に一対の係合部664aを移動させるように構成されている。
つまり、一対の取手部664cの移動に伴う一対の係合部664aの移動により、ストッパ6bの取付状態とストッパ6bの取付解除状態とが切り替えられる。詳細には、手術器具4の延びる方向に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2(図14参照)回りの周方向Dにおいて、一対の撓み部664bを中心軸線C1側に弾性変形させて、ストッパ6bが取付解除状態になる。また、手術器具4の延びる方向に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2回りの周方向Dにおいて、取付解除状態から一対の撓み部664bを中心軸線C1とは逆側に戻して、ストッパ6bが取付状態になる。取付状態では、取付部664の一対の係合部664aが、アダプタ6aの一対のガイドレール62をX方向に挟み込んでいる。
〈回転規制部〉
図13および図14に示すように、回転規制部65は、手術器具4の延びる方向(Y方向)に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2に対して、駆動伝達部材61の回転軸線C1回りの周方向Rに所定角度θ傾斜させた状態で駆動伝達部材61の回転を規制するように構成されている。
ここで、周方向Rのうち、一方側を第1周方向R1とし、他方側を第2周方向R2とする。
詳細には、回転規制部65は、アダプタ6aに手術器具4を取り付ける際、手術器具4の係合凸部441(図5参照)が対応するアダプタ6aの係合凹部611の縁に載置されないように、アダプタ6aの係合凹部611の初期状態を所定角度θ傾斜させた状態に位置を固定した状態にするように構成されている。なお、初期状態とは、アダプタ6aに手術器具4を取り付ける際において、手術器具4の係合凸部441と、対応するアダプタ6aの係合凹部611とを係合させる動作を行う開始時の状態を示す。
また、所定角度θとは、初期状態において、手術器具4の係合凸部441(図5参照)と、対応するアダプタ6aの係合凹部611とを完全に係合しない状態にする角度を示す。所定角度θは、後述する第2初期角度θ2と同じ角度に設定される。具体的に、第1実施形態では、たとえば、中心軸線C2に対して第1周方向R1または第2周方向R2のいずれかに5度以上80度以下とすることができる。なお、所定角度θは、手術器具4の係合凸部441とアダプタ6aの係合凹部611との係合に要する時間および確実な係合という観点から、中心軸線C2に対して第1周方向R1または第2周方向R2のいずれかに45度傾斜していることが好ましい。
回転規制部65は、アダプタ6aの係合凹部611の内側面に当接することにより、中心軸線C2に対して、ストッパ本体部64の中心軸線C1回りの第1周方向R1または第2周方向R2のいずれかに所定角度θ傾斜させた状態で駆動伝達部材61の回転を規制するように構成されている。
具体的には、回転規制部65は、駆動伝達部材61に設けられて駆動伝達部材61の手術器具4側の表面から手術器具4側とは反対側に向かって窪むアダプタ6aの係合凹部611に嵌合する嵌合凸部665を含んでいる。嵌合凸部665は、所定角度θ傾斜した状態でストッパ本体部64に設けられている。
嵌合凸部665は、ストッパ本体部64のZ2方向側の表面に設けられている。嵌合凸部665は、ブロック形状(略直方体形状)を有している。嵌合凸部665は、ストッパ本体部64のZ2方向側の表面からZ2方向側に向かって突出している。Z方向において、嵌合凸部665は、ストッパ本体部64の厚み内に収まる突出長さを有している。嵌合凸部665は、中心軸線C2に対して所定角度θ傾斜した方向に複数(2個)に分かれている。
嵌合凸部665は、中心軸線C2に対して第1周方向R1または第2周方向R2のいずれかに所定角度θ傾斜された方向に延びている。つまり、嵌合凸部665は、アダプタ6aの係合凹部611に対して第1周方向R1または第2周方向R2のいずれかに相対的に所定角度θ傾斜していている。
また、嵌合凸部665は、作業者の手動によるアダプタ6aの係合凹部611の回転により、アダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611に嵌合している。ここで、嵌合凸部665は、アダプタ6aの係合凹部611に微小な隙間を設けて挿入された状態(すなわち、すきまばめの状態)で嵌合する。
嵌合凸部665は、嵌合凸部665とアダプタ6aの係合凹部611とを嵌合させた状態において、アダプタ6aの係合凹部611の内側面に当接することにより、駆動部21bの係合凸部211の回転に伴うアダプタ6aの係合凹部611の回転を規制している。また、嵌合凸部665は、嵌合凸部665とアダプタ6aの係合凹部611とを嵌合させた状態において、アダプタ6aの係合凹部611の内側面に当接することにより、ストッパ本体部64のアダプタ6aに対するX方向およびY方向の相対的な移動を規制している。
嵌合凸部665は、アダプタ6aの手術器具4側の表面63にアダプタ6aの係合凹部611が複数(4個)設けられている場合、アダプタ6aの複数の係合凹部611に対応させてストッパ本体部64に複数(4個)設けられている。
嵌合凸部665は、アダプタ6aの手術器具4側の表面63に対向するストッパ本体部64の表面に複数設けられている。複数の嵌合凸部665は、それぞれ、作業者の手動によるアダプタ6aの係合凹部611の回転により、アダプタ6aの対応する複数の係合凹部611に確実に嵌合する位置に配置されている。
複数の嵌合凸部665は、手術器具4の延びる方向に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2に対して互いに線対称となるように所定角度θ傾斜した状態でストッパ本体部64に設けられている。
詳細には、嵌合凸部665は、X方向において、ストッパ本体部64の中心軸線C2よりもX1方向側の部分とストッパ本体部64の中心軸線C2よりもX2方向側の部分とに同数ずつ(2個ずつ)設けられている。複数の嵌合凸部665のうちの2個は、中心軸線C2の延びる方向に対して第2周方向R2に所定角度θ傾斜した状態で、ストッパ本体部64の中心軸線C2よりもX1方向側の部分にY方向に沿って並んで配置されている。複数の嵌合凸部665のうちの2個は、中心軸線C2の延びる方向に対して第1周方向R1に所定角度θ傾斜した状態で、ストッパ本体部64の中心軸線C2よりもX2方向側の部分にY方向に沿って並んで配置されている。
〈規制部側凹部〉
回転規制部65は、Z方向において、ストッパ本体部64における嵌合凸部665を設けた部分の肉厚が抑制された構造を有している。
具体的には、回転規制部65は、嵌合凸部665の周りに、アダプタ6a側とは反対側(Z1方向側)に向かって窪む規制部側凹部666を含んでいる。規制部側凹部666は、駆動伝達部材61の外周部分が挿入されるように構成されている。
詳細には、規制部側凹部666は、ストッパ6bの嵌合凸部665とアダプタ6aの係合凹部611との嵌合状態において、嵌合凸部665のZ1方向側の根元部までアダプタ6aの係合凹部611内に嵌合凸部665を挿入することにより、駆動伝達部材61の外周部分を挿入可能なように構成されている。Z方向において、規制部側凹部666は、ストッパ本体部64のZ2方向側の部分からZ1方向側に向かって窪んでいる。Z方向において、規制部側凹部666の長さは、嵌合凸部665の突出長さよりも大きい。Z方向において、規制部側凹部666の長さは、ストッパ本体部64の最大厚みよりも小さい。なお、駆動伝達部材61の外周部分とは、駆動伝達部材61のZ1方向側の部分のうちアダプタ6aの係合凹部611以外の部分を示す。
また、Z2方向側から視て、規制部側凹部666の形状は、駆動伝達部材61の形状に合わせて形成されている。ここで、Z2方向側から視て、規制部側凹部666は、駆動伝達部材61よりも内径が大きくなるように形成されている。
〈識別部〉
ストッパ本体部64は、ストッパ6bをアダプタ6aに取り付ける際、作業者が正しい向きを認識できるように構成されている。
具体的には、ストッパ本体部64は、ストッパ6bをアダプタ6a(図4参照)に取り付ける際、手術器具4の延びる方向におけるストッパ6bの向きを識別するための識別部667を含んでいる。
識別部667は、第1識別部分667a、および、第2識別部分667bを有している。
第1識別部分667aは、手術器具4の延びる方向(Y方向)において、ストッパ本体部64の一方側の部分を他方側の部分よりも小さくするように構成されている。つまり、Y方向において、第1識別部分667aは、取手部181cのX方向に延びる中央線C3よりもY2側の部分の長さL1(図14参照)よりもY1側の部分の長さL2(図14参照)を小さくすることにより構成されている。
第2識別部分667bは、手術器具4の延びる方向(Y方向)において、ストッパ本体部64の一方側の端部にのみ切り欠き667cを形成することにより構成されている。つまり、第2識別部分667bは、Y方向において、取手部181cの中央線C3よりもY2側の部分には切り欠き667cを形成することなく、Y1側の部分に切り欠き667cを形成することにより構成されている。ここで、切り欠き667cは、ストッパ本体部64をZ2方向側の端部からZ1方向に向かって窪んでいる。
(ストッパ付きアダプタの組立方法)
以下に、図15~図17を参照して、アダプタ6aおよびストッパ6bを含むストッパ付きアダプタ6の組立方法について説明する。この組立方法により、アダプタ6aの係合凹部611を所定角度θ傾斜させた位置で固定させた状態を保持可能なストッパ付きアダプタ6が作成される。なお、図16および図17では、理解の容易化のために、アダプタ6aにも中心軸線C2を付すとともに、アダプタ6aにも第1周方向R1および第2周方向R2を付している。
図15に示すように、ステップS1において、作業者は、アダプタ6aを組み立てる。
ステップS2において、作業者は、アダプタ6aにストッパ6bを取り付ける。すなわち、図16に示すように、作業者は、取付解除状態のストッパ6bをアダプタ6aに近付けて、ストッパ6bの嵌合凸部665とアダプタ6aの駆動伝達部材61とを当接させた状態で、ストッパ6bを取付状態にする。これにより、ストッパ6bの一対の係合部664aのそれぞれとアダプタ6aの一対のガイドレール62のそれぞれとが係合する。なお、この際、ストッパ6bの嵌合凸部665は、中心軸線C2の延びる方向に対して所定角度θ傾斜した状態である。一方、アダプタ6aの係合凹部611は、中心軸線C2の延びる方向に対して略平行な状態である。ここで、アダプタ6aの係合凹部611は、中心軸線C2の延びる方向に対して略平行な状態である場合に限られず、例えば、所定角度θとは異なる角度だけ中心軸線C2の延びる方向に対して傾斜していてもよい。
図15に示すように、ステップS3において、作業者は、アダプタ6aの駆動伝達部材61を回転させてアダプタ6aの係合凹部611とストッパ6bの嵌合凸部665とを嵌合させる。すなわち、図17に示すように、作業者は、アダプタ6aにストッパ6bを取り付けた状態で、手動(たとえば、工具を用いたり、直接手で操作したりなど)によりアダプタ6aの駆動伝達部材61を回転させて、アダプタ6aの係合凹部611とストッパ6bの嵌合凸部665とを嵌合させる。ここで、作業者は、アダプタ6aの複数の係合凹部611のうち中心軸線C2に対して一方側のアダプタ6aの係合凹部611を第1周方向R1に回転させる。作業者は、アダプタ6aの複数の係合凹部611のうち中心軸線C2に対して他方側のアダプタ6aの係合凹部611を第2周方向R2に回転させる。
これにより、アダプタ6aの係合凹部611を所定角度θ傾斜した状態で位置を固定させた状態である回転規制状態のストッパ付きアダプタ6が組み立てられる。そして、作業者によるストッパ付きアダプタ6の組立が終了する。なお、ストッパ付きアダプタ6とドレープ7(図4参照)とを合わせて梱包したものが生産物として出荷される。
(手術器具のロボットアームへの装着方法)
以下に、図18~図22を参照して、手術器具4のロボットアーム21への装着方法について説明する。手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、ロボットアーム21の駆動部21bに対して、アダプタ6aを介して手術器具4をロボットアーム21に装着する方法である。
ロボットアーム21へのアダプタ6aを介した手術器具4の装着は、作業者としての補助者Sp(図1参照)により行われる。なお、図21および図22では、理解の容易化のために、アダプタ6a、駆動部21bおよび手術器具4にも中心軸線C2および回転軸線Gを付すとともに、アダプタ6a、駆動部21bおよび手術器具4にも第1周方向R1および第2周方向R2を付している。
また、図18および図21に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、ロボットアーム21にアダプタ6aを取り付けた後、駆動部21bを回転させて第3初期角度θ3(所定角度θ)の駆動伝達部材61の係合凹部612に駆動部21bの係合凸部211を係合させるステップを行うように構成されている。また、第3初期角度θ3とは、駆動伝達部材61の係合凹部612の延びる方向に沿った軸線と、中心軸線C2とにより形成された角度を示す。なお、第3初期角度θ3は、特許請求の範囲の「第3初期姿勢」の一例である。
第1実施形態では、第3初期角度θ3は、後述する第2初期角度θ2と同じ角度に設定されている。これにより、駆動伝達部材61の係合凹部611に関する第2初期角度θ2と駆動伝達部材61の係合凹部612に関する第3初期角度θ3とを異なる角度にする場合よりも、駆動伝達部材61の係合凹部611および駆動伝達部材61の係合凹部612の各々の初期角度を所望の初期角度に容易に設定することができる。しかしながら、第3初期角度θ3と第2初期角度θ2とは同じ角度でなくてもよい。
詳細には、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、第4初期角度θ4に駆動部21bの係合凸部211を設定す(回転させ)るステップS11を備えている。ステップS11では、第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に対応しない第4初期角度θ4に駆動部21bの係合凸部211が設定される。換言すれば、駆動部21bの係合凸部211は、第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に係合しないように、第3初期角度θ3とは異なる第4初期角度θ4に設定される。ここで、第4初期角度θ4とは、駆動部21bの係合凸部211の並ぶ方向に延びる軸線と、中心軸線C2とにより形成された角度を示す。なお、第4初期角度θ4は、特許請求の範囲の「第4初期姿勢」の一例である。
上記したように、第4初期角度θ4は、第3初期角度θ3と異なる角度である。換言すれば、第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612の延びる方向に沿った軸線に対して、駆動部21bの係合凸部211の凸部が並ぶ方向に延びる軸線が傾斜している。第4初期角度θ4は、第3初期角度θ3に対し5度以上80度以下だけ異なることが好ましい。なお、第4初期角度θ4は、アダプタ6aの係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211との係合に要する時間および確実な係合という観点から、第3初期角度θ3に対し45度異なることがさらに好ましい。第1実施形態では、第3初期角度θ3は45度に設定されており、第4初期角度θ4は0度に設定されている。ただし、第3初期角度θ3及び第4初期角度θ4の角度は、あくまで例示であり、これに限定されない。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、作業者(補助者Sp(図1参照))により、係合凹部611が第2初期角度θ2に、係合凹部612が第3初期角度θ3にそれぞれ設定された駆動伝達部材61が駆動部21bに取り付けられるステップS12を備えている。第2初期角度θ2は、係合凹部611が第1初期角度θ1をなす手術器具4の被駆動部材44の係合凸部441と係合しないように、第1初期角度θ1と異なる角度に設定されている。すなわち、第1初期角度θ1をなす被駆動部材44の係合凸部441に対応しない第2初期角度θ2に駆動伝達部材61の係合凹部611が設定されている。ここで、第1初期角度θ1とは、係合凸部441の延びる方向に沿った軸線と、中心軸線C2とにより形成された角度を示し、第2初期角度θ2とは、駆動伝達部材61の係合凹部611の延びる方向に沿った軸線と、中心軸線C2とにより形成された角度を示す。したがって、被駆動部材44の係合凸部441の凸部が並ぶ方向に延びる軸線は、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611の延びる方向に沿った軸線に対して傾斜している。第2初期角度θ2は、第1初期角度θ1に対し5度以上80度以下だけ異なることが好ましい。なお、第2初期角度θ2は、アダプタ6aの係合凹部611と被駆動部材44の係合凸部441との係合に要する時間および確実な係合という観点から、第1初期角度θ1に対し45度異なることがさらに好ましい。第1実施形態では、第1初期角度θ1は0度に設定されており、第2初期角度θ2は45度に設定されている。ただし、第1初期角度θ1及び第2初期角度θ2の角度は、あくまで例示であり、これに限定されない。なお、第1初期角度θ1は、特許請求の範囲の「第1初期姿勢」の一例であり、第2初期角度θ2は、特許請求の範囲の「第2初期姿勢」の一例である。このように、作業者は、ストッパ6bが取り付けられたアダプタ6aをロボットアーム21に取り付ける。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、係合凹部612が第3初期角度θ3の駆動伝達部材61に駆動部21bの係合凸部211が係合されるステップS13を備えている。すなわち、ステップS13では、ロボットアーム21の駆動部21bにアダプタ6aを取り付けた後、駆動部21bを回転させて第3初期角度θ3の係合凹部612に係合凸部211が係合される。
ストッパ付きアダプタ6の組立方法のステップS3では、駆動部21bの係合凸部211に係合する駆動伝達部材61の係合凹部612が第3初期角度θ3に設定される。駆動伝達部材61の係合凹部612に対応しない第4初期角度θ4に駆動部21bの係合凸部211が設定される。手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS11では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対応しない第4初期角度θ4に駆動部21bの係合凸部211が設定される。手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS13では、ロボットアーム21の駆動部21bにアダプタ6aを取り付けた後、駆動部21bを回転させて第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に駆動部21bの係合凸部211が係合される。これらにより、駆動部21bの係合凸部211に対して駆動伝達部材61の係合凹部612を係合させる際、第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に対応しない第4初期角度θ4に駆動部21bの係合凸部211が設定されている。したがって、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の相対的な位置関係が、たとえば、不完全な状態で係合するような近い位置にならないので、係合凹部612と係合凸部211との係合が不完全な状態で駆動伝達部材61の係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211との係合完了が検知されないとともに、駆動部21bを回転させる回転角度を十分に確保することができる。この結果、ロボットアーム21の駆動部21bとアダプタ6aの駆動伝達部材61とを確実かつ略完全な状態で係合させることができるとともに、手術器具4とアダプタ6aとを確実かつ略完全な状態で係合させることができる。
ここで、図19および図21に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS13では、駆動部21bを回転させて係合凹部612が第3初期角度θ3の駆動伝達部材61に駆動部21bの係合凸部211が係合したとエンコーダ215の検出結果に基づいて制御部141が判断した場合、駆動部21bを逆方向に回転させる。なお、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、駆動部21bを逆方向に回転させるステップS133を含んでいなくてもよい。
駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法であるステップS13は、駆動部21bの出力を低減させて、かつ、回転速度を遅くして係合凹部612に対して係合凸部211が係合されるステップS131を含んでいる。すなわち、ステップS131では、駆動部21bを施術を行っている際の通常の出力よりも低く、かつ、通常の速度よりも遅い状態で駆動部21bが駆動される。
具体的には、ステップS131では、手術器具4により施術を行っている際の通常の出力よりも駆動部21bの出力を低減させた状態で、駆動部21bの係合凸部211を回転させることによって、駆動伝達部材61に対して駆動部21bが係合される。つまり、ステップS131では、駆動部21bのトルクを抑制した状態で、駆動部21bが回転される。
また、ステップS131では、手術器具4により施術を行っている際の通常速度よりも遅い回転速度で駆動部21bを駆動させることにより駆動伝達部材61に対して駆動部21bが係合される。つまり、ステップS131では、駆動部21bの係合凸部211の回転速度を抑制した状態で、駆動部21bが回転される。
駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法であるステップS13は、駆動伝達部材61に対する駆動部21bの係合がエンコーダ215により検知されるステップS132を含んでいる。すなわち、ステップS132では、駆動部21bの回転速度がしきい値以下になった場合に、駆動部21bの係合凸部211と駆動伝達部材61の係合凹部612との係合が検知される。
駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法であるステップS13は、駆動部21bを逆方向に回転させるステップS133を含んでいる。
これらのように、ステップS132では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合がエンコーダ215により検知される。ステップS133では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知した後、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知する前とは逆方向に回転される。これらにより、駆動伝達部材61の係合凹部612に駆動部21bの係合凸部211を係合させる際の目標回転位置を通り過ぎ、駆動伝達部材61の係合凹部612により駆動部21bの係合凸部211の回転が抑えられて駆動部21bの回転速度が減少したことに基づいて、駆動伝達部材61の係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211との係合を検知する場合でも、逆方向に駆動部21bを回転させることにより位置ずれを減少させることができる。この結果、駆動伝達部材61の係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211とをより確実に係合させることができる。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、ロボットアーム21へのアダプタ6aの装着が報知されるステップS14を備えている。すなわち、ステップS14では、駆動部21bへの駆動伝達部材61の係合が検知されたことに基づいて、ロボットアーム21へのアダプタ6aの装着が報知される。つまり、ステップS14では、ランプ21dにより、駆動部21bへの駆動伝達部材61の装着が作業者に報知される。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、作業者により、ストッパ6bをアダプタ6aから取り外すステップS15を備えている。ステップS15では、ロボットアーム21へのアダプタ6aの装着を報知するステップの後、作業者によりストッパ6bがアダプタ6aから取り外される。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、作業者により、アダプタ6aに手術器具4を取り付けるステップS16を備えている。
これらのように、ステップS12では、アダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611を第2初期角度θ2に、係合凹部612を第3初期角度θ3に、それぞれ位置決めするためのストッパ6bを取り付けた状態のアダプタ6aがロボットアームに取り付けられている。そして、ステップS15では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対して駆動部21bの係合凸部211を係合させた後、ストッパ6bがアダプタ6aから取り外されている。そして、ステップS16では、ストッパ6bをアダプタ6aから取り外した後、アダプタ6aに手術器具4が取り付けられる。これらにより、ストッパ6bにより駆動伝達部材61の係合凹部612が第3初期角度θ3である状態を確実に保持することができるので、駆動伝達部材61の係合凹部612(第2被係合部)に対する駆動部21bの係合凸部211(駆動部の係合部)の相対的な位置関係が、不完全な状態で係合するような近い位置にならないので、駆動部21bを回転させる回転角度を十分に確保することができる。また、アダプタ6aに手術器具4を装着する際にはストッパ6bは取り外されているので、アダプタ6a自体に駆動伝達部材61の回転を規制するための構造を設ける必要がない。これらの結果、アダプタ6aに余分な内部構造および内部空間を設けることなく駆動伝達部材61の回転を規制することができるとともに、駆動部21bと駆動伝達部材61とを確実かつ略完全な状態で係合させることができる。
図18および図22に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、第1初期角度θ1の被駆動部材44に駆動伝達部材61が係合されるステップS17を備えている。すなわち、ステップS17では、駆動部21bを回転させて、被駆動部材44の係合凸部441が駆動伝達部材61の係合凹部611に係合される。
具体的には、第1実施形態の手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS17では、第1初期角度θ1の被駆動部材44に対応しない第2初期角度θ2の位置に固定された状態の駆動伝達部材61を駆動部21bにより回転させ、被駆動部材44に駆動伝達部材61を係合させる。ステップS17では、駆動伝達部材61の係合凹部611に被駆動部材44の係合凸部441が係合される。なお、駆動伝達部材61の係合凹部611は、図15に示すストッパ付きアダプタ6の組立方法により第2初期角度θ2の位置にストッパ6bを用いて事前に固定された状態にされている。
図20および図22に示すように、ステップS17は、駆動部21bの出力を低減させて、かつ、回転速度を遅くして被駆動部材44に対して駆動伝達部材61が係合されるステップS171を含んでいる。すなわち、ステップS171では、駆動部21bを施術を行っている際の通常の出力よりも低く、かつ、通常の速度よりも遅い状態で駆動部21bが駆動される。
具体的には、ステップS171では、手術器具4により施術を行っている際の通常の出力よりも駆動部21bの出力を低減させた状態で、駆動部21bの駆動により駆動伝達部材61を回転させることによって、被駆動部材44に対して駆動伝達部材61が係合される。これにより、駆動伝達部材61に生じるトルク(回転力)を低減させることができるので、駆動伝達部材61と被駆動部材44とが係合した際、被駆動部材44が意図せず動くことを抑制することができる。
つまり、ステップS171では、駆動部21bのトルクを抑制した状態で、駆動部21bを駆動させて駆動伝達部材61を回転させる。
ステップS171では、手術器具4により施術を行っている際の通常速度よりも遅い回転速度で駆動部21bを駆動させることにより、駆動伝達部材61を回転させることによって、被駆動部材44に対して駆動伝達部材61が係合される。これにより、駆動伝達部材61が被駆動部材44に係合しやすくなるので、手術器具4とアダプタ6aとをより確実かつより略完全な状態で係合させることができる。
つまり、ステップS171では、駆動部21bの回転速度を抑制した状態で、駆動部21bを駆動させて駆動伝達部材61を回転させる。
ステップS17は、被駆動部材44に対する駆動伝達部材61の係合が光センサ21cにより検知されるステップS172を含んでいる。すなわち、ステップS172では、駆動部21bの遮光部213aにより投光部221から受光部222への光が遮られた場合に、被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合が検知される。なお、被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合を検知するセンサは光センサに限られず、係合の状態変化により生じる検出部材の高さ位置変化を検知するセンサであればよく、例えば磁気センサなどであってもよい。
ステップS17は、駆動部21bが回転方向を維持して所定の角度分だけ回転するステップS173を含んでいる。ステップS173では、光センサ21cの検出結果に基づいて制御部141が駆動部21bを回転させて駆動伝達部材61に被駆動部材44が係合したと判断した場合、駆動部21bが所定の回転角度の分だけオーバーランする。
このように、ステップS172では、駆動伝達部材61の係合凹部611に対する被駆動部材44の係合凸部441の係合が検知される。これにより、駆動伝達部材61の係合凹部611と被駆動部材44の係合凸部441とを所望の位置で自動で係合させることができるので、駆動伝達部材61の係合凹部611と被駆動部材44の係合凸部441との係合を容易に行うことができる。
また、ステップS172では、駆動伝達部材61の係合凹部611に対する被駆動部材44の係合凸部441の係合は、光センサ21cにより検知される。これにより、被駆動部材44の係合凸部441の実際の位置および駆動伝達部材61の係合凹部611の実際の位置に基づいて、被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合を検知することができるので、駆動伝達部材61の係合凹部611と被駆動部材44の係合凸部441との係合をより正確に検知することできる。
また、ステップS173では、駆動伝達部材61の係合凹部611に対する被駆動部材44の係合凸部441の係合を光センサ21cにより検知した後、駆動部21bが回転方向を維持して所定の回転角度分だけ回転する。これにより、駆動伝達部材61に対する被駆動部材44の係合を検知して駆動伝達部材61の回転を停止する位置と、駆動伝達部材61に被駆動部材44を係合させる際の目標回転位置との間に位置ずれがあった場合でも、余分に駆動部21bを回転させることにより位置ずれを減少させることができる。この結果、駆動伝達部材61と被駆動部材44とをより確実に係合させることができる。
すなわち、ステップS172では、駆動伝達部材61に対する被駆動部材44の係合が光センサ21cにより検知される。そして、ステップS173では、駆動伝達部材61に対する被駆動部材44の係合を光センサ21cにより検知した後、駆動部21bが回転方向を維持して所定の回転角度分だけ回転する。これらにより、駆動伝達部材61に対する被駆動部材44の係合を光センサ21cにより検知して駆動伝達部材61の回転を停止する位置と、駆動伝達部材61に被駆動部材44を係合させる際の目標回転位置との間に位置ずれがあった場合でも、余分に駆動部21bを回転させることにより位置ずれを減少させることができる。この結果、駆動伝達部材61と被駆動部材44とをより確実に係合させることができる。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、アダプタ6aへの手術器具4の装着を報知するステップS18を備えている。つまり、ステップS18では、ランプ21dにより、アダプタ6aへの手術器具4の装着が作業者に報知される。
このように、ステップS14では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合が検知されたことに基づいて、ロボットアーム21へのアダプタ6aの装着が報知される。これにより、駆動部21bの係合凸部211と駆動伝達部材61の係合凹部612との係合を作業者に確認させることができるので、駆動部21bの係合凸部211と駆動伝達部材61の係合凹部612との係合を確実に行うことができる。
また、ステップS18では、手術器具4の被駆動部材44の係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611が検知されたことに基づいて、アダプタ6aへの手術器具4の装着が報知される。これにより、被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合を作業者に確認させた後に手術器具4を施術に用いることができるので、適切な係合状態の手術器具4を施術に用いることができる。
上記したように、ストッパ付きアダプタ6の組立方法のステップS3(図15参照)では、被駆動部材44の係合凸部441と係合するアダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611(第1被係合部)が、回転軸線G回りの第1初期角度θ1をなす被駆動部材44の係合凸部441(被駆動部材の係合部)と対応しない第2初期角度θ2に設定される。つまり、第2初期角度θ2は、第1初期角度θ1とは異なる角度である。そして、手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS16では、第2初期角度θ2に設定するステップS3の後、駆動部21bに対してアダプタ6aを介して手術器具4が取り付けられる。手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS17では、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611を駆動部21bの駆動により回転させることによって、被駆動部材44の係合凸部441に対して駆動伝達部材61の係合凹部611が係合される。このように、被駆動部材44の係合凸部441に対して駆動伝達部材61の係合凹部611を係合させる際、第1初期角度θ1をなす被駆動部材44の係合凸部441に対応しない第2初期角度θ2にアダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611が設定されている。したがって、被駆動部材44の係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の相対的な位置関係が、たとえば、不完全な状態で係合するような近い位置関係にならないので、被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合が不完全な状態で被駆動部材44の係合凸部441と駆動伝達部材61の係合凹部611との係合完了が検知されないとともに、駆動伝達部材61を回転させる回転角度を十分に確保することができる。この結果、手術器具4とアダプタ6aとを確実かつ略完全な状態で係合させることができる。
なお、手術器具4を交換するごとに上記手術器具4のロボットアーム21への装着が行われるが、手術器具4を交換するごとに使用済みのストッパ付きアダプタ6を廃棄して新しいストッパ付きアダプタ6を用いてもよい。また、手術器具4を交換するごとに使用済みのストッパ付きアダプタ6のうちアダプタ6aを廃棄してストッパ6bを再利用して、新しいアダプタ6aに取り付けてもよい。
[第2実施形態]
図18、図21~図25を参照して、第2実施形態のロボット手術システム200について説明する。この第2実施形態では、被駆動部材44に対する駆動伝達部材61の係合を検知する第1実施形態のロボット手術システム100に、さらに、被駆動部材44に対する駆動伝達部材61の係合を検知しなかった場合に駆動部21bをそれまでとは逆方向に回転させるロボット手術システム200について説明する。なお、図中において上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付して図示する。
(ロボット手術システムの構成)
図23~図25を参照して、ロボット手術システム200の構成について説明する。
図23に示すように、第2実施形態のロボット手術システム200は、遠隔操作装置1と、患者側装置2とを備えている。遠隔操作装置1は、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14とを含んでいる。患者側装置2は、手術器具4と、内視鏡5と、ロボットアーム21と、ロボットアーム22とを含んでいる。
(手術器具のロボットアームへの装着方法)
以下に、図18、図21~図25を参照して、手術器具4のロボットアーム21への装着方法について説明する。なお、第1実施形態において記載した手術器具4のロボットアーム21への装着方法と同じ説明については省略する。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に駆動部21bの係合凸部211が係合されるステップS13を備えている。駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法であるステップS13は、駆動部21bの出力を低減させて、かつ、回転速度を遅くして係合凹部612に対して係合凸部211が係合されるステップS131を含んでいる。
駆動伝達部材61の係合凹部612に対して駆動部21bの係合凸部211を係合させるステップS13は、第1所定角度範囲内において、係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知しなかった場合、それまでとは逆方向に駆動部を回転させるステップS233を含む。すなわち、ステップS233では、第1所定角度範囲内において、係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合が検知されるまで、繰り返し駆動部21bの回転方向が切り替えられる。
これにより、第1所定角度範囲内において、係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知しなかった場合に、係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知する前と同じ方向に駆動部を回転させ続ける場合と異なり、第1所定角度範囲外となった直後において、逆方向に駆動部を回転させることができる。この結果、係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211との係合に要する時間を短縮することができる。
詳細には、ステップS232では、第4初期角度θ4の駆動部21bの係合凸部211が第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に向かって回転する際、エンコーダ215により検出される駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定回転角度範囲内か否かが判断される。駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定角度範囲内であれば、ステップS234に進む。また、駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定角度範囲外であれば、ステップS233に進み、駆動部21bを逆方向に回転させた後、ステップS232に戻る。すなわち、第1所定角度範囲外であれば、駆動部21bの係合凸部211は、駆動部21bの直前の回転方向に対して逆の回転方向に切り替えて回転する。
ここで、第1所定角度範囲とは、第4初期角度θ4の駆動部21bの係合凸部211と第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612とが係合すると想定される角度範囲を示す。すなわち、第1所定角度範囲とは、第3初期角度θ3を基準として第2周方向R2側に傾いた角度を正の角度および第1周方向R1側に傾いた角度を負の角度に設定した角度により示される範囲である。第1所定角度範囲は、第3初期角度θ3±α度の範囲に設定されている。本実施形態において、αは20に設定されている。なお、αは0より大きく180より小さければよいが、5以上25以下で設定されることが好ましい。
ステップS234では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合をエンコーダ215により検知されたか否かが判断される。エンコーダ215により係合が検知された場合は、ステップS133に進む。エンコーダ215により係合が検知されなかった場合は、ステップS232に戻る。
そして、駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法は、ステップS133を行った後終了する。ステップS133では、前述したように、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知した後、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知する前とは逆方向に回転される。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、第1初期角度θ1の被駆動部材44に駆動伝達部材61が係合されるステップS17を備えている。ステップS17は、駆動部21bの出力を低減させて、かつ、回転速度を遅くして被駆動部材44に対して駆動伝達部材61が係合されるステップS171を含んでいる。
被駆動部材44の係合凸部441に対して駆動伝達部材61の係合凹部611を係合させるステップS17は、第2所定角度範囲内において、被駆動部材44の係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の係合を検知しなかった場合、それまでとは逆方向に駆動伝達部材61を回転させるステップS273を含んでいる。すなわち、ステップS273では、第2所定角度範囲内において、被駆動部材44の係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の係合が検知されるまで、繰り返し駆動部21bの回転方向が切り替えられる。
これにより、係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の係合を検知しなかった場合に、係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の係合を検知する前と同じ方向に駆動部21bを回転させ続ける場合と異なり、第2所定角度範囲外になった直後に、駆動部21bを逆方向に回転させることができる。この結果、係合凹部612と駆動部21bの係合凸部211との係合に要する時間を短縮することができる。
具体的には、ステップS272では、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611が第1初期角度θ1の被駆動部材44の係合凸部441に向かって回転する際、エンコーダ215により検出される駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定回転角度範囲内か否かが判断される。駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定角度範囲内であれば、ステップS274に進む。また、駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定角度範囲外であれば、ステップS273に進み、駆動部21bをそれまでとは逆方向に回転させた後、ステップS272に戻る。すなわち、第2所定角度範囲外であれば、駆動部21bの係合凸部211は、駆動部21bの直前の回転方向に対して逆の回転方向に切り替えて回転する。
ここで、第2所定角度範囲とは、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611と第1初期角度θ1の被駆動部材44の係合凸部441とが係合すると想定される角度範囲を示す。すなわち、第2所定角度範囲とは、第1初期角度θ1を基準として第2周方向R2側に傾いた角度を正の角度および第1周方向R1側に傾いた角度を負の角度に設定した角度により示される範囲である。第2所定角度範囲は、第1初期角度θ1±β度の範囲に設定されている。本実施形態において、βは20度に設定されている。なお、βは0より大きく180より小さければよいが、5以上25以下に設定されることが好ましい。
ステップS274では、駆動伝達部材61の係合凹部611に対する被駆動部材44の係合凸部441の係合を光センサ21cにより検知されたか否かが判断される。光センサ21cにより係合が検知された場合は、ステップS173に進む。光センサ21cにより係合が検知されなかった場合は、ステップS272に戻る。
そして、駆動伝達部材61と被駆動部材44との係合方法は、ステップS173を行った後終了する。ステップS173では、前述したように、光センサ21cの検出結果に基づいて制御部141が駆動部21bを回転させて駆動伝達部材61に被駆動部材44が係合したと判断した場合、駆動部21bが所定の回転角度の分だけオーバーランする。なお、第2実施形態のその他の構成および効果は、第1実施形態の構成および効果と同様である。
[第3実施形態]
次に、図15、図18および図24~図30、を参照して、第3実施形態のロボット手術システム300について説明する。この第3実施形態では、手術器具4の延びる方向に平行なストッパ本体部64の中心軸線C2に対して線対称となるように所定角度θ傾斜した状態でストッパ本体部64に設けられた複数の嵌合凸部665を備える第1および第2実施形態のロボット手術システム100、200とは異なり、手術器具4の延びる方向に平行なストッパ本体部864の中心軸線C2に対して互いに同じ方向に所定角度θ傾斜した状態でストッパ本体部864に設けられた複数の嵌合凸部865を備えるロボット手術システム300について説明する。なお、図中において上記第1および第2実施形態と同様の構成には同じ符号を付して図示する。
(ロボット手術システムの構成)
図15、図18および図24~図30を参照して、ロボット手術システム300の構成について説明する。
図26に示すように、第3実施形態のロボット手術システム300は、遠隔操作装置1と、患者側装置2とを備えている。遠隔操作装置1は、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14とを含んでいる。患者側装置2は、手術器具4と、内視鏡5と、ロボットアーム21と、ロボットアーム22とを含んでいる。
(ストッパ付きアダプタの組立方法)
以下に、図15、図27および図28を参照して、アダプタ6aおよびストッパ806bを含むストッパ付きアダプタ806の組立方法について説明する。この組立方法により、アダプタ6aの係合凹部611を所定角度θ傾斜させた位置で固定させた状態を保持可能なストッパ付きアダプタ806が作成される。なお、図27および図28では、理解の容易化のために、アダプタ6aにも中心軸線C2を付すとともに、アダプタ6aにも第1周方向R1および第2周方向R2を付している。
図15に示すように、ステップS1において、作業者は、アダプタ6aを組み立てる。
ステップS2において、作業者は、アダプタ6aにストッパ806bを取り付ける。すなわち、図27に示すように、作業者は、取付解除状態のストッパ806bをアダプタ6aに近付けて、ストッパ806bの嵌合凸部865とアダプタ6aの駆動伝達部材61とを当接させた状態で、ストッパ806bを取付状態にする。なお、この際、ストッパ806bの嵌合凸部865は、中心軸線C2の延びる方向に対して第2周方向R2に所定角度θ傾斜した状態である。一方、アダプタ6aの係合凹部611は、中心軸線C2の延びる方向に対して略平行な状態である。ここで、複数のストッパ806bの嵌合凸部865は、中心軸線C2の延びる方向に対して全て同じ所定角度θ傾斜した状態である。
図15に示すように、ステップS3において、作業者は、アダプタ6aの駆動伝達部材61を回転させてアダプタ6aの係合凹部611とストッパ806bの嵌合凸部865とを嵌合させる。すなわち、図27に示すように、作業者は、アダプタ6aにストッパ806bを取り付けた状態で、手動(たとえば、工具を用いたり、直接手で操作したりなど)によりアダプタ6aの駆動伝達部材61を回転させて、アダプタ6aの係合凹部611とストッパ806bの嵌合凸部865とを嵌合させる。ここで、作業者は、アダプタ6aの複数の係合凹部611の全てを第2周方向R2に回転させる。
(手術器具のロボットアームへの装着方法)
以下に、図18、図24、図25、図29および図30を参照して、手術器具4のロボットアーム21への装着方法について説明する。なお、図29および図30では、理解の容易化のために、アダプタ6a、駆動部21bおよび手術器具4にも中心軸線C2および回転軸線Gを付すとともに、アダプタ6a、駆動部21bおよび手術器具4にも第1周方向R1および第2周方向R2を付している。
ここで、図18に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS16では、被駆動部材44の係合凸部441と係合するアダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611(第1被係合部)が、回転軸線G回りの第1初期角度θ1をなす被駆動部材44の係合凸部441(被駆動部材の係合部)と対応しない第2初期角度θ2に設定された状態で、駆動部21bに対してアダプタ6aを介して手術器具4が取り付けられる。手術器具4のロボットアーム21への装着方法のステップS17では、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611を駆動部21bの駆動により第1周方向R1に回転させることによって、被駆動部材44の係合凸部441に対して駆動伝達部材61の係合凹部611が係合される。
図18および図29に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、ロボットアーム21にアダプタ6aを取り付けた後、駆動部21bを第2周方向R2に回転させて第3初期角度θ3(所定角度θ)の駆動伝達部材61の係合凹部612に駆動部21bの係合凸部211を係合させるステップを行うように構成されている。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、作業者(補助者Sp(図1参照))により、係合凹部611が第2初期角度θ2に、係合凹部612が第3初期角度θ3にそれぞれ設定された駆動伝達部材61が駆動部21bに取り付けられるステップS12を備えている。
手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、係合凹部612が第3初期角度θ3の駆動伝達部材61に駆動部21bの係合凸部211が係合されるステップS13を備えている。
駆動伝達部材61の係合凹部612に対して駆動部21bの係合凸部211を係合させるステップS13は、第1所定角度範囲内において、係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知しなかった場合、直前の回転方向に対して逆方向に駆動部21bを回転させるステップS233を含む。
具体的には、ステップS232では、第4初期角度θ4の駆動部21bの係合凸部211が第3初期角度θ3の駆動伝達部材61の係合凹部612に向かって回転する際、エンコーダ215により検出される駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定回転角度範囲内か否かが判断される。駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定角度範囲内であれば、ステップS234に進む。また、駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第1所定角度範囲外であれば、ステップS233に進み、駆動部21bをそれまでとは逆方向に回転させる。
ステップS234では、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合をエンコーダ215により検知されたか否かが判断される。エンコーダ215により係合が検知された場合は、ステップS133に進む。エンコーダ215により係合が検知されなかった場合は、ステップS232に戻る。
そして、駆動部21bと駆動伝達部材61との係合方法は、ステップS133を行った後終了して、ステップS14に進む。ステップS133では、前述したように、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知した後、駆動伝達部材61の係合凹部612に対する駆動部21bの係合凸部211の係合を検知する前とは逆方向に回転される。なお、ステップS14~ステップS16は第1実施形態と処理が同じであるので説明を省略する。
図18および図30に示すように、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、第1初期角度θ1の被駆動部材44に駆動伝達部材61が係合されるステップS17を備えている。ステップS17は、駆動部21bの出力を低減させて、かつ、回転速度を遅くして被駆動部材44に対して駆動伝達部材61が係合されるステップS171を含んでいる。
被駆動部材44の係合凸部441に対して駆動伝達部材61の係合凹部611を係合させるステップS17は、第2所定角度範囲内において、被駆動部材44の係合凸部441に対する駆動伝達部材61の係合凹部611の係合を検知しなかった場合、逆方向に駆動伝達部材61を回転させるステップS273を含んでいる。
具体的には、ステップS273では、第2初期角度θ2の駆動伝達部材61の係合凹部611が第1初期角度θ1の被駆動部材44の係合凸部441に向かって回転する際、エンコーダ215により検出される駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定回転角度範囲内か否かが判断される。駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定角度範囲内であれば、ステップS274に進む。また、駆動部21bの係合凸部211の回転角度が、第2所定角度範囲外であれば、ステップS273に進み、駆動部21bをそれまでとは逆方向に回転させる。
ステップS274では、駆動伝達部材61の係合凹部611に対する被駆動部材44の係合凸部441の係合を光センサ21cにより検知されたか否かが判断される。光センサ21cにより係合が検知された場合は、ステップS173に進む。光センサ21cにより係合が検知されなかった場合は、ステップS272に戻る。
そして、駆動伝達部材61と被駆動部材44との係合方法は、ステップS173を行った後終了して、ステップS18に進む。ステップS173では、前述したように、光センサ21cの検出結果に基づいて制御部141が駆動部21bを回転させて駆動伝達部材61に被駆動部材44が係合したと判断した場合、駆動部21bが所定の回転角度の分だけオーバーランする。なお、第3実施形態のその他の構成および効果は、第1および第2実施形態の構成および効果と同様である。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1~第3実施形態では、ストッパ付きアダプタ6は、アダプタ6aの係合凹部611を所定角度θ傾斜した状態で位置を固定した状態にするためにストッパ6b(806b)を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図23に示す変形例のように、ストッパ706bは、アダプタ6aの係合凹部611を所定角度θ傾斜した状態で位置を固定した状態にするためにテープ765を有していてもよい。この場合、テープ765の粘着層により回転規制部が構成されているとともに、テープ765の粘着層が設けられた基体によりストッパ本体部が構成されている。
また、上記第1~第3実施形態では、ロボットアーム21は、ロボットアーム21とアダプタ6aとの係合完了およびアダプタ6aと手術器具4との係合完了のいずれかの検出結果により点灯状態が変化するランプ21dを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボットアームは、ロボットアームとアダプタとの係合完了およびアダプタと手術器具との係合完了のいずれかの検出結果により、音を発生させるように構成された音発生部を有していてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、取付部664は、Z方向に沿って、ストッパ本体部64をアダプタ6aに近付けて取り付け可能とするとともに、ストッパ本体部64をアダプタ6aから離して取り外し可能とするように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、取付部は、Y方向のスライド移動により、ストッパ本体部をアダプタに近付けて取り付け可能とするとともに、ストッパ本体部をアダプタから離して取り外し可能としてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、嵌合凸部665は、アダプタ6aの手術器具4側の表面63に対向するストッパ本体部64(864)の表面に複数(4個)設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、嵌合凸部は、アダプタの駆動伝達部材の数に合わせて設けられればよく、1~3個または5個以上であってもよい。
また、上記第1~第3施形態では、複数の嵌合凸部665(865)は、ストッパ本体部64(864)の中心軸線C2に対して互いに線対称となるように所定角度θ傾斜した状態でストッパ本体部64に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の嵌合凸部は、アダプタの駆動伝達部材の位置に合わせて設けられればよく、ストッパ本体部の中心軸線に対して互いに線対称とならなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、複数の嵌合凸部665(865)は、X方向において、ストッパ本体部64(864)の中心軸線C2よりもX1方向側の部分とストッパ本体部64の中心軸線C2よりもX2方向側の部分とに同数設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の嵌合凸部は、X方向において、ストッパ本体部の中心軸線よりもX1方向側の部分とストッパ本体部の中心軸線よりもX2方向側の部分とに異なる数設けられていてもよいし、いずれかの部分にのみ設けられてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、識別部667は、Y方向において、ストッパ本体部64(864)の一方側の部分を他方側の部分よりも小さくする第1識別部分667a(識別部分)、および、手術器具4の延びる方向において、ストッパ本体部64の一方側の端部にのみ切り欠きを形成する第2識別部分667b(識別部分)を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、識別部は、手術器具の延びる方向において、ストッパ本体部の一方側の部分を他方側の部分よりも小さくすること、および、手術器具の延びる方向において、ストッパ本体部の一方側の端部にのみ切り欠きを形成することのいずれかにより構成された識別部分を含んでいればよい。
また、上記第1~第3実施形態では、エンコーダ215が、駆動部21bと駆動伝達部材61との係合状態を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が駆動部のモータにかかる電流値を計測することにより、駆動部と駆動伝達部材との係合状態を検出してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、ストッパ6b(806b)に嵌合凸部665(865)が設けられ、アダプタ6aに係合凹部611が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ストッパに嵌合凹部が設けられ、アダプタに係合凸部が設けられてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、手術器具4のロボットアーム21への装着方法は、ロボットアーム21の駆動部21bに対して、アダプタ6aを介して手術器具4をロボットアーム21に装着する方法である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術器具のロボットアームへの装着方法は、ロボットアームの駆動部に対して直接手術器具をロボットアームに装着する方法であってもよい。この場合、上記実施形態とは異なり、ロボットアームの駆動部の被係合部を第2初期姿勢にした状態で、ロボットアームの駆動部の被係合部と第1初期姿勢の被駆動部材の係合部とを係合させる。ここで、ロボットアームの駆動部の被係合部を凹部(凸部)とし、被駆動部材の係合部を凸部(凹部)とした場合、ロボットアームの駆動部の被係合部の凹部(凸部)に対して被駆動部材の係合部の凸部(凹部)が係合する。この場合であっても、手術器具のロボットアームへの装着方法は、アダプタを介して手術器具をロボットアームに装着する場合と同様の効果を奏する。
また、上記第1~第3実施形態では、手術器具4のロボットアーム21への装着方法では、駆動伝達部材61はストッパ6b(806b)を用いて事前に固定された状態にされている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動伝達部材はストッパを用いることなく、作業者(補助者)の手作業により固定されてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、被駆動部材44の係合凸部441は、複数の凸部が直線状に並んで形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被駆動部材の係合凸部は、1つの凸部を含んでいてもよく、また、複数の凸部が直線状に並んでいなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、駆動伝達部材61の係合凹部611、612の各々は、単一の凹部が直線状に形成されている例で説明をしたが、本発明はこれに限られない。たとえば、駆動伝達部材の係合凹部が直線状に並んだ複数の凹部、または直線状に並んでいない複数の凹部を含んでいてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、駆動部21bの係合凸部211は、複数の凸部を直線状に並べることにより形成される例を示したが複数の凸部を直線状に並べなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、複数の被駆動部材44の各々の係合凸部441は、線対称な形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の被駆動部材の各々の係合凸部は、線対称な形状でなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、複数の駆動伝達部材61の各々の係合凹部611は、線対称な形状を有している例を示したが、線対称な形状でなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、複数の駆動伝達部材61の各々の係合凹部612は、線対称な形状を有している例を示したが、線対称な形状でなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、複数の駆動部21bの各々の係合凸部211は、線対称な形状を有している例を示したが、線対称な形状でなくてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、嵌合凸部665(865)は、作業者の手動によるアダプタ6aの係合凹部611の回転により、アダプタ6aの駆動伝達部材61の係合凹部611に嵌合している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、嵌合凸部は、補助者の手動によるアダプタの係合凹部の回転により、アダプタの駆動伝達部材の係合凹部に嵌合してもよい。