以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る医用画像診断装置及び画像処理装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るX線CT装置1の全体構成を説明する図である。この図1に示すX線CT装置1は、本実施形態における医用画像診断装置の一例であり、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備えて構成されている。
より具体的には、架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出してコンソール装置40に出力する。すなわち、この架台装置10は、X線発生装置11と、X線検出器12と、回転体13と、X線高電圧装置14と、架台制御装置15と、データ収集回路18とを、備えて構成されている。
X線発生装置11は、例えば、X線高電圧装置14から高電圧の電力供給を受けて、陰極(フィラメントと呼ぶ場合もある)から陽極(ターゲットと呼ぶ場合もある)に向けて熱電子を照射するX線管(真空管)から構成される。
X線発生装置11は、X線管に限定される必要は無い。例えば、X線発生装置11は、X線管に代えて、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとによって構成しても構わない。
X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧13aに沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列から構成される。X線検出器12は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向に複数配列された構造を有する。X線検出器12は、X線発生装置11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集回路18へと出力する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとから構成される間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータから構成され、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶にて構成される。
グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板で構成される。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管等の光センサから構成される。
なお、X線検出器12は、間接変換型の検出器に限定されず、入射したX線を直接電気信号に変換する半導体素子から構成される直接変換型の検出器であっても構わない。
回転体13は、この回転体13の中心を回転軸として回転自在に支持されており、架台制御装置15の制御に基づいて、回転駆動される。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路から構成され、X線発生装置11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線発生装置11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置から構成される。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。
架台制御装置15は、CPU等によって構成される処理回路とモータ及びアクチュエータ等の駆動機構から構成される。架台制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力装置からの入力信号を受けて、架台の動作制御を行う機能を有する。例えば、架台制御装置15は、入力信号を受けて回転体13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。
データ収集回路(DAS: Data Acquisition System)18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とから少なくとも構成され、検出データ(純生データ)を生成する。データ収集回路18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された支持フレームを支持フレーム34の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。
天板33は、天板33だけを移動させてもよいし、寝台装置30の支持フレーム34ごと移動する方式であってもよい。本実施形態を立位CTに応用する場合は、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であってもよい。
架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更を伴うスキャン(ヘリカルスキャンや位置決めスキャン等)を実行する際には、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われてもよいし、架台装置10の走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
コンソール装置40は、記憶回路41と、表示装置42と、入力装置43と、処理回路44とを、備えて構成されている。また、コンソール装置40は、例えば、院内ネットワークに接続されており、診断担当の医師などは診察室の端末から処理結果を診断することが可能である。
記憶回路41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶回路41は、例えば、投影データや再構成画像データを格納する。また、記憶回路41は、各種のプログラムを格納する。
表示装置42は、各種の情報を表示する。例えば、表示装置42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、表示装置42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。
入力装置43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力装置43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力装置43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
処理回路44は、入力装置43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線CT装置1の全体的な動作を制御する。本実施形態においては、処理回路44は、例えば、システム制御機能441、前処理機能442、生成機能443、画像取得機能444、解析処理機能445、表示制御機能446と、通知機能447と、登録機能448とを有する。
図1における実施形態では、システム制御機能441、前処理機能442、生成機能443、画像取得機能444、解析処理機能445、表示制御機能446と、通知機能447、及び登録機能448にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路41に格納されている。処理回路44はプログラムを記憶回路41から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図1の処理回路44内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路44にてシステム制御機能441、前処理機能442、生成機能443、画像取得機能444、解析処理機能445、表示制御機能446と、通知機能447、及び登録機能448により行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。これら各機能のうち、システム制御機能441は、入力装置43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。
前処理機能442は、データ収集回路18から出力されたデータに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータおよび前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。また、前処理機能442は、投影データの画素数を例えば4分の1、8分の1、16分の1などに低解像度化した第1投影データを生成する。例えば、画素数を4分の1にする場合、投影データ内の隣接する4画素の平均値を、1画素の値とすることで低解像度化する。この投影データを低解像度化する方法は、これに限定されず、例えば隣接する4画素の中から1画素を選択する画素の間引き方法などでもよい。これらの投影データは、記憶回路41に格納される。一方で、前処理機能442は、低解像度化する処理を行わず、解像度を維持した状態の投影データを第2投影データとして、記憶回路41に格納する。
生成機能443は、医用画像データを生成する機能で有り、第1再構成処理機能443Aと、第2再構成処理機能443Bとを有する。
第1再構成処理機能443Aは、記憶回路41に格納された第1投影データを読み出して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行って第1解像度の第1再構成画像データを生成する。この第1再構成画像データは、例えばX方向の画素数512、Y方向の画素数512の2次元画素を、Z方向に0.5mmの間隔で、320枚並べたデータ形式を有している。なお、第1再構成画像データのデータ形式はこれに限らず、例えばX方向の画素数256、Y方向の画素数256の2次元画素を、Z方向に1mmの間隔で、160枚並べたデータ形式などでもよい。或いは、さらに小さい解像度のデータ形式でもよい。
本実施形態における第1再構成画像データは、CT値の集合体であり、第1の医用画像データの一例である。この第1再構成画像データは、記憶回路41に格納される。なお、本実施形態に係る再構成画像データのデータ形式では、2次元画素の画素数が多いほどより解像度が大きいことを示している。
第2再構成処理機能443Bは、記憶回路41に格納された第2投影データを読み出して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行って第2解像度の第2再構成画像データを生成する。すなわち、この第2再構成画像データは、第1解像度よりも大きい第2解像度のデータであり、例えばX方向の画素数1024、Y方向の画素数1024の2次元画素を、Z方向に0.25mmの間隔で、640枚並べたデータ形式を有している。なお、第2再構成画像データのデータ形式は、これに限らず、例えばX方向の画素数2048、Y方向の画素数2048の2次元画素を、Z方向に0.125mmの間隔で、1280枚並べたデータ形式でもよい。或いは、さらに大きい解像度のデータ形式でもよい。本実施形態における第2再構成画像データも第1再構成画像データと同様にCT値の集合体であり、第2の医用画像データの一例である。この第2再構成画像データは、記憶回路41に格納される。
なお、第1再構成画像データと第2再構成画像データの有効視野(FOV: Field of view)は同一である。よって、第1再構成画像データと第2再構成画像データの画素数の相違は、解像度の相違を示している。また、例えばネットワークを介して接続されるワークステーション内などに第1再構成処理機能443A、及び第2再構成処理機能443Bを実現する回路を構成し、ネットワークを介して第1再構成画像データ、及び第2再構成画像データを取得する構成にしてもよい。
また、本実施形態に係る第1再構成処理機能443Aでは、第1再構成画像データの解像度が臨床アプリケーション別に規定さている。例えば、冠動脈解析、及び肺気腫解析では、X方向の画素数512、Y方向の画素数512の2次元画素を、Z方向に0.5mmの間隔で、320枚並べたデータ形式の第1再構成画像データが用いられる。大腸解析、サブトラクション処理などでは、例えばX方向の画素数256、Y方向の画素数256の2次元画素を、Z方向に1mmの間隔で、160枚並べたデータ形式の第1再構成画像データが用いられる。
第2再構成処理機能443Bが再構成する第2再構成画像データの解像度は、通常撮影ではX線検出器12の空間分解能で定まる最も大きい解像度に設定されている。一方で、通常撮影とは別に、臨床アプリケーション別に、第2再構成処理機能443Bで再構成する第2再構成画像データの解像度を規定してもよい。
通常撮影では、例えばX方向の画素数2048、Y方向の画素数2048の2次元画素を、Z方向に0.125mmの間隔で、1280枚並べたデータ形式の第2再構成画像データが用いられ、大腸解析では、例えばX方向の画素数1024、Y方向の画素数1024の2次元画素を、Z方向に0.25mmの間隔で、640枚並べたデータ形式の第2再構成画像データが用いられる。この場合、第2再構成処理機能443Bは、第2投影データを低解像度化した投影画像データを用いて再構成を行う。例えば、第2再構成処理機能443Bは、臨床アプリケーション別に規定される解像度に対応する第1投影データを記憶回路41から読み出して、第2解像度の第2再構成画像データを生成する。このように、臨床アプリケーション別に解像度を規定することで、必要となる情報に合わせた解像度の再構成処理が可能となり、再構成処理の高速化が可能となる。
画像取得機能444は、例えば、記憶回路41に格納されている再構成画像データを取得する。或いは、生成機能443で生成された再構成画像データを取得する。
解析処理機能445は、再構成画像データに対し所定の解析処理を実行する。すなわち、この解析処理機能445は、第1解析処理機能445Aと、第2解析処理機能445Bと、処理条件設定機能445Cとを有している。第1解析処理機能445Aと、第2解析処理機能445Bと、処理条件設定機能445Cについては、詳しくは後述するが、概略的には、第1解析処理機能445Aは、第1再構成画像データに対して被検体P内の医用情報を取得する第1解析処理を実行する。第2解析処理機能445Bは、記憶回路41に格納されている処理条件に基づき、第2再構成画像データに対して被検体P内の医用情報を取得する第2解析処理を実行する。
処理条件設定機能445Cは、第1再構成画像データに対して第1解析処理の処理条件を設定し、記憶回路41に格納する。すなわち、第2解析処理機能445Bは、処理条件設定機能445Cにより設定された処理条件に基づいて第2解析処理を実行する。
解析処理機能445により行われる解析処理には、例えば、上述のように冠動脈解析、肺気腫解析、大腸解析、サブトラクション処理などの臨床アプリケーションが含まれる。なお、臨床アプリケーションはこれらに限定されない。臨床アプリケーションには、例えば医用画像データを用いて被検体Pの医用情報を取得する各種のアプリケーションが含まれる。
表示制御機能446は、画像取得機能444により取得された画像データ、及び解析処理機能445で生成された画像データのいずれかを表示装置42に表示させる。この表示制御機能446は、表示装置42に表示させるための画像データに変換する機能を有している。例えば、画像取得機能444で取得された3次元の画像データに対してSSD法(shade surface display)、SR法(surface rendering)、VR法(volume rendering)などの処理を施し立体的な画像を生成する。
通知機能447は、解析処理機能445内の所定の処理が終了したときに、登録先の担当医に通知する。例えば、通知機能447は、解析処理機能445内の第1解析処理機能445A及び第2解析処理機能445Bのいずれかの処理が終了したことをメールにより通知する。なお、本実施形態では、処理の終了をメールで通知するが、これに限らずポップアップ機能などを用いてもよい。
登録機能448は、第2解析処理機能445Bの優先度、及び第2解析処理機能445Bを実行する時間帯の内のいずれかを被検体別に登録する機能である。第2解析処理機能445Bによる解析処理は、第1再構成画像データよりも解像度の大きい第2再構成画像データに対して実行されるので、処理時間が例えば数十分のオーダでかかってしまう場合がある。このため、複数人の被検体Pの処理が行われる場合には、数時間の待ち時間が生じてしまうおそれがある。第2解析処理機能445Bは、このような待ち時間が生じた場合に、登録機能448により登録された優先度にしたがい、被検体の解析処理を行う。これにより、優先度の高い被検体の解析処理を優先的に実行できる。
また、登録機能448は、第2解析処理機能445Bに対する通知予約機能を有しており、予約した処理に第2解析処理機能445Bが達すると通知する。例えば、管状組織の芯線を生成する処理や、患部の断面画像を生成する処理に第2解析処理が達すると、通知機能447を介して登録先の担当医などに通知する。これにより、第2解析処理の処理経過を、第2解析処理の終了を待たずに確認可能である。
図2は、第1解析処理機能445A及び第2解析処理機能445Bの構成を説明する図である。ここでは、第1解析処理機能445A及び第2解析処理機能445Bの各機能を管状構造物の解析、例えば冠動脈解析を例として説明する。
第1解析処理機能445Aは、第1領域抽出機能449と、第1芯線生成機能450と、第1断面生成機能451と、第1計測機能452とを有している。第2解析処理機能445Bは、第2領域抽出機能453と、第2芯線生成機能454と、第2断面生成機能455と、第2計測機能456とを有している。
第1領域抽出機能449は、第1再構成画像データを用いて管状構造物の三次元領域を抽出する。例えば、第1領域抽出機能449は、CT値を管状構造物の領域内と領域外とに分類して、管状構造物内の領域を抽出する。例えば脂質は-100から50のCT値を示し、血管壁(筋肉)は50から129のCT値を示し、血流は例えば130から500のCT値を示す。これにより、第1領域抽出機能449は、例えば130から500のCT値を示す領域を管状構造物である血管内の領域として抽出する。
また、CT(Computed Tomography)アンギオグラフィー(Angiography)等のように造影剤検査が行われる場合には、第1領域抽出機能449は、造影剤が撮影された第1再構成画像データから造影剤が撮影されていない第1再構成画像データを減算することで、管状構造物内の領域を抽出する。造影剤のCT値は、被検体内の組織が示すCT値と異なるので、より高精度に管状構造物内の領域を抽出可能である。
第1芯線生成機能450は、第1領域抽出機能449で抽出された管状構造物における長さ方向の芯線を生成する。この第1芯線生成機能450は、対象管状構造物内の第1再構成画像データに対して例えば、ベッセルトラッキング法や、既知の内部領域を細線化する方法などを用いて対象となる管状構造物の芯線を生成する。
第1断面生成機能451は、第1再構成画像データを用いて第1断面画像データを生成する。例えば、第1断面生成機能451は、第1芯線生成機能450により抽出された芯線に沿った平面により管状構造物を切断した2次元のCPR(Curved Multi Planer Reconstruction)第1断面画像データを生成する。また、第1断面生成機能451は、第1芯線生成機能450により生成された芯線に沿ったSPR(Stretched Curved Planar Reconstruction)第1断面画像データ、及び芯線に直交する第1断面画像データを生成する。
第1計測機能452は、第1断面生成機能451が生成した芯線に直交する第1断面画像データに基づき、管状構造物の径と断面面積を計測する。
第2解析処理機能445Bは、記憶回路41に格納された処理条件を用いて第2再構成画像データに対して第2解析処理を行う。例えば、第1領域抽出機能449で用いられたCT値、第1芯線生成機能450で芯線を生成するために用いられた座標などが処理条件として記憶回路41に格納されている。
第2領域抽出機能453は、第2再構成画像データを用いて管状構造物の三次元領域を抽出する。第2領域抽出機能453は、例えば処理条件に含まれるCT値を用いて、管状構造物の領域内と領域外とに分類して、管状構造物内の領域を抽出する。
第2芯線生成機能454は、第2領域抽出機能453で抽出された管状構造物における長さ方向の芯線を生成する。この第2芯線生成機能454は、第1芯線生成機能450により生成された芯線を補正する。例えば、第2芯線生成機能454は、処理条件に含まれる芯線を生成するために用いた座標に基づき、芯線を再生成する。
第2断面生成機能455は、第2再構成画像データを用いて第2断面画像データを生成する。例えば、第2断面生成機能455は、第2芯線生成機能454により抽出された芯線に沿った平面により管状構造物を切断した2次元のCPR第2断面画像データを生成する。また、第2断面生成機能455は、第2芯線生成機能454により生成された芯線に沿ったSPR第2断面画像データ、及び芯線に直交する第2断面画像データを生成する。
第2計測機能456は、第2断面生成機能455が生成した芯線に直交する第2断面画像データから管状構造物の径と断面面積を計測する。
上述したように、本実施形態においては、処理回路44は、例えば、プロセッサにより構成される。ここで、プロセッサという文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit: ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device: SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device: CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array: FPGA)等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路41に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
なお、図1のX線CT装置1においては、コンソール装置40の構成要素は1つの筐体に格納されているが、これらコンソール装置40の構成要素は、必ずしも、1つの筐体に格納されている必要はなく、別筐体に格納されて複数存在してもよい。例えば、前処理機能442、生成機能443等の処理回路を分散して有するように構成しても構わない。換言すれば、コンソール装置40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するのではなく、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。
また、X線CT装置1には、X線発生装置11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生装置11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
次に、図3に基づき、本実施形態に係る解析処理の全体処理の一例について説明する。図3は、第1実施形態に係る解析処理の全体処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。ここでは、被検体Pの投影画像データが生成されると、第1再構成処理機能443A、及び第2再構成処理機能443Bが再構成処理を開始する場合について説明する。
ステップS2は、第1解析処理機能445Aに対応するステップである。第1解析処理機能445Aは、第2再構成処理機能443Bが第2再構成画像データを生成中に、第1再構成画像データを取得し、第1解析処理を実行する。処理条件設定機能445Cは、第1解析処理に用いられた処理条件を記憶回路41に格納する。また、処理条件設定機能445Cは、第1解析処理を実行するために、X線技師などが入力装置43を操作した操作情報も、処理条件として記憶回路41に格納する。
ステップS4は、通知機能447に対応するステップである。通知機能447は、第1解析処理が終了すると、被検体Pの診断担当医に、第1解析処理の終了を例えばメールで通知する。これにより、被検体Pの担当医は、第1解析処理の処理結果を診察室の端末などからコンソール装置40にアクセスし、被検体Pの診断を行うことが可能となる。
ステップS6は、登録機能448に対応するステップである。図4は、登録機能により登録されている第2解析処理の優先度、及び通知予約の一例を示す図である。登録機能448は、例えば、図4に示すような優先度登録画面を、診断担当医師の操作に従い、診察室の端末に表示させる。この画面を介して、診断担当医師は、第2再構成画像データを用いた第2解析処理の優先度を登録する。例えば、患者ID「234」の患者には、優先度が一番高い「高1」が設定されている。一方で、例えば入院患者などの場合であり、且つ第1解析処理の処理結果などからも緊急度が低い患者ID「453」の患者には、「低2」が設定されている。このように、複数の被検体を診断する場合には、緊急度の高い被検体を優先することが可能である。
また、登録機能448は、優先度と処理件数に基づき、第2解析処理の終了する予測時間、第2解析処理を行う時間帯、通知予約の状況を提示する。例えば、「低1」、「低2」などの低優先度の処理では、夜間の時間帯が処理時間として登録されている。これにより、優先度の高い患者の、第2解析処理を優先できる。また、患者ID「234」、「102」の患者には、診断したいポイントが第2解析処理により処理されるタイミングに達すると通知する通知予約が登録されている。
ステップS8は、第2解析処理機能445Bに対応する機能である。第2解析処理機能445Bは、記憶回路41に記憶される処理条件を登録機能448により設定された優先度に従い読み出し、第2再構成画像データに対して第2解析処理を実行する。このため、第2解析処理を行うための操作入力は不要である。
ステップS10は、通知機能447に対応するステップである。通知機能447は、第2解析処理が終了すると、被検体Pの診断担当医に、第2解析処理の終了を例えばメールで通知する。これにより、被検体Pの担当医は、第2解析処理の処理結果を診察室の端末からコンソール装置40にアクセスし、被検体Pの診断を行うことが可能である。
このように、再構成に時間がかかる第2再構成画像データの再構成が終了する前に、第1再構成画像データに対する解析処理を開始する。これにより、処理時間がかかる第2再構成画像データの再構成処理を待たずに、且つ処理速度の速い第1再構成画像データに対して解析処理を進めることができるので、第2再構成画像データを用いた場合よりも短時間に解析処理結果を得ることができる。
また、第2解析処理機能は、処理条件に従った解析処理を第2再構成画像データに対して実行する。これにより、処理時間のかかる第2解析処理に対しては操作者の操作が不要となり、操作者の処理効率をあげることが可能となる。更に、より解像度の高い第2再構成画像データに対して医用情報を得ることが可能となる。
次に、図1及ぶ図2を参照にしつつ、図5及び図6に基づき、ステップS2で示した第1解析処理の詳細な処理の一例を説明する。ここでは、冠動脈解析を例として説明する。
図5は、図3のステップS2で行う第1解析処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。図6は、図5で示すフロ-チャートの処理順にしたがい表示される画像例を示す図である。
図5に示すように、概略的には、第1再構成画像データを用いて血管を抽出する処理(ステップS100)は、第1領域抽出機能449により実現される処理である。血管領域を三次元的に表示する処理(ステップS102)は、表示制御機能446より実現される処理である。操作者の操作入力に従い対象血管を選択する処理(ステップS104)、対象血管の芯線を生成する処理(ステップS106)、芯線に沿ったCPR第1断面画像データを生成する処理(ステップS108)、操作者の操作入力に従い芯線を修正する処理(ステップS110)、修正された芯線に沿ったCPR第1断面画像データ、SPR第1断面画像データ、及び芯線に直交する第1断面画像データを生成する処理(ステップS112)、芯線に基づき、計測値を取得する処理(ステップS114)は、第1芯線生成機能450と、第1断面生成機能451と、第1計測機能452と、により実現される処理である。
各処理をより詳しく説明すると、まず、第1再構成画像データを用いて血管を抽出する処理(ステップS100)では、第1領域抽出機能449が記憶回路41から第1再構成画像データを取得して、第1再構成画像データを用いて対象とする冠動脈を抽出する。
図6(a)は、冠動脈が抽出されている例を示す図である。この。図6(a)に示すように、第1領域抽出機能449は、例えば130から500のCT値を示す領域を冠動脈の領域として抽出する。また、第1領域抽出機能449は、冠動脈の画像データを記憶回路41に格納する。さらにまた、処理条件設定機能445Cは、血管抽出の処理パラメータであるCT値を処理条件として記憶回路に格納する。
次に、血管領域を三次元的に表示する処理(ステップS102)では、表示制御機能446が、第1領域抽出機能449により抽出された血管領域を三次元的な画像として生成し、表示装置42に表示させる。
次に、対象血管を選択する処理(ステップS104)では、第1領域抽出機能449は、操作者の入力装置43を介して入力された位置の間の血管領域を対象血管として選択する。図6(b)は、操作者の入力位置を示す図形200、202を血管領域の画像と共に表示する例を示す図である。この図6(b)に示すように、表示制御機能446は、第1領域抽出機能449により抽出された血管領域と図形200、202とを三次元的な画像として表示装置42に表示させる。また、処理条件設定機能445Cは、図形200、202に対応する位置情報を処理条件に追加して記憶回路41に格納する。
次に、対象血管の芯線を生成する処理(ステップS106)では、第1芯線生成機能450は、操作者の操作入力に従い選択された対象血管における長さ方向の芯線を生成する。この第1芯線生成機能450は、対象血管内の第1再構成画像データに対して、ベッセルトラッキング法を用いて対象血管の芯線を生成する。また、処理条件設定機能445Cは、芯線の位置情報を処理条件に追加して記憶回路41に格納する。
次に、芯線に沿ったCPR第1断面画像データを生成する処理(ステップS108)では、第1断面生成機能451は、第1芯線生成機能450により抽出された芯線204に沿った平面により血管を切断した2次元のCPR第1断面画像データを生成する。
図6(c)は、2次元のCPR第1断面画像と共に芯線204を表示する例を示す図である。この図6(c)に示すように、表示制御機能446は、2次元のCPR第1断面画像と芯線204とを表示装置42に表示させる。そして、第1断面生成機能451は、CPR第1断面画像データを記憶回路41に格納する。
次に、操作者の操作入力に従い芯線を修正する処理(ステップS110)では、第1芯線生成機能450は、操作者の操作入力に基づき、対象血管における長さ方向の芯線を再生成する。そして、第1断面生成機能451は、第1芯線生成機能450により再生成された芯線204に沿った平面により血管を切断した2次元のCPR第1断面画像データを再生成する。
図6(d)は、操作者の操作入力に従い指示された修正点206に基づく芯線を再生成した図である。この図6(d)に示すように、第1芯線生成機能450は、修正点206を拘束条件として芯線を再生成する。また、表示制御機能446は、2次元のCPR第1断面画像データと、芯線204と、修正点206とを表示装置42に表示させる。また、処理条件設定機能445Cは、修正点206及び再生成した芯線の位置情報を処理条件に追加して記憶回路41に格納する。
図6(e)は、CPR第1断面画像データに芯線を重畳した画像を示す図である。この、図6(e)に示すように、表示制御機能446は、再生成したCPR第1断面画像データに芯線204を重畳した画像を表示装置42に表示させる。また、表示制御機能446は、CPR第1断面画像データに芯線を重畳した画像データを記憶回路41に格納する。
次に、芯線に沿ったSPR第1断面画像データ、及び芯線に直交する第1断面画像データを生成する処理(ステップS112)では、第1断面生成機能451は、CPR第1断面画像データに基づきSPR第1断面データを生成すると共に、芯線204に直交する第1断面画像データを生成する。
図6(f)は、SPR第1断面データと芯線204を重畳した画像を示す図である。この図6(f)に示すように、表示制御機能446は、は、CPR第1断面画像データに基づきSPR第1断面画像データを生成し、芯線204と共に表示装置42に表示させる。SPR第1断面画像データは、芯線204が直線になるように、CPR第1断面画像データを伸ばした画像データである。そして、表示制御機能446は、SPR第1断面画像データに芯線204を重畳した画像データを記憶回路41に格納する。
図6(g)は、芯線204に直交する第1断面画像データの画像例を示す図である。この図6(g)に示すように、第1断面生成機能451は、芯線204に直交する第1断面画像データを生成し、表示制御機能446は、第1断面画像データを表示装置42に表示させる。そして、第1断面生成機能451は、芯線204に直交する第1断面画像データを記憶回路41に格納する。
次に、芯線に基づき、計測値を取得する処理(ステップS114)では、第1計測機能452が、第1芯線生成機能450が生成した芯線204に直交する第1断面画像データから血管径と断面面積を計測し、記憶回路41に格納する。なお、矢印208は、診断担当医が、上述の登録機能448により通知予約をした位置の例を示している。
このように、臨床アプリケーションの処理順に従い実行する際に、操作者の操作が必要な処理を第1解像度の第1再構成画像データに対して行うので、操作者の入力処理をより短時間に行え、操作者の利便性を向上させることが可能となる。また、処理条件設定機能445Cは、第1解析処理の処理結果を得るために用いられた処理条件を記憶回路41に格納する。
次に、図1及び図2を参照にしつつ、図7及び図8に基づき、ステップS8で示した第2解析処理の詳細な処理の例を説明する。図7は、図3のステップS8で行う第2解析処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。図8は、図7で示すフロ-チャートの処理にしたがい、表示される画像例を示す図である。
図7に示すように、概略的には、登録機能448に登録された優先度にしたがい開始する処理(ステップS200)は、上述した登録機能448により実現される処理である。処理条件を取得する処理(ステップS202)は、第2解析処理機能445Bより実現される処理である。第2再構成画像データを用いて血管を抽出する処理(ステップS204)は、第2領域抽出機能453より実現される処理である。血管領域を三次元的に表示する処理(ステップS206)は、表示制御機能446より実現される処理である。
指示位置を示す処理条件に基づき対象血管を選択する処理(ステップS208)、芯線位置を示す処理条件に基づき芯線を生成する処理(ステップS210)、芯線に沿ったCPR第2断面画像データを生成する処理(ステップS212)、芯線に沿ったSPR第2断面画像データ、及び芯線に直交する第2断面画像データを生成する処理(ステップS214)、芯線に基づき、計測値を取得する処理(ステップS216)は、上述した第2芯線生成機能454と、第2断面生成機能455と、第2計測機能456と、により実現される処理である。
各処理をより詳しく説明すると、まず、登録機能448に登録された優先度にしたがった開始処理(ステップS200)では、登録機能448が、第2解析処理機能445Bに、登録機能448に登録された優先度にしたがった被検体Pの第2再構成画像データに対する第2解析処理を開始させる。
次に、処理条件を取得する処理(ステップS202)では、第2解析処理機能445Bが優先度にしたがった被検体Pの処理条件を記憶回路41から取得する。
次に、第2再構成画像データを用いて血管を抽出する処理(ステップS204)では、第2領域抽出機能453が記憶回路41から第2再構成画像データを取得して、処理条件に含まれるCT値に従い血管を抽出する。これにより、第1解析処理で抽出された血管領域と同一のCT値の範囲の血管領域が抽出される。また、第2領域抽出機能453は、血管領域の画像を記憶回路41に格納する。
次に、血管領域を三次元的に表示する処理(ステップS206)では、表示制御機能446が、第2領域抽出機能453により抽出された領域を三次元的な画像として生成し、表示装置42に表示させる。図8(a)は、第2再構成画像データを用いて抽出された血管例を示す図である。
次に、対象血管を選択する処理(ステップS208)では、第2領域抽出機能453は、処理条件に含まれる図形200、202に対応する位置情報を用いて、対象血管を選択する。図8(b)は、図形200、202と第2領域抽出機能453により抽出された血管領域の画像とを示す図である。このように第2解析処理では、対象血管の選択に、操作者入力は不要である。
次に、対象血管の芯線を補正する処理(ステップS210)では、第2芯線生成機能454は、処理条件に含まれる修正点206の位置情報を用いて、選択された対象血管における長さ方向の芯線を補正する。すなわち、第2芯線生成機能454は、修正点206の位置情報に基づき、芯線を再生成する。血管の血流領域と血管壁の境界は、解像度が上がるに従いより鮮明に撮像される。このため、第2再構成画像データを用いて芯線を生成すると、血管の血流領域と血管壁の境界位置をより高精度に反映した芯線を生成可能である。このように、修正点206の位置情報を反映しつつ、第2再構成画像データに応じて第1芯線生成機能450が生成した芯線の位置が補正される。この後の処理では、新たに生成された芯線の位置情報を処理条件として、第2断面画像データなどが生成される。
図8(d)は、修正点206と、第2芯線生成機能702が生成した芯線204を示す図である。このように修正点206に基づき、操作者入力無しで芯線204が生成される。
次に、芯線に沿ったCPR第2断面画像データを生成する処理(ステップS212)では、第2断面生成機能455は、生成された芯線204に沿った平面により血管を切断した2次元のCPR第2断面画像データを生成する。図8(d)に示すように、表示制御機能446は、CPR第2第2断面画像データと、芯線204と、修正点206とを重畳した画像データを生成し、表示装置42に表示させる。また、表示制御機能446は、CPR第2断面画像データと、芯線204と、修正点206とを重畳した画像データを記憶回路41に格納する。
図8(e)は、芯線206に沿った平面により血管を切断した2次元のCPR第2断面画像データと再抽出された芯線204を示す図である。図8(e)に示すように、表示制御機能446は、CPR第2断面画像データと、芯線204とを重畳した画像データを生成し、表示装置42に表示させる。このように、第2解析処理では、第1解析処理の画像表示と同様の表示画像を表示させる。そして、表示制御機能446は、CPR第2断面画像データと、芯線204とを重畳した画像データを記憶回路41に格納する。
次に、芯線に沿ったSPR第2断面画像データ、及び芯線の第2断面画像データを生成する処理(ステップS214)では、第2断面生成機能455は、CPR第2断面画像データに基づきSPR第2断面画像データを生成する。また、第2断面生成機能455は、抽出された芯線204に直交する第2断面画像データを生成する。
図8(f)は、第2断面生成機能455が生成したSPR第2断面画像データと芯線204を重畳した画像を示す図である。この図8(f)に示すように、表示制御機能446は、SPR第2断面画像データに芯線204を重畳した画像データを生成し、表示装置42に表示させる。また、SPR第2断面画像データに芯線204を重畳した画像データを記憶回路41に格納する。さらにまた、第2断面生成機能455は、第2芯線生成機能454により抽出された芯線204に直交する第2断面画像データを生成する。
図8(g)は、芯線204に直交する横断断面の画像例を示す図である。この図8(g)に示すように、表示制御機能446は、芯線204に直交する第2断面画像データを表示装置42に表示させる。そして、第2断面生成機能455は、第2断面画像データを記憶回路41に格納する。
次に、芯線に基づき、計測値を取得する処理(ステップS216)では、第2計測機能456が、第2芯線生成機能454が設定した芯線204に直交する第2断面画像データに基づき、血管径と断面面積を計測し、記憶回路41に格納する。
また、第2計測機能456は、狭窄部の長さと直径に基づき、狭窄部に適合するステント候補の情報を表示装置42に表示させる。仮に、この処理を第1再構成画像データに対して実行すると、血管の血流領域と血管壁の境界位置に低解像に起因するぼけなどが生じ、ステント候補の長さと径が実際の狭窄領域よりも大きくなる傾向がある。
このように、第1再構成画像データよりも処理時間のかかる第2再構成画像データに対して臨床アプリケーションを実行する場合、操作者の操作が必要となる処理条件は予め設定されているので、操作者の操作が不要となる。これにより、臨床アプリケーションを実行する操作者の操作を効率化できる。また、例えば芯線のように、計測処理に関する処理条件は、より解像度の大きい第2再構成画像データに応じて補正される。これにより、第2再構成画像データに応じた精度の解析処理結果を得ることができる。なお、本実施形態に係る第2解析処理では、表示制御機能446が画像を表示する例を説明したが、これに限定されず、撮影者などが表示装置42を観察していない場合などでは、第2解析処理が終了するまで画像を表示しなくてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、解析処理機能445が第2再構成画像データの再構成が終了する前に、第1再構成画像データに対する解析処理を開始することとした。これにより、第1再構成画像データよりも処理時間がかかる第2再構成画像データの再構成処理を待たずに解析処理を進めることができるので、より短時間に解析処理の処理結果を得ることができる。また、解析処理機能445が解析処理を行う過程で、操作者の操作が必要となる処理は、第1構成画像データに対して行うので、操作者の入力処理をより短時間に行え、操作者の利便性を向上させることが可能となる。
さらにまた、第2再構成画像データに対して行う第2解析処理は、第1構成画像データに対して設定された処理条件に基づき行うので、操作者の入力処理が不要となり、操作者の利便性を更に向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
本実施形態に係るX線CT装置1では、第1解析処理においても所定の条件下で第2再構成画像データを用いる。第2実施形態に係るCT装置の構成は、第1実施形態と同等であるので、説明を省略する。
図9に基づき、第2実施形態に係る処理例について説明する。図9は、第2実施形態に係る解析処理機能が実行する処理内容を説明するフローチャートを示す図である。図10は、図9で示すフロ-チャートの処理にしたがい表示される画像例を示す図であり、図10(g)は、第1解析処理機能445A内で生成された第1断面画像データを示す図であり、図10(h)は、狭窄領域の断面画像が第2再構成画像データに基づき生成された第2断面画像データに置き換えられた例を示す図である。
図9に示すように、本実施形態に係る第1解析処理機能445Aは、図5で示した第1解析処理機能445AにおけるステップS100からステップS114までの処理と同等の処理を行う。次に、狭窄の生じている範囲を抽出する処理(ステップS116)では、第1計測機能452は、計測した血管径に基づき狭窄の生じている範囲を抽出する。続いて、狭窄の生じている範囲が所定範囲か否かを判定する処理(ステップS118)では、第1計測機能452は、狭窄の生じている範囲が所定範囲内か否かを判定する。
狭窄の生じている範囲が所定範囲を超える場合(ステップS118のNO)には、処理時間が所定値以上にかかるので、図10(g)に示すように、第2解析処理機能445Bの第2断面生成機能455により生成された画像データへの置き換えを行わずに第1解析処理を終了する。これにより、処理の効率化を維持可能である。
一方で、第1計測機能452が、狭窄の生じている範囲が所定範囲以内であると判定した場合(ステップS118のYES)、断面画像を表示する処理(ステップS120)では、第1計測機能452は、狭窄領域における第2断面画像データを第2断面生成機能455に生成させる。そして、第1計測機能452は、図10(h)に示すように、狭窄領域における表示画像を第2断面画像データに基づく画像に変更する。これにより、操作者は、より高解像な画像により処理結果の確認が可能となる。
次に、第1計測処理を再度行う処理(ステップS122)では、第1計測機能452が、狭窄領域に対応する第2断面画像データを取得し、狭窄領域に対する計測処理を実行する。これにより、第1計測機能452は、第2解析処理機能445Bの第2解析処理を実行する前にも、狭窄領域に対して高精度の解析処理結果を得ることができる。
このように、第1計測機能452は、狭窄の生じている範囲が所定範囲以内である場合に、狭窄領域における第2断面画像データを第2断面生成機能455に生成させる。そして、第1計測機能452は、狭窄領域の第1断面画像データを、第2断面画像データに置き換える。この場合、第1計測機能452が、狭窄領域に対応する第2断面画像データを取得し、狭窄領域に対する計測処理を実行するので、第2解析処理を実行する前にも、高精度の解析処理結果を得ることができる。
これにより、操作者は、処理時間に制限をかけるとともに、より高精細な画像で処理結果を確認可能である。この場合、第1計測機能452が、狭窄領域に対応する第2断面画像データを取得し、狭窄領域に対する計測処理を実行するので、第2解析処理を実行する前にも、高精度の解析処理結果を得ることができる。また、狭窄の生じている範囲が所定範囲以外である場合に、第2断面画像データへの置き換え処理を行わないので、制限をかけた処理時間を超えて処理を行うこともない。
また、本実施形態に係る表示制御機能446は、画面の変更指示が入力装置を介して入力された場合にも、第1再構成画像データに基づき生成された画像データを第2再構成画像データに基づき生成された画像データへ置き換える。より詳細には、入力装置43を介して操作者の変更指示が入力された場合に、システム制御機能441は、指示された画像データに対応する画像データを第2解析処理機能445Bに生成させ、表示制御機能446を介して表示装置42に表示させる。これにより、操作者は、より高精細な画像データにより処理結果を確認可能である。
以上のように、本実施形態に係るX線CT装置1では、狭窄の生じている範囲が所定範囲以内である場合に、第1計測機能452が、狭窄領域における第1断面画像データを第2断面画像データに変更することとした。これにより、操作者は、より解像度の大きな画像データにより処理結果の確認が可能となる。
また、狭窄の生じている範囲が所定範囲以内である場合に、第1計測機能452は、狭窄領域に対応する第2断面画像データを取得し、狭窄領域に対する計測処理を実行するので、第2解析処理を実行する前にも、狭窄領域に対する高精度な解析処理結果を得ることができる。
(第3実施形態)
本実施形態に係るX線CT装置1では、第2芯線生成機能454が、第1芯線生成機能450により抽出された芯線を拘束条件として用いる。本実施形態に係るCT装置の構成は、第1実施形態と同等であるので、説明を省略する。
図11、及び図12に基づき、第3実施形態に係る処理例について説明する。図11は、第3実施形態に係る第2芯線生成機能454が行う処理内容を説明するフローチャートを示す図である。図12は、図11で示すフロ-チャートの処理例を説明する図である。図12(d)は、第1芯線生成機能450により抽出された芯線204及び指示位置206を示す図であり、図12(e)は、第1芯線生成機能450により生成された芯線204を拘束条件として第2芯線生成機能454が生成した芯線を示す図である。図12(f)は、第2芯線生成機能454が生成した芯線に沿ったSPR第2断面画像データと芯線を重畳した画像を示す図である。
処理回路44は、記憶回路41から第3実施形態に係る芯線を生成する機能に対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、図11のフローチャートの各ステップの機能を実行することで第3実施形態に係る芯線を生成する機能を実現する。
図11に示すように、芯線を設定する処理(ステップS300)では、例えば図12(d)に示すように、第2芯線生成機能454は、第1芯線生成機能450により抽出された芯線204を、第2再構成画像データに対応させ設定する。
次に、芯線を再抽出する処理(ステップS302)では、第2芯線生成機能454は、例えば図12(e)に示すように、第1芯線生成機能450により生成された芯線204を拘束条件として、芯線204の所定の範囲内から芯線を再抽出する。そして、第2断面生成機能455は、例えば図12(f)に示すように、第2芯線生成機能454が生成した芯線に沿ったSPR第2断面画像データと芯線を重畳した画像データを生成する。
以上のように、本実施形態に係るX線CT装置1では、第2芯線生成機能454が、第1芯線生成機能450により抽出された芯線を拘束条件として用いることとした。これにより、芯線を抽出する自由度が増すので、操作者の修正指示を反映した状態で、第2再構成画像データにより対応する芯線を生成できる。
(第4実施形態)
本実施形態に係るX線CT装置1では、再構成画像データから金属領域を除去する。本実施形態に係るCT装置の構成は、第1実施形態と同等であるので、説明を省略する。
図13は、第4実施形態に係る解析処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。ここでは、金属除去処理を例として説明する。
処理回路44は、記憶回路41から第2実施形態に係る金属除去処理機能に対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、図13のフローチャートの各ステップの機能を実行することで第4実施形態に係る金属除去処理の機能を実現する。
ステップS402は、第1再構成処理機能443Aに対応する機能である。ステップS402では、第1再構成処理機能443Aが記憶回路41から第1投影データを読み出し、再構成を行う。そして、第1再構成処理機能443Aは再構成した第1再構成データを記憶回路41に格納する。
ステップS404は、第1解析処理機能445Aに対応する機能である。ステップS404では、第1解析処理機能445Aが記憶回路41から第1再構成データを読み出す。続いて、第1解析処理機能445Aは、金属領域に対応するCT値に基づき、第1金属領域の再構成データを第1再構成データから抽出し、第2再構成画像データに対応させて拡大して、第2金属領域の第2再構成画像データとして記憶回路41に格納する。
ステップS406は、第2解析処理機能445Bに対応する機能である。ステップS406では、第2解析処理機能445Bが記憶回路41から第2金属領域の第2再構成データと、この第2再構成データに対応する第2解像度の投影データを読み出す。次に、第2解析処理機能445Bは、第2金属領域の第2再構成画像データを第2解像度の投影データに再投影し、第2解像度の投影データから第2金属領域に対応する画素を除去する。そして、第2解析処理機能445Bは、第2金属領域に対応する画素を除去した第2解像度の投影データを記憶回路41に格納する。
ステップS408は、第2再構成処理機能443Bに対応する機能である。ステップS408では、第2再構成処理機能443Bが記憶回路41から第2金属領域に対応する画素を除去した第2解像度の投影データを読み出す。次に、第2再構成処理機能443Bは、金属領域に対応する画素を除去した第2解像度の投影データを用いて第2再構成画像データを生成する。
以上のように、本実施形態に係るX線CT装置1では、金属領域の再構成画像データの生成は、第1再構成画像データを用いて行うので、金属領域を除去した第2再構成画像データをより高速に生成できる。
(第5実施形態)
上述した第1実施形態においては、本実施形態が適用されるモダリティがX線CT装置1である場合を例として説明したが、本実施形態は、他のモダリティである医用画像診断装置に適用することもできる。他のモダリティに本実施形態を適用した場合、そのモダリティから取得した再構成画像データに上述した解析処理を実行することにより、上記各実施形態が実現される。モダリティは、X線CT装置1に限定されず、例えば、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置や核医学診断装置等の医用モダリティでもよい。
また、本実施形態は、ワークステーション等の画像処理装置に適用することもできる。図14は、モダリティに画像処理装置を接続して、第1実施形態乃至第4実施形態に係る解析処理を画像処理装置で実行する例を説明する図である。例えば、図14に示すように、画像処理装置WSをモダリティMDに接続し、画像処理装置WSが、上述した解析処理を実行することにより、本発明を実現できる。すなわち、モダリティが医用画像データを生成し、この生成された医用画像データを画像処理装置WSが取得した後、上述した解析処理を実行することにより、画像処理装置WSは、被検体Oから医用情報を得ることが出来る。
具体的には、図14に示すように、画像処理装置WSは、制御部100と、入力インターフェース102と、記憶回路141と、表示装置142と、処理回路144とを備えて構成されている。制御部100は、この画像処理装置WSの全体的な制御を行う回路であり、例えば、プロセッサにより構成されており、必要なプログラムを記憶回路141から読み出して実行することで、各種の制御を実現する。
入力インターフェース102は、画像処理装置WSを、モダリティMDに接続するためのインターフェースである。ここでは、モダリティMDは、例えば、被検体の投影データが撮像できるX線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置や核医学診断装置等である。
記憶回路141は、図1を用いて説明した各実施形態における記憶回路41に相当する回路である。処理回路144は、例えば、プロセッサにより構成されており、必要なプログラムを記憶回路141から読み出して実行することで、上述した各種の機能を実現する。すなわち、処理回路144は、プログラム記憶回路1413に格納されている解析処理プログラムを読み込んで実行することにより、上述した各実施形態における解析処理を実現する。
この解析処理を処理回路144が実行することにより、処理回路144は、画像取得機能1444と、解析処理機能1445と、表示制御機能1446と、通知機能1447と、登録機能1448とを実現する。生成機能1443は、上述した各実施形態における生成機能443に相当する機能であり、画像取得機能1444は、上述した各実施形態における画像取得機能444に相当する機能であり、解析処理機能1445は、上述した各実施形態における解析処理機能445に相当する機能であり、表示制御機能1446は、上述した各実施形態における表示制御機能446に相当する機能であり、通知機能1447は、上述した各実施形態における通知機能447に相当する機能であり、登録機能1448は、上述した各実施形態における登録機能448に相当する機能である。
図14に示す画像処理装置WSは、医用画像データをモダリティMDから取得する以外は、上述したX線CT装置1と同様の処理を実行する。すなわち、処理回路144が、上述した画像データの生成処理及び解析処理を実行することにより、上述した第1実施形態、乃至第4実施形態と同様の処理が実現され、被検体内の医用情報を取得することができる。
なお、上述した第1実施形態の記憶回路41は、特許請求の範囲における記憶部の一例であり、第1実施形態の表示装置42は、特許請求の範囲における表示部の一例であり、第1実施形態の入力装置43は、特許請求の範囲における入力部の一例であり、第1実施形態の生成機能443は、特許請求の範囲における生成部の一例であり、第1実施形態の第1再構成処理機能443Aは、特許請求の範囲における第1再構成処理部の一例であり、第1実施形態の第2再構成処理機能443Bは、特許請求の範囲における第2再構成処理部の一例であり、第1実施形態の解析処理機能445は、特許請求の範囲における解析処理部の一例であり、第1実施形態の第1解析処理機能445Aは、特許請求の範囲における第1解析処理部の一例であり、第1実施形態の第2解析処理機能445Bは、特許請求の範囲における第2解析処理部の一例であり、第1実施形態の処理条件設定機能445Cは、特許請求の範囲における処理条件設定部の一例であり、第1実施形態の表示制御機能446は、特許請求の範囲における表示制御部の一例であり、第1実施形態の通知機能447は、特許請求の範囲における通知部の一例であり、第1実施形態の登録機能448は、特許請求の範囲における登録部の一例であり、第1実施形態の第1断面生成機能451は、特許請求の範囲における第1断面生成部の一例であり、第1実施形態の第1計測機能452は、特許請求の範囲における第1計測部の一例であり、第1実施形態の第2断面生成機能455は、特許請求の範囲における第2断面生成部の一例である。
また、上述した第5実施形態の記憶回路141は、特許請求の範囲における表示部の一例であり、第5実施形態の表示装置142は、特許請求の範囲における表示部の一例であり、第5実施形態の解析処理機能1445は、特許請求の範囲における解析処理部の一例であり、第5実施形態の表示制御機能1446は、特許請求の範囲における表示制御部の一例であり、第5実施形態の通知機能1447は、特許請求の範囲における通知部の一例であり、第5実施形態の登録機能1448は、特許請求の範囲における登録部の一例である。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。