JP7008774B2 - 有機化合物、発光素子、ディスプレイモジュール、照明モジュール、発光装置、表示装置、照明装置及び電子機器 - Google Patents

有機化合物、発光素子、ディスプレイモジュール、照明モジュール、発光装置、表示装置、照明装置及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、発光素子用材料として用いることが可能な有機化合物に関する。また、それ
を用いた発光素子、ディスプレイモジュール、照明モジュール、発光装置、表示装置、照
明装置及び電子機器に関する。
薄型軽量、入力信号に対する高速な応答性、低消費電力などのポテンシャルから、次世
代の照明装置や表示装置として有機化合物を発光物質とする発光素子(有機EL素子)を
用いた表示装置の開発が加速している。
有機EL素子は電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から注入され
た電子およびホールが再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に
戻る際に発光する。発光物質が発する光の波長はその発光物質特有のものであり、異なる
種類の有機化合物を発光物質として用いることによって、様々な波長すなわち様々な色の
発光を呈する発光素子を得ることができる。
ディスプレイなど、画像を表示することを念頭においた表示装置の場合、フルカラーの
映像を再現するためには、少なくとも赤、緑、青の3色の光を得ることが必要になる。ま
た、照明装置として用いる場合は、高い演色性を得るために、可視光領域において満遍な
く波長成分を有する光を得ることが理想的であり、現実的には、異なる波長の光を2種類
以上合成することによって得られる光が照明用途として用いられることが多い。なお、赤
と緑と青の3色の光を合成することによって、高い演色性を有する白色光を得ることがで
きることが知られている。
発光物質が発する光は、その物質固有のものであることを先に述べた。しかし、寿命や
消費電力、そして発光効率まで、発光素子としての重要な性能は、発光を呈する物質のみ
に依存する訳ではなく、発光層以外の層や、素子構造、そして、発光中心物質とホスト材
料との性質や相性、キャリアバランスなども大きく影響する。そのため、この分野の成熟
をみるためには多くの種類の発光素子用材料が必要となることに間違いはない。このよう
な理由により、様々な分子構造を有する発光素子用材料が提案されている(例えば特許文
献1参照)。
ところで、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子である場合、励起状態の生成
割合は、一重項励起状態が1に対し、三重項励起状態が3であることが一般に知られてい
る。そのため、三重項励起状態を発光に変えることができるりん光材料を発光中心物質と
して用いた発光素子は、一重項励起状態を発光に変える蛍光材料を発光中心物質として用
いた発光素子と比較して、発光効率の高い発光素子を原理的に得ることができる。
ここで、ホスト-ゲスト型の発光層におけるホスト材料や、発光層に接する各輸送層を
構成する物質は、励起エネルギーを効率よく発光中心物質からの発光に変えるために、発
光中心物質よりも広いバンドギャップ若しくは高い三重項準位(T準位、三重項励起状
態と一重項基底状態とのエネルギー差)を有する物質が用いられる。
しかし、当該発光素子のホスト材料として用いられる物質の殆どは蛍光材料であるため
、異なる状態間での電子遷移が禁制である。そのため、当該物質における三重項励起状態
は、一重項励起状態よりもエネルギー的に小さい位置にあり、同じ波長の蛍光とりん光を
比較すると後者の方がよりバンドギャップの広い物質をホスト材料として用いる必要があ
る。
そのため、りん光発光を効率良く得るためには、さらに大きいバンドギャップを有する
ホスト材料及びキャリア輸送材料が必要となる。しかし、低駆動電圧や高い発光効率など
発光素子における重要な特性に対する要求をバランスよく実現しつつ、それほど大きなバ
ンドギャップを有する発光素子用材料となる物質を開発することは非常に困難である。
特開2007-15933号公報
そこで、本発明の一態様では発光素子のキャリア輸送材料やホスト材料、発光材料とし
て用いることが可能な新規有機化合物を提供することを課題とする。特に、りん光を発す
る発光素子に用いても、特性の良好な発光素子を得ることが可能な有機化合物を提供する
ことを課題とする。
また、本発明の一態様では、T準位が高い有機化合物を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様では、キャリア輸送性が高い有機化合物を提供することを課題と
する。
また、本発明の他の一態様では、上記有機化合物を用いた、発光素子を提供することを
課題とする。
また、本発明の他の一態様では、上記有機化合物を用いた、消費電力の小さいディスプ
レイモジュール、照明モジュール、発光装置、照明装置、表示装置及び電子機器を各々提
供することを課題とする。
本発明は上記課題のいずれか一を解決すればよい。
本発明の一態様では、ジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニル基が結合したアリ
ール基が二つ結合したピリジン骨格又はビピリジン骨格を有する有機化合物を提供する。
すなわち、本発明の一態様は、下記一般式(G0)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000001
但し、式中A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフェニ
ル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す
。また、nは1又は2を表す。
また、上記一般式(G0)で表される有機化合物のうち、n=2で表される有機化合物
が駆動電圧の小さい発光素子を得ることができ、好ましい。すなわち、本発明の他の一態
様は、下記一般式(G1)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000002
但し、式中A及びAはそれぞれ独立にジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニ
ル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す
。なお、上記一般式(G1)で表される有機化合物は、上記式で表される以外に置換基を
有していてもよい。具体的には、A及びAはそれぞれ独立に置換基を有するジベンゾ
チオフェニル基又はジベンゾフラニル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に置換
基を有する炭素数6乃至13のアリーレン基を表してもよい。また、上記一般式(G1)
に含まれるビピリジン骨格は、置換基を有していてもよい。なお、当該置換基としては、
炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基が挙げられる。
また、上記一般式(G1)で表される有機化合物のうち、ジベンゾフラニル基又はジベ
ンゾチオフェニル基は4位でアリーレン基と結合していることが好ましい。すなわち、本
発明の他の一態様は下記一般式(G2)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000003
但し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、Z
は酸素原子又は硫黄原子を表す。なお、上記一般式(G2)で表される有機化合物は、上
記一般式で表される以外に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数1乃
至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基が挙げられる。
また、上記一般式(G2)で表される有機化合物において、ビピリジン骨格は2,2’
-ビピリジン骨格であることが好ましい。すなわち、本発明の他の構成は、下記一般式(
G3)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000004
ただし、式中R乃至Rは一つが下記一般式(A-1)で表される基であり、残りが
それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基の
いずれかであり、R乃至Rは一つが下記一般式(A-2)で表される基であり、残り
がそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基
のいずれかを表す。
Figure 0007008774000005
一般式(A-1)及び一般式(A-2)中、R10乃至R16及びR20乃至R26
それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基
のいずれか一を表す。また、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリ
ーレン基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記一般式(G3)で表される有機化合物のうち、Ar及びArはm-フェニレン
基であることが好ましい。すなわち、本発明の他の一態様は、下記一般式(G4)で表さ
れる有機化合物である。
Figure 0007008774000006
ただし、式中R乃至Rは一つが下記一般式(A-3)で表される基であり、残りが
それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基の
いずれか一であり、R乃至Rは一つが下記一般式(A-4)で表される基であり、残
りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール
基のいずれか一を表す。
Figure 0007008774000007
一般式(A-3)及び一般式(A-4)中、R10乃至R16、R20乃至R26及び
30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃
至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記一般式(G4)において、(A-3)及び(A-4)は各々ビピリジン骨格の4位
及び4’位に結合することが好ましい。すなわち、本発明の一態様は、下記一般式(G5
)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000008
一般式(G5)中、R、R、R、R、R、R、R10乃至R16、R20
乃至R26及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基
及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原
子を表す。
また、一般式(G0)で表される有機化合物のうち、n=1である有機化合物は、下記
一般式(G6)のように表すことができる。
Figure 0007008774000009
但し、式中A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフェニ
ル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す
。なお、上記一般式(G6)で表される有機化合物は、上記式で表される以外に置換基を
有していてもよく、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至
13のアリール基が挙げられる。
また、上記一般式(G6)で表される有機化合物のうち、ジベンゾフラニル基又はジベ
ンゾチオフェニル基は4位でアリーレン基と結合していることが好ましい。すなわち、本
発明の他の一態様は下記一般式(G7)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000010
但し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、Z
は酸素原子又は硫黄原子を表す。なお、上記一般式(G7)で表される有機化合物は、上
記式で表される以外に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数1乃至6
のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基が挙げられる。
また、上記一般式(G7)で表される有機化合物は、下記一般式(G8)のように表す
こともできる。
Figure 0007008774000011
但し、式中R40乃至R44は一つが下記一般式(A-1)で表される基であり、一つ
が下記一般式(A-2)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
Figure 0007008774000012
一般式(A-1)及び一般式(A-2)中、R10乃至R16及びR20乃至R26
それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基
のいずれか一を表す。また、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリ
ーレン基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
また、上記一般式(G8)で表される有機化合物において、Ar及びArはm-置
換のフェニレン基であることが好ましい。すなわち、本発明の他の構成は、下記一般式(
G9)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000013
但し、式中R40乃至R44は一つが下記一般式(A-3)で表される基であり、一つ
が下記一般式(A-4)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至
6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
Figure 0007008774000014
一般式(A-3)及び一般式(A-4)中、R10乃至R16、R20乃至R26及び
30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃
至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(G9)において、一般式(A-3)で表される基及び一般式(A-4)で表さ
れる基は、各々中心のピリジンの3位及び5位に結合していることが好ましい。すなわち
、本発明の他の構成は、下記一般式(G10)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000015
式中、R40、R42、R44、R10乃至R16、R20乃至R26及びR30乃至
37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のア
リール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
また、本発明の一態様は、下記構造式(100)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000016
また、本発明の一態様は、下記構造式(200)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000017
また、本発明の他の一態様は、下記構造式(300)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000018
また、本発明の他の一態様は、下記構造式(400)で表される有機化合物である。
Figure 0007008774000019
また、本発明の一態様は、一対の電極と、一対の電極に挟まれた有機化合物を含む層と
を有し、有機化合物を含む層は、上記いずれかに記載の有機化合物を含む発光素子である
また、本発明の一態様は、一対の電極と、一対の電極に挟まれた有機化合物を含む層と
を有し、有機化合物を含む層は、少なくとも発光層を有し、発光層は、上記いずれかに記
載の有機化合物を含む発光素子である。
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子を備えたディスプレイモジュー
ルである。
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子を備えた照明モジュールである
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子と、発光素子を制御する手段を
備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子を表示部に備え、発光素子を制
御する手段を備えた表示装置である。
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子を照明部に備え、発光素子を制
御する手段を備えた照明装置である。
また、本発明の他の構成は、上記構成を有する発光素子を備えた電子機器である。
本発明にかかる発光素子は、発光効率の良好な発光素子である。
本発明にかかる有機化合物は、広いバンドギャップを有する。また、優れたキャリア輸
送性を有する。そのため、発光素子の輸送層を構成する材料や発光層におけるホスト材料
、発光中心物質として好適に用いることが可能である。
また、本発明の他の一態様では、上記有機化合物を用いた、消費電力の小さいディスプ
レイモジュール、照明モジュール、発光装置、照明装置、表示装置及び電子機器を各々提
供することができる。
発光素子の概念図。 有機半導体素子の概念図。 アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 パッシブマトリクス型発光装置の概念図。 電子機器を表す図。 光源装置を表す図。 照明装置を表す図。 照明装置を表す図。 車載表示装置及び照明装置を表す図。 電子機器を表す図。 4,4’mDBTP2BPy-IIのNMRチャート。 4,4’mDBTP2BPy-IIの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 4,4’mDBTP2BPy-IIのLC/MS分析結果。 4,4’DBfP2BPyのNMRチャート。 4,4’DBfP2BPyの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 4,4’DBfP2BPyのLC/MS分析結果。 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の電流密度-輝度特性。 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の輝度-電流効率特性 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の電圧-輝度特性。 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の輝度-外部量子効率特性。 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の発光スペクトル。 発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の規格化輝度時間変化特性。 発光素子3及び発光素子4の電流密度-輝度特性。 発光素子3及び発光素子4の輝度-電流効率特性 発光素子3及び発光素子4の電圧-輝度特性。 発光素子3及び発光素子4の輝度-外部量子効率特性。 発光素子3及び発光素子4の発光スペクトル。 3,5mDBTP2PyのNMRチャート。 3,5mDBTP2Pyの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 3,5mDBFP2PyのNMRチャート。 3,5mDBFP2Pyの吸収スペクトル及び発光スペクトル。 発光素子5及び発光素子6の電流密度-輝度特性。 発光素子5及び発光素子6の輝度-電流効率特性 発光素子5及び発光素子6の電圧-輝度特性。 発光素子5及び発光素子6の輝度-外部量子効率特性。 発光素子5及び発光素子6の発光スペクトル。 発光素子7及び発光素子8の電流密度-輝度特性。 発光素子7及び発光素子8の輝度-電流効率特性 発光素子7及び発光素子8の電圧-輝度特性。 発光素子7及び発光素子8の輝度-外部量子効率特性。 発光素子7及び発光素子8の発光スペクトル。 発光素子7及び発光素子8の規格化輝度時間変化特性。 発光素子9乃至発光素子12、比較発光素子3及び比較発光素子4の規格化輝度時間変化特性。
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実
施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態における有機化合物は、ジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニル基
が結合したアリール基が二つ結合したピリジン骨格又はビピリジン骨格を有する有機化合
物である。当該有機化合物は、広いバンドギャップを有する物質である。また、高い三重
項準位を有する物質である。さらに、当該有機化合物は、キャリア輸送性にも優れる。な
お、当該有機化合物はピリジン骨格又はビピリジン骨格にアリーレン基を介したジベンゾ
チオフェニル基又はジベンゾフラニル基が二つ結合した有機化合物とも言い換えることが
できる。
このため、当該有機化合物を用いた発光素子は、発光効率の高い発光素子とすることが
可能となる。
上記有機化合物におけるアリーレン基としては、炭素数6乃至13のアリーレン基を用
いることが好ましい。炭素数6乃至13のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフタ
レンジイル基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基などが挙げられ、特にフェニ
レン基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基が三重項準位を高く保つうえで好ま
しい構成である。その中でも、フェニレン基、さらにはm-フェニレン基が好適である。
また、中心骨格がビピリジン骨格である場合は、2,2’-ビピリジン骨格であること
が好ましい。
また、上記2,2’-ビピリジン骨格を中心骨格とする本発明の一態様の有機化合物に
おいて、ジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニル基が結合したアリーレン基は2,
2’-ビピリジン骨格における4位及び4’位に結合することが好ましい。
また、中心骨格がピリジン骨格である場合、ジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラ
ニル基が結合したアリーレン基はピリジン骨格における3位及び5位に結合することが発
光素子を構成する材料として用いた場合、駆動電圧を低減することが可能であり好ましい
また、当該有機化合物におけるジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニル基は4位
でアリーレン基と結合していることが好ましい。
なお、上記有機化合物は、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数1
乃至6のアルキル基、炭素数6乃至13のアリール基などを用いることができる。
このような構造を有する有機化合物は、広いバンドギャップを有することから、発光素
子の発光層において、青色やそれ以下の波長の蛍光を発する発光中心物質を用いた発光層
におけるホスト材料や、当該発光層に隣接するキャリア輸送層として好適に用いることが
できる。また、当該有機化合物は、高い三重項準位を有することから、りん光を発する発
光中心物質を含む発光層におけるホスト材料や、当該発光層に隣接するキャリア輸送層と
して好適に用いることができる。当該有機化合物が広いバンドギャップや高い三重項準位
(T準位)を有することで、ホスト材料上で再結合したキャリアのエネルギーを発光中
心物質へ有効に移動させることが可能となり、発光効率の高い発光素子を作製することが
可能となる。
また、当該有機化合物は、良好なキャリア輸送性を有するという観点からも、発光素子
のホスト材料やキャリア輸送層として好適に用いることができる。当該有機化合物が良好
なキャリア輸送性を有することによって、駆動電圧の小さい発光素子を作製することが可
能となる。また、当該有機化合物のバンドギャップが広いこと又は三重項準位が高いこと
から、発光層における発光領域に近接するキャリア輸送層として用いても、発光中心物質
の励起エネルギーの損失を抑制できるため、発光効率の高い発光素子を実現することを可
能とする。
上記本発明の一形態の有機化合物は下記一般式(G0)のように表すこともできる。
Figure 0007008774000020
上記式中A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフェニル
基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す。
また、nは1又は2を表す。なお、上記一般式(G0)で表される有機化合物は、無置換
であっても置換基を有していても良く、置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至
6のアルキル基もしくは炭素数6乃至13のアリール基である。
また、上記一般式(G0)で表される有機化合物のうち、n=2で表される有機化合物
を用いることによって、駆動電圧の小さい発光素子を得ることができるため好ましい構成
である。当該有機化合物は、下記一般式(G1)として表すことができる。
Figure 0007008774000021
上記式中、A及びAはそれぞれ独立にジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニ
ル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す
。なお、上記一般式(G1)で表される有機化合物は、無置換であっても置換基を有して
いても良く、置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1乃至6のアルキル基もしくは炭
素数6乃至13のアリール基である。
また、上記一般式(G1)で表される有機化合物は、ジベンゾチオフェニル基又はジベ
ンゾフラニル基が4位でAr及びArと結合していることが好ましく、そのような有
機化合物は下記一般式(G2)のように表すことができる。
Figure 0007008774000022
上記式中、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す
。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。なお、上記一般式(G2)で表される有機化
合物は、無置換であっても置換基を有していても良く、置換基を有する場合、当該置換基
は炭素数1乃至6のアルキル基もしくは炭素数6乃至13のアリール基である。
上記一般式(G2)で表される有機化合物は、ジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフ
ェニル基が4位でAr及びArに結合している構成を有する。このような構成を有す
ることによって、上記一般式(G2)で表される有機化合物は合成が簡便であるため、コ
スト的に優れる。
また、上記有機化合物は下記一般式(G3)のように表すこともできる。
Figure 0007008774000023
上記一般式(G3)中、R乃至Rは一つが下記一般式(A-1)で表される基であ
り、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のア
リール基のいずれかである。また、R乃至Rは一つが下記一般式(A-2)で表され
る基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至
13のアリール基のいずれかを表す。
Figure 0007008774000024
上記一般式(A-1)及び一般式(A-2)中、R10乃至R16及びR20乃至R
はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリー
ル基のいずれか一を表す。また、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13の
アリーレン基を、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
また、本実施の形態で説明する本発明の一形態の有機化合物は、当該アリーレン基がフ
ェニレン基又はビフェニルジイル基であることが好ましく、さらに好ましくはフェニレン
基である。
さらに、Ar及びArは直線状にビピリジン骨格とジベンゾフラニル基又はジベン
ゾチオフェニル基をつなぐよりも、屈曲させてつなぐ方が、当該二つの骨格における軌道
の相互作用を小さくすることができ、バンドギャップ幅や三重項準位を大きくすることが
できるため好ましい。例えば、Ar及びArがフェニレン基であれば、パラ置換のフ
ェニレン基ではなく、メタ置換のフェニレン基であることがより好ましい。また、Ar
及びArがビフェニルジイル基であれば、1,1’-ビフェニル-3,3’-ジイル基
が好ましい。
すなわち、上記有機化合物は下記一般式(G4)のように表すことができる。
Figure 0007008774000025
ただし、上記一般式(G4)中、R乃至Rは一つが下記一般式(A-3)で表され
る基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至
13のアリール基のいずれか一であり、R乃至Rは一つが下記一般式(A-4)で表
される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6
乃至13のアリール基のいずれか一を表す。
Figure 0007008774000026
一般式(A-3)及び一般式(A-4)中、R10乃至R16、R20乃至R26及び
30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃
至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記一般式(G4)で表される有機化合物は、ビピリジン骨格の4位及び4’位に一般
式(A-3)で表される基及び一般式(A-4)で表される基が結合していることが好ま
しい。すなわち、下記一般式(G5)で表される有機化合物が好ましい。
Figure 0007008774000027
上記一般式(G5)中、R、R、R、R、R、R、R10乃至R16、R
20乃至R26及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキ
ル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫
黄原子を表す。
上記一般式(G5)では、ジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフェニル基が結合した
フェニル基が2,2’-ビピリジン骨格の4位及び4’位に結合している構造を有してい
る。
なお、R乃至R、R10乃至R16、R20乃至R26及びR30乃至R37はす
べて水素であることが、合成の簡便さや原料入手の容易性から有利であるため安価に合成
することができ、好ましい構成である。
また、上記一般式(G0)で表される有機化合物のうち、n=1で表される有機化合物
は、下記一般式(G6)のように表すこともできる。
Figure 0007008774000028
上記一般式中、A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフ
ェニル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を
表す。なお、上記一般式(G6)で表される有機化合物は、上記式で表される以外に置換
基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6
乃至13のアリール基が挙げられる。
また、上記有機化合物は、ジベンゾチオフェニル基又はジベンゾフラニル基が4位でA
及びArと結合していることが好ましく、そのような有機化合物は下記一般式(G
7)のように表すことができる。
Figure 0007008774000029
上記一般式中、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を
表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。なお、上記一般式(G7)で表される有機化合
物は、上記式で表される以外に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、炭素数
1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基が挙げられる。
また、上記一般式(G7)で表される有機化合物は、下記一般式(G8)のように表す
こともできる。
Figure 0007008774000030
上記一般式(G8)中、R40乃至R44は一つが下記一般式(A-1)で表される基
であり、一つが下記一般式(A-2)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、
炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
Figure 0007008774000031
上記一般式(A-1)及び一般式(A-2)中、R10乃至R16及びR20乃至R
はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリー
ル基のいずれか一を表す。また、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13の
アリーレン基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
また、上記一般式(G8)で表される有機化合物において、Ar及びArはm-置
換のフェニレン基であることが三重項準位の低下が起こりにくいため好ましい。すなわち
、下記一般式(G9)で表される有機化合物が好ましい。
Figure 0007008774000032
上記一般式中、R40乃至R44は一つが下記一般式(A-3)で表される基であり、
一つが下記一般式(A-4)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1
乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
Figure 0007008774000033
上記一般式(A-3)及び一般式(A-4)中、R10乃至R16、R20乃至R26
及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数
6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記一般式(G9)において、上記一般式(A-3)及び一般式(A-4)で表される
基は、ピリジン骨格の3位及び5位に結合することが好ましい。すなわち、下記一般式(
G10)で表される有機化合物が好ましい。
Figure 0007008774000034
上記一般式(G10)において、R40、R42、R44、R10乃至R16、R20
乃至R26及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基
及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原
子を表す。
なお、上記一般式(G0)乃至一般式(G10)で表される有機化合物の説明において
、炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基
、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert
-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等などを挙げることができる
。また、炭素数6乃至13のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、
フルオレニル基、ナフチル基などを挙げることができる。なお、これら置換基同士が結合
して環を形成していても良く、このような例としては、例えば、フルオレニル基の9位の
炭素が置換基としてフェニル基を2つ有しており、当該フェニル基同士が結合することに
よって、スピロフルオレン骨格が形成される場合等が挙げられる。
また、Ar及びArである炭素数6乃至13のアリーレン基の具体例としては、フ
ェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基などが挙
げられ、特にフェニレン基、ビフェニルジイル基及びフルオレンジイル基が三重項準位を
高く保つうえで好ましい構成である。
また、上記一般式(G0)乃至(G10)として表される有機化合物の具体的な構造の
例としては、下記構造式(100)乃至(127)、(200)乃至(227)、(30
0)乃至(327)及び(400)乃至(427)で表される物質などが挙げられる。
Figure 0007008774000035
Figure 0007008774000036
Figure 0007008774000037
Figure 0007008774000038
Figure 0007008774000039
Figure 0007008774000040
Figure 0007008774000041
Figure 0007008774000042
Figure 0007008774000043
Figure 0007008774000044
Figure 0007008774000045
Figure 0007008774000046
Figure 0007008774000047
Figure 0007008774000048
Figure 0007008774000049
Figure 0007008774000050
Figure 0007008774000051
Figure 0007008774000052
Figure 0007008774000053
Figure 0007008774000054
以上のような有機化合物は、高い三重項準位を有するため、発光効率の高いりん光発光
素子を得ることができる。特に、波長の短い緑色や青色のりん光発光素子であっても効率
を低下させることなく良好な特性の素子を得ることができる。また、高い三重項準位を有
するということは、広いバンドギャップを有するということもまた意味するため、青色蛍
光を呈する発光素子も効率よく発光させることができる。
また、本実施の形態における有機化合物は、青から紫外の発光を呈する発光材料として
も用いることもできる。
続いて、これら有機化合物の合成方法について説明する。上記構造式(G1)で表され
る有機化合物は、下記合成スキーム(A-1)に示すようにピリジン誘導体のハロゲン化
物、又はトリフラート置換体(化合物1)と、ピリジン誘導体の有機ボロン化合物、又は
ボロン酸(化合物2)とを、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせることで、得ること
ができる。合成スキーム(A-1)を示す。
Figure 0007008774000055
上記合成スキーム(A-1)において、A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニ
ル基又はジベンゾチオフェニル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃
至13のアリーレン基を表す。R50及びR51は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基
のいずれかを表す。合成スキーム(A-1)においてR50とR51は互いに結合して環
を形成していても良い。また、Xはハロゲン又はトリフラート基を表す。
また、上記構造式(G1)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(B-1)に示
すように、ビピリジン誘導体のハロゲン化物、又はトリフラート置換体(化合物3)と、
ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン誘導体の有機ボロン化合物、又はボロン酸(化合
物4及び化合物5)を、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせることで、得ることもで
きる。合成スキームを(B-1)に示す。
Figure 0007008774000056
上記合成スキーム(B-1)において、A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニ
ル基又はジベンゾチオフェニル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃
至13のアリーレン基を表す。R52乃至R55は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基
のいずれかを表す。合成スキーム(B-1)においてR52とR53及びR54とR55
は互いに結合して環を形成していても良い。X及びXはハロゲン又はトリフラート基
を表す。
合成スキーム(A-1)及び(B-1)において、用いることができるパラジウム触媒
としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド等が挙げられ
るが、用いることができるパラジウム触媒はこれらに限られるものでは無い。合成スキー
ム(B-1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オ
ルト-トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィ
ン等が挙げられる。用いることができるパラジウム触媒の配位子はこれらに限られるもの
では無い。合成スキーム(A-1)及び(B-1)において、用いることができる塩基と
しては、ナトリウム tert-ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリ
ウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いることができる塩基はこれらに限られるもので
は無い。合成スキーム(A-1)及び(B-1)において、用いることができる溶媒とし
ては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、
キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼ
ンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。ただし、用い
ることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い。また、トルエンと水、又はトルエ
ンとエタノールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と
水の混合溶媒がより好ましい。
合成スキーム(A-1)及び合成スキーム(B-1)では、化合物2、化合物4及び化
合物5は有機ホウ素化合物、又はボロン酸であり、鈴木・宮浦カップリング反応により反
応を行うが、化合物2、化合物4及び化合物5を有機アルミニウムや、有機ジルコニウム
、有機亜鉛、有機スズ化合物等とし、クロスカップリング反応を用いて目的物を合成して
もよい。しかし、これらに限定されるものではない。
また、合成スキーム(B-1)に示す鈴木・宮浦カップリング反応においては、ビピリ
ジン誘導体の有機ホウ素化合物、又はボロン酸と、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェ
ン誘導体のハロゲン化物、又はトリフラート置換体を、反応させてもよい。
また、上記構造式(G6)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(C-1)に示
すように、ピリジン誘導体のハロゲン化物、又はトリフラート置換体(化合物6)と、ジ
ベンゾフラン又はジベンゾチオフェン誘導体の有機ボロン化合物、又はボロン酸(化合物
7及び化合物8)を、鈴木・宮浦反応によりカップリングさせることで、得ることができ
る。合成スキームを(C-1)に示す。
Figure 0007008774000057
上記合成スキーム(C-1)において、A及びAはそれぞれ独立にジベンゾフラニ
ル基又はジベンゾチオフェニル基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃
至13のアリーレン基を表す。R57乃至R60は、水素、炭素数1乃至6のアルキル基
のいずれかを表す。合成スキーム(C-1)においてR57とR58及びR59とR60
は互いに結合して環を形成していても良い。X及びXはハロゲン又はトリフラート基
を表す。
合成スキーム(C-1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸
パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(
トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド等が挙げられるが、用いるこ
とができるパラジウム触媒はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(C-1)に
おいて、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルト-トリル)
ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられ
る。用いることができるパラジウム触媒の配位子はこれらに限られるものでは無い。合成
スキーム(C-1)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム tert
-ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ
るが、用いることができる塩基はこれらに限られるものでは無い。合成スキーム(C-1
)において、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエ
タノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノー
ル等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等の
アルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の
混合溶媒などが挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるもので
は無い。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒、エチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒がより好ましい。
合成スキーム(C-1)では、化合物7及び化合物8は有機ホウ素化合物、又はボロン
酸であり、鈴木・宮浦カップリング反応により反応を行うが、化合物7及び化合物8を有
機アルミニウムや、有機ジルコニウム、有機亜鉛、有機スズ化合物等とし、クロスカップ
リング反応を用いて目的物を合成してもよい。しかし、これらに限定されるものではない
また、合成スキーム(C-1)に示す鈴木・宮浦カップリング反応においては、ピリジ
ン誘導体の有機ホウ素化合物、又はボロン酸と、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン
誘導体のハロゲン化物、又はトリフラート置換体を、反応させてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る有機化合物は合成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の下記一般式(G0)で表される有機化合物を
有機半導体素子の一種である縦型トランジスタ(静電誘導トランジスタ:SIT)の活性
層として用いる形態を例示する。但し、下記一般式(G0)中A及びAはそれぞれ独
立にジベンゾフラニル基又はジベンゾチオフェニル基を表し、Ar及びArはそれぞ
れ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表す。また、nは1又は2を表す。
Figure 0007008774000058
素子の構造としては、図2に示すように、一般式(G0)で表される有機化合物を含む
薄膜状の活性層1202をソース電極1201およびドレイン電極1203で挟み、ゲー
ト電極1204が活性層1202に埋め込まれた構造を有する。ゲート電極1204は、
ゲート電圧を印加するための手段に電気的に接続されており、ソース電極1201および
ドレイン電極1203は、ソース-ドレイン間の電圧を制御するための手段に電気的に接
続されている。
このような素子構造において、ゲート電圧を印加しない状態においてソース-ドレイン
間に電圧を印加すると、電流が流れる(ON状態となる)。そして、その状態でゲート電
圧を印加するとゲート電極1204周辺に空乏層が発生し、電流が流れなくなる(OFF
状態となる)。以上の機構により、トランジスタとして動作する。
縦型トランジスタにおいては、発光素子と同様、キャリア輸送性と良好な膜質を兼ね備
えた材料が活性層に求められるが、一般式(G0)で表される有機化合物はその条件を十
分に満たしており、好適に用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で開示した本発明の一形態の有機化合物を含む発光素
子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本実施の形態における発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。本形態において
、発光素子は、第1の電極101と、第2の電極102と、第1の電極101と第2の電
極102との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、図1(A)では
第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極102は陰極として機能するものとし
て、図示する。つまり、第1の電極101の方が第2の電極102よりも電位が高くなる
ように、第1の電極101と第2の電極102に電圧を印加したときに、発光が得られる
構成となっている。もちろん、第1の電極が陰極として機能し、第2の電極が陽極として
機能してもかまわない。その場合、EL層の積層順は、以下に説明する順序と逆となる。
なお、本実施の形態における発光素子は、EL層103のいずれかの層に、実施の形態1
で説明した本発明の一形態の有機化合物が含まれていればよい。なお、当該有機化合物が
含まれる層としては、発光層や電子輸送層が上記有機化合物の特性をより生かすことがで
き、良好な特性を有する発光素子を得ることができるため好ましい。
陽極として機能する電極としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金
属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的に
は、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)
、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸
化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げ
られる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル-ゲル
法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化イン
ジウムに対し1乃至20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法
により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化イン
ジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5乃至5wt%、
酸化亜鉛を0.1乃至1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成
することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステ
ン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(
Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げ
られる。また、グラフェンを用いても良い。
EL層103の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質を含む層ま
たは正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い
物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子及び正孔の輸送性の高い物質)を含む層、キャ
リアブロック性を有する層等を適宜組み合わせて構成すればよい。本実施の形態では、E
L層103は、陽極として機能する電極側から「正孔注入層111、正孔輸送層112、
発光層113、電子輸送層114、電子注入層115」の順に積層した構成を有するもの
として説明する。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
正孔注入層111は、正孔注入性の物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウ
ム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることがで
きる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等の
フタロシアニン系の化合物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-
N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3
-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニ
ル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(
3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/P
SS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
また、正孔注入層111として、正孔輸送性を有する物質に当該物質に対して電子受容
性を示す物質(以下単に電子受容性物質と称する)を含有させた複合材料を用いることも
できる。本明細書中において、複合材料とは、単に2つの材料を混合させた材料のことを
指すのではなく、複数の材料を混合することによって材料間での電荷の授受が行われ得る
状態になることを言う。この電荷の授受は、電界がかかっている場合にのみ実現される場
合も含むこととする。
なお、正孔輸送性を有する物質に電子受容性物質を含有させたものを用いることにより
、材料の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができるようになる。つまり、
陽極として機能する電極として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料
も用いることができるようになる。電子受容性物質としては、7,7,8,8-テトラシ
アノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、クロラ
ニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物も使用することができる。特に元素
周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を好適に用いることができる。具
体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、
酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中で
も特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため電子受
容性物質として好適に用いることができる。
複合材料に用いる正孔輸送性を有する物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾー
ル化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)な
ど、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物として
は、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、1×10-6cm
/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。ただし、電子よりも正孔
の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に
おける正孔輸送性を有する物質として用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフ
ェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-
ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N
,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフ
ェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3
,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン
(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール化合物としては、具体的には、3-[N-
(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバ
ゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3
-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)
、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]
-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール化合物としては、他に、4,4’-
ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-
カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-
9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[
4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用
いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert
-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-
tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,
5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9
,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,1
0-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラ
セン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAn
th)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)
、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセ
ン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-
テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメ
チル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,1
0’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニ
ル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフ
ェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、
ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。ま
た、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6
cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至42である芳香族炭化水素を用い
ることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよ
い。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-
ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-
ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
正孔輸送層112は、正孔輸送性を有する物質を含む層である。正孔輸送性を有する物
質としては、上述の複合材料として用いることができる正孔輸送性を有する物質として挙
げたものを同様に用いることができる。なお、繰り返しとなるため詳しい説明は省略する
。複合材料の記載を参照されたい。
発光層113は、発光性の物質を含む層である。発光層113は、発光物質単独の膜で
構成されていても、ホスト材料中に発光中心物質を分散された膜で構成されていても良い
発光層113において、発光物質、若しくは発光中心物質として用いることが可能な材
料としては特に限定は無く、これら材料が発する光は蛍光であってもりん光であっても良
い。上記発光物質又は発光中心物質としては例えば、以下のようなものが挙げられる。蛍
光発光性の物質としては、N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9
-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6F
LPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-
N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9
H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニ
ルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,
10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N
,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-
カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ
(tert-ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリ
ル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略
称:PCBAPA)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジ
イルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレ
ンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジ
フェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2P
CAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,
N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N
,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g
,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30
、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバ
ゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェ
ニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-
アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-
N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、
N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N
’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9
,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-
9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPh
A)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、
クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、
5,12-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン
(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-
6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2
-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[i
j]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニト
リル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テト
ラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N
,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオラン
テン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-
[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-
ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロ
パンジニトリル(略称:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,
1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij
]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリ
ル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル
]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM
)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3
,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル
]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、N
,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-N,N
’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)などが挙げら
れる。また、青色りん光発光性の物質としては、トリス{2-[5-(2-メチルフェニ
ル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル
-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp
])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト
)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)])、トリス[4-(3-ビフェ
ニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウ
ム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)])のような4H-トリアゾール
骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニ
ル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:
[Ir(Mptz1-mp)])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル
-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz
1-Me)])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、
fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミ
ダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)])、トリス[3-
(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト
]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)])のようなイミダ
ゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフ
ェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)
ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナ
ト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2
-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリ
ジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス
[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(II
I)アセチルアセトナート(略称:FIracac)のような電子吸引基を有するフェニ
ルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。なお、4H-ト
リアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも優れるため、
特に好ましい。また、緑色発光のりん光発光物質の例としてはトリス(4-メチル-6-
フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)])、トリ
ス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir
(tBuppm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリ
ミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])、(ア
セチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウ
ム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])、(アセチルアセトナ
ト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III
)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5
-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(II
I)(略称:[Ir(mpmppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス
(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)
(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセ
チルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(II
I)(略称:[Ir(mppr-Me)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビ
ス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(
略称:[Ir(mppr-iPr)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有
機金属イリジウム錯体や、fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(略称:
[Ir(ppy)])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(I
II)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベン
ゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bz
q)(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略
称:[Ir(bzq)])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウ
ム(III)(略称:[Ir(pq)])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C
)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)(acac)
])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセ
トナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)
(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。なお、ピリミジン骨格を有する
有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
赤色発光のりん光発光物質の例としては、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビ
ス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5md
ppm)(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト
](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)
dpm)])、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイ
ルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)(dpm)])のよ
うなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(
2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr
(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメ
タナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])、(アセチ
ルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウ
ム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン骨格を有
する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-
N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)])、ビス(1-フェニ
ルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[
Ir(piq)(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯
体の他、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポ
ルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3-ジ
フェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III
)(略称:[Eu(DBM)(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,
3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(
略称:[Eu(TTA)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。なお
、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優
れるため、特に好ましい。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度
の良い赤色発光が得られるため、白色発光素子に適用することで演色性を高めることがで
きる。なお、実施の形態1で説明した本発明の一形態の有機化合物も、青から紫外領域の
発光を呈することから、発光中心物質としての使用も可能である。
また、以上で述べた物質の他、公知の物質の中から選択してもよい。
上記発光中心物質を分散するホスト材料としては、実施の形態1で説明した本発明の一形
態の有機化合物を用いることが好適である。
当該有機化合物は、バンドギャップが広く、高い三重項準位を有するため、青色の蛍光
を発する発光中心物質や緑色のりん光を発する発光中心物質など、エネルギーの高い励起
状態を有する発光中心物質を分散するホスト材料として特に好適に用いることができる。
もちろん、青色より長波長の蛍光を発する発光中心物質や緑色よりも長波長のりん光を発
する発光中心物質などを分散するホスト材料としても用いることが可能である。また、発
光層に隣接するキャリア輸送層(好ましくは電子輸送層)を構成する材料として用いても
有効である。当該有機化合物が広いバンドギャップ若しくは高い三重項準位を有すること
で、発光中心物質が青色の蛍光や緑のりん光など、エネルギーの高い発光を呈する材料で
あったとしても、ホスト材料上で再結合したキャリアのエネルギーを、発光中心物質へ有
効に移動させることが可能となり、発光効率の高い発光素子を作製することが可能となる
。なお、上記有機化合物をホスト材料又はキャリア輸送層を構成する材料として用いる場
合、発光中心物質としては、当該有機化合物よりもバンドギャップが狭い若しくは一重項
準位(S準位)や三重項準位が低い物質を選択することが好ましいが、これに限られる
ことはない。
実施の形態1で説明した本発明の一形態の有機化合物をホスト材料として用いない場合
、ホスト材料としては公知の材料を使用することができる。
上記ホスト材料として用いることが可能な材料を以下に例示する。電子輸送性を有する材
料としては、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略
称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)
アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(
略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略
称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略
称:ZnBTZ)などの金属錯体や、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-
ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、3-(4-ビフェ
ニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリア
ゾール(略称:TAZ)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,
3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5
-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾー
ル(略称:CO11)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(
1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾ
チオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:
mDBTBIm-II)などのポリアゾール骨格を有する複素環化合物や、2-[3-(
ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2
mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル
-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、
2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,
h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、4,6-ビス[3-(フェナントレン
-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3
-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-I
I)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾ
ール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[
3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を
有する複素環化合物が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格を有する複素環化合物
やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン
(ピリミジンやピラジン)骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低
減にも寄与する。
また、上記ホスト材料として用いることが可能な、正孔輸送性を有する材料としては、4
,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB
)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフ
ェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,
9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)
、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略
称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリ
フェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H
-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-
ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルア
ミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H
-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ
(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェ
ニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9
-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称
:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-
イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)
などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン
(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3
,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzT
P)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)などの
カルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリ
イル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-
4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェ
ン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9
-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)な
どのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-ト
リイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-
フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:
mmDBFFLBi-II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中
でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が
良好であり、また、キャリア輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
なお、ホスト材料としては、発光中心物質よりも三重項準位、バンドギャップ共に大き
い物質を選択することが好ましい。また、発光層には、ホスト材料とりん光物質の他に、
第3の物質が含まれていても良い。
ここで、りん光発光物質を用いた場合に、より発光効率の高い発光素子を得るための、
ホスト材料と、りん光物質とのエネルギー移動について考える。キャリアの再結合は、ホ
スト材料とりん光物質との両方で行われるため、発光効率の向上のためには、ホスト材料
からりん光物質へのエネルギー移動を効率化する必要がある。なおこの説明をするにあた
り、励起エネルギーを与える側の分子をホスト分子、励起エネルギーを受け取る側の分子
をゲスト分子と記す。
ゲスト材料としてりん光性化合物を用いた場合、りん光性化合物の吸収スペクトルにお
いて、最も発光に強く寄与すると考えられている吸収帯は、基底状態から三重項励起状態
への直接遷移に相当する吸収波長近傍にあり、それは最も長波長側に現れる吸収帯である
。このことから、ホスト材料の発光スペクトル(蛍光スペクトル及びりん光スペクトル)
は、りん光性化合物の吸収スペクトルの最も長波長側の吸収帯と重なることが好ましいと
考えられる。
ここでまず、ホスト材料の三重項励起状態からのエネルギー移動を考えてみる。三重項
励起状態からのエネルギー移動においては、ホスト材料のりん光スペクトルとゲスト材料
の最も長波長側の吸収帯との重なりが大きくなればよい。
しかしながら、このとき問題となるのは、ホスト分子の一重項励起状態からのエネルギー
移動である。三重項励起状態からのエネルギー移動に加え、一重項励起状態からのエネル
ギー移動も効率よく行おうとすると、上述の議論から、ホスト材料のりん光スペクトルだ
けでなく、蛍光スペクトルをもゲスト材料の最も長波長側の吸収帯と重ねるように設計し
なければならない。換言すれば、ホスト材料の蛍光スペクトルが、りん光スペクトルと同
じような位置に来るようにホスト材料を設計しなければ、ホスト材料の一重項励起状態及
び三重項励起状態の双方からのエネルギー移動を効率よく行うことはできないということ
になる。
ところが、一般に、S準位とT準位は大きく異なる(S準位>T準位)ため、蛍
光の発光波長とりん光の発光波長も大きく異なる(蛍光の発光波長<りん光の発光波長)
。そのため、ホスト材料の蛍光スペクトルがりん光スペクトルと同じような位置に来るよ
うにホスト材料を設計することは、極めて困難である。
また、蛍光発光は、りん光発光より高いエネルギー準位からの発光であるため、蛍光スペ
クトルがゲスト材料の最も長波長側の吸収スペクトルに近接するような波長にあるホスト
材料のT準位は、ゲスト材料のT準位を下回ってしまう。
そこで本実施の形態の発光素子は、りん光発光物質を発光中心物質として用いる場合、発
光層に、ホスト材料、発光中心物質の他に第3の物質を含み、ホスト材料および第3の物
質は、励起錯体(エキサイプレックスとも言う)を形成する組み合わせであることが好ま
しい。
この場合、発光層におけるキャリア(電子及びホール)の再結合の際にホスト材料と第
3の物質は、励起錯体を形成する。励起錯体の蛍光スペクトルは、ホスト材料単体、及び
第3の物質単体の蛍光スペクトルより長波長側にスペクトルを有する発光となるため、ホ
スト材料及び第3の物質のT準位をゲスト材料のT準位より高く保ったまま、一重項
励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることができる。また、励起錯体はT
位とS準位が近接している状態であるため、蛍光スペクトルとりん光スペクトルがほぼ
同じ位置に存在する。このことから、ゲスト分子の一重項基底状態から三重項励起状態へ
の遷移に相当する吸収(ゲスト分子の吸収スペクトルにおける最も長波長側に存在するブ
ロードな吸収帯)に励起錯体の蛍光スペクトル及びりん光スペクトルの両方を大きく重ね
ることが可能となるため、エネルギー移動効率が高い発光素子を得ることができる。
第3の物質としては、上記ホスト材料や添加物として用いることが可能な材料として挙げ
た材料を用いることができる。また、ホスト材料及び第3の物質は、励起錯体を生じる組
み合わせであればよいが、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する化合物)と
、ホールを受け取りやすい化合物(正孔輸送性を有する化合物)とを組み合わせることが
好ましい。
電子輸送性を有する化合物とホール輸送性を有する化合物でホスト材料と第3の物質を構
成する場合、その混合比によってキャリアバランスを制御することもできる。具体的には
、ホスト材料:第3の物質(又は添加物)=1:9乃至9:1の範囲が好ましい。なお、
この際、一種類の発光中心物質が分散した発光層を2層に分割し、ホスト材料と第3の物
質の混合割合を異ならせる構成としても良い。これにより、発光素子のキャリアバランス
を最適化することができ、寿命を向上させることが可能となる。また、一方の発光層を正
孔輸送性の層とし、他方の発光層を電子輸送性の層としても良い。
以上のような構成を有する発光層は、複数の材料で構成されている場合、真空蒸着法で
の共蒸着や、混合溶液としてインクジェット法やスピンコート法やディップコート法など
を用いて作製することができる。
電子輸送層114は、電子輸送性を有する物質を含む層である。例えば、トリス(8-
キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト
)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト
)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェ
ニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノ
リン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2-(2-ヒドロキ
シフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2-(2-
ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサ
ゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金
属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-
1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3-ビス[5-(p-tert
-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OX
D-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェ
ニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:B
Phen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べ
た物質は、主に10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔
よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構
わない。
また、実施の形態1で説明した本発明の一形態の有機化合物を電子輸送層114を構成
する材料として用いても良い。当該有機化合物は、バンドギャップが広く、T準位の高
い物質であるため、発光層における励起エネルギーが電子輸送層114に移動することを
有効に防ぎ、それを原因とする発光効率の低下を抑制し、発光効率の高い発光素子を得る
ことが可能となる。また、当該有機化合物は、キャリア輸送性に優れるため、駆動電圧の
小さい発光素子を提供することが可能となる。
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した
ものとしてもよい。
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。
これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加し
た層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節す
ることが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発
生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
また、発光層のホスト材料と、電子輸送層を構成する材料には、共通する骨格が存在する
ことが好ましい。これによって、キャリアの移動がよりスムーズになり、駆動電圧を低減
させることができる。さらに、上記ホスト材料と、電子輸送層を構成する材料を同じ物質
で構成すると効果が高い。
また、電子輸送層114と第2の電極102との間に、第2の電極102に接して電子
注入層115を設けてもよい。電子注入層115としては、リチウム、カルシウム、フッ
化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等を
用いることができる。また、電子輸送性を有する物質と、当該物質に対する電子供与性を
有する物質(以下単に電子供与性物質と称する)との複合材料を用いることもできる。電
子供与性物質としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を挙げる
ことができる。なお、電子注入層115として、このような複合材料を用いることにより
、第2の電極102からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい構成となる。こ
の構成とすることにより、陰極として、仕事関数の小さい材料だけでなく、その他の導電
材料を用いることも可能となる。
陰極として機能する電極を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.
8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが
できる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属す
る元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシ
ウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等及びこれらを含む合金(MgAg、AlLi)
やユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合
金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極102と電子輸送層との間に、電子注入層
を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは
酸化ケイ素を含有した酸化インジウム-酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極102
として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法
、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用い
ることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用い
ても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない
電極についても、ゾル-ゲル法や、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよ
い。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
なお、第1の電極101と第2の電極102との間に設けられるEL層の構成は、上記
のものには限定されない。しかし、発光領域と電極やキャリア注入層に用いられる金属と
が近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極101および第2の
電極102から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設ける構成が好ましい
また、直接発光層に接する正孔輸送層や電子輸送層、特に発光層113における発光領
域に近い方に接するキャリア輸送層は、発光層で生成した励起子からのエネルギー移動を
抑制するため、そのバンドギャップが発光層を構成する発光物質もしくは、発光層に含ま
れる発光中心物質が有するバンドギャップより大きいバンドギャップを有する物質で構成
することが好ましい。
以上のような構成を有する発光素子は、第1の電極101と第2の電極102との間に
生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層113において
正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成さ
れるような構成となっている。
発光は、第1の電極101または第2の電極102のいずれか一方または両方を通って
外部に取り出される。従って、第1の電極101または第2の電極102のいずれか一方
または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極101のみが透光性を有する電極
である場合、発光は第1の電極101を通って基板側から取り出される。また、第2の電
極102のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極102を通って基板と
逆側から取り出される。第1の電極101および第2の電極102がいずれも透光性を有
する電極である場合、発光は第1の電極101および第2の電極102を通って、基板側
および基板と逆側の両方から取り出される。
本実施の形態における発光素子は、本発明の一形態の有機化合物が用いられており、当
該有機化合物のバンドギャップが大きいことから、発光中心物質が青色の蛍光を呈する物
質や緑のりん光を発する物質であっても、効率良く発光させることができ、発光効率の良
好な発光素子を得ることができるようになる。このことで、より低消費電力の発光素子を
提供することが可能となる。また、本発明の一形態の有機化合物は、キャリアの輸送性に
優れることから、駆動電圧の小さい発光素子を提供することが可能となる。
このような発光素子はガラス、プラスチックなどからなる基板を支持体として作製すれ
ばよい。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の
発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、
トランジスタを形成し、トランジスタと電気的に接続された電極上に当該発光素子を作製
してもよい。これにより、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマ
トリクス型の発光装置を作製できる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子と
もいう)の態様について、図1(B)を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極
と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。一つの発光ユニッ
トは、実施の形態3で示したEL層103と同様な構成を有する。つまり、実施の形態3
で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、
複数の発光ユニットを有する発光素子ということができる。
図1(B)において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユ
ニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511
と第2の発光ユニット512との間には電荷発生層513が設けられている。第1の電極
501と第2の電極502はそれぞれ実施の形態3における第1の電極101と第2の電
極102に相当し、実施の形態3で説明したものと同様なものを適用することができる。
また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異な
る構成であってもよい。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機
化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態3で示した正孔注入層に用いることができ
る複合材料を用いることができる。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾ
ール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)
など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1
×10-6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも
正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属
酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、
低電流駆動を実現することができる。なお、陽極側の界面が電荷発生層に接している発光
ユニットは、電荷発生層が正孔注入層の役割も担うことができるため、正孔注入層を設け
なくとも良い。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と他の材料に
より構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物と
金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸
送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属
酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電
荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方
の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い
。例えば、図1(B)において、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くな
るように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を
注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、3つ以
上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本
実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で
仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長
寿命な素子を実現できる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現する
ことができる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体とし
て、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子
において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係にな
るようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である
。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係に
ある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また
、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニ
ットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニ
ットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
また、一方の発光ユニットではりん光発光を示す発光中心物質を用いた発光層を、他方の
発光ユニットでは蛍光発光を示す発光中心物質を用いた発光層を適用することで、一つの
発光素子において蛍光発光、りん光発光の両方を効率よく発光させることができる。例え
ば、一方の発光ユニットでは、赤色と緑色のりん光発光を得、他方の発光ユニットでは青
色の蛍光発光を得ることで、発光効率の良好な白色発光を得ることができる。
本実施の形態の発光素子は本発明の一形態の有機化合物を含むことから、発光効率の良
好な発光素子とすることができる。また、駆動電圧の小さな発光素子とすることができる
。又、当該有機化合物が含まれる発光ユニットは発光中心物質由来の光を色純度良く得ら
れるため、発光素子全体としての色の調整が容易となる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を用いて作製された発
光装置の一例について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面
図、図3(B)は図3(A)をA-BおよびC-Dで切断した断面図である。この発光装
置は、発光素子618の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース
側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでい
る。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側
は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光
装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものと
する。
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601
と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT62
4とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路
、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板
上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を
基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性樹脂膜を用いることにより形成することができる。
なお、トランジスタの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ
型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されない
。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからな
るものでもよいし、若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方からのみな
るものであってもよい。TFTを構成する半導体層の材料としては、シリコン(Si)及
びゲルマニウム(Ge)等の元素周期表における第14族元素、ガリウムヒ素及びインジ
ウムリン等の化合物、並びに酸化亜鉛及び酸化スズ等の酸化物など、半導体特性を示す物
質であればどのような材料を用いてもよい。半導体特性を示す酸化物(酸化物半導体)と
しては、インジウム、ガリウム、アルミニウム、亜鉛及びスズから選んだ元素の複合酸化
物を用いることができる。例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛を含む酸化インジウム
(Indium Zinc Oxide)、並びに酸化インジウム、酸化ガリウム、及び
酸化亜鉛からなる酸化物(IGZO:Indium Gallium Zinc Oxi
de)をその例に挙げることができる。また、有機半導体を用いても良い。当該半導体層
は、結晶質構造、非晶質構造のどちらの構造であってもよい。また、結晶質構造の半導体
層の具体例としては、単結晶半導体、多結晶半導体、若しくは微結晶半導体が挙げられる
また、上に形成される膜のカバレッジを良好なものとするため、絶縁物614の上端部
または下端部に曲率を有する面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料と
してポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.
2μm乃至3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として
、ネガ型の感光材料、或いはポジ型の感光材料のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成され
ている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数
の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したイン
ジウム錫酸化物膜、2乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜
、クロム膜、タングステン膜、亜鉛膜、白金膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニ
ウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チ
タン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵
抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができ
る。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート
法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、本発明の一形態の有機化合物を
含んでいる。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高
分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材
料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化
合物、MgAg、MgIn、AlLi等)を用いることが好ましい。なお、EL層616
で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を
薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2乃至20wt%の酸化亜鉛を含む酸化イン
ジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用い
るのが良い。
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617でもって、発光素子が形成
されている。当該発光素子は実施の形態3又は実施の形態4の構成を有する発光素子であ
る。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本実施の形態における発
光装置では、実施の形態3又は実施の形態4で説明した構成を有する発光素子と、それ以
外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されてお
り、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、樹脂若しくは乾燥材又はそ
の両方で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。ま
た、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また
、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber
Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエ
ステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を用いて作製された発
光装置を得ることができる。
図4には白色発光を呈する発光素子を形成し、着色層(カラーフィルタ)等を設けるこ
とによってフルカラー化した発光装置の例を示す。図4(A)には基板1001、下地絶
縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1
の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、
駆動回路部1041、発光素子の第1の電極1024W、1024R、1024G、10
24B、隔壁1025、EL層1028、発光素子の第2の電極1029、封止基板10
31、シール材1032などが図示されている。
また、図4(A)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青
色の着色層1034B)は透明な基材1033に設けている。また、黒色層(ブラックマ
トリックス)1035をさらに設けても良い。着色層及び黒色層が設けられた透明な基材
1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び黒色層は、オ
ーバーコート層1036で覆われている。また、図4(A)においては、光が着色層を透
過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり
、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、青、緑となることから、4色の
画素で映像を表現することができる。
図4(B)では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色
層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例
を示した。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていて
も良い。
また、以上に説明した発光装置では、TFTが形成されている基板1001側に光を取
り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を
取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。トップエミッション型
の発光装置の断面図を図5に示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いる
ことができる。TFTと発光素子の陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトム
エミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を電極
1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間
絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の公知の材料を用いて形成する
ことができる。
発光素子の第1の電極1024W、1024R、1024G、1024Bはここでは陽
極とするが、陰極であっても構わない。また、図5のようなトップエミッション型の発光
装置である場合、第1の電極を反射電極とすることが好ましい。EL層1028の構成は
、実施の形態3又は実施の形態4で説明したような構成とし、白色の発光が得られるよう
な素子構造とする。
図4、図5において、白色の発光が得られるEL層の構成としては、発光層を複数層用
いること、複数の発光ユニットを用いることなどにより実現すればよい。なお、白色発光
を得る構成はこれらに限らないことはもちろんである。
図5のようなトップエミッションの構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の
着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うこ
とができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように黒色層(ブラック
マトリックス)1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色
層1034G、青色の着色層1034B)や黒色層(ブラックマトリックス)はオーバー
コート層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用
いることとする。
また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定さ
れず、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。
本実施の形態における発光装置は、実施の形態3又は実施の形態4に記載の発光素子(
本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子)を用いているため、良好な特性を備えた発
光装置を得ることができる。具体的には、本発明の一形態の有機化合物は広いバンドギャ
ップや高い三重項準位を有し、発光物質からのエネルギーの移動を抑制することが可能で
あることから、発光効率の良好な発光素子を提供することができ、もって、消費電力の低
減された発光装置とすることができる。また、本発明の一形態の有機化合物はキャリア輸
送性が高いことから駆動電圧の小さい発光素子を得ることができ、駆動電圧の小さい発光
装置を得ることができる。
ここまでは、アクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、以下からはパッ
シブマトリクス型の発光装置について説明する。図6には本発明を適用して作製したパッ
シブマトリクス型の発光装置の図を示す。なお、図6(A)は、発光装置を示す斜視図、
図6(B)は図6(A)をX-Yで切断した断面図である。図6において、基板951上
には、電極952と電極956との間にはEL層955が設けられている。電極952の
端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けら
れている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁
との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面
は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接
する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しな
い辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光
素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、低
駆動電圧で動作する実施の形態3又は実施の形態4に記載の発光素子(本発明の一形態の
有機化合物を含む発光素子)を有することによって、低消費電力で駆動させることができ
る。また、本発明の一形態の有機化合物を含む発光効率の高い発光素子(実施の形態3又
は実施の形態4に記載の発光素子)を含むことによって、低消費電力で駆動させることが
できる。
以上、説明した発光装置は、マトリクス状に配置された多数の微小な発光素子をそれぞ
れ制御することが可能であるため、画像の表現を行う表示装置として好適に利用できる発
光装置である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態3又は実施の形態4に示す発光素子をその一部に含む電
子機器について説明する。実施の形態3又は実施の形態4に記載の発光素子は、本発明の
一形態の有機化合物を含むことから、消費電力が低減された発光素子であり、その結果、
本実施の形態に記載の電子機器は、消費電力が低減された表示部を有する電子機器とする
ことが可能である。また、実施の形態3又は実施の形態4に記載の発光素子は、駆動電圧
の小さい発光素子であるため、駆動電圧の小さい電子機器とすることが可能である。
上記発光素子を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、または
テレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタ
ルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともい
う)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機な
どが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体71
01に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐
体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが
可能であり、表示部7103は、実施の形態3又は実施の形態4で説明したものと同様の
発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操
作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー710
9により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像
を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機711
0から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一
般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通
信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信
者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キ
ーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む
。なお、このコンピュータは、実施の形態3又は実施の形態4で説明したものと同様の発
光素子をマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成さ
れており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には、実施
の形態3又は実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作
製された表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれて
いる。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体
挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子731
0、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、
磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿
度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン731
2)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なく
とも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に実施の形態3又は実施の
形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部を用
いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図7(C)
に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表
示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有す
る。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能
を有することができる。
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込
まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7
405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機は、実施の形態3又は実施
の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7
402を有している。
図7(D)に示す携帯電話機は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力
することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作
成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする
表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表
示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力
を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場
合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが
好ましい。
また、携帯電話機内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する
検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の
画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操
作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類
によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画
のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表
示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モー
ドから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7
402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。
また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用
光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態5に示した構成を適宜
組み合わせて用いることができる。
以上の様に、実施の形態3又は実施の形態4で説明したような、本発明の一形態の有機
化合物を含む発光素子を備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆ
る分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の一形態の有機化合物を用いるこ
とにより、消費電力の低減された電子機器を得ることができる。また、駆動電圧の小さい
電子機器を得ることができる。
また、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子は、光源装置に用いることもできる
。本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を光源装置に用いる一態様を、図8を用い
て説明する。なお、光源装置とは、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を光の照
射手段として有し、且つ少なくとも当該発光素子へ電流を供給する入出力端子部を有する
ものとする。また、当該発光素子は、封止手段によって、外部雰囲気より遮断されている
ことが好ましい。
図8は、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子をバックライトに適用した液晶表
示装置の一例である。図8に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バック
ライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されてい
る。また、バックライト903には、上記有機化合物を含む発光素子が用いられおり、端
子906により、電流が供給されている。
上記有機化合物を含む発光素子を液晶表示装置のバックライトに適用したことにより、
消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、上記有機化合物を含む発光素子を
用いることで、面発光の照明装置が作製でき、また大面積化も可能である。これにより、
バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、
上記有機化合物を含む発光素子を適用したバックライトは従来と比較し厚みを小さくでき
るため、表示装置の薄型化も可能となる。
図9は、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を、照明装置である電気スタンド
に用いた例である。図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、
光源2002として上記有機化合物を含む発光素子が用いられている。
図10は、本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子を、室内の照明装置3001に
適用した例である。上記有機化合物を含む発光素子は消費電力の低減された発光素子であ
るため、消費電力の低減された照明装置とすることができる。また、上記有機化合物を含
む発光素子は、大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる
。また、上記有機化合物を含む発光素子は厚みが小さいため、薄型化した照明装置を作製
することが可能となる。
本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子は、自動車のフロントガラスやダッシュボ
ードにも搭載することができる。図11に上記有機化合物を含む発光素子を自動車のフロ
ントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。表示領域5000乃至表示領域50
05には上記有機化合物を含む発光素子が設けられている。
表示領域5000と表示領域5001は自動車のフロントガラスに設けられた表示領域
である。上記有機化合物を含む発光素子は、第1の電極と第2の電極を透光性を有する電
極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置
とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置し
たとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトラ
ンジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導
体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
表示領域5002はピラー部分に設けられた表示領域である。表示領域5002には、
車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を
補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示領域500
3は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し
出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完する
ように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
表示領域5004や表示領域5005はナビゲーション情報、速度や回転数、走行距離
、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。
表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。
なお、これら情報は表示領域5000乃至表示領域5003にも表示させることができる
。また、表示領域5000乃至表示領域5005は照明装置として用いることも可能であ
る。
本発明の一形態の有機化合物を含む発光素子は当該有機化合物を含むことによって、駆
動電圧の小さい発光素子とすることができ、または消費電力の小さい発光素子とすること
ができる。このことから、表示領域5000乃至表示領域5005のような大きな画面を
数多く設けても、バッテリーに負荷をかけることが少なく、快適に使用することができる
ことから上記有機化合物を含む発光素子を用いた発光装置または照明装置は、車載用の発
光装置又は照明装置として好適に用いることができる。
図12(A)及び図12(B)は2つ折り可能なタブレット型端末の一例である。図1
2(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a
、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省
電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有す
る。なお、当該タブレット端末は、上記有機化合物を用いた発光素子を備えた発光装置を
表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
表示部9631aは、一部をタッチパネル領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域
がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部963
1aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部96
31aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示
画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一
部をタッチパネル領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
また、タッチパネル領域9632aとタッチパネル領域9632bに対して同時にタッ
チ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向き
を切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替え
スイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外
光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セ
ンサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置
を内蔵させてもよい。
また、図12(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示
しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表
示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネ
ルとしてもよい。
図12(B)は、閉じた状態であり、本実施の形態におけるタブレット型端末では、筐
体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCD
Cコンバータ9636を備える例を示した。なお、図12(B)では充放電制御回路96
34の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成につい
て示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態
にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、
耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図12(A)及び図12(B)に示したタブレット型端末は、様々な
情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻な
どを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ
入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有する
ことができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル
、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は
、筐体9630の一面または二面に設けられていると効率的なバッテリー9635の充電
を行う構成とすることができるため好適である。
また、図12(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図12(
C)にブロック図を示し説明する。図12(C)には、太陽電池9633、バッテリー9
635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3
、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ963
6、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図12(B)に示す充放電制御
回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池9633で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となる
ようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631
の動作に太陽電池9633で充電された電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンに
し、コンバータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとな
る。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオン
にしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、発電手段は特に
限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電
手段によってバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。無線(非接触)で電
力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて
行う構成としてもよく、発電手段を有さなくとも良い。
また、上記表示部9631を具備していれば、図12に示した形状の電子機器に特に限
定されない。
本実施例では、一般式(G1)で表される有機化合物に含まれる、下記構造式(200
)で表される4,4’-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-2,
2’-ビピリジン(略称:4,4’mDBTP2BPy-II)の合成方法及びその物性
について説明する。
Figure 0007008774000059
<合成方法>
500mL3口フラスコに4,4’-ジブロモ-2,2’-ビピリジン3.1g(10m
mol)、3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニルボロン酸6.7g(22mm
ol)、トルエン100mL、エタノール15mL、2M炭酸ナトリウム水溶液15mL
を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。
この混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.43g(0
.37mmol)を加え、窒素気流下、100℃で3.5時間攪拌した。所定時間経過後
、この混合物を60℃に降温し、トルエン100mL、水15mLを加え、固体を吸引ろ
過で回収した。この固体のメタノール懸濁液に、超音波を照射して固体を吸引ろ過した。
得られた固体をトルエンに溶解させ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:
531-16855、以下同じ)、アルミナを通して吸引濾過し、ろ液を濃縮した。得ら
れた固体をトルエンで再結晶し、目的物の白色粉末を収量2.2g、収率32%で得た。
本反応の合成スキームを以下に示す。
Figure 0007008774000060
得られた4,4’-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-2,2’
-ビピリジンの粉末2.2gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精
製は、圧力3.1Pa、アルゴン流量5.0mL/minの条件で行い、加熱は340℃
とした。昇華精製後4,4’mDBTP2BPy-IIの白色粉末を2.0g、回収率9
1%で得た。
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300
MHz):δ=7.47-7.50(m,4H),7.56-7.70(m,8H),7
.83-7.90(m,6H),8.15(s,2H),8.19-8.23(m,4H
),8.78(d,J=5.4Hz,2H),8.82(s,2H)。
また、H NMRチャートを図13(A)、(B)に示す。なお、図13(B)は、
図13(A)における7.00ppmから9.0ppmの範囲を拡大して表したチャート
である。測定結果から、目的物である4,4’mDBTP2BPy-IIが得られたこと
を確認した。
≪4,4’mDBTP2BPy-IIの物性について≫
次に、4,4’mDBTP2BPy-IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光ス
ペクトルを図14(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図14(B)に
示す。スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を
用いた。トルエン溶液のスペクトルは、4,4’mDBTP2BPy-IIのトルエン溶
液を石英セルに入れて測定した。また、薄膜のスペクトルは、4,4’mDBTP2BP
y-IIを石英基板に蒸着してサンプルを作製した。なお、トルエン溶液の吸収スペクト
ルは石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクト
ルを図示し、薄膜の吸収スペクトルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペク
トルを図示した。
図14(A)より、4,4’mDBTP2BPy-IIのトルエン溶液は332nm付
近及び282nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は351nm付近(励起
波長333nm)であった。また、図14(B)より4,4’mDBTP2BPy-II
の薄膜は336nm付近、318nm付近、288nm付近及び246nm付近に吸収ピ
ークが見られ、発光のピーク波長は371nm付近(励起波長274nm)であった。こ
のように、4,4’mDBTP2BPy-IIは非常に短波長な領域に吸収及び発光を示
すことがわかった。
また、薄膜状態の4,4’mDBTP2BPy-IIのイオン化ポテンシャルの値を大
気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC-3)で測定した。得られたイオン化ポテン
シャルの値を、負の値に換算した結果、4,4’mDBTP2BPy-IIのHOMO準
位は-6.38eVであった。図14(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接
遷移を仮定したTaucプロットから求めた4,4’mDBTP2BPy-IIの吸収端
は3.48eVであった。従って、4,4’mDBTP2BPy-IIの固体状態の光学
的バンドギャップは3.48eVと見積もられ、先に得たHOMO準位と、このバンドギ
ャップの値から、4,4’mDBTP2BPy-IIのLUMO準位が-2.90eVと
見積もることができる。このように、4,4’mDBTP2BPy-IIは固体状態にお
いて3.48eVの広いバンドギャップを有していることがわかった。
また、4,4’mDBTP2BPy-IIのりん光発光測定を行った。測定には、顕微
PL装置 LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、測定温度は10K
、励起光としてHe-Cdレーザー(325nm)を用い、検出器にはCCD検出器を用
いた。試料の薄膜は石英基板上に厚さ約50nmで成膜し、その石英基板に対し、窒素雰
囲気中で、蒸着面側から別の石英基板を貼り付けた後、測定に用いた。この結果より、4
,4’mDBTP2BPy-IIのりん光スペクトルにおける最も短波長側のピークは4
70nmに存在し、大きなT1準位を有する物質であることが分かった。
また、4,4’mDBTP2BPy-IIを液体クロマトグラフ質量分析(Liquid
Chromatography Mass Spectrometry,略称:LC/
MS分析)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社
製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ioni
zation、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3
.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに
、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突
させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョ
ンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100から120
0とした。結果を図15に示す。
本実施例では、一般式(G1)で表される有機化合物に含まれる、下記構造式(100
)で表される4,4’-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2’
-ビピリジン(略称:4,4’DBfP2BPy)の合成方法及びその物性について説明
する。
Figure 0007008774000061
<合成方法>
500mL3口フラスコに4,4’-ジブロモ-2,2’-ビピリジン3.1g(10m
mol)、3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニルボロン酸6.4g(22mmol
)、トルエン120mL、エタノール15mL、炭酸ナトリウム3.2g(30mmol
)を水15mLに溶かした水溶液を入れた。この混合物を、減圧下で攪拌することで脱気
し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(0)0.48g(0.42mmol)を加え、窒素気流下、100℃で13
時間攪拌した。所定時間経過後、この混合物に120mLのトルエンと15mLの水を加
え、60℃で3時間攪拌した。所定時間経過後、この混合物を吸引ろ過し、固体を得た。
この固体のメタノール懸濁液に、超音波を照射して固体を吸引ろ過した。得られた固体を
熱トルエンに溶解させ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531-16
855、以下同じ)、アルミナを通して吸引濾過し、ろ液を濃縮した。得られた固体をト
ルエンで再結晶し、目的物の白色粉末を収量3.7g、収率58%で得た。本反応の合成
スキームを以下に示す。
Figure 0007008774000062
得られた4,4’DBfP2BPyの粉末3.7gをトレインサブリメーション法により
昇華精製した。昇華精製は、圧力3.5Pa、アルゴン流量5.0mL/minの条件で
行い、加熱は335℃とした。昇華精製後4,4’DBfP2BPyの白色粉末を2.4
g、回収率65%で得た。
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300
MHz):δ=7.38(t,J=7.2Hz,2H),7.46-7.51(m,4H
),7.61-7.72(m,8H),7.87(d,J=7.2Hz,2H),7.9
9-8.04(m,6H),8.31(s,2H),8.81(d,J=4.8Hz,2
H),8.86(s,2H)。
また、H NMRチャートを図16(A)、(B)に示す。なお、図16(B)は、
図16(A)における7.00ppmから9.0ppmの範囲を拡大して表したチャート
である。測定結果から、目的物である4,4’DBfP2BPyが得られたことを確認し
た。
≪4,4’DBfP2BPyの物性について≫
次に、4,4’DBfP2BPyのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトル
を図17(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図17(B)に示す。ス
ペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。
トルエン溶液のスペクトルは、4,4’DBfP2BPyのトルエン溶液を石英セルに入
れて測定した。また、薄膜のスペクトルは、4,4’DBfP2BPyを石英基板に蒸着
してサンプルを作製した。なお、トルエン溶液の吸収スペクトルは石英セルにトルエンの
みを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示し、薄膜の吸収ス
ペクトルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。
図17(A)より、4,4’DBfP2BPyのトルエン溶液は287nm付近、30
0nm付近及び314nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は344nm付
近(励起波長289nm)であった。また、図17(B)より4,4’DBfP2BPy
の薄膜は314nm付近、301nm付近、291nm付近、254nm付近及び206
nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は366nm付近(励起波長305n
m)であった。このように、4,4’DBfP2BPyは非常に短波長な領域に吸収及び
発光を示すことがわかった。
また、薄膜状態の4,4’DBfP2BPyのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて
光電子分光法(理研計器社製、AC-3)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの
値を、負の値に換算した結果、4,4’DBfP2BPyのHOMO準位は-6.47e
Vであった。図17(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したT
aucプロットから求めた4,4’DBfP2BPyの吸収端は3.73eVであった。
従って、4,4’DBfP2BPyの固体状態の光学的バンドギャップは3.73eVと
見積もられ、先に得たHOMO準位と、このバンドギャップの値から、4,4’DBfP
2BPyのLUMO準位が-2.74eVと見積もることができる。このように、4,4
’DBfP2BPyは固体状態において3.73eVの広いバンドギャップを有している
ことがわかった。
また、4,4’DBfP2BPyのりん光発光測定を行った。測定には、顕微PL装置
LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、測定温度は10K、励起光
としてHe-Cdレーザー(325nm)を用い、検出器にはCCD検出器を用いた。試
料の薄膜は石英基板上に厚さ約50nmで成膜し、その石英基板に対し、窒素雰囲気中で
、蒸着面側から別の石英基板を貼り付けた後、測定に用いた。この結果より、4,4’D
BfP2BPyのりん光スペクトルにおける最も短波長側のピークは467nmに存在し
、大きなT1準位を有する物質であることが分かった。
また、4,4’DBfP2BPyを液体クロマトグラフ質量分析(Liquid Chr
omatography Mass Spectrometry,略称:LC/MS分析
)によって分析した。
LC/MS分析は、ウォーターズ社製Acquity UPLCおよびウォーターズ社
製Xevo G2 Tof MSを用いて行った。
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ioni
zation、略称:ESI)によるイオン化を行った。この時のキャピラリー電圧は3
.0kV、サンプルコーン電圧は30Vとし、検出はポジティブモードで行った。さらに
、以上の条件でイオン化された成分を衝突室(コリジョンセル)内でアルゴンガスと衝突
させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突させる際のエネルギー(コリジョ
ンエネルギー)は70eVとした。なお、測定する質量範囲はm/z=100から120
0とした。結果を図18に示す。
本実施例では、4,4’-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-
2,2’-ビピリジン(略称:4,4’mDBTP2BPy-II)と4,4’-ビス[
3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4’
DBfP2BPy)とを緑色のりん光素子のホスト材料及び電子輸送材料として用いた発
光素子(発光素子1、発光素子2)及び4,4’-ビス[3-(9H-カルバゾール-9
-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4’mCzP2BPy)を緑色
のりん光素子のホスト材料及び電子輸送材料として用いた発光素子(比較発光素子1)に
ついて説明する。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)から(vii)に示
す。素子構造は図1(A)の構造である。
Figure 0007008774000063
≪発光素子1の作製≫
まず、第1の電極101として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表
面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基
板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時
間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が
減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で3
0分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。
真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される、4,4’
,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:D
BT3P-II)、と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P-II:酸化モリブデン
=4:2(重量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。
膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源か
ら同時に蒸発させる蒸着法である。
続いて、上記構造式(ii)で表される3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバ
ゾール)(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(iii)で表される4,4’-ビス[3
-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4
’mDBTP2BPy-II)と、PCCPと、上記構造式(iv)で表されるfac-
トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(略称:[Ir(ppy)])とを、4,
4’mDBTP2BPy-II:PCCP:[Ir(ppy)]=1:0.3:0.0
6(重量比)となるように20nm共蒸着した後、4,4’mDBTP2BPy-II:
[Ir(ppy)]=1:0.06(重量比)となるように20nm共蒸着して発光層
113を形成した。
次に、4,4’mDBTP2BPy-IIを10nm、続いて上記構造式(v)で表さ
れるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸
送層114を形成した。
さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによっ
て電子注入層115を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子1を完成させた。上述した蒸着過程においては
、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子2の作製≫
発光素子2は発光素子1における4,4’mDBTP2BPy-IIを上記構造式(v
i)で表される4,4’-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2
’-ビピリジン(略称:4,4’DBfP2BPy)に換えた他は、発光素子1と同様に
作製した。
≪比較発光素子1の作製≫
比較発光素子1は、発光素子1における4,4’mDBTP2BPy-IIを上記構造
式(vii)で表される4,4’-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニ
ル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4’mCzP2BPy)に換えた他は、発光素
子1と同様に作製した。
≪発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の動作特性≫
以上により得られた発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1を、窒素雰囲気のグロ
ーブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業(シール材を
素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理及び80℃にて1時間熱処理)を行った後、この
発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気
)で行った。
発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1の電流密度-輝度特性を図19に、輝度-
電流効率特性を図20に、電圧-輝度特性を図21に、輝度-外部量子効率特性を図22
に示す。
図20から、発光素子1及び発光素子2は良好な輝度-電流効率特性を示し、発光効率
が良好な発光素子であることがわかった。これより、4,4’mDBTP2BPy-II
及び4,4’DBfP2BPyが、高い三重項準位及び、広いバンドギャップを有し、緑
色のりん光を発する発光物質であっても、有効に励起することができることがわかる。同
様に図22の輝度-外部量子効率も発光素子1及び発光素子2は良好な特性を示している
。また、図21から、発光素子1及び発光素子2は、良好な電圧-輝度特性を示し、駆動
電圧の小さな発光素子であることがわかった。これは、4,4’mDBTP2BPy-I
I及び4,4’DBfP2BPyが、優れたキャリア輸送性を有していることを示してい
る。また、同様に、図19の電流密度-輝度特性も良好な特性を示している。
このように、4,4’mDBTP2BPy-II及び4,4’DBfP2BPyを用い
た発光素子1及び発光素子2は、4,4’mCzP2BPyを同様に用いて作製した比較
発光素子1と比較して、発光効率が顕著に良好である、特性の良好な発光素子であること
がわかった。
続いて、作製した発光素子に0.1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図23
に示す。図23より発光素子1、発光素子2及び比較発光素子1は発光中心物質である[
Ir(ppy)]起因の緑色の発光を呈することがわかった。
次に、これら発光素子の信頼性試験を行った。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/
とし、電流密度一定の条件において、初期輝度を100%とした場合の駆動時間に対
する輝度変化(規格化輝度時間変化)を測定することで行った。結果を図24に示す。こ
の結果より、発光素子1及び発光素子2は比較発光素子1と比較して良好な信頼性を示す
素子であることがわかった。
本実施例では、4,4’-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-
2,2’-ビピリジン(略称:4,4’mDBTP2BPy-II)と4,4’-ビス[
3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4’
DBfP2BPy)とを青色のりん光素子のホスト材料及び電子輸送材料として用いた発
光素子(発光素子3、発光素子4)について説明する。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)から(iii)、(
v)、(vi)、(viii)に示す。素子構造は図1(A)の構造である。
Figure 0007008774000064
≪発光素子3の作製≫
まず、第1の電極101として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表
面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基
板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時
間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が
減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で3
0分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。
真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される、4,4’
,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:D
BT3P-II)、と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P-II:酸化モリブデン
=4:2(重量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。
膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源か
ら同時に蒸発させる蒸着法である。
続いて、上記構造式(ii)で表される3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバ
ゾール)(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(iii)で表される4,4’-ビス[3
-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4
’mDBTP2BPy-II)と、PCCPと、上記構造式(viii)で表されるトリ
ス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1
,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(
略称:[Ir(mpptz-dmp)])とを、PCCP:4,4’mDBTP2BP
y-II:[Ir(mpptz-dmp)]=1:0.3:0.06(重量比)となる
ように30nm共蒸着した後、4,4’mDBTP2BPy-II:[Ir(mpptz
-dmp)]=1:0.06(重量比)となるように10nm共蒸着して発光層113
を形成した。
次に、4,4’mDBTP2BPy-IIを10nm、続いて上記構造式(v)で表さ
れるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸
送層114を形成した。
さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによっ
て電子注入層115を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子3を完成させた。上述した蒸着過程においては
、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子4の作製≫
発光素子4は発光素子3における4,4’mDBTP2BPy-IIを上記構造式(v
i)で表される4,4’-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2
’-ビピリジン(略称:4,4’DBfP2BPy)に換えた他は、発光素子3と同様に
作製した。
≪発光素子3及び発光素子4の動作特性≫
以上により得られた発光素子3及び発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内に
おいて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布
し、封止時にUV処理及び80℃にて1時間熱処理)を行った後、この発光素子の動作特
性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子3及び発光素子4の電流密度-輝度特性を図25に、輝度-電流効率特性を図2
6に、電圧-輝度特性を図27に、輝度-外部量子効率特性を図28に示す。
図26から、発光素子3及び発光素子4は良好な輝度-電流効率特性を示し、発光効率
が良好な発光素子であることがわかった。これより、4,4’mDBTP2BPy-II
及び4,4’DBfP2BPyが、高い三重項準位及び、広いバンドギャップを有し、青
色のりん光を発する発光物質であっても、有効に励起することができることがわかる。同
様に図28の輝度-外部量子効率も発光素子3及び発光素子4は良好な特性を示している
。また、図27から、発光素子3及び発光素子4は、良好な電圧-輝度特性を示し、駆動
電圧の小さな発光素子であることがわかった。これは、4,4’mDBTP2BPy-I
I及び4,4’DBfP2BPyが、優れたキャリア輸送性を有していることを示してい
る。また、同様に、図25の電流密度-輝度特性も良好な特性を示している。
続いて、作製した発光素子3及び発光素子4に0.1mAの電流を流したときの発光ス
ペクトルを図29に示す。図29より発光素子3及び発光素子4は発光中心物質である[
Ir(mpptz-dmp)]起因の青色の発光を呈することがわかった。
本実施例では、一般式(G0)で表される有機化合物に含まれる、下記構造式(400
)で表される3,5-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリジン
(略称:3,5mDBTP2Py)の合成方法及びその物性について説明する。
Figure 0007008774000065
<合成方法>
1.6g(6.8mmol)の3,5-ジブロモピリジンと、4.5g(15mmol
)の3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニルボロン酸と、0.20g(0.66
mmol)のトリス(2-メチルフェニル)ホスフィンを200mL三口フラスコに入れ
、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に15mLの2M炭酸カリウム水溶液と25m
Lのトルエン、8.5mLのエタノールを加え、減圧下で攪拌することにより脱気した。
この混合物に30mg(0.13mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流
下、90℃で6時間攪拌した。所定時間経過後、この混合物の有機層と水層を分離し、水
層をクロロホルムで抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせ、水と、飽和食塩水と
で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然濾過により濾別し、濾
液を濃縮して褐色油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展
開溶媒;トルエン、次いでトルエン:酢酸エチル=20:1)により精製した。得られた
フラクションを濃縮して白色固体を得た。この固体をトルエンで再結晶したところ、白色
固体を得た。この白色固体を高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)(展開溶媒
;クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮し、白色固体を得た。こ
の固体にヘキサンを加えて超音波を照射し、固体を吸引ろ過により濾取したところ、目的
物である白色固体を収量2.0g、収率50%で得た。本反応の合成スキームを以下に示
す。
Figure 0007008774000066
得られた白色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧
力3.2Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色固体を310℃で加熱して行
った。昇華精製後、白色固体を収量1.6g、回収率85%で得た。
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,30
0MHz):δ=7.41-7.52(m,4H),7.56-7.69(m,6H),
7.72-7.82(m,6H),8.07-8.08(m,2H),8.17-8.2
1(m,4H),8.23-8.25(m,1H),8.97(d,J=2.1Hz,2
H)
また、H NMRチャートを図30(A)、(B)に示す。なお、図30(B)は、
図30(A)における7.00ppmから9.5ppmの範囲を拡大して表したチャート
である。測定結果から、目的物である3,5mDBTP2Pyが得られたことを確認した
≪3,5mDBTP2Pyの物性について≫
次に、3,5mDBTP2Pyのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図31(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図31(B)に示す。スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。ト
ルエン溶液のスペクトルは、3,5mDBTP2Pyのトルエン溶液を石英セルに入れて
測定した。また、薄膜のスペクトルは、3,5mDBTP2Pyを石英基板に蒸着してサ
ンプルを作製した。なお、トルエン溶液の吸収スペクトルは石英セルにトルエンのみを入
れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示し、薄膜の吸収スペクト
ルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。
図31(A)より、3,5mDBTP2Pyのトルエン溶液は331nm付近、319
nm付近及び283nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は352nm付近
(励起波長289nm)であった。また、図31(B)より3,5mDBTP2Pyの薄
膜は332nm付近、315nm付近、284nm付近、272nm付近、240nm付
近及び220nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は369nm付近(励起
波長274nm)であった。このように、3,5mDBTP2Pyは非常に短波長な領域
に吸収及び発光を示すことがわかった。
また、薄膜状態の3,5mDBTP2Pyのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC-3)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、3,5mDBTP2PyのHOMO準位は-6.42eVで
あった。図31(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めた3,5mDBTP2Pyの吸収端は3.49eVであった。従って
、3,5mDBTP2Pyの固体状態の光学的バンドギャップは3.49eVと見積もら
れ、先に得たHOMO準位と、このバンドギャップの値から、3,5mDBTP2Pyの
LUMO準位が-2.93eVと見積もることができる。このように、3,5mDBTP
2Pyは固体状態において3.49eVの広いバンドギャップを有していることがわかっ
た。
また、3,5mDBTP2Pyのりん光発光測定を行った。測定には、顕微PL装置
LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、測定温度は10K、励起光と
してHe-Cdレーザー(325nm)を用い、検出器にはCCD検出器を用いた。試料
の薄膜は石英基板上に厚さ約50nmで成膜し、その石英基板に対し、窒素雰囲気中で、
蒸着面側から別の石英基板を貼り付けた後、測定に用いた。この結果より、3,5mDB
TP2Pyのりん光スペクトルにおける最も短波長側のピークは472nmに存在し、大
きなT1準位を有する物質であることが分かった。
本実施例では、一般式(G0)で表される有機化合物に含まれる、下記構造式(300
)で表される3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略
称:3,5mDBFP2Py)の合成方法及びその物性について説明する。
Figure 0007008774000067
<合成方法>
1.7g(7.2mmol)の3,5-ジブロモピリジンと、4.5g(16mmol
)の3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニルボロン酸と、0.22g(0.72mm
ol)のトリス(2-メチルフェニル)ホスフィンを200mL三口フラスコに入れ、フ
ラスコ内を窒素置換した。この混合物に16mLの2M炭酸カリウム水溶液と、27mL
のトルエン、9.0mLのエタノールを加え、減圧下で攪拌することにより脱気した。こ
の混合物に32mg(0.14mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下
、90℃で6時間攪拌した。所定時間経過後、この混合物を有機層と水層に分離し、水層
をクロロホルムで抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせ、水と、飽和食塩水で洗
浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然濾過により濾別し、濾液を
濃縮して褐色固体を得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;
トルエン次いでトルエン:酢酸エチル=20:1)により精製した。得られたフラクショ
ンを濃縮して白色固体を得た。この白色固体を高速液体カラムクロマトグラフィー(HP
LC)(展開溶媒;クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮し、白
色固体を得た。この固体にヘキサンを加えて超音波を照射し、固体を吸引ろ過により濾取
したところ、目的物である白色固体を収量1.6g、収率40%で得た。
Figure 0007008774000068
得られた3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:
3,5mDBFP2Py)1.6gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。
昇華精製は、圧力3.6Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色固体を280
℃で加熱して行った。昇華精製後、白色固体を収量1.4g、回収率88%で得た。
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,30
0MHz):δ=7.34-7.49(m,6H),7.58(d,J=7.8Hz,2
H),7.66-7.77(m,6H),7.97-8.02(m、6H),8.21-
8.22(m,2H),8.27-8.28(m,1H),8.99(d,J=2.4H
z,2H)
また、H NMRチャートを図32(A)、(B)に示す。なお、図32(B)は、
図32(A)における7.00ppmから9.5ppmの範囲を拡大して表したチャート
である。測定結果から、目的物である3,5mDBFP2Pyが得られたことを確認した
≪3,5mDBFP2Pyの物性について≫
次に、3,5mDBFP2Pyのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを
図33(A)に、薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを図33(B)に示す。スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。ト
ルエン溶液のスペクトルは、3,5mDBFP2Pyのトルエン溶液を石英セルに入れて
測定した。また、薄膜のスペクトルは、3,5mDBFP2Pyを石英基板に蒸着してサ
ンプルを作製した。なお、トルエン溶液の吸収スペクトルは石英セルにトルエンのみを入
れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示し、薄膜の吸収スペクト
ルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。
図33(A)より、3,5mDBFP2Pyのトルエン溶液は314nm付近及び28
8nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は342nm付近及び332nm付
近(励起波長292nm)であった。また、図33(B)より3,5mDBFP2Pyの
薄膜は316nm付近、304nm付近、293nm付近、272nm付近、250nm
付近及び206nm付近に吸収ピークが見られ、発光のピーク波長は356nm付近及び
341nm付近(励起波長305nm)であった。このように、3,5mDBFP2Py
は非常に短波長な領域に吸収及び発光を示すことがわかった。
また、薄膜状態の3,5mDBFP2Pyのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光
電子分光法(理研計器社製、AC-3)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値
を、負の値に換算した結果、3,5mDBFP2PyのHOMO準位は-6.49eVで
あった。図33(B)の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTau
cプロットから求めた3,5mDBFP2Pyの吸収端は3.69eVであった。従って
、3,5mDBFP2Pyの固体状態の光学的バンドギャップは3.69eVと見積もら
れ、先に得たHOMO準位と、このバンドギャップの値から、3,5mDBFP2Pyの
LUMO準位が-2.80eVと見積もることができる。このように、3,5mDBFP
2Pyは固体状態において3.69eVの広いバンドギャップを有していることがわかっ
た。
また、3,5mDBFP2Pyのりん光発光測定を行った。測定には、顕微PL装置
LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、測定温度は10K、励起光と
してHe-Cdレーザー(325nm)を用い、検出器にはCCD検出器を用いた。試料
の薄膜は石英基板上に厚さ約50nmで成膜し、その石英基板に対し、窒素雰囲気中で、
蒸着面側から別の石英基板を貼り付けた後、測定に用いた。この結果より、3,5mDB
FP2Pyのりん光スペクトルにおける最も短波長側のピークは467nmに存在し、大
きなT1準位を有する物質であることが分かった。
本実施例では、3,5-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリ
ジン(略称:3,5mDBTP2Py)と3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イ
ル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mDBFP2Py)とを青色のりん光素子のホス
ト材料及び電子輸送材料として用いた発光素子(発光素子5、発光素子6)について説明
する。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)、(ii)、(v)
、(viii)、(ix)、(x)に示す。素子構造は図1(A)の構造である。
Figure 0007008774000069
≪発光素子5の作製≫
まず、第1の電極101として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表
面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基
板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時
間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が
減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で3
0分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。
真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される、4,4’
,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:D
BT3P-II)、と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P-II:酸化モリブデン
=4:2(重量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。
膜厚は60nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源か
ら同時に蒸発させる蒸着法である。
続いて、上記構造式(ii)で表される3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバ
ゾール)(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ix)で表される3,5-ビス[3-(
ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mDBTP2Py)
と、PCCPと、上記構造式(viii)で表されるトリス{2-[5-(2-メチルフ
ェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-
イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-d
mp)])とを、PCCP:3,5mDBTP2Py:[Ir(mpptz-dmp)
]=1:0.3:0.06(重量比)となるように30nm共蒸着した後、3,5mD
BTP2Py:[Ir(mpptz-dmp)]=1:0.06(重量比)となるよう
に10nm共蒸着して発光層113を形成した。
次に、3,5mDBTP2Pyを10nm、続いて上記構造式(v)で表されるバソフ
ェナントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114
を形成した。
さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによっ
て電子注入層115を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子5を完成させた。上述した蒸着過程においては
、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子6の作製≫
発光素子6は発光素子5における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(x)で表され
る3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5
mDBFP2Py)に換えた他は、発光素子5と同様に作製した。
≪発光素子5及び発光素子6の動作特性≫
以上により得られた発光素子5及び発光素子6を、窒素雰囲気のグローブボックス内に
おいて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布
し、封止時にUV処理及び80℃にて1時間熱処理)を行った後、この発光素子の動作特
性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子5及び発光素子6の電流密度-輝度特性を図34に、輝度-電流効率特性を図3
5に、電圧-輝度特性を図36に、輝度-外部量子効率特性を図37に示す。
図35から、発光素子5及び発光素子6は良好な輝度-電流効率特性を示し、発光効率
が良好な発光素子であることがわかった。これより、3,5mDBTP2Py及び3,5
mDBFP2Pyが、高い三重項準位及び、広いバンドギャップを有し、青色のりん光を
発する発光物質であっても、有効に励起することができることがわかる。同様に図37の
輝度-外部量子効率も発光素子5及び発光素子6は良好な特性を示している。また、図3
6から、発光素子5及び発光素子6は、良好な電圧-輝度特性を示し、駆動電圧の小さな
発光素子であることがわかった。これは、3,5mDBTP2Py及び3,5mDBFP
2Pyが、優れたキャリア輸送性を有していることを示している。また、同様に、図34
の電流密度-輝度特性も良好な特性を示している。
続いて、作製した発光素子5及び発光素子6に0.1mAの電流を流したときの発光ス
ペクトルを図38に示す。図38より発光素子5及び発光素子6は発光中心物質である[
Ir(mpptz-dmp)]起因の青色の発光を呈することがわかった。
なお、発光素子5における3,5mDBTP2Pyのピリジン骨格がピリミジン骨格で
ある有機化合物に換えた比較発光素子2も作製した。発光素子5は比較発光素子2と比較
して外部量子効率が良好な発光素子であった。また、スペクトルもシャープであり、色純
度が良好な発光素子であることがわかった。
本実施例では、3,5-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリ
ジン(略称:3,5mDBTP2Py)と3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イ
ル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mDBFP2Py)とを緑色のりん光素子のホス
ト材料及び電子輸送材料として用いた発光素子(発光素子7、発光素子8)について説明
する。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)、(ii)、(iv
)、(v)、(ix)、(x)、(xii)に示す。素子構造は図1(A)の構造である
Figure 0007008774000070
≪発光素子7の作製≫
まず、第1の電極101として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表
面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基
板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時
間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が
減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で3
0分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。
真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される、4,4’
,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:D
BT3P-II)、と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P-II:酸化モリブデン
=4:2(重量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。
膜厚は60nmとした。
続いて、上記構造式(xii)で表される4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオ
レン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を20nm蒸着することに
より正孔輸送層112を形成した。
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ix)で表される3,5-ビス[3-(
ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mDBTP2Py)
と、上記構造式(ii)で表される3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール
)(略称:PCCP)と、上記構造式(iv)で表されるfac-トリス(2-フェニル
ピリジン)イリジウム(略称:[Ir(ppy)])とを、3,5mDBTP2Py:
PCCP:[Ir(ppy)]=0.8:0.2:0.06(重量比)となるように4
0nm共蒸着して発光層113を形成した。
次に、3,5mDBTP2Pyを10nm、続いて上記構造式(v)で表されるバソフ
ェナントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114
を形成した。
さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによっ
て電子注入層115を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子7を完成させた。上述した蒸着過程においては
、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子8の作製≫
発光素子8は発光素子7における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(x)で表され
る3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5
mDBFP2Py)に換えた他は、発光素子7と同様に作製した。
≪発光素子7及び発光素子8の動作特性≫
以上により得られた発光素子7及び発光素子8を、窒素雰囲気のグローブボックス内に
おいて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布
し、封止時にUV処理及び80℃にて1時間熱処理)を行った後、この発光素子の動作特
性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子7及び発光素子8の電流密度-輝度特性を図39に、輝度-電流効率特性を図
40に、電圧-輝度特性を図41に、輝度-外部量子効率特性を図42に示す。
図40から、発光素子7及び発光素子8は良好な輝度-電流効率特性を示し、発光効率
が良好な発光素子であることがわかった。これより、3,5mDBTP2Py及び3,5
mDBFP2Pyが、高い三重項準位及び、広いバンドギャップを有し、緑色のりん光を
発する発光物質であっても、有効に励起することができることがわかる。同様に図42の
輝度-外部量子効率も発光素子7及び発光素子8は良好な特性を示している。また、図4
1から、発光素子7及び発光素子8は、良好な電圧-輝度特性を示し、駆動電圧の小さな
発光素子であることがわかった。これは、3,5mDBTP2Py及び3,5mDBFP
2Pyが、優れたキャリア輸送性を有していることを示している。また、同様に、図39
の電流密度-輝度特性も良好な特性を示している。
このように、3,5mDBTP2Py及び3,5mDBFP2Pyを用いた発光素子7
及び発光素子8は、発光効率が良く特性の良好な発光素子であることがわかった。
続いて、作製した発光素子に2.5mA/cmの電流密度で電流を流したときの発光
スペクトルを図43に示す。図43より発光素子7及び発光素子8は発光中心物質である
[Ir(ppy)]起因の緑色の発光を呈することがわかった。
次に、これら発光素子の信頼性試験を行った。信頼性試験は、初期輝度を5000cd
/mとし、電流密度一定の条件において、初期輝度を100%とした場合の駆動時間に
対する輝度変化(規格化輝度時間変化)を測定することで行った。結果を図44に示す。
この結果より、発光素子7及び発光素子8良好な信頼性を示す素子であることがわかった
本実施例では、正孔輸送層の材料、発光層のホスト材料及び電子輸送層の材料が異なる
発光素子(発光素子9乃至13、比較発光素子3及び比較発光素子4)の信頼性について
示す。
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式(i)、(ii)、(iv
)、(v)、(ix)、(x)、(xii)、(xiii)に示す。素子構造は図1(A
)の構造である。
Figure 0007008774000071
≪発光素子9の作製≫
まず、第1の電極101として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(
ITSO)が成膜されたガラス基板を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表
面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基
板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時
間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が
減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で3
0分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられ
たホルダーに固定した。
真空蒸着装置内を10-4Paに減圧した後、上記構造式(i)で表される、4,4’
,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:D
BT3P-II)、と酸化モリブデン(VI)とを、DBT3P-II:酸化モリブデン
=4:2(重量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。
膜厚は60nmとした。
続いて、上記構造式(ii)で表される3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバ
ゾール)(略称:PCCP)を20nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ix)で表される3,5-ビス[3-(
ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,5mDBTP2Py)
、PCCP、及び上記構造式(iv)で表されるfac-トリス(2-フェニルピリジン
)イリジウム(略称:[Ir(ppy)])とを、3,5mDBTP2Py:PCCP
:[Ir(ppy)]=0.8:0.2:0.06(重量比)となるように40nm共
蒸着して発光層113を形成した。
次に、3,5mDBTP2Pyを10nm、続いて上記構造式(v)で表されるバソフ
ェナントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114
を形成した。
さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによっ
て電子注入層115を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてア
ルミニウムを200nm成膜し、発光素子9を完成させた。上述した蒸着過程においては
、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
≪発光素子10の作製≫
発光素子10は発光素子9における正孔輸送層のPCCPを、上記構造式(xii)で
表される4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミ
ン(略称:BPAFLP)に替えた他は、発光素子9と同様に作製した。
≪発光素子11の作製≫
発光素子11は発光素子9における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(x)で表さ
れる3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3,
5mDBFP2Py)に替えた他は、発光素子9と同様に作製した。
≪発光素子12の作製≫
発光素子12は発光素子10における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(x)で表
される3,5-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]ピリジン(略称:3
,5mDBFP2Py)に替えた他は、発光素子10と同様に作製した。
≪比較発光素子3の作製≫
比較発光素子3は発光素子9における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(xiii
)で表される3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン
(略称:35DCzPPy)に替えた他は、発光素子9と同様に作製した。
≪比較発光素子4の作製≫
比較発光素子4は発光素子10における3,5mDBTP2Pyを上記構造式(xii
i)で表される3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジ
ン(略称:35DCzPPy)に替えた他は、発光素子10と同様に作製した。
発光素子9乃至発光素子12、比較発光素子3及び比較発光素子4の正孔輸送層の材料
、発光層のホスト材料及び電子輸送層の材料をまとめた表を以下に示す。
Figure 0007008774000072
これら発光素子の信頼性試験を行った。信頼性試験は、初期輝度を5000cd/m
とし、電流密度一定の条件において、初期輝度を100%とした場合の駆動時間に対する
輝度変化(規格化輝度時間変化)を測定することで行った。結果を図45に示す。
比較発光素子3及び比較発光素子4はそれぞれ190時間及び150時間で初期輝度の
50%まで輝度が低下したが、発光素子9及び10は370時間経過後にそれぞれ初期輝
度の61%及び60%、発光素子11及び発光素子12は340時間経過後にそれぞれ初
期輝度の51%及び53%を保っており、本発明の一態様の有機化合物を用いた発光素子
は、信頼性の良好な発光素子であることがわかった。
101 第1の電極
102 第2の電極
103 EL層
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 駆動回路部(ソース側駆動回路)
602 画素部
603 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 EL層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 EL層
956 電極
1001 基板
1002 下地絶縁膜
1003 ゲート絶縁膜
1006 ゲート電極
1007 ゲート電極
1008 ゲート電極
1020 第1の層間絶縁膜
1021 第2の層間絶縁膜
1022 電極
1024W 発光素子の第1の電極
1024R 発光素子の第1の電極
1024G 発光素子の第1の電極
1024B 発光素子の第1の電極
1025 隔壁
1028 EL層
1029 発光素子の第2の電極
1031 封止基板
1032 シール材
1033 透明な基材
1034R 赤色の着色層
1034G 緑色の着色層
1034B 青色の着色層
1035 黒色層(ブラックマトリックス)
1036 オーバーコート層
1037 第3の層間絶縁膜
1040 画素部
1041 駆動回路部
1042 周辺部
1201 ソース電極
1202 活性層
1203 ドレイン電極
1204 ゲート電極
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
5000 表示領域
5001 表示領域
5002 表示領域
5003 表示領域
5004 表示領域
5005 表示領域
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a タッチパネル領域
9632b タッチパネル領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 操作キー
9638 コンバータ
9639 キーボード表示切り替えボタン
9033 留め具
9034 表示モード切り替えスイッチ
9035 電源スイッチ
9036 省電力モード切り替えスイッチ
9038 操作スイッチ

Claims (11)

  1. 下記一般式(G3)で表される有機化合物(ただし、下記構造式(100)及び構造式(200)で表される有機化合物を除く)
    Figure 0007008774000073

    (ただし、式中R乃至Rは一つが下記一般式(A-1)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかであり、R乃至Rは一つが下記一般式(A-2)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれかを表す。)
    Figure 0007008774000074

    (一般式(A-1)及び一般式(A-2)中、R10乃至R16及びR20乃至R26はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素数6乃至13のアリーレン基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
    Figure 0007008774000075

    Figure 0007008774000076
  2. 下記一般式(G4)で表される有機化合物(ただし、下記構造式(100)及び構造式(200)で表される有機化合物を除く)
    Figure 0007008774000077

    (ただし、式中R乃至Rは一つが下記一般式(A-3)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一であり、R乃至Rは一つが下記一般式(A-4)で表される基であり、残りがそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。)
    Figure 0007008774000078

    (一般式(A-3)及び一般式(A-4)中、R10乃至R16、R20乃至R26及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
    Figure 0007008774000079

    Figure 0007008774000080
  3. 下記一般式(G5)で表される有機化合物(ただし、下記構造式(100)及び構造式(200)で表される有機化合物を除く)
    Figure 0007008774000081

    (一般式(G5)中、R、R、R、R、R、R、R10乃至R16、R20乃至R26及びR30乃至R37はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び炭素数6乃至13のアリール基のいずれか一を表す。また、Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
    Figure 0007008774000082

    Figure 0007008774000083
  4. 一対の電極と、
    前記一対の電極に挟まれた有機化合物を含む層とを有し、
    前記有機化合物を含む層は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の有機化合物を含む発光素子。
  5. 一対の電極と、
    前記一対の電極に挟まれた有機化合物を含む層とを有し、
    前記有機化合物を含む層は、少なくとも発光層を有し、
    前記発光層は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の有機化合物を含む発光素子。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子を有するディスプレイモジュール。
  7. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子を有する照明モジュール。
  8. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子と、前記発光素子を制御する手段を備えた発光装置。
  9. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子を表示部に有し、前記発光素子を制御する手段を備えた表示装置。
  10. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子を照明部に有し、前記発光素子を制御する手段を備えた照明装置。
  11. 請求項4又は請求項5に記載の発光素子を有する電子機器。
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