JP7008423B2 - 栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラム - Google Patents

栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラムに関する。
従来、自然環境の二酸化炭素濃度以上に二酸化炭素濃度を高めた環境のもとで植物を栽培することは、それにより得られる作物の品質向上及び生産性向上の観点から有効であることが知られている(特許文献1参照)。
露地栽培の植物に二酸化炭素を施用しようとしても、植物が吸収する量に比べて二酸化炭素が拡散する量の方が多くなる。栽培施設内で植物を栽培して二酸化炭素を施用すれば、二酸化炭素が拡散しにくくなる。ただし、栽培施設の内部温度が日射等の影響により上昇することがある。これを避けるために、栽培施設に外気を入れて温度を調整すると、施用するための二酸化炭素が栽培施設から流出することが懸念される。このように、自然環境の二酸化炭素濃度より高い二酸化炭素濃度の環境で植物を栽培することは容易ではない。
ところで、蜂等の生物を利用して、栽培対象の植物の受粉を促進させる栽培方法が知られている。
特開平8-66126号公報
しかしながら、植物の種類によって、植物の成長過程の内、受粉に適した段階と二酸化炭素を施用すべき段階とが重なるものが有る。このような植物の栽培に関し、受粉の促進と二酸化炭素の施用をより効率よく実施することが必要とされる。
本発明が解決しようとする課題は、対象の植物の受粉の促進と二酸化炭素の施用をより効率よく両立することができる栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラムを提供することにある。
(1)本発明の一態様の栽培環境制御システムは、栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御する栽培環境制御システムであって、前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度を調整するCO2濃度調整手段と、前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御する制御部と、を備え、記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する栽培環境制御システムである。
本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記二酸化炭素を施用する時間帯には、夕方が含まれる。
(2)本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記二酸化炭素を施用する時間帯は、日射が有る時間帯又は補光中の期間が含まれる。
(3)本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記制御部は、前記栽培施設の外気温度又は前記栽培施設内の温度に基づいて前記虫の活動が推定されて、前記推定の結果に基づいて予め決定された制御のスケジュールにおける時間帯をさけて前記二酸化炭素を施用する。
(4)本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記制御部は、前記による受粉活動に影響を与える二酸化炭素濃度より前記栽培施設内二酸化炭素濃度が低くなるように前記二酸化炭素を施用する。
(5)本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記制御部は、前記栽培施設内に外気の流入を許可する状態にある場合には、前記局所区画に対する二酸化炭素の施用を停止する。
(6)本発明の一態様の栽培環境制御システムにおいて、前記局所区画内の二酸化炭素濃度の変動範囲は、前記植物の生理又は前記の生理に基づいて決定される。
(7)本発明の一態様の栽培システムは、栽培施設において、植物を栽培するための栽培システムであって、前記植物の栽培床を囲むように配置され、前記植物を栽培する環境が調整される局所区画を内側に形成する局所区画形成手段と、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度を調整するCO2濃度調整手段と、前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御する制御部と、を備え、記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する栽培システムである。
(8)本発明の一態様の栽培システムにおいて、前記局所区画形成手段は、前記植物の丈に基づいて決定された高さの局所区画壁を含む。
(9)本発明の一態様の栽培システムにおいて、前記局所区画形成手段は、前記局所区画を閉じる可動蓋を有する。
(10)本発明の一態様の栽培システムにおいて、栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御する栽培環境制御方法であって、前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度をCO2濃度調整手段に調整させて、前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御して、記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する栽培環境制御方法である。
(11)本発明の一態様は、栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御するコンピュータに、前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度をCO2濃度調整手段に調整させるステップと、前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御して、記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施するステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、対象の植物の受粉の促進と二酸化炭素の施用をより効率よく両立することができる栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラムを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る栽培環境制御システムを適用する栽培システムの概要について説明するための図である。 図1に示す栽培システムの立面図である。 実施形態に係る局所区画部を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。 実施形態に係る栽培環境制御システムの構成図である。 実施形態に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態の変形例その2に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。 第1の実施形態の変形例その2に係る栽培環境制御の概要について説明するための図である。 第1の実施形態の変形例その2に係る栽培環境制御の適用例について説明するための図である。 第2の実施形態に係る栽培床周りについて説明するための説明図である。 実施形態に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。 第3の実施形態に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。 第4の実施形態に係る栽培環境制御の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態の栽培環境制御システム、栽培システム、栽培環境制御方法、及びプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る栽培環境制御システムを適用する栽培システムの概要について説明するための図である。図2は、図1のA-A’面側から見た栽培システムの立面図である。図3は、実施形態に係る局所区画部(後述のタイプ1)を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。図3に示す断面図は、図1と図2に示すB-B’断面の局所区画部を示すものである。
[栽培環境]
・栽培施設
実施形態の栽培施設2は、農業ハウス等とも称され、ビニルシート等の樹脂シートでドーム状にしたものや、ガラス等を枠組したハウス等、植物3を栽培するのに用いられるすべての温室構造体が含まれる。栽培施設2は、内外の温度差があるときに断熱効果をあげるため、樹脂シート又はガラス等により2重に構成されていてもよい。
その内部の植栽区域には、植物3を栽培するための栽培床4が配置される。植栽区域には栽培床4の他に、栽培床4に対して作業者が植物3を栽培するための作業、資材の搬入、収穫物の搬送などを行う通路、並びに作業に利用するための空間等が含まれてもよい。
例えば、栽培施設2は、自然光(太陽光)を利用して、その内部で植物3の栽培を可能とする。なお、栽培施設2は、日照量などを補う補光光源を内部に設けてもよいし、植物工場などのように光源を用いてもよい。
図1に示す栽培施設2は、側壁部21、22、23、24と、屋根部25とを有する。側壁部21、22、23、24を纏めて示す場合には、側壁部20ということがある。
栽培施設2は、開度を調整可能な開口部を有する。その開口部の開度を調整することで、植栽区域が過度に高温になることを抑制できる。例えば、図1と図2に示す側壁部23と側壁部24は、外気を取り入れる開口部231、241を有する。側壁部20の面積に対する各開口部の面積の比率に制限はない。開口部231、241には、窓開閉装置8として構成される窓が設けられている。開口部231、241は、窓等を利用して閉じることができ、窓を閉じた状態であれば、外部からの外気の流入が制限される。或いは、外部との空気の出入りが制限される。例えば、側壁部20と開口部231、241に設けられた窓(窓開閉装置8)は、自然光の透過性がある樹脂シート又はガラス等の部材で形成される。図2に示す窓開閉装置8は、その窓を開いた状態のものであり、窓の開度は適宜調整することができる。
屋根部25は、同様に自然光の透過性がある部材で形成される。
栽培施設2は、窓開閉装置8によりその開口部231、241を塞ぐことにより、外気の流入が制限され、その状態で自然光を受けるとその内部の温度が上昇する。例えば、上記の窓開閉装置8による窓の開閉及び開度の調整により、栽培施設の内部の温度を調整することができる。
なお、上記の開口部231、241の他に、側壁部21、22、屋根部25などに他の開口部を設けて、当該開口部に、当該開口部を塞ぐように不図示の窓開閉装置8を設けてもよい。
さらに、栽培施設2には、栽培床4の上方にカーテン11を設けてもよい。カーテン11には、目的により遮蔽用のものと、保温用のものなどが使い分けられる。遮蔽用のカーテン11は、主に夏季に利用され日射量を調整する目的で利用される。
保温用のカーテン11は、主に冬季に利用され放射冷却を低減し、栽培施設2の外部との断熱性を高めて、栽培床4周辺を保温する目的で利用される。例えば、保温用のカーテン11は、補光光源等から発生する熱が植栽区域の暖房としても使用できるように、補光光源及びその下の植物3を栽培している植栽区域を覆うように配置される。例えば、保温用のカーテン11は、夕方から朝までの間に栽培施設2の外部の温度(以下、外気温TOという。)が過度に低下する際に、保温用のカーテン11で栽培床4の上部を覆う。これにより、植物3(作物)を外気温TOの過度の低下から守ることができる。又、保温用のカーテン11によって、栽培施設2におけるその上部の空間(栽培施設2の屋根側)と下部の空間(栽培床4側)との間の直接的な対流を断つことができる。これにより、昼間の外気温TOが低い場合などに、栽培施設2における保温用のカーテン11より下部の空間の温度の低下を抑制して、後述する受粉手段70として利用する生物(蜂71)の活動が活性化するように温度を調整することが容易になる。
・栽培床4を囲む局所区画部(局所区画形成手段)
局所区画部5(局所区画形成手段)は、その栽培施設2の内部に設けられた植物3の栽培床4を囲み、植物3を栽培するための局所区画をその内部に形成する。局所区画部5は、底部51と、植物3の丈に基づいて決定された高さの局所区画壁52、53とを含む。局所区画部5は、底部51と局所区画壁52、53などの局所区画壁とにより容器状に構成されている。なお、底部51は、その一部又は全部が栽培床4として構成されていてもよい。実施形態では、後述するように植物3に二酸化炭素(以下、CO2という。)を施用するときがある。
ところで、CO2とは、空気より比重が重い。容器状に構成された局所区画部5内に、植物3に施用させるためのCO2が溜まることにより、CO2を栽培床4上に留めておくことができる。
局所区画部5には、栽培床4の上部を開放した開放型と、栽培床4の上部を閉塞可能とする密閉型の何れかを適用できる。例えば、上記の底部51と局所区画壁52、53が設けられることは、開放型と密閉型とに共通する。
なお、図3に示す密閉型の局所区画部5には、栽培床4が配置された局所区画の上部を閉じる可動蓋54が設けられている。例えば、局所区画部5は、光の一部を透過する膜状部材、又は、虫を遮る程度に細かな網状部材で形成され、前記局所区画のCO2濃度の低減を抑制する。
可動蓋54は、蓋部開閉駆動部55によって、その開度が調整される。例えば、可動蓋54は、膜状部材で構成され、その上端側が局所区画壁52の上端部に固定され、その下端側に蓋部開閉駆動部55が設けられている。可動蓋54を閉鎖した状態で、その下端側が局所区画壁53の上端部に達し、局所区画壁53の上端部も含めて栽培床4を覆うように形成されている。また、その下端側が局所区画壁52の上端部側まで移動することにより、可動蓋54が開放された状態になるように形成されている。
例えば、蓋部開閉駆動部55は、可動蓋54の下端部に沿って延伸する軸と、その軸の中心を基準にして軸を回転させる蓋部開閉駆動部55(図4)とを備える。蓋部開閉駆動部55は、その軸の中心を基準にして中心周りに回転させて、膜状部材で構成された可動蓋54を軸周りに巻き取って、巻き取り量に応じて、可動蓋54の開度を調整する。なお、可動蓋54は、後述する蓋部開閉装置50(図4)に含まれていてもよい。本実施形態では、密閉型の局所区画部5を例示して説明する。
なお、栽培施設2の外部には、栽培施設2の周囲の状況を検出するための各種センサ240が設けられている。例えば、その各種センサ240は、外気温TO、湿度(HO)、CO2濃度(CO)、照度(LO)、風向(WD)、風速(WS)、降雨量(R)などの一部又は全部を検出するものを含む。各種センサ240は、検出した物理量又はその物理量に対応する指標を示すデータを出力する。
栽培施設2の内部でかつ局所区画部5の外部には、栽培施設2の内部の状況を検出するための各種センサが設けられている。例えば、その各種センサは、栽培施設2内の温度(以下、栽培施設内温度THという。)、湿度(HH)、CO2濃度(CH)、照度(LH)などの一部又は全部を検出し、検出した物理量又はその物理量に対応する指標を示すデータを出力する。
局所区画部5の内部には、局所区画部5の内部の状況を検出するための各種センサが設けられている。例えば、その各種センサは、局所区画部5内の気温(以下、局所区画内温度TLという。)、湿度(HL)、CO2濃度(CL)、照度(LL)などの一部又は全部を検出し、検出した物理量又はその物理量に対応する指標を示すデータを出力する。
栽培床4には、その地面の温度(以下、単に地面の温度TBという。)を検出するための温度センサ214が設けられている。例えば、その温度センサ214は、その地面の温度TBを検出し、検出した温度(物理量)又はその温度に対応する指標を示すデータを出力する。
以下の説明では、検出した物理量と、その物理量に対応する指標とを代表して、各種センサが検出した物理量を用いて説明する。各種センサの詳細は個別に後述する。
・受粉手段
栽培施設2の内部には、受粉手段配置部7が設けられている。受粉手段70は、蜂(ミツバチ等)71などの生物とその巣箱72を総称するものである。受粉手段70は、受粉手段配置部7に配置される。手段配置部7は、栽培施設2の内部であり、かつ局所区画部5により区画された局所区画の外側に設けられる。つまり、受粉手段70は、栽培施設2の内部であり、かつ局所区画部5により区画された局所区画の外側に配置される。受粉手段70は、蜂71等の生物により、局所区画内で栽培されている植物3の受粉を支援する。植物3の生理及び栽培施設2が配置される地点の環境等に合うように、受粉手段70の生物の種類を選択してもよい。なお、イチゴなどの植物3は、その成長過程の内、受粉に適した段階とCO2を施用すべき段階の時期が重なるものの一例である。イチゴの受粉に適した受粉手段70として、ミツバチ等の蜂71が選択される場合がある。イチゴの栽培において、受粉手段70に蜂71を選定することにより、受粉の促進とCO2の施用をより効率よく実施することが可能になる。
・CO2供給装置
CO2供給装置6は、CO2の供給元である。CO2供給装置6は、CO2を局所区画に供給する。例えば、CO2供給装置6は、CO2を密閉容器に封入されたものであってもよく、燃焼、発酵等の方法でCO2を一次的又は2次的に生成するCO2生成施設であってもよい。
なお、本実施形態におけるCO2の施用とは、制御によりCO2供給装置6から供給されるCO2の供給量を調整し、局所区画部5内のCO2濃度(CL)を、CO2施用前より高めるようにCO2を供給することをいう。
なお、栽培施設2には、図示しない給水施設、温度湿度調整装置などが設けられている。
図4は、実施形態に係る栽培環境制御システムの構成図である。
栽培環境制御システム10は、栽培環境制御装置100と、子局装置200とを備える。
この図4に示す実施形態の栽培環境制御システム10は、各種制御対象として、蓋部開閉装置50と、CO2供給装置6と、窓開閉装置8と、照明装置9と、カーテン11とを含む。栽培環境制御装置100には、蓋部開閉装置50と、CO2供給装置6と、窓開閉装置8と、照明装置9と、カーテン11とが接続されている。
なお、栽培環境制御装置100は、集中管理センター等に配置される集中管理装置500にネットワークを介して接続されていてもよい。例えば、集中管理装置500は、1又は複数の栽培環境制御装置100を集中管理するためのソフトウエアプログラムをプロセッサにより実行するコンピュータである。栽培環境制御装置100は、集中管理装置500からの指示に従い、栽培環境制御のための各種変数を変更してもよい。
栽培環境制御装置100には、各種センサの情報を収集する子局装置200と、照度センサ230と、各種センサ240とが接続されている。上記の各種センサには、温度センサ211、212、213、214、CO2センサ220などが含まれる。
温度センサ211は、栽培床4に設けられ、地面の温度TBを検出する。温度センサ212は、局所区画部5内に設けられ、局所区画内温度TLを検出する。温度センサ213は、栽培施設2内であり、かつ、局所区画部5外に設けられ、温栽培施設内温度THを検出する。温度センサ214は、栽培施設2外に設けられ、外気温TOを検出する。
CO2センサ220は、栽培床4より上方で、局所区画部5の局所区画壁52、53等の局所区画壁の上端部の高さより低い位置に設けられ、局所区画部5内の植物3の比較的近傍のCO2濃度(CL)を検出する。
照度センサ230は、局所区画部5の比較的近傍で、その局所区画部5の局所区画壁52、53等の局所区画壁の上端部より高い位置に設けられ、局所区画部5の照度(LL)を検出する。なお、照度センサ230の位置は、カーテン11の下側であってもよい。
各種センサ240は、栽培環境制御装置100が栽培環境制御のために用いる各種物理量を検出する。例えば、各種センサ240には、湿度、養液温度(水温)、給水量、pH(水素イオン指数)、EC(電気伝導度))、外気導入量などを検出するためのセンサが含まれていてもよい。
栽培環境制御装置100は、IF部110と、通信部120と、記憶部130と、制御部140を備える。
例えば、栽培環境制御装置100は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory)などの記憶装置(記憶部130)と、入出力装置と、インターフェイス部(IF部110、通信部120)と、ソフトウエアプログラムを実行するプロセッサ(制御部140)などを含む所謂コンピュータであってもよい。
IF部110は、栽培環境制御装置100の外部装置にあたる子局装置200と、蓋部開閉装置50と、CO2供給装置6と、窓開閉装置8と、照明装置9と、カーテン11などに接続されている。IF部110は、各外部装置からの情報を取得して、記憶部130に書き込むと共に、制御部140の制御により各外部装置に対する制御情報を供給する。
各種センサと子局装置200とIF部110とは、有線通信と無線通信のいずれで接続してもよい。さらに、栽培環境制御装置100側のIF部110と各種センサが、直接通信するようしてもよい。
通信部120は、制御部140の制御により、栽培環境制御装置100の外部装置にあたるサーバ装置又は端末装置と通信する。例えば、スマートホン、タブレット型装置、パーソナルコンピュータ等は、端末装置の一例である。
記憶部130は、栽培施設2に設けられている各種設備に係る情報、各種設備から収集した情報、制御に用いる閾値情報、制御状態などの情報を記憶する。
各種設備に係る情報には、蓋部開閉装置50と、CO2供給装置6と、窓開閉装置8と、照明装置9と、カーテン11と等を含む各種設備の情報が含まれる。
各種設備から収集した情報には、温度センサ211、212、213、214によりそれぞれ検出された各温度(TB、TL、TH、TO)、CO2センサ220により検出されたCO2濃度(CL)、照度センサ230により検出された明るさ(照度(LH)、日射量)等の検出結果が含まれる。上記の他、各種設備から収集した情報には、不図示の各種センサで検出された湿度、養液温度(水温)、給水量、pH(水素イオン指数)、EC(電気伝導度))、外気導入量などが含まれてもよい。
さらに、記憶部130は、上記の検出結果の他に、栽培施設2内外の状況の変化、上記の各設備を制御した履歴を記憶する時刻歴情報があり、記憶部130は、制御した時刻と関連付けて制御履歴情報を記憶する。
制御部140は、予め定められた栽培計画に従い、各種設備から収集された情報に基づいて、栽培施設2に設けられている各種設備を制御する。
例えば、CO2供給装置6は、不図示のCO2の供給元(ボンベ等)から供給されるCO2の供給量を調整するCO2調整部61と、CO2制御部63とを備える。CO2供給装置6は、CO2の供給元を含むものであってもよい。CO2制御部63は、制御部140の制御により、CO2調整部61を制御してCO2を所望の供給量で供給し、また、その供給を中断させる。
CO2濃度(CL)は、CO2センサ220によって検出され、制御部140により収集される。制御部140は、CO2濃度(CL)が所望の範囲内に収まるようにCO2供給装置6を制御する。所望のCO2濃度(CL)の範囲は、植物3の種類等に依存するが、イチゴの場合には、例えば、その範囲が、自然界のCO2濃度より高い数100ppm(ピーピーエム)から数1000ppmほどのCO2濃度で施用できるように決定される。より望ましくは、900ppmから1200ppmを超える所定のCO2濃度で施用できるように決定される。制御部140は、CO2センサ220が配置された地点のCO2濃度(CL)が、植物3の生理と受粉手段70の生物の生理とに基づいて定める範囲に収まるように、CO2の供給量を調整する。
例えば、窓開閉装置8は、窓の開閉を駆動する窓開閉駆動部81と窓開閉制御部83とを備える。窓開閉装置8は、窓を含むものであってもよい。窓開閉制御部83は、制御部140の制御により、窓開閉駆動部81を制御して窓の開度を調整して開閉させる。窓の開閉状態は不図示のセンサによって検出されており、窓開閉制御部83は、検出された窓の開閉状態が所望の状態にあることを検出し、それを制御部140に通知する。窓開閉制御部83は、制御部140の制御に加えて、ユーザの操作を受け付けて窓開閉駆動部81を制御して窓を開閉させてもよい。
制御部140は、窓開閉装置8による窓の開閉は、栽培施設2内の通気性を高めるように、或いは、強風時などの場合には栽培施設2内への影響を低減できるように選択してもよい。例えば、窓開閉装置8は、風向(WD)・風速(WS)等に基づいて、風上側の窓を閉じて、風下側の窓を開いたり、その開度を調整したりするなどの方法で、窓の選択と開度の調整を実施してもよい。さらに、制御部140は、降雨量(R)に基づいて、窓の選択と開度の調整を実施してもよい。例えば、降雨時の風上側の窓などの開度を調整することで、雨の吹込みを抑制することができる。
例えば、照明装置9は、灯具91と、照明制御部93とを備える。照明制御部93は、制御部140から点灯消灯の切り替え時刻に関する情報と現時点の明るさに関する情報が指示される。照明制御部93は、指示された時刻に関する情報に従って灯具91の点灯を制御し、調光する。
制御部140は、日射量、日照時間の不足を補うように決定した時間に、灯具91を点灯させるように照明制御部93を制御してもよく、照度(LH)に基づいて、灯具91を調光させるように照明制御部93を制御してもよい。制御部140は、照度センサ230により検出した明るさに関する情報を照明装置9に供給する。
カーテン11は、カーテン本体12と、カーテン開閉駆動部13と、カーテン制御部14とを備える。カーテン制御部14は、制御部140の制御により、カーテン開閉駆動部13を制御し、カーテン本体12を開閉させる。
制御部140は、保温用又は遮蔽用などの目的により定まる所定の条件により、カーテン11を開閉させるようにカーテン制御部14を制御する。
[作用について]
以下、栽培環境制御装置100による各種制御について順に説明する。
(栽培施設の温度制御)
栽培環境制御装置100の制御部140は、外気温TOと、局所区画内温度TLと、地面の温度TBと、照度(LH)の何れか又は組み合わせに基づいて、栽培施設内温度THが所定の許容変動範囲内になるように調整する。栽培施設内温度THの許容変動範囲は、植物3の生理又は受粉手段70の生物の生理から導出される値、照度等により決定される。生物の生理に基づいて導出される値とは、例えば、蜂71が活動(飛行)する適正な温度範囲のことであってもよい。
制御部140は、外気温TO、地面の温度TBの少なくとも何れかに基づいて、局所区画内温度TLを調整する。局所区画内温度TLの許容変動範囲は、植物3の生理により決定される。例えば、植物3を育成するために確保すべき下限温度から上限温度までの温度範囲と、植物3の育成環境として適した温度範囲とに基づいて決定されてもよい。
(CO2濃度の制御)
栽培環境制御装置100の制御部140は、所定の条件を満たす場合に、CO2を施用するように制御する。例えば、制御部140は、外気温TOと、局所区画内温度TLと、地面の温度TBと、照度(LH)の何れか又は組み合わせに基づいて判定した結果に基づいて、施用を決定してもよく、特定の時間帯に施用するようにしてもよい。その時間帯には、日射が有る時間帯又は補光中の期間が含まれる。
局所区画部5内に外気が流入する状態にある場合(外温度TOが所定の温度より高い場合等)には、局所区画に対してCO2を施用しても、CO2濃度を所定の範囲に維持することが困難なことがある。このような場合には、制御部140は、効率化の観点によりCO2の施用を停止してもよい。
局所区画部5内のCO2濃度(CL)の変動範囲は、主に植物3の生理又は受粉手段70の生物の生理に基づいて決定される。例えば、植物3の生理と、局所区画内温度TLと、地面の温度TB、照度(LH)の何れか又は組み合わせや、栽培施設2内のCO2濃度(CO)と局所区画部5内のCO2濃度(CL)が受粉手段70の生物の受粉活動に影響を与えない範囲に基づき決定される。
(光量を補う制御)
例えば、局所区画内には、植物3に照射される光量を補う照明装置9の灯具91が設けられている。灯具91は、照射方向が植物3に向くように局所区画壁又は栽培床4の上方に係止されている。なお、灯具91は、その位置が、植物3の成長に合わせて鉛直方向に調整可能に形成されていてもよい。或いは、鉛直方向に複数の灯具91が設けられていて、植物3の成長に合わせてそれらが切換えられるようにしてもよい。
植物3の生理に合うように灯具91による照射量が調整され、制御部140は、灯具91の点灯を制御する。或いは、制御部140の制御によらず、照射量を満たすように予め定められた条件で灯具91の点灯が制御されてもよい。
なお、栽培施設2の温度を調整する期間とCO2濃度を調整する期間とを独立に決定してもよい。
図5は、実施形態に係る栽培環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部140は、栽培施設における各種状態を検出し(SA10)、各種状態に関するデータを収集する。例えば、各種状態に関するデータには、各種センサの検出対象の状態(検出値)、CO2供給装置6、窓開閉装置8、蓋部開閉装置50、照明装置9、カーテン11などの各種制御対象機器の状態などを示すデータが含まれる。
次に、制御部140は、収集したデータに基づいて必要に応じて例外処理を実施する(SA20)。例えば、例外処理には、各種条件の設定処理、異常値検出時のアラート処理などが含まれる。その詳細は、後述する。
次に、制御部140は、可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用制御についての処理を進める。
制御部140は、局所区画内温度TLが、閾値DT1より高いか否かを判定する(SA30)。例えば、閾値DT1は摂氏20度である。
SA30の判定により、局所区画内温度TLが、閾値DT1より高いと判定された場合、制御部140は、可動蓋54を開放するように制御して(SA40)、CO2の施用を停止して(SA50)、図に示す一連の処理を終える。例えば、閾値DT1を摂氏20度にすることにより、蜂71が活動する温度範囲の概ね摂氏20度以上になる場合には、可動蓋54が開放状態に制御されることから、蜂71の受粉活動に影響することはない。
SA30の判定により、局所区画内温度TLが閾値DT1以下であると判定された場合、制御部140は、局所区画内温度TLが閾値DT2より高いか否かを判定する(SA60)。例えば、閾値DT2は摂氏15度である。
SA60の判定により、局所区画内温度TLが閾値DT2より高いと判定された場合、制御部140は、局所区画内温度TLに係る制御対象に対する制御状態を保持して、図に示す一連の処理を終える。
SA60の判定により、局所区画内温度TLが閾値DT2以下と判定された場合、制御部140は、可動蓋54(蓋)を閉鎖するように制御する(SA70)。
次に、制御部140は、局所区画部5内のCO2濃度CLがCO2目標濃度(閾値C1)より高いか否かを判定する(SA80)。例えば、CO2目標濃度は1200ppmである。
SA80の判定により、局所区画部5内のCO2濃度CLが閾値C1より高いと判定された場合、制御部140は、CO2の施用に関するCO2供給装置6の制御状態を保持して、図に示す一連の処理を終える。
SA80の判定により、局所区画部5内のCO2濃度CLが閾値C1以下と判定された場合、制御部140は、CO2を施用するようにCO2供給装置6を制御して(SA90)、図に示す一連の処理を終える。例えば、閾値DT2を摂氏15度にすることにより、蜂71が活動を控える温度範囲になるまで局所区画内温度TLが低下した場合には、可動蓋54が閉鎖状態に制御され、CO2を施用する。この温度範囲であれば、蜂71は巣箱72に戻ることにより、蜂71の受粉活動に影響することなく、CO2を施用することができる。
上記の可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用制御に関する処理によれば、可動蓋54を閉鎖した後にCO2を施用することができることから、対象の植物3の受粉の促進とCO2の施用をより効率よく両立することができる。
上記の実施形態によれば、栽培環境制御システム10は、栽培施設2において、植物3を栽培するための環境を制御する。栽培環境制御システム10におけるCO2濃度調整手段(6)は、植物3の栽培床4を囲むように配置された局所区画部5の内側に植物3を栽培するための局所区画が形成され、局所区画内にCO2を供給して、局所区画内のCO2濃度を調整する。制御部140は、栽培施設2の内部であり、かつ局所区画の外側に受粉手段(70)が配置され、受粉手段(70)の生物(71)による受粉に影響を与えないようにCO2濃度調整手段(6)を制御して、CO2を施用することにより、対象の植物3の受粉の促進とCO2の施用をより効率よく両立することを可能にする。
また、制御部140は、受粉手段70による受粉活動に影響を与えるCO2濃度より前記栽培施設内CO2濃度が低くなるようにCO2を施用してもよい。特に、実施形態のように栽培施設2の窓を閉鎖してCO2を施用する際に、CO2の供給量を調整することにより、上記を容易に実現できる。これにより、受粉を促進することができる。
さらに、実施形態のように可動蓋54を閉鎖してCO2を施用することにより、上記をより容易に実現できる。これにより、受粉を促進することができる。制御部140は、受粉手段70による受粉活動に影響を与えるCO2濃度より局所区画の外側のCO2濃度が低くなるようにCO2を施用してもよい。
また、上記の制御によれば、局所区画内のCO2濃度の変動範囲は、植物3の生理又は受粉手段70である蜂71の生理に基づいて決定された制御目標値(例えば、局所区画部5内のCO2濃度CL)を基準に調整されることから、蜂71の受粉活動に影響することはない。
栽培施設2において、植物3を栽培するための栽培システム1は、植物3の栽培床4を囲むように配置され、植物3を栽培する環境が調整される局所区画を内側に形成する局所区画部5と、上記の栽培環境制御システム10とを備えることにより、施用したCO2を栽培床4の周辺に安定して留めることができる。
また、局所区画部5は、植物3の丈に基づいて決定された高さの局所区画壁52、53を含むことにより、施用したCO2を栽培床4の周辺に安定して留めることができ、更には、植物3の成長に影響なく、各成長の各過程でそれぞれ必要なCO2の施用を可能にする。
また、局所区画部5は、局所区画を閉じる可動蓋54を有することにより、局所区画の状態をより安定に維持することができる。
(第1の実施形態の変形例その1)
第1の実施形態では、可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用制御の事例を中心に説明した。本変形例では、これに、窓開閉装置8による窓の制御を付加する事例について説明する。
制御部140は、前述の図5に示した手順と同様の手順に従って窓開閉装置8による窓の制御を実施することにより、栽培施設2内の温度を調整する。
例えば、制御部140は、栽培施設内温度THの検出結果に基づいて、窓開閉装置8により窓の開度を制御する。例えば、栽培施設内温度THの制御目標を、局所区画内温度TLより数度低く設定する。例えば、その温度差を3度にする。この温度差は一例である。
上記の変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、栽培施設内温度THの検出値が、制御目標の温度になるように、制御部140が窓の開度を調整することで、栽培施設内温度THが、局所区画内温度TLに対する温度差を維持して追従する。これにより、栽培施設内温度THを、局所区画内温度TLを基準に調整することができる。
なお、上記の変形例では、局所区画内温度TLに対する温度差を利用して、栽培施設内温度THの追従制御を行うものとして説明したが、可動蓋54を開放する温度を規定する温度条件を、窓開閉装置8の窓、可動蓋54などの制御に利用してもよい。例えば、栽培施設内温度THと局所区画内温度TLの双方が閾値DT1を超えた場合に、可動蓋54を開放するなどの温度条件を組み合わせて、窓および可動蓋54の制御を行ってもよい。
なお、CO2を施用せずに光合成が行われると局所空間のCO2濃度が低下する。これに対し、CO2を施用する時間帯を、所定量の日射が有る時間帯又は補光中の期間を含むように決定することにより、上記のCO2濃度の低下を抑制すると共に、十分な濃度のCO2を施用することができる。
(第1の実施形態の変形例その2)
第1の実施形態では、各種センサによって検出された状態に基づいて、可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用の制御を実施する事例を中心に説明した。本変形例では、スケジュール制御を単独で実施する事例について説明する。
図6から図8を参照して、第1実施形態の変形例その2に係る栽培環境制御について説明する。図6は、第1実施形態の変形例その2に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。図7は、本変形例に係る栽培環境制御の概要について説明するための図である。図8は、本変形例に係る栽培環境制御の適用例について説明するための図である。
栽培環境制御は、利用する局所区画部5のタイプ(型式)により、適した制御方法を決定する。タイプには、「タイプ1(密閉型用)」、「タイプ2(開放型用)」、「タイプ3(共用)」等が有る。本実施形態では、「タイプ1(密閉型用)」について説明する。「タイプ2(開放型用)」、「タイプ3(共用)」については、後述する。
以下の説明において、1日を朝、昼間(昼)、夕方(夕)、夜間(夜)の4つの時間帯に分けて制御することを前提にした栽培環境制御について説明する。例えば、それぞれの時間帯ごとに固有の制御条件を下記のように決定する。なお、各時間帯のより具体的な時間として一例を示す。例えば、朝を時刻t1からの期間T1が経過するまで、昼間を時刻t2から夕方になるまで、夕方を時刻t3から期間T3が経過するまで、夜間を時刻t4から朝になるまでとする。これを冬季に適用すれば、朝を7時からの1時間、昼間を8時から夕方になるまで、夕方を15時30分からの1時間、夜間を16時30分から朝になるまでとしてもよい。
図7(a)、(b)、(c)、(d1)、(e)、(f)に、本実施形態に係る栽培環境制御の制御対象である各項目を示す。
図7(a)に示すように、制御部140は、窓を、朝と夕方に閉鎖する。昼間と夜間は、窓を、代表点温度 摂氏20度を閾値(T1)として開放し、摂氏15度を閾値(T2)として閉鎖することで、栽培施設2内の温度を調整する。例えば、冬季の場合には、外気温TOが比較的低いため、窓開閉装置8の窓を閉鎖する時間が長くなる。
図7(b)に示すように、制御部140は、局所区画部5を、朝と夕方に閉鎖する。昼間は、局所区画部5を、局所区画部5内の温度に基づいて温度制御する。例えば、代表点温度摂氏20度を上限の閾値(T1)として設定し、摂氏15度を下限の閾値(T2)として設定する。制御部140は、局所区画部5内の温度が上限の閾値(T1)を上回る場合には局所区画部5を開放し、下限の閾値(T2)を下回る場合には局所区画部5を閉鎖することで、局所区画部5内の温度を調整する。概ね、局所区画部5は、冬季の夕方から翌日の朝まで閉鎖され、夏季の夜間には開放される。
図7(c)に示すように、制御部140は、照明(灯具91)を、朝と夕方に点灯する。夜間は、照明(灯具91)を消灯する。制御部140は、灯具91の点灯を、植物3の生理と季節等により定まる所定の条件に従い制御する。例えば、所定の条件とは、昼間に必要とされる光量(照度)、日照時間を確保するように定められた制御状態の切替時間である。制御部140は、検出された日射量と予め定められた切替時刻(タイマー)などに基づいて制御する。
図7(d1)に示すように、制御部140は、CO2を、朝と夕方に施用する。本実施形態の局所区画が密閉型であることにより、制御部140は、昼間に局所区画が閉鎖されている場合にCO2を施用し、局所区画が開放されている場合にCO2を施用しない。夜間は、CO2を施用しない。
図7(e)に示すように、制御部140は、例えば冬季の場合、保温用のカーテン11を、朝と昼間に開き、夕方と夜間に閉じる。なお、制御部140は、例えば夏季の場合、遮光用のカーテン11を、夕方から朝までと、昼間の日射量が比較的弱い所定の時間に開き、昼間の日射量が比較的強い所定の時間に閉じるように制御してもよい。
図7(f)に示すように、制御部140は、受粉を、朝と夕方に制限する。昼間は、上記の制御により定まる条件で受粉することを許容する。夜間は、蜂71が飛ばないため受粉は行われない。
上記のように、制御部140は、1日を複数の時間帯に分けて、時間帯に適した制御を選択する。
図8に示すように、より具体的な1日の栽培環境制御の適用例について説明する。この図に示すデータは、冬季の或る1日の変化を例示するものである。
前述の図7に示した条件と同様に、制御のための条件(a)、(b)、(c)、(d1)、(e)、(f)などが設定されている。
ここで、例えば、図8に示すように(g)外気温TO、(h)栽培施設内温度TH、(i)局所区画内温度TLをモデル化して、各部に対する制御をシミュレーションする。図8に示す(g)外気温TOによれば、明け方(6時)の摂氏3度から午前10時に摂氏6度まで上昇し、その後、時間の経過に伴い低下するように決定されている。
1日の気温の変化と日照量の変化とにより、図8に示すように(h)栽培施設2内の温度が変化する。例えば、(h)栽培施設内温度THは、(g)外気温TOに基づいて決定され、(g)外気温TOに対して、朝と夕方は5度高く、昼間は20度高く、夜間は3度高いものとして近似されている。
同様に、(i)局所区画内温度TLも変化する。例えば、(i)局所区画内温度TLは、(g)外気温TOに基づいて決定され、(g)外気温TOに対して、朝と夕方は8度高く、昼間は23度高く、夜間は6度高いものとして近似されている。
上記の温度変化のモデルに従い、1日の栽培環境制御を説明する。
朝の7時からの1時間は、所定の条件に従い制御される。
8時になると、昼間の条件制御の制御状態に遷移する。但し、8時の時点では、外気温TOと局所区画内温度TLがそれぞれの閾値温度より低いことから、窓と局所区画が閉鎖されたまま保持される。照明(灯具91)は、所定の条件により点灯状態が制御されて、その条件による制御状態が夕方まで継続される。上記の通り、局所区画が閉鎖されており、CO2が施用される状態が継続するとともに、局所区画内には蜂71が入ることができず受粉が制限される。なお、カーテン11は、夕方になるまで開放状態のまま保持される。
9時になると、外気温TOと局所区画内温度TLがそれぞれの閾値温度より高くなり、窓と局所区画が開放され、CO2の施用が中断される。また、局所区画が開放されたため、局所区画内に蜂71が入ることができるようになり、蜂71による受粉が行われる。
このモデルでは、外気温TO、(h)栽培施設2内の温度、(i)局所区画内温度TLが、(g)外気温TOの変化に従い単調に変化するため、夕方になるまで状態の変化はない。
夕方になり、再び所定の条件に従い制御される。例えば、15時30分の時点で、窓と局所区画が閉鎖され、照明が点灯され、CO2が施用され、カーテン11が閉鎖される。これにより、局所区画内には蜂71が入ることができず受粉が制限される。
夕方の時間を終えて夜間になると、(g)外気温TO、(h)栽培施設2内の温度、(i)局所区画内温度TLの何れもが閾値以下になり、窓と局所区画が閉鎖される。照明は時間制御により消灯される。CO2の施用が時間制御により中断され、カーテン11が朝まで閉鎖されたまま保持される。これにより、局所区画内には蜂71が入ることができない状態になるが、蜂71は、夜間に飛ばないため、受粉が制限された状態になる。
このような状態が、翌日の朝まで継続する。
上記の変形例によれば、スケジュール制御による制御方法によっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、制御部140は、受粉手段70の蜂71などによる受粉活動が活性化する時間帯をさけてCO2を施用するように制御することが可能になる。
また、制御部140は、栽培施設2内に外気の流入を許可する状態にある場合には、前記局所区画に対するCO2の施用を停止する。
特に、外気温の1日の変化の傾向から受粉手段70の蜂71の活動を推定し、その推定結果に基づいた制御のスケジュールを決定して、そのスケジュールに基づいてCO2を施用すること(スケジュール制御)により、蜂71が活発に行動する時間帯とCO2を施用する時間をずらすことができる。
(第1の実施形態の変形例その3)
第1の実施形態では、各種センサによって検出された状態に基づいて、可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用の制御を実施する事例を中心に説明した。その変形例その2において、スケジュール制御を単独で実施する事例を中心に説明した。本変形例では、第1の実施形態の事例と、上記の変形例その2のスケジュール制御とを組み合わせた事例について説明する。
制御部140は、前述の第1の実施形態と同様の状態に基づく制御に、第1の実施形態の変形例その2にスケジュール制御を組み合わせて実施する。例えば、制御部140は、所定の時刻(例えば7時)に可動蓋54や窓を開放し、それ以降は、検出した温度に基づいて可動蓋54や窓の状態を制御してもよい。
つまり、上記の変形例その2のスケジュール制御では、昼間の状態の変化を予め推定して、その推定結果に基づいて各装置を制御するという、所謂フィードフォワード制御を適用していた。本変形例の制御では、このフィードフォワード制御を適用した期間の制御を、各種センサにより検出された状態に基づいたフィードバック制御(第1の実施形態参照)を適用するものである。
これにより、栽培施設2内の温度HL、局所区画内温度TLなどを含めて各種環境の調整の精度を高めることができる。
なお、第1の実施形態と同様の状態に基づく制御と、上記の変形例その2のスケジュール制御とを組み合わせる際に、スケジュール制御を優先してCO2を施用しない時間帯を決定して、蜂71が活発に行動する時間帯をさけてCO2を施用してもよい。
(第1の実施形態の変形例その4)
本変形例では、第1の所定期間にCO2を供給し、第2の所定期間にCO2の供給を中断するという間欠的な供給方法でCO2を施用する事例について説明する。例えば、本変形例の制御部140は、第1の所定期間と第2の所定期間を加えた期間を1周期とし、1周期内の第1の所定期間と第2の所定期間の比率を定めて、定めた比率に従いCO2の供給量を調整する。
上記の変形例によれば、第1の実施形態の温度に基づいて制御する事例のように連続的に供給する方法に比べて、時間当たりの供給量が低減するが、供給量を簡易な方法で調整することができる。
なお、検出した温度に基づいて制御を行う際に、CO2の施用を間欠運転で制御してもよい。この場合に、その間欠運転の間隔(例えば、繰り返し周期)を短くすることにより、CO2濃度の変動幅を小さくするとともに、単位な方法でCO2濃度を安定化することが可能になる。
なお、例えば、CO2の供給時間が一律に定められ、供給を開始した後、上記の供給時間が経過するまで連続して供給することが要求される条件のもとでCO2の供給が制御されていても、図5のSA50の処理としてCO2の供給を中断することが必要になることが有る。このような場合が生じて、中断するまでに所望の供給時間が確保できないときには、CO2の供給を断続させないで継続して供給するようにしてもよい。
(第1の実施形態の変形例その5)
第1の実施形態では、温度センサと照度センサによって検出された状態に基づいて、可動蓋54の開閉制御とCO2供給装置6に関わるCO2施用の制御を実施する事例を中心に説明した。また、その変形例その2において、スケジュール制御を単独で実施する事例を中心に説明した。これに代えて、本変形例では、照度センサ230によって検出された状態(栽培施設2内の照度(LH)の測定値に従って、制御する事例について説明する。
例えば、制御部140は、照度センサ230の検出結果似基づいて、栽培施設2内の照度(LH)が所定の明るさに達したら、可動蓋54や窓を開放し、所定の明るさより低下したら、可動蓋54や窓を閉鎖するようにしてもよい。
蜂71の活動量は、日射量が少ない時間帯に低下する。この蜂71の生理を利用して、制御部140は、蜂71の活動が活性化する日中の時間帯を、照度センサ230の検出結果から推定する。つまり、制御部140は、照度センサ230によって検出された栽培施設2内の照度(LH)の測定値に従って、CO2の施用を制御することができる。
この変形例によれば、照度センサ230によって検出された栽培施設2内の照度(LH)の測定値によって、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上記の変形例3のスケジュール制御に代えて、栽培施設2内の照度(LH)の測定値に基づく制御と、第1実施形態と同様の温度制御とを組み合わせてもよい。
(第2の実施形態)
図7と図9と図10を参照して、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、局所区画部の密閉型(タイプ1)を利用する事例を説明した。これに代えて、本実施形態では、開放型(タイプ2)を利用する事例について説明する。
図9は、実施形態に係る局所区画部(タイプ2)を適用した栽培床周りについて説明するための説明図である。図9に示す断面図は、図1と図2に示すB-B’断面の局所区画部を示すものである。
前述の図3に示す局所区画部5が密閉型(タイプ1)であったのに対し、図9に示す局所区画部5は、開放型(タイプ2)である点が異なる。つまり、密閉型(タイプ1)と、開放型(タイプ2)との違いは、開放型(タイプ2)には可動蓋54がない点である。
図10は、実施形態に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。
窓の制御は、第1の実施形態の変形例その3と同様である。CO2の施用は、時間帯により決定される制御条件に従い制御する。
図7(a)、(b)、(c)、(d2)、(e)、(f)に、本実施形態に係る栽培環境制御の制御対象である各項目を示す。図7(a)、(b)、(c)、(e)、(f)についての説明は、前述したとおりである。つまり、窓に関する制御は、前述したとおりである。
CO2の施用に関する制御を、図7(d2)に示す。制御部140は、CO2を、朝から夕方まで施用する。昼間は、CO2の施用を継続する。つまり、窓の開閉に関係することなく、制御部140は、CO2の施用を継続する。夜間は、CO2の施用を中断する。
制御部140は、窓が開いている間にCO2の施用を実施することになるが、本実施形態の栽培床4は、局所区画部5によって囲われている。その局所区画部5には、可動蓋54が無くても、それが容器状に形成されており、その内側にCO2を蓄えることができる。
窓が開放されていて強風が吹きこむような状況に無ければ、CO2を施用する効果を期待することができる。
本実施形態は、第1の実施形態の変形例その3に対する上記の相違点以外は、第1の実施形態及び、その各変形例を適用することができる。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、局所区画部5の構成を簡素化することができ、また、CO2を施用するための制御を簡素化することができる。
(第3の実施形態)
図7と図11を参照して、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、タイプ1の密閉型を利用する事例を説明した。第2の実施形態では、タイプ2の開放型を利用する事例を説明した。
ところで、窓が開放された状態にあり、比較的風速が早い風が、栽培施設2内に吹き込むと、特にタイプ2の開放型の場合、局所空間が密閉されていないため、局所空間内に充満させているCO2が拡散することが懸念される。
そこで、本実施形態では、風の影響を条件に加え、局所空間の構成に依存しない制御方法を適用した事例について説明する。
図11は、実施形態に係る栽培環境制御の制御条件について説明するための図である。
窓の制御は、第1の実施形態の変形例その3と同様である。CO2の施用は、時間帯により決定される制御条件に従い制御する。
図7(a)、(b)、(c)、(d3)、(e)、(f)に、本実施形態に係る栽培環境制御の制御対象である各項目を示す。図7(a)、(b)、(c)、(e)、(f)についての説明は、前述したとおりである。つまり、窓に関する制御は、前述したとおりである。
CO2の施用に関する制御を、図7(d3)に示す。制御部140は、CO2を、朝と夕方に施用する。昼間は、窓が閉鎖された場合、つまり外部から栽培施設2内に吹き込む風が無いと見込める場合に、CO2を施用する。なお、昼間に窓が開かれた場合(開放された場合)には、外部から栽培施設2内に吹き込む風があり得ると見込み、CO2の施用を中断する。つまり、制御部140は、昼間に窓が閉鎖されている状態にあるときに限りCO2を施用する。夜間は、CO2の施用を中断する。
制御部140は、窓が開いている間のCO2の施用を中断する。つまり、CO2の施用中に風が吹き込む虞が無いため、局所区画部5のタイプに関係なく、施用したCO2をその内側に蓄えることができる。
本実施形態は、第1の実施形態の変形例その3に対する上記の相違点以外は、第1の実施形態及び、その各変形例を適用することができる。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、局所区画部5の構成によらず、密閉型と開閉型の局所区画部5を、共通の栽培施設2内に混在させることも可能である。
(第4の実施形態)
図12を参照して、第4の実施形態について説明する。第1から第3の実施形態では、栽培施設2に対する各種制御における主な制御について説明した。これに加えて実施する処理として、本実施形態では、各実施形態に共通する例外処理の事例について説明する。
図12は、実施形態に係る栽培環境制御における例外処理の手順を示すフローチャートである。
以下に示す処理は、図5に示す一連の処理の一部(SA20)として処理されてもよく、例外処理に係る割込み処理として実行されてもよい。
まず、制御部140は、制御条件の変更が必要か否かを判定する(SB21)。SB21の判定により、制御条件の変更が必要である場合、制御部140は、制御条件を変更する(SB22)。
SB21の判定により、制御条件の変更が必要ではない場合、又は、SB22において制御条件の変更を終えた場合、制御部140は、検出結果に含まれる異常値を抽出する(SB23)。例えば、各種センサや各種制御対象機器のデータを規定外のものと判断すべき所定の判断レベル(異常値)が記憶部130に格納されている。制御部140は、上記の所定の判断レベルを超えた異常値を示すデータを、各種センサや各種制御対象機器のデータの内から抽出する。
次に、制御部140は、抽出された異常値が有るか否かを判定する(SB24)。SB24の判定により、検出結果に異常値がないと判定した場合、図に示す一連の処理を終えるとともに、次回の処理まで制御状態を保持する。
SB24の判定により、検出結果に異常値があると判定した場合、状態を診断して(SB25)、診断の結果に応じたフェイルセーフ処理を実施して(SB26)、図に示す一連の処理を終えるとともに、次回の処理まで制御状態を保持する。例えば、上記のフェイルセーフ処理とは、異常値を検出した装置を特定し、異常値の内容と対象の装置を通知するアラートを挙げたり、対象の装置を停止又は異常値を回避するように関連する装置を制御したりする処理を含むものであってよい。
なお、その際に、制御部140は、異常値を検出したこと、フェイルセーフ処理を実施したことなどを履歴情報として記憶部130に記億させてもよい。
上記の実施形態によれば、正常な状態とは異なる異常値が、各種センサのデータから抽出される場合を速やかに検出し、それを管理者等に通知すると共に、そのような状態を回避して所望な状態に回復させるための処理を実施することができる。
(第5の実施形態)
前述の図4を参照して、第5の実施形態について説明する。第1から第4の実施形態では、栽培施設2毎に実施する各種制御について説明した。これに加えて、本実施形態では、集中管理センターC等に設けられた集中管理装置500を利用する処理について説明する。
集中管理装置500は、外部機関から通報される気象情報等を取得する。気象情報等には、栽培施設2の地方の天候、天気予報、降雨予報などが含まれる。集中管理装置500は、当該地方の天候、天気予報、降雨予報などの情報を抽出する。
集中管理装置500は、抽出した上記の情報に基づいて、各栽培施設2の制御を最適化するように、必要な指令、又は、設定値の補正情報を生成し、それを対象の栽培施設2に通知する。
栽培施設2の栽培環境制御システム10は、上記の通知を受けると、それに従い、所望の時刻の制御が最適なものになるように、各種制御のための変数、閾値などの情報を変更する。
制御部140は、上記のように変更された各種制御のための変数、閾値などの情報に基づいて、所望の制御を実施する。
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、検出された状態に基づいた各種制御を実施する際に、地域の環境の変化に依存するような制御条件を当該制御の判定等に反映することができ、個々の栽培施設2毎の制御をより適したものにして、実施することが可能になる。
さらに、位置情報から算出した緯度経度を基に、日照時間情報を抽出し、各種制御のための変数、閾値などの情報を変更してもよい。
なお、栽培環境制御システム10を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより栽培環境制御装置100が所定の処理動作を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、ネットワークや通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…栽培システム、10…栽培環境制御システム、2…栽培施設、21、22、23、24…側壁部、25…屋根部、3…植物、4…栽培床、5…局所区画部、50…蓋部開閉装置、51…底部、52、53…局所区画壁、54…可動蓋、55…蓋部開閉駆動部、56…蓋部開閉制御部、6…CO2供給装置、62…CO2供給配管、63…CO2制御部、7…受粉手段配置部、70…受粉手段、71…蜂、72…巣箱、8…窓開閉装置、81…窓開閉駆動部、83…窓開閉制御部、9…照明装置、91…灯具、93…照明制御部、11…カーテン、100…栽培環境制御装置、110…IF部、120…通信部、130…記憶部、140…制御部、200…子局装置、211、212、213…温度センサ、220…CO2センサ、230…照度センサ、500…集中管理装置、C…集中管理センター、GL…地面、S…太陽

Claims (12)

  1. 栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御する栽培環境制御システムであって、
    前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度を調整するCO2濃度調整手段と、
    前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御する制御部と、
    を備え、
    記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する栽培環境制御システム。
  2. 前記二酸化炭素を施用する時間帯には、夕方が含まれる、
    請求項1に記載の栽培環境制御システム。
  3. 前記二酸化炭素を施用する時間帯は、日射が有る時間帯又は補光中の期間が含まれる、
    請求項1又は請求項2に記載の栽培環境制御システム。
  4. 前記制御部は、
    前記栽培施設の外気温度又は前記栽培施設内の温度に基づいて前記虫の活動が推定されて、前記推定の結果に基づいて予め決定された制御のスケジュールにおける時間帯をさけて前記二酸化炭素を施用する、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の栽培環境制御システム。
  5. 前記制御部は、
    前記虫による受粉活動に影響を与える二酸化炭素濃度より前記栽培施設内の二酸化炭素濃度が低くなるように前記二酸化炭素を施用する、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の栽培環境制御システム。
  6. 前記制御部は、
    前記栽培施設内に外気の流入を許可する状態にある場合には、前記局所区画に対する二酸化炭素の施用を停止する、
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の栽培環境制御システム。
  7. 前記局所区画内の二酸化炭素濃度の変動範囲は、前記植物の生理又は前記虫の生理に基づいて決定される、
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の栽培環境制御システム。
  8. 栽培施設において、植物を栽培するための栽培システムであって、
    前記植物の栽培床を囲むように配置され、前記植物を栽培する環境が調整される局所区画を内側に形成する局所区画形成手段と、
    前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度を調整するCO2濃度調整手段と、
    前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御する制御部と、
    を備え、
    記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する栽培システム。
  9. 前記局所区画形成手段は、
    前記植物の丈に基づいて決定された高さの局所区画壁を含む、
    請求項8に記載の栽培システム。
  10. 前記局所区画形成手段は、前記局所区画を閉じる可動蓋を有する、
    請求項8又は請求項9に記載の栽培システム。
  11. 栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御する栽培環境制御方法であって、
    前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度をCO2濃度調整手段に調整させて、
    前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御して、
    記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施する、
    栽培環境制御方法。
  12. 栽培施設において、植物を栽培するための環境を制御するコンピュータに、
    前記植物の栽培床を囲むように配置された局所区画形成手段の内側に前記植物を栽培するための局所区画が形成され、前記局所区画内に二酸化炭素を供給して、前記局所区画内の二酸化炭素濃度をCO2濃度調整手段に調整させるステップと、
    前記栽培施設の内部であり、かつ前記局所区画の外側に他家受粉のための虫が配置され、推定される前記虫が活動する時間をさけて前記二酸化炭素を施用するように前記CO2濃度調整手段を制御することで、前記虫による受粉に影響を与えないように前記環境を制御して、記植物としてイチゴを栽培する場合に、同時期に前記虫による前記他家受粉と、前記CO2濃度調整手段による前記二酸化炭素の施用とを実施するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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