JP7007229B2 - フェノール樹脂発泡板及びその製造方法ならびにフェノール樹脂発泡板用の面材 - Google Patents
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Description
本発明は、フェノール樹脂発泡板及びその製造方法ならびにフェノール樹脂発泡板用の面材に関する。
フェノール樹脂発泡板は、断熱性や難燃・防火性等に優れることから、断熱材として、建築、その他の産業分野において、広く使用されている。
一般的なフェノール樹脂発泡板の製造方法としては、発泡硬化工程と切断工程と養生工程とを有する方法が挙げられる。
発泡硬化工程は、対向し走行する2枚の面材の間に発泡性樹脂組成物を充填し、前記の2枚の面材で挟まれた発泡性樹脂組成物を加熱して、発泡し硬化して、発泡層を形成する。このため、フェノール樹脂発泡板は、フェノール樹脂の発泡層とその両面に設けられた面材とを備える。
切断工程は、フェノール樹脂発泡板を任意の寸法に切断する工程である。
養生工程は、任意の寸法に切断したフェノール樹脂発泡板を任意の温度条件下に置き、発泡層の硬化をさらに進める工程である。
一般的なフェノール樹脂発泡板の製造方法としては、発泡硬化工程と切断工程と養生工程とを有する方法が挙げられる。
発泡硬化工程は、対向し走行する2枚の面材の間に発泡性樹脂組成物を充填し、前記の2枚の面材で挟まれた発泡性樹脂組成物を加熱して、発泡し硬化して、発泡層を形成する。このため、フェノール樹脂発泡板は、フェノール樹脂の発泡層とその両面に設けられた面材とを備える。
切断工程は、フェノール樹脂発泡板を任意の寸法に切断する工程である。
養生工程は、任意の寸法に切断したフェノール樹脂発泡板を任意の温度条件下に置き、発泡層の硬化をさらに進める工程である。
フェノール樹脂発泡板の面材には、商品名、製品番号等の情報や意匠性を高めるための模様が印刷されている(以下、印刷された情報や模様等を印刷部ということがある)。フェノール樹脂発泡板における印刷部は、予め面材に形成されているか、あるいは発泡硬化工程後に、面材に形成される。
フェノール樹脂発泡板の面材としては、合成繊維又は天然繊維の不織布が好適に用いられる。不織布に印刷処理を施すと、フェノール樹脂発泡板の製造時に樹脂組成物が面材の表面に滲み出して、製品表面に変色部分を生じ、外観不良をもたらす場合がある。
こうした問題に対し、特定の偏平率の偏平糸からなり、特定の目付量である織布又は不織布を面材として備えるフェノール樹脂発泡板が提案されている(特許文献1)。特許文献1の発明では、特定の面材を用いることで、面材表面への発泡性樹脂組成物の滲み出しを抑制し、美麗に印刷することが図られている。
フェノール樹脂発泡板の面材としては、合成繊維又は天然繊維の不織布が好適に用いられる。不織布に印刷処理を施すと、フェノール樹脂発泡板の製造時に樹脂組成物が面材の表面に滲み出して、製品表面に変色部分を生じ、外観不良をもたらす場合がある。
こうした問題に対し、特定の偏平率の偏平糸からなり、特定の目付量である織布又は不織布を面材として備えるフェノール樹脂発泡板が提案されている(特許文献1)。特許文献1の発明では、特定の面材を用いることで、面材表面への発泡性樹脂組成物の滲み出しを抑制し、美麗に印刷することが図られている。
しかしながら、特許文献1に記載の面材は、特殊な繊維を使用するため、高コストである。加えて、特許文献1に記載の面材は、断面偏平な糸が用いられるため、発泡層と面材との接着性が悪く、発泡層から剥がれやすい。
予め印刷された面材を用いてフェノール樹脂発泡板を製造する場合、製造中に面材から滲み出した発泡性樹脂組成物によって、印刷部が汚れるという問題がある。また、形成された印刷部により面材自体の通気性が低くなり、独立気泡率が低下して長期にわたって低い熱伝導率を維持できない。
加えて、発泡硬化工程後に面材に印刷する場合、表層の独立気泡率が低い場合や、面材の種類によっては印刷によってフェノール樹脂発泡板の外観不良を生じることがあった。
さらに、予め印刷部が形成された面材を発泡硬化工程に用いるか、又は発泡硬化工程後に面材に印刷部を形成するかにかかわらず、印刷部の面積が大きいと、不織布における繊維間の隙間が塞がれ、面材の通気性が低下する。面材の通気性が低下すると、発泡層の独立気泡率が低下する。これを回避するために通気性の高い面材を用いると、面材の透水性が高いために発泡層の吸水量が増大し、結果として、長期にわたって低い熱伝導率を維持できない。
そこで、本発明は、印刷部が美麗であり、長期にわたって低い熱伝導率を維持できるフェノール樹脂発泡板を提供することを目的とする。
予め印刷された面材を用いてフェノール樹脂発泡板を製造する場合、製造中に面材から滲み出した発泡性樹脂組成物によって、印刷部が汚れるという問題がある。また、形成された印刷部により面材自体の通気性が低くなり、独立気泡率が低下して長期にわたって低い熱伝導率を維持できない。
加えて、発泡硬化工程後に面材に印刷する場合、表層の独立気泡率が低い場合や、面材の種類によっては印刷によってフェノール樹脂発泡板の外観不良を生じることがあった。
さらに、予め印刷部が形成された面材を発泡硬化工程に用いるか、又は発泡硬化工程後に面材に印刷部を形成するかにかかわらず、印刷部の面積が大きいと、不織布における繊維間の隙間が塞がれ、面材の通気性が低下する。面材の通気性が低下すると、発泡層の独立気泡率が低下する。これを回避するために通気性の高い面材を用いると、面材の透水性が高いために発泡層の吸水量が増大し、結果として、長期にわたって低い熱伝導率を維持できない。
そこで、本発明は、印刷部が美麗であり、長期にわたって低い熱伝導率を維持できるフェノール樹脂発泡板を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]フェノール樹脂の発泡層と、前記発泡層の両面に設けられた面材とを備え、
前記面材の少なくとも一方には、印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であり、
前記発泡層を厚さ方向に三分割にして、一方の面から順に第一の表層部、中央層部、第二の表層部とした場合に、前記第一の表層部及び前記第二の表層部の内、前記印刷面材に隣接する表層部の独立気泡率は、85%以上であり、
前記印刷面材は、目付15g/m2以上100g/m2以下の合成繊維不織布であり、
前記印刷面材の熱圧着固定部分密度は、5個/cm2以上150個/cm2以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板。
[2]対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程を有し、
前記発泡硬化工程は、予め前記印刷部が形成された前記面材を用いる、[1]に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。
[3]対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程と、
前記発泡硬化工程の後、前記2つの面材の少なくとも一方に前記印刷部を形成する印刷工程と、を有する、[1]に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。
[4]目付が15g/m2以上100g/m2以下であり、
熱圧着固定部分密度が5個/cm2以上150個/cm2以下であり、
起毛度が1本/cm以上35本/cm以下である合成繊維不織布であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板用の面材。
[5]少なくとも一方の面に印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であることを特徴とする、[4]に記載のフェノール樹脂発泡板用の面材。
[1]フェノール樹脂の発泡層と、前記発泡層の両面に設けられた面材とを備え、
前記面材の少なくとも一方には、印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であり、
前記発泡層を厚さ方向に三分割にして、一方の面から順に第一の表層部、中央層部、第二の表層部とした場合に、前記第一の表層部及び前記第二の表層部の内、前記印刷面材に隣接する表層部の独立気泡率は、85%以上であり、
前記印刷面材は、目付15g/m2以上100g/m2以下の合成繊維不織布であり、
前記印刷面材の熱圧着固定部分密度は、5個/cm2以上150個/cm2以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板。
[2]対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程を有し、
前記発泡硬化工程は、予め前記印刷部が形成された前記面材を用いる、[1]に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。
[3]対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程と、
前記発泡硬化工程の後、前記2つの面材の少なくとも一方に前記印刷部を形成する印刷工程と、を有する、[1]に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。
[4]目付が15g/m2以上100g/m2以下であり、
熱圧着固定部分密度が5個/cm2以上150個/cm2以下であり、
起毛度が1本/cm以上35本/cm以下である合成繊維不織布であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板用の面材。
[5]少なくとも一方の面に印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であることを特徴とする、[4]に記載のフェノール樹脂発泡板用の面材。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、印刷部が美麗であり、長期にわたって低い伝導率を維持できる。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、フェノール樹脂の発泡層(以下、単に発泡層ということがある)を備える。
以下、図面を参照して、本発明のフェノール樹脂発泡板について説明する。
以下、図面を参照して、本発明のフェノール樹脂発泡板について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフェノール樹脂発泡板の斜視図である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、平板状の発泡層10と、第一の面材12と、第二の面材14とを備える。第一の面材12は、発泡層10の一方の面に設けられている。第二の面材14は、発泡層10の他方の面に設けられている。第一の面材12には、印刷部16が形成されている。本実施形態において、第一の面材12は印刷面材である。
フェノール樹脂発泡板1は、X方向を長手、Y方向を短手とする、平面視矩形の板状物である。本実施形態において、X方向はMD(Machine Direction)方向、Y方向はTD(Transverse Direction)方向である。なお、X方向をTD方向、Y方向をMD方向としてもよい。
フェノール樹脂発泡板1の大きさは特に限定されず、用途等を勘案して適宜決定される。フェノール樹脂発泡板1の大きさは、例えば、幅910mm以上1000mm以下×長さ1820mm以上3300mm以下×厚さ5mm以上200mm以下とされる。
フェノール樹脂発泡板1の形状は平板状であればよく、平面視で矩形状、円形等であってもよい。
本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、平板状の発泡層10と、第一の面材12と、第二の面材14とを備える。第一の面材12は、発泡層10の一方の面に設けられている。第二の面材14は、発泡層10の他方の面に設けられている。第一の面材12には、印刷部16が形成されている。本実施形態において、第一の面材12は印刷面材である。
フェノール樹脂発泡板1は、X方向を長手、Y方向を短手とする、平面視矩形の板状物である。本実施形態において、X方向はMD(Machine Direction)方向、Y方向はTD(Transverse Direction)方向である。なお、X方向をTD方向、Y方向をMD方向としてもよい。
フェノール樹脂発泡板1の大きさは特に限定されず、用途等を勘案して適宜決定される。フェノール樹脂発泡板1の大きさは、例えば、幅910mm以上1000mm以下×長さ1820mm以上3300mm以下×厚さ5mm以上200mm以下とされる。
フェノール樹脂発泡板1の形状は平板状であればよく、平面視で矩形状、円形等であってもよい。
(発泡層)
発泡層10は、発泡性樹脂組成物を発泡し硬化してなる発泡板である。発泡性樹脂組成物は、フェノール樹脂と発泡剤とを含む。
発泡層10中には、複数の気泡が形成されている。気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は相互に連通していない独立気泡になっている。気泡壁は、フェノール樹脂の硬化物から構成される。
発泡層10の独立気泡中には発泡剤に由来するガスが保持されている。発泡性樹脂組成物が2以上の発泡剤を含む場合、独立気泡中に保持されているガスの組成は、発泡性樹脂組成物中の発泡剤の組成とおおむね同様の比率となる。
発泡層10は、発泡性樹脂組成物を発泡し硬化してなる発泡板である。発泡性樹脂組成物は、フェノール樹脂と発泡剤とを含む。
発泡層10中には、複数の気泡が形成されている。気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は相互に連通していない独立気泡になっている。気泡壁は、フェノール樹脂の硬化物から構成される。
発泡層10の独立気泡中には発泡剤に由来するガスが保持されている。発泡性樹脂組成物が2以上の発泡剤を含む場合、独立気泡中に保持されているガスの組成は、発泡性樹脂組成物中の発泡剤の組成とおおむね同様の比率となる。
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。
ただし、フェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1~1:3であり、より好ましくは1:1.3~1:2.5である。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。
ただし、フェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1~1:3であり、より好ましくは1:1.3~1:2.5である。
フェノール樹脂の重量平均分子量Mwは、400以上3000以下が好ましく、700以上2000以下がより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であれば、独立気泡率が高まり、圧縮強度のさらなる向上及び熱伝導率のさらなる低減を図りやすい。また、ボイドの形成を防止しやすい。重量平均分子量Mwが上記上限値以下であれば、発泡性樹脂組成物の粘度が高まりすぎず、所望する発泡倍率を得やすい。
発泡剤は、特に限定されないが、ハロゲン化飽和炭化水素、ハロゲン化不飽和炭化水素等のハロゲン化炭化水素、炭化水素が好ましい。発泡層10の難燃性をより高め、断熱性を高める観点から、発泡剤としては、ハロゲン化炭化水素が好ましく、ハロゲン化不飽和炭化水素がより好ましい。
炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができ、沸点が-20℃以上100℃以下のものが好適に用いられる。
炭化水素としては、炭素数が4以上6以下の環状分子構造又は炭素数4以上6以下の鎖状分子構造を有するものが好ましく、例えば、イソブタン、ノルマルブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。
これらの炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの炭化水素は、低温域(例えば、-80℃程度の冷凍庫用断熱材)から高温域(例えば200℃程度の加熱体用断熱材)までの広い温度範囲で優れた断熱性能を確保でき、比較的安価であり経済的にも有利である。
炭化水素としては、炭素数が4以上6以下の環状分子構造又は炭素数4以上6以下の鎖状分子構造を有するものが好ましく、例えば、イソブタン、ノルマルブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。
これらの炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの炭化水素は、低温域(例えば、-80℃程度の冷凍庫用断熱材)から高温域(例えば200℃程度の加熱体用断熱材)までの広い温度範囲で優れた断熱性能を確保でき、比較的安価であり経済的にも有利である。
ハロゲン化炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができる。ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩素化飽和炭化水素、フッ素化飽和炭化水素等のハロゲン化飽和炭化水素;塩素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素、ヨウ素化フッ素化不飽和炭化水素等のハロゲン化不飽和炭化水素が挙げられる。ハロゲン化炭化水素は、水素の全てがハロゲンで置換されたものでもよいし、水素の一部がハロゲンで置換されたものでもよい。これらのハロゲン化炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
塩素化飽和炭化水素としては、炭素数が2以上5以下であるものが好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド(2-クロロプロパン)、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、イソペンチルクロライド等が挙げられる。中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライドが好ましい。
塩素化フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内に塩素原子とフッ素原子と二重結合を含むものが挙げられ、例えば、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)(E及びZ異性体)(例えば、HoneyWell社製、商品名:SOLSTICE LBA)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)(E及びZ異性体)、1-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)(E及びZ異性体)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)(例えば、SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300-7-09)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)(E及びZ異性体)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)、及び2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(E及びZ異体)等が挙げられる。
フッ素化飽和炭化水素としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内にフッ素原子と二重結合を含むものが挙げられ、例えば、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300-3-Z6)等の特表2009-513812号公報等に開示されるものが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、オゾン破壊係数(ODP)及び地球温暖化係数(GWP)が小さく、環境に与える影響が小さい点で、ハロゲン化不飽和炭化水素が好ましく、塩素化フッ素化不飽和炭化水素又はフッ素化不飽和炭化水素がより好ましい。
発泡性樹脂組成物は、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素以外の他の発泡剤を含有してもよい。他の発泡剤としては、例えば、窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等の低沸点ガス;ジメチルエーテル等のエーテル類;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等の化学発泡剤;多孔質固体材料等が挙げられる。
これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
2種以上の発泡剤の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上のフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上の塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上の塩素化フッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化フッ素化炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上のフッ素化不飽和炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、2種以上の塩素化フッ素化炭化水素同士の組み合わせ、2種以上のフッ素化飽和炭化水素同士の組み合わせ、2種以上のフッ素化不飽和炭化水素同士の組み合わせ等が挙げられる。
2種以上のハロゲン化炭化水素の組み合わせとしては、塩素化炭化水素と、分子内にハロゲン原子と炭素間2重結合を有するハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
塩素化炭化水素は、フェノール樹脂の発泡層の発泡剤として従来用いられているが、1種単独では、発泡層10の平均気泡径が大きく、熱伝導率が高くなりやすい。フッ素化不飽和炭化水素を併用することで、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性が向上する。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡板1の難燃性が向上する。
塩素化炭化水素は、フェノール樹脂の発泡層の発泡剤として従来用いられているが、1種単独では、発泡層10の平均気泡径が大きく、熱伝導率が高くなりやすい。フッ素化不飽和炭化水素を併用することで、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性が向上する。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡板1の難燃性が向上する。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との質量比は、塩素化炭化水素:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1~1:9が好ましく、9:1~5:5がより好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素を前記の質量比を満たす範囲内で含むことで、平均気泡径がより小さく、熱伝導率がより低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性がより優れたものとなる。
ハロゲン化不飽和炭化水素を前記の質量比を満たす範囲内で含むことで、平均気泡径がより小さく、熱伝導率がより低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性がより優れたものとなる。
炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との質量比は、炭化水素:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1~1:9が好ましく、8:2~2:8がより好ましく、5:5~3:7がさらに好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記上限値以下であれば、発泡性樹脂組成物を十分に発泡できる。ハロゲン化不飽和炭化水素は、フェノール樹脂との相溶性が高い。このため、ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記上限値超では、発泡性樹脂組成物の粘度が低下し、フェノール樹脂の発泡が不十分になりやすい。
塩素化炭化水素又は炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点は、塩素化炭化水素の沸点よりも低いことが好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点が塩素化炭化水素又は炭化水素の沸点よりも低い方が、発泡層10中の気泡20の気泡径が小さく、かつ単位体積あたりの気泡20の数が多くなり、断熱性をより高められる傾向がある。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成したハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い塩素化炭化水素がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま塩素化炭化水素が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、塩素化炭化水素として沸点37℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が-7℃以上35℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、17℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
また、沸点49℃であるシクロペンタンを炭化水素として選択した場合には、沸点が19℃以上47℃以下の沸点を有するものを選択することが好ましい。また、あるいは、常温付近での取り扱いのしやすさの観点からは、29℃以上44℃以下の沸点を有するものが好ましい。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成したハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い塩素化炭化水素がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま塩素化炭化水素が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、塩素化炭化水素として沸点37℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が-7℃以上35℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、17℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
また、沸点49℃であるシクロペンタンを炭化水素として選択した場合には、沸点が19℃以上47℃以下の沸点を有するものを選択することが好ましい。また、あるいは、常温付近での取り扱いのしやすさの観点からは、29℃以上44℃以下の沸点を有するものが好ましい。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、イソプロピルクロライドとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、又はイソプロピルクロライドと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、シクロペンタンとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、又はシクロペンタンと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、シクロペンタンとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、又はシクロペンタンと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
発泡性樹脂組成物が2以上の発泡剤を含む場合、独立気泡中に保持されているガスの組成は、発泡性樹脂組成物中の発泡剤の組成とおおむね同様の比率となる。
発泡層10における発泡剤の組成は、例えば、以下の溶媒抽出法により確認できる。
発泡層10における発泡剤の組成は、例えば、以下の溶媒抽出法により確認できる。
溶媒抽出法:
予め発泡剤の標準ガスを用いて、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)での以下の測定条件における保持時間を求める。次に、上下の面材を剥がしたフェノール樹脂発泡板のサンプル1.6gを粉砕用ガラス容器に分取し、テトラヒドロフラン(THF)80mLを添加する。サンプルが溶媒に浸る程度に押しつぶした後、ホモジナイザーで1分30秒間粉砕抽出し、この抽出液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液をGC/MSに供する。発泡剤の種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行う。また、他の発泡剤の種類は、保持時間とマススペクトルによって同定を行う。発泡剤成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成(質量比)を算出する。
・GC/MS測定条件
使用カラム:DB-5ms(アジレントテクノロジー社)60m、内径0.25mm、膜厚1μm。
カラム温度:40℃(10分)-10℃/分-200℃。
注入口温度:200℃。
インターフェイス温度:230℃。
キャリアガス:He 1.0mL/分。
スプリット比:20:1。
測定方法:走査法 m/Z=11~550。
予め発泡剤の標準ガスを用いて、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)での以下の測定条件における保持時間を求める。次に、上下の面材を剥がしたフェノール樹脂発泡板のサンプル1.6gを粉砕用ガラス容器に分取し、テトラヒドロフラン(THF)80mLを添加する。サンプルが溶媒に浸る程度に押しつぶした後、ホモジナイザーで1分30秒間粉砕抽出し、この抽出液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液をGC/MSに供する。発泡剤の種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行う。また、他の発泡剤の種類は、保持時間とマススペクトルによって同定を行う。発泡剤成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成(質量比)を算出する。
・GC/MS測定条件
使用カラム:DB-5ms(アジレントテクノロジー社)60m、内径0.25mm、膜厚1μm。
カラム温度:40℃(10分)-10℃/分-200℃。
注入口温度:200℃。
インターフェイス温度:230℃。
キャリアガス:He 1.0mL/分。
スプリット比:20:1。
測定方法:走査法 m/Z=11~550。
発泡性樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部に対し、1質量部以上25質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましく、5質量部以上11質量部以下がさらに好ましい。
発泡性樹脂組成物は、酸触媒を含有してもよい。酸触媒は、フェノール樹脂を硬化させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡性樹脂組成物中の酸触媒の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、5質量部以上30質量部以下が好ましく、8質量部以上25質量部以下がより好ましく、10質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
発泡性樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドとしては、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記する。)、プロピレンオキシド(以下、「PO」と略記する。)がより好ましく、EOがさらに好ましい。ひまし油に付加するアルキレンオキシドは1種でもよく2種以上でもよい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの付加モル数は、ひまし油1モルに対し、20モル超60モル未満が好ましく、21モル以上40モル以下がより好ましい。かかるひまし油アルキレンオキシド付加物においては、ひまし油の長鎖炭化水素基を主体とする疎水性基と、所定付加モルのアルキレンオキシド(EO等)によって形成されたポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチレン基等)を主体とする親水性基とが、分子内でバランス良く配置されて、良好な界面活性能が発揮される。このため、発泡層10の気泡径が小さくなる。また、発泡層10の気泡壁に柔軟性が付与されて、亀裂を生じにくい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの付加モル数は、ひまし油1モルに対し、20モル超60モル未満が好ましく、21モル以上40モル以下がより好ましい。かかるひまし油アルキレンオキシド付加物においては、ひまし油の長鎖炭化水素基を主体とする疎水性基と、所定付加モルのアルキレンオキシド(EO等)によって形成されたポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチレン基等)を主体とする親水性基とが、分子内でバランス良く配置されて、良好な界面活性能が発揮される。このため、発泡層10の気泡径が小さくなる。また、発泡層10の気泡壁に柔軟性が付与されて、亀裂を生じにくい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノポリシロキサン系化合物が挙げられる。中でも、より均一でより微細な気泡を得られる点で、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体が好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、シロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端のそれぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は、2又は3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、末端が-OR(Rは、水素原子又はアルキル基である。)であるポリエーテル鎖を有するものが好ましく、熱伝導率をより低くできる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、シロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端のそれぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は、2又は3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、末端が-OR(Rは、水素原子又はアルキル基である。)であるポリエーテル鎖を有するものが好ましく、熱伝導率をより低くできる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
発泡性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、気泡径が均一に小さくなりやすく、上限値以下であれば、発泡層10の吸水量が少なく、また、製造コストも抑えられる。
発泡性樹脂組成物中、発泡剤:界面活性剤で表される質量比は、例えば、1:1~6:1が好ましい。発泡剤の比率が前記範囲の下限値以上であると、発泡性樹脂組成物を十分に発泡しやすい。発泡剤の比率が前記範囲の上限値以下であると、発泡性樹脂組成物中の発泡剤を十分に分散しやすい。そのため、発泡剤と界面活性剤との質量比が前記範囲内であれば、発泡剤がフェノール樹脂中に均一に分散して、微細な気泡を形成できる。
発泡性樹脂組成物は、従来公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、尿素、可塑剤、充填剤(充填材)、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
充填剤としては、無機フィラーが好ましい。無機フィラーを用いることで、発泡層10の熱伝導率を低減し、かつ難燃性のさらなる向上を図れる。
充填剤としては、無機フィラーが好ましい。無機フィラーを用いることで、発泡層10の熱伝導率を低減し、かつ難燃性のさらなる向上を図れる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。ただし、酸触媒として強酸を使用する場合、金属粉末、炭酸塩は、ポットライフの調整に影響がない範囲で添加する必要がある。これらの無機フィラーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
可塑剤としては、従来から公知のものを適宜選択して使用でき、例えば、フタル酸系化合物や、リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種とアルコールとの反応生成物等が挙げられる。
フタル酸系化合物としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル等を挙げることができ、これらは、単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種と、アルコールとの反応生成物としては、例えば、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、リン酸-2-エチルヘキシルジフェニル等のリン酸エステル;トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル);アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル等のクエン酸エステル;等のエステル系化合物を挙げることができる。これらのエステル系化合物は、必要に応じて2種以上組み合わせて用いてもよく、目的に応じて各種選択することができる。
これらの可塑剤のうち、フタル酸系化合物はレゾール樹脂との相溶性が高く、よりレゾール樹脂を可塑化(低粘度化)し、後述する製造工程における吐出装置の吐出口から均一に吐出でき、より独立気泡率を高めることができる。
フタル酸系化合物としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル等を挙げることができ、これらは、単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種と、アルコールとの反応生成物としては、例えば、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、リン酸-2-エチルヘキシルジフェニル等のリン酸エステル;トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル);アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル等のクエン酸エステル;等のエステル系化合物を挙げることができる。これらのエステル系化合物は、必要に応じて2種以上組み合わせて用いてもよく、目的に応じて各種選択することができる。
これらの可塑剤のうち、フタル酸系化合物はレゾール樹脂との相溶性が高く、よりレゾール樹脂を可塑化(低粘度化)し、後述する製造工程における吐出装置の吐出口から均一に吐出でき、より独立気泡率を高めることができる。
発泡性樹脂組成物中の充填剤の含有量は、抽出pHが3以上6以下となる量が好ましい。例えば、充填剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましく、3質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上10質量部以下が特に好ましい。充填剤の含有量が上記下限値未満では、発泡層10の抽出pHが低くなる。抽出pHが低くなると、酸性度が増す為、フェノール樹脂発泡板と接触する資材が、腐食を生じるおそれがある。抽出pHが上記上限値を超える場合、充填剤の含有量が上記上限値超となり、酸触媒による硬化反応が著しく阻害され、生産性が悪化するおそれがある。
抽出pHは、以下の方法で測定される。発泡層10を乳鉢で250μm(60メッシュ)以下に粉砕して試料とする。試料0.5gを200mLの共栓付き三角フラスコに量り取る。共栓付き三角フラスコに純水100mLを加え、密栓する。マグネチックスターラーを用いて、共栓付き三角フラスコ内を23℃±5℃で7日間撹拌して、試料液とする。得られた試料液のpHをpHメータで測定し、その値を抽出pHとする。
発泡性樹脂組成物は、フェノール樹脂及び発泡剤、並びに必要に応じて任意成分(酸触媒、界面活性剤、添加剤等)を混合することにより調製される。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂に界面活性剤、必要に応じて添加剤を加え混合し、得られた混合物に、発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌して、発泡性樹脂組成物を調製することができる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂に界面活性剤、必要に応じて添加剤を加え混合し、得られた混合物に、発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌して、発泡性樹脂組成物を調製することができる。
発泡層10の大きさは、フェノール樹脂発泡板1の用途等を勘案して決定され、特に限定されないが、例えば、長さ(X方向)500mm以上4000mm以下×幅(Y方向)500mm以上1000mm以下であってよい。
発泡層10の厚さt1は、フェノール樹脂発泡板1に求める断熱性等を勘案して決定され、例えば、5mm以上200mm以下が好ましく、30mm以上120mm以下がより好ましく、45mm以上100mm以下がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、断熱性をより高められる。厚さt1が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の厚さが厚くなりすぎず、取り扱いが容易である。
発泡層10の密度は、10kg/m3以上100kg/m3以下が好ましく、15~50kg/m3がより好ましく、20~40kg/m3がさらに好ましく、23~35kg/m3が特に好ましい。密度が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の強度をより高められ、上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
密度は、JIS A 9511:2009に従い測定される。
密度は、JIS A 9511:2009に従い測定される。
発泡層10における平均気泡径は、50μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましく、50μm以上100μm以下がもっとも好ましい。平均気泡径が上記範囲内であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
平均気泡径は、例えば、以下の測定方法により測定される。
まず、発泡層10の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出す。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400-1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
発泡層10の平均気泡径は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
平均気泡径は、例えば、以下の測定方法により測定される。
まず、発泡層10の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出す。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400-1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
発泡層10の平均気泡径は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
発泡層10における独立気泡率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。上限は特に限定されず、100%であってよい。独立気泡率が前記下限値以上であれば、低い熱伝導率を長期にわたって保つことができる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に従い測定される。
発泡層10の独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に従い測定される。
発泡層10の独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
発泡層10を厚さ方向に三分割にして、一方の面(本実施形態では第一の面材12が設けられている面)から順に第一の表層部10a、中央層部10c、第二の表層部10bとした場合に、印刷面材(本実施形態では第一の面材12)と隣接する第一の表層部10aにおける独立気泡率は、85%以上であり、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%がさらに好ましい。印刷面材に隣接する第一の表層部10aの独立気泡率が上記下限値以上であれば、吸水量を低減し、長期にわたって低い熱伝導率を維持でき、印刷部の美麗さのさらなる向上を図れる。
独立気泡率はJIS K 7138:2006の測定法1に従い測定することができる。
ここで、フェノール樹脂発泡板1の厚みが45mm以上の場合、第一の表層部10aは、フェノール樹脂発泡板1から面材を剥離したもの(即ち、発泡層10)の一方の面から厚さ方向に20mmまでの部分である。第二の表層部10bとは、発泡層の他方の面から厚さ方向に20mmまでの部分である。中央層部10cとは、面材を剥離したフェノール樹脂発泡板の厚さ方向の中心から上下10mmの範囲(厚さ20mm)の部分である。
また、フェノール樹脂発泡板の厚みが45mm未満の場合は、フェノール樹脂発泡板を厚さ方向に三等分して、一方の面から順に、第一の表層部、中央層部、第二の表層部とする。
独立気泡率はJIS K 7138:2006の測定法1に従い測定することができる。
ここで、フェノール樹脂発泡板1の厚みが45mm以上の場合、第一の表層部10aは、フェノール樹脂発泡板1から面材を剥離したもの(即ち、発泡層10)の一方の面から厚さ方向に20mmまでの部分である。第二の表層部10bとは、発泡層の他方の面から厚さ方向に20mmまでの部分である。中央層部10cとは、面材を剥離したフェノール樹脂発泡板の厚さ方向の中心から上下10mmの範囲(厚さ20mm)の部分である。
また、フェノール樹脂発泡板の厚みが45mm未満の場合は、フェノール樹脂発泡板を厚さ方向に三等分して、一方の面から順に、第一の表層部、中央層部、第二の表層部とする。
第二の表層部10bの独立気泡率は、特に限定されない。第二の表層部10bの独立気泡率は、第一の表層部10aの独立気泡率と同じでもよく異なってもよい。なお、第二の面材14に印刷部が形成される場合、第二の面材14に隣接する第二の表層部10bの独立気泡率は、第一の表層部10aの独立気泡率と同様である。
中央層部10cの独立気泡率は、特に限定されないが、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。中央層部10cの独立気泡率が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
第一の表層部10aと第二の表層部10bの少なくともいずれかの独立気泡率が中央層部10cの独立気泡率より高いことが好ましく、第一の表層部10aと第二の表層部10bの両方の独立気泡率が中央層部10cの独立気泡率より高いことがより好ましい。
発泡層10の制限酸素指数(Limited Oxygen Index;以下「LOI」ともいう。)は、28容量%以上が好ましく、30容量%以上がより好ましく、32容量%以上がさらに好ましい。発泡層10のLOIが上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の難燃性のさらなる向上を図れる。
LOIは、JIS K 7201-2:2007に従い測定される。
発泡層10のLOIは、例えば、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類又は組成とその量等の組み合わせにより調節される。例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない(ハロゲン化炭化水素の含有量が多い)ほど、発泡層10のLOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が-OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、発泡層10のLOIが高い傾向がある。さらに、発泡層10にリン系難燃剤等を含有させることで発泡層10のLOIを高くすることができる。
LOIは、JIS K 7201-2:2007に従い測定される。
発泡層10のLOIは、例えば、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類又は組成とその量等の組み合わせにより調節される。例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない(ハロゲン化炭化水素の含有量が多い)ほど、発泡層10のLOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が-OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、発泡層10のLOIが高い傾向がある。さらに、発泡層10にリン系難燃剤等を含有させることで発泡層10のLOIを高くすることができる。
(第一の面材)
第一の面材12は、発泡層10の一方の面に設けられている。第一の面材12は、発泡層10を物理的衝撃等から保護できる。
発泡層10の一方の面の面積(100%)に対して、第一の面材12の覆う面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
第一の面材12は、発泡層10の一方の面に設けられている。第一の面材12は、発泡層10を物理的衝撃等から保護できる。
発泡層10の一方の面の面積(100%)に対して、第一の面材12の覆う面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
第一の面材12は、合成繊維不織布である。加えて、第一の面材12は、吸水性の低いものが好ましい。吸水性の高い素材を含む面材の場合、発泡性樹脂組成物中の水分や、フェノール樹脂の縮合の際に生じる水によって、面材に収縮等が生じる。面材として合成繊維不織布が用いられることで、水分による面材の収縮等を抑制して、面材に皺が発生するのを抑制できる。
合成繊維不織布としては、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられ、中でも、スパンボンド不織布が好ましい。スパンボンド不織布は、工業的に流通量が多いため入手しやすく、製造上のエンボス加熱ロールにより繊維間の熱融着点パターンを変えて不織布表層の風合いや毛羽立ちをコントロールすることも可能であり、取り回し易い。
合成繊維不織布を構成する繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
合成繊維不織布としては、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられ、中でも、スパンボンド不織布が好ましい。スパンボンド不織布は、工業的に流通量が多いため入手しやすく、製造上のエンボス加熱ロールにより繊維間の熱融着点パターンを変えて不織布表層の風合いや毛羽立ちをコントロールすることも可能であり、取り回し易い。
合成繊維不織布を構成する繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
第一の面材12を構成する不織布は、二酸化チタンを含有することが好ましい。二酸化チタンを含有することで、紫外線に対する耐光性が向上する。加えて、第一の面材12を構成する不織布は、二酸化チタンを含有することで、白色度を高めて印刷部16の視認性をより高められる。
第一の面材12を構成する繊維に対する二酸化チタンの含有量としては0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。二酸化チタンの含有量が上記下限値以上であれば、紫外線への耐光性や白色度を向上できる。二酸化チタンの含有量が上記上限値以下であれば、第一の面材12の強度や熱圧着固定部分の強度をより向上できる。
なお、二酸化チタンは、第一の面材12の繊維を構成する合成樹脂中に混合されていてもよく、繊維表面に付着していてもよい。また、第一の面材12に含まれる二酸化チタンは、JIS H 1632-1:2014に準拠したICP分光分析を用いて定量できる。
第一の面材12を構成する繊維に対する二酸化チタンの含有量としては0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。二酸化チタンの含有量が上記下限値以上であれば、紫外線への耐光性や白色度を向上できる。二酸化チタンの含有量が上記上限値以下であれば、第一の面材12の強度や熱圧着固定部分の強度をより向上できる。
なお、二酸化チタンは、第一の面材12の繊維を構成する合成樹脂中に混合されていてもよく、繊維表面に付着していてもよい。また、第一の面材12に含まれる二酸化チタンは、JIS H 1632-1:2014に準拠したICP分光分析を用いて定量できる。
第一の面材12の厚さは、特に限定されないが、0.06mm以上1.00mm以下が好ましく、0.10mm以上0.50mm以下がより好ましい。面材の厚さが前記下限値以上であると、表面への発泡性樹脂組成物の滲み出しが抑制されやすくなる。面材の厚さが前記上限値以下であると、面材の取り扱い性が高められやすくなる。
第一の面材12の目付は、特に限定されないが、合成繊維不織布の目付は、15g/m2以上100g/m2以下であり、15g/m2以上50g/m2以下が好ましく、15g/m2以上40g/m2以下がより好ましく、15g/m2以上30g/m2以下がさらに好ましい。
第一の面材12の目付が上記下限値以上であれば、印刷されるインキが第一の面材12を浸透しにくく、滲みにくい。このため、印刷部16をより美麗にできる。第一の面材12の目付が上記上限値以下であれば、発泡層10と第一の面材12との接着性を高められる。これにより、第一の面材12が発泡層10から剥がれにくくなり表面をより美麗にできる。
第一の面材12の目付が上記下限値以上であれば、印刷されるインキが第一の面材12を浸透しにくく、滲みにくい。このため、印刷部16をより美麗にできる。第一の面材12の目付が上記上限値以下であれば、発泡層10と第一の面材12との接着性を高められる。これにより、第一の面材12が発泡層10から剥がれにくくなり表面をより美麗にできる。
第一の面材12には、凹凸形状のいわゆるエンボス(熱圧着固定部分)が形成されることが好ましい。エンボスが形成された面材を用いることで、面材と発泡性樹脂組成物の接着性がより高められる。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、折り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層10との接着性をより高められる点から、略正方形の折り目柄又は略長方形のマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施すには、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより、又は潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより製造される。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、折り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層10との接着性をより高められる点から、略正方形の折り目柄又は略長方形のマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施すには、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより、又は潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより製造される。
エンボス加工の際に形成された熱圧着固定部分において、熱圧着固定部分1箇所当たりの面積は0.05mm2以上5.0mm2以下が好ましく、0.07mm2以上3.0mm2以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、熱圧着固定部分により発泡性樹脂組成物の滲み出しを抑えつつ、発泡性樹脂組成物と面材との接着性を向上させることができる。上記面積が0.05mm2未満である場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい傾向があり、5.0mm2を超える場合、熱圧着固定部分の面積が多く、風合いが硬く、発泡層10と面材の繊維との接着性が悪くなる。また、印刷時にインキが面材に付着しにくく、インキの剥離や色むらを生じ易い。さらに、後述するフラジール通気度が低くなり、養生時間が長くなったり、独立気泡率が低下するおそれがある。
なお、一般的に、熱圧着固定部分は目視又は光学顕微鏡等により容易に確認できる。個々の熱圧着固定部分の面積は、以下の測定方法により求められる。
<熱圧着固定部分の面積の測定方法>
面材の表面を光学顕微鏡で10倍に拡大した画像を得る。画像処理ソフトウェア(商品名「Photoshop(登録商標)」、アドビシステムズインコーポレーテッド社製)を用いて、観察された熱圧着固定部分の面積を測定し、熱圧着固定部分の5個の平均値を熱圧着固定部分の面積とする。
<熱圧着固定部分の面積の測定方法>
面材の表面を光学顕微鏡で10倍に拡大した画像を得る。画像処理ソフトウェア(商品名「Photoshop(登録商標)」、アドビシステムズインコーポレーテッド社製)を用いて、観察された熱圧着固定部分の面積を測定し、熱圧着固定部分の5個の平均値を熱圧着固定部分の面積とする。
熱圧着固定部分同士の最小間隔は0.05mm以上5mm以下が好ましく、0.08mm以上2mm以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、フェノール樹脂の滲み出しを抑えつつ、発泡層10と面材との接着性を向上させることができる。上記最小間隔が0.05mm未満である場合、熱圧着固定部分が多く、風合いが硬く、発泡層10と面材の繊維との接着性が悪い傾向がある。5mmを超える場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く、発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい。また熱圧着固定部分は、不織布表面の全面に均等に分布させることが好ましい。
熱圧着固定部分密度は5個/cm2以上150個/cm2以下であり、6個/cm2以上100個/cm2以下がより好ましく、7個/cm2以上80個/cm2以下がさらに好ましい。熱圧着固定部分密度は単位面積あたりの熱圧着固定部分の個数を意味しており、次式(s)で表される。
熱圧着固定部分密度(個/cm2)=[熱圧着固定部分の数(個)]/」[面材の表面積(cm2)]・・・(s)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制し、印刷部16の美麗性を高められる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、発泡層10と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、後述するフラジール通気度を高くでき、養生温度を下げたり、養生時間を短縮して、独立気泡率を高め、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
熱圧着固定部分密度(個/cm2)=[熱圧着固定部分の数(個)]/」[面材の表面積(cm2)]・・・(s)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制し、印刷部16の美麗性を高められる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、発泡層10と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、後述するフラジール通気度を高くでき、養生温度を下げたり、養生時間を短縮して、独立気泡率を高め、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
熱圧着固定部分密度は、熱圧着固定部分の1箇所当りの面積によって調整することが好ましい。熱圧着固定部分はインキが浸透しないため着色されにくく、熱圧着固定部分周囲の繊維部分はインキが毛細管現象により滲み込んで着色されやすい。一方、熱圧着固定部分はインキの浸透や樹脂の滲み出しを防ぐ効果がある。
そこで、熱圧着固定部分1個の面積が小さい場合には熱圧着固定部分密度を高くし、熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が大きい場合には、熱圧着固定部分密度を低くすることが好ましい。
熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が0.05mm2以上0.5mm2以下の場合には、熱圧着固定部分密度は80個/cm2以上150個/cm2以下が好ましい。熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が0.5mm2以上5.0mm2以下の場合には、熱圧着固定部分密度は5/cm2以上80個/cm2以下が好ましい。
熱圧着固定部分の1箇所当たりの面積が上記上限値以下であれば、印刷部16の面積が小さくても、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分の面積が十分に大きい。インキで着色される面積(即ち、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分の面積)が十分に大きいため、印刷部16の視認性をより高められる。熱圧着固定部分の1箇所当たりの面積が上記下限値以上であれば、インキの浸透や樹脂の滲み出しを防ぎ、外部からの水分が発泡層10に到達するのを防止して吸水量を低下できる。
そこで、熱圧着固定部分1個の面積が小さい場合には熱圧着固定部分密度を高くし、熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が大きい場合には、熱圧着固定部分密度を低くすることが好ましい。
熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が0.05mm2以上0.5mm2以下の場合には、熱圧着固定部分密度は80個/cm2以上150個/cm2以下が好ましい。熱圧着固定部分の1箇所当りの面積が0.5mm2以上5.0mm2以下の場合には、熱圧着固定部分密度は5/cm2以上80個/cm2以下が好ましい。
熱圧着固定部分の1箇所当たりの面積が上記上限値以下であれば、印刷部16の面積が小さくても、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分の面積が十分に大きい。インキで着色される面積(即ち、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分の面積)が十分に大きいため、印刷部16の視認性をより高められる。熱圧着固定部分の1箇所当たりの面積が上記下限値以上であれば、インキの浸透や樹脂の滲み出しを防ぎ、外部からの水分が発泡層10に到達するのを防止して吸水量を低下できる。
また、熱圧着固定部分密度は、発泡層10の密度に応じて調整することが好ましい。
発泡層10の密度が27kg/m3以下の場合には、第一の面材12の熱圧着固定部分密度は80個/cm2以上150個/cm2以下が好ましい。密度を27kg/m3以下とする場合、発泡剤の量を増やしたり硬化温度を高くする等して、発泡倍率を高くする必要があり、発泡性樹脂組成物の粘度が低下しやすい。このため、熱圧着固定部分密度が低いと低粘度の発泡性樹脂組成物が面材の表面に滲み出すおそれがある。また、第一の面材12の熱圧着固定部分密度が低いと引裂強度が高くなるため切断時に強い力が必要となる。このため、発泡層10の密度が低い場合、発泡層10の圧縮強度が低くなり、フェノール樹脂発泡板1の切断時にかかる力で発泡層10がつぶれやすくなる。
一方、発泡層10の密度が27kg/m3を超える場合には、熱圧着固定部分密度は5個/cm2以上80個/cm2が好ましい。密度が27kg/m3を超える場合、発泡層10のフェノール樹脂量が多くなるため、発泡性樹脂組成物の重合反応に伴い発生する縮合水が多くなる。発泡性樹脂組成物の発泡硬化中に、面材を通して縮合水を除去できるよう通気性が必要となるが、熱圧着固定部分密度が高すぎると通気性が低下するため縮合水が残留し、独立気泡率が低下するおそれがある。
発泡層10の密度が27kg/m3以下の場合には、第一の面材12の熱圧着固定部分密度は80個/cm2以上150個/cm2以下が好ましい。密度を27kg/m3以下とする場合、発泡剤の量を増やしたり硬化温度を高くする等して、発泡倍率を高くする必要があり、発泡性樹脂組成物の粘度が低下しやすい。このため、熱圧着固定部分密度が低いと低粘度の発泡性樹脂組成物が面材の表面に滲み出すおそれがある。また、第一の面材12の熱圧着固定部分密度が低いと引裂強度が高くなるため切断時に強い力が必要となる。このため、発泡層10の密度が低い場合、発泡層10の圧縮強度が低くなり、フェノール樹脂発泡板1の切断時にかかる力で発泡層10がつぶれやすくなる。
一方、発泡層10の密度が27kg/m3を超える場合には、熱圧着固定部分密度は5個/cm2以上80個/cm2が好ましい。密度が27kg/m3を超える場合、発泡層10のフェノール樹脂量が多くなるため、発泡性樹脂組成物の重合反応に伴い発生する縮合水が多くなる。発泡性樹脂組成物の発泡硬化中に、面材を通して縮合水を除去できるよう通気性が必要となるが、熱圧着固定部分密度が高すぎると通気性が低下するため縮合水が残留し、独立気泡率が低下するおそれがある。
熱圧着固定部分の凹部(即ち、熱エンボスロール加工等による熱圧着によって形成される窪み)の深さは0.01~1.0mmであることが好ましい。上記深さが0.01mm未満である場合、熱圧着固定部分の結合が少ない傾向があり、1.0mmを超える場合、エンボスロール等による加工が難しい傾向がある。
第一の面材12の引裂強度は、1.0N以上6.0N以下が好ましく、1.5N以上5.0N以下がより好ましく、2.0N以上4.5N以下がさらに好ましく、2.5N以上4.5N以下が最も好ましい。引裂強度が1.0N未満の場合、引裂きに対する抵抗が著しく低く、フェノール樹脂発泡板1を製造する際に、ロールからの引出し時や発泡硬化時に引裂かれたり、運送時や施工時に面材が引裂かれるおそれが高い。引裂き強度が5Nを超える場合、引裂きに対する抵抗が著しく高く、フェノール樹脂発泡板1の製造時における発泡硬化工程後の切断時や、フェノール樹脂発泡板1の使用時における施工現場での切断時に、面材を切断するのに必要な力が過大に必要になったり、切断に要する力によってフェノール樹脂発泡板の切断面が凹んだりつぶれたりするおそれがある。
なお、引裂強度は、JIS L 1096:1994のD法(ベンジュラム法)に従い測定され、発泡層10から剥がした面材をそのまま測定する。
なお、引裂強度は、JIS L 1096:1994のD法(ベンジュラム法)に従い測定され、発泡層10から剥がした面材をそのまま測定する。
第一の面材12における縦方向の引張強力は、45N/5cm以上250N/5cm以下が好ましく、75N/5cm以上200N/5cm以下がより好ましく、75N/5cm以上140N/5cm以下がさらに好ましい。また、第一の面材12における横方向の引張強力は、15N/5cm以上100N/5cm以下が好ましく、20N/5cm以上80N/5cm以下がより好ましく、24N/5cm以上40N/5cm以下がさらに好ましい。
さらに、縦方向の引張強力は横方向の引張強力よりも高いことが好ましい。縦方向と横方向の引張強力の差は50N/5cm以上150N/5cm以下であることが好ましい。
縦方向とはロール状に巻かれた第一の面材12のロールにおける引出し方向を指し、横方向とはロール状に巻かれた第一の面材12のロールにおける幅方向を指す。
縦方向がフェノール樹脂発泡板1の製造方向(MD方向)と平行な方向であることが好ましい。
面材は、巻き芯と呼ばれる円筒状の芯に対してロール状に巻かれた状態から引出されて、製造に供される。縦方向及び横方向の引張強力が上記範囲内であれば、引出す際の力により面材が伸びにくいため、引出す際の力によるロールの巻き締まりが生じにくくなる。また、引出す際の力により伸びにくいため、製造後に面材が伸縮しにくく、フェノール樹脂発泡板1の寸法安定性を向上させることができる。
さらに、縦方向と横方向の引張強力の差が上記範囲内であれば、引出す際の伸縮や、フェノール樹脂発泡板1の収縮によって生じる面材の伸縮が生じにくい。これにより、印刷部の模様の変形を抑えることができる。
なお、縦方向及び横方向の引張強力は、面材の目付、熱圧着固定部分の形状や配置、熱圧着固定部分密度等の組み合わせにより調整することができる。
引張強力は、JIS L1913:2010の6.3.1に基づいて測定される。縦方向を長辺とした5cm×30cmの試験片と、横方向を長辺とした5cm×30cmの試験片とを用意する。それぞれの試験片を幅方向等間隔に1mあたり3点採取する。定速伸長型引張試験機を用いて、つかみ間隔が20cmで、引張速度が10cm/分の条件で、各試験片を引張試験に供する。試験片が破断したときの強度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を引張強力(N/5cm)とする。
さらに、縦方向の引張強力は横方向の引張強力よりも高いことが好ましい。縦方向と横方向の引張強力の差は50N/5cm以上150N/5cm以下であることが好ましい。
縦方向とはロール状に巻かれた第一の面材12のロールにおける引出し方向を指し、横方向とはロール状に巻かれた第一の面材12のロールにおける幅方向を指す。
縦方向がフェノール樹脂発泡板1の製造方向(MD方向)と平行な方向であることが好ましい。
面材は、巻き芯と呼ばれる円筒状の芯に対してロール状に巻かれた状態から引出されて、製造に供される。縦方向及び横方向の引張強力が上記範囲内であれば、引出す際の力により面材が伸びにくいため、引出す際の力によるロールの巻き締まりが生じにくくなる。また、引出す際の力により伸びにくいため、製造後に面材が伸縮しにくく、フェノール樹脂発泡板1の寸法安定性を向上させることができる。
さらに、縦方向と横方向の引張強力の差が上記範囲内であれば、引出す際の伸縮や、フェノール樹脂発泡板1の収縮によって生じる面材の伸縮が生じにくい。これにより、印刷部の模様の変形を抑えることができる。
なお、縦方向及び横方向の引張強力は、面材の目付、熱圧着固定部分の形状や配置、熱圧着固定部分密度等の組み合わせにより調整することができる。
引張強力は、JIS L1913:2010の6.3.1に基づいて測定される。縦方向を長辺とした5cm×30cmの試験片と、横方向を長辺とした5cm×30cmの試験片とを用意する。それぞれの試験片を幅方向等間隔に1mあたり3点採取する。定速伸長型引張試験機を用いて、つかみ間隔が20cmで、引張速度が10cm/分の条件で、各試験片を引張試験に供する。試験片が破断したときの強度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を引張強力(N/5cm)とする。
熱圧着固定部分を有する合成繊維不織布は、その一方の端部のみが熱圧着固定部分で固定され、他方の端部が熱圧着固定部分で固定されていない起毛繊維を有していることが好ましい。通常、起毛繊維の量(起毛度)は合成繊維不織布の表裏面で差は無いが、一方の面にのみ起毛加工をすることにより起毛繊維の量に差をつけることができる。
第一の面材12としては、この起毛度が、1本/cm以上35本/cm以下であることが好ましく、1本/cm以上30本/cm以下であることがより好ましく、3本/cm以上20本/cm以下がより好ましい。起毛度が上記範囲内であれば、起毛繊維が発泡層10に埋設され、発泡層10と第一の面材12との接着性を向上させ剥離しにくくなり、インキが第一の面材12の繊維につきやすく、印刷部16を形成しやすい。
起毛度が1本/cm未満である場合、熱圧着固定部分密度が高すぎるか、熱圧着固定部分の面積が大きすぎることを意味し、第一の面材12の表面においてインキがつきにくい熱圧着固定部分が占める面積が大きいため印刷部16を形成しにくい。また、第一の面材12と発泡層10との接着性が低下し剥離しやすくなる。
一方、起毛度が30本/cmを超える場合、熱圧着固定部分密度が著しく低いか、隣接する熱圧着固定部分同士を連結する繊維が少ないことを意味し、面材自体の引張強度等の機械的強度が低下する。また、起毛繊維が多すぎるとインキがはじかれたり、第一の面材12を構成する繊維間にインキを浸透させにくいため印刷部16を形成しにくい。さらに、起毛繊維は面材からちぎれやすく、印刷版にちぎれた起毛繊維が巻き込まれるため連続的な印刷部16の形成がしにくい。さらに、面材を剥離した後に発泡層10の表面に残留する起毛繊維量が増大するため、発泡層10を粉砕し発泡性樹脂組成物と混合してリサイクルする際、混入した起毛繊維によって粘度の調整がしにくくなり、独立気泡率が低下するおそれがある。
なお、面材を剥離した後の発泡層10の表面に残留する起毛繊維量としては、0本/cm2以上50本/cm2以下が好ましく、0.1本/cm2以上30本/cm2以下がより好ましく、0.1本/cm2以上10本/cm2以下が最も好ましい。
面材を剥離した後の発泡層10の表面に残留する起毛繊維量は、以下の測定方法で求められる。
<起毛繊維量の測定方法>
フェノール樹脂発泡板から幅5cm×長さ5cmの大きさの面材を剥離する。面材を剥離した後の発泡層10の表面を光学顕微鏡やSEM等で拡大して繊維の本数をカウントする。これを発泡板の任意の箇所で3回行い、測定された繊維本数の平均値を観察した面積25cm2で除して測定値とする。
第一の面材12としては、この起毛度が、1本/cm以上35本/cm以下であることが好ましく、1本/cm以上30本/cm以下であることがより好ましく、3本/cm以上20本/cm以下がより好ましい。起毛度が上記範囲内であれば、起毛繊維が発泡層10に埋設され、発泡層10と第一の面材12との接着性を向上させ剥離しにくくなり、インキが第一の面材12の繊維につきやすく、印刷部16を形成しやすい。
起毛度が1本/cm未満である場合、熱圧着固定部分密度が高すぎるか、熱圧着固定部分の面積が大きすぎることを意味し、第一の面材12の表面においてインキがつきにくい熱圧着固定部分が占める面積が大きいため印刷部16を形成しにくい。また、第一の面材12と発泡層10との接着性が低下し剥離しやすくなる。
一方、起毛度が30本/cmを超える場合、熱圧着固定部分密度が著しく低いか、隣接する熱圧着固定部分同士を連結する繊維が少ないことを意味し、面材自体の引張強度等の機械的強度が低下する。また、起毛繊維が多すぎるとインキがはじかれたり、第一の面材12を構成する繊維間にインキを浸透させにくいため印刷部16を形成しにくい。さらに、起毛繊維は面材からちぎれやすく、印刷版にちぎれた起毛繊維が巻き込まれるため連続的な印刷部16の形成がしにくい。さらに、面材を剥離した後に発泡層10の表面に残留する起毛繊維量が増大するため、発泡層10を粉砕し発泡性樹脂組成物と混合してリサイクルする際、混入した起毛繊維によって粘度の調整がしにくくなり、独立気泡率が低下するおそれがある。
なお、面材を剥離した後の発泡層10の表面に残留する起毛繊維量としては、0本/cm2以上50本/cm2以下が好ましく、0.1本/cm2以上30本/cm2以下がより好ましく、0.1本/cm2以上10本/cm2以下が最も好ましい。
面材を剥離した後の発泡層10の表面に残留する起毛繊維量は、以下の測定方法で求められる。
<起毛繊維量の測定方法>
フェノール樹脂発泡板から幅5cm×長さ5cmの大きさの面材を剥離する。面材を剥離した後の発泡層10の表面を光学顕微鏡やSEM等で拡大して繊維の本数をカウントする。これを発泡板の任意の箇所で3回行い、測定された繊維本数の平均値を観察した面積25cm2で除して測定値とする。
第一の面材12と発泡層10との剥離強度は、300g/50mm以上が好ましく、600g/50mm以上がより好ましく、800g/50mm以上がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、第一の面材12が発泡層10から剥離するのをより確実に抑制できる。剥離強度の上限値は、特に限定されないが、3000g/50mm以下が好ましい。
第一の面材12のフラジール通気度は、50cm3/cm2・sec以上1000cm3/cm2・sec以下であることが好ましく、50cm3/cm2・sec以上600cm3/cm2・sec以下であることがより好ましく、100cm3/cm2・sec以上500cm3/cm2・sec以下であることがさらに好ましく、200cm3/cm2・sec以上400cm3/cm2・sec以下であることが特に好ましい。
第一の面材12のフラジール通気度が50cm3/cm2・sec未満であると、養生工程における養生時間が長くなったり、硬化工程で生成した水分が発泡層10中に残留し、残留した水分が養生工程で除去されるときに孔となって独立気泡率が低下するおそれがある。
第一の面材12のフラジール通気度が1000cm3/cm2・secを超えるような面材は目付が著しく小さいか、熱圧着固定部分密度が著しく小さい。このため、面材上に吐出されたフェノール樹脂組成物が発泡、硬化する過程において面材から滲み出してしまい、製造設備を汚してしまう。また、外部からの水分が発泡層10に到達しやすくなり吸水量が増大する。
なお、フラジール通気度は、JIS L 1096に準じてフラジール形試験機を用いて面材を通過する空気量を測定して算出した値であり、発泡層10に積層される前の面材について測定される。
第一の面材12のフラジール通気度が50cm3/cm2・sec未満であると、養生工程における養生時間が長くなったり、硬化工程で生成した水分が発泡層10中に残留し、残留した水分が養生工程で除去されるときに孔となって独立気泡率が低下するおそれがある。
第一の面材12のフラジール通気度が1000cm3/cm2・secを超えるような面材は目付が著しく小さいか、熱圧着固定部分密度が著しく小さい。このため、面材上に吐出されたフェノール樹脂組成物が発泡、硬化する過程において面材から滲み出してしまい、製造設備を汚してしまう。また、外部からの水分が発泡層10に到達しやすくなり吸水量が増大する。
なお、フラジール通気度は、JIS L 1096に準じてフラジール形試験機を用いて面材を通過する空気量を測定して算出した値であり、発泡層10に積層される前の面材について測定される。
第一の面材12を設ける方法としては、後述する製造システムの下部コンベア上に第二の面材14を配置し、該面材上に直接に発泡性樹脂組成物を吐出し、その上に第一の面材12を載置した後、加熱して発泡成形する方法が挙げられる。これにより、シート状の発泡層10の両面に面材が設けられる。
(第二の面材)
第二の面材14は、発泡層10の他方の面に設けられている。第二の面材14は、発泡層10を物理的衝撃等から保護できる。
発泡層10の他方の面の面積(100%)に対して、第二の面材14の覆う面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
第二の面材14は、発泡層10の他方の面に設けられている。第二の面材14は、発泡層10を物理的衝撃等から保護できる。
発泡層10の他方の面の面積(100%)に対して、第二の面材14の覆う面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
第二の面材14の種類は、第一の面材12の種類と同様である。第二の面材14の種類と、第二の面材14の種類とは、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、第一の面材12と第二の面材14との種類が異なると、両面材の伸縮量の差によってフェノール樹脂発泡板1が反りやすくなる。このため、第一の面材12と第二の面材14との種類は同じであることが好ましい。
第二の面材14の厚さは、第一の面材12の厚さと同様である。第二の面材14の厚さと第一の面材12の厚さとは、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、第一の面材12と第二の面材14との厚さが異なると、両面材の伸縮量の差によってフェノール樹脂発泡板1が反りやすくなる。このため、第一の面材12と第二の面材14との厚さは同じであることが好ましい。
第二の面材14の目付は、第一の面材12の目付と同様である。第二の面材14の目付と第一の面材12の、目付とは、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、第一の面材12と第二の面材14との目付が異なると、両面材の伸縮量の差によってフェノール樹脂発泡板1が反りやすくなる。このため、第一の面材12と第二の面材14との目付は同じであることが好ましい。
第二の面材14の起毛度は、第一の面材12の起毛度と同様である。第二の面材14の起毛度は、第一の面材12の起毛度と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の面材14のフラジール通気度は、第一の面材12のフラジール通気度と同様である。第二の面材14のフラジール通気度は、第一の面材12のフラジール通気度と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の面材14の引張強力は、第一の面材12の引張強力と同様である。第二の面材14の引張強力は、第一の面材12の引張強力と同じでもよいし、異なっていてもよい。
第二の面材14と発泡層10との剥離強度は、第一の面材12と発泡層10との剥離強度と同様である。 第二の面材14と発泡層10との剥離強度は、第一の面材12と発泡層10との剥離強度とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
第二の面材14の厚さは、第一の面材12の厚さと同様である。第二の面材14の厚さと第一の面材12の厚さとは、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、第一の面材12と第二の面材14との厚さが異なると、両面材の伸縮量の差によってフェノール樹脂発泡板1が反りやすくなる。このため、第一の面材12と第二の面材14との厚さは同じであることが好ましい。
第二の面材14の目付は、第一の面材12の目付と同様である。第二の面材14の目付と第一の面材12の、目付とは、同じでもよいし、異なってもよい。ただし、第一の面材12と第二の面材14との目付が異なると、両面材の伸縮量の差によってフェノール樹脂発泡板1が反りやすくなる。このため、第一の面材12と第二の面材14との目付は同じであることが好ましい。
第二の面材14の起毛度は、第一の面材12の起毛度と同様である。第二の面材14の起毛度は、第一の面材12の起毛度と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の面材14のフラジール通気度は、第一の面材12のフラジール通気度と同様である。第二の面材14のフラジール通気度は、第一の面材12のフラジール通気度と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の面材14の引張強力は、第一の面材12の引張強力と同様である。第二の面材14の引張強力は、第一の面材12の引張強力と同じでもよいし、異なっていてもよい。
第二の面材14と発泡層10との剥離強度は、第一の面材12と発泡層10との剥離強度と同様である。 第二の面材14と発泡層10との剥離強度は、第一の面材12と発泡層10との剥離強度とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
(印刷部)
第一の面材12には、表面に印刷部16が設けられている。印刷部16は、製造されるフェノール樹脂発泡板1の商品名やロゴ等の図柄、使用方法の注意書き等の情報、又は意匠性を高めるための模様等である。印刷部16は、染料又は顔料を含むインキが第一の面材12の繊維間又は繊維周囲にインキ膜として付着することで形成されている。印刷部16は、第一の面材12から1m程度離れて目視した際に、視認される文字、図形の箇所をいう。
なお、熱圧着固定部分にインキが付着しない場合があるが、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分にインキが付着している場合、当該熱圧着固定部分も印刷部16に含める。また、面材全体にホルムアルデヒドキャッチャー剤を塗布する場合があるが、これは印刷部16の面積としては含まないものとする。
第一の面材12には、表面に印刷部16が設けられている。印刷部16は、製造されるフェノール樹脂発泡板1の商品名やロゴ等の図柄、使用方法の注意書き等の情報、又は意匠性を高めるための模様等である。印刷部16は、染料又は顔料を含むインキが第一の面材12の繊維間又は繊維周囲にインキ膜として付着することで形成されている。印刷部16は、第一の面材12から1m程度離れて目視した際に、視認される文字、図形の箇所をいう。
なお、熱圧着固定部分にインキが付着しない場合があるが、熱圧着固定部分の周囲の繊維部分にインキが付着している場合、当該熱圧着固定部分も印刷部16に含める。また、面材全体にホルムアルデヒドキャッチャー剤を塗布する場合があるが、これは印刷部16の面積としては含まないものとする。
印刷部を形成するためのインキとしては、顔料が分散したインキ又は染料が溶解したインキのいずれでもよい。
インキとしては、例えば、水性インキ、油性インキ、紫外線硬化型や熱硬化型等の硬化型インキ等が挙げられる。フェノール樹脂発泡板1は、家屋の壁、床、屋根の断熱材として用いられるため、雨や湿気に強い油性インキ又は硬化型インキが好ましい。
インキとしては、例えば、水性インキ、油性インキ、紫外線硬化型や熱硬化型等の硬化型インキ等が挙げられる。フェノール樹脂発泡板1は、家屋の壁、床、屋根の断熱材として用いられるため、雨や湿気に強い油性インキ又は硬化型インキが好ましい。
顔料としては有機系、無機系のいずれを用いてもよく、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトボン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム粉、パール系顔料等が挙げられる。
有機顔料としては、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
これらの顔料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの顔料は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、第一の面材12のみに印刷部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、第二の面材14のみに印刷部が形成されていてもよいし、第一の面材12及び第二の面材14の双方に印刷部が形成されていてもよい。
第一の面材12の総面積に対する印刷部16の総面積の比率(以下、「印刷面積比」ともいう)は、5%以上70%以下が好ましく、10%以上60%以下がより好ましく、15%以上50%以下が最も好ましい。印刷面積比が5%未満の場合、フェノール樹脂発泡板1の切断面積によっては印刷部がほとんど残らず、商品名等の識別能力を失うおそれがある。印刷面積比が70%を超える場合、印刷部16を形成するインキによって第一の面材12の通気性が低下したり、養生工程に長時間を要するおそれがある。また、印刷面積比が70%を超えると、フェノール樹脂発泡板1の製造速度よりもインキの乾燥速度の方が遅く、インキが他のフェノール樹脂発泡板1や、製造ラインに付着するおそれがある。なお、第一の面材12の総面積は、印刷部16及び非印刷部を含む面材全体の面積である。
印刷面積比は、少なくとも面材全体の面積が7000cm2以上であり、少なくとも一辺が400mm以上である矩形のフェノール樹脂発泡板1について算出するものとする。一般的に流通するフェノール樹脂発泡板の面積は16562cm2(幅91cm×長さ182cm)であり、これを建築物の壁や床を構成する柱や梁等の間の矩形状の空間の大きさに合わせて施工現場で切断して使用される。また、柱同士の間隔等が通常400mm以上、面積が通常7000cm2以上である。このため、切断後のフェノール樹脂発泡板1においては、少なくとも一辺が400mmで面積が7000cm2以上の態様で識別性を発揮する印刷部16の面積が必要となるからである。
印刷面積比は、少なくとも面材全体の面積が7000cm2以上であり、少なくとも一辺が400mm以上である矩形のフェノール樹脂発泡板1について算出するものとする。一般的に流通するフェノール樹脂発泡板の面積は16562cm2(幅91cm×長さ182cm)であり、これを建築物の壁や床を構成する柱や梁等の間の矩形状の空間の大きさに合わせて施工現場で切断して使用される。また、柱同士の間隔等が通常400mm以上、面積が通常7000cm2以上である。このため、切断後のフェノール樹脂発泡板1においては、少なくとも一辺が400mmで面積が7000cm2以上の態様で識別性を発揮する印刷部16の面積が必要となるからである。
印刷部16の1箇所あたりの面積は500cm2以下が好ましく、300cm2以下がより好ましい。1箇所あたり印刷部面積を500cm2以下とすることで、印刷による通気性の悪化や面材への皺の発生を抑えることができる。
なお、「1箇所あたりの面積」は、一連の商品名、使用方法の記載、模様等、一群の情報、模様と認識される領域の面積である。
なお、「1箇所あたりの面積」は、一連の商品名、使用方法の記載、模様等、一群の情報、模様と認識される領域の面積である。
印刷部16の目付は0.01g/m2以上1.5g/m2以下が好ましく、0.01g/m2以上1.0g/m2以下がより好ましい。印刷部16の目付は、印刷部16が形成されていない面材の面積を含む、第一の面材12全体の面積に対する印刷部16の質量のことをいう。
(フェノール樹脂発泡板の特性)
フェノール樹脂発泡板1の初期熱伝導率は、0.0200W/m・K以下が好ましく、0.0190W/m・K以下がより好ましく、0.0185W/m・K以下が特に好ましい。初期熱伝導率が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性のさらなる向上を図れる。
初期熱伝導率は、23℃における値であり、JIS A 1412-2:1999に従い測定される。
フェノール樹脂発泡板1の初期熱伝導率は、発泡層10の熱伝導率により調節される。発泡層10の熱伝導率は、平均気泡径、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類等の組み合わせにより調節される。例えば、平均気泡径が小さいほど、発泡層10の熱伝導率が低い傾向となる。界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が-OHであるポリエーテル鎖を有するものである場合、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、熱伝導率が低い傾向がある。
フェノール樹脂発泡板1の初期熱伝導率は、0.0200W/m・K以下が好ましく、0.0190W/m・K以下がより好ましく、0.0185W/m・K以下が特に好ましい。初期熱伝導率が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性のさらなる向上を図れる。
初期熱伝導率は、23℃における値であり、JIS A 1412-2:1999に従い測定される。
フェノール樹脂発泡板1の初期熱伝導率は、発泡層10の熱伝導率により調節される。発泡層10の熱伝導率は、平均気泡径、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類等の組み合わせにより調節される。例えば、平均気泡径が小さいほど、発泡層10の熱伝導率が低い傾向となる。界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が-OHであるポリエーテル鎖を有するものである場合、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、熱伝導率が低い傾向がある。
フェノール樹脂発泡板1の長期熱伝導率は、0.0210W/m・K以下が好ましく、0.0200W/m・K以下がより好ましく、0.0190W/m・K以下が特に好ましい。
長期熱伝導率は、縦横300mm角のフェノール樹脂発泡板サンプルを70℃雰囲気に25週間放置した後に測定される熱伝導率を25年後の推定値としたものであり、ISO 11561 Annex Bに準拠して測定される。
長期熱伝導率は、縦横300mm角のフェノール樹脂発泡板サンプルを70℃雰囲気に25週間放置した後に測定される熱伝導率を25年後の推定値としたものであり、ISO 11561 Annex Bに準拠して測定される。
フェノール樹脂発泡板1のLOIは、28容量%以上が好ましく、30容量%以上がより好ましく、32容量%以上がさらに好ましい。LOIが上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の難燃性のさらなる向上を図れる。
フェノール樹脂発泡板1のLOIは、発泡層10のLOI、面材におけるリン系難燃剤等の含有量等により調節される。例えば面材におけるリン系難燃剤の含有量を増やすことで、LOIを高くすることができる。
フェノール樹脂発泡板1のLOIは、発泡層10のLOI、面材におけるリン系難燃剤等の含有量等により調節される。例えば面材におけるリン系難燃剤の含有量を増やすことで、LOIを高くすることができる。
フェノール樹脂発泡板1の吸水量は、3.5g/100cm2以下が好ましく、3.0g/100cm2以下がより好ましく、2.5g/100cm2以下がさらに好ましく、2.0g/100cm2以下が最も好ましい。下限値は特に限定されない。吸水量が少ないほど、フェノール樹脂発泡板1の吸湿性が低下し、フェノール樹脂発泡板1の腐食、フェノール樹脂発泡板1に接する資材の腐食、カビの発生等を防ぐことができる。
(フェノール樹脂発泡板の製造方法)
本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、従来公知のフェノール樹脂発泡板の製造方法に準じて製造される。
例えば、フェノール樹脂発泡板1の製造方法は、発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化する工程を有する。
以下、吐出装置と、吐出装置の下流に位置する発泡成形装置と、発泡成形装置の下流に位置する印刷装置と、を備える製造システムを用いた、フェノール樹脂発泡の製造方法を例に挙げて説明する。
本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、従来公知のフェノール樹脂発泡板の製造方法に準じて製造される。
例えば、フェノール樹脂発泡板1の製造方法は、発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化する工程を有する。
以下、吐出装置と、吐出装置の下流に位置する発泡成形装置と、発泡成形装置の下流に位置する印刷装置と、を備える製造システムを用いた、フェノール樹脂発泡の製造方法を例に挙げて説明する。
図2に示す製造システム40は、吐出装置60と、発泡成形装置70と、印刷装置90と、切断装置80とを備える。発泡成形装置70は吐出装置60の下流に位置し、印刷装置90は発泡成形装置70の下流に位置し、切断装置80は印刷装置90の下流に位置している。
吐出装置60は、フェノール樹脂等の原料を混合する混合部62と、混合された原料(発泡性樹脂組成物)を吐出するための2以上のノズル64とを備える。2以上のノズル64は、発泡性樹脂組成物の流れ方向と直交する方向に並んでいる。混合部62と2以上のノズル64とは、分配管66を介して接続されている。
吐出装置60としては、複数の分岐部を有する分配管(例えばWO2014/133023)をTD方向に配置したものが挙げられる。
吐出装置60は、フェノール樹脂等の原料を混合する混合部62と、混合された原料(発泡性樹脂組成物)を吐出するための2以上のノズル64とを備える。2以上のノズル64は、発泡性樹脂組成物の流れ方向と直交する方向に並んでいる。混合部62と2以上のノズル64とは、分配管66を介して接続されている。
吐出装置60としては、複数の分岐部を有する分配管(例えばWO2014/133023)をTD方向に配置したものが挙げられる。
発泡成形装置70は、フレーム部71と加熱手段(不図示)とを備える。
フレーム部71は、フェノール樹脂発泡板1の断面形状に対応した空間が形成されるように、上下左右に配置されたコンベア(下部コンベア72、上部コンベア74、左側コンベア(不図示)、右側コンベア(不図示))を備える。
下部コンベア72は、MD1方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。上部コンベア74は、MD2方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。
加熱手段としては、例えば、フレーム部71を囲む加熱炉や、下部コンベア72又は上部コンベア74の無端ベルトに接して設けられたヒータ等が挙げられる。
なお、発泡成形装置70は、左側コンベア及び右側コンベアを備えていなくてもよい。発泡成形装置70は、無端ベルトを有するコンベアに代えて、特開2000-218635号公報に記載のスラットコンベアを有する装置でもよい。スラットコンベアを用いて製造されたフェノール樹脂発泡板1の表面には、TD方向と平行な方向にスラット痕とよばれるスラット間のつなぎ目の跡が、フェノール樹脂発泡板の幅方向にわたって形成される。
フレーム部71は、フェノール樹脂発泡板1の断面形状に対応した空間が形成されるように、上下左右に配置されたコンベア(下部コンベア72、上部コンベア74、左側コンベア(不図示)、右側コンベア(不図示))を備える。
下部コンベア72は、MD1方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。上部コンベア74は、MD2方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。
加熱手段としては、例えば、フレーム部71を囲む加熱炉や、下部コンベア72又は上部コンベア74の無端ベルトに接して設けられたヒータ等が挙げられる。
なお、発泡成形装置70は、左側コンベア及び右側コンベアを備えていなくてもよい。発泡成形装置70は、無端ベルトを有するコンベアに代えて、特開2000-218635号公報に記載のスラットコンベアを有する装置でもよい。スラットコンベアを用いて製造されたフェノール樹脂発泡板1の表面には、TD方向と平行な方向にスラット痕とよばれるスラット間のつなぎ目の跡が、フェノール樹脂発泡板の幅方向にわたって形成される。
印刷装置90としては、例えば凸版印刷装置、グラビア印刷装置、グラビアオフセット印刷装置、平版印刷装置、反転印刷装置、スクリーン印刷装置、インキジェット装置等が挙げられ、中でも凸版印刷装置、グラビア印刷装置、グラビアオフセット印刷装置が好ましい。
次に、この製造システム40を用いたフェノール樹脂発泡板1の製造方法の一例について説明する。
まず、フェノール樹脂及び発泡剤、並びに必要に応じて任意成分(酸触媒、界面活性剤、添加剤等)を混合部62に投入し、混合して発泡性樹脂組成物を調製する。
次に、下部コンベア72上に第二の面材14を引出す。発泡性樹脂組成物を混合部62から、分配管66を経てノズル64に供給し、ノズル64から第二の面材14上に吐出する。
まず、フェノール樹脂及び発泡剤、並びに必要に応じて任意成分(酸触媒、界面活性剤、添加剤等)を混合部62に投入し、混合して発泡性樹脂組成物を調製する。
次に、下部コンベア72上に第二の面材14を引出す。発泡性樹脂組成物を混合部62から、分配管66を経てノズル64に供給し、ノズル64から第二の面材14上に吐出する。
通常、面材は巻き芯と呼ばれる円筒状の芯に対してロール状に巻かれた状態から引出して製造に供される。面材は、巻取りテンションをかけて芯に巻かれている。このため、ロールから面材を引出す際に面材にかかる引出しテンションが大きすぎると、ロールの巻締りによって面材のエンボス模様や凹凸模様を損ねたり、熱圧着固定部分と繊維とが剥離したり、繊維が引きちぎれたりして起毛が多くなり、印刷しにくくなるおそれがある。また、予め印刷部が形成された面材においては、印刷部が剥離するおそれがある。引出しテンションが小さすぎると、スラット型ダブルコンベアの場合にはスラット間に面材が挟まって皺になったり、面材が蛇行して折り目が付いたりする。
このため、面材の引出しテンションとしては0.3N/m以上50N/m以下であることが好ましく、0.5N/m以上30N/m以下がより好ましく、0.5N/m以上20N/m以下がさらに好ましい。
面材の引出しテンションは、ロールから張力調整用のローラを介して面材を引出す場合には、張力調整用ローラの位置を移動させることで調整できる。あるいは、張力調整用のローラにモータ又はパウダ式クラッチ等を設け、テンションコントローラによりローラ回転を制御することで引出しテンションを所望の値に調整できる。引出しテンションの調整時に生じるトルク自体や、モータやクラッチの制御に必要な電圧をトルクに変換することで引出しテンションを測定できる。
このため、面材の引出しテンションとしては0.3N/m以上50N/m以下であることが好ましく、0.5N/m以上30N/m以下がより好ましく、0.5N/m以上20N/m以下がさらに好ましい。
面材の引出しテンションは、ロールから張力調整用のローラを介して面材を引出す場合には、張力調整用ローラの位置を移動させることで調整できる。あるいは、張力調整用のローラにモータ又はパウダ式クラッチ等を設け、テンションコントローラによりローラ回転を制御することで引出しテンションを所望の値に調整できる。引出しテンションの調整時に生じるトルク自体や、モータやクラッチの制御に必要な電圧をトルクに変換することで引出しテンションを測定できる。
次に、第一の面材12を引出し、第二の面材14上に吐出された発泡性樹脂組成物に第一の面材12を載せる。こうして、対向させた2つの面材の間に発泡性樹脂組成物を充填する。2つの面材で挟まれた発泡性樹脂組成物をフレーム部71に導入し、任意の温度で加熱する。加熱温度は、例えば30℃以上95℃以下とされる。加熱時間は、例えば、1分間以上10分間以下とされる。これにより、第一の面材12と第二の面材14との間で発泡性樹脂組成物が発泡し、硬化して発泡層10が形成され、発泡層10と第一の面材12と第二の面材14とを備えるフェノール樹脂発泡板1が得られる(発泡硬化工程)。
このフェノール樹脂発泡板1を発泡成形装置70から導出し、印刷装置90にて第一の面材12上に印字やロゴ等の印刷部を形成する(印刷工程)。
その後、印刷されたフェノール樹脂発泡板1を切断装置80で任意の長さに切断し、熱風硬化炉(養生庫)にて後硬化・乾燥工程(養生工程)を行う。熱風硬化炉の構造としては特に制限はなく、単一構造でも複合構造でもよい。また、硬化炉として熱風硬化炉を使用してもよい。この場合、熱風の風速に特に制限はないが、0.5m/分以上500m/分以下が好ましく、1m/分以上300m/分以下がより好ましく、10m/分以上200m/分以下さらに好ましい。この風速が0.5m/分未満では後硬化処理に時間が長くかかりすぎ、生産性が悪い上、所定の物性を有するフェノール樹脂発泡板1が得られにくい。一方、500m/分を超えると乾燥が進み過ぎ、含水率が低くなりすぎるためフェノール樹脂発泡板1をカットした際に切粉が出やすい。
特に、第一の面材12、第二の面材14の熱圧着固定部分密度が5個/cm2以上100個/cm2以下の場合、熱風の風速は1m/分以上150m/分以下が好ましい。熱圧着固定部分密度が100個/cm2以上150個/cm2以下の場合、熱風の風速は150m/分超300m/分以下が好ましい。熱圧着固定部分密度が低い場合、熱風の風速が150m/分を超えると乾燥が進み過ぎる。一方、熱圧着固定部分密度が高い場合、熱風の風速が150m/分以下だと乾燥が進まず、養生時間が長くなる。
その後、印刷されたフェノール樹脂発泡板1を切断装置80で任意の長さに切断し、熱風硬化炉(養生庫)にて後硬化・乾燥工程(養生工程)を行う。熱風硬化炉の構造としては特に制限はなく、単一構造でも複合構造でもよい。また、硬化炉として熱風硬化炉を使用してもよい。この場合、熱風の風速に特に制限はないが、0.5m/分以上500m/分以下が好ましく、1m/分以上300m/分以下がより好ましく、10m/分以上200m/分以下さらに好ましい。この風速が0.5m/分未満では後硬化処理に時間が長くかかりすぎ、生産性が悪い上、所定の物性を有するフェノール樹脂発泡板1が得られにくい。一方、500m/分を超えると乾燥が進み過ぎ、含水率が低くなりすぎるためフェノール樹脂発泡板1をカットした際に切粉が出やすい。
特に、第一の面材12、第二の面材14の熱圧着固定部分密度が5個/cm2以上100個/cm2以下の場合、熱風の風速は1m/分以上150m/分以下が好ましい。熱圧着固定部分密度が100個/cm2以上150個/cm2以下の場合、熱風の風速は150m/分超300m/分以下が好ましい。熱圧着固定部分密度が低い場合、熱風の風速が150m/分を超えると乾燥が進み過ぎる。一方、熱圧着固定部分密度が高い場合、熱風の風速が150m/分以下だと乾燥が進まず、養生時間が長くなる。
本実施形態の製造方法において、第二の面材14上に吐出された発泡性樹脂組成物は、発泡成形装置に導入される前にある程度発泡する。第二の面材14上に発泡性樹脂組成物を吐出した時に、フェノール樹脂発泡板の幅方向(発泡性樹脂組成物の吐出方向と直交する方向:TD方向)に広がるようにすることが好ましい。第二の面材14上に吐出された発泡性樹脂組成物において、その後、加熱及び酸触媒により硬化しつつある気泡が発泡性樹脂組成物の移動により崩れて、独立気泡率が低下することがある。発泡性樹脂組成物をTD方向に広げておくことで、発泡成形装置70内で発泡性樹脂組成物がTD方向へ移動する量が減り、独立気泡率が低下するのを抑えることができる。特に、発泡性樹脂組成物の表層側が上下のコンベアによって押し広げられるため、樹脂組成物をTD方向に広げておくことで、第一の表層部と第二の表層部の独立気泡率を向上できる。
上記製造方法で製造されるフェノール樹脂発泡板1において、第一の面材12と発泡層10とは、接着層を介さずに、発泡性樹脂組成物が第一の面材12表面で熱硬化する際の固着力によって貼り合わせられている。同様に、第二の面材14と発泡層10とは、接着層を介さずに、発泡性樹脂組成物が第二の面材14表面で熱硬化する際の固着力によって貼り合わせられている。
通常、発泡層10には、MD方向に延び、かつ厚さ方向にわたるウェルドラインが形成される。ウェルドラインは、複数のノズルから吐出された発泡性樹脂組成物同士が合流した境界部分であり、発泡層10の他の部分に比べて密度が高く、また、密度が高いため、発泡層10の他の部分に比べて透明度が低い(色調が濃い)。
通常、発泡層10には、MD方向に延び、かつ厚さ方向にわたるウェルドラインが形成される。ウェルドラインは、複数のノズルから吐出された発泡性樹脂組成物同士が合流した境界部分であり、発泡層10の他の部分に比べて密度が高く、また、密度が高いため、発泡層10の他の部分に比べて透明度が低い(色調が濃い)。
本実施形態の製造システム40は、印刷装置を備えるが、本発明はこれに限定されず、製造システム40が印刷装置90を備えていなくてもよい。この場合、予め印刷部が形成された第一の面材12又は第二の面材14を用いること以外、本実施形態と同様にしてフェノール樹脂発泡板を製造できる。
一般的なフェノール樹脂発泡板の製造方法では、複数の分岐部を有する分配管を備え、複数のノズルをTD方向に並べた吐出装置が用いられている。かかる吐出装置によれば、ノズルから吐出した発泡性樹脂組成物をTD方向に広げられる。しかし、複数の分岐部がある分配管では、全てのノズルから均一に吐出しにくいため、特殊な分配管を用いる必要がある。また、粘度の高い発泡性樹脂組成物は、分岐部で詰まりやすい。
また、TD方向に長い吐出部を有するスリットダイを用いる方法が知られている(WO2009/066621)。この方法では、発泡性樹脂組成物がダイ内を均一な速度で流れず、流れの遅い箇所と速い箇所とで、流速や吐出量に差異が生じ、吐出後の樹脂の性状(粘度等)が異なる。このように、TD方向の流速や吐出量が均一でないと、発泡成形装置70内でTD方向への発泡性樹脂組成物の移動が生じ、表層側の独立気泡率が低下する。
また、TD方向に長い吐出部を有するスリットダイを用いる方法が知られている(WO2009/066621)。この方法では、発泡性樹脂組成物がダイ内を均一な速度で流れず、流れの遅い箇所と速い箇所とで、流速や吐出量に差異が生じ、吐出後の樹脂の性状(粘度等)が異なる。このように、TD方向の流速や吐出量が均一でないと、発泡成形装置70内でTD方向への発泡性樹脂組成物の移動が生じ、表層側の独立気泡率が低下する。
そこで、本発明においては、ノズル64に代えて、図3のスリットダイ100を用いることができる。
図3(a)は、スリットダイ100の平面斜視図であり、図3(b)はスリットダイ100の吐出口を見た正面図である。
スリットダイ100は、平面視四角形で、内部にX方向(MD方向)の流路が形成され、正面視でY方向(TD方向)を長手とする吐出口110が形成されている。
吐出口110は、Y方向を長手とする正面視四角形の主吐出口112と、主吐出口112の両側に主吐出口112を拡張する副吐出口114とが形成されている。副吐出口114は、正面視略円形であり、主吐出口112よりも幅広に形成されている。
図5に示すように、一般的なスリットダイ(正面視四角形の吐出口を有するダイ)120では、TD方向の両端寄りは中央に比べて発泡性樹脂組成物が冷却されやすく、粘度が高まりやすい。このため、Z方向に発泡性樹脂組成物を吐出した場合、スリットダイ120の両端部では発泡性樹脂組成物122の流速や吐出量が中央に比べて少なくなり、その後の発泡硬化工程において吐出口の中央の発泡性樹脂組成物122がTD方向に流れていきやすくなり、表層部の独立気泡率が低下しやすい。
本実施形態のスリットダイ100は、副吐出口114が幅広に形成されているため、TD方向両側における発泡性樹脂組成物の温度は冷却されにくい。このため、図4に示すように、スリットダイ100でZ方向に発泡性樹脂組成物を吐出した場合、中央及び両端における発泡性樹脂組成物の粘度の差が小さくなる。そして、吐出された発泡性樹脂組成物102は、TD方向の量が均一となり、表層部における独立気泡率をより高められる。
図3(a)は、スリットダイ100の平面斜視図であり、図3(b)はスリットダイ100の吐出口を見た正面図である。
スリットダイ100は、平面視四角形で、内部にX方向(MD方向)の流路が形成され、正面視でY方向(TD方向)を長手とする吐出口110が形成されている。
吐出口110は、Y方向を長手とする正面視四角形の主吐出口112と、主吐出口112の両側に主吐出口112を拡張する副吐出口114とが形成されている。副吐出口114は、正面視略円形であり、主吐出口112よりも幅広に形成されている。
図5に示すように、一般的なスリットダイ(正面視四角形の吐出口を有するダイ)120では、TD方向の両端寄りは中央に比べて発泡性樹脂組成物が冷却されやすく、粘度が高まりやすい。このため、Z方向に発泡性樹脂組成物を吐出した場合、スリットダイ120の両端部では発泡性樹脂組成物122の流速や吐出量が中央に比べて少なくなり、その後の発泡硬化工程において吐出口の中央の発泡性樹脂組成物122がTD方向に流れていきやすくなり、表層部の独立気泡率が低下しやすい。
本実施形態のスリットダイ100は、副吐出口114が幅広に形成されているため、TD方向両側における発泡性樹脂組成物の温度は冷却されにくい。このため、図4に示すように、スリットダイ100でZ方向に発泡性樹脂組成物を吐出した場合、中央及び両端における発泡性樹脂組成物の粘度の差が小さくなる。そして、吐出された発泡性樹脂組成物102は、TD方向の量が均一となり、表層部における独立気泡率をより高められる。
吐出口110の大きさは、所望するフェノール樹脂発泡板の大きさに応じて適宜決定される。
例えば、910mm幅のフェノール樹脂発泡板を得る場合、吐出口110の長さL1は、930mm以上1200mm未満が好ましい。加えて、910mm幅のフェノール樹脂発泡板を得る場合、主吐出口112の長さL2は、910mm以上が好ましい。
例えば、厚さ10mm以上200mm以下のフェノール樹脂発泡板を得る場合、主吐出口112の幅W1は、5mm以上30mm以下が好ましい。この場合、副吐出口114の幅W2は、幅W1+5mm以上20mm以下が好ましい。
例えば、910mm幅のフェノール樹脂発泡板を得る場合、吐出口110の長さL1は、930mm以上1200mm未満が好ましい。加えて、910mm幅のフェノール樹脂発泡板を得る場合、主吐出口112の長さL2は、910mm以上が好ましい。
例えば、厚さ10mm以上200mm以下のフェノール樹脂発泡板を得る場合、主吐出口112の幅W1は、5mm以上30mm以下が好ましい。この場合、副吐出口114の幅W2は、幅W1+5mm以上20mm以下が好ましい。
また、例えば、ノズル64に代えて、図6に示すスリットダイ200を用いてもよい。図6(a)は、スリットダイ200の平面斜視図であり、図6(b)はスリットダイ200の吐出口を見た正面図である。
スリットダイ200は、正面視において、Y方向を長手とする吐出口210が形成されている。吐出口210は、中央からTD方向両端に向かうに従い、幅が広くなっている。
スリットダイ200を用いることで、スリットダイ100と同様に、発泡層の表層部の独立気泡率をより高められる。
即ち、本発明においては、正面視でTD方向を長手とする吐出口を有し、吐出口は中央の幅よりもTD方向両端の幅の方が広いスリットダイを用いることで、第一の表層部10a又は第二の表層部10bの独立気泡率を高めやすい。
スリットダイ200は、正面視において、Y方向を長手とする吐出口210が形成されている。吐出口210は、中央からTD方向両端に向かうに従い、幅が広くなっている。
スリットダイ200を用いることで、スリットダイ100と同様に、発泡層の表層部の独立気泡率をより高められる。
即ち、本発明においては、正面視でTD方向を長手とする吐出口を有し、吐出口は中央の幅よりもTD方向両端の幅の方が広いスリットダイを用いることで、第一の表層部10a又は第二の表層部10bの独立気泡率を高めやすい。
本発明においては、発泡層10の表層部の独立気泡率が高いため、面材としてフラジール通気度が高く、水分透過性の高いものを用いても、発泡層10中の発泡剤ガスの置換が起こりにくい。加えて、面材を透過した水分を発泡層10が吸収しにくいため、熱伝導率を長期にわたって低く保つことができる。
また、発泡層10に積層された第一の面材12に印刷を行う場合に、第一の面材12と隣接する第一の表層部10aの独立気泡率が高いため、養生前の完全に硬化する前の発泡層10であっても印刷ロールによる圧力で第一の表層部10aが凹むことが無い。
また、発泡層10に積層された第一の面材12に印刷を行う場合に、第一の面材12と隣接する第一の表層部10aの独立気泡率が高いため、養生前の完全に硬化する前の発泡層10であっても印刷ロールによる圧力で第一の表層部10aが凹むことが無い。
スリットダイ100又はスリットダイ200で製造されるフェノール樹脂発泡板1において、ウェルドラインは形成されない。このため、スリットダイ100又はスリットダイ200で製造されるフェノール樹脂発泡板1は、製品外観上好ましい。
上述の通り、本実施形態のフェノール樹脂発泡板は、特定の面材が特定の独立気泡率の表層部に隣接し、印刷部面積比が特定の範囲であるため、印刷部が美麗となり、長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、家屋の壁、床、屋根の断熱材として好適である。
そのため、第一の面材及び第二の面材の双方もしくは一方の上に、内装下地材や構造材等の他の層を備えてもよい。前記他の層は、印刷部が形成されていない面材上に位置することが好ましい。前記他の層としては、石膏ボード(厚さ9.5mm又は12.5mm)、床合板(厚さ12mm~24mm)、珪酸カルシウム板、木毛セメント板等の内装下地材、構造用パネル、パーティクルボード、シージングボード、中密度繊維板(MDF)、ハードボード、積層繊維板、構造用合板等の木質系ボード、ロックウール吸音板等が挙げられる。これらは、第一又は第二の面材と接着層を介して予め接合される。接着層は、フェノール樹脂発泡板の全面に設けてもよく、部分的に設けてもよい。
そのため、第一の面材及び第二の面材の双方もしくは一方の上に、内装下地材や構造材等の他の層を備えてもよい。前記他の層は、印刷部が形成されていない面材上に位置することが好ましい。前記他の層としては、石膏ボード(厚さ9.5mm又は12.5mm)、床合板(厚さ12mm~24mm)、珪酸カルシウム板、木毛セメント板等の内装下地材、構造用パネル、パーティクルボード、シージングボード、中密度繊維板(MDF)、ハードボード、積層繊維板、構造用合板等の木質系ボード、ロックウール吸音板等が挙げられる。これらは、第一又は第二の面材と接着層を介して予め接合される。接着層は、フェノール樹脂発泡板の全面に設けてもよく、部分的に設けてもよい。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、第一又は第二の面材の熱圧着固定部分密度が特定の範囲であるため、接着層を構成する接着剤が面材に浸透しやすい。さらに、第一又は第二の面材が特定の起毛度であると、面材の起毛は、前記他の層の表面に塗布された接着層に絡み付いてアンカー効果を発揮する。このため、前記他の層と第一又は第二の面材とが接着層を介して強固に接合し、かつ強固に接合した面材と発泡層も合わさることで、前記他の層とフェノール樹脂発泡板の発泡層とが輸送中や施工中等で分離しにくい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(使用原料)
<発泡剤>
使用した発泡剤の組成は以下の通りであった。
・発泡剤A:シクロペンタン(CP)。
・発泡剤B:イソペンタン(IP):トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO1233zdE)=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤C:HCFO1233zd:イソプロピルクロリド(IPC)=20:80(質量比)の混合物。
・発泡剤D:CP:HCFO-1233zdE=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤E:CP:HCFO-1233zdE=20:80(質量比)の混合物。
・発泡剤F:IP。
・発泡剤G:IP:シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzzZ)=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤H:CP:HCFO-1233zdE:シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO1233zdZ)=40:50:10(質量比)の混合物。
<発泡剤>
使用した発泡剤の組成は以下の通りであった。
・発泡剤A:シクロペンタン(CP)。
・発泡剤B:イソペンタン(IP):トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO1233zdE)=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤C:HCFO1233zd:イソプロピルクロリド(IPC)=20:80(質量比)の混合物。
・発泡剤D:CP:HCFO-1233zdE=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤E:CP:HCFO-1233zdE=20:80(質量比)の混合物。
・発泡剤F:IP。
・発泡剤G:IP:シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzzZ)=50:50(質量比)の混合物。
・発泡剤H:CP:HCFO-1233zdE:シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO1233zdZ)=40:50:10(質量比)の混合物。
(評価方法)
<独立気泡率の測定>
・実施例1-1~1-6、比較例1-1~1-5
フェノール樹脂発泡板の中央部分から、幅30mm×長さ30mm×厚み45mmにカッターナイフで切り出し試験片を3つ用意した。まず、1つ目の試験片について、面材を剥離した一方の面(上面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出し、これを第一の表層部の試験片とした。次に、2つ目の試験片について、面材を剥離した他方の面(下面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出し、これを第二の表層部の試験片とした。さらに、3つ目の試験片について、幅30mm×長さ30mm×厚み45mmに切り出した試験片の、一方の面から12.5~32.5mmの部分までをカッターナイフで切り取り、中央層部の試験片とした。
・実施例2-1~2-7、比較例2-1~2-3
フェノール樹脂発泡板の中央部分から、幅30mm×長さ30mm×厚み60mmにカッターナイフで切り出した試験片を3つ用意した。
まず、1つ目の試験片について、面材を剥離した一方の面(上面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出して第一の表層部の試験片とした。
次に、2つ目の試験片について、面材を剥離した他方の面(下面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出して第二の表層部の試験片とした。
さらに、3つ目の試験片について、幅30mm×長さ30mm×厚み60mmに切り出した試験片の、一方の面から20~40mmの部分までをカッターナイフで切り取り、中央層部の試験片とした。
<独立気泡率の測定>
・実施例1-1~1-6、比較例1-1~1-5
フェノール樹脂発泡板の中央部分から、幅30mm×長さ30mm×厚み45mmにカッターナイフで切り出し試験片を3つ用意した。まず、1つ目の試験片について、面材を剥離した一方の面(上面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出し、これを第一の表層部の試験片とした。次に、2つ目の試験片について、面材を剥離した他方の面(下面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出し、これを第二の表層部の試験片とした。さらに、3つ目の試験片について、幅30mm×長さ30mm×厚み45mmに切り出した試験片の、一方の面から12.5~32.5mmの部分までをカッターナイフで切り取り、中央層部の試験片とした。
・実施例2-1~2-7、比較例2-1~2-3
フェノール樹脂発泡板の中央部分から、幅30mm×長さ30mm×厚み60mmにカッターナイフで切り出した試験片を3つ用意した。
まず、1つ目の試験片について、面材を剥離した一方の面(上面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出して第一の表層部の試験片とした。
次に、2つ目の試験片について、面材を剥離した他方の面(下面側)から厚み方向に20mmのところまでをカッターナイフで切り出して第二の表層部の試験片とした。
さらに、3つ目の試験片について、幅30mm×長さ30mm×厚み60mmに切り出した試験片の、一方の面から20~40mmの部分までをカッターナイフで切り取り、中央層部の試験片とした。
カッターナイフによる試験片の切り出しにより試験片表面の気泡は破壊されてしまい、正確に独立気泡率を測定することができないため、気泡が破壊された試験片表面を取り除くために、得られた直方体の各試験片の表面(6面)をカミソリで薄く切削した。
このとき、カミソリでの切削は可能な限り薄く切削することが好ましく、幅25mm±1mm、長さ25mm±1mm、厚さ19mm±1mmとなるようにした。表面をカミソリで切削した各試験片の独立気泡率を、JIS K 7138:2006の測定法1に準拠し、以下の様にして測定し、算出した。
独立気泡率=(乾式密度計での体積測定結果)/(湿式密度計での体積測定結果)×100
このとき、カミソリでの切削は可能な限り薄く切削することが好ましく、幅25mm±1mm、長さ25mm±1mm、厚さ19mm±1mmとなるようにした。表面をカミソリで切削した各試験片の独立気泡率を、JIS K 7138:2006の測定法1に準拠し、以下の様にして測定し、算出した。
独立気泡率=(乾式密度計での体積測定結果)/(湿式密度計での体積測定結果)×100
≪乾式密度計≫
品名:東京サイエンス株式会社製 空気比較式比重計1000型。
型番:1000。
≪湿式密度計≫
品名:島津製作所製 LIBROR EB-330H。
型番:63572。
品名:東京サイエンス株式会社製 空気比較式比重計1000型。
型番:1000。
≪湿式密度計≫
品名:島津製作所製 LIBROR EB-330H。
型番:63572。
<起毛度の測定方法>
起毛度は、第一の面材12における発泡層10と接していない面で、かつ、印刷部が形成されていない箇所について測定する。
まず、縦200mm×200mmのフェノール樹脂発泡板1から第一の面材12を剥がし、200mm×200mmの測定片とした。なお、この測定片には、印刷部が形成されている部分が含まれていても構わない。図7(a)に示すように、測定片の起毛した面において、複数個の熱融着部を通る方向に延びる折り返し線Bにて山折りして測定サンプル204を形成した。このとき、山折りする箇所には、印刷部が形成されていない部分が1cm以上含まれるようにする。次に、この測定サンプル204を、A4サイズの黒い台紙211aの上に載せた。図7(b)に示すように、測定サンプル204の上に、縦1cm×横1cmの穴207をあけたA4サイズの黒い台紙211bを載せた。このとき、図7(b)に示すように、測定サンプル204の折り目205の内、印刷部が形成されていない部分が上側の黒い台紙211bの穴207から見えるように、黒い台紙211bを配置した。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた。
その後、上側の台紙211bの穴207の両側それぞれから、折り目205に沿って外方に5cm離れた位置に、50gのおもり212をそれぞれ載せ、測定サンプル204を折りたたまれた状態とした。次に、図7(c)に示すように、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX-900)を用いて、30倍の倍率で、黒い台紙211bの穴207内を観察し、測定サンプル204のにおける印刷部が形成されていない部分の折り目205から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線208よりも上方に突出した繊維の数を計測し、これを1cmあたりの起毛した繊維の本数とした。9箇所計測し、平均値(少数第二位を四捨五入)を起毛している繊維の量を起毛度とした。
起毛度は、第一の面材12における発泡層10と接していない面で、かつ、印刷部が形成されていない箇所について測定する。
まず、縦200mm×200mmのフェノール樹脂発泡板1から第一の面材12を剥がし、200mm×200mmの測定片とした。なお、この測定片には、印刷部が形成されている部分が含まれていても構わない。図7(a)に示すように、測定片の起毛した面において、複数個の熱融着部を通る方向に延びる折り返し線Bにて山折りして測定サンプル204を形成した。このとき、山折りする箇所には、印刷部が形成されていない部分が1cm以上含まれるようにする。次に、この測定サンプル204を、A4サイズの黒い台紙211aの上に載せた。図7(b)に示すように、測定サンプル204の上に、縦1cm×横1cmの穴207をあけたA4サイズの黒い台紙211bを載せた。このとき、図7(b)に示すように、測定サンプル204の折り目205の内、印刷部が形成されていない部分が上側の黒い台紙211bの穴207から見えるように、黒い台紙211bを配置した。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた。
その後、上側の台紙211bの穴207の両側それぞれから、折り目205に沿って外方に5cm離れた位置に、50gのおもり212をそれぞれ載せ、測定サンプル204を折りたたまれた状態とした。次に、図7(c)に示すように、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX-900)を用いて、30倍の倍率で、黒い台紙211bの穴207内を観察し、測定サンプル204のにおける印刷部が形成されていない部分の折り目205から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線208よりも上方に突出した繊維の数を計測し、これを1cmあたりの起毛した繊維の本数とした。9箇所計測し、平均値(少数第二位を四捨五入)を起毛している繊維の量を起毛度とした。
また、起毛している繊維の数を数える際には、例えば、図7(c)に示す繊維206のように、折り目205から0.2mm上方にある仮想線208を2回横切る繊維がある場合、その繊維は2本と数える。具体的には、図7(c)に示す例では、仮想線208を1回横切る繊維が4本、仮想線208を2回横切る繊維206が1本存在するが、2回横切る繊維206を2本と数え、起毛している繊維の量は6本/cmとなる。
<吸水量の測定>
吸水量を、JIS A 9511に従い測定した。
吸水量を、JIS A 9511に従い測定した。
<長期熱伝導率の測定>
ISO 11561 Annex Bに準拠し、建築物において発生し得る最高温度を70℃とし、縦横300mm角のフェノール樹脂発泡板サンプルを70℃雰囲気に25週間放置した後の熱伝導率を、25年後の推定値として測定した。
ISO 11561 Annex Bに準拠し、建築物において発生し得る最高温度を70℃とし、縦横300mm角のフェノール樹脂発泡板サンプルを70℃雰囲気に25週間放置した後の熱伝導率を、25年後の推定値として測定した。
<面材剥離強度>
フェノール樹脂発泡板の面材剥離強度は以下の様に測定して求めた。
先ず、フェノール樹脂発泡板を、幅50mm、長さ120mm(長さ方向が製品流れ方向と一致する。)に切り出し、上下面に位置する面材(a)、(b)のうちの一方の面材(b)を剥離した。その後、面材(b)剥離後の積層板を上下面と平行方向に切断することで、面材(a)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備した。
次に、評価用サンプルの長さ方向の一端から20mmの位置に、カッターを用いて、面材(a)を有さない側の面から厚み方向に深さ20mmの切り込みを入れた。その切込み位置にて、評価用サンプルの母材2を厚み方向に慎重に分割した。この際に面材(a)が母材から剥がれないように長さ方向の力を加えないようにした。
そして、母材が分割された評価用サンプルの、母材の長さが長い側の部位を、クランプ7で水平面と45°の角度になるように保持し、かつ、母材の長さが短い側の部位の先に金属ワイヤ5で繋がれた容器6を、クランプ4を介してセットした。
その後、ポンプを用いて空の容器6内に、100g/分の投入速度で、水を連続的に投入した。面材が評価用サンプルの長さ方向に、切り込み位置から50mm剥離した時点での容器内の水の質量を測定した。同様の操作を二回行い、クランプ、金属ワイヤ、容器、および得られた水の質量の合計の平均値を面材剥離強度(a)とした。
別途、面材(b)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備し、面材剥離強度(a)と同様にして面材剥離強度(b)を求めた。そして、面材剥離強度(a)および面材剥離強度(b)の内の低い方の値を、フェノール樹脂発泡板の面材剥離強度(単位:g)とした。
フェノール樹脂発泡板の面材剥離強度は以下の様に測定して求めた。
先ず、フェノール樹脂発泡板を、幅50mm、長さ120mm(長さ方向が製品流れ方向と一致する。)に切り出し、上下面に位置する面材(a)、(b)のうちの一方の面材(b)を剥離した。その後、面材(b)剥離後の積層板を上下面と平行方向に切断することで、面材(a)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備した。
次に、評価用サンプルの長さ方向の一端から20mmの位置に、カッターを用いて、面材(a)を有さない側の面から厚み方向に深さ20mmの切り込みを入れた。その切込み位置にて、評価用サンプルの母材2を厚み方向に慎重に分割した。この際に面材(a)が母材から剥がれないように長さ方向の力を加えないようにした。
そして、母材が分割された評価用サンプルの、母材の長さが長い側の部位を、クランプ7で水平面と45°の角度になるように保持し、かつ、母材の長さが短い側の部位の先に金属ワイヤ5で繋がれた容器6を、クランプ4を介してセットした。
その後、ポンプを用いて空の容器6内に、100g/分の投入速度で、水を連続的に投入した。面材が評価用サンプルの長さ方向に、切り込み位置から50mm剥離した時点での容器内の水の質量を測定した。同様の操作を二回行い、クランプ、金属ワイヤ、容器、および得られた水の質量の合計の平均値を面材剥離強度(a)とした。
別途、面材(b)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備し、面材剥離強度(a)と同様にして面材剥離強度(b)を求めた。そして、面材剥離強度(a)および面材剥離強度(b)の内の低い方の値を、フェノール樹脂発泡板の面材剥離強度(単位:g)とした。
<連続生産性>
フェノール樹脂発泡板を製造する工程において、フェノール樹脂の滲み出しによる汚れや印刷不良、面材の破断等を目視で確認し、製造開始から製造継続が困難と判断されるまでの経過時間で以下の様に評価した。
0.5時間未満:不可。
0.5時間以上1時間未満:不良。
1時間以上:良好。
フェノール樹脂発泡板を製造する工程において、フェノール樹脂の滲み出しによる汚れや印刷不良、面材の破断等を目視で確認し、製造開始から製造継続が困難と判断されるまでの経過時間で以下の様に評価した。
0.5時間未満:不可。
0.5時間以上1時間未満:不良。
1時間以上:良好。
<外観評価>
面材を目視により観察し、面材自体における皺、凹み、樹脂の滲み出し、印刷部のかすれや色抜け等がないものを「良好」と判断した。面材自体における皺、凹み、樹脂の滲み出し、印刷部のかすれや色抜け等の異常が見られた場合には、その状態を表中に記載した。
面材を目視により観察し、面材自体における皺、凹み、樹脂の滲み出し、印刷部のかすれや色抜け等がないものを「良好」と判断した。面材自体における皺、凹み、樹脂の滲み出し、印刷部のかすれや色抜け等の異常が見られた場合には、その状態を表中に記載した。
(実施例1-1~1-6、比較例1-1~1-5)
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF-339)100質量部と、界面活性剤(ひまし油EO付加物(付加モル数30))4質量部と、ホルムアルデヒドキャッチャー剤(尿素)4質量部とを混合した後、20℃で8時間放置した。
表2に従い、得られた混合物108質量部と、発泡剤15質量部と、酸触媒(パラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸の混合物)17質量部とを混合して発泡性樹脂組成物を調製した。
図2に示す製造システム40と同様の製造システムを用い、各例のフェノール樹脂発泡板を得た。この製造システムは、スラット型ダブルコンベアを備える。各例のフェノール樹脂発泡板の製造には、図3のスリットダイ100と同様のスリットダイAを備える製造システムが用いられた。このスリットダイは、吐出部の長さL1が1000mm、主吐出部の長さL2が910mm、吐出部の幅W1が30mm、主吐出部の幅W2が20mmであった。
このスリットダイから、ロールから引出して連続的に走行させている第二の面材(TD方向の幅:1150mm、表2に記載の面材、印刷部なし、面材の材質は表1参照。)上に発泡性樹脂組成物を吐出した。第二の面材上に吐出された発泡樹脂組成物上に、ロールから引出して連続的に走行させている第一の面材(TD方向の幅:1150mm、表2に記載の面材、印刷部あり、面材の材質は表1参照。)を重ね、これを70℃で300秒間加熱して発泡成形し、厚さ45mmのフェノール樹脂発泡板を得た(発泡硬化工程)。このとき、第一の面材としては、予め印刷部(インキの目付:0.7g/m2)が形成されたものを用いた。第一の面材の印刷部は、図柄及び文字からなり、表2の印刷面積比で形成された印刷部であった。
このようにして得られたフェノール樹脂発泡板を幅910mm、長さ1820mmに切断した。次いで、切断されたフェノール樹脂発泡板を雰囲気温度95℃、風速100m/minの養生庫で表2の記載の時間加熱して、各例のフェノール発泡板とした。
各例のフェノール樹脂発泡板について、独立気泡率、吸水量、長期熱伝導率及び外観を評価し、その結果を表中に示す。
なお、表1中、PETはポリエチレンテレフタレートを表し、PPはポリプロピレンを表す。
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF-339)100質量部と、界面活性剤(ひまし油EO付加物(付加モル数30))4質量部と、ホルムアルデヒドキャッチャー剤(尿素)4質量部とを混合した後、20℃で8時間放置した。
表2に従い、得られた混合物108質量部と、発泡剤15質量部と、酸触媒(パラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸の混合物)17質量部とを混合して発泡性樹脂組成物を調製した。
図2に示す製造システム40と同様の製造システムを用い、各例のフェノール樹脂発泡板を得た。この製造システムは、スラット型ダブルコンベアを備える。各例のフェノール樹脂発泡板の製造には、図3のスリットダイ100と同様のスリットダイAを備える製造システムが用いられた。このスリットダイは、吐出部の長さL1が1000mm、主吐出部の長さL2が910mm、吐出部の幅W1が30mm、主吐出部の幅W2が20mmであった。
このスリットダイから、ロールから引出して連続的に走行させている第二の面材(TD方向の幅:1150mm、表2に記載の面材、印刷部なし、面材の材質は表1参照。)上に発泡性樹脂組成物を吐出した。第二の面材上に吐出された発泡樹脂組成物上に、ロールから引出して連続的に走行させている第一の面材(TD方向の幅:1150mm、表2に記載の面材、印刷部あり、面材の材質は表1参照。)を重ね、これを70℃で300秒間加熱して発泡成形し、厚さ45mmのフェノール樹脂発泡板を得た(発泡硬化工程)。このとき、第一の面材としては、予め印刷部(インキの目付:0.7g/m2)が形成されたものを用いた。第一の面材の印刷部は、図柄及び文字からなり、表2の印刷面積比で形成された印刷部であった。
このようにして得られたフェノール樹脂発泡板を幅910mm、長さ1820mmに切断した。次いで、切断されたフェノール樹脂発泡板を雰囲気温度95℃、風速100m/minの養生庫で表2の記載の時間加熱して、各例のフェノール発泡板とした。
各例のフェノール樹脂発泡板について、独立気泡率、吸水量、長期熱伝導率及び外観を評価し、その結果を表中に示す。
なお、表1中、PETはポリエチレンテレフタレートを表し、PPはポリプロピレンを表す。
(実施例2-1~2-6)
第一の面材として、印刷部が形成されていない面材を使用し、発泡性樹脂組成物に可塑剤(フタル酸ジ-n-オクチル)3質量部を添加し、発泡層の厚さを60mmとし、表3の製造条件に従った以外は、実施例1と同様にして発泡硬化工程を行ってフェノール樹脂発泡板を得た。その後、得られたフェノール樹脂発泡板の第一の面材(印刷部なし)に対して、印刷装置を使用して図柄及び文字からなり、表3に記載の印刷面積比の印刷部を形成した。
印刷部は、所定の図柄及び文字で構成された凸部が表面に形成された樹脂製の板状凸版を円筒状版胴に巻きつけ、この凸版に特開2009-149859号公報の実施例1に記載の硬化性フレキソインキが貯留されたインキパンから凹部が形成されたアニロックスロールを用いて板状凸版にインキを転写し、続いてインキを凸版から得られたフェノール樹脂発泡板の第二の面材に転写することで印刷部を形成した。アニロックスロールの凹部は、面材上に転写されるインキの目付が0.8g/m2となるように調整した。
こうして得られたフェノール樹脂発泡板を幅910mm、長さ1820mmに切断した。次いで、切断されたフェノール樹脂発泡板を雰囲気温度100℃、風速50m/minの養生庫で2時間加熱して、各例のフェノール発泡板とした。
各例のフェノール樹脂発泡板について、独立気泡率、吸水量、長期熱伝導率及び外観を評価し、その結果を表中に示す。
第一の面材として、印刷部が形成されていない面材を使用し、発泡性樹脂組成物に可塑剤(フタル酸ジ-n-オクチル)3質量部を添加し、発泡層の厚さを60mmとし、表3の製造条件に従った以外は、実施例1と同様にして発泡硬化工程を行ってフェノール樹脂発泡板を得た。その後、得られたフェノール樹脂発泡板の第一の面材(印刷部なし)に対して、印刷装置を使用して図柄及び文字からなり、表3に記載の印刷面積比の印刷部を形成した。
印刷部は、所定の図柄及び文字で構成された凸部が表面に形成された樹脂製の板状凸版を円筒状版胴に巻きつけ、この凸版に特開2009-149859号公報の実施例1に記載の硬化性フレキソインキが貯留されたインキパンから凹部が形成されたアニロックスロールを用いて板状凸版にインキを転写し、続いてインキを凸版から得られたフェノール樹脂発泡板の第二の面材に転写することで印刷部を形成した。アニロックスロールの凹部は、面材上に転写されるインキの目付が0.8g/m2となるように調整した。
こうして得られたフェノール樹脂発泡板を幅910mm、長さ1820mmに切断した。次いで、切断されたフェノール樹脂発泡板を雰囲気温度100℃、風速50m/minの養生庫で2時間加熱して、各例のフェノール発泡板とした。
各例のフェノール樹脂発泡板について、独立気泡率、吸水量、長期熱伝導率及び外観を評価し、その結果を表中に示す。
(実施例2-7)
面材IIに起毛加工を施し、起毛度を15本/cmとした面材を用い、発泡剤Bを発泡剤Hとしたこと以外は実施例2-2と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
面材IIに起毛加工を施し、起毛度を15本/cmとした面材を用い、発泡剤Bを発泡剤Hとしたこと以外は実施例2-2と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
(比較例2-1)
面材IIIを面材VIIとしたこと以外は実施例2-3と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
面材IIIを面材VIIとしたこと以外は実施例2-3と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
(比較例2-2)
スリットダイAに代えて、TD方向に16本配置されたノズルを用いたこと以外は実施例2-1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
スリットダイAに代えて、TD方向に16本配置されたノズルを用いたこと以外は実施例2-1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
(比較例2-3)
スリットダイAの代わりに、吐出の長さL1と長さL2とが共に1000mm、吐出部の幅W1と幅W2とが共に25mmである長方形の吐出部を備えたスリットダイ(スリットダイB)としたこと以外は実施例2-1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
スリットダイAの代わりに、吐出の長さL1と長さL2とが共に1000mm、吐出部の幅W1と幅W2とが共に25mmである長方形の吐出部を備えたスリットダイ(スリットダイB)としたこと以外は実施例2-1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得、これを評価した。
表2に示すように、本発明を適用した実施例1-1~1-6は、外観評価が良好であった。加えて、実施例1-1~1-6は、吸水量が低く、長期熱伝導率が低いものであった。
一方、比較例1-1は、印刷面積比が高いため、独立気泡率が低く、吸水量が高く、長期熱伝導率が高いものであった。比較例1-2は、養生温度が高すぎるため、独立気泡率が低く、吸水量が高く、長期熱伝導率が高いものであった。比較例1-3は、面材の熱圧着固定部分密度が低いため、製造中にフェノール樹脂が滲み出し、連続生産性が悪いものであった。比較例1-4は、面材の熱圧着固定部分密度が高く、文字等の微細な印刷部は識別が困難であり、また、面材の引裂強度が低いため、面材の破断が起こり、連続生産性が悪いものであった。比較例1-5は、引出しテンションが高く、面材の破断が起こり、連続生産できなかった。
一方、比較例1-1は、印刷面積比が高いため、独立気泡率が低く、吸水量が高く、長期熱伝導率が高いものであった。比較例1-2は、養生温度が高すぎるため、独立気泡率が低く、吸水量が高く、長期熱伝導率が高いものであった。比較例1-3は、面材の熱圧着固定部分密度が低いため、製造中にフェノール樹脂が滲み出し、連続生産性が悪いものであった。比較例1-4は、面材の熱圧着固定部分密度が高く、文字等の微細な印刷部は識別が困難であり、また、面材の引裂強度が低いため、面材の破断が起こり、連続生産性が悪いものであった。比較例1-5は、引出しテンションが高く、面材の破断が起こり、連続生産できなかった。
表3に示すように、本発明を適用した実施例2-1~2-6は、外観評価が良好であった。加えて、実施例2-1~2-6は、吸水量が低く、長期熱伝導率が低いものであった。
一方、比較例2-1は、比較例1-3と同様にフェノール樹脂の滲み出しによる問題に加え、印刷面積に対して起毛度が高く、印刷部がかすれ適切な模様を形成することが困難であった。比較例2-2及び2-3は、表層の独立気泡率が低く、印刷により表面に凹みが発生した。
一方、比較例2-1は、比較例1-3と同様にフェノール樹脂の滲み出しによる問題に加え、印刷面積に対して起毛度が高く、印刷部がかすれ適切な模様を形成することが困難であった。比較例2-2及び2-3は、表層の独立気泡率が低く、印刷により表面に凹みが発生した。
1 フェノール樹脂発泡板;10 発泡層;10a 第一の表層部;10b 第二の表層部;10c 中央層部;12 第一の面材;14 第二の面材;16 印刷部
Claims (5)
- フェノール樹脂の発泡層と、前記発泡層の両面に設けられた面材とを備え、
前記面材の少なくとも一方には、印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であり、
前記発泡層を厚さ方向に三分割にして、一方の面から順に第一の表層部、中央層部、第二の表層部とした場合に、前記第一の表層部及び前記第二の表層部の内、前記印刷面材に隣接する表層部の独立気泡率は、85%以上であり、
前記印刷面材は、目付15g/m2以上100g/m2以下の合成繊維不織布であり、
前記印刷面材の熱圧着固定部分密度は、5個/cm2以上150個/cm2以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板。 - 対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程を有し、
前記発泡硬化工程は、予め前記印刷部が形成された前記面材を用いる、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。 - 対向させた2つの前記面材の間に、フェノール樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を充填し、次いで、前記発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化して前記発泡層を形成する発泡硬化工程と、
前記発泡硬化工程の後、前記2つの面材の少なくとも一方に前記印刷部を形成する印刷工程と、を有する、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡板の製造方法。 - 目付が15g/m2以上100g/m2以下であり、
熱圧着固定部分密度が5個/cm2以上150個/cm2以下であり、
起毛度が1本/cm以上35本/cm以下である合成繊維不織布であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板用の面材。 - 少なくとも一方の面に印刷部が形成され、
前記印刷部が形成された面材である印刷面材の面積に対して前記印刷部の面積が5%以上70%以下であることを特徴とする、請求項4に記載のフェノール樹脂発泡板用の面材。
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