JP7006717B2 - 好気性生物処理方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的に酸化できる汚濁物質を含む排水を、自己造粒グラニュールや流動床担体、固定床担体などにより生物膜処理する方法及び装置に係り、特にその曝気強度制御に関する。本発明においては微生物処理を行う微生物膜の外部に存在する排水をバルク水と呼ぶ。
生物学的に酸化できる汚濁物質を含む排水の処理方法として、浮遊汚泥を用いる活性汚泥法のほか、自己造粒グラニュール法や流動床担体法、固定床担体法など、微生物が微生物膜とよばれる集積増殖した様態で処理を行う生物膜法などが利用されている。
前者の浮遊汚泥を用いる活性汚泥法では、微生物フロックと称される典型的には1mm前後の微生物の凝集体内外において、微生物とバルク水相との接触面積が十分確保されているため、フロック内での酸素や汚濁物質の浸透性・拡散性が汚濁物除去速度の主要な処理性能の律速因子とならない。特許文献1には、汚濁物質の負荷を計器で計測し、これに比例して曝気風量を制御することが記載されている。
浮遊汚泥を用いる活性汚泥法、および自己造粒グラニュール法、流動床担体法、固定床担体法などの生物膜法においては、原水の負荷に比例した酸素供給量調整を簡易に行う手法として、液中の溶存酸素濃度(以下DOと記載する)を一定に保つ風量制御を行ういわゆるDO制御システムが広く用いられている。
自己造粒グラニュール法、流動床担体法に関して、特許文献2には、BOD容積負荷が所定値よりも小さいときは微生物担体の流動化を判断基準とし、BOD容積負荷が前記所定値よりも大きいときは廃水の酸素要求量を判断基準として廃水に対する曝気量を制御する廃水処理方法及び装置が記載されている。
特開2001-353496号公報 特開昭63-256185号公報
自己造粒グラニュール法、流動床担体法、固定床担体法など生物膜を利用した処理を行う方法では、原水負荷の指標として一般的である、原水の単位時間あたりの流量と原水の汚濁物質濃度との積により求められる流入負荷や、流入負荷を反応槽の容積で除算して求められる槽負荷のみに基づいて適切な酸素供給量調整を行うことは、厳密には困難である。その理由として以下が挙げられる。
(i) 原水負荷が同じで、原水中の有機物を酸化するために必要な酸素量が同じであっても、生物膜を利用した方法では、反応槽に生物膜の様態で保持されている微生物量が時間により変化するため、微生物自体の自己分解プロセスに起因して発生する酸素消費量が変化する。従って、装置に与える酸素供給量は同因子も考慮して決定する必要がある。
(ii) 生物膜を利用した処理方法では、微生物が集積している生物膜内に酸素を拡散させる必要がある。生物膜内への酸素の拡散性に影響を与える主な因子としては、微生物膜とバルク水との接触面積およびバルク水のDOの高低などが知られているが、自己造粒グラニュール法ではグラニュールの保持量およびグラニュールサイズが変化するため、微生物とバルク水との接触面積が変化する。
(iii) 流動床担体法では担体内外での微生物付着量の変化により、生物膜とバルク水の接触面積が変化する。特に、担体内部に空隙部がある構造で生物膜が空隙部に増殖する場合、担体への生物膜付着量が増加し、空隙部が全て微生物膜で閉塞した場合には、バルク水と生物膜との接触面積は顕著に低減する。
(iv) このようなバルク水と生物膜との接触面積の変化は、生物膜への酸素拡散性に大きな影響を与える。例えば、バルク水と生物膜との接触面積が低減した場合には、同一の酸素量を生物膜内に供給する場合でも、バルク水のDOを高める必要があり、バルク水の溶存酸素濃度を高めるためには、より大風量の空気吹き込みが必要となる。
こういった要因により、特に、酸素供給について浸透および拡散現象に依存している生物膜法の場合、原水の負荷および処理装置内に微生物膜の保持量に応じ変化する酸素消費量に応じて、処理装置内で保持されている微生物膜の量により供給する必要がある酸素量は変化するので特に酸素供給について拡散現象に依存している生物膜法の場合生物膜に供給すべき酸素量に応じてバルク水のDOを調整する必要があり、バルク水のDOを維持するための曝気風量も調整する必要がある。
なお、曝気風量を制御しない場合は、高負荷時を規定して、高負荷時でもバルク水のDOを過剰に高く維持できる高い曝気風量で一定風量運転をすることが多い。
高負荷時を想定した高風量を維持する運転を行うと、低負荷時には過剰な風量での運転を行うことになる。このため、特に原水負荷の時間変動がある場合に曝気制御を行わない一定風量での運転を行うと、最大負荷に合わせた風量で常時曝気することになり、エネルギー消費の無駄が発生する。
また一般的なDO一定の風量制御を行う場合も、高負荷時に生物膜内部への十分な酸素拡散量を確保することを想定した高いDO設定を行う必要がある。そのため、低負荷時には、必要な酸素供給量の維持に必要なDOレベル以上のDOに維持することになる。その結果、DOを維持するための曝気風量は必要量より多くなり、特に低負荷運転時にエネルギー消費の無駄が発生する。
このような理由から、特に一定風量による運転を行った場合、例えDO一定制御を行った場合でも、エネルギー消費および動力コストの無駄が低負荷時に発生し、このようなエネルギー消費およびコストの無駄は負荷変動が大きな場合に特に顕著となる。
ところが、原水負荷や反応槽の運転項目が一定、あるいは原水負荷に応じた適切な運転制御を行っていた場合であっても処理水水質が変動することがある。このような状況は、典型的には生物処理装置を長期間運転した際に、微生物膜の保持量が変化し前述した理由から微生物膜とバルク水との接触面積が低下した場合に発生する。接触面積が低下した場合、微生物膜内への酸素拡散量が低下し、結果必要な酸素供給量が行われず処理水質が悪化する状況が発生する。
本発明は、長期にわたって安定して適正曝気量にて生物膜処理を行うことができる好気性生物処理方法及び装置を提供することを目的とする。
一般に、曝気槽の生物膜の酸素拡散性指標が高ければ(例えば、担体内部に空隙部がある構造で微生物が空隙部に増殖する場合、充填担体への汚泥付着量が少なく微生物膜のバルク水との接触表面積が多く確保されていれば)低DOでも高負荷処理が可能となり、一方、酸素拡散性指標が低ければ(例えば、担体内部に空隙部がある構造で微生物が空隙部に増殖する場合、充填担体への汚泥付着量が多く、担体の空隙部が全て閉塞する状況となり、その結果、生物膜とバルク水との接触表面積が低下すれば)高DOでなければ処理効率が低くなるため、高負荷処理での曝気コストがかかる。
本発明の好気性生物処理方法は、原水を曝気槽に供給し、曝気槽に膜担体を充填する方法、または、微生のグラニュール化現象を利用して生物膜を維持する方法を利用して、原水中の除去対象物質を好気性生物膜と接触させ処理水を得る方法において、曝気槽の生物膜の酸素拡散性指標の高低レベルに応じた、原水負荷又は酸素消費速度に対応するDO目標値及び/又は曝気強度設定値の関係を相関関数として複数設定しておき、該相関関係と原水負荷又は酸素消費速度とに従って曝気を制御する方法であって、処理水水質に応じて、用いる相関関係を切り替えることを特徴とする。
本発明の好気性生物膜処理装置は、原水が供給される曝気槽と、該曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールと、該曝気槽を曝気する曝気装置とを有する好気性生物処理装置において、曝気槽の生物膜の酸素拡散性指標の高低レベルに応じた、原水負荷又は酸素消費速度に対応するDO目標値及び/又は曝気強度設定値の関係を相関関数として複数記憶しておく手段と、該相関関係と原水負荷又は酸素消費速度とに従って曝気を制御する曝気制御手段とを備え、該曝気制御手段は、処理水水質に応じて、用いる相関関係を切り替えることを特徴とする。
本発明の一態様では、処理水水質が所定値よりも良好になったときに、1段階高いレベルの酸素拡散性指標に対応した相関関係に切り替える。
本発明の一態様では、処理水水質が規定値よりも不良になったときに、1段階低いレベルの酸素拡散性指標に対応した相関関係に切り替える。
本発明の一態様では、酸素拡散性指標は、以下の(1)~(7)のいずれかである。
(1) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜内外の酸素濃度勾配に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した拡散係数
(2) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積
(3) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の、単位反応槽容積あたりの比表面積
(4) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体充填容積あたりの表面積
(5) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体当たりの汚泥保持量
(6) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の平均厚み
(7) 自己造粒グラニュール又は充填担体に付着増殖する生物膜の酸素拡散係数と比表面積とを乗算した値
本発明の一態様では、現在用いている相関関係に対応した酸素拡散性指標のレベルを表示手段に表示する。
本発明の一態様では、前記原水負荷は、流入負荷、槽負荷、及び担体負荷のいずれかである。
本発明のように、酸素拡散性指標と、原水負荷又は酸素消費速度とに応じて曝気制御することにより、長期にわたって適正曝気量にて生物処理を行うことができる。また、これにより安定運転を継続して行うことが可能となる。
生物処理装置の構成図である。 本発明が適用される生物処理装置の構成図である。 表示画面の正面図である。 表示画面の正面図である。 表示画面の正面図である。
本発明では、曝気槽の酸素拡散性指標の高低レベルに応じた、原水負荷又は酸素消費速度に対応するDO目標値及び/又は曝気強度(曝気量)設定値の相関関係を予め複数設定しておく。
<酸素拡散性指標>
汚濁物質除去のために自己造粒微生物グラニュールや流動床もしくは固定床担体に付着させた生物膜を利用する生物膜処理の場合、浮遊法と比較して流動状態の液相と微生物とが接触する表面積が少なく、汚濁物質の生分解のためには生物膜の内部へ(厚み方向へ)酸素や汚濁物質が拡散浸透する必要があり、この拡散浸透プロセスの速度は微生物の増殖速度・酸素消費速度と比較して遅いため、拡散浸透プロセスが処理性能を決定する主要な要因の一つである。
生物膜がバルク水と接触する表面積は拡散浸透プロセスに影響を与える因子である。表面積が狭くなると、バルク水のDOが同じであっても、相対的に生物膜への酸素拡散総量が減り、処理性能が低下して処理水水質が悪化する傾向となる。逆に、表面積が広くなると、バルク水のDOが同じであっても、相対的に生物膜への酸素拡散総量が増加し、処理能力が上がり、処理水質が良好となる傾向となる。また、低いDOであっても十分な処理性能を発揮することができ、曝気量、曝気に関わる電力を削減できる。
自己造粒微生物グラニュールを利用する装置の場合、長期的な運用によりグラニュールの直径が増加しグラニュールが粗大化した場合、自己造粒微生物グラニュールの充填容積あたりのバルク水と接触する比表面積は低下し、装置容積あたりのバルク水と接触する表面積が低下する。
担体を利用する装置の場合、担体内部に空隙部がある構造の担体を利用した場合、長期的な運用により担体が保持する汚泥保持量が増加すると、担体内部の空隙空間が微生物膜自体およびスケール成分等の生物活性のない固形分により閉塞するため、バルク水と生物膜の接触面積が低下する。この結果、担体充填容積あたりのバルク水と接触する比表面積が低下し、曝気槽容積あたりのバルク水と接触する表面積が低下する。また担体内部の空隙部の有無にかかわらず、長期間の運用を行った場合、生物膜内の汚泥密度が上昇する、もしくは、スケール成分等の生物活性のない固形物の蓄積により固形物密度が上昇することにより、酸素の拡散速度が低下する。
特に、固定担体に付着させた生物膜を利用する処理の場合、運用期間が長期に渡ると担体間の空間に過剰な生物膜が保持されていく傾向がある。このような状況では、生物膜保持量の増加に応じバルク水相の容量が相対的に低下する。また、この状態がさらに進むと、担体間の空間が微生物膜により閉塞し、バルク水が流入できない空間が発生する。この結果、バルク水相と生物膜との接触面積が徐々に低下し、生物膜への酸素や汚濁物質の浸透透過性が経時的に低下する傾向がある。
いずれも汚濁物質もしくは酸素の拡散性を低下させ、装置の処理能力低下をもたらす傾向があり、特に長期運転後には安定して運転するために必要なDOは初期適正値よりも高めとなる。
<複数の相関関係の構築>
本発明では、原水負荷又は酸素消費速度とDO目標値及び/又は曝気強度設定値(弱曝気時間設定値)の相関関係を、複数の酸素拡散性指標において予め作成する。下記の表1を例に説明する。
下記の表1では、上から順番に5個の制御表(相関関係表)が示されている。各表は、TOC担体容積負荷(担体充填容積当りのTOC負荷)とDO目標値及び曝気量設定値(この場合は弱曝気時間設定値)との相関関係を表わしている。なお、制御表の数は5に限定されず、3~15程度の数であればよい。また、表1では、TOC担体容積負荷は10段階に区分されているが、3~20程度の段階であればよい。DO制御目標値は、0.2~30mg/Lの範囲から、TOC担体容積負荷に応じてまた利用する曝気方式に応じて選択して設定するのが好ましい。曝気量は、DO制御目標値を達成するためにDO計測値に基づく風量のフィードバック制御をおこない調整する。
表1では、上から3番目の表では、TOC担体容積負荷(kgC/(m・d)、以降単位を省略する場合がある。)が0.1以上~0.7未満の場合は、本発明で弱曝気工程とよぶ、微生物膜と排水との接触に必要な最低曝気風量をDO計測値に関わらず維持する工程と、本発明で強曝気工程とよぶ指定のDO値を維持しつつ担体やグラニュール汚泥を利用する場合には担体の必要最低限の流動状態を維持する曝気風量制御を行う工程とを周期的に繰り返す曝気制御を行うことを想定しており、この負荷領域では、DO制御をおこなう強曝気工程では、DO目標値を3.1mg/L以上と設定し、弱曝気時間設定値は、TOC担体容積負荷が、0.1以上0.2未満の場合は2時間ごとに110分、同0.2以上0.3未満の場合は2時間ごとに90分、同0.3以上0.4未満の場合は2時間ごとに80分、同0.4以上0.5未満の場合は2時間ごとに60分、同0.5以上0.6未満の場合は2時間ごとに40分、同0.6以上0.7未満の場合は2時間ごとに20分をそれぞれ適正値として設定している。TOC担体容積負荷が0.7(kgC/(m・d))以上の場合は、それぞれDO目標値を表記載の通り増大させると共に、弱曝気時間設定値をゼロとする。他の表も同様である。なお、ここに例示した表群は一例であり、排水処理装置の様態に応じ、適切な表は変化する。
処理水の良否をTOCで判断する場合には、処理水TOC濃度が所定時間にわたって良好なとき(所定値より低いとき)には、1つ上の表に移行し、逆に処理水TOC濃度が所定時間にわたって不良なとき(所定値より高いとき)には、1つ下の表に移行する。例えば、標準の制御表(上から3番目の表)を用いて適切に曝気制御を継続していたにも拘わらず処理水水質が悪化したときは酸素拡散性が悪化したとみなし、1つ下側の制御表(上から4番目の表)を用いた曝気制御に切り替える。逆に処理水水質が過度に良くなったときは曝気を弱めても安定処理できるとみなして1つ上側の制御表(上から2番目の表)を用いた曝気制御に切り替える。処理水の良否判断はTOCに限らず、微生物による酸化処理の対象となる物質の濃度であればどのような指標を利用してもよい。典型的にはCODCr指標、CODMn指標、硝酸性窒素指標、亜硝酸性窒素指標、有機アミン類等の特定化学物質の濃度を処理状況の良否判定に利用することが想定される。
ただし、最上位の表の場合は、処理水水質が過度に良くなっても、現状の表を維持する。また、最下位の表に従って曝気制御しているときに処理水水質が悪化した場合には、装置の処理能力が想定以上に悪化していると考えられ、装置のメンテナンスを行うのが好ましい。
なお、酸素拡散性指標それ自体は実機で直接測定することが困難な指標であり、酸素拡散性指標の実測値により制御表を選定するという操作は実際には困難であるため、上記のように制御表を処理水水質に基づいて切り替える制御を行う。表1の制御表のうち、上側のものに基づく制御が行われるほど、酸素拡散性指標が良好であることになる。従って、上記のようなロジックによって複数設定された制御表のうちいずれのものが制御に選択されているかを検知することにより、現状での酸素拡散性指標を推定することができる。このようにして推定された現状における曝気槽の酸素拡散性指標のレベル(例えば、表1で上から何番目の表が曝気制御に使用されているか)を現場で装置性能を表示するための指標として表示してもよい。
Figure 0007006717000001
<原水負荷を管理指標とした制御>
原水負荷を管理指標とする場合の原水担体負荷の計算方法について、図1を用いて次に説明する。
[TOC計と流量計から原水負荷を算出する方法]
図1に示す生物処理装置は、原水のTOC濃度の計測値を利用した原水負荷に基づく曝気制御を行うものである。
図1の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を通じて曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3が設置されており、ブロア4から配管5を通じて空気が供給され、曝気が行われる。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、計測手段として、配管1を流れる原水の流量及びTOC濃度を測定する流量計22及びTOC計23と、曝気槽2内のDO濃度を測定するDO計19と、ブロア4から散気管3へ供給される空気量を測定する風量計20が設けられており、これらの検出値が制御器21に入力される。制御器21によってブロア4のモーター回転数が制御されることにより曝気強度が制御される。
原水流量を流量計22で測定し、TOC計23で原水のTOC濃度を測定することで、TOC負荷として原水負荷を算出する。
<原水負荷>
原水負荷は次式によって算出される。
Load=Q・Conc
Load:原水負荷[kg/d]
Q:原水流量[m/d]
Conc:原水濃度[kg/m
原水濃度としては、TOC、アンモニア性窒素、UV吸光度から推算したTOC・Nの濃度が挙げられる。
<担体容積負荷>
担体容積負荷は次式によって算出される。
LoadCarrierVol=Load/VCarrier
LoadCarrierVol:担体容積負荷[kg/(m・d)]
Carrier:曝気槽内の担体充填容積[m
<担体表面積負荷>
担体表面積負荷は次式によって算出される。
LoadCarrierSurf=Load/SCarrier
LoadCarrierSurf:担体表面積負荷[kg/(m・d)]
Carrier:曝気槽内の担体群の総表面積[m
なお、曝気槽においては、原水負荷は経時的に分単位で急速に変動することがあるが、担体の性状(曝気槽内の担体充填容積又は曝気槽内の担体群の総表面積)の経時的変化は日から月単位で比較的緩慢に変化する。そのため、原水負荷の計算値は頻繁に更新するのが好ましい。また、曝気槽内の担体充填容積又は曝気槽内の担体群の総表面積については、担体を定期的に(例えば1~3ヶ月に1回程度の頻度で)サンプリングして解析し、担体充填容積、担体群の総表面積データを更新すればよい。
[酸素消費速度を管理指標とした制御]
[酸素消費速度の演算方法]
酸素消費速度を管理指標とする場合の酸素消費速度の演算方法について、図2を用いて説明する。
図2の生物処理装置では、被処理排水(原水)は、配管1を介して曝気槽2に導入される。曝気槽2内には、生物膜を担持した担体Cが充填されている。曝気槽2内の底部には散気管3a,3b,3cが設置されており、ブロア4から配管5及び分岐配管5a,5b,5cを介して空気が供給され、曝気が行われる。曝気槽2には天蓋2rが設けられている。
生物膜によって好気的に生物処理された水は、スクリーン6を通り抜け、配管7から処理水として取り出される。
この生物処理装置では、計測手段として、曝気槽2上部かつ天蓋2r下側の気相部ガス中の酸素濃度を測定する排ガス計24と、曝気槽2内のDO濃度を測定するDO計19と、ブロア4から散気管3a~3cへ供給される空気量を測定する風量計20が設けられている。
[酸素消費速度の演算方法]
<ケース1:曝気風量計測値と排ガスの酸素濃度計測値から酸素消費速度を演算する方法
曝気風量と排ガス中の酸素濃度を計測し、酸素消費速度qOを次式により直接的に演算する。
Figure 0007006717000002
Figure 0007006717000003
OTE:酸素移動効率[-]
:吹き込み空気中の酸素モル分率[-]
Z:排ガス中の酸素モル分率[-]
qO:酸素消費速度[kg/d]
Gν:標準状態換算の曝気空気の吹き込み流量[Nm/d]
ν:酸素の比容[Nm/kg]
[ケース2:曝気風量計測値と反応槽バルク水のDO計測値とから酸素消費速度を計算する方法]
曝気風量とDOを計測し、酸素消費速度qOを間接的に推算する。
(i)(制御装置実装前の準備)酸素消費速度の推算に必要な酸素溶解性指標φを次式により算出する。
Figure 0007006717000004
Figure 0007006717000005
OTE:酸素移動効率[-]
:吹き込み空気中の酸素モル分率[-]
Z:排ガス中の酸素モル分率[-]
φ:酸素溶解性指標[m]
ν:酸素の比容[Nm/kg]
h:散気装置の水深[m]
Cs:飽和溶存酸素濃度[kg/m
C:混合液中の溶存酸素濃度[kg/m
(ii)(装置稼働時)酸素消費速度の経時変化を連続計測する。
DO計と曝気風量の連続計測データ、および予め求めた酸素溶解性指標φから酸素消費速度qOを次式により連続推算する。
Figure 0007006717000006
qO:酸素消費速度[kg/d]
Gν:標準状態換算の曝気空気の吹き込み流量[Nm/d]
h:散気装置の水深[m]
Cs:飽和溶存酸素濃度[kg/m
C:混合液中の溶存酸素濃度[kg/m
φ:酸素溶解性指標[m]
[酸素消費速度と、DO濃度目標値及び/又は曝気強度設定値との相関関係]
本発明の一様態では、曝気槽の担体またはグラニュールの体積もしくは比表面積あたりの酸素消費速度と、これに対応するDO目標値及び/又は曝気強度設定値の適正値との相関関係を酸素拡散性の違いに応じて予め複数設定しておき、酸素消費速度の計測値の変動に応じて特定の酸素拡散性を想定した前記相関関係に基づいて対応するDO目標値もしくは曝気強度設定値を調整する。
酸素消費速度と、DO目標値または曝気強度設定値との相関関係は、予備実験の結果データ、実機の運転実績データ、生物膜における酸素の拡散性を考慮した機構モデルのシミュレーション結果などを用いて設定される。
この相関関係は、酸素消費速度とDO目標値及び/又は曝気強度設定値の適正値との関数関係を記述した関数式もしくは制御表などのいずれでもよい。
[制御表を作成するための生物膜機構モデル]
制御表を構築するための1手法として、汚濁物質と酸素を含む流動状態にあるバルク水相に生物膜が接したときの、汚濁物質の減少や生物膜中の活性汚泥菌体量の増減を推定する動力学モデル(以降、生物膜機構モデルと称する場合がある。)を利用することができる。このような動力学モデルは、菌体増殖と汚濁物質の消費・酸素消費が生物膜内で同時に発生する状況、バルク水相中の溶存酸素の生物膜への拡散およびエアレーションにより酸素がバルク水量に溶解する現象も考慮して構築する必要がある。また、生物膜の増加や縮小は、菌体の増殖および死滅に伴った菌体群の体積の増加および減少やバルク水からの菌体の付着およびバルク水への菌体の剥離により発生する。生物膜利用処理に動力学モデルを利用する場合これらの現象を数学モデル化する必要がある。このような現象は本来3次元空間で発生する現象のため、モデル化は複雑なものとなるが、生物膜の増加・縮小を厚さ方向のみの変化を考慮する1次元モデルで表現することでシミュレーションを比較的容易に行うことができる。活性汚泥による排水処理をシミュレーションするための数学モデルとしては、例えばInternational Water AssociationのTask groupが提案している一連の数学モデルが活用できる(下記報文1)。生物膜を対象とした数学モデル例としては、下記報文2などが報告されている。
1. M Henze; IWA. Task Group on Mathematical Modelling for Design and Operaton of Biological Wastewater Treatment; et al
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前項のような数学モデルを利用することで、例えば流動床担体の数学モデルを構築することができる。一般にこのような数学モデルは連立常微分方程式の形式で記述されることが多く、連立常微分方程式の数値積分ソフトウエアを利用して同プロセスの動的な挙動をシミュレーションすることができる。例えば、特定の装置構成、負荷想定、曝気強度により変化するバルク水相のDOの条件に応じた処理水質の予想を行うことが可能である。
前項のような数学モデルを利用することで、様々な負荷条件に対して、様々な曝気強度で処理を行った際の、例えば処理水のTOC濃度を予想することができる。シミュレーション結果を整理した表を作成し、本発明の制御システムで利用する制御表に活用できる。
[曝気強度の制御]
本発明では原水負荷や酸素消費速度の変化(すなわち、処理水槽内に保持されている微生物膜量の変化)に応じ、DO制御のDO目標値を調整することが要件となっているが、曝気強度を時間と共に変化し平均的な曝気強度を調整する手法と組み合わせて適用することが可能である。ここでは、本発明の一様態として、原水負荷が高負荷時には一般的なDO制御を行い、低負荷時には弱曝気と強曝気を時間的に繰り返すいわゆる間欠曝気を組み合わせた事例を説明する。本事例の間欠曝気では、一定の時間サイクル毎に、所定時間は必要最低限の一定風量で曝気風量を抑制もしくは曝気停止を行う弱曝気工程と、残りの時間は一般的なDO制御を行う強曝気工程とを繰り返す。
[サイクル時間、弱曝気工程時間、強曝気工程時間]
本事例の間欠曝気の説明では、弱曝気工程と強曝気工程から構成される制御サイクルの合計工程時間をサイクル時間と称し、弱曝気工程の工程時間を弱曝気工程時間、強気工程の工程時間を強曝気工程時間と称する。弱曝気工程の時間および強曝気工程におけるDO目標値は、原水負荷に応じて連続的又は段階的に制御する。強曝気工程時間はサイクル時間から弱曝気工程時間を引いた時間として自動的に決定される。また、弱曝気工程時間を調整する場合の最長時間を最長弱曝気工程時間と称する。従って最長弱曝気工程時間はサイクル時間より短い時間となる。
[弱曝気工程風量、最小担体流動曝気風量]
本発明では弱曝気工程における一定の風量を弱曝気工程風量と呼ぶ。この風量は弱曝気工程における処理槽内の液相の最低限の攪拌を維持して生物膜とバルク水との接触を維持するために必要な風量である。弱曝気工程で完全に曝気を停止する場合には、曝気による攪拌がなくなるため、曝気とは別の機械的な攪拌機能が必要となる。本事例では弱曝気工程でも最小限の曝気を行い曝気による攪拌を行うことを想定している。最小担体流動曝気風量は、特に流動床担体を利用する装置において、強曝気工程で担体全体の流動状態を確保し、曝気槽底部への担体の堆積を防ぎ、堆積に伴い低下する生物膜とバルク水との接触面積低下を抑制するとともに、担体の底部への堆積に伴い発生する汚泥の腐敗の問題および硫化水素臭の発生を抑制するために必要な最小限の曝気風量であり、通常の弱曝気工程風量よりも多くなる。強曝気工程ではDO制御を行うが、風量が常に最小担体流動曝気風量以上の風量となることを制約条件とした制御を行う。
本事例においては、弱曝気工程における弱曝気工程風量では、最小担体流動曝気風量が確保されない風量抑制を図ることを想定しており、この風量調整により弱曝気工程の間、担体の装置底部への堆積が発生する。同工程の時間を一定時間内に制限し、残りの強曝気工程時間を十分確保し、この間は最小担体流動曝気風量以上の風量を確保することで堆積した担体の再流動化を図り、担体の底部への長期堆積に伴い発生する汚泥の腐敗の問題および硫化水素臭の発生を抑制する。
弱曝気工程風量および最小担体流動曝気風量および最長弱曝気時間は、予備実験の結果データや実機での実運転データなどに基づいて決定することが好ましい。本事例では、原水負荷が高い場合には、弱曝気および強曝気を繰り返す間欠曝気運転は行わず、曝気装置の能力を最大限利用できる一般的なDO制御で行う。原水負荷の低下時には低めのDO目標値を設定して曝気風量を抑制するが、DO制御による曝気風量が最小担体流動曝気風量以下となることが想定された段階で、曝気方式を間欠曝気運転に切り替える。連続曝気運転から間欠曝気運転に切り替える際の判断基準となる最小担体流動曝気風量は実装置で風量を直接測定しつつ担体の流動状態を確認して決定することもできるが、下記(a)~(d)のいずれかの指標を監視し指標値と風量との関係を事前評価しておくことにより、指標に基づき曝気風量を推定し、曝気風量≧最小曝気風量の場合には連続曝気、曝気風量<最小曝気風量の場合には間欠曝気を行う制御を行うことも可能である。
(a) 原水負荷の計測値
(b) 曝気槽の酸素消費速度の計測値
(c) 連続曝気下で負荷に応じて制御するDO目標値
(d) 連続曝気下で負荷に応じて制御する風量以外の曝気強度指標値。このような指標値としてブロワシステムのエア配管の圧力値、ブロワのインバーター周波数値、ブロワの電力消費値などが想定される。
上記(a)の原水負荷は、流入負荷、槽負荷、担体容積負荷、及び担体表面積負荷のいずれかであることが好ましい。
本事例では原水負荷に応じた各種制御について説明したが、酸素消費速度に応じた制御も同様であり、酸素消費速度が所定の高い水準の時は一般的なDO制御を行い、所定の低い水準の時は弱曝気と強曝気を交互に繰り返す間欠曝気を行うことになる。
表1では、担体充填容積当りの原水TOC負荷に対応した制御となっているが、担体充填容積当りの酸素消費速度に対応した制御であってもよい。その場合の制御表(5段階表)の一例を表2に示す。
Figure 0007006717000007
[流動床以外の生物処理]
図2では、流動床担体を用いた生物処理について説明したが、固定床担体やグラニュールを用いる場合も同様の手法で本発明を実施することができる。
本実施形態では、有機物を含む排水を、曝気を伴う好気性生物膜処理により処理するときに用いることを説明したが、他にも生物膜を用いた生物学的硝化脱窒処理など、曝気槽にて生物膜を用いた好気処理工程を含む生物処理を行う場合にも同じ手法で本発明を実施することができる。従って、原水負荷の水質値および処理水の水質値は、TOCに限定されるものではなく、原水負荷の水質値はTOC以外ではCODCr、CODMn、NH-N・NO-N・その他活性汚泥による酸化処理の対象となる特定化学物質の濃度あるいはこれらの組み合わせでもよく、処理水の水質値はTOC以外ではCODCr、CODMn、NH-N・NO-Nや、NO-N、その他活性汚泥による酸化処理の対象となる特定化学物質の濃度あるいはこれらの組み合わせでもよい。
[表示画面の一例]
制御に用いられている制御表や、制御操作を表示するための画面の一例を図3~5に示す。
図3は、作業員が画面操作して制御表を切り替える場合の表示画面である。図4は、処理水質の手分析データを入力し、制御表選択ロジックを自動的に実行させた結果を表示する画面である。なお、手分析データの手入力ではなくオンライン分析データの自動取込みを行い、制御表を選択してもよい。
図3,4は、いずれもタッチパネルの表示画面である。
図3の上向き三角形のタッチ部aにタッチすると、酸素拡散性レベルが1段階高い制御表に切り替えられる。下向き三角形のタッチ部bにタッチすると、酸素拡散性レベルが1段階低い制御表に切り替えられる。中央表示部cには、現時点で選択されている制御表の処理能力ランクが表示される。図3では、現時点で「良」すなわち表1の上から2番目の制御表が用いられていることが表示されている。
図4の表示画面では、表示部dに、現時点で選択されている表が表示される。表示部eは、支援情報提示部であり、一例として、「最近の処理水質より、装置の処理能力は「標準」と判断できます。現状の処理能力設定を変更しますか?」が表示される。タッチ部fにタッチすると、制御表が切り替えられ、タッチ部gにタッチすると、現状の制御表が維持される。
表示部hには、処理水分析日時が表示され、表示部iには処理水TOCの分析データの入力欄が表示され、表示部jには処理水目標TOC濃度が表示される。例えば、表示部iの入力欄をタップすると数値入力キーと実行キーのパッドを表示するなどしてタッチパネル上で入力操作をできるようにする。
図5は、作業員が操作することなく自動的に制御表を切り替える場合、すなわち、処理水質の情報を制御システムに入力するだけで、対象装置の処理性能変化に応じた適切な制御表が自動選択される場合の制御盤の表示画面の一例である。図4の場合と同じく、表示部dには、現時点で選択されている表が表示され、表示部hには、処理水分析日時が表示され、表示部iには処理水TOCの分析データの入力欄が表示され、表示部jには処理水目標TOC濃度が表示される。
図5では、処理水質の手分析データを手入力するものとしているが、手入力ではなくオンライン分析データの自動取込みを行って、制御表を自動選択する構成であってもよい。
[実施例1]
図2に示す流動床担体の好気性生物処理装置において、上記表1の制御表に従って、原水負荷に追随して随時適切に曝気制御しつつ、処理水水質の程度に応じて制御表を切り替えるという制御を行っている。
本実施例では、1辺の長さが3mmの立方体形状のウレタンスポンジ製担体を使用する場合を想定し、実施例を構築した。
<生物膜機構モデル>
実際には3次元構造を持つ担体内部とバルク水との間で発生する汚濁物質と酸素の拡散現象を、1次元の簡易モデルで表現し、この1次元モデルはバルク水1層と生物膜3層の全4層の完全混合コンパートメントを想定したモデルで構成した。
菌体はバルク水相および生物膜内で基質すなわち汚濁物質および酸素を消費して増殖し一定の割合で自己分解する、増殖した菌体はバルク水槽とバルク水槽の濃度差に応じ付着・脱着が発生する。微生物膜の付着量が担体表面積に対し一定量に達した安定運転状態では、生物膜内で増殖した菌体が脱着する量の方が水相に存在する菌体が生物膜に付着する量より多い状況となり生物膜量が安定する状況をモデル化している。生物膜表面積あたりに付着できる微生物量を定数として与え、生物膜表面積当たり微生物量が指定値となった時点で脱着量と付着量がバランスするモデルとした。
基質すなわち処理対象の汚濁物質は、流入排水から供給され、処理水として一部が流出し、バルク水相と生物膜との濃度差に応じて生物膜へ拡散し、バルク水相および生物膜内で微生物の増殖に伴う酸化分解が行われ減少する状況をモデル化した。汚濁物質の微生物の増殖に伴う酸化分解する速度は、酸素濃度および基質すなわち汚濁物質濃度が低下するとともに低下するモデルとした。基質の生物膜への拡散現象は、隣接する4層の完全混合コンパートメントの濃度差で発生すると想定し、同拡散速度は本発明が前提とする微生物濃度に応じて低下する状況を再現できるモデルとした。
酸素は、バルク水相で曝気装置により供給され、一部は流入排水に含まれる酸素としても供給され、処理水として一部が流出し、バルク水槽と生物膜の濃度差に応じて生物膜へ拡散し、バルク水相および生物膜内で微生物の増殖に伴う酸化分解が行われるとともに酸素が消費される状況をモデル化している。汚濁物質の微生物の増殖に伴い消費される酸素の減少速度は、酸素濃度および基質すなわち汚濁物質濃度が低下するとともに低下するモデルとした。酸素の生物膜への拡散現象は、隣接する4層の完全混合コンパートメントの濃度差で発生すると想定し、同拡散速度は本特許が前提とする微生物濃度に応じて低下する状況を再現できるモデルとした。
<制御表の作成>
構築した生物膜の1次元の拡散モデルを用いて、数値積分シミュレーションにより原水負荷条件に対する処理水質を予測し適切な制御条件を探索的に求めて、以下の制御表にまとめた。担体の表面積を一定とした。
本例では相関関係として前記表1の制御表を使用するものとした。
[実施例の結果]
酸素拡散性レベルが5段階のうちの3段階目の処理能力が「標準」の制御表で運転を開始し、毎週実施する処理水質の分析結果に基づき処理水TOC濃度5mgC/L以上、10mgC/L以下を適正水質の判断基準として制御表の切替えを行った。この運転による処理水TOC濃度及び評価期間中の原水TOC負荷あたりの平均使用電力量を表3に示す。検討は、原水TOC濃度150mgC/Lで、水量変動により担体充填容積あたりのTOC負荷が1日の間に0.5kgC/(担体m・d)~1.0kgC/(担体m・d)の範囲で周期的に変動する条件で検討を行った。180日間の連続稼働後、微生物膜の保持量の増加に伴い、「標準」の制御表で曝気制御を継続した場合に処理水質が11mgC/Lとなり目標範囲である10mgC/L以下を逸脱する状況となり、処理能力が「若干悪化」の制御表での制御に切り替え、360日後も処理水質を目標範囲に維持すること可能であった。この間の原水負荷あたりの平均使用電力量は4.5kWh/kgCとなった。
[比較例1]
実施例1と同一の負荷条件で処理を行った。ただし曝気風量は最大負荷1.0kgC/(担体m・d)を想定した一定風量で固定し、制御表を利用した風量強度調整を行わなかった。結果を表3に示す。このときの処理水TOC濃度は3.0~3.5mgC/Lの範囲であり、適正処理水質の下限5mgC/Lを下回る水質で常時維持される結果となり、制御目標の観点からは過剰な処理を行った状況ということができる。高い風量を維持した結果この間の原水負荷あたりの平均使用電力量は6.5kWh/kgCとなり実施例1と比較して顕著に高い値であった。
[比較例2]
「標準」の制御表のみを利用した曝気制御を行い負荷変動に応じた制御表の変更を行わなかったこと以外は実施例1と同一の条件での処理を行った。このときの処理水TOC濃度及び平均使用電力量を表3に示す。180日間の連続稼働後、微生物膜の保持量の増加に伴い、「標準」の制御表で曝気制御を継続した場合に処理水質TOC濃度が11mgC/Lとなり適正水質である10mgC/L以下を逸脱する状況となり、さらに「標準」の制御表での曝気制御を継続した結果、処理水TOC濃度は13mgC/Lまで悪化する結果となった。この間の原水負荷あたりの平均使用電力量は4.2kWh/kgCであった。この結果は微生物膜の増加に伴う酸素拡散性低下を処理水質の悪化で検出し「若干低下」の制御表に切り替えた実施例1と比較して、「標準」の制御表を常時利用した比較例2では180日目以降は実施例1よりも曝気風量を抑えた運転となっていたからである。結果、電力消費は比較的抑えられたものの処理水質が目標範囲よりも悪い運転を180日目以降継続してしまうこととなった。
Figure 0007006717000008
表3の通り、本発明によると、360日運転を行った場合でも、比較例2と比較して処理水の水質が良好であり、トータルの使用電力量も風量制御を行わない比較例1よりも顕著に抑制できており、比較例2よりもわずかな使用電力量の増加で処理水質を目標範囲に維持することができている。
2 曝気槽
3,3a,3b,3c 散気管
4 ブロア

Claims (5)

  1. 原水を曝気槽に供給し、曝気槽に充填された担体または自己造粒グラニュールにより原水中の除去対象物質を好気性生物膜処理して処理水を得る方法において、
    曝気槽の生物膜の酸素拡散性指標の高低レベルに応じた、原水負荷又は酸素消費速度に対応するDO目標値及び/又は曝気強度設定値の関係を相関関数として複数設定しておき、
    該相関関係と原水負荷又は酸素消費速度とに従って曝気を制御する方法であって、
    該酸素拡散性指標は、以下の(1)~(7)のいずれかであり、
    処理水水質に応じて、用いる相関関係を切り替えることを特徴とする好気性生物処理方法。
    (1) 自己造粒グラニュール又は生物膜内外の酸素濃度勾配に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した拡散係数
    (2) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積
    (3) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の、単位反応槽容積あたりの比表面積
    (4) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体容積あたりの表面積
    (5) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体当たりの汚泥保持量
    (6) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の平均厚み
    (7) 自己造粒グラニュール又は生物膜の酸素拡散係数と比表面積とを乗算した値
  2. 処理水水質が所定値よりも良好になったときに、1段階高いレベルの酸素拡散性指標に対応した相関関係に切り替えることを特徴とする請求項1の好気性生物処理方法。
  3. 処理水水質が規定値よりも不良になったときに、1段階低いレベルの酸素拡散性指標に対応した相関関係に切り替えることを特徴とする請求項1又は2の好気性生物処理方法。
  4. 現在用いている相関関係に対応した酸素拡散性指標のレベルを表示手段に表示することを特徴とする請求項1~のいずれかの好気性生物処理方法。
  5. 原水が供給される曝気槽と、該曝気槽に充填された生物膜保持担体またはグラニュールと、該曝気槽を曝気する曝気装置とを有する好気性生物処理装置において、
    曝気槽の生物膜の酸素拡散性指標の高低レベルに応じた、原水負荷又は酸素消費速度に対応するDO目標値及び/又は曝気強度設定値の関係を相関関数として複数記憶しておく手段と、
    該相関関係と原水負荷又は酸素消費速度とに従って曝気を制御する曝気制御手段とを備え、
    該酸素拡散性指標は、以下の(1)~(7)のいずれかであり、
    該曝気制御手段は、処理水水質に応じて、用いる相関関係を切り替えることを特徴とする好気性生物処理装置。
    (1) 自己造粒グラニュール又は生物膜内外の酸素濃度勾配に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した拡散係数
    (2) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積
    (3) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の、単位反応槽容積あたりの比表面積
    (4) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体容積あたりの表面積
    (5) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の担体当たりの汚泥保持量
    (6) 自己造粒グラニュール又は生物膜の表面積もしくは比表面積に対する酸素拡散速度の依存性を係数化した装置全体の自己造粒グラニュール又は生物膜の平均厚み
    (7) 自己造粒グラニュール又は生物膜の酸素拡散係数と比表面積とを乗算した値
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