JP7005896B2 - ガスフロースパッタリング装置及びスパッタリングターゲット原料の製造方法 - Google Patents

ガスフロースパッタリング装置及びスパッタリングターゲット原料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はガスフロースパッタリング装置及びスパッタリングターゲット用原料の製造方法に関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、記録を担う磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe、あるいはNiをベースとした材料が用いられている。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層にはCoを主成分とするCo-Cr系やCo-Cr-Pt系の強磁性合金が用いられてきた。また、近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層には、Coを主成分とするCo-Cr-Pt系の強磁性合金に酸化物や炭素等の非磁性粒子を分散させた複合材料が多く用いられている。
ハードディスクなどの磁気記録媒体の磁性薄膜は、生産性の高さから、上記の材料を成分とするスパッタリングターゲットをスパッタリングして作製されることが多い。非磁性材粒子分散型スパッタリングターゲットにおいては、含有する非磁性粒子がスパッタ中に異常放電を引き起こし、この異常放電が原因でパーティクルが発生する。近年、ハードディスクドライブの記録容量増大に伴い、ハードディスクメディアを製造する際にスパッタリングターゲットからのパーティクルを低減する必要性が高まっている。
スパッタリングターゲットは、粉末焼結法で製造されることが一般的である。パーティクルを低減するためには、スパッタリングターゲット中の非磁性粒子の微細化が非常に有効であることが知られている。そのためには、強力なボールミル等を使用して原料粉末同士を機械的に粉砕混合することが有効な手法の一つである。しかし、現行の機械的に粉砕混合する手法では、組織の微細化には物理的な限界があり、パーティクルの発生を完全に無くすことは困難であった。
そこで、国際公開第2013/136962号においては、これまでの機械的な粉砕混合ではなく、PVD又はCVD法を用いることによって酸化物を微細化することが提案されている。具体的には、PVD又はCVD法により基板上に磁性材を成膜し、成膜された磁性材から基板を除去し、これを粉砕して原料とする方法が記載されている。当該技術によれば、スパッタリングターゲット中の酸化物の平均粒子径を400nm以下に微細化可能であることが記載されている。当該文献の実施例においては、DCマグネトロンスパッタ装置を使ってターゲット原料を成膜したことが記載されている。
一方、スパッタ法としてはガスフロースパッタリング法も知られている(例:特開2006-130378号公報、特開2007-186771号公報、特開2008-1957号公報)。ガスフロースパッタリング法は比較的高い圧力下でスパッタリングを行い、スパッタ粒子をガスの強制流により成膜対象基板まで輸送して堆積させる方法である。このガスフロースパッタリング法は、高真空排気が不要であることから、従来の通常のスパッタ法のような大掛かりな排気装置を用いることなく、メカニカルなポンプ排気で成膜することが可能であり、安価な設備で実施できる。しかも、ガスフロースパッタリング法は、通常のスパッタ法の10~1000倍の高速成膜が可能である。従って、ガスフロースパッタリング法によれば、設備費の低減、成膜時間の短縮により、成膜コストを低減することが可能となる。
国際公開第2013/136962号 特開2006-130378号公報 特開2007-186771号公報 特開2008-1957号公報
国際公開第2013/136962号に記載の発明は、非磁性材粒子分散型スパッタリングターゲットの組織微細化に有効な技術であるが、スパッタリングターゲットの原料を製造するために基板上にPVD又はCVD法によって成膜する工程を実施する必要がある。この目的のため、DCマグネトロンスパッタ装置等の高性能な装置を使用して成膜すると、スパッタリングターゲットの製造コストが高くなるという問題があり、また、生産性も低いという問題がある。この点、ガスフロースパッタリング法は高速成膜可能であり、設備コストも安価であることから、ガスフロースパッタリング法を用いてスパッタリングターゲットの原料を製造することができれば有利であると考えられる。
しかしながら、ガスフロースパッタリング法を用いてスパッタリングターゲットの原料を製造する試みは検討されたことがない。特許文献2~4にはガスフロースパッタリング法で固体高分子型燃料電池用電極の触媒層や、色素増感型太陽電池用半導体電極層、光触媒膜、反射防止膜、エレクトロクロミック素子、透明導電膜を製造することが記載されているに留まる。このため、従来技術ではスパッタリングターゲットの原料を工業的に製造するという視点からの装置改良がなされていない。とりわけ、スパッタリングターゲットの原料として利用するためには、多量の原料を必要とするため、長時間安定して連続スパッタリングする必要があり、そのための装置構成や製造方法という視点では未だ改善の余地が残されている。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、本発明はスパッタリングターゲット原料を長時間安定して高スパッタレートで製造するのに適したガスフロースパッタリング装置を提供することを課題の一つとする。また、本発明はガスフロースパッタ用ターゲットを提供することを別の課題の一つとする。また、本発明は当該ガスフロースパッタリング装置を用いてスパッタリングターゲット用原料を製造する方法を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、スパッタリングターゲットの原料を製造するという目的においては、ガスフロースパッタリング装置によって成膜されるスパッタ膜の膜厚均一性及び表面性状はほとんど問題とならない。このため、本目的においてはスパッタ膜の品質を向上させるよりも高スパッタレート時の異常放電を抑制することが重要である。このような視点に基づき、本発明者は平板対向型のターゲットを使用した以下のような構成を有するガスフロースパッタリング装置が有効であることを見出した。
本発明は一側面において、
内部を真空にすることが可能なスパッタリングチャンバーと、前記チャンバー内に間隔を置いて互いのスパッタ面が対向するように配置された一対の平板ターゲットと、各平板ターゲットを冷却するための一対の冷却装置と、各平板ターゲットを冷却装置に固定するための導電性固定部材と、前記一対の平板ターゲットの間にスパッタガスを供給するための一つ又は二つ以上のガス吐出口と、一対の平板ターゲット間の空間部を挟んでガス吐出口とは反対側に、ガス吐出口に向き合うように配置されたスパッタ粒子を堆積させる部材とを備えたガスフロースパッタリング装置であって、
前記一対の平板ターゲットはそれぞれの側面から延出した取付部位を有しており、前記取付部位が前記固定部材と前記冷却装置によって挟まれた位置関係で前記一対の平板ターゲットがそれぞれ冷却装置に固定されており、
前記固定部材は前記一対の平板ターゲットとは接触しない絶縁性シールド部材によって被覆されている、
ガスフロースパッタリング装置である。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態においては、前記一対の平板ターゲットは導電性である。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の別の一実施形態においては、前記一対の平板ターゲットはスパッタ面とは反対の面が前記冷却装置に直接又は間接的に接触した状態で前記固定部材により固定されている。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、各平板ターゲットと前記絶縁性シールド部材の最接近距離が0.1~5mmに調整されている。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、絶縁性シールド部材が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、及び窒化ホウ素よりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成される。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、前記絶縁性シールド部材は、各平板ターゲットの側面に沿って間隔を置いて該側面を囲繞するように立設された周壁を有する。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、各平板ターゲットの側面と絶縁性シールド部材の周壁との間隔は0.1~2mmである。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、前記絶縁性シールド部材は、各平板ターゲットのスパッタ面の縁部を被覆するように配置される。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の更に別の一実施形態においては、前記一対の平板ターゲットが非磁性材料及び磁性材料の複合体で構成されている。
本発明は別の一側面において、本発明に係るガスフロースパッタリング装置を用いてスパッタする工程を含むスパッタリングターゲット原料の製造方法である。
本発明に係るスパッタリングターゲット原料の製造方法の一実施形態においては、電力密度を10W/cm2以上としてスパッタする。
本発明に係るスパッタリングターゲット原料の製造方法の別の一実施形態においては、スパッタガスの流量を一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の合計投影面積1cm2当たりの流量で表して1sccm/cm2以上としてスパッタする。
本発明に係るスパッタリングターゲット原料の製造方法の更に別の一実施形態においては、スパッタガスの圧力を10Pa以上としてスパッタする。
本発明に係るスパッタリングターゲット原料の製造方法の更に別の一実施形態においては、スパッタ粒子を堆積させる部材が使用済みのスパッタリングターゲットであり、当該ターゲットの浸食部分にスパッタ粒子を堆積させることを含む。
本発明に係るスパッタリングターゲット原料の製造方法の更に別の一実施形態においては、前記絶縁性シールド部材に堆積するスパッタ粒子の合計質量を、前記スパッタ粒子を堆積させる部材に堆積するスパッタ粒子の質量よりも大きくすることを含む。
本発明により、スパッタリングターゲット原料をガスフロースパッタリング装置を用いて製造する際に異常放電が生じにくくなるため、長時間連続して安定してスパッタすることが可能となる。これにより、スパッタリングターゲットの原料、とりわけ組織が微細化された非磁性材粒子分散型スパッタリングターゲットの原料を従来技術に比べて高い生産効率且つ低コストで生産することが可能となる。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置内部の基本構造の一例を示す模式図である。 本発明に係るガスフロースパッタリング装置の概略的な機器構成の一例を示す模式図である。 本発明に係るガスフロースパッタリング装置の概略的な機器構成の別の一例を示す模式図である。 本発明に係るガスフロースパッタリング装置の概略的な機器構成の更に別の一例を示す模式図である。 本発明に係るガスフロースパッタ用ターゲット及び固定部材周辺の断面構造の第一の例を示す模式図である(バッキングプレート不使用)。 本発明に係るガスフロースパッタ用ターゲット及び固定部材周辺の断面構造の第二の例を示す模式図である(バッキングプレート不使用)。 本発明に係るガスフロースパッタ用ターゲット及び固定部材周辺の断面構造の第三の例を示す模式図である(バッキングプレート不使用)。 本発明に係るガスフロースパッタ用ターゲット及び固定部材周辺の断面構造の第四の例を示す模式図である(バッキングプレート不使用)。 本発明に係るガスフロースパッタ用ターゲット及び固定部材周辺の断面構造の第五の例を示す模式図である(バッキングプレート使用)。 本発明に係る平板ターゲットがガスフロースパッタリング装置内に固定されているときの、平面視における平板ターゲット及び絶縁性シールド部材の配置の一例を示す。 複数のガス吐出口を有するスパッタガス吐出ユニットの構造例を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るガスフロースパッタリング装置の各種実施形態について詳述する。図1は本発明に係るガスフロースパッタリング装置内部の基本構造の一例を示しており、図2-1~2-3には本発明に係るガスフロースパッタリング装置の概略的な機器構成例を示している。内部を真空(=大気圧未満)にすることが可能なスパッタリングチャンバー11内には所定の間隔を置いて一対の平板ターゲット10a、10bのスパッタ面同士が対向するように配置される。一対の平板ターゲット10a、10bは、スパッタ開始前の状態において、互いのスパッタ面同士が平行に配置されることが、予期せぬ挙動を示すことなくターゲット表面で均一にプラズマ密度を高めることができ、エロージョン速度の向上に有効であるという観点から好ましい。但し、互いのスパッタ面同士を平行ではなく傾けてスパッタすることも可能である。各ターゲット10a、10bにマイナス電圧を印加してAr等のスパッタガス17のプラズマを一対の平板ターゲット10a、10b間の空間部12に発生させ、このプラズマを各ターゲットに衝突させることによりスパッタ粒子13を発生させる。
図2-1~図2-3にはスパッタ時の各機器の例示的な電位を区分けして示している。スパッタ時に一対の平板ターゲット10a、10bがカソード電位となることが必要であるが、他の部分の電位についてはスパッタリング装置を安全に稼働させることができる限り特に制約はないが、安定稼働の観点から好適な態様があるため、それについては後述する。スパッタリングチャンバー11の外壁は安全面からアノード電位とすることが一般的である。一般には、アノード電位部とカソード電位部の間を空間以外で絶縁する必要がある場合には絶縁部材が有効である。
ガスフロースパッタリング装置の電源は直流電源及び交流電源の何れを用いてもよいが、電源装置費用が安価であり、また、単位時間当たりのスパッタレートが早いという理由で直流電源15が好ましい。発生したスパッタ粒子13は、スパッタガス吐出口14から流入し、一対の平板ターゲット10a、10b間の空間部12を矢印の方向に流れるスパッタガス17の強制ガス流に乗って、一対の平板ターゲット10a、10b間の空間部12(図2-1~図2-3中、一点鎖線で囲まれた空間)の外側でスパッタガス吐出口14に向き合うように設置されたスパッタ粒子13を堆積させる部材16(典型的には成膜対象基板)の表面に堆積する。本明細書において、一対の平板ターゲット間の空間部とは、一方の平板ターゲットのスパッタ面の輪郭を当該スパッタ面の法線方向であって他方の平板ターゲットに近づく側に延ばすことで形成される図形に囲まれた空間と、他方の平板ターゲットのスパッタ面の輪郭を当該スパッタ面の法線方向であって一方の平板ターゲットに近づく側に延ばすことで形成される図形に囲まれた空間のうち、両者が重なり合う部分を指す。また、本明細書において、スパッタ粒子を堆積させる部材がスパッタガス吐出口に向き合うとは、少なくとも一つのスパッタガス吐出口からガス吐出方向に延ばした直線と当該部材におけるスパッタ粒子が堆積する表面とが交点を有することを意味する。スパッタ粒子13を堆積させる部材16はホルダ18によって支持することができる。ホルダ18は一対の平板ターゲット10a、10bに挟まれた空間部12を介してスパッタガス吐出口14の反対側に設置されている。スパッタガス17はその後、排気口20から排出される。排気口20は例えばホルダ18の背後(換言すれば裏側)に設置することができる。排気口20がホルダ18の背後に設置されることで、スパッタガス17に随伴されるスパッタ粒子13を効率よく部材16に衝突させることができる。
ガスフロースパッタ法では、通常のスパッタ法より電力密度やガス流速を大きくすることができるため、高速成膜が可能となる。しかしながら、高速成膜を行うために電力密度を大きくすると異常放電が生じやすくなる。とりわけ、ターゲットが酸化物等の絶縁材料を含有する材料で構成されているときにはその傾向が顕著である。スパッタ中に異常放電が発生すると異常放電発生付近の部品が損傷を受けてメンテナンス頻度が増大したり、スパッタ操作を停止する必要が生じたりするため、異常放電を抑制することは装置を長時間安定して稼働するためには重要な課題である。異常放電を抑制するには一対の平板ターゲット10a、10bの間の間隔(S1)を短くすることが有効である。具体的には、スパッタ開始前における一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔は100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、45mm以下であることが更により好ましく、40mm以下であることが更により好ましい。一方で、一対の平板ターゲット10a、10bの間の間隔(S1)を短くし過ぎるとスパッタ粒子13を運ぶガス量が少なくなると共にスパッタ粒子13がターゲット表面に再付着するため、スパッタ粒子13を堆積させる部材16に効率的に堆積させることが難しくなる。一対の平板ターゲット10a、10bの間の間隔(S1)を短くする場合は、その間を通過するスパッタガスの流速を上げて、スパッタ粒子13を対向ターゲット表面に付着させないようにする方法も考えられるが、その場合は大量のスパッタガスと排気能力の大きい真空ポンプが必要になる。この観点から、スパッタ開始前における一対の平板ターゲット10a、10bの間の間隔は10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。
ターゲットの厚みはスパッタ時間が長くなるにつれて浸食により薄くなる。このため一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔は何の手当もしなければスパッタ時間と連動して大きくなっていき、ターゲットに印加される電圧が徐々に大きくなり、異常放電を発生させるリスクが増大する。しかしながら、一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔をターゲットの厚みに関わらず一定の範囲、例えば上述した一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔の好適な範囲に保持することができれば、異常放電の発生リスクを増大させずに済む。そこで、本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態においては、一対の平板ターゲット10a、10bがスパッタにより浸食されたときに前記一対の平板ターゲットの間隔を一定の範囲に保持できるように、また、スパッタ開始時に所望の間隔に設定できるように、間隔調整機構19を備えている。図2においては、一対の平板ターゲット10a、10bはそれぞれ冷却装置50に固定されて一体構造部品を形成しており、各一体構造部品は対応する間隔調整機構19により移動可能となっている。
間隔調整機構19としては、特に制限はなく、公知の任意の機構を採用すればよいが、例えばシリンダー直動機構、ボールねじ直動機構等の直動機構が挙げられる。駆動方式としては特に制限はないが、モータ駆動、油圧駆動、エア駆動等が挙げられる。精密な位置調整を可能にするという観点からは、モータ駆動による直動機構が好ましい。一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔は所望の設定値に自動で変化するようにしてもよいし、手動で変化するようにしてもよい。また、スパッタ中に一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔の変化をモニタリングし、スパッタ中に当初設定した間隔が保持されるようにフィードバック制御してもよい。フィードバック制御は手動でも自動でもよい。一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔の変化の計測の方法としては、例えば、ロードセルを平板ターゲット10a、10bの各重量を測定できるように設置しておき、ターゲットの重量減少量とターゲットの密度及びスパッタ面の投影面積からターゲット厚みの平均減少量(すなわちターゲット間の間隔の平均増加量)を算出する方法が挙げられる。ターゲット厚みの平均減少量の算出は自動で行われるように装置に計算機をインストールしてもよいし、算出結果は装置に付属するディスプレイに表示されるようにしてもよい。また、スパッタ対象となる平板ターゲット10a、10bについて、放電時間及び積算電力と、ターゲット厚みの平均減少量との関係を予め求めておき、これに基づき、少なくとも放電時間及び積算電力からターゲット厚みの平均減少量を算出する方法も考えられる。
そして、各ターゲット10a、10bの厚みの平均減少量の総和に対応する分だけ両者の平均間隔が小さくなるように間隔調整機構19を手動又は自動で操作することにより、スパッタの開始から終了まで一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔を一定の範囲内に保持することが可能となる。一対の平板ターゲット10a、10b間の間隔は1cm程度変化しても100V以上電圧が変化し得ることから、安定なスパッタを継続して行うという観点からは、スパッタ開始からスパッタ終了までの一対の平板ターゲット10a、10b間の平均間隔の変化は5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが更により好ましく、2mm以下であることが更により好ましく、1mm以下であることが更により好ましい。
間隔調整機構19は図2-2に示すように、スパッタリングチャンバー11内に設置することもできるが、スパッタリングチャンバー11内に設置する場合、間隔調整機構19を耐真空にする必要があり、また、スパッタリングチャンバー11内ではプラズマに曝されたり、粒子が堆積して動作不具合を起こしたりする可能性があるため、その防止策が必要となる。更には間隔調整機構19に潤滑油等のオイルを使用している場合には真空雰囲気では蒸発してしまう可能性があり、その対処も必要になる。そこで、図2-3に示すように間隔調整機構19の少なくとも一部をスパッタリングチャンバー11の外部に設置することが好ましく(図2-3では、ボールねじ直動機構の場合のねじ軸のような直動部品はチャンバー11内に設置されるが、モータ等の動力源はチャンバー11外に設置されている。)、図2-1に示すように間隔調整機構19全体をスパッタリングチャンバー11の外部に設置することがより好ましい。間隔調整機構19をスパッタリングチャンバー11の外部に設置する場合、スパッタリングチャンバー11の内部の一部は、間隔調整機構19の動作に追随して伸縮可能なように配置された大気遮断性能を有する伸縮部材52により外部との境界が画定されていることが好ましい。伸縮部材52が間隔調整機構19の動作に追随して伸縮することにより、スパッタ時に間隔調整機構19の可動部分が動いてもスパッタリングチャンバー11内を大気から遮断して真空(=大気圧未満)に維持することができる。伸縮部材52としては上記機能を奏するものであれば特に制限はないが、例えばベローズが挙げられる。伸縮部材の材質としては、内外に大気圧分の力が加わった状態で、繰り返し伸縮することにおける耐久性の観点から、ステンレス、チタン、高ニッケル合金(ハステロイ)、アルミニウム等を使用することが好ましい。
スパッタ粒子13を堆積させる部材16に効率的にスパッタ粒子13を堆積させるためには、スパッタガス17の強制ガス流の方向がスパッタ粒子13を堆積させる部材16の表面に対して垂直であることが好ましい。
スパッタ粒子13を堆積させる部材16(典型的には成膜対象基板)は部材16に付着したスパッタ粒子の成長を防止するために冷却することが望ましい。冷却する場合、スパッタ粒子13を堆積させる部材16の材料としては、特に制限はなく、プラスチック、ガラス、金属、及びセラミックス等を用いることができる。冷却しない場合、スパッタ粒子13を堆積させる部材16の材料としてはガラス、金属及びセラミックス等の耐熱性材料が好ましい。ガスフロースパッタでは部材16側に向かってガスを流す影響もあり、プラズマが部材16近くに達する場合があるからである。これらの中でも、部材16は、付着したスパッタ粒子を回収し易くするため、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、アルミニウム、鉄、銅、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、コバルト、クロム、ニッケル、及びグラファイトよりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成されていることが好ましく、特に、スパッタ粒子と反応することなく、濡れ性が悪いものがより好ましい。また、最終用途によりコンタミを考慮して素材を選択することが好ましい。更には、部材16として、スパッタ粒子13と同様の材料に直接堆積する方法も可能である。この場合、使用済みのスパッタリングターゲットの浸食部分にスパッタ粒子を堆積させて元の形状に戻してスパッタリングターゲットを再生する方法も考えられる。このようにして再生されたスパッタリングターゲットは必要に応じて加圧及び/又は加熱してもよい。
スパッタ粒子13を堆積させる部材16の形状に特に制限はないが、一般的には板状やフィルム状とすることができる。スパッタ粒子13を堆積させる部材16はガスフロースパッタリング装置内でクランプ、ネジ留め、接着剤、接着テープ等の方法によりホルダ18に支持されることが可能である。また、より多くスパッタ粒子を回収するために部材16を箱型の容器形状にすることも可能である。
スパッタガス17としては、He、Ar、Ne、Kr、Xe等の希ガス、N2、O2のような不活性ガスを単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、コスト面を考慮するとArが好ましく、スパッタ粒子を効率的に移動させる観点からはKrやXeが望ましい。また、不活性ガスに加えて、必要に応じてN2及び/又はO2を使用することもできる。N2及び/又はO2を使用することにより、金属をターゲットとして窒化物や酸化物のリアクティブスパッタが出来るので、従来製法では得られない非平衡状態の素材や複合物を高純度の粉末状原料として得ることが出来るという利点が得られる。
ガスフロースパッタリング装置においては、スパッタガスの流量をDCマグネトロンスパッタ装置よりも大幅に大きくすることができる。スパッタガスの流量を大きくすることで、高速でスパッタ粒子を堆積させる部材に堆積させることが可能となる。本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態においては、スパッタガスの流量を1sccm/cm2以上とすることができる。スパッタガスの流量は2sccm/cm2以上とすることが好ましく、5sccm/cm2以上とすることがより好ましい。一方で、スパッタガスの流量は、大きすぎると排気ポンプの能力の制限によりチャンバー内の圧力が上昇してしまうので、200sccm/cm2以下とすることが好ましく、100sccm/cm2以下とすることがより好ましく、50sccm/cm2以下とすることが更により好ましい。sccmは0℃、1atmにおけるccm(cm3/min)を指す。ここで、上記流量は、スパッタガスの流量を一対の平板ターゲット10a、10bの対向するスパッタ面の合計投影面積で割ったときの値である。例えば、スパッタガスの流量が5000sccmであり、対向する両ターゲットがそれぞれ縦10cm×横10cm=100cm2の投影面積をもつスパッタ面を有している場合は、流量は5000sccm/(100×2)cm2=25sccm/cm2である。
また、ガスフロースパッタリング装置においては、スパッタガスの圧力をDCマグネトロンスパッタ装置よりも大幅に大きくすることができる。ガス圧を大きくすることで放電電圧を下げることができるという利点が得られる。本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態においては、スパッタガスの絶対圧を10Pa以上とすることができる。スパッタガスの絶対圧は20Pa以上とすることが好ましく、30Pa以上とすることがより好ましく、40Pa以上とすることがより好ましい。一方で、スパッタガスの絶対圧は、高くし過ぎると異常放電が増加しやすいので、200Pa以下とすることが好ましく、150Pa以下とすることがより好ましく、100Pa以下とすることが更により好ましい。ここで、スパッタガスの絶対圧というのは対向する一対のターゲットの間の空間における圧力を指すが、スパッタリングチャンバー11内における圧力一般には均一性が高いため、スパッタリングチャンバー11内の空間であれば、スパッタガス吐出口14付近や排気口20付近等の他の箇所で測定しても実質的に同じ値が得られる。
ガスフロースパッタリング装置によるスパッタ膜の生産性を向上させる観点から、電力密度が高いほうが好ましい。しかしながら、電力密度を高くすると異常放電が起きやすくなるという問題が生じる。本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態においては、一対の平板ターゲットの間隔が一定の範囲に保持されるようにする間隔調整機構を備えることで異常放電の発生が抑制されることから、電力密度を高くしても長時間安定して装置をガスフロースパッタリング稼働することが可能となる。例示的には、本発明に係るガスフロースパッタリング装置は電力密度を10W/cm2以上として運転可能であり、好ましくは電力密度を20W/cm2以上として運転可能であり、より好ましくは電力密度を30W/cm2以上として運転可能である。電力密度の上限値は特に設定されないが、過度に高い電力密度を設定すると放電電圧が上昇するため、放電電圧が1000V以下になるように電力密度を調整することが一般的であり、可能な限り放電電圧を900V以下として運転することが異常放電の発生を抑制する上で好ましい。ここで、電力密度とは総電力÷対向するターゲットのスパッタ面の合計面積(ここでは一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の投影面積の合計)のことを指す。ターゲットのスパッタ面の投影面積の合計は、例えばスパッタ面が縦10cm×横15cmの平板ターゲット一対では150cm2×2=300cm2となる。
ターゲットの材料としては、特に制限はないが、金属(合金を含む)等の導電性材料を好適に使用することができる。また、絶縁性材料を使用することもでき、導電性材料と絶縁性材料を併用することもできる。また、ターゲットの材料としては、Co、Fe、Ni及びGdよりなる群から選択される一種以上の金属元素を含有する強磁性材料を使用することができる。非磁性金属(アルミニウム、銅、ルテニウム、亜鉛、チタン、マンガン、スカンジウム、ジルコニウム、ハフニウム、クロム合金など)、酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物及び炭素等の非磁性材料を使用することもでき、強磁性材料と非磁性材料を併用することもできる。本発明に係るガスフロースパッタリング装置により異常放電の抑制効果を顕著に享受できるスパッタリングターゲットとして、導電性材料及び絶縁性材料の複合体で構成されるスパッタリングターゲット、並びに、非磁性材料及び磁性材料の複合体で構成されるスパッタリングターゲットが挙げられる。このような複合体は絶縁性材料又は非磁性材料を含有するためにスパッタリング時に異常放電が特に生じやすいことから、本発明に係るガスフロースパッタリング装置を使用するメリットが大きい。強磁性材料と非磁性材料の複合体を構成する材料の組み合わせの例としては、非磁性材料含有Cr-Co合金系磁性材料、非磁性材料含有Cr-Pt-Co合金系磁性材料、非磁性材料含有Pt-Co合金系磁性材料、非磁性材料含有Pt-Fe合金系磁性材料、非磁性材料含有Fe-Ni合金系磁性材料、非磁性材料含有Fe-Co合金系磁性材料、非磁性材料含有Fe-Ni-Co合金系磁性材料などが挙げられる。非磁性材料及び磁性材料の複合体で構成されるスパッタリングターゲットは、典型的な実施形態において、強磁性材料に非磁性材料粒子が分散した非磁性材粒子分散型スパッタリングターゲットとして提供される。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置は高品質なスパッタ膜を形成することではなく、スパッタリングターゲット原料を製造することを目的とすることができる。この場合、本発明に係るガスフロースパッタリング装置において使用されるスパッタリングターゲットは、低コストで生産可能であることが好ましい。例えば、均質なスパッタ膜を形成するためには相対密度の高いスパッタリングターゲットが使用されることが多いが、本発明に係るガスフロースパッタリング装置に使用するスパッタリングターゲットにはそのような高い相対密度は要求されない。従って、一実施形態において、本発明に係るガスフロースパッタ用スパッタリングターゲットは相対密度を90%以下とすることができ、80%以下とすることもでき、70%以下とすることもできる。但し、相対密度が低すぎるとスパッタリングターゲットとして使用するのに足りる強度を確保することが困難となる。また、ターゲット自体の抵抗値が上昇し、場合によっては導電性が得られなくなる。そこで、本発明に係るガスフロースパッタ用スパッタリングターゲットの相対密度は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更により好ましい。このような低い相対密度のターゲットは原料粉を低温焼結するか又は冷間成形のみで固めるだけでも製造可能であるため、低コストで製造可能である。また、難焼結材料、低融点材料、融点差が大きい材料、高純度化が必要な材料など、これまでターゲット形状することが難しかった材料にも適用できる。なお、相対密度は実測密度を理論密度で除した値を百分率で示した値である。実測密度は重量と寸法形状から求めた体積により算出する。理論密度はスパッタリングターゲットを構成する材料組成に応じて理論的に求められる。
ガスフロースパッタリング装置によるスパッタ膜の生産性を向上させる観点から、一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の合計投影面積が300cm2以上であることが好ましく、500cm2以上であることがより好ましく、1000cm2以上であることがより好ましい。当該合計投影面積について特段の上限はないが、実用性を考えれば、10000cm2以下であることが一般的であり、8000cm2以下であることが典型的であり、6000cm2以下であることがより典型的である。一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の合計投影面積は、例えば、各平板ターゲットのスパッタ面が10cm×20cmの長方形状である場合は、10cm×20cm×2=400cm2と計算される。
平板ターゲットの対向するスパッタ面の形状については特に制限はなく、正方形、長方形、多角形、楕円形、円形などが挙げられる。これらの中では効率的にスパッタ粒子を回収するために、長方形が好ましい。また、平板ターゲットの対向面はスパッタガスの流れる方向に対して平行な方向の長さ(図1のX)よりも、スパッタガスの流れる方向に対して垂直な方向の長さ(図1のY)が長いほうがスパッタ効率を高めることができるので好ましい。具体的には、Y/X≧1であることが好ましく、Y/X≧1.2であることがより好ましく、Y/X≧1.5であることが更により好ましい。ただし、Y/Xが大きく過ぎるとターゲットの取り扱いが難しくなることから、Y/X≦20であることが好ましく、Y/X≦15であることがより好ましく、Y/X≦10であることが更により好ましい。
一対の平板ターゲットのそれぞれの厚みは特に制限はなく、成膜使用時間等に応じて適宜設定すればよいが、連続スパッタ可能時間を増やす観点からは厚いほうが好ましい。このため、各平板ターゲットの厚みは3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることが更により好ましい。但し、厚みを大きくするにも技術的な限度があるため、30mm以下であるのが一般的であり、20mm以下であるのが典型的であり、15mm以下であることがより典型的である。長時間連続スパッタを実施するため、複数の平板ターゲットを積層して使用してもよい。このような構成を採用することにより、一枚消費する毎にスパッタリングターゲットを交換する必要がなくなる。
平板ターゲット10a、10bは、必要に応じてバッキングプレート47に固定した上で、ガスフロースパッタリング装置内の冷却装置50に取り付けることができる。本発明においては、バッキングプレート47を使用する場合、平板ターゲットとバッキングプレートの組立品を「平板ターゲット」と呼び、この組立品としての「平板ターゲット」をガスフロースパッタリング装置内の冷却装置50へ固定することとする。バッキングプレートの材料としては、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、モリブデン、モリブデン合金、コバルト、コバルト合金が挙げられる。
バッキングプレートを使用しない場合、後述する固定部材45を用いて平板ターゲット10a、10bを冷却装置50に固定することができる。また、バッキングプレートを使用しない場合は、平板ターゲット10a、10bの底部をバッキングプレート形状に成形することも可能である。換言すれば、平板ターゲット10a、10bとバッキングプレートを同一材料で一体化することも可能である。
平板ターゲット10a、10bをバッキングプレート47に固定する方法は特に制限はないが、例えば接着剤でボンディングする方法及びバッキングプレート47と拡散接合する方法が挙げられる。接着剤でボンディングする方法では、上述のように電力密度を高く設定することにより接着部分まで高温にさらされるため、耐熱性を有する導電接着剤を使用することが好ましい。耐熱性を有する導電接着剤は具体的には200℃以上の融点を有していることが好ましい。
スパッタガス17はスパッタガス吐出口14からスパッタリングチャンバー11内に流入し、一対の平板ターゲット10a、10b間の空間部12を矢印の方向に流れる。スパッタガス吐出口14は、一つでも二つ以上でもよい。しかしながら、一対の平板ターゲット10a、10bのスパッタガス17が流入する側の側面の長さ(換言すれば、空間部12の入口となるスリットの長手方向の長さ)(図1のY)にわたって、流入するスパッタガス17の流量の偏りを減らすために、又は、スパッタガス17の流量調整を可能とするために、スパッタガス吐出口14は当該スリットの長手方向に沿って二つ以上設置することが好ましい。スパッタガス吐出口14を二つ以上設置する場合、配管構造を簡素化するために、一本又は二本以上のガス供給管から供給されるスパッタガスを分岐して、ガス供給管よりも多い数の吐出口から流出させることを可能とするスパッタガス吐出ユニット22を使用することができる。スパッタガス吐出ユニット22は一つ又は二つ以上設置することができる。
このようなガス吐出ユニット22の構造例を図9に示す。ガス吐出ユニット22は、ガス供給管(図示せず)からスパッタガス17を導入するための入口24を有するガス導入管28と、ガス導入管28に接続されており、多数のスパッタガス吐出口14が側面に一列に配列された管状部材26とを備える。ガス吐出ユニット22の入口24から流入したスパッタガス17は、ガス導入管28及び管状部材26の内部を順に通過した後、多数のスパッタガス吐出口14から流出する。スパッタガス吐出口14は、空間部12の入口となるスリットの長手方向に沿って配列することが好ましい。
各スパッタガス吐出口14から流出するスパッタガス17は吐出口毎にマスフローコントローラ、流量制御弁(バタフライバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ)等の流量調整機構により流量制御してもよいし、ガス吐出ユニット22に接続されるガス供給管の数に応じてこのような流量調整機構を設置して複数の吐出口14から流出するスパッタガス17をまとめて流量制御してもよい。
スパッタガス吐出口14と一対の平板ターゲット10a、10bとの相対的な位置関係は固定されていてもよいが、必要に応じて相対的に調整可能とするための位置調整機構を備えてもよい。位置調整機構としては、例えば、ガス導入管28をフェルール、Oリング、パッキン、ガスケット等のシール材29を用いてスパッタリングチャンバー11の壁に固定し、シール材29を緩めることでガス導入管28の壁からの位置を調整する機構が挙げられる(図2-1~図2-3参照)。この場合、シール材29はスパッタリングチャンバー11の外側に設ける方が作業性の観点で好ましい。
図3には、バッキングプレート47を使用しない場合の、本発明に係るガスフロースパッタ用平板ターゲット10a、10b及び固定部材45周辺の断面構造例を示す模式図が示されている。当該ターゲットは側面101から延出した取付部位102を有しており、取付部位102が導電性固定部材45と冷却装置50とによってダイアフラム(間接冷却板)46を介して挟まれた位置関係で当該ターゲットは冷却装置50に固定されている。ダイアフラム46を介在させずに、取付部位102が導電性固定部材45と冷却装置50とによって直接挟まれた位置関係で当該ターゲットを冷却装置50に固定する構成とすることもできる。ダイアフラム46は存在しないほうが冷却効率は高いが、この場合、スパッタリングチャンバー11内を真空にしたときに冷却装置50から冷却水48が漏れ出すのを防止するために冷却水48を抜いておく必要があるため、メンテナンス性の観点からはダイアフラム46を設置することが好ましい。
導電性固定部材45を用いることとしたのは絶縁性材料は十分な強度が得られにくいからである。取付部位102は平板ターゲット本体部分と一体成形することで形成可能である。取付部位102を設置する領域は平板ターゲット10a、10bを冷却装置50に固定出来る限り特に制限されるものではないが、取付部位102は平板ターゲット10a、10bの側面101を囲繞するように連続的に設けることができ、又は、平板ターゲット10a、10bを冷却装置50に固定するのに必要な数だけ断続的に複数箇所設けてもよい。平板ターゲット10a、10bの加工性や取付部位の強度の観点からは、取付部位102は平板ターゲット10a、10bの側面101を囲繞するように連続的に設けることが好ましい。
安定放電を行う上では、取付部位102を挟み込む導電性固定部材45が平板ターゲット10a、10bの上面(スパッタ面)103よりも上側に突出しないようにすることが好ましい。このため、側面101から延出した取付部位102の上面は平板ターゲット10a、10bの上面103よりも低い位置にあることが好ましい。この場合、当該ターゲットを断面観察すると平板ターゲット10a、10bの上面103と取付部位102の上面に段差が生じることになる。一方、平板ターゲット10a、10bと冷却装置50の間の固定強度を確保するという観点から、側面101から延出した取付部位102の下面104は平板ターゲット10a、10bの下面106と同じ高さにあることが好ましい。つまり、平板ターゲット10a、10bの下面106と取付部位102の下面104は同一平面上にあることが好ましい。
該導電性固定部材45の材質としては、特に制限はないが、耐熱性があることが好ましい。耐熱性を有する導電性材料としては、金属が挙げられ、特にアルミニウムの融点(660.3℃)よりも融点が高い金属が好ましく、700℃以上の融点をもつ金属がより好ましく、800℃以上の融点をもつ金属が更により好ましく、1000℃以上の融点をもつ金属が更により好ましい。グラファイト等の炭素も使用可能である。例えば鉄、銅、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、コバルト、クロム、ニッケル、及びグラファイトよりなる群から選択される材料を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせた合金(ステンレスも含む)又は金属-グラファイト複合体を使用してもよい。これらの中では高強度、入手が容易、及び安価であるという理由により、ステンレスが好ましい。
導電性固定部材45の形状や寸法は、取付部位102が導電性固定部材45と冷却装置50によって挟まれた位置関係で平板ターゲット10a、10bが冷却装置50に固定可能である限り特に制限はないが、安定した放電を行うという理由により、導電性固定部材45の上面は、平板ターゲット10a、10bの上面よりも上側に突出しないことが好ましく、平板ターゲット10a、10bの上面よりも低い位置にあることがより好ましい。また、導電性固定部材45は一体成形品で構成してもよいし、二つ以上の部品を組み合わせて構成してもよい。例えば、図3に示す実施形態において取付部位102が平板ターゲット10a、10bの側面101を囲繞するように連続的に設けられている場合、導電性固定部材45は、取付部位102の下面104と同一平面上の下面、取付部位102の上面と同一平面上の上面、及び、取付部位102の側面に密接する内側面を有する枠状の第一固定部品45aと、第一固定部品45a上に載置される第二固定部品45bであって、取付部位102の上面と同一平面上の下面、平板ターゲット10a、10bの上面103よりも低い位置にある上面、及び、平板ターゲット10a、10bの側面101に密接する内側面を有する枠状の第二固定部品45bとにより構成することができる。この場合、第一固定部品45a及び第二固定部品45bは、第一固定部品45a及び第二固定部品45bの外側面が段差無く連続するように接触していることがスパッタリング装置やシールド形状をシンプルにできるという理由により好ましい。典型的な実施形態においては、第一固定部品45a及び第二固定部品45bはそれぞれ矩形状の枠体として提供することができる。
導電性固定部材45はスパッタされないほうが望ましい。導電性固定部材45がスパッタされると所望のスパッタ膜の組成が得られなくなり、また、導電性固定部材45のメンテナンス頻度が高くなるので不都合である。また、スパッタ粒子の全量が部材16に堆積することが理想的ではあるものの、生産効率を高めるべくスパッタレートを大きくしていくと平板ターゲット10a、10bの周辺にスパッタ粒子が多く飛散する。この結果、導電性固定部材45にもスパッタ粒子が堆積して更に周辺に広がりやすい。スパッタ粒子の堆積範囲が広がると、スパッタ粒子が導電性の場合、カソード電位であるべき箇所がアノード(アース)電位の箇所と短絡を起こすおそれがある。このため、導電性固定部材45は絶縁性シールド部材49によって被覆されていることが望ましい。見方を変えれば、絶縁性シールド部材49は、スパッタ粒子を堆積させる部材として機能することができると言える。
図3に示す実施形態では、絶縁性シールド部材49は導電性固定部材45の外側面を被覆する側板492及び導電性固定部材45の上面を被覆する上面板493を有する。また、導電性固定部材45がスパッタされるのを防止する効果を高めるために、絶縁性シールド部材49の上面板493の下面と導電性固定部材45の上面との距離L3は10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更により好ましい。絶縁性シールド部材49の上面板493の下面と導電性固定部材45の上面は接触していても異常放電の原因となることはないので、L3は0でもよい。
絶縁性シールド部材49は耐熱性材料で構成されることが望ましい。また、絶縁性シールド部材49の絶縁抵抗は設置する部材の厚みにおける絶縁破壊電圧が1kV以上であることが好ましく、より好ましくは2kV以上であり、更により好ましくは10kV以上である。絶縁性シールド部材49を構成する耐熱性材料の好適な例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、及び窒化ホウ素よりなる群から選択される一種又は二種以上が挙げられる。これらの材料であれば付着したスパッタ粒子を回収し易い。
異常放電を防止するために、絶縁性シールド部材49はターゲット10a、10bに接触しないことが望ましいが、そのために絶縁性シールド部材49とターゲット10a、10bの距離を大きくすると、導電性固定部材45の絶縁性シールド部材49に被覆されない部分が大きくなって導電性固定部材45がスパッタされるのを防止する効果が弱くなる。そこで、一対の平板ターゲット10a、10bをそれぞれ平面視したときに、各ターゲット10a、10bと絶縁性シールド部材49との最近接距離(L1)を0.1mm以上に調整することが好ましく、0.3mm以上に調整することがより好ましく、0.5mm以上に調整することが更により好ましい。また、最近接距離(L1)は5mm以下に調整することが好ましく、3mm以下に調整することがより好ましく、1mm以下に調整することが更により好ましい。
図3に示す実施態様では、各平板ターゲット10a、10bをそれぞれ平面視したときに、各ターゲット10a、10bと絶縁性シールド部材49の間には最近接の隙間(L1)が生じている。この場合、当該隙間からスパッタガスが侵入して導電性固定部材45がスパッタされる可能性がある。そこで、導電性固定部材45がスパッタされないようにする効果を高めるために、図4に示すように、各平板ターゲット10a、10bの上面(スパッタ面)103の縁部を被覆するように絶縁性シールド部材49を配置するという態様も可能である。この場合でも、各ターゲット10a、10bと絶縁性シールド部材49との最近接距離(L1)は上述した通りの範囲に調整することが好ましい。
必要に応じて、該絶縁性シールド部材49へのスパッタ粒子の堆積が抑制されるように更に別のシールド部材で該絶縁性シールド部材49を被覆してもよい。この場合のシールド部材は耐熱性を有することが望ましいが、導電性であるか絶縁性であるかは問わない。
なお、シールド部材49の材質を絶縁性から導電性に変えた場合は、放電電力を大きくする分、放電電圧も高いため、シールド部材49と導電性固定部材45の間でアーク放電をおこしてしまうリスクが高くなるので、長期間安定したスパッタを行うためには、シールド部材49を絶縁性にすることが必要である。
冷却装置50は、各平板ターゲット10a、10bに接触しているため、カソード電位となり得る。よって、冷却装置50がスパッタされるのを防ぐために、冷却装置50の外側面を被覆するように、冷却装置用の絶縁性シールド部材501を配置することが好ましい。絶縁性シールド部材501は冷却装置50の外側面の少なくとも一部を被覆すればスパッタ防止効果が得られるが、外側面の全部が被覆されることが好ましい。絶縁性シールド部材501は冷却装置50の外側面に直接させることができる。冷却装置用の絶縁性シールド部材501の好適な材質は絶縁性シールド部材49で述べた通りである。
図7には、バッキングプレート47を使用する場合の、本発明に係るガスフロースパッタ用平板ターゲット10a、10bの断面構造例を示す模式図が示されている。同一符号で示される各構成部品の役割やそれらの好ましい態様は図3で述べたとおりであり、重複説明を省略し、図3の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。当該ターゲットはバッキングプレート47の部分が側面101から延出して取付部位102を形成する。取付部位102が導電性固定部材45と冷却装置50とによって直接挟まれた位置関係で当該ターゲットは冷却装置50に固定されている。本実施形態においては、バッキングプレート47が存在するため、スパッタリングチャンバー11内を真空にしたときに冷却水が漏れ出すおそれはないため、ダイアフラム46を介在する必要はない。
本実施形態においても、導電性固定部材45の形状や寸法は、取付部位102が導電性固定部材45と冷却装置50によって挟まれた位置関係でターゲット10a、10bが冷却装置50に固定可能である限り特に制限はない。図7に示す実施形態においては、導電性固定部材45は一体成形品であり、取付部位102の上面と同一平面上の下面、平板ターゲット10a、10bの上面103よりも低い位置にある上面、及び、平板ターゲット10a、10bの側面101に密接する内側面を有する枠構造を有する。典型的な実施形態においては、導電性固定部材45は矩形状の枠体として提供することができる。
図3及び図7の実施形態においては、絶縁性シールド部材49は、平板ターゲット10a、10bの側面101に沿って間隔L1を置いて該側面101を囲繞するように立設された周壁491を有する。周壁491が存在することにより、平板ターゲット10a、10bの側面が隠れるため放電が安定しやすい。また、プラズマの導電性固定部材45がスパッタされ難くするという効果も期待できる。
周壁491は必須ではなく、図5に示すように、周壁491を設けない態様も可能である。また、図6に示すように、絶縁性シールド部材49の上面板493を厚くして絶縁性シールド部材の強度を高めることもできる。当該態様によってもターゲット側面を隠すこともできるので、周壁491と同様の効果が期待できる。
絶縁性シールド部材49の構成は図3~図7に示した実施態様に限られるものではなく、その他の実施態様も採用可能である。例えば、図2-2に示す実施態様においては、絶縁性シールド部材49には側板492が存在しない。図2-3に示す実施態様においては、締結具取付ベース502は絶縁性シールド部材49の上面板493及び側板492を被覆する。
図8には、矩形状の平板ターゲット10a、10bを使用したときの、平板ターゲット10a、10b、及び絶縁性シールド部材49の配置関係の一例を示す平面図が示してある。図8に示す実施形態においては、矩形状の平板ターゲット10a、10bが矩形枠状の絶縁性シールド部材49の周壁491に囲まれて配置されている。
平板ターゲット10a、10bの側面101と絶縁性シールド部材49の周壁491との間隔L1は安定した放電を維持するために0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることが更により好ましい。また、間隔L1は固定部材45がスパッタされることを防ぐという理由により2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更により好ましい。
平板ターゲット10a、10bを冷却装置50に固定する方法として、導電性固定部材45、及び設置する場合にはダイアフラム46に一つ又は二つ以上の貫通穴を設け、更に、冷却装置50にも取付穴を設け、当該貫通穴及び取付穴に順にボルトやねじ等の締結具51を挿入して固定する方法が挙げられる(図3~図6参照)。取付部位102に一つ又は二つ以上の貫通穴を設けて、締結具51を挿入することもできる(図7参照)。また、絶縁性シールド部材49を固定する方法として、絶縁性シールド部材49に貫通穴を設け、更に、冷却装置用の絶縁性シールド部材501にも取付穴を設け、当該貫通穴及び取付穴に順にボルトやねじ等の締結具503を挿入して固定する方法が挙げられる。この場合、締結具503が金属製の場合、締結具503がスパッタされるのを防ぐために締結具503を接地してアノード電位にすることが好ましい。
締結具503のための取付穴はセラミックス等の絶縁材料よりも金属のほうが耐久性の観点で好ましい。このため、冷却装置用の絶縁性シールド部材501の外側面に金属製の締結具取付ベース502を設置し、この締結具取付ベース502に取付穴を設けてもよい。締結具取付ベース502は絶縁性シールド部材501の外側面を取り囲むように絶縁性シールド部材501の外側面に直接させて配置することができる。締結具503が金属製の場合、締結具503がスパッタされるのを防ぐために締結具503を接地してアノード電位にすることが好ましい。更には締結具取付ベース502がスパッタされるのを防ぐために、締結具取付ベース502を接地してアノード電位にすることが好ましい。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置の一実施形態によれば、スパッタレートを0.005g/h/cm2以上、好ましくは0.01g/h/cm2以上、より好ましくは0.02g/h/cm2以上、例えば0.005~0.1g/h/cm2として5時間以上異常放電なく連続スパッタ可能となる。但し、スパッタレートの基準面積は対向するターゲットのスパッタ面の合計面積(ここでは一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の投影面積の合計)のことを指す。そして、本発明に係るガスフロースパッタリング装置を用いてスパッタすることにより得られたスパッタ膜は、スパッタ粒子を堆積させる部材から剥離して回収し、次にこれを粉砕してスパッタリングターゲット用原料とすることができる。この原料を焼結することによりスパッタリングターゲットが製造可能である。特に、本発明は組織微細化された非磁性材粒子分散型スパッタリングターゲットを効率的に生産する方法として有用である。
本発明に係るガスフロースパッタリング装置を用いたスパッタリングターゲット原料の製造方法の一実施形態によれば、絶縁性シールド部材49に堆積するスパッタ粒子の合計質量を、前記スパッタ粒子を堆積させる部材16に堆積するスパッタ粒子の質量よりも大きくすることができる。例えば、部材16に堆積するスパッタ粒子の質量に対する絶縁性シールド部材49に堆積するスパッタ粒子の合計質量の比を2以上とすることができ、3以上とすることができ、更には4以上とすることもできる。このため、絶縁性シールド部材49に堆積するスパッタ粒子を回収してスパッタリングターゲット用原料とすることも生産効率を高める上で重要である。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
<1.平板ターゲットの間隔調整による効果の検証>
(試験例1)
図1、図2-1に示す構成(但し、スパッタリングターゲットの取付構造は図3に示す構造を採用。)の平板ターゲット対向型ガスフロースパッタリング装置を用い、図3、図8に示す構成でスパッタリングターゲットを取り付けて下記の条件でスパッタ膜を成膜した。一対の平板ターゲットの間隔調整機構としては、ボールねじ直動機構を採用した。スパッタリングターゲットは焼結法により作製したインゴットを所定の形状まで機械加工することにより準備した。
また、スパッタガス吐出ユニットを、図9に示すように、多数のガス吐出口を空間部12の入口となるスリットの長さ全体にわたって一列に配置した。スパッタガス吐出ユニットが有する吐出口の数は20個とした。
また、第一固定部品の形状は矩形状枠体であり、第一固定部品の材質はステンレスとした。第二固定部品の形状は矩形状枠体であり、第二固定部品の材質はステンレスとした。
<ガスフロースパッタ条件>
・電源:DC電源
・電力密度: 44W/cm2
・スパッタガス圧力: 85Pa
・スパッタガス流量(各吐出口からの流量の総和):Ar:21.8sccm/cm2
・合計スパッタ時間: 250hr
・ターゲット形状:矩形平板状
・ターゲット寸法:85mm(X方向)×135mm(Y方向)×20mmt
・ターゲット合計投影面積:230cm2
・ターゲット材質:Cu
・ターゲット相対密度:99%
・スパッタ開始前における一対の平板ターゲット間の間隔S1:30mm
・平板ターゲットと成膜対象基板の距離D:80mm
・成膜対象基板の材質:ステンレス
・成膜対象基板の寸法:200mm×200mm×3mmt
・成膜対象基板温度: 40℃
・絶縁性シールド部材の材質:アルミナ(絶縁破壊電圧:50kV)
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.5mm
・絶縁性シールド部材の上面板の下面と導電性固定部材の上面との距離L3:0.1mm以下
・ターゲットの冷却:冷却水使用
・固定部品及び絶縁性シールド部材の冷却装置への固定方法:ボルト締結
・冷却装置用の絶縁性シールド部材:アルミナ(絶縁破壊電圧:50kV)
試験例1では間隔調整機構を使用せず、上記のスパッタ時間にわたってスパッタを継続した。その結果、スパッタの初期においては異常放電もなく1バッチ当たり5時間以上の連続スパッタが可能であったが、一対の平板ターゲット間の平均間隔S1が37mm(合計スパッタ時間約100時間)を超えた付近から異常放電が増加し、安定したスパッタを維持することが困難となった。なお、この試験の結果に基づき、放電時間及び積算電力と、ターゲット厚みの平均減少量との関係を求めた。この試験のスパッタレートは0.062g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は22%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は51%であった。なお、試験中一対の平板ターゲット間の平均間隔S1をノギスにより測定した。
(試験例2)
試験例1で求めた放電時間及び積算電力と、ターゲット厚みの平均減少量との関係に基づき、スパッタ中に、一対の平板ターゲットの平均間隔の変化幅が5mm以下となるように間隔調整機構による間隔調整を手動で行った他は、試験例1と同一条件でスパッタ膜を成膜した。その結果、試験中、異常放電が発生することなく、合計250時間のスパッタ時間を経過することができた。この試験のスパッタレートは0.069g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は26%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は46%であった。
(試験例3)
スパッタ中に、定期的(10時間毎)にチャンバーを開けて一対の平板ターゲットの重量を測定することで平均間隔の変化幅を計算し、その変化幅が5mm以下となるように間隔調整機構による間隔調整を手動で行った他は、試験例1と同一条件でスパッタ膜を成膜した。その結果、試験中、異常放電が発生することなく、合計250時間のスパッタ時間を経過することができた。この試験のスパッタレートは0.067g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は25%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は48%であった。
<2.絶縁性シールド部材の効果の検証>
(試験例4)
絶縁性シールド部材を取り外してスパッタ試験を行った他は試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。この場合、ターゲット固定部品と他のアノード電位の部材との間で異常放電が発生して安定した成膜ができず、開始直後に成膜を中止した。スパッタリングチャンバー内を確認したところ、ターゲットと固定部材の表面に異常放電痕が残っていた。
(試験例5)
平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1を0として両者を接触させた他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。この場合、ターゲットと絶縁性シールドの間で異常放電が頻発し、成膜を30分で中止した。この試験のスパッタレートは0.064g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は31%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は44%であった。
(試験例6)
平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1を2.2mmとした他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。この場合、成膜当初は異常放電が少なく、安定した成膜ができていたが、3時間経過後に異常放電が頻発して放電を中止した。スパッタリングチャンバー内を確認したところ、固定部材もスパッタされてしまっていた。この試験のスパッタレートは0.062g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は25%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は44%であった。
(試験例7)
平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1を0.1mmとした他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。この場合、成膜当初は異常放電が少なく、安定した成膜ができていたが、2時間経過後に異常放電が頻発して放電を中止した。スパッタリングチャンバー内を確認したところ、ターゲットと絶縁性シールドの間に異常放電痕が残っていた。この試験のスパッタレートは0.067g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は30%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は51%であった。
(試験例8)
平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1を1.5mmとした他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。しかし、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、固定部材もスパッタされてしまっていた。この試験のスパッタレートは0.069g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は26%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は46%であった。
(試験例9)
ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
・電力密度: 22W/cm2
・スパッタガス圧力: 70Pa
・スパッタガス流量(各吐出口からの流量の総和):Ar:32.7sccm/cm2
・ターゲット材質:Cu-TiO2-SiO2
・ターゲット相対密度:95%
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.4mm
・スパッタ開始前における一対の平板ターゲット間の間隔S1:20mm
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。スパッタリングチャンバー内を確認したところ、異常は見られなかった。この試験のスパッタレートは0.013g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は28%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は48%であった。
試験例9のスパッタ膜については基板から剥離して回収した。そしてこの膜を粉砕して、微細粉を得た。これをカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして焼結体を得た。次に、熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000℃で保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。当該焼結体中の酸化物粒子の平均径を顕微鏡観察により測定したところ、0.4μmであった。
(試験例10)
ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様のスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
<ガスフロースパッタ条件>
・電力密度: 28W/cm2
・スパッタガス圧力: 25Pa
・スパッタガス流量(各吐出口からの流量の総和):Ar:14.2sccm/cm2
・ターゲット材質:Cu-TiO2
・ターゲット相対密度:97%
・ターゲット寸法:143mm(X方向)×493mm(Y方向)×30mmt
・ターゲット合計投影面積:1410cm2
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.8mm
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。また、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、異常は見られなかった。この試験のスパッタレートは0.011g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は40%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は42%であった。
(試験例11)
図1、図2-1に示す構成(但し、スパッタリングターゲットの取付構造は図4に示す構造を採用。)の平板ターゲット対向型ガスフロースパッタリング装置を用い、図4に示す構成でスパッタリングターゲットを取り付けて下記の条件でスパッタ膜を成膜した。ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様の装置構成及びスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
<ガスフロースパッタ条件>
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:4.5mm
・絶縁性シールド部材の上面板の下面と導電性固定部材の上面との距離L3:4.6mm
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。しかし、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、固定部材もスパッタされてしまっていた。この試験のスパッタレートは0.028g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は48%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は37%であった。
(試験例12)
図1、図2-1に示す構成(但し、スパッタリングターゲットの取付構造は図5に示す構造を採用。)の平板ターゲット対向型ガスフロースパッタリング装置を用い、図5に示す構成でスパッタリングターゲットを取り付けて下記の条件でスパッタ膜を成膜した。ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様の装置構成及びスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
<ガスフロースパッタ条件>
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.6mm
・絶縁性シールド部材の上面板の下面と導電性固定部材の上面との距離L3:0.1mm
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。しかし、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、固定部材もスパッタされてしまっていた。この試験のスパッタレートは0.034g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は44%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は40%であった。
(試験例13)
図1、図2-1に示す構成(但し、スパッタリングターゲットの取付構造は図6に示す構造を採用。)の平板ターゲット対向型ガスフロースパッタリング装置を用い、図6に示す構成でスパッタリングターゲットを取り付けて下記の条件でスパッタ膜を成膜した。ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様の装置構成及びスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
<ガスフロースパッタ条件>
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.6mm
・絶縁性シールド部材の上面板の下面と導電性固定部材の上面との距離L3:0.5mm
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。また、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、異常は見られなかった。この試験のスパッタレートは0.007g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は27%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は48%であった。
(試験例14)
図1、図2-1に示す構成(但し、スパッタリングターゲットの取付構造は図7に示す構造を採用。)の平板ターゲット対向型ガスフロースパッタリング装置を用い、図7に示す構成でスパッタリングターゲットを取り付けて下記の条件でスパッタ膜を成膜した。ガスフロースパッタ条件を以下のように変更した他は、試験例1と同様の装置構成及びスパッタ条件として、スパッタ膜を成膜した。
<ガスフロースパッタ条件>
・電力密度: 33W/cm2
・スパッタガス圧力: 130Pa
・スパッタガス流量(各吐出口からの流量の総和):Ar:33.3sccm/cm2
・ターゲット寸法:100mm(X方向)×150mm(Y方向)×10mmt
・ターゲット合計投影面積:300cm2
・スパッタ開始前における一対の平板ターゲット間の間隔S1:20mm
・平板ターゲットと絶縁性シールド部材の間隔L1:0.2mm
・絶縁性シールド部材の上面板の下面と導電性固定部材の上面との距離L3:0.2mm
・バッキングプレートの材質:Cu(ターゲットと一体構造)
この場合、異常放電が少なく、安定した成膜ができており、5時間経過後に予定通り成膜を終了した。また、スパッタリングチャンバー内を確認したところ、異常は見られなかった。この試験のスパッタレートは0.033g/h/cm2であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、成膜対象基板の増加重量の割合は24%であった。スパッタ試験後のターゲットの減少重量に対する、絶縁性シールド部材の増加重量の割合は48%であった。
10a、10b 平板ターゲット
11 スパッタリングチャンバー
12 空間部
13 スパッタ粒子
14 スパッタガス吐出口
15 直流電源
16 スパッタ粒子を堆積させる部材
17 スパッタガス
18 ホルダ(保持部材)
19 間隔調整機構
20 排気口
22 ガス吐出ユニット
24 ガス吐出ユニットの入口
26 管状部材
28 ガス導入管
29 シール材
45 導電性固定部材
45a 第一固定部品
45b 第二固定部品
46 ダイアフラム
47 バッキングプレート
48 冷却水
49 絶縁性シールド部材
491 周壁
492 側板
493 上面板
50 冷却装置
51 締結具
52 伸縮部材
101 ターゲットの側面
102 取付部位
103 平板ターゲットの上面(スパッタ面)
104 取付部位の下面
106 平板ターゲットの下面
501 冷却装置用の絶縁性シールド部材
502 締結具取付ベース
503 締結具

Claims (18)

  1. 内部を真空にすることが可能なスパッタリングチャンバーと、前記チャンバー内に間隔を置いて互いのスパッタ面が対向するように配置された一対の平板ターゲットと、各平板ターゲットを冷却するための一対の冷却装置と、各平板ターゲットを冷却装置に固定するための導電性固定部材と、前記一対の平板ターゲットの間にスパッタガスを供給するための一つ又は二つ以上のガス吐出口と、一対の平板ターゲット間の空間部を挟んでガス吐出口とは反対側に、ガス吐出口に向き合うように配置されたスパッタ粒子を堆積させる部材とを備えたガスフロースパッタリング装置であって、
    前記一対の平板ターゲットはそれぞれの側面から延出した取付部位を有しており、前記取付部位が前記固定部材と前記冷却装置によって挟まれた位置関係で前記一対の平板ターゲットがそれぞれ冷却装置に固定されており、
    前記固定部材には一つ又は二つ以上の貫通穴が設けられており、更に、冷却装置には取付穴が設けられており、貫通穴及び取付穴に締結具が挿入されていることにより、前記一対の平板ターゲットが冷却装置に固定されており、
    前記固定部材は前記一対の平板ターゲットとは接触しない絶縁性シールド部材によって被覆されている、
    ガスフロースパッタリング装置。
  2. 前記固定部材の上面及び外側面が前記一対の平板ターゲットとは接触しない絶縁性シールド部材によって被覆されている請求項1に記載のガスフロースパッタリング装置。
  3. 前記一対の平板ターゲットは導電性である請求項1又は2に記載のガスフロースパッタリング装置。
  4. 前記一対の平板ターゲットはスパッタ面とは反対の面が前記冷却装置に直接又は間接的に接触した状態で前記固定部材により固定されている請求項1~3の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  5. 各平板ターゲットと前記絶縁性シールド部材の最近接距離が0.1~5mmに調整されている請求項1~4の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  6. 絶縁性シールド部材が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、及び窒化ホウ素よりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成される請求項1~5の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  7. 前記絶縁性シールド部材は、各平板ターゲットの側面に沿って間隔を置いて該側面を囲繞するように立設された周壁を有する請求項1~6の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  8. 各平板ターゲットの側面と絶縁性シールド部材の周壁との間隔は0.1~2mmである請求項7に記載のガスフロースパッタリング装置。
  9. 前記絶縁性シールド部材は、各平板ターゲットのスパッタ面の縁部を被覆するように配置される請求項1~8のいずれか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  10. 前記一対の平板ターゲットが非磁性材料及び磁性材料の複合体で構成されている請求項1~9の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  11. 側面から延出した取付部位の上面は平板ターゲットの上面よりも低い位置にある請求項1~10の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  12. 導電性固定部材が平板ターゲットの上面よりも上側に突出しない請求項1~11の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置。
  13. 請求項1~12の何れか一項に記載のガスフロースパッタリング装置を用いてスパッタする工程を含むスパッタリングターゲット原料の製造方法。
  14. 電力密度を10W/cm2以上としてスパッタする請求項13に記載の製造方法。
  15. スパッタガスの流量を一対の平板ターゲットの対向するスパッタ面の合計投影面積1cm2当たりの流量で表して1sccm/cm2以上としてスパッタする請求項13又は14に記載の製造方法。
  16. スパッタガスの圧力を10Pa以上としてスパッタする請求項13~15の何れか一項に記載の製造方法。
  17. スパッタ粒子を堆積させる部材が使用済みのスパッタリングターゲットであり、当該ターゲットの浸食部分にスパッタ粒子を堆積させることを含む請求項13~16の何れか一項に記載の製造方法。
  18. 前記絶縁性シールド部材に堆積するスパッタ粒子の合計質量を、前記スパッタ粒子を堆積させる部材に堆積するスパッタ粒子の質量よりも大きくすることを含む請求項13~17の何れか一項に記載の製造方法。
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