JP7004254B1 - 高温にさらすことなく繭腔内に液体を浸透させる方法及びそれを利用した製糸方法及びそれによる製品 - Google Patents

高温にさらすことなく繭腔内に液体を浸透させる方法及びそれを利用した製糸方法及びそれによる製品 Download PDF

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Abstract

【課題】カイコの繭を高温にさらすことなく、繭腔内に液体を浸透させる方法、及びその方法を利用して製糸する方法、及びそれにより得られる製品を提供する。【解決手段】通常繭を生糸とする際に行われている高温の煮繭の方法ではなく、繭を含む溶液の入った密閉した容器で加圧し加圧をやめること、また、容器内の容積を変えることにより、低温のまま繭腔内に液体を浸透させることができた。それらの繭、あるいは、長時間の溶液に浸漬した繭を利用することで、高温さらすことなく、低温のまま繰糸することができた。このことにより、カイコの繭に含まれているタンパク質が変性することがない上に、高額な機械を使用することなく、カイコの繭を生糸とすることが可能であることがわかった。【選択図】図8

Description

本発明は、繭を高温にさらすことなく煮繭、繰糸する技術に関する。より具体的には低温において繭腔内に液体を浸透させ、繭のタンパク質を変性させることなく、繭から糸を引き出す技術に関する。
繭から生糸にする際の煮繭は通常、進行式煮繭機が用いられる。その際、蒸気及び沸点に近い高温水と低温水を組み合わせた処理により、繭腔内へ蒸気や湯の出し入れを行う。これにより、繭層セリシン(繭糸の周りを覆っている水溶性タンパク質)が膨潤柔和され、繭からの繭糸の解れが良くなる。
繰糸では、約90℃熱水の中の繭から稲穂の穂先を利用して繭から糸口を出す索緒を行い、糸口を出し繰糸を行う。
教育現場において、繭からの糸取りは日本の歴史と伝統を学ぶ上からも、小学校や高等学校の生物で行われることがある。通常80~100℃程度の湯などの中で数分繭を煮た後に、温度を下げることで、繭の中に湯が入るようにする。その後、索緒を行い、糸口を出し、繰糸を行う。このとき、高温のお湯、または加熱の火によって火傷の可能性がある。教育現場では安全が第一なので、高温にせず、低温での糸取りできる方法がのぞまれている。また、セリシン層に色素がある色付きの繭は、熱水によりセリシンが溶解し、従来法で糸取りをすると、糸の色が薄くなってしまう。そのため、生徒・児童が期待したほどの鮮やかな色の糸をみせることが難しかった。
また、このような従来の製糸方法では、繭のタンパク質は高温により変性する。その結果、絹の染色性や織物の風合いが損なわれる。また、外来タンパク質を含有するカイコ繭を生糸とする際は、その外来タンパク質が変性してしまう。このような背景から外来のものも含め、繭のタンパク質が変性することなく繭を生糸とする技術が求められている。そこで、真空浸透する方法や飽和食塩水に長時間つける方法等が発明されている(例えば特許文献1、特許文献2)。しかしながら、高額な機械が必要であったり、反応が長期間にわたったりするため、小規模施設、小学校あるいは高等学校等の教育現場で外来タンパク質等を変性させることなく繭を生糸にすることは困難である。
紙の作製については、教育現場等において牛乳パックを再利用して、紙すきを行ったり、原料のパルプ等からの紙作製を学んだりすることがある。カイコが関わるものでは、毛羽を利用した紙の作製は可能であっても、繭を原料とした紙の作製は、教育現場等において、一般的に実施されているとは言い難い。さらに、GFP等の外来遺伝子を含んだ繭からの紙の作製は、GFP等のタンパク質を変性させずに、繭を完全にほぐすことが困難なことから、行うことが難しかった。
なお、本発明の先行技術文献を以下に示す。
特許第5292548号 特開2016-079535
本発明はこのような状況に鑑みて、商用目的のみならず、小学生の子ども等が行う際、沸騰水や火を扱うことなく低温で安全に糸取りを行えるようにしたい、着色繭の色のまま糸取り行えるようにしたい、繭のタンパク質が変性していない糸を高校生に感じてもらいたいという教育的な思いから、鋭意研究を行った。本発明の課題は、環境の負荷が少なく、繭のタンパク質が変性しない低温で、カイコ繭を生糸又は、紙等の製品とする方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するに当たり、温度や試薬等を変えて、さまざまな煮繭方法を試みた。また、高温にすることなく、繭腔内へ液体を入れる方法を、さまざまな方法で試みた。
その結果、本発明者は、低温でカイコ繭を生糸又は紙とすることが可能であることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものあり、次の〔1〕~〔11〕を提供する。
〔1〕繭と液体を容器の中に入れ、密閉し、容器内の容積を変化させることにより、繭の中から気体を出し、繭腔内に液体を浸透させる方法。
〔2〕繭と液体を弾性力のある容器の中に入れ、密閉し、容器を加圧したり、加圧をやめたときに容器がもとの形に戻ったりすることを利用し、繭の中から気体を出し、繭腔内に液体を浸透させる方法。
〔3〕繭をアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中に長時間つけることで、高温の煮繭をせずに、繰糸できる繭、真綿あるいは紙の原料の繊維にする方法。
〔4〕〔1〕~〔3〕の少なくとも1つを利用し、繭を生糸とする方法。
〔5〕〔1〕~〔3〕の少なくとも1つを利用し、着色繭を低温(60℃以下)で色落ちを抑えて生糸、真綿、あるいは紙とする方法。
〔6〕下記(a)~(f)の工程、あるいは(a)~(f)の一部の工程を含む、〔4〕または〔5〕に記載の方法;
(a)繭を低温(60℃以下)の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む低温(60℃以下)の溶液に浸漬する工程、
(b)工程(a)を省略した繭、または工程(a)の繭を低温(60℃以下)の水、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中で〔1〕~〔3〕の少なくとも1つを行う工程、
(c)工程(b)の繭を低温(60℃以下)水、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素、界面活性剤の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液に浸漬する工程、
(d)工程(b)または工程(c)の繭、あるいは工程(b)または工程(c)の繭を水で浸漬した後の繭を低温(60℃以下)の条件下で繰糸する工程、
(e)工程(d)により繰糸された生糸を揚げ返し後、水で洗浄してから、生糸を乾燥する工程、
(f)工程(d)、あるいは(e)の生糸を精練し、練糸にする工程。
〔7〕〔1〕~〔6〕の少なくとも1つをすることにより、遺伝子改変により発現したタンパク質を含め、繭のタンパク質の変性を抑えて、繭のタンパク質の性質を損なうことなく繰糸する方法。
〔8〕〔1〕~〔7〕の少なくとも1つを利用した糸取りキット。
〔9〕〔1〕~〔8〕の少なくとも1つを利用した紙の製法、またそれを利用した紙作製キット。
〔10〕〔1〕~〔9〕の少なくとも1つを利用して得られる紙、色素、変性していない繭タンパク質、生糸、練糸、その生糸あるいは練糸から得られる製品。
〔11〕〔1〕~〔10〕の少なくとも1つに利用されたアルカリ剤を再利用する工程。
カイコの繭を従来の煮繭の方法で製糸すると、繭のタンパク質、あるいは遺伝子改変カイコにおいて発現したタンパク質を含む繭が変性してしまうという問題があった。そして、この問題を解決する真空浸透する方法や飽和食塩水に長時間つける方法が発明されているが、高額な機械が必要であったり、反応が長期間にわたったりするため、小学校や高等学校等の教育現場で再現することは困難であった。
一方、本発明により、繭のタンパク質が変性しないことに加えて、高額の機械を使用せず、短時間の反応でエネルギー消費が少なく環境に優しいカイコ繭を生糸とすることが可能となった。グリーン購入の観点から、品質や価格だけでなく環境のことを考え、環境負荷ができるだけ小さい製品を、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入する動きが出てきている。本発明は、環境負荷を低減させる画期的な発明であり、環境負荷が少ない糸などの製品を世の中に出すことが可能となった。また、環境教育の観点を取り入れた学校用の糸取りキットが可能となった。さらに、学校現場等において、沸騰水や火をつかうことなく低温で安全に糸取りを行え、着色繭での色落ちも抑え、繭のタンパク質も変性しない糸取りキットが可能となった。また、本発明により、高温にすることなく、繭を原料とした紙の作製を行える紙すきキットが可能となった。
最も環境に配慮した方法では、電力等を利用するのは60℃以下のお湯を作成する時のみで、水以外の試薬も必要ない。そのお湯は単に温まれば良いだけであるため、太陽光や地熱等をうまく利用することで、その分の電力消費さえ抑えることができる。そのお湯を、本発明の方法で繭腔内を入れ、その後、保温に関する電力等を一切使用することなく、そのまま繰糸し生糸にできる。この方法は、水質汚濁を防ぎ、電力消費も抑えることから、最も環境に配慮した生糸となりうる。
(1)繭
本発明は、従来にない低温での製糸方法等を提供するものであり、カイコの乾繭だけでなく、生繭繰糸を行う場合等にも適用できる。また、あらゆる遺伝子改変カイコが吐糸した繭も、通常使われる普通品種繭にも適用でき、白繭にも着色繭にも適用でき、系統も限定されない。また、カイコ以外の生物による繭においても適用できる。
遺伝子改変カイコは、絹糸腺内に外来タンパク質を有するものがある。絹糸線内に含まれる外来タンパク質として、例えばCFP、GFP、YFP、DsRed等の蛍光・色素タンパク質、コラーゲン、酸性及びアルカリ性のアミノ酸を主とするペプチド、クモ等カイコ以外の生物由来のフィブロインタンパク質及びセリシンタンパク質等が挙げられるがこれらに限定されない。絹糸腺内に外来タンパク質を含む遺伝子改変カイコが取得されれば、当業者であれば容易に当該カイコから繭を得ることが出来る。
(2)繭の水、あるいはアルカリ剤等を含む溶液への浸漬
本発明では、繭を水のみ、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む溶液に浸漬する工程を含めることができる。繭は、乾繭を利用するのが一般的であるが、これに限定されない。繭は普通繭でも遺伝子改変カイコが吐糸した繭でも良く、系統も限定されない。
本発明の水は、精製水、蒸留水、滅菌水、水道水等、広義の意味で、水と言われるものであれば良く、水に微量のミネラル等が溶けていても良い。また、水の代用となる液体があれば、それでも良い。
本発明のアルカリ剤としては、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムが挙げられるがこれらに限定されない。試薬ほどの純度ではない市販の重曹等も利用可能である。
界面活性剤としては脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート等のノニオン系界面活性剤、脂肪酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド等の両性界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されない。
酵素としてはタンパク質分解酵素が挙げられるがこれに限定されない。タンパク質分解酵素としては、例えばセリンプロテアーゼ、パパイン酵素等が挙げられるがこれらに限定されない。
浸漬処理は、繭を水のみ、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む溶液に浸漬する。例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。容器に入れた繭を例えば炭酸ナトリウム0.3%、ノニオン系界面活性剤0.2%の混合液、あるいは3.0%の重曹水に入れて、30分58℃で浸漬する。これにより、繭層表面に水分が浸み込む状態とすることが出来る。重曹の濃度、温度及び処理時間は、繭の性状によって適宜調整することが出来る。温度は高温でタンパク質が変性しないよう60℃以下とする。重曹水はある程度、数回使いまわすことができる。この(2)の工程をとばして、(3)~(5)を行っても良い。
(3)密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭腔内への液体の浸透法
例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。ペットボトル等の弾性力があり密閉できる容器の中に繭と水のみ、あるいは水に上述のアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む溶液を入れ、密閉し、容器をおしつぶす等の加圧を行い、その後、加圧をやめると、容器は弾性力でもとの形に戻る。このことで繭の中から気体が出てきて、繭腔内に液体が浸透される。おしつぶしは、手、機械、気圧、水圧等、どのような方法を利用しても良い。繭腔内への液体の浸透は、より好ましくは、繭腔内に半分以上液体が入るまで、加圧と、加圧をやめることを繰り返し行う。また、途中で密閉を解除し、繭から出てきた気体を容器外へ出し、液体が少なくなった場合は同じ組成の液体を加えて密閉し、加圧と、加圧をやめることを再度行っても良い。また、容器に入れる繭は1個でも良いが、複数の繭を同時に同じ容器に入れても良い。液体は容器に空気が残らないよう入れるのが良いが、多少空気が残っていても、繭が液体に使っていれば良い。容器はペットボトルに限らず、弾性力があり、密閉できるものであれば良い。弾性力が大きい容器であれば、繭と液体を入れ、加圧した状態で密閉して、その後加圧をやめるといったように操作しても良い。
(4)密閉した容器で容器内の容積を変えることで繭腔内へ液体を浸透させる方法
例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。浣腸器または注射器等の密閉できる容器の中に繭と水のみ、あるいは水に上述のアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む溶液を入れ、針はつけずに浣腸器または注射器の先を指でおさえて密閉する。その密閉された状態で、押し子を引いたり、押したりすることで、容器内の容積を変える。このことで繭の中から気体が出てきて、繭腔内に液体が浸透する。より好ましくは、繭腔内に半分以上液体が入るまで、押し子を引いたり、押したりすることを繰り返し行う。また、途中で密閉を解除し、繭から出てきた気体を容器外へ出し、再度密閉し、押し子を引いたり、押したりすることを再び行っても良い。また、容器に入れる繭は1個でも良いが、複数の繭を同時に同じ容器に入れても良い。液体は容器に空気が残らないよう入れるのが良いが、多少空気が残っていても、繭が液体に浸かっていれば良い。容器は浣腸器や注射器に限らず、密閉でき、容器内の容積を変えることができるものであれば良い。浣腸器や注射器の先をおさえるのは指でなくとも、密閉できれば、他の方法でも良い。押し子で押す際は、急激に押すと繭がつぶれることがあるため、より好ましくは、ゆっくりと押すと良い。
(5)繭をアルカリ剤等を含む溶液に長時間つけることを利用した繰糸できる繭、真綿あるいは紙の原料の繊維にする方法
繭をアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中に長時間つけることで、高温の煮繭をせずに繰糸できる繭、真綿、あるいは紙の原料とする。アルカリ剤、界面活性剤、酵素としては、上述のものが挙げられる。例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。
容器に入れた繭を例えば炭酸ナトリウム0.3%、ノニオン系界面活性剤0.2%の混合液、あるいは3.0%の重曹水に入れて、長時間58℃で浸漬する。これにより、繭層表面に水分が浸み込む状態とすることが出来る。繰糸にする場合は、浸漬時間は24時間以内がよく、より好ましくは一晩程度の浸漬でよい。24時間以上の長時間の浸漬は58℃にする際の電力や熱量といった環境負荷の観点から勧められない。重曹の濃度、及び処理時間は、当業者であれば繭の性状によって適宜調整することが出来る。
繰糸した糸を利用するのではなく、浸漬したものを直接、真綿にしたり、紙の原料としたりする場合は、繭の形状を保つ必要がなく、セリシンがかなり溶解し、完全にほぐれるまで数日間浸漬しても良い。その場合は、直接、あるいは1cm以下に切り刻み、練りとのりを加えて紙すきをすることで紙とすることができる。
重曹の濃度、処理時間、練りの分量、のりの分量等は、当業者であれば適宜調整することが出来る。
(6)繭の水、あるいはアルカリ剤等を含む溶液への浸漬
(3)~(5)のいずれかの処理後、繭を水のみ、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液に浸漬する。(3)~(5)のいずれかの処理により得られた繭を水に浸漬させることで、例えばアルカリをとり、セリシンを収斂させることができる。しかしながら、工程を簡便にするという観点から、水で浸漬せず、(3)~(5)の処理で用いた溶液でそのまま繭を浸漬しても良い。また、(3)~(5)の処理で用いた溶液でそのまま繭を浸漬した後に、水で浸漬しても良い。例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。(3)~(5)で炭酸ナトリウム0.3%、ノニオン系界面活性剤0.2%の混合液を使用した場合は、そのままの水溶液で、重曹3.0%の水溶液を使用した場合は、そのままの重曹水で30分間58℃で浸漬する。重曹の濃度、及び処理時間は、当業者であれば繭の性状によって適宜調整することが出来る。温度は高温でタンパク質が変性しないよう60℃以下とする。また、この(6)の工程をとばして、(7)繰糸を行ってもよい。
(7)繰糸
本発明では、60℃以下の条件下で繰糸を行う。繰糸は自動繰糸機、座繰器、あるいはペットボトルに巻き付ける等により行うことができるが、これに限定しない。例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。
(6)処理後の繭から、繭糸を引き出し、紙をまいたペットボトルに巻き付けていく。巻き付けるものは、ペットボトルに限らず、段ボールなど巻き付くことができるものであれば良い。より好ましくは、引き出した繭糸を目的の太さになるように数本合わせて、巻き付けていくと良い。温度は高温でタンパク質が変性しないよう60℃以下とする。例えば温度は58℃等の一定の条件で行うことが好ましいが、すぐには温度が下がらない室温であれば、そのまま室温で繰糸を行っても良い。この際、繰糸に時間がかかり、温度が下がりきってしまった場合は、再び58℃にすると良い。
繰糸後、生糸を練糸にする方法は当業者であれば、公知の方法によって行うことができる。
(8)アルカリ剤の再利用
本発明は、高額な機械を使用せず、電力などの消費を抑えた環境に配慮した製品開発を目標としていた。その際、使用後のアルカリ剤が十分、洗浄に使用できることがわかった。本発明を用いた再利用方法は、例えば以下のようなものが考えられるが、これに限定されない。
(2)~(7)で3.0%重曹水を利用した場合、その重曹水をそのまま、あるいは遠心分離をし、沈殿物を除去したものを利用する。その重曹水をつけたスポンジで流しを洗ったり、配管に流して洗浄したりする。これ以外にも重曹水の利用は、当業者に公知の方法によって行うことができる。
本発明を用いた糸取りキットとして、例えば以下のようなものが考えられるが、これに限定されない。
糸取りキットとして、密閉用のペットボトル、重曹、繭、糸巻き用の穴あきペットボトル、糸巻き用ペットボトルに巻く画用紙、糸巻き用のペットボトルの軸となる棒、糸巻き用のペットボトルをはめる容器、索緒するためのほうき、糸巻きする際の繭を入れる容器のセット、あるいは、その一部をセットにしたもの。ここでいう繭はあらゆる遺伝子改変カイコが吐糸した繭も、通常使われる普通品種繭にも適用でき、白繭にも着色繭にも適用でき、系統も限定されない。また、カイコ以外の生物による繭においても適用できる。
本発明を利用した糸取りキットにより、小学生の子ども等が沸騰させた高温のお湯や火を扱うことなく、繭から糸取りを楽しむことができるようになる。教育現場において、火傷の心配が減ることの効果は大きい。また、本発明を用いた糸取りキットは、高等学校等におけるタンパク質の学習の一端を担える。例えば、高温で繰糸した糸と、本発明を用い低温で繰糸した糸を比べることで、熱変性等のタンパク質の特性について学ぶことができる。もしも、蛍光タンパク質を絹糸腺内に有する遺伝子改変カイコの繭を使用することができれば、蛍光を発するかどうかで、そのタンパク質が変性したかどうかがわかる。着色繭を使用した場合は、色落ちを抑えた糸取りができる。さらに、重曹を使用した場合は、環境の観点から掃除に利用することで、再利用の重要性を伝えることができる。このように環境に配慮し、高額な真空浸透の機械等を用いずに行うことができる本発明は、商用利用に限らず、教育的に絶大な効果を発揮する。明日を担う子どもたちが、本発明による糸取りを通じ、蚕糸業のこと、環境のこと、最先端技術のことを学ぶ一助となる可能性がある。
さらに、本発明により得られた繭糸を用いた紙の作製は、例えば以下のようにして行うことが出来るが、これに限定されない。
得られた繭糸を切り刻み、水の中に分散させ、練りとのりを加えて、混ぜてから、紙すきを行って、乾燥させる。練りは加えなくてもよく、のりはでんぷんのり等が使用されるが、接着する作用があるものであれば、どのようなものでも良い。練りやのりの分量は当業者であれば適宜調整することが出来る。この紙の作製方法は糸をつくる際も、その後の紙の作製の際も、大きく電力等を消費することなく、原料の点からも森林や植物を伐採することがないため、地球温暖化対策に対応した環境に優しい紙となる。児童、生徒はパルプではないものからの紙つくりの製法を学べる上に、低温の操作のみで安全性が確保される。したがって、本発明は、商用利用に限らず、教育的に絶大な効果を発揮する。着色繭からの糸を用いる場合は、染色せずに着色した紙をつくることができる。さらに、もしも、蛍光タンパク質を絹糸腺内に有する遺伝子改変カイコの繭糸を使用することができれば、蛍光を発する紙を作製することも可能となる。
本発明を用いた紙作製キットとして、例えば以下のようなものが考えられるが、これに限定されない。
紙作製キットとして、容器、枠、網板、繭糸、練り、でんぷんのり、分散用のペットボトル、吸水タオル、紙を貼るクリアファイルのセット、あるいは、その一部をセットにしたもの。ここでいう繭糸はあらゆる遺伝子改変カイコから得られる繭糸も、通常使われる普通品種繭糸にも適用でき、系統も限定されない。また、カイコ以外の生物による繭糸においても適用できる。糸取りキットとこの紙作製キットを合わせた、糸取り・紙作製キットも可能である。
また本発明は、本発明のいずれかを、どこかの段階で利用して得られる色素、変性していない繭タンパク質、生糸、練糸、その生糸あるいは練糸から得られる編物、織物、衣服、スポンジ、フィルム、パウダー、化粧品、紙、筆、生活用品、美術工芸品、食品添加物、立体構造物、医療用資材等を提供するが、これらに限定されない。これらは、当業者に公知の方法によって作成することができる。変性していないタンパク質は、例えばセリシンタンパク質、フィブロインタンパク質、外来タンパク質を含むセリシン、外来タンパク質を含むフィブロインタンパク質があるが、これらに限定されない。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
炭酸ナトリウム及び、界面活性剤の入った水溶液を含む密閉した容器で容器内の容積を変えることで利用したカイコの繭の製糸
本発明では、低温(60℃以下)の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む低温(60℃以下)の溶液を用いて煮繭を行う。以下に、アルカリ剤及び、界面活性剤を用いた例を示す。
まず、0.3%の炭酸ナトリウム、0.2%のノニオン系界面活性剤の水溶液をビーカーに入れ、その液の中に浸かるようにカイコの白繭(錦秋×鐘和)を入れ約58℃のインキュベーターに30分間入れ、浸漬させた(A)。その約58℃の溶液と繭を浣腸器に入れ、針はつけずに浣腸器の先を指でおさえて密閉した。その密閉された状態で、押し子を引いたり、押したりすることで、容器内の容積を変えることで繭から気体を出した。密閉を解除し、出てきた気体を容器外へ出し、再び密閉し、押し子を引いたり、押したりすることを数回繰り返した。このことで繭の中から気体を出し、繭腔内に溶液を浸透させた。この過程を図1に示す。途中、繭の重さの測定のため、一度溶液を抜いた場合は、再びその溶液と繭を容器に入れて同様の作業を繰り返した。そのことで見た目でも繭腔内に溶液が浸透したことが確認できた。この後に、約58℃のインキュベーターに30分間入れ、その繭を0.3%の炭酸ナトリウム、0.2%のノニオン系界面活性剤の水溶液で浸漬させた(B)。その後、繰糸を行い、繭糸を得た。その結果を図2に示す。この過程において、Aの30分の浸漬を行わず、工程時間を短縮したものを図3に示す。また、この過程においてAの30分とBの30分の両方の浸漬を行わず、工程時間をさらに短縮したものを図4に示す。なお、図2、図3、図4の繭では、今回の繭腔内への液体の浸透処理において処理の前後で、それぞれ5.6g、6.2g、4.9gの増加があり、その分の液体が入ったことがわかった。
重曹水を含む密閉した容器で容器内の容積を変えることで利用したカイコの繭の製糸
本発明では、低温(60℃以下)の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む低温(60℃以下)の溶液を用いて煮繭を行う。以下に、アルカリ剤を用いた例を示す。
まず、3.0%の重曹水をビーカーに入れ、その液の中に浸かるようにカイコの白繭(錦秋×鐘和)を入れ約58℃のインキュベーターに30分間入れ、浸漬させた(A)。その約58℃の溶液と繭を浣腸器に入れ、針はつけずに浣腸器の先を指でおさえて密閉した。その密閉された状態で、押し子を引いたり、押したりすることで、容器内の容積を変えることで繭から気体を出した。密閉を解除し、出てきた気体を容器外へ出し、再び密閉し、押し子を引いたり、押したりすることを数回繰り返した。このことで繭の中から気体を出し、繭腔内に溶液を浸透させた。この過程は図1と同じである。途中、繭の重さの測定のため、一度溶液を抜いた場合は、再びその溶液と繭を容器に入れて同様の作業を繰り返した。そのことで見た目でも繭腔内に溶液が浸透したことが確認できた。この後に、約58℃のインキュベーターに30分間入れ、その繭を3.0%の重曹水で浸漬させた(B)。その後、繰糸を行い、繭糸を得た。その結果を図5に示す。この過程において、Aの30分の浸漬を行わず、工程時間を短縮したものを図6に示す。また、この過程においてAの30分とBの30分の両方の浸漬を行わず、工程時間をさらに短縮したものを図7に示す。なお、図5、図6、図7の繭では、今回の繭腔内への液体の浸透処理において処理の前後において、それぞれ6.1g、5.8g、6.2gの増加があり、その分の液体が入ったことがわかった。
密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用したカイコの繭の製糸
本発明では、低温(60℃以下)の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む低温(60℃以下)の溶液を用いて煮繭を行う。以下に、アルカリ剤を用いた例を示す。
まず、3.0%の重曹水をペットボトルに入れ、その中にカイコの白繭(錦秋×鐘和)を入れ約58℃のインキュベーターに30分間入れ、浸漬させた(A)。その約58℃の溶液と繭を含んだペットボトル容器を密閉し、容器をおしつぶすなどの加圧を行い、その後、加圧をやめると、容器は弾性力でもとの形に戻った。このことで繭の中から気体を出し、繭腔内に溶液を浸透させた。この過程は図8に示す。この加圧と、加圧をやめることを繰り返し、途中で一度、密閉を解除し、出てきた気体を外に出した場合は、その分の3.0%の重曹水を加え、再び密閉し、この加圧と加圧をやめることを行った。そのことで繭の中に十分浸透が起こった。この後に、約58℃のインキュベーターに30分間入れ、その繭を3.0%の重曹水で浸漬させた(B)。その後、繰糸を行い、繭糸を得た。その結果を図9に示す。この過程において、Aの30分の浸漬を行わず、工程時間を短縮したものを図10に示す。また、この過程においてAの30分とBの30分の両方の浸漬を行わず、工程時間をさらに短縮したものを図11に示す。なお、図9、図10、図11の繭では、今回の繭腔内への液体の浸透処理において処理の前後において、それぞれ1.6g、3.4g、2.1gの増加があり、その分の液体が入ったことがわかった。
繭をアルカリ剤等を含む溶液に長時間つけることを利用したカイコの繭の製糸
本発明では、アルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中に長時間つけてから、煮繭を行う。以下に、アルカリ剤を用いた例を示す。
まず、3.0%の重曹水をビーカーに入れ、その液の中に浸かるようにカイコの白繭(錦秋×鐘和)を入れ約58℃のインキュベーターに入れ、約21時間の間浸漬させた。その結果、繭の形がしっかり保たれつつ、セリシンの膨潤が絶妙な状態であり、繭腔内にもある程度溶液が入っていることがわかった。したがって、繭腔内に溶液を入れるための特別な操作を行っていないにも関わらず、繰糸を行うことができ、繭糸を得ることができた。その結果を図12に示す。
黄白繭のメスの黄色の繭からの製糸
カイコの黄白繭(メスの黄色の繭)を用いて実施例1の図2、実施例2の図5、実施例3の図9、実施例4の図12と同様の条件で、繰糸を行った。白い紙に巻いた状態でのそれぞれの結果を、図13、図14、図15、図16に示す。図13、図14、図15の繭では、今回の繭腔内への液体の浸透処理において処理の前後において、ぞれぞれ5.0g、5.3g、2.5gの増加があり、その分の液体が入ったことがわかった。なお、図16の下端に見えるのはビーカーである。
また、比較するための従来の煮沸法を行った。鍋に入れた水に浸かるように黄色の繭を入れ加熱し、1分間沸騰させた。その後、水を入れ急冷し、繭腔内に水を浸透させた。その後、繰糸を行い、繭糸を得ることができた。その結果を図17に示す。
このようにして得られた繭糸は、本発明の方法を利用し得られた糸(図13、図14、図15、図16)は、従来の煮沸法での糸(図17)よりも黄色の色素が残っており、色落ちが抑制されることがわかった。
試薬を使用せず、水のみを利用した繭からの製糸
本発明では、低温(60℃以下)の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む低温(60℃以下)の溶液を用いて煮繭を行う。以下に、水のみを用いた例を示す。
まず、約58℃の水とカイコの白繭(錦秋×鐘和)あるいは黄白繭(メスの黄色の繭)を浣腸器に入れ、実施例2と同様に繭腔内に溶液を浸透させた。その後、すぐに繰糸を行い、繭糸を得た。その結果を図18に示す。また、約58℃の水とカイコの白繭(錦秋×鐘和)をペットボトルに入れ、実施例3と同様に繭腔内に溶液を浸透させた。その後、すぐに繰糸を行い、繭糸を得た。その結果を図19に示す。
カイコの繭糸を利用した紙の作製
本発明を用いてカイコの白繭(錦秋×鐘和)、また黄白繭(メスの黄色の繭)から得られた繭糸を、それぞれ1cm以下になるように切り、よくほぐれた状態にして、室温で水に分散させた。そこに、練りとでんぷんのりを加えてよく混ぜあわせてから、そのまま室温で紙すきを行った。その後、室温のまま、よく乾燥させて、紙とした。その結果を図20に示す。
アルカリ剤の再利用
本発明の一部の実施例で利用した3.0%重曹水をそのままスポンジにつけ、流しを掃除したところ、汚れがとれ、十分に洗浄効果があることがわかった。
密閉した容器で容器内の容積を変えることで繭の中へ液体を浸透させる方法を示す図である。 容器内の溶液はアルカリ剤、界面活性剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤、界面活性剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(処理前の浸漬なし)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤、界面活性剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(処理前・後の浸漬なし)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(処理前の浸漬なし)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸(処理前・後の浸漬なし)を示す写真である。 密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭の中への液体の浸透法を示す図である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭糸(処理前の浸漬なし)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭糸(処理前・後の浸漬なし)を示す写真である。 アルカリ剤を含む溶液に長時間つけることを利用した繭糸を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤、界面活性剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した黄色の繭からの繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した黄色の繭からの繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 容器内の溶液はアルカリ剤が入った水溶液を利用し、密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した黄色の繭からの繭糸(浸漬あり)を示す写真である。 アルカリ剤を含む溶液に長時間つけることを利用した黄色の繭からの繭糸を示す写真である。 通常の煮沸法を利用した黄色の繭からの繭糸を示す写真である。 水のみを利用し、密閉した容器で容器内の容積を変えることを利用した繭糸を示す写真である。 水のみを利用し、密閉した容器への加圧と容器の弾性力を利用した繭糸を示す写真である。 得られた繭糸を利用して作製した紙を示す写真である。

Claims (11)

  1. 繭と60℃以下の液体を容器の中に入れ、密閉し、容器内の容積を増加および減少させることにより、真空装置を用いることなく繭の中から気体を出し、繭腔内に液体を浸透させる方法。
  2. 繭と60℃以下の液体を弾性力のある容器の中に入れ、密閉し、容器を加圧したり、加圧をやめたときに容器がもとの形に戻ったりすることを利用し、真空装置を用いることなく繭の中から気体を出し、繭腔内に液体を浸透させる方法。
  3. 繭をアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中に一晩以上つけることで、高温の煮繭をせずに、真空装置を用いることなく繰糸できる繭、真綿あるいは紙の原料の繊維にする方法。
  4. 請求項1~3の少なくとも1つを利用し、繭を生糸とする方法。
  5. 請求項1~3の少なくとも1つを利用し、着色繭を60℃以下で色落ちを抑えて生糸、真綿、あるいは紙とする方法。
  6. 下記(a)~(f)の工程、あるいは(a)~(f)の一部の工程を含む、全工程を60℃以下で行う請求項4または請求項5に記載の方法;
    (a)繭を60℃以下の水、あるいはアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液に浸漬する工程、
    (b)工程(a)を省略した繭、または工程(a)の繭を60℃以下の水、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素等の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液中で請求項1~3の少なくとも1つを行う工程、
    (c)工程(b)の繭を60℃以下の水、あるいは水にアルカリ剤、界面活性剤、酵素、界面活性剤の少なくとも1つを含む60℃以下の溶液に浸漬する工程、
    (d)工程(b)または工程(c)の繭、あるいは工程(b)または工程(c)の繭を水で浸漬した後の繭を60℃以下の条件下で繰糸する工程、
    (e)工程(d)により繰糸された生糸を揚げ返し後、水で洗浄してから、生糸を乾燥する工程、
    (f)工程(d)、あるいは(e)の生糸を精練し、練糸にする工程。
  7. 請求項1~6の少なくとも1つをすることにより、遺伝子改変により発現したタンパク質を含め、繭のタンパク質の変性を抑えて、繭のタンパク質の性質を損なうことなく繰糸する方法。
  8. 請求項1~7の少なくとも1つを利用した糸取りキット。
  9. 請求項1~8の少なくとも1つを利用した紙の製法。
  10. 請求項1~9の少なくとも1つを利用した紙作製キット。
  11. 請求項1~10の少なくとも1つを利用して得られる紙、色素、変性していない繭タンパク質、生糸、練糸、その生糸あるいは練糸から得られる製品。
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