JP7004208B2 - 熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Description
ただし、フェライト系のステンレスどうしは、本来的にロウ付け性が悪いことに加え、
側板部および伝熱管の双方を同材質とし、線膨張係数も同一にすると、既述したように、ロウ付け用の加熱時に、貫通孔の内周面と伝熱管の外周面との間に隙間を生じさせることも困難となる。したがって、熱交換器の各所をフェライト系のステンレス製とした場合には、伝熱管のロウ付けを的確に行なう上で、とくに苦慮するものとなっているのが実情である。
すなわち、熱交換器中間品におけるケースの側板部の外面側領域および内面側領域のいずれか一方にロウ材を設定しておき、ロウ付け工程において、溶融ロウ材の一部を、切欠部を介して外面側領域および内面側領域の他方に流れさせるため、側板部の外面側領域および内面側領域の双方の領域において、貫通孔の周縁部に伝熱管を適切にロウ付けすることが可能となる。その結果、伝熱管がケースの側板部の外面側領域または内面側領域においてのみロウ付けされる場合と比較すると、伝熱管のロウ付け強度を高めることができる。側板部の外面側領域および内面側領域の双方にロウ材を設定する必要はなく、いずれか一方の領域のみにロウ材を設定すればよいため、ロウ材設定作業の融通性にも優れたものとなる。ロウ材設定作業の容易化、および時間の短縮化などを図ることより、熱交換器の生産性を良好にすることも可能である。
また、側板部および伝熱管が、ともにフェライト系ステンレス製である場合には、材質の特性により、および線膨張係数が同一であることにより、本来的に、ロウ付け性が劣るものとなる。これに対し、本発明によれば、既述したように、側板部の外面側領域および内面側領域の双方において、伝熱管をロウ付けすることができるため、そのロウ付け強度を十分に高くすることが可能である。
さらに、ロウ付け工程を終えた段階において、切欠部の内側にロウ材が存在しない空隙部が発生しないようにし、空隙部に起因する接合強度の低下を招かないようにすることが可能である。
すなわち、ケースの側板部の線膨張係数が、伝熱管の線膨張係数以下である場合には、
ロウ付け工程の加熱時において、側板部の貫通孔の内周面と伝熱管の外周面との間に、熱膨張差に起因する隙間は生じない。このため、そのような隙間を利用して、溶融ロウ材を側板部の外面側領域および内面側領域の一方から他方に流れさせることはできず、それら両領域において伝熱管のロウ付けを行なうことは本来的に困難である。これに対し、本発明によれば、切欠部を利用して溶融ロウ材を前記両領域の一方から他方に流れさせることにより、前記したロウ付けの困難さを適切に解消することが可能である。
すなわち、ケース1は、左右両端が開口した筒状のケース本体部10と、このケース本体部10の両端の開口部を塞ぐようにケース本体部10に接合される一対の側板部11,11aとを備えている。ケース本体部10には、燃焼ガス用の給気口10aおよび排気口10bが設けられている。給気口10aからケース本体部10内に流入した燃焼ガスは、各伝熱管2に作用した後に排気口10bを通過して外部に排気される。各伝熱管2は、たとえば蛇行状伝熱管であり、上下高さ方向に適当な配列ピッチで積層したかたちでケース1内に収容されている。ただし、複数の伝熱管2のそれぞれの一端部は、側板部11に設けられた複数の貫通孔12に挿通し、側板部11の外方に引き出されている。一対のヘッダ部材14は、側板部11に接合されており、一方のヘッダ部材14は、入水用ヘッダ部を構成し、入水口14aに供給されてきた湯水を複数の伝熱管2内に流れ込ませる。他方のヘッダ部材14は、出湯用ヘッダ部を構成し、複数の伝熱管2を通過してきた湯水を出湯口14bから外部に出湯させる。
方において、伝熱管2の外周面の全周に沿って設けられており、伝熱管2の外周面の全周と貫通孔12の周縁部の全周とを接合している。好ましくは、切欠部13の内側には、空隙部が存在しないようにロウ材3が詰まった状態とされている。
この熱交換器中間品Aaは、図1および図2を参照して説明した熱交換器Aと比較すると、各部のロウ付けが図られていない点が相違している。より具体的には、図4に示すように、側板部11には、貫通孔12に連通した切欠部13が設けられているが、側板部11への伝熱管2のロウ付けは未だ図られていない。また、図3において、ケース本体部10への側板部11,11aのロウ付けも未だ図られていない。一対のヘッダ部材14については、側板部11に仮固定しておくことにより、側板部11へのロウ付けを他の部分のロウ付けと同時に行なうことは可能であるが、他の部分のロウ付けを終えた後に、側板部11に溶接することも可能である。
熱交換器中間品Aaは、前記した構成以外については、熱交換器Aと同様な構成である。したがって、その説明は省略する。
ることができる。伝熱管2および側板部11は、ともにフェライト系ステンレスであるため、その材質的な特性により、本来的には、ロウ付け性は良好ではない。また、伝熱管2および側板部11の線膨張係数は同一であるため、ロウ付け時に伝熱管2と側板部11との熱膨張の差に基づいて、伝熱管2の外周面と貫通孔12の内周面との間に、溶融ロウ材3”が通過する隙間を生じさせることも困難である。これに対し、本実施形態によれば、切欠部13を利用して、側板部11の外面側領域Saおよび内面側領域Sbの双方において伝熱管2と側板部11とを広面積でロウ付けすることができるため、十分なロウ付け強度を確保することが可能である。
同図に示す切欠部の高さ、および切欠部の幅は、図5に示す切欠部13の高さH、および幅Lにそれぞれ相当する。切欠部13の形状は、図5に示すような滑らかな形状とした。図7に示す試験は、伝熱管2の外径が8.0mm、厚みが0.3mm、側板部11の厚みが0.5mmである。
この試験では、切欠部13の高さが0.18~0.70mm、切欠部13の幅が1.00~1.70mmの範囲の場合に、良好なロウ付けがなされる結果が得られた。切欠部13の高さおよび幅が、前記の範囲よりも小さい場合には、側板部11の内面側領域Sbにロウ材3が設けられず、またはロウ材3が不足状態となる。これとは反対に、切欠部13の高さおよび幅が、前記の範囲よりも大きい場合には、切欠部13内に空隙部が発生した。
ただし、本発明は、前記した範囲に限定されない。
同図においては、伝熱管2の上側に位置する切欠部13に加え、これよりも低い位置であって、伝熱管2の最下部よりも高い位置に追加の切欠部13aをさらに設けている。
このような構成によれば、切欠部13の形成箇所に設けられたペースト状のロウ材3’が溶融した際に、このロウ材3’が伝熱管2の最下部まで到達しなくても、追加の切欠部13aの形成箇所に設けられたペースト状のロウ材3’が溶融することによって、これを伝熱管2の最下部まで到達させることができる。したがって、伝熱管2の外周面の全周にロウ材3(3’,3”)を廻り込ませることが確実化される。
本実施形態から理解されるように、切欠部13は、複数箇所設けた構成とすることもできる。
切欠部は、図5に示したように、できる限り滑らかな形状とすることが好ましいが、その具体的な形状も限定されない。切欠部の具体的なサイズや数などを種々に変更し得ることは、既に述べたとおりである。ロウ材の具体的な材質、種類も限定されない。
Aa 熱交換器中間品
1 ケース
11 側板部
12 貫通孔
13 切欠部
2 伝熱管
3 ロウ材(固化状態の)
3’ ロウ材(ペースト状の)
3” ロウ材(溶融ロウ材)
Claims (5)
- 側板部を含むケースと、このケース内に収容され、かつ前記側板部に設けられた貫通孔に挿通されて一部が前記側板部の外方に引き出された伝熱管と、を備えており、前記側板部および前記伝熱管が、ともにフェライト系ステンレス製である熱交換器中間品を準備し、
この熱交換器中間品のうち、前記伝熱管の外周面を前記貫通孔の周縁部にロウ付けするロウ付け工程を有している、熱交換器の製造方法であって、
前記熱交換器中間品は、前記貫通孔に連通する凹状の切欠部が、前記側板部に貫通して設けられた構成としておき、
前記ロウ付け工程においては、前記切欠部が前記伝熱管の上側に位置する姿勢に前記熱交換器中間品を設定し、かつ前記側板部の外面側および内面側の一方の領域における前記伝熱管の上面部上にロウ材を設定した状態で、このロウ材を加熱し、この加熱により溶融した溶融ロウ材の一部を、前記切欠部を介して前記側板部の外面側および内面側の他方の領域における前記伝熱管の上面部上に導くことにより、前記側板部の外面側および内面側の双方の領域において、前記溶融ロウ材を前記伝熱管の上面部から外周面下部側に廻り込ませるとともに、
前記切欠部内には、前記溶融ロウ材を隙間なく満たすことを特徴とする、熱交換器の製造方法。 - 請求項1に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記側板部の線膨張係数は、前記伝熱管の線膨張係数以下である、熱交換器の製造方法。 - 請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記切欠部は、前記貫通孔に対して1つのみ設けておき、
前記ロウ付け工程においては、前記ロウ材として、ペースト状のロウ材を用いる、熱交換器の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器の製造方法であって、
前記熱交換器中間品は、前記貫通孔、前記伝熱管、および前記切欠部として、複数の貫通孔、複数の伝熱管、および複数の切欠部を備えており、
前記複数の貫通孔のそれぞれにおける前記複数の切欠部の個々の配置は、同一の配置に揃えられており、
前記ロウ付け工程において、前記ロウ材を加熱溶融させるときには、前記複数の切欠部を前記複数の伝熱管の上側に位置する状態に設定しておく、熱交換器の製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器の製造方法であって、
前記伝熱管の外径は、6~20mm、前記側板部の厚みは、0.5~1.0mm、前記貫通孔の内径は、前記伝熱管の外径と同一寸法であり、
前記切欠部の高さは、0.18~0.70mm、前記切欠部の幅は、1.00~1.70mmである、熱交換器の製造方法。
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