JP7002306B2 - タービンホイール、ターボチャージャー及びタービンホイールの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、TiAL製タービンホイールと炭素鋼製シャフトとをNiろう材によって接合したタービンローター備えるエンジン用過給機が記載されている。この特許文献1に記載のタービンローターは、ろう付け位置をタービンホイールの背面から遠ざけて排ガス温度によるろう付け部分の強度低下を防止するようにしている。
その一方で、曲げ剛性等を確保するようにタービン動翼の後縁翼厚を増加させると、この後縁において翼厚増加によるウェイクが発生して空力性能が低下してしまうという課題がある。
この発明の第一態様によれば、タービンホイールは、ハブと、タービン動翼とを備える。ハブは、軸線回りに回転可能とされ、軸線方向の第一側から第二側に向かうにしたがって前記軸線を中心とした径方向で漸次前記軸線に近づくように形成された凹曲面状のハブ面を有する。タービン動翼は、前記ハブ面から前記ハブ面と交差する方向に延びて前記軸線を中心とした周方向に間隔をあけて複数配置されている。これらタービン動翼は、前縁部と後縁部と、シュラウド部とを備えている。前縁部は、前記軸線方向の第一側に設けられて前記径方向の外側から作動流体が流入する。後縁部は、前記軸線方向の第二側に設けられて前記軸線に沿うように前記第二側に作動流体が流出する。前記シュラウド部は、前記ハブ面とは反対側の前記前縁部及び前記後縁部の端部同士を繋いている。前記タービン動翼は、前記前縁部を含む前記前縁部側の領域に、前記後縁部のハブ側の領域よりも気孔率の高い高気孔率部を備えている。
高温の作動流体は、タービンホイールに対してタービン動翼の前縁部から流入して後縁部から流れ出る。作動流体は、膨張仕事により後縁部では温度低下するため、後縁部は、主に前縁部からの伝熱により温度上昇する。しかし、第一態様では前縁部を含む前縁部側の領域に高気孔率部を備えている。高気孔率部は、後縁部よりも気孔率が高いため、前縁部から後縁部への伝熱を抑制して、後縁部の温度を低下させることができる。したがって、後縁翼厚を増加させることなしにタービン動翼の後縁部における高温強度を確保して空力性能が低下することを抑制することができる。
このように構成することで、高気孔率部がタービン動翼の表面に露出することを抑制できるため、タービン動翼の表面が粗くなり作動流体の流れが乱れることを抑制できる。
このように構成することで、トラス構造の内部に空隙が形成されるので、気孔率を高めて高気孔率部における熱伝導性を低下させることができる。さらに、トラス構造により翼面の遠心応力に対して必要な剛性を確保することができる。
このように構成することで、シュラウド部を含む領域の密度を低下させることができるため、タービン動翼のシュラウド部側の重量を低減できる。そのため、遠心力等により後縁部のハブ側翼面に掛かる曲げ応力を低減できる。また、後縁部のハブ側の領域を高気孔率とする場合と比較して、後縁部のハブ側の領域の剛性が低下することを抑制できる。
このように構成することで、より高温の作動流体を利用できるため、ターボチャージャーの性能向上を図ることができる。
このようにすることで、上記高気孔率部を有するタービンホイールを容易に製造することができる。
次に、この発明の第一実施形態におけるタービンホイール、ターボチャージャーを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるターボチャージャーの概略構成図である。
図1に示すように、ターボチャージャー1は、軸受部Bと、タービン部Tと、コンプレッサ部Pと、を備えている。ターボチャージャー1は、例えば、自動車等の車両や、船舶等の内燃機関の補機として用いられる。このターボチャージャー1は、作動流体であるエンジン(図示せず)の排気ガス流の熱エネルギーをタービン部Tにより回転エネルギーに変換する。このタービン部Tで変換された回転エネルギーは、軸受部Bに支持された回転軸2を介してコンプレッサ部Pに伝達される。コンプレッサ部Pは、この伝達された回転エネルギーを利用して空気を圧縮する。このコンプレッサ部Pで圧縮された空気は、給気としてエンジン(図示せず)に供給される。図1に示す一点鎖線は、回転軸2の中心軸(軸線)Cを示している。以下の説明において、回転軸2の中心軸Cが延びる軸線方向を「軸線方向Da」、中心軸Cを中心とした径方向を「径方向Dr」、中心軸Cを中心とした周方向を「周方向Dc」と称する。
軸受3は、軸受ハウジング4の内部に配置され回転軸2を回転自在に支持する。この実施形態における軸受3は、軸線方向Daに間隔を空けた複数箇所で回転軸2を支持している。軸受ハウジング4は、回転軸2および軸受3を外側から覆うように形成されている。この実施形態で例示する軸受部Bは、流体膜を形成する流体軸受けであって、軸受ハウジング4は、その内部に、潤滑用の流体を外部から軸受3に供給するための流体流路を備えている。ここで、詳細説明は省略するが、軸受部Bは、更に、回転軸2のスラスト方向の荷重を受ける、いわゆるスラスト軸受に相当する構成も備えている。
入口流路形成部61は、空気をコンプレッサホイール収容部62に案内する流路を形成する。入口流路形成部61は、中心軸Cを中心とした管状に形成され、その内部空間が、コンプレッサホイール収容部62の内部空間と連通している。
コンプレッサスクロール部63は、コンプレッサホイール収容部62の径方向Drの外側に配置され、コンプレッサホイール収容部62と径方向Drで連通されている。
タービンホイール7は、径方向Drの外側から流入した排気ガスを軸線方向Daの第二側に向けて流す、いわゆる半径流タービンを構成するタービンホイールである。タービンホイール7は、周方向Dcに間隔を空けて配置された複数のタービン動翼71を備えている。このタービンホイール7は、回転軸2の第二端部2bに一体に設けられている。つまり、タービンホイール7が中心軸Cを中心として回転することで、このタービンホイール7と共に、回転軸2と、コンプレッサホイール5とが中心軸C回りに一体に回転する。なお、タービンホイール7と回転軸2とによりタービンローターTrが構成されている。
タービンスクロール部81は、タービンホイール収容部82の径方向Drの外側に配置され、周方向Dcに延びている。このタービンスクロール部81は、タービンホイール収容部82と径方向Drで連通されている。
図2に示すように、タービンホイール7は、ハブ70と、複数のタービン動翼71とを備えている。
ハブ70は、軸線方向Daから見て円形の円盤状に形成されている。ハブ70は、ハブ面72を有している。このハブ面72は、軸線方向Daの第一側(図2中、左側)から第二側(図2中、右側)に向かうにしたがって径方向Drで漸次中心軸Cに近づく凹曲面状に形成されている。この実施形態で例示するハブ面72は、軸線方向Daの最も第一側において中心軸Cと直交する方向に延び、軸線方向Daの最も第二側において軸線方向Daに延びる凹曲面に形成されている。ハブ70は、上記形状のハブ面72を有することで、軸線方向Daの第一側から第二側に向かうにしたがって、径方向Drの厚さ寸法が減少し、この厚さ寸法の減少率が、軸線方向Daの第一側から第二側に向かうにしたがって漸次低下している。
このように形成されたタービン動翼71は、軸線方向Daの第一側から第二側に向かうにしたがって漸次翼高さ方向の寸法が増加している。
高気孔率部77は、タービン動翼71の前縁部73から中間部78にまで至る領域に形成されている。この第一実施形態において例示する高気孔率部77は、タービン動翼71の前縁部73を「0」、後縁部74を「1」とした翼長さの無次元値で0から0.5の領域に形成されている。しかし、中間部78の位置は、上述した位置に限られず、例えば、無次元値で0.5よりも小さい位置(但し、無次元値で0よりも大きい)に中間部78を設定するようにしても良い。
図3は、この発明の第一実施形態における回転機械のケーシングの製造方法のフローチャートである。
この第一実施形態におけるタービン動翼71は、例えば、ニッケル基合金等の金属材料を用いて金属積層法により製造される。
図3に示すように、金属積層法は、材料粉を所定厚さに敷き詰めて材料粉層を形成する工程S1と、材料粉層に溶融ビームを照射する工程S2と、を順次繰り返す。
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態に対して、高気孔率部の配置が異なるだけである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、ターボチャージャー全体の詳細説明については省略する。
図4は、この発明の第二実施形態における図2に相当する断面図である。図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。
ハブ70は、第一実施形態のハブ70と同様の構成であり、軸線方向Daから見て円形の円盤状に形成されている。また、ハブ70は、ハブ面72を有しており、このハブ面72が、軸線方向Daの第一側から第二側に向かうにしたがって径方向Drで漸次中心軸Cに近づく凹曲面状に形成されている。
このように形成されたタービン動翼271は、軸線方向Daの第一側から第二側に向かうにしたがって漸次翼高さ方向の寸法が増加している。
この高気孔率部277は、タービン動翼271の前縁部73から中間部78にまで至る領域に形成されている。この第二実施形態において例示する高気孔率部277は、第一実施形態と同様に、タービン動翼271の前縁部を「0」、後縁部を「1」とした翼長さの無次元値で0から0.5の領域に形成されている。
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。この第三実施形態は、上述した第一実施形態に対して、高気孔率部の形状が異なるだけである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、ターボチャージャー全体の詳細説明については省略する。
図6は、この発明の第三実施形態における高気孔率部の断面図である。
図6に示すように、この第三実施形態におけるタービン動翼371は、高気孔率部377を備えている。この高気孔率部377は、第一、第二実施形態と同様に前縁部73、後縁部74、シュラウド部75及び基部76を有したタービン動翼371の前縁部73を含む領域に形成されている。そして、高気孔率部377は、タービン動翼371の前縁部73から中間部78にまで至る領域に形成されている。この第三実施形態において例示する高気孔率部377も、第一、第二実施形態と同様に、タービン動翼371の前縁部73を「0」、後縁部74を「1」とした翼長さの無次元値で0から0.5の領域に形成されている。そして、この第三実施形態における高気孔率部377は、タービン動翼371においてその厚さ方向の全域に形成されている。
次に、この発明の第四実施形態を図面に基づき説明する。この第四実施形態は、上述した第一実施形態に対して、高気孔率部の形成される範囲が拡張されているだけである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、ターボチャージャー全体の詳細説明については省略する。
図7は、この発明の第四実施形態における図2に相当する断面図である。
タービン動翼471は、前縁部73を含む領域に、少なくとも後縁部74の基部側(言い換えれば、ハブ面72に近い側)の領域よりも気孔率の高い高気孔率部477を備えている。
例えば、上述した各実施形態では、タービンホイールをターボチャージャーに適用する場合について説明したが、ターボチャージャー以外のタービンに適用しても良い。
2 回転軸
2a 第一端部
2b 第二端部
2n ネジ部
3 軸受
4 軸受ハウジング
5 コンプレッサホイール
6 コンプレッサハウジング
7,207,407 タービンホイール
8 タービンハウジング
21 ナット
61 入口流路形成部
62 コンプレッサホイール収容部
63 コンプレッサスクロール部
71 タービン動翼
70 ハブ
71,271,471 タービン動翼
72 ハブ面
73 前縁部
74 後縁部
75 シュラウド部
76 基部
77,277 高気孔率部
78 中間部
79,279 低気孔率部
81 タービンスクロール部
81a スクロール入口
82 タービンホイール収容部
83 ディフューザ
Claims (5)
- 金属材料からなるタービンホイールであって、
軸線回りに回転可能とされ、軸線方向の第一側から第二側に向かうにしたがって前記軸線を中心とした径方向で漸次前記軸線に近づくように形成された凹曲面状のハブ面を有するハブと、
前記ハブ面から前記ハブ面と交差する方向に延びて前記軸線を中心とした周方向に間隔をあけて複数配置されたタービン動翼と、を備え、
前記タービン動翼は、
前記軸線方向の第一側に設けられて前記径方向の外側から作動流体が流入する前縁部と、
前記軸線方向の第二側に設けられて前記軸線に沿うように前記第二側に作動流体が流出する後縁部と、
前記ハブ面とは反対側の前記前縁部及び前記後縁部の端部同士を繋ぐシュラウド部と、を有し、
前記前縁部を含む前記前縁部側の領域に、前記後縁部のハブ側の領域よりも気孔率の高い高気孔率部を備え、
前記高気孔率部は、前記タービン動翼の内部に形成され、前記タービン動翼の厚さ方向で前記高気孔率部の気孔率よりも低い低気孔率部に挟まれた
タービンホイール。 - 前記高気孔率部は、トラス状に形成されている請求項1に記載のタービンホイール。
- 前記高気孔率部は、前記前縁部から前記後縁部に渡る前記シュラウド部を含む前記タービン動翼の先端部側の領域に形成されている請求項1又は2に記載のタービンホイール。
- 請求項1から3の何れか一項に記載のタービンホイールを備えるターボチャージャー。
- 請求項1から3の何れか一項に記載のタービンホイールを同種金属による金属積層法により製造する工程を含むタービンホイールの製造方法。
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