JP2016037901A - 羽根車 - Google Patents

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茂隆 森田
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義弘 中道
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Abstract

【課題】
必要な強度を確保しつつ慣性力を低減できるタービンホイール等の羽根車を提供する。
【解決手段】
本発明は、頂部と、底部と、前記頂部から前記底部に向かって末広がりの回転対象形状を有するハブ面部と、ハブ面部に設置されたブレード部とを具備する羽根車であって、ブレード部とハブ面部を含むシェル部と、該シェル部の内側にあって該シェル部よりも密度の低いコア部とが積層造形されてなる羽根車であり、好ましくは、シェル部の相対密度は99%以上、コア部の相対密度は30%以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ターボチャージャー等に用いられる羽根車に関するものである。
流体の持つエネルギーを回転エネルギーとして回収したり、流体を圧縮したりするのに種々の羽根車が使用されている。
例えば自動車等に用いられる過給気、いわゆるターボチャージャーにおいては、排気側のタービンホイールと、吸気側のコンプレッサホイールとがロータ軸で接続された構成を有しており、排気ガスでタービンホイールを駆動して、コンプレッサホイールで吸気されたエアを圧縮するものである。
このうちタービンホイールは、高温の排気ガスに晒されるため、ニッケル基超耐熱合金が一般的に使用されている。代表的には、Alloy713Cが挙げられ、その改良合金も種々知られている。また軽量化のためにTi−Al系金属間化合物の適用も提案されている。(特許文献1参照)
また、タービンホイールを得る方法は、一般的にはロストワックス法が用いられている。ロストワックス法は、製品形状をした消失模型の表面をセラミックスで覆い。これを焼成することで、製品形状のキャビティを形成し、ここに合金溶湯を注湯して鋳造により製品を得る手法である。これ以外にも、製品と相似形状のキャビティを形成した金型に、樹脂と混練した金属粉末を射出して成形し、脱脂、焼結を経て製品を得る金属射出成形法(MIM法)の適用の提案もある。(特許文献2参照)
また、最近の発表では、タービンホイールの製造への3Dプリンタの適用も紹介されている。(非特許文献1参照)
特開2000−169924号公報 特開2011−174096号公報
インターネット<URL: http://J3D.jp>
最近の提案である3Dプリンタの金属材料への適用技術は、レーザ等による積層造形法と呼ばれる技術である。この技術は、レーザ等により金属粉末を実質的な二次元平面上で焼結または溶融させ、これを積み上げていくことで三次元形状を得るものである。そのため、金型を使う場合に問題となるアンダーカットといった問題が発生せず、極めて複雑な形状もCADデータから製造できるという利点があり、タービンホイール等の羽根車の製造にも有用であると考えられる。
ところで、例えばタービンホイールは、使用条件として、10万rpm以上、1000℃以上の高温に晒される場合がある。そのため、高回転かつ高温下における、遠心力とブレードに掛かる流体からの応力に耐えうる強度が必要である。上述したニッケル基超耐熱合金は、その特性を満足するものであるが、密度が大きいため慣性力が大きく、ターボチャージャーとしての応答性が低いという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑み、必要な強度を確保しつつ慣性力を低減できる羽根車を提供することを目的とする。
本発明者等は、積層造形法を応用して羽根車の構造から慣性力を低減できる構造を見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、頂部と、底部と、前記頂部から前記底部に向かって末広がりの回転対称形状を有するハブ面部と、ハブ面部に設置されたブレード部とを具備する羽根車であって、ブレード部とハブ面部を含むシェル部と、該シェル部の内側にあって該シェル部よりも密度の低いコア部とが積層造形されてなる羽根車である。
本発明において、好ましくは、シェル部の相対密度は99%以上、コア部の相対密度は30%以上とする。
また、本発明において、羽根車の頂部および/または底部中央部にはコア部に通じる通気孔部が形成されていることが好ましい。
本発明の羽根車は、必要な強度を確保しつつ慣性力を低減できるため、例えばタービンホイールとして適用すれば応答性の高いターボチャージャーを提供できる。
本発明に係るタービンホイールの外観を示す斜視図である。 本発明に係るタービンホイールの一例を示す縦・横断面図である。 本発明に係るタービンホイールの他の一例を示す縦・横断面図である。 本発明に係るタービンホイールの他の一例を示す縦断面図である。 従来のタービンホイールの縦断面図である。 内部を中空にした比較例のタービンホイールの縦断面図である。
本発明の重要な特徴の一つは、羽根車として、シェル部と、該シェル部の内側にあって該シェル部よりも密度の低いコア部とを有する構造を採用したことである。
この構造は、密度の高いシェル部によって、例えばタービンホイールでは高温・高回転時の遠心力によるクリープ破断や変形を抑制しつつ、内部は密度を下げて慣性モーメントを下げるという効果を発揮してターボチャージャーとしての応答性の課題を解決することができる。
以下、本発明を、図面を使用して詳しく説明する。なお、本発明は、以下の形態に限られるものではない。
まず、本発明に係るタービンホイールの典型的な外観を図1に示す。ここで図1(a)および図1(b)は、タービンホイールの軸に対する角度を変えた斜視図である。なお、図1の外観は、従来のタービンホイールと同様である。
図1のタービンホイール1は、頂部2と、底部3と、前記頂部から前記底部に向かって末広がりの回転対称形状を有するハブ面部4と、ハブ面部4に設置されたブレード部5と、底部3の中央部にあってロータ軸との接続部となるリング状凸部6とを具備するものである。
本発明のタービンホイールの断面図の一例を図2に示す。ここで図2(a)は、タービンホイールの軸方向の断面図(縦断面図)であり、断面部以外の部分は省略している。また、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図(横断面図)であり、断面部と底部3の輪郭以外は省略している。
図2に示す本発明のタービンホイール1は、ブレード部5とハブ面部4を含むシェル部7と、該シェル部7の内側にあって、格子状の骨格9と空隙とで構成される該シェル部7よりも密度の低いコア部8とを有している。
従来のタービンホイールは、前述したとおり、例えば図1の外観を有しているが、図2(a)に対応する縦断面図は図5に示すように中実となっている。そのため、慣性力が大きく、ターボチャージャーとしての応答性に問題があった。これに対して図1および図2に示す本発明に係るタービンホイールは、コア部8をシェル部7より密度を低いものとすることで、慣性力を低減して、ターボチャージャーとしての応答性を改善できるものである。
また、本発明の範疇からは、シェル部7だけで構成される完全中空形状の羽根車は除かれる。この羽根車は、例えば図1の外観を有しているが、図2(a)に対応する縦断面図は図6に示すようにコア部がなく中空となっている羽根車である。このようにシェル部7だけの構成をもつ羽根車では、慣性力は低減できるものの、強度が低下するため、ブレード部5が受ける遠心力に対して本発明のようにコア部8が存在するものよりも不利となる。
本発明のタービンホイールは断面図の別の例を図3に示す。図3は図2の例よりもコア部8の骨格を細くして密度を下げたものである。
骨格を細くしていくと、密度を下げて慣性力を低減することができるが、反面、強度は低下することになる。コア部8の密度の設定は、タービンホイールの使用条件に合わせて適宜設定することが好ましい。コア部8の形態としては、図2や図3のように直方体の辺に対応する骨格を持つ形態に限らず、直方体の面に対応する骨格、あるいはトラス形状の骨格、あるいはポーラスな焼結体の形態でも良い。なお、コア部8の強度を維持して、密度を下げるためには、梁を形成する骨格を具備する形態が好ましい。
本発明においては、応力が集中するシェル部の強度はできるだけ高いほうがよく、相対密度は99%以上とすることが好ましい。また、コア部の相対密度も低すぎると強度不足になるため、相対密度は50%以上であることが好ましい。なお、好ましいコア部の相対密度は、50〜 80%である。
また、本発明において、コア部の間隙に気体が残留していると、その気体は、使用時の温度変化により、コア部内で膨張あるいは収縮する。タービンホイールに通気性がない場合、気体の膨張と収縮により、タービンホイールが変形したり破損したりする恐れがある。そのため、図4に示すように、コア部がタービンホイールの頂部および/または底部中央部にはコア部に通じる通気孔部10を形成することが好ましい。ここで、頂部や底部中央部は、応力を受け難いため、好ましい形成部位となる。特に頂部は、ロータ軸と接合される部位を避ける必要も無いため、好適である。
本発明のコア部8においては、図2に示すような略均一な格子構造にする必要はなく、コア部において密度を変えることができる。例えばタービンホイールの半径方向の中心部は、応力が低いため、シェル部側よりも中心部の密度をより下げた構造とすることもできる。この構造によれば、さらに慣性力を低減することができる。なお、密度の調整は、コア部に必要な強度確保の観点から、コア部を構成する骨格の構造も考慮して行なうことが望ましい。
本発明の羽根車は積層造形法で製造することができる。積層造形法では一層ごとに粉末を焼結または溶融させるため、高密度のシェル部、低密度のコア部はレーザ出力等の造形条件の調整によって一体で成形が可能である。具体的には、レーザの走査範囲を図2(b)の断面にある二次元形状として、高さ方向に二次元形状を変えて積層していくことで、シェル部とコア部とを形成することができる。また、高照射強度のレーザを照射して高密度のシェル部を造形したのち、低密度のレーザを照射して焼結密度として低密度のコア部を造形し、これを積層していくことで形成することもできる。なお、照射する熱源はレーザに限らず、電子ビーム等でも可能である。
また、本発明をタービンホイールに適用する場合には、材質としてはAlloy713C、GMR235、MAR−M246等のNi基超耐熱合金やTiAl金属間化合物合金、およびそれらの改良合金、ならびにセラミックス等を用いることができる。
図1に示す外観のタービンホイールの積層造形モデルを種々作製して、下記ターボ運転条件で解析を行ない、従来の相対密度99%以上の中実形状のモデル(比較例1)に対して比較検討をおこなった。共通の条件以下に示すとともに、各実施例、比較例の条件の細部と解析結果を表1および表2に示す。なお、通気孔部を形成する場合は、図2に示すように頂部および/または底部の中心に直径10mmのシェル部を貫通する通気孔部を形成した。
[条件]
タービンホイール形状および材質
タービンホイール形状 頂部直径:20mm、ブレード部最大径:57mm、高さ:39mm
シェル部半径方向厚さ 2mm、1mm
シェル部相対密度 99%以上
コア部メッシュ開口長 2mm
タービンホイール材料 Alloy713C
ターボ運転条件
ターボ回転数 100,000rpm
タービンホイール温度 900℃
(実施例1)
半径方向のシェル部厚さを頂部外径の1/10の2mmとして、コア部のメッシュ形状の開口幅を2mm、最少肉厚を1.17mmとしてコア部の相対密度を75%としたAlloy713Cのタービンホイールで、中実形状の比較例1に対し質量は10%減、慣性モーメントは3%減となり、発生応力は最大で14%増、半径方向変位は7%増である。
(実施例2)
実施例1と同様にして、コア部の相対密度を50%としたタービンホイールで、比較例1に対し質量は20%減、慣性モーメントは7%減となり、発生応力は最大で31%増、半径方向変位は19%増である。
(実施例3)
実施例1と同様にして、半径方向のシェル部厚さを頂部外径の1/20の1mmとしたタービンホイールで、比較例1に対し質量は14%減、慣性モーメントは6%減となり、発生応力は最大で16%増、半径方向変位は15%増である。
(実施例4)
実施例2と同様にして、頂部と底部にコア部につながる通気孔部を有するタービンホイールで、比較例1に対し質量は21%減、慣性モーメントは7%減となり、発生応力は最大で33%増、半径方向変位は21%増である。
(比較例2)
半径方向のシェル部厚さを頂部外径の1/10の2mmとして、コア部を中空にしたタービンホイールで、比較例1に対し質量は40%低減、慣性モーメントは14%低減するものの、発生応力は最大3.61倍、半径方向変位は2.23倍となった。
1 タービンホイール
2 頂部
3 ハブ面部
4 底部
5 ブレード部
6 リング状凸部
7 シェル部
8 コア部
9 骨格
10 通気孔部

Claims (3)

  1. 頂部と、底部と、前記頂部から前記底部に向かって末広がりの回転対称形状を有するハブ面部と、ハブ面部に設置されたブレード部とを具備する羽根車であって、ブレード部とハブ面部を含むシェル部と、該シェル部の内側にあって該シェル部よりも密度の低いコア部とが、積層造形されてなることを特徴とする羽根車。
  2. シェル部の相対密度は99%以上、コア部の相対密度は30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
  3. 羽根車の頂部および/または底部中央部にはコア部に通じる通気孔部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の羽根車。
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