以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号伝送システム1の構成を示すブロック図である。信号伝送システム1は、マスター部10と、スレーブ部20と、マスター部10とスレーブ部20との間に設けられた伝送線路30と、を含んで構成されている。本実施形態において、マスター部10は、信号を伝送線路30に送出する送信装置として機能し、スレーブ部20は、マスター部10から送信された信号を受信する受信装置として機能する。なお、マスター部10及びスレーブ部20は、それぞれ、本発明における信号伝送装置の一例である。
伝送線路30は、第1の信号線L1、第2の信号線L2及びクロック信号線L3を含んでおり、マスター部10から送出された信号は、第1の信号線L1及び第2の信号線L2を介してスレーブ部20に伝送される。また、マスター部10から送出されるクロック信号(システムクロック)は、クロック信号線L3を介してスレーブ部20に伝送される。マスター部10及びスレーブ部20は、クロック信号に同期して動作する。
マスター部10は、スレーブ部20に送信すべきデータが入力されるデータ入力端子din及びクロック信号が入力されるクロック入力端子ckinを有する。また、マスター部10は、センスアンプ100m、ロジック回路及びDフリップフロップ(以下D-FFと表記する)13を含んで構成されている。
D-FF13のデータ入力端Dは、データ入力端子dinに接続され、D-FF13のクロック入力端Cは、クロック入力端子ckinに接続されている。D-FF13は、データ入力端Dに入力されるデータ信号の信号値を、クロック入力端Cに入力されるクロック信号の立ち上がりエッジで取り込み保持し、保持している信号値をデータ出力端Qから出力する。
ロジック回路は、3入力のNAND回路11及び12を含んで構成されている。NAND回路11の第1の入力端はD-FF13のデータ出力端Qに接続され、第2の入力端はクロック入力端子ckinに接続され、第3の入力端は、センスアンプ100mの出力端outに接続されている。なお、NAND回路11の第3の入力端には、センスアンプ100mの出力端outから出力される信号値を論理反転させた値が入力される。NAND回路11の出力端は、第1の信号線L1及びセンスアンプ100mの第1の入力端に接続されている。
NAND回路12の第1の入力端はD-FF13のデータ出力端Qに接続され、第2の入力端はクロック入力端子ckinに接続され、第3の入力端は、センスアンプ100mの出力端outbに接続されている。なお、NAND回路12の第1の入力端には、D-FF13のデータ出力端Qから出力される信号値を論理反転させた値が入力される。NAND回路12の第3の入力端には、センスアンプ100mの出力端outbから出力される信号値を論理反転させた値が入力される。NAND回路12の出力端は、第2の信号線L2及びセンスアンプ100mの第2の入力端に接続されている。
センスアンプ100mは、3つの入力端及び2つの出力端out、outbを有する。センスアンプ100mの第1の入力端は、第1の信号線L1に接続されると共に、NAND回路11の出力端に接続され、第2の入力端は、第2の信号線L2に接続されると共に、NAND回路12の出力端に接続され、第3の入力端は、バッファ14を介してクロック入力端子ckinに接続されている。
一方、スレーブ部20は、マスター部10から送信され、スレーブ部20において受信したデータ信号を出力するデータ出力端子doutを有する。また、スレーブ部20は、センスアンプ100s、RSフリップフロップ(以下RS-FFと表記する)21及びD-FF24を含んで構成されている。なお、RSフリップフロップ(以下RS-FFと表記する)21及びD-FF24は、本発明における出力回路の一例である。
センスアンプ100sは、マスター部10に設けられたセンスアンプ100mと同一の構成を有する。すなわち、センスアンプ100sは、3つの入力端及び2つの出力端out、outbを有する。センスアンプ100sの第1の入力端は、第1の信号線L1に接続され、第2の入力端は、第2の信号線L2に接続され、第3の入力端は、クロック信号線L3に接続されている。
RS-FF21は、NOR回路22及び23を含んで構成されている。NOR回路22の第1の入力端は、センスアンプ100sの出力端outに接続され、第2の入力端は、NOR回路23の出力端に接続されている。NOR回路22の出力端は、NOR回路23の第1の入力端に接続されている。NOR回路23の第2の入力端は、センスアンプ100sの出力端outbに接続され、NOR回路23の出力端は、RS-FF21の出力端ffoとされ、D-FF24のデータ入力端Dに接続されている。RS-FF21は、センスアンプ100sの出力端outから出力されるセンシング信号の信号値が“1”に遷移すると、出力端ffoから出力される出力信号の信号値を“1”に遷移させ、センスアンプ100sの出力端outbから出力されるセンシング信号の信号値が“1”に遷移すると、出力端ffoから出力される出力信号の信号値を“0”に遷移させる。
D-FF24のデータ入力端Dは、RS-FFの出力端ffoに接続され、D-FF24のクロック入力端Cは、バッファ25を介してクロック信号線L3に接続され、DーFF24のデータ出力端Qは、データ出力端子doutに接続されている。D-FF24は、データ入力端Dに入力されるデータ信号の信号値を、クロック入力端Cに入力されるクロック信号の立ち下がりエッジで取り込み保持し、保持している信号値をデータ出力端Qから出力する。
図2は、マスター部10に設けられたセンスアンプ100m及びスレーブ部20に設けられたセンスアンプ100sの詳細な構成を示す図である。センスアンプ100m及び100sは、互いに同じ構成を有しており、差動回路150及びラッチ回路160を含んで構成されている。
差動回路150は、Nチャネル型MOSFET(以下、N-MOSと表記する)101、102、103及びPチャネル型のMOSFET(以下、P-MOSと表記する)104、105を含んで構成されている。N-MOS101は、ゲートが第1の信号線L1のノードであるノードMO(ノードSI)に接続され、ドレインがP-MOS104のドレインに接続され、ソースがN-MOS103のドレインに接続されている。N-MOS102は、ゲートが第2の信号線L2のノードであるノードMOb(ノードSIb)に接続され、ドレインがP-MOS105のドレインに接続され、ソースがN-MOS103のドレインに接続されている。N-MOS103は、ゲートがクロック信号線のノードであるノードSCKに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。P-MOS104及び105は、それぞれ、ソースが電源ラインに接続され、ゲートがバッファ14の出力ノードであるノードSCKに接続されている。
ラッチ回路160は、N-MOS111~116及びP-MOS117~120を含んで構成されている。
N-MOS111は、ゲートがN-MOS102のドレイン及びP-MOS117のゲートに接続され、ドレインがP-MOS119のドレイン及びセンスアンプの出力端outに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N-MOS112は、ゲートがP-MOS119のゲート及びセンスアンプの出力端outbに接続され、ドレインがP-MOS119のドレイン及びセンスアンプの出力端outに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N-MOS115は、ゲートがP-MOS117のゲートに接続され、ドレインがP-MOS117のドレインに接続され、ソースがN-MOS116のソースに接続されている。P-MOS117は、ソースが電源ラインに接続され、ドレインがP-MOS119のソースに接続されている。
N-MOS114は、ゲートがN-MOS101のドレイン及びP-MOS118のゲートに接続され、ドレインがP-MOS120のドレイン及びセンスアンプの出力端outbに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N-MOS113は、ゲートがP-MOS120のゲート及びセンスアンプの出力端outに接続され、ドレインがP-MOS120のドレイン及びセンスアンプの出力端outbに接続され、ソースがグランドラインに接続されている。N-MOS116は、ゲートがP-MOS118のゲートに接続され、ドレインがP-MOS118のドレインに接続され、ソースがN-MOS115のソースに接続されている。P-MOS118は、ソースが電源ラインに接続され、ドレインがP-MOS120のソースに接続されている。
以下に、センスアンプ100m及び100sの動作について説明する。センスアンプ100m及び100sは、N-MOS103のゲートに入力されるクロック信号の信号値が“0”のとき、センシング動作を停止させ、N-MOS102のドレインノードであるノードvx及びN-MOS101のドレインノードであるノードvxbを電源電圧レベルでプリチャージする。一方、センスアンプ100m及び100sは、N-MOS103のゲートに入力されるクロック信号の信号値が“1”のとき、第1の信号線L1のノードMO(ノードSI)及び第2の信号線L2のノードMOb(ノードSIb)の状態をセンシングするセンシング動作を行う。
第1の信号線L1のノードMOの電位が、第2の信号線L2のノードMObの電位よりも低い場合、N-MOS101の抵抗値が、N-MOS102の抵抗値よりも高くなるため、ノードvxのディスチャージ速度は、ノードvxbのディスチャージ速度よりも速くなる。従って、後段のラッチ回路160に接続された出力端outの信号値が、出力端outbよりも先に“1”となる。
一方、第2の信号線L2のノードMObの電位が、第1の信号線L1のノードMOの電位よりも低い場合、N-MOS102の抵抗値が、N-MOS101の抵抗値よりも高くなるため、ノードvxbのディスチャージ速度は、ノードvxのディスチャージ速度よりも速くなる。従って、後段のラッチ回路160に接続された出力端outbの信号値が、出力端outよりも先に“1”となる。
次に、信号伝送システム1の動作について説明する。図3は、マスター部10とスレーブ部20との間で行われる信号伝送の一例を示すタイムチャートである。信号伝送システム1では、マスター部10は、信号入力端子dinに入力されるデータ信号を、第1の信号線L1及び第2の信号線L2を介してスレーブ部20に送信する。マスター部10から送信されるデータ信号の信号値が“1”の場合、第1の信号線L1(ノードMO)を用いて信号伝送が行われ、マスター部10から送信されるデータ信号の信号値が“0”の場合、第2の信号線L2(ノードMOb)を用いて信号伝送が行われる。
なお、初期状態としてD-FF13の出力端Qのノードdの信号値が“0”とされ、第1の信号線L1のノードMO及び第2の信号線L2のノードMObは、電源電圧レベルでプリチャージされているものとする。
[1]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、D-FF13の出力端Qのノードdの信号値が“1”に遷移する。この時点において、センスアンプ100mの出力端out及びoutbの信号値はともに“0”であるので、NAND回路11の3つの入力値は、全て“1”となり、NAND回路11の出力値は“0”となる。これにより、[2]に示すように、第1の信号線L1のノードMOは、ディスチャージされ、電圧レベルが低下する。一方、ノードdの信号値が“1”に遷移すると、NAND回路12の1つの入力値が“0”となるので、NAND回路12の出力値は“1”となる。これにより、第2の信号線L2のノードMObは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
また、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10のセンスアンプ100m及びスレーブ部20のセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。[2]に示すように、第1の信号線L1のノードMOの電位が、第2の信号線L2のノードMObの電位よりも低くなると、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[3]に示すように、出力端outから信号値“1”のセンシング信号を出力する。
これに伴って、マスター部10においては、NAND回路11の出力値が、“0”から“1”に遷移するので、[4]に示すように、第1の信号線L1のノードMOは、電源電圧レベルでプリチャージされる。一方、スレーブ部20においては、RS-FF21の出力端ffoから出力される信号値が“1”となる。
[5]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、スレーブ部20において、RS-FF21の出力端ffoから出力された信号値“1”が、データ出力端子doutから出力される。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。
[6]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、D-FF13の出力端Qのノードdの信号値が“0”に遷移する。この時点において、センスアンプ100mの出力端out及びoutbの信号値はともに“0”であるので、NAND回路12の3つの入力値は、全て“1”となり、NAND回路12の出力値は“0”となる。これにより、[7]に示すように、第2の信号線L2のノードMObは、ディスチャージされ、電圧レベルが低下する。一方、ノードdの信号値が“0”に遷移すると、NAND回路11の1つの入力値が“0”となるので、NAND回路11の出力値は“1”となる。これにより、第1の信号線L1のノードMOは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
また、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10のセンスアンプ100m及びスレーブ部20のセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。[7]に示すように、第2の信号線L2のノードMObの電位が、第1の信号線L1のノードMOの電位よりも低くなると、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[8]に示すように、出力端outbから信号値“1”のセンシング信号を出力する。
これに伴って、マスター部10においては、NAND回路12の出力値が、“0”から“1”に遷移するので、[9]に示すように、第2の信号線L2のノードMObは、電源電圧レベルでプリチャージされる。一方、スレーブ部20においては、RS-FF21の出力端ffoから出力される信号値が“0”となる。
[10]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、スレーブ部20において、RS-FF21の出力端ffoから出力された信号値“0”が、データ出力端子doutから出力される。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。
以上のように、マスター部10及びスレーブ部20にそれぞれ設けられたセンスアンプ100m及び100sは、それぞれ、クロック信号の信号値が“1”のとき、第1の信号線L1の電位と第2の信号線L2の電位との差に応じた信号値を有する第1のセンシング信号及び第2のセンシング信号を、それぞれ、出力端out及び出力端outbから出力するセンシング動作を行い、クロック信号の信号値が“0”のとき、上記のセンシング動作を停止させる。すなわち、センスアンプ100m及び100sは、クロック信号の信号値に応じて間欠的に動作する。従って、常時電力を消費する従来のセンスアンプと比較して消費電力を抑えることができる。
また、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、第1の信号線L1(ノードMO)と第2の信号線L2(ノードMOb)の電位差が僅かであっても、これを検出することができるので、第1の信号線L1(ノードMO)及び第2の信号線L2(ノードMOb)に伝送される信号の振幅va(図3参照)を小さくすることができる。すなわち、信号伝送を行う際の第1の信号線L1及び第2の信号線L2の放電電荷量を抑制することができるので、この点においても省電力化を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る信号伝送システム1についてSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)シミュレータを用いて動作検証を行った。図4にその結果を示す。なお、シミュレーション条件として、電源電圧1.5V、周囲温度27℃、動作周波数1MHzとした。また、伝送線路30には、10pFの負荷容量が接続されることを想定した。データ信号およびクロック信号の入力波形は、図3のタイムチャートに示されたものと同様とした。その結果、信号伝送システム1は、図3のタイムチャートと同様に動作することが確認できた。また、第1の信号線L1(ノードMO)及び第2の信号線L2(ノードMOb)に伝送される信号の振幅vaを35mVにまで小さくすることができた。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る信号伝送システム1Aの構成を示すブロック図である。
上記した第1の実施形態に係る信号伝送システム1においては、第1の信号線L1(ノードMO)または第2の信号線L2(ノードMOb)は、ディスチャージされた後、センスアンプ100m及び100bによって信号線間の電位差が検出されると、即時に電源電圧レベルでプリチャージされる。従って、例えば、マスター部10からスレーブ部20に伝送される信号の信号値において、“00・・・”または“11・・・”のように、同一値が連続する場合、連続する複数の同一値の信号に対して、信号線のディスチャージ及びプリチャージが繰り返し行われ、その都度電力を消費する。
これに対して、本発明の第2の実施形態に係る信号伝送システム1Aでは、マスター部10からスレーブ部20に伝送される信号の信号値において、同一値が連続する場合、連続する複数の同一値の信号に対して、信号線のディスチャージ及びプリチャージが1回のみとされ、消費電力の更なる低減が図られている。
信号伝送システム1Aにおいて、マスター部10Aの構成が、第1の実施形態に係る信号伝送システム1におけるマスター部10と異なる。一方、信号伝送システム1Aにおいて、スレーブ部20の構成は、第1の実施形態に係る信号伝送システム1を構成するスレーブ部20と同じである。
マスター部10Aは、スレーブ部20に送信すべきデータが入力されるデータ入力端子din及びクロック信号が入力されるクロック入力端子ckinを有する。また、マスター部10は、センスアンプ100m、ロジック回路200及びD-FF13a及び13bを含んで構成されている。
D-FF13aのデータ入力端Dは、データ入力端子dinに接続され、D-FF13aのデータ出力端Qは、D-FF13bのデータ入力端Q及びロジック回路200に接続され、D-FF13aのクロック入力端Cは、クロック入力端子ckinに接続されている。D-FF13bのデータ出力端Qは、ロジック回路200に接続されており、D-FF13bのクロック入力端Cは、クロック入力端子ckinに接続されている。D-FF13a及び13bは、データ入力端Dに入力されるデータ信号の信号値を、クロック入力端Cに入力されるクロック信号の立ち下がりエッジで取り込み保持し、保持している信号値をデータ出力端Qから出力する。
ロジック回路200は、第1の信号線L1、第2の信号線L2、センスアンプ100mの出力端out、outb及びクロック入力端子ckinに接続されている。
図6は、ロジック回路200の詳細な構成を示す図である。ロジック回路200は、NOT回路201~204、AND回路211~214、NOR回路215、216を有する。また、ロジック回路200は、N-MOS221~223及びP-MOS231、232を有する。
NOT回路201の入力端は、D-FF13aのデータ出力端Qのノードd[1]に接続され、NOT回路201の出力端は、NOT回路202の入力端、NOR回路215の一方の入力端、AND回路213の一方の入力端、P-MOS232のゲートにそれぞれ接続されている。NOT回路202の出力端は、P-MOS231のゲート、AND回路211の一方の入力端、NOR回路216の一方の入力端にそれぞれ接続されている。NOT回路203の入力端は、D-FF13bのデータ出力端Qのノードd[0]に接続され、NOT回路203の出力端は、NOT回路204の入力端、AND回路213の他方の入力端にそれぞれ接続されている。NOT回路204の出力端は、AND回路211の他方の入力端に接続されている。
AND回路211の出力端は、NOR回路215の他方の入力端に接続されている。NOR回路215の出力端は、AND回路212の一方の入力端に接続されている。AND回路212の他方の入力端は、センスアンプ100mの出力端outに接続されている。なお、AND回路212の他方の入力端には、センスアンプ100mの出力端outから出力される信号値を論理反転させた値が入力される。AND回路212の出力端は、N-MOS221のゲートに接続されている。
AND回路213の出力端は、NOR回路216の他方の入力端に接続されている。NOR回路216の出力端はAND回路214の一方の入力端に接続されている。AND回路214の他方の入力端は、センスアンプ100mの出力端outbが接続されている。なお、AND回路214の他方の入力端には、センスアンプ100mの出力端outbから出力される信号値を論理反転させた値が入力される。AND回路214の出力端は、N-MOS222のゲートに接続されている。
N-MOS221は、ドレインが、第1の信号線L1のノードMO及びP-MOS231のドレインに接続され、ソースがN-MOS223のドレインに接続されている。N-MOS222は、ドレインが、第2の信号線L2のノードMOb及びP-MOS232のドレインに接続され、ソースがN-MOS223のドレインに接続されている。N-MOS223のゲートは、クロック入力端子ckinに接続され、ソースはグランドラインに接続されている。P-MOS231及び232は、それぞれ、ソースが電源ラインに接続されている。
以下に、信号伝送システム1Aの動作について説明する。図7は、マスター部10Aとスレーブ部20との間で行われる信号伝送の一例を示すタイムチャートである。信号伝送システム1Aでは、マスター部10Aは、信号入力端子dinに入力されるデータ信号を、第1の信号線L1及び第2の信号線L2を介してスレーブ部20に送信する。マスター部10Aから送信されるデータ信号の信号値が“1”の場合、第1の信号線L1(ノードMO)を用いて信号伝送が行われ、マスター部10Aから送信されるデータ信号の信号値が“0”の場合、第2の信号線L2(ノードMOb)を用いて信号伝送が行われる。
なお、初期状態としてD-FF13bの出力端Qのノードd[0]の信号値が“0”、D-FF13aの出力端Qのノードd[1]の信号値が“1”とされ、第1の信号線L1のノードMO及び第2の信号線L2のノードMObは、電源電圧レベルでプリチャージされているものとする。また、マスター部10Aのデータ入力端子dinに、第1周期目に信号値“0”のデータ信号が入力され、第2周期目及び第3周期目に連続して信号値“1”のデータ信号が入力され、かかるデータ信号が、マスター部10Aからスレーブ部20に伝送されるものとする。
[1]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、D-FF13bの出力端Qのノードd[0]の信号値が“1”に遷移し、D-FF13aの出力端Qのノードd[1]の信号値が“0”に遷移する。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。従って、ロジック回路200のN-MOS222及びP-MOS231がON状態となり、N-MOS221及びP-MOS232がオフ状態となる。これにより、第1の信号線L1のノードMOは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
[2]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ロジック回路200のN-MOS223がオン状態となる。これにより、第2の信号線L2のノードMObは、ディスチャージされ、電圧レベルが低下する。また、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Aのセンスアンプ100m及びスレーブ部20のセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第2の信号線L2のノードMObの電位が、第1の信号線L1のノードMOの電位よりも低下すると、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[3]に示すように、出力端outbから信号値“1”のセンシング信号を出力する。センスアンプ100mの出力端outbの信号値が“1”に遷移することにより、ロジック回路200のN-MOS222はOFF状態となる。ロジック回路N-MOS232は、OFF状態を維持するので、[4]に示すように、第2の信号線L2のノードMObの電位は、低レベルを維持する。スレーブ部20においては、センスアンプ100sの出力端outbの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21の出力端ffoから出力される信号値が“0”となる。
[5]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、D-FF13bの出力端Qのノードd[0]の信号値が“0”に遷移し、D-FF13aの出力端Qのノードd[1]の信号値が“1”に遷移する。また、スレーブ部20において、RS-FF21の出力端ffoから出力された信号値“0”が、データ出力端子doutから出力される。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。これにより、ロジック回路200のN-MOS221及びP-MOS232がON状態となり、N-MOS222及びP-MOS231がOFF状態となる。これにより、第2の信号線L2のノードMObは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
[6]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ロジック回路200のN-MOS223がオン状態となる。これにより、第1の信号線L1のノードMOは、ディスチャージされ、電圧レベルが低下する。また、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Aのセンスアンプ100m及びスレーブ部20のセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第1の信号線L1のノードMOの電位が、第2の信号線L2のノードMObの電位よりも低下すると、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[7]に示すように、出力端outから信号値“1”のセンシング信号を出力する。センスアンプ100mの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、ロジック回路のN-MOS221はOFF状態となる。ロジック回路P-MOS231は、OFF状態を維持するので、[8]に示すように、第1の信号線L1のノードMOの電位は、低レベルを維持する。スレーブ部20においては、センスアンプ100sの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21の出力端ffoから出力される信号値が“1”となる。
[9]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、D-FF13bの出力端Qのノードd[0]の信号値が“1”に遷移し、D-FF13aの出力端Qのノードd[1]の信号値は“1”を維持する。また、スレーブ部20において、RS-FF21の出力端ffoから出力された信号値“1”が、データ出力端子doutから出力される。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。これにより、ロジック回路200のP-MOS232がON状態となり、N-MOS221、222及びP-MOS231がOFF状態となる。従って、[10]に示すように、第1の信号線L1のノードMOの電位は、低レベルを維持する。
[11]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ロジック回路200のN-MOS223がオン状態となる。ロジック回路のN-MOS221、222は、OFF状態であるため、第1の信号線L1のノードMO及び第2の信号線L2のノードMObは、ディスチャージされない。また、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Aのセンスアンプ100m及びスレーブ部20のセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第1の信号線L1のノードMOの電位が、第2の信号線L2のノードMObの電位よりも低い状態が維持されているので、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[12]に示すように、出力端outから信号値“1”のセンシング信号を出力する。センスアンプ100mの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、ロジック回路のN-MOS221はOFF状態となる。ロジック回路P-MOS231は、OFF状態を維持するので、[13]に示すように、第1の信号線L1のノードMOの電位は、低レベルを維持する。スレーブ部20においては、センスアンプ100sの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21の出力端ffoから出力される信号値が“1”を維持する。
[14]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、D-FF13bの出力端Qのノードd[0]の信号値が“1”を維持し、D-FF13aの出力端Qのノードd[1]の信号値は“0”に遷移する。また、スレーブ部20において、RS-FF21の出力端ffoから出力された信号値“1”が、データ出力端子doutから出力される。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。
以上のように、本実施形態に係る信号伝送システム1Aによれば、第1の実施形態に係る信号伝送システム1と同様、センスアンプ100m及び100sは、クロック信号の信号値に応じて間欠的に動作するので、常時電力を消費する従来のセンスアンプと比較して消費電力を抑えることができる。
また、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、第1の信号線L1(ノードMO)と第2の信号線L2(ノードMOb)の電位差が僅かであっても、これを検出することができるので、第1の信号線L1(ノードMO)及び第2の信号線L2(ノードMOb)に伝送される信号の振幅va(図7参照)を小さくすることができる。すなわち、信号伝送を行う際の第1の信号線L1及び第2の信号線L2の放電電荷量を抑制することができるので、この点においても省電力化を図ることができる。
また、本実施形態に係る信号伝送システム1Aによれば、マスター部10Aからスレーブ部20Aに伝送される信号の信号値において、“00・・・”または“11・・・”のように、同一値が連続する場合、連続する複数の同一値の信号に対して、信号線のディスチャージ及びプリチャージが1回のみとなるので、消費電力の抑制効果を更に促進することができる。
本発明の第2の実施形態に係る信号伝送システム1AについてSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)シミュレータを用いて動作検証を行った。図8にその結果を示す。なお、シミュレーション条件として、電源電圧1.5V、周囲温度27℃、動作周波数1MHzとした。また、伝送線路30には、10pFの負荷容量が接続されることを想定した。データ信号およびクロック信号の入力波形は、図7のタイムチャートに示されたものと同様とした。その結果、信号伝送システム1Aは、図7のタイムチャートと同様に動作することが確認できた。また、第1の信号線L1(ノードMO)及び第2の信号線L2(ノードMOb)に伝送される信号の振幅vaを60mVにまで小さくすることができた。この振幅vaは、ロジック回路200のN-MOS223のサイズを小さくすることで、更に小さくすることが可能である。
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態に係る信号伝送システム1Bの構成を示すブロック図である。
上記した第1の実施形態に係る信号伝送システム1及び第2の実施形態に係る信号伝送システム1Aにおいて、マスター部10及び10Aは、信号の送信機能のみを有し、スレーブ部20は信号の受信機能のみを有するものであった。これに対して、本実施形態に係る信号伝送システム1Bは、マスター部10B及びスレーブ部20Bは、それぞれ、信号の送信機能と受信機能とを兼ね備える。
マスター部10Bは、センスアンプ100m、ロジック回路200m、RS-FF21m、信号送信用のD-FF13am、13bm、信号受信用のD-FF24mを有する。なお、RS-FF21m及びD-FF24mは、本発明における出力回路の一例である。マスター部10Bは、更に、送信装置として動作するか受信装置として動作するかを切り換える切り替え回路300m、及びクロック信号の入力タイミングを制御するタイミング調整回路400を有する。切り替え回路300mは、NAND回路301、302及びNOT回路303を含んでいる。NAND回路301の一方の入力端は、マスター部10Bを送信装置として動作させるか受信装置として動作させるかを選択するための制御信号が入力される制御端子sel_mに接続されている。NOT回路303の出力端は、制御出力ノードs[0]_mとされ、NAND回路302の出力端は、制御出力ノードs[1]_mとされる。タイミング調整回路400は、C素子401及びAND回路402を含んで構成されており、AND回路402の一方の入力端は、クロック入力端子ckinに接続されている。
スレーブ部20Bは、タイミング調整回路を含まない点を除き、マスター部10Bと同一の構成を有している。すなわち、スレーブ部20Bは、センスアンプ100s、ロジック回路200s、RS-FF21s、信号送信用のD-FF13as、13bs、信号受信用のD-FF24sを有する。スレーブ部20Bは、更に、送信装置として動作するか受信装置として動作するかを切り換える切り替え回路300sを有する。切り替え回路300sは、NAND回路301、302及びNOT回路303を含んでいる。NAND回路301の一方の入力端は、スレーブ部20Bを送信装置として動作させるか受信装置として動作させるかを選択するための制御信号が入力される制御端子sel_sに接続されている。NOT回路303の出力端は、制御出力ノードs[0]_sとされ、NAND回路303の出力端は、制御出力ノードs[1]_sとされる。
図10は、ロジック回路200m及び200sの構成を示す図である。ロジック回路200m及び200sは、図6に示すロジック回路200に対して、一方の入力端が制御出力ノードs[0]に接続されたOR回路241、245及びAND回路243、247、並びに一方の入力端が制御出力ノードs[1]に接続されたAND回路242、244、246、248が追加されている。なお、OR回路241、245の一方の入力端には、制御出力ノードs[0]に出力される信号値を論理反転させた値が入力される。
図11は、マスター部10Bに設けられるC素子401の動作の一例を示すタイムチャートである。図11に示すようにC素子401は、2つの入力端IN1、IN2の双方に入力される信号値が“0”となった場合に、出力端OUTから出力される信号値が“0”に遷移し、2つの入力端IN1、IN2の双方に入力される信号値が“1”となった場合に、出力端OUTから出力される信号値が“1”に遷移する。
C素子401の一方の入力端は、制御出力ノードs[1]_mに接続され、C素子401の他方の入力端は、クロック入力端子ckinに接続されている。C素子401の出力端は、AND回路402の一方の入力端に接続されている。なお、C素子401の一方の入力端には、制御出力ノードs[1]_mに出力される信号値を論理反転させた値が入力される。AND回路402の一方の入力端には、C素子401の出力端から出力される信号値を論理反転させた信号値が入力される。C素子401及びAND回路402を含んで構成されるタイミング調整回路400により、マスター部10B及びスレーブ部20Bが送信装置として動作するか受信装置として動作するかの機能切り換えが行われた場合に、機能切り替え後に、マスター部10B及びスレーブ部20Bを構成する各ブロックに、最初に入力されるクロック信号の信号値が常に“1”となるように制御される。
以下に、信号伝送システム1Bの動作について説明する。マスター部10B及びスレーブ部20Bは、それぞれ、制御端子sel_m及びsel_sに入力される制御信号の信号値に応じて送信装置または受信装置として機能する。下記の表1は、マスター部10B及びスレーブ部20Bが送信装置として動作するか受信装置として動作するかの機能切り換えに関する真理値表である。
制御端子sel_m及びsel_sに入力される制御信号の信号値が共に“0”のとき、制御出力ノードs[0]_m、s[0]_s、s[1]_m及びs[1]_sに出力される信号値は“0”となる。この場合、マスター部10B及びスレーブ部20Bは共に待機状態となる。この場合、ロジック回路200m及び200sにおいて、P-MOS231、232がON状態となるので、第1の信号線L1のノードMIO及び第2の信号線L2のノードMIObの信号値は、それぞれ、電源電圧レベルでプリチャージされる。また、タイミング調整回路400の出力端から出力されるクロック信号の信号値は“0”となる。また、信号送信用のD-FF13bm、13bs、信号受信用のD-FF24m、24sは、それぞれリセット状態となり、これらのD-FFの出力端Qのノードd[0]_m、d[0]_s及びデータ出力端子dout_m、dout_sの信号値は“0”となる。また、信号送信用のD-FF13am、13asはセット状態となり、これらのD-FFの出力端Qのノードd[1]_m及びd[1]_sの信号値は“1”となる。
制御端子sel_mに入力される制御信号の信号値が“0”であり、制御端子sel_sに入力される制御信号の信号値が“1”のとき、制御出力ノードs[0]_mに出力される信号値は“0”となり、制御出力ノードs[0]_s、s[1]_m及びs[1]_sに出力される信号値は“1”となる。この場合、マスター部10Bは受信装置として機能し、スレーブ部20Bは送信装置として機能する。
一方、制御端子sel_mに入力される制御信号の信号値が“1”であり、制御端子sel_sに入力される制御信号の信号値が“0”のとき、制御出力ノードs[0]_sに出力される信号値は“0”となり、制御出力ノードs[0]_m、s[1]_m及びs[1]_sに出力される信号値は“1”となる。この場合、マスター部10Bは送信装置として機能し、スレーブ部20Bは受信装置として機能する。
マスター部10B及びスレーブ部20Bの一方が送信装置として機能し、他方が受信装置として機能する場合、信号送信用のD-FF13bm、13bs、信号受信用のD-FF24m、24sは、リセット状態が解除され通常状態となり、信号送信用のD-FF13am、13asはセット状態が解除され通常状態となる。また、タイミング調整回路400の出力端からは、クロック入力端子ckinに入力されるクロック信号がそのまま出力される。
マスター部10B及びスレーブ部20Bのうち、送信装置として機能する方に設けられたロジック回路(ロジック回路200mまたは200s)は、その機能が有効となり、N-MOS221、222及びP-MOS231、232のオンオフ状態が、信号送信用の各D-FFの出力端Qのノードd[1]及びd[0]の信号値に応じて定まる。すなわち、第1の信号線L1及び第2の信号線L2の電位は、マスター部10B及びスレーブ部20Bのうち、送信装置として機能する方に設けられたロジック回路によって制御される。
一方、マスター部10B及びスレーブ部20Bのうち、受信装置として機能する方に設けられたロジック回路(ロジック回路200mまたは200s)のN-MOS221、222及びP-MOS231、232は、全てオフ状態とされ、当該ロジック回路の機能が無効化される。
図12は、マスター部10Bとスレーブ部20Bとの間で行われる信号伝送の一例を示すタイムチャートである。
[1]に示すように、マスター部10Bの制御端子sel_mに入力される制御信号の信号値が“1”となり、スレーブ部20Bの制御端子sel_sに入力される制御信号の信号値が“0”になると、マスター部10Bのロジック回路200mが有効化され、マスター部10Bは送信装置として機能し、スレーブ部20Bのロジック回路200sが無効化され、スレーブ部20Bは受信装置として機能する。
[2]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ノードd[0]_mの信号値が“0”であり、ノードd[1]_mの信号値が“1”であるので、[3]に示すように、第1の信号線L1のノードMIOがディスチャージされ、電圧レベルが低下する。クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Bのセンスアンプ100m及びスレーブ部20Bのセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第1の信号線L1のノードMIOの電位が、第2の信号線L2のノードMIObの電位よりも低いので、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[4]に示すように、出力端outから信号値“1”のセンシング信号を出力する。第1の信号線L1のノードMIOの電位は、低レベルを維持する。スレーブ部20Bにおいては、センスアンプ100sの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21sの出力端ffoから出力される信号値が“1”となる。
[5]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、ノードd[0]_mの信号値が“1”に遷移し、ノードd[1]_mの信号値が“0”に遷移する。また、[6]に示すように、スレーブ部20Bにおいて、RS-FF21sの出力端ffoから出力された信号値“1”が、データ出力端子dout_sから出力される。このとき、データ出力端子dout_sから出力される信号値は、初期値である。従って、クロック信号の信号値が次に“0”に遷移するタイミングでデータ出力端子dout_sから出力される信号値が最初に伝送される信号値となる。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。これにより、第1の信号線L1のノードMIOは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
[7]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ノードd[0]_mの信号値が“1”であり、ノードd[1]_mの信号値が“0”であるので、[8]に示すように、第2の信号線L2のノードMIObがディスチャージされ、電圧レベルが低下する。クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Bのセンスアンプ100m及びスレーブ部20Bのセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第2の信号線L2のノードMIObの電位が、第1の信号線L1のノードMIOの電位よりも低いので、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[9]に示すように、出力端outbから信号値“1”のセンシング信号を出力する。第2の信号線L2のノードMIObの電位は、低レベルを維持する。スレーブ部20Bにおいては、センスアンプ100sの出力端outbの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21sの出力端ffoから出力される信号値が“0”となる。
[10]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、ノードd[0]_mの信号値が“0”に遷移し、ノードd[1]_mの信号値が“1”に遷移する。また、[11]に示すように、スレーブ部20Bにおいて、RS-FF21sの出力端ffoから出力された信号値“0”が、データ出力端子dout_sから出力される。このとき、データ出力端子dout_sから出力される信号値が最初に伝送される信号値となる。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。これにより、第2の信号線L2のノードMIObは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
[12]に示すように、マスター部10Bの制御端子sel_mに入力される制御信号の信号値が“0”に遷移し、スレーブ部20Bの制御端子sel_sに入力される制御信号の信号値が“0”を維持すると、マスター部10B及びスレーブ部20Bは、待機状態となる。従って、マスター部10B及びスレーブ部20Bの各回路ブロックは、初期状態となる。すなわち、第1の信号線L1のノードMIO及び第2の信号線L2のノードMIObの信号値は、それぞれ、電源電圧レベルでプリチャージされる。また、タイミング調整回路400の出力端から出力されるクロック信号の信号値は“0”となる。また、信号送信用のD-FF13bm、13bs、信号受信用のD-FF24m、24sは、それぞれリセット状態となり、これらのD-FFの出力端Qのノードd[0]_m、d[0]_s及びデータ出力端子dout_m、dout_sの信号値は“0”となる。また、信号送信用のD-FF13am、13asはセット状態となり、これらのD-FFの出力端Qのノードd[1]_m及びd[1]_sの信号値は“1”となる。
[13]に示すように、マスター部10Bの制御端子sel_mに入力される制御信号の信号値が“0”を維持し、スレーブ部20Bの制御端子sel_sに入力される制御信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Bのロジック回路200mが無効化され、マスター部10Bは受信装置として機能し、スレーブ部20Bのロジック回路200sが有効化され、スレーブ部20Bは送信装置として機能する。
[14]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ノードd[0]_sの信号値が“0”であり、ノードd[1]_sの信号値が“1”であるので、[15]に示すように、第1の信号線L1のノードMIOがディスチャージされ、電圧レベルが低下する。クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Bのセンスアンプ100m及びスレーブ部20Bのセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第1の信号線L1のノードMIOの電位が、第2の信号線L2のノードMIObの電位よりも低いので、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[16]に示すように、出力端outから信号値“1”のセンシング信号を出力する。第1の信号線L1のノードMIOの電位は、低レベルを維持する。マスター部10Bにおいては、センスアンプ100mの出力端outの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21mの出力端ffoから出力される信号値が“1”となる。
[17]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、ノードd[0]_sの信号値が“1”に遷移し、ノードd[1]_sの信号値が“0”に遷移する。また、[18]に示すように、マスター部10Bにおいて、RS-FF21mの出力端ffoから出力された信号値“1”が、データ出力端子dout_mから出力される。このとき、データ出力端子dout_mから出力される信号値は、初期値である。従って、クロック信号の信号値が次に“0”に遷移するタイミングでデータ出力端子dout_mから出力される信号値が最初に伝送される信号値となる。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となる。これにより、第1の信号線L1のノードMIOは、電源電圧レベルでプリチャージされる。
[19]に示すように、クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、ノードd[0]_mの信号値が“1”であり、ノードd[1]_の信号値が“0”であるので、[20]に示すように、第2の信号線L2のノードMIObがディスチャージされ、電圧レベルが低下する。クロック信号の信号値が“1”に遷移すると、マスター部10Bのセンスアンプ100m及びスレーブ部20Bのセンスアンプ100sはともにセンシング動作を開始する。第2の信号線L2のノードMIObの電位が、第1の信号線L1のノードMIOの電位よりも低いので、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、[21]に示すように、出力端outbから信号値“1”のセンシング信号を出力する。第2の信号線L2のノードMIObの電位は、低レベルを維持する。マスター部10Bにおいては、センスアンプ100mの出力端outbの信号値が“1”に遷移することにより、RS-FF21mの出力端ffoから出力される信号値が“0”となる。
[22]に示すように、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、ノードd[0]_sの信号値が“0”に遷移し、ノードd[1]_mの信号値が“0”を維持する。また、[23]に示すように、マスター部10Bにおいて、RS-FF2mの出力端ffoから出力された信号値“0”が、データ出力端子dout_mから出力される。このとき、データ出力端子dout_mから出力される信号値が最初に伝送される信号値となる。また、クロック信号の信号値が“0”に遷移すると、センスアンプ100m及び100sは、センシング動作を停止させ、出力端out及びoutbの信号値は共に“0”となるが、第2の信号線L2のノードMIObは、低レベルを維持する。
以上のように、本実施形態に係る信号伝送システム1Bによれば、第1の実施形態に係る信号伝送システム1と同様、センスアンプ100m及び100sは、クロック信号の信号値に応じて間欠的に動作するので、常時電力を消費する従来のセンスアンプと比較して消費電力を抑えることができる。
また、センスアンプ100m及び100sは、それぞれ、第1の信号線L1(ノードMIO)と第2の信号線L2(ノードMIOb)の電位差が僅かであっても、これを検出することができるので、第1の信号線L1(ノードMIO)及び第2の信号線L2(ノードMIOb)に伝送される信号の振幅va(図12参照)を小さくすることができる。すなわち、信号伝送を行う際の第1の信号線L1及び第2の信号線L2の放電電荷量を抑制することができるので、この点においても省電力化を図ることができる。
また、本実施形態に係る信号伝送システム1Bによれば、マスター部10Bとスレーブ部20Bとの間で伝送される信号の信号値において、“00・・・”または“11・・・”のように、同一値が連続する場合、連続する複数の同一値の信号に対して、信号線のディスチャージ及びプリチャージが1回のみとなるので、消費電力の抑制効果を更に促進することができる。
また、本実施形態に係る信号伝送システム1Bによれば、マスター部10B及びスレーブ部20Bは、信号の送信機能及び受信機能を兼ね備える。ここで、信号伝送システムを、送信用及び受信用にそれぞれ2本(合計4本)の信号線を必要とする構成とした場合について考える。この場合において、1つのマスター部と複数のスレーブ部との間で信号伝送を行う場合には、マスター部として機能するLSIに多数のピンを割り当てる必要が生じる。このことは、ピン数に限りがあるLSIにとって不利となる。本実施形態に係る信号伝送システム1Bによれば、第1の信号線L1及び第2の信号線L2の2本の信号線のみで、マスター部10とスレーブ部20との間で双方向通信が可能となる。従って、送信用及び受信用にそれぞれ2本(合計4本)の信号線を必要とする場合と比較して、信号線の本数を削減することができる。
[第4の実施形態]
図13は、本発明の第4の実施形態に係る信号伝送システム1Cの構成を示すブロック図である。信号伝送システム1Cは、マスター部10C及びスレーブ部20Cが、それぞれ、周波数逓倍回路500m及び500sを含む点が、上記した第3の実施形態に係る信号伝送システム1Bと異なる。
周波数逓倍回路500mは、タイミング調整回路400の出力端及び制御出力端s[1]_mに接続されている。周波数逓倍回路500sは、タイミング調整回路400の出力端及び制御出力端s[1]_sに接続されている。周波数逓倍回路500m及び500sは、制御端子sel_m及びsel_sの双方に信号値“0”の制御信号が入力された場合、すなわち、マスター部10C及びスレーブ部20Cが、待機状態となる場合、待機状態となる。一方、周波数逓倍回路500m及び500sは、制御端子sel_m及びsel_sのうちの少なくとも一方に信号値“1”の制御信号が入力された場合、すなわち、マスター部10C及びスレーブ部20Cの一方が送信装置と機能し、他方が受信装置として機能する場合、タイミング調整回路400から出力されるクロック信号の周波数を整数倍した変換クロック信号を生成し、これを、マスター部10Cまたはスレーブ部20Cを構成する各回路ブロックに供給する。変換クロック信号は、元のクロック信号に同期しているため、マスター部10Cの周波数逓倍回路500mから出力される変換クロック信号と、スレーブ部20Cの周波数逓倍回路500sから出力される変換クロック信号は、互いに同期している。周波数逓倍回路500m及び500sは、例えば、PLL(Pulse Locked Loop)またはDLL(Delay Locked Loop)を含んで構成されていてもよい。
上記した第3の実施形態に係る信号伝送システム1Cにおいては、マスター部10Bからスレーブ部20Bにクロック信号を伝送しているので、クロック信号の周波数を高くする程、伝送線路30上における消費電力が増加する。本実施形態に係る信号伝送システム1Cによれば、マスター部10C及びスレーブ部20Cがそれぞれ周波数逓倍回路500m及び500sを有するので、伝送線路30に伝送されるクロック信号の周波数を抑えつつ、マスター部10C内及びスレーブ部20内におけるクロック周波数を高めることができる。従って、消費電力を抑えつつ信号伝送の高速化を図ることが可能となる。