JP7001134B2 - 電力変換装置、電気鉄道システム - Google Patents

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Description

本発明は、水冷式の冷却装置の冷却水流量制御方法に関する。特に、電鉄用電力変換装置の冷却装置における冷却水流量の制御方法に関する。
電気鉄道システムでは、様々な電力変換装置が地上に配置されており、これらの電力変換装置によって、電気車の力行に必要な電力の供給や減速時に発生する電力の回生が行われる。
図8に示すように、従来の電気鉄道システム12において、き電線3は複数の区間C、D(以後、この区間を電力供給区間C、Dと呼ぶ)に分割されており、電力供給区間C、Dごとに電力供給や電力回生を分担する電力変換装置c1、c2、d1、d2が設置される。電力変換装置c1、c2は、電力供給区間Cを受け持ち、電力変換装置c1により電力供給区間Cを通行中の電気車13へ電力供給が行われ、電力変換装置c2により電力供給区間Cを通行中の電気車13からの電力回生が行われる。同様に、電力変換装置d1、d2は、電力供給区間Dを受け持ち、電力変換装置d1により電力供給区間Dを通行中の電気車13へ電力供給が行われ、電力変換装置d2により電力供給区間Dを通行中の電気車13からの電力回生が行われる。
電力変換装置c1、c2、d1、d2は、半導体やリアクトル、変圧器などにより構成されており、電力供給や電力回生に伴いこれらが発熱する。その冷却のために水冷式の冷却装置を備える機種がある。
図9に示すように、水冷式の冷却装置14は、水を冷媒として循環させる。冷却水の循環は電動ポンプ7で行っており電力を消費するので、省電力化のためには循環させる冷却水流量を発熱体9(半導体、リアクトル、変圧器など)の発熱量に合わせ調節することが望ましい。電力変換装置c1、c2、d1、d2の供給電力(または、回生電力)が大きくなると、電力変換装置c1、c2、d1、d2に備えられた発熱体9の発熱量が増えるため、冷却装置14の冷却水流量を増やす必要がある。一方で、必要以上の冷却水を循環させると電動ポンプ7の消費電力が無駄になるので、電力変換装置c1、c2、d1、d2における供給電力(または、回生電力)が小さくなり発熱体9の発熱量が減ったときは冷却装置14の冷却水流量を減らしてよい。
また、従来技術に係る水冷式の冷却装置では、電力変換装置の発熱量に応じて適正な(必要十分な)冷却水流量となるように冷却装置を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2007-166804号公報 特開2011-245979号公報 特開2000-289616号公報 特開2013-244758号公報
電鉄用電力変換装置は、電気車の通行に伴って電力供給(または、電力回生)による発熱が生じるため、発熱には間欠が多い。冷却装置の電動ポンプを省電力運転するためには、電気車が通行していないときは最低冷却水流量にしておき、電気車の通行時に発熱量に応じて冷却水流量を増やすことが望ましい。しかし、電鉄用電力変換装置は、電力変換装置の中でも大型な部類であり、冷却水量が多い。例えば、機種にもよるが数百リットルの冷却水を循環させる冷却装置もあり、冷却水流量を増やす際には大きな運動エネルギーを与える必要がある。このため、最低冷却水流量から電気車の通行時の冷却に必要な冷却水流量に引き上げるまでには数分を要する場合がある。高出力の電動ポンプを用いれば、この制御遅れ時間を短縮できるが、高出力の電動ポンプは大型で高価なため採用することが困難である。したがって、電鉄用電力変換装置に対して、特許文献1に記載されたような最適制御技術を適用することが困難であり、最大負荷の発熱量に合わせた一定の冷却水流量で冷却を行っているのが実情である。
本発明は、上記の事情を鑑みて成されたものであり、電鉄用電力変換装置に備えられる水冷式の冷却装置において、省電力かつ信頼性の高い冷却水流量制御技術を提供することを目的としている。
上記目的を達成する本発明の冷却水流量制御方法の一態様は、複数の区間に分割されたき電線の一つの区間に設けられ、該一つの区間を通行する電気車への電力供給または該一つの区間を通行する電気車からの電力回生を行う電力変換装置の冷却装置であって、冷却水を循環させるポンプと、該ポンプの制御を行うコントローラと、を備える冷却装置における冷却水流量制御方法であって、前記一つの区間に隣接する他の区間に、前記冷却水の流量が前記電力変換装置の冷却に必要な流量となるように、前記ポンプの制御を開始する冷却開始電気車位置を予め設定し、前記一つの区間に、前記冷却水の流量が所定の最低流量となるように前記ポンプの制御を行う冷却停止電気車位置を予め設定し、前記コントローラが、電気車の現在位置と、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力または現在回生電力を受信し、前記冷却開始電気車位置を通過した電気車の現在消費電力または現在回生電力に応じて、前記冷却水の流量が前記電力変換装置の冷却に必要な流量となるように前記ポンプを制御し、前記冷却開始電気車位置と前記冷却停止電気車位置の間を通行する電気車がない場合、前記冷却水の流量が所定の最低流量となるように前記ポンプを制御することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の冷却水流量制御方法の他の態様は、上記冷却水流量制御方法において、前記コントローラは、前記電気車の現在消費電力と当該現在消費電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量の相関を示す目標流量設定用マップ、または、前記電気車の現在回生電力と当該現在回生電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量の相関を示す目標流量設定用マップに基づいて、前記電力変換装置の冷却に必要な冷却水の流量を決定し、決定された流量となるように前記ポンプを制御することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の冷却水流量制御方法の他の態様は、上記冷却水流量制御方法において、前記電気車の現在位置、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力及び現在回生電力の情報を、前記電力変換装置の外部に設けられた司令所に集約し、前記コントローラは、前記司令所に集約された情報を受信して、前記ポンプを制御することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の電力変換装置の一態様は、複数の区間に分割されたき電線の一つの区間に設けられ、該一つの区間を通行する電気車への電力供給または該一つの区間を通行する電気車からの電力回生を行う電力変換装置であって、前記電力変換装置は、電力供給または電力回生の際に生じる熱を冷却する冷却装置を備え、前記冷却装置は、冷却水を循環させるポンプと、該ポンプの制御を行うコントローラと、前記電気車の現在位置、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力または現在回生電力の情報を受信する通信装置と、を備え、前記コントローラは、前記通信装置から前記情報を受信し、前記冷却開始電気車位置を通過した電気車の現在消費電力または現在回生電力に応じて、前記冷却水の流量が前記電力変換装置の冷却に必要な流量となるように、前記ポンプを制御し、予め前記一つの区間に設定された冷却停止電気車位置と前記冷却開始電気車位置の間を通行する電気車がない場合、前記冷却水の流量が所定の最低流量となるように前記ポンプを制御することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の電力変換装置の他の態様は、上記電力変換装置において、前記コントローラは、前記電気車の現在消費電力と当該現在消費電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップ、または、前記電気車の現在回生電力と当該現在回生電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップを備え、この目標流量設定用マップに基づいて、前記冷却水の流量を決定し、決定された流量となるように前記ポンプを制御することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の電気鉄道システムの一態様は、上記の電力変換装置と、前記電力変換装置の冷却装置の通信装置に送信される、電気車の現在位置、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力及び現在回生電力の情報を集約する司令所を備えたことを特徴としている。
以上の発明によれば、電鉄用電力変換装置に備えられる水冷式の冷却装置を省電力化し、信頼性を向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る電気鉄道システムの概略を示す図である。 電気車から電力変換装置への情報伝達の概略を示す図である。 電力変換装置に設けられる水冷式の冷却装置の概略構成図である。 (a)電気車の消費電力と冷却装置の目標冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップの一例を示す図、(b)電気車の回生電力と冷却装置の目標冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップの一例を示す図である。 電力変換装置における冷却装置の制御方法を説明する説明図であり、(a)電気車が電力供給区間Bに進入する前の状態を示す図、(b)電気車が冷却開始電気車位置を通行している状態を示す図、(c)電気車が電力供給区間Bを通行している状態を示す図である。 電気車の位置に対する冷却装置の冷却水流量の制御例を示す特性図である。 本発明の第2実施形態に係る電気鉄道システムにおける電気車から電力変換装置への情報伝達の概略を示す図である。 従来技術に係る電気鉄道システムの概略を示す図である。 従来技術に係る水冷式の冷却装置の概略構成図である。
本発明の実施形態に係る冷却水流量制御方法及び電力変換装置並びにこの電力変換装置を備える電気鉄道システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、設計変更されたものも、本発明の技術的範囲に属する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る電気鉄道システム1は、電気車2、き電線3、電力変換装置a1、a2、b1、b2を備える。き電線3は複数の区間A、B(以後、この区間を電力供給区間A、Bと呼ぶ)に分割されており、電力供給区間A、Bごとに電力供給や電力回生を分担する電力変換装置a1、a2、b1、b2が設置される。
電力変換装置a1、a2は、電力供給区間Aを受け持ち、電力変換装置a1により電力供給区間Aを通行中の電気車2に対して電力供給が行われ、電力変換装置a2により電力供給区間Aを通行中の電気車2からの電力回生が行われる。同様に、電力変換装置b1、b2は、電力供給区間Bを受け持ち、電力変換装置b1により電力供給区間Bを通行中の電気車2に対して電力供給が行われ、電力変換装置b2により電力供給区間Bを通行中の電気車2からの電力回生が行われる。以後、電力変換装置b1、b2の構成及び動作について詳細に説明する。電力変換装置a1、a2の構成及び動作については、電力変換装置b1、b2と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図2に示すように、電気車2は、図示省略の通信部を備え、この通信部を介して、電気車2から電力変換装置b1(及び、電力変換装置b2)に、電気車2の現在位置、現在消費電力、現在回生電力が伝達される。つまり、電気車2には、電気車2の現在位置を検出する位置検出部、電気車2の現在消費電力を検出する消費電力検出部、電気車2の現在回生電力を検出する回生電力検出部、が備えられ、各検出部で検出された情報が通信部を介して電力変換装置b1、b2に送信される。
通信部は、例えば、一定時間ごとに、電気車2の現在位置などの情報を電力変換装置b1(及び、電力変換装置b2)に伝達する。電気車2と電力変換装置b1、b2との間の通信方法は、特に限定されるものではなく、直接方式(無線、レーザ、電力線通信など)による通信方法や、基地局(例えば、無線+専用線または公衆回線)などを介した間接方式による通信方法が用いられる。また、電気車2の現在位置を特定する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、軌道信号を用いた方法やGPSを用いた方法(特許文献3、4)などにより電気車2の現在位置が特定される。
電力変換装置b1、b2には、図3に示すような冷却装置4がそれぞれ備えられる。冷却装置4は、通信装置5、冷却装置コントローラ6、電動ポンプ7、熱交換器8を備える。
通信装置5は、通信ネットワークに接続されており、この通信ネットワークから、電気車2の現在位置、現在消費電力、現在回生電力を受信し、受信した情報を冷却装置コントローラ6に送信する。
冷却装置コントローラ6は、これらの情報を元に適正な冷却水流量を決定し、決定された冷却水流量となるように電動ポンプ7を制御する。電気車2に電力供給を行う電力変換装置b1では、冷却装置コントローラ6には、例えば、図4(a)に示すような、電気車2の現在消費電力と、この現在消費電力に応じた適正な(電力変換装置b1の発熱を冷却するために必要かつ十分な)目標冷却水流量の相関を示す目標流量設定用マップが格納される。そして、このマップに基づいて、電気車2の現在消費電力に応じた冷却装置4の目標冷却水流量が設定される。また、電気車2からの電力回生を行う電力変換装置b2では、冷却装置コントローラ6には、例えば、図4(b)に示すような、電気車2の現在回生電力と、この現在回生電力に応じた適正な(電力変換装置b2の発熱を冷却するために必要かつ十分な)目標冷却水流量の相関を示す目標流量設定用マップが格納される。そして、このマップに基づいて、電気車2の現在回生電力に応じた冷却装置4の目標冷却水流量が設定される。
電動ポンプ7は、電力変換装置b1、b2の発熱体9(例えば、半導体、リアクトル、変圧器など)の近傍に冷却水を循環させる。熱交換器8は、冷却水の熱を外部に放出する。
ここで、図5に基づいて、電力変換装置b1、b2を冷却する冷却装置4の冷却水循環開始から循環停止までの流れを説明する。電力供給区間A、Bは連続した区間であり、電気車2は電力供給区間A、電力供給区間Bの順に通行する。
電力変換装置b1、b2の冷却装置コントローラ6には所定の値として、冷却開始電気車位置(Ps)、冷却停止電気車位置(Pe)が設定される。説明の便宜上、電力変換装置b1、b2に設定された冷却開始電気車位置(Ps)と冷却停止電気車位置(Pe)が同じ位置の場合を例示して説明するが、冷却開始電気車位置(Ps)や冷却停止電気車位置(Pe)は、電力変換装置b1、b2ごとにそれぞれ設定されるものである。
電力変換装置b1、b2の冷却装置コントローラ6は、電気車2から受信した電気車2の現在位置と、冷却装置コントローラ6に設定された冷却開始電気車位置(Ps)および冷却停止電気車位置(Pe)とを比較して、電気車2の現在位置に応じた冷却水循環制御方法の切り替えタイミングを得る。
冷却開始電気車位置(Ps)は、最低冷却水流量から制御目標冷却水流量に達するまでの制御遅れ時間を考慮して、電力供給区間Bよりも手前(例えば、電力供給区間Aの終端近く)に設定される。冷却停止電気車位置(Pe)は、例えば、電力供給区間Bの終端に設定される。
図5(a)では、電気車2は電力供給区間Aを通行中であり、電力変換装置a1が電力供給を行い、電力変換装置a2が電力回生を行っている。電力変換装置b1、b2は、まだ電力供給・電力回生を行っていない。
図5(b)は、電気車2が電力変換装置b1、b2の冷却開始電気車位置(Ps)に到達した場面である。このとき、電力変換装置b1、b2に備えられた冷却装置4は、冷却水の循環を開始する。このときの冷却水流量は、電力変換装置b1(または、電力変換装置b2)の発熱量に合わせて適正な流量となるように、電気車2の現在消費電力、現在回生電力と、電力変換装置b1(または、電力変換装置b2)の発熱量に応じた冷却水流量の相関によって制御目標値が決定される。すなわち、電力供給を担う電力変換装置b1に備えられた冷却装置4では、電気車2の冷却開始電気車位置(Ps)における消費電力に応じて冷却水流量が決定され、決定された冷却水流量となるように電動ポンプ7の制御が開始される。同様に、電力回生を担う電力変換装置b2に備えられた冷却装置4では、電気車2の冷却開始電気車位置(Ps)における現在回生電力に応じて冷却水流量が決定され、決定された冷却水流量となるように電動ポンプ7の制御が開始される。
図5(c)では、電気車2は、電力供給区間Bを通行中である。電力変換装置b1が電気車2に電力供給を行っており、変動する現在消費電力(移動する電気車2の位置における現在消費電力)に応じて、適正な冷却水流量を決定して電動ポンプ7を駆動する制御が継続される。同様に、電力変換装置b2では、変動する現在回生電力(移動する電気車2の位置における現在回生電力)に応じて、適正な冷却水流量を決定して電動ポンプ7が制御される。
この制御により、例えば、図6に示すように、電力変換装置b1、b2に備えられた冷却装置4は、電力供給区間Bに電気車2が進入する前に、事前に冷却水の循環を開始することができる。その結果、制御遅れがあったとしても電力供給区間Bに電気車2が進入した時点には適正な冷却水流量を循環させることができる。そして、電気車2が冷却停止電気車位置(Pe)を通過した後は、その時点での冷却水流量を所定の冷却水クールダウン時間(例えば、n分間(nは、任意に設定可能であり、具体的にはn=3などが設定される))継続させた後、冷却水流量が所定の最低流量となるように制御される。
つまり、電力変換装置b1、b2(または、電力変換装置a1、a2)は、その電力供給区間B(または、電力供給区間A)に電気車2が進入すると、電力供給・回生を開始して発熱する。この発熱に備えて適正な冷却水流量を冷却装置4に循環させる必要があるが、前述の通り、電気鉄道システム1に用いられる冷却装置4においては、冷却水の循環を開始してから目標の流量になるまでに、数分の時間遅れがある。
そこで、この制御遅れを考慮して予め冷却開始電気車位置(Ps)を設定し、この冷却開始電気車位置(Ps)に基づいて、電気車2が電力供給区間Bに進入して電力供給・電力回生の開始より制御遅れ時間分前に、事前に冷却水流量の制御を開始する。このとき、電気車2の消費電力・回生電力に応じて適正な(発熱を冷却するために必要かつ十分な)冷却水流量を決定し、これを目標値として電動ポンプ7が制御される。電気車2が電力供給区間Bを通過して(つまり、電気車2が冷却停止電気車位置(Pe)を通過して)、電力変換装置b1、b2からの電力供給・電力回生が停止した後は、その時点で冷却水流量を所定の冷却期間継続させた後、所定の最低流量となるように電動ポンプ7が制御される。
なお、同一の電力供給区間Bに複数の電気車2が進入して、電力変換装置b1、b2が複数の電気車2に対して電力供給(または、複数の電気車2からの電力回生)を行う場合、一つ目の電気車2が電力供給区間Bの冷却開始電気車位置(Ps)に到達した時点で、冷却水流量の制御が開始され、すべての電気車2が電力供給区間Bの冷却停止電気車位置(Pe)を通過するまで冷却水流量の制御が継続される。冷却水流量の制御目標は、前述のPs-Pe間を通行中のすべての電気車2の現在消費電力(または、現在回生電力)の合計値に応じて決定される。
本発明の第2実施形態に係る電気鉄道システムについて、図7に基づいて詳細に説明する。第2実施形態に係る電気鉄道システム10は、電気車2から電力変換装置b1、b2(または、電力変換装置a1、a2)への情報伝達の経路以外は、第1実施形態の電気鉄道システム1と同様であるので、異なる部分について詳細に説明する。
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る電気鉄道システム10は、電気車2の現在位置などの情報を中継する司令所11を備える。そして、電気車2の現在位置、現在消費電力、現在回生電力は、電気車2から司令所11に伝達された後、司令所11が中継して電力変換装置b1、b2に伝達される。電気車2と司令所11との間(または、電力変換装置b1、b2と司令所11との間)の通信方法は、特に限定されるものはなく、例えば、第1実施形態の電気鉄道システム1と同様の通信方法が用いられる。
以上のような、本発明の実施形態に係る電気鉄道システム1、10によれば、電力変換装置b1、b2(または、電力変換装置a1、a2)に備えられた冷却装置4は、電気車2の現在位置、現在消費電力、現在回生電力を把握することで、制御遅れ時間があっても、電力変換装置b1、b2(または、電力変換装置a1、a2)が電力供給(または、回生電力の吸収)を開始して発熱する前に適正な冷却水流量に制御することができる。
これにより、特別に高出力の電動ポンプを用いずに信頼性の高い冷却性能が実現可能であり、電力変換装置a1、a2、b1、b2が大型化、高コスト化することがない。
また、本発明の実施形態に係る冷却水流量制御方法によれば、冷却装置4の冷却水流量は、冷却に必要かつ十分な量に制御される。これにより、冷却水の循環のための電動ポンプ7が消費する電力を節約することができる。
1、10…電気鉄道システム
2…電気車
3…き電線
4…冷却装置
5…通信装置
6…冷却装置コントローラ(コントローラ)
7…電動ポンプ(ポンプ)
8…熱交換器
9…発熱体
11…司令所
1、a2、b1、b2…電力変換装置

Claims (3)

  1. 複数の区間に分割されたき電線の一つの区間に設けられ、該一つの区間を通行する電気車への電力供給または該一つの区間を通行する電気車からの電力回生を行う電力変換装置であって、
    前記電力変換装置は、電力供給または電力回生の際に生じる熱を冷却する冷却装置を備え、
    前記冷却装置は、冷却水を循環させるポンプと、該ポンプの制御を行うコントローラと、前記電気車の現在位置、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力または現在回生電力の情報を受信する通信装置と、を備え、
    前記コントローラは、前記通信装置から前記情報を受信し、予め前記一つの区間に隣接する他の区間に設定された冷却開始電気車位置を通過した電気車の現在消費電力または現在回生電力に応じて、前記冷却水の流量が前記電力変換装置の冷却に必要な流量となるように前記ポンプを制御し、
    予め前記一つの区間に設定された冷却停止電気車位置と前記冷却開始電気車位置の間を通行する電気車がない場合、前記冷却水の流量が所定の最低流量となるように前記ポンプを制御する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記コントローラは、前記電気車の現在消費電力と当該現在消費電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップ、または、前記電気車の現在回生電力と当該現在回生電力における前記電力変換装置の発熱量に応じた冷却水流量との相関を示す目標流量設定用マップを備え、この目標流量設定用マップに基づいて、前記冷却水の流量を決定し、決定された流量となるように前記ポンプを制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電力変換装置と、
    前記電力変換装置の冷却装置の通信装置に送信される、電気車の現在位置、当該現在位置における前記電気車の現在消費電力及び現在回生電力の情報を集約する司令所を備えた
    ことを特徴とする電気鉄道システム。
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