JP7000816B2 - 信号伝送システム - Google Patents

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本発明は、信号伝送システムに関する。
特許文献1には、回路基板に実装されたコネクタと、並列配置された同軸ケーブルに接続されたコネクタとが嵌合して、基板の電気回路と同軸ケーブルとを接続し、複数の同軸ケーブルを介して信号を伝送するシステムが開示されている。
特許第5871683号公報
近年、高速伝送用のコネクタの規格eDP(embedded DisplayPort)5.4GbpsやUSB(Universal Serial Bus)3.1では、クロストークを抑制すべくSパラメータの測定に関する条件が厳しくなってきている。そのような状況のなか、並列配置された複数の同軸ケーブルを用いて高周波信号の伝送を行う場合において、同軸ケーブル間のクロストークの悪化が懸念されている。このようなクロストークは、同軸ケーブル間に生じる共振現象によって、より大きくなることが知られている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、共振によるクロストークを低減することができる信号伝送システムを提供することを目的とする。
本発明に係る信号伝送システムは、
並列配置された複数の同軸ケーブルと、
前記複数の同軸ケーブルの端部に接続されるケーブルコネクタと、
を備え、
記同軸ケーブルは
信号線として用いられる第1の同軸ケーブルと、
接地線として用いられる第2の同軸ケーブルと、のいずれかであり、
差動信号を伝送する一対の前記第1の同軸ケーブルが隣接して配置されるとともに、隣接する前記一対の前記第1の同軸ケーブルの両側に前記第2の同軸ケーブルが配置され、
前記第2の同軸ケーブルは、前記第1の同軸ケーブルよりも細
前記ケーブルコネクタは、並列配置され前記複数の同軸ケーブルの内部導体と一対一で接続される導電性の複数のケーブル側コンタクトを有し、
前記ケーブル側コンタクトは、
前記第1の同軸ケーブルの内部導体に接続する第1の導体接続部が設けられた導電性の第1のケーブル側コンタクトと、
前記第2の同軸ケーブルの内部導体に接続する第2の導体接続部が設けられた導電性の第2のケーブル側コンタクトと、のいずれかであり、
前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第2の導体接続部は、前記第1の導体接続部よりも幅が短い。
この場合、前記第2の同軸ケーブルの内部導体が、前記第1の同軸ケーブルの内部導体よりも細い、
こととしてもよい。
また、前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第1のケーブル側コンタクトにおける前記第1の導体接続部を除く部分は、前記第1の導体接続部よりも幅が短い、
こととしてもよい。
前記第1のケーブル側コンタクトにおける前記第1の導体接続部を除く部分は、前記第2のケーブル側コンタクトにおける前記第2の導体接続部を除く部分と、形状及び大きさが同じである、
こととしてもよい。
基板に実装され前記ケーブルコネクタと嵌合する基板コネクタを備え、
前記基板コネクタは、前記ケーブルコネクタと嵌合すると前記複数のケーブル側コンタクトと一対一で接触する導電性の複数の基板側コンタクトを有し、
記基板側コンタクトは
一端に前記第1のケーブル側コンタクトと接触する第1の接触部が設けられ、他端に前記基板の信号端子に接続する第1の基板接続部が設けられた導電性の第1の基板側コンタクトと、
一端に前記第2のケーブル側コンタクトと接触する第2の接触部が設けられ、他端に前記基板の接地端子に接続する第2の基板接続部が設けられた導電性の第2の基板側コンタクトと、のいずれかであり、
前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第2の基板接続部は、前記第1の基板接続部よりも幅が短い、
こととしてもよい。
前記第1の基板側コンタクトにおける前記第1の基板接続部を除く部分は、前記第2の基板側コンタクトにおける前記第2の基板接続部を除く部分と、大きさ及び形状が同じである、
こととしてもよい。
本発明によれば、接地線として用いられる第2の同軸ケーブルが、信号線として用いられる第1の同軸ケーブルよりも細くなっている。このようにすれば、高周波信号の伝送線路に共振が発生し、その共振エネルギーによりクロストークが増大した場合でも、ケーブルの損失を大きくして共振エネルギーを減衰させることができる。この結果、共振によるクロストークを低減することができる。
本発明の実施の形態に係る信号伝送システムの斜視図である。 同軸ケーブルの配列パターンを示す図である。 図1に示す同軸ケーブルの長手方向に直交する断面の拡大図である。 プラグコネクタ(グランドカバーなし)の上面図である。 図4の領域Gの拡大上面図である。 図6(A)は、ケーブル側コンタクトの斜視図である。図6(B)は、ケーブル側コンタクトの上面図である。 プラグコネクタの斜視図である。 図8(A)は、リセプタクルコネクタの斜視図である。図8(B)は、リセプタクルコネクタの上面図である。 図9(A)は、基板側コンタクトの斜視図である。図9(B)は、基板側コンタクトの上面図である。 信号伝送システムの上面図である。 図11(A)は、図10のA-A断面図である。図11(B)は、図10のB-B断面図である。 図1の信号伝送システムにおける信号の伝送線路の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図中、同一又は対応する部分には同一の符号を付している。
図1に示すように、信号伝送システム1は、平面状に並列配置された複数の同軸ケーブル2を備える。本実施の形態では、便宜的に、同軸ケーブル2が並列配置される平面をxy面としており、同軸ケーブル2は、x軸方向に延びているものとする。
同軸ケーブル2は、第1の同軸ケーブル2Aか第2の同軸ケーブル2Bのいずれかである。第1の同軸ケーブル2Aは信号線として用いられ、第2の同軸ケーブル2Bは接地線として用いられる。
図2に示すように、同軸ケーブル2は一定の間隔Pで配列されている。第1の同軸ケーブル2Aは、2本で一対となって差動信号を伝送する。同軸ケーブル2の配列において、差動信号を伝送する一対の第1の同軸ケーブル2Aは、隣接して配置されている。第2の同軸ケーブル2Bは、隣接する一対の第1の同軸ケーブル2Aの両側に配置されている。なお、+y側の端部における2本の同軸ケーブル2は、第2の同軸ケーブル2Bである。
図3に示すように、第1の同軸ケーブル2Aは、内部導体2Aaと、絶縁体2Abと、外部導体2Acと、外部被覆2Adとを備える。内部導体2Aaは、第1の同軸ケーブル2Aの断面中心に配置された導電性の部材(例えば金属製)である。絶縁体2Abは、内部導体2Aaの外周を覆っており、内部導体2Aaと外部導体2Acとの間を絶縁する部材(例えば樹脂製)である。外部導体2Acは、絶縁体2Abの周囲に巻回された導電性繊維(例えば金属繊維)から成る部材である。外部被覆2Adは、外部導体2Acの外周を被覆する絶縁状の部材(例えば樹脂製)である。内部導体2Aaと外部導体2Acとの間に生じる電位差が、第1の同軸ケーブル2Aで伝送される信号電圧となる。
一方、第2の同軸ケーブル2Bは、内部導体2Baと、絶縁体2Bbと、外部導体2Bcと、外部被覆2Bdとを備えている。図3に示すように、第2の同軸ケーブル2Bは、第1の同軸ケーブル2Aよりも細くなっている。特に、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Baは、第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aaよりも細くなっている。このため、第2の同軸ケーブル2Bは、第1の同軸ケーブル2Aよりも高周波伝送における損失が大きく、第2の同軸ケーブル2Bに伝送される高周波信号は、第1の同軸ケーブル2Aに伝送される高周波信号よりも減衰し易くなっている。なお、第2の同軸ケーブル2Bの構成は、細径である以外は第1の同軸ケーブル2Aと同じである。
図1に戻り、信号伝送システム1は、複数の同軸ケーブル2の端部に接続されるコネクタ装置3をさらに備える。コネクタ装置3は、同軸ケーブル2の-x側の端部を基板4に接続するために設けられている。
コネクタ装置3は、プラグコネクタ(ケーブルコネクタ)3Aと、リセプタクルコネクタ(基板コネクタ)3Bとで構成される。プラグコネクタ3Aは、複数の同軸ケーブル2の端部に接続される。リセプタクルコネクタ3Bは、基板4に実装される。プラグコネクタ3Aとリセプタクルコネクタ3Bとは、互いに嵌合して同軸ケーブル2と基板4とを、物理的かつ電気的に接続する。
まず、プラグコネクタ3A(ケーブルコネクタ)の構成について説明する。プラグコネクタ3Aは、図4に示すように、ハウジング10Aと、複数のケーブル側コンタクト11Aと、グランドバー12Aと、ロックバー13Aと、を備えている。
ハウジング10Aは、プラグコネクタ3Aの筐体となる絶縁性の部材(例えば樹脂製)である。ハウジング10Aは、ケーブル側コンタクト11Aが挿入された状態でインサート成形される。ケーブル側コンタクト11Aは、それぞれが同じ向き(x軸方向に延びる向き)、かつ、互いに絶縁された状態で、y軸方向に配列されるようになる。その間隔は、P(図2参照)となっており、等間隔である。ハウジング10Aには、-x方向に突き出した凸部10Aaが設けられている。ケーブル側コンタクト11Aは、この凸部10Aaまで延びている。
ケーブル側コンタクト11Aは、図5、図6(A)及び図6(B)に示すように、一方向を長手方向とする細長状の導電性の部材(例えば金属製)である。ケーブル側コンタクト11Aは、複数の同軸ケーブル2(2A,2B)の内部導体2Aa,2Baと一対一で接続される。ケーブル側コンタクト11Aは、第1のケーブル側コンタクト11Aaと、第2のケーブル側コンタクト11Abとのいずれかとなる。
第1のケーブル側コンタクト11Aaの端部には、第1の導体接続部20Aが設けられている。第1の導体接続部20Aは、第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aaとはんだ付けにより接続される。また、第2のケーブル側コンタクト11Abの端部には、第2の導体接続部20Bが設けられている。第2の導体接続部20Bは、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Baとはんだ付けにより接続される。
図6(A)及び図6(B)に示すように、第2の導体接続部20Bのy軸方向の幅はd2であり、第1の導体接続部20Aのy軸方向の幅はd1である。本実施の形態では、第2の導体接続部20Bは、第1の導体接続部20Aよりもy軸方向の幅が短くなっている(d2<d1)。ただし、第1の導体接続部20A及び第2の導体接続部20Bの幅d1,d2は、はんだ付けの対象となる第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aa及び第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Baとの十分なはんだ付けが可能な幅である必要がある。
第1のケーブル側コンタクト11Aaは、第1の導体接続部20Aの他に、本体部21Aと、第1の接触部22Aと、を備える。本体部21Aは、第1のケーブル側コンタクト11Aaの長手方向の中央部分であり、この部分がハウジング10Aに挿入されている。第1の接触部22Aは、第1の導体接続部20Aの逆側に設けられており、この部分が、後述する第1の基板側コンタクト11Baと接触する。
第2のケーブル側コンタクト11Abは、第2の導体接続部20Bの他に、本体部21Bと、第2の接触部22Bと、を備える。本体部21Bは、第2のケーブル側コンタクト11Abの中央部分に形成されており、ハウジング10Aに挿入されている。第2の接触部22Bは、第2の導体接続部20Bの逆側に設けられており、この部分が、後述する第2の基板側コンタクト11Bbと接触する。
図5及び図6(B)に示すように、第1のケーブル側コンタクト11Aaにおける第1の導体接続部20Aを除く部分、すなわち本体部21A及び第1の接触部22Aは、第1の導体接続部20Aよりも幅が短くなっている。その幅はd2である。さらに、第1のケーブル側コンタクト11Aaにおける第1の導体接続部20Aを除く部分は、第2のケーブル側コンタクト11Abにおける第2の導体接続部20Bを除く部分と、形状及び大きさが同じである。それらの部分の幅は均一でd2となっている。
グランドバー12Aは、図4に示すように、y軸方向に延びる細長平板状で上下(z軸方向)に重ねて配置された一対の部材である。グランドバー12Aは、配列された同軸ケーブル2(2A,2B)の外部導体2Ac,2Bcを上下の部材で挟みこむことにより、第1の同軸ケーブル2A及び第2の同軸ケーブル2Bの外部導体2Ac,2Bcと接続されている。グランドバー12Aが外部導体2Ac,2Bcと接触する部分には、第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aaと、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Baとの高さ(z軸方向に関する位置)が同じとなるように、段差が設けられている。
図7に示すように、ロックバー13Aは、プラグコネクタ3Aがリセプタクルコネクタ3Bと嵌合したときに、リセプタクルコネクタ3Bと係止するために設けられている。ロックバー13Aは、y軸回りに回動可能にハウジング10A及びグランドシェル14Aに取り付けられている。
図7に示すように、グランドシェル14Aは、ハウジング10A、ケーブル側コンタクト11A、複数の同軸ケーブル2の端末部分及びグランドバー12Aを収容する。グランドシェル14Aは、グランドバー12Aとはんだ付けされている。プラグコネクタ3Aがリセプタクルコネクタ3Bと嵌合すると、グランドバー12A及びグランドシェル14Aは、後述するリセプタクルコネクタ3Bのグランドシェル14Bと接触し、グランドシェル14Bを介して基板4に接地される。
次に、リセプタクルコネクタ3Bの構成について説明する。図8(A)及び図8(B)に示すように、リセプタクルコネクタ3Bは、ハウジング10Bと、複数の基板側コンタクト11Bと、グランドシェル14Bと、を備える。
ハウジング10Bは、リセプタクルコネクタ3Bの筐体となる絶縁性の部材(例えば樹脂製)である。ハウジング10Bには、基板側コンタクト11Bを圧入保持する溝部が設けられている。基板側コンタクト11Bを溝部に圧入すると、図8(B)に示すように、基板側コンタクト11Bは、それぞれが同じ向き(x軸方向に延びる向き)、かつ、互いに絶縁された状態で、y軸方向に配列される。それぞれの間隔はP(図2参照)となっており、等間隔である。ハウジング10Bは、プラグコネクタ3Aの-x方向に突き出した凸部10Aaと嵌合する凹部(差込口)10Baが+x側に設けられている。基板側コンタクト11Bは、この差込口10Baまで延びている。
基板側コンタクト11Bは、図8(B)に示すように、一方向を長手方向とする導電性の部材(例えば金属製)である。基板側コンタクト11Bは、リセプタクルコネクタ3Bがプラグコネクタ3Aと嵌合すると、複数のケーブル側コンタクト11Aと一対一で接触する。
基板側コンタクト11Bは、第1の基板側コンタクト11Baと、第2の基板側コンタクト11Bbのいずれかである。図9(A)及び図9(B)に示すように、第1の基板側コンタクト11Baには、一端に第1のケーブル側コンタクト11Aaと接触する第1の接触部30Aと、ハウジング10Bに圧入固定される本体部31Aと、他端に基板4の信号端子4Aに接続する第1の基板接続部32Aとが設けられている。また、第2の基板側コンタクト11Bbには、一端に第2のケーブル側コンタクト11Abと接触する第2の接触部30Bと、ハウジング10Bに圧入固定される本体部31Bと、他端に基板4の接地端子4Bに接続する第2の基板接続部32Bとが設けられている。
図9(B)に示すように、第2の基板接続部32Bの幅はd2であり、第1の基板接続部32Aの幅はd1である。第2の基板接続部32Bは第1の基板接続部32Aよりも幅が短くなっている(d2<d1)。ただし、第1の基板接続部32A及び第2の基板接続部32Bの幅d1,d2は、はんだ付けの対象となる信号端子4A及び接地端子4Bとの十分なはんだ付けが可能な幅である必要がある。
また、第1の基板側コンタクト11Baにおける第1の基板接続部32Aを除く部分(第1の接触部30A及び本体部31A)は、第2の基板側コンタクト11Bbにおける第2の基板接続部32Bを除く部分(第2の接触部30B及び本体部31B)と、大きさ及び形状が同じである。第1の接触部30A及び第2の接触部30Bには、ケーブル側コンタクト11Aa,11Abの第1の接触部22A,第2の接触部22Bと押圧接触するために、弾性力が与えられている。
上述のような構成を有するプラグコネクタ3A及びリセプタクルコネクタ3Bを嵌合する方法について説明する。前提として、プラグコネクタ3Aには、図4に示すように、第1の同軸ケーブル2A及び第2の同軸ケーブル2Bの端部が接続されており、図7に示すように、グランドシェル14Aが装着されている。すなわち、プラグコネクタ3Aの第1のケーブル側コンタクト11Aa、第2のケーブル側コンタクト11Abは、第1の同軸ケーブル2A、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Aa,2Baと接続し、グランドバー12Aは第1の同軸ケーブル2Aの外部導体2Ac、第2の同軸ケーブル2Bの外部導体2Bcと接続している。また、グランドバー12Aはグランドシェル14Aと接続している。
また、リセプタクルコネクタ3Bは、基板4に実装されているものとする。すなわち、リセプタクルコネクタ3Bの第1の基板側コンタクト11Baの第1の基板接続部32Aは、基板4の信号端子4Aと接続し、第2の基板側コンタクト11Bbの第2の基板接続部32Bは、基板4の接地端子4Bと接続している。
プラグコネクタ3Aでは、ロックバー13Aが+z方向を向くように回転した状態で、その凸部10Aaがリセプタクルコネクタ3Bの差込口10Baに差し込まれる。差し込みが完了すると、ロックバー13Aを-x側に回転させ、リセプタクルコネクタ3Bと係止させる。これにより、プラグコネクタ3Aとリセプタクルコネクタ3Bとの嵌合が完了し、コネクタ装置3は、図1及び図10に示す状態となる。
プラグコネクタ3Aがこのリセプタクルコネクタ3Bに嵌合されると、リセプタクルコネクタ3Bの基板側コンタクト11Bが、プラグコネクタ3Aのケーブル側コンタクト11Aに押圧接触する。より具体的には、図11(A)に示すように、基板側コンタクト11Bのうちの第1の基板側コンタクト11Baは、ケーブル側コンタクト11Aのうちの第1のケーブル側コンタクト11Aaに押圧接触する。また、図11(B)に示すように、基板側コンタクト11Bのうちの第2の基板側コンタクト11Bbは、ケーブル側コンタクト11Aのうちの第2のケーブル側コンタクト11Abに押圧接触する。
これにより、図11(A)に示すように、第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aa→第1のケーブル側コンタクト11Aa→第1の基板側コンタクト11Ba→基板4の信号端子4Aという信号線の伝送経路が形成される。また、図11(B)に示すように、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Ba→第2のケーブル側コンタクト11Ab→第2の基板側コンタクト11Bb→基板4の接地端子4Bという接地線の伝送経路が形成される。
加えて、プラグコネクタ3Aがこのリセプタクルコネクタ3Bに嵌合されると、グランドシェル14Aとグランドシェル14Bとが接触する。これにより、第1の同軸ケーブル2Aの外部導体2Ac及び第2の同軸ケーブル2Bの外部導体2Bcは、グランドバー12A、グランドシェル14A及びグランドシェル14Bを介して基板4に接地される。
同軸ケーブル2のもう一方の端部もコネクタ装置3を介して基板4に接続すると、図12に示すような信号線の伝送線路と、接地線の伝送線路とが形成される。
ここで、信号伝送システム1において、高周波の差動信号が伝送された場合について考える。図12に示すように、一方の基板4において隣接する一対の信号端子4Aから出力される高周波の差動信号は、一対の第1の基板側コンタクト11Ba(第1の基板接続部32Aを含む)→一対の第1のケーブル側コンタクト11Aa(第1の導体接続部20Aを含む)→一対の第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aa→一対の第1のケーブル側コンタクト11Aa(第1の導体接続部20Aを含む)→一対の第1の基板側コンタクト11Ba(第1の基板接続部32Aを含む)を経て、他方の基板4において隣接する一対の信号端子4Aに伝送される。この高周波の差分信号が伝送される一対の伝送線路の両側には、接地信号の伝送線路が並列配置されている。接地信号の伝送線路は、接地端子4B→第2の基板側コンタクト11Bb(第2の基板接続部32Bを含む)→第2のケーブル側コンタクト11Ab(第2の導体接続部20Bを含む)→第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Ba→第2のケーブル側コンタクト11Ab(第2の導体接続部20Bを含む)→第2の基板側コンタクト11Bb(第2の基板接続部32Bを含む)→接地端子4Bとなる。
ここで、高周波の差分信号の伝送線路から電磁波が発生した場合、その電磁波は、他の高周波信号の伝送線路で受信される前に、両側の接地線の伝送線路で受信される。接地線の伝送線路では、この電磁波により高周波のノイズ信号が発生する。しかしながら、この高周波のノイズ信号は、第2の同軸ケーブル2Bの損失により減衰しつつ、基板4の接地端子4Bへ流れる接地電流となる。これにより、クロストークの高周波信号の伝送への影響が軽減される。
しかし、伝送される高周波信号の周波数が信号線及び接地線の伝送線路の共振周波数に近い場合には、その共振エネルギーによりクロストークの成分が増大する。しかしながら、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Baは、第1の同軸ケーブル2Aの内部導体2Aaよりも細いため、高周波信号の損失が大きくなるので、その共振エネルギーを大きく減衰させることができる。このことは、第1の導体接続部20Aと第2の導体接続部20Bとの間、第1の基板接続部32Aと第2の基板接続部32Bとの間についても同様である。
なお、信号線及び接地線の伝送線路の共振周波数は、同軸ケーブル2の長さLによって変化する。例えば、同軸ケーブル2の長さLが長いと共振周波数は低くなる。共振によるクロストークを低減するためには、同軸ケーブル2の長さLを調整し、伝送される信号の周波数と伝送線路の共振周波数とがずれるようにするのが望ましい。
また、第1の同軸ケーブル2Aと第2の同軸ケーブル2Bとの間隔W2は、第1の同軸ケーブル2A同士の間隔W1よりも大きくなっているので、共振エネルギーによるクロストークを低減することができる。このことは、第1の導体接続部20Aと第2の導体接続部20Bとの間隔W2’と第1の導体接続部20A同士の間隔W1’との関係、第1の基板接続部32Aと第2の基板接続部32Bとの間隔W2’と第1の基板接続部32A同士の間隔W1’との関係についても同様である。
なお、ケーブル側コンタクト11A、基板側コンタクト11Bの配列方向(y軸方向)の幅は、両者が確実に接触することができる最小幅となっている。これにより、同軸ケーブル2の配列ピッチを最小化してシステム全体を小型化することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、接地線として用いられる第2の同軸ケーブル2Bが、信号線として用いられる第1の同軸ケーブル2Aよりも細くなっている。このようにすれば、高周波信号の伝送線路に共振が発生し、その共振エネルギーによりクロストークが増大した場合でも、ケーブルの損失を大きくして共振エネルギーを減衰させることができる。この結果、共振によるクロストークを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、接地線として用いられる第2の同軸ケーブル2Bが、信号線として用いられる第1の同軸ケーブル2Aよりも細くなっている。このようにすれば、高周波の差動信号を送信する隣接する第1の同軸ケーブル2A間よりも、第1の同軸ケーブル2Aと第2の同軸ケーブル2Bとの間隔を広げることができる。間隔を広げれば、それだけ共振によるクロストークを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、第2のケーブル側コンタクト11Abの第2の導体接続部20Bは、第1のケーブル側コンタクト11Aaの第1の導体接続部20Aよりも幅が小さくなっている。これにより、第1の導体接続部20Aと第2の導体接続部20Bとの間隔を広げることができるので、第2の導体接続部20Bに生じる共振エネルギーを減衰させることができる。このため、共振により発生するクロストークを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、第1の導体接続部20A及び第2の導体接続部20Bの幅を、それぞれ接続する第1の同軸ケーブル2A、第2の同軸ケーブル2Bの内部導体2Aa,2Abの幅に応じたものとすることができる。これにより、各伝送線路におけるインピーダンスを整合させるようにすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1のケーブル側コンタクト11Aaにおける第1の導体接続部20Aを除く部分は、第1の導体接続部20Aよりも幅が短くなっている。このようにすれば、その部分と第2のケーブル側コンタクト11Abとの間隔をできるだけ広げることができるので、共振により発生するクロストークをより低減することができる。
しかしながら、本発明はこれには限られず、第2のケーブル側コンタクト11Ab全体の幅は同じであってもよい。この場合には、第2のケーブル側コンタクト11Ab全体が、第1のケーブル側コンタクト11Aaよりも幅が短くなる。
また、本実施の形態によれば、第1のケーブル側コンタクト11Aaにおける第1の導体接続部20Aを除く部分(本体部21A及び第1の接触部22A)は、第2のケーブル側コンタクト11Abにおける第2の導体接続部20Bを除く部分(本体部21B及び第2の接触部22B)と、形状及び大きさが同じである。このようにすれば、それらの部分の幅を、コンタクト同士の接触に支障が出ない最小幅として、コンタクトの間隔(ピッチ)を極力短くしつつ、共振により発生するクロストークを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、リセプタクルコネクタ3Bにおいても、第2の基板接続部32Bは、第1の基板接続部32Aよりも幅が短くなっている。これにより、第1の基板接続部32Aと第2の基板接続部32Bとの間隔を広げることができるので、第2の基板接続部32Bを伝送される高周波信号を減衰させることができる。このため、共振により発生するクロストークを低減することができる。
しかしながら、本発明はこれには限られず、第2の基板側コンタクト11Bb全体の幅は同じであってもよい。この場合には、第2の基板側コンタクト11Bb全体が、第1の基板側コンタクト11Baよりも幅が短くなる。
また、本実施の形態によれば、第1の基板側コンタクト11Baにおける第1の基板接続部32Aを除く部分は、第2の基板側コンタクト11Bbにおける第2の基板接続部32Bを除く部分と、大きさ及び形状が同じである。このようにすれば、第1の基板側コンタクト11Ba及び第2の基板側コンタクト11Bbの幅を、コンタクト同士の接触に支障が出ない最小幅として、コンタクトの間隔(ピッチ)を極力短くしつつ、共振によるクロストークを低減することができる。
なお、上記実施の形態では、同軸ケーブル2の端部に接続されるコネクタ装置3において、同軸ケーブル2に接続される方を凸状のプラグコネクタ3Aとし、基板4に接続されるコネクタを凹状のリセプタクルコネクタ3Bとしたが、本発明はこれには限られない。同軸ケーブル2に接続されるコネクタを凹状とし、基板4に接続されるコネクタを凸状としてもよい。
なお、上記実施の形態では、複数の同軸ケーブル2を平面状に配置されるものとしたが、本発明はこれには限られない。複数の同軸ケーブル2は、曲面状に配置されるものとしてもよい。
なお、上記実施の形態では、インサート成形により、ケーブル側コンタクト11Aを、ハウジング10A内に配置したが、本発明はこれには限られない。ケーブル側コンタクト11Aを、ハウジング10Aが成形された後、ハウジング10Aに圧入するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、基板側コンタクト11Bを、ハウジング10B内に圧入固定されるものとしたが、本発明はこれには限られない。基板側コンタクト11Bを金型に挿入し、ハウジング10Bをインサート成形するようにしてもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本発明は、複数の同軸ケーブルを用いて高周波信号を伝送する信号伝送システムに適用することができる。
1 信号伝送システム、2 同軸ケーブル、2A 第1の同軸ケーブル、2Aa 内部導体、2Ab 絶縁体、2Ac 外部導体、2Ad 外部被覆、2B 第2の同軸ケーブル、2Ba 内部導体、2Bb 絶縁体、2Bc 外部導体、2Bd 外部被覆、3 コネクタ装置、3A プラグコネクタ(ケーブルコネクタ)、3B リセプタクルコネクタ(基板コネクタ)、4 基板、4A 信号端子、4B 接地端子、10A,10B ハウジング、10Aa 凸部、10Ba 差込口、11A ケーブル側コンタクト、11Aa 第1のケーブル側コンタクト、11Ab 第2のケーブル側コンタクト、11B 基板側コンタクト、11Ba 第1の基板側コンタクト、11Bb 第2の基板側コンタクト、12A グランドバー、13A ロックバー、14A,14B グランドシェル、20A 第1の導体接続部、20B 第2の導体接続部、21A,21B 本体部、22A 第1の接触部、22B 第2の接触部、30A 第1の接触部、30B 第2の接触部、31A,31B 本体部、32A 第1の基板接続部、32B 第2の基板接続部

Claims (6)

  1. 並列配置された複数の同軸ケーブルと、
    前記複数の同軸ケーブルの端部に接続されるケーブルコネクタと、
    を備え、
    記同軸ケーブルは
    信号線として用いられる第1の同軸ケーブルと、
    接地線として用いられる第2の同軸ケーブルと、のいずれかであり、
    差動信号を伝送する一対の前記第1の同軸ケーブルが隣接して配置されるとともに、隣接する前記一対の前記第1の同軸ケーブルの両側に前記第2の同軸ケーブルが配置され、
    前記第2の同軸ケーブルは、前記第1の同軸ケーブルよりも細
    前記ケーブルコネクタは、並列配置され前記複数の同軸ケーブルの内部導体と一対一で接続される導電性の複数のケーブル側コンタクトを有し、
    前記ケーブル側コンタクトは、
    前記第1の同軸ケーブルの内部導体に接続する第1の導体接続部が設けられた導電性の第1のケーブル側コンタクトと、
    前記第2の同軸ケーブルの内部導体に接続する第2の導体接続部が設けられた導電性の第2のケーブル側コンタクトと、のいずれかであり、
    前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第2の導体接続部は、前記第1の導体接続部よりも幅が短い、
    信号伝送システム。
  2. 前記第2の同軸ケーブルの内部導体が、前記第1の同軸ケーブルの内部導体よりも細い、
    請求項1に記載の信号伝送システム。
  3. 前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第1のケーブル側コンタクトにおける前記第1の導体接続部を除く部分は、前記第1の導体接続部よりも幅が短い、
    請求項1又は2に記載の信号伝送システム。
  4. 前記第1のケーブル側コンタクトにおける前記第1の導体接続部を除く部分は、前記第2のケーブル側コンタクトにおける前記第2の導体接続部を除く部分と、形状及び大きさが同じである、
    請求項3に記載の信号伝送システム。
  5. 基板に実装され前記ケーブルコネクタと嵌合する基板コネクタを備え、
    前記基板コネクタは、前記ケーブルコネクタと嵌合すると前記複数のケーブル側コンタクトと一対一で接触する導電性の複数の基板側コンタクトを有し、
    記基板側コンタクトは
    一端に前記第1のケーブル側コンタクトと接触する第1の接触部が設けられ、他端に前記基板の信号端子に接続する第1の基板接続部が設けられた導電性の第1の基板側コンタクトと、
    一端に前記第2のケーブル側コンタクトと接触する第2の接触部が設けられ、他端に前記基板の接地端子に接続する第2の基板接続部が設けられた導電性の第2の基板側コンタクトと、のいずれかであり、
    前記同軸ケーブルが並列配置される方向に関して、前記第2の基板接続部は、前記第1の基板接続部よりも幅が短い、
    請求項から4のいずれか一項に記載の信号伝送システム。
  6. 前記第1の基板側コンタクトにおける前記第1の基板接続部を除く部分は、前記第2の基板側コンタクトにおける前記第2の基板接続部を除く部分と、大きさ及び形状が同じである、
    請求項5に記載の信号伝送システム。
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