以下、添付図面を参照して、本願の開示する電源管理装置および電源管理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
まず、図1を用いて、実施形態に係る電源管理装置を備えた給電システムについて説明する。図1は、実施形態に係る給電システムの構成の一例を示す図である。以下では、実施形態に係る電源管理装置1を車両に搭載される給電システムに適用した場合を例に挙げて説明する。ここでは、車両がモータおよびエンジンを駆動源とするハイブリッド車である場合について説明する。なお、実施形態に係る電源管理装置1は、車両に搭載される給電システム以外の任意の給電システムに適用することができる。
図1に示すように、実施形態に係る給電システムは、電源管理装置1と、電源2と、負荷3と、リレー41,42と、Preリレー43と、抵抗44と、コンデンサ45と、電力変換部5とを備える。
電源2は、例えば、充放電可能な複数のリチウムイオンバッテリが直列に接続されたバッテリである。負荷3は、例えば、車両を走行させる3相交流モータである。電力変換部5は、電源2が放電する場合に、電源2から入力される直流電流を交流電流に変換して負荷3へ出力するインバータである。
コンデンサ45は、電源2に流れる電流を平滑化するために電力変換部5に対して並列に接続される。より詳細には、コンデンサ45は、電力変換部5がデューティ駆動されるときに発生する電流のリップル成分を平滑化することで、電源2のリップル電流を抑えるために設けられる。なお、電力変換部5は、電源2を充電する場合には、負荷3から入力される交流電流を直流電流に変換して電源2へ出力する。
リレー41は、電源2の高電圧側の端子と電力変換部5との間を切離可能に接続する。リレー42は、電源2の低電圧側の端子と電力変換部5との間を切離可能に接続する。以下、2つのリレー41,42を区別するために、リレー41をPリレー41と記載し、リレー42をNリレー42と記載する。また、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43を特に区別しない場合、リレー40と記載する。
かかるPリレー41およびNリレー42は、電源管理装置1によってON/OFFの駆動制御が行われる。そして、Pリレー41およびNリレー42は、ONになることで、電力変換部5を介して電源2と負荷3とを接続する。また、Pリレー41およびNリレー42は、OFFになることで、電源2と負荷3との接続を切断する。
Preリレー43は、抵抗44と直列に接続される。そして、直列に接続されるPreリレー43および抵抗44は、Pリレー41に対して並列に接続される。かかるPreリレー43は、電源管理装置1によってON/OFFの駆動制御が行われ、給電システムの起動時に電源2からコンデンサ45へ突入電流が流れることを防止する。
電源管理装置1は、上述したように、Pリレー41、Nリレー42、およびPreリレー43の駆動制御を行う装置である。かかる電源管理装置1は、電池状態検知部6と、制御部7と、AND回路81,82,83と、リレー駆動部91,92,93と、監視部10とを備える。
電池状態検知部6は、電源2が備える複数のリチウムイオン電池のそれぞれから充電状態を取得して制御部7へ出力する処理部である。制御部7は、Pリレー41、Nリレー42、およびPreリレー43の駆動制御を行う。
制御部7の駆動制御には、制御部7の異常が検出されていない場合に行われる定常処理と、制御部7の異常が検出された場合に行われる遮断処理とがある。
定常処理では、制御部7は、車両のイグニッションスイッチの状態や電池状態検知部6により検知される電源2の状態に基づいてリレー40をONまたはOFFに切り替える。遮断処理では、制御部7は、後述する監視部10から出力されるリセット信号を受信して、制御部7のリセットに伴いリレー40を遮断(OFFに切り替え)する。
具体的には、定常処理では、制御部7は、例えば、車両のイグニッションスイッチがONされた場合に、Pリレー41およびNリレー42をOFFからONにする。また、制御部7は、車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合、あるいは電源2が異常となった場合に、Pリレー41およびNリレー42をONからOFFにする。
例えば、制御部7は、経路L1を介してAND回路81,82,83へHighレベル(以下、単に「High」と記載する)の駆動信号を出力することによって、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43をOFFからONにする。
また、制御部7は、経路L1を介してAND回路81,82,83へLowレベル(以下、単に、「Low」と記載する)の駆動信号を出力することによって、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43をONからOFFにする。
また、制御部7は、給電システムが起動される場合、Pリレー41をOFFからONにする前に、Preリレー43およびNリレー42をOFFからONにしてコンデンサ45をPreチャージすることによって、コンデンサ45への突入電流の入力を防止する。
そして、制御部7は、コンデンサ45のPreチャージが完了した場合に、Preリレー43をONからOFFにし、Pリレー41をOFFからONにする。
かかる制御部7は、動作状態が正常である場合に、経路L2を介してウォッチドッグパルスを継続的に監視部10へ出力する。なお、ウォッチドッグパルスは、制御部7の動作状態が異常になった場合には、監視部10へ出力されなくなる。
監視部10は、制御部7から入力されるウォッチドッグパルスに基づいて、制御部7の動作状態を監視する処理部である。具体的には、監視部10は、制御部7からウォッチドッグパルスが入力されている期間には、制御部7の動作状態が正常(すなわち、動作異常が検出されない)であると判定し、一方、所定時間継続してウォッチドッグパルスの入力がない場合には、制御部7の動作状態が異常である(すなわち、動作異常が検出される)と判定する。
そして、監視部10は、制御部7の動作異常が検出された場合に、制御部7をリセットして、制御部7にPリレー41、Nリレー42およびPreリレー43を遮断させる。
具体的には、監視部10は、制御部7をリセット(再起動)するリセット信号を経路L3を介して制御部7へ出力する。これにより、制御部7は、一度リセット処理を行い、制御部7の再起動時に初期状態として予め設定されているLowの駆動信号を経路L1を介してAND回路81,82,83へ出力する。これにより、リレー40は遮断される。AND回路81,82,83は、制御部7から入力される駆動信号と、監視部10から入力される後述の駆動信号との論理積を、リレー駆動部91,92,93へ出力する論理回路である。
ここで、仮に、例えば、制御部7のリセット処理を行う回路の故障等の異常が発生した場合、制御部7は、監視部10からリセット信号を受け付けてもリセット処理が行われずリレー40を遮断できなくなってしまう。このため、制御部7の異常時において、リレー40を確実に遮断する技術が望まれている。
そこで、実施形態に係る電源管理装置1において、制御部7は、ウォッチドッグパルスとは別に、制御部7内部を自己診断し、自己診断により異常を検出した場合には経路L4を介して監視部10へ通知する。そして、監視部10は、自己診断による異常の通知を受け付けた場合には、監視部10が経路L5を介してLowの駆動振動を出力してリレー40を自己で遮断する。つまり、監視部10は、制御部7のリセットによるリレー40の遮断経路とは別の遮断経路を有する。これにより、制御部7が異常の場合に、監視部10によってリレー40を確実に遮断できる。
具体的には、監視部10は、制御部7から自己診断による異常の通知を受け付けた場合に、経路L5を介してAND回路81,82,83へLowの駆動信号を出力してリレー40を遮断する。
つまり、監視部10は、制御部7をリセットしてリレー40を遮断する第1遮断経路R1(図3参照)とは別に、制御部7の自己診断によって検出された異常時に、監視部10自らがリレー40を自己遮断する第2遮断経路R2(図3参照)を備える。このように、監視部10は、第1遮断経路および第2遮断経路の独立した2つの遮断経路を有することで、制御部7の異常時に確実にリレー40を遮断できる。
このように、リレー40を遮断する経路を冗長化することで、例えば、制御部7の異常等によって第1遮断経路でリレー40を遮断できない場合であっても、第2遮断経路によってリレー40を遮断できる。従って、実施形態に係る電源管理装置1によれば、異常発生時に、リレー40を確実に遮断できる。
次に、図2を用いて、制御部7および監視部10が出力する駆動信号とリレー40の状態との対応関係について説明する。図2は、実施形態に係る制御部7および監視部10が出力する駆動信号とリレー40の状態との対応関係を示す図である。なお、図2におけるリレー40は、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43のことである。
図2に示すように、監視部10がHighの駆動信号を出力している場合、制御部7がLowの駆動信号を出力するとリレー40はOFFになり、Highの駆動信号を出力するとリレー40はONになる。つまり、リレー40は、制御部7の駆動信号にしたがってONまたはOFFになる。このような状況としては、例えば、上述した定常処理時や、リセット処理時が挙げられる。
すなわち、監視部10は、ウォッチドッグパルスに基づく制御部7の動作異常が検出された場合に、リセット信号を出力することにより制御部7がリセットされてリレー40はOFFになる。
また、監視部10がLowの駆動信号を出力している場合、制御部7の駆動信号がLowであってもHighであっても、リレー40はOFFになる。つまり、リレー40は、制御部7が出力する駆動信号に依存することなくOFFになる。このような状況としては、例えば、上述した制御部7の自己診断によって検出された異常の通知があった場合が挙げられる。
すなわち、監視部10は、ウォッチドッグパルスによる異常を検出した場合は制御部7のリセットを行い(AND回路81,82,83にLowの駆動信号を出力しない)、一方、制御部7から自己診断による異常の通知を受け付けたときはAND回路81,82,83にLowの駆動信号を出力する。
次に、図3を用いて、実施形態に係る電源管理装置1の構成について説明する。図3は、実施形態に係る電源管理装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、実施形態に係る電源管理装置1は、制御部7と、監視部10とを備える。また、図3では、上記した第1遮断経路R1および第2遮断経路R2を破線で囲んでいる。
制御部7は、駆動部71と、CPU自己診断部72とを備える。CPU自己診断部72は、WD出力部72aと、異常検出部72bと、出力部72cと、診断部72dとを備える。監視部10は、WD検出部101と、リセット遮断部102とを備える。
ここで、電源管理装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部7および監視部10として機能する。
また、制御部7および監視部10の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
また、電源管理装置1の図示しない記憶部は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、電源管理装置1は、制御部7および監視部10のいずれか一方または全部に図示しない記憶部を有してもよい。また、電源管理装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
駆動部71は、上記した定常処理においては、電池状態検知部6(図1参照)の検知結果に基づいてリレー40の駆動を制御する。具体的には、駆動部71は、例えば、車両のイグニッションスイッチがONされた場合に、経路L1を介してHighの駆動信号をAND回路81,82,83へ出力することで、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43をOFFからONにする。
また、駆動部71は、車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合、あるいは電源2が異常となった場合に、経路L1を介してLowの駆動信号をAND回路81,82,83へ出力することで、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43をONからOFFにする。
また、駆動部71は、後述するリセット遮断部102が出力するリセット信号によって制御部7がリセットされた場合、初期状態になるとともに、初期状態として予め設定されたLowの駆動信号を経路L1を介してAND回路81,82,83へ出力し、リレー40をONからOFFにする。
また、駆動部71は、制御部7の指示により、後述する異常検出部72bによって模擬的に異常が検出されたことを示す模擬信号を生成し、出力部72cを介して監視部10へ出力する。例えば、駆動部71は、終了信号が入力されて電源管理装置1の終了処理が実行される際に、模擬信号を出力する。終了信号は、例えば、車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合に、図示を省略したECUから入力される信号である。これにより、後述のCPU自己診断部72は、模擬信号に基づく監視部10のリレー40の自己遮断が正常に行われるか否かを判定し、かかる判定の結果に基づいて第2遮断経路R2における異常検出部72b以降の経路(後述のリセット遮断部102)が正常か異常かを診断する。つまり、駆動部71は、終了処理において、異常検出部72b以降の経路の診断を兼ねてリレー40を遮断させる。
具体的には、CPU自己診断部72は、電力変換部5の両端の電圧Vdc(図1参照)が低下した場合に、リレー40が正常に遮断されたとして、第2遮断経路R2における異常検出部72b以降の経路が正常であると診断する。一方、CPU自己診断部72は、電圧Vdcが低下しなかった場合に、リレー40が正常に遮断されていない、つまり、第2遮断経路R2における異常検出部72b以降の経路が異常であると診断する。
そして、CPU自己診断部72は、第2遮断経路R2における異常検出部72b以降の経路が異常であるとする診断結果を含む異常情報を図示しない記憶部に記憶するとともに、給電システムを停止させる。このように、CPU自己診断部72は、模擬信号を生成して、第2遮断経路R2が確実に機能することを確認することで、給電システムの安全性を向上させることができる。
WD出力部72aは、経路L2を介してウォッチドッグパルスを一定間隔で監視部10へ出力する。
異常検出部72bは、制御部7内部で発生した異常を検出し、集約する回路、いわゆるFCCU(Fauit Collection and Control Unit)として機能する。異常検出部72bは、制御部7内部の異常を検出した場合、出力部72cを介して監視部10へ通知する。
なお、異常検出部72bは、監視部10に対して、一定間隔で異常の有無を通知してもよく、あるいは、異常が検出されたタイミングで通知してもよい。
出力部72cは、異常検出部72bによって異常が検出されたこと示す検出信号を経路L4を介して監視部10へ出力する。具体的には、出力部72cは、異常検出部72bから異常が検出された旨を受け付けると、例えば、検出信号として「1」を出力し、一方で、異常が検出されていない旨を受け付けると、検出信号として「0」を出力する。また、出力部72cは、駆動部71から異常検出部72bによって模擬的に異常が検出されたことを示す模擬信号が入力されるときも「1」を出力する。
診断部72dは、異常検出部72bの動作を診断する。具体的には、診断部72dは、異常検出部72bによって異常が正常に検出されるか否かを診断する。
より具体的には、診断部72dは、異常を示すテストパターンを生成して異常検出部72bへ出力し、かかるテストパターンに対する異常検出部72bの応答を解析することで、異常検出部72bによって異常が正常に検出されるか否かを診断する。
換言すれば、制御部7にとって、診断部72dは、制御部7を自己診断する、いわゆるBIST(Built-In Self Test)として機能する。このように、制御部7は、診断部72dによって異常の検出を行うことで、第2遮断経路R2が確実に機能することを担保できる。
なお、診断部72dは、例えば、車両のイグニッションスイッチがONされたことを示す起動信号が入力されて起動処理を行う期間において、上記した診断を行うが、詳細については図4で後述する。
WD検出部101は、WD出力部72aから出力されるウォッチドッグパルスを検出し、検出結果をリセット遮断部102へ出力する。具体的には、WD検出部101は、入力されるウォッチドッグパルスのパルス間隔を測定し、測定したパルス間隔を一定時間毎にリセット遮断部102へ通知する。より具体的には、WD検出部101は、パルス間隔として、ウォッチドッグパルスがLowからHigh、またはHighからLowに変化してからの経過時間を計測する。
リセット遮断部102は、制御部7の異常が検出された場合、第1遮断経路R1または第2遮断経路R2のいずれかによってリレー40を遮断する。具体的には、リセット遮断部102は、WD検出部101から入力されるウォッチドッグのパルスの間隔が所定の閾値以上空いた場合に、制御部7の異常を検出し、経路L3を介して制御部7へリセット信号を出力し、制御部7をリセットする。すなわち、第1遮断経路R1によって、制御部7にリレー40を遮断させる。
また、リセット遮断部102は、制御部7の出力部72cから異常を示す検出信号を受け付けた場合、リセットによりリレー40を遮断できない可能性があるとして、経路L5を介してAND回路81,82,83へLowの駆動信号を出力する。すなわち、第2遮断経路R2によってリレー40を遮断する。
また、リセット遮断部102は、第2遮断経路R2でリレー40を遮断する場合、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43を遮断する。つまり、リセット遮断部102は、第2遮断経路R2によって複数のリレー40すべてを遮断する。
具体的には、リセット遮断部102は、3つのAND回路81,82,83すべてにLowの駆動信号を出力することで、すべてのリレー40を遮断する。このようにすべてのリレー40を遮断することで、給電システムを確実に停止させることができる。
なお、リセット遮断部102は、必ずしもすべてのリレー40を遮断する必要はなく、Pリレー41またはNリレー42のうち、少なくともいずれか一方を遮断してもよい。これにより、リセット遮断部102の処理負荷を抑えることができる。
次に、図4を用いて、電源管理装置1が行う動作の一例について説明する。図4は、実施形態に係る電源管理装置1の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図4には、上から順に、電源管理装置1が実行する処理、Pリレー41の駆動状態、Nリレー42の駆動状態、Preリレー43の駆動状態、診断部72dによる異常検出部72bの診断処理、異常検出部72bによる異常検出処理、リセット遮断部102が出力するPリレー41の駆動信号、Nリレー42の駆動信号、Preリレー43の駆動信号、駆動部71が出力するPリレー41の駆動信号、Nリレー42の駆動信号およびPreリレー43の駆動信号を示している。なお、横軸は、時刻である。
図4に示すように、電源管理装置1は、時刻t1から時刻t5までの間、起動処理を実行し、時刻t5から時刻t6までの間、定常処理を実行し、時刻t6から時刻t7までの間、終了処理を実行する。
まず、起動処理の間に行われる動作について説明する。かかる起動処理は、時刻t1で起動信号が入力されると、開始される。起動信号は、例えば、車両のイグニッションスイッチがONされた場合に、図示を省略したECUから電源管理装置1へ入力される信号である。
リセット遮断部102は、時刻t1で起動処理が開始されると、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43のHighの駆動信号を出力する。また、診断部72dは、時刻t1で起動処理が開始されると、時刻t1から時刻t2までの期間において、異常検出部72bの診断処理を実施する。また、異常検出部72bは、時刻t1から時刻t7まで制御部7の異常を常時実施する。
例えば、診断部72dは、異常検出部72bが制御部7の異常を正常に検出できないとする診断を行った場合、制御部7を強制終了させる。これにより、制御部7の異常時に、リレー40が遮断できない状況を回避できるため、給電システムの安全性を高めることができる。
診断部72dによる診断処理の結果、異常検出部72bが正常であると診断された場合、駆動部71は、時刻t2において、Nリレー42の駆動信号をLowからHighにする。これにより、Nリレー42がOFFからONになる。
つづいて、駆動部71は、時刻t3でPreリレー43の駆動信号をLowからHighにする。これにより、Preリレー43は、OFFからONになり、抵抗44(図1参照)によって電源2から流れる電流を抑えながらコンデンサ45がPreチャージされるため、電源2からコンデンサ45へ突入電流が流入することを防止できる。
つづいて、駆動部71は、時刻t4でPリレー41の駆動信号をLowからHighへ切り替える。これにより、Pリレー41がOFFからONになる。その結果、電源2から電力変換部5へ電力が供給される。
つづいて、駆動部71は、時刻t5でPreリレー43の駆動信号をHighからLowへ切り替えて起動処理を終了する。これにより、Preリレー43がONからOFFになる。
起動処理終了後、すなわち時刻t5以降において、制御部7は、定常処理を行う。なお、図4では、制御部7が時刻t5から時刻t6まで、定常処理を行うこととする。
そして、制御部7は、時刻t6で終了信号が入力されると、終了処理を開始する。終了信号は、例えば、車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合に、図示を省略したECUから入力される信号である。
駆動部71は、終了信号が入力されると、制御部7の異常を示す模擬信号によりリセット遮断部102の診断を兼ねてリレー40を遮断させる。具体的には、駆動部71は、時刻t6において模擬信号をリセット遮断部102へ出力する。リセット遮断部102は、時刻t6において、模擬信号が入力されると、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43の駆動信号をHighからLowに切り替える。これにより、時刻t6において、Pリレー41、Nリレー42およびPreリレー43がONからOFFになる。そして、駆動部71は、時刻t7において、Pリレー41およびNリレー42の駆動信号および模擬信号をHighからLowに切り替え、終了処理を終了する。
次に、図5を用いて、電源管理装置1が実行する全体処理について説明する。図5は、実施形態に係る電源管理装置1が実行する全体処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、電源管理装置1では、まず、制御部7は、起動信号の入力があるか否かを判定する(ステップS101)。かかる起動信号は、例えば、車両のイグニッションスイッチがONされた場合に、図示を省略したECUから制御部7へ入力される信号である。
制御部7は、起動信号が入力されると、起動処理を開始する(ステップS101)。かかる起動処理の流れについては、図6を参照して用いて後述する。
つづいて、制御部7は、起動処理の終了後、定常処理を実行する(ステップS102)。例えば、制御部7は、WD出力部72aから定期的にウォッチドッグパルスを出力する処理、異常検出部72bにより制御部7の異常を検出し制御部7の異常が検出された場合にリレー40を遮断する処理、電源2が異常になった場合に、Pリレー41およびNリレー42をONからOFFにする処理等を行う。
また、制御部7は、定常処理の期間において、制御部7の異常が検出された場合に、リレー40を遮断する遮断処理があったか否かを判定する(ステップS103)。なお、遮断処理の流れについては、図7~図9を用いて後述する。
制御部7は、遮断処理がなかった場合(ステップS103,No)、終了信号の入力があるか否かを判定する(ステップS104)。かかる終了信号は、例えば、車両のイグニッションスイッチがOFFされた場合に、図示を省略したECUから制御部7へ入力される信号である。一方、制御部7は、遮断処理があった場合(ステップS103,Yes)、処理を終了する。すなわち、動作を強制的に停止する。
制御部7は、終了信号の入力なしと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS102へ移し、終了信号の入力があるまで定常処理を継続して実行する。また、制御部7は、終了信号の入力ありと判定した場合(ステップS104,Yes)、終了処理を実行して(ステップS105)、処理を終了する。
次に、図6を用いて、電源管理装置1が実行する起動処理について説明する。図6は、実施形態に係る電源管理装置1が実行する起動処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、制御部7は、起動処理の開始時において、まず、診断部72dによる異常検出部72bの診断処理を開始する(ステップS201)。具体的には、診断部72dは、異常を示すテストパターンを生成して異常検出部72bへ出力し、かかるテストパターンに対する異常検出部72bの応答を解析することで、異常検出部72bによって異常が正常に検出されるか否かを診断する。
そして、診断部72dは、上記の診断処理により異常検出部72bが異常であるか否かを判定する(ステップS202)。制御部7は、診断部72dによって異常検出部72bが正常であると判定された場合(ステップS202,No)、第2遮断経路R2の異常が記憶されているか否かを判定する(ステップS203)。この第2遮断経路R2の異常の記憶については図10で後述する。
制御部7は、第2遮断経路R2の異常が記憶されてない場合(ステップS203,No)、Nリレー42をONにして(ステップS204)、さらに、Preリレー43をONにする(ステップS205)ことで、コンデンサ45をPreチャージする。
つづいて、制御部7は、Pリレー41をONにして(ステップS206)、電力変換部5へ電力の供給を行う。つづいて、制御部7は、Preリレー43をOFFにして(ステップS207)、起動処理を終了する。
一方、制御部7は、診断部72dによって異常検出部72bが異常であると判定された場合(ステップS202,Yes)、制御部7の停止処理を行い(ステップS208)、処理を終了する。かかる場合、定常処理には移行しない。
また、制御部7は、第2遮断経路R2の異常が記憶されていると判定した場合(ステップS203,Yes)、制御部7の停止処理を行い(ステップS208)、処理を終了する。かかる場合、定常処理には移行しない。
次に、図7~図9を用いて、電源管理装置1が実行する遮断処理について説明する。図7は、実施形態に係る異常検出部72bが実行する異常検出処理を示すフローチャートである。図8は、実施形態に係る監視部10が実行するウォッチドッグパルスによる異常検出時の遮断処理を示すフローチャートである。図9は、実施形態に係る監視部10が実行する異常検出部72bによる制御部7の異常検出時の遮断処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、CPU自己診断部72は、まず、異常検出部72bによる制御部7の異常の検出処理を行う(ステップS301)。なお、異常検出部72bによる異常の検出処理は、起動処理、定常処理および終了処理が実行されている間において行われる。つづいて、異常検出部72bは、上記ステップS301の検出処理により、制御部7が異常であるか否かを判定する(ステップS302)。
異常検出部72bは、制御部7が異常であった場合(ステップS302,Yes)、出力部72cより異常検出信号をリセット遮断部102へ出力し(ステップS303)、処理を終了する。これにより、リセット遮断部102が第2遮断経路R2を用いてリレー40を遮断する。
次に、図8に示すように、リセット遮断部102は、WD検出部101が検出したウォッチドッグパルス(WDP)に基づく制御部7の動作異常を検出したか否かを判定する(ステップS401)。リセット遮断部102は、制御部7の動作異常を検出しない場合(ステップS401,No)、動作異常が検出されるまでステップS301の判定処理を繰り返す。
一方、リセット遮断部102は、制御部7の動作異常が検出された場合(ステップS401,Yes)、制御部7へリセット信号を出力し(ステップS402)、処理を終了する。これにより、制御部7は、リセットに伴って駆動信号の出力ポートが初期状態に戻されるとともに、初期状態として予め設定されたLowの駆動信号を出力し、リレー40を遮断する。
次に、図9に示すように、リセット遮断部102は、制御部7が異常であるか否かを判定する(ステップS501)。具体的には、リセット遮断部102は、異常検出部72bが制御部7の異常を検出したか否かの検出信号(異常検出信号)を受け付けることで判定する。
リセット遮断部102は、制御部7が異常でなかった場合(ステップS501,No)、制御部7の異常が検出されるまで、ステップS501の処理を繰り返し実行する。
また、リセット遮断部102は、制御部7が異常であった場合(ステップS501,Yes)、駆動信号をHighからLowに切り替えることで、リレー40を自己遮断して(ステップS502)、処理を終了する。
次に、図10を用いて、実施形態に係る電源管理装置1が実行する終了処理について説明する。図10は、実施形態に係る電源管理装置1が実行する終了処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、制御部7は、まず、駆動部71から模擬的な異常を示す模擬信号をリセット遮断部102へ出力する(ステップS601)。つづいて、制御部7は、模擬信号に基づいて第2遮断経路R2でリレー40が遮断されたか否かを判定する(ステップS602)。
制御部7は、リレー40が遮断された場合(ステップS602,Yes)、第2遮断経路R2が正常と判定する(ステップS603)。つづいて、制御部7は、駆動部71よりLowの駆動信号を出力し(ステップS604)、処理を終了する。このLowの駆動信号により、リレー40が遮断される。
一方、制御部7は、リレー40が遮断されない場合(ステップS602,No)、第2遮断経路R2が異常と判定し、第2遮断経路R2の異常を記憶し(ステップS605)、処理をステップS604へ移行する。
上述してきたように、実施形態に係る電源管理装置1は、制御部7と、監視部10とを備える。制御部7は、電源2と負荷3との間に設けられるリレー40の駆動を制御する。監視部10は、制御部7の動作異常が検出された場合に、制御部7をリセットすることで制御部7にリレー40を遮断させる。また、制御部7は、制御部7内部で生じる異常の有無を診断し、異常を検出した場合に、監視部10へ通知するCPU自己診断部72を備える。監視部10は、CPU自己診断部72による異常の通知を受け付けた場合に、制御部7に代えてリレー40を遮断する。これにより、制御部7の異常時において、リレー40を確実に遮断できる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。