JP6999863B1 - ポリエステル系シュリンクフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
より詳しくは、PETボトル等において、優れた耐シワ特性を有するポリエステル系シュリンクフィルムに関する。
ポリエステル系シュリンクフィルムは、このように優れた特性を有するものの、加熱する際、熱応答が急激であるため、不均一に収縮し、シワが発生しやすいという問題が見られた。
より具体的には、フィルムの温湯収縮率が、主収縮方向において、温度70℃、5秒の処理後に5~50%であり、85℃、5秒処理後に65%以上であり、主収縮方向と直交する方向において、85℃、5秒処理後に10%以下であることを特徴とする熱収縮性熱可塑性樹脂系フィルムである。
そして、厚みの分布が6%以下であることを特徴とする熱収縮性熱可塑性樹脂系フィルムである。
特に、胴部のボトル径が一様でなく、かつ、部位によっては、胴部の水平断面形状が円状ではない複雑な形状を有するPETボトルの場合、収縮が不均一となりやすいことから、微細なしわの発生を抑制するまでには至らなかった。
すなわち、本発明は、各種PETボトル等に適用しても、優れた耐シワ特性を発揮するポリエステル系シュリンクフィルムを提供することを目的とする。
(a)主収縮方向をTD方向(以下、同様である。)とし、TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2(%)としたときに、A2を53%以上の値とする。
(b)TD方向における、収縮温度90℃での最大収縮応力をB(MPa)とし、Bを2~10(MPa)の範囲内の値とする。
(c)BとA2とから、B/A2で表される数値を0.08~0.15MPa/%の範囲内の値とする。
すなわち、構成(a)を満足することによって、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な熱収縮率が得られ、ひいては良好な最大収縮応力も得られるためである。
また、構成(b)を満足することによって、最大収縮応力を所定範囲内の値に制御し、最大収縮応力の過不足によって発生しえるシワを抑制できるポリエステル系シュリンクフィルムを得ることができる。
更にまた、構成(c)を満足することによって、構成(a)の熱収縮率や構成(b)の最大収縮応力の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として微細なシワの発生をも抑制することができる。
したがって、これら熱収縮率A2、最大収縮応力B、及びB/A2を、所定範囲内の値に制限することによって、耐シワ特性に優れたシュリンクフィルムを提供することができる。
なお、耐シワ特性は、例えば、実施例1の評価9において、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムで作成された、所定条件の筒状ラベルの5個中、3個以上に、目視による観察にて、所定のシワが発生しなかった場合を良好とする。
(d)収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムの厚さをt(μm)とし、Bとtとから、B/tで表される数値を0.05~0.4MPa/μmの範囲内の値とする。
このようにB/tで表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、B/A2で表される数値を、所定範囲内の値に制御しやすくなる。
したがって、より一層、耐シワ特性を向上させることができる。
このように収縮前のポリエステル系シュリンクフィルム厚さを所定範囲内の値に具体的に制限することによって、熱収縮率A2、最大収縮応力B、B/A2及びB/tで表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなる。
このように熱収縮率A1を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、熱収縮率A2を所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなる。
このように収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのMD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限し、かつ、A1、A2、B、B/A2及びB/tで表される数値、後述する熱収縮率A´1及びA´2等を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することで、微細なシワの発生をも抑制することができる。
このように収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのMD方向のみならず、TD方向における延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限し、かつ、A1、A2、B、B/A2及びB/tで表される数値、後述する熱収縮率A´1及びA´2等を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することで、微細なシワの発生を抑制することができる。
このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなり、かつ、透明性が良好なことから、汎用性を更に高めることができる。
このように非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を具体的に制限することによって、収縮温度付近(例えば、80~90℃、以下同様である。)における熱収縮率や最大収縮応力を所望範囲に、更に容易に調整しやすくできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
なお、樹脂全体量のうち、非結晶性ポリエステル樹脂の残分は、結晶性ポリエステル樹脂やポリエステル樹脂以外の樹脂が寄与する値である。
図2は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(A2)と所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)における最大収縮応力(B)との関係を説明するための図である。
図3は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)の最大収縮応力(B)/所定加熱条件(温水90℃、10秒)の収縮率(A2)の比率と、耐シワ特性の評価との関係を説明するための図である。
図4は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)の最大収縮応力(B)/収縮率(A2)の比率と、所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)の最大収縮応力(B)/厚さ(t)の比率との関係を説明するための図である。
図5は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)の最大収縮応力(B)/厚さ(t)の比率と、耐シワ特性の評価との関係を説明するための図である。
図6(a)は、実施例1に相当し、シワが発生していない場合の筒状ラベルの外観状態を示す図(写真)であり、図6(b)~(d)は、図6(a)に示された外観の領域P、Q、Rをそれぞれ拡大させた図である。
図7(a)は、比較例1に相当し、シワが発生した場合の筒状ラベルの外観状態を示す図(写真)であり、図7(b)~(d)は、図7(a)に示された外観の領域S、T、Uをそれぞれ拡大させた図である。
図8は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(熱風90℃、30秒以上)における収縮応力の時間変化を示した図である。
第1の実施形態は、図1に例示するポリエステル樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルムであって、下記(a)~(c)の構成を満足することを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルムである。
(a)主収縮方向をTD方向とし、TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をA2としたときに、A2を53%以上の値とする。
(b)TD方向における、収縮温度90℃での最大収縮応力をBとし、Bを2~10MPaの範囲内の値とする。
(c)BとA2とから、B/A2で表される数値を0.08~0.15MPa/%の範囲内の値とする。
以下、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの構成に分けて、適宜、図1(a)~(c)を参照しながら、具体的に各種パラメータ等を説明する。
基本的に、ポリエステル樹脂の種類は問わないが、通常、ジオール及びジカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール、ジカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、あるいは、これらのポリエステル樹脂の混合物であることが好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂の化合物成分としてのジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-ヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等の少なくとも一つが挙げられる。
そして、これらの中でも、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び1,4-ヘキサンジメタノールが好ましい。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいは、これらのエステル形成性誘導体等の少なくとも一つが挙げられる。
そして、これらの中でも、特に、テレフタル酸が好ましい。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン等の少なくとも一つが挙げられる。
一方、結晶性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等があるが、それぞれ単独であっても、あるいは混合物であっても良い。
構成(a)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2とし、この熱収縮率A2が53%以上の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、かかる90℃熱収縮率A2を所定値以上に具体的に制限することにより、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な熱収縮率が得られ、ひいては最大収縮応力も得られるためである。
したがって、構成(a)として、90℃熱収縮率A2の下限を56%以上の値とすることがより好ましく、59%以上の値とすることが更に好ましい。
一方、上述した90℃熱収縮率A2の値が過度に大きくなると、フィルムを熱収縮させた際に、急激な熱応答により不均一に収縮し、シワが発生しやすくなってしまう場合がある。
したがって、構成(a)として、90℃熱収縮率A2の上限を85%以下の値とすることが好ましく、80%以下の値とすることがより好ましい。
収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
L0:熱処理前のサンプルの寸法(長手方向又は幅方向)
L1:熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
構成(b)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における、収縮温度90℃での最大収縮応力をBとし、このBを2~10MPaの範囲内の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、このようにBを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、最大収縮応力の過不足によって発生しえるシワを抑制することができるためである。
また、最大収縮応力Bが、10MPa以上の値になると、最大収縮応力が過剰となり、PETボトルへの収縮時においてボトルの変形が発生する場合があるためである。
したがって、構成(b)として、最大収縮応力Bを3~9MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、4~8MPaの範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、図2中に示された測定データに関して、構成(a)と構成(b)を満たす場合には、熱収縮率A2と最大収縮応力Bとの関係において、優れた相関関係(相関係数(R)が、0.81)があることが理解される。よって、本願の意図した通り、熱収縮率A2を所定範囲内の値に制限することよって、最大収縮応力Bを所定範囲内の値に制御することができている。
構成(c)は、最大収縮応力Bと熱収縮率A2とから、B/A2で表される数値を0.08~0.15MPa/%の範囲内の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、このようにB/A2を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、構成(a)や構成(b)の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として微細なシワの発生をも抑制することができるためである。
したがって、構成(c)として、B/A2で表される数値を、0.09~0.14MPa/%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.10~0.13MPa/%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、図3の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムにおけるB/A2の値(MPa/%)をとり、縦軸に、耐シワ特性の評価(相対値)をとって、特性曲線Mを示してある。縦軸の耐シワ特性の評価(相対値)は、◎を5、○を3、△を1、×を0として数値化したものである。
かかる特性曲線Mから、B/A2で表される数値が、0.08~0.15MPa/%の範囲内の値であれば、耐シワ特性の評価(相対値)は、3以上となり、良好な耐シワ特性の評価(相対値)が得られることが理解される。
それに対して、B/A2で表される数値が、0.15MPa/%を超えると、耐シワ特性の評価(相対値)は急激に低下し、十分な耐シワ特性が発揮されないことが理解される。
(1)構成(d)
構成(d)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおける最大収縮応力Bと、その厚さt(μm)の比であるB/tで表される数値を0.05~0.4MPa/μmの範囲内の値とする旨の構成要件である。
この理由は、このようにB/tを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、B/A2で表される数値を、更に容易に所定範囲内の値に制御しやすくなり、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として微細なシワの発生をも抑制することができるためである。
したがって、構成(d)として、B/tで表される数値を、0.06~0.35MPa/μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.07~0.30MPa/μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、図4の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムにおけるB/A2で表される数値(MPa/%)をとり、縦軸に、B/tの値(MPa/μm)をとって、特性曲線Nを示してある。
かかる特性曲線Nから、B/A2で表される数値を0.08~0.15MPa/%の範囲内の値とし、B/tで表される数値を0.05~0.40MPa/μmの範囲内の値とすることで、網掛けの領域が構成されることが理解される。そして、この領域内であれば、耐シワ特性の評価(相対値)は、3以上となり、良好な耐シワ特性を得ることができる。
すなわち、図5の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムにおけるB/tの値(MPa/μm)をとり、縦軸に、図3と同様に耐シワ特性の評価(相対値)をとって、特性曲線Xを示してある。縦軸の耐シワ特性の評価(相対値)は、◎を5、○を3、△を1、×を0として数値化したものである。
かかる特性曲線Xから、B/tで表される数値が、0.05~0.40MPa/μmの範囲内の値であれば、耐シワ特性の評価(相対値)は、3以上となり、良好な耐シワ特性の評価(相対値)が得られることが理解される。
それに対して、B/tで表される数値が、0.40MPa/μmを超えると、耐シワ特性の評価(相対値)は3未満となり、十分な耐シワ特性が発揮されないことが理解される。
すなわち、図6は、実施例1に相当し、シワが発生しない場合の筒状ラベルの外観写真であって、図6(a)は当該筒状ラベルに覆われたペットボトルの胴部全体を示している。そして、図6(b)~(d)は、図6(a)に示される胴部の上部(領域P)、中部(領域Q)、下部(領域R)をそれぞれ拡大させた図であり、上部~下部のどの部位においても、シワが全く発生していないことが理解される。
一方、図7は、比較例1に相当し、シワが発生した場合の筒状ラベルの外観写真であって、図7(a)は当該筒状ラベルに覆われたペットボトルの胴部全体を示している。そして、図7(b)~(d)は、図7(a)に示される胴部の上部(領域S)、中部(領域T)、下部(領域U)をそれぞれ拡大させた図であり、上部~下部のどの部位においても、シワが発生していることが理解される。
なお、図6と図7において、図中の塗りつぶしは、ラベルに印字された内容を塗りつぶしたものであり、シワ発生の評価に影響を与えるものではない。
その他、胴部のボトル径が一様でなく、かつ、部位によっては、胴部の水平断面形状が円状ではない複雑な形状を有するPETボトルに、図6の筒状ラベルを用いても、シワが発生しにくいことも別途明らかになっている。
構成(e)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの厚さ(平均厚さ)関する構成要件であって、通常、15~45μmの範囲内の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように厚さtを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、熱収縮率A2、B、B/A2及びB/tで表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくするためである。したがって、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として微細なシワの発生をも抑制することができる。
したがって、構成(e)として、tで表される厚さを、20~43μmの範囲内の値とすることがより好ましく、25~40μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
構成(f)は、ポリエステル系シュリンクフィルムを80℃の温水中、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA1に関する構成要件であって、40~70%の範囲内の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように80℃熱収縮率A1を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、90℃熱収縮率A2を所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなるためである。
したがって、構成(f)として、80℃熱収縮率A1を、42~68%の範囲内の値とすることがより好ましく、45~65%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
構成(g)は、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における80℃の温水中、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA´1に関する構成要件であって、10%以下の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように80℃熱収縮率A´1を所定値以下に具体的に制限することによって、後述する90℃熱収縮率A´2を所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなるためである。
したがって、構成(g)として、80℃熱収縮率A´1を、1~9%の範囲内の値とすることがより好ましく、2~8%以下の値とすることが更に好ましい。
構成(h)は、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における90℃の温水中、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA´2に関する構成要件であって、1.5~15%の範囲内の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように90℃熱収縮率A´2を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、B/A2及びB/tで表される数値への影響因子を少なくして、フィルムの熱収縮時に、耐シワ特性を更に良好なものとすることができるためである。
したがって、構成(h)として、90℃熱収縮率A´2を、3~12%の範囲内の値とすることがより好ましく、4~11%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
構成(i)は、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのMD方向における延伸倍率(平均MD方向延伸倍率、単に、MD方向延伸倍率と称する場合がある。)に関する構成要件である。
そして、かかるMD方向延伸倍率を100~200%の範囲内の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにMD方向延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限し、かつ、A1、A2、A´1、A´2、B、B/A2及びB/tで表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することで、微細なシワの発生を抑制することができるためである。
一方、MD方向延伸倍率が200%を超えると、TD方向における収縮率に影響し、その収縮率の調整自体が困難となる場合があるためである。
したがって、構成(i)として、MD方向延伸倍率を110~180%の範囲内の値とすることがより好ましく、120~160%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
また、構成(j)は、熱収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における延伸倍率(平均TD方向延伸倍率、単に、TD方向延伸倍率と称する場合がある。)に関する構成要件である。
そして、かかるTD方向延伸倍率を300~600%の範囲内の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにTD方向延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限し、かつ、A1、A2、A´1、A´2、B、B/A2及びB/tで表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値に具体的に制限することで、微細なシワの発生をも抑制することができるためである。
一方、TD方向延伸倍率が、600%を超えた値になると、収縮率が著しく大きくなって、使用可能なポリエステル系シュリンクフィルムの用途が過度に制限されたり、あるいは、その延伸倍率自体を一定に制御することが困難となったりする場合があるためである。
したがって、構成(j)として、TD方向延伸倍率を350~550%の範囲内の値とすることがより好ましく、400~500%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
また、構成(k)は、熱収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなり、かつ、透明性が良好なことから、汎用性を更に高めることができるためである。
より具体的には、熱収縮前のフィルムのヘイズ値が、5%を超えた値になると、透明性が低下し、PETボトルに対する装飾用途等への適用が困難となる場合があるためである。
一方、熱収縮前のフィルムのヘイズ値が、過度に小さくなると、安定的に制御することが困難になって、生産上の歩留まりが著しく低下する場合があるためである。
したがって、構成(k)として、熱収縮前のフィルムのヘイズ値を0.1~3%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~1%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
また、構成(m)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、非結晶性ポリエステル樹脂を、全体量の90~100重量%の範囲内で含む旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を具体的に制限することによって、収縮温度付近における熱収縮率や最大収縮応力を所望範囲に、更に容易に調整しやすくできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなるためである。
また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が過度に多くなると、所定影響因子の要因を低下させる範囲が著しく狭くなる可能性がある。
したがって、構成(m)として、結晶性ポリエステル樹脂の含有量を、全体量の91~100重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、92~100重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルム中、又は、その片面、あるいは両面に、各種添加剤を配合したり、それらを付着させたりすることが好ましい。
より具体的には、加水分解防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤、有機フィラー、無機フィラー、有機繊維、無機繊維等の少なくとも一つを、ポリエステル系シュリンクフィルムの全体量に対して、通常、0.01~10重量%の範囲で配合することが好ましく、0.1~1重量%の範囲で配合等することがより好ましい。
その場合、ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを100%としたとときに、追加で積層する他の樹脂層の単層厚さ又は合計厚さを、通常、0.1~10%の範囲内の値とすることが好ましい。
かかる収縮率調整層は、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮特性に応じて、接着剤、塗布方式、あるいは加熱処理等によって、積層することができる。
また、所定温度におけるポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が過度に小さい場合には、それを拡大するタイプの収縮率調整層を積層することが好ましい。
よって、ポリエステル系シュリンクフィルムとして、収縮率が異なる各種シュリンクフィルムを作成することなく、収縮率調整層によって、所望の収縮率を得ようとするものである。
第2の実施形態は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法に関する実施形態である。
まずは、原材料として、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂、帯電防止剤、加水分解防止剤等の、主剤や添加剤を準備することが好ましい。
次いで、攪拌容器内に、秤量しながら、準備した結晶性ポリエステル樹脂や非結晶性ポリエステル樹脂等を投入し、攪拌装置を用いて、均一になるまで、混合攪拌することが好ましい。
次いで、均一に混合した原材料を、絶乾状態に乾燥することが好ましい。
次いで、典型的には、押し出し成形を行い、所定厚さの原反シートを作成することが好ましい。
より具体的には、例えば、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック機械株式会社製)により、押し出し成形を行い、所定厚さ(通常、10~100μm)の原反シートを得ることができる。
次いで、得られた原反シートにつき、シュリンクフィルム製造装置を用い、ロール上やロール間を移動させながら、加熱押圧して、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成する。
すなわち、所定の延伸温度、延伸倍率で、フィルム幅を基本的に拡大させながら、加熱押圧しながら、所定方向に延伸することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを構成するポリエステル分子を所定形状に結晶化させることが好ましい。
そして、その状態で固化させることによって、装飾やラベル等として用いられる熱収縮性のポリエステル系シュリンクフィルムを作成することができる。
作成したポリエステル系シュリンクフィルムにつき、連続的又は間断的に、下記特性等を測定し、所定の検査工程を設けることが好ましい。
すなわち、所定の検査工程によって、下記特性等を測定し、所定範囲内の値に入ることを確認することによって、より均一な収縮特性等を有するポリエステル系シュリンクフィルムとすることができる。
1)ポリエステル系シュリンクフィルムの外観についての目視検査
2)厚さのばらつき測定
3)引張弾性率測定
4)引裂強度測定
5)SSカーブによる粘弾性特性測定
(a)主収縮方向をTD方向とし、TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA2
(b)TD方向における、90℃の熱風中で、30秒以上の条件での最大収縮応力であるB
(c)B/A2で表される数値
第3の実施形態は、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法に関する実施形態である。
したがって、すなわち、公知のシュリンクフィルムの使用方法を、いずれも好適に適用することができる。
例えば、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法を実施するに際して、まずは、ポリエステル系シュリンクフィルムを、適当な長さや幅に切断するとともに、長尺筒状物を形成する。
次いで、当該長尺筒状物を、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、更に必要な長さに切断する。
次いで、内容物を充填したPETボトル等に外嵌する。
そして、これらのトンネルに備えてなる赤外線等の輻射熱や、90℃程度の加熱蒸気を周囲から吹き付けることにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを均一に加熱して熱収縮させる。
よって、PETボトル等の外表面に密着させて、ラベル付き容器を迅速に得ることができる。
そうすることで、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な熱収縮率と最大収縮応力を得ることができる。
また、最大収縮応力を所定範囲内の値に制御することで、最大収縮応力の過不足によって発生しえるシワを抑制できるポリエステル系シュリンクフィルムを得ることができる。
更にまた、熱収縮率や最大収縮応力の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として微細なシワの発生をも抑制することができる。
なお、実施例において用いた樹脂は、以下の通りである。
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール70モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール25モル%,ジエチレングリコール5モル%からなる非結晶性ポリエステル
(PETG2)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール72モル%、ネオペンチルグリコール25モル%、ジエチレングリコール3モル%からなる非結晶性ポリエステル
(APET)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール100モル%からなる結晶性ポリエステル
(PBT)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:1,4―ブタンジオール100モル%からなる結晶性ポリエステル
1.ポリエステル系シュリンクフィルムの作成
攪拌容器内に、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を100重量部用いた。
次いで、この原料を絶乾状態にしたのち、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック機械株式会社製)により、押し出し成形を行い、厚さ100μmの原反シートを得た。
次いで、シュリンクフィルム製造装置を用い、原反シートから、延伸温度83℃、延伸倍率(MD方向:105%、TD方向:480%)で、厚さ40μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
(1)評価1:厚さのばらつき
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの厚さ(所望値である40μmを基準値として)を、マイクロメータを用いて測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:厚さのばらつきが基準値±0.1μmの範囲内の値である。
〇:厚さのばらつきが基準値±0.5μmの範囲内の値である。
△:厚さのばらつきが基準値±1.0μmの範囲内の値である。
×:厚さのばらつきが基準値±3.0μmの範囲内の値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、80℃の温水に、10秒間浸漬し(A1条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(80℃温水)で加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A1)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A1)が45~65%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(A1)が40~70%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(A1)が35~75%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(A1)が35%未満又は75%を超える値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、90℃の温水に、10秒間浸漬し(A2条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(90℃温水)の加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A2)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A2)が56~80%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(A2)が53~85%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(A2)が50~90%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(A2)が50%未満又は90%を超える値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(MD方向)を、恒温槽を用いて、80℃の温水に、10秒間浸漬し(A´1条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(80℃温水)で加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A´1)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A´1)が8%以下の値である。
〇:熱収縮率(A´1)が10%以下の値である。
△:熱収縮率(A´1)が12%以下の値である。
×:熱収縮率(A´1)が12%を超えた値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(MD方向)を、恒温槽を用いて、90℃の温水に、10秒間浸漬し(A´2条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(90℃温水)の加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A´2)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A´2)が2~12%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(A´2)が1.5~15%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(A´2)が1~18%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(A´2)が1%未満又は18%を超える値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルムをMD方向に幅25.4mm、TD方向に長さ75mmとし、短冊状に切り出したものを試験片として準備した。
次いで、加熱炉を備えた強伸度測定機を用いて、準備した試験片の収縮応力を測定した。
より具体的には、加熱炉を予め90℃に加熱しておき、加熱炉の送風を一旦停止し、加熱炉の扉を開け、試験片を強伸度測定器のチャックに取り付け、その後速やかに加熱炉の扉を閉めて、送風を再開した。
次いで、収縮応力を30秒以上測定し、測定中の最大値を最大収縮応力Bとして、以下の基準に準じて評価した。
なお、測定された収縮応力の時間変化は、図8に示された特性曲線Vの通りであった。
より具体的には、測定開始より6.6秒後において収縮応力が最大となり、6.13MPaであった。
◎:3~9MPaの範囲内の値である。
〇:2~10MPaの範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:1~11MPaの範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:1MPa未満、又は11MPaを超える値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの最大収縮応力Bと熱収縮率A2から、B/A2(MPa/%)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:0.09~0.14MPa/%の範囲内の値である。
〇:0.08~0.15MPa/%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:0.07~0.16MPa/%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:0.07MPa/%未満、又は0.16MPa/%を超える値である。
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの最大収縮応力Bとフィルムの厚さtから、B/t(MPa/μm)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:0.06~0.35MPa/μmの範囲内の値である。
〇:0.05~0.4MPa/μmの範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:0.04~0.45MPa/μmの範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:0.04MPa/μm未満、又は0.45MPa/μmを超える値である。
市販の飲料水が充填された状態の円柱状PETボトル(容積:500ml)を準備した。
次いで、ポリエステル系シュリンクフィルムを幅26cmにスリットして得た長尺状のシュリンクフィルムに、長手方向に沿って幅1mmのミシン目を設け、幅方向の端部に1,3-ジオキソランを塗布した。
次いで、重ね代が約1cmとなるように、幅方向の端部同士を重ね合わせて接着し、直径約8cmの筒状ラベルとした。更に、この筒状ラベルを長手方向に16cm毎に切り出し、複数の筒状ラベルを得た。
次いで、当該筒状ラベルを準備した円柱状PETボトルの胴部に被せ、85℃に保持された蒸気トンネルの中を、ベルトコンベアの上にのせるとともに、6m/minの通過速度で移動させ、筒状ラベルが円柱状PETボトルの胴部の上部から下部にわたって密着するよう熱収縮させた。
次いで、熱収縮後の筒状ラベルを目視にて観察し、以下の基準に沿って、所定長さ(1cm以上)や所定幅(1mm以上)のシワが発生していないかにより、耐シワ特性を評価した。
◎:筒状ラベルの5個中、5個の全てに所定シワの発生が観察されなかった。
〇:筒状ラベルの5個中、3個以上に所定シワの発生が観察されなかった。
△:筒状ラベルの5個中、1個以上に所定シワの発生が観察されなかった。
×:筒状ラベルの5個中、5個の全てに所定シワの発生が観察された。
JIS K 7105に準拠して、得られたポリエステル系シュリンクフィルムのヘイズ値を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:1%以下の値である。
〇:3%以下の値である。
△:5%以下の値である。
×:5%を超えた値である。
実施例2~5において、表1に示すように、それぞれ構成(a)~(c)等の値を変えて、実施例1と同様に、各種ポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に、最大収縮応力1(B)や、最大収縮応力2(B/A2)等につき、評価した。結果を表2に示す。
比較例1において、表1に示すように、構成要件(b)及び(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価して結果を表2にまとめた。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を90重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(APET)を10重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、構成要件(b)及び(c)を満足しない、厚さ30μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
なお、測定された収縮応力の時間変化は、図8に示された特性曲線Wの通りであった。
より具体的には、測定開始より14秒後において収縮応力が最大となり、13.74MPaであった。
比較例2において、表1に示すように、構成要件(a)~(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、評価して結果を表2にまとめた。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)のみを原材料にして、押出条件を変えて、構成要件(a)~(c)を満足しない、厚さ22μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
したがって、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムによれば、各種PETボトル等に適用することができ、汎用性を著しく広げることができ、その産業上の利用可能性は極めて高いと言える。
Claims (5)
- 下記(a)~(c)、(f)、(k)、及び(m)の構成を満足するポリエステル系シュリンクフィルム。
(a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を53%以上の値とする。
(b)前記TD方向における、収縮温度90℃での最大収縮応力をBとし、当該Bを2~10MPaの範囲内の値とする。
(c)前記Bと前記A2とから、B/A2で表される数値を0.08~0.15MPa/%の範囲内の値とする。
(f)前記TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1とし、当該A1を40~70%の範囲内の値とする。
(k)収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムのJIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とする。
(m)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~100重量%の範囲内で含む。 - 下記(d)の構成を更に満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系シュリンクフィルム。
(d)収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さをtとし、前記Bと当該tとから、B/tで表される数値を0.05~0.40MPa/μmの範囲内の値とする。 - 収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さtを15~45μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系シュリンクフィルム。
- 収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムのMD方向における延伸倍率を100~200%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステル系シュリンクフィルム。
- 収縮前の前記ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における延伸倍率を300~600%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系シュリンクフィルム。
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