1.介助装置1の概要
介助装置1は、被介助者Mの移乗を介助する。介助装置1は、例えば、ベッドと車椅子との間での移乗、車椅子と便座との間での移乗など、異なる二箇所間での移乗の介助に用いられる。また、介助装置1は、例えば、居室と浴室やリハビリ室、トイレとの間で移乗など、移乗する二箇所が遠くに位置する場合にも適用され、被介助者Mを支持した状態で目標位置に移動することもできる。
介助装置1は、被介助者Mの身体の一部、例えば上半身を支持して、被介助者Mを座位姿勢から移乗時姿勢への動作、又は、移乗時姿勢から座位姿勢への動作の介助を行う。ここで、移乗時姿勢は、臀部が座面から浮いた状態の姿勢であり、立位姿勢及び中腰姿勢を含む。つまり、移乗時姿勢は、上半身が起立した状態及び前かがみの状態などを含む。
2.介助装置1の構成
介助装置1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。介助装置1は、被介助者Mの上半身の一部を支持する支持部60を上下動させると共に前後方向へ揺動させることにより、介助動作を行う。
図1に示すように、介助装置1は、基台10を備える。基台10は、介助装置1における最下部に位置する部材である。基台10は、フレーム11、足載置台12、及び、6個の車輪16~18などを備える。フレーム11は、床面Fの近くにほぼ水平に設けられる。足載置台12は、フレーム11の上面後方に固定されて、ほぼ水平に設けられる。足載置台12の上面には、被介助者Mが足を乗せる位置を案内するための足形のマーク12aが記されている。
フレーム11の下側には、左右に3個ずつの車輪16~18が設けられている。各車輪16~18は、移動方向を転換する転舵機能を有する。最前の車輪16は、移動を規制するロック機能を備える。介助装置1は、6個の車輪16~18の転舵機能により、前後方向の直進及び旋回だけでなく、横移動及び超信地旋回が可能となる。
介助装置1は、さらに、基台10から立設された柱部20を備える。柱部20は、フレーム11の前寄りにおいて、左右方向の中央から鉛直方向上方(反重力方向)に延びるように設けられている。なお、本実施形態においては、柱部20は、鉛直方向上方に延びるように設けるが、鉛直方向から僅かに前側または後側に傾斜する方向に延びるように設けてもよい。柱部20は、上端側を昇降させる機構を有している。また、本実施形態において、介助装置1は、1本の柱部20を備えるが、複数本の柱部20を備えるようにしてもよい。
柱部20は、フレーム11に立設された柱本体部21を備える。柱本体部21は、基台10のフレーム11の前寄りの左右方向の中央から上方に延伸した状態で、フレーム11に固定される。さらに、柱部20は、柱本体部21の延びる方向に往復移動可能に柱本体部21に支持される昇降部22を備える。つまり、昇降部22は、基台10及び柱本体部21に対して、鉛直方向の上下方向(重力方向及び反重力方向)に往復移動する。昇降部22は、上下方向に長い長尺状に形成される。昇降部22は、柱本体部21の後側に位置する。
介助装置1は、さらに、下腿当て部30を備える。下腿当て部30は、L字状の左右一対の支持アーム31,31により、柱部20の固定部分(フレーム11に固定される部分)に固定される。下腿当て部30は、マーク12aよりも少し前側の上方に設けられる。下腿当て部30の本体は、左右の支持アーム31の直立した部分に亘って配置され、左右方向に延在するクッション材である。下腿当て部30は、被介助者Mの下腿が接触する部位である。下腿当て部30の配置高さは、調整可能である。
介助装置1は、さらに、昇降部22の上端付近に設けられ、左右方向に水平な軸線を中心に揺動可能に支持される揺動アーム40を備える。介助装置1が座位姿勢から移乗時姿勢への介助を行う場合には、揺動アーム40の後端が前旋回する。一方、介助装置1が移乗時姿勢から座位姿勢への介助を行う場合には、揺動アーム40の後端が後旋回する。
介助装置1は、揺動アーム40の後方端(揺動アーム40の揺動中心より後方に延びる部分の端部)に固定された第一ハンドル50を備える。第一ハンドル50は、概ね四角形の枠形状に形成されている。第一ハンドル50は、揺動アーム40の後端付近から前上方向に延びるように形成されている。第一ハンドル50の側方部分は、被介助者Mの両手によって把持される部分として利用される。さらに、第一ハンドル50の側方部分及び前方部分は、介助者によって介助装置1を移動させるために把持される部分として利用される。
介助装置1は、さらに、被介助者Mの上半身の一部を支持する支持部60を備える。支持部60は、揺動アーム40に支持され、被介助者Mの上半身の一部を支持する。支持部60は、基台10に対して少なくとも上下動(昇降)可能であって、揺動アーム40が柱部20に対して揺動することにより、柱部20に対して前後方向に揺動する。
支持部60は、胴体支持部61、一対の脇支持部62,62、及び、第二ハンドル63などを備える。胴体支持部61は、被介助者Mの胴体形状に近い面状に形成されており、柔軟な変形が可能になっている。胴体支持部61の支持面は、被介助者Mの上半身のうち胴体の前面に面接触して胴体を支持する。より詳細には、胴体支持部61の支持面は、被介助者Mにおける胸部から腹部に亘る範囲を下方から支持する。また、胴体支持部61は、揺動アーム40に取り付けられている。
さらに、胴体支持部61は、揺動アーム40に対して前後方向に自由傾動可能に支持されている。具体的には、胴体支持部61は、図5に示す状態から、介助装置1を右から見た場合に時計回りに所定角度範囲を自由傾動可能に構成されている。上記の「自由傾動」とは、アクチュエータなどによって駆動される傾動ではなく、手動によって動かすことが可能な傾動を意味する。
一対の脇支持部62,62は、胴体支持部61に支持され、被介助者Mの脇を支持する。詳細には、一対の脇支持部62,62は、胴体支持部61の左右に設けられている。脇支持部62は、胴体支持部61に揺動可能に支持される。脇支持部62は、棒状部材により、L字状に形成されている。脇支持部62の表面は、柔軟な変形が可能な材料により覆われている。第二ハンドル63は、胴体支持部61の前面に一体的に設けられている。第二ハンドル63は、横長のU字状に形成されている。第二ハンドル63は、胴体支持部61の下部に固定され左右方向に延びる基軸部分と、基軸部分の両端から第一ハンドル50側に向かって延びる把持部分とを備える。
また、介助装置1は、支持部60を駆動する昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を更に備える。昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72は、柱部20の中に配置されている。昇降アクチュエータ71は、例えば、直動アクチュエータにより構成されており、柱本体部21に対して昇降部22を昇降する。昇降アクチュエータ71は、例えば、ねじ機構、ラックピニオン機構、シリンダ機構などを適用される。
揺動アクチュエータ72は、例えば、回転アクチュエータにより構成されており、昇降部22に対して揺動アーム40を揺動する。揺動アクチュエータ72には、直動アクチュエータと、直動を回転に変換する動力変換機構により構成されるようにしてもよい。従って、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72は、支持部60の高さ及び支持部60の前後方向の姿勢(傾き)を変化させる。ここで、昇降アクチュエータ71と揺動アクチュエータ72とは、独立した動作をすることも可能であり、協調した動作をすることも可能である。
図2に示すように、介助装置1は、制御ユニット100を更に備える。制御ユニット100は、フレーム11(図1参照)の上面における前右寄りに設けられている。そして、制御ユニット100は、操作部110と、制御部120と備える。
操作部110は、介助者等の操作者により操作される有線又は無線のリモコンであり、操作者からの指示を受け付ける。操作部110は、上昇ボタンと、下降ボタンとを備える。上昇ボタンは、主として、被介助者Mに対する座位姿勢から移乗時姿勢への介助を開始する際に、操作者により操作される。下降ボタンは、主として、被介助者Mに対する移乗時姿勢から座位姿勢への介助を開始する際に、操作者により操作される。
制御部120は、支持部60の昇降動作に関する制御を行う。制御部120は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動する駆動制御部130を備える。駆動制御部130は、主として、操作部110が受け付けた操作者からの指示に基づいて昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動制御し、支持部60を昇降させる。なお、駆動制御部130は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置を用いることができる。このソフトウェアには、座位姿勢から移乗時姿勢への介助動作、及び移乗時姿勢から座位姿勢への介助動作に応じた動作プログラムが記憶されている。
ここで、介助装置1は、様々な体型の被介助者Mが介助装置1を快適に使用できるように、支持部60が動作可能な昇降可能範囲を広くすることを要求される。その一方で、一の被介助者Mの移乗を介助する際に介助者が支持部60を昇降させる範囲は、昇降可能範囲の一部であり、実際に昇降可能範囲の上昇限界位置又は下降限界位置まで支持部60を昇降させることは、ほとんどない。
そこで、制御部120は、介助装置1による一連の介助動作の中で支持部60が停止した位置を停止位置履歴として記憶する。そして、制御部120は、記憶された停止位置履歴に基づいて決定された所定の停止位置まで支持部60が移動した場合に、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を自動的に停止する。
この点に関して、制御部120は、駆動制御部130が昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を自動的に停止させる自動停止位置を設定する停止位置設定部140を備える。そして、停止位置設定部140は、下降停止位置設定部141と、上昇停止位置設定部142と、中間停止位置設定部143とを備える。
下降停止位置設定部141は、座位姿勢から移乗時姿勢への介助動作(以下「第一動作」と称す)の開始時点での支持部60の停止位置を、下降停止位置として設定する。この下降停止位置は、被介助者Mを支持部60に支持させるときの支持部60の停止位置である。上昇停止位置設定部142は、第一動作において上昇する支持部60を自動停止させる位置を、上昇停止位置として設定する。この上昇停止位置は、座位姿勢から移乗時姿勢への姿勢変更が完了した被介助者Mを支持するときの支持部60の停止位置である。
中間停止位置設定部143は、移乗時姿勢から座位姿勢への介助動作(以下「第二動作」と称す)において下降する支持部60を自動停止させる位置を、中間停止位置として設定する。この中間停止位置は、移乗時姿勢から座位姿勢への姿勢変更が完了した被介助者Mを、支持部60から離脱させるときの支持部60の停止位置である。なお、中間停止位置は、上昇停止位置よりも低い位置であって、下降停止位置よりも高い位置である。
また、制御部120は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動停止履歴を記憶する履歴記憶部150を備える。この履歴記憶部150は、支持部60の昇降が停止したときに、支持部60の停止位置に応じた昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動停止位置を、停止履歴情報として記憶する。
具体的に、駆動制御部130は、操作部110の上昇ボタンが所定時間以上継続して押された(長押しされた)場合に、第一動作の開始が指示されたと判断する。そして、駆動制御部130は、第一動作が開始された時点での支持部60の位置を、下降停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信する。
同様に、駆動制御部130は、第一動作を実行した後、操作部110の下降ボタンが所定時間以上継続して押された(長押しされた)場合に、第二操作の開始が指示されたと判断する。そして、駆動制御部130は、第二動作が開始された時点での支持部60の位置を、上昇停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信する。
そして、制御部120は、介助装置1による介助動作を開始する際に、履歴記憶部150に記録された停止履歴情報に基づいて停止位置設定部140に設定する自動停止位置を決定する。このとき、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された下降停止位置に関する停止履歴情報の中で、支持部60が最も低い位置まで下降したときの下降停止位置を下降停止位置設定部141に設定する。同様に、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された上昇停止位置に関する停止履歴情報の中で、支持部60が最も高い位置まで上昇したときの上昇停止位置を上昇停止位置設定部142に設定する。
また、駆動制御部130は、第二動作を実行した後、支持部60の昇降が一定時間以上停止した場合に、その時点で支持部60が停止している位置を中間停止位置に関する停止履歴情報として履歴記憶部150に送信する。そして、履歴記憶部150は、送信された中間停止位置に関する停止履歴情報を、新たな中間停止位置とする。つまり、制御部120は、介助装置1による介助動作を開始する際、直近の中間停止位置と同じ停止位置を中間停止位置設定部143に設定する。なお、駆動制御部130は、中間停止位置設定部143に設定した中間停止位置で支持部60が停止した後、支持部60の昇降が行われずに一定時間以上停止した場合、中間停止位置における停止履歴情報の履歴記憶部150への送信を省略してもよい。
なお、本実施形態において、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された停止位置履歴の数が一定数(例えば10件)に満たない場合、支持部60の昇降可能範囲の上昇限界位置を、自動停止位置として上昇停止位置設定部141に設定する。同様に、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された停止位置履歴の数が一定数(例えば10件)に満たない場合、支持部60の昇降可能範囲の下降限界位置を、自動停止位置として下降停止位置設定部142に設定する。つまり、駆動制御部130は、支持部60の昇降可能範囲の上昇限界位置又は下降限界位置に支持部60が到達したところで、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。
この点に関し、制御部120は、履歴記憶部150に記憶される停止位置履歴の数が一定数に到達するまでの間、下降停止位置設定部141、上昇停止位置設定部142及び中間停止位置設定部143の各々に、予め定めたデフォルト位置を自動停止位置として設定してもよい。また、介助装置1は、履歴記憶部150に記憶された停止位置履歴の数が一定数に到達しているか否かを介助者等に知らせるランプ等の報知部を備えていてもよい。
ここで、一の被介助者Mを対象に介助装置1を使用する場合であっても、その被介助者Mにとって適した支持部60の高さ位置は、使用状況により異なる。例えば、車椅子に座っているときの被介助者Mの座位姿勢と、ベッドに座っているときの被介助者Mの座位姿勢と、便座に座っているときの被介助者Mの座位姿勢とを比較した場合に、被介助者Mの臀部の高さ位置は、必ずしも一致しない。そのため、介助者は、支持部60の停止位置を使用状況に応じて調整することを要求される。
また、一の介助装置1を複数の被介助者Mで共同利用する場合に、各々の被介助者Mにとって適した支持部60の高さ位置は、被介助者Mの体型等により異なる。そのため、介助者は、支持部60の停止位置を被介助者Mごとに調整することを要求される。
そこで、制御部120は、介助装置1による介助を開始する際に、介助装置1が使用される使用場面を特定し、使用場面に応じた停止位置を停止位置設定部140に設定する。また、制御部120は、停止履歴情報を使用場面に関連づけて履歴記憶部150に記憶する。
この点に関して、制御部120は、介助装置1が使用される使用場面を特定する場面情報を取得する情報取得部160を備える。情報取得部160は、場面情報として、介助装置1を使用する位置を特定する位置情報、介助装置1を使用する被介助者Mを特定する被介助者情報、介助装置1を使用する時刻を特定する時刻情報等を取得する。
具体的に、情報取得部160は、位置情報を取得する際、例えば、介助装置1を使用することが想定される居室やトイレ等に配置された位置情報通知装置161との間で、位置情報の送受信を行う。これにより、制御部120は、使用場面の特定を正確に行うことができる。なお、位置情報通知装置161は、特定の部屋に配置される器具、例えば、被介助者Mの着座が行われる頻度の高いベッドや便器等に設定されるものであってもよく、被介助者Mの使用頻度が高い車椅子等の器具に設置されるものでもよい。また、介助装置1は、位置情報通知装置161を設ける代わりに、制御ユニット100にGPS装置を設けてもよい。
また、情報取得部160は、被介助者Mが携帯する被介助者通知装置162との間で、被介助者情報の送受信を行う。情報取得部160は、例えば、被介助者Mが介助装置1に接近した場合に、被介助者通知装置162から被介助者情報を取得する。この場合、介助装置1は、一の介助装置1を複数の被介助者Mで共同使用する場合であっても、各々の被介助者Mに適した位置で支持部60を停止させることができる。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
なお、被介助者通知装置162としては、被介助者に装身可能なウェアラブル端末等が例示される。また、被介助者通知装置162は、被介助者Mを特定可能な被介助者コードを読み取るコード読取装置であってもよい。この場合、介助者等は、例えば、被介助者コードが記載されたIDカード等を被介助者Mに携帯させ、介助装置1を使用する際に介助者コードを被介助者通知装置162としてのコード読取装置に読み取らせる。さらに、被介助者通知装置162は、指紋認証や顔認証、声紋認証等により被介助者Mを特定する生体認証装置であってもよい。また、情報取得部160は、既設の見守り介護サービス等と連携して被介助者情報を取得してもよい。
さらに、情報取得部160は、位置情報や被介助者情報を取得した時刻を時刻情報として取得する。つまり、介護施設等においては、入浴やレクリエーション等を行う時刻がスケジュールとして定められていることが多い。従って、制御部120は、介助装置1を使用する時刻が規則的である場合に、時刻情報に基づいて使用場面の特定を図ることができる。
また、制御部120は、位置情報や被介助者情報を時刻情報と照らし合わせることで、使用場面を特定する際の精度を高めることができる。なおこの場合、制御部120は、被介助者通知装置162から取得する被介助者情報に、被介助者の介護スケジュール等を含め、取得した介助スケジュールと時刻情報とを照合すること、使用場面の特定を図ってもよい。
また、制御ユニット100には、繰り返しの充放電が可能な符号略のバッテリ電源が付属されている。バッテリ電源は、フレーム11の上面における前左寄りにも付属されている。バッテリ電源は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72にも共用される。
3.操作部110に対する操作
ここで、介助装置1による介助を行う際に介助者等が操作する操作部110の操作内容の具体例を説明する。
駆動制御部130は、上昇ボタンが操作された場合に、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動して支持部60を上昇させる。そして、上昇ボタンが操作されてから所定時間経過する前に上昇ボタンに対する操作が解除された場合、つまり、上昇ボタンが短押しされた場合に、駆動制御部130は、上昇ボタンの操作が解除された時点(介助者等が上昇ボタンを離した時点)で、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。
一方、駆動制御部130は、上昇ボタンが操作されてから所定時間経過した(長押しされた)場合、その後に上昇ボタンの操作が解除されたとしても、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を継続する。そして、駆動制御部130は、支持部60が上昇停止位置に到達したところで昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。
なお、駆動制御部130は、上昇ボタンが長押しされた後、支持部60が上昇停止位置に到達する前に上昇ボタン又は下降ボタンが再度操作された場合に、その時点で昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。つまり、介助者等は、支持部60が上昇停止位置に到達する前に支持部60の移動を停止したい場合には、その時点で上昇ボタン又は下降ボタンを操作することにより、支持部60の移動を停止させることができる。
なお、上記したように、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された停止履歴情報が一定数に満たない場合に、支持部60の昇降可能範囲の上昇限界位置を、自動停止位置として上昇停止位置設定部142に設定する。この場合、介助者は、上昇ボタンの長押しを解除した後に、支持部60が上昇限界位置に到達する前に上昇ボタン又は下降ボタンを再度操作することで、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止させることができる。なお、駆動制御部130は、上昇ボタンが長押しされた場合であっても、上昇ボタンの操作が解除された時点で、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する仕様であってもよい。
また、駆動制御部130は、下降ボタンが操作された場合に、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動して支持部60を下降させる。そして、駆動制御部130は、下降ボタンが操作されてから所定時間経過する前に下降ボタンの操作が解除された場合、つまり、下降ボタンが短押しされた場合、駆動制御部130は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。一方、駆動制御部130は、下降ボタンが操作されてから所定時間経過した(長押しされた)場合、その後に下降ボタンの操作が解除されたとしても、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を継続する。
この場合において、下降ボタンが長押しされた時点で支持部60が中間停止位置よりも上方に位置する場合、つまり、第二動作が開始される前に下降ボタンが長押しされた場合に、駆動制御部130は、支持部60が中間停止位置に到達するまで昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動する。一方、下降ボタンが長押しされた時点で第二動作が完了している場合、駆動制御部130は、支持部60が下降停止位置に到達するまで昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動する。
なお、駆動制御部130は、下降ボタンが長押しされた後、支持部60が中間停止位置又は下降停止位置に到達する前に上昇ボタン又は下降ボタンが再度押された場合、その時点で昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。つまり、介助者等は、支持部60が中間停止位置又は下降停止位置に到達する前に支持部60の移動を停止したい場合には、その時点で上昇ボタン又は下降ボタンを操作することにより、支持部60の移動を停止させることができる。
なお、上記したように、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された停止履歴情報が一定数に満たない場合に、支持部60の昇降可能範囲の下降限界位置を、自動停止位置として下降停止位置設定部141に設定する。同様に、制御部120は、中間停止位置に関する停止履歴情報が履歴記憶部150に記憶されていない場合、支持部60の昇降可能範囲の下降限界位置を、自動停止位置として中間停止位置設定部143に設定する。
この場合、介助者は、下降ボタンの長押しを解除した後に、支持部60が下降限界位置に到達する前に上昇ボタン又は下降ボタンを再度操作することで、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止させることができる。なお、駆動制御部130は、下降ボタンが長押しされた場合であっても、下降ボタンの操作が解除された時点で昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する仕様であってもよい。
4.介助動作実行処理
次に、図3から図11を参照しながら、制御部120により実行される介助動作処理実行について説明する。介助動作実行処理は、介助装置1による一連の介助動作を実行させるための処理である。
なお、図5には、座位姿勢の被介助者Mを支持する介助装置1であって、第一動作を開始する前の介助装置1が図示されている。図7は、介助装置1の第一動作を実行する過程を示す図であり、図5に示す状態から被介助者Mを前傾させた状態を示している。図8には、移乗時姿勢の被介助者Mを支持する介助装置1であって、第二動作を開始する前の介助装置1が図示されている。図10は、座位姿勢の被介助者を支持する介助装置1であって、第二動作が完了した後の介助装置1が図示されている。
図3に示すように、介助動作実行処理は、移乗準備処理(S1)と、第一動作開始処理(S2)と、第二動作開始処理(S3)と、離脱位置調整処理(S4)とを備える。移乗準備処理(S1)は、被介助者Mの移乗を開始する前に、支持部60の高さ位置を調整する処理である。第一動作開始処理(S2)は、第一動作を開始する前に、支持部60の高さ位置を調整する処理である。第二動作開始処理(S3)は、第二動作を開始する前に、支持部60の高さ位置を調整する処理である。離脱位置調整処理(S4)は、被介助者Mを介助装置1から離脱させる際に、支持部60の高さ位置を調整する処理である。
次に、図4を参照して、介助動作実行処理の中で実行される移乗準備処理(S1)を説明する。図4に示すように、移乗準備処理(S1)は、操作部110による操作があったか否かを判定する(S11)。
そして、操作部110の操作がなければ(S11:No)、制御部120は、S11の処理を再度実行する。一方、操作部110の操作があった場合に(S11:Yes)、制御部120は、操作部110への操作内容に応じて支持部60を昇降させる(S12)。即ち、駆動制御部130は、上昇ボタンが押された場合には支持部60を上昇させ、下降ボタンが押された場合には支持部60を下降させる。そして、制御部120は、操作部110への操作が第二操作(下降ボタンの長押し)であったか否かを判定する(S13)。そして、操作部110への操作が第二操作でなければ(S13:No)、制御部120は、S11の処理に戻る。
つまり、S11からS13の処理において、制御部120は、操作部110に対して第二操作以外の操作があった場合、支持部60の高さ位置を調整するための操作であると判断する。そして、駆動制御部130は、操作部110への操作が上昇ボタンに対する操作であれば、上昇ボタンへの操作が解除されるまで支持部60を上昇させる。また、駆動制御部130は、操作部110への操作が下降ボタンに対する操作であって、所定時間が経過する前に下降ボタンへの操作が解除された場合、駆動制御部130は、下降ボタンへの操作が解除された時点で支持部60の下降を停止する。
これに対し、制御部120は、操作部110への操作が第二操作であれば(S13:Yes)、介助動作の開始が指示されたと判断する。そして、制御部120は、情報取得部160により場面情報の取得を行い(S14)、使用場面に応じた自動停止位置を停止位置設定部140に設定する(S15)。
つまり、介助者は、介助装置1による一連の介助動作を開始するにあたり、最初に操作部110の下降ボタンを長押しする。この点に関して、介助者は、支持部60が中間停止位置に停止したところで被介助者Mを介助装置1から離脱させ、介助装置1は、被介助者Mに対する一連の介助動作を終える。そのため、介助装置1による介助動作を新たに開始しようとした場合に、支持部60が中間停止位置に位置していることが想定される。そこで、制御部120は、支持部60が中間停止位置に停止した状態で下降ボタンが長押しされた場合に、介助動作が開始されると判断し、使用場面に応じた自動停止位置を停止位置設定部140に設定する。
具体的に、制御部120は、S14の処理において、情報取得部160による場面情報の取得を行い、介助装置1が使用される使用場面を特定する。また、制御部120は、S15の処理において、履歴記憶部150に停止履歴情報が一定数以上蓄積されていれば、履歴記憶部150に記憶された停止履歴情報の中から、場面情報が共通する複数の停止履歴情報を抽出する。
そして、制御部120は、抽出した複数の停止履歴情報に基づいて下降停止位置及び上昇停止位置を決定する。このとき、例えば、制御部120は、抽出した停止履歴情報としての複数の下降停止位置を平均した位置を、下降停止位置設定部141に設定する下降停止位置とする。同様に、制御部120は、抽出した停止履歴情報としての複数の上昇停止位置を平均した位置を、上昇停止位置設定部142に設定する上昇停止位置とする。そして、制御部120は、決定した下降停止位置及び上昇停止位置を下降停止位置設定部141及び上昇停止位置設定部142の各々に設定する。
一方、制御部120は、履歴記憶部150に停止履歴情報が一定数以上蓄積されていなければ、支持部60の昇降可能範囲の下降限界位置を下降停止位置設定部141に設定し、上昇限界位置を上昇停止位置設定部142に設定する。
S15の処理後、駆動制御部130は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動し、下降停止位置設定部141に設定された下降停止位置又は下降限界位置に到達するまで支持部60を移動させる(S16)。
S16の処理後、制御部120は、支持部60が下降停止位置又は下降限界位置に到達したか否かを判定する(S17)。そして、支持部60が下降停止位置又は下降限界位置に到達していなければ(S17:No)、制御部120は、続いて、操作部110に対する操作があったか否かを判定する(S18)。そして、操作部110に対する操作がなければ(S18:No)、制御部120は、S17の処理を再度実行する。一方、支持部60が下降停止位置又は下降限界位置に到達した場合(S17:Yes)、又は、支持部60が下降停止位置又は下降限界位置に到達する前に操作部110に対する操作があった場合(S18:Yes)、制御部120は、駆動制御部130による昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止し(S19)、本処理を終了する。
図5に示すように、介助者は、支持部60を下降停止位置で停止させた後、介助装置1の第一ハンドル50又は第二ハンドル63を把持して、座位姿勢の被介助者Mに介助装置1を接近させる。その後、介助者は、被介助者Mの下半身を基台10の上方、且つ、支持部60の下方の領域に進入させ、被介助者Mは、足を足載置台12のマーク12a上に乗せる。このとき、被介助者Mの下腿の一部は、下腿当て部30に接触することで、被介助者Mの下腿全体が安定した状態となる。
そして、介助者は、被介助者Mの胴体を胴体支持部61に面接触させると共に、被介助者Mの脇を脇支持部62,62の上に載置させる。このときの被介助者Mの姿勢が、介助開始の座位姿勢となる。当該座位姿勢では、図5に示すように、臀部が座面に接触しており、胴体が少し前傾となる。
次に、図6を参照して、介助動作実行処理の中で実行される第一動作開始処理(S2)を説明する。図6に示すように、第一動作開始処理(S2)は、操作部110による操作があったか否かを判定する(S21)。そして、操作部110の操作がなければ(S21:No)、制御部120は、S21の処理を再度実行する。一方、操作部110の操作があった場合に(S21:Yes)、制御部120は、操作部110への操作内容に応じて支持部60を昇降させる(S22)。
続いて、制御部120は、操作部110への操作が第一操作(上昇ボタンの長押し)であったか否かを判定する(S23)。そして、操作部110への操作が第一操作でなければ(S23:No)、制御部120は、S21の処理に戻る。つまり、S21からS23の処理において、制御部120は、操作部110に対して第一操作以外の操作があった場合、支持部60の高さ位置を調整するための操作であると判断する。
具体的に、駆動制御部130は、操作部110への操作が下降ボタンに対する操作であれば、下降ボタンへの操作が解除されるまで支持部60を下降させる。また、駆動制御部130は、操作部110への操作が上昇ボタンに対する操作であって、所定時間が経過する前に上昇ボタンへの操作が解除された場合、駆動制御部130は、上昇ボタンへの操作が解除された時点で支持部60の上昇を停止する。
つまり、介助者は、第一動作を開始する前に、支持部60の高さ位置が適切か否かを確認する。そして、支持部60の高さが適切でなければ、介助者は、操作部110の上昇ボタン又は下降ボタンを操作し、支持部60の高さ位置を調整する。なお、支持部60の姿勢(傾き)は、一定の状態を維持するようにしてもよいし、高さに応じて変化するようにしてもよい。そして介助者は、支持部60の高さが適切であると判断したところで、操作部110に対して第一操作を行い、介助装置1による第一動作を開始する。
制御部120は、S23の処理において、操作部110への操作が第一操作であれば(S23:Yes)、第一動作の開始が指示されたと判断し、駆動制御部130は、第一動作を開始する(S24)。具体的に、駆動制御部130は、S24の処理において、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動し、上昇停止位置設定部142に設定された上昇停止位置又は上昇限界位置に到達するまで支持部60を昇降させる。そして、駆動制御部130は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の双方を協調制御し、昇降アクチュエータ71を昇降させながら、揺動アクチュエータ72を前方へ揺動させる。
S24の処理後、駆動制御部130は、第一動作が開始された時点での支持部60の停止位置に応じた昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動停止位置を、下降停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信し(S25)、本処理を終了する。そして、履歴記憶部150は、受信した停止履歴情報を、情報取得部160が取得した場面情報と関連付けて記憶する。
図7に示すように、介助装置1による第一動作が開始されると、駆動制御部130は、昇降部22を下降させるように昇降アクチュエータ71を制御しつつ、揺動アーム40を前方に揺動させるように揺動アクチュエータ72を制御する。これにより、支持部60は、下方へ移動しつつ、大きく前傾した状態となる。つまり、被介助者Mの臀部が座面に接触した状態を維持しつつ、上半身が大きく前傾する。
その後、図8に示すように、駆動制御部130は、昇降部22を上昇させるように昇降アクチュエータ71を制御しながら、揺動アーム40を前方に揺動させるように揺動アクチュエータ72を制御する。これにより、支持部60は、上方へ移動しつつ、さらに大きく前傾した状態となる。つまり、被介助者Mの臀部は座面から離れ、脚部が伸び、且つ、上半身がさらに前傾する。このようにして、被介助者Mは、移乗時姿勢となる。
このように、介助者は、第一動作を開始する際に、上昇ボタンの長押し(第一操作)を行う。これにより、駆動制御部130は、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動し、支持部60を上昇停止位置又は上昇限界位置まで自動的に上昇させる。つまり、介助装置1は、停止履歴情報が一定数蓄積された状態で介助者による第一操作が行われると、介助者による支持部60の停止指示が行われなくても、被介助者Mに適した上昇停止位置に到達したところで支持部60の上昇を停止する。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
次に、図9を参照して、介助動作実行処理の中で実行される第二動作開始処理(S3)を説明する。図9に示すように、第二動作開始処理(S3)において、制御部120は、支持部60が上昇停止位置又は上昇限界位置に到達したか否かを判定する(S31)。
そして、支持部60が上昇停止位置又は上昇限界位置に到達していなければ(S31:No)、制御部120は、操作部110に対する操作があったか否かを判定する(S32)。そして、操作部110に対する操作がなければ(S32:No)、制御部120は、S31の処理を再度実行する。一方、支持部60が上昇停止位置又は上昇限界位置に到達した場合(S31:Yes)、及び、支持部60が上昇停止位置又は上昇限界位置に到達する前に操作部110に対する操作があった場合(S32:Yes)、制御部120は、駆動制御部130による昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する(S33)。
S33の処理後、制御部120は、操作部110による操作があったか否かを判定する(S34)。そして、操作部110の操作がなければ(S34:No)、制御部120は、S34の処理を再度実行する。一方、操作部110の操作があった場合に(S34:Yes)、制御部120は、操作部110への操作内容に応じて支持部60を昇降させる(S35)。続いて、制御部120は、操作部110への操作が第二操作(下降ボタンの長押し)であったか否かを判定する(S36)。そして、操作部110への操作が第二操作でなければ(S36:No)、制御部120は、S34の処理を再度実行する。つまり、S34からS13の処理において、制御部120は、操作部110に対して第二操作以外の操作があった場合、支持部60の高さ位置を調整するための操作であると判断し、上昇ボタン又は下降ボタンへの操作が解除されるまで支持部60を昇降させる。
つまり、介助者は、支持部60の上昇を停止させたところで、支持部60の高さ位置が適切か否かを確認し、支持部60の高さが適切でない場合には、操作部110の上昇ボタン又は下降ボタンを操作して支持部60の高さ位置を調整する。そして、支持部60の高さを調整した後、介助者は、支持部60を停止させた状態で、被介助者Mの移乗等を行う。
一方、制御部120は、操作部110に対して第二操作が行われると(S36:Yes)、第二動作の開始が指示されたと判断する。そして、制御部120は、情報取得部160により場面情報の取得を行い(S37)、使用場面に応じた中間停止位置を中間停止位置設定部143に設定する(S38)。つまり、異なる二箇所間での移乗の介助を行う場合、第一動作が行った場所と第二動作を行う場所が異なる。従って、制御部120は、第二動作を開始する際に場面情報を再度取得する。これにより、中間停止位置設定部143には、使用場面に適した中間停止位置が設定される。なおこの場合、被介助者Mは同一であるため、情報取得部160は、被介助者情報の再取得を省略してもよい。
S38の処理後、駆動制御部130は、第二動作を開始する(S39)。具体的に、駆動制御部130は、S39の処理において、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動し、中間停止位置設定部143に設定された中間停止位置又は下降限界位置に到達するまで支持部60を昇降させる。続いて、駆動制御部130は、第二動作が開始された時点での支持部60の停止位置に応じた昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動停止位置を、上昇停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信し(S40)、本処理を終了する。そして、履歴記憶部150は、受信した停止履歴情報を、情報取得部160が取得した場面情報と関連付けて記憶する。
このように、駆動制御部130は、支持部60が中間停止位置よりも上方に位置する状態で、操作部110に対して下降ボタンの長押し(第二操作)が行われた場合に、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動して支持部60を中間停止位置又は下降限界位置まで自動的に下降させる。そして、介助装置1は、停止履歴情報が一定数蓄積された状態で介助者による第二操作が行われると、介助者による支持部60の停止指示が行われなくても、被介助者Mに適した中間停止位置に到達したところで支持部60の下降を停止する。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
なお、図10に示すように、介助装置1による第二動作が行われる過程で、支持部60に支持された被介助者Mの臀部の位置は、支持部60が上昇停止位置から下降するにつれて低くなる。そして、被介助者Mは、支持部60が中間停止位置又は下降限界位置に到達する前に、被介助者Mの体重を利用して座面に着座する。
次に、図11を参照して、介助動作実行処理の中で実行される離脱位置調整処理(S4)を説明する。図11に示すように、離脱位置調整処理(S4)において、制御部120は、支持部60が中間停止位置又は下降限界位置に到達したか否かを判定する(S41)。
そして、支持部60が中間停止位置又は下降限界位置に到達していなければ(S41:No)、制御部120は、操作部110に対する操作があったか否かを判定する(S42)。そして、操作部110に対する操作がなければ(S42:No)、制御部120は、S41の処理を再度実行する。一方、支持部60が中間停止位置又は下降限界位置に到達した場合(S41:Yes)、又は、支持部60が中間停止位置又は下降限界位置に到達する前に操作部110に対する操作があった場合(S42:Yes)、制御部120は、駆動制御部130による昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する(S43)。
また、介助者は、支持部60を停止させたところで、支持部60の高さ位置が適切か否かを確認する。そして、支持部60の高さが適切でなければ、介助者は、操作部110の上昇ボタン又は下降ボタンを操作し、支持部60の高さ位置を調整する。そして、支持部60の高さを調整した後、介助者は、被介助者Mを支持部60から離脱させる。
S43の処理後、制御部120は、タイマ(図示せず)を用いて支持部60の停止時間の計時を開始し(S44)、支持部60が停止してから所定時間経過したか否かを判定する(S45)。その結果、支持部60が停止してから所定時間経過してなければ(S45:No)、制御部120は、操作部110に対する操作があったか否かを判定する(S46)。
そして、操作部110の操作があった場合に(S46:Yes)、制御部120は、操作部110への操作内容に応じて支持部60を昇降させる(S47)。その後、制御部120は、タイマをリセットし(S48)、S45の処理を再度実行する。一方、S45の処理において、支持部60が停止してから所定時間経過すると(S45:Yes)、制御部120は、支持部60の位置を、第二動作を行った使用場面に紐付けられた中間停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信し(S49)、本処理を終了する。そして、履歴記憶部150は、受信した停止履歴情報を、情報取得部160が取得した場面情報と関連付けて記憶する。
なお、その後に介助装置1による移乗の介助を新たに開始する際に、下降ボタンの長押し(第二操作)を行うことで、支持部60を下降停止位置又は下降限界位置に移動させることができる。つまり、駆動制御部130は、支持部60を中間停止位置で停止させた後に操作部110に対して下降ボタンの長押し(第二操作)が行われた場合に、場面情報を取得し、支持部60を使用場面に応じた下降停止位置又は下降限界位置へ移動させる。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
以上説明したように、介助装置1は、被介助者Mに対する移乗の介助を行う際、支持部60の動作が自動的に停止する自動停止位置を使用場面に応じて設定する。そして、駆動制御部130は、昇降する支持部60が自動停止位置に到達したと判断した場合に、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72の駆動を停止する。この場合、介助者は、介助装置1の使用場面に関係なく、自動停止するまで支持部60を移動させればよいので、介助装置1は、介助者の負担を軽減できる。また、自動停止位置は、場面情報に関連づけて記憶された停止履歴情報に基づいて決定されるので、介助装置1は、使用場面に適した位置で支持部60を自動停止させることができる。つまり、介助者は、支持部60が自動停止した後に、支持部60の高さ位置の調整作業を極力減らすことができるので、介助装置1は、被介助者Mの負担を軽減できる。
また、介助装置1は、停止位置設定部140に自動停止位置を設定する際、場面情報が共通する停止履歴情報の中で最も上方で支持部60が停止したときの停止位置を上昇停止位置に設定する。これにより、介助者は、介助装置1を使用する被介助者Mに適した上昇停止位置に到達したところで支持部60の上昇を停止できる。同様に、介助装置1は、場面情報が共通する停止履歴情報の中で最も下方で支持部60が停止したときの停止位置を下降停止位置に設定する。これにより、介助者は、介助装置1を使用する被介助者Mに適した下降停止位置に到達したところで支持部60の下降を停止させることができる。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
さらに、駆動制御部130は、操作部110に対して第一操作又は第二操作が行われると、支持部60が上昇停止位置又は下降停止位置に到達するまで、昇降アクチュエータ71及び揺動アクチュエータ72を駆動する。これにより、介助者は、操作部110に対して第一操作又は第二操作を行うことにより、支持部60を上昇停止位置又は下降停止位置まで移動させることができる。よって、介助装置1は、介助者及び被介助者Mの負担を軽減できる。
5.その他
上記実施形態では、操作部110には上昇ボタン及び下降ボタンが設けられ、上昇ボタンが長押しされた場合に第一動作が開始され、下降ボタンが長押しされた場合に第二動作が開始される場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば、駆動制御部130は、所定時間内に上昇ボタン又は下降ボタンを連続で複数回押した場合に、第一動作又は第二動作を開始してもよい。また、介助装置1は、上昇ボタン及び下降ボタン以外に第一動作や第二動作を指示するためのボタンを操作部110に設けてもよい。
また、上記実施形態において、駆動制御部130は、第一動作が開始された時点での支持部60の位置を、下降停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、駆動制御部130は、第一動作の開始時点よりも少し前(例えば3秒前)の支持部60の位置を、下降停止位置における停止履歴情報として履歴記憶部150に送信してもよい。この場合、制御部120は、介助者が第一動作を開始しようとして誤って下降ボタンを押してしまった場合に、誤操作で下降した支持部60の停止位置が停止履歴情報として履歴記憶部150に記憶されることを回避できる。なお、この点は、上昇停止位置における停止履歴情報を履歴記憶部150に送信する場合についても当てはまる。
上記実施形態では、制御部120は、第二動作を開始する際に場面情報を取得し、中間停止位置設定部143に設定する中間停止位置を決定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、制御部120は、場面情報に位置情報が含まれない場合に、第一動作を開始する際に取得した場面情報に基づき、中間停止位置設定部143に設定する中間停止位置を決定してもよい。これにより、介助装置1は、第二動作の開始の指示を受け付けてから第二動作を開始するまでの時間を短縮できる。
なお、制御部120は、履歴記憶部150に記憶された停止履歴情報のうち、場面情報が共通する又は近似する直近の複数件(例えば10件)の停止履歴情報に基づき、上昇停止位置及び下降停止位置を決定してもよい。
この場合、制御部120は、停止履歴情報に記憶された全ての停止履歴情報に基づいて上昇停止位置及び下降停止位置を決定する場合と比べて、上昇停止位置及び下降停止位置の決定に要する時間を短縮できる。また、制御部120は、直近の停止履歴情報に基づいて上昇停止位置及び下降停止位置を決定することで、最新の使用場面に応じた(着座する器具の交換や被介助者Mの体調等の変化に応じた)適切な上昇停止位置及び下降停止位置の設定を行うことができる。さらに、制御部120は、履歴記憶部150に記憶する停止履歴情報の件数を少なくすることにより、履歴記憶部150として用いるメモリ等に要するコストの低減を図ることができる。
また、上記実施形態では、制御部120が下降停止位置及び上昇停止位置を決定する際に、場面情報が共通する複数の停止履歴情報に基づいて下降停止位置及び上昇停止位置を決定する場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、制御部120は、場面情報が共通する停止履歴情報であって、直近で履歴記憶部150に記憶された停止履歴情報としての下降停止位置及び上昇停止位置を、そのまま下降停止位置設定部141及び上昇停止位置設定部142に設定してもよい。この場合、制御部120は、下降停止位置及び上昇停止位置の決定に要する時間を短縮できる。