JP6996220B2 - 生体解析装置、生体解析方法およびプログラム - Google Patents

生体解析装置、生体解析方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、生体の状態を解析するための技術に関する。
生体の状態に関する指標を算定する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、レーザー光の照射時に生体から到来する散乱光を受光することで血流信号を生成し、血流信号のパワースペクトルを利用して生体内の血流量を算定する構成が開示されている。血流信号のパワースペクトルのうち特定の周波数範囲内の部分を利用して血流量が算定される。血流量の算定に利用される周波数範囲の上限値は、パワースペクトルのうち所定の閾値に対応した周波数に予め設定される。
特開2014-79428号公報
しかし、特許文献1の技術のように、予め設定された固定値を閾値とすると、血流信号のうち生体の拍動を表わす成分を適切に反映した血流量を算定できない場合がある。以上の事情を考慮して、本発明の好適な態様は、生体の拍動を反映した適切な生体指標を算定することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定する境界決定部と、前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する生体解析部とを具備する。以上の態様では、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、第1帯域よりも高周波側に位置し、信号強度の時間的な変動が第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を上限値とした周波数範囲内の強度から生体指標が算定される。したがって、第1帯域と第2帯域との境界以外を上限値とした周波数範囲内の強度から生体指標を算定する構成と比較して、生体の拍動を反映した適切な生体指標を算定することが可能である。
本発明の好適な態様において、前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の時間的な変動量の指標である変動指標を算定する変動算定部を具備し、前記境界決定部は、前記変動指標に応じて前記境界を決定する。以上の態様では、複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の時間的な変動量の指標である変動指標に応じて第1帯域と第2帯域との境界を適切に決定できる。
本発明の好適な態様において、前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルのうち、前記生体の拍動に連動する拍動指標が所定の期間内で最大となる第1時点における強度スペクトルと、前記生体の拍動に連動する拍動指標が前記所定の期間内で最小となる第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の相違に応じて前記変動指標を算定する。以上の態様では、拍動指標が所定の期間内で最大となる第1時点における強度スペクトルと、最小となる第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の相違に応じて変動指標が算定されるから、拍動指標の大小とは無関係に選定された2つの時点における2つの強度スペクトルの間における信号強度の相違に応じて変動指標を算定する構成と比較して、2つの強度スペクトルの間の信号強度の相違を適切に反映した変動指標を算定することができる。
本発明の好適な態様において、前記所定の期間は、0.5秒以上2秒以下である。以上の態様では、0.5秒以上2秒以下の期間内で拍動指標が最大となる第1時点と最小となる第2時点とにおける強度スペクトルとの間で変動指標が算定されるから、例えば所定の期間が0.5秒より短い構成と比較して、生体の拍動の影響を適切に反映した変動指標を算定することができる。
本発明の好適な態様において、前記変動算定部は、前記第1時点における強度スペクトルと前記第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の差を、前記第1時点における強度スペクトルと前記第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の平均で除算することで前記変動指標を算定する。以上の態様では、第1時点における強度スペクトルと第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の差を、第1時点における強度スペクトルと第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の平均で除算することで変動指標が算定されるから、高域側ほど信号強度が小さくなる影響が低減される。したがって、第1時点における強度スペクトルと第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の差を変動指標として算定する構成と比較して、信号強度の時間的な変動をより優勢に反映した変動指標を算定できる。
本発明の好適な態様において、前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の散布度に応じて前記変動指標を算定する。以上の態様によれば、複数の強度スペクトルにおける信号強度の散布度に応じて適切に変動指標を算定することができる。
本発明の好適な態様において、前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の標準偏差または分散を、前記複数の強度スペクトルの間における信号強度の平均で除算することで前記変動指標を算定する。以上の態様では、複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の標準偏差または分散を、複数の強度スペクトルの間における信号強度の平均で除算することで変動指標が算定されるから、高域側ほど信号強度が小さくなる影響が低減される。したがって、複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の標準偏差または分散を変動指標として算定する構成と比較して、信号強度の時間的な変動をより優勢に反映した変動指標を算定できる。
本発明の好適な態様において、前記生体指標は、前記強度スペクトルにおける強度を前記周波数範囲内で積算した血液量指標である。
本発明の好適な態様において、前記生体指標は、前記強度スペクトルにおける各周波数の強度と当該周波数との積を、前記周波数範囲内で積算した血流量指標である。
本発明の好適な態様において、前記生体指標から前記生体の血圧に関する血圧指標を算定する血圧算定部を具備する。以上の態様によれば、生体の状態を診断するための基本的かつ重要な指標である血圧に関する血圧指標を算定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る生体解析方法は、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定し、前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する。
本発明の好適な態様に係るプログラムは、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定する境界決定部、および、前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する生体解析部としてコンピューターを機能させる。
本発明の第1実施形態に係る生体解析装置の側面図である。 生体解析装置の機能に着目した構成図である。 制御装置の機能に着目した構成図である。 強度スペクトルを示すグラフである。 第1強度スペクトルと第2強度スペクトルとを示すグラフである。 変動指標を示すグラフである。 制御装置が実行する生体解析処理のフローチャートである。 血流量指標の時間変化を示すグラフである。 第2実施形態に係る変動指標を示すグラフである。 第3実施形態に係る生体解析装置の使用例を示す模式図である。 第3実施形態に係る生体解析装置の他の使用例を示す模式図である。 周波数範囲の上限値の補足に係る代表的な強度スペクトルを示すグラフである。 周波数の上限値の補足に係る強度スペクトルを示すグラフである。 周波数の上限値の補足に係る他の強度スペクトルを示すグラフである。 変形例における生体解析装置の構成図である。 変形例における生体解析装置の構成図である。 変形例における生体解析装置の構成図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体解析装置100の側面図である。生体解析装置100は、被験者の生体情報を非侵襲的に測定する測定機器である。第1実施形態の生体解析装置100は、被験者の身体のうち特定の部位(以下「測定部位」という)Hの血圧を生体情報として測定する。以下の説明では、被験者の手首または上腕を測定部位Hとして例示する。
生体解析装置100は、測定部位Hに装着される。第1実施形態の生体解析装置100は、図1に例示される通り、筐体部12とベルト14とを具備する腕時計型の携帯機器である。生体解析装置100は、測定部位Hにベルト14を巻回することで被験者の身体に装着される。
図2は、生体解析装置100の電気的な構成図である。図2に例示される通り、第1実施形態の生体解析装置100は、制御装置21と記憶装置22と表示装置23と操作装置24と検出装置30とを具備する。制御装置21および記憶装置22は、筐体部12の内部に設置される。
表示装置23(例えば液晶表示パネル)および操作装置24は、図1に例示される通り、例えば筐体部12における測定部位Hとは反対側の表面に設置される。表示装置23は、測定結果を含む各種の画像を制御装置21による制御のもとで表示する。操作装置24は、利用者からの指示を受付ける入力機器である。例えば、利用者が操作する複数の操作子、または、表示装置23の表示面に対する利用者の接触を検知するタッチパネルが、操作装置24として好適である。
検出装置30は、測定部位Hの状態に応じた検出信号Sを生成する光学センサーモジュールである。図2に例示される通り、第1実施形態の検出装置30は、発光部31と受光部32と駆動回路33と出力回路34とを具備する。発光部31および受光部32は、例えば筐体部12において測定部位Hに対向する位置(典型的には測定部位Hに接触する表面)に設置される。なお、駆動回路33および出力回路34の一方または双方を検出装置30とは別体の外部回路として設置することも可能である。
発光部31は、測定部位Hに光を照射する光源である。第1実施形態の発光部31は、狭帯域でコヒーレントなレーザー光を測定部位Hに照射する。例えば共振器内の共振によりレーザー光を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等の発光素子が発光部31として好適に利用される。第1実施形態の発光部31は、例えば近赤外領域内の所定の波長λ(λ=800nm~1300nm)の光を測定部位Hに照射する。図2の駆動回路33は、制御装置21による制御のもとで発光部31を発光させる。なお、相異なる波長の光を出射する複数の発光素子を発光部31として利用してもよい。また、発光部31が出射する光は近赤外光に限定されない。
発光部31から測定部位Hに入射した光は、測定部位Hの内部を通過しながら拡散反射を繰返したうえで筐体部12側に出射する。具体的には、測定部位Hの内部に存在する動脈(例えば、上腕動脈、橈骨動脈または尺骨動脈)等の血管と血管内の血液とを通過した光が測定部位Hから筐体部12側に出射する。受光部32は、測定部位Hから到来する光を受光する。例えば、受光強度に応じた電荷を発生するフォトダイオード(PD:Photo Diode)等の受光素子が受光部32として利用される。具体的には、近赤外領域に高い感度を示すInGaAs(インジウムガリウム砒素)で光電変換層が形成された受光素子が受光部32として好適である。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の検出装置30は、発光部31と受光部32とが測定部位Hに対して片側に位置する反射型の光学センサーである。ただし、発光部31と受光部32とが測定部位Hを挟んで反対側に位置する透過型の光学センサーを検出装置30として利用してもよい。
出力回路34は、受光部32が受光した光の強度に応じた検出信号Sを生成する。具体的には、出力回路34は、受光部32に発生した電荷に応じた電圧の出力信号を生成する増幅回路(図示略)と、増幅回路の出力信号をアナログからデジタルに変換することで検出信号Sを生成するA/D変換器(図示略)とを具備する。出力回路34が生成した検出信号Sは、制御装置21に供給される。
受光部32に到達する光は、測定部位Hの内部において静止する組織(静止組織)で拡散反射した成分と、測定部位Hの内部の動脈の内部において移動する物体(典型的には赤血球)で拡散反射した成分とを含む。静止組織での拡散反射の前後において光の周波数は変化しない。他方、赤血球での拡散反射の前後では、赤血球の移動速度(すなわち血流速度)に比例した変化量(以下「周波数シフト量」という)だけ光の周波数が変化する。すなわち、測定部位Hを通過して受光部32に到達する光は、発光部31が出射する光の周波数に対して周波数シフト量だけ変動(周波数シフト)した成分を含有する。制御装置21に供給される検出信号Sは、測定部位Hの内部の血流による周波数シフトが反映された光ビート信号である。
図2の制御装置21は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算処理装置であり、生体解析装置100の全体を制御する。記憶装置22は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、制御装置21が実行するプログラムと制御装置21が使用する各種のデータとを記憶する。なお、制御装置21の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、制御装置21の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。また、図2では制御装置21と記憶装置22とを別個の要素として図示したが、記憶装置22を内包する制御装置21を例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
図3は、第1実施形態の制御装置21の機能に着目した構成図である。第1実施形態の制御装置21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することで、検出装置30が生成した検出信号Sから生体の血圧Pを算定するための複数の機能(周波数解析部41,範囲設定部42,生体解析部43,血圧算定部44)を実現する。なお、制御装置21の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。
図3の周波数解析部41は、検出信号Sから周波数に関する強度スペクトル(例えばパワースペクトル)Xを算定する。強度スペクトルXは、図4に例示される通り、各周波数(ドップラー周波数)fにおける検出信号Sの信号成分の信号強度(パワーまたは振幅)G(f)の分布である。強度スペクトルXの算定には、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)等の公知の周波数解析が任意に採用され得る。周波数解析部41による強度スペクトルXの算定は、時間軸上の単位期間(フレーム)毎に反復的に実行される。単位期間は、心臓の拍動の1拍分に相当する期間(以下「拍動期間」という)Tと比較して充分に短い期間である。拍動期間Tは、例えば0.5秒以上2秒未満の時間長である。時間軸上で相前後する任意の2個の単位期間は相互に重複する。以上の説明から理解される通り、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について強度スペクトルXが順次算定される。
図3の範囲設定部42は、周波数軸上の特定の範囲(以下「周波数範囲」という)Nを設定する。図4に例示される通り、周波数範囲Nは、周波数軸上の下限値fLと上限値fHとの間の範囲である。下限値fLは上限値fHを下回る。範囲設定部42による周波数範囲Nの設定については後述する。
図3の生体解析部43は、周波数解析部41が算定した強度スペクトルXのうち、範囲設定部42が設定した周波数範囲N内の信号成分の信号強度G(f)から、生体の血流に関する指標(以下「生体指標」という)を算定する。第1実施形態の生体解析部43は、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々を生体指標として算定する。以上の説明から理解される通り、範囲設定部42が設定する周波数範囲Nは、強度スペクトルXのうち測定部位Hの生体指標を算定するために利用される周波数帯域である。第1実施形態の生体解析部43は、第1指標算定部51と第2指標算定部52とを具備する。
第1指標算定部51は、強度スペクトルXのうち周波数範囲N内の信号成分の信号強度G(f)から血液量指標M(いわゆるMASS値)を算定する。血液量指標Mは、測定部位Hの血液量(具体的には単位体積内の赤血球の個数)の指標である。心臓の拍動に同期した血管径の脈動に連動して血液量は変動する。すなわち、血液量指標Mは血管径にも相関する。したがって、血液量指標Mは、測定部位Hの血管径(さらには血管の断面積)の指標とも換言され得る。血液量指標Mは、以下の数式(1a)で表現される。なお、数式(1a)の記号<I>は、検出信号Sの全帯域にわたる平均信号強度、または、強度スペクトルXのうち0kHzにおける信号強度G(0)(すなわち直流成分の信号強度)である。
Figure 0006996220000001
数式(1a)から理解される通り、強度スペクトルXにおける各周波数fの信号強度G(f)を周波数範囲Nについて積算することで血液量指標Mが算定される。なお、第1指標算定部51は、数式(1a)の積分を総和(Σ)に置換した以下の数式(1b)の演算により血液量指標Mを算定してもよい。数式(1b)の記号Δfは、周波数軸上で1個の信号強度G(f)に対応する帯域幅であり、周波数軸上に配列された複数の矩形で強度スペクトルXを近似したときの各矩形の横幅に相当する。第1指標算定部51による血液量指標Mの算定は、単位期間毎に反復的に実行される。
Figure 0006996220000002
図3の第2指標算定部52は、強度スペクトルXのうち周波数範囲N内の各周波数fと信号成分の信号強度G(f)とから血流量指標F(いわゆるFLOW値)を算定する。血流量指標Fは、測定部位Hの血流量(すなわち単位時間内に動脈内を移動する血液の体積)の指標である。具体的には、血流量指標Fは、以下の数式(2a)で表現される。
Figure 0006996220000003
数式(2a)から理解される通り、強度スペクトルXにおける各周波数fの信号強度G(f)と当該周波数fとの積である1次モーメント(f×G(f))を周波数範囲Nについて積算することで血流量指標Fが算定される。なお、第2指標算定部52は、数式(2a)の積分を総和(Σ)に置換した以下の数式(2b)の演算により血流量指標Fを算定してもよい。第2指標算定部52による血流量指標Fの算定は、単位期間毎に反復的に実行される。
Figure 0006996220000004
図3の血圧算定部44は、生体解析部43が算定した血液量指標Mおよび血流量指標Fを利用して測定部位Hの血圧Pを算定する。血圧算定部44による血圧Pの算定は、任意の期間(例えば拍動期間T)毎に反復的に実行される。具体的には、血圧算定部44は、拍動期間Tにおける単位期間毎の血液量指標Mと当該拍動期間Tにおける単位期間毎の血流量指標Fとから、当該拍動期間Tの血圧Pを算定する。
血液量指標Mと血流量指標Fと血圧Pとの関係について説明する。血圧Pは、血流量Qと血管抵抗Rとの積として表現される(P=Q×R)。血管抵抗Rは、以下の数式(3a)で表現される通り、血管径dの4乗の逆数に比例する(記号a0は比例定数)。また、血管径dが血液量指標Mの3乗根に比例し、血流量Qが血流量指標Fに比例すると仮定した場合、以下の数式(3b)および数式(3c)が成立する(記号a1および記号a2は比例定数)。
Figure 0006996220000005
以上に説明した関係を考慮すると、血液量指標Mと血流量指標Fと血圧Pとの関係を表現する以下の数式(4)が導出される。
Figure 0006996220000006
血圧算定部44は、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとを利用した数式(4)の演算により測定部位Hの血圧Pを算定する。前述の通り、血圧算定部44による血圧Pの算定は、単位期間毎に反復的に実行されるから、測定部位Hの血圧Pの時間変化(血圧Pの時系列)が測定される。制御装置21は、血圧算定部44が算定した血圧Pを表示装置23に表示させる。
<周波数範囲Nの設定>
範囲設定部42による周波数範囲Nの設定について詳述する。ここで、血圧Pを高精度に算定するためには、生体の拍動を反映した適切な生体指標(血液量指標M,血流量指標F)を特定する必要がある。そこで、第1実施形態の範囲設定部42は、強度スペクトルXのうち生体の拍動が適切に反映された周波数範囲Nを設定する。
図5は、拍動期間Tのうち心臓が最も収縮する第1時点における強度スペクトルX(以下「第1強度スペクトルX1」という)と、拍動期間Tのうち心臓が最も拡張する第2時点における強度スペクトルX(以下「第2強度スペクトルX2」という)とを示すグラフである。第1時点は、拍動期間T内において血液量指標Mまたは血流量指標Fが最大となる時点であり、第2時点は、拍動期間T内において血液量指標Mまたは血流量指標Fが最小となる時点である。
図5には、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、信号強度G(f)の時間的な変動が大きい帯域(以下「第1帯域」という)B1と、信号強度G(f)の時間的な変動が第1帯域B1と比較して小さい帯域(以下「第2帯域」)B2とが示されている。第2帯域B2は、第1帯域B1よりも高周波側に位置する。第1帯域B1と第2帯域B2とは連続する。強度スペクトルXのうち第1帯域B1の成分は、生体の拍動の影響が大きい(つまり拍動に連動する)成分である。つまり、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、第1帯域B1における周波数f毎の信号強度G(f)の相違は大きい。他方、強度スペクトルXのうち第2帯域B2の成分は、生体の拍動の影響が充分に小さい(つまり変動が小さい)成分である。つまり、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、第2帯域B2における周波数f毎の信号強度G(f)の相違は小さい(理想的には一致する)。以上の説明から理解される通り、強度スペクトルXのうち第1帯域B1の信号強度G(f)から生体指標を算定すれば、生体の拍動を反映した適切な生体指標を算定することが可能である。以上の理由から、範囲設定部42は、第1帯域B1と第2帯域B2との境界の周波数(以下では単に「境界」という)Dを周波数範囲Nの上限値fHとして決定する。
図3の範囲設定部42は、変動算定部61と境界決定部62とを具備する。変動算定部61は、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の時間的な変動量の指標(以下「変動指標」という)V(f)を算定する。第1実施形態では、周波数解析部41が拍動期間T内について算定した複数の強度スペクトルXのうち、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおける周波数毎に変動指標V(f)が算定される。具体的には、変動算定部61は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の相違に応じて変動指標V(f)を算定する。第1実施形態の変動算定部61は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の差(典型的には差の絶対値)を、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定する。具体的には、変動指標V(f)は、以下の数式(5)で表現される。記号G1(f)は、任意の1個の周波数fにおける第1強度スペクトルX1の信号強度を表し、記号G2(f)は、当該周波数fにおける第2強度スペクトルX2の信号強度を表す。
Figure 0006996220000007
図6は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおける周波数f毎の変動指標V(f)を示したグラフである。図6では、周波数f毎の変動指標V(f)を平滑化した後のグラフが示されている。第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との信号強度の差(G1(f)-G2(f))が大きいほど変動指標V(f)は大きくなる。つまり、概略的には、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間で第1帯域B1について算定された変動指標V(f)は、第2帯域B2について算定された変動指標V(f)よりも大きいという傾向がある。具体的には、第1帯域B1における変動指標V(f)の平均値は、第2帯域B2における変動指標V(f)の平均値を上回る。
図3の境界決定部62は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、第1帯域B1と第2帯域B2との間の境界Dを決定する。具体的には、境界決定部62は、変動算定部61が算定した変動指標V(f)に応じて境界Dを決定する。図6に例示される通り、例えば変動指標V(f)が所定の閾値THを下回る周波数fを境界Dとして決定する。前述の通り、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、第2帯域B2における周波数f毎の信号強度は理想的には一致する。したがって、第2帯域B2について数式(5)の演算により算定された変動指標V(f)は、第1帯域B1の変動指標V(f)を下回る値で第2帯域B2にわたり略一定になる。以上の事情を考慮して、第1実施形態では、想定される境界Dよりも充分に大きい周波数帯域(つまり第2帯域B2と想定される周波数帯域)における変動指標V(f)の平均値が閾値THとして予め設定される。例えば80kHz~100kHzの周波数帯域における変動指標V(f)の平均値が閾値THとして好適である。図6には、閾値THを0.1とした場合が示されている。第1実施形態の境界決定部62は、変動指標V(f)が閾値THを下回る周波数のうち最小の周波数(図6の例示では50kHz)を境界Dとして決定する。すなわち、周波数軸上の低周波側から高周波側にかけて変動指標V(f)を観測したときに、閾値THを上回る数値から当該閾値THを下回る数値に最初に低下する周波数fが境界Dとして特定される。境界決定部62は、決定した境界Dを周波数範囲Nの上限値fHとして設定する。なお、周波数範囲Nの下限値fLは0kHz以上の数値(例えば0.1kHz)に設定される。
図7は、制御装置21が実行する処理(以下「生体解析処理」という)のフローチャートである。例えば利用者からの指示を契機として、検出装置30による検出信号Sの生成に並行して図7の生体解析処理が実行される。生体解析処理を開始すると、周波数解析部41は、単位期間毎の強度スペクトルXを検出信号Sから算定する(Sa1)。つまり、単位期間内における複数の強度スペクトルXが順次に算定される。変動算定部61は、算定された複数の強度スペクトルXから第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定する(Sa2)。第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定する方法は、以下の通りである。
まず、変動算定部61は、複数の強度スペクトルXの各々について、暫定的な周波数範囲Nを適用した数式(2a)または数式(2b)の演算により当該強度スペクトルXの血流量指標Fを算定する。暫定的な周波数範囲Nは、下限値fLおよび上限値fHが所定値(例えば生体の状態に依存しない値)に設定された周波数帯域である。図8は、血流量指標Fの時間変化を示すグラフである。図8に示すように、変動算定部61は、複数の血流量指標Fの時系列から、拍動期間Tを画定する。図8には、拍動期間Tが1秒に画定された場合が示されている。次に、変動算定部61は、拍動期間Tのうち血流量指標Fが最大となる第1時点t1の強度スペクトルXを第1強度スペクトルX1として特定し、拍動期間Tのうち血流量指標Fが最小となる第2時点t2の強度スペクトルXを第2強度スペクトルX2として特定する。ここでは、血流量指標Fに着目したが、血液量指標Mの時間変化から拍動期間Tと第1時点t1および第2時点t2とを特定してもよい。
変動算定部61は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とについて変動指標V(f)を算定する(Sa3)。具体的には、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度の相違に応じて変動指標V(f)を算定する。変動指標V(f)の算定には、前述の数式(5)が利用される。
境界決定部62は、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とにおいて、第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを変動指標V(f)に応じて決定する(Sa4)。次に、境界決定部62は、0kHzより大きい値(例えば0.1kHz)を下限値fLとして、境界Dを上限値fHとした周波数範囲Nを設定する(Sa5)。拍動期間T毎に周波数範囲Nは設定される。
第1指標算定部51は、強度スペクトルXのうち周波数範囲N内の信号強度G(f)から血液量指標Mを算定する(Sa6)。血液量指標Mの算定には、前述の数式(1a)または数式(1b)が利用される。第2指標算定部52は、強度スペクトルXのうち周波数範囲N内の信号強度G(f)から血流量指標Fを算定する(Sa7)。血流量指標Fの算定には、前述の数式(2a)または数式(2b)が利用される。ステップSa6からステップSa7までの処理は単位期間毎に実行される。そして、血圧算定部44は、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとを利用して測定部位Hの血圧Pを算定する(Sa8)。ステップSa8の処理は任意の期間毎(例えば拍動期間T毎)に実行される。なお、ステップSa6およびステップSa7において、任意の1個の拍動期間T内について算定された複数の強度スペクトルXには、当該拍動期間Tについて設定された周波数範囲Nが共通に利用される。制御装置21は、血圧算定部44が算定した血圧Pを表示装置23に表示させる(Sa9)。
以上の説明から理解される通り、第1実施形態においては、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された複数の強度スペクトルXにおいて、第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを上限値fHとした周波数範囲N内の信号強度から生体指標(血液量指標M,血流量指標F)が算定される。したがって、第1帯域B1と第2帯域B2との境界D以外(例えば第2帯域B2内の周波数)を上限値fHとした周波数範囲N内の強度から生体指標を算定する構成と比較して、生体の拍動を反映した適切な生体指標を算定することが可能である。
第1実施形態では特に、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度の相違に応じて変動指標V(f)が算定されるから、検出信号Sの大小とは無関係に選定された2つの時点における2つの強度スペクトルXの間の信号強度の相違に応じて変動指標V(f)を算定する構成と比較して、2つの強度スペクトルXの間の信号強度の相違を適切に反映した変動指標V(f)を算定することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態の変動算定部61は、拍動期間T内における複数の強度スペクトルXのうち第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度の相違に応じて変動指標V(f)を算定した。それに対して、第2実施形態の変動算定部61は、拍動期間T内における複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度の散布度に応じて変動指標V(f)を算定する。具体的には、変動算定部61は、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度の標準偏差σ(f)を、複数の強度スペクトルXの間における信号強度の平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定する。第2実施形態の変動指標V(f)は、前述の数式(5)に代えて、以下の数式(6)で表現される。記号σ(f)は、複数の強度スペクトルXにおける任意の周波数fでの信号強度G(f)の標準偏差(信号強度の散らばり具合)を表す。
Figure 0006996220000008
図9は、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の変動指標V(f)を示したグラフである。複数の強度スペクトルXにおける信号強度の標準偏差が大きいほど(つまりバラつきが大きいほど)変動指標V(f)は大きくなる。前述の通り、強度スペクトルXのうち第1帯域B1の成分の時間的な変動は大きく、強度スペクトルXのうち第2帯域B2の成分の時間的な変動は小さい(理想的には変動がない)。したがって、複数の強度スペクトルXの第1帯域B1について算定された変動指標V(f)は、第2帯域B2について算定された変動指標V(f)よりも大きいという傾向が得られる。
第2実施形態の境界決定部62は、拍動期間T内の複数の強度スペクトルXについて、第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを決定する。第1実施形態と同様に、図9の変動指標V(f)が所定の閾値THを下回る周波数を境界Dとして決定する。第2帯域B2における周波数f毎の信号強度は理想的には一致するから、第2帯域B2について数式(6)の演算により算定された変動指標V(f)は、第1帯域B1の変動指標V(f)を下回る値で第2帯域B2にわたりほぼ一定になる。したがって、第1実施形態と同様に、想定される境界Dよりも充分に大きい周波数帯域(例えば80kHz~100kHz)における変動指標V(f)の平均値が閾値THとして予め設定される。図9には、閾値THを0.3とした場合が示されている。第2実施形態の境界決定部62は、第1実施形態と同様に、変動指標V(f)が閾値THを下回る周波数のうち最小の周波数(図9の例示では50kHz)を境界Dとして決定する。境界決定部62は、決定した境界Dを周波数範囲Nの上限値fHとして設定する。第2実施形態では、図7のフローチャートにおけるステップSa2(第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定する処理)は省略される。
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、複数の強度スペクトルXにおいて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを上限値fHとした周波数範囲N内の信号強度から生体指標が算定されるから、生体の拍動を反映した適切な生体指標を算定することが可能である。また、第2実施形態では、複数の強度スペクトルXにおける信号強度の散布度に応じて適切に変動指標V(f)を算定することができる。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態における生体解析装置100の使用例を示す模式図である。図10に例示される通り、生体解析装置100は、相互に別体で構成された検出ユニット71と表示ユニット72とを具備する。検出ユニット71は、前述の各形態で例示した検出装置30を具備する。図10には、被験者の上腕に装着される形態の検出ユニット71が例示されている。図11に例示される通り、被験者の手首に装着される形態の検出ユニット71も好適である。
表示ユニット72は、前述の各形態で例示した表示装置23を具備する。例えば携帯電話機またはスマートフォン等の情報端末が表示ユニット72の好適例である。ただし、表示ユニット72の具体的な形態は任意である。例えば、被験者が携帯可能な腕時計型の情報端末、または、生体解析装置100の専用の情報端末を表示ユニット72として利用してもよい。
検出信号Sから各指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定するための要素(以下「演算処理部」という)は、例えば表示ユニット72に搭載される。演算処理部は、図3に例示された要素(周波数解析部41,範囲設定部42,生体解析部43,血圧算定部44)を包含する。検出ユニット71の検出装置30が生成した検出信号Sが有線または無線で表示ユニット72に送信される。表示ユニット72の演算処理部は、検出信号Sから生体指標(血液量指標M,血流量指標F)および血圧Pを算定して表示装置23に表示する。
なお、演算処理部を検出ユニット71に搭載してもよい。演算処理部は、検出装置30が生成した検出信号Sから生体指標および血圧Pを算定し、当該生体指標を表示するためのデータを表示ユニット72に有線または無線で送信する。表示ユニット72の表示装置23は、検出ユニット71から受信したデータが示す生体指標を表示する。
<上限値fHに関する補足>
前述の各形態における例示の通り、本発明の好適な態様は、複数の強度スペクトルXにおいて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを周波数範囲Nの上限値fHとする構成(以下「構成A」という)を採用する。構成Aを採用することで実際の生体解析装置(以下「実製品」という)から観測できる挙動を以下に説明する。
まず、強度スペクトルX(n)の周波数範囲Nを利用して血流量指標F(n)を算定および表示する実製品の構成のもとで、周波数範囲Nの上限値fHを含む範囲(周波数帯域)を推定する方法を説明する。
実製品において検出信号Sが供給される配線または端子に、複数の入力信号I(n)を外部装置から供給する場面を想定する。図12は、代表的な入力信号I(n)の強度スペクトルX(n)を示すグラフである。図12には、任意の1つの強度スペクトルX(n)において特定の周波数以上の信号強度G(f)が0である3つの場合について示されている。強度スペクトルX(n)aは、周波数fa以上の信号強度が0であり、強度スペクトルX(n)bは、周波数fb(>fa)以上の信号強度が0であり、強度スペクトルX(n)cは、周波数fc(>fb)以上の信号強度が0である。なお、図12では、各強度スペクトルXにおいて重複する部分(例えばf0からfaまでの周波数帯域)は便宜的にずらして示しているが実際には一致する。各強度スペクトルXに対して逆フーリエ変換を実行することで、当該強度スペクトルX(n)に対応する入力信号I(n)が生成される。具体的には、強度スペクトルX(n)aに対応する入力信号I(n)aと、強度スペクトルX(n)bに対応する入力信号I(n)bと、強度スペクトルX(n)cに対応する入力信号I(n)cとが生成される。
実製品において被験者の血流量の測定結果として血流量指標Fが表示される場合を想定する。また、入力信号I(n)aを実製品に供給した場合に血流量指標F(n)aが表示され、入力信号I(n)bを実製品に供給した場合に血流量指標F(n)bが表示され、入力信号I(n)cを実製品に供給した場合に血流量指標F(n)cが表示される。血流量指標F(n)aよりも血流量指標F(n)bが大きく(以下「条件1」という)、かつ、血流量指標F(n)bと血流量指標F(n)cとが一致(以下「条件2」という)する場合、強度スペクトルX(n)のうち血流量指標Fの算定に利用される周波数範囲Nの上限値fHが周波数faより大きく周波数fb以下(fa<fH≦fb)であると言える。周波数範囲Nの上限値fHが周波数aを下回る場合には血流量指標F(n)aと血流量指標F(n)bとが一致する筈であり、上限値fHが周波数bを上回る場合には血流量指標F(n)bと血流量指標F(n)cとが相違する筈だからである。以上の説明から理解される通り、条件1および条件2の双方を満たすように周波数faと周波数fbと周波数fcとを設定することで、周波数範囲Nの上限値fHが、周波数faと周波数fbとの間の範囲Z内にあると推定することが可能である。
図13には、3種類の強度スペクトルX(1)(X(1)a~X(1)c)(実線)と3種類の強度スペクトルX(2)(X(2)a~X(2)c)(破線)とが図示されている。3種類の強度スペクトルX(1)(X(1)a~X(1)c)は、それぞれ特定の周波数fa~fc以上の範囲で信号強度が0となる。同様に、3種類の強度スペクトルX(2)a~X(2)cは、それぞれ特定の周波数fa~fc以上の範囲で信号強度が0となる。図13に例示される通り、強度スペクトルX(1)と強度スペクトルX(2)とは、周波数f0から周波数faまでの周波数帯域において信号強度が異なる一方で、周波数fa以上の周波数帯域では信号強度が一致する。つまり、強度スペクトルX1と強度スペクトルX2とにおいて、周波数f0から周波数faまでの周波数帯域が第1帯域B1であり、周波数fa以上の周波数帯域が第2帯域B2である。すなわち、第1帯域B1と第2帯域B2との境界D1は周波数faである。
図12を参照して説明した通り、図13の強度スペクトルX1および強度スペクトルX2の各々について条件1および条件2が成立することで、周波数範囲Nの上限値fHが周波数faより大きく周波数fb以下の範囲Zに位置すると言える。
他方、図14には、図13における境界D1を下回る周波数fa'が第1帯域B1と第2帯域B2との境界D2となるように生成された3種類の強度スペクトルX(3)(X(3)a~X(3)c)と3種類の強度スペクトルX(4)(X(4)a~X(4)c)とが図示されている。3種類の強度スペクトルX(3)a~X(3)cは、それぞれ特定の周波数fa'~fc'以上の範囲で信号強度が0となる。同様に、3種類の強度スペクトルX(4)a~X(4)cは、それぞれ特定の周波数fa'~fc'以上の範囲で信号強度が0となる。図14に例示される通り、強度スペクトルX(3)と強度スペクトルX(4)とは、周波数f0から周波数fa'までの周波数帯域において信号強度が異なる一方で、周波数fa’以上の周波数帯域では信号強度が一致する。なお、図14では、境界D1を下回る周波数fa'が境界D2となる場合を例示したが、境界D1を上回る周波数を境界D2としてもよい。つまり、境界D1と境界D2との周波数が相違すればよい。
図12を参照して説明した通り、図14の強度スペクトルX(3)および強度スペクトルX(4)の各々について条件1および条件2が成立することで、周波数範囲Nの上限値fHは、周波数fa'より大きく周波数fb'以下の範囲Z'に位置すると言える。
図13の範囲Zと図14の範囲Z'が周波数軸上で相違する場合(例えば重複しない場合)には、境界Dの位置(周波数)に応じて周波数範囲Nの上限値fHが変化していると言える。すなわち、実製品が構成Aを採用していると判定できる。他方、図13の範囲Zと図14の範囲Z'が周波数軸上で重複する場合には、周波数範囲Nの上限値fHは境界Dの位置に依存していないと言える。
なお、以上の説明では血流量指標Fに着目したが、実製品が構成Aを採用しているか否かを判断するための生体指標は、以上の例示に限定されない。例えば、血液量指標Mを利用することも可能である。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)前述の各形態では、生体解析装置100が血圧算定部44を具備する構成を例示したが、生体解析装置から血圧算定部44を省略してもよい。例えば、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとの一方または双方が表示装置23に表示される。血液量指標Mを算定する生体解析装置100は血液量計としても観念され、血流量指標Fを算定する生体解析装置は血流量計としても観念される。また、第1指標算定部51および第2指標算定部52の一方と血圧算定部44とを省略し、血液量指標Mおよび血流量指標Fの一方を表示装置23に表示してもよい。ただし、血圧算定部44を具備する前述の各形態によれば、生体の状態を診断するための基本的かつ重要な指標である血圧を算定できるという利点がある。
(2)前述の各形態では、血液量指標Mと血流量指標Fとを生体指標として例示したが、生体指標の種類は以上の例示に限定されない。例えば、血液量指標Mに応じた血管径や血管の断面積、血流量指標Fに応じた血流量、または、血流量を血管の断面積で除算した血流速度を、生体解析部43が生体指標として算定することも可能である。以上に例示した生体指標から血管年齢(血管の硬さの指標)を算定して被験者に報知してもよい。また、以上に例示した生体指標から被験者の血流状態を複数の段階(例えば、異常/高目/通常、など)から特定して被験者に報知することも可能である。
また、前述の各形態では、血圧算定部44は血圧Pを算定したが、血圧算定部44が算定する指標は血圧Pに限定されない。例えば、平均血圧や脈圧を血圧算定部44が算定することも可能である。以上の説明から理解される通り、血圧算定部44が算定する指標は、生体の血圧Pに関する指標(以下「血圧指標」という)として包括的に表現される。また、以上に例示した血圧指標から被験者の血圧状態を複数の段階(例えば、異常/高目/通常、など)から特定して被験者に報知することも可能である。
(3)前述の各形態では、変動指標V(f)に応じて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを決定したが、境界Dを決定する方法は以上の例示に限定されない。例えば、複数の強度スペクトルXの時系列を表示装置23に表示させ、利用者が表示を確認しながら操作装置24を操作することで境界Dを指示する。境界決定部62は、利用者からの操作装置24に対する指示に応じて境界Dを設定する。すなわち、変動算定部61は必須ではない。ただし、変動指標V(f)に応じて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを決定する前述の各形態によれば、変動指標V(f)に応じて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを適切に決定できる。
(4)第1実施形態では、複数の強度スペクトルXのうち第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを血液量指標Mまたは血流量指標Fに応じて特定したが、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との特定に利用する指標は生体の拍動に連動する指標(以下「拍動指標」という)であれば任意である。例えば血流量指標F(または血液量指標M)の時間変化を平滑化して、当該平滑化後の時間変化から第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定してもよい。また、拍動期間T内の各強度スペクトルXの積分値を利用してもよい。具体的には、拍動期間T内における複数の強度スペクトルXのうち積分値が最大となる強度スペクトルXが第1強度スペクトルX1として特定され、最小となる強度スペクトルXが第2強度スペクトルX2として特定される。積分値を利用する構成によれば、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との特定に、暫定的な周波数範囲Nを利用した血流量指標F(または血液量指標M)の算出が必要ない。したがって、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2の特定プロセスが簡略化され、装置の省電力化が見込まれる。また、他の手段で脈動波形(例えば圧脈波または容積脈波)を取得して、脈動が最大となる時点(心臓が最も収縮する時点)を第1時点t1として、脈動が最小となる時点(心臓が最も拡張する時点)を第2時点t2としてもよい。
以上の説明から理解される通り、拍動指標が拍動期間T内で最大となる第1時点における強度スペクトルXが第1強度スペクトルX1として特定され、最小となる第2時点における強度スペクトルXが第2強度スペクトルX2として特定される。拍動指標は、血液量指標Mまたは血流量指標F、平滑化後の血液量指標Mまたは血流量指標F、および、強度スペクトルXの積分値を含む概念である。ただし、拍動指標は、以上の例示に限定されない。例えば血液量指標Mから算定した指標(例えば血管径)や血流量指標Fから算定した指標(例えば血流量)を拍動指標としてもよい。
(5)第1実施形態では、複数の強度スペクトルXのうち第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを変動指標V(f)の算定に利用したが、変動指標V(f)の算定に利用する強度スペクトルXは第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とに限定されない。例えば拍動指標の大小とは無関係に選定された2つの時点における2つの強度スペクトルXを変動指標V(f)の算定に利用してもよい。
(6)前述の各形態では、変動指標V(f)が閾値THを下回る最小の周波数を第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dとして決定したが、境界Dの決定方法は以上の例示に限定されない。例えば、変動指標V(f)が閾値THを継続的に下回る地点(周波数)を境界Dとして決定してもよい。また、境界Dの決定において閾値THの設定は必須ではない。例えば、変動指標V(f)が変動する帯域と変動指標V(f)が略一定になる帯域との間の周波数を境界Dとして決定してもよい。
(7)前述の各形態では、想定される境界Dよりも充分に大きい周波数帯域における変動指標V(f)の平均値を閾値THとして設定したが、設定される閾値THは以上の例示に限定されない。例えば、変動指標V(f)が変動する帯域と変動指標V(f)が略一定になる帯域との間の周波数における変動指標V(f)の値を閾値THとしてもよい。また、事前に設定された固定値を閾値THとして利用する構成や、利用者からの指示に応じた可変値を閾値THとして利用する構成も想定される。
(8)第1実施形態では、拍動期間T内の複数の強度スペクトルXから第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定したが、例えば拍動期間Tよりも短い時間長の期間内の複数の強度スペクトルXから第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定してもよい。ただし、拍動期間T内の複数の強度スペクトルXから第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定する第1実施形態の構成によれば、0.5秒より短い期間内の複数の強度スペクトルXから第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2とを特定する構成と比較して、生体の拍動の影響を適切に反映した変動指標V(f)を算定することができる。
また、第2実施形態では、拍動期間T内における複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の散布度に応じて変動指標V(f)を算定したが、拍動期間Tよりも長い期間内における複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の散布度に応じて変動指標V(f)を算定してもよい。
(9)第1実施形態では、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の差を、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定したが、変動指標V(f)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の比を平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定してもよい。
また、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の差を平均Gaveで除算することは必須ではない。ただし、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の差を平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定する第1実施形態の構成によれば、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の差を変動指標V(f)として算定する構成と比較して、信号強度G(f)の時間的な変動をより優勢に反映した変動指標V(f)を算定できるという利点がある。すなわち、高域側ほど信号強度G(f)が減衰するという強度スペクトルXの傾向の影響が低減される。以上の説明から理解される通り、第1強度スペクトルX1と第2強度スペクトルX2との間における信号強度G(f)の相違に応じて変動指標V(f)が算定されれば、変動指標V(f)の算定方法は任意である。
(10)第2実施形態では、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の標準偏差σ(f)を、複数の強度スペクトルXの間における信号強度G(f)の平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定したが、変動指標V(f)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の分散σ(f)を平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定してもよい。
また、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の標準偏差σ(f)を平均Gaveで除算することは必須ではない。ただし、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の標準偏差σ(f)を平均Gaveで除算することで変動指標V(f)を算定する第2実施形態の構成によれば、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の標準偏差σ(f)を変動指標V(f)として算定する構成と比較して、信号強度G(f)の時間的な変動をより優勢に反映した変動指標V(f)を算定できるという利点がある。すなわち、高域側ほど信号強度G(f)が減衰するという強度スペクトルXの傾向の影響が低減される。以上の説明から理解される通り、複数の強度スペクトルXにおける周波数毎の信号強度G(f)の散布度に応じて変動指標V(f)が算定されれば、変動指標V(f)の算定方法は任意である。
(11)前述の各形態において、操作装置24に対する利用者からの指示に応じて第1帯域B1と第2帯域B2との境界Dを決定することも可能である。例えば表示装置23に表示された変動指標V(f)を利用者が確認して、境界Dとして考えられる周波数を操作装置24に入力する。境界決定部62は、操作装置24に対して入力された周波数に応じて境界Dを設定する。
(12)前述の各形態では、単体の機器として構成された生体解析装置100を例示したが、以下の例示の通り、生体解析装置100の複数の要素は相互に別体の装置として実現され得る。なお、以下の説明では、検出信号Sから各指標(生体指標,血圧P)を算定する要素を「演算処理部27」と表記する。演算処理部27は、例えば、図3に例示された要素(周波数解析部41,範囲設定部42,生体解析部43,血圧算定部44)を包含する。
前述の各形態では、検出装置30を具備する生体解析装置100を例示したが、図15に例示される通り、検出装置30を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。検出装置30は、例えば被験者の手首や上腕等の測定部位Hに装着される可搬型の光学センサーモジュールである。生体解析装置100は、例えば携帯電話機またはスマートフォン等の情報端末で実現される。腕時計型の情報端末で生体解析装置100を実現してもよい。検出装置30が生成した検出信号Sが有線または無線で生体解析装置100に送信される。生体解析装置100の演算処理部27は、検出信号Sから各指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定して表示装置23に表示する。以上の説明から理解される通り、検出装置30は生体解析装置100から省略され得る。
前述の各形態では、表示装置23を具備する生体解析装置100を例示したが、図16に例示される通り、表示装置23を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。生体解析装置100の演算処理部27は、検出信号Sから各指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定し、当該指標を表示するためのデータを表示装置23に送信する。表示装置23は、専用の表示機器であってもよいが、例えば、携帯電話機もしくはスマートフォン等の情報端末、または、被験者が携帯可能な腕時計型の情報端末に搭載されてもよい。生体解析装置100の演算処理部27が算定した各指標は、有線または無線により表示装置23に送信される。表示装置23は、生体解析装置100から受信した各指標を表示する。以上の説明から理解される通り、表示装置23は生体解析装置100から省略され得る。
図17に例示される通り、検出装置30および表示装置23を生体解析装置100(演算処理部27)とは別体とした構成も想定される。例えば、生体解析装置100(演算処理部27)が、携帯電話機やスマートフォン等の情報端末に搭載される。
なお、検出装置30と生体解析装置100とを別体とした構成において、周波数解析部41を検出装置30に搭載することも可能である。周波数解析部41が算定した強度スペクトルXが有線または無線により検出装置30から生体解析装置100に送信される。以上の説明から理解される通り、周波数解析部41は生体解析装置100から省略され得る。
(13)前述の各形態では、筐体部12とベルト14とを具備する腕時計型の生体解析装置100を例示したが、生体解析装置の具体的な形態は任意である。例えば、被験者の身体に貼付可能なパッチ型、被験者の耳部に装着可能な耳装着型、被験者の指先に装着可能な指装着型(例えば着爪型)、または、被験者の頭部に装着可能な頭部装着型など、任意の形態の生体解析装置が採用され得る。
(14)前述の各形態では、被験者の血圧Pを表示装置23に表示したが、血圧Pを被験者に報知するための構成は以上の例示に限定されない。例えば、血圧Pを音声で被験者に報知することも可能である。被験者の耳部に装着可能な耳装着型の生体解析装置においては、血圧Pを音声で報知する構成が特に好適である。また、血圧Pを被験者に報知することは必須ではない。例えば、生体解析装置100が算定した血圧Pを通信網から他の通信装置に送信してもよい。また、生体解析装置100の記憶装置22や生体解析装置100に着脱可能な可搬型の記録媒体に血圧Pを格納してもよい。
(15)前述の各形態に係る生体解析装置100は、前述の例示の通り、制御装置21とプログラムとの協働により実現される。本発明の好適な態様に係るプログラムは、コンピューターが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピューターにインストールされ得る。また、配信サーバーが具備する記録媒体に格納されたプログラムを、通信網を介した配信の形態でコンピューターに提供することも可能である。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
100…生体解析装置、12…筐体部、14…ベルト、21…制御装置、22…記憶装置、23…表示装置、24…操作装置、27…演算処理部、30…検出装置、31…発光部、32…受光部、33…駆動回路、34…出力回路、41…周波数解析部、42…範囲設定部、43…生体解析部、44…血圧算定部、51…第1指標算定部、52…第2指標算定部、61…変動算定部、62…境界決定部。

Claims (12)

  1. レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定する境界決定部と、
    前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する生体解析部と
    を具備する生体解析装置。
  2. 前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の時間的な変動量の指標である変動指標を算定する変動算定部を具備し、
    前記境界決定部は、前記変動指標に応じて前記境界を決定する
    請求項1の生体解析装置。
  3. 前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルのうち、前記生体の拍動に連動する拍動指標が所定の期間内で最大となる第1時点における強度スペクトルと、前記生体の拍動に連動する拍動指標が前記所定の期間内で最小となる第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の相違に応じて前記変動指標を算定する
    請求項2の生体解析装置。
  4. 前記所定の期間は、0.5秒以上2秒以下である
    請求項3の生体解析装置。
  5. 前記変動算定部は、前記第1時点における強度スペクトルと前記第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の差を、前記第1時点における強度スペクトルと前記第2時点における強度スペクトルとの間における信号強度の平均で除算することで前記変動指標を算定する
    請求項3または請求項4の生体解析装置。
  6. 前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の散布度に応じて前記変動指標を算定する
    請求項2の生体解析装置。
  7. 前記変動算定部は、前記複数の強度スペクトルにおける周波数毎の信号強度の標準偏差または分散を、前記複数の強度スペクトルの間における信号強度の平均で除算することで前記変動指標を算定する
    請求項6の生体解析装置。
  8. 前記生体指標は、前記強度スペクトルにおける強度を前記周波数範囲内で積算した血液量指標である
    請求項1から請求項7の何れかの生体解析装置。
  9. 前記生体指標は、前記強度スペクトルにおける各周波数の強度と当該周波数との積を、前記周波数範囲内で積算した血流量指標である
    請求項1から請求項8の何れかの生体解析装置。
  10. 前記生体指標から前記生体の血圧に関する血圧指標を算定する血圧算定部を具備する
    請求項1から請求項9何れかの生体解析装置。
  11. レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定し、
    前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する
    を具備する生体解析方法。
  12. レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光について順次算定された周波数に関する複数の強度スペクトルにおいて、信号強度の時間的な変動が大きい第1帯域と、前記第1帯域よりも高周波側に位置し、前記信号強度の時間的な変動が前記第1帯域と比較して小さい第2帯域との境界を決定する境界決定部、および、
    前記強度スペクトルのうち前記境界を上限値とした周波数範囲内の信号強度から、前記生体の血流に関する生体指標を算定する生体解析部
    としてコンピューターを機能させるプログラム。
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