JP2019033900A - 生体解析装置、生体解析方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】生体の血流指標を高精度に解析する。【解決手段】レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する指標算定部を具備する生体解析装置。【選択図】図3
Description
本発明は、生体の状態を解析するための技術に関する。
生体の状態に関する指標を算定する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、レーザー光の照射時に生体から到来する散乱光を受光することで血流信号を生成し、血流信号のパワースペクトルを利用して生体内の血流量を算定する構成が開示されている。血流信号のパワースペクトルのうち特定の周波数範囲内の部分を利用して血流量が算定される。血流量の算定に利用される周波数範囲の上限値は、パワースペクトルのうち所定の閾値に対応した周波数に設定される。
しかし、特許文献1の技術のように、血流信号のパワースペクトルのうち血流量の算定に利用される周波数範囲の上限値を制御しても、血流信号に含まれるノイズの影響を充分に低減できない場合がある。以上の事情を考慮して、本発明の好適な態様は、生体の血流指標を高精度に解析することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する指標算定部を具備する。以上の態様では、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、生体の血流指標が算定される。すなわち、強度スペクトルのうち0Hzおよびその近傍に存在するノイズの影響が低減されるから、周波数範囲の下限値が0Hzに固定された構成と比較して、生体の血流指標を高精度に算定できる。
本発明の好適な態様において、前記周波数範囲の下限値は可変値である。以上の態様では、血流指標の算定に利用される周波数範囲の下限値が可変であるから、生体の状態が変化した場合でも、生体の血流指標を高精度に算定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、前記強度スペクトルのうち強度が時間的に脈動する脈動帯域と、前記脈動帯域からみて低周波数側の定常帯域との間の境界周波数を、前記周波数範囲の下限値に設定する範囲設定部を具備する。以上の態様では、強度スペクトルのうち強度が時間的に脈動する脈動帯域と、脈動帯域からみて低周波数側の定常帯域(すなわち脈動帯域と比較して脈動が少ない範囲)との間の境界周波数が周波数範囲の下限値として設定される。以上の構成のもとでは、生体から実測される真値と指標算定部が算定する指標とが比例関係に近付く。すなわち、指標算定部が算定する指標の定量性を高めることが可能である。
本発明の好適な態様において、前記範囲設定部は、前記強度スペクトルのうち経時的に変化する周波数での強度を解析指標として、当該解析指標の時間変化から前記境界周波数を特定する。以上の態様では、強度スペクトルのうち経時的に変化する周波数での強度を解析指標として当該解析指標の時間変化から境界周波数が特定される。したがって、境界周波数を簡便な処理で特定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、前記周波数範囲の下限値を利用者からの指示に応じて設定する範囲設定部を具備する。以上の態様では、周波数範囲の下限値が利用者からの指示に応じて設定されるから、周波数範囲の下限値を設定するための処理の負荷を軽減することが可能である。
本発明の好適な態様において、前記周波数範囲の下限値は、0.5kHz以上かつ4kHz以下の範囲内の数値である。以上の態様では、強度スペクトルのうち0.5kHz以下の範囲に存在するノイズの影響が低減されるから、周波数範囲の下限値が0Hzに固定された構成と比較して、生体の血流指標を高精度に算定できる。
本発明の好適な態様において、前記周波数範囲の下限値は、0.7kHz以上かつ2kHz以下の範囲内の数値である。以上の態様では、強度スペクトルのうち0.7kHz以下の範囲に存在するノイズの影響が低減されるから、周波数範囲の下限値が0Hzに固定された構成と比較して、生体の血流指標を高精度に算定できる。
本発明の好適な態様において、前記周波数範囲の上限値は、固定値である。以上の態様では、周波数範囲の上限値は固定値であるから、周波数範囲の上限値を可変に制御する構成と比較して、周波数範囲を設定するための処理の負荷が軽減されるという利点がある。
本発明の好適な態様において、前記指標算定部は、前記生体の血液量に関する血液量指標を算定する第1指標算定部と、前記生体の血流量に関する血流量指標を算定する第2指標算定部と、前記第1指標算定部が算定した血液量指標と前記第2指標算定部が算定した血流量指標とから前記生体の血圧を算定する第3指標算定部とを含む。以上の態様によれば、生体の状態を診断するための基本的かつ重要な指標である血圧を算定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る生体解析装置は、前記生体にレーザー光を照射する発光部と、前記レーザー光が照射された前記生体から光を受光する受光部とを具備し、前記指標算定部は、前記受光部による受光強度を表す検出信号を利用して、前記血流指標を算定する。
本発明の好適な態様に係る生体解析方法は、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する。
本発明の好適な態様に係るプログラムは、レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する指標算定部としてコンピューターを機能させる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体解析装置100の側面図である。生体解析装置100は、被験者の血流に関する指標(以下「血流指標」という)を非侵襲的に測定する測定機器である。第1実施形態の生体解析装置100は、被験者の身体のうち特定の部位(以下「測定部位」という)Hの血圧を血流指標として測定する。以下の説明では、被験者の手首または上腕を測定部位Hとして例示する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る生体解析装置100の側面図である。生体解析装置100は、被験者の血流に関する指標(以下「血流指標」という)を非侵襲的に測定する測定機器である。第1実施形態の生体解析装置100は、被験者の身体のうち特定の部位(以下「測定部位」という)Hの血圧を血流指標として測定する。以下の説明では、被験者の手首または上腕を測定部位Hとして例示する。
生体解析装置100は、測定部位Hに装着される。第1実施形態の生体解析装置100は、図1に例示される通り、筐体部12とベルト14とを具備する腕時計型の携帯機器である。生体解析装置100は、測定部位Hにベルト14を巻回することで被験者の身体に装着される。
図2は、生体解析装置100の電気的な構成図である。図2に例示される通り、第1実施形態の生体解析装置100は、制御装置21と記憶装置22と表示装置23と操作装置24と検出装置30とを具備する。制御装置21および記憶装置22は、筐体部12の内部に設置される。
表示装置23(例えば液晶表示パネル)および操作装置24は、図1に例示される通り、例えば筐体部12における測定部位Hとは反対側の表面に設置される。表示装置23は、測定結果を含む各種の画像を制御装置21による制御のもとで表示する。操作装置24は、利用者からの指示を受付ける入力機器である。例えば、利用者が操作する複数の操作子、または、表示装置23の表示面に対する利用者の接触を検知するタッチパネルが、操作装置24として好適である。
検出装置30は、測定部位Hの状態に応じた検出信号Sを生成する光学センサーモジュールである。図2に例示される通り、第1実施形態の検出装置30は、発光部31と受光部32と駆動回路33と出力回路34とを具備する。発光部31および受光部32は、例えば筐体部12において測定部位Hに対向する位置(典型的には測定部位Hに接触する表面)に設置される。なお、駆動回路33および出力回路34の一方または双方を検出装置30とは別体の外部回路として設置することも可能である。
発光部31は、測定部位Hに光を照射する光源である。第1実施形態の発光部31は、狭帯域でコヒーレントなレーザー光を測定部位Hに照射する。例えば共振器内の共振によりレーザー光を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等の発光素子が発光部31として好適に利用される。第1実施形態の発光部31は、例えば近赤外領域内の所定の波長λ(λ=800nm〜1300nm)の光を測定部位Hに照射する。図2の駆動回路33は、制御装置21による制御のもとで発光部31を発光させる。なお、相異なる波長の光を出射する複数の発光素子を発光部31として利用してもよい。また、発光部31が出射する光は近赤外光に限定されない。
発光部31から測定部位Hに入射した光は、測定部位Hの内部を通過しながら拡散反射を繰返したうえで筐体部12側に出射する。具体的には、測定部位Hの内部に存在する動脈(例えば、上腕動脈、橈骨動脈または尺骨動脈)等の血管と血管内の血液とを通過した光が測定部位Hから筐体部12側に出射する。受光部32は、測定部位Hから到来する光を受光する。例えば、受光強度に応じた電荷を発生するフォトダイオード(PD:Photo Diode)等の受光素子が受光部32として利用される。具体的には、近赤外領域に高い感度を示すInGaAs(インジウムガリウム砒素)で光電変換層が形成された受光素子が受光部32として好適である。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の検出装置30は、発光部31と受光部32とが測定部位Hに対して片側に位置する反射型の光学センサーである。ただし、発光部31と受光部32とが測定部位Hを挟んで反対側に位置する透過型の光学センサーを検出装置30として利用してもよい。
出力回路34は、受光部32が受光した光の強度に応じた検出信号Sを生成する。具体的には、出力回路34は、受光部32に発生した電荷に応じた電圧の出力信号を生成する増幅回路(図示略)と、増幅回路の出力信号をアナログからデジタルに変換することで検出信号Sを生成するA/D変換器(図示略)とを具備する。出力回路34が生成した検出信号Sは、制御装置21に供給される。
受光部32に到達する光は、測定部位Hの内部において静止する組織(静止組織)で拡散反射した成分と、測定部位Hの内部の動脈の内部において移動する物体(典型的には赤血球)で拡散反射した成分とを含む。静止組織での拡散反射の前後において光の周波数は変化しない。他方、赤血球での拡散反射の前後では、赤血球の移動速度(すなわち血流速度)に比例した変化量(以下「周波数シフト量」という)だけ光の周波数が変化する。すなわち、測定部位Hを通過して受光部32に到達する光は、発光部31が出射する光の周波数に対して周波数シフト量だけ変動(周波数シフト)した成分を含有する。以上の説明から理解される通り、制御装置21に供給される検出信号Sは、測定部位Hの内部の血流による周波数シフトが反映された光ビート信号である。
図2の制御装置21は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算処理装置であり、生体解析装置100の全体を制御する。記憶装置22は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、制御装置21が実行するプログラムと制御装置21が使用する各種のデータとを記憶する。なお、制御装置21の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、制御装置21の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。また、図2では制御装置21と記憶装置22とを別個の要素として図示したが、記憶装置22を内包する制御装置21を例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
図3は、第1実施形態の制御装置21の機能に着目した構成図である。第1実施形態の制御装置21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することで、検出装置30が生成した検出信号Sから生体の血圧Pを算定するための複数の機能(周波数解析部41,範囲設定部42,指標算定部50)を実現する。なお、制御装置21の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。
図3の周波数解析部41は、検出信号Sから強度スペクトルXを算定する。強度スペクトルXは、図4に例示される通り、各周波数(ドップラー周波数)fにおける検出信号Sの信号成分の強度(パワーまたは振幅)G(f)の分布である。強度スペクトルXの算定には、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)等の公知の周波数解析が任意に採用され得る。周波数解析部41による強度スペクトルXの算定は、時間軸上の単位期間(フレーム)毎に反復的に実行される。単位期間は、所定の時間長の期間である。時間軸上で相前後する任意の2個の単位期間は相互に重複する。
図3の範囲設定部42は、周波数軸上の特定の範囲(以下「周波数範囲」という)Bを設定する。図4に例示される通り、周波数範囲Bは、周波数軸上の下限値fLと上限値fHとの間の範囲である。下限値fLは上限値fHを下回る。範囲設定部42による周波数範囲Bの設定については後述する。
図3の指標算定部50は、周波数解析部41が算定した強度スペクトルXのうち、範囲設定部42が設定した周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から、測定部位Hの血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定する。以上の説明から理解される通り、範囲設定部42が設定する周波数範囲Bは、強度スペクトルXのうち測定部位Hの血流指標を算定するために利用される周波数帯域である。第1実施形態の指標算定部50は、第1指標算定部51と第2指標算定部52と第3指標算定部53とを具備する。
第1指標算定部51は、強度スペクトルXのうち周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から血液量指標M(いわゆるMASS値)を算定する。血液量指標Mは、測定部位Hの血液量(具体的には単位体積内の赤血球の個数)の指標である。心臓の拍動に同期した血管径の脈動に連動して血液量は変動する。すなわち、血液量指標Mは血管径にも相関する。したがって、血液量指標Mは、測定部位Hの血管径(さらには血管の断面積)の指標とも換言され得る。血液量指標Mは、以下の数式(1a)で表現される。なお、数式(1a)の記号<I2>は、検出信号Sの全帯域にわたる平均強度、または、強度スペクトルXのうち0Hzにおける強度G(0)(すなわち直流成分の強度)である。
数式(1a)から理解される通り、強度スペクトルXにおける各周波数fの強度G(f)を周波数範囲Bについて積算することで血液量指標Mが算定される。なお、第1指標算定部51は、数式(1a)の積分を総和(Σ)に置換した以下の数式(1b)の演算により血液量指標Mを算定してもよい。数式(1b)の記号Δfは、周波数軸上で1個の強度G(f)に対応する帯域幅であり、周波数軸上に配列された複数の矩形で強度スペクトルXを近似したときの各矩形の横幅に相当する。第1指標算定部51による血液量指標Mの算定は、単位期間毎に反復的に実行される。
図3の第2指標算定部52は、強度スペクトルXのうち周波数範囲B内の各周波数fと信号成分の強度G(f)とから血流量指標F(いわゆるFLOW値)を算定する。血流量指標Fは、測定部位Hの血流量(すなわち単位時間内に動脈内を移動する血液の体積)の指標である。具体的には、血流量指標Fは、以下の数式(2a)で表現される。
数式(2a)から理解される通り、強度スペクトルXにおける各周波数fの強度G(f)と当該周波数fとの積である1次モーメント(f×G(f))を周波数範囲Bについて積算することで血流量指標Fが算定される。なお、第2指標算定部52は、数式(2a)の積分を総和(Σ)に置換した以下の数式(2b)の演算により血流量指標Fを算定してもよい。第2指標算定部52による血流量指標Fの算定は、単位期間毎に反復的に実行される。
図3の第3指標算定部53は、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとを利用して測定部位Hの血圧Pを算定する。第3指標算定部53による血圧Pの算定は、単位期間毎に反復的に実行される。具体的には、第3指標算定部53は、任意の1個の単位期間について算定された血液量指標Mと当該単位期間について算定された血流量指標Fとから、当該単位期間の血圧Pを算定する。
血液量指標Mと血流量指標Fと血圧Pとの関係について説明する。血圧Pは、血流量Qと血管抵抗Rとの積として表現される(P=Q×R)。血管抵抗Rは、以下の数式(3a)で表現される通り、血管径dの4乗の逆数に比例する(記号a0は比例定数)。また、血管径dが血液量指標Mの3乗根に比例し、血流量Qが血流量指標Fに比例すると仮定した場合、以下の数式(3b)および数式(3c)が成立する(記号a1および記号a2は比例定数)。
以上に説明した関係を考慮すると、血液量指標Mと血流量指標Fと血圧Pとの関係を表現する以下の数式(4)が導出される。
第3指標算定部53は、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとを利用した数式(4)の演算により測定部位Hの血圧Pを算定する。前述の通り、第3指標算定部53による血圧Pの算定は、単位期間毎に反復的に実行されるから、測定部位Hの血圧Pの時間変化(血圧Pの時系列)が測定される。制御装置21は、第3指標算定部53が算定した血圧Pを表示装置23に表示させる。
<周波数範囲Bの設定>
範囲設定部42による周波数範囲Bの設定について詳述する。図5および図6は、図4に例示した強度スペクトルXから算定される血液量指標Mおよび血流量指標Fの時間変化のグラフである。図5には、周波数範囲Bの下限値fLを0.4kHzに設定した場合の演算結果が図示され、図6には、周波数範囲Bの下限値fLを4kHzに設定した場合の演算結果が図示されている。図5および図6の何れも周波数範囲Bの上限値fHは45kHzである。
範囲設定部42による周波数範囲Bの設定について詳述する。図5および図6は、図4に例示した強度スペクトルXから算定される血液量指標Mおよび血流量指標Fの時間変化のグラフである。図5には、周波数範囲Bの下限値fLを0.4kHzに設定した場合の演算結果が図示され、図6には、周波数範囲Bの下限値fLを4kHzに設定した場合の演算結果が図示されている。図5および図6の何れも周波数範囲Bの上限値fHは45kHzである。
図5に例示される通り、周波数範囲Bの下限値fLが低い場合、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々の時間変化におけるS/N比が低い。したがって、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々の時間変化について脈動を明瞭に把握できない場合がある。他方、図6に例示される通り、周波数範囲Bの下限値fLが高い場合、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々の時間変化におけるS/N比が、図5の場合と比較して高い。したがって、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々の時間変化について脈動を明瞭に把握する(さらには各指標の脈動を周期毎に比較する)ことが可能である。以上の説明の通り、周波数範囲Bの下限値fLが0を上回る範囲で高いほど、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々の時間変化のS/N比が改善されて脈動を明瞭に把握できる、という傾向が、図5および図6から確認できる。以上の傾向が観測されるのは、例えば非ドップラー成分に起因した強いノイズが周波数軸上の0Hzおよびその近傍に存在するからである、と推察される。
以上の知見を背景として、第1実施形態の範囲設定部42は、周波数範囲Bの下限値fLを正数(0を上回る数値)に設定する。すなわち、指標算定部50は、強度スペクトルXのうち、下限値fLが0Hzを上回る周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から、測定部位Hにおける血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定する。具体的には、周波数範囲Bの下限値fLは、0.5kHz以上かつ4kHz以下の範囲内の数値に設定される。さらに好適には、周波数範囲Bの下限値fLは、0.7kHz以上かつ2kHz以下の範囲内の数値に設定される。他方、範囲設定部42は、周波数範囲Bの上限値fHを所定値(例えば45kHz)に設定する。
第1実施形態における周波数範囲Bの下限値fLは可変値である。具体的には、範囲設定部42は、操作装置24に対する利用者からの指示に応じて周波数範囲Bの下限値fLを設定してもよい。例えば、血液量指標Mまたは血流量指標Fの時間変化を制御装置21が表示装置23に表示させ、各指標の脈動が明瞭となるように、利用者が操作装置24に対する操作で下限値fLを指示してもよい。範囲設定部42は、操作装置24に対する指示に応じて下限値fLを設定する。
また、血液量指標Mまたは血流量指標Fの時間変化において脈動が明瞭となるように、範囲設定部42が、周波数範囲Bの下限値fLを自動的に設定することも可能である。例えば、血液量指標Mおよび血流量指標Fの各々について、標準的な波形を表す波形データを記憶装置22に事前に保持する。範囲設定部42は、第1指標算定部51が算定する血液量指標Mの時間変化が、血液量指標Mの波形データが示す波形に近付き、かつ、第2指標算定部52が算定する血流量指標Fの時間変化が、血流量指標Fの波形データが示す波形に近付くように、周波数範囲Bの下限値fLを設定する。
図7は、制御装置21が実行する処理(以下「生体解析処理」という)のフローチャートである。時間軸上の単位期間毎に図7の生体解析処理が実行される。生体解析処理を開始すると、周波数解析部41は、単位期間内の検出信号Sから強度スペクトルXを算定する(Sa1)。範囲設定部42は、下限値fLが0Hzを上回る周波数範囲Bを設定する(Sa2)。例えば、範囲設定部42は、例えば操作装置24に対する利用者からの指示に応じて周波数範囲Bの下限値fLを設定する。
第1指標算定部51は、強度スペクトルXのうち周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から血液量指標Mを算定する(Sa3)。血液量指標Mの算定には、前述の数式(1a)または数式(1b)が利用される。第2指標算定部52は、強度スペクトルXのうち周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から血流量指標Fを算定する(Sa4)。血流量指標Fの算定には、前述の数式(2a)または数式(2b)が利用される。そして、第3指標算定部53は、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとを利用して測定部位Hの血圧Pを算定する(Sa5)。制御装置21は、第3指標算定部53が算定した血圧Pを表示装置23に表示させる(Sa6)。
以上に説明した通り、第1実施形態においては、レーザー光が照射された測定部位Hから受光した光の強度スペクトルXのうち、下限値fLが0Hzを上回る周波数範囲B内の各周波数fと信号成分の強度G(f)とから、測定部位Hにおける血流指標が算定される。したがって、周波数範囲Bの下限値fLが0Hzに固定された構成と比較して、血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を高精度に算定することが可能である。また、第1実施形態においては、周波数範囲Bの下限値fLが可変値である。したがって、測定部位Hの状態が変化した場合でも、測定部位Hの血流指標を高精度に算定できるという利点がある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図8には、心臓の収縮期(血圧P:高)における概略的な強度スペクトルX1と、心臓の拡張期(血圧P:低)における概略的な強度スペクトルX2とが併記されている。図8から理解される通り、強度スペクトルXは、強度G(f)が時間的に脈動する周波数帯域(以下「脈動帯域」という)Zaと、脈動帯域Zaからみて低周波数側の周波数帯域(以下「定常帯域」という)Zbとに周波数軸上で区分される。定常帯域Zbは、強度G(f)が定常的に維持される(すなわち時間的に殆ど変動しない)周波数帯域である。図8には、脈動帯域Zaと定常帯域Zbとの境界の周波数(以下「境界周波数」という)fbが図示されている。以上の説明から理解される通り、境界周波数fbは、心臓の収縮期と拡張期とで強度スペクトルXが重複する範囲(定常帯域Zb)内の最大周波数である。
図9は、被験者について実測された血管径dと、第1指標算定部51が算定する血液量指標Mとの関係を示すグラフである。血管径dは、公知の測定技術による実測値であり、血液量指標Mの真値に相当する。他方、図10は、被験者について実測された血流量Qと、第2指標算定部52が算定する血流量指標Fとの関係を示すグラフである。血流量Qは、公知の測定技術による実測値であり、血流量指標Fの真値に相当する。周波数範囲Bの下限値fLを境界周波数fbの周辺で変化させた複数の場合(fL=f1,f2,f3)の各々について、血管径dと血液量指標Mとの関係(図9)および血流量Qと血流量指標Fとの関係(図10)が図示されている。周波数f2は周波数f1を上回り、周波数f3は周波数f2を上回る(f1<f2<f3)。周波数f2は、脈動帯域Zaと定常帯域Zbとの間の境界周波数fbに相当する。
図9および図10から理解される通り、周波数範囲Bの下限値fLを増加させる(すなわち周波数範囲Bを縮小する)ほど、血液量指標Mおよび血流量指標Fは小さい数値になるという傾向がある。また、周波数範囲Bの下限値fLを境界周波数fb(=f2)に設定した場合に、血管径dと血液量指標Mとの関係、および、血流量Qと血流量指標Fとの関係が、比例関係(すなわち切片がゼロである線形関係)に近付くという傾向が、図9および図10から確認できる。すなわち、下限値fLを境界周波数fbに設定した場合、血管径dと血液量指標Mとの関係を示すグラフと、血流量Qと血流量指標Fとの関係を示すグラフとが原点を通過する。以上の説明から理解される通り、第2実施形態によれば、指標算定部50が算定する血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)の定量性を高めることが可能である。
前述の数式(3b)から理解される通り、血管径dと血液量指標Mの3乗根とが比例関係にある場合、血管径dの1個の実測値と血液量指標Mの1個の演算値とから比例定数a1が確定される。すなわち、被験者の血管径dを実測し、かつ、血液量指標Mを演算する校正作業を1回だけ実施すれば、比例定数a1を確定できる。また、前述の数式(3c)から理解される通り、血流量Qと血流量指標Fとが比例関係にある場合、血流量Qの1個の実測値と血流量指標Fの1個の演算値とから比例定数a2が確定される。すなわち、被験者の血流量Qを実測し、かつ、血流量指標Fを演算する作業(校正作業)を1回だけ実施すれば、比例定数a2を確定できる。
なお、以上のように数式(3b)および数式(3c)の関係が成立する場合には、被験者の血圧Pを前掲の数式(4)で算定できる。したがって、血圧Pの1個の実測値と、血流量指標Fの1個の演算値と、血液量指標Mの1個の演算値とを取得すれば、数式(4)の比例定数aを確定することが可能である。すなわち、例えば腕帯(カフ)等を利用した測定技術により血圧Pを実測し、かつ、血液量指標Mおよび血流量指標Fを演算する校正作業を1回だけ実施すれば、比例定数aを確定できる。
以上の説明から理解される通り、境界周波数fbを周波数範囲Bの下限値fLとして設定した構成では、血管径dと血液量指標Mとの間および血流量Qと血流量指標Fとの間に比例関係が成立し、比例定数を確定するための校正作業の回数が削減されるという利点がある。以上の知見を背景として、第2実施形態の範囲設定部42は、脈動帯域Zaと定常帯域Zbとの間の境界周波数fbを、周波数範囲Bの下限値fLとして設定する。境界周波数fbを特定する方法について以下に詳述する。
第2実施形態の範囲設定部42は、周波数解析部41が単位期間毎に算定する強度スペクトルXから解析指標Y(t)を算定する。記号tは時間軸上の任意の時点(具体的には1個の単位期間)を意味する。第2実施形態では、強度スペクトルXのうち周波数fにおける強度G(f)を解析指標Y(t)として利用する。範囲設定部42は、周波数fを所定の比率で連続的に増加させた場合の強度G(f)を解析指標Y(t)として算定する。
図11は、解析指標Y(t)の時間変化のグラフである。周波数fが定常帯域Zb内で経時的に増加する期間(以下「定常期間」という)Tb内では、解析指標Y(t)は概略的には単調減少する。他方、前述の通り脈動帯域Za内で強度G(f)は脈動するから、周波数fが脈動帯域Za内で経時的に増加する期間(以下「脈動期間」という)Ta内では、解析指標Y(t)は拍動に対応した周期で脈動する。境界周波数fbは、脈動帯域Zaと定常帯域Zbとの境界の周波数fである。したがって、解析指標Y(t)の時間変化の態様が相違する脈動期間Taと定常期間Tbとの境界の時点t0における周波数fが、境界周波数fbに相当する。
以上の知見を背景として、第1実施形態の範囲設定部42は、解析指標Y(t)の時間変化の態様に応じて境界周波数fbを特定する。具体的には、範囲設定部42は、解析指標Y(t)が単調減少する定常期間Tbと解析指標Y(t)が脈動する脈動期間Taとを時間軸上に画定し、脈動期間Taと定常期間Tbとの境界の時点t0に対応する周波数fを、境界周波数fbとして特定する。例えば、範囲設定部42は、解析指標Y(t)の脈動の有無を判定することで脈動期間Taを特定し、脈動期間Taの始点における周波数fを境界周波数fbとして特定する。境界周波数fbは、例えば、0.5kHz以上かつ4kHz以下の範囲(さらに好適には0.7kHz以上かつ2kHz以下の範囲)から特定される。指標算定部50は、強度スペクトルXのうち範囲設定部42が設定した周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から、第1実施形態と同様の方法で測定部位Hの血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定する。前述の通り、周波数範囲Bは、境界周波数fbを下限値fLとする範囲である。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、強度スペクトルXのうち強度G(f)が脈動する脈動帯域Zaと、脈動帯域Zaからみて低周波数側の定常帯域Zbとの境界に対応した境界周波数fbが、周波数範囲Bの下限値fLとして設定される。以上の構成のもとでは、測定部位Hから実測される血流指標の真値と指標算定部50が算定する血流指標の演算値とが比例関係に近付く。すなわち、指標算定部50が算定する血流指標の定量性を高めることが可能である。したがって、血流指標の実測値と演算値との関係において切片がゼロから乖離する構成と比較して、実測値と演算値との関係を確定する(具体的には比例係数を設定する)ための校正作業の回数が削減されるという利点がある。
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態では、周波数fを経時的に変化させた場合の解析指標Y(t)の時間変化に応じて境界周波数fbを特定したが、境界周波数fbを特定する方法は以上の例示に限定されない。具体的には、図12に例示される通り、所定長の期間(以下「観測期間」という)U毎に周波数fを離散的に変化させながら解析指標Y(t)(強度G(f))を算定し、各観測期間内における解析指標Y(t)の脈動の有無に応じて境界周波数fbを特定することも可能である。観測期間は、脈拍の平均的な周期(例えば1秒)を上回り、かつ、長周期的な生体ゆらぎ(バソモーション)の周期を下回る時間長に設定される。具体的には、観測期間は2秒以上かつ10秒以下の時間長に設定される。
第2実施形態では、周波数fを経時的に変化させた場合の解析指標Y(t)の時間変化に応じて境界周波数fbを特定したが、境界周波数fbを特定する方法は以上の例示に限定されない。具体的には、図12に例示される通り、所定長の期間(以下「観測期間」という)U毎に周波数fを離散的に変化させながら解析指標Y(t)(強度G(f))を算定し、各観測期間内における解析指標Y(t)の脈動の有無に応じて境界周波数fbを特定することも可能である。観測期間は、脈拍の平均的な周期(例えば1秒)を上回り、かつ、長周期的な生体ゆらぎ(バソモーション)の周期を下回る時間長に設定される。具体的には、観測期間は2秒以上かつ10秒以下の時間長に設定される。
図12では、周波数f1に対応する観測期間U1と周波数f2に対応する観測期間U2とにおいては解析指標Y(t)の脈動が観測されず、周波数f3に対応する観測期間U3では解析指標Y(t)の脈動が観測された場合が例示されている。したがって、範囲設定部42は、観測期間U内の解析指標Y(t)に脈動が観測されない範囲内で最大の周波数f2を、境界周波数fbとして特定する。
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態における生体解析装置100の使用例を示す模式図である。図13に例示される通り、生体解析装置100は、相互に別体で構成された検出ユニット71と表示ユニット72とを具備する。検出ユニット71は、前述の各形態で例示した検出装置30を具備する。図13には、被験者の上腕に装着される形態の検出ユニット71が例示されている。図14に例示される通り、被験者の手首に装着される形態の検出ユニット71も好適である。
図13は、第3実施形態における生体解析装置100の使用例を示す模式図である。図13に例示される通り、生体解析装置100は、相互に別体で構成された検出ユニット71と表示ユニット72とを具備する。検出ユニット71は、前述の各形態で例示した検出装置30を具備する。図13には、被験者の上腕に装着される形態の検出ユニット71が例示されている。図14に例示される通り、被験者の手首に装着される形態の検出ユニット71も好適である。
表示ユニット72は、前述の各形態で例示した表示装置23を具備する。例えば携帯電話機またはスマートフォン等の情報端末が表示ユニット72の好適例である。ただし、表示ユニット72の具体的な形態は任意である。例えば、被験者が携帯可能な腕時計型の情報端末、または、生体解析装置100の専用の情報端末を表示ユニット72として利用してもよい。
検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定するための要素(以下「演算処理部」という)は、例えば表示ユニット72に搭載される。演算処理部は、図3に例示された要素(周波数解析部41,範囲設定部42,指標算定部50)を包含する。検出ユニット71の検出装置30が生成した検出信号Sが有線または無線で表示ユニット72に送信される。表示ユニット72の演算処理部は、検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定して表示装置23に表示する。
なお、演算処理部を検出ユニット71に搭載してもよい。演算処理部は、検出装置30が生成した検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定し、当該血流指標を表示するためのデータを表示ユニット72に有線または無線で送信する。表示ユニット72の表示装置23は、検出ユニット71から受信したデータが示す血流指標を表示する。
<下限値fLに関する補足>
前述の各形態における例示の通り、本発明の好適な態様は、周波数範囲Bの下限値fLが0Hzを上回るという構成(以下「構成A」という)を採用する。構成Aを採用することで実際の生体解析装置(以下「実製品」という)から観測できる挙動を以下に説明する。
前述の各形態における例示の通り、本発明の好適な態様は、周波数範囲Bの下限値fLが0Hzを上回るという構成(以下「構成A」という)を採用する。構成Aを採用することで実際の生体解析装置(以下「実製品」という)から観測できる挙動を以下に説明する。
実製品において検出信号Sが供給される配線または端子に、検出信号S1および検出信号S2の各々を外部装置から供給する場面を想定する。検出信号S1と検出信号S2とは、強度スペクトルXのうち低周波数側の形状が相違する関係にある。具体的には、図15に例示される通り、検出信号S2の強度スペクトルX2は、検出信号S1の強度スペクトルX1のうち特定の周波数帯域(以下「除去帯域」という)Bcの成分を除去した強度スペクトルである。除去帯域Bcの中心周波数fcは、例えば0.1kHz以上かつ0.5kHz以下の範囲内の適切な数値に設定される。除去帯域Bcの帯域幅は、例えば、強度スペクトルXの強度G(f)が算定される周波数軸上の地点(FFTポイント)の5個分に相当する。
具体的には、例えば、特定の被験者の身体にレーザー光を照射したときに検出される検出信号Sが検出信号S1として利用される。パルスジェネレーター等の信号発生器により検出信号S1を生成してもよい。また、検出信号S1に対する高速フーリエ変換で算定される強度スペクトルX1について除去帯域Bcの強度G(f)をゼロに置換し、置換後の強度スペクトルX2に対して逆高速フーリエ変換を実行することで、検出信号S2が生成される。なお、検出信号S1および検出信号S2の位相スペクトルは任意である。
実製品において被験者の血流量の測定結果として血流量指標Fが表示される場合を想定する。また、検出信号S1を実製品に供給した場合に血流量指標F1が表示され、検出信号S2を実製品に供給した場合に血流量指標F2が表示されたと仮定する。実製品において周波数範囲Bの下限値fLが0Hzである場合には、周波数範囲Bに除去帯域Bcが内包される。したがって、除去帯域Bcが維持された検出信号S1から算定される血流量指標F1と、除去帯域Bcが除去された検出信号S2から算定される血流量指標F2とは、相異なる数値となり、血流量指標F2は血流量指標F1よりも小さくなる。
他方、実製品において周波数範囲Bの下限値fLが0Hzを上回る場合(特に下限値fLが除去帯域Bcの上限値を上回る場合)には、周波数範囲Bの外側に除去帯域Bcが存在することになる。したがって、検出信号S1の供給時に算定される血流量指標F1と、検出信号S2の供給時に算定される血流量指標F2とは、相互に近似した数値になる。具体的には、血流量指標F1と血流量指標F2との相違は10%未満である可能性が高い。以上の事情を考慮すると、検出信号S1から算定された血流量指標F1と検出信号S2から算定された血流量指標F2との相違が10%未満である実製品については、構成Aを採用している可能性が充分に高い。
なお、以上の説明では血流量指標Fに着目したが、実製品が構成Aを採用しているか否かを判断するための血流指標は、以上の例示に限定されない。例えば、血液量指標Mを利用することも可能である。すなわち、検出信号S1の供給時に算定される血液量指標M1と、検出信号S2の供給時に算定される血液量指標M2とが相互に近似した数値であれば、実製品が構成Aを採用している可能性が高い。具体的には、血液量指標M1および血液量指標M2の一方が他方の2倍未満であれば、実製品が構成Aを採用している可能性は高い。また、実製品が構成Aを採用しているか否かの判断に血圧Pを利用することも可能である。すなわち、検出信号S1の供給時に算定される血圧P1と、検出信号S2の供給時に算定される血圧P2とが相互に近似した数値であれば、実製品が構成Aを採用している可能性が高い。
なお、前述の各形態で例示した通り、脈動帯域Zaと定常帯域Zbと間の境界周波数fbを周波数範囲Bの下限値fLとした構成(以下「構成B」という)によれば、校正作業が1回で足りるという効果が実現される。換言すると、実製品において校正作業が1回で足りるならば、その実製品は構成Bを採用していると推定できる。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)前述の各形態では、指標算定部50が第1指標算定部51と第2指標算定部52と第3指標算定部53とを具備する構成を例示したが、第3指標算定部53を指標算定部50から省略してもよい。例えば、第1指標算定部51が算定した血液量指標Mと第2指標算定部52が算定した血流量指標Fとが表示装置23に表示される。また、第1指標算定部51および第2指標算定部52の一方と第3指標算定部53とを省略し、血液量指標Mおよび血流量指標Fの一方を表示装置23に表示してもよい。
(2)前述の各形態では、血液量指標Mと血流量指標Fと血圧Pとを血流指標として例示したが、血流指標の種類は以上の例示に限定されない。例えば、血液量指標Mに応じた血管径dや血管の断面積、血流量指標Fに応じた血流量Q、または、血流量を血管の断面積で除算した血流速度を、指標算定部50が血流指標として算定することも可能である。以上に例示した血流指標から血管年齢(血管の硬さの指標)を算定して被験者に報知してもよい。また、以上に例示した血流指標から被験者の血流状態を複数の段階(例えば、異常/高目/通常、など)から特定して被験者に報知することも可能である。
(3)第2実施形態および第3実施形態において、操作装置24に対する利用者からの指示に応じて境界周波数fbを設定することも可能である。また、操作装置24に対する利用者からの指示に応じて中間周波数fmを設定してもよい。
(4)第2実施形態および第3実施形態では、強度スペクトルXの強度G(f)を解析指標Y(t)として利用したが、解析指標Y(t)は以上の例示に限定されない。例えば、血液量指標Mまたは血流量指標Fを解析指標Y(t)として利用することも可能である。解析指標Y(t)として利用される血液量指標Mおよび血流量指標Fの算定に加味される強度スペクトルXの範囲は、血圧Pを算定するための血液量指標Mおよび血流量指標Fの算定に加味される周波数範囲Bよりも狭い範囲に設定され得る。
(5)第2実施形態および第3実施形態において、範囲設定部42が境界周波数fbおよび中間周波数fmを設定する時期は任意である。例えば、範囲設定部42は、生体解析処理の開始前に境界周波数fbおよび中間周波数fmを設定してもよい。また、範囲設定部42は、生体解析処理の開始後の適切な時期に境界周波数fbおよび中間周波数fmを随時に設定してもよい。例えば、検出信号Sから特定される脈拍の所定数毎(例えば1拍毎)に、範囲設定部42が境界周波数fbおよび中間周波数fmを設定してもよい。
(6)前述の構成1および構成2においても、強度スペクトルXのうち下限値fLが0Hzを上回る周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定する以上、血流指標を高精度に算定できるという所期の効果は実現される。したがって、前述の構成1および構成2は、本発明の範囲に包含され得る。
(7)前述の各形態では、周波数範囲Bの下限値fLが可変値である構成を例示したが、0Hzを上回る周波数fに下限値fLを固定してもよい。下限値fLを固定した構成でも、強度スペクトルXのうち下限値fLが0Hzを上回る周波数範囲B内の信号成分の強度G(f)から血流指標を算定する以上、血流指標を高精度に算定できるという所期の効果は実現される。すなわち、下限値fLが可変であることは必須ではない。
(8)前述の各形態では、校正作業により比例定数(a0,a1,a2,a)を算定する構成を例示したが、校正作業は必須ではない。例えば、生体解析装置100の出荷前に事前に設定された数値を比例定数として利用することも可能である。また、事前に選定された複数の比例定数のうち、被験者の属性(例えば性別や年齢)に応じた比例定数を選択してもよい。
(9)前述の各形態では、単体の機器として構成された生体解析装置100を例示したが、以下の例示の通り、生体解析装置100の複数の要素は相互に別体の装置として実現され得る。なお、以下の説明では、検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定する要素を「演算処理部27」と表記する。演算処理部27は、例えば、図3に例示された要素(周波数解析部41,範囲設定部42,指標算定部50)を包含する。
前述の各形態では、検出装置30を具備する生体解析装置100を例示したが、図16に例示される通り、検出装置30を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。検出装置30は、例えば被験者の手首や上腕等の測定部位Hに装着される可搬型の光学センサーモジュールである。生体解析装置100は、例えば携帯電話機またはスマートフォン等の情報端末で実現される。腕時計型の情報端末で生体解析装置100を実現してもよい。検出装置30が生成した検出信号Sが有線または無線で生体解析装置100に送信される。生体解析装置100の演算処理部27は、検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定して表示装置23に表示する。以上の説明から理解される通り、検出装置30は生体解析装置100から省略され得る。
前述の各形態では、表示装置23を具備する生体解析装置100を例示したが、図17に例示される通り、表示装置23を生体解析装置100とは別体とした構成も想定される。生体解析装置100の演算処理部27は、検出信号Sから血流指標(血液量指標M,血流量指標F,血圧P)を算定し、当該血流指標を表示するためのデータを表示装置23に送信する。表示装置23は、専用の表示機器であってもよいが、例えば、携帯電話機もしくはスマートフォン等の情報端末、または、被験者が携帯可能な腕時計型の情報端末に搭載されてもよい。生体解析装置100の演算処理部27が算定した血流指標は、有線または無線により表示装置23に送信される。表示装置23は、生体解析装置100から受信した血流指標を表示する。以上の説明から理解される通り、表示装置23は生体解析装置100から省略され得る。
図18に例示される通り、検出装置30および表示装置23を生体解析装置100(演算処理部27)とは別体とした構成も想定される。例えば、生体解析装置100(演算処理部27)が、携帯電話機やスマートフォン等の情報端末に搭載される。
なお、検出装置30と生体解析装置100とを別体とした構成において、周波数解析部41を検出装置30に搭載することも可能である。周波数解析部41が算定した強度スペクトルが有線または無線により検出装置30から生体解析装置100に送信される。以上の説明から理解される通り、周波数解析部41は生体解析装置100から省略され得る。
(10)前述の各形態では、筐体部12とベルト14とを具備する腕時計型の生体解析装置100を例示したが、生体解析装置の具体的な形態は任意である。例えば、被験者の身体に貼付可能なパッチ型、被験者の耳部に装着可能な耳装着型、被験者の指先に装着可能な指装着型(例えば着爪型)、または、被験者の頭部に装着可能な頭部装着型など、任意の形態の生体解析装置が採用され得る。
(11)前述の各形態では、被験者の血流指標を表示装置23に表示したが、血流指標を被験者に報知するための構成は以上の例示に限定されない。例えば、血流指標を音声で被験者に報知することも可能である。被験者の耳部に装着可能な耳装着型の生体解析装置においては、血流指標を音声で報知する構成が特に好適である。また、血流指標を被験者に報知することは必須ではない。例えば、生体解析装置100が算定した血流指標を通信網から他の通信装置に送信してもよい。また、生体解析装置100の記憶装置22や生体解析装置100に着脱可能な可搬型の記録媒体に血流指標を格納してもよい。
(12)前述の各形態に係る生体解析装置100は、前述の例示の通り、制御装置21とプログラムとの協働により実現される。本発明の好適な態様に係るプログラムは、コンピューターが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピューターにインストールされ得る。また、配信サーバーが具備する記録媒体に格納されたプログラムを、通信網を介した配信の形態でコンピューターに提供することも可能である。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
100…生体解析装置、12…筐体部、14…ベルト、21…制御装置、22…記憶装置、23…表示装置、24…操作装置、30…検出装置、31…発光部、32…受光部、33…駆動回路、34…出力回路、41…周波数解析部、42…範囲設定部、50…指標算定部、51…第1指標算定部、52…第2指標算定部、53…第3指標算定部、61a,61b…第1演算部、62a,62b…第2演算部、63a,63b…平均算定部、64a,64b…加算処理部。
Claims (15)
- レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の強度から、前記生体の血流指標を算定する指標算定部
を具備する生体解析装置。 - 前記周波数範囲の下限値は可変値である
請求項1の生体解析装置。 - 前記強度スペクトルのうち強度が時間的に脈動する脈動帯域と、前記脈動帯域からみて低周波数側の定常帯域との間の境界周波数を、前記周波数範囲の下限値に設定する範囲設定部
を具備する請求項2の生体解析装置。 - 前記範囲設定部は、前記強度スペクトルのうち経時的に変化する周波数での強度を解析指標として、当該解析指標の時間変化から前記境界周波数を特定する
請求項3の生体解析装置。 - 前記周波数範囲の下限値を利用者からの指示に応じて設定する範囲設定部
を具備する請求項2の生体解析装置。 - 前記周波数範囲の下限値は、0.5kHz以上かつ4kHz以下の範囲内の数値である
請求項1から請求項5の何れかの生体解析装置。 - 前記周波数範囲の下限値は、0.7kHz以上かつ2kHz以下の範囲内の数値である
請求項6の生体解析装置。 - 前記周波数範囲の上限値は、固定値である
請求項1から請求項7の何れかの生体解析装置。 - 前記指標算定部は、
前記生体の血液量に関する血液量指標を算定する第1指標算定部と、
前記生体の血流量に関する血流量指標を算定する第2指標算定部と、
前記第1指標算定部が算定した血液量指標と前記第2指標算定部が算定した血流量指標とから前記生体の血圧を算定する第3指標算定部と
を含む請求項1から請求項8の何れかの生体解析装置。 - 前記生体にレーザー光を照射する発光部と、
前記レーザー光が照射された前記生体から光を受光する受光部とを具備し、
前記指標算定部は、前記受光部による受光強度を表す検出信号を利用して、前記血流指標を算定する
請求項1から請求項9の何れかの生体解析装置。 - 前記血流指標は、前記強度スペクトルにおける強度を前記周波数範囲内で積算した血液量指標である
請求項1から請求項10の何れかの生体解析装置。 - 前記血流指標は、前記強度スペクトルにおける各周波数の強度と当該周波数との積を、前記周波数範囲内で積算した血流量指標である
請求項1から請求項10の何れかの生体解析装置。 - 前記生体の上腕または手首に装着される
請求項1から請求項12の何れかの生体解析装置。 - レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する
生体解析方法。 - レーザー光の照射により生体の内部で反射して受光された光の周波数に関する強度スペクトルのうち、下限値が0Hzを上回る周波数範囲内の信号成分の強度から、前記生体の血流指標を算定する指標算定部
としてコンピューターを機能させるプログラム。
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JP7262079B2 (ja) | 2019-06-27 | 2023-04-21 | 廉士 澤田 | 生体センサ |
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