JP6994350B2 - 回転電機及びその診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は回転電機及びその診断方法に係り、例えば、固定子系である固定子コイルの振動を計測することで、コイルの異常や支持状態を診断するものに好適な回転電機及びその診断方法に関する。
通常、タービン発電機のような回転電機を運転する場合、例えば、回転電機の固定子コイルは、運転時に作用する電磁力によって加振される。この固定子コイルが加振されて振動すると繰り返し応力が作用して、固定子コイルに疲労が生じる可能性がある。
一般に、電磁振動は強制加振による振動であり、回転電機においては流体的振動などと比較して主の振動となる。特に、電磁振動で励起される固定子コイルエンド部の振動モードの固有振動数は、運転周波数もしくは運転周波数の整数倍の周波数から離調すればよい。
ただし、例えば、固定子鉄心のスロット内の固定子コイルでも電磁振動が発生しており、固定子鉄心との接触を考慮した更なる信頼性向上のためには、振動特性を評価して回転電機の運転方法を見直したり、状態が悪化する前に部材の補修を計画する必要がある。
このような課題に対して、特許文献1には、電機子巻線の端部に金属箔と変位計から成る振動検知部を設置し、電源の投入によって振動する電機子巻線の振動状態を振動検知部で検知して巻線の異常を診断することが記載されている。
特公昭59-45092号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、電機子巻線の端部にのみ振動検知部を設置し、電源の投入によって振動する電機子巻線の振動状態を振動検知部で検知して巻線の異常を診断するものであり、更なる信頼性向上のためには、2つ以上の部材が運動する場合でも相対的変位を評価し適切に対応する必要がある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、2つ以上の部材が運動する場合でもあっても、相対的変位を評価して信頼性を更に向上させることのできる回転電機及びその診断方法を提供することにある。
本発明の回転電機は、上記目的を達成するために、固定子と、該固定子の内側に所定間隙をもって配置された回転子とを備えた回転電機において、前記固定子は、変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に振動量計測装置が設置され、かつ、前記各振動量計測装置で計測された変位量もしくは位相の差分を評価することで前記固定子を構成する部材の相対変位量を取得し、その相対変位量に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を行う手段を備えていることを特徴とする。
また、本発明の回転電機の診断方法は、上記目的を達成するために、固定子と、該固定子の内側に所定間隙をもって配置された回転子とを備えた回転電機を診断する際に、変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に設置された各振動量計測装置で変位量もしくは位相を計測し、前記振動量計測装置で計測した変位量もしくは位相の差分を評価することで前記固定子を構成する部材の相対変位量を取得し、その相対変位量に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を行うことで前記回転電機の診断を行うことを特徴とする。
本発明によれば、2つ以上の部材が運動する場合でもあっても、相対的変位を評価して信頼性を更に向上させることができる。
本発明の回転電機1の実施例1の概略構造を示す断面図である。 図1における固定子鉄心と固定子鉄心のスロット出口部近傍の固定子コイルの直線部に振動量計測装置を設置した例を示す部分斜視図である。 本発明の回転電機の実施例1における振動量計測装置Aで計測した変位と振動量計測装置Bで計測した変位及び振動量計測装置AとBの変位から当該部材の変位が計測される例を示す図である。 本発明の回転電機の実施例1における振動量計測装置Aの計測値と振動量計測装置Bの計測値から当該部材の寿命を評価するまでの過程を示す図である。 本発明の回転電機の実施例2を示し、固定子鉄心と固定子コイルエンド部に振動量計測装置を設置した例を示す断面図である。 本発明の回転電機の実施例3を示し、固定子鉄心と固定子フレームに振動量計測装置を設置した例を示す断面図である。 本発明の回転電機の実施例4を示し、固定子コイルエンド部を支持する支持部材と固定子鉄心のコアエンドプレートに振動量計測装置を設置した例を示す断面図である。
以下、図示した実施例に基づいて本発明の回転電機及びその診断方を説明する。なお、各実施例において同一構成部品には同符号を使用する。
図1及び図2に、本発明の回転電機の実施例1を示す。図1は、本発明の回転電機1の概略構造を、図2は、図1における固定子鉄心5と固定子鉄心5のスロット出口部近傍の固定子コイル3の直線部の詳細構造をそれぞれ示すものである。
まず、図1を用いて本実施例の回転電機1の概略構造を説明する。
図1に示すように、本実施例の回転電機1は、円筒状の固定子2と、この固定子2の内側に所定間隙をもって回転可能に配置された回転子7とで構成されている。
上記の固定子2は、固定子鉄心5と、この固定子鉄心5のスロット内に巻回された固定子コイル3と、固定子コイル3をスロット内に固定するウェッジ8(図2参照)と、固定子鉄心5を支持固定する固定子フレーム4とを備えており、固定子鉄心5の軸方向端部からスロット内に巻回された固定子コイル3が軸方向に突出する固定子コイルエンド部6が形成され、この固定子コイルエンド部6は支持部材19で支持されていると共に、支持部材19は、後述する型枠部18aと摺動部18bから成るブラケットベアリング18(図7参照)を介して固定子鉄心5のコアエンドプレート17に保持されている。
このように構成された回転電機1の固定子コイルエンド部6は、固定子鉄心5から軸方向に固定子コイル3が突出した部分と、それを支持する支持部材19等とで構成され、運転時に作用する電磁力によって固定子コイルエンド部6が振動する場合があり、回転電機1の固定子コイルエンド部6の巻線は、運転時に作用する電磁加振力によって振動する恐れがある。
このような現象に対して、回転電機1の運転状態を監視するために、回転電機1の固定子系である固定子鉄心5、固定子コイル3、固定子フレーム4などに振動量計測装置が取り付けられる場合がある。
固定子系の取り付けられた振動量計測装置では、個々の振動の加速度もしくは速度もしくは変位を計測しており、その絶対量を評価することが可能である。複数の振動量計測装置を組合せて設置し、その振幅と位相を評価することにより、特定の部材の相対変位量を計測することが可能となる。なお、相対変位を計測したい部材が対象であれば、固定子2のどこを計測してもよい。
図2は、回転電機1の運転状態を監視するための振動量計測装置の設置例として、固定子鉄心5と固定子鉄心5のスロット出口部近傍の固定子コイル3の直線部に振動量計測装置(例えば、加速度を計測する光振動計)を設置した例を示すものである。
即ち、本実施例では、図2に示すように、移動体とみなせる部材の固定子コイル3で、かつ、固定子鉄心5のスロット出口部の固定子コイル3の直線部に振動量計測装置A(9)が設置され、固定体とみなせる部材の固定子鉄心5に振動量計測装置B(10)が設置されている。
そして、振動量計測装置A(9)及びB(10)で計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を固定子コイル3の固定子鉄心5のスロット出口部の変位量とするものである。
つまり、本実施例の回転電機1は、変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの固定子を構成する部材である固定子コイル3と固定子鉄心5の各々に設置された振動量計測装置A(9)及びB(10)は、移動体とみなせる固定子コイル3に設置された振動量計測装置A(9)で計測された変位量もしくは位相と、固定体とみなせる固定子鉄心5に設置された振動量計測装置B(10)で計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を固定子コイル3の変位量とするものである。
即ち、振動量計測装置A(9)と振動量計測装置B(10)は、図2及び図4に示すように、それぞれデータ集積装置11に接続されると共に、このデータ集積装置11からの振動データが送信されて差分を演算するデータ演算装置12及びデータ演算装置12から送信された演算データ(差分)に基づいて固定子コイル3の寿命評価を行う計測制御装置13を備えており、計測制御装置13は、固定子コイル3の寿命評価を行うしきい値が定められ、データ演算装置12から送信された演算データ(差分)が、しきい値を超えるか超えないか、或はしきい値に近いかで固定子コイル3の寿命を評価するようにしている。
具体的には、図3及び図4に示すように、固定子コイル3に貼り付けた振動量計測装置A(9)の変位(図3の(a))と固定子鉄心5に貼り付けた振動量計測装置B(10)の変位(図3の(b))がデータ集積装置11に送られ、データ集積装置11からの振動データが送信されて差分をデータ演算装置12で演算し、これを固定子コイル3の変位量とする(図3の(c))。データ演算装置12から送信された演算データ(差分=変位量)に基づいて計測制御装置13では、定められたしきい値と比較し、しきい値を超えるか超えないか、或はしきい値に近いかで固定子コイル3の寿命を評価するものである。この評価結果に基づいて、警告音を発したり、警告を表示するようにしても良い。
なお、振動量計測装置B(10)は、振動量計測装置A(9)を取り付けた固定子コイル3に隣接するスロットまでの間の固定子鉄心5、もしくはウェッジ8を含む固定子鉄心5の上部に設置すると良い。
また、振動量計測装置A(9)及びB(10)での振動の計測方向は、回転電機1の径方向もしくは周方向とし、振動量計測装置A(9)及びB(10)で同一方向を計測するものとする。
また、振動量計測装置A(9)及びB(10)での振動量計測と同時に、固定子2の電流値の変化や磁場の変化を取得しても良い。これにより、振動量と同時に電磁力による荷重の大きさを推定することができ、これを用いて荷重―変位曲線を取得することで、構造体の非線形性も評価することができる。
また、磁場の変化や部分放電変化量を取得しても良い。これにより、電流と放電電化量の相関を取得することにより、電磁力によるコイル振動に伴うスロット内放電の兆候を検知できる。
このような本実施例とすることにより、固定子コイル3のスロット内振動を固定子鉄心5と固定子鉄心5のスロット出口部近傍の固定子コイル3の直線部の想定変位量から推測することが可能となる。また、固定子鉄心5と固定子鉄心5のスロット出口部近傍の固定子コイル3の直線部の各々に振動量計測装置A(9)及びB(10)を取り付けているため、個々の振動量の絶対値の取得も同時に可能である。
また、振動データを任意の間隔で定期的に連続取得することで、回転電機1の異常や経時変化を適切に検出することができ、補修計画を最適化させることで信頼性向上に寄与する。異常状態が悪化する前に適切に部材を補修することで、計画外停止や修理費用の低減が可能となる。
従って、本実施例の回転電機1によれば、変位量もしくは位相が異なる固定子コイル3と固定子鉄心5に振動量計測装置A(9)及びB(10)を設置し、それらの差分を評価することで固定子コイル3の相対変位量を取得し、その変位量に基づいて状態監視を行い、監視結果に基づいた寿命評価を行うことで、信頼性を更に向上させることができる。
図5に、本発明の回転電機1の実施例2を示す。図5は、回転電機1の運転状態を監視するための振動量計測装置の設置例として、固定子鉄心5と固定子コイル3の固定子コイルエンド部6に振動量計測装置(例えば、加速度を計測する光振動計)を設置した例を示すものである。
即ち、本実施例では、図5に示すように、移動体とみなせる部材の固定子コイルエンド部6に振動量計測装置A(9)が設置され、固定体とみなせる部材の固定子鉄心5に振動量計測装置B(10)が設置されている。符号16はブラケットである。
そして、振動量計測装置A(9)及びB(10)で計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を固定子コイルエンド部6の変位量とするものである。
つまり、固定子鉄心5と固定子コイルエンド部6は、個々に別々の電磁力が作用しており、振動振幅や位相が両者で異なる場合がある。例えば、本実施例では、固定子鉄心5は全長の5%以内の位置となる軸方向端部で、かつ、固定子鉄心5を軸方向から見た場合の周方向の天上を0°とした場合の周方向上部である315°~0°~45°もしくは周方向下部である135°~180°~225°のいずれかに少なくとも1個の振動量計測装置B(10)を設置するものとする。また、軸方向については前述した位置を満たし、周方向については上記の位置を満たさない位置に1個の振動量計測装置B(10)を設置することが望ましい。
一方、固定子コイルエンド部6は、固定子鉄心5からみて軸方向の全長の15%以内となる最遠部近傍で、かつ、周方向については固定子鉄心5の周方向を基準として±10°以内の位置に振動量計測装置A(9)を設置するものとする。
そして、実施例1と同様に、振動量計測装置A(9)と振動量計測装置B(10)は、図5に示すように、それぞれデータ集積装置11に接続されると共に、このデータ集積装置11からの振動データが送信されて差分を演算するデータ演算装置12及びデータ演算装置12から送信された演算データ(差分)に基づいて固定子コイルエンド部6の寿命評価を行う計測制御装置13を備えており、計測制御装置13は、固定子コイルエンド部6の寿命評価を行うしきい値が定められ、データ演算装置12から送信された演算データ(差分)が、しきい値を超えるか超えないか、或はしきい値に近いかで固定子コイルエンド部6の寿命を評価するようにしている。
なお、振動は少なくとも回転電機1の径方向を計測するものとし、前述した複数の振動量計測装置A(9)及びB(10)で同一方向を計測するものとする。また、回転電機1の構造上、軸方向端部に固定子コイルエンド部6が2個存在するが、固定子コイルエンド部6の両方に振動量計測装置A(9)を設置しても良い。
また、振動量計測装置A(9)及びB(10)を追設もしくは多軸計測機能を有するものを用いて周方向の振動を計測してもよいし、振動量計測と同時に固定子の電流値の変化や磁場の変化を取得しても良い。
これにより、振動量と同時に電磁力による荷重の大きさを推定することができ、これを用いて荷重―変位曲線を取得することで構造体の非線形性も評価することができる。
このような本実施例とすることにより、固定子コイルエンド部6の振動と固定子鉄心5の振動を分離することが可能となる。固定子コイルエンド部6と固定子鉄心5には、由来が異なる荷重が個々に作用するため、両者の振動を分離できれば解析精度が向上し信頼性の向上が期待できる。
また、振動データを任意の間隔で定期的に連続取得することで、回転電機1の異常や経時変化を適切に検出することができ、補修計画を最適化させることで信頼性向上に寄与する。更に、回転電機1の異常状態が悪化する前に適切に部材を補修することで、計画外停止や修理費用の低減が可能となる。
従って、本実施例の回転電機1によれば、変位量もしくは位相が異なる固定子コイルエンド部6と固定子鉄心5に振動量計測装置A(9)及びB(10)を設置し、それらの差分を評価することで固定子コイルエンド部6の相対変位量を取得し、その変位量に基づいて状態監視を行い、監視結果に基づいた寿命評価を行うことで、信頼性を更に向上させることができる。
図6に、本発明の回転電機1の実施例3を示す。図6は、回転電機1の運転状態を監視するための振動量計測装置の設置例として、固定子鉄心5と固定子フレーム4に振動量計測装置(例えば、加速度を計測する光振動計)を設置した例を示すものである。
即ち、本実施例では、図6に示すように、移動体とみなせる部材の固定子鉄心5に振動量計測装置A(9)が設置され、固定体とみなせる部材の固定子フレーム4に振動量計測装置B(10)が設置されている。
そして、振動量計測装置A(9)及びB(10)で計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を固定子鉄心5の変位量とするものである。
つまり、固定子フレーム4は電磁力が作用しないため、固定子鉄心5とは振動振幅や位相が異なる。例えば、本実施例では、固定子鉄心5は全長の5%以内の位置となる軸方向端部で、かつ、固定子鉄心5を軸方向から見た場合の周方向について天上を0°とした場合の周方向上部である315°~0°~45°あるいは周方向下部である135°~180°~225°に少なくとも1個の振動量計測装置A(9)を設置し、径方向を計測するものとする。
一方、固定子フレーム4も全長の5%以内の位置となる軸方向端部で、かつ、固定子フレーム4を周方向から見た場合の周方向について天上を0°とした場合の周方向上部である315°~0°~45°あるいは周方向下部である135°~180°~225°に少なくとも1個の振動量計測装置B(10)を設置し、径方向を計測するものとする。
そして、実施例1と同様に、振動量計測装置A(9)と振動量計測装置B(10)は、図6に示すように、それぞれデータ集積装置11に接続されると共に、このデータ集積装置11からの振動データが送信されて差分を演算するデータ演算装置12及びデータ演算装置12から送信された演算データ(差分)に基づいて固定子鉄心5の寿命評価を行う計測制御装置13を備えており、計測制御装置13は、固定子鉄心5の寿命評価を行うしきい値が定められ、データ演算装置12から送信された演算データ(差分)が、しきい値を超えるか超えないか、或はしきい値に近いかで固定子鉄心5の寿命を評価するようにしている。
なお、振動量計測と同時に固定子2の電流値の変化や磁場の変化を取得しても良い。これにより、振動量と同時に電磁力による荷重の大きさを推定することができ、これを用いて荷重―変位曲線を取得することで、構造体の非線形性も評価することができる。
このような本実施例とすることにより、固定子鉄心5の振動と固定子フレーム4の振動を分離することが可能となる。固定子鉄心5と固定子フレーム4の振動を分離できれば、解析精度が向上し信頼性の向上が期待できる。
また、振動データを任意の間隔で定期的に連続取得することで、回転電機1の異常や経時変化を適切に検出することができ、補修計画を最適化させることで、信頼性向上に寄与する。更に、回転電機1の異常状態が悪化する前に適切に部材を補修することで、計画外停止や修理費用の低減が可能となる。
従って、本実施例の回転電機1によれば、変位量もしくは位相が異なる固定子鉄心5と固定子フレーム4に振動量計測装置A(9)及びB(10)を設置し、それらの差分を評価することで固定子鉄心5の相対変位量を取得し、その変位量に基づいて状態監視を行い、監視結果に基づいた寿命評価を行うことで、信頼性を更に向上させることができる。
図7に、本発明の回転電機1の実施例4を示す。図7は、回転電機1の運転状態を監視するための振動量計測装置の設置例として、固定子コイルエンド部6を支持する支持部材19と固定子鉄心5のコアエンドプレート17に振動量計測装置(例えば、加速度を計測する光振動計)を設置した例を示すものである。
上述したように、固定子コイルエンド部6は支持部材19で支持されていると共に、支持部材19は、型枠部18aと摺動部18bから成るブラケットベアリング18を介して固定子鉄心5のコアエンドプレート17に保持されており、本実施例では、図7に示すように、移動体とみなせる部材の支持部材19に振動量計測装置A(9)が設置され、固定体とみなせる部材のコアエンドプレート17に振動量計測装置B(10)が設置されている。なお、振動量計測装置B(10)は、ブラケットベアリング18の型枠部18aに設置しても良い。
そして、振動量計測装置A(9)及びB(10)で計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を支持部材19の変位量とするものである。
つまり、固定子コイルエンド部6を支持する支持部材19は、熱伸びによって摺動することを許容しているため、固定子鉄心5、コアエンドプレート17、ブラケットベアリング18とは振動振幅が異なる可能性がある。
そこで、振動量計測装置B(10)をコアエンドプレート17もしくはブラケットベアリング18の型枠部18aもしくは固定子鉄心5の全長の5%以内の位置となる軸方向端部に取り付け、軸方向の振動を計測すると共に、固定子コイルエンド部6の支持部材19には、周方向についてコアエンドプレート17もしくはブラケットベアリング18の型枠部18aの取付位置を基準として±10°以内の支持部材19の最も径方向が大きな位置の周―軸方向の平面に振動量計測装置A(9)を取り付け、軸方向の振動を計測するようにしている。
そして、実施例1と同様に、振動量計測装置A(9)と振動量計測装置B(10)は、図7に示すように、それぞれデータ集積装置11に接続されると共に、このデータ集積装置11からの振動データが送信されて差分を演算するデータ演算装置12及びデータ演算装置12から送信された演算データ(差分)に基づいて支持部材19の寿命評価を行う計測制御装置13を備えており、計測制御装置13は、支持部材19の寿命評価を行うしきい値が定められ、データ演算装置12から送信された演算データ(差分)が、しきい値を超えるか超えないか、或はしきい値に近いかで支持部材19の寿命を評価するようにしている。
また、振動量計測と同時に固定子2の電流値の変化や磁場の変化を取得しても良い。これにより、振動量と同時に電磁力による荷重の大きさを推定することができ、これを用いて荷重―変位曲線を取得することで、構造体の非線形性も評価することができる。
このような本実施例とすることにより、熱伸びによって摺動する固定子コイルエンド部6の支持部材19の軸方向の挙動を捕捉することが可能となる。
また、固定子コイルエンド部6の支持部材19は、軸方向の変位を許容していることから固定子コイルエンド部6の支持部材19の荷重―変位特性を評価することができれば、振動非線形性の考慮が解析上で可能となる。よって、解析精度が向上し信頼性の向上が期待できる。
また、振動データを任意の間隔で定期的に連続取得することで、回転電機1の異常や経時変化を適切に検出することができ、補修計画を最適化させることで、信頼性向上に寄与する。更に、回転電機1の異常状態が悪化する前に適切に部材を補修することで、計画外停止や修理費用の低減が可能となる。
従って、本実施例の回転電機1によれば、変位量もしくは位相が異なる固定子コイルエンド部6の支持部材19とコアエンドプレート17もしくはブラケットベアリング18の型枠部18aに振動量計測装置A(9)及びB(10)を設置し、それらの差分を評価することで固定子コイルエンド部6の支持部材19の相対変位量を取得し、その変位量に基づいて状態監視を行い、監視結果に基づいた寿命評価を行うことで、信頼性を更に向上させることができる。
なお、上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…回転電機、2…固定子、3…固定子コイル、4…固定子フレーム、5…固定子鉄心、6…固定子コイルエンド部、7…回転子、8…ウェッジ、9…振動量計測装置A、10…振動量計測装置B、11…データ集積装置、12…データ演算装置、13…計測制御装置、16…ブラケット、17…コアエンドプレート、18…ブラケットベアリング、18a…ブラケットベアリングの型枠部、18b…ブラケットベアリングの摺動部、19…固定子コイルエンド部の支持部材。

Claims (19)

  1. 固定子と、該固定子の内側に所定間隙をもって配置された回転子とを備えた回転電機において、
    前記固定子は、変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に振動量計測装置が設置され、かつ、前記各振動量計測装置で計測された変位量もしくは位相の差分を評価することで前記固定子を構成する部材の相対変位量を取得し、その相対変位量に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を行う手段を備えていることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に設置された前記振動量計測装置は、移動体とみなせる部材に設置された振動量計測装置Aで計測された変位量もしくは位相と、固定体とみなせる部材に設置された振動量計測装置Bで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記移動体とみなせる部材の変位量とすることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置Aと前記振動量計測装置Bは、それぞれデータ集積装置に接続されると共に、前記データ集積装置からの振動データが送信されて前記差分を演算するデータ演算装置及び前記データ演算装置から送信された演算データ(差分)に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を行う計測制御装置を備えていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項3に記載の回転電機において、
    前記計測制御装置は、前記固定子を構成する部材の寿命評価を行うしきい値が定められており、前記データ演算装置から送信された演算データ(差分)が、前記しきい値を超えるか超えないか、或は前記しきい値に近いかで前記固定子を構成する部材の寿命を評価することを特徴とする回転電機。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記固定子は、固定子鉄心と、該固定子鉄心のスロット内に巻回された固定子コイルと、該固定子コイルを前記スロット内に固定するウェッジと、前記固定子鉄心を支持固定する固定子フレームとを備え、前記固定子鉄心の軸方向端部から前記スロット内に巻回された固定子コイルが軸方向に突出する固定子コイルエンド部が形成されており、
    前記振動量計測装置Aは、移動体とみなせる部材の前記固定子コイルで、かつ、前記固定子鉄心のスロット出口部の前記固定子コイルに設置され、前記振動量計測装置Bは、固定体とみなせる部材の前記固定子鉄心に設置され、
    前記振動量計測装置A及びBで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記固定子コイルの前記固定子鉄心のスロット出口部の変位量とすることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項5に記載の回転電機において、
    前記固定子鉄心のスロット出口部に位置する前記固定子コイルは直線状に形成され、前記振動量計測装置Aは、前記固定子コイルの直線部に設置されていることを特徴とする回転電機。
  7. 請求項5又は6に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置Bは、前記振動量計測装置Aを取り付けた前記固定子コイルに隣接する前記スロットまでの間の前記固定子鉄心、もしくは前記固定子鉄心の上部に設置されていることを特徴とする回転電機。
  8. 請求項2乃至7のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置A及びBでの振動の計測方向は、前記回転電機の径方向もしくは周方向とし、前記振動量計測装置A及びBで同一方向を計測することを特徴とする回転電機。
  9. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記固定子は、固定子鉄心と、該固定子鉄心のスロット内に巻回された固定子コイルと、該固定子コイルを前記スロット内に固定するウェッジと、前記固定子鉄心を支持固定する固定子フレームとを備え、前記固定子鉄心の軸方向端部から前記スロット内に巻回された固定子コイルが軸方向に突出する固定子コイルエンド部が形成されており、
    前記振動量計測装置Aは、移動体とみなせる部材の前記固定子コイルエンド部に設置され、前記振動量計測装置Bは、固定体とみなせる部材の前記固定子鉄心に設置され、
    振動量計測装置A及びBで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記固定子コイルエンド部の変位量とすることを特徴とする回転電機。
  10. 請求項9に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置Bは、前記固定子鉄心の軸方向端部で、かつ、前記固定子鉄心を軸方向から見た場合の周方向上部もしくは周方向下部のいずれかに少なくとも1個設置され、
    前記振動量計測装置Aは、前記固定子コイルエンド部の軸方向最遠部で、前記固定子鉄心の周方向を基準とした所定位置に設置されていることを特徴とする回転電機。
  11. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記固定子は、固定子鉄心と、該固定子鉄心のスロット内に巻回された固定子コイルと、該固定子コイルを前記スロット内に固定するウェッジと、前記固定子鉄心を支持固定する固定子フレームとを備え、前記固定子鉄心の軸方向端部から前記スロット内に巻回された固定子コイルが軸方向に突出する固定子コイルエンド部が形成されており、
    前記振動量計測装置Aは、移動体とみなせる部材の前記固定子鉄心に設置され、前記振動量計測装置Bは、固定体とみなせる部材の前記固定子フレームに設置され、
    振動量計測装置A及びBで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記固定子鉄心の変位量とすることを特徴とする回転電機。
  12. 請求項11に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置Aは、前記固定子鉄心の軸方向端部で、かつ、前記固定子鉄心を軸方向から見た場合の周方向上部もしくは周方向下部に少なくとも1個設置され、
    前記振動量計測装置Bは、前記固定子フレームの軸方向端部で、かつ、前記固定子フレームを軸方向から見た場合の周方向上部もしくは周方向下部のいずれかに少なくとも1個設置されていることを特徴とする回転電機。
  13. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記固定子は、固定子鉄心と、該固定子鉄心のスロット内に巻回された固定子コイルと、該固定子コイルを前記スロット内に固定するウェッジと、前記固定子鉄心を支持固定する固定子フレームとを備え、前記固定子鉄心の軸方向端部から前記スロット内に巻回された固定子コイルが軸方向に突出する固定子コイルエンド部が形成され、前記固定子コイルエンド部は支持部材で支持されると共に、前記支持部材は、型枠部と摺動部から成るブラケットベアリングを介して前記固定子鉄心のコアエンドプレートに保持されており、
    前記振動量計測装置Aは、移動体とみなせる部材の前記支持部材に設置され、前記振動量計測装置Bは、固定体とみなせる部材の前記コアエンドプレートもしくは前記ブラケットベアリングの型枠部に設置され、
    振動量計測装置A及びBで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記支持部材の変位量とすることを特徴とする回転電機。
  14. 請求項13に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置Bは、前記コアエンドプレートもしくは前記ブラケットベアリングの型枠部の軸方向端部に少なくとも1個設置され、
    前記振動量計測装置Aは、前記コアエンドプレートもしくは前記ブラケットベアリングの型枠部の取付位置を基準に、前記支持部材の最も径方向が大きな位置の周―軸方向の平面に設置されていることを特徴とする回転電機。
  15. 請求項5乃至14のいずれか1項に記載の回転電機において、
    前記振動量計測装置A及びBでの振動量計測と同時に、前記固定子の電流値の変化及び/又は磁場の変化を取得することを特徴とする回転電機。
  16. 固定子と、該固定子の内側に所定間隙をもって配置された回転子とを備えた回転電機を診断する際に、
    変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に設置された各振動量計測装置で変位量もしくは位相を計測し、前記振動量計測装置で計測した変位量もしくは位相の差分を評価することで前記固定子を構成する部材の相対変位量を取得し、その相対変位量に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を行うことで前記回転電機の診断を行うことを特徴とする回転電機の診断方法。
  17. 請求項16に記載の回転電機の診断方法において、
    前記変位量もしくは位相の異なる少なくとも2つの前記固定子を構成する部材の各々に設置された前記振動量計測装置は、移動体とみなせる部材に設置された振動量計測装置Aで計測された変位量もしくは位相と、固定体とみなせる部材に設置された振動量計測装置Bで計測された変位量もしくは位相との差分を取得し、その差分を前記移動体とみなせる部材の変位量とすることを特徴とする回転電機の診断方法。
  18. 請求項17に記載の回転電機の診断方法において、
    前記振動量計測装置Aと前記振動量計測装置Bは、それぞれデータ集積装置に接続されると共に、前記データ集積装置からの振動データが送信されて前記差分を演算するデータ演算装置及び前記データ演算装置から送信された演算データ(差分)に基づいて前記固定子を構成する部材の寿命評価を計測制御装置で行うことを特徴とする回転電機の診断方法。
  19. 請求項18に記載の回転電機の診断方法において、
    前記計測制御装置は、前記固定子を構成する部材の寿命評価を行うしきい値が定められており、前記データ演算装置から送信された演算データ(差分)が、前記しきい値を超えるか超えないか、或は前記しきい値に近いかで前記固定子を構成する部材の寿命を評価することを特徴とする回転電機の診断方法。
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