JP6994282B1 - 肉厚測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性材料の表面に圧着、接合、接着、積層、被覆された非磁性材料の減肉を効率的に測定できる肉厚測定方法及び肉厚測定装置を提供する。【解決手段】磁性材料の表面に圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された非磁性材料の肉厚を測定する肉厚測定方法であって、渦流アレイプローブを非磁性材料の表面に接触させた状態で走査させ非磁性材料の肉厚を測定し、予め定められた減肉量が検出された減肉箇所を選出するスクリーニング工程を備える。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用 公開先 東ソー株式会社南陽事業所,令和2年10月5日 [刊行物等] 公開先 株式会社クラレ岡山事業所,令和3年1月14日 [刊行物等] 公開先 宇部興産機械株式会社,令和3年4月6日 [刊行物等] 公開先 レイズネクスト株式会社,令和3年6月23日
本発明は、配管、反応槽、塔槽類の肉厚測定方法及び肉厚測定装置に関し、特にクラッド鋼などを使用した反応槽などの肉厚測定方法に関する。
耐摩耗性や耐食性に優れる材料としてクラッド鋼、グラスライニング材がある。クラッド鋼は、炭素鋼(母材)にステンレス鋼(合せ材)などを圧着した材料であり、グラスライニング材は、炭素鋼(母材)などの上にガラス(合せ材)を融着させた複合材料である。このようなクラッド鋼、グラスライニング材は、耐摩耗性、耐食性などの特性を活かし、石油・化学プラントの反応槽などに用いられる。
クラッド鋼、グラスライニング材を使用した反応槽において、内面全体の合せ材厚さをスクリーニングしたいとのニーズがあり、この中には面状減肉の把握・確認が含まれる。クラッド鋼は、母材と合せ材との境界面が化学的に結合しているため超音波厚さ計により合せ材厚さを測定することは一般的ではない。通常、電磁式膜厚計を用いて肉厚測定が行われる(例えば特許文献1参照)。グラスライニング材のガラス(グラス)の厚さも通常、電磁式膜厚計を用いて行われる。
非磁性材料の厚さを測定する方法としては、例えばガスタービンのような磁性金属の表面をステライト板(非磁性金属)で被覆した材料において、渦電流を用いてステライト板の厚さを測定する方法がある(例えば特許文献2参照)。また測定プローブを非磁性金属の表面に沿って移動させ磁性金属の表面を被覆する非磁性金属の肉厚を、渦電流を用いて測定する方法もある(例えば特許文献3参照)。
特開2004-294302号公報 特開2007-298292号公報 特開2020-139745号公報
上記のように磁性材料の表面に圧着、接合、接着、積層、被覆された非磁性材料の肉厚測定方法として渦電流を用いた方法もあるが、実際には測定精度、測定者による差異が少なく再現性が高いなどの点から電磁式膜厚計が使用されることが多い。
電磁式膜厚計は、測定精度、再現性に優れるが、一回の測定範囲が狭い。このため局所的な減肉測定には向いているが、反応槽の内面のように面積が広いものを対象とする場合には時間がかかる。現在、反応槽内面の面状減肉の測定などに適した測定装置・測定方法はなく、開発が待たれている。
本発明の目的は、磁性材料の表面に圧着、接合、接着、積層、被覆された非磁性材料の減肉を効率的に測定できる肉厚測定方法を提供することである。
本発明は、磁性材料の表面に圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された非磁性材料の肉厚を測定する肉厚測定方法であって、渦流アレイプローブを非磁性材料の表面に接触させた状態で走査させ非磁性材料の肉厚を測定し、予め定められた減肉量が検出された減肉箇所を選出するスクリーニング工程と、前記スクリーニング工程で選出された減肉箇所又は前記減肉箇所を中心とした一定の範囲の前記非磁性材料の肉厚を、電磁式膜厚計を用いて測定する肉厚測定工程と、を備えることを特徴とする肉厚測定方法である。
本発明の肉厚測定方法は、さらに測定対象箇所を分割線により2以上の区画に分割する測定対象箇所分割工程を備え、前記スクリーニング工程では、順次、分割された前記区画に対し前記渦流アレイプローブを走査させ、前記分割された前記区画の幅が、前記渦流アレイプローブの検出範囲と同一か又は検出範囲よりも狭く設定され、前記分割線が、前記渦流アレイプローブを走査させるときの基準線となることを特徴とする。
本発明の肉厚測定方法は、前記スクリーニング工程で選出された減肉箇所又は前記減肉箇所を中心とした一定の範囲にマーキングを施すマーキング工程を有し、前記肉厚測定工程では、前記マーキング工程でマーキングされた箇所の肉厚を測定することを特徴とする。
本発明の肉厚測定方法は、前記磁性材料の表面に非磁性材料が圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された材料が、クラッド鋼又はグラスライニング材又は樹脂ライニング材であることを特徴とする。
本発明によれば、磁性材料の表面に圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された非磁性材料の減肉を効率的に測定できる肉厚測定方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態の肉厚測定方法の測定手順を示すフロー図である。 本発明の第1実施形態の肉厚測定方法の測定要領を説明するための図である。 本発明の第1実施形態の肉厚測定方法で使用する第1肉厚測定装置1の構成を説明する図である。 本発明の第1実施形態の肉厚測定方法で使用する第2肉厚測定装置2の構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態の肉厚測定方法の測定手順を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態の肉厚測定方法で使用する肉厚測定装置3の構成を説明するための図である。
図1は、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法の測定手順を示すフロー図、図2は、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法の測定要領を説明するための図であり、円筒部を展開し、そこに分割線Sを入れた図である。図3(A)は、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法で使用する第1肉厚測定装置1の構成図、図3(B)は、渦流アレイプローブ10のセンサ13の配置を模式的に示す図である。図4は、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法で使用する第2肉厚測定装置2の構成を説明する図である。
本発明の第1実施形態の肉厚測定方法は、クラッド鋼100の合せ材の肉厚を測定する方法である。以下、クラッド鋼100が、母材102が炭素鋼、合せ材101がステンレス鋼SUS304であり、反応槽の内面に使用されたクラッド鋼であるとし説明する。また反応槽は、槽内に人が入れる大きさであるとする。炭素鋼は、磁性材料であり、ステンレス鋼SUS304は、非磁性材料である。
本発明の第1実施形態の肉厚測定方法は、図1に示すように測定対象箇所分割工程(ステップS1)と、渦流アレイプローブ10を用いて肉厚測定を行う第1肉厚測定工程(ステップS2)と、第1肉厚測定の結果を基に減肉箇所の選出を行う減肉箇所選出工程(ステップS4)と、電磁式膜厚計2を用いて肉厚測定を行う第2肉厚測定工程(ステップS5)とを含む。本実施形態において、第1肉厚測定工程(ステップS2)と減肉箇所選出工程(ステップS4)とが特許請求の範囲のスクリーニング工程、第2肉厚測定工程(ステップS5)が特許請求の範囲の肉厚測定工程に該当する。
測定対象箇所分割工程(ステップS1)は、測定対象箇所を渦流アレイプローブ10の1回の走査により検出可能な区画に分割すべく、測定対象箇所に分割線(罫書き線)S(S、S・・・S)を設ける工程である。本実施形態において測定対象箇所は、反応槽の胴部内面及び下部鏡部内面である。分割線Sは、渦流アレイプローブ10を走査させる際の基準線でもあり、チョーク、テープを用いて行うことができる。測定対象箇所の大きさが、渦流アレイプローブ10の1回の走査により検出される大きさ(幅)よりも小さい場合は、測定対象箇所分割工程(ステップS1)は省略される。
反応槽の胴部内面に施す分割線Sは、図2に示すように胴部内面全体を分割するように一定の間隔で鉛直方向に設ける。分割された区画(エリア)の幅は、分割線Sの間隔Lとなる。分割線Sの間隔Lは、次工程で使用する渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLと同一か又は渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLよりも僅かに狭く設定される。測定箇所の抜け落ちを防ぐ点において、隣合う分割線Sの間隔Lは、渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLよりも僅かに狭い方がよい。
反応槽の下部鏡部内面に施す分割線Sは、下部鏡部内面全体を分割するように胴部との境界と下部鏡部の中心点を結ぶように一定の間隔で設ける。胴部との境界における分割線Sの間隔Lは、次工程で使用する渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLと同一か又は渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLよりも僅かに狭く設定する。測定箇所の抜け落ちを防ぐ点において、胴部との境界における隣合う分割線Sの間隔Lは、渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLよりも僅かに狭い方がよい。
第1肉厚測定工程(ステップS2)は、渦流アレイプローブ10を用いて測定対象箇所の肉厚を測定する。肉厚測定要領の説明に先立ち、使用する第1肉厚測定装置1について説明する。
第1肉厚測定装置1は、渦流アレイプローブ10と、移動距離検出手段15と、ポータルブルタイプの渦流探傷器20とで構成される(図3参照)。渦流アレイプローブ10は、プローブ本体11に複数のセンサ13が配列され構成されたセンサ部12を備える、曲面の形状に合わせて変形することができるフレキシブルアレイプローブである。センサ部12には複数のコイルが配列され、隣り合う一対のコイルが1つのセンサ13を形成する。各センサ13がそれぞれ肉厚を測定し、センサ部12の長さLが渦流アレイプローブ10の肉厚検出範囲となる。プローブ本体11には、センサ13と渦流探傷器20とをつなぐモジュール14が取付けられ、ケーブル17を介して渦流探傷器20とつながる。
移動距離検出手段15は、渦流アレイプローブ10を走査させた際の距離を計測する手段であり、代表的には距離エンコーダ15である。距離エンコーダ15は、プローブ本体11に取付けられ、渦流アレイプローブ10を走査させた際の距離を計測する。距離エンコーダ15は、ケーブル17を介して渦流探傷器20とつながり、渦流アレイプローブ10の移動距離を渦流探傷器20に送る。本実施形態の肉厚測定方法では、測定者が渦流アレイプローブ10を走査させるとき、渦流探傷器20に表示される肉厚データを確認し、減肉箇所を見付けると直ちに電磁式膜厚計2を用いて肉厚測定を行うので、移動距離検出手段15を備えていなくてもよい。
渦流探傷器20は、データ入力部21、制御部22、データ出力部23、データ記憶部24、データ送受信部25を備え、ケーブル17を介して渦流アレイプローブ10とデータ・信号を送受信可能に接続する。渦流探傷器20は、センサ部12のコイルに交流電流を供給し、コイルのインピーダンスの変化量からリフトオフ量を検出し、各データをデータ記憶部24に保存する。
渦流探傷器20は、データ出力部23であるディスプレイ23に各センサ13が検出したデータ又は当該データから算出されたリフトオフ量又は肉厚を表示する。リフトオフ量は、磁性金属表面から各センサ13までの距離であり、本実施形態では、クラッド鋼100の母材102である炭素鋼表面から各センサ13までの距離である。ディスプレイ23には、リフトオフ量又は肉厚の大きさが一目で視認できるように、リフトオフ量又は肉厚の大きさに応じて色分けを表示するのが好ましい。
渦流探傷器20は、使用に先立ち測定対象物の材質、厚さ(肉厚)、検出したい厚さ(肉厚)を確認し、透磁率、導電率、表皮の厚さ(測定対象物の肉厚)を用い渦流探傷器20の周波数が決定される。また測定対象物と同じ材質・肉厚の試験片で0点を取り、位相を調整し、さらに検出したい厚さ(肉厚)と同じ厚さで測定対象物と同じ材質の試験片を用いて電圧を設定する等の校正が行われる。
以上からなる第1肉厚測定装置1は、後述の第2肉厚測定装置2と比較して測定精度は劣るものの、一度に広範囲の肉厚測定が可能である。第1肉厚測定装置1は、渦電流の変化から傷を検出する渦電流探傷装置と同じ構成からなり、公知の渦電流探傷装置を第1肉厚測定装置1として使用することができる。
第1肉厚測定工程(ステップS2)では、分割線Sで分割、区画された第1、第2、第Nエリアの順に肉厚測定を行う。測定者は、渦流アレイプローブ10を手に持ち、センサ部12が分割線S、Sに跨るように渦流アレイプローブ10を測定対象箇所に接触させながら走査させ第1エリアの肉厚測定を行う(図2参照)。このとき測定者は、渦流探傷器20を自身の近くに置き、ディスプレイ23を確認し表示画面から設定した厚さ(閾値)以下の所(以下、減肉箇所)があるか否か確認する(ステップS4)。閾値は、任意に設定可能であるが通常、検出したい厚さに設定される。
ステップS4において、減肉箇所を検出すると、その時点で第1肉厚測定装置1による肉厚測定を中断し、検出された減肉箇所に対し第2肉厚測定装置2を用いた減肉測定を行う(ステップS5)。
第2肉厚測定装置2は、プローブ31と、膜厚計本体32とを有し、これらがケーブル40で接続された電磁式膜厚計である。電磁式膜厚計2は、プローブ31の一次コイルに交流電流を流しプローブ31の先端をクラッド鋼100の合せ材101に接触させると、プローブ31の先端と母材102との距離に対応し2次コイルの電圧が変化することを利用し、合せ材101の肉厚を測定する。
膜厚計本体32は、データ入力部33、制御部34、データ出力部35、データ記憶部36、データ送受信部37を備え、ケーブル40を介してプローブ31とデータ・信号を送受信可能に接続する。膜厚計本体32は、プローブ31に交流電流を供給し、プローブ31からのデータをデータ記憶部36に保存する。またデータ出力部35であるディスプレイ35に検出した肉厚データを表示する。
以上からなる第2肉厚測定装置2は、一度に測定できる範囲は狭いものの測定精度が高い。第2肉厚測定装置2は、公知の電磁式膜厚計の構成と同じであり、公知の電磁式膜厚計を第2肉厚測定装置2として使用することができる。また第2肉厚測定装置2は、電磁式膜厚計に代えて、電磁式膜厚計と同等の肉厚測定精度を有する膜厚計を使用してもよい。
ステップS5では、ステップS4で選出した減肉箇所に対して、プローブ31を接触させ肉厚を測定する(第2肉厚測定工程)。第2肉厚測定装置2は、肉厚をスポット的にしか測定できないため、必要に応じて場所を変えながらステップS4で選出した減肉箇所全体の肉厚を測定する。
減肉箇所の第2肉厚測定装置2による肉厚測定が終了すると、肉厚測定を中断した位置に戻り、第1肉厚測定装置1を用いた減肉測定を引き続き行う(ステップS2)。以降、減肉箇所の確認(ステップS4)、必要に応じて第2肉厚測定装置2による減肉箇所の肉厚測定を行う(ステップS5)。
第1エリアの肉厚測定が終了すると(ステップS3)、第2エリアに移動し、センサ部12が分割線S、Sに跨るように渦流アレイプローブ10を測定対象箇所に接触させながら走査させ(図2参照)、以降、第1エリアと同じ要領で第2エリアの肉厚測定を行う。
以降、同じ要領で第Nエリアまで肉厚測定を行う(ステップS6)。なお各エリアにおける第1肉厚測定工程(ステップS2)において減肉箇所が検出されない場合(ステップS4)には、そのエリアにおける第2肉厚測定工程(ステップS5)は実施されず、次のエリアの第1肉厚測定工程に移行することとなる。
以上のように本発明の第1実施形態の肉厚測定方法は、広範囲の測定対象箇所を複数に分割し、分割した1つの区画に対し、検出面積の広い渦流アレイプローブ10を走査させながら肉厚測定を行い、測定者が減肉箇所を見つけると直ちに精度の高い第2肉厚測定装置2を用いてその箇所の肉厚測定を行うので、効率的にまた精度よく減肉箇所の検出及びその肉厚測定が可能となる。
また本発明の第1実施形態の肉厚測定方法は、広範囲の測定対象箇所を分割線Sにより分割するとき、分割された1区間の幅Lが渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLと同一又は狭く設定されるので測定漏れがない。また分割線Sは、渦流アレイプローブ10を走査させるときの基準線としても使用できるので効率的である。
図5は、本発明の第2実施形態の肉厚測定方法の測定手順を示すフロー図、図6は、本発明の第2実施形態の肉厚測定方法で使用する肉厚測定装置3の構成を説明するための図である。本発明の第1実施形態の肉厚測定方法と同じ工程、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法で使用した装置と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明の第2実施形態の肉厚測定方法も本発明の第1実施形態の肉厚測定方と同様に、クラッド鋼の合せ材の肉厚を測定する方法である。以下、クラッド鋼100が、母材102が炭素鋼、合せ材101がステンレス鋼SUS304であり、反応槽の内面に使用されたクラッド鋼であるとし説明する。また反応槽は、槽内に人が入れる大きさであるとする。炭素鋼は、磁性材料であり、ステンレス鋼SUS304は、非磁性材料である。
本発明の第2実施形態の肉厚測定方法は、図5に示すように測定対象箇所分割工程(ステップS1)と、渦流アレイプローブ10を用いた第1肉厚測定工程(ステップS2)と、減肉箇所選出工程(ステップS4)と、マーキング工程(ステップS4-1)と、電磁式膜厚計を用いた第2肉厚測定工程(ステップS5)とを含む。本実施形態において、第1肉厚測定工程(ステップS2)と減肉箇所選出工程(ステップS4)とが特許請求の範囲のスクリーニング工程、第2肉厚測定工程(ステップS5)が特許請求の範囲の肉厚測定工程に該当する。
本実施形態における測定対象箇所分割工程(ステップS1)、分割線(罫書き線)Sの設け方は、第1実施形態における測定対象箇所分割工程(ステップS1)と同じであるので説明を省略する。
第1肉厚測定工程(ステップS2)及びそこで使用する第1肉厚測定装置1は、第1実施形態における第1肉厚測定工程(ステップS2)及び第1肉厚測定装置1と基本的に同じであるので説明を省略する。
第1実施形態では、各エリアの第1肉厚測定工程(ステップS2)と並行して減肉箇所の選出を行うが(ステップS4)、第2実施形態では、減肉箇所選出工程(ステップS4)は、測定対象箇所全体の第1肉厚測定工程(ステップS2)が終了後に実施する。本実施形態では、以下の手順で減肉箇所選出を行う。
第1肉厚測定工程(ステップS2)で使用した渦流探傷器20に保存された位置データと紐付けられた肉厚データをデータ処理装置50に取込み、データ処理装置50を用いて減肉箇所を選出する。データ処理装置50は、データ入力部、制御部、データ出力部、データ記憶部、データ送受信部を備えるコンピュータであり、渦流探傷器20から読み込んだデータを保存し、肉厚データと設定した肉厚値(閾値)とから閾値以下のデータ(減肉箇所)を選出し出力する。このときデータ処理装置50に減肉箇所を中心とした周囲一定の範囲を選出し出力させてもよい。
データ処理装置50による減肉箇所、減肉箇所を中心とした周囲一定の範囲の選出、出力方法は特に限定されるものではないが、分かり易いものが好ましい。第1肉厚測定工程(ステップS2)において、渦流アレイプローブ10を部分的に重ねるように走査した結果、同じ位置に2以上の肉厚データが存在する場合(図2中の斜線部)、その位置の肉厚データとして最も小さい肉厚データを採用し、減肉箇所を選出する。
ステップS4の減肉箇所選出工程は、厳密にはステップS5の第2肉厚測定装置2を用いた肉厚測定を行う場所(第2肉厚測定箇所)を選出するものである。第2肉厚測定箇所は、データ処理装置50が選出した減肉箇所の他、減肉箇所を中心に周囲一定の範囲を第2肉厚測定箇所としてもよい。またデータ処理装置50が選出した減肉箇所が近接した場所に分散している場合には、それら減肉箇所を全て含むような1つのブロックを設け、これを第2肉厚測定箇所としてもよい(図2参照)。第2肉厚測定箇所の選出は、データ処理装置50に行わせても、肉厚測定者がデータ処理装置50に表示されたデータに基づき行ってもよい。
ステップS4-1は、ステップS4の減肉箇所選出工程で選出された第2肉厚測定箇所をマーキングする工程である(マーキング工程)。第2肉厚測定箇所が複数の箇所に分かれているときは、それぞれにマーキングを行う(図2参照)。マーキングは、チョーク、テープ等で行うことができる。
ステップS5は、ステップS4-1でマーキングされた第2肉厚測定箇所の肉厚測定を行う。ここでは第1実施形態と同様に第2肉厚測定装置2を用いて行う。
以上のように本発明の第2実施形態の肉厚測定方法は、まず、測定対象箇所全体を複数のエリアに分割し、各エリアの肉厚測定を第1肉厚測定装置1を用いて順次行い、第2肉厚測定箇所を選出するスクリーニングを行い、スクリーニングで選出された箇所の肉厚測定を、第2肉厚測定装置2を用い行うものである。
本発明の第2実施形態の肉厚測定方法も、本発明の第1実施形態の肉厚測定方法と同様に、検出面積の広い渦流アレイプローブ10を用いて減肉箇所を検出し、その場所又はその場所の周囲を電磁式膜厚計2で肉厚測定するので効率的にまた精度よく減肉箇所の検出及びその肉厚測定が可能となる。また本発明の第2実施形態の肉厚測定方法は、広範囲の肉厚測定箇所を複数に分割する際に、分割された1区間の幅Lが渦流アレイプローブ10のセンサ部12の長さLと同一又は狭く設定されるので測定漏れがない。
また本発明の第2実施形態の肉厚測定方法では、第2肉厚測定箇所の選出を第1肉厚測定工程後にまとめて行うので、第1肉厚測定工程では、渦流探傷器20の視認、減肉箇所の選出が不要であり、第1肉厚測定工程をスピーディに行うことができる。また第1肉厚測定工程では、渦流探傷器20を視認する必要がないので渦流探傷器20を手元に置いておく必要がない。
第2実施形態では、第1肉厚測定装置1、第2肉厚測定装置2及びデータ処理装置50で構成される肉厚測定装置3のデータ処理装置50を用いて減肉箇所の選出を行ったが、渦流探傷器20にデータ処理装置50と同様の処理を行わせ、渦流探傷器20を用いて減肉箇所の選出を行ってもよい。この場合、第1肉厚測定装置1及び第2肉厚測定装置2により肉厚測定装置3が構成され、第1肉厚測定装置1の渦流探傷器20がデータ処理装置として機能することとなる。
以上、第1及び第2実施形態の肉厚測定方法及び肉厚測定装置を用いて本発明に係る肉厚測定方法及び肉厚測定装置を説明したが、本発明に係る肉厚測定方法及び肉厚測定装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
第1肉厚測定装置1は、スクリーニング用の肉厚(減肉)データを取得するための装置であり、電磁式膜厚計と同等の精度は要求されない。第1肉厚測定装置1は、複数のセンサを備え一度に多数の肉厚データが取得でき、各センサが検出したこの肉厚データを保存し、またオンラインで表示できる機能を備える装置であればよく、装置構成等は特に限定されるものではない。
一般的な渦電流探傷装置は、渦流探傷器が肉厚データを時間と紐付けて記憶する。このような渦電流探傷装置を第1肉厚測定装置1に使用すれば、渦流アレイプローブ10を一定の速度で走査させることで移動距離検出手段15の装着を省略できる。走査速度が一定でかつ肉厚測定開始場所及び終了場所が分かれば、時間に紐付けられた肉厚データを位置に紐付けられた肉厚データに変換することができる。
ここで渦流アレイプローブ10を一定の速度で走査させるとは、実質的に速度が一定であるとみなされる場合も含む。厳密な意味での一定速度が要求されるものではなく多少の速度変動は許容される。速度が変動すれば位置も多少変動するが、第1肉厚測定工程は、スクリーニング工程であるから多少の位置のずれは許容できる。渦流アレイプローブ10から移動距離検出手段15を取り外せば、渦流アレイプローブ10の測定対象箇所への接触、走査が容易となる。
上記実施形態では、クラッド鋼100が、母材102が炭素鋼、合せ材101がステンレス鋼SUS304であり、反応槽の内面に使用されたクラッド鋼であるとしたが、本発明に係る肉厚測定方法及び肉厚測定装置において、クラッド鋼の種類、使用先はこれに限定されるものではない。また本発明に係る肉厚測定方法及び肉厚測定装置は、クラッド鋼の他、グラスライニング材、樹脂ライニング材をはじめ、磁性材料の表面に非磁性材料が圧着され又は接合され又は接着され又は積層され又は被覆された材料の肉厚測定に幅広く使用することができ、特に面状減肉の検出・肉厚測定に好適に使用することができる。
第2実施形態において第1肉厚測定工程(ステップS2)と減肉箇所選出工程(ステップS4)とを特許請求の範囲のスクリーニング工程としたが、スクリーニング工程にマーキング工程(ステップS4-1)を含めてもよい。
図面を参照しながら好適な肉厚測定方法及び肉厚測定装置について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
1 第1肉厚測定装置
2 第2肉厚測定装置,電磁式膜厚計
3 肉厚測定装置
10 渦流アレイプローブ
11 プローブ本体
12 センサ部
13 センサ
15 移動距離検出手段、距離エンコーダ
20 渦流探傷器
23 データ出力部
31 プローブ
32 膜厚計本体
50 データ処理装置
100 クラッド鋼
101 合せ材
102 母材
S 分割線、罫書き線
L センサ部12の長さ
隣合う分割線Sの間隔

Claims (4)

  1. 磁性材料の表面に圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された非磁性材料の肉厚を測定する肉厚測定方法であって、
    渦流アレイプローブを非磁性材料の表面に接触させた状態で走査させ非磁性材料の肉厚を測定し、予め定められた減肉量が検出された減肉箇所を選出するスクリーニング工程と、
    記スクリーニング工程で選出された減肉箇所又は前記減肉箇所を中心とした一定の範囲の前記非磁性材料の肉厚を、電磁式膜厚計を用いて測定する肉厚測定工程と、
    を備えることを特徴とする肉厚測定方法。
  2. さらに測定対象箇所を分割線により2以上の区画に分割する測定対象箇所分割工程を備え、
    前記スクリーニング工程では、順次、分割された前記区画に対し前記渦流アレイプローブを走査させ、
    前記分割された前記区画の幅が、前記渦流アレイプローブの検出範囲と同一か又は検出範囲よりも狭く設定され、
    前記分割線が、前記渦流アレイプローブを走査させるときの基準線となることを特徴とする請求項1に記載の肉厚測定方法。
  3. 前記スクリーニング工程で選出された減肉箇所又は前記減肉箇所を中心とした一定の範囲にマーキングを施すマーキング工程を有し、
    前記肉厚測定工程では、前記マーキング工程でマーキングされた箇所の肉厚を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の肉厚測定方法。
  4. 前記磁性材料の表面に非磁性材料が圧着され、又は接合され、又は接着され、又は積層され、又は被覆された材料が、クラッド鋼又はグラスライニング材又は樹脂ライニング材であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の肉厚測定方法。
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