1 エアロゾル生成装置の概要
図1Aは、本開示の一実施形態に係るエアロゾル生成装置100Aの構成の概略的なブロック図である。図1Aは、エアロゾル生成装置100Aが備える各コンポーネントを概略的且つ概念的に示すものであり、各コンポーネント及びエアロゾル生成装置100Aの厳密な配置、形状、寸法、位置関係等を示すものではないことに留意されたい。
図1Aに示されるように、エアロゾル生成装置100Aは、第1の部材102(以下、「本体102」と呼ぶ)及び第2の部材104A(以下、「カートリッジ104A」と呼ぶ)を備える。図示されるように、一例として、本体102は、制御部106、通知部108、電源110、センサ112及びメモリ114を含んでもよい。エアロゾル生成装置100Aは、流量センサ、圧力センサ、電圧センサ、温度センサなどのセンサを有してもよく、本開示においてはこれらをまとめて「センサ112」とも呼ぶ。本体102はまた、後述する回路134を含んでもよい。一例として、カートリッジ104Aは、貯留部116A、霧化部118A、空気取込流路120、エアロゾル流路121、吸口部122、保持部130及び負荷132を含んでもよい。本体102内に含まれるコンポーネントの一部がカートリッジ104A内に含まれてもよい。カートリッジ104A内に含まれるコンポーネントの一部が本体102内に含まれてもよい。カートリッジ104Aは、本体102に対して着脱可能に構成されてもよい。あるいは、本体102及びカートリッジ104A内に含まれるすべてのコンポーネントが、本体102及びカートリッジ104Aに代えて、同一の筐体内に含まれてもよい。
貯留部116Aは、エアロゾル源を収容するタンクとして構成されてもよい。この場合、エアロゾル源は、例えば、グリセリンやプロピレングリコールといった多価アルコール、水などの液体である。エアロゾル生成装置100Aが電子たばこである場合、貯留部116A内のエアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。保持部130は、エアロゾル源を保持する。例えば、保持部130は、繊維状又は多孔質性の素材から構成され、繊維間の隙間や多孔質材料の細孔に液体としてのエアロゾル源を保持する。前述した繊維状又は多孔質性の素材には、例えばコットンやガラス繊維、またはたばこ原料などを用いることができる。エアロゾル生成装置100Aがネブライザー等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源はまた、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。別の例として、貯留部116Aは、消費されたエアロゾル源を補充することができる構成を有してもよい。あるいは、貯留部116Aは、エアロゾル源が消費された際に貯留部116A自体を交換することができるように構成されてもよい。また、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体でも良い。エアロゾル源が固体の場合の貯留部116Aは、空洞の容器であっても良い。
霧化部118Aは、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成するように構成される。センサ112によって吸引動作が検知されると、霧化部118Aはエアロゾルを生成する。例えば、保持部130は、貯留部116Aと霧化部118Aとを連結するように設けられる。この場合、保持部130の一部は貯留部116Aの内部に通じ、エアロゾル源と接触する。保持部130の他の一部は霧化部118Aへ延びる。なお、霧化部118Aへ延びた保持部130の他の一部は、霧化部118Aに収められてもよく、あるいは、霧化部118Aを通って再び貯留部116Aの内部に通じてもよい。エアロゾル源は、保持部130の毛細管効果によって貯留部116Aから霧化部118Aへと運ばれる。一例として、霧化部118Aは、電源110に電気的に接続された負荷132を含むヒータを備える。ヒータは、保持部130と接触又は近接するように配置される。吸引動作が検知されると、制御部106は、霧化部118Aのヒータを制御し、保持部130を通じて運ばれたエアロゾル源を加熱することによって当該エアロゾル源を霧化する。霧化部118Aには空気取込流路120が接続され、空気取込流路120はエアロゾル生成装置100Aの外部へ通じている。霧化部118Aにおいて生成されたエアロゾルは、空気取込流路120を介して取り込まれた空気と混合される。エアロゾルと空気の混合流体は、矢印124で示されるように、エアロゾル流路121へと送り出される。エアロゾル流路121は、霧化部118Aにおいて生成されたエアロゾルと空気との混合流体を吸口部122まで輸送するための管状構造を有する。
吸口部122は、エアロゾル流路121の終端に位置し、エアロゾル流路121をエアロゾル生成装置100Aの外部に対して開放するように構成される。ユーザは、吸口部122を咥えて吸引することにより、エアロゾルを含んだ空気を口腔内へ取り込む。
通知部108は、LEDなどの発光素子、ディスプレイ、スピーカ、バイブレータなどを含んでもよい。通知部108は、必要に応じて、発光、表示、発声、振動などによって、ユーザに対して何らかの通知を行うように構成される。
電源110は、通知部108、センサ112、メモリ114、負荷132、回路134などのエアロゾル生成装置100Aの各コンポーネントに電力を供給する。電源110は、一次電池であるか、又は、エアロゾル生成装置100Aの所定のポート(図示せず)を介して外部電源に接続することにより充電することができる二次電池であってよい。電源110のみを本体102又はエアロゾル生成装置100Aから取り外すことができてもよく、新しい電源110と交換することができてもよい。また、本体102全体を新しい本体102と交換することによって電源110を新しい電源110と交換することができてもよい。
センサ112は、回路134の全体又は特定の部分に印加される電圧の値、負荷132の抵抗値に関する値又は温度に関する値などを取得するために用いられる1つ又は複数のセンサを含んでもよい。センサ112は回路134に組み込まれてもよい。センサ112の機能が制御部106に組み込まれてもよい。センサ112はまた、空気取込流路120及び/又はエアロゾル流路121内の圧力の変動を検知する圧力センサ又は流量を検知する流量センサを含んでもよい。センサ112はまた、貯留部116Aなどのコンポーネントの重量を検知する重量センサを含んでもよい。センサ112はまた、エアロゾル生成装置100Aを用いたユーザによるパフの回数を計数するように構成されてもよい。センサ112はまた、霧化部118Aへの通電時間を積算するように構成されてもよい。センサ112はまた、貯留部116A内の液面の高さを検知するように構成されてもよい。センサ112はまた、電源110のSOC(State of Charge,充電状態)、電流積算値、電圧などを求める又は検知するように構成されてもよい。SOCは、電流積算法(クーロン・カウンティング法)やSOC-OCV(Open Circuit Voltage,開回路電圧)法等によって求められてもよい。センサ112はまた、ユーザが操作可能な操作ボタンなどであってもよい。
制御部106は、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータとして構成された電子回路モジュールであってもよい。制御部106は、メモリ114に格納されたコンピュータ実行可能命令に従ってエアロゾル生成装置100Aの動作を制御するように構成されてもよい。メモリ114は、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体である。メモリ114には、上記のようなコンピュータ実行可能命令のほか、エアロゾル生成装置100Aの制御に必要な設定データ等が格納されてもよい。例えば、メモリ114は、通知部108の制御方法(発光、発声、振動等の態様等)、センサ112により取得及び/又は検知された値、霧化部118Aの加熱履歴等の様々なデータを格納してもよい。制御部106は、必要に応じてメモリ114からデータを読み出してエアロゾル生成装置100Aの制御に利用し、必要に応じてデータをメモリ114に格納する。
図1Bは、本開示の一実施形態に係るエアロゾル生成装置100Bの構成の概略的なブロック図である。
図示されるように、エアロゾル生成装置100Bは、図1Aのエアロゾル生成装置100Aと類似した構成を有する。但し、第2の部材104B(以下、「エアロゾル発生物品104B」又は「スティック104B」と呼ぶ)の構成は第1の部材104Aの構成とは異なっている。一例として、エアロゾル発生物品104Bは、エアロゾル基材116B、霧化部118B、空気取込流路120、エアロゾル流路121、吸口部122を含んでもよい。本体102内に含まれるコンポーネントの一部がエアロゾル発生物品104B内に含まれてもよい。エアロゾル発生物品104B内に含まれるコンポーネントの一部が本体102内に含まれてもよい。エアロゾル発生物品104Bは、本体102に対して挿抜可能に構成されてもよい。あるいは、本体102及びエアロゾル発生物品104B内に含まれるすべてのコンポーネントが、本体102及びエアロゾル発生物品104Bに代えて、同一の筐体内に含まれてもよい。
エアロゾル基材116Bは、エアロゾル源を担持する固体として構成されてもよい。図1Aの貯留部116Aの場合と同様に、エアロゾル源は、例えば、グリセリンやプロピレングリコールといった多価アルコール、水などの液体であってもよい。エアロゾル基材116B内のエアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。エアロゾル生成装置100Bがネブライザー等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源はまた、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。エアロゾル基材116Bは、エアロゾル源が消費された際にエアロゾル基材116B自体を交換することができるように構成されてもよい。エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体でも良い。
霧化部118Bは、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成するように構成される。センサ112によって吸引動作が検知されると、霧化部118Bはエアロゾルを生成する。霧化部118Bは、電源110に電気的に接続された負荷を含むヒータ(図示せず)を備える。吸引動作が検知されると、制御部106は、霧化部118Bのヒータを制御し、エアロゾル基材116B内に担持されたエアロゾル源を加熱することによって当該エアロゾル源を霧化する。霧化部118Bには空気取込流路120が接続され、空気取込流路120はエアロゾル生成装置100Bの外部へ通じている。霧化部118Bにおいて生成されたエアロゾルは、空気取込流路120を介して取り込まれた空気と混合される。エアロゾルと空気の混合流体は、矢印124で示されるように、エアロゾル流路121へと送り出される。エアロゾル流路121は、霧化部118Bにおいて生成されたエアロゾルと空気との混合流体を吸口部122まで輸送するための管状構造を有する。
制御部106は、本開示の実施形態に係るエアロゾル生成装置100A及び100B(以下、まとめて「エアロゾル生成装置100」とも呼ぶ)を様々な方法で制御するように構成される。
図2は、本開示の一実施形態による、エアロゾル生成装置100の一部に関する例示的な回路構成を示す図である。
図2に示す回路200は、電源110、制御部106、センサ112A乃至D(以下、まとめて「センサ112」とも呼ぶ)、負荷132(以下、「ヒータ抵抗」とも呼ぶ)、第1回路202、第2回路204、第1電界効果トランジスタ(FET)206を含むスイッチQ1、変換部208、第2FET210を含むスイッチQ2、抵抗212(以下、「シャント抵抗」とも呼ぶ)を備える。負荷132の電気抵抗値は温度に応じて変化する。シャント抵抗212は、負荷132と直列に接続され、既知の電気抵抗値を有する。シャント抵抗212の電気抵抗値は温度に対して不変であってもよい。シャント抵抗212は負荷132より大きな電気抵抗値を有する。実施形態に応じて、センサ112C、112Dは省略されてもよい。FETだけでなく、IGBT、コンタクタなどの様々な素子をスイッチQ1及びQ2として用いることができることは当業者にとって明らかであろう。また、スイッチQ1及びQ2は、同一の特性を有していることが好ましいが、そうでなくてもよい。従って、スイッチQ1及びQ2として用いるFET、IGBT、コンタクタ等は、同一の特性を有していることが好ましいが、そうでなくてもよい。
変換部208は、例えばスイッチング・コンバータであり、FET214、ダイオード216、インダクタ218及びキャパシタ220を含み得る。変換部208が電源110の出力電圧を変換して、変換された出力電圧が回路全体に印加されるように、制御部106は変換部208を制御してもよい。ここで、変換部208は、制御部106による制御により、少なくともスイッチQ2がオン状態である間は、一定の電圧を出力するよう構成されていることが好ましい。また、変換部208は、制御部106による制御により、スイッチQ1がオン状態である間にも又は常に、一定の電圧を出力するように構成されていてもよい。なお、スイッチQ1がオン状態である間に制御部106による制御により変換部208が出力する一定の電圧と、スイッチQ2がオン状態である間に制御部106による制御により変換部208が出力する一定の電圧は、同じでもよいし異なっていてもよい。これらが異なる場合、スイッチQ1がオン状態である間に制御部106による制御により変換部208が出力する一定の電圧は、スイッチQ2がオン状態である間に制御部106による制御により変換部208が出力する一定の電圧より、高くてもよいし低くてもよい。かかる構成によれば、電圧及び電圧の測定時のパラメータが安定するため、エアロゾルの残量の推定精度が向上することになる。更に、変換部208は、制御部106による制御により、スイッチQ1のみがオン状態である間は、電源110の出力電圧が直接第1回路に印加されるように構成されていてもよい。なお、変換部208は必須のコンポーネントではなく、省略することも可能である。
図1Aに示される回路134は、電源110と負荷132とを電気的に接続し、第1回路202及び第2回路204を含み得る。第1回路202及び第2回路204は、電源110及び負荷132に対して並列接続される。第1回路202はスイッチQ1を含み得る。第2回路204はスイッチQ2及び抵抗212(及び、オプションとして、センサ112D)を含み得る。第1回路202は第2回路204よりも小さい抵抗値を有してもよい。この例において、センサ112B及び112Dは電圧センサであり、それぞれ、負荷132及び抵抗212の両端の電位差(以下、「電圧」又は「電圧値」と呼ぶこともある。)を検知するように構成される。しかし、センサ112の構成はこれに限定されない。例えば、センサ112は電流センサであってもよく、負荷132及び/又は抵抗212を流れる電流の値を検知してもよい。
図2において点線矢印で示すように、制御部106は、スイッチQ1、スイッチQ2等を制御することができ、センサ112により検知された値を取得することができる。制御部106は、スイッチQ1をオフ状態からオン状態に切り替えることにより第1回路202を機能させ、スイッチQ2をオフ状態からオン状態に切り替えることにより第2回路204を機能させるように構成されてもよい。制御部106は、スイッチQ1及びQ2を交互に切り替えることにより、第1回路202及び第2回路204を交互に機能させるように構成されてもよい。
第1回路202はエアロゾル源の霧化に用いられる。スイッチQ1がオン状態に切り替えられて第1回路202が機能するとき、ヒータ(すなわち、ヒータ内の負荷132)に電力が供給され、負荷132は加熱される。負荷132の加熱により、霧化部118A内の保持部130に保持されているエアロゾル源(図1Bのエアロゾル生成装置100Bの場合、エアロゾル基材116Bに担持されたエアロゾル源)が霧化されてエアロゾルが生成される。
第2回路204は、負荷132に印加される電圧の値、負荷132の抵抗値に関連する値、抵抗212に印加される電圧の値等を取得するために用いられる。一例として、図2に示すように、第2回路204に含まれるセンサ112B及び112Dが電圧センサである場合を考える。スイッチQ2がオンであり第2回路204が機能しているとき、電流はスイッチQ2、抵抗212及び負荷132を流れる。センサ112B及び112Dにより、それぞれ、負荷132に印加される電圧の値及び抵抗212に印加される電圧の値が得られる。また、センサ112Dにより取得された抵抗212に印加される電圧の値と、抵抗212の既知の抵抗値Rshuntとを用いて、負荷132を流れる電流の値を求めることができる。変換部208の出力電圧Voutと当該電流値とに基づいて、抵抗212及び負荷132の抵抗値の合計値を求めることができるので、当該合計値から既知の抵抗値Rsh
untを差し引くことにより、負荷132の抵抗値RHTRを求めることができる。負荷132が温度に応じて抵抗値が変わる正又は負の温度係数特性を有している場合、予め知られている負荷132の抵抗値と温度との間の関係と、上述のようにして求められたと負荷132の抵抗値RHTRとに基づいて、負荷132の温度を推定することができる。抵抗212を流れる電流の値を用いて負荷132の抵抗値や温度を推定できることが当業者に理解されよう。この例における負荷132の抵抗値に関連する値は、負荷132の電圧値、電流値等を含み得る。センサ112B及び112Dの具体例は電圧センサに限定されず、電流センサ(例えば、ホール素子)などの他の素子を含み得る。
センサ112Aは、電源110の出力電圧を検知する。センサ112Cは、変換部208の出力電圧を検知する。あるいは、変換部208の出力電圧は、予め定められた目標電圧であってもよい。これらの電圧は、回路全体に印加される電圧である。
負荷132の温度がTHTRであるときの負荷132の抵抗値RHTRは、以下のように表すことができる。
RHTR(THTR)=(VHTR×Rshunt)/(VBatt-VHTR) (1)
ここで、VBattは回路全体に印加される電圧である。変換部208を用いない場合、V
Battは電源110の出力電圧である。変換部208を用いる場合、VBattは変換部208の出力電圧Vout又は目標電圧に該当する。VHTRはヒータに印加される電圧である。VHT
Rに代えて、シャント抵抗212に印加される電圧を用いてもよい。
なお、エアロゾル生成装置100Aが含む回路は、上述したセンサのうちの少なくとも1つに代えて又は加えて、負荷132の温度に対応した値を直接出力する温度センサを含んでいてもよい。
2 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断するための処理
以下に説明する処理については、制御部106がすべてのステップを実行するものとして説明を行う。しかしながら、一部のステップがエアロゾル生成装置100の別のコンポーネントによって実行されてもよいことに留意されたい。
2-1 処理の概要
図3Aは、本開示の一実施形態による、エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断するための例示処理300のフローチャートである。
なお、本開示において、エアロゾル源の残量が「枯渇」しているとは、エアロゾル源の残量がゼロ又はほぼゼロである状態を意味している。
また、本開示において、エアロゾル源の残量が「不足」しているとは、エアロゾル源の残量が十分ではないが枯渇はしていない状態を意味していてもよい。又は、エアロゾル源の残量が瞬時的なエアロゾル生成には十分ではあるが、継続的なエアロゾル生成には不十分な状態を意味していても良い。
エアロゾル基材116B又は保持部130(以下、「保持部等」という。)においてエアロゾル源が飽和状態にあるときには、負荷132の温度は、エアロゾル源の沸点やエアロゾル源の蒸発によりエアロゾルの生成が生じる温度(以下、「沸点等」という。)で定常状態となる。ここで、保持部等においてエアロゾル源が飽和状態ではないが、その残量が一定量以上ある場合にも、負荷132の温度は沸点等で定常状態となる。本開示において保持部等についてエアロゾル源の残量が「十分」であるとは、保持部等におけるエアロゾル源の残量が当該一定量以上であるか、又は、保持部等におけるエアロゾル源の残量が、負荷132の温度が沸点等で定常状態となる程度である状態(飽和状態を含む)を意味している。なお、後者の場合、保持部等におけるエアロゾル源の具体的な残量を特定する必要はないことに留意されたい。また、エアロゾル源の沸点とエアロゾルの生成が生じる温度とは、エアロゾル源が単一の組成の液体である場合には一致する。一方で、エアロゾル源が混合液である場合には、ラウールの法則で求めた理論的な混合液体の沸点をエアロゾルの生成が生じる温度に見做してもよいし、エアロゾル源の沸騰によってエアロゾルが生成される温度を実験で求めてもよい。
更に、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が一定量未満である場合には、原則的には、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給がなされなくなる(極めて少量のエアロゾル源が供給されることや、エアロゾル生成装置100を傾けたり、振ったりすることによって多少の供給がなされることはある)。本開示において貯留部116Aについてエアロゾル源の残量が「十分」であるとは、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が当該一定量以上あるか、又は、保持部130におけるエアロゾル源を飽和状態に若しくはエアロゾル源の残量を上記一定量以上にする供給が可能な程度である状態を意味している。なお、後者の場合、負荷132の温度が沸点等で定常状態となっていることによって貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が十分であることを推定できるために、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の具体的な残量を特定する必要はないことに留意されたい。
302は、エアロゾルの生成が要求されたかを判定するステップを示している。例えば、圧力センサ、流量センサ等から得られた情報に基づき、制御部106がユーザによる吸引開始を検知した場合に、エアロゾルの生成が要求されたと判定してよい。より詳細には、例えば、制御部106は、圧力センサの出力値即ち圧力が所定の閾値を下回った場合に、ユーザによる吸引開始が検知されたと判定することができる。また、例えば、制御部106は、流量センサの出力値即ち流量又は流速が所定の閾値を越えた場合に、ユーザによる吸引開始が検知されたと判定することができる。かかる判定手法においては、ユーザの感覚に合ったエアロゾル生成が可能なため、流量センサは特に好適である。あるいは、制御部106は、これらのセンサの出力値が連続的に変化し始めた場合、ユーザによる吸引開始が検知されたと判定してもよい。あるいは、制御部106は、エアロゾルの生成を開始するためのボタンが押されたことなどに基づいて、ユーザによる吸引開始が検知されたと判定してもよい。あるいは、制御部106は、圧力センサ又は流量センサから得られた情報とボタンの押下の双方に基づいて、ユーザによる吸引開始が検知されたと判定してもよい。
エアロゾルの生成が要求されたと判定された場合、処理はステップ304に進み、そうでない場合、処理はステップ302に戻る。
304は、スイッチQ1をオン状態にするステップを示している。このステップの実行により、負荷132にスイッチQ1を介して電流が流れ、負荷132が発熱することになる。
306は、スイッチQ1をオフ状態にし、スイッチQ2をオン状態にするステップを示している。このステップの実行により、シャント抵抗212及び負荷132にスイッチQ2を介して電流が流れることになる。
308は、センサの出力値を取得するステップを示している。このセンサは、負荷132の温度に関連する値を出力するものであればどのようなものであってもよく、例えば、センサ112B及び112Dのうちの一方又は双方であってよい。
310は、スイッチQ2をオフ状態にするステップを示している。
312は、ステップ308において取得した出力値に基づくデータを記憶するステップを示している。
「ステップ308において取得した出力値に基づくデータ」は、ステップ308において取得した出力値そのものであってもよいし、ステップ308において取得した出力値から導出された値であってもよい。「出力値から導出された値」は、例えば、出力値が電圧センサ112Dからの電圧値である場合に、当該電圧値から導出した負荷132の抵抗値であってよい。「出力値から導出された値」は、例えば、出力値が電圧センサ112Dからの電圧値である場合に、電圧センサ112Dからの複数の電圧値を取得し、その平均値や当該平均値から導出された値であってよい。
ステップ312において、データは、記憶された順序が分かる態様で記憶される必要がある。好ましくは、データは、元となる出力値を取得した時刻に関連付けて記憶することができる。時刻は、相対時刻、例えば、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定された時刻を基準とした相対時刻であってよい。なお、ステップ304から後述するステップ314を経てステップ304へと戻るループに要する時間が既知であれば、データを単に記憶された順序が分かる態様で記憶したとしても、各データに関連付けられた相対時刻を事後的に推定することができることに留意されたい。時刻は、上述した相対時刻に代えて、現在の時刻である絶対時刻であってよい。
314は、エアロゾルの生成が要求されていないかを判定するステップを示している。例えば、圧力センサ、流量センサ等から得られた情報に基づき、制御部106がユーザによる吸引終了を検知した場合に、エアロゾルの生成が要求されていないと判定してよい。ここで、例えば、制御部106は、圧力センサの出力値即ち圧力が所定の閾値を越えた場合に、ユーザによる吸引終了が検知されたと、換言すればエアロゾルの生成が要求されていないと判定することができる。また、例えば、制御部106は、流量センサの出力値即ち流量又は流速が0でありうる所定の閾値を下回った場合に、ユーザによる吸引終了が検知されたと、換言すればエアロゾルの生成が要求されていないと判定することができる。なお、この閾値は、ステップ302における閾値より大きくても、当該閾値と等しくても、当該閾値より小さくてもよい。あるいは、制御部106は、エアロゾルの生成を開始するためのボタンが離されたことなどに基づいて、ユーザによる吸引終了が検知された、換言すれば、エアロゾルの生成が要求されていないと判定してもよい。あるいは、制御部106は、エアロゾルの生成を開始するためのボタンが押下されてから、所定時間が経過するなどの所定の条件が満たされたら、ユーザによる吸引終了が検知されたと、換言すればエアロゾルの生成が要求されていないと判定してもよい。
エアロゾルの生成が要求されていないと判定された場合、処理はステップ316に進み、そうでない場合、処理はステップ304に戻る。
316は、ステップ312において記憶したデータに対し、所定の部分のデータを除外するなどの整形を施すステップを示している。なお、「所定の部分」は、例えば、負荷132についての昇温期間や冷却期間に相当する部分であってよい。即ち、ステップ316によれば、昇温期間や冷却期間に相当する部分を除外した整形済みデータを、後述するステップ318において用いることができる。
ここで、図4Aを参照して、負荷132の温度変化について説明する。
図4Aは、各給電サイクルにおける、負荷132の温度を各時刻でプロットしたグラフ400である。以下、各時刻でプロットされた温度である温度の時間変化のことを温度プロファイルという。グラフ400の横軸は、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定した時刻を基準とした相対時刻を表し、縦軸は負荷132の温度を表している。なお、時刻407は、ステップ314においてエアロゾルの要求が生成されていないと判定した時刻に相当する。各温度プロファイルは各給電サイクルに対応する。
1つの給電サイクルは、エアロゾルの生成が要求されたことに応答して負荷132への連続的又は断続的な実質的な給電が開始されてから、エアロゾルの生成が要求されなくなるまで又はエアロゾルの生成が要求されなくなったことに応答して負荷132への実質的な給電が終了するまでの期間を1つ含む期間である。
従って、1つの給電サイクルは、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定されてから、ステップ314においてエアロゾルの生成が要求されていないと判定されるまでの期間であってよい。1つの給電サイクルは、以下の説明では、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定された時刻である時刻405から開始するものと仮定しているが、これに限定されるわけではない。1つの給電サイクルは、例えば、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定される前に開始してもよい。
また、厳密には、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定された時刻と、負荷132への実質的な給電が開始される時刻とは相違する。1つの給電サイクルは、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求された後の、負荷132への実質的な給電が開始されたとき、例えば、負荷132への所定の閾値(0を含む)より大きな給電、電力量の供給、電流の供給若しくは電圧の印加が実際になされたとき又はその前に開始してもよい。
また、1つの給電サイクルは、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定されてから、次にステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定されるまでの期間であってもよい。
なお、各給電サイクルの長さは、異なっていてもよいし、同じであってもよい。1つの給電サイクルは、エアロゾル生成装置100のユーザの1回の吸気(パフ)によって生じ得るから、1パフとしても参照される。
402は、例示の昇温期間を示している。昇温期間は、負荷132の温度上昇が開始してから温度変化が安定するか又は所定の温度に達するまでの期間である。負荷132の温度変化が安定したか否かは、負荷132の温度の時間微分値や前回の温度と今回の温度の差分などに基づいて判断されてもよい。グラフ400において、昇温期間は、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定された時刻である時刻405から、十分な余裕をみて時刻406までの期間であるものと仮定している。
昇温期間は、事前にグラフ400のようなグラフを作成したうえで、人手により求めた期間であってよい。この場合は各給電サイクルにおいて、昇温期間の長さは一定になることに留意されたい。あるいは、昇温期間は、制御部106が任意の手法で負荷132の温度上昇が開始した時刻と温度変化が安定した時刻とを決定することにより決定された期間であってよい。例えば、制御部106は、ステップ302においてエアロゾルの生成が要求されたと判定した時刻を前者の時刻として決定し、負荷132の温度上昇率(単位時間当たりの上昇温度)が所定の閾値以下になった時刻若しくは連続して所定の回数所定の閾値以下となった時刻を後者の時刻として決定することができる。または、前回取得した負荷132の温度と今回取得した負荷132の温度の差分が所定の閾値以下になった時刻を、後者の時刻として決定してもよい。または、直近で取得した負荷132の複数の温度の標準偏差や分散が所定の閾値以下になった時刻を、後者の時刻として決定してもよい。これらの場合は各給電サイクルにおいて、昇温期間の長さは、カートリッジ104Aやエアロゾル発生物品104Bの個体差や雰囲気温度などの種々の条件によって、変わり得ることに留意されたい。
404は、例示の冷却期間の一部を示している。冷却期間は、負荷132の温度低下が開始してから温度変化が安定するか又は所定の温度に達するまでの期間であってよい。また、冷却期間は、次の給電サイクル又は昇温期間が開始するときに終了してもよい。グラフ400において、冷却期間は、ステップ314においてエアロゾルの生成が要求されていないと判定された時刻である時刻407から開始するものと仮定している。
冷却期間は、事前にグラフ400のようなグラフを作成したうえで、人手により求めた期間であってよい。この場合は各給電サイクルにおいて、冷却期間の長さは一定になることに留意されたい。あるいは、冷却期間は、制御部106が任意の手法で負荷132の温度低下が開始した時刻と温度変化が所定の温度に達した時刻とを決定することにより決定された期間であってよい。例えば、制御部106は、ステップ314においてエアロゾルの生成が要求されていないと判定した時刻を前者の時刻として決定し、負荷132の温度が所定の閾値以下になった時刻若しくは連続して所定の回数所定の閾値以下となった時刻を後者の時刻として決定することができる。または、前回取得した負荷132の温度と今回取得した負荷132の温度の差分が所定の閾値以下になった時刻を、後者の時刻として決定してもよい。または、直近で取得した負荷132の複数の温度の標準偏差や分散が所定の閾値以下になった時刻を、後者の時刻として決定してもよい。これらの場合は各給電サイクルにおいて、冷却期間の長さは、カートリッジ104Aやエアロゾル発生物品104Bの個体差や雰囲気温度などの種々の条件によって、変わり得ることに留意されたい。
例示処理300においては、ステップ314においてエアロゾルの生成が要求されていないと判定された後にデータが記憶されることはないが、本開示におけるエアロゾル源の枯渇又は不足を判定するための処理は、ステップ314に相当するステップにおいてエアロゾルの生成が要求されていないと判定された後にもセンサの出力値を取得しデータを記憶する別の処理を排除するわけではない。従って、そのような別の例において、ステップ316に相当するステップにおける「所定の部分」は、冷却期間を含んでいてもよい。
また、ステップ316における「所定の部分」は、給電サイクルの開始時、給電サイクルの終了時、給電サイクルの任意の1以上の時点、給電サイクル内の任意の一部の期間のうちの一以上に相当する部分であってよい。従って、ステップ316によれば、例えば、給電サイクルの開始時に相当するデータを含むが、その直後のデータを含まないデータを、後述するステップ318において用いることができる。また、前述した給電サイクル内の任意の一部の期間のうちの一以上に相当する部分は、給電サイクルの開始時や給電サイクルの終了時を含んでいてもよい。この場合、給電サイクルの開始時から所定の期間及び/又は給電サイクルの終了時から遡る所定の期間が、「所定の部分」に該当し得る。
318は、ステップ316において一部が除外されたデータに基づき、エアロゾル源の枯渇又は不足について判定するステップを示している。なお、以下、「データに基づく」は、データの少なくとも一部に基づくことを含む。
図3Bは、本開示の一実施形態による、エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断するための別の例示処理320のフローチャートである。例示処理320が含む一部のステップは例示処理300が含むステップと同一であるため、以下、例示処理300に含まれないステップについて説明する。
322は、ステップ308において取得したセンサの出力値に基づくデータを記憶すべきかを判定するステップを示している。データとして記憶すべきと判定した場合、処理はステップ312に進み、そうでない場合、処理はステップ314に進む。
ステップ322においては、ステップ308において取得したセンサの出力値が、ステップ316に関して上述した所定の部分に相当するものである場合に、データとして記憶すべきでないと判定することができる。即ち、ステップ322によれば、昇温期間や冷却期間等に相当するデータを、予め、ステップ312において記憶しないようにすることができる。これにより、メモリ114の記憶容量が少なくて済むため、エアロゾル生成装置100のコスト・重量・サイズを小さくすることができる。また、例示処理ではステップ316が不要になるため、ステップ324におけるエアロゾル源の枯渇又は不足についての判定がより高速に行える。
324は、ステップ312において記憶したデータに基づき、エアロゾル源の枯渇又は不足について判定するステップを示している。
2-2 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断する第1例示処理
図5は、ステップ318又は324において実行される第1の例示処理500のフローチャートである。
502は、ステップ308において取得されたセンサの出力値の偏差に基づく指標を計算するステップを示している。「偏差に基づく指標」は、例えば、標準偏差や分散であってよい。
ステップ502は、ステップ316又はステップ322によって一部が除外されたセンサの出力値に基づくデータ(以下、「計算用データ」という。)に基づき、上記指標を計算するステップである。ここで、上記指標は、計算用データそのものから計算しても、計算用データから導出される値から計算してもよい。
従って、例えば、ステップ308において記憶したデータがセンサの出力値そのものである場合に、計算用データ即ち出力値の標準偏差は、明らかに、「センサの出力値の偏差に基づく指標」である。
また、例えば、センサが電圧値を出力し、ステップ308において当該電圧値から導出された負荷132の抵抗値をデータとして記憶した場合に、計算用データ即ち当該抵抗値から導出される負荷132の温度値の統計的な性質は、センサが出力した電圧値と同一であるから、そのような負荷132の温度値の標準偏差は、結局のところ、「センサの出力値の偏差に基づく指標」である。
従って、センサの出力値の偏差に基づく指標は、各給電サイクルにおけるセンサの出力値のみから導出される各種物理量の偏差に基づく指標であってよく、換言すれば、単一の給電サイクルから生成可能な偏差に基づく指標であってよい。
504は、ステップ502において計算された指標が、所定の閾値以上であるかを判定するステップを示している。ステップ502において計算された指標が、所定の閾値以上である場合、処理はステップ506に進み、そうでない場合、処理は終了する。なお、ステップ502において計算された指標が、例えば標準偏差のように計算用データのばらつきが大きいほど大きな値を示す場合、ステップ504では指標が閾値以上か否かを判定すればよい。一方、ステップ502において計算された指標が、計算用データのばらつきが大きいほど小さな値を示す場合、ステップ504では指標が閾値以下か否かを判定すればよい点に留意されたい。
506は、貯留部116A又はエアロゾル基材116B(以下、「貯留部等」という。)におけるエアロゾル源の枯渇又は不足が発生したと判断するステップを示している。
ここで、図4B及び図6を参照して、例示処理500におけるエアロゾル源の枯渇又は不足の判定について説明する。
図4Bは、グラフ400に含まれる温度プロファイルのうち、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分であるときの給電サイクルの温度プロファイル422と、十分でないときの温度プロファイル424とをプロットしたグラフ420を表している。特に、温度プロファイル424に対応する給電サイクルは、負荷132に初めて焦げや酸化などを原因とする変色が生じたこと目視で確認した給電サイクルであり、この給電サイクルの途中で、保持部等におけるエアロゾル源の残量は枯渇したということである。
これに関し、図1Aの構成の場合について検討すると、貯留部116Aにおいてエアロゾル源の残量が十分である場合には、保持部130におけるエアロゾル源の残量も十分となる。しかしながら、貯留部116Aにおいてエアロゾル源の残量が不足すると、供給が滞り、保持部130におけるエアロゾル源の残量は枯渇又は不足することになる。特に、貯留部116Aにおいてエアロゾル源の残量が枯渇すると、供給が完全にストップするため、保持部130におけるエアロゾル源の残量は枯渇することになる。逆に言うと、保持部130におけるエアロゾル源の残量が枯渇したとき、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量は枯渇又は不足している。
また、図1Bの構成の場合について検討すると、上述したように、温度プロファイル424に対応する給電サイクルにおいて、エアロゾル基材116Bにおけるエアロゾル源の残量は枯渇する。
従って、温度プロファイル424に対応する給電サイクルにおいて、貯留部等におけるエアロゾル源の残量は、枯渇又は不足している。
温度プロファイル422と温度プロファイル424を見比べると、保持部等におけるエアロゾル源の残量が枯渇する給電サイクルに対応した温度プロファイル424の方が、負荷132の温度の揺らぎが大きくなっていることが分かるであろう。後述する例示処理500では、標準偏差などを用いて、この負荷132の温度の揺らぎを評価する。ところで、昇温期間や冷却期間における極端に低い負荷132の温度が、標準偏差を導出する際の標本に含まれると、標準偏差の値を大きく変えてしまう。従って、標準偏差を用いて負荷132の温度揺らぎを正確に評価するためには、前述したステップ316やステップ322の処理が重要であることが理解されるであろう。
給電サイクルは、複数のフェーズを含むことができる。ここで、各フェーズの長さは、同一であっても異なっていてもよい。また、フェーズ同士は、少なくとも一部が重なっていてもよい。なお、複数のフェーズのうちの一部のフェーズが、上述した昇温期間及び冷却期間の一方又は双方に相当すると考えてもよい。432は、複数のフェーズのうちのフェーズである第1フェーズの例を示している。434は、複数のフェーズのうちのフェーズであって第1フェーズよりも時系列で後の第2フェーズの例を示している。なお、グラフ420において第1フェーズ432と第2フェーズ434とは隣接しているが、第1フェーズ432と第2フェーズ434との間に1以上のフェーズが存在してもよい。また、第1フェーズ432と第2フェーズ434とは、少なくとも一部が重なっていてもよい。図4Bでは、第1フェーズ432及び第2フェーズ434は、それぞれ、時刻435(この例では、図4Aにおける時刻406と同一である)から時刻436までの期間及び時刻436から時刻437(この例では、図4Aにおける時刻407と同一である)までの期間であるものと仮定している。
図6は、各給電サイクルについての、計算用データに基づく負荷132の温度の標準偏差を各給電サイクルでプロットしたグラフ600である。以下、各給電サイクルでプロットされた標準偏差を標準偏差プロファイルという。グラフ600の横軸は給電サイクルの回数を表し、グラフ600の縦軸は負荷132の温度の標準偏差を表している。602及び604は、それぞれ、図4Bにおける温度プロファイル422及び424に対応する給電サイクルを示している。612は、第1フェーズ432及び第2フェーズ434の双方に相当する計算用データから導出される標準偏差プロファイルを示している。614は、第1フェーズ432と第2フェーズ434とのうち、第2フェーズ434のみに相当する計算用データから導出される標準偏差プロファイルを示している。
各標準偏差プロファイルについて検討すると、給電サイクル604における温度の標準偏差は、それより前の給電サイクルのうちの最大の温度の標準偏差即ち給電サイクル602における標準偏差より大きい。前述した通り、給電サイクル604は、保持部等におけるエアロゾル源の残量が枯渇する給電サイクルであり、温度プロファイル424に対応する。また、給電サイクル604よりも前の給電サイクルは、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分であるか、又は、十分ではないが枯渇はしない時の温度プロファイルに対応する。前述した通り、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分な状態では、負荷132の温度は、エアロゾル源の沸点等で定常状態となる。同様に、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分ではないが枯渇はしていない状態でも、負荷132の温度は定常状態となる(3-2節にて後述する)。従って、給電サイクル604よりも前の給電サイクルでは、温度の標準偏差は、小さな値を示す傾向がある。一方、給電サイクル604のように、保持部等におけるエアロゾル源の残量が枯渇する給電サイクルでは、保持部等の全体又は局所においてエアロゾル源が極めて少ない状態となる。つまり、保持部等におけるエアロゾル源の分布に応じて、負荷132において温度のムラが生じる。この温度のムラが負荷132の温度を揺らがせるため、給電サイクル604では、温度の標準偏差は、大きな値を示すと考えられる。なお、給電サイクル604よりも後の給電サイクルでは、エアロゾル源が負荷132の冷媒として機能しない点や、負荷132の変色が更に進行する点などによって、負荷132の温度の標準偏差はさらに大きなものになると考えられる。このことは、ステップ504における所定の閾値を、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における温度の標準偏差以下(例えば、給電サイクル604における温度の標準偏差)、且つ、そうでないときの給電サイクルにおける最大の温度の標準偏差(例えば、給電サイクル602における温度の標準偏差)より大きい値とすることで、ステップ506において、貯留部等におけるエアロゾル源の枯渇又は不足が発生していると判断し得ることを意味している。
また、標準偏差プロファイル612と614とを対比すると、後者についての給電サイクル602における標準偏差と給電サイクル604における標準偏差との差624は、前者についての給電サイクル602における標準偏差と給電サイクル604における標準偏差との差622よりも大きい。このことは、標準偏差プロファイル614、即ち、第1フェーズ432と第2フェーズ434とのうち、第2フェーズ434のみに相当する計算用データから導出される標準偏差プロファイルの方が、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときとしていないときとの差が大きいことを意味している。従って、標準偏差を導出する計算用データの部分を適切に設定することにより、ノイズ等の影響を受けにくいより適切な閾値をステップ504において設定することが可能となる。
なお、給電サイクル602における温度の標準偏差が比較的大きな値を示すことは、例えばエアロゾル生成装置100を長時間放置したことで、保持部等におけるエアロゾル源の量が過剰になり、温度プロファイルの初期において負荷132の温度が上がりにくくなったことなどから説明できる。
2-3 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断する第2例示処理
図7は、ステップ318又は324において実行される第2の例示処理700のフローチャートである。例示処理700が含む一部のステップは例示処理500が含むステップと同一であるため、以下、例示処理500に含まれないステップについて説明する。
702及び704は、それぞれ、ステップ308において取得されたセンサの出力値から導出される、偏差に基づく第1指標及び第2指標を計算するステップを示している。ステップ702及び704は、偏差に基づく指標を導出する計算用データを除き、ステップ502と同様のステップである。図4Bを再度参照すると、ステップ702において第1指標を導出するための計算用データは、第1フェーズ432に相当する計算用データであってよく、ステップ704において第2指標を導出するための計算用データは、第2フェーズに434相当する計算用データであってよい。
706及び708は、それぞれ、第1指標と第2指標の差を計算するステップ及び計算された差が閾値以上かを判定するステップを示している。なお、この例では、第1指標及び第2指標は、計算用データのばらつきが大きいほど大きな値を示すものであり、第1指標と第2指標の差は、第2指標から第1指標を減算することにより計算されるものと仮定している。第1指標及び第2指標として計算用データのばらつきが大きいほど小さな値を示すものを用いる場合や、第1指標と第2指標の差を第1指標から第2指標を減算することにより計算する場合、ステップ708では、計算された差が閾値未満か否かを判定すればよい点に留意されたい。
ここで、図8を参照して、例示処理700におけるエアロゾル源の枯渇又は不足の判定について説明する。
図8は、各給電サイクルについての、計算用データから導出される負荷132の温度の標準偏差をプロットしたグラフ800であり、グラフ600と同様のものである。但し、814は、第2指標から第1指標を減算することにより得られた標準偏差プロファイルを示している。
標準偏差プロファイル612と814とを対比すると、後者についての給電サイクル602における標準偏差と給電サイクル604における標準偏差との差824は、前者についての給電サイクル602における標準偏差と給電サイクル604における標準偏差との差822よりも大きい。即ち、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における温度の標準偏差と、そうでないときの給電サイクルにおける最大の温度の標準偏差との差がより大きくなるように第1指標及び第2指標を導出することにより、ノイズ等の影響を受けにくいより適切な閾値をステップ708において設定することが可能となる。
標準偏差プロファイル612に比べて、標準偏差プロファイル814の方が、給電サイクル602における標準偏差と給電サイクル604における標準偏差の差が大きくなる事象は次のように説明できる。給電サイクル602においては、エアロゾル生成装置100を長時間放置したことによって温度プロファイルの初期で負荷132の温度が上がりにくいものの、温度プロファイルの中期以降で負荷132の温度は沸点等で定常状態に落ち着くためだと考えられる。つまり、給電サイクル602においては、加熱プロファイルの中期以降の標準偏差が小さいため、後者に相当する第2指標から前者に相当する第1指標を減算したものは、小さな値を示しやすい。一方の給電サイクル604においては、当該サイクルの途中で保持部等におけるエアロゾル源の残量が枯渇するため、負荷132の温度が揺らぎやすい。つまり、給電サイクル604においては、加熱プロファイルの中期以降の標準偏差が大きい。従って、後者に相当する第2指標から前者に相当する第1指標を減算したものは、大きな値を示しやすい。
2-4 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断する第3例示処理
図9は、ステップ318又は324において実行される第3の例示処理900のフローチャートである。例示処理900が含む一部のステップは例示処理500又は700が含むステップと同一であるため、以下、例示処理500又は700に含まれないステップについて説明する。
902は、第1指標が第1閾値未満かを判定するステップを示している。このステップは、第1指標を導出したデータのばらつきが小さいか、即ち、負荷132の温度が定常状態であるかを判定することを目的とするものである。第1指標が第1閾値未満である場合、処理はステップ704に進み、そうでない場合、処理は終了する。
904は、第2指標が第2閾値以上かを判定するステップを示している。このステップは、第2指標を導出したデータのばらつきが大きいかを判定することを目的とするものである。ここで、第2閾値は、第1閾値と等しい場合もあるし、異なる場合もある。第2指標が第2閾値以上である場合、処理はステップ506に進み、そうでない場合、処理は終了する。
なお、この例では、第1指標及び第2指標は、計算用データのばらつきが大きいほど大きな値を示すものと仮定している。第1指標及び第2指標として計算用データのばらつきが大きいほど小さな値を示すものを用いる場合には、ステップ902において第1指標が第1閾値以上であるか否かを判定し、ステップ904において第2指標未満であるか否かを判定すればよい点に留意されたい。
ここで、図10を参照して、例示処理900におけるエアロゾル源の枯渇又は不足の判定について説明する。
図10は、各給電サイクルについての、計算用データから導出される負荷132の温度の標準偏差をプロットしたグラフ1000であり、グラフ600と同様のものである。但し、1012は、第1フェーズである時刻435から時刻436までの期間(図4Bを参照)に相当する計算用データから導出される温度プロファイルを示している。なお、例示処理900に係る以下の説明では、第2フェーズは時刻436から時刻437までの期間(図4Bを参照)であるものと仮定している。従って、標準偏差プロファイル1012及び614の各点は、それぞれ、ステップ702及び704において判定される第1指標及び第2指標に相当する。
標準偏差プロファイル1012と614とを対比すると、給電サイクル604において、前者の標準偏差1022は後者の標準偏差1024より小さくなっている。言い換えると、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)において、負荷132の温度の前半部分のばらつきは小さいが、後半部分のばらつきは大きいということである。一方、給電サイクル602において、前者の標準偏差1032は後者の標準偏差1034よりも大きい。これは、給電サイクル602では温度プロファイルの初期で負荷132の温度が上がりにくく定常状態とならないものの、温度プロファイルの中期以降で負荷132の温度は沸点等で定常状態に落ち着くために、負荷132の温度の前半部分のばらつきは大きいが、後半部分のばらつきは小さいためだと考えられる。
例示処理900によれば、この特徴を利用して、センサの出力値が定常状態に至った後の当該出力値の少なくとも一部から導出される第2指標を用いることにより、誤った判定がなされる可能性を低減することができる。
なお、センサの出力値が定常状態に至ったかは、単純に、センサの出力値が所定時間所定の範囲に収まっているか、又は、センサの出力値の所定時間の平均値と所定の値との差が所定の大きさ以下であるかによって判定することもできる。この点について詳述すると、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分である場合には、負荷132の温度は沸点等近傍に収束し、微視的にわずかな上下動を示しつつ、定常状態になる。後述するが、保持部等におけるエアロゾル源の残量が十分ではないが枯渇していない場合にも、負荷の温度は定常状態になる。従って、センサの出力が定常状態になった場合、センサの出力値は所定の範囲に収まるし、その平均値も所定の値に近づくことになる。従って、例示処理900におけるステップ902における判定は、センサの出力値及びその平均値の一方又は双方に基づくものであってもよいし、それらと第1指標に基づく判定とを組み合わせてもよい。
また、ステップ902及び904における第1閾値及び第2閾値は、貯留部等におけるエアロゾル源の残量が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における負荷132の温度の前半部分の標準偏差と後半部分の標準偏差との間、例えば、図10における標準偏差1022と標準偏差1024の間の値であってよい。
2-5 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断する第4例示処理
図11は、ステップ318又は324において実行される第4の例示処理1100のフローチャートである。例示処理1100が含む一部のステップは例示処理500が含むステップと同一であるため、以下、例示処理500に含まれないステップについて説明する。
1102、計算用データに基づき、負荷132の温度の平均値を計算するステップを示している。
1104は、ステップ504と類似のステップを示している。但し、ステップ504における「閾値」は、ステップ1104における「第1閾値」であり、また、計算された指標が第1閾値以上である場合、処理はステップ1106に進む点が相違する。なお、この例では、指標は、計算用データのばらつきが大きいほど大きな値を示すものと仮定している。指標として計算用データのばらつきが大きいほど小さな値を示すものを用いる場合には、このステップにおいて指標が第1閾値未満であるか否かを判定すればよい点に留意されたい。
1106は、ステップ1102において計算された平均値は第2閾値以上かを判定するステップを示している。計算された平均値が第2閾値以上である場合、処理はステップ506に進み、そうでない場合、処理は終了する。
ここで、図12を参照して、例示処理1100におけるエアロゾル源の枯渇又は不足の判定について説明する。
図12は、各給電サイクルについての、計算用データから導出される負荷132の温度の標準偏差及び平均温度を各給電サイクルでプロットしたグラフ1200であり、グラフ600と同様のものである。但し、1216は、時刻436から時刻437までの期間(図4Bを参照)に相当する計算用データから導出される平均温度を示している。以下、各給電サイクルでプロットした平均温度を平均温度プロファイルという。
平均温度プロファイル1216について検討すると、給電サイクル604における平均温度は、それより前の給電サイクルのうちの最大の平均温度である給電サイクル即ち給電サイクル1206における平均温度より大きい。言い換えると、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における平均温度は、そうでないときの給電サイクルにおける平均温度よりも大きい。この特徴を利用して、貯留部等におけるエアロゾル源の枯渇又は不足の判定に平均温度を追加で用いることにより、誤った判定がなされる可能性を低減することができる。なお、ステップ1106における第2閾値は、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における平均温度以下、且つ、そうでないときの最大の平均温度より大きい値であってよい。
なお、貯留部等におけるエアロゾル源が枯渇又は不足しているときの給電サイクル(保持部等におけるエアロゾル源が枯渇する給電サイクル)における平均温度が比較的高い値を示す理由は、エアロゾル源を構成する混合溶液のうち沸点の低いものから優先的に霧化される点や、エアロゾル源による負荷132の冷却効果が薄れる点などから説明できる。
2-6 エアロゾル源の枯渇又は不足の発生を判断する第5例示処理
図13は、ステップ318又は324において実行される第5の例示処理1300のフローチャートである。例示処理1300が含む一部のステップは例示処理500及び700が含むステップと同一であるため、以下、例示処理500及び700に含まれないステップについて説明する。
1302は、指標計算条件を初期化するステップを示している。指標計算条件は、ステップ702及び704において第1指標及び第2指標を導出するデータを指定するものである。
ここで、図4Cを参照して、指標計算条件の初期化について説明する。図4Cに表されたグラフは、図4Bのものと同一である。
例示処理1300においては、計算用データをある時刻を基準(以下、「分割時刻」という。)として2つの部分に分け、前半部分に相当する計算用データから第1指標を、後半部分に相当する計算用データから第2指標を導出することができる。従って、ステップ1302は、例えば、時刻440によって分割される前半部分(第1フェーズに相当し得る)442に相当する計算用データから第1指標が、後半部分(第2フェーズに相当し得る)444に相当する計算用データから第2指標が導出されるように、指標計算条件を初期化することができる。ここで、初期化に係る後半部分444は、短い方が好ましい。これは後述するように、保持部等においてエアロゾル源が枯渇する給電サイクルのみに起き得る加熱プロファイルの中期以降の負荷132の温度の揺らぎが、観測しやすくなるためである。
1304は、ステップ706において計算された差が閾値以上であるかを判定するステップを示している。計算された差が閾値以上である場合、処理はステップ506に進み、そうでない場合、処理はステップ1306に進む。
1306は、指標計算条件が更新可能かを判定するステップを示している。指標計算条件が更新可能と判定された場合、処理は指標計算条件を更新するステップ1308に進み、そうでない場合、処理は終了する。
ここで、図4Cを再度参照して、指標計算条件の更新について説明する。
指標計算条件の更新は、例えば、分割時刻をより前に移動させることであってよい。例えば、更新によって、分割時刻を時刻440から時刻450に変更し、次のステップ702及び704においては、前半部分452に相当する計算用データから第1指標が、後半部分454に相当する計算用データから第2指標が導出されるようにすることができる。このようにすることで、次のステップ702及び704においては、時系列でより前の計算用データから第1指標が、より後の計算用データから第2指標が計算されるようにすることができる。分割時刻の移動の量は、更新ごとに一定であっても異なっていてもよい。
なお、指標計算条件が更新可能であるかの判定は、所定の回数ステップ1308を実行したか、分割時刻が所定の時刻に到達したか、前半部分の長さが所定の長さ以下となったか等、任意の手法で判定してよい。
偏差に基づく指標は、当該指標を計算する計算用データの部分に応じて変化する。前述した通り、保持部等においてエアロゾル源が枯渇する給電サイクルでは、加熱プロファイルの中期以降における負荷132の温度が揺らぎやすい。指標計算条件を徐々に更新すれば、第2指標を計算するための負荷132の温度(標本)が徐々に増える。よって、中期以降の負荷132の温度の揺らぎに着目しながら、貯留部等においてエアロゾル源の枯渇又は不足が発生しているか否かを判断できる。従って、例示処理1300によれば、計算用データを変化させながら偏差に基づく指標を計算することにより、誤った判定がなされる可能性を低減することができる。
3 エアロゾル源に係る状態を推定又は検知するための処理
以下に説明する処理については、制御部106がすべてのステップを実行するものとして説明を行う。しかしながら、一部のステップがエアロゾル生成装置100の別のコンポーネントによって実行されてもよいことに留意されたい。
3-1 処理の概要
図14は、本開示の一実施形態による、貯留部116Aと保持部130の少なくとも一方の状態を推定又は検知するための例示処理1400のフローチャートである。例示処理1400が含む一部のステップは例示処理300が含むステップと同一であるため、以下、例示処理300に含まれないステップについて説明する。
1402は、ステップ312において記憶されたデータに基づき、貯留部116Aと保持部130の少なくとも一方の状態を推定又は検知するステップを示している。
3-2 エアロゾル源に係る状態を推定又は検知する第1例示処理
図15は、ステップ1402において実行される第1の例示処理1500のフローチャートである。
1502は、ステップ312において記憶されたデータに基づき、ステップ308において取得されたセンサの出力値の偏差に基づく指標σを計算するステップを示している。
なお、ステップ308におけるセンサは、負荷132の温度に関連する値を出力するものであるから、この指標σは、負荷132の温度の振る舞いに関する値の一例である。
1504は、ステップ312において記憶されたデータに基づき、負荷132の温度の平均値Taveを計算するステップを示している。
1510は、指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第1の所定の温度T1の差の大きさが閾値Δthre未満であるかを判定するステップを示している。
指標σが閾値σthreより小さいかの判定について説明すると、指標σが小さいことは、ステップ308におけるセンサの出力値のばらつきが小さいことを意味し、従って、負荷132の温度が安定していることを意味する。
ここで、図16を参照して、センサの出力値のばらつきが小さいことについて説明する。図16は、各給電サイクルについての、計算用データから導出される負荷132の温度の標準偏差をプロットしたグラフ1600であり、グラフ600と同様のものである。グラフ1600によれば、負荷132に初めて焦げや酸化などを原因とする変色が生じたことを目視で確認した給電サイクル604における温度の標準偏差1612は、それより前の給電サイクルのうちの最大の標準偏差即ち給電サイクル602における標準偏差1602より大きい。従って、閾値σthreを標準偏差1602より大きく標準偏差1612以下の値に設定すれば、負荷132に初めて焦げや酸化などを原因とする変色が生じる寸前の給電サイクルにおいて、σ<σthreは偽となり、よってステップ1510における判定は偽となる。
図15に戻ると、温度T1は、保持部130においてエアロゾル源の残量が十分であるときに、負荷132が達する温度、即ち、エアロゾル源の沸点等である。図4Aを再度参照すると、411はそのような温度T1を示している。例えば、エアロゾル源がプロピレングリコールである場合、温度T1は200℃であってよい。なお、温度T1は、実験により定めることができる。ここで、保持部130においてエアロゾル源の残量が十分でない場合には、電源110から供給されるエネルギーの全てがエアロゾル源の霧化に用いられないため、負荷132の平均温度Taveは温度T1を上回ることが分かっている。
即ち、ステップ1510は、負荷132の温度が、エアロゾル源の沸点等T1で定常状態となったかを判定する処理の一例である。なお、負荷132の温度がある温度で定常状態となったかは、単純に、センサの出力値が所定時間、当該ある温度を含む所定の範囲の温度に対応した所定の範囲に収まっているか、又は、センサの出力値の所定時間の平均値と、当該ある温度に対応する所定の値との差が所定の大きさ以下であるかによって判定することもできる。
指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第1の所定の温度T1の差の大きさが閾値Tthre未満である場合、処理はステップ1512に進み、そうでない場合、処理はステップ1520に進む。
1512は、変数COUNTがゼロであるかを判定するステップを示している。変数COUNTは、後述するように、過去の判定の情報を表すフラグとして用いられるものであり、簡潔に言えば、変数COUNTがゼロでないことは、過去においてステップ1510における判定が真でなかったことを表すものである。なお、変数COUNTは、例示処理1400を初めて実行する前の任意の時点においてゼロに初期化されていてよい。従って、ステップ1512が初めて実行されたとき、判定は必ず真となる。変数COUNTがゼロである場合、処理はステップ1514に進み、そうでない場合、処理はステップ1516に進む。
1514は、貯留部116A及び保持部130の双方におけるエアロゾル源の残量は十分であると推定又は検知するステップを示している。ここで、図17を参照して、ステップ1514における推定又は検知について説明する。
1700は、負荷132の温度が安定した場合の、給電サイクル間の負荷132の平均温度の遷移ついての幾つかのパターン1702~1710を表している。各パターンにおけるc1は、ある単一の給電サイクル(以下、「第1給電サイクル」という。)を示し、c2は、第1給電サイクルより後の単一の給電サイクル(以下、「第2給電サイクル」という。)を示している。
1702は、第1給電サイクルc1における平均温度が温度T1近傍であり、第2給電サイクルc2における平均温度も温度T1近傍である遷移パターンを示している。言い換えると、遷移パターン1702は、過去においても現在においても、負荷132の温度が温度T1近傍で定常状態であることを示し、このことは、過去においても現在においても、保持部130におけるエアロゾル源の残量が十分であることに対応する。
従って、遷移パターン1702が現れたときには、過去においても現在においても、保持部130におけるエアロゾル源の残量は十分であると判断することができる。この判断がなされたことは、貯留部116Aにおいてエアロゾル源の残量が十分であることの推定となる。
図15に戻ると、ステップ1514は、変数COUNTがゼロであるときのみ実行される。後述するが、変数COUNTは、過去に負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等で定常状態でなかった場合に増加する。言い換えると、ステップ1514に到達したということは、過去においても負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等で定常状態であったということであり、即ち、遷移パターン1702が現れたということである。従って、ステップ1514においては、貯留部116A及び保持部130の双方におけるエアロゾル源の残量が十分であると推定又は検知可能である。
1516は、変数COUNTをゼロに初期化するステップを示している。過去に負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等で定常状態でなかったため0より大きな値となった変数COUNTは、このステップでゼロに初期化される。
1518は、保持部130におけるエアロゾル源の霧化速度が、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給速度を上回っていると推定又は検知するステップを示している。ここで、図17を再度参照して、ステップ1518における推定又は検知について説明する。
1706は、第1給電サイクルc1における平均温度が温度T1よりも高い温度T2近傍である一方で、第2給電サイクルc2における平均温度は温度T1近傍である遷移パターンを示している。言い換えると、遷移パターン1706は、保持部130におけるエアロゾル源の残量が過去においては十分でなかったが、現在においては十分であることを示している。このような遷移パターン1706は、保持部130におけるエアロゾル源の霧化速度と、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給速度との不均衡が生じた場合に現れる。例えば、ユーザの吸気速度に応じて電源110から負荷132へ供給する電力を調整するエアロゾル生成装置100の場合、吸気速度が大きく、保持部130におけるエアロゾル源の霧化速度が、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給速度を上回ってしまうことが想定される。これにより、保持部130におけるエアロゾル源が一時的に不足したが、当該ユーザによる吸気が一旦終了した後のエアロゾル源の供給によって保持部130におけるエアロゾル源の残量が回復した場合には、遷移パターン1706が現れることになる。なお、ユーザが吸気してから次の吸気をするまでの間隔が短い場合にも、同様に遷移パターン1706が現れることになる。
図15に戻ると、ステップ1518は、負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等で定常状態となっているにもかかわらず、変数COUNTがゼロでない場合に達するものである。変数COUNTがゼロでないことは、過去において、負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等で定常状態となっていなかったことを意味する。即ち、ステップ1518に到達したということは、遷移パターン1706が現れたということである。従って、ステップ1518においては、保持部130におけるエアロゾル源の霧化速度が、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給速度を上回っていると推定又は検知することが可能である。
1520は、指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第2の所定の温度T2の差の大きさが閾値Δthre未満であるかを判定するステップを示している。なお、ステップ1510とステップ1520における閾値Δthreは、同一であっても異なっていてもよい。
ここで、図4Aを再度参照して、温度T2について説明する。出願人は、保持部130におけるエアロゾル源の残量が十分でもなければ枯渇もしていない場合に、温度411より高い温度412において、負荷132の温度が定常状態となるときがあることを見出した。このような現象がなぜ起きるのかについて完全には解明されていないが、複合的な要因による可能性がある。例えば、このような現象が起きる要因として、保持部130におけるエアロゾル源の部分的な枯渇又は不足が考えられる。また、例えば、このような現象が起きる要因として、エアロゾル源の成分の変化が考えられる。更に、エアロゾル源が混合液である場合には、例えば、このような現象が起きる要因として、エアロゾルを構成する液体の沸点の相違(沸点の低い液体から優先的に霧化される)が考えられる。温度T2は、このような温度412であり、実験により定めることができるものである。
即ち、ステップ1520は、負荷132の温度が、上記のような温度T2で定常状態となったかを判定する処理の一例である。
指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第2の所定の温度T2の差の大きさが閾値Tthre未満である場合、処理はステップ1522に進み、そうでない場合、処理はステップ1530に進む。
1522は、変数COUNTが閾値COUNTthre以上かを判定するステップを示している。COUNTthreは1以上の所定の値であってよい。変数COUNTが閾値COUNTthre以上である場合、処理はステップ1524に進み、そうでない場合、処理はステップ1526に進む。
1524は、保持部130においてエアロゾル源が不足したと推定又は検知するステップを示している。ここで、図17を再度参照して、ステップ1524における判断について説明する。
1708は、第1給電サイクルc1における平均温度が温度T2近傍であり、第2給電サイクルc2における平均温度も温度T2近傍である遷移パターンを示している。言い換えると、遷移パターン1708は、過去においても現在においても、負荷132の温度が温度T2近傍で定常状態であることを示している。このことは、過去においても現在においても、保持部130におけるエアロゾル源が十分ではないが枯渇はしていないことを意味している。
従って、遷移パターン1708が現れたときには、過去においても現在においても、保持部130におけるエアロゾル源の残量は十分ではないが枯渇はしていない、例えば、設計上、不足していると判断することができる。また、遷移パターン1708が現れたときには、過去においても現在においても、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量は不足している場合と枯渇している場合とがあるが、設計上、両者を区別せずに、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量は枯渇又は不足していると判断してよい。
図15に戻ると、ステップ1524は、変数COUNTが閾値COUNTthre以上であるときのみ実行され、後述するが、変数COUNTはステップ1526において1だけインクリメントされる。言い換えると、ステップ1524に到達したということは、ステップ1520における負荷132の温度が温度T2で定常状態となったとの判定が少なくともCOUNTthre回なされた、即ち、過去においても現在においても、負荷132の温度が温度T2近傍で定常状態であるということであり、遷移パターン1708が現れたということである。従って、ステップ1524においては、保持部130におけるエアロゾル源の残量が不足していると推定又は検知可能である。また、ステップ1524においては、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が枯渇又は不足しているとも推定又は検知可能である。なお、ステップ1524においては、保持部130について推定又は検知せずに、貯留部116Aと保持部130とのうち、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が枯渇又は不足していると推定又は検知してもよい。
更に、ステップ1524に最初に到達したときから、実際に保持部130におけるエアロゾル源が枯渇するまでの給電サイクル数を実験により予め求め、当該給電サイクル数を既定回数として設定してもよい。ステップ1524においては、エアロゾル生成装置100Aのユーザが当該既定回数のパフを行う即ち当該既定回数の給電サイクルが生じた後に、保持部130におけるエアロゾル源の残量が枯渇すると推定又は検知可能である。換言すれば、遷移パターン1708は、保持部130におけるエアロゾル源の残量の枯渇の予兆を示している。また、ステップ1524が実行された場合、制御部106は、既定回数又は既定回数よりも少ない給電サイクルが生じた後に、負荷132への給電を抑制するように構成することができる。このようにすれば、十分な量のエアロゾルを生成できない状態や、意図した香喫味を有するエアロゾルを生成できない状態において、負荷132への給電を行わずに済む。換言すれば、保持部130におけるエアロゾル源の残量が枯渇した状態において、負荷132への給電を行わずに済むため、負荷132が高温にならない。
1526は、変数COUNTをインクリメントするステップを示している。このステップにより、変数COUNTは1だけ増加することができる。
1528は、エアロゾル源に係る状態についての判断を保留するか、直近の判断を踏襲するとの判断を行うステップを示している。ここで、図17を再度参照して、ステップ1528における判断について説明する。
1704は、第1給電サイクルc1における平均温度が温度T1近傍である一方で、第2給電サイクルc2における平均温度は温度T2近傍である遷移パターンを示している。ここで第2給電サイクルc2を第1給電サイクルとみなし(以降、みなし第1給電サイクルとも呼ぶ)、みなし第1給電サイクルより後の給電サイクルを第2給電サイクルとみなすと(以降、みなし第2給電サイクルとも呼ぶ)、みなし第2給電サイクルにおいて、負荷132の平均温度が温度T1に下がれば実質的に遷移パターン1706が現れたことになり、温度T2であれば実質的に遷移パターン1708が現れたことになる。言い換えると、遷移パターン1704が現れた場合、遷移パターン1706のように、保持部130におけるエアロゾル源の霧化速度と、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給速度との不均衡が生じていると判断すべきなのか、遷移パターン1708のように、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量が不足していると判断すべきなのかを区別困難であるということである。従って、遷移パターン1704が現れたときには、判断を保留するか、又は、過去になされた判断(判断を保留するか、過去になされた判断を踏襲するという判断を含む。)を踏襲するという判断をすることが可能である。
図15に戻ると、ステップ1528は、変数COUNTが閾値COUNTthre以下であるときのみ実行される。ここで、変数COUNTが閾値COUNTthreより大きくなったときにはステップ1524における判断が、変数COUNTが閾値COUNTthreより大きくなる前に負荷132の温度が第1の所定の温度T1近傍に下がったときにはステップ1518における判断がなされることになる。言い換えると、ステップ1528に到達した場合には、遷移パターン1704が現れたものとみなすことが可能である。従って、ステップ1528においては、判断を保留するか、又は、過去になされた判断を踏襲するという判断をすることが可能である。
1530は、指標σが閾値σthre以上であるか、又は、平均温度Taveが第3の所定の温度以上かを判定するステップを示している。図17を再度参照すると、T3は、第3の所定の温度を示している。温度T3は、温度T2より大きく、保持部130におけるエアロゾル源が枯渇したときに到達し得る負荷132の最大温度より小さい温度であってよく、実験により定めることができるものである。例えば、温度T3は350℃であってよい。
1532は、保持部130におけるエアロゾル源の残量が枯渇していると推定又は検知するステップを示している。
ステップ1532は、指標σが閾値σthre以上である場合に実行される。図16を再度参照すると、指標σは、給電回数が所定回数を超えると、原則的には増加する。特に、上述したように閾値σthreを標準偏差1602より大きく標準偏差1612以下の値に設定すれば、保持部130におけるエアロゾル源の残量が、負荷132に焦げや酸化などを原因とする変色が初めて生じる寸前の状態であるかを判定可能である。ここで、負荷132に焦げや酸化などを原因とする変色が生じたことは、保持部130におけるエアロゾル源の残量の枯渇とみなすことができるから、設計上、指標σが閾値σthre以上である場合には、保持部130におけるエアロゾル源の残量は枯渇したと推定又は検知することが可能である。
また、ステップ1532は、平均温度Taveが温度T3以上である場合にも実行される。図16を再度参照すると、給電サイクル604における温度の標準偏差1612は、給電サイクル604より後の給電サイクルにおける温度の標準偏差よりも小さい傾向にある。しかしながら、給電サイクル1606における温度の標準偏差1622は、給電サイクル604における温度の標準偏差1612よりも小さい。これは、エアロゾル源が完全に枯渇することで、電源110から負荷132に給電される電力よる昇温作用と、負荷132の周囲の空気による降温作用が釣り合い、負荷132の温度が比較的高温で定常状態になっているためだと考えられる。
ところで、給電サイクル1606においては、給電サイクル604から時間が経過しているために、負荷132の平均温度は、保持部130におけるエアロゾル源が枯渇したときに到達し得る負荷132の最大温度近くに達しているものと推測される。従って、平均温度Taveが温度T3以上である場合にも、保持部130におけるエアロゾル源の残量は枯渇したと推定又は検知することが可能である。なお、図17を参照すると、過去における負荷132の平均温度が温度T2近傍であった場合には、平均温度Taveが温度T3以上であると判定されたとき、遷移パターン1710が現れたことになる。
保持部130におけるエアロゾル源の残量が枯渇した場合、貯留部116Aから保持部130へのエアロゾル源の供給がなされていないということであり、つまり、貯留部115Aにおけるエアロゾル源の残量は枯渇又は不足しているということである。従って、ステップ1532においては、貯留部116Aにおけるエアロゾル源の残量は枯渇又は不足しており、保持部130におけるエアロゾル源の残量は枯渇していると推定又は検知してよい。
指標σが閾値σthre以上であると判定するか、又は、平均温度Taveが第3の所定の温度T3以上であると判定した場合、処理はステップ1532に進む、そうでない場合、処理はステップ1534に進む。
1534は、ステップ1510、1520及び1530の何れの判定も偽である場合に到達するステップであり、ステップ1528における判断と同様に、エアロゾル源に係る状態についての判断を保留するか、直近の判断を踏襲するとの判断を行うステップであってよい。
3-3 エアロゾル源に係る状態を推定又は検知する第2例示処理
図18は、ステップ1402において実行される第2の例示処理1800のフローチャートである。例示処理1800が含む一部のステップは例示処理1500が含むステップと同一または類似であるため、以下、例示処理1800に含まれないステップについて説明する。
1810は、ステップ1510と類似のステップであるが、指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第1の所定の温度T1の差の大きさが閾値Δthre未満である場合に、処理がステップ1514に進み、そうでない場合、処理がステップ1820に進む点のみ相違する。即ち、例示処理1800によれば、負荷132の温度がエアロゾル源の沸点等T1において定常状態であると判定した場合、直ちに、貯留部116A及び保持部130の双方におけるエアロゾル源の残量は十分であると推定又は検知することができる。
1820は、ステップ1520と類似のステップであるが、指標σが閾値σthreより小さく、且つ、平均値Taveと第2の所定の温度T2の差の大きさが閾値Δthre未満である場合に、処理がステップ1524に進む点のみ相違する。即ち、例示処理1800によれば、負荷132の温度が第温度T2において定常状態であると判定した場合、直ちに、少なくとも保持部130におけるエアロゾル源の残量が不足していると推定又は検知することができる。
例示処理1500と例示処理1800を比較すると、前者では変数COUNTを用いている点に対し、後者では変数COUNTを用いていない点が相違する。また、前者では第1から第4の推定又は検知が行える点に対し、前者では第2の推定又は検知が行えない点が相違する。変数COUNTを用いる例示処理1500は、貯留部116Aと保持部130の少なくとも一方の状態を推定又は検知に手間が掛かるものの、その精度を担保できる。一方の例示処理1800は、貯留部116Aと保持部130の少なくとも一方の状態を推定又は検知を簡便に行えるものの、精度は例示処理1500に劣る。
4 おわりに
上述の説明において、本開示の実施形態は、エアロゾル生成装置及びエアロゾル生成装置を動作させる方法として説明された。しかし、本開示が、プロセッサにより実行されると当該プロセッサに当該方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施され得ることが理解されよう。
以上、本開示の実施形態が説明されたが、これらが例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。