JP6993315B2 - ピラノベンゾピランを基本骨格とする化合物 - Google Patents

ピラノベンゾピランを基本骨格とする化合物 Download PDF

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Description

本発明は、ピラノベンゾピランを基本骨格とする新規化合物に関する。
キンミズヒキ(金水引、学名:Agrimonia pilosa var. japonica )は、バラ科キンミズヒキ属の多年草である。キンミズヒキは、漢方生薬として古くから利用されており、様々な薬理活性が知られている。また安全性も熟知されている。
キンミズヒキの抽出物は、アレルゲン不活化剤としての利用(特許文献1)、抗男性ホルモン剤および乳頭細胞増殖促進剤(特許文献2)、美白及び抗老化剤、並びに皮膚化粧料(特許文献3)、ドーパオキシダーゼ活性抑制剤(特許文献4)、β-グルクロニダーゼ阻害剤(特許文献5)、中性エンドペプチダーゼ阻害剤(特許文献6)など、様々な医薬用途が提案されている。
しかし、上記に例示した先行技術にあっては、いずれも、その活性物質が何であるか特定していない。
本願の発明者らは、キンミズヒキの抽出物を用いて薬理作用の研究を行っている。その過程で、キンミズヒキの水又はエタノール抽出物に神経活性化作用を見出し、神経活性化剤として特許出願を行った(特許文献7)。キンミズヒキ抽出物には、神経伝達に関与する神経細胞中のリン酸化CaMKII(pCaMKII)及びリン酸化ERK1/2(pERK1/2)の増加をもたらし、c-fos、ArcなどのIEG (immediate early gene 最初期遺伝子)の発現を増強して、記憶に関わる神経を活性化し、記憶を増強する作用(特許文献7参照)があることが確認されている。
特開2008-174529号公報 特開2010-065008号公報 特開2010-065009号公報 特開2010-195731号公報 特開2010-220641号公報 特開2011-190214号公報 特開2018-008888号公報
本発明者らは、神経活性化物質を特定するため、研究を行い、新規化合物を見出した。
本発明は、新規化合物を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は次の通りである。
(1)化学式1で表される化合物。
Figure 0006993315000001
(2)化学式2で表される化合物。
Figure 0006993315000002
(3)化学式3で表される化合物。
Figure 0006993315000003
(4)化学式4で表される化合物。
Figure 0006993315000004
(5)化学式5で表される化合物。
Figure 0006993315000005
本発明により、ピラノベンゾピラン(Pyranobenzopyran)を基本骨格に持つ新規化合物が提供される。本発明の化合物は、神経伝達に関与する神経細胞中のリン酸化CaMKII(pCaMKII)及びリン酸化ERK1/2(pERK1/2)の増加をもたらし、c-fos、ArcなどのIEG (immediate early gene 最初期遺伝子)の発現を増強して、記憶に関わる神経を活性化し、記憶を改善する作用を有する。
したがって、本発明の化合物は、記憶に関わる神経系の活性化に有用であり、さらに神経系活性研究の試薬として利用できる。また記憶や神経活性化剤を得るための化学合成医薬品の出発物質、あるいは研究用試薬として利用できる。さらには、本発明の化合物を含有する飲食品や医薬品として利用することができる。
分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりキンミズヒキ抽出物から発明の化合物の単離精製を行った際に得られたクロマトグラフィーである。発明化合物が溶出されるピークに番号を付している。 図上段は、KM1~4(ピーク1~4の化合物)を添加した神経細胞のウエスタンブロッティングのバンドの発光像、下段はERKに対するリン酸化ERKの相対的リン酸化度(発光強度比)のグラフである。 化合物KM1~4(ピーク1~4の化合物)を添加した神経細胞におけるArcの相対的発現量の測定結果を示すグラフである。 化合物KM1~4(ピーク1~4の化合物)を添加した神経細胞におけるc-fosの相対的発現量の測定結果を示すグラフである。
本発明の各新規化合物は、キンミズヒキ(金水引、学名:Agrimonia pilosa var. japonica)を原料として抽出・精製工程を経ることにより得ることができる。また、化学合成によって得ることも可能である。さらにまた、キンミズヒキ以外の植物であっても、本発明の化合物を含有することが確認できた他の植物体からの抽出物や粗精製物、又は植物体の乾燥物や植物体のペーストを用いて、発明の化合物を単離精製することも可能である。
キンミズヒキから本発明の化合物を抽出・精製する場合、通常工業的に用いるいずれの抽出・精製工程であっても適宜組み合わせて用いることができる。原料である植物の葉、茎、根、花等を、適切な時期に採取した後、そのまま、若しくは通常通風乾燥等の乾燥工程に付し、抽出原料とする。上記の乾燥した植物体から抽出を行う場合は、公知の抽出方法を採用することができる。
すなわち、原料を粉砕若しくは細切した後、溶媒を用いて抽出を行う。抽出溶媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、クロロホルム等の親油性の溶媒を、単独若しくは混合溶媒として用いることができる。好ましくはエタノールと水の混合溶媒である。抽出温度は、通常0~100℃、好ましくは5~50℃である。抽出時間は、1時間~10日間程度であり、溶媒量は、乾燥原料あたり通常1~30倍重量、好ましくは5~10倍重量である。抽出操作は、攪拌によっても、浸漬放置によっても良い。
抽出操作は、必要に応じて2~3回繰り返しても良い。また市販されているキンミズヒキの抽出エキス品を化合物の単離・精製の原料としても良い。
上記の操作で得られた粗抽出液から、不溶性残渣を濾過若しくは遠心分離により取り除いた抽出液、あるいは植物の搾汁液からの各化合物の精製は、公知の生薬の分離精製方法であればどのようなものでも良い。通常は、二相溶媒分配法、向流分配法、カラムクロマトグラフィー法、分取用高速液体クロマトグラフィー法等を単独又は組み合わせて用いることが好ましい。
例えば二相溶媒分配法としては、前記の抽出液からn-ヘキサン、クロロホルム、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル等の溶媒と水との分配により、溶媒相へ目的化合物を回収する方法等があげられる。カラムクロマトグラフィー法としては、イオン交換カラムクロマトグラフィー法、担体として順相系、又は逆相系シリカゲルを用いる方法、ダイヤイオンHP-20等を用いる吸着カラムクロマトグラフィー法、担体としてセファデックスLH-20等の修飾デキストランゲルを用いるゲルろ過法等があげられる。これらを単独若しくは組み合わせて、また、反復して実施する。分取用高速液体クロマトグラフィー法としては、オクタデシルシリカ等を用いる逆相系のカラムを用いる方法、シリカゲル等を用いる順相系のカラムを用いる方法等があげられる。
本発明の化合物を含む飲食の形態としては、キンミズヒキ乾燥物を用いたお茶、各化合物の純品、当該新規化合物の部分精製品、キンミズヒキからの粗抽出物を配合した食品などがあげられる。
お茶としては、単独又は他の茶原料と混合して用いても良い。他の茶原料としては、緑茶、ウーロン茶、プーアル茶、紅茶、ほうじ茶、玄米茶、杜仲茶、柿の葉茶、桑の葉茶など、通常お茶として食されるものであれば、どのようなものであっても用いることができる。
本発明の化合物を含む飲食品の形態としては、お茶のほか、ドリンク剤、ゼリー、ビスケット、錠剤、丸剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等、通常食品として提供可能な形態であれば、いずれの形態も用いることができる。副原料として、賦形剤、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いることもできる。
本発明の化合物を含有する食品による各新規化合物の有効摂取量は、摂取形態、対象者の健康状態、対象者の年齢等により異なるが、通常成人一日あたり通常0.001~100mg、好ましくは0.01~10mg、さらに好ましくは0.1~1mgである。
本発明の化合物を含有する医薬品の投与経路としては、特に限定されない。経口投与・直腸内投与等の経腸投与、経鼻投与などの粘膜投与、静脈内投与・皮下投与などの注射投与等を例示できる。本発明の医薬品の剤型としては、投与方法に適した製剤の形態をとることができる。錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末、丸剤、トローチ剤等の固形剤、溶液、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤などの液剤、ゲル状の製剤などが例示できる。各化合物の純品、精製物、粗精製物等をそのまま投与しても良いが、薬理的に許容される賦形剤とともに投与しても良い。また記憶等に係る神経の活性化に関する有効成分として、本発明の化合物のみを含有させることができる。そして、さらにその他の神経系の活性化に関する有効成分を併用できる。
賦形剤としては、単糖類、二糖類、多糖類、無機塩、油脂、蒸留水などの製剤として一般に使用可能なものであればいずれも用いることができる。製剤化する際には、結合剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤等の添加剤を用いることもできる。
本発明の各化合物を含む医薬品としての投与量は、投与経路、剤形、疾患の症状、対象者の年齢等により異なる。一般的に、成人一日あたり0.1~1000mg、好ましくは0.5~300mg、さらに好ましくは1~100mgである。
以下に、本発明の各化合物をキンミズヒキから抽出精製し、単離した化合物を特定した実施例を示す。また精製した各化合物を用いた神経細胞の活性化試験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
1.乾燥キンミズヒキからの単離・精製
(1)抽出・濃縮操作
株式会社栃本天海堂が販売する乾燥キンミズヒキ(Agrimonia pilosa var. japonica、商品名:センカクソウ)をブレンダ―を用いて粉砕した。粉砕物500gを99.5%エタノール-溶液5,000mLに常温で72時間、浸漬して抽出操作を行った。
得られた抽出液を吸引濾過後、濾液を減圧濃縮し、粗抽出物を15g得た。
この粗抽出物の全量を90%メタノール-水混合溶液に溶解し、ついで等量のヘキサンを用いて分液ロート中で3回振盪して脱脂した。
脱脂終了後、90%メタノール-水層を減圧濃縮し、濃縮物を7.5g得た。そのうち1.5gをあらかじめ、水、メタノールにてコンディショニングした固相抽出カートリッヂ(phenomenex社製, StrataC18-E, 55mm, 70A, 50g/150mL)に吸着させ、次いで40%メタノール-水溶液500mLでカラムを洗浄した。洗浄後、60~70%メタノール-水溶液にて溶出した。溶出液を回収し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、390mgの溶出物を得た。
(2)化合物の単離・精製
回収した濃縮液全量を用いて、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により化合物の単離精製を行った。
[分取HPLCの条件1]
移動相 A液0.1%ギ酸水溶液(20): B液アセトニトリル(80)
流速 20mL/min
カラム YMC-Triart C18 20×250mm 粒子径5μm(株式会社ワイエムシイ)
カラム温度 室温
検出 UV280nm
上記条件で行った分取クロマトグラフィーを図1に示す。
溶出時間10分以降に出現した5つのピークを分取し、溶出順にそれぞれをピーク1、ピーク2、ピーク3、ピーク4、ピーク5とした。この分取液を減圧濃縮し、乾固させて回収した。
ピーク1~5の乾固物を、それぞれ再度分取用HPLCにかけて、各ピークを精製した。
[分取HPLCの条件2]
移動相 A液0.1%ギ酸水溶液(30): B液アセトニトリル(70)
流速 5mL/min
カラム CapcellpakC18 UG-120 10×150mm 粒子径5μm(大阪ソーダ株式会社)
カラム温度 40℃
検出 UV280nm
得られたピーク1~5回収液を同様に減圧濃縮し、乾固させて最終試料を回収した。
回収した最終乾固物の質量は次のとおりである。
ピーク1 8.52 mg
ピーク2 10.63 mg
ピーク3 15.27 mg
ピーク4 10.72 mg
ピーク5 15.50 mg
2.構造決定
回収した最終乾固物を高分解能ESI-TOFMS(飛行時間型質量分析装置)、1H-NMR、13C-NMRおよびCOSYスペクトル、HMQCスペクトル、HMBCスペクトルを測定して各ピークの化合物構造を決定した。
各ピークの高分解能ESI-TOFMS(飛行時間型質量分析装置)、1H-NMR、13C-NMRデータ (600MHz, CD3OD)及びCOSYスペクトル、HMQCスペクトル、HMBCスペクトルにより決定した平面構造式を以下に示す。
ピーク1(KM1)
TOF-MSデータ
m/z 475.1961[M+H]+, C25H30O9(474.1890)
H-NMR
4”:0.99ppm(d、J=7.4Hz) 2’Me:1.14ppm(d、J=6.8Hz) 3’:1.16ppm(d、J=6.8Hz) 15:1.27ppm(s) 3”:1.68ppm(tq、J=7.4Hz、J=7.4Hz) 14:2.16ppm(s) 11:2.24ppm(s) 3:2.48ppm(s) 5:2.86ppm(s) 2”:2.93ppm(t、J=7.4Hz) 12:3.75ppm(s) 2’:3.78ppm(m)
13C-NMR
11:9.3ppm 4”:14.6ppm 3’:20.1ppm 15:20.3ppm 2’Me:20.3ppm 3”:20.9ppm 14:24.0ppm 5:27.8ppm 2”:39.4ppm 2’:41.0ppm 4a:43.1ppm 3:62.3ppm 12:63.7ppm 1a:103.0ppm 5a:106.5ppm 7:112.0ppm 9:112.5ppm 9a:154.8ppm 8:161.0ppm 6:161.9ppm 2:162.5ppm 1”:201.5ppm 4:202.6ppm 13:203.6ppm 1’:213.2ppm
Figure 0006993315000006
ピーク2(KM2)
TOF-MSデータ
m/z 475.1985[M+H]+, C25H30O9(474.1890)
H-NMR
4’:0.97ppm(t、J=7.2Hz) 4”:0.98ppm(t、J=7.2Hz) 15:1.26ppm(s) 3”:1.68ppm 3’:1.71ppm(m) 14:2.15ppm(s) 11:2.24ppm(s) 5:2.86pm(s) 2”:2.92(m) 2’:3.09ppm(dt、J=1.9Hz、J=7.2Hz) 12:3.77ppm(s)
13C-NMR
11:9.4ppm 4’:14.6ppm 4”14.6ppm 3’:19.5ppm 15:20.8ppm 3”:21.0ppm 14:24.0ppm 5:27.7ppm 2”39.8ppm 4a:43.1ppm 2’:46.5ppm 3:62.3ppm 12:63.1ppm 1a:103.0ppm 5a:106.4ppm 7:112.3ppm 9:112.4ppm 9a:155.2ppm 8:161.7ppm 2:162.5ppm 6:162.6ppm 1”:201.8ppm 4:203.1ppm 1’:208.7ppm
Figure 0006993315000007
ピーク3(KM3)
TOF-MSデータ
m/z 489.2128[M+H]+, C26H32O9(488.2046)
H-NMR
3”Me:0.96ppm(t、J=7.3Hz) 4”:0.97ppm(t、J=7.3Hz) 2’Me:1.14ppm(d、J=6.6Hz) 3’:1.15ppm(d、J=6.8Hz) 15:1.27ppm(s) 3”:1.70ppm(m) 14:2.16ppm(s) 11:2.24ppm(s) 5:2.87ppm(s) 2”:3.08ppm(m) 12:3.75ppm(m) 2’:3.78ppm(m)
13C-NMR
11:9.3ppm 4”:14.7ppm 3”Me:14.7ppm 3’:20.1ppm 2’Me:20.3ppm 15:20.9ppm 14:24.1ppm 5:27.8ppm 3”:28.8ppm 2’:41.0ppm 4a:43.4ppm 3:62.3ppm 12:63.7ppm 1a:102.9ppm 5a:105.9ppm 9:112.5ppm 7:112.0ppm 9:112.5ppm 9a:155.0ppm 8:161.7ppm 2:162.5ppm 6:162.6ppm 4:202.5ppm 13:203.7ppm 1”:208.7ppm 1’:213.1ppm
Figure 0006993315000008
ピーク4(KM4)
TOF-MSデータ
m/z 475.2133[M+H]+, C26H32O9(488.2046)
H-NMR
4”:0.84ppm(t、J=7.2Hz) 4’:0.97ppm(t、J=7.2Hz) 5”:1.11ppm(d、J=7.1Hz) 15:1.28ppm(s) 3”:1.69ppm(m) 3’:1.71(tq、J=7.2Hz、J=7.2Hz) 14:2.17ppm(s) 11:2.23ppm(s) 3:2.48ppm(s) 5:2.87ppm(s) 2’:3.09ppm(d、J=1.9Hz、J=7.2Hz) 12:3.76ppm(s) 2”:3.77ppm(m)
13C-NMR
11:9.4ppm 4”:12.5ppm 4’:14.6ppm 5”: 17.2ppm 3’:19.5ppm 15:20.8ppm 14:24.0ppm 5:27.7ppm 3”:28.7ppm 2”:41.9ppm 4a:43.1ppm 2’:46.5ppm 3:62.3ppm 12:63.1ppm 1a:102.9ppm 5a:106.2ppm 7:112.3ppm 9:112.4ppm 9a:155.2ppm 8:161.7ppm 2:162.5ppm 6:162.6ppm 4:202.9ppm 13:203.5ppm 1”:205.7ppm 1’:208.7ppm
Figure 0006993315000009
ピーク5(KM5)
TOF-MSデータ
m/z 503.22723[M+H]+, C27H34O9(502.2203)
H-NMR
4”:0.83ppm(t、J=7.3Hz) 4’:0.90ppm(t、J=7.4Hz) 2’Me:1.15ppm(d、J=6.9Hz) 2”Me:1.20ppm(d、J=6.7Hz) 15:1.27ppm(s) 3”:1.69ppm(m) 3’:1.78ppm(m) 14:2.16ppm(s) 11:2.24ppm(s) 3:2.48ppm(s) 5:2.87ppm(s) 2’:3.68ppm(m) 2”:3.75ppm(m) 12:3.76ppm(s)
13C-NMR
11:9.4ppm 4’:12.7ppm 4”12.7ppm 2”Me:17.6ppm 2’Me:17.8ppm 15:20.8ppm 14:24.1ppm 5:27.8ppm 3’:28.8ppm 3”:28.9ppm 2”:41.8ppm 4a:43.1ppm 2’:47.7ppm 3:62.3ppm 12:63.7ppm 1a:102.9ppm 5a:106.2ppm 7:112.5ppm 9:112.6ppm 9a:155.0ppm 8:161.2ppm 6:162.0ppm 2:162.5ppm 4:202.9ppm 13:203.6ppm 1”:205.0ppm 1’:213.1ppm
Figure 0006993315000010
以上のKM1~5の化合物はいずれもピラノベンゾピラン骨格を有する新規化合物であった。
3.神経細胞活性化試験
上記の新規化合物のうち、ピーク1~4の化合物を用いて神経細胞活性化試験を実施した。
なお、以下の試験において、ピーク1~4は、それぞれKM1~4の試験試料名称で実施した。
したがって以下の試験結果はピーク1~4と読みかえることができる。
(1)リン酸化ERK(pERK)の増加作用確認試験(ウエスタンブロット試験)
KM1~4の化合物による、神経活性化の基点となる分裂促進因子(ERK)のリン酸化増強作用を試験した。
1)試験方法
妊娠17日目のSDラット(日本エスエルシー)から胎仔を取り出し、大脳皮質と海馬を単離した。この大脳皮質と海馬から、神経細胞分散液キット(住友ベークライト)を用いて添付の説明書に従い、初代神経細胞を調製した。調製したラット初代神経細胞を2% B27(Gibco)、0.5mM L-グルタミン(Gibco)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)を含むニューロベイサル培地(Gibco)で4×105 cells/mLの細胞密度になるように分散させて懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を、ポリ-L-リジンコートした48ウエルプレート(住友ベークライト)に350μLずつ播種し、37℃、5% CO2雰囲気下で培養した。
培養7日目に、予めジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したKM 1~4 、およびキンミズヒキエタノール抽出物を、それぞれ終濃度が1~10μg/mL, 50μg/mLとなるように添加し、さらに20分培養後に上清を除去した。
次いでPBS(Gibco)で細胞を洗浄した後、プロテアーゼ阻害剤、フォスファターゼ阻害剤(Roche Diagnostics)を加えたRIPA溶液(50mM Tris-HCl (pH8.0)、150mM NaCl、0.1% SDS、0.5%デオキシコルチコステロン(DOC)、1% NP-40)150μLを加え細胞抽出液を調製した。そしてBCA assay kit(Pierce Chemical)で細胞抽出液のタンパク質定量を行った。
調製した細胞抽出液に4倍希釈 Laemmli sample溶液(Bio-rad)と終濃度50mMになるようジチオトレイトール(DTT:和光純薬工業)を加え、95℃、5分加熱し、電気泳動用のサンプルを調製した。
電気泳動は、1レーンあたり1.2μgのタンパク質量に相当するサンプル量をCriterion(商標) TGX(商標) プレキャストゲル(4-20%:26レーン、Bio-rad)にロードし、電気泳動を行い、終了後、トランスブロットTurboミディPVDF転写パック(Bio-rad)を用いて1A、25 V、30分の条件で転写反応を行った。
転写させたメンブレンをBlocking One(ナカライテスク)に浸し、室温で1時間振盪させながらブロッキングした。次いで、Canget Signal Solution 1(東洋紡)で1/1000倍に希釈した抗p44/42 MAPK (Erk1/2) (L34F12) 抗体(Cell Signaling Technology)に浸し、4℃で振盪させながら一晩反応させた。反応終了後TBS-T溶液で3回洗浄し、10% Blocking One -TBS溶液で1/10000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(Invitrogen)で浸し、室温で振盪させながら1時間反応させた。反応終了後TBS-T溶液で3回洗浄し、次いでECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare)で5分反応させ発光量をChemiDoc(Bio-rad)にて測定した。
測定したメンブレンはTBS-Tで洗浄後、リプロービングバッファー(2% SDS, 100mM 3-Mercapto-1,2-propanediol, 62.5mM Tris-HCl, pH6.7)に浸し、60℃で30分浸透させた。TBS-Tで再度洗浄後、Blocking One(ナカライテスク)に浸し、室温で1時間振盪させながらブロッキングした。ブロッキング終了後、Canget Signal Solution 1(東洋紡)で1/3000倍に希釈した抗phospho-p44/42 MAPK (Erk1/2)(Thr202/Tyr204) (197G2)抗体(Cell Signaling Technology)に浸し、4℃で振盪させながら一晩反応させた。
次いでメンブレンをTBS-T溶液で3回洗浄した後、10% Blocking One -TBS溶液で1/10000倍に希釈したHRP標識抗ラビットIgG抗体(Invitrogen)で浸し、室温で振盪させながら1時間反応させた。次いでメンブレンをTBS-T溶液で3回洗浄した後、ECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare)で5分反応させ、ウエスタンブロッティングバンドの発光量をChemiDoc(Bio-rad)にて測定した。
得られたウエスタンブロッティングのバンドの発光量(強度)をImage lab software(biorad)ソフトを使用して測定し、発光強度を元に相対的リン酸化度を算出した。
2)試験結果
試験結果を図2に示す。図上段はウエスタンブロッティングのバンドの発光像、下段はERKに対するリン酸化ERKの発光強度比(%)のグラフである。KM1~4はいずれも濃度依存的に、ラット初代神経系培養細胞におけるリン酸化ERKが増加していた。
(2)最初期遺伝子発現増強作用
1)試験方法
上記「pERKの増加作用確認試験」に記載の方法と同様に、ラット初代神経細胞を調製し、7日間培養した。
KM 1~4 、およびキンミズヒキエタノール抽出物を、それぞれ終濃度が1~10μg/mL、50μg/mLとなるように培養液に添加し1時間培養した後、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用い、添付の説明書に従ってRNAを調製した。
調製した100ngのRNAを用いて、PrimeScript RT reagent kit(タカラバイオ)を使用し、添付の説明書に従いcDNAを作製した。
特許文献7の結果から最初期遺伝子としてc-fos,及びArcを選定した。
c-fos及びArcの発現量は、1μL cDNA、ラットc-fos, Arc taq man probe(TaqMan Gene expression assays: Applied Biosystems)とPremix Ex Taq Perfect Real Time(タカラバイオ)を混合し、Quanti Studio (Applied Biosystems)を用いて、95℃、10秒、(95℃、15秒→60℃、30秒)×45サイクル、50℃、30秒のPCR反応条件で測定を行った。内部標準としてGAPDHの発現量をRodent GAPDH control Reagents(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を使用し、上記と同様な反応で測定した。
測定により得られたCt値からGAPDHを内部標準としてΔΔCt法により、各サンプルの相対的遺伝子発現量を算出した。
2)試験結果
図3にArc、図4にc-fosの相対的発現量の測定結果を示す。KM1~4はいずれも濃度依存的にラット初代神経系培養細胞において最初期遺伝子の発現量が増加していた。なかでもKM1は高活性を示した。
以上のラット初代神経系培養細胞を用いた試験から、KM1~4の化合物は、リン酸化ERKを増加させ、その反応の制御下にある神経活性化遺伝子のARC及びc-fosの発現を促進することから神経を活性化することが判明した。

Claims (5)

  1. 化学式1で表される化合物。
    Figure 0006993315000011
  2. 化学式2で表される化合物。
    Figure 0006993315000012
  3. 化学式3で表される化合物。
    Figure 0006993315000013
  4. 化学式4で表される化合物。
    Figure 0006993315000014
  5. 化学式5で表される化合物。
    Figure 0006993315000015
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