JP6990539B2 - 血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物 - Google Patents

血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、アンペロプシンを有効成分として含有する血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物に関する。
末梢血管抵抗性の指標となる平均血圧は、拍動のない定常流によって生じる圧であり、拍動のない定常流は、細動脈から先の末梢血管抵抗を示す。この為、末梢血管の肥厚や狭小化が生じれば、総末梢血管抵抗性が増加し、平均血圧が上昇する。平均血圧が上昇すると高血圧の症状が現れるが、この高血圧は30歳代からの早い段階で現れる高血圧のパターンに多く、末梢血管抵抗性が上昇する為に生じると考えられている。
高血圧者を対象とした臨床試験では、対象者に食塩を摂取させると、末梢血管抵抗性の指標となる平均血圧や収縮期血圧が増加することが明らかとなっている。これは食塩により末梢血管が何らかの刺激を受け、末梢血管抵抗性が増加する為に現れる高血圧だと考えられている。食塩の摂取により生じる高血圧は、末梢血管抵抗性の増加が一つの要因になっていることが予測される。
先にも記述した様に、高血圧と末梢血管抵抗性の増加には密接な関係があるが、末梢血管抵抗性の増加と動脈硬化にも密接な関係が存在すことが明らかになっている。
動脈硬化には、アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)、細動脈硬化、中膜石灰化硬化(メンケベルグ硬化)の3つのタイプが存在するが、一般に「動脈硬化」といえばアテローム性動脈硬化を指すことが多い。しかし、近年、末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化すなわち末梢血管の硬化が注目されている。
末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化は、血管壁の老化などに伴い末梢動脈血管の弾力性がなくなり硬くなる症状をいう。この場合、血管の弾力性がないため、血圧が高くなると血管が破裂しやすく、特に脳内で破裂すると身体の機能が突然麻痺する脳卒中になりやすく、危険な病気である。血圧を下げる薬を服用する以外に決定的な解決策はないといわれている。
末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化をはじめとする動脈硬化の指標や血管の柔軟性および血管年齢の評価として脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity:PWV)が指標として用いられる。特許文献1には、米タンパク質または米原料醸造物由来タンパク質をタンパク質分解酵素で処理した処理物中に含有されるジペプチドが脈波伝播速度(PWV)を改善することが記載されている。
PWVは、上記のとおり、末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化をはじめとする動脈硬化の指標や血管の柔軟性および血管年齢の指標としてすでに広く利用されている。加齢にともなうPWV上昇と、加齢と動脈壁の硬化が相関していることが確認されている。このためPWVの測定を血管の老化指標として診断に取り入れることが医学界では推奨されている。
例えば、日本循環器学会などの内科系10学会の合同の共同研究班は、PWV測定のガイドラインを定め(非特許文献1参照)、血管の柔軟性および動脈硬化などを非侵襲的に診断するための技術として重要視している。
PWVの測定は、臨床検査用の装置が市販されており、これにより容易に測定が可能となっている。市販の測定装置としては、特許文献2に記載の装置や、form PWV/ABI(オムロンコーリン社製)、動脈スティフネス指標CAVIの測定装置VaSera(フクダ電子社製)などが普及している。
本発明者らも、PWV測定装置を用いて、血管柔軟性や動脈硬化に影響を及ぼす物質の研究を進めている。
末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化は血圧の上昇をもたらすことが知られている。その発生の機構はかならずしも解明されているとはいえないが、食塩の過剰摂取が関与しているといわれている。すなわち、食餌性の過剰食塩摂取は、細胞外液量および循環血液量の増加をもたらし、静脈還流の増大から心拍出量の増加が起こり、血圧が上昇する。あわせて過剰の食塩摂取によってナトリウム輸送抑制因子が増加し、細動脈平滑筋細胞内のナトリウム濃度が上昇し、血管収縮が起こり、さらに血圧が上昇する。これは一時的な末梢血管抵抗性増加であり細動脈硬化であるともいうことができる。
本発明者らは、この食塩過剰摂取による血圧の一時的上昇現象に注目して、研究を行っている。また末梢血管抵抗性に影響を与える細動脈硬化を含む動脈硬化症と血管柔軟性の低下予防・改善をするための飲食品の研究を継続的に行っている。
このような背景にあって、本発明者らは、天然物や天然抽出物について血管の柔軟性および血管年齢の評価ができるPWVを低下させる物質の探索を継続して行っている。そして、中国や東南アジア地域の伝統的な食品である藤茶にPWVの上昇抑制作用が存在することを発見した。藤茶には様々な薬効が存在することが知られている。その作用は、急性肝炎などの肝臓疾患治療効果(特許文献3)、抗菌効果(特許文献4)、色素退色防止作用(特許文献5)など多岐に渡っている。しかし藤茶にPWVの上昇を抑制させ、血管柔軟性低下および動脈硬化を抑制し、改善治療する作用が存在することは、食経験の長い食品でありながらこれまでまったく知られていなかった。
特開2009-167127号公報 特開2003-126058号公報 特開2003-26584号公報 特開2002-159566号公報 特開2002-65201号公報
"循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011-2012年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン Guidelines for non-invasive vascular function test(JCS 2013)"[online]日本循環器学会、日本高血圧学会、日本心臓病学会、日本腎臓学会、日本超音波医学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本脈管学会、日本臨床生理学会、日本老年医学会、インターネット<URL:http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_yamashina_h.pdf>
本発明者らは、上記のような背景技術をもとに研究を行い、藤茶抽出物が強いPWV低下作用並びに血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善作用を有していることを発見した。そして、さらに研究を進めたところ、血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善作用を示す物質が藤茶中に含まれるフラボノイドの一種であるアンペロプシンであることを発見し、本発明をなした。
すなわち、本発明の課題はアンペロプシンを有効成分とする血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物を提供することにある。
本発明の主な構成は以下の通りである。
(1)アンペロプシンを有効成分として含有する血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物。
(2)アンペロプシンを10質量%以上含有する血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物。
(3)アンペロプシンが藤茶抽出物由来である(1)又は(2)に記載の血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物。
(4)藤茶抽出物を含む血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物。
(5)血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防又は改善用の藤茶抽出物含有飲食品組成物。
(6)アンペロプシンを10質量%以上含有する(5)に記載の飲食品組成物。
(7)血管柔軟性低下および動脈硬化が末梢血管・毛細血管の細動脈硬化である(1)~(6)のいずれかに記載の組成物。
本発明によりあらたな血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物が提供される。また血管柔軟性の低下予防・改善並びに動脈硬化予防及び改善用飲食品組成物とすることができる。
ヒト試験における右上腕動脈と右足首間のPWV測定結果を示す。 ヒト試験における左上腕動脈と左足首間のPWV測定結果を示す。 アンペロプシンを含む被験食投与群とプラセボ投与群の12週間の末梢血管柔軟性の変化の指標である平均血圧(MBP)の測定結果を示す。
本発明は、アンペロプシンを有効成分として含有する血管柔軟性の低下予防・改善および動脈硬化予防・改善用組成物に係る発明である。
藤茶は、ブドウ科蛇葡萄属の植物であり、中国名を顕歯蛇葡萄という。学名は、Ampelopsis grossedentataである。主には中国の広西、広東、雲南、貴州、湖南、湖北、江西、福建などの省並びに自治区に分布している。中国の広西、湖南などの省や自治区の壮族や瑶族の人々がこの茎および葉から作った飲料を常用しており、風邪、のどの痛みなどにも利用されている。アンペロプシンは、藤茶の示す肝臓疾患の治療作用や抗菌作用の活性本体として特定されている。
アンペロプシンは、下記の式で表される。
Figure 0006990539000001
アンペロプシンは、例えば、藤茶(Ampelopsis grossedentata)、大叶蛇葡萄(Ampelopsis megalophylla)、広東蛇葡萄(Ampelopsis cantoniensis)、ケンポナシ(Hovenia dulcis)、オノエヤナギ(Salix sachalinensis)、ヨレハマツ(Pinus contorta)、Erythrophleum africanum及びカツラ(Cercidiphyllum japonicum)から選ばれる植物の抽出物から単離精製することができる。これらの中でも、藤茶が好ましい。
具体的には、Ampelopsis属植物である藤茶(Ampelopsis grossedentata)から、下記のようにしてアンペロプシンを得ることができる。
すなわち、乾燥させた藤茶の枝葉部を含水エタノールで抽出した抽出物を濃縮し、例えば多孔性樹脂(DIAION(登録商標)HP-20)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、80容量%含水メタノールで溶出される分画にアンペロプシンが得られる。これを逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーや再結晶により、更に精製することができる。精製されたアンペロプシンは、試薬としても販売されており、これを用いることもできる。
本発明の組成物としては、上記のアンペロプシンを10質量%以上含有するものであれば使用可能である。このような組成物を藤茶から得るためには以下のような操作を行う。
乾燥した藤茶の葉又は茎の粉砕物又は粉末を抽出原料とし、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒に投入し、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で任意の装置を用いて抽出することにより得ることができる。
抽出に用いる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。
また、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して30~90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して10~40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10~90質量部添加することが好ましい。
抽出溶媒を満たした処理槽に、藤茶の乾燥・粉砕物を投入し、必要に応じて時々撹拌しながら、30分~2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、この抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は、抽出原料の通常5~15倍量(質量比)であることが好ましく、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50~95℃で1~4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いる場合には、通常40~80℃で30分~4時間程度である。
得られた抽出液から抽出溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られる。更に乾燥すれば、固形の抽出物が得られる。本発明においては、アンペロプシンの含有量が10質量%以上、好ましくは20質量%以上であれば、上記抽出液又はその濃縮液の状態であっても良い。これらは、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂、液―液向流分配などの方法により精製してから用いても構わない。
したがって、上記の藤茶から抽出し、アンペロプシンの濃度を高めた抽出物も本発明の組成物として使用可能である。
なお、アンペロプシンは、投与量依存性にPWVを低下させ細動脈硬化を抑制することができる。
組成物中のアンペロプシンの含有量は、HPLCなど公知の分析方法で分析することができる。定量方法の概略は次のとおりである。
・試料溶液の調製
試料(抽出物)約20mgを精秤し、蒸留水を加えて超音波処理して溶解し、正確に50mLとする。この溶液2mLを50mLに正確に希釈し、試料溶液とする。
・標準溶液の調製と検量線作成
標準品(Dihydromyricetin SIGMA-ALDRICH社製)2.00mgを精秤し、100%アセトニトリルを適量加えて超音波処理して溶解し、さらにアセトニトリルを加えて正確に25mLとし、アンペロプシン標準原液80μg/mLを調製する。この標準原液を蒸留水にて正確に5倍希釈して、16μg/mLアンペロプシン標準溶液を調製する。HPLCへの注入量を10、20、40μLとし、アンペロプシンのピークに基づいて検量線を作成する。
・HPLC測定条件
下記表1の条件に設定する。
Figure 0006990539000002
本発明の動脈硬化予防・改善用組成物は、そのまま、あるいは各種賦形剤を添加して製剤化する。製剤としては顆粒剤、錠剤、カプセル剤を例示することができる。
また組成物をそのまま、あるいは製剤化したものを飲食品に添加して用いることもできる。
なお製剤化に当たっては、賦形剤やその他の有効成分を本発明の組成物の目的を阻害しない範囲で使用することができる。具体的には、シクロデキストリン、へミセルロース、リグニン、グアーガム、コンニャクマンナン、イサゴール、アルギン酸、寒天、カラギーナン、キチン、カルボキシルメチルセルロース、ポリデキストロースなどの食物繊維や増粘剤、食用油、カルシウム、鉄、ナトリウム、亜鉛、銅、カリウム、リン、マグネシウム、ヨウ素、マンガン、セレンなどのミネラル;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などの脂溶性又は水溶性のビタミン群、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、ローカストビーンガムなどの乳化剤や分散剤、増量剤、賦形剤、保存料・酸化防止剤、風味調整剤や香料、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、乳酸ナトリウムなどの呈味料、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸などの酸味料、マルチトール、アスパルテームなどの低カロリー甘味料、着色剤などである。
なお本発明の動脈硬化予防・改善用組成物には、アンペロプシンを10~500mg、好ましくは50~300mg、特に好ましくは100~200mgを含有するように調製する。
以下に本発明の組成物の製造例及びこの組成物を用いた試験例を示し、本発明をさらに説明する。
<藤茶抽出物の製造例>
乾燥藤茶の重量に対して10倍量の70%EtOHで抽出物を得た。その後、抽出物を濃縮させ活性炭を用いて不純物を取り除きながらろ過をした。濃縮物にγシクロデキストリンを適当量配合し、噴霧乾燥で本発明の組成物を製造した。
乾燥藤茶1重量部(200g)に対して水を15倍量加え90℃に加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に水を12倍量加え、90℃に加熱し、その後ろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを-40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物85gを動脈硬化予防・改善用組成物とした。この組成物中のアンペロプシン含有量は65.8質量%であった。
<藤茶抽出物の製造例2>
乾燥藤茶1重量部(200g)に対して50%エタノール水溶液を15倍量加え、還流冷却機を付して加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に同様に50%エタノール水溶液を12倍量加え、90℃に加熱し、30分間抽出しろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを-40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物78.1gを動脈硬化予防・改善用組成物とした。この組成物中のアンペロプシン含有量は52.9質量%であった。
<藤茶抽出物の製造例3>
製造例1と同様に、乾燥藤茶1重量部に対して水を15倍量加え90℃に加熱し、1時間抽出しろ過を行い、1番抽出液を得た。次いでこの残渣に水を12倍量加え、90℃に加熱し、30分間抽出しろ過を行い、2番抽出液を得た。両抽出液を合算し、減圧濃縮し、濃縮液約300mLを得た。さらにグアガム分解物を、濃縮液あたりを78g添加し、-40℃で凍結し、さらに凍結乾燥装置で乾燥し、乾燥物を得た。これを粉砕し、60メッシュの篩で篩い分けし、通過物163.1gを動脈硬化予防・改善用組成物とした。この組成物中のアンペロプシン含有量は24.7質量%であった。
<ヒト試験1>
食塩摂取による血管柔軟性低下および細動脈硬化に対してアンペロプシンが有効性を示すことをヒト試験により確認した。被験者として下記の表2に記載の背景を有し、アテローム性動脈硬化が観察されない健康なボランティアで試験した。
Figure 0006990539000003
(1)試験品(以下「被験食品」という)
製造例1に準じて製造したアンペロプシン含有エキスを用いた。
1)食塩6.6g含有インスタント麺
2)食塩6.6g含有インスタント麺+藤茶エキス2500mg
(アンペロプシン700mg含有)
3)食塩6.6g含有インスタント麺+γシクロデキストリン1250mg
(2)PWV測定機器
製品名「form PWV/ABI(オムロンコーリン株式会社製)」を使用して測定した。
(3)試験プロトコル
試験前日は、夕食を20時までに済ませ(可能な限り夕食は毎試験同量同種とする)、試験当日は、12時間絶食(水のみ可)の状態で医療施設に来所する。試験前日と当日は運動を控え、前日の睡眠時間を7時間とする(可能な限り就寝時間と起床時間を揃える)。
試験は、食塩6.6gを含有したインスタント麺を食した30分後に被験食品(被験食品なし、藤茶エキス2500mg(アンペロプシン700mg)、γシクロデキストリン1250mg)を摂取し、食後1時間、2時間の2回PWVを測定した。なお測定は、装置の使用マニュアルにしたがって行い、右上腕動脈と右足首間、左上腕動脈と左足首間でのPWVを測定した。
(4)結果
測定結果を図1(右上腕動脈と右足首間:右)、図2(左上腕動脈と左足首間:左)に示す。なお測定結果は、被験食品を摂取する前の測定値に対するPWV増加%値で表した。
右、左の測定結果とも、食品塩分を6.6g含む被験食品、塩分6.6gとγデキストリン1.25gを含む被験食品を摂取した場合、食後120分までは、顕著なPWV上昇が確認された。
一方、塩分6.6g含む被験食品とアンペロプシン700mgを含む食品を摂取した場合、摂取後120分まで、PWVは上昇しなかった。
(5)考察
本試験の試験食品である藤茶エキス2500mg(アンペロプシン700mg)を塩分含有食と同時に摂取すると、食塩含有食によるPWVの上昇を抑制する結果を得ることができた。この結果は、藤茶エキス2500mg(アンペロプシン700mg)が塩分6.6gの過剰摂取に伴って生じる血管抵抗性の低下を介した細動脈硬化を、予防又は改善することで現れる現象であると考察された。
<ヒト試験2>
ヒト試験1の結果から、アンペロプシン700mgが血管柔軟性低下および細動脈硬化を改善する可能性が推測されたため、さらに末梢血管の柔軟性に及ぼすアンペロプシンの効果を評価した。末梢血管の柔軟性は、平均血圧(MBP)を測定することで評価できる(非特許文献1参照)ため、二重盲検法によるヒト試験を行った。
1.試験方法
(1)試験品(以下「被験食品」)
被験食品はアンペロプシン150mg含有カプセル剤(藤茶エキス末500mg)、プラセボとしてデンプン500mg含有カプセル剤)を用いた。
(2)試験対象者
無作為に選抜されたボランティアを対象次の選択基準に適合する者を選抜した。
1)選択基準
(1)スクリーニング検査での血圧(収縮期)が130mmHg以上160mmHg
未満である者
(2)同意取得時の年齢が20歳以上80歳未満の通院可能な者
(3)BMIが18.5kg/m以上30.0kg/m未満の者
(4)文書同意を取得した者
2)除外基準
(1)重度な消化器疾患、肝疾患、腎疾患、循環器疾患、血液疾患、内分泌系疾患、
または悪性新生物が疑われる者、またはその既往がある者
(2)腎障害、左室肥大と診断された者
(3)二次性高血圧症の者
(4)ブドウ科の植物にアレルギーを引き起こす恐れのある者
(5)現在降圧薬服薬中、もしくは医師による降圧治療を受けている者
(6)試験期間中、医師による治療または投薬を受ける予定のある者
(7)試験期間中、特定保健用食品、機能性表示食品及びその他のサプリメントを摂
取する予定のある者
(8)試験期間中、食生活(食事回数、食事内容、アルコール摂取量)が変化する可
能性のある者
(9)試験期間中、生活習慣が変更する可能性のある者(夜間勤務、長期の旅行、転
勤など)
(10)現在喫煙中、もしくは過去1年以内に喫煙歴のある者
(11)スクリーニング検査における随時尿検査で推定1日塩分摂取量が男性で8.0
g未満、女性で7.0g未満の者
(12)妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性または授乳中の女性
(13)試験期間中に他の臨床試験に参加する予定のある者
(14)その他、担当医師が不適当と判断した者
(3)評価項目
1)主要評価項目
平均血圧(末梢血管抵抗)
下記の計算式に基づき収縮期血圧及び拡張期血圧の測定値から計算によって求め
る。
平均血圧=(収縮期血圧/3)+(2×拡張期血圧/3)
※心臓から遠い末梢の血管の柔軟性を評価できる。
2)安全性評価項目
有害事象、臨床検査値
(4)投与試験
1)試験デザイン
二重盲検並行群間比較試験
2)試験期間(14週間)
藤茶エキス末摂取前を初期観察期とする。その後、被験者を無作為に2群に振り分け、藤茶エキス末500mgもしくはプラセボを12週間摂取させる。
来院はスクリーニング検査、摂取開始日、摂取4週後、摂取8週後、摂取12週後の5回とする。
試験 初期観察期・摂取期(全14週間)
3)摂取方法
選択、除外基準に抵触しないことを確認した上で、1日1回朝食後に前記の被験食品(藤茶エキス末)摂取を開始する。

摂取期間 12週間
摂取方法 1日1回3粒を朝食後に経口摂取
試験食品 藤茶エキス末をカプセルに詰めたものを被験食品、デンプンをカプセルに詰めたものをプラセボとする。
4)併用薬剤・併用療法
併用薬剤の使用及び併用療法は原則禁止とする。但し、医師の判断により必要に応じて治療を開始することができる。薬剤などの使用状況について使用薬物・用量・期間等について調査する。
5)調査項目
(1)背景調査
スクリーニング検査で年齢、性別、現病歴、既往歴、生活歴(喫煙、飲酒、服薬状況、健康食品の使用の使用状況)を調査する。
(2)家庭血圧(HPM)
スクリーニング検査開始から摂取12週後検査終了まで、起床後1時間以内(排尿後、朝食前)及び就寝前に1~2分間の安静後2回、試験施設で貸出する本試験用の血圧計を用いて坐位血圧を測定する。
(3)来院時血圧、脈拍
試験実施医療施設で外来受診時、3分以上の安静後、坐位にて上腕血圧を測定し、安定した値(測定値の差が5mmHg未満)を示した2回の平均値を来院時血圧とする。試験期間中来院ごとに実施する。
(4)血液検査
一般血液検査(白血球、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数)、一般生化学検査(TG、TC、HDL-C、LDL-C、血糖、HbA1c(NGSP)、γ-GTP、AST、ALT、総ビリルビン、総蛋白、アルブミン、A/G比、ALP、LDH、CPK、クレアチニン、尿酸、尿素窒素、Na、K、Cl、LAP)、キマーゼ、レニン、アルドステロンを測定する。
血液検査については、空腹時採血とし、スクリーニング検査と摂取12週後検査の計2回行う。
尿検査についてはスポット尿を用い、尿中Na及び尿中Crを測定する。推定1日食塩摂取量を算出し、塩分摂取量の経時的変化を観察するため、毎月検査する。また、スクリーニング検査のみ安全性確認のため尿中アルブミンを測定する。
(5)胸写・負荷心電図、ABI、PWV
スクリーニング検査で安全性確認のため実施する。心電図測定における負荷方法は階段の昇降とする。
(6)食事調査
来院日に検査前日の食事内容を調査する。
(7)日誌
飲酒内容、食生活の変化、体調の変化、試験食品の摂取状況を調査する。
6)中止基準
・被験者より中止の申し出があった場合
・有害事象で担当医師が試験を継続することが好ましくないと判断した場合
・その他、試験責任医師が中止を必要と判断した場合
7)有害事象
(1)有害事象の重症度
・軽度 :日常的活動が妨げられない程度の有害事象
・中等度:日常的活動が妨げられる程度の有害事象
・重度 :日常的活動が不能となる有害事象
(2)重篤な有害事象
・死亡に至るもの
・生命を脅かすもの
注:その事象の発現時点において患者が死の危険にさらされている場合をい
い、仮にもっと重度であれば死を招いたかもしれないという意味ではな
い。
・治療のため入院または入院期間の延長が必要となるもの
・永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの
・先天異常を来すもの
・その他の医学的に重要な状態と判断される事象又は反応
(3)試験食品との関連性
・なし:試験食品との間に合理的な可能性がない場合
・あり:試験食品との間に少なくとも合理的な可能性があり、因果関係が否定
できない場合
・不明:試験食品との因果関係が情報不足のため判定できない場合
(4)転帰
有害事象の転帰を以下の6段階で判定する。
・回復
・軽快
・未回復
・回復したが後遺症あり
・死亡
・不明
(5)重篤な有害事象が発生した際の報告
重篤である有害事象が発生し、試験責任者が当該有害事象を知った後、速やかに試験実施機関の長に報告し、試験担当者に連絡するとともに、重篤な有害事象に関する報告書を作成し、試験実施機関の長に提出する。
8)統計解析
二元配置分散分析を実施する。
2.試験実施症例数
最終解析可能症例目標数を各群12症例で両群合わせて24症例とした。
3.試験結果
試験結果を図3に示す。
被験食品摂取群は、投与8週間経過後から平均血圧(MBP)が低下し、血管の柔軟性が増加していることが確認された。また有害な事象は観察されず、途中中止の被験者はいなかった。
4.考察
本試験の試験食品である藤茶エキス500mg(アンペロプシン150mg)を12週間摂取することで、初期値と比較して8週目より血管の柔軟性を評価する平均血圧を低下させることが確認された。
この結果は、アンペロプシンの摂取により血管の柔軟性が改善され、平均血圧の値が下したことにより現れたと考察される。
ヒト試験1、2よりアンペロプシンは食塩などによる血管の緊張を緩和し、末梢血管を初めとする細動脈の硬化を改善する機能を有することが明らかとなった。

Claims (3)

  1. アンペロプシンを有効成分として含有する、食塩摂取に由来する血管柔軟性の低下改善および動脈硬化改善用組成物(アテローム性に由来する血管柔軟性の低下改善および動脈硬化改善用の組成物を除く)
  2. アンペロプシンを10質量%以上含有する請求項1記載の組成物。
  3. アンペロプシンが藤茶抽出物由来である請求項1または2記載の組成物。
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