JP6989897B2 - タンタル酸リチウム結晶における転位評価方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム結晶における転位評価方法 Download PDF

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本発明は、タンタル酸リチウム結晶における転位評価方法に関し、より詳しくはタンタル酸リチウム結晶の育成中に生じた転位を容易かつ迅速に検出しうるタンタル酸リチウム結晶における転位評価方法に関するものである。
タンタル酸リチウム(LT)結晶は、主に非線形光学材料や表面弾性波デバイス用材料として電子部品用の基板の製造に用いられている。表面弾性波(SAW)デバイス用材料は、スマートフォン、携帯電話等に代表される通信機器や情報機器に使用される。近年、スマートフォンや携帯電話では情報量の増加により、通信周波数帯の高周波化が進み、LT結晶を用いた基板表面に描画される電極幅の微細化が進んでいる。
LT結晶は、工業的にはチョクラルスキー法(Cz法)で育成されている(例えば特許文献3参照)。Cz法では、まず結晶育成炉内に原料を充填した坩堝を配置し、加熱することで原料を融解し、原料融液を形成する。そして、坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながら引き上げることで種結晶と同一方位の単結晶を得ることができる。
Cz法で結晶を育成する場合、融点近傍の比較的高い温度領域に結晶が曝されるため、結晶表面と内部の温度差で発生する熱応力(熱膨張の差)によって、転位と呼ばれる線状欠陥が結晶内に導入される。この転位が多く導入されると、結晶育成中に多結晶化が発生しやすくなる。
育成されたLT結晶は、外径を丸め加工し、ウエハに必要な結晶方位が得られるように切断され、粗研磨、面取り加工、及び鏡面研磨され、この鏡面基板を用いて弾性表面波素子が作製される。
ところが、結晶育成中に多結晶化が発生すると、この結晶から製造された基板の欠陥が製品の歩留まり悪化につながることから、結晶中の転位を評価することは極めて重要な技術である。
転位の評価方法としては、シリコン結晶では、ウエハをエッチング液に浸漬させることで転位をエッチピット(腐食孔)として評価する、エッチピット法がよく知られている。しかし、LT結晶に関しては、転位を観察する目的でのエッチピット法はまだ確立されていない。
例えば、特許文献1に記載の圧電性単結晶(LT結晶)の鏡面評価方法では、単結晶ウエハを室温でフッ酸:硝酸=1:2の混合液に30~100分間浸漬させるエッチング処理が採用されている。しかし、この方法は、鏡面加工における加工歪みをエッチピットとして評価するものであり、育成過程に導入された転位を評価しているものではない。
また、特許文献2には、単結晶の分極検査方法が記載され、LT結晶ウエハを85℃、フッ酸:硝酸=2:1の混合液に6時間浸漬させるエッチング処理が示されている。しかし、この条件は、LT結晶におけるプラスZ面とマイナスZ面のエッチング速度の違いを利用した分域状態を評価するものであり、これも転位を評価しているわけではない。
特開昭60-16008号公報 特開平7-167843号公報 特開2008-260663号公報
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、LT結晶の転位を容易かつ迅速に検出する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、LT結晶のウエハをフッ酸と硝酸とを特定の容積比で混合したエッチング液に浸漬し、加熱昇温して80℃前後の特定温度に特定時間浸漬させ、エッチピットを形成することで、LT結晶中の転位が検出できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、タンタル酸リチウム結晶の育成中に結晶内部に生じた転位をエッチピットの顕微鏡観察により評価する方法において、タンタル酸リチウム結晶から切り出したウエハを鏡面研磨した後、フッ酸:硝酸=1:2の容積比で混合したエッチング液に前記鏡面研磨されたウエハを浸漬し、引き続き、エッチング液を加熱昇温し、78~82℃の温度で13~20分間加熱保持することで、転位に起因するエッチピットを形成させることを特徴とするタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記エッチング液を収容する耐薬品容器と、熱媒体が収容される耐熱容器とを具備した加熱装置を用いることを特徴とするタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記鏡面研磨されたウエハが、予め耐薬品性樹脂製の繊維で形成された布、あるいは網により保護され、ウエハ同士あるいは耐薬品容器と接触しないようにエッチング液に浸漬されることを特徴とするタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法が提供される。
本発明のLT結晶の転位評価方法によれば、LT結晶のウエハをフッ酸:硝酸が1:2(容積比)で混合したエッチング液に浸漬し、加熱昇温して80℃前後の特定温度に所定時間保持するという簡便な方法により、LT結晶の転位を容易かつ迅速に検出することができる。
これにより転位のないLT結晶を育成しやすくなり、フィルタ性能に重要な挿入損失や波形の不良が起こらない弾性表面波フィルタ用のSAWデバイス用材料を安定的に製造できる。
本発明に係るLT結晶の転位評価方法に用いられるエッチング装置の概略構成を示す説明図である。 光学顕微鏡(OM)によりLT結晶のエッチピットを撮影した写真である。 エッチピットが発生したLT結晶を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である。
以下、本発明のLT結晶の転位評価方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
1.LT結晶とその製造
タンタル酸リチウム(LT)単結晶は、前記したように、一般的にチョクラルスキー法(CZ法)を用いて、炉内が酸化雰囲気とされたイリジウム材料の坩堝内で、原料を1650℃の融点以上に加熱し、原料が溶融した後、融液に種結晶を接触させ、種結晶を回転させながらゆっくりと上昇させることで種結晶と同一方位の単結晶として得られる。
得られた単結晶は、円筒加工、ワイヤーソーなどによる切断、ラップ研磨、ポリッシュ研磨工程を経て弾性表面波フィルタなど素子用のウエハ(基板)とされる。
ところが、原料の加熱溶融の際、融点近傍の比較的高い温度領域に結晶が曝され、結晶表面と内部の温度差で発生する熱応力(熱膨張の差)が小さくなることによって、転位と呼ばれる線状欠陥が結晶内に導入される。
結晶内の転位の発生を抑制するには、装置面、プロセス面からの対策が必要であり、前記特許文献3では、育成される結晶の直胴部直径(d)と坩堝の内径(D)の比(d/D)を特定範囲として育成している。装置面では、結晶表面からの放熱を極小化する保温構造も採用され、また、プロセス面では、種結晶との接触、結晶回転数、結晶引き上げ速度を調整することで、結晶温度分布が均等化され、転位が生じにくい肩部の結晶形状、結晶底部形状とすることができる。
より品質の良いLT結晶を提供するために、育成条件の最適化が鋭意試みられているが、結晶育成中に導入された転位を検出する適切な方法が確立されていなかった。
本発明は、エッチピット法を適用して、LT結晶の転位を容易かつ迅速に検出しようとするものである。
2.LT結晶の転位評価
本発明のLT結晶の転位評価方法では、LT結晶のウエハをフッ酸:硝酸が1:2(容積比)で混合したエッチング液に浸漬し、加熱昇温し、78~82℃で13~20分保持することで、生じたエッチピットを顕微鏡で観察し結晶の転位を評価する。
すなわち、本発明は、タンタル酸リチウム結晶から切り出したウエハを鏡面研磨する工程、フッ酸:硝酸=1:2の容積比で混合したエッチング液に前記鏡面研磨されたウエハを浸漬する工程、
引き続き、エッチング液を加熱昇温し、78~82℃の温度で13~20分間加熱保持することで、転位に起因するエッチピットを形成させる工程、
その後、エッチピットが形成されたウエハを顕微鏡観察して、タンタル酸リチウム結晶の育成中に結晶内部に生じた転位を評価する工程を含んでいる。
(1)エッチング
本発明では、育成された単結晶の(0001)面が主面方位となるように切り出したLT結晶を評価用基板として用意する。本発明は、育成された単結晶の品質評価を目的とすることから、円筒加工を行うことなく、ワイヤーソーで所定の厚さに切断すればよい。
基板の直径は、特に制限されず、例えば50~120mmであり、基板の厚みも特に制限されないが、0.1mm~1.0mmが好ましく、0.3mm~0.8mmが好ましい。厚みが0.1mm未満では基板がもろくなり、1.0mm超では材料コストが大きくなる。
単結晶ウエハは、前処理として、化学研磨液でエッチングし加工ひずみ層を除去し、表面を鏡面状にする。化学研磨液の種類は、特に限定されず、例えばフッ酸、あるいはフッ酸と硝酸の混合液を用いることができ、化学研磨によるエッチオフ量は両面で3~30μmとすることができる。
次に、エッチング装置について説明する。図1は、本発明に係るLT結晶の転位評価方法に用いられる装置の概略構成を示している。耐熱容器4の内側に中心が合うように耐薬品容器3を置いた、二槽構造にして加熱装置6の上に載置している。加熱装置6の種類は限定されず電熱プレートなどが使用できる。耐熱容器4には石英ガラス製などの水槽を用いることができ、耐薬品容器3の材質は、エッチング液による腐食性に耐えられるものであれば制限されず、例えばPFA、PTFE、ETFE、FEPなどのフッ素樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)などが使用できる。
図1では耐薬品容器3を所定量の液体5が入った耐熱容器4に入れ二重構造にしている。ここで、液体5は間接的に耐薬品容器3ならびにエッチング液2を加熱する媒体であり、例えば、水もしくは工業用熱媒体として汎用されている鉱油あるいは合成油などが望ましい。二重構造にすることで、加熱により耐薬品容器3が破損するのを避けることができ、直接、耐薬品容器3ならびにエッチング液2を加熱するよりも精密な温度管理が可能となる。
耐薬品容器3内には、エッチング液2の温度計(センサ)7を設置する。温度計は耐食性のあるテフロン(登録商標)コートしたものが好ましい。温度をもとに加熱装置6の出力を調整する制御器8、さらに耐熱容器の上には放熱や液の逸散、ゴミの混入などを防ぐための蓋(カバー)を設けることができる。こうして構成される装置は、エッチング液の放熱による温度低下を抑制するための恒温槽としても機能する。
その後、この耐薬品容器3に所定量のエッチング液2を充填する。エッチング液として、本発明では、フッ酸と硝酸の混合液を用いる。フッ酸と硝酸の混合比は、フッ酸:硝酸=1:2(容積比)にする。この範囲は、フッ酸:硝酸=1:1.8~2.3(容積比)が許容範囲であり、実際に両者の沸点の差から加熱時にこの範囲で変動することもある。
前記特許文献2では、フッ酸:硝酸=2:1(容積比)の混合液を用いているが、硝酸が少なくエッチング効果が小さいので、処理条件が高温、長時間を要することになる。一方、硝酸の量が2を大きく超えると、エッチング速度が速くなりLT結晶の表面が荒れやすい。なお、本発明の目的を損なわない限り、塩酸や硫酸を少量混合しても構わない。エッチング液は,ウエハ全体が浸漬され、液面がウエハ上端から3cm以上高くなるよう十分な量を容器に収容する。
引き続き、耐薬品容器内のエッチング液中に、前処理が終わったLT結晶1を装入する。LT結晶のウエハは,単数でも複数でもよい。複数枚をウエハホルダに収容した場合、ウエハの向きは横でも縦でも構わない。
LT結晶は、ウエハ同士、あるいは耐薬品容器と直接接触しないようにする。そのためにLT結晶を、耐薬品性樹脂製の繊維、布、網、例えばフッ素樹脂(PFA)メッシュ9に載せるか覆うのが好ましい。これ以外に、樹脂製の薄板やケースをウエハホルダとし、ウエハとの接触部に上記メッシュと同様な柔軟材を取り付けるようにしても良い。
フッ素樹脂メッシュは、フッ素樹脂の糸を目開き200~2000μmとなるよう編んだものであり、耐薬品性が良く耐熱性に優れるので、たとえ200℃の加熱温度になっても変形や劣化を起こすことがない。これによりエッチング中に、ウエハの振動や移動を抑制して、耐薬品容器との衝突や摩擦による傷の発生を防止することができる。
引き続き、加熱装置6によってエッチング液中のLT結晶1を加熱する。加熱の方式は特に限定されない。ウエハが単数であれば、図1のように耐熱性容器の底面を加熱するのが効率的であるし、耐薬品容器に複数のウエハを収容した大型容器であれば側面から加熱することもでき、また、熱媒体中に加熱コイルを挿入して加熱するようにしてもよい。
エッチング液は、液温80℃を目安として加熱する。すなわち、エッチング液を10~15分かけて80℃まで加熱した後、78~82℃で保持する。80℃までの昇温速度は、特に限定されるわけではないが、3~6℃/分が好ましい。昇温速度が、3~6℃/分の範囲であると、ウエハが徐々に加熱され振動や摩擦が抑制され効率的である。
78~82℃での保持時間は、13~20分間、好ましくは15~18分間とする。この間、エッチング液の温度を温度計(センサ)7で計測し制御器8で厳密に温度管理しながら、加熱装置6の出力を調整し続ける。20分保持時間が13分間より短いと十分なエッチングができず、保持時間が20分間を超えると過度なエッチングとなる。
前記特許文献1では、ウエハを加熱せず室温でエッチングしているが、加熱しないか78℃未満への加熱では処理に時間がかかりすぎてしまう。また、前記特許文献2では、ウエハを85℃に加熱しているが、液温が82℃を超えると、エッチング速度が速くなりすぎて、エッチピットの形状が崩れるか消失してしまうことがある。
エッチング中はウエハを静置しておけばよいが、加熱保持中に、エッチングがより均一に進行するようにエッチング液を穏やかに撹拌してもよい。エッチングによってウエハ表面に達している転位線は,エッチピットとして現れる。上記本発明のエッチング温度、エッチング時間は、単に処理効率を高めることを意図したものではなく、エッチピットが生成しやすく消失しにくい最適範囲に設定したものである。
所定時間エッチングした後、ウエハを引き上げて水洗槽に移し、超純水で水洗後、空気、窒素ガス、スピンナなどで乾燥する。
(2)顕微鏡による観察・評価
その後、エッチングされたウエハを光学顕微鏡により観察する。
用いる光学顕微鏡に制限はないが、例えば倍率100倍以上の光学顕微鏡を使用する。より精密に観察するには、倍率300倍から1000倍の光学顕微鏡を使用するのが好ましい。測定位置は,直線状のエッチピットが生じた3点とする。オリエンテーションフラットから垂直方向に立ち上げた直径の中心付近、外周部、およびこれらの中間付近の3点である。
ウエハに集光すれば、特有な線状パターンを有するエッチピットの存在を容易に確認できる。
本発明では、育成結晶の製造に役立てるために、光学顕微鏡(OM)によりLT結晶のエッチピットを写真撮影するのが好ましい。図2の写真では、中央を横断する幅3μmほどの帯の中に微小なスポットが鎖状に点在した明瞭なエッチピットが観察できる。事前の評価で、この撮影箇所には小傾角粒界が存在していることがX線トポグラフィにより確認されており、小傾角粒界への転位の集積が生じている様子が確認できる。
また、コンピュータシステムによる画像処理技術を用いて、LT結晶のエッチピットを白黒、あるいは赤、緑、青などのカラー画像にして、エッチピットの密度を色の濃淡で表示させることもできる。
上記のように、光学顕微鏡によってエッチピットを確認した後、このエッチピットを除去し、除去されたあとのLT結晶を透過電子顕微鏡(TEM)で観察すれば、転位の状況を詳しく調べることができる。
図3では、発生したエッチピット箇所を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、転位であることが確認された。エッチングにより、転位の配列は線状に並んだピットとして観察できる。
転位により結晶の滑りを起こした領域と、すべらない部分の境界線は転位線と呼ばれている。転位線は、結晶内で閉じているか、又は結晶表面に達しているが、図3の写真の場合、10μmの範囲の中に、長さ0.3~1μmの転位線が7点観察されている。転位線は、短いほど、また少ないほど良好に育成された結晶であるといえる。
本発明によれば、エッチングにより欠陥をエッチピットとして顕在化させ、その密度を管理することにより、LT結晶を良好に育成するための情報が得られるので、LT結晶を用いて製造される製品の歩留りを高めることにも寄与する。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。本発明の実施に必要な装置を例示したが、本発明の目的を逸脱しない範囲において、構成部材の種類、組み合わせなどを適宜変更してもよい。
[実施例1]
高周波誘導加熱方式の結晶育成炉を用い、坩堝にタンタル酸リチウム(LT)原料を仕込み、加熱溶融させた後、種結晶を調和組成のLT原料融液に接触させ回転しながら徐冷と引上げを行ない、直径約100mmのLT結晶を得た。
得られたLT結晶から、(0001)面が主面方位となるように厚さ0.5mmのウエハ1を切り出し、鏡面研磨した。
次に、図1に示すような耐熱容器4の内側に耐薬品容器3が組み込まれた二槽構造のエッチング装置を用意し、耐薬品容器3内にエッチング液2を入れ、ウエハ1を浸漬した。エッチング液は、フッ酸と硝酸の混合液(容積比=1:2)とした。LT結晶のウエハは、フッ素樹脂(PFA)メッシュの上に載せ、容器と直接接触しないようにした。フッ素樹脂メッシュとしては、フッ素樹脂の糸を目開き300μmで編んだものを幅広の帯状に切断して、両端を耐薬品容器の壁に固定した。
その後、加熱装置6上に載置した石英製耐熱容器4内のオイル5を介して耐薬品容器3内のエッチング液2を加熱した。加熱装置6の出力を調整し、エッチング液の温度を15分かけて80℃とした。その後も加熱を続け、15分間エッチング液の温度を80℃で保持してから、LT結晶のウエハ1を取り出した。
これを倍率500倍の光学顕微鏡により観察したところ、写真中央を横断する幅3μmほどの明瞭なエッチピットが観察できた(図2参照)。このエッチピットを除去した後、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEM-2000EX)で観察した結果、エッチピットが存在していた10μmの範囲の中に、長さ0.3~1μmの転位線が7点観察され、育成時に生じた転位であることが確認された(図3参照)。
こうして本発明によりLT結晶を特定の条件でエッチングすることにより、転位による欠陥を顕在化させることができた。得られた情報を基に育成条件を最適化すれば転位のない結晶が製造でき、製品歩留りを高めることが可能となる。
[実施例2]
実施例1において、同じ育成結晶から切り出した別のウエハを用い、エッチング条件を変え、エッチング液を加熱温度78℃で20分間保持して、その他の条件は実施例1と同様に実験した。
こうして本発明によりLT結晶を特定の条件でエッチングすることにより、図2と同様なエッチピットが観察され、図3と同様な転位による欠陥を顕在化させることができた。得られた情報を基に育成条件を最適化すれば転位のない結晶が製造でき、製品歩留りを高めることが可能となる。
[比較例1]
実施例1において、同じ育成結晶から切り出した別のウエハを用い、エッチング条件を変え、エッチング液の加熱温度を70℃として、その他の条件は実施例1と同様に実験した。
エッチング温度が低かった結果、15分間保持しても明瞭なエッチピットは観測されなかった。転位による欠陥を顕在化できなかったので、転位のない結晶を育成する条件の手がかりは掴めなかった。
[比較例2]
実施例1において、同じ育成結晶から切り出した別のウエハを用い、エッチング条件を変え、エッチング時間を6時間として、その他の条件は実施例1と同様に実験した。
エッチング時間が長かった結果、エッチングが過度に進行して、転位に起因するエッチピットを観測することができなかった。転位による欠陥を顕在化できなかったので、転位のない結晶を育成する条件の手がかりは掴めなかった。
「評価」
以上の結果から、本発明により、フッ酸:硝酸=1:2(容積比)の混合液からなるエッチング液に前記タンタル酸リチウムを浸漬して78~82℃に加熱し、13~20分間保持すれば、転位に起因するエッチピットを形成させることができ、このエッチピットを顕微鏡により観察することで育成されたタンタル酸リチウムの転位の状況を容易に評価できることが分かる。
本発明のLT結晶の転位評価方法は、育成されたLT結晶の転位を容易かつ迅速に検出することができるから、良好な結晶を育成する技術に利用できる。得られた結晶は、高品質な弾性表面波フィルタ用のSAWデバイス用材料として有用である。
1 LT結晶(ウエハ)
2 エッチング液
3 耐薬品容器
4 耐熱容器
5 液体(熱媒体)
6 加熱装置

Claims (3)

  1. タンタル酸リチウム結晶の育成中に結晶内部に生じた転位をエッチピットの顕微鏡観察により評価する方法において、
    タンタル酸リチウム結晶から切り出したウエハを鏡面研磨した後、フッ酸:硝酸=1:2の容積比で混合したエッチング液に前記鏡面研磨されたウエハを浸漬し、引き続き、エッチング液を加熱昇温し、78~82℃の温度で13~20分間加熱保持することで、転位に起因するエッチピットを形成させることを特徴とするタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法。
  2. 前記エッチング液を収容する耐薬品容器と、熱媒体が収容される耐熱容器とを具備した加熱装置を用いること特徴とする請求項1に記載のタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法。
  3. 前記鏡面研磨されたウエハが、予め耐薬品性樹脂製の繊維で形成された布、あるいは網により保護され、ウエハ同士あるいは耐薬品容器と接触しないようにエッチング液に浸漬されることを特徴とする請求項1に記載のタンタル酸リチウム結晶の転位評価方法。

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