以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の
必須構成要件であるとは限らない。
以下では、液体吐出装置として媒体に液体としてのインクを吐出することで画像を形成するインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。なお、液体吐出装置は、インクジェットプリンターに限られるものではなく、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置等を挙げることができる。そのような場合において液体吐出装置から吐出される液体は、インクに限られるものではなく、例えば、電極材料を含む液体や、生体有機物を含む液体であってもよい。
1.第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態における液体吐出装置1は、搬送機構40によって搬送される媒体Mに対して、媒体Mの幅以上に設けられたヘッドユニット20から吐出されるインクが着弾することで、媒体Mに所望の画像を形成する所謂ラインヘッド型のインクジェットプリンターである。ここで、以下の説明では、媒体Mの幅方向をX方向、媒体Mが搬送される方向をY方向、ヘッドユニット20からインクが吐出される方向をZ方向として説明する。また、以下の説明において、図示するX方向を示す矢印の起点側を−X側、先端側を+X側と称し、図示するY方向を示す矢印の起点側を−Y側、先端側を+Y側と称し、図示するZ方向を示す矢印の起点側を−Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。
なお、以下の説明では、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向として説明を行うが、液体吐出装置1の各構成が直交に配置されるものに限定されるものではない。また、媒体Mとしては、印刷用紙、樹脂フィルム、布帛等の任意の印刷対象が用いられてもよい。ここで、Z方向が本実施形態にける鉛直方向の一例である。
ここで、液体吐出装置1における鉛直方向とは、狭義には、液体吐出装置1を設置した状態における重力方向を意味するが、広義には、液体吐出装置1が設置される得る状態における液体吐出装置1の設置面と直交する方向を含む。例えば、液体吐出装置1が筐体を含み、液体吐出装置1は、当該筐体の一面を底面として設置される場合、当該底面が設置面に相当し、当該底面と直交する方向が広義の上での鉛直方向に相当する。また、例えば、液体吐出装置1が筐体と、筐体に取り付けられた複数の脚部を含み、液体吐出装置1が、当該複数の脚部で支持された状態で設置される場合、当該複数の脚部の内の少なくとも2つを結ぶ直線と直交する方向が、広義の上での鉛直方向に相当する。
同様に、ヘッドユニット20における鉛直方向とは、狭義には、ヘッドユニット20が設置された状態における重力方向を意味するが、広義には、ヘッドユニット20が設置される得る状態におけるヘッドユニット20の設置面と直交する方向であって、例えば、ヘッドユニット20からインクが吐出される方向を含む。
図1に示すように、液体吐出装置1は、液体容器2、制御機構10、ヘッドユニット20、及び搬送機構40を備える。
液体容器2は、ヘッドユニット20に供給される液体の一例としてのインクを貯留する。具体的には、液体容器2には、媒体Mに吐出される複数種類のインクが貯留されている。液体容器2に貯留されるインクの色彩としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グレー等が挙げられる。このようなインクが貯留される液体容器2としては、インクカートリッジや、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクの
補充が可能なインクタンク等が用いられる。このヘッドユニット20にインクを供給する液体容器2が液体貯留部の一例である。
制御機構10は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置1の各要素を制御する。
ヘッドユニット20は、プリントヘッド23−1〜23−nを有する。ヘッドユニット20において、プリントヘッド23−1〜23−nは、媒体Mの幅方向であるX方向において、媒体Mの幅以上となるように並んで設けられている。具体的には、プリントヘッド23−1〜23−nは、X方向に沿って千鳥状に配置されている。この千鳥状に配置されたプリントヘッド23−1〜23−nによって形成されたX方向における長さが、媒体Mの幅以上となる。ここで、プリントヘッド23−1〜23−nをX方向に沿って千鳥状に配置するとは、X方向に並んで設けられたプリントヘッド23−1〜23−nを交互にY方向にずらして配置することを意味する。
ヘッドユニット20には、制御機構10から、プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれを制御するための制御信号Ctrl−Hが入力される。プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれは、入力される制御信号Ctrl−Hに基づいて、液体容器2から供給されるインクを吐出する。
また、ヘッドユニット20は、ヘッドユニット20の状態を示す状態情報信号Inf−Hを生成し、制御機構10に出力する。制御機構10は、入力される状態情報信号Inf−Hに基づいてヘッドユニット20の動作状態を把握する。そして、制御機構10は、ヘッドユニット20の動作状態に応じて、制御信号Ctrl−Hの補正処理等の各種処理を実行することで、ヘッドユニット20の動作を制御する。
搬送機構40は、搬送モーター41及び搬送ローラー42を含む。搬送モーター41は、制御機構10から入力される制御信号Ctrl−Tに基づいて動作する。そして、搬送ローラー42は、搬送モーター41の動作に従って回転する。この搬送ローラー42の回転に伴って媒体MがY方向に搬送される。
以上のように液体吐出装置1は、搬送機構40による媒体Mの搬送に連動して、ヘッドユニット20からインクが吐出されることによって、媒体Mの表面における所望の位置にインクを着弾させ、媒体Mに所望の画像を形成する。
1.2 液体吐出装置の電気的構成
1.2.1 液体吐出装置の電気的構成
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。液体吐出装置1は、制御機構10、ヘッドユニット20、及び搬送モーター41を備える。また、制御機構10は、駆動信号出力回路50−1〜50−n、制御回路100、及び電源回路110を含み、ヘッドユニット20は、プリントヘッド23−1〜23−nを含む。
制御回路100は、例えば、マイクロコントローラー等のプロセッサーを含む集積回路を有する。そして、制御回路100は、ホストコンピューターから入力される画像データ等の各種信号に基づいて、液体吐出装置1を制御するデータや各種信号を生成し出力する。
制御回路100は、搬送モーター41に対して制御信号Ctrl−Tを出力する。これにより、媒体Mの搬送が制御される。なお、制御信号Ctrl−Tは、不図示の搬送モー
タードライバーを介して信号変換された後、搬送モーター41に入力されてもよい。
また、制御回路100は、ホストコンピューターからの入力される画像データ等の各種信号に基づいて制御信号Ctrl−Hを生成しヘッドユニット20に出力する。具体的には、制御回路100は、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれに対応する制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pnを制御信号Ctrl−Hとして生成し、対応するプリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれに出力する。すなわち、制御回路100は、ホストコンピューターからの入力される画像データ等の各種信号に基づいて、制御信号Ctrl−Hとしての制御信号Ctrl−P1を生成し、対応するプリントヘッド23−1に出力する。同様に、制御回路100は、ホストコンピューターからの入力される画像データ等の各種信号に基づいて、制御信号Ctrl−Hとしての制御信号Ctrl−Pi(iは1〜nのいずれか)を生成し、対応するプリントヘッド23−iに出力する。
また、制御回路100は、駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれに対応する駆動制御信号dA1〜dAnを生成し、対応する駆動信号出力回路50−1〜50−nに出力する。駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれは、駆動回路51を含む。そして、駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれは、入力される駆動制御信号dA1〜dAnに応じた駆動信号COM1〜COMnを生成し、制御信号Ctrl−Hとして、対応するプリントヘッド23−1〜23−nに出力する。
すなわち、制御回路100は、駆動制御信号dA1を生成し対応する駆動信号出力回路50−1に出力する。駆動信号出力回路50−1に含まれる駆動回路51は、入力される駆動制御信号dA1をデジタル/アナログ変換したのち、変換されたアナログ信号をD級増幅することで制御信号Ctrl−Hとしての駆動信号COM1を生成し、対応するプリントヘッド23−1に出力する。同様に、制御回路100は、駆動制御信号dAiを生成し対応する駆動信号出力回路50−iに出力する。駆動信号出力回路50−iに含まれる駆動回路51は、制御回路100から入力される駆動制御信号dAiをデジタル/アナログ変換したのち、変換されたアナログ信号をD級増幅することで制御信号Ctrl−Hとしての駆動信号COMiを生成し、対応するプリントヘッド23−iに出力する。
ここで、駆動信号出力回路50−1のそれぞれに含まれる駆動回路51は、駆動制御信号dA1〜dAnのそれぞれで規定される波形をD級増幅することで駆動信号COM1〜COMnを生成する。したがって、駆動制御信号dA1〜dAnのそれぞれは、対応する駆動信号COM1〜COMnの波形を規定できる信号であればよく、例えば、アナログ信号であってもよい。また、駆動回路51は、駆動制御信号dA1〜dAnのそれぞれで規定される波形を増幅することで駆動信号COM1〜COMnを生成できればよく、A級増幅、B級増幅、又はAB級増幅等の回路を含んでもよい。
また、駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれは、駆動信号COM1〜COMnのそれぞれの基準電位を示す例えばグラウンド電位(0V)の基準電圧信号CGND1〜CGNDnを生成し、制御信号Ctrl−Hとして対応するプリントヘッド23−1〜23−nに出力する。すなわち、駆動信号出力回路50−1は、駆動信号COM1の基準電位を示す制御信号Ctrl−Hとしての基準電圧信号CGND1を生成し、対応するプリントヘッド23−1に出力する。同様に、駆動信号出力回路50−iは、駆動信号COMiの基準電位を示す制御信号Ctrl−Hとしての基準電圧信号CGNDiを生成し、対応するプリントヘッド23−iに出力する。
なお、駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれが出力する基準電圧信号CGND1〜CGNDnの電圧値は、グラウンド電位の信号に限られるものではなく、例えばD
C6V、DC5.5V等の直流電圧の信号であってもよい。
電源回路110は、高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GNDを生成して出力する。高電圧信号VHVは、例えば電圧値がDC42Vの信号である。また、低電圧信号VDDは、例えば電圧値が3.3Vの信号である。また、グラウンド信号GNDは、高電圧信号VHV及び低電圧信号VDDの基準電位を示す信号であって、例えば電圧値がグラウンド電位(0V)の信号である。高電圧信号VHVは、駆動信号出力回路50−1〜50−nのそれぞれにおける増幅用の電圧として用いられる。また、低電圧信号VDD及びグラウンド信号GNDのそれぞれは、制御機構10における各種構成の電源電圧等に用いられる。
また、高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GNDのそれぞれは、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれにも出力される。ここで、電源回路110が生成する高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GNDのそれぞれの電圧値は、上述したDC42V、DC3.3V、及び0Vに限られるものではない。また、電源回路110は、高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GND以外に複数の電圧値の電圧信号を生成し出力しても良い。
以上のように制御機構10は、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれに対して、制御信号Ctrl−Hとして、対応する制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、対応する駆動信号COM1〜COMn、及び対応する基準電圧信号CGND1〜CGNDnを供給すると共に、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23−1〜23−nの電源電圧等に用いられる高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GNDを供給する。
ここで、図2に示す液体吐出装置1では、制御機構10が1個の制御回路100を有し、1個の制御回路100が、プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれに対応する制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、及び基準電圧信号CGND1〜CGNDnを出力しているとして図示しているが、制御回路100は、複数の集積回路を含んで構成されていてもよい。例えば、制御機構10は、制御回路100として、プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれに対応する制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pnを生成するマイクロコントローラー等のプロセッサーを含む集積回路を複数備えてもよい。また、制御機構10は、複数の回路基板及び複数の回路で構成されていてもよい。さらに、制御機構10は、マイクロコントローラー等のプロセッサーの他に、フィルター回路、バッファー回路、中継回路等の複数の回路を含んでもよい。
ヘッドユニット20は、プリントヘッド23−1〜23−nを含む。プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれには、制御機構10が出力する制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、基準電圧信号CGND1〜CGNDn、高電圧信号VHV、低電圧信号VDD、及びグラウンド信号GNDの内の対応する信号が入力される。
また、プリントヘッド23−1〜32−nのそれぞれは、プリントヘッド23−1〜32−nのそれぞれの状態を示す状態情報信号Inf−Hとしての状態情報信号Inf−P1〜Inf−Pnを生成し、制御回路100に出力する。具体的には、プリントヘッド23−1は、プリントヘッド23−1の状態を示す状態情報信号Inf−Hとしての状態情報信号Inf−P1を生成し、制御回路100に出力する。同様に、プリントヘッド23−iは、プリントヘッド23−iの状態を示す状態情報信号Inf−Hとしての状態情報信号Inf−Piを生成し、制御回路100に出力する。
制御回路100は、入力される状態情報信号Inf−P1〜Inf−Pnに基づいて、プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれの動作状態を個別に把握することができる。そして、制御回路100は、プリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれの動作状態に応じて、制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、及び基準電圧信号CGND1〜CGNDnのそれぞれに補正処理等を施し、当該補正処理が施された制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、及び基準電圧信号CGND1〜CGNDnのそれぞれを、対応するプリントヘッド23−1〜23−nに出力する。
ここで、状態情報信号Inf−P1〜Inf−Pnに基づいて制御回路100が実行する補正処理としては、制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、及び基準電圧信号CGND1〜CGNDnのそれぞれの電圧値、周波数、パルス幅等の補正に加え、制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pn、駆動信号COM1〜COMn、及び基準電圧信号CGND1〜CGNDnのそれぞれの出力停止、若しくはプリントヘッド23−1〜23−nのそれぞれを停止させるための制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pnの出力が含まれる。
次に、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23−1〜23−nの具体的な電気的構成について図3を用いて説明する。なお、本実施形態においてプリントヘッド23−1〜23−nはいずれも同様の構成である。したがって、以下の説明において、プリントヘッド23−1〜23−nを区別する必要がない場合、プリントヘッド23−1〜23−nを単にプリントヘッド23と称する場合がある。そして、プリントヘッド23に入力される制御信号Ctrl−P1〜Ctrl−Pnを制御信号Ctrl−Pと称し、プリントヘッド23に入力される駆動信号COM1〜COMnを駆動信号COMと称し、プリントヘッド23に入力される基準電圧信号CGND1〜CGNDnを基準電圧信号CGNDと称し、プリントヘッド23から出力される状態情報信号Inf−P1〜Inf−Pnを状態情報信号Inf−Pと称する場合がある。また、駆動信号COMを出力する駆動信号出力回路50−1〜50−nを、駆動信号出力回路50と称し、駆動信号出力回路50に入力される駆動制御信号dA1〜dAnを駆動制御信号dAと称する場合がある。
図3は、プリントヘッド23の電気的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御回路100は、ホストコンピューターからの入力される画像データ等の各種信号に基づいてプリントヘッド23を制御するための制御信号Ctrl−Pとして、デジタルの信号である印刷データ信号SI1〜SIm、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKを生成し、プリントヘッド23に出力する。
ここで、プリントヘッド23を含みインクを吐出するヘッドユニット20に対して、デジタルの信号である印刷データ信号SI1〜SIm、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの少なくともいずれかを出力する制御回路100がデジタル信号出力回路の一例であり、印刷データ信号SI1〜SIm、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの少なくともいずれかがデジタル信号の一例である。
また、制御機構10が備える駆動信号出力回路50がプリントヘッド23に出力する駆動信号COM及び基準電圧信号CGNDは、制御機構10において分岐された後、プリントヘッド23に出力される。具体的には、駆動信号COMは、制御機構10において後述する駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれに対応するm個の駆動信号COM−1〜COM−mに分岐されたのち、プリントヘッド23に出力される。同様に、基準電圧信号CGNDは、制御機構10においてm個の基準電圧信号CGND−1〜CGND
−mに分岐されたのち、プリントヘッド23に出力される。なお、以下の説明において、駆動信号COM−1〜COM−mは、1個の駆動回路51から出力された同じ波形の信号であるとして説明を行うが、駆動信号COM−1〜COM−mは、それぞれが異なる波形であってもよい。この場合、駆動信号出力回路50が複数の駆動回路51を備えてもよい。
プリントヘッド23は、m個の駆動信号選択回路200−1〜200−mと、温度検出回路210と、m個の温度異常検出回路250−1〜250−mと、複数の吐出部600と、診断回路240とを含む。
診断回路240には、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが入力される。診断回路240は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKに基づいて、プリントヘッド23におけるインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。換言すれば、診断回路240は、プリントヘッド23−1の異常の有無を診断する。そして、診断回路240は、プリントヘッド23の異常の有無を示す異常信号XHOTを状態情報信号Inf−Pとして出力する。すなわち、プリントヘッド23は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKに基づいて、自己診断を行う機能を有する。
例えば、診断回路240は、入力される印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKのそれぞれの電圧値を検出し、検出した電圧値に基づいて、制御機構10とプリントヘッド23との電気的接続が正常であるか否かを診断してもよい。また、例えば、診断回路240は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが入力されるタイミングを検出し、検出した信号のタイミングに基づいて、プリントヘッド23に入力される印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの波形が正常であるか否かを診断してもよい。
以上のように、診断回路240は、入力される印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが正常であるか否かを検出し、当該検出結果に基づいてプリントヘッド23におけるインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。すなわち、診断回路240は、プリントヘッド23の自己診断としてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。そして、診断回路240は、プリントヘッド23に異常が生じていない場合にハイレベル又はローレベルの一方の論理レベルの異常信号XHOTを出力し、プリントヘッド23に異常が生じている場合にハイレベル又はローレベルの他方の論理レベルの異常信号XHOTを出力する。
また、診断回路240は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが正常であると診断した場合、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKを出力する。ここで、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKは、診断回路240に入力されるチェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKと同じ波形の信号であってもよい。また、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKは、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKに補正処理を施した波形の信号であってもよい。また、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKは、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKに基づいて変換されたチェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKとは異なる波形の信号であってもよい。以上のような診断回路240は、例えば、1又は複数の集積回路(IC:Integrated Circuit)装置を含んで構成される。
また、診断回路240に入力される信号のうち印刷データ信号SI1は、プリントヘッド23において分岐されたのち、分岐された一方の信号が診断回路240に入力され、他方の信号が後述する駆動信号選択回路200−1に入力される。印刷データ信号SI1は、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHと比較して転送レートの高い信号である。印刷データ信号SI1をプリントヘッド23において分岐した後、その一方のみを診断回路240に入力することで、診断回路240の動作に起因して駆動信号選択回路200−1に入力される印刷データ信号SI1の波形に歪が生じる可能性を低減することができる。すなわち、診断回路240におけるプリントヘッド23からのインクの正常な吐出が可能か否かの診断精度を高めることが可能となる。
駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれは、入力される印刷データ信号SI1〜SIm、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT、及びチェンジ信号cCHに基づいて、駆動信号COM−1〜COM−mの波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUT−1〜VOUT−mを生成する。そして、駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれは、生成した駆動信号VOUT−1〜VOUT−mを、対応する吐出部600に含まれる圧電素子60に供給する。圧電素子60は、駆動信号VOUT−1〜VOUT−mが供給されることで変位する。そして、当該変位に応じた量のインクが吐出部600から吐出される。
具体的には、プリントヘッド23が有する駆動信号選択回路200−1には、駆動信号COM−1、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200−1は、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COM−1の波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUT−1を生成する。駆動信号VOUT−1は、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGND−1が供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUT−1と基準電圧信号CGND−1との電位差により変位する。
同様に、プリントヘッド23が有する駆動信号選択回路200−j(jは1〜mのいずれか)には、駆動信号COMj、印刷データ信号SIj、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200−iは、印刷データ信号SIj、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COM−jの波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUT−jを生成し出力する。駆動信号VOUT−jは、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGND−jが供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUT−jと基準電圧信号CGND−jとの電位差により変位する。以上に説明したプリントヘッド23が有する駆動信号選択回路200−1〜200−iのそれぞれは、例えば、集積回路装置として構成されている。
温度検出回路210は不図示のサーミスター等の温度センサーを含む。当該温度センサーは、プリントヘッド23の温度を検出する。そして、温度検出回路210は、プリントヘッド23の温度情報を含むアナログの信号である温度信号THを生成し、状態情報信号Inf−Pとして制御回路100に出力する。
温度異常検出回路250−1〜250−mは、駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれに対応して設けられている。そして、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度異常の有無を診断し、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が異常であるか否か
を示すデジタルの異常信号cXHOTを出力する。具体的には、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれが、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が異常であるか否かを診断する。そして、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が正常であると判断した場合、Hレベルの異常信号cXHOTを生成し診断回路240に出力する。また、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が異常であると判断した場合、Lレベルの異常信号XHOTを生成し診断回路240に出力する。なお、異常信号cXHOTの論理レベルは一例であり、温度異常検出回路250−1〜250−mは、プリントヘッド23の温度が正常であると判断した場合にLレベルの異常信号cXHOTを生成し、プリントヘッド23の温度が異常であると判断した場合にHレベルの異常信号cXHOTを生成してもよい。
診断回路240は、入力される異常信号cXHOTの論理レベルに応じて、駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が正常であるか否かを診断する。そして、診断回路240は、駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が正常である場合、ハイレベル、又はローレベルの一方の論理レベルの異常信号XHOTを制御回路100に出力し、駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が正常でない場合、ハイレベル、又はローレベルの他方の論理レベルの異常信号XHOTを制御回路100に出力する。すなわち、診断回路240は、入力される異常信号cXHOTの論理レベルに基づいてプリントヘッド23の異常を判定し、判定結果に応じた異常信号XHOTを状態情報信号Inf−Pとして出力する。なお、診断回路240は、入力される異常信号cXHOTを異常信号XHOTとして出力してもよい。
制御回路100は、入力される温度信号TH及び異常信号XHOTに応じて、液体吐出装置1の動作の停止、駆動信号COMの波形の補正等の各種処理を行う。すなわち、異常信号XHOTは、プリントヘッド23及び駆動信号選択回路200−1〜200−mの異常の有無を示す異常信号の一例である。これにより、吐出部600からのインクの吐出精度を高めることができると共に、印刷状態におけるプリントヘッド23及び駆動信号選択回路200−1〜200−mの動作異常や故障等を未然に防ぐことができる。すなわち、温度異常検出回路250−1〜250−mが行うプリントヘッド23及び駆動信号選択回路200−1〜200−mの温度が異常であるか否かの診断も、プリントヘッド23の自己診断の一つである。なお、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれは、集積回路装置として構成されても良い。また、上述の通り、温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれは、駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれに対応して設けられている。そのため、駆動信号選択回路200−1〜200−mのそれぞれと、対応する温度異常検出回路250−1〜250−mとが、1つの集積回路装置として構成されても良い。
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1は、制御機構10とプリントヘッド23−1〜23−nを有するヘッドユニット20とを備える。制御機構10は、制御信号Ctrl−P1として、プリントヘッド23−1に対して、印刷データ信号SI1〜SIm、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKと、駆動信号COM−1〜COM−mを含む駆動信号COM1と、基準電圧信号CGND−1〜CGND−mを含む基準電圧信号CGND1とを出力する。プリントヘッド23−1は、入力される制御信号Ctrl−P1、駆動信号COM1、及び基準電圧信号CGND1に基づいて媒体Mにインクを吐出する。
同様に、制御機構10は、制御信号Ctrl−Piとして、プリントヘッド23−iに対して、印刷データ信号SI1〜SIm、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKと、駆動信号COM−1〜COM−mを含む駆動信号COMiと、基準
電圧信号CGND−1〜CGND−mを含む基準電圧信号CGNDiとを出力する。プリントヘッド23−iは、入力される制御信号Ctrl−Pi、駆動信号COMi、及び基準電圧信号CGNDiに基づいて媒体Mにインクを吐出する。これにより、搬送機構40によって搬送さる媒体Mの所望の位置にインクが着弾し、媒体Mに所望の画像が形成される。
ここで、駆動信号選択回路200−1〜200−nは、同様の回路構成を有する。そのため、以下の説明において、駆動信号選択回路200−1〜200−nを区別する必要がない場合、駆動信号選択回路200と称する場合がある。この場合において、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SIに基づいて、駆動信号COMの波形を選択することで、対応する圧電素子60に供給する駆動信号VOUTを生成するとして説明を行う。
1.2.2 駆動信号選択回路の電気的構成
次に駆動信号選択回路200の電気的構成について説明する。駆動信号選択回路200の電気的構成を説明するにあたり、まず駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMの波形の一例、及び駆動信号COMに基づいて生成される駆動信号VOUTの波形の一例について説明する。
図4は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図4に示すように、駆動信号COMは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T2の後、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形である。そして、台形波形Adp1が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp2が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp3が圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクは吐出されない。ここで、台形波形Adp3は、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。
ここで、図4に示すラッチ信号LATが立ち上がってから、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの周期Taが、媒体Mに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。すなわち、ラッチ信号LATは、インクの吐出タイミングを規定する信号でもある。換言すれば、ラッチ信号LATは、プリントヘッド23の自己診断を行うための信号と、インクの吐出タイミングを規定する信号とを兼ねる。また、チェンジ信号CHは、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Adp3の波形切替タイミングを規定する信号でもある。換言すれば、チェンジ信号CHは、プリントヘッド23の自己診断を行うための信号と、駆動信号COMの波形切替タイミングを規定する信号とを兼ねる。
なお、台形波形Adp1,Adp2,Adp3のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Adp3は、それぞれが電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形となっている。なお、駆動信号COMは、周期Taにおいて、1つ又は2つの台形波形が連続した波形の信号であってもよく、また、4つ以上の台形波形が連続した波形の信号であってもよい。
図5は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
図5に示すように、「大ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T3に配置された電圧Vcで一定の電圧波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクと小程度の量のインクとが吐出される。よって、媒体Mには、それぞれのインクが着弾し合体することで大ドットが形成される。
「中ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2,T3に配置された電圧Vcで一定の電圧波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Mには、このインクが着弾して中ドットが形成される。
「小ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T3に配置された電圧Vcで一定の電圧波形と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Mには、このインクが着弾して小ドットが形成される。
「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T2に配置された電圧Vcで一定の電圧波形と、期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600のノズル開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。よって、媒体Mには、インクが着弾せずドットが形成されない。
ここで、電圧Vcで一定の電圧波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合において、直前の電圧Vcが圧電素子60の容量成分により保持された電圧からなる波形である。そのため、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合、電圧Vcで一定の電圧波形が駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給される。
なお、図4及び図5に示した駆動信号COM及び駆動信号VOUTはあくまでも一例であり、プリントヘッド23に供給されるインクの物性、及び媒体Mの材質、搬送速度等に応じて、様々な波形の組み合わせが用いられてもよい。
次に、駆動信号選択回路200の構成及び動作について図6〜図9を用いて説明する。図6は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図6に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路220及び複数の選択回路230を含む。
選択制御回路220には、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKが入力される。また、選択制御回路220には、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、p個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、対応する吐出部600の総数と同じp個のシフトレジスター222とラッチ回路224とデコーダー226との組を含む。ここで、印刷データ信号SIは、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Adp3の波形選択を規定する信号でもある。すなわち、印刷データ信号SIの内の印刷データ信号SI1は、プリントヘッド23の自己診断を行うための信号と、駆動信号COMの波形選択を規定する信号とを兼ねる。また、クロッ
ク信号SCK及びクロック信号cSCKは、印刷データ信号SIが選択制御回路220に入力されるタイミングを規定する。すなわち、クロック信号SCKは、プリントヘッド23の自己診断を行うための信号と、印刷データ信号SIを入力するためのクロック信号SCKとを兼ねる。
具体的には、印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、p個の吐出部600の各々に対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2pビットの信号である。印刷データ信号SIは、吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター222に保持される。具体的には、吐出部600に対応したp段のシフトレジスター222が互いに縦続接続されると共に、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号cSCKに従って順次後段に転送される。なお、図6では、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、p段と表記している。ここで、印刷データ信号SIは、2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]の内、p個の吐出部600の各々に対応する印刷データ[SIH]をシリアルに含み、p個の吐出部600の各々に対応する印刷データ[SIH]の後、p個の吐出部600の各々に対応する印刷データ[SIL]をシリアルに含む信号であってもよい。
p個のラッチ回路224の各々は、p個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号cLATの立ち上がりでラッチする。
p個のデコーダー226の各々は、p個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードする。そして、デコーダー226は、ラッチ信号cLATとチェンジ信号cCHとで規定される期間T1,T2,T3毎に選択信号Sを出力する。
図7は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号Sを出力する。例えば、デコーダー226は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sの論理レベルを、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいてH,H,Lレベルとして出力する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応する吐出部600の総数と同じp個である。図8は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図8に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232及びトランスファーゲート234を有する。
選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232によって論理反転されて、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給される。具体的には、トランスファーゲート234は、選択信号SがHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通(オン)とし、選択信号SがLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通(オフ)とする。そして、トランスファーゲート234の出力端から駆動信号VOUTが出力される。
ここで、図9を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図9は、駆
動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号cSCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号cSCKの入力が停止すると、各シフトレジスター222には、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター222のp段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
そして、ラッチ信号cLATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図9において、LT1、LT2、…、LTpは、1段、2段、…、p段のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、選択信号Sの論理レベルを図7に示す内容で出力する。
具体的には、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図5に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,L,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図5に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図5に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,L,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択する。その結果、図5に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKに基づいて、駆動信号COMの波形を選択し、駆動信号VOUTを出力する。すなわち、駆動信号VOUTは、駆動信号選択回路200において、駆動信号COMの波形を選択、又は非選択とすることで生成される。
1.2.3 温度異常検出回路の電気的構成
次に、温度異常検出回路250−1〜250−mの電気的構成及び動作ついて図10を用いて説明する。図10は、温度異常検出回路250−1〜250−nの構成を示す図である。図10に示すように、温度異常検出回路250−1は、コンパレーター251、基
準電圧出力回路252、トランジスター253、複数のダイオード254、及び抵抗255,256を含む。なお、温度異常検出回路250−1〜250−mはいずれも同じ構成を有する。そのため、図10では、温度異常検出回路250−1の詳細な構成のみを図示し、温度異常検出回路250−2〜250−mの詳細な構成についての図示を省略する。
基準電圧出力回路252には、低電圧信号VDDが入力される。基準電圧出力回路252は、低電圧信号VDDを変圧することで電圧Vrefを生成し、コンパレーター251の+側入力端子に供給する。基準電圧出力回路252は、例えば電圧レギュレーター回路などで構成される。なお、電圧Vrefは、温度異常検出回路250−1を構成する集積回路装置のBGR(Band Gap Reference)に基づいて生成されてもよい。
複数のダイオード254は、互いに直列に接続されている。そして、直列に接続された複数のダイオード254のうち、最も高電位側に位置するダイオード254のアノード端子には抵抗255を介して低電圧信号VDDが供給され、最も低電位側に位置するダイオード254のカソード端子にはグラウンド信号GNDが供給される。具体的には、温度異常検出回路250−1は、複数のダイオード254として、ダイオード254−1,254−2,254−3,254−4を有する。ダイオード254−1のアノード端子には、抵抗255を介して低電圧信号VDDが供給されると共に、コンパレーター251の−側入力端子と接続される。ダイオード254−1のカソード端子は、ダイオード254−2のアノード端子と接続される。ダイオード254−2のカソード端子は、ダイオード254−3のアノード端子と接続される。ダイオード254−3のカソード端子は、ダイオード254−4のアノード端子と接続される。ダイオード254−4のカソード端子には、グラウンド信号GNDが供給される。以上のように構成された抵抗255及び複数のダイオード254によって、コンパレーター251の−側入力端子には、複数のダイオード254のそれぞれの順方向電圧の和である電圧Vdetが供給される。なお、温度異常検出回路250−1が有する複数のダイオード254の数は4つに限られるものではない。
コンパレーター251は、低電圧信号VDDとグラウンド信号GNDとの電位差により動作する。そして、コンパレーター251は、+側入力端子に供給される電圧Vrefと−側入力端子に供給される電圧Vdetとを比較し、当該比較結果に基づく信号を出力端子から出力する。
トランジスター253のドレイン端子には抵抗256を介して低電圧信号VDDが供給される。また、トランジスター253のゲート端子はコンパレーター251の出力端子と接続され、ソース端子にはグラウンド信号GNDが供給される。以上のように接続されたトランジスター253のドレイン端子に供給される電圧が、異常信号cXHOTとして温度異常検出回路250−1から出力される。
基準電圧出力回路252が生成する電圧Vrefの電圧値は、複数のダイオード254の温度が所定の範囲内である場合の電圧Vdetよりも小さい。この場合において、コンパレーター251は、Lレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター253はオフに制御され、その結果、温度異常検出回路250−1は、Hレベルの異常信号cXHOTを出力する。
ダイオード254の順方向電圧は、温度が上昇すると低下する特性を有する。したがって、プリントヘッド23に温度異常が生じた場合、ダイオード254の温度が上昇し、それに伴って電圧Vdetが低下する。そして、当該温度上昇に起因して電圧Vdetが電圧Vrefを下回った場合に、コンパレーター251の出力信号は、LレベルからHレベルとなる。したがって、トランジスター253はオンに制御される。その結果、温度異常検出回路250−1は、Lレベルの異常信号cXHOTを出力する。すなわち、温度異常
検出回路250−1は、駆動信号選択回路200の温度に基づいてトランジスター253がオン又はオフに制御されることで、Hレベルの異常信号cXHOTとして当該トランジスター253のプルアップ電圧として供給される低電圧信号VDDを出力し、Lレベルの異常信号cXHOTとしてグラウンド信号GNDを出力する。
ここで、図10に示すように温度異常検出回路250−1〜250−mのそれぞれから異常信号cXHOTが出力される配線は、共通に接続されている。これにより、温度異常検出回路250−1〜250−mは互いにワイヤードオアに接続される。そのため、温度異常検出回路250−1〜250−mのいずれかで温度異常が生じた場合、診断回路240には、温度異常を示す異常信号cXHOTが入力される。
1.3 プリントヘッドの構成
次に、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23の構成について説明する。なお、以下の説明において、プリントヘッド23は、6個の駆動信号選択回路200−1〜200−6を備えるとして説明を行う。したがって、第1実施形態におけるプリントヘッド23には、6個の駆動信号選択回路200−1〜200−6のそれぞれに対応する6個の印刷データ信号SI1〜SI6と、6個の駆動信号COM−1〜COM−6と、6個の基準電圧信号CGND−11〜CGND−6とが入力される。また、以下の説明では、前述したX方向、Y方向、Z方向に対して独立した方向であって、互いに直交するX1方向、Y1方向、及びZ1方向を図示して説明を行う。また、図示するX1方向を示す矢印の起点側を−X1側、先端側を+X1側と称し、図示するY1方向を示す矢印の起点側を−Y1側、先端側を+Y1側と称し、図示するZ1方向を示す矢印の起点側を−Z1側、先端側を+Z1側と称する場合がある。
図11は、プリントヘッド23の構成を示す斜視図である。図11に示すように、プリントヘッド23は、ヘッド310及び基板320を有する。また、ヘッド310の+Z1側の面には、複数の吐出部600が形成されたインク吐出面311が位置している。そして、基板320とヘッド310とは、接着剤により固定されている。
図12は、ヘッド310の+Z1側に位置するインク吐出面311の構成を示す平面図である。図12に示すように、インク吐出面311には、インクを吐出する複数のノズル651を有するノズルプレート632が、X1方向に沿って6つ並んで設けられている。また、複数のノズル651は、ノズルプレート632のそれぞれにおいて、Y1方向に沿って並んで設けられている。すなわち、インク吐出面311には、インクを吐出する複数のノズル651が、Y1方向に沿って延在する基板320の辺323に沿った方向に並んで設けられているノズルプレート632が、X1方向に沿ってノズル列L1〜L6の順に6つ並んで設けられている。なお、図12では、各ノズルプレート632に形成されているノズル列L1〜L6には、ノズル651がY1方向に沿って1列で並んで設けられているが、ノズル651がY1方向に沿って2列以上で並んで設けられてもよい。
ノズル列L1〜L6は、駆動信号選択回路200−1〜200−6のそれぞれに対応して設けられている。具体的には、駆動信号選択回路200−1が出力する駆動信号VOUT−1は、ノズル列L1に設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGND−1が供給される。同様に、駆動信号選択回路200−2〜200−6のそれぞれが出力する駆動信号VOUT−2〜VOUT−6のそれぞれは、対応するノズル列L2〜L6のそれぞれに設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給され、当該圧電素子60の他端には、対応する基準電圧信号CGND−2〜CGND−6が供給される。
次に、ヘッド310に含まれる吐出部600の構成について、図13を用いて説明する
。図13は、ヘッド310に含まれる複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図13に示すように、ヘッド310は、吐出部600及びリザーバー641を含む。
リザーバー641は、ノズル列L1〜L6のそれぞれに設けられる。そして、インクは、インク供給口661からリザーバー641に導入される。
吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズル651を含む。振動板621は、図13において上面に設けられた圧電素子60の変位に伴い変形する。そして、振動板621は、キャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。キャビティー631の内部には、インクが充填されている。そして、キャビティー631は、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する圧力室として機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に形成されると共に、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、ノズル651は、キャビティー631に連通し、キャビティー631の内部容積の変化に応じてキャビティー631の内部のインクを吐出する。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601は、電極611,612に供給された電圧に応じて、電極611,612及び振動板621の中央部分が、両端部分に対して図13における上下方向に撓む。具体的には、電極611には、駆動信号VOUTが供給され、電極612には、基準電圧信号CGNDが供給される。そして、駆動信号VOUTの電圧が高くなると、圧電素子60の中央部分が上方向に撓み、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、圧電素子60の中央部分が下方向に撓む。すなわち、圧電素子60が上方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が拡大する。したがって、インクがリザーバー641から引き込まれる。また、圧電素子60が下方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が縮小する。したがって、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。以上のように、ノズル651は、駆動信号VOUT及び駆動信号VOUTの基となる駆動信号COMに基づいてインクを吐出する。
なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60の変位に伴いインクを吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、縦振動を用いる構成でもよい。ここで、ノズルプレート632、インク供給口661、リザーバー641、及びキャビティー631を含むヘッド310が吐出モジュールの一例である。
図11に戻り、基板320は、互いに平行に設けられた辺323及び辺324と、互いに平行に設けられた辺325及び辺326と、面321と、面321と異なる面322とを有し、辺323と辺325及び辺326とが直交し、辺324と辺325及び辺326とが直交した形状である。換言すれば、基板320は、辺323と、辺323と交差する辺326と、辺323及び辺326を含む面321と、面321と異なる面322と、を有する。さらに、基板320は、辺323と平行に設けられた辺324と、辺326と平行に設けられた辺325とを有し、面321は、辺323、辺324、辺325、及び辺326を含む矩形状である。
ここで、基板320の面321と面322とは、基板320の基材を介して対向して位置する面であり、換言すれば、面321と面322とは、基板320の表裏の面である。そして、基板320は、プリントヘッド23において、面321が+Z1側、面322が−Z1側となるように設けられている。ここで、基板320の面321が第1面の一例であり、面321と異なる面322が第2面の一例である。また、辺323が第1辺の一例
であり、辺326が第2辺の一例であり、辺324が第3辺の一例であり、辺325が第4辺の一例である。
また、プリントヘッド23において基板320は、ノズルプレート632に対して、インクが吐出されるインク吐出面311の反対側であって、且つ、面321がノズルプレート632側となるように設けられている。換言すれば、基板320は、プリントヘッド23において、ノズルプレート632を有するヘッド310の−Z1側に位置し、面321が+Z側、面322が−Z1側となるように設けられている。
基板320には、第1コネクター350及び第2コネクター360が設けられている。第1コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿って設けられている。そして、第1コネクター350には、印刷データ信号SI1〜SIn、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの少なくともいずれかが入力される。また、第2コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられている。そして、第2コネクター360には、印刷データ信号SI1〜SIn、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの少なくともいずれかが入力される。なお、第1コネクター350及び第2コネクター360を介してプリントヘッド23に入力される信号の具体例については後述する。ここで、基板320の面321に設けられ、制御回路100から印刷データ信号SI1〜SIn、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの少なくともいずれかが入力される第1コネクター350が、コネクターの一例である。
次に、図14を用いて、基板320に設けられている第1コネクター350及び第2コネクター360の構成について説明する。図14は、第1コネクター350及び第2コネクター360の構成を示す図である。
第1コネクター350は、辺354と、辺354と直交し辺354よりも長い辺355とを含む複数の辺と、当該複数の辺により形成される複数の面とを有する略直方体の形状である。そして、第1コネクター350は、第1コネクター350の辺355と、基板320の辺323とが平行となるように設けられている。第1コネクター350は、ハウジング351と、ケーブル取付部352と、複数の端子353とを有する。ケーブル取付部352は、辺355に沿った細長の開口である。ケーブル取付部352には、制御機構10とヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23とを電気的に接続するための不図示のケーブルが取付けられる。また、複数の端子353は、辺355に沿った方向に並んで設けられている。すなわち、複数の端子353は、基板320の辺323に沿った方向に並んで設けられている。
そして、ケーブル取付部352にケーブルが取付けられた場合、当該ケーブルに含まれる複数の端子のそれぞれと第1コネクター350に含まれる複数の端子353のそれぞれとが電気的に接続される。これにより、制御機構10から出力される各種信号がプリントヘッド23に入力される。なお、第1実施形態では、第1コネクター350には、24個の端子353が辺323に沿って並設されているとして説明を行う。また以下の説明では、並設される24個の端子353を、辺323に沿った方向において、辺326側から辺325側に向かって順に、端子353−1,353−2,・・・,353−24と称する場合がある。ここで、辺354が第5辺の一例であり、辺355が第6辺の一例である。
第2コネクター360は、辺364と、辺364と直交し辺364よりも長い辺365とを含む複数の辺と、当該複数の辺により形成される複数の面とを有する略直方体の形状である。そして、第2コネクター360の辺365と、基板320の辺323とが平行となるように第2コネクター360は基板320に設けられている。第2コネクター360
は、ハウジング361と、ケーブル取付部362と、複数の端子363とを有する。ケーブル取付部362は、辺365に沿った細長の開口である。ケーブル取付部362には、制御機構10とヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23とを電気的に接続するための不図示のケーブルが取付けられる。複数の端子363は、辺323に沿った方向に並んで設けられている。そして、ケーブル取付部362にケーブルが取付けられた場合に、当該ケーブルに含まれる複数の端子のそれぞれと第2コネクター360に含まれる複数の端子363のそれぞれとが電気的に接続される。これにより、制御機構10が出力する各種信号がプリントヘッド23に入力される。なお、第1実施形態では、第2コネクター360には、24個の端子363が辺323に沿って並設されているとして説明を行う。また以下の説明では、並設される24個の端子363を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子363−1,363−2,・・・,363−24と称する場合がある。
次に、図15及び図16を用いて第1コネクター350、第2コネクター360のそれぞれに入力される信号の一例について説明する。図15は、第1コネクター350が有する複数の端子353のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。また、図16は、第2コネクター360が有する複数の端子363のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。
図15に示すように、端子353−1〜353−12には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、温度信号TH、及び異常信号XHOTと、複数のグラウンド信号GNDとが入力される。また、端子353−13〜353−24には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−1〜COM−6と基準電圧信号CGND−1〜CGND−6とが入力される。すなわち、第1コネクター350の辺326側に設けられる複数の端子353には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第1コネクター350の辺325側に設けられる複数の端子353には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力される。以上のように、高電圧の信号が入力される端子と低電圧の信号が入力される端子とを、第1コネクター350において分離して設けることで、低電圧の信号である制御信号に高電圧の信号が干渉するおそれを低減することが可能となる。
さらに、グラウンド信号GNDが入力される端子は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、温度信号TH、及び異常信号XHOTのそれぞれが入力される端子353の間に位置する。具体的には、グラウンド信号GNDが入力される端子353−3は、温度信号THが入力される端子353−2とラッチ信号LATが入力される端子353−4との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−5は、ラッチ信号LATが入力される端子353−4とクロック信号SCKが入力される端子353−6との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−7は、クロック信号SCKが入力される端子353−6とチェンジ信号CHが入力される端子353−8との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−9は、チェンジ信号CHが入力される端子353−8と印刷データ信号SI1が入力される端子353−10との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−11は、印刷データ信号SI1が入力される端子353−10と異常信号XHOTが入力される端子353−12との間に位置する。
前述のとおり、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKのそれぞれは、診断回路240においてプリントヘッド23の自己診断を行うための信号と、インクの吐出を制御するための信号とを兼ねる。このような重要な信号が入力される端子353の間に、基準電位の信号であるグラウンド信号GNDが入力
される端子353が位置することで、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが互いに干渉するおそれを低減することが可能となる。
図16に示すように、端子363−1〜363−12には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−1〜COM−6と基準電圧信号CGND−1〜CGND−6とが入力される。また、端子363−14には、高電圧の信号である高電圧信号VHVが入力される。また、端子363−15〜363−24には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI2〜SI6と、低電圧の信号である低電圧信号VDDと、複数のグラウンド信号GNDとが入力される。すなわち、第2コネクター360の辺326側に設けられる複数の端子363には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第2コネクター360の辺325側に設けられる複数の端子363には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力される。以上のように、高電圧の信号が入力される端子と低電圧の信号が入力される端子とを、第2コネクター360において分離して設けることで、低電圧の信号に高電圧の信号が干渉するおそれを低減することが可能となる。
次に、プリントヘッド23が有する基板320の構成について説明する。図17〜図18に示すように、基板320は、Y1方向に沿って辺323及び辺324が位置し、X1方向に沿って辺325及び辺326が位置するように設けられている。ここで、基板320の辺323の長さは、辺326の長さよりも短い。すなわち、基板320は、辺323を短辺、辺326を長辺とする略矩形である。
図17は、基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図18は、基板320を面321から見た場合の平面図である。なお、図18には、基板320の面321側に設けられるヘッド310の位置を破線で示している。
図17及び図18に示すように、基板320の面322は、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するインク供給口661が挿通されるインク供給路挿通孔331a〜331fと、後述するフレキシブル配線基板(FPC:Flexible
Printed Circuits)335が電気的に接続される電極群330a〜330fと、フレキシブル配線基板335が挿通されるFPC挿通孔332a〜332cとを有する。ここで、インク供給路挿通孔331a〜331fと、FPC挿通孔332a〜332cとは、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔である。
電極群330a〜330fのそれぞれは、Y1方向に沿った辺323に平行となるように並んで配置された複数の電極を有し、X1方向に沿った辺325に平行に配置されている。具体的には、電極群330aは、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。また、電極群330bは、電極群330aの辺324側に位置し、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。また、電極群330cは、電極群330bの辺324側に位置し、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。また、電極群330dは、電極群330cの辺324側に位置し、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。また、電極群330eは、電極群330dの辺324側に位置し、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。また、電極群330fは、電極群330eの辺324側に位置し、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。
そして、電極群330a〜330fのそれぞれには、後述するフレキシブル配線基板335が電気的に接続される。すなわち、プリントヘッド23は、基板320と電気的に接続される複数のフレキシブル配線基板335を有し、複数のフレキシブル配線基板335のそれぞれは、基板320の面322に設けられた電極群330a〜330fのそれぞれ
と電気的に接続する。換言すれば、複数のフレキシブル配線基板335は、基板320の面322と電気的に接続されている。
ここで、FPC挿通孔332a〜332cのそれぞれは、基板320を挿通する挿通孔であって、FPC挿通孔332a〜332cのそれぞれのY1方向である辺323に平行な方向の幅は、X1方向である辺326に平行な方向の幅より大きい。そして、FPC挿通孔332a〜332cのそれぞれは、X1方向である辺325に平行に並んで位置している。すなわち、基板320は、フレキシブル配線基板335が挿通されるFPC挿通孔332aと、フレキシブル配線基板335が挿通されるFPC挿通孔332bと、を有し、FPC挿通孔332aの辺323に沿った方向における幅は、辺326に沿った方向における幅よりも大きく、辺326に沿った方向において、FPC挿通孔332aとFPC挿通孔332bとは、少なくとも一部が重なって位置している。
このように位置するFPC挿通孔332a〜332cのそれぞれには、フレキシブル配線基板335が挿通される。具体的には、FPC挿通孔332aは、X1方向において電極群330aと電極群330bとの間に位置する。そして、FPC挿通孔332aには、電極群330aと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335と、電極群330bと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335とが挿通される。また、FPC挿通孔332bは、X1方向において電極群330cと電極群330dとの間に位置する。そして、FPC挿通孔332bには、電極群330cと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335と、電極群330dと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335とが挿通される。また、FPC挿通孔332cは、X1方向において電極群330eと電極群330fとの間に位置する。そして、FPC挿通孔332cには、電極群330eと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335と、電極群330fと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335とが挿通される。
ここで、FPC挿通孔332aが第1FPC挿通孔の一例であり、FPC挿通孔332bが第2FPC挿通孔の一例である。そして、基板320と電気的に接続しFPC挿通孔332aに挿通されるフレキシブル配線基板335が第1フレキシブル配線基板の一例であり、基板320と電気的に接続しFPC挿通孔332bに挿通されるフレキシブル配線基板335が第2フレキシブル配線基板の一例である。
インク供給路挿通孔331aは、X1方向において電極群330aの辺323側に位置する。また、インク供給路挿通孔331b,331cは、X1方向において電極群330bと電極群330cとの間に位置し、インク供給路挿通孔331bが辺325側、インク供給路挿通孔331cが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔331d,331eは、X1方向において電極群330dと電極群330eとの間に位置し、インク供給路挿通孔331dが辺325側、インク供給路挿通孔331eが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔331fは、X1方向において電極群330fの辺324側に位置する。
以上のように設けられたインク供給路挿通孔331a〜331fのそれぞれには、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するインク供給口661が挿通される。
ここで、FPC挿通孔332a〜332cに挿通されるフレキシブル配線基板335、及びインク供給路挿通孔331a〜331fに挿通されるインク供給口661と、基板320との関係について図19を用いて説明する。図19は、FPC挿通孔332a〜332cの少なくともいずれか、及びインク供給路挿通孔331a〜331fの少なくともいずれかを含むようにプリントヘッド23を切断した場合におけるプリントヘッド23の断
面を示す図である。なお、図19の説明では、FPC挿通孔332a〜332cを単にFPC挿通孔332と称し、インク供給路挿通孔331a〜331fを単に、インク供給路挿通孔331と称し、電極群330a〜330fを単に電極群330と称する。
図19に示すように、FPC挿通孔332には、フレキシブル配線基板335が挿通される。フレキシブル配線基板335は一端が基板320の面322に設けられた電極群330と接続され、他端が電極配線337の一端と接続される。そして、電極配線337の他端は、圧電素子60の電極611と接続される。また、フレキシブル配線基板335には、集積回路装置201がCOF(Chip On Film)実装されている。すなわち、集積回路装置201は、ノズルプレート632と基板320との間に位置している。この集積回路装置201は、駆動信号選択回路200及び温度異常検出回路250を含む。そして、電極群330を介して印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKと、駆動信号COMとが集積回路装置201に入力されることで、集積回路装置201に含まれる駆動信号選択回路200が、駆動信号VOUTを生成し出力する。
集積回路装置201は、生成した駆動信号VOUTを、電極配線337を介して圧電素子60の電極611に供給する。ここで、図19では図示を省略しているが、後述する診断回路240を含む集積回路装置241は、基板320とヘッド310との間に形成された空間であって、基板320の面321に設けられている。すなわち、集積回路装置241は、ノズルプレート632と基板320との間に位置している。なお、集積回路装置241が位置する空間は、例えば、ヘッド310が、基板320と固定される面の一部に凹部を有することによって形成される。ここで、駆動信号選択回路200を含み、フレキシブル配線基板335に設けられた集積回路装置201が第2集積回路の一例である。
また、プリントヘッド23にインクを供給するインク供給口661は、基板320のインク供給路挿通孔331を挿通する。すなわち、インク供給口661は、基板320の面322側に位置し、吐出部600は、基板320の面321側に位置している。そして、基板320は、ノズル651が形成されたノズルプレート632とインク供給口661との間に位置している。換言すれば、基板320は、インク供給口661が挿通されるインク供給路挿通孔331を有し、プリントヘッド23は、インクが供給されるインク供給口661を有する。そして、基板320は、インク供給口661と面321との最短距離が、インク供給口661と面322との最短距離よりも長くなる位置に設けられている。すなわち、インク供給口661は、基板320の面322側であって、Z1方向に沿った方向において、基板320よりも上側に相当する−Z1側に位置している。ここで、インク供給口661が液体供給口の一例であり、インク供給路挿通孔331が液体供給口挿通孔の一例である。
図17及び図18に戻り、基板320は、プリントヘッド23に含まれる基板320を固定するための固定孔346〜349を有する。固定孔346〜349は、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔である。そして、固定孔346〜349には、不図示の固定部材が挿通される。すなわち、プリントヘッド23は、基板320を固定する固定部材を有し、基板320は、当該固定部材が挿通される固定孔346を有する。そして、固定部材により、基板320が固定されることで、プリントヘッド23がヘッドユニット20に組み込まれる。
ここで、基板320を固定する固定部材としては例えば、ネジを用いることができる。具体的には、ネジが固定孔346〜349を挿通し、当該ネジが締められることで、基板320を含むプリントヘッド23がヘッドユニット20に固定される。また、ヘッドユニット20が、基板320を固定する固定部材としての突起部を有し、当該突起部が固定孔
346〜349を挿通し、嵌め合わさることで、基板320を含むプリントヘッド23がヘッドユニット20に固定されてもよい。さらに、上述のネジと突起部とを固定部材として併用することにより基板320を含むプリントヘッド23がヘッドユニット20に組み込まれてもよい。ここで、固定孔346〜349のいずれかが固定部材挿通孔の一例である。なお、以下の説明では、固定孔346〜349の内の固定孔347が、本実施形態における固定部材挿通孔に相当するとして説明を行う。
固定孔346,347は、X1方向においてインク供給路挿通孔331aの辺323側に位置し、固定孔346が辺325側、固定孔347が辺326側となるようにY1方向に沿って並んで設けられる。また、固定孔348,349は、X1方向においてインク供給路挿通孔331fの辺324側に位置し、固定孔348が辺325側、固定孔349が辺326側となるようにY1方向に沿って並んで設けられる。
また、図18に示すように、基板320の面321には、集積回路装置241、第1コネクター350、及びヘッド310が設けられている。集積回路装置241は、図2に示す診断回路240を含む。そして、集積回路装置241は、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCKに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。換言すれば、集積回路装置241が、第1コネクター350から入力されるデジタルの信号のラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCKに基づいて、プリントヘッド23の動作異常の有無を診断する。また、集積回路装置241には、温度異常検出回路250−1〜250−mから異常信号cXHOTが入力される。そして、集積回路装置241は、異常信号cXHOTに基づいて、プリントヘッド23の温度異常の有無を判定する。そして、集積回路装置241は、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否か、及びプリントヘッド23の温度異常の有無の少なくとも一方に基づいて、プリントヘッド23の異常の有無を示す異常信号XHOTを出力する。
すなわち、集積回路装置241は、基板320の面321に設けられ、第1コネクター350と電気的に接続し、第1コネクター350を介してラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCK等のデジタルの信号が入力され、且つプリントヘッド23の異常の有無を示す異常信号XHOTを出力する。この集積回路装置241が第1集積回路の一例である。
また、集積回路装置241は、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCK等のデジタルの信号が入力される複数の電極を有する。そして、集積回路装置241は、当該複数の電極を介して基板320と電気的に接続される。すなわち、集積回路装置241は、基板320と電気的に接続される複数の電極を有する。この場合において、集積回路装置241は、基板320の面321の表面に実装される表面実装部品であることが好ましく、この場合において、集積回路装置241と基板320とは、バンプ電極を介して電気的に接続されていることが好ましい。すなわち、集積回路装置241が有する複数の電極は、基板320の面322には挿通していないことが好ましい。これにより、基板320の面322側の実装面積を有効に活用することが可能となり、その結果、基板320の小型化、及び基板320を含むプリントヘッド23の小型化が可能となる。
以上のように、プリントヘッド23において、診断回路240を含む集積回路装置241は、ヘッド310と同じ基板320の面321の表面に設けられる。すなわち、診断回路240を含む集積回路装置241が設けられる基板320の面321と、ヘッド310及びヘッド310に含まれるノズルプレート632との最短距離は、基板320の面322と、ヘッド310及びヘッド310に含まれるノズルプレート632との最短距離より
も短い。換言すれば、プリントヘッド23において、基板320は、インクが吐出される吐出方向であるZ1方向に沿って、面322が当該インクの吐出方向の上流側である−Z1側に位置し、面321がインクの吐出方向の下流側である+Z1側に位置するように設けられている。そして、吐出方向の下流側に設けられた基板320の面321に診断回路240を含む集積回路装置241とヘッド310とが設けられている。
また、図18に示すように集積回路装置241は、基板320の面321側において、第1コネクター350と隣接しない場所であって、FPC挿通孔332a〜332cのあるエリアよりも辺326側に設けられている。すなわち、集積回路装置241と辺326との最短距離は、FPC挿通孔332aと辺326との最短距離よりも短く、集積回路装置241と辺326との最短距離は、FPC挿通孔332bと辺326との最短距離よりも短い。換言すれば、集積回路装置241は、Y1方向において、基板320のFPC挿通孔332a〜332cの間以外の領域に位置している。
さらに、集積回路装置241は、辺323及び辺324からの距離が等しい仮想線Aと集積回路装置241との最短距離が、辺323と集積回路装置241との最短距離よりも短く、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離が、辺324と集積回路装置241との最短距離よりも短い領域に位置している。すなわち、集積回路装置241は、基板320の中央部付近に位置している。
そして、集積回路装置241は、基板320とヘッド310との間に位置している。具体的には、図18に示すように、プリントヘッド23を+Z1側から見た場合に、集積回路装置241は、ヘッド310と重なる位置であって、例えば、図19に示すような基板320とヘッド310とで形成された空間に設けられている。なお、基板320とヘッド310とで形成された空間とは、基板320及びヘッド310のみで形成された空間に限られず、例えば、基板320、ヘッド310及び基板320にヘッド310を固定するための接着剤を含んで形成された空間であってもよい。
次に、図20を用いて、基板320の面321に設けられ、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、及び異常信号XHOTを伝搬する配線パターンの一例について説明する。図20は、基板320の面321に形成された配線の一例を示す図である。なお、図20では、基板320に形成される配線パターンの一部の図示を省略している。また、図20には、基板320の面322に形成される電極群330a〜330fを破線で示している。
図20に示すように、基板320の面321には、配線354−a〜354−pが設けられている。
端子353−4は、配線354−aと電気的に接続されている。端子353−4から入力されるラッチ信号LATは、配線354−aで伝搬した後、集積回路装置241に入力される。すなわち、配線354−aは、端子353−4と集積回路装置241の電極とを電気的に接続し、ラッチ信号LATが伝搬する。
端子353−6は、配線354−bと電気的に接続されている。端子353−6から入力されるクロック信号SCKは、配線354−bで伝搬した後、集積回路装置241に入力される。すなわち、配線354−bは、端子353−6と集積回路装置241の電極とを電気的に接続し、クロック信号SCKが伝搬する。
端子353−8は、配線354−cと電気的に接続されている。端子353−8から入力されるチェンジ信号CHは、配線354−cで伝搬した後、集積回路装置241に入力
される。すなわち、配線354−cは、端子353−8と集積回路装置241の電極とを電気的に接続し、チェンジ信号CHが伝搬する。
端子353−10は、配線354−dと電気的に接続されている。端子353−10から入力される印刷データ信号SI1は、配線354−dで伝搬した後、集積回路装置241に入力される。すなわち、配線354−dは、端子353−10と集積回路装置241の電極とを電気的に接続し印刷データ信号SI1が伝搬する。
集積回路装置241は、入力されるラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCKに基づいてプリントヘッド23におけるインクの正常な吐出が可能であるか否かを診断する。換言すればプリントヘッド23の異常の有無を診断する。そして、集積回路装置241は、プリントヘッド23におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、入力されるラッチ信号LAT、クロック信号SCK、及びチェンジ信号CHを、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK、及びチェンジ信号cCHとして電極群330a〜330fのそれぞれに出力する。
具体的には、集積回路装置241の電極は、配線354−f〜354−hのそれぞれと電気的に接続されている。集積回路装置241から出力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK、及びチェンジ信号cCHのそれぞれは、配線354−f〜354−hのそれぞれで伝搬された後、不図示のビア等を介して、電極群330aに含まれる電極のいずれかに入力される。なお、図20では、電極群330aに入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK、及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線354−f〜354−hのみを図示し、集積回路装置241から出力され、電極群330b〜330fのそれぞれに入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK、及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線パターンの図示を省略している。
また、電極群330aに含まれる電極のいずれかと、集積回路装置241の電極とは、配線354−pで電気的に接続されている。配線354−pは、温度異常検出回路250から出力される異常信号cXHOTが伝搬する。そして、異常信号cXHOTは、集積回路装置241に入力される。集積回路装置241は、異常信号cXHOTに基づくプリントヘッド23の温度異常の有無、及びラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCKに基づくプリントヘッド23の異常の有無の少なくとも一方に応じた異常信号XHOTを生成する。集積回路装置241から出力された異常信号XHOTは、端子353−12と電気的に接続されている配線354−eで伝搬する。そして、異常信号XHOTは、配線354−dで伝搬した後、端子353−12に入力される。すなわち、配線354−eは、端子353−12と集積回路装置241の電極とを電気的に接続し異常信号XHOTが伝搬する。
さらに図20に示すように、端子353−10は、配線354−iとも電気的に接続されている。端子353−10から入力される印刷データ信号SI1は、配線354−iで伝搬した後、不図示のビア等を介して電極群330aに含まれる電極のいずれかに入力される。
駆動信号COM−1が入力される端子353−14は、配線354−jと電気的に接続されている。端子353−14から入力される駆動信号COM−1は、配線354−jで伝搬した後、不図示のビア等を介して、電極群330aに含まれる電極のいずれかに入力される。同様に、駆動信号COM−2〜COM−6が入力される端子353−16,353−18,353−20,353−22,353−24のそれぞれは、配線354−k〜354−oのそれぞれと電気的に接続されている。そして、駆動信号COM−2〜COM−6のそれぞれは、配線354−k〜354−oで伝搬した後、不図示のビア等を介して
電極群330b〜330fのそれぞれに含まれる電極のいずれか入力される。
以上のように構成されたプリントヘッド23では、制御機構10から出力された駆動信号COM−1〜COM−6、基準電圧信号CGND−1〜CGND−6、印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT,チェンジ信号CH,クロック信号SCKを含む複数の信号が、第1コネクター350を介してプリントヘッド23に入力される。そして、第1コネクター350に入力される駆動信号COM−1〜COM−6及び基準電圧信号CGND−1〜CGND−6は、配線354−j〜354−oを介して、電極群330a〜330fのそれぞれに入力される。
また、第1コネクター350に入力されるラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKは、配線354−a〜354−cを介して、集積回路装置241に入力される。この場合において、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKのそれぞれが伝搬される配線354−a〜354−cは、基板320のインク吐出面311側の面である面321にのみ形成されている。換言すれば、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKのそれぞれが伝搬される配線パターンには、面321と面322とを電気的に接続するビア配線が形成されていない。
また、第1コネクター350に入力される印刷データ信号SI1は、基板320の面321において分岐される。そして、分岐された印刷データ信号SI1のうちの一方の信号は、面321に形成された配線354−dを介して集積回路装置241に入力され、分岐された印刷データ信号SI1のうちの他方の信号は、基板320の面321及び面322に形成された配線354−iを介して、電極群330aに入力される。
集積回路装置241は、入力されるラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、クロック信号SCK、及び印刷データ信号SI1に基づいてプリントヘッド23の自己診断を行う。そして、集積回路装置241は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKの電圧、及びタイミング等を検出し、当該検出結果が正常の範囲内であると診断した場合、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKを出力する。集積回路装置241から出力されたチェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT、及びクロック信号cSCKは、基板320の面321及び面322に形成された配線354−f〜354−hを介して、電極群330a〜330fのそれぞれに入力される。
また、第1コネクター350には、基板320の面321及び面322に形成された不図示の配線パターンを介して、図2に示す温度検出回路210から温度信号THが入力される。なお、温度信号THを出力する温度検出回路210は、基板320の面321又は面322のいずれかに設けられていてもよく、ヘッド310の内部に設けられていてもよい。
第2コネクター360に入力される駆動信号COM−1〜COM−6、基準電圧信号CGND−1〜CGND−6、高電圧信号VHV、及び低電圧信号VDDは、基板320の面321及び面322に形成された不図示の配線パターンを介して、電極群330a〜330fのそれぞれに入力される。
また、第2コネクター360に入力される印刷データ信号SI2〜SI6のそれぞれは、基板320の面321及び面322に形成された不図示の配線パターンを介して、電極群330b〜330fのそれぞれに入力される。
電極群330a〜330fのそれぞれに入力された各種信号は、電極群330a〜33
0fのそれぞれと電気的に接続されるフレキシブル配線基板335を介して、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応する駆動信号選択回路200−1〜200−6に入力される。そして、駆動信号選択回路200−1〜200−6は、入力される信号に基づいて駆動信号VOUT−1〜VOUT−6を生成し、対応するノズル列L1〜L6のそれぞれに含まれる圧電素子60に供給する。これにより、第1コネクター350、第2コネクター360に入力される各種信号に基づく駆動信号VOUTが、複数の吐出部600に含まれる圧電素子60に供給される。
以上のように、基板320の面321に設けられたラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、及び異常信号XHOTを伝搬する配線を位置することで、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、及び異常信号XHOTにノイズ等が重畳するおそれが低減する。その結果、プリントヘッド23における動作異常の有無の診断精度が向上する。
1.4 ヘッドユニットの構成
次に、複数のプリントヘッド23を有するヘッドユニット20の構成について説明する。図21は、ヘッドユニット20の構成を示す分解斜視図である。図21に示すようにヘッドユニット20は、供給ユニット22と、ヘッド固定板31と、複数のプリントヘッド23とを有する。ここで、図21では、ヘッドユニット20は、12個のプリントヘッド23を備えるとして説明を行う。そして、以下の説明では、ヘッドユニット20が備える12個のプリントヘッド23を、プリントヘッド23−1〜23−12と称する場合がある。なお、ヘッドユニット20が備えるプリントヘッド23の数は12個に限定されるものではない。
供給ユニット22は、複数のインク供給口21を有する。複数のインク供給口21は、供給ユニット22の−Z側に設けられた開口部である。そして、複数のインク供給口21のそれぞれは、供給ユニット22の内部に設けられたインク流路と挿通している。また、複数のインク供給口21のそれぞれは、図1に示す液体容器2と不図示のインク供給管等で接続される。この不図示のインク供給管は、例えば、インクが流れるチューブ等で構成されている。これにより、液体容器2に貯留されているインクが供給ユニット22の内部に形成されたインク流路に供給される。
また、供給ユニット22の内部に設けられたインク流路は、供給ユニット22の内部で分岐された後、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する複数のインク供給口661に接続される。すなわち、液体容器2からインク供給口21を介して供給ユニット22に供給されたインクは、供給ユニット22の内部に設けられたインク流路においてプリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれに対応して分岐された後、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する複数のインク供給口661を介して、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれに供給される。以上のように、ヘッドユニット20は、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれにインクを供給する供給ユニット22を有する。
プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、供給ユニット22の+Z側において、基板320の辺323がZ方向と直交するX方向に沿って位置し、辺326がZ方向と直交するY方向に沿って位置している。すなわち、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する基板320は、辺323が鉛直方向と直交し、且つ辺326が鉛直方向と直交するように設けられている。
そして、プリントヘッド23−1〜23−12は、X方向に沿って千鳥状に配置されている。具体的には、プリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9
,23−11は、−X側から+X側に向かいプリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11の順にX方向に沿って並んで位置している。また、プリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−12は、X方向に沿って並んで位置しているプリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11の−Y側において、−X側から+X側に向かいプリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−12の順にX方向に沿って並んで位置している。換言すれば、プリントヘッド23−1が有する基板320の辺323に沿った方向であるX方向において、プリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11は、少なくとも一部がかさなり、プリントヘッド23−2が有する基板320の辺323に沿った方向であるX方向において、プリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−12は、少なくとも一部がかさなっている。
また、X方向に沿って配置されているプリントヘッド23−1〜23−12を+Y側から見た場合、プリントヘッド23−2は、プリントヘッド23−1とプリントヘッド23−3との間に位置し、プリントヘッド23−4は、プリントヘッド23−3とプリントヘッド23−5との間に位置し、プリントヘッド23−6は、プリントヘッド23−5とプリントヘッド23−7との間に位置し、プリントヘッド23−8は、プリントヘッド23−7とプリントヘッド23−9との間に位置し、プリントヘッド23−10は、プリントヘッド23−9とプリントヘッド23−11との間に位置し、プリントヘッド23−12は、プリントヘッド23−11の+X側に位置している。
ここで、図21では、X方向に沿って並ぶプリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11のそれぞれは、プリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11のそれぞれが有する基板320の辺323がヘッドユニット20の+Y側に位置し、X方向に沿って並ぶプリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−12のそれぞれは、プリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−12のそれぞれが有する基板320の辺323がヘッドユニット20の−Y側に位置しているとして図示している。すなわち、図21において、プリントヘッド23−1,23−3,23−5,23−7,23−9,23−11のそれぞれと、プリントヘッド23−2,23−4,23−6,23−8,23−10,23−11のそれぞれとは、180度回転した状態で、ヘッド固定板31に組み付けられている。なお、ヘッドユニット20において、X方向に沿って並ぶプリントヘッド23−1〜23−12は、180度回転することなく同じ向きでヘッドユニット20に組み付けられてもよい。
以上のように千鳥状に配置されたプリントヘッド23−1〜23−12の+Z側には、ヘッド固定板31が設けられている。ヘッド固定板31は、吐出面挿通孔32−1〜32−12を含む。吐出面挿通孔32−1〜32−12のそれぞれには、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するヘッド310のインク吐出面311が挿通している。換言すれば、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、吐出面挿通孔32−1〜32−12のそれぞれにヘッド310のインク吐出面311が挿通した状態で固定されている。
具体的には、プリントヘッド23−1が有するヘッド310のインク吐出面311は、ヘッド固定板31が有する吐出面挿通孔32−1に挿通している。同様に、プリントヘッド23−2〜23−12のそれぞれが有するヘッド310のインク吐出面311は、ヘッド固定板31が有する吐出面挿通孔32−2〜32−12のそれぞれに挿通している。そして、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、基板320が有する固定孔346〜349を挿通した固定部材によって、ヘッド固定板31に固定される。
また、ヘッド固定板31には、ネジ、接着剤等により供給ユニット22が固定される。これにより、プリントヘッド23−1〜23−12は、ヘッド固定板31と供給ユニット22とで形成された空間に収容される。すなわち、ヘッドユニット20は、インクを吐出するプリントヘッド23−1〜23−12と、プリントヘッド23−1〜23−12を収容するヘッド固定板31及び供給ユニット22で構成されたケースとを備える。ここで、ヘッド固定板31及び供給ユニット22で構成されたケースが筐体の一例である。
以上のように、ヘッドユニット20において、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、ヘッド310のインク吐出面311が、プリントヘッド23−1〜23−12の+Z側に位置するヘッド固定板31に向くように設けられている。すなわち、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する基板320の面321は、Z方向に沿った方向で下方を向き、基板320の面322は、Z方向に沿った方向で上方を向く。換言すれば、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する基板320は、鉛直方向に沿った方向において、面321が下方を向き、面322が上方を向くように設けられている。
駆動信号選択回路200及び温度異常検出回路250を含む集積回路装置201は、複数の圧電素子60に対して供給する駆動信号VOUTを生成するが故に、診断回路240を備えた集積回路装置241よりも発熱量が大きくなる。本実施形態における液体吐出装置1が有するヘッドユニット20が備えるプリントヘッド23では、集積回路装置201で生じた熱は、フレキシブル配線基板335及び基板320で伝達し、基板320から放射される。この場合において、診断回路240を含む集積回路装置241が設けられた基板320の面321が鉛直方向に沿った方向において下方を向き、面321と異なる面322が鉛直方向に沿った方向において上方を向くことで、基板320から放射される熱は、基板320の面321とは異なる方向に放射される。したがって、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に、集積回路装置201の発熱が影響するおそれが低減される。その結果、診断回路240を含む集積回路装置241の温度上昇が低減される。
さらに、この場合において、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有する基板320は、辺323が鉛直方向であるZ方向と直交し、且つ辺326が鉛直方向であるZ方向と直交するように設けられていることが好ましい。換言すれば、基板320の面321の法線方向が、鉛直方向であるZ方向に沿った方向であることが好ましい。
基板320の面321を鉛直方向と直交するように基板320が位置することで、基板320から放射される熱が基板320の面321に影響を及ぼすおそれがさらに低減される。その結果、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に、集積回路装置201の発熱が影響するおそれがさらに低減され、診断回路240を含む集積回路装置241の温度上昇がさらに低減される。
ここで、ヘッドユニット20におけるプリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の配置について説明する。
図22は、ヘッドユニット20を+Z側から見た場合のヘッドユニット20の構成を示す図である。図22に示すように、ヘッドユニット20においてプリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6は、いずれもX方向に沿って延在している。具体的には、プリントヘッド23−1が有するノズル列L1〜L6のそれぞれを構成する複数のノズル651は、X方向に沿った方向に並んで位置している。同様に、プ
リントヘッド23−2〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6のそれぞれを構成する複数のノズル651も、X方向に沿った方向に並んで位置している。
ここで、前述のとおりプリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、複数のノズル651が基板320の辺323に沿った方向に並んで設けられたノズル列L1〜L6を有する。そして、ヘッドユニット20において、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれは、基板320の辺323がZ方向と直交するX方向に沿って位置している。すなわち、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6のそれぞれを構成する複数のノズル651は、プリントヘッド23−1が有する基板320の辺323に沿った方向に並ぶように設けられている。
この場合において、X方向に沿って千鳥状に配置されているプリントヘッド23−1〜23−12を+Y側から見た場合に、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように設けられている。
具体的には、X方向に沿って千鳥状に配置されているプリントヘッド23−1〜23−12を+Y側から見た場合に、プリントヘッド23−1が有するノズル列L1〜L6とプリントヘッド23−2が有するノズル列L1〜L6との少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−1,23−2が位置する。同様に、プリントヘッド23−2,23−3のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−2,23−3が位置する。同様に、プリントヘッド23−3,23−4のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−3,23−4が位置する。同様に、プリントヘッド23−4,23−5のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−4,23−5が位置する。同様に、プリントヘッド23−5,23−6のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−5,23−6が位置する。同様に、プリントヘッド23−6,23−7のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−6,23−7が位置する。同様に、プリントヘッド23−7,23−8のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−7,23−8が位置する。同様に、プリントヘッド23−8,23−9のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−8,23−9が位置する。同様に、プリントヘッド23−9,23−10のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−9,23−10が位置する。同様に、プリントヘッド23−10,23−11のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−10,23−11が位置する。同様に、プリントヘッド23−11,23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なるように、プリントヘッド23−11,23−12が位置する。
ここで、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なる重複部分の詳細について、図23を用いて説明する。図23は、図22におけるA部を拡大した図である。なお、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なる重複部分はいずれも同様の構成である。そのため、図22では、プリントヘッド23−1が有するノズル列L5,L6とプリントヘッド23−2が有するノズル列L5,L6との少なくとも一部が重なるA部についてのみ説明を行い、他の部分の説明は省略する。また、図22の説明では、ノズル列L1〜L6のそれぞれは、p個のノズル651を含んで構成されているとして説明を行う。そのため、p個のノズル651を、ノズル651−1,651−2,・・・,651−p−1,651−pと称する。
図22に示すように、A部において、プリントヘッド23−1が有するノズル列L5に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−p−1は、プリントヘッド23−2が有するノズル列L5に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−1と、Y方向において重なって位置している。また、プリントヘッド23−1が有するノズル列L5に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−pは、プリントヘッド23−2が有するノズル列L5に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−2と、Y方向において重なって位置している。同様に、プリントヘッド23−1が有するノズル列L6に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−p−1は、プリントヘッド23−2が有するノズル列L6に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−1と、Y方向において重なって位置している。また、プリントヘッド23−1が有するノズル列L6に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−pは、プリントヘッド23−2が有するノズル列L6に含まれる複数のノズル651のうちのノズル651−2と、Y方向において重なって位置している。
すなわち、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6の少なくとも一部が重なる重複部分では、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6のそれぞれを構成する複数のノズル651のいくつかが、Y方向において重なって位置している。これにより、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6は、X方向における幅Lにおいて、疑似的に連続したノズル列を形成する。そして、疑似的に形成されたノズル列の幅Lを媒体Mの幅以上とすることにより、ヘッドユニット20は、幅Lにおいて連続したインクの吐出が可能となる。
ここで、ヘッドユニット20が備えるプリントヘッド23−1〜23−nの内、プリントヘッド23−1が第1プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド23−1が備える複数のノズル651が複数の第1ノズルの一例であり、プリントヘッド23−1が備える複数のノズル651によって形成されるノズル列L1〜L6のいずれかが第1ノズル列の一例であり、プリントヘッド23−1が備えるノズルプレート632が第1ノズルプレートの一例である。また、ヘッドユニット20が備えるプリントヘッド23−1〜23−nの内、プリントヘッド23−3が第2プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド23−3が備える複数のノズル651が複数の第2ノズルの一例であり、プリントヘッド23−3が備える複数のノズル651によって形成されるノズル列L1〜L6のいずれかが第2ノズル列の一例であり、プリントヘッド23−3が備えるノズルプレート632が第2ノズルプレートの一例である。
1.5 作用効果
以上のように構成された第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20では、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23において、駆動信号選択回路200を含む集積回路装置201は、フレキシブル配線基板335に設けられ、プリントヘッド23の異常の有無を示す異常信号XHOTを出力する診断回路240を含む集積回路装置241は、基板320の面321に設けられている。そして、プリントヘッド23が有する基板320は、面321が鉛直方向の下方、面322が鉛直方向の上方を向くように設けられている。
以上のように構成されたヘッドユニット20及びヘッドユニット20を備えた液体吐出装置1では、集積回路装置201で生じた熱は、フレキシブル配線基板335及び基板300を伝達する。そして、基板300に到達した集積回路装置201で生じた熱は、基板300の鉛直方向の上方である面322側から放射される。よって、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に対して、集積回路装置201で生じた熱が影響を及ぼすおそれが低減する。その結果、プリントヘッド23の自己診断機能を実行するための
集積回路装置241が正常に動作しないおそれが低減される。
また、第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20では、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23において、基板320は、辺323は鉛直方向と直交し、辺326は鉛直方向と直交するように設けられている。すなわち、基板320の面321の法線方向が鉛直方向に沿った向きとなる。換言すれば、基板320は、面321及び面322が鉛直方向と直交するように設けられている。これにより、基板300に到達した集積回路装置201で生じた熱は、さらに効率よく基板320の面322側から放射される。その結果、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に対して、集積回路装置201で生じた熱が影響を及ぼすおそれがさらに低減し、プリントヘッド23の自己診断機能を実行するための集積回路装置241が正常に動作しないおそれがさらに低減される。
また、第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20では、集積回路装置201が設けられたフレキシブル配線基板335は、基板320の面322と電気的に接続している。これにより、基板300に到達した集積回路装置201で生じた熱が、基板320の面321側に寄与するおそれがさらに低減する。その結果、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に対して、集積回路装置201で生じた熱が影響を及ぼすおそれがさらに低減し、プリントヘッド23の自己診断機能を実行するための集積回路装置241が正常に動作しないおそれがさらに低減される。
また、第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20では、集積回路装置201が設けられたフレキシブル配線基板335は、基板320に含まれるFPC挿通孔332a〜332cを挿通し、基板320の面322と電気的に接続している。すなわち、基板320は、フレキシブル配線基板335の近傍に、面321と面322を貫通する貫通孔を有する。これにより、集積回路装置201で生じた輻射熱は、FPC挿通孔332a〜332cを介して、基板320の面322側に放射される。その結果、基板320の面321に設けられた集積回路装置241に対して、集積回路装置201で生じた熱が影響を及ぼすおそれがさらに低減し、プリントヘッド23の自己診断機能を実行するための集積回路装置241が正常に動作しないおそれがさらに低減される。
以上のように構成された第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20では、プリントヘッド23−1〜23−12がケースに収容され、プリントヘッド23−1〜23−12のそれぞれが有するノズル列L1〜L6が、媒体Mの幅以上に並ぶように、ヘッドユニット20においてプリントヘッド23−1〜23−12が並んで設けられる所謂ラインヘッド型の液体吐出装置1に用いられるヘッドユニット20であっても、集積回路装置241に対して、集積回路装置201で生じた熱が影響を及ぼすおそれがさらに低減し、その結果、プリントヘッド23の自己診断機能を実行するための集積回路装置241が正常に動作しないおそれがさらに低減される。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20について説明する。なお、第2実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。また、第2実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20は、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド23の基板320に設けられる集積回路装置241の配置が、第1実施形態と異なる。
図24は、第2実施形態におけるヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23が有する基板320を面321から見た場合の平面図である。図24に示すように、第2実
施形態におけるプリントヘッド23は、辺325又は辺326に沿ったX1方向において、集積回路装置241の少なくとも一部が、固定部材が挿通される固定孔347と重なる位置に設けられる。すなわち、第2実施形態のヘッドユニット20が有するプリントヘッド23では、X1方向において、集積回路装置241の少なくとも一部が固定部材と重なっている。
より具体的には、基板320において、第1コネクター350、固定孔347、及び集積回路装置241は、辺325又は辺326に沿ったX1方向において、第1コネクター350、固定孔347、及び集積回路装置241の順に位置し、且つ、集積回路装置241の少なくとも一部が固定孔347に挿通される固定部材と重なっている。そして、固定孔347は、第1コネクター350と集積回路装置241の少なくとも一部との間に位置する。つまり、集積回路装置241の位置は、第1コネクター350に隣接しない位置である。
すなわち、第2実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20が備えるプリントヘッド23において、診断回路240を含む集積回路装置241は、基板320の辺323及び辺324からの距離が等しい仮想線Aと集積回路装置241との最短距離が、辺323と集積回路装置241との最短距離よりも短く、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離が、辺324と集積回路装置241との最短距離よりも短くなるように設けられ、さらに、集積回路装置241は、辺323と集積回路装置241との最短距離が、辺324と集積回路装置241との最短距離よりも短くなるように設けられている。
以上のように構成されたプリントヘッド23を有するヘッドユニット20及び当該ヘッドユニット20を備えた液体吐出装置1であっても、プリントヘッド23が有する基板320が、鉛直方向に沿った方向において、面321が下方を向き、面322が上方を向くように設けられていることで、第1実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏することができる。
なお、図24では、集積回路装置241は、固定孔247の近傍に位置しているが、集積回路装置241は、辺325又は辺326に沿った方向において、少なくとも一部が固定孔347に挿通される固定部材と重なる位置に設けられていればよく、例えば、基板320の中央部に設けられていてもよい。
3.第3実施形態
次に、第3実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20について説明する。なお、第3実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。また、第3実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20は、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド23が、制御機構10と電気的に接続されるコネクターを4つ備える点で、第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
図25は、第3実施形態における液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図の内、第3実施形態におけるプリントヘッド23の電気的な構成を示すブロック図である。なお、第3実施形態における制御機構10とヘッドユニット20との電気的な構成は図2に示す第1実施形態における液体吐出装置1と同様であり、その説明を省略する。
図25に示すように、第3実施形態における制御回路100は、ホストコンピューターからの入力される画像データ等の各種信号に基づいてプリントヘッド23を制御するための制御信号Ctrl−Pとして、インクの吐出タイミングを規定する2つのラッチ信号LATa,LATbと、駆動信号COMの波形切替のタイミングを規定する2つのチェンジ
信号CHa,CHbと、印刷データ信号SIを入力するための2つのクロック信号SCKa,SCKbと、を生成し、プリントヘッド23に出力する。ここで、2つのラッチ信号LATa,LATb、2つのチェンジ信号CHa,CHb、及び2つのクロック信号SCKa,SCKbのそれぞれは、プリントヘッド23の自己診断を行うための信号を兼ねる。
プリントヘッド23に含まれる診断回路240には、ラッチ信号LATa,LATbと、チェンジ信号CHa,CHbと、クロック信号SCKa,SCKbと、印刷データ信号SI1,SInとが入力される。そして、診断回路240は、ラッチ信号LATa,LATbと、チェンジ信号CHa,CHbと、クロック信号SCKa,SCKbと、印刷データ信号SI1,SInとに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かを診断する。
具体的には、診断回路240は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、及びクロック信号SCKaに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行う。そして、診断回路240は、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能であると判断した場合、チェンジ信号cCHa、ラッチ信号cLATa、及びクロック信号cSCKaを出力する。また、診断回路240は、印刷データ信号SIn、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、及びクロック信号SCKbに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行う。そして、診断回路240は、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能であると判断した場合、チェンジ信号cCHb、ラッチ信号cLATb、及びクロック信号cSCKbを出力する。診断回路240から出力されるチェンジ信号cCHa、ラッチ信号cLATa、及びクロック信号cSCKaは、n個の駆動信号選択回路200の内のいずれかに入力され、チェンジ信号cCHb、ラッチ信号cLATb、及びクロック信号cSCKbは、n個の駆動信号選択回路200の内の異なるいずれかに入力される。
また、診断回路240は、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断結果に基づく異常信号XHOTを生成し、制御回路100に出力する。
駆動信号選択回路200は、診断回路240から出力された印刷データ信号SI1〜SInのいずれか、チェンジ信号cCHa,cCHbの一方、ラッチ信号cLATa,cLATbの一方、及びクロック信号cSCKa,cSCKbの一方に基づいて駆動信号VOUT−1〜VOUT−nを生成する。
次に、第3実施形態におけるプリントヘッド23の構成について説明する。なお、第3実施形態のプリントヘッド23は、10個の駆動信号選択回路200−1〜200−10を備えるとして説明を行う。したがって、第3実施形態におけるプリントヘッド23には、10個の駆動信号選択回路200−1〜200−10のそれぞれに対応する10個の印刷データ信号SI1〜SI10と、10個の駆動信号COM−1〜COM−10と、10個の基準電圧信号CGND−1〜CGND−10とが入力される。
図26は、第3実施形態におけるプリントヘッド23の構成を示す斜視図である。図26に示すように、プリントヘッド23は、ヘッド310及び基板320を有する。また、図27は、第3実施形態におけるヘッド310のインク吐出面311を示す平面図である。図27に示すように、第3実施形態におけるインク吐出面311には、複数のノズル651が形成されたノズルプレート632が、X1方向に沿って10個並んで設けられている。また、ノズルプレート632のそれぞれには、X1方向に沿って並んで設けられるノズル列L1〜L10が形成されている。このノズル列L1〜L10のそれぞれが、駆動信号選択回路200−1〜200−10のそれぞれに対応して設けられる。
図26に戻り、基板320は、面321と、面321と対向する面322とを有し、辺323と、辺323に対してX1方向で対向する辺324と、辺325と、辺325に対してY1方向に対向する辺326とで形成される略矩形状である。換言すれば、基板320は、辺323と、辺323と異なる辺324と、辺323及び辺324と直交する辺325と、辺323及び辺324と直交し辺325と異なる辺326を有する。
基板320には、第1コネクター350、第2コネクター360、第3コネクター370、及び第4コネクター380が設けられている。第1コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿って設けられる。また、第2コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられる。なお、第3実施形態における第1コネクター350及び第2コネクター360は、第1コネクター350及び第2コネクター360に含まれる複数の端子の数が20個である点が第1実施形態と異なり、その他の構成については第1実施形態と同様である。そのため、第3実施形態における第1コネクター350及び第2コネクター360についての詳細な説明を省略する。なお、第3実施形態における第1コネクター350に並設される20個の端子353を、辺323に沿った方向において、辺326側から辺325側に向かって順に、端子353−1,353−2,・・・,353−20と称する場合がある。同様に、第3実施形態における第2コネクター360に並設される20個の端子363を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子363−1,363−2,・・・,363−20と称する場合がある。
第3コネクター370は、基板320の面321側であって、辺324に沿って設けられている。また、第4コネクター380は、基板320の面322側であって、辺324に沿って設けられている。
図28を用いて、第3コネクター370、第4コネクター380の構成について説明する。図28は、第3コネクター370及び第4コネクター380の構成を示す図である。第3コネクター370は、辺374と、辺374と直交し辺374よりも長い辺375と、を含む複数の辺と、当該複数の辺により形成される複数の面とを有する略直方体の形状である。そして、第3コネクター370の辺375と、基板320の辺324とが平行となるように第3コネクター370は基板320に設けられている。第3コネクター370は、ハウジング371と、ケーブル取付部372と、複数の端子373とを有する。ケーブル取付部372には、制御機構10とプリントヘッド23とを電気的に接続するための不図示のケーブルが取付けられる。また、複数の端子373は、辺324に沿って並設されている。そして、ケーブル取付部372にケーブルが取付けられた場合に、当該ケーブルに含まれる複数の端子のそれぞれと、第3コネクター370に含まれる複数の端子373のそれぞれとが電気的に接続される。これにより、制御機構10が出力する各種信号がプリントヘッド23に入力される。なお、本実施形態では、第3コネクター370には、20個の端子373が辺324に沿って並設されているとして説明を行う。また、並設される20個の端子373を、辺324に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子373−1,373−2,・・・,373−20と称する場合がある。
第4コネクター380は、辺384と、辺384と直交し辺384よりも長い辺385と、を含む複数の辺と、当該複数の辺により形成される複数の面とを有する略直方体の形状である。そして、第4コネクター380の辺385と、基板320の辺324とが平行となるように第4コネクター380は基板320に設けられている。第4コネクター380は、ハウジング381と、ケーブル取付部382と、複数の端子383とを有する。ケーブル取付部382には、制御機構10とプリントヘッド23とを電気的に接続するため
の不図示のケーブルが取付けられる。また、複数の端子383は、辺324に沿って並設されている。そして、ケーブル取付部382にケーブルが取付けられた場合に、当該ケーブルに含まれる複数の端子のそれぞれと、第4コネクター380に含まれる複数の端子383のそれぞれとが電気的に接続される。これにより、制御機構10が出力する各種信号がプリントヘッド23に入力される。なお、本実施形態では、第4コネクター380には、20個の端子383が辺324に沿って並設されているとして説明を行う。また、並設される20個の端子383を、辺324に沿った方向において、辺326側から辺325側に向かって順に、端子383−1,383−2,・・・,383−20と称する場合がある。
次に、図29〜図32を用いて第1コネクター350、第2コネクター360、第3コネクター370、及び第4コネクター380のそれぞれに入力される信号の一例について説明する。図29は、第3実施形態における複数の端子353のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。また、図30は、第3実施形態における複数の端子363のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。また、図31は、第3実施形態における複数の端子373のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。また、図32は、第3実施形態における複数の端子383のそれぞれに入力される信号の一例を示す図である。
図29に示すように、端子353−1〜353−10には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、クロック信号SCKa、及び温度信号THと、複数のグラウンド信号GNDとが入力される。また、端子353−11〜353−20には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−1〜COM−5と基準電圧信号CGND−1〜CGND−5とが入力される。すなわち、第1コネクター350の辺326側に設けられる複数の端子353には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第1コネクター350の辺325側に設けられる複数の端子353には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力される。
さらに、グラウンド信号GNDが入力される端子は、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、クロック信号SCKa、及び温度信号THのそれぞれが入力される端子353の間に位置する。具体的には、グラウンド信号GNDが入力される端子353−3は、温度信号THが入力される端子353−2とラッチ信号LATaが入力される端子353−4との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−5は、ラッチ信号LATaが入力される端子353−4とクロック信号SCKaが入力される端子353−6との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−7は、クロック信号SCKaが入力される端子353−6とチェンジ信号CHaが入力される端子353−8との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子353−9は、チェンジ信号CHaが入力される端子353−8と印刷データ信号SI1が入力される端子353−10との間に位置する。
図30に示すように、端子363−1〜363−10には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−1〜COM−5と基準電圧信号CGND−1〜CGND−5とが入力される。また、第2コネクター360の端子363−11〜363−20には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI2〜SI5、及び低電圧の信号である低電圧信号VDDと、複数のグラウンド信号GNDが入力される。すなわち、第2コネクター360の辺326側に設けられる複数の端子363には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第2コネクター360の辺325側に設けられる複数の端子363には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力さ
れる。
図31に示すように、端子373−1〜373−10には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−6〜COM−10と基準電圧信号CGND−6〜CGND−10とが入力される。また、端子353−11〜353−20には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI10、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、クロック信号SCKb、及び異常信号XHOTと、複数のグラウンド信号GNDが入力される。すなわち、第3コネクター370の辺326側に設けられる複数の端子373には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第3コネクター370の辺325側に設けられる複数の端子373には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力される。
さらに、グラウンド信号GNDが入力される端子は、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI10、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、クロック信号SCKb、及び異常信号XHOTのそれぞれが入力される端子373の間に位置する。具体的には、グラウンド信号GNDが入力される端子373−13は、異常信号XHOTが入力される端子373−12とラッチ信号LATbが入力される端子373−14との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子373−15は、ラッチ信号LATbが入力される端子373−14とクロック信号SCKbが入力される端子373−16との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子373−17は、クロック信号SCKbが入力される端子373−16とチェンジ信号CHbが入力される端子373−18との間に位置する。また、グラウンド信号GNDが入力される端子373−19は、チェンジ信号CHbが入力される端子373−18と印刷データ信号SI10が入力される端子373−20との間に位置する。
図32に示すように、端子383−1〜383−9には、インクの吐出を制御するための印刷データ信号SI6〜SI9と、複数のグラウンド信号GNDが入力される。また、端子383−10には、高電圧の信号である高電圧信号VHVが入力される。また、端子383−11〜383−20には、圧電素子60を駆動するための駆動信号COM−6〜COM−10と基準電圧信号CGND−6〜CGND−10とが入力される。すなわち、第4コネクター380の辺326側に設けられる複数の端子383には、低電圧の制御信号及び当該制御信号の基準電位を示す信号が入力され、第4コネクター380の辺325側に設けられる複数の端子383には、高電圧の駆動信号及び当該駆動信号の基準電位を示す信号が入力される。
次に、図33及び図34を用いてプリントヘッド23が有する基板320の構成について説明する。図33は、第3実施形態における基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図34は、第3実施形態における基板320を面321から見た場合の平面図である。なお、図33には、基板320の面321側に設けられるヘッド310の位置を破線で示している。
図33及び図34に示すように基板320の面322には、電極群430a〜430jが設けられている。また、基板320は、インク供給路挿通孔431a〜431jと、FPC挿通孔432a〜432eとが形成されている。このインク供給路挿通孔431a〜431jと、FPC挿通孔432a〜432eとは、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔である。なお、電極群430a〜430j、インク供給路挿通孔431a〜431j、及びFPC挿通孔432a〜432eは、第1実施形態における電極群330a〜330c、インク供給路挿通孔331a〜331f、及びFPC挿通孔332a〜332cと基板320に設けられている数が異なるのみで同様の構成である。
電極群430a〜430jのそれぞれは、Y1方向に沿って並設された複数の電極を有する。そして、電極群430a〜430jは、X1方向に沿って、辺323側から辺324側に向かって、電極群430a,430b,430c,430d,430e,430f,430g,430h,430i,430jの順に位置する。電極群430a〜430jのそれぞれには、フレキシブル配線基板335が接続される。
FPC挿通孔432aは、X1方向において電極群430aと電極群430bとの間に位置する。そして、FPC挿通孔432aには、電極群430a,430bのそれぞれと電気的に接続されたフレキシブル配線基板335が挿通される。FPC挿通孔432bは、X1方向において電極群430cと電極群430dとの間に位置する。そして、FPC挿通孔432bには、電極群430c,430dのそれぞれと電気的に接続されたフレキシブル配線基板335が挿通される。FPC挿通孔432cは、X1方向において電極群430eと電極群430fとの間に位置する。そして、FPC挿通孔432cには、電極群430e,430fのそれぞれと電気的に接続されたフレキシブル配線基板335が挿通される。FPC挿通孔432dは、X1方向において電極群430gと電極群430hとの間に位置する。そして、FPC挿通孔432dには、電極群430g,430hのそれぞれと電気的に接続されたフレキシブル配線基板335が挿通される。FPC挿通孔432eは、X1方向において電極群430iと電極群430jとの間に位置する。そして、FPC挿通孔432eには、電極群430i,430jのそれぞれと電気的に接続されたフレキシブル配線基板335が挿通される。
インク供給路挿通孔431aは、X1方向において電極群430aの辺323側に位置する。インク供給路挿通孔431b,431cは、X1方向において電極群430bと電極群430cとの間に位置し、インク供給路挿通孔431bが辺325側、インク供給路挿通孔431cが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔431d,431eは、X1方向において電極群430dと電極群430eとの間に位置し、インク供給路挿通孔431dが辺325側、インク供給路挿通孔431eが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔431f,431gは、X1方向において電極群430fと電極群430gとの間に位置し、インク供給路挿通孔431fが辺325側、インク供給路挿通孔431gが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔431h,431iは、X1方向において電極群430hと電極群430iとの間に位置し、インク供給路挿通孔431hが辺325側、インク供給路挿通孔431iが辺326側となるようにY1方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔431jは、X1方向において電極群430jの辺324側に位置する。
以上のように設けられたインク供給路挿通孔431a〜431jのそれぞれには、ノズル列L1〜L10のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するインク供給口661が挿通される。
また、図34に示すように、基板320の面321側には、集積回路装置241が設けられている。集積回路装置241は、図2に示す診断回路240に含まれる集積回路装置であって、第1コネクター350から入力されるラッチ信号LATa、チェンジ信号CHa、印刷データ信号SI1、及びクロック信号SCKaに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かの診断を行うと共に、第3コネクター370から入力されるラッチ信号LATb、チェンジ信号CHb、印刷データ信号SI10、及びクロック信号SCKbに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かの診断を行う。
集積回路装置241は、基板320の面321側において、辺323と辺324との間
であって、FPC挿通孔432a〜432fの辺326側に設けられる。この場合において、集積回路装置241は、辺323と辺324との間の中央部に設けられていることが好ましい。ここで、辺323と辺324との間の中央部とは、辺323からの距離と、辺324からの距離とが等しい地点に限られるものではない。具体的には、辺323及び辺324からの距離が等しい点を結んだ線を仮想線Aとした場合に、集積回路装置241は、辺323よりも仮想線A側に位置し、且つ、辺324よりも仮想線A側に位置すればよい。換言すれば、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離は、辺323と集積回路装置241との最短距離よりも短く、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離は、辺324と集積回路装置241との最短距離よりも短い。
以上のように構成されたプリントヘッド23を有するヘッドユニット20及び当該ヘッドユニット20を備えた第3実施形態における液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が備えるノズル651の数が増加することに起因して、制御機構10からヘッドユニット20に伝搬される信号が増加した場合であっても、プリントヘッド23の動作異常の有無を診断することが可能となる。
さらに、以上のように構成されたプリントヘッド23を有するヘッドユニット20及び当該ヘッドユニット20を備えた液体吐出装置1において、プリントヘッド23が有する基板320が、鉛直方向に沿った方向において、面321が下方を向き、面322が上方を向くように設けられていることで第1実施形態及び第2実施形態における液体吐出装置1、及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏することができる。
4.第4実施形態
次に、第4実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20について説明する。なお、第4実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。第4実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20は、第3実施形態に記載のヘッドユニット20が有するプリントヘッド23に対して、診断回路240が2つの集積回路装置を含んで構成されている点で第3実施形態と異なる。
図35は、第4実施形態におけるプリントヘッド23に含まれる基板320を面321から見た場合の平面図である。第4実施形態における基板320の面321には、2つ集積回路装置241,242がX1方向に沿って並んで設けられている。
集積回路装置241には、第1コネクター350から印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、及びクロック信号SCKaが入力される。そして、集積回路装置241は、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、及びクロック信号SCKaに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かを診断する。
また、集積回路装置242には、第3コネクター370から印刷データ信号SI10、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、及びクロック信号SCKbが入力される。そして、集積回路装置242は、印刷データ信号SI10、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、及びクロック信号SCKbに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かを診断する。
集積回路装置241,242は、基板320の面321側において、辺323と辺324との間であって、FPC挿通孔432a〜432eの辺326側に位置し、集積回路装置241が辺323側、集積回路装置242が辺324側となるように並んで設けられる。さらに、集積回路装置241,242は、第1コネクター350と第3コネクター37
0との間であって、FPC挿通孔432a〜432eの辺326側に位置し、集積回路装置241が辺323側、集積回路装置242が辺324側となるように並んで設けられている。換言すれば、辺323に沿って設けられた第1コネクター350から入力される各種信号に基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行う集積回路装置241が辺323側に設けられ、辺324に沿って設けられた第3コネクター370から入力される各種信号に基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行う集積回路装置242が辺324側に設けられる。
ここで、集積回路装置241,242は、辺323と辺324との間の中央部に設けられることが好ましい。なお、辺323と辺324との間の中央部とは、辺323からの距離と、辺324からの距離とが等しい地点に限られるものではない。具体的には、辺323及び辺324からの距離が等しい点を結んだ線を仮想線Aとした場合に、集積回路装置241は、辺323よりも仮想線A側に位置し、且つ、辺324よりも仮想線A側に位置すればよく、集積回路装置242は、辺323よりも仮想線A側に位置し、且つ、辺324よりも仮想線A側に位置すればよい。換言すれば、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離は、辺323と集積回路装置241との最短距離よりも短く、仮想線Aと集積回路装置241との最短距離は、辺324と集積回路装置241との最短距離よりも短い。さらに、仮想線Aと集積回路装置242との最短距離は、辺323と集積回路装置242との最短距離よりも短く、仮想線Aと集積回路装置242との最短距離は、辺324と集積回路装置242との最短距離よりも短い。
以上のように構成された第4実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20は、プリントヘッド23において、2つの集積回路装置241,242を備える。そして、集積回路装置241が、第1コネクター350から入力される印刷データ信号SI1、チェンジ信号CHa、ラッチ信号LATa、及びクロック信号SCKaに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行い、集積回路装置242が、第3コネクター370から入力される印刷データ信号SI10、チェンジ信号CHb、ラッチ信号LATb、及びクロック信号SCKbに基づいて、プリントヘッド23がインクを正常に吐出可能か否かの診断を行う。このように、第1コネクター350及び第3コネクター370から入力される信号を、2つの集積回路装置241,242を用いて検出し、プリントヘッド23が正常に吐出可能か否かの診断を行う構成であっても、当該プリントヘッド23を有するヘッドユニット20、及び当該ヘッドユニット20を備えた液体吐出装置1において、プリントヘッド23が有する基板320が、鉛直方向に沿った方向において、面321が下方を向き、面322が上方を向くように設けられていることで、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態における液体吐出装置1及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏することができる。
5.変形例
以上に説明した液体吐出装置1において、駆動信号出力回路50は、異なる波形の駆動信号COMA,COMBを生成し出力する2つの駆動回路51a,51bを含んでもよい。
例えば、駆動信号COMAは、ノズル651から中程度の量のインクを吐出させる台形波形が2つ連続した波形であり、駆動信号COMBは、ノズル651から小程度の量のインクを吐出させる台形波形と、ノズル651の開口部付近を微振動させる台形波形とを連続させた波形であってもよい。この場合において、駆動信号選択回路200は、周期Taにおいて、駆動信号COMAに含まれる台形波形の内のいずれか、及び駆動信号COMBに含まれる台形波形の内の少なくともいずれかを選択し、駆動信号VOUTとして出力してもよい。
すなわち、駆動信号選択回路200は、2つの駆動信号COMA,COMBのそれぞれに含まれる複数の台形波形を選択し、組み合わせることで、駆動信号VOUTを生成し出力してもよい。これにより、周期Taが長くなることなく、駆動信号VOUTとして出力することが可能な台形波形の組合せが増加する。したがって、媒体Mに吐出されるインクのドットサイズの選択の幅を広げることが可能となり、よって、液体吐出装置1が媒体Mに形成するドットの階調を増やすことができる。すなわち、液体吐出装置1の印刷品質を向上させることができる。
また、駆動信号出力回路50は、異なる台形波形の駆動信号COMA,COMBを生成し出力する2つの駆動回路51a,51bを含む場合において、例えば、駆動信号COMAは、ノズル651から中程度の量のインクを吐出させる台形波形と、ノズル651から小程度の量のインクを吐出させる台形波形と、ノズル651の開口部付近を微振動させる台形波形とを連続させた波形であって、駆動信号COMBは、駆動信号COMAに含まれる台形波形とは異なる台形波形であって、ノズル651から中程度の量のインクを吐出させる台形波形と、ノズル651から小程度の量のインクを吐出させる台形波形と、ノズル651の開口部付近を微振動させる台形波形とを連続させた波形であってもよい。そして、駆動信号COMAと駆動信号COMBとは、それぞれが異なるノズル列に対応する駆動信号選択回路200に入力される。これにより、プリントヘッド23に形成されるノズル列ごとに異なる特性のインクが供給されている場合や、インクが供給される流路の形状の違いに対して、個々のノズル列毎に最適な駆動信号VOUTを供給することが可能となる。したがって、ノズル列毎のドットサイズのばらつきを低減することが可能となり、液体吐出装置1の印刷品質を向上させることができる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
また、本発明は、実施形態及び変形例で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態及び変形例で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態及び変形例で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態及び変形例で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットにデジタル信号を出力するデジタル信号出力回路と、
を備え、
前記ヘッドユニットは、
液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドを収容する筐体と、
を有し、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1辺と、前記第1辺と交差する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺を含む第1面と、前記第1面と異なる第2面と、を有する基板と、
液体を吐出する複数の第1ノズルが前記第1辺に沿った方向に並んで設けられた第1ノズル列を有する第1ノズルプレートと、
前記第1面に設けられ、前記デジタル信号が入力されるコネクターと、
前記第1面に設けられ、前記コネクターと電気的に接続され、前記コネクターを介して前記デジタル信号が入力され、且つ前記第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路と、
前記基板と電気的に接続された第1フレキシブル配線基板と、
前記第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路と、
を有し、
前記第2集積回路は、前記第1ノズルプレートと前記基板との間に位置し、
前記基板は、鉛直方向に沿った方向において、前記第1面が下方を向き、前記第2面が上方を向くように設けられている。
この液体吐出装置によれば、基板と電気的に接続された第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路で生じた熱は、第1フレキシブル配線基板及び基板を伝達する。そして、基板に伝達した熱は、鉛直方向に沿った方向において上方に放射される。この場合において、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路は、鉛直方向に沿った方向において下方を向く第1面に設けられている。したがって、第2集積回路で生じた熱が第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、前記第1辺が鉛直方向と直交し、且つ前記第2辺が鉛直方向と直交するように設けられていてもよい。
この液体吐出装置によれば、プリントヘッドが有する基板は、第1面が鉛直方向に沿った方向において下方を向き、第2面が鉛直方向に沿った方向において上方を向いた状態で、第1辺、及び第2辺が鉛直方向と直交する。すなわち、基板は、第1面の法線方向が、鉛直方向に沿った方向となる。その結果、基板に伝達した熱は、鉛直方向の上方に向いた第2面から効率よく放熱される。したがって、第2集積回路で生じた熱が第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路に影響を及ぼすおそれがさらに低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、前記第1辺と平行に設けられた第3辺と、前記第2辺と平行に設けられた第4辺とを有し、
前記第1面は、前記第1辺、前記第2辺、前記第3辺、及び前記第4辺を含む矩形状であってもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1辺及び前記第3辺からの距離が等しい仮想線と前記第1集積回路との最短距離が、前記第1辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短く、前記仮想線と前記第1集積回路との最短距離が、前記第3辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1辺と前記第1集積回路との最短距離が、前記第3辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1辺の長さは、前記第2辺の長さよりも短くてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1フレキシブル配線基板は、前記基板の前記第2面と電気的に接続されていてもよい。
この液体吐出装置によれば、第1フレキシブル配線基板が鉛直方向の上方に向く第2面と電気的に接続されているが故に、第1フレキシブル配線基板で伝達する第2集積回路で生じた熱が、基板の第1面に影響を及ぼすおそれが低減される。よって、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれがさらに低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドは、
前記基板と電気的に接続された第2フレキシブル配線基板を有し、
前記基板は、前記第1フレキシブル配線基板が挿通される第1FPC挿通孔と、前記第2フレキシブル配線基板が挿通される第2FPC挿通孔と、を有し、
前記第1辺に沿った方向における前記第1FPC挿通孔の幅は、前記第2辺に沿った方向における前記第1FPC挿通孔の幅よりも大きく、
前記第2辺に沿った方向において、前記第1FPC挿通孔と前記第2FPC挿通孔とは、少なくとも一部が重なって位置していてもよい。
この液体吐出装置によれば、第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路で生じた輻射熱は、第1フレキシブル配線基板が挿通する第1FPC挿通孔を介して、鉛直方向において上方を向く基板の第2面側に放射される。したがって、第2集積回路で生じた輻射熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路と前記第2辺との最短距離は、前記第1FPC挿通孔と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記第1集積回路と前記第2辺との最短距離は、前記第2FPC挿通孔と前記第2辺との最短距離よりも短くてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
液体を吐出する複数の第2ノズルが並んで設けられた第2ノズル列を有する第2ノズルプレートを有し、
前記第2プリントヘッドは、前記第2ノズル列が有する前記複数の第2ノズルが前記第1辺に沿った方向に並ぶように設けられていてもよい。
この液体吐出装置のような複数のプリントヘッドが有するノズル列が並んで設けられたラインヘッド型の液体吐出装置であっても、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減されるが故に、第1プリントヘッドの異常
の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1辺に沿った方向において、少なくとも一部が重なって設けられていてもよい。
この液体吐出装置のような複数のプリントヘッドが並んで設けられたラインヘッド型の液体吐出装置であっても、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減されるが故に、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドは、液体が供給される液体供給口を有し、
前記液体供給口と前記第1面との最短距離は、前記液体供給口と前記第2面との最短距離よりも長くてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記液体供給口は、鉛直方向に沿った方向において、前記基板よりも上側に位置してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、前記液体供給口が挿通される液体供給口挿通孔を有してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記基板を固定する固定部材を有し、
前記基板は、前記固定部材が挿通される固定部材挿通孔を有し、
前記第1集積回路は、前記第2辺に沿った方向において、前記固定部材の少なくとも一部と重なって位置し、
前記固定部材は、前記第2辺に沿った方向において、前記コネクターと前記第1集積回路との間に位置していてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記コネクターは、複数の端子を有してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記複数の端子は、前記第1辺に沿った方向に並んで設けられていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記コネクターは、第5辺と、前記第5辺よりも長い第6辺とを有し、
前記複数の端子は、前記第6辺に沿った方向に並んで設けられていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記コネクターは、前記第6辺が前記第1辺と平行となるように、設けられていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルプレートを含む吐出モジュールを有し、
前記吐出モジュールと前記基板とは接着剤で固定されていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記基板と前記吐出モジュールとの間に位置していてもよい。
この液体吐出装置のような第1集積回路が吐出モジュールと基板とで囲まれた領域に設けられた場合であっても、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減されるが故に、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記ヘッドユニットは、前記複数のプリントヘッドに液体を供給する供給ユニットを有してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記基板と電気的に接続される複数の電極を有してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、表面実装部品であってもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、バンプ電極を介して前記基板と電気的に接続されていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1プリントヘッドに異常が生じている場合、ハイレベルの異常信号を出力してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1プリントヘッドに異常が生じている場合、ローレベルの異常信号を出力してもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
液体を貯留する液体貯留部を備えてもよい。
前記液体吐出装置の一態様において、
前記液体貯留部は、前記ヘッドユニットに供給されるインクを貯留してもよい。
ヘッドユニットの一態様は、
液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドを収容する筐体と、
を備え、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1辺と、前記第1辺と交差する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺を含む第1面と、前記第1面と異なる第2面と、を有する基板と、
液体を吐出する複数の第1ノズルが前記第1辺に沿った方向に並んで設けられた第1ノズル列を有する第1ノズルプレートと、
前記第1面に設けられ、デジタル信号が入力されるコネクターと、
前記第1面に設けられ、前記コネクターと電気的に接続され、前記コネクターを介して前記デジタル信号が入力され、且つ前記第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号
を出力する第1集積回路と、
前記基板と電気的に接続された第1フレキシブル配線基板と、
前記第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路と、
を有し、
前記第2集積回路は、前記第1ノズルプレートと前記基板との間に位置し、
前記基板は、鉛直方向に沿った方向において、前記第1面が下方を向き、前記第2面が上方を向くように設けられている。
このヘッドユニットによれば、基板と電気的に接続された第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路で生じた熱は、第1フレキシブル配線基板及び基板を伝達する。そして、基板に伝達した熱は、鉛直方向に沿った方向において上方に放射される。この場合において、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路は、鉛直方向に沿った方向において下方を向く第1面に設けられている。したがって、第2集積回路で生じた熱が第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記基板は、前記第1辺が鉛直方向と直交し、且つ前記第2辺が鉛直方向と直交するように設けられていてもよい。
このヘッドユニットによれば、プリントヘッドが有する基板は、第1面が鉛直方向に沿った方向において下方を向き、第2面が鉛直方向に沿った方向において上方を向いた状態で、第1辺、及び第2辺が鉛直方向と直交する。すなわち、基板は、第1面の法線方向が、鉛直方向に沿った方向となる。その結果、基板に伝達した熱は、鉛直方向の上方に向いた第2面から効率よく放熱される。したがって、第2集積回路で生じた熱が第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路に影響を及ぼすおそれがさらに低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記基板は、前記第1辺と平行に設けられた第3辺と、前記第2辺と平行に設けられた第4辺とを有し、
前記第1面は、前記第1辺、前記第2辺、前記第3辺、及び前記第4辺を含む矩形状であってもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1辺及び前記第3辺からの距離が等しい仮想線と前記第1集積回路との最短距離が、前記第1辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短く、前記仮想線と前記第1集積回路との最短距離が、前記第3辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1辺と前記第1集積回路との最短距離が、前記第3辺と前記第1集積回路との最短距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1辺の長さは、前記第2辺の長さよりも短くてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1フレキシブル配線基板は、前記基板の前記第2面と電気的に接続されていてもよい。
このヘッドユニットによれば、第1フレキシブル配線基板が鉛直方向の上方に向く第2面と電気的に接続されているが故に、第1フレキシブル配線基板で伝達する第2集積回路で生じた熱が、基板の第1面に影響を及ぼすおそれが低減される。よって、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれがさらに低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドは、
前記基板と電気的に接続された第2フレキシブル配線基板を有し、
前記基板は、前記第1フレキシブル配線基板が挿通される第1FPC挿通孔と、前記第2フレキシブル配線基板が挿通される第2FPC挿通孔と、を有し、
前記第1辺に沿った方向における前記第1FPC挿通孔の幅は、前記第2辺に沿った方向における前記第1FPC挿通孔の幅よりも大きく、
前記第2辺に沿った方向において、前記第1FPC挿通孔と前記第2FPC挿通孔とは、少なくとも一部が重なって位置していてもよい。
このヘッドユニットによれば、第1フレキシブル配線基板に設けられた第2集積回路で生じた輻射熱は、第1フレキシブル配線基板が挿通する第1FPC挿通孔を介して、鉛直方向において上方を向く基板の第2面側に放射される。したがって、第2集積回路で生じた輻射熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減される。その結果、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇をさらに低減することができ、よって、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれをさらに低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路と前記第2辺との最短距離は、前記第1FPC挿通孔と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記第1集積回路と前記第2辺との最短距離は、前記第2FPC挿通孔と前記第2辺との最短距離よりも短くてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
液体を吐出する複数の第2ノズルが並んで設けられた第2ノズル列を有する第2ノズルプレートを有し、
前記第2プリントヘッドは、前記第2ノズル列が有する前記複数の第2ノズルが前記第1辺に沿った方向に並ぶように設けられていてもよい。
このヘッドユニットのような複数のプリントヘッドが有するノズル列が並んで設けられたラインヘッド型の液体吐出装置等に用いることが可能なヘッドユニットであっても、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減されるが故に、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路
の温度上昇を低減することができ、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1辺に沿った方向において、少なくとも一部が重なって設けられていてもよい。
このヘッドユニットのような複数のプリントヘッドが並んで設けられたラインヘッド型の液体吐出装置に用いられるヘッドユニットであっても、第2集積回路で生じた熱が、第1面に設けられた第1集積回路に影響を及ぼすおそれが低減されるが故に、第1プリントヘッドの異常の有無を示す異常信号を出力する第1集積回路の温度上昇を低減することができ、プリントヘッドの自己診断機能を実行するための集積回路が正常に動作しないおそれを低減することができる。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドは、液体が供給される液体供給口を有し、
前記液体供給口と前記第1面との最短距離は、前記液体供給口と前記第2面との最短距離よりも長くてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記液体供給口は、鉛直方向に沿った方向において、前記基板よりも上側に位置してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記基板は、前記液体供給口が挿通される液体供給口挿通孔を有してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記基板を固定する固定部材を有し、
前記基板は、前記固定部材が挿通される固定部材挿通孔を有し、
前記第1集積回路は、前記第2辺に沿った方向において、前記固定部材の少なくとも一部と重なって位置し、
前記固定部材は、前記第2辺に沿った方向において、前記コネクターと前記第1集積回路との間に位置していてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記コネクターは、複数の端子を有してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数の端子は、前記第1辺に沿った方向に並んで設けられていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記コネクターは、第5辺と、前記第5辺よりも長い第6辺とを有し、
前記複数の端子は、前記第6辺に沿った方向に並んで設けられていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記コネクターは、前記第6辺が前記第1辺と平行となるように、設けられていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルプレートを含む吐出モジュールを有し、
前記吐出モジュールと前記基板とは接着剤で固定されてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記基板と前記吐出モジュールとの間に位置していてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数のプリントヘッドに液体を供給する供給ユニットを有してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記基板と電気的に接続される複数の電極を有してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、表面実装部品であってもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、バンプ電極を介して前記基板と電気的に接続されていてもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1プリントヘッドに異常が生じている場合、ハイレベルの異常信号を出力してもよい。
前記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1集積回路は、前記第1プリントヘッドに異常が生じている場合、ローレベルの異常信号を出力してもよい。