(1)第1の実施形態
以下、例えば自動車のエアコン操作用のエアコン操作パネルに適用した第1の実施形態について、図1から図8を参照しながら説明する。図1は、本実施形態におけるエアコン操作パネル1を、車室内の運転席からユーザ(運転者)が正面から見た様子を示しており、詳しく図示はしないが、エアコン操作パネル1は、インストルメントパネル部分に組込まれている。
エアコン操作パネル1の前面部(後述する意匠パネル)は、横長な長方形状をなし、上段部に表示部2を有すると共に、下段部に、操作部3を有している。このとき、操作部3は、本実施形態に係るトグルスイッチ装置4を横並びに複数個(図では8個)備えて構成されている。尚、図示はしないが、自動車には、周知構成のエアコンが組込まれており、そのエアコンは、コンピュータを含んで構成されるエアコン制御装置により運転制御される。前記表示部2は、エアコンに関する必要な表示を行うものである。操作部3の複数個のトグルスイッチ装置4は、ユーザ(運転者)がエアコンに対する入力指示を行うもので、その操作に応じたエアコン操作信号が、エアコン制御装置に入力される。
具体的には、複数個のトグルスイッチ装置4は、エアコンオン、エアコンオフ、風量設定(アップ・ダウン)、吹き出しモードの切替え、デフォッガのオン・オフ、デフロスタのオン・オフ、内外気切替え、温度設定(アップ・ダウン)に夫々対応している。また、表示部2には、それら各トグルスイッチ装置4の機能の設定に対応した表示がなされるようになっている。
エアコン操作パネル1は、全体として横長な矩形箱状に構成され、図2に示すように、ケース主部5、部品保持板6、制御基板7、上、下のスイッチ基板8、9、背面ケース10、意匠パネル11等を備えて構成される。そのうちケース主部5は、プラスチック材料、例えばPC+ABSから、前面及び背面が開口した矩形箱状に構成されている。このケース主部5の前面側上部には、前記表示部2を構成するための横長矩形状のLCD12が取付けられている。尚、このケース主部5の前面部に、両面テープ13等を介して、意匠パネル11が該前面開口を塞ぐように取付けられる。
また、部品保持板6は、例えばABS(或いはPC+ABS)等のプラスチックからなり、ケース主部5内に設けられる。後述するように、部品保持板6には、ドグルスイッチ装置4を構成するレバー部材14(図4〜図8参照)が保持されるようになっている。ケース主部5内の背面側には、前記制御基板7が設けられている。詳しく図示はしないが、この制御基板7には、制御用ICや、複数個の照明用のLED22(図2、図6、図8参照)、外部接続用のコネクタ等が実装されている。
更に、前記上、下のスイッチ基板8、9は、図6に示すように、前記部品保持板6の上部、下部に夫々配置され、後述するように、ドグルスイッチ装置4を構成する検出センサとしての上、下のタクトスイッチ15、16(図4〜図6参照)が実装されている。前記背面ケース10は、例えばPPなどのプラスチックからなり、ケース主部5の背面の開口部を塞ぐように設けられる。前記ケース主部5とこの背面ケース10とから、ケースが構成されている。
さて、本実施形態における、前記意匠パネル11及びドグルスイッチ装置4の構成について、図3〜図8も参照して述べる。図3等に示すように、トグルスイッチ装置4は、意匠パネル11の表面から前方に突出配置され、この場合上下方向に傾動操作可能な操作ノブ17を備えている。この場合、操作ノブ17は、側面から見て等脚台形状に突出し、横方向に一定の幅を有する形態に設けられている。これと共に、図4、図5に示すように、トグルスイッチ装置4は、意匠パネル11の裏面側に、前記操作ノブ17が上下方向に傾動操作されたことを検出するための検出部18を有して構成される。
前記意匠パネル11は、図3〜図6等に示すように、弾性変形可能な材料から板状に構成されたパネル板部19と、前記パネル板部19の表面を覆うように配置される弾性的に伸縮可能な表面シート20とを備えて構成される。このとき、図4、図5に示すように、前記パネル板部19には、各操作ノブ17を構成するための突出部19aが一体に設けられている。これと共に、前記表面シート20は、その突出部19aの表面全体、前面、上下の傾斜面、左右の側面を、継ぎ目(切れ目)のない形態で覆う膨出被覆部20aを一体に有している。
本実施形態では、前記パネル板部19は、透明性を有する材料である、シリコーンラバーから構成されている。この場合、シリコーンラバーのデュロメータ硬さはA55である。前記表面シート20は、透明なウレタンシートから構成されている。表面シート20は、予めパネル板部19成形用の成形型内に配置され、その成形型内にパネル板部19の材料を注入し硬化させることにより、いわゆるインサート成形されてパネル板部19と一体化されている。
また、図1、図3等に示すように、表面シート20の表面部には、前記表示部2を構成する横長矩形状の透明窓部20bを除いた部分が、塗料等により着色(例えば黒色)されると共に、必要な文字、マーク等の印刷が施されている。これにより、前記LCD12の表示が、透明なパネル板部19及び透明窓部20bを通して視認可能とされ、表示部2が構成される。更に、図3等に示すように前記表面シート20のうち、操作ノブ17の先端面の中央部に対応する部分も透明が維持され、前記LED22の光がパネル板部19を通して導かれる点灯部17aが設けられている。
これにて、操作ノブ17の上面に対し、ユーザが手指で上方から下向きに押圧操作すると、図5に示すように、その操作ノブ17全体が、下方に傾動するように弾性変形し、その操作力がなくなると元の中立位置(図4参照)に戻る。同様に、操作ノブ17の下面に対し、ユーザが手指で下から上に押圧操作すると、図示はしないが、その操作ノブ17全体が、上方に傾動するように弾性変形し、その操作力がなくなると元の中立位置に戻るというトグル動作を行う。このとき、表面シート20は弾性的に伸縮可能なので、操作ノブ17の操作による突出部19aの変形に追従して伸縮変形する。操作ノブ17が中立位置に戻ると、表面シート20も元の状態に戻る。従って、表面シート20のうち、例えば操作ノブ17の根元部において切れや割れといった不具合が生じることはない。
ちなみに、意匠パネル11及び操作ノブ17の各部の寸法の具体例を挙げると、図4に示すように、パネル板部19の突出部19a以外の平坦部の厚み寸法aは、例えば3mmとされている。表面シート20の厚み寸法bは、例えば0.1mmとされている。また、操作ノブ17の前方への突出高さ寸法cは、例えば7mmとされている。操作ノブ17の基端部の上下方向寸法dは、例えば8mmとされ、先端部の上下方向寸法eは、例えば3mmとされている。
そして、上記のように操作ノブ17が上下に傾動操作されると、意匠パネル11つまりパネル板部19の裏面側の、該操作ノブ17に対応する部分が弾性的に歪み変形する。この場合、図5に示すように、操作ノブ17が下方に傾動操作されると、パネル板部19のうち、その操作ノブ17の裏面側の部位において、下側が奥方に突出し、上側がへこむような歪み変形を生ずる。図示はしないが、操作ノブ17が上方に傾動操作されると、操作ノブ17の裏面側の部位において、逆に、上側が奥方に突出し、下側がへこむような歪み変形を生ずる。意匠パネル11の裏面側に設けられる検出部18は、パネル板部19の裏面側が歪むことに基づいて操作ノブ17の操作を検出するように構成される。
図4、図5等に示すように、本実施形態では、検出部18として、上記したように、パネル板部19の裏面側の歪みを増幅するように揺動動作するレバー部材14と、そのレバー部材14の上下の揺動により動作する検出センサとしての上、下のタクトスイッチ15、16とを含んでいる。即ち、前記レバー部材14は、図4〜図8に示すように、例えば透明プラスチック材料から、全体として、前端側に底辺(最も幅広い部分)が来るような、上面から見て前後にやや長いほぼ三角形の板状に構成されている。
図7などに示すように、このレバー部材14は、前端に横長な板状の当接板部14aを一体に有すると共に、前端寄り部分の左右部に、水平左右方向に突出する軸部14b、14bを一体に有している。更に、レバー部材14の後端部には、その上面側及び下面側に位置して、夫々上方及び下方に凸となり前記上、下のタクトスイッチ15、16を動作させるための凸部14c、14dを一体に有している。尚、このレバー部材14の材質としては、例えば摺動性の良いPOM(ポリアセタール樹脂)が採用され、摺動異音の発生が抑えられるようになっている。
このように構成されたレバー部材14は、図6、図8に示すように、前記部品保持板6に設けられた凹所6a内に前面側から挿入され、軸部14b、14bが軸受部6b、6bに支持される。また、部品保持板6にホルダ21を組付けることにより、軸部14b、14bが浮かないように保持される。これにて、図4〜図6に示すように、レバー部材14は、軸部14b、14bを中心に上下に揺動可能に取付けられ、このとき、レバー部材14の前端の当接板部14aの前面が、前記意匠パネル11のパネル板部19の裏面のうち、各操作ノブ17に対応した部分に当接(面接触)される。
また、図4〜図6に示すように、レバー部材14の後端の上面側の凸部14cの上部、及び、下面側の凸部14dの下部に、夫々前記上スイッチ基板8の下面に実装された上タクトスイッチ15、及び、下スイッチ基板9の上面に実装された下タクトスイッチ16が配置される。これにより、図5に示すように、操作ノブ17の操作に伴い、意匠パネル11(パネル板部19)の裏面側で歪みが発生すると、当接板部14aが歪みに追従するように傾き、レバー部材14が軸部14b、14bを中心に揺動する。そして、レバー部材14の後端側が、前記歪みを増幅させるように上下に揺動し、凸部14c又は凸部14dにより、上タクトスイッチ15又は下タクトスイッチ16をオン動作させる。
尚、上タクトスイッチ15及び下タクトスイッチ16のオン動作信号は、制御用ICを介して操作信号としてエアコン制御装置に入力される。また、制御用ICは、前記表示部2つまりLCD12の表示を制御すると共に、制御基板7上のLED22の点灯、消灯を制御する。この場合、制御用ICは、例えばトグルスイッチ装置4の動作があったときに、該当する操作ノブ17の点灯部17aを点灯させるべく、該当するLED22を点灯させる。LED22からの光は、透明なレバー部材14及び透明なパネル板部19を透過して点灯部17aに導かれる。
次に、上記のように構成されたトグルスイッチ装置4の作用・効果について述べる。上記構成のエアコン操作パネル1においては、意匠パネル11の前面の操作部3に複数のトグルスイッチ装置4の操作ノブ17が設けられており、ユーザが、いずれかの操作ノブ17を上方又は下方に傾動操作することにより、エアコンに関する設定等の入力指示を行うことができる。このとき、操作ノブ17が傾動操作されると、検出部18によってその操作ノブ17の操作が次のようにして検出される。
即ち、図5に白抜きの矢印で示すように、ユーザが、例えば操作ノブ17を下方に傾動操作すると、操作ノブ17は、パネル板部19の内部の突出部19aの後部に仮想される軸を支点に回動するように変形する。これに伴い、パネル板部19の裏面側のうち、操作ノブ17に対応した部分が、下側が奥方に突出し、上側がへこむような歪み変形を生ずる。ここで、レバー部材14の当接板部14aが、パネル板部19の裏面に宛がわれており、パネル板部19の裏面の歪みに倣って、当接板部14aの上側が前に傾くように変位し、レバー部材14が軸部14b、14bを中心に後部が上方に上がるように揺動する。
このレバー部材14が、パネル板部19の裏面側の歪みを増幅するように揺動することにより、レバー部材14の後部上面側の凸部14cが、上タクトスイッチ15をオン動作させ、以て、検出部18により操作ノブ17が下方に傾動操作されたことが検出されるのである。尚、図示はしないが、ユーザが、操作ノブ17を上方に傾動操作した場合には、上記とは逆に、当接板部14aの下側が前に傾くように変位し、レバー部材14が軸部14b、14bを中心に後部が下方に下がるように揺動し、凸部14dが、下タクトスイッチ16をオン動作させる。
また、本実施形態では、意匠パネル11の表面側に突出配置された操作ノブ17が、弾性変形可能な材料であるシリコーンラバーから構成されるパネル板部19に一体に設けられている。これと共に、その操作ノブ17(突出部19a)を含んだ意匠パネル11の表面部が、弾性的に伸縮可能なウレタンシート製の表面シート20により継ぎ目(切れ目)のない形態で覆われている。従って、従来のトグルスイッチ装置と異なり、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができる。この結果、操作ノブ17の周囲の隙間から、エアコン操作パネル1の内部に水やごみ等の異物が浸入してしまったり、LED22からの照明光がその隙間から外部に漏れてしまったりすることを防止できる。また、意匠パネル11全体としての見栄えも良好とすることができる。
このように本実施形態のトグルスイッチ装置4によれば、意匠パネル11の表面に突出する操作ノブ17を備えるものにあって、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができながらも、操作ノブ17の円滑な操作を確保することができるという優れた効果を得ることができる。
また、特に本実施形態では、パネル板部19を構成する材料として、透明性を有するシリコーンラバーを採用するようにした。これにより、パネル板部19として求められる硬さ(弾性率)や、成型性等に関して、適切な材料とすることができる。パネル板部19を透明としたので、裏面側に配置したLCD12により、表示部2を設けることも容易となる。また、パネル板部19の表面や、操作ノブ17部分を、裏面側に配設したLED22により照明することが可能となり、より使いやすいものとなる。
更に本実施形態では、表面シート20をウレタンシートから構成したので、いわゆるインサート成形を採用することにより、表面シート20を、パネル板部19に対し容易に一体に設けることができる。表面シート20は厚みが薄くても所要の弾性(伸縮性)が得られ、成形性にも優れたものとなり、印刷、着色等も良好に行うことができる。本実施形態では、検出部18を、レバー部材14や、検出センサとしての上下のタクトスイッチ15、16等から構成した。これにより、レバー部材14によってパネル板部19の裏面側の歪みを増幅し、操作ノブ17の操作の検出を良好に行うことができる。
レバー部材14を、透明性を有する材料から構成したので、操作ノブ17の点灯部17aに向けて光を良好に導くことができるといった利点も得ることができる。尚、上記第1の実施形態では、検出部18の検出センサとして、タクトスイッチ15、16を採用するようにしたが、他の機械的なスイッチ装置を採用しても良く、それ以外にも、光センサや近接センサ等を採用することもできる。
(2)第2〜第5の実施形態、その他の実施形態
次に、第2〜第5の実施形態について順に述べる。尚、これら第2〜第5の実施形態についても、自動車のエアコン操作パネル1に適用したものである。従って、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して、新たな図示や詳しい説明を省略し、以下、異なる点についてのみ述べることとする。
図9及び図10は、第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態に係るトグルスイッチ装置31が、上記第1の実施形態のトグルスイッチ装置4と異なる点は、パネル板部19の裏面側が歪むことに基づいて操作ノブ17の操作を検出する検出部32の構成にある。意匠パネル11の構成、つまりパネル板部19及び表面シート20からなり、操作ノブ17を有する構成については、上記第1の実施形態と共通する。
この第2の実施形態の検出部32は、意匠パネル11のパネル板部19の裏面側のうち、操作ノブ17に対応した部分の上下部に、夫々薄板状の上歪みゲージ33及び下歪みゲージ34を備えている。これら上歪みゲージ33及び下歪みゲージ34は、例えば接着によりパネル板部19の裏面に装着されている。これら上歪みゲージ33及び下歪みゲージ34としては、例えば、伸縮方向の力が加えられることにより電気抵抗値が変化する半導体歪みゲージが採用されている。尚、パネル板部19の裏面側には、硬質プラスチック製(例えばABS等)のケース35が設けられている。
上記構成においては、図10に示すように、ユーザにより操作ノブ17が下方に傾動操作されると、パネル板部19の裏面側が歪み変形する。この場合、上歪みゲージ33が上下に伸びる方向に変形し、下歪みゲージ34が上下に縮む方向に変形する。これら上歪みゲージ33及び下歪みゲージ34の出力信号は、図示しない検知回路に入力され、操作ノブ17の操作が検出される。また、図示はしないが、ユーザにより操作ノブ17が上方に傾動操作されると、上記とは逆に、上歪みゲージ33が縮む方向に変形し、下歪みゲージ34が伸びる方向に変形する。従って、検出部32により、操作ノブ17が上下に傾動操作されたことを確実に検出することができる。
この第2の実施形態のトグルスイッチ装置31によれば、上記第1の実施形態と同様に、意匠パネル11の表面に突出する操作ノブ17を備えるものにあって、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができながらも、操作ノブ17の円滑な操作を確保することができるという優れた効果を得ることができる。そして、検出部32として、歪みゲージ33、34を採用したので、パネル板部19の裏面側の歪みを直接的に検出することができる。これにより、操作ノブ17の操作を確実に検出できながら、検出部32をコンパクトに済ませることができるといった利点を得ることができる。
図11及び図12は、第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態に係るトグルスイッチ装置41が、上記第1の実施形態のトグルスイッチ装置4等と異なる点は、検出部42の構成にある。即ち、この検出部42は、パネル板部19の裏面側のうち、操作ノブ17に対応した部分の上下部に、夫々薄板状の上部導体43、下部導体44を備えると共に、それらの背面側にやや離間して静電スイッチ45を備えている。この静電スイッチ45は、ケース35の内面に取付けられ、前記上部導体43及び下部導体44の距離の変動(接近)を、夫々、静電容量の変化により検出するための上部電極部45a及び下部電極部45bを備えている。
上記構成においては、図12に示すように、ユーザにより操作ノブ17が下方に傾動操作されると、パネル板部19の裏面側が歪み変形する。この場合、上部導体43が静電スイッチ45の上部電極部45aから前方に離間し、下部導体44が静電スイッチ45の下部電極部45bに接近する。静電スイッチ45の出力信号は、図示しない検知回路に入力され、操作ノブ17の操作が検出される。また、図示はしないが、ユーザにより操作ノブ17が上方に傾動操作されると、上記とは逆に、上部導体43が上部電極部45aに接近し、下部導体44が下部電極部45bから離間する。従って、検出部42により、操作ノブ17が上下に傾動操作されたことを確実に検出することができる。
この第3の実施形態のトグルスイッチ装置41によれば、上記第1の実施形態等と同様に、意匠パネル11の表面に突出する操作ノブ17を備えるものにあって、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができながらも、操作ノブ17の円滑な操作を確保することができるという優れた効果を得ることができる。そして、検出部42として、2個の導体43、44及び静電スイッチ45を採用したので、比較的簡単な構成で済ませることができるといった利点も得ることができる。
図13及び図14は、第4の実施形態を示すものである。この第4の実施形態に係るトグルスイッチ装置51が、上記第1の実施形態のトグルスイッチ装置4等と異なる点は、検出部52の構成にある。即ち、この検出部52は、上下の感圧センサ53、54を備えている。これら上感圧センサ53及び下感圧センサ54は、厚み方向に受ける圧力によって電気抵抗値が変化するもので、意匠パネル11のパネル板部19の裏面側のうち、操作ノブ17に対応した部分の上下部に、夫々接着により設けられている。そして、意匠パネル11の裏面側には、硬質プラスチック製(例えばABS等)のケース55が配置され、該ケース55に設けられた押付け面55aが、それら上感圧センサ53及び下感圧センサ54の裏面側に宛がわれるように配置されている。
上記構成においては、図14に示すように、ユーザにより操作ノブ17が下方に傾動操作されると、パネル板部19の裏面側が歪み変形する。この場合、上感圧センサ53がケース55の押付け面55aから離れて圧力を受けず、下感圧センサ54が押付け面55aに押し付けられて圧力を受けるようになる。上感圧センサ53及び下感圧センサ54の出力信号は、図示しない検知回路に入力され、操作ノブ17の操作が検出される。また、図示はしないが、ユーザにより操作ノブ17が上方に傾動操作されると、上記とは逆に、上感圧センサ53が圧力を受け、下感圧センサ54が押付け面55aから離れるようになる。従って、検出部52により、操作ノブ17が上下に傾動操作されたことを確実に検出することができる。
この第4の実施形態のトグルスイッチ装置51によれば、上記第1の実施形態等と同様に、意匠パネル11の表面に突出する操作ノブ17を備えるものにあって、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができながらも、操作ノブ17の円滑な操作を確保することができるという優れた効果を得ることができる。そして、検出部52として、感圧センサ53、54を採用したので、パネル板部19の裏面側の歪み、ひいては操作ノブ17の操作を確実に検出できながら、検出部52を比較的簡単な構成でコンパクトに済ませることができるといった利点を得ることができる。
図15及び図16は、第5の実施形態を示すものである。この第5の実施形態に係るトグルスイッチ装置61が、上記第1の実施形態のトグルスイッチ装置4等と異なる点は、検出部62の構成にある。即ち、この検出部62は、パネル板部19の裏面側に例えば透明プラスチック(例えばPOM)製の揺動部材63を備えると共に、上、下のタクトスイッチ65、66を備えて構成される。揺動部材63は、前面がパネル板部19の裏面側に宛がわれる矩形板状の当接板部63aを有すると共に、その当接板部63aを揺動自在に支持する軸部63bを一体に有している。更に、当接板部63aの裏面上下部に、後方に凸となる凸部63c、63dを一体に有している。
意匠パネル11の裏面側には、硬質プラスチック製(例えばABS等)のケース67が配置され、該ケース67の内面側に、スイッチ基板64が該意匠パネル11に平行に配置されている。スイッチ基板64の前面の上下部に、前記上、下のタクトスイッチ65、66が前向きに実装されている。前記揺動部材63の凸部63c、63dは、それら上、下のタクトスイッチ65、66に対応して設けられている。
上記構成においては、図16に示すように、ユーザにより操作ノブ17が下方に傾動操作されると、パネル板部19の裏面側が歪み変形する。すると、揺動部材63の当接板部63aが、軸部63bを中心に上側が前に傾くように揺動し、凸部63dが、下タクトスイッチ66をオン動作させ、以て、検出部62により操作ノブ17が下方に傾動操作されたことが検出されるのである。また、図示はしないが、ユーザにより操作ノブ17が上方に傾動操作されると、上記とは逆に、凸部63cが、上タクトスイッチ65をオン動作させる。従って、検出部62により、操作ノブ17が上下に傾動操作されたことを確実に検出することができる。
この第5の実施形態のトグルスイッチ装置61によれば、上記第1の実施形態等と同様に、意匠パネル11の表面に突出する操作ノブ17を備えるものにあって、操作ノブ17の周囲に現れる隙間や継ぎ目をなくすことができながらも、操作ノブ17の円滑な操作を確保することができるという優れた効果を得ることができる。そして、検出部62を、揺動部材63及びタクトスイッチ65、66を備えて構成したので、パネル板部19の裏面側の歪み、ひいては操作ノブ17の操作を確実に検出できる。しかも、第1の実施形態に比べて、検出部62の前後方向のコンパクト化を図ることができ、スイッチ基板64の構成も簡単に済ませることができる。
尚、上記実施形態では、複数のトグルスイッチ(操作ノブ)を有する操作パネルに適用するようにしたが、1個の操作ノブを有する単独のトグルスイッチ装置であっても良い。操作ノブは、上下方向に傾動操作するものに限らず、左右方向や、四方向に操作するものであっても良い。操作ノブ等の各部の寸法や、ケース等各部の材料の種類についても、一例を示したものに過ぎず、種々の変更が可能である。上記実施形態では、パネル板部の材質として、シリコーンラバーを採用するようにしたが、ゴム状弾性を呈するエラストマー等の材料であれば、ウレタンゴム、フッ素ゴム等を採用することもできる。表面シートについても、弾性的に伸縮可能な材質のフィルムであれば、ゴム系の材料等を採用することができる。
その他、上記実施形態では、エアコン操作パネルに適用したが、様々な用途、種類の操作パネルに適用することが可能である。操作ノブの形状や配置、個数などについても様々な変更が可能であることは勿論である。他のスイッチ装置(押ボタンスイッチやタッチパネル等)と組合せて操作パネルを構成するものであっても良い。本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。