以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
(印刷システム)
まず、本発明の実施の形態に係る印刷システムについて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る印刷システム10は、印刷処理を実行する印刷装置20、利用者が使用する端末装置30、及び撮像装置40を備えている。印刷装置20、端末装置30、及び撮像装置40の各々は、通信回線12に接続され、通信回線12を介して情報をやり取りする。
印刷装置20は、印刷データに基づいて印刷処理、即ち、「記録媒体」の一例である用紙上に画像を形成する処理を行う装置である。印刷装置20は、用紙上に形成された画像を他の用紙に複写するコピー機能と、画像データに対応した画像を用紙上に形成するプリント機能等を備えている。
印刷データは、印刷対象となる文書画像を表す画像データと、印刷設定データとを含む。ここで「印刷設定データ」は、ページ、部数、用紙サイズ等の印刷属性を表すデータである。印刷データは、印刷装置20が解釈可能な言語で記述されている。
プリント機能により印刷処理を実行する場合は、端末装置30は、利用者からの指示に従って、印刷データを生成し、印刷装置20に印刷処理の実行を依頼する。印刷データは、端末装置30から印刷装置20に送信される。印刷装置20は、受信した印刷データを解釈し、依頼された印刷処理を実行する。
コピー機能により印刷処理を実行する場合は、印刷装置20は、利用者からの指示に従って、自装置で印刷データを生成して、印刷データに基づく印刷処理を実行する。
印刷装置20は「記録装置」の一例である。印刷装置20の後述する制御部21は、情報処理装置の一例である。端末装置30は「他の装置」の一例である。また、印刷処理は、記録媒体の一例としての用紙上に情報を記録する「記録処理」の一例である。また、印刷設定は「記録態様設定」の一例である。
また、撮像装置40は、印刷装置20の周辺を撮像して、印刷装置20に撮像データを送信する。撮像装置40の撮像範囲は、印刷装置20から出力された印刷物を手にしている利用者が撮像される撮像範囲とする。以下では「予め定めた撮像範囲」という。本実施の形態の「撮像データ」には、一定周期で(フレーム毎に)撮像された撮像画像の画像データ、撮像画像の画素毎の距離データ、及び利用者の骨格データが含まれる。距離データ及び骨格データも、フレーム毎に取得される。
距離データは、撮像装置40から被写体までの距離を表すデータである。ここでは、予め定めた撮像範囲にある物体(例えば、印刷物や利用者)が被写体である。骨格データは、利用者を骨格モデルに当てはめた場合に、骨格モデルの各構成要素の長さと、骨格モデルの各接続部の仮想三次元空間での位置とを表すデータである。距離データ及び骨格データを含む撮像データを出力する撮像装置の一例としては、Microsoft社のゲーム機「Xbox360(登録商標)」に使用されるモーション・センサ・デバイス「Kinect(登録商標)」が挙げられる。
骨格データの変化を記録することで、モーション・キャプチャ技術により利用者の動作が記録される。印刷装置20は、撮像装置40から得られた撮像データを経時解析することにより、印刷物に対する利用者の予め定めた動作を認識する。印刷装置20は、予め定めた動作が認識されると、印刷設定の変更候補を表す次の印刷設定を出力する。
なお、撮像装置40は、継続して、予め定めた撮像範囲の像を撮像して、印刷装置20に撮像データを出力してもよい。また、撮像装置40は、印刷装置20から要求があった場合に、予め定めた撮像範囲の像を撮像して、印刷装置20に撮像データを出力するようにしてもよい。また、撮像装置40は、利用者等の「人」を検知した場合に、予め定めた撮像範囲の像を撮像して、印刷装置20に撮像データを出力するようにしてもよい。
ここで、各装置の配置関係について説明する。
図2は各装置の配置関係の一例を示す概略図である。図2に示す例では、印刷装置20は部屋R内に配置されている。なお、図示はしてしないが、端末装置30は、例えば、部屋Rの外、印刷装置20から離れた場所等、印刷装置20とは異なる場所に配置されている。図示した例では、印刷装置20は部屋Rの壁Wに沿って配置されている。印刷装置20が配置される壁Wの上部には、撮像装置40が設置されている。撮像装置40は、印刷装置20の周辺を上方から撮像する。
印刷処理の実行を指示した利用者50は、印刷装置20から出力された印刷物22を取りに、印刷装置20が配置された場所まで来る。印刷装置20の周辺(予め定めた撮像範囲)は、撮像装置40により撮像されている。印刷物22を取りに来た利用者50も、撮像装置40により撮像される。
なお、撮像装置40は、予め定めた撮像範囲を撮像できればよく、どこに設置されていてもよい。例えば、撮像装置40は、部屋Rの床や天井に設置されていてもよく、部屋Rに配置される家具等に設置されていてもよい。また、撮像装置40は、印刷装置20に設置されていてもよい。また、予め定めた撮像範囲を撮像するために、複数の撮像装置40を設置してもよい。
(印刷装置)
次に、印刷装置20の構成について説明する。
図3は本発明の実施の形態に係る印刷装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の印刷装置20は、制御部21、操作表示部23、印刷部24、用紙搬送部25、通信部26、及び記憶部27を備えている。なお、印刷装置20の構成は一例であり、不要な機能部を削除したり、新たな機能部を追加したり、各部の構成、配置を変更してもよい。
制御部21は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。即ち、制御部21は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)21A、ROM(Read Only Memory)21B、RAM(Random Access Memory)21C、不揮発性のメモリ21D、及び入出力部(I/O)21Eを備えている。CPU21A、ROM21B、RAM21C、メモリ21D、及びI/O21Eの各々は、バス21Fを介して接続されている。
CPU21Aは、例えばROM21Bに記憶されたプログラムを読み出し、RAM21Cをワークエリアとして使用してプログラムを実行する。本実施の形態では、後述する「印刷制御処理」の制御プログラム等、各種プログラムはROM21Bに記憶されている。
操作表示部23、印刷部24、用紙搬送部25、通信部26、及び記憶部27の各部は、制御部21のI/O21Eに接続されている。制御部21は、操作表示部23、印刷部24、用紙搬送部25、通信部26、及び記憶部27の各部との間で情報の授受を行い、各部を制御する。
操作表示部23は、各種ボタン、各種画面を表示する操作パネル等を含んで構成されている。操作表示部23は、上記構成により、利用者からの操作を受け付けると共に、利用者に各種情報を表示する。
印刷部24は、印刷データに基づいて印刷処理、即ち、用紙上に画像を形成する処理を行う装置である。画像形成方式は、電子写真方式でもよく、インクジェット方式でもよい。例えば、電子写真方式により画像を形成する場合は、印刷部24は、画像形成ユニット、定着装置等を含んで構成されている。画像形成ユニットは、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等を含んで構成されている。
用紙搬送部25は、用紙が収容される用紙収容部、用紙収容部から用紙を取り出す取出ローラ、取り出された用紙を搬送する搬送ローラ等を含んで構成されている。用紙搬送部25は、上記構成により、用紙収容部から取り出した用紙を搬送し、印刷部24に供給する。また、印刷部24で画像が形成された用紙を、用紙排出部へと搬送する。
通信部26は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信部26は、コンピュータ等の外部装置から、印刷データを通信により取得する。
記憶部27は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。記憶部27には、ログデータ等の各種データ、各種プログラム等が記憶される。
また、後述する「印刷制御処理」を各部を制御して実行する制御部21が、「認識手段」、「出力手段」、「変更手段」、及び「制御手段」の一例である。制御部21及び操作表示部23が、「受付手段」の一例である。
なお、本実施の形態では、後述する「印刷制御処理」の制御プログラム等、各種プログラムがROM21Bに記憶されている場合について説明するが、通信部26を介して外部装置から各種プログラムを取得してもよい。
また、制御部21には、各種ドライブが接続されていてもよい。各種ドライブは、CD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置である。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体にプログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
(端末装置)
次に、端末装置30の構成について説明する。
図4は端末装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の端末装置30は、コンピュータ等の情報処理装置である制御部31を備えている。制御部31は、CPU31A、ROM31B、RAM31C、不揮発性のメモリ31D、及びI/O31Eを備えている。CPU31A、ROM31B、RAM31C、メモリ31D、及びI/O31Eの各々は、バス31Fを介して接続されている。
制御部31のI/O31Eには、ディスプレイ等の表示部32、キーボードやマウス等の入力部34、通信部36、及び記憶部38が接続されている。通信部36は、通信回線に接続するための通信インターフェイス(I/F)である。記憶部38は、ハードディスク等の外部記憶装置である。
CPU31Aは、例えばROM31Bに記憶されたプログラムを読み出し、RAM31Cをワークエリアとして使用してプログラムを実行する。なお、印刷装置20と同様に、
通信部36を介して外部装置からプログラムを取得してもよい。また、各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体にプログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
(撮像装置)
次に、撮像装置40の構成について説明する。
図5は撮像装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、撮像装置40は、投光部41、受光部42、撮像部43、制御部44、記憶部45、及び送信部46を備えている。投光部41、受光部42、撮像部43、記憶部45、及び送信部46の各々は、制御部44に接続されている。なお、撮像装置40の構成は一例であり、不要な機能部を削除したり、新たな機能部を追加したり、各部の構成、配置を変更してもよい。
投光部41は、制御部44により制御されて、予め定めた撮像範囲に赤外光を投光する。投光された赤外光は、予め定めた撮像範囲にある物体(例えば、利用者)の表面で反射される。受光部42は、物体の表面で反射された赤外光を受光する。受光部42は、例えば、赤外光像を撮像する赤外線カメラや、赤外光に感度を有する二次元センサである。受光部42は、受光した光信号(アナログデータ)をデジタルデータに変換し、赤外画像の画像データとして制御部44に出力する。
撮像部43は、予め定めた撮像範囲の可視光像を撮像する。撮像部43は、例えば、可視光像を撮像するカメラや、可視光に感度を有する二次元センサである。撮像部43は、撮像した光信号(アナログデータ)をデジタルデータに変換し、可視画像の画像データとして制御部44に出力する。
なお、「赤外光」とは、780nm以上1000nm以下の波長領域の光であり、「可視光」とは、380nm以上780nm未満の波長領域の光である。
制御部44は、CPUを備えたマイクロコンピュータ等であり、記憶部45に記憶された制御プログラムを読み出して実行する。制御部44は、具体的には以下の処理を行う。制御部44は、赤外画像の画像データ及び可視画像の画像データから、仮想の三次元空間と、フレーム毎に撮像された撮像画像の画素毎の距離データとを生成する。距離データは、光の飛行時間から距離を求めるTOF(Time of Flight)方式で算出してもよく、投光パターンの歪み量から算出してもよい。また、制御部44は、仮想の三次元空間及び撮像画像の画素毎の距離データから、フレーム毎に骨格データを生成する。
そして、制御部44は、撮像画像の画像データ、撮像画像の画素毎の距離データ、及び骨格データを、フレーム毎に送信部46に出力する。なお、予め定めた撮像範囲に利用者等の「人」が居る場合に、骨格データが生成される。送信部46は、入力されたデータを、撮像データとして印刷装置20に送信する。受信された撮像データは、印刷装置20のメモリ21DやRAM21C等の記憶装置に記憶される。
(端末装置からの印刷設定)
プリント機能により印刷処理を実行する場合は、端末装置30(他の装置)に接続された表示部32に「印刷設定画面」が表示される。利用者50は、表示部32に表示された印刷設定画面から印刷設定を行う。これに対し、コピー機能により印刷処理を実行する場合は、印刷装置20の操作表示部23に「印刷設定画面」が表示される。利用者50は、操作表示部23に表示された印刷設定画面から印刷設定を行う(図1参照)。
次に、端末装置30からの印刷設定について説明する。
図7(A)は利用者が端末装置から印刷設定画面を操作する様子を示す概略図である。図7(A)に示すように、利用者50が印刷装置20に印刷処理を行わせる場合、利用者50が使用する端末装置30に接続された表示部32に、印刷設定画面を表示させる。利用者50は、印刷設定画面を操作して印刷設定を行い、印刷処理の実行を指示する。
ここで「印刷設定画面」について説明する。
図7(B)は利用者に表示される「印刷設定画面」の一例を示す模式図である。図7(B)に示すように、印刷設定画面60には、印刷装置の選択肢62、印刷範囲の選択肢64、印刷範囲の指定欄66、印刷部数の設定欄68、印刷を指示するボタン70、及び詳細設定を行うボタン74が表示されている。図示した例では、印刷を指示するボタン70には「印刷」という文字が表示され、詳細設定を行うボタン74には「詳細設定」という文字が表示されている。
印刷装置の選択肢62は、図示した例では選択肢を一覧表示する。例えば▼のボタンが押されると、利用可能な印刷装置の一覧が表示される。図示した例では「プリンタA」が選択されている。印刷範囲の選択肢64は、印刷する文書が複数ページにわたる文書である場合に、「すべて(全部のページを印刷)」、「現在のページ(表示されているページを印刷)」、「ページ指定(指定したページを印刷)」という選択肢を表示する。選択肢には白丸(○)が併記されており、選択されると黒丸(●)に反転する。印刷範囲の指定欄66は、ページ指定が選択された場合に、指定するページ情報を入力する欄である。
印刷部数の設定欄68では、例えば0から9999まで等、予め定めた範囲で印刷部数が設定される。▼のボタンを押すと印刷部数が減少し、▲のボタンを押すと印刷部数が増加する。図示した例では、印刷部数は「1」に設定されている。
詳細設定を行うボタン74が押されると、詳細設定画面80に遷移する。詳細設定画面80には、印刷の向きの選択肢82、用紙サイズの選択肢84、両面印刷の選択肢88、まとめて1枚の選択肢88、設定を確定するボタン83、及び設定を取り消すボタン85が表示されている。図示した例では、設定を確定するボタン83には「OK」という文字が表示され、設定を取り消すボタン85には「キャンセル」という文字が表示されている。
印刷の向きの選択肢82には、「たて」、「よこ」という選択肢を表示する。選択肢には白丸(○)が併記されており、選択されると黒丸(●)に反転する。用紙サイズの選択肢84は、図示した例では選択肢を一覧表示する。例えば▼のボタンが押されると、用紙サイズの一覧が表示される。図示した例では「A4」が選択されている。
両面印刷の選択肢88は、図示した例では選択肢を一覧表示する。例えば▼のボタンが押されると、印刷態様の一覧が表示される。例えば、印刷態様として、「しない(片面印刷)」、「両面印刷(長辺とじ)」、「両面印刷(短辺とじ)」という選択肢が表示される。図示した例では「しない(片面印刷)」が選択されている。
まとめて1枚の選択肢88は、図示した例では選択肢を一覧表示する。例えば▼のボタンが押されると、2ページ、4ページ、8ページ等、1枚の用紙にまとめて印刷するページ数の一覧が表示される。図示した例では、「2ページ」が選択されている。
設定を確定するボタン83が押されると、詳細設定画面80において設定された内容が確定される。設定を取り消すボタン85が押されると、詳細設定画面80において設定された内容が取り消され、初期設定(デフォルト)に戻る。
利用者は、印刷設定画面60及び詳細設定画面80で印刷設定を行い、印刷を指示するボタン70を押して印刷処理の実行を指示する。印刷を指示するボタン70が押されると、端末装置30は、印刷データを生成し、印刷装置20に印刷データを出力する。
(利用者の印刷物に対する動作)
次に、利用者の印刷物に対する動作について説明する。
図8は出力された印刷物に対する利用者の動作の一例を示す概略図である。図2、図8に示すように、印刷処理の実行を指示した利用者50は、印刷装置20が配置された場所まで来て、印刷物22を手に取り、利用者が求める印刷物が出力されたか否かを確認する。印刷物22は「情報が記録された記録媒体」の一例である。
図示した例では、利用者50の手50Hには、印刷物22が保持されている。利用者50の視線は、保持された印刷物22に落とされている。このように印刷物22を確認する利用者50の姿が、撮像装置40により撮像される。
利用者50が求める印刷物22が得られていない場合、ときに利用者50は印刷物22に対し、印刷設定の変更の必要性を示唆する種々の動作をする。本実施の形態では、これ等の動作を「印刷物に対する利用者の予め定めた動作」とする。
印刷物に対する利用者の予め定めた動作(以下、「予め定めた動作」という。)としては、印刷物を変形させる動作(例えば、印刷物を半分に折る動作)、印刷物に対する視線を変化させる動作(例えば、印刷物に目を近づける動作、印刷物の裏側を見る動作)、印刷物の向きを変化させる動作(例えば、印刷物を回転させる動作)、及び印刷物を破棄する動作(例えば、印刷物をまるめる動作)等が挙げられる。
図9は予め定めた動作、第1の印刷設定、及び第2の印刷設定を対応付けた組合せを複数組有する対応関係を示す図表である。第1の印刷設定は、元の印刷設定として他の装置から設定し得る印刷設定である。第2の印刷設定は、次の印刷設定として自装置で設定し得る印刷設定である。次の印刷設定は、利用者が求めていると推定される印刷設定であり、印刷設定の変更候補(変更先として推奨される印刷設定)である。
図9には「予め定めた動作」として、印刷物を半分に折る動作、印刷物に目を近づける動作、印刷物の裏側を見る動作、印刷物を回転させる動作、印刷物をまるめる動作等が例示されている。
例えば、元の印刷設定が「片面印刷」であり、印刷物22の裏側を見ている場合は、利用者50が求める印刷物22は、「両面印刷」されたものであると推測される。即ち、利用者50は、「両面印刷」を選択すべきところを、間違えて「片面印刷」を選択してしまったのである。したがって、印刷設定を変更する場合は、次の印刷設定として「両面印刷」を利用者50に推奨する。
図9に示す対応関係で「第1の印刷設定」が指定されていない(「−」で図示)場合は、第1の印刷設定は「何でもよい(不問)」設定とする。したがって、元の印刷設定に拘らず、印刷物に対する利用者の予め定めた動作から、次の印刷設定が得られる。
例えば、印刷物22に目を近づけている場合は、次の印刷設定として「拡大印刷」を推奨する。また、印刷物22をまるめた場合は、印刷対象となる文書を間違えたと推測されるので、次の印刷設定として「印刷中止」を推奨する。
図9に例示されたその他の組合せについて説明する。
元の印刷設定が「1枚にまとめない」であり、印刷物22を半分に折っている場合は、次の印刷設定として「2ページを1枚にまとめる」を推奨する。また、元の印刷設定が「2ページを1枚にまとめる」であり、印刷物22を半分に折っている場合は、次の印刷設定として「4ページを1枚にまとめる」を推奨する。
また、元の印刷設定が「半分に折らない」であり、印刷物22を半分に折っている場合は、次の印刷設定として「後処理で半分に折る」を推奨する。また、元の印刷設定が「たて(印刷の向き)」であり、印刷物22を回転させている場合は、次の印刷設定として「よこ(印刷の向き)」を推奨する。
上記の対応関係は例示である。以下では、予め定めた動作、第1の印刷設定、及び第2の印刷設定を対応付けた組合せを複数組有する対応関係を「データベース」と称する。実行回数、使用頻度、使用時間などをデータベースに追加してもよい。データベースは、学習により改善される。本実施の形態では、データベースは、印刷装置20のメモリ21D等の記憶装置に記憶されている。
(印刷制御処理)
次に、「印刷制御処理」について説明する。
図10は第1の実施の形態に係る「印刷制御処理」の流れの一例を示すフローチャートである。「印刷制御処理」を実行する制御プログラムは、印刷装置20の制御部21のROM21Bに予め記憶されており、CPU21AによってROM21Bから読み出されて実行される。端末装置30から印刷処理が依頼されると「印刷制御処理」の実行が開始される。撮像装置40で得られた撮像データは、印刷装置20にフレーム毎に出力され、印刷装置20のRAM21Cにフレーム毎に記憶されている。
まず、ステップ100で、利用者50を検知したか否かを判断する。利用者50を検知したか否かは、例えば、撮像装置40から取得される撮像データが「利用者の骨格データ」を含むか否かにより判断する。また、撮像装置40とは別に設けられた人感センサ(図示せず)により、印刷装置20の周辺で利用者50を検知したか否かを判断してもよい。利用者50を検知した場合は、ステップ102に進む。利用者50を検知していない場合は、ステップ100で、利用者50を検知したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ102で、「動作認識処理」を実行する。本実施の形態では、印刷物に対する利用者の予め定めた動作を認識するので、印刷物の出力開始後に実行を開始すればよい。なお、「動作認識処理」の手順については後述する。次に、ステップ104で、予め定めた動作が認識されたか否かを判断する。予め定めた動作が認識された場合は、ステップ106に進む。予め定めた動作が認識されていない場合は、ステップ106からステップ110までを飛ばして、ステップ112に進む。
次に、ステップ106で、メモリ21Dに記憶されたデータベースを読み出し、データベースを参照する(図9参照)。次に、ステップ108で、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とに対応する「次の印刷設定」を取得する。予め定めた動作から「次の印刷設定」が求まる場合は、元の印刷設定に拘らず、予め定めた動作から「次の印刷設定」を取得する。次に、ステップ110で、印刷設定の「元の印刷設定」を「次の印刷設定」に変更する。
「次の印刷設定」は、印刷部24に出力される。印刷部24は、印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行している。印刷設定が変更されたことにより、印刷データのうち「印刷設定データ」が「次の印刷設定」に応じて変更される。印刷設定の変更後は、印刷部24は、変更後の印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行する。即ち、続きのページから変更後の印刷設定で印刷処理が行われる。
最後に、ステップ112で、印刷処理が終了したか否かを判断する。印刷処理が終了している場合は、「印刷制御処理」のルーチンを終了する。印刷処理が終了していない場合は、ステップ102に戻って、ステップ102の「動作認識処理」以下の手順を再度実行する。
第1の実施の形態に係る「印刷制御処理」では、印刷処理中に利用者の予め定めた動作が認識されると、利用者の確認を得ることなく、印刷処理の途中で印刷設定が自動的に「次の印刷設定」に変更される。プリント機能により印刷処理を実行する場合も、印刷データを生成した他の装置から印刷設定画面を操作して印刷設定の変更を行うことなく、印刷装置により印刷設定の変更が行われる。
(動作認識処理)
ここで、「動作認識処理」について詳細に説明する。
印刷装置20は、撮像装置40から得られた撮像データを経時解析することにより、印刷物に対する利用者の予め定めた動作を認識する。
−骨格データ及び骨格モデル−
まず、前提となる骨格データ及び骨格モデルについて説明する。
上記の通り、骨格データは、利用者を骨格モデルに当てはめた場合に、骨格モデルの各構成要素の長さと、骨格モデルの各接続部の仮想三次元空間での位置とを表すデータである。図6(A)は骨格モデルの一例を示す模式図である。骨格モデル52は、複数の構成要素52Aと、隣接する構成要素52Aを接続する接続部52Bとを有している。
人体を構成する体幹、上肢を概念する構成要素52Aをバーで表し、接続部52Bを黒丸で表す。接続部52Bは、関節などに概念している。図示した例では、構成要素52Aは「前腕部」と「上腕部」に対応付けされ、接続部52Bは、前腕部と上腕部を繋ぐ関節(肘関節)に対応付けされている。そして、利用者の大きさに対応して、構成要素52Aの長さが特定される。
接続部52Bは、仮想の三次元空間における三次元座標(例えば、[X,Y,Z])を有している。利用者の動作に従って、接続部52Bの三次元座標が変化する。構成要素52Aの長さは特定されているので、接続部52Bの三次元座標の変化に対応して、仮想の三次元空間における構成要素52Aの位置及び角度が変化する。構成要素52Aの長さと、接続部52Bの三次元座標とが、骨格データとされる。
−動作認識処理の手順−
動作認識処理では、まず、現在のフレームの骨格データと前のフレームの骨格データとを比較して、各構成要素の位置変化を求める。位置変化を繰り返し求めることで、各構成要素の位置変化のパターンが得られる(手順1)。
次に、得られた各構成要素の位置変化のパターンを、予め定めた動作時の各構成要素の位置変化のパターンと比較して、両者が対応する場合には「予め定めた動作」が認識されたと判定する(手順2)。なお、印刷物に対する利用者の予め定めた動作の各々について、予め定めた動作時の各構成要素の位置変化のパターンが、記憶部27等の記憶装置に予め記憶されている。
−印刷物認識処理の併用−
本実施の形態では「印刷物」に対する利用者の動作を認識する。印刷物を半分に折る動作では「印刷物は半分に折られる」、印刷物の裏側を見る動作では「印刷物の表裏が反転する」、印刷物を回転させる動作では「印刷物の上下が反転する」等、利用者の動作に伴い印刷物の状態も変化する。したがって、利用者の動作を認識する「動作認識処理」と併せて、印刷物の状態の変化を認識する「印刷物認識処理」を実行してもよい。
印刷物の状態の「予め定めた変化」は、利用者の「予め定めた動作」の裏付けとなる。例えば、「予め定めた動作」と対応する「予め定めた変化」とが認識された場合に、「予め定めた動作」が認識されたと判定することで、「印刷物認識処理」を併用しない場合に比べて「動作認識処理」の精度が高くなる。
例えば、撮像画像の画像データから、画像認識により白い部分(用紙)を追跡してもよい。また、骨格データの代わりに「印刷物データ」を取得し、「動作認識処理」と同じ手法で、印刷物認識処理を行ってもよい。
骨格データの代わりに用いる「印刷物データ」は、印刷物を用紙モデルに当てはめた場合に、用紙モデルの各構成要素の長さと、用紙モデルの各接続部の仮想三次元空間での位置とを表すデータである。図6(B)は用紙モデルの一例を示す模式図である。用紙モデル22Mは、用紙の各辺を概念する複数の構成要素22Aと、用紙の各隅を概念する接続部22Bとを有している。
構成要素22Aをバーで表し、接続部22Bを黒丸で表す。用紙サイズに対応して、構成要素22Aの長さが特定される。印刷物の状態の変化に従って、接続部22Bの三次元座標が変化する。接続部22Bの三次元座標の変化に対応して、仮想の三次元空間における構成要素22Aの位置及び角度が変化する。構成要素52Aの長さと、接続部52Bの三次元座標とが、印刷物データとされる。
印刷物の状態の「予め定めた変化」の各々について、予め定めた変化時の各構成要素の位置変化のパターンが、記憶部27等の記憶装置に予め記憶されている。印刷物認識処理では、動作認識処理と同様に、各構成要素の位置変化のパターンを、予め定めた印刷物の各構成要素の位置変化のパターンと比較して、両者が対応する場合には「予め定めた変化」が認識されたと判定する。
(次の印刷設定が複数ある場合)
また、「次の印刷設定」を取得する際に、予め定めた動作及び元の印刷設定の組合せに対し、「次の印刷設定」が複数ある場合は、少なくとも1つの印刷設定を選択して変更すればよい。複数の印刷設定の中で優先順位をつけて、優先順位の高い印刷設定を選択してもよい。例えば、利用頻度の高い印刷設定、最近使用された印刷設定の優先順位を高くする。
また、1つの印刷設定を実施すると他の印刷設定が実施できない場合は、1つの印刷設定については印刷設定を変更しないようにする。一緒には実施できない印刷設定が排除される。
例えば、図9に示す例で、「印刷物を半分に折る」という動作が認識された場合は、元の印刷設定が「1枚にまとめない」であると、次の印刷設定は「2ページを1枚にまとめる」となる。また、元の印刷設定に拘らず、次の印刷設定として「後処理で半分に折る」となる。元の印刷設定が「1枚にまとめない」である場合は、次の印刷設定は「2ページを1枚にまとめる」と「後処理で半分に折る」としてもよい。「後処理で半分に折る」を実施しても、「2ページを1枚にまとめる」も実施できる。
一方、元の印刷設定が「2ページを1枚にまとめる」であると、次の印刷設定は「4ページを1枚にまとめる」となる。また、元の印刷設定に拘らず、次の印刷設定として「後処理で半分に折る」となる。「4ページを1枚にまとめる」場合の各ページの配置順序は不明であるため、「後処理で半分に折る」を実施すると、「4ページを1枚にまとめる」は実施できない。したがって、次の印刷設定に「後処理で半分に折る」は含めないようにする。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、印刷処理中に利用者の予め定めた動作が認識されると、印刷処理を中断して利用者に印刷設定用の画面を表示して、利用者からの印刷設定を受け付ける以外は、第1の実施の形態と同じであるため、相違点である「印刷制御処理」について説明し、同じ部分については説明を省略する。
図11は第2の実施の形態に係る「印刷制御処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ200で、利用者50を検知したか否かを判断する。利用者50を検知した場合は、ステップ202に進む。利用者50を検知していない場合は、ステップ200で、利用者50を検知したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ202で、「動作認識処理」を実行する。次に、ステップ204で、予め定めた動作が認識されたか否かを判断する。予め定めた動作が認識された場合は、ステップ206に進む。予め定めた動作が認識されていない場合は、ステップ206からステップ228までを飛ばして、ステップ232に進む。
次に、ステップ206で、印刷処理を一時中断する。印刷部24は、印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行している。印刷処理が中断されると、印刷部24は、残りのページについて、ページ毎の印刷出力を保留する。
次に、ステップ208で、メモリ21Dに記憶されたデータベースを読み出し、データベースを参照する(図9参照)。次に、ステップ210で、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とに対応する「次の印刷設定」を取得する。取得された「次の印刷設定」は、記憶部RAM21等の記憶装置に保持される。
次に、ステップ212で、印刷設定の選択肢を表示する選択画面を生成し、印刷装置20の操作表示部23に選択画面を表示する。取得された「次の印刷設定」は、選択画面に表示される。ここでは、選択画面への表示が「出力」の一例である。表示される選択画面は、印刷データを生成した端末装置30に表示される「印刷設定画面」とは異なる画面である。図12は「選択画面」の一例を示す模式図である。図13は「選択画面(次ページ)」の一例を示す模式図である。
図12に示すように、選択画面200の最初のページには、印刷設定の選択肢として、ボタン202、ボタン204、ボタン206、ボタン208、及びチェックボックス210が表示されている。また、選択画面200の最初のページには、印刷を指示するボタン212、及び印刷を中止するボタン214が表示されている。図示した例では、印刷を指示するボタン212には「印刷」という文字が表示され、印刷を中止するボタン214には「印刷キャンセル」という文字が表示されている。
ボタン202及びボタン204は、ステップ210で取得された「次の印刷設定」を選択するボタンである。図示した例では、ボタン202は「2アップ印刷(2ページをまとめて1枚に印刷)」を選択するボタンであり、ボタン204は「フィニッシャーで折る(後処理で半分に折る)」を選択するボタンである。ボタン202及びボタン204には、「次の印刷設定」であることを示す「推奨設定」という文字が併記されている。
ボタン206は、印刷設定を変更しないことを選択するボタンである。図示した例では、ボタン206には「そのまま印刷」という文字が表示されている。ボタン208は、その他の印刷設定を選択するボタンである。図示した例では、ボタン208には「その他の印刷設定」という文字が表示されている。ボタン208が押されると、図13に示す選択画面(次ページ)200Aに遷移する。
図13に示すように、選択画面(次ページ)200Aには、印刷設定の選択肢として、ボタン216、ボタン218、ボタン220、ボタン222、及びチェックボックス210が表示されている。また、選択画面(次ページ)200Aには、印刷を指示するボタン212、及び前ページに戻るボタン224が表示されている。図示した例では、前ページに戻るボタン224には「戻る」という文字が表示されている。
ボタン216は、まとめて1枚の選択肢を表示するボタンである。図示した例では、ボタン216には、「まとめて1枚」という文字と共に、元の印刷設定を表す「nアップしない」という文字が表示されている。例えば、元の印刷設定から他の印刷設定に変更する場合には、ボタン216を押すと選択肢が表示されるので、選択肢の中から他の印刷設定を選択する。
ボタン218は、両面印刷の選択肢を表示するボタンである。図示した例では、ボタン218には、「両面印刷」という文字と共に、元の印刷設定を表す「しない(片面印刷)」という文字が表示されている。
ボタン220は、印刷の向きの選択肢を表示するボタンである。図示した例では、ボタン220には、「印刷の向き」という文字と共に、元の印刷設定を表す「たて」という文字が表示されている。
ボタン222は、フィニッシャー(後処理)の選択肢を表示するボタンである。図示した例では、ボタン222には、「フィニッシャー」という文字と共に、元の印刷設定を表す「折らない」という文字が表示されている。
図12及び図13に表示されるチェックボックス210は、チェックを入れることにより、印刷処理を最初からやり直すことを選択する欄である。図示した例では、チェックボックス210には「最初のページから印刷」という文字が併記されている。チェックボックス210にチェックが入れられていない場合は、続きのページから印刷処理が行われる。
利用者は、ボタン202やボタン204により、ステップ210で取得された「次の印刷設定」を選択して、印刷設定を変更してもよい。また、利用者は、ボタン216〜222により、他の印刷設定について選択肢を表示し、「次の印刷設定」とは異なる印刷設定を選択して、印刷設定を変更してもよい。また、利用者は、ボタン206により、印刷設定を変更しないことを選択してもよい。
また、利用者は、印刷設定を変更する場合及び印刷設定を変更しない場合、いずれの場合であっても、印刷処理を最初からやり直したい場合には、チェックボックス210にチェックを入れる。
印刷を指示するボタン212が押されると、選択画面200及び200Aにおいて選択された印刷設定で印刷処理が実行される。印刷を中止するボタン214が押されると、中断している印刷処理が中止される。
ここで、図11に示すフローチャートの説明に戻る。
次に、ステップ214で、利用者による選択が終了したか否かを判断する。印刷処理の実行が指示された場合、または印刷処理が中止された場合に、利用者による選択が終了する。利用者による選択が終了している場合は、ステップ216に進む。利用者による選択が終了していない場合は、ステップ214で、利用者による選択が終了したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ216で、印刷設定の変更が行われた場合は、データベースを更新する。今回選択された印刷設定について、「予め定めた動作、元の印刷設定、及び選択された印刷設定を関連付けた組合せ」をデータベースに追加する(図9参照)。同じ組合せがデータベースに既に存在する場合は、その組合せについての実行回数、使用頻度、使用時間などをデータベースに追加する。より多くの事例がデータベースに登録されることで、データベースが学習により改善される。
次に、ステップ218で、印刷処理を中止するか否かを判断する。印刷処理を中止する場合は、「印刷制御処理」のルーチンを終了する。印刷処理を中止しない場合は、ステップ220に進む。次に、ステップ220で、印刷設定を変更するか否かを判断する。印刷設定を変更する場合は、ステップ222に進む。印刷設定を変更しない場合は、ステップ222を飛ばしてステップ224に進む。
次に、ステップ222で、印刷設定の「元の印刷設定」を選択された印刷設定に変更する。変更後の印刷設定は、印刷部24に出力される。「次の印刷設定」が選択された場合は、「次の印刷設定」が印刷部24に出力される。印刷部24は、再印刷機能を備え、印刷データを保持している。印刷設定が変更されたことにより、保持された印刷データのうち「印刷設定データ」が変更される。印刷設定の変更後は、印刷部24は、変更後の印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行する。即ち、続きのページから変更後の印刷設定で印刷処理が行われる。
次に、ステップ224で、印刷処理を最初からやり直すか否かを判断する。最初からやり直す場合は、ステップ226に進む。ステップ226では、ステップ206で一時中断した印刷処理を中止する。次に、ステップ228で、印刷部24を制御して、最初のページから印刷処理を開始させる。印刷部24は、変更後の印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行する。即ち、最初のページから変更後の印刷設定で印刷処理が行われる。
一方、ステップ224で、最初からやり直さない場合は、ステップ230に進む。
ステップ230では、印刷部24を制御して、ステップ206で一時中断した印刷処理を再開させる。印刷部24は、変更後の印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行する。即ち、続きのページから変更後に印刷設定で印刷処理が行われる。印刷処理が終了すると、ステップ232に進む。
最後に、ステップ232で、印刷処理が終了したか否かを判断する。印刷処理が終了している場合は、「印刷制御処理」のルーチンを終了する。印刷処理が終了していない場合は、ステップ202に戻って、ステップ202の「動作認識処理」以下の手順を再度実行する。
なお、上記では、印刷設定を変更する場合について説明したが、印刷設定を変更しない場合は、変更後の印刷設定は、印刷部24に出力されず、「印刷設定データ」は変更されない。印刷設定を変更しない場合は、最初からやり直す必要は無いので、ステップ230で、印刷部24を制御して、ステップ206で一時中断した印刷処理を再開させる。また、元の印刷設定で印刷処理を最初からやり直してもよい。この場合は、ステップ206で、一時中断した印刷処理を中止して、ステップ208で、最初のページから印刷処理を開始させる。
第2の実施の形態に係る「印刷制御処理」では、印刷処理中に利用者の予め定めた動作が認識されると、印刷処理を中断して印刷装置の操作表示部に選択画面を表示する。利用者は「次の印刷設定」の内容を確認し、表示された選択画面を操作して印刷設定の変更を行う。プリント機能により印刷処理を実行する場合も、印刷データを生成した端末装置から印刷設定画面を操作して印刷設定の変更を行うことなく、印刷装置により印刷設定の変更が行われる。
また、動作認識の誤りにより印刷処理が一時中断された場合には、選択画面の「印刷設定を変更しない選択肢」を選択することで、印刷処理が再開される。また、選択画面の「印刷処理を最初からやり直す選択肢」が他の選択肢と共に選択されると、新たな印刷データを生成することなく、変更後の印刷設定で最初のページから印刷処理が行われる。
(変形例)
ここで、選択画面の変形例について説明する。
図14は「選択画面」の他の一例を示す模式図である。図15は「選択画面(次ページ)」の他の一例を示す模式図である。チェックボックス210を含まないこと以外は、図14に示す選択画面は図12に示す選択画面と同様であり、図15に示す選択画面は図13に示す選択画面と同様である。
チェックボックス210を含まない選択画面を表示する場合は、印刷処理を中止する場合を除き、いずれの選択肢が選択されても、一時中断した印刷処理を中止し、最初のページから印刷処理を開始する。具体的には、図11に示す「印刷制御処理」のフローチャートから、ステップ224及びステップ230が省略される。新たな印刷データを生成することなく、変更後の印刷設定で最初のページから印刷処理が行われる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、印刷終了後も利用者の動作の認識を実施し、利用者の予め定めた動作が認識されると、利用者に印刷設定用の画面を表示して、利用者からの再印刷の印刷設定を受け付ける以外は、第1の実施の形態と同じであるため、相違点である「印刷制御処理」について説明し、同じ部分については説明を省略する。
図16は第3の実施の形態に係る「再印刷制御処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ300で、利用者50を検知したか否かを判断する。利用者50を検知した場合は、ステップ302に進む。利用者50を検知していない場合は、ステップ300で、利用者50を検知したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ302で、「動作認識処理」を実行する。次に、ステップ304で、予め定めた動作が認識されたか否かを判断する。予め定めた動作が認識された場合は、ステップ306に進む。予め定めた動作が認識されていない場合は、ステップ306からステップ324までを飛ばして、ステップ326に進む。
次に、ステップ306で、メモリ21Dに記憶されたデータベースを読み出し、データベースを参照する(図9参照)。次に、ステップ308で、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とに対応する「次の印刷設定」を取得する。取得された「次の印刷設定」は、記憶部RAM21等の記憶装置に保持される。
次に、ステップ310で、印刷設定の選択肢を表示する選択画面を生成し、印刷装置20の操作表示部23に選択画面を表示する。取得された「次の印刷設定」は、選択画面に表示される。ここでは、選択画面への表示が「出力」の一例である。図17は「選択画面」の更に他の一例を示す模式図である。
図17に示すように、選択画面300には、印刷設定の選択肢として、ボタン302、ボタン304、ボタン306、及びボタン308が表示されている。また、選択画面300には、再印刷を指示するボタン310、及び再印刷をしないことを指示するボタン312が表示されている。図示した例では、再印刷を指示するボタン310には「印刷」という文字が表示され、再印刷をしないことを指示するボタン312には「再印刷しない」という文字が表示されている。
ボタン302及びボタン304は、ステップ308で取得された「次の印刷設定」を選択するボタンである。図示した例では、ボタン302は「2アップ印刷(2ページをまとめて1枚に印刷)」を選択するボタンであり、ボタン304は「フィニッシャーで折る(後処理で半分に折る)」を選択するボタンである。ボタン302及びボタン304には、「次の印刷設定」であることを示す「推奨設定」という文字が併記されている。
ボタン306は、印刷設定を変更しないことを選択するボタンである。図示した例では、ボタン306には「そのまま印刷」という文字が表示されている。ボタン308は、その他の印刷設定を選択するボタンである。図示した例では、ボタン308には「その他の印刷設定」という文字が表示されている。ボタン203が押されると、他の印刷設定について選択肢を表示する選択画面(次ページ)に遷移する。
利用者は、ボタン302やボタン304により、ステップ308で取得された「次の印刷設定」を選択して、印刷設定を変更してもよい。また、利用者は、他の印刷設定について選択肢を表示し、「次の印刷設定」とは異なる印刷設定を選択して、印刷設定を変更してもよい。また、利用者は、ボタン306により、印刷設定を変更しないことを選択してもよい。
再印刷を指示するボタン310が押されると、選択画面300において選択された印刷設定で再印刷処理が実行される。再印刷をしないことを指示するボタン312が押されると、再印刷処理を行わずに「再印刷制御処理」が終了する。
ここで、図16に示すフローチャートの説明に戻る。
次に、ステップ312で、利用者による選択が終了したか否かを判断する。再印刷の実行が指示された場合、または、再印刷をしないことが指示された場合に、利用者による選択が終了する。利用者による選択が終了している場合は、ステップ314に進み、利用者による選択が終了していない場合は、ステップ312で、利用者による選択が終了したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ314で、印刷設定の変更が行われた場合は、データベースを更新する。今回選択された印刷設定について、「予め定めた動作、元の印刷設定、及び選択された印刷設定の対応関係」をデータベースに追加する(図9参照)。対応関係がデータベースに既に存在する場合は、対応関係についての実行回数、使用頻度、使用時間などをデータベースに追加する。
次に、ステップ316で、再印刷をしないことが指示されたか否かを判断する。再印刷をしない場合は、「再印刷制御処理」のルーチンを終了する。再印刷をする場合は、ステップ318に進む。次に、ステップ318で、印刷設定を変更するか否かを判断する。印刷設定を変更する場合は、ステップ320に進む。印刷設定を変更しない場合は、ステップ320を飛ばしてステップ322に進む。
次に、ステップ320で、印刷設定の「元の印刷設定」を、選択された印刷設定に変更する。変更後の印刷設定は、印刷部24に出力される。「次の印刷設定」が選択された場合は、「次の印刷設定」が印刷部24に出力される。
次に、ステップ322で、印刷部24を制御して、最初のページから印刷処理を開始させる。印刷部24は、再印刷機能を備え、印刷データを保持している。印刷設定が変更されたことにより、印刷データのうち「印刷設定データ」が「次の印刷設定」に応じて変更される。印刷部24は、変更後の印刷データに基づいてページ毎に印刷出力を実行する。即ち、最初のページから変更後の印刷設定で印刷処理が行われる。
なお、印刷設定を変更しない場合は、変更後の印刷設定は、印刷部24に出力されず、「印刷設定データ」は変更されない。印刷設定を変更しない場合は、「元の印刷設定」で最初のページから印刷処理が行われる。
次に、ステップ324で、印刷処理が終了したか否かを判断する。印刷処理が終了している場合は、ステップ326に進む。印刷処理が終了していない場合は、ステップ324で、印刷処理が終了したか否かの判断を繰り返し行う。次に、ステップ326で、予め定めた時間が経過したか否かを判断する。経過している場合は、「再印刷制御処理」のルーチンを終了する。経過していない場合は、ステップ302に戻って、ステップ302の「動作認識処理」以下の手順を再度実行する。
なお、予め定めた時間の経過を待つ代わりに、利用者が印刷装置から離れるまで待ってもよい。例えば、利用者50を検知した場合と同様に、撮像装置40から取得される撮像データから「利用者の骨格データ」が消えた場合に、利用者が印刷装置から離れたと判断する。
第3の実施の形態に係る「再印刷制御処理」では、印刷終了後であっても、印刷終了後に利用者の予め定めた動作が認識されると、再印刷の印刷設定を行うための選択画面を表示する。利用者は「次の印刷設定」の内容を確認し、表示された選択画面を操作して印刷設定の変更を行う。
また、プリント機能により印刷処理を実行する場合も、印刷データを生成した端末装置から印刷設定画面を操作して印刷設定の変更を行うことなく、変更後の印刷設定で再印刷処理が行われる。
また、印刷設定が変更されると、新たな印刷データを生成することなく、変更後の印刷設定で最初のページから印刷処理が実行される。また、選択画面の「印刷設定を変更しない選択肢」を選択することで、同じ印刷物が再度出力される。
<変形例>
なお、上記実施の形態で説明した印刷装置及びプログラムの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない
(印刷設定画面からの操作)
上記の実施の形態では、印刷処理で取得された「次の印刷設定」が印刷装置20の選択画面に表示される例について説明したが、印刷処理で取得された「次の印刷設定」が他の装置に出力されてもよい。例えば、印刷処理で取得された「次の印刷設定」が端末装置30に送信され、利用者が使用する端末装置30の「印刷設定画面」に「次の印刷設定」が反映されるようにしてもよい。
図18は変形例に係る「印刷制御処理」の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップ400で、利用者50を検知したか否かを判断する。利用者50を検知した場合は、ステップ402に進む。利用者50を検知していない場合は、ステップ400で、利用者50を検知したか否かの判断を繰り返し行う。
次に、ステップ402で「動作認識処理」を実行する。次に、ステップ404で、予め定めた動作が認識されたか否かを判断する。予め定めた動作が認識された場合は、ステップ406に進む。予め定めた動作が認識されていない場合は、ステップ406からステップ410までを飛ばして、ステップ412に進む。
次に、ステップ406で、メモリ21Dに記憶されたデータベースを読み出し、データベースを参照する(図9参照)。次に、ステップ408で、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とに対応する「次の印刷設定」を取得する。次に、ステップ410で、取得された「次の印刷設定」を端末装置30に送信(出力)する。
最後に、ステップ412で、印刷処理が終了したか否かを判断する。印刷処理が終了している場合は、「印刷制御処理」のルーチンを終了する。印刷処理が終了していない場合は、ステップ402に戻って、ステップ402の「動作認識処理」以下の手順を再度実行する。
端末装置30は、通信部36を介して「次の印刷設定」を取得する。「次の印刷設定」は、印刷された文書と関連付けて、記憶部38等の記憶装置に記憶される。「次の印刷設定」は、次に説明する「印刷設定画面の生成処理」が実行される際に、記憶部38等から読み出される。
図19は変形例に係る「印刷設定画面の生成処理」の流れの一例を示すフローチャートである。「印刷設定画面の生成処理」の制御プログラムは、利用者により印刷する文書が選択され、印刷設定を開始する指示を受け付けた場合に、端末装置30の制御部31のCPU31Aにより、ROM31Bから読み出されて実行される。
まず、ステップ500で、選択された文書の再印刷か否かを判断する。再印刷の場合は、ステップ502に進む。再印刷ではない場合は、「印刷設定画面の生成処理」のルーチンを終了する。この場合は、通常の印刷設定画面が表示される。次に、ステップ502で、文書に関連づけられた「次の印刷設定」があるか否かを判断する。「次の印刷設定」がある場合は、ステップ504に進む。「次の印刷設定」がない場合は、「印刷設定画面の生成処理」のルーチンを終了する。
次に、ステップ504で、記憶部38等から「次の印刷設定」を読み出し、「次の印刷設定」を反映させた「印刷設定画面」を生成する。「次の印刷設定」は、印刷設定画面に表示される。そして、利用者50が使用する端末装置30に接続された表示部32に「印刷設定画面」を表示して、「印刷設定画面の生成処理」のルーチンを終了する。
図20は変形例に係る「印刷設定画面」の一例を示す模式図である。図7(B)に示す「印刷設定画面」と同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略し、相違点について説明する。図20に示す「印刷設定画面」では、詳細設定画面80の、まとめて1枚の選択肢88について、初期設定(デフォルト)として「次の印刷設定」が選択されている。図示した例では、「2ページ(推奨)」が選択されている。なお、▼のボタンを押して選択肢を表示し、他の選択肢を選択してもよい。
図21は変形例に係る「印刷設定画面」の他の一例を示す模式図である。図7(B)に示す「印刷設定画面」と同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略し、相違点について説明する。図21に示す「印刷設定画面」は、推奨設定を行うボタン76が表示されている。図示した例では、推奨設定を行うボタン76には「推奨設定」という文字が表示されている。
推奨設定を行うボタン76が押されると、推奨設定画面90に遷移する。推奨設定画面90には、まとめて1枚の選択肢92、及び後処理(フィニッシャー)の選択肢94が表示されている。選択肢92及び選択肢94の各々について、初期設定(デフォルト)として「次の印刷設定」が選択されている。図示した例では、まとめて1枚の選択肢92について「2ページ」が選択され、後処理の選択肢94について「半分に折る」が選択されている。なお、▼のボタンを押して選択肢を表示し、他の選択肢を選択してもよい。
変形例では、印刷処理中に利用者の予め定めた動作が認識されると、「次の印刷設定」が端末装置30に送信される。送信された「次の印刷設定」は印刷設定画面に反映される。したがって、端末装置30から印刷設定画面を操作して印刷設定の変更を行う場合にも、利用者により「次の印刷設定」の内容が確認される。
(次の印刷設定の他の取得方法)
上記の実施の形態では、予め定めた動作、第1の印刷設定、及び第2の印刷設定を対応付けた組合せを複数組有する対応関係(データベース)を参照して、認識された予め定めた動作から、または、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とから、「次の印刷設定」を取得したが、「次の印刷設定」の取得方法はこれには限定されない。例えば、認識された予め定めた動作と元の印刷設定とから、最尤推定等の各種の推定手法により、他の印刷設定より尤度の高い「次の印刷設定」を取得してもよい。