JP6987632B2 - 蓄電デバイス電極用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、蓄電デバイス電極用樹脂組成物、蓄電デバイス電極、及び蓄電デバイスに関する。
近年のスマートフォンの普及や自動車市場でのゼロエミッション規制、さらには自然エネルギー活用の拡大などにより、蓄電デバイスの需要は大きくなってきている。そのため、蓄電デバイスには、小型、軽量、大容量化が望まれ、自動車等においてはさらに高出力、高エネルギー密度を求める声が大きくなっている。このような要求において、リチウムイオン二次電池やアルカリイオン二次電池、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスの開発が進められている。
このような蓄電デバイスは、一般的に金属箔上に活物質等を含む合材層が塗布された電極を備えており、合材層の剥落を防止するために蓄電デバイス電極用樹脂組成物(バインダー)が合材層に添加されているが、バインダー自体が絶縁性かつイオン透過性に乏しい材料であるために、電池の容量や入出力特性に対して阻害要因となっている。特に低温下ではイオン伝導性が大きく損なわれることが知られており、耐久性の悪化や容量低下を招く原因となっていた。
このような問題を解決するため、電池特性を向上可能なバインダーが提案されている(特許文献1及び2)。
特許文献1には、カルボキシル基含有単量体(а−1)0.01〜30質量%と、アクリロニトリル(а−2)20〜60質量%とを含み、残部が共重合可能な単量体(a−3)からなるモノマー混合物を共重合して得られる樹脂を含むリチウム二次電池電極用バインダーが開示されている。
特許文献2には、バインダー樹脂100重量部当たりに、(a)(メタ)アクリル酸エステル系単量体1〜80重量部と、(b)不飽和カルボン酸系単量体1〜20重量部、及び(c)ビニル系単量体0.001〜40重量部の重合により得られた樹脂粒子を含んでなるバインダーが開示されている。
特許文献3には、水素結合により超分子錯体を形成可能な平面構造を有する分子を含有する可溶化剤を含むカーボンナノチューブ分散液の製造方法が開示されている。
特開2013−4229号公報 特表2008−537841号公報 特開2008−169094号公報
しかしながら、従来の蓄電デバイス電極用樹脂組成物(バインダー)を電極の形成に用いた場合、電池特性は十分ではなかった。
本開示は、イオン透過性等の電池特性を向上できる蓄電デバイス電極用樹脂組成物を提供する。
本発明は、下記構成単位A、及び下記構成単位Bを含有する重合体を含む蓄電デバイス電極用樹脂組成物に関する。
構成単位A:少なくとも4つの水素結合を形成することが可能な構造を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
構成単位B:オキシアルキレン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
本開示は、集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極であって、
前記合材層が、活物質、本発明の蓄電デバイス電極用樹脂組成物の固形分を含む、蓄電デバイス電極に関する。
本開示は、本発明の蓄電デバイス電極を含む蓄電デバイスに関する。
本開示によれば、イオン透過性等の電池特性を向上できる蓄電デバイス電極用樹脂組成物、蓄電デバイス電極、及び蓄電デバイスを提供できるという効果を奏し得る。
[蓄電デバイス電極用樹脂組成物]
本開示は、一態様において、下記構成単位A、及び下記構成単位Bを含有する重合体を含む蓄電デバイス電極用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と略称する場合もある。)である。
構成単位A:少なくとも4つの水素結合を形成することが可能な構造を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
構成単位B:オキシアルキレン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
本開示によれば、優れた結着性とイオン透過性を有する樹脂組成物を提供できるので、電池特性を向上できる。
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のことが推定される。
本開示に係る樹脂組成物は、バインダーとして機能する重合体が、強固な水素結合による物理架橋を可能とするユニットを含む構成単位Aと、親水性で且つイオン透過性を有するユニットを含む構成単位Bと、を含んでいるので、本開示に係る樹脂組成物を含むペーストを被塗布物に塗布し乾燥させれば、ゴム弾性を呈し、且つ、電解液による処理前後における弾性変化率[(処理後弾性率)/(処理前弾性率)]が所定の重合体を含むことで、バインダーとして良好な結着性を確保しつつ、優れたイオン透過性を有する皮膜を形成できる。故に、本開示に係る樹脂組成物を用いて形成された電極を含む蓄電デバイスにおいて、イオン透過性等の電池特性が向上するものと考えられる。但し、これらは推定であって、本開示はこれらメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[重合体]
<構成単位A>
(構成単位Aの構造)
構造単位Aは、少なくとも4つの水素結合を形成することが可能な構造(以下、「四重水素結合単位」ということがある。)を有する不飽和単量体由来の繰返し単位である。当該四重水素結合単位同士が物理架橋することによりゴム状弾性を有する皮膜を形成でき、皮膜の強度が高く及び電解液中での皮膜の安定性が向上するものと考えられる。前記不飽和単量体由来の繰返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上が混合していてもよい。
当該四重水素結合単位は、物理架橋による、皮膜の高強度化と電解液中での皮膜の安定性向上の観点から、下記式(1)又は(2)で表される構造であることが好ましい。
A−C−A−C−D−C−D (1)
A−C−D−C−A−C−D (2)
ここで、Aは水素受容部分、Dは水素供与部分、Cは炭素原子を示す。C−D間の結合は単結合、C−A間の結合は二重結合又は単結合を表す。
例えば、式(1)で表される2つの四重水素結合単位が存在する場合、一方の四重水素結合単位における2つのAが、他方の四重水素結合単位における2つのDと物理架橋することができる。また一方の四重水素結合単位における2つのDが、他方の四重水素結合単位における2つのAと物理架橋することができる。これにより、4つの水素結合が良好に形成され、皮膜の高強度化と電解液中での皮膜の安定性が向上する。同様の理由で、式(2)で表される構成単位Aの場合も、皮膜の高強度化と電解液中での皮膜の安定性が向上する。
皮膜の高強度化と電解液中での皮膜の安定性向上の観点から、上記式(1)又は(2)において、「C−A−C」は好ましくは「C=N−C」を表し、また、「C−A」は「C=O」を表す。また、同様の観点から、上記式(1)又は(2)において、「D−C」は、好ましくは「−NH−C」又は「HO−C」を表す。また、上記式(1)において、「A−C−A−C」のうちの2つのCは、好ましくはピリミジン骨格を構成する炭素原子であって一方の炭素原子は1対の窒素原子の間に在り、上記式(1)において、好ましくは、「D−C」はいずれも、「−NH−C」である。
上記構成単位Aは、それぞれ独立に、下記式(3)で表される構造、下記式(4)で表される構造、又はこれらの構造の互変異性体で表される構造のいずれかである四重水素結合単位含有構造において、R1、R2及びR3の少なくとも1つを、結合手及び連結基の少なくとも1つを介して他の構成単位に結合させた構造における、当該四重水素結合単位含有構造並びに当該結合手及び連結基の少なくとも1つよりなる構成単位A’であることが好ましい。
Figure 0006987632
式(3)及び(4)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、好ましくは水素、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、炭素数7以上12以下のアリールアルキル基、又は炭素数7以上12以下のアルキルアリール基である。R1、R2及びR3は、電解液中での皮膜の安定性向上及び不飽和単量体の入手性の観点から、それぞれ独立に、更に好ましくは水素、又は炭素数1以上20以下のアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は、電解液中での皮膜の安定性向上及び不飽和単量体の入手性の観点から、より好ましくは10以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1である。
第一の好ましい実施形態においては、式(3)、式(4)又はこれらの互変異性体に由来する構成単位は、R1を、結合手及び連結基の少なくとも1つを介して他の構成単位に結合させたものであることが好ましい。
第二の好ましい実施形態においては、式(3)、式(4)又はこれらの互変異性体に由来する構成単位は、R1及びR2を、結合手及び連結基の少なくとも1つを介して他の構成単位に結合させたものであることが好ましい。
(不飽和単量体)
構成単位Aは、下記式(5)で表される不飽和単量体に由来する構成単位であることが好ましい。
Figure 0006987632
式中、R12、R13は、それぞれ独立に、好ましくは水素、又は炭素数1以上20以下のアルキル基、より好ましくは水素又はメチル基である。更に好ましくはR12がメチル基、R13が水素である。
14は、好ましくは水素又はメチル基、より好ましくはメチル基である。
11は、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキレン基又はR15−O−C(=O)−NH−R16で表される基、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキレン基、より更に好ましくはエチレン基である。
15、R16は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキレン基である。
上記式(5)で表される不飽和単量体の好ましい具体例は、次のとおりである。
Figure 0006987632
Figure 0006987632
(式(5)で表される不飽和単量体の製造)
式(5)で表される不飽和単量体の製造方法は、例えば、少なくとも4つの水素結合の全部又は一部を形成する窒素含有化合物と、少なくとも重合性官能基及び当該窒素含有化合物に結合可能な反応性基を有する重合性化合物と、を反応させることにより、好適に製造することができる。
窒素含有化合物としては、好ましくは、イソシトシン誘導体(2−アミノ−4−チミドン誘導体)、トリアジン誘導体、又はこれらの誘導体の互変異体である。より好ましくは、窒素含有化合物は、アルキル基又はオリゴエチレングリコール基を6位に有するイソシトシン、更に好ましくは、メチル基又はエチルへキシル基を6位に有するイソシトシン、より更に好ましくはメチル基を6位に有するイソシトシンである。
また、少なくとも2つの重合性官能基を有する重合性化合物としては、好ましくはエチレン性不飽和基及びイソシアネート基の少なくとも2つを有する重合性化合物、より好ましくはエチレン性不飽和基の少なくとも1つ及びイソシアネート基の少なくとも1つを有する重合性化合物、更に好ましくはアルキレン基の両末端のうち一方の末端にエチレン性不飽和基が結合され他方の末端にイソシアネート基が結合されてなる重合性化合物である。
上記エチレン性不飽和基としては、好ましくは(メタ)アクリル基、より好ましくはメタクリル基である。
上記アルキレン基としては、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数2以上6以下のアルキレン基、更に好ましくは炭素数2以上4以下のアルキレン基、より更に好ましくはエチレン基である。
(構成単位Aの含有量)
構成単位Aの含有量は、皮膜の高強度化及び電解液中での皮膜の安定性向上の観点から、重合体中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、構成単位Aの含有量は、重合容易性及び配合容易性の観点から、重合体中、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。構成単位Aの含有量は、公知の分析方法又は分析装置によって求めることができる。構成単位Aが2種以上のモノマーA由来の構成単位からなる場合、構成単位Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
<構成単位B>
構成単位Bは、オキシアルキレン基を有する親水性不飽和単量体由来の繰返し単位である。オキシアルキレン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。
オキシアルキレン基の炭素数は、親水性及び入手容易性の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。
オキシアルキレン基の平均付加モル数は、親水性及びイオン透過性の向上の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、そして、重合容易性、入手容易性の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。
(親水性不飽和単量体の定義)
本開示において、親水性不飽和単量体とは、20℃における水100gに対する溶解量が、1g以上である不飽和単量体のことをいう。当該溶解量は、好ましくは10g以上、より好ましくは20g以上である。
構成単位Bの具体例としては、単官能(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド付加物、及び単官能(メタ)アクリルアミドのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種の単官能モノマー由来の構成単位が挙げられる。本開示において、単官能モノマーとは、不飽和結合を1個有するモノマーをいう。単官能モノマーは1種単独でもよいし、2種以上の組合せでもよい。本開示において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。構成単位Bは、親水性及びイオン透過性の向上の観点から、これらの中でも、単官能メタクリレートのアルキレンオキサイド付加物及び単官能アクリレートのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種の単官能モノマー由来の構成単位が好ましく、単官能メタクリレートのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位がより好ましい。
構成単位Bの供給源であるオキシアルキレン基を有する親水性不飽和単量体は、合成の容易性、親水性及びイオン透過性の向上の観点から、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、PEGMAが更に好ましい。
構成単位Bの含有量は、親水性及びイオン透過性の向上の観点から、重合体中、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、結着性及び電解液中での被膜の安定性の向上の観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。構成単位Bの含有量は、公知の分析方法又は分析装置によって求めることができる。構成単位Bが2種以上のモノマーB由来の構成単位からなる場合、構成単位Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
前記重合体中、構成単位Aと構成単位Bのモル比(A/B)は、親水性及びイオン透過性の向上と結着性及び電解液中での安定性向上の両立の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、更に好ましくは50/50以下である。
(その他の構成単位)
前記重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位A及び構成単位B以外の構成単位Cを含有してもよい。構成単位A及び構成単位Bの合計の含有量は、前記重合体中、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上であり、更により好ましくは実質的に100質量%であり、更により好ましくは100質量%である。なお、実質的に100質量%とは、前記重合体中に構成単位Aおよび構成単位B以外の構成単位が不可避的に混入する場合を含む意味である。
<構成単位C>
構成単位Cは、イオン性基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位、または、非イオン性基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位である。イオン性基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位は、アニオン性基を有する不飽和単量体に由来する繰返し単位、及びカチオン性基を有する不飽和単量体に由来する繰返し単位のいずれであってもよい。非イオン性基を有する不飽和単量体由来の繰り返し単位は、単官能(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、単官能(メタ)アクリルアミドに由来する繰り返し単位、スチレン系の単官能モノマーに由来する繰り返し単位、及び窒素含有複素環を有する単官能モノマーのいずれかであってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(アニオン性基を有する不飽和単量体)
アニオン性基を有する不飽和単量体としては、好ましくは不飽和カルボン酸モノマー又はその塩、不飽和スルホン酸モノマー又はその塩、及び不飽和リン酸モノマー又はその塩であり、より好ましくは不飽和カルボン酸モノマー又はその塩である。
前記不飽和カルボン酸モノマー又はその塩の具体例としては、好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等又はこれらの塩である。このうち、入手性の観点から、より好ましくは(メタ)アクリル酸及びマレイン酸の少なくとも1種であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
これら不飽和カルボン酸モノマー由来の繰返し単位は、酸のままであってもよいし、一部又は全部が中和されたものであってよい。
中和に使用する塩基性化合物の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパンジオール等のアミン化合物等がある。不飽和カルボン酸モノマー由来の繰返し単位は、グラフトポリマーのエタノール中での重合体の分散性の観点から、一部又は全部が中和されていることが好ましい。
(カチオン性の不飽和単量体)
カチオン性不飽和単量体としては、アミノ基を有する不飽和単量体及び4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体から選ばれる1種以上が挙げられる。
アミノ基を有する不飽和単量体の具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びこれらをH+-で表される酸で中和した構造が挙げられる。
ここでX-は、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、安息香酸イオン、アジピン酸イオン、ギ酸イオン、リンゴ酸イオン、グリコール酸イオン等の有機酸イオン;等のアニオンを示す。
また、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体の具体例としては、X-を対イオンに持つ(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクロイルアミノエチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、1−エチル−4−ビニルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−ビニルピリジニウム等が挙げられる。
(非イオン性基を有する不飽和単量体)
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エステル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、アルキルエステル(メタ)アクリレート、シクロアルキル基含有エステル(メタ)アクリレート、芳香族基含有エステル(メタ)アクリレート、水酸基含有エステル(メタ)アクリレート、及び窒素原子含有エステル(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられ、合成の容易性、親水性、結着性、及びイオン透過性の向上の観点から、上述した単官能(メタ)アクリレートの中でも、アルキルエステル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1以上8以下のアルキルエステル(メタ)アクリレートがより好ましい。
アルキルエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、セカンダリーブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ノルマルペンチル(メタ)アクリレート、ノルマルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、合成の容易性、親水性、結着性、及びイオン透過性の向上の観点から、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、及びエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチルアクリレート及びエチルアクリレートから選ばれるより少なくとも1種が好ましく、エチルアクリレートが更に好ましい。
シクロアルキル基含有エステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロベンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有エステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有エステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
窒素原子含有エステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノ基含有エステル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N'−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N、N'−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
スチレン系の単官能モノマーとしては、例えば、スチレン等が挙げられる。
窒素含有複素環を有する単官能モノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等が挙げられる。
(数平均分子量)
前記重合体の数平均分子量は、結着性及び電解液中での被膜の安定性の向上の観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは1万5千以上、更に好ましくは2万以上であり、そして、合成の容易性、電極ペースト作成時の配合性の観点から、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下、更に好ましくは150万以下、より更に好ましくは100万以下である。
前記重合体は、塗工性の向上の観点から、水系溶媒に対する溶解度が高い方が好ましい。前記重合体の水系溶媒に対する溶解度は、塗工性の向上、電池特性向上の観点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。前記重合体の水系溶媒への溶解度は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
前記重合体は、電解液に対し皮膜が安定に存在するために溶解度が低い方が好ましい。前記重合体の電解液に対する溶解度は、電解液中での皮膜の安定性の向上の観点から、3質量%未満が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、1質量%未満が更に好ましい。前記重合体の電解液への溶解度は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
前記重合体のガラス転移温度(Tg)は、結着性、及び電解液中での皮膜の安定性の向上の観点から、一定範囲内にあることが好ましい。前記重合体のTgは、電極との結着性向上の観点から、一定値以下であることが好ましく、具体的には、60℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。前記重合体のTgは、電解液中での皮膜の安定性向上の観点から、一定値以上であることが好ましく、具体的には、−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。重合体自体のTgの違いにより、電解液中での温度によるバインダーの形状変化によって電解液の通液性及び結着力を左右するためであると考えられる。Tgの調整は、既知の各種ホモポリマーにおけるTgを参考にモノマー組成比や分子量を適宜選択することにより行うことができる。ガラス転移温度(Tg)は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
前記重合体は、電池特性向上の観点から、電解液に対して吸液する性質を有することが好ましい。すなわち、前記重合体の電解液に対する吸液量(以下、「電解液吸液量」ともいう)は、電池特性向上の観点から、130%以上が好ましく、200%以上がより好ましく、300%以上が更に好ましく、500%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10000%以下が好ましく、8000%以下がより好ましく、5000%以下が更に好ましい。本開示において、電解液吸液量は、実施例に記載の方法により測定できる。前記重合体の電解液吸液量が所定値以上の場合、本開示に係る樹脂組成物は、極板内で樹脂組成物の充填によって電解液の通液が困難な部分であっても樹脂内部を電解液とともにアルカリイオンが透過しあるいは内部に保持され、活物質表面のイオンの出入りを容易にするものと考えられる。そして、本開示に係る樹脂組成物を用いて作製された電極を蓄電デバイスに使用すると、電池特性の向上につながると考えられる。
<重合体の製造>
前記重合体は、例えば、構成単位Aの供給源であるモノマーA及び構成単位Bの供給源であるモノマーB、並びに必要に応じて構成単位Cの供給源であるモノマーCを共重合させることによって製造できる。すなわち、前記重合体の製造方法は、一態様において、モノマーA及びモノマーB、並びに必要に応じてモノマーCを含むモノマー混合物を重合させる重合工程を含む。
重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を採用しうるが、より均一な組成の重合体を製造するために、溶液重合法が好ましい。前記重合工程では、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、重合安定性の観点から、水溶性の重合開始剤が好ましい。水溶性の重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。前記重合工程における重合開始剤の使用量は、適宜設定できるが、モノマー全量に対し、0.01質量%以上2質量%以下が好ましい。
本開示において、前記重合体の全構成単位中の構成単位Aの含有量(質量%)は、重合に用いるモノマー全質量に対する、モノマーAの使用質量の割合と見なすことができる。前記重合体の全構成単位中の構成単位Bの含有量(質量%)は、重合に用いるモノマー全質量に対する、モノマーBの使用質量の割合と見なすことができる。前記重合体の全構成単位中の構成単位Aの含有モル量(モル%)は、重合に用いるモノマー全モル量に対する、モノマーAの使用モル量の割合と見なすことができる。前記重合体の全構成単位中の構成単位Bの含有モル量(モル%)は、重合に用いるモノマー全モル量に対する、モノマーBの使用モル量の割合と見なすことができる。構成単位Aと構成単位Bのモル比(A/B)は、重合に用いるモノマー全モル量における、モノマーBの使用モル量に対するモノマー(A)の使用モル量の比と見なすことができる。前記重合体の全構成単位中の構成単位A及び構成単位Bの合計含有量(質量%)は、重合に用いるモノマー全質量に対する、モノマーA及びモノマーBの合計使用質量の割合と見なすことができる。
前記重合工程では、イオン交換水等の水を溶媒として用いることができる。前記重合工程における水の使用量は、適宜設定できるが、例えば、モノマー全量100部に対し、40質量部以上1500質量部以下(重合固形分でおよそ6.25〜71.4質量%に相当)とすることができる。
重合条件としては、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって適宜設定すればよい。例えば、重合反応は、窒素雰囲気下、60〜100℃の温度範囲で行うことができ、重合時間は、例えば、0.5〜20時間と設定できる。これらモノマーを含有する混合物には、必要に応じて、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
本開示における前記重合体を構成する各構成単位の配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよい。ポリマーの組成分析は、例えば、NMRスペクトル、UV−visスペクトル、IRスペクトル、アフィニティクロマトグラフィー等によって行うことができる。
本開示の重合体の形態としては、粉体であってもよいし、重合体を下記水性媒体に溶解させた重合体溶液であってもよい。
本開示に係る樹脂組成物中の重合体の含有量は、蓄電デバイス電極用スラリーへの配合性の観点から、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
[水性媒体]
本開示に係る樹脂組成物は、水性媒体をさらに含有することができる。水性媒体としては、イオン交換水等が挙げられる。本開示に係る樹脂組成物が水性媒体を含有する場合、本開示に係る樹脂組成物の形態としては、例えば、前記重合体が水性媒体に溶解した重合体溶液が挙げられる。重合体溶液としては、例えば、上述した溶液重合法で得られる重合体を含む混合液をそのまま使用できる。本開示に係る樹脂組成物中の水性媒体の含有量は、前記重合体及び後述するその他の任意成分の残余とすることができる。
[その他の任意成分]
本開示に係る樹脂組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、前記重合体及び水性媒体以外に任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、中和剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤が挙げられ、例えば、乳化剤として用いられうる界面活性剤であってもよい。本開示に係る樹脂組成物において、界面活性剤の含有量は、電池特性の観点から、樹脂組成物の全固形分量に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、実質的に0質量%がより更に好ましい。すなわち、本開示に係る樹脂組成物は、結着性及びイオン透過性と電池特性向上の観点から、界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。本開示において、樹脂組成物中の界面活性剤の含有量には、重合体の製造に使用される界面活性剤も含まれる。
[樹脂組成物の製造方法]
本開示に係る樹脂組成物は、前記重合体、並びに必要に応じて上述した水性媒体及び任意成分を公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、少なくとも重合体を配合する配合工程を含む、樹脂組成物の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう)に関する。前記配合は、例えば、スターラー、ディスパーサー、ホモミキサー等の公知の混合装置を用いて行うことができる。前記配合工程における各成分の配合量は、上述の樹脂組成物中の各成分の含有量と同様とすることができる。
本開示に係る製造方法は、構成単位Aの供給源であるモノマー(A)及び構成単位Bの供給源であるモノマー(B)を含むモノマー混合物を重合させて重合体を得る重合工程を含むことができる。本開示に係る製造方法の重合工程における、重合方法、重合に用いうる各成分の種類及びその使用量については、上述した重合体の製造と同様とすることができる。
本開示に係る樹脂組成物は、例えば、蓄電デバイス電極材料、蓄電デバイス電極用バインダー等として使用できる。蓄電デバイスとしては、例えば、二次電池、キャパシタ等が挙げられる。本開示に係る樹脂組成物は、例えば、リチウムイオン二次電池の材料に好適に用いられる。
[蓄電デバイス電極]
本開示は、集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極であって、前記合材層が、活物質、及び本開示に係る樹脂組成物の固形分、主として前記重合体を含む、蓄電デバイス電極(以下、「本開示に係る電極」ともいう)に関する。
前記合材層は、例えば、活物質、本開示に係る樹脂組成物、及び溶媒を含む蓄電デバイス電極用スラリーを調製し、この蓄電デバイス電極用スラリーを集電体に塗布し、蓄電デバイス電極用スラリー中の溶媒を乾燥除去することにより得られる。活物質としては、蓄電デバイスの種類等に応じて適宜選択できる。例えば、本開示に係る電極がリチウムイオン二次電池の負極である場合、活物質としては、炭素材料、珪素材料、チタン材料、スズ材料等が挙げられる。溶媒としては、本開示に係る樹脂組成物を分散できる溶媒であればよく、例えば、水、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。
集電体としては、導電性を有する材料から選ぶことができ、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等の金属箔が挙げられる。
[蓄電デバイス]
本開示は、本開示に係る電極、及び電解液を含む、蓄電デバイス(以下、「本開示に係る蓄電デバイス」ともいう)に関する。
本開示に係る蓄電デバイスは、公知の蓄電デバイス製造方法により製造できる。蓄電デバイスの製造方法としては、例えば、2つの電極(正極及び負極)を、セパレータを介して重ね合わせ、電池形状に捲回あるいは積層させて、電池容器あるいはラミネート容器に入れ、該容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。
電解液としては、通常、有機溶媒に電解質を溶解した溶液やイオン液体類が用いられる。
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられ、これらは単独、又は2種以上を併用してもよい。特に、酸化・還元に対する安定性から、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとの混合系電解液が好ましい。
電解質とは、有機溶媒に溶解して電気を伝導する働きを有するイオン性化合物を示す。電解質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiCF3CO2、LiCl、LiBr、LiSCN等のリチウム塩を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。中でもLiPF6を用いるのが好ましい。
イオン液体類としては、例えば、ビス(フルオロスルフォニル)アミド(FSA)、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)アミド(TFSA)のアルキル塩;N−メチルプロピルピロリジニウム(P13);ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウム(DEME);トリグライム(G3)等が挙げられる。
本開示は、さらに下記の組成物等に関する。
[1] 下記構成単位A、及び下記構成単位Bを含有する重合体を含む蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
構成単位A:少なくとも4つの水素結合を形成することが可能な構造を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
構成単位B:オキシアルキレン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
[2] 好ましくは、少なくとも4つの水素結合を形成することが可能な構造が、下記式(1)又は下記式(2)で表される構造である、前記[1]に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
A−C−A−C−D−C−D (1)
A−C−D−C−A−C−D (2)
ただし、前記式(1)又は前記式(2)において、Aは水素受容部分、Dは水素供与部分、Cは炭素原子を示す。C−D間の結合は単結合、C−A間の結合は二重結合又は単結合を表す。
[3] 前記式(1)又は(2)において、「C−A−C」は好ましくは「C=N−C」を表し、「C−A」は好ましくは「C=O」を表し、「D−C」は好ましくは「−NH−C」又は「HO−C」を表す、前記[2]に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[4] 前記式(1)において、A−C−A−Cのうちの2つのCは、ピリミジン骨格を構成する炭素原子であって一方の炭素原子は1対の窒素原子の間に在り、D−Cはいずれも、−NH−Cである、前記[2]又は[3]に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[5] 前記構成単位Aの含有量は、前記重合体中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[6] 前記オキシアルキレン基の炭素数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である、前記[1]から[5]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[7] 前記オキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である、前記[1]から[6]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[8] 前記構成単位Bは、単官能(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド付加物、及び単官能(メタ)アクリルアミドのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種の単官能モノマー由来の構成単位である、前記[1]から[7]のいずれかにに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[9] 前記オキシアルキレン基を有する不飽和単量体は、好ましくは、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)及びポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくはPEGMAである、前記[1]から[8]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[10] 前記構成単位Bの含有量は、前記重合体中、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である、前記[1]から[9]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[11] 構成単位Aと構成単位Bのモル比(A/B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上であり、そして、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、更に好ましくは50/50以下である、前記[1]から[10]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[12] 構成単位A及び構成単位Bの合計の含有量は、前記重合体中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、更により好まし実質的に100質量%、更により好ましくは100質量%である、前記[1]から[11]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[13] 前記重合体の数平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは1万5千以上、更に好ましくは2万以上であり、そして、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下、更に好ましくは150万以下、更により好ましくは100万以下である前記[1]から[12]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[14] 前記構成単位Aが、下記式(5)で表される不飽和単量体由来の構成単位である、前記[1]から[13]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
Figure 0006987632
前記式(5)中、R12、R13は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、
14は、水素又はメチル基であり、
11は、炭素数1以上12以下のアルキレン基又はR15−O−C(=O)−NH−R16で表される基であり、
15、R16は、それぞれ独立に、炭素数1以上12以下のアルキレン基である。
[15] 前記構成単位Aが、下記式(6)〜(11)のいずれかによって表される不飽和単量体由来の構成単位である、前記[14]に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
Figure 0006987632
Figure 0006987632
[16] 水性媒体をさらに含有し、
前記樹脂組成物の形態が、前記重合体が前記水性媒体に溶解した重合体溶液である、前記[1]から[15]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
[17] 集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極であって、
前記合材層が、負極活物質、導電材、及び前記[1]から[16]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物の固形分を含む、蓄電デバイス電極。
[18] 集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極の製造方法であって、
活物質、導電材、前記[1]から[16]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物、及び溶媒を含む蓄電デバイス電極用スラリーを、集電体に塗布し、塗布した蓄電デバイス電極用スラリー中の溶媒を乾燥除去して、前記合材層を形成する工程を含む、蓄電デバイス電極の製造方法。
[19] 集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極を含む蓄電デバイスの製造方法であって、
負極活物質、導電材、前記[1]から[16]のいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物、及び溶媒を含む蓄電デバイス電極用スラリーを、集電体に塗布し、塗布した蓄電デバイス電極用スラリー中の溶媒を乾燥除去して、前記合材層を形成する工程を含む、蓄電デバイスの製造方法。
以下、実施例により本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
1.樹脂組成物の調製
表1に示す重合体a〜c,及び樹脂組成物A〜Cの調製は下記のとおり行った。
[実施例1の樹脂組成物A]
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸イソシアナトエチル(東京化成工業(株))48.81g、メチルイソシトシン(東京化成工業(株))35.79g、ジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株))253.00gを仕込んだ。窒素雰囲気下で、160℃に昇温し、30分撹拌した。反応終了後、室温まで急冷すると、白色固体が析出した。これをメタノールで洗浄し、一晩減圧乾燥を行うことで、上記式(6)で表されるモノマーA(Upy−MA)を得た。
次に、還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、前記モノマーA(Upy−MA)を10.48g、PEGMA(新中村化学製:NKエステル−90G、オキシエチレン基の平均付加モル数:9)を26.58g、ジメチルスルホキシドを328.52gを仕込んだ。窒素雰囲気下で、65℃に昇温し、30分撹拌した。ジメチルスルホキシド 5.00gに溶解させたV−65B(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile、重合開始剤、和光純薬工業製) 0.022gを投入し、そのままの温度で6時間撹拌した。撹拌終了後、室温まで冷却した。2Lのジエチルエーテルに反応液を全量投入すると、重合体aとして、数平均分子量が11万のポリマーが析出した。これを水に溶解させ実施例1の樹脂組成物A(重合体溶液)を得た。重合体aの調製に用いた各成分の量及び種類を表1に示す。実施例1の樹脂組成物Aの各成分の含有量は、前記重合体aが10.0質量%、残余は水である。
[比較例1の樹脂組成物B]
モノマーAとして2-EHA(2エチルへキシルアクリレート、和光純薬工業製) 69g、モノマーBとしてAA(アクリル酸、和光純薬工業製) 3.75g、モノマーCとしてEGDMA(エチレングリコールジメタクリレート、和光純薬工業製) 2.25g、イオン交換水 183g、及び乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 1.5gを、内容量1Lのガラス製4つ口セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で一定時間(0.5時間)攪拌した。そして、フラスコ内の反応溶液を70℃付近まで昇温した後、イオン交換水 10gにKPS(過硫酸カリウム) 0.23gを溶解した重合開始剤溶液をフラスコ内に添加し、フラスコ内の反応溶液を60〜65℃付近で6時間保持することで重合・熟成し、重合体粒子分散体を得た。その後、フラスコ内の重合体粒子分散体を室温まで冷却し、10質量%アンモニア水を加えてpH6に調製した後、200メッシュ濾布を用いて凝集物を除去し、濃度が30〜35質量%程度になるまで濃縮し、比較例1の樹脂組成物B(粒子状の重合体bの分散液)を得た。粒子状の重合体bの調製に用いた各成分の量及び種類を表1に示す。比較例1の樹脂組成物Bの各成分の含有量は、粒子状の重合体bが27.9質量%、残余は実質的にイオン交換水である。
[比較例2の樹脂組成物C]
粒子状SBRの分散液(日本ゼオン製、BM−400B、モル比(St/BD=27/73)、固形分40質量%)を比較例2の樹脂組成物C(粒子状の重合体cの分散液)とした。分散媒は水である。
Figure 0006987632
2.重合体の物性について
重合体a〜cの数平均分子量、弾性率、弾性変化率、電解液に対する溶解度、ガラス転移温度(Tg)、平均粒径、及び電解液吸液量を下記のようにして求めた。そして、これらの各種パラメーターを表2に示す。
[数平均分子量]
重合体の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、下記条件で測定した。
<GPC測定条件>
カラム:α−M(昭和電工(株)製)2つを直列につないで使用
溶離液:50mM LiBr/DMF
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:5mg/mL、100μL
ポリスチレン換算
[弾性率及び弾性変化率]
樹脂組成物を平板上で乾燥して得られた皮膜状となったポリマー(以下、重合体皮膜) 1gを電解液 100gに浸し、常温(25℃)で72時間放置した。電解液には、EC/DEC混合溶媒(体積比1/1)を用いた。浸漬後の重合体皮膜を取出し、余分な電解液を拭き取った後、1cm角に裁断した。Anton Paar社製レオメーター「MCR302」を用い、測定温度25℃、治具PP08、ノーマルフォース1N、周波数2Hz、ひずみ0.01〜1000%の条件で測定し、角速度0.01(1/s)の貯蔵弾性率を弾性変化率算出に用いた。電解液浸漬前の重合体皮膜についても同様の条件で測定した。
弾性変化率(%)=浸漬後の皮膜の貯蔵弾性率/浸漬前の皮膜の貯蔵弾性率×100
[溶解度]
重合体の水系溶媒又は電解液への溶解度は、物質固有の既存の測定テーブルを用いて算出した。混合物の場合は配合割合により按分により算出した。水系溶媒としてイオン交換水(25℃)を用い、電解液には、EC/DEC混合溶媒(体積比1/1)、EC/DEC混合溶媒(体積比3/7)を用いた。
[ガラス転移温度(Tg)]
重合体のガラス転移温度(Tg)は、Fox式[T.G.Fox、Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、第3号、123ページ(1956)]に従って、重合体を構成する各々のモノマーの単独重合体のTgnより、下記式(I)から計算により求めることができる。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn) (I)
式(I)中、Tgnは、各モノマー成分の単独重合体の絶対温度で表したTgを示し、Wnは各モノマー成分の質量分率を示す。
または、重合体のガラス転移温度(Tg)は、以下の装置と測定条件によって測定できる。
高感度型示差走査熱量計DSC7020(エスエスアイアイ・ナノテクノロジー)
試料:重合体
測定温度:−50〜180℃
昇温速度:10℃/min
重合体a,cのTgは、高感度型示差走査熱量計を用いて測定し、重合体bのTgは、Fox式から算出して、各々、表2に示した。
[粒子状の重合体の平均粒径]
粒子状の重合体の平均粒径は、レーザー回折法の粒径測定器(堀場製作所製LA−920)を用いて、室温下、機器の所定の光量範囲になるまで分散媒(水)で希釈し、測定した。
[電解液吸液量]
樹脂組成物を乾燥して得られた重合体皮膜 1gを電解液 300gに浸し、常温(25℃)で72時間放置した。電解液を吸収した重合体皮膜をメンブランフィルターで濾別し、重量を測定し、下記式により吸液量を算出した。電解液には、EC/DEC混合溶媒(体積比1/1)を用いた。
吸液量(%)=[電解液を吸液した重合体皮膜の重量(g)−浸漬前の重合体皮膜の重量(g)]/浸漬前の重合体皮膜の重量(g)×100
3.イオン透過性の評価
[誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を用いた評価]
まず、リチウム(Li)塩を含まないEC/DEC混合溶媒(体積比1/1)Iと、過塩素酸リチウムをEC/DEC混合溶媒(体積比1/1)に溶解させたリチウム含有溶媒II(1mol/L:LiClO4)を準備した。次に、樹脂組成物を、テフロン(登録商標)シートを備えたトレイに、乾燥後の厚みが0.7mmになる量を流し込み、105℃で24時間乾燥を行うことで、重合体皮膜(厚さ:0.7mm)を作製した。そして、重合体皮膜の一方の面にEC/DEC混合溶媒Iを接触させ、他方の面にリチウム含有溶媒IIを接触させた状態で8時間振盪した。その後、EC/DEC混合溶媒I中のLiの有無を誘導結合プラズマ質量分析計ICP−MSで確認した。結果を表2に示す。Liが検出された場合、イオン透過性があると判断し、表2では「A」と表記し、Liが検出されなかった場合、イオン透過性は無いと判断し、表2では「B」と表記した。
Figure 0006987632
表2に示すように、重合体aを含む実施例1の樹脂組成物Aを用いた場合、重合体bを含む比較例1の樹脂組成物Bを用いた場合と比べて、弾性変化率が顕著に低減されていた。比較例1では、重合体皮膜の電解液の浸潤前後で顕著な差がないことが分かった。また、実施例1の樹脂組成物Aを用いて形成された重合体皮膜の浸潤前の弾性率は、比較例2の樹脂組成物Cを用いて形成された重合体皮膜の浸潤前のそれとほぼ等しいことから、重合体aを含む重合体皮膜は、重合体c(SBR)を含む重合体皮膜と同等のゴム弾性を呈することが確認できた。また、実施例1の樹脂組成物Aを用いて形成された重合体皮膜の弾性変化率が顕著に小さいことから、電解液における皮膜の安定性がよく、重合体aは、電解液中において、バインダーとして良好な結着性を確保できるものと推察される。
[交流インピーダンス法による評価]
<測定用電極の作製>
蓄電デバイス電極用スラリー中の固形分に含まれる重合体の含有量が2質量%となるように、表3に示した割合で、樹脂組成物、負極活物質、負極導電助材、負極増粘剤、水を混合した。得られた、実施例1、比較例1〜2の蓄電デバイス電極用スラリーの組成は、具体的には、負極活物質としてグラファイト(日立化成社製、「SMG」) 94.8質量部、負極導電助材としてアセチレンブラック(デンカ社製、「HS−100」) 1.7質量部、負極増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業製) 1.5質量部、重合体 2質量部、水 122質量部である。当該蓄電デバイス電極用スラリーを、厚さ20μmの銅箔上に、塗布し、乾燥、プレスして27μm厚の負極活物質層(合材層)を形成した後、18mmφの大きさに打ち抜いて測定用電極とした。蓄電デバイス電極用スラリーの固形分濃度は、105℃で24時間乾燥し重量減量を測定することにより算出した。蓄電デバイス電極用スラリーの粘度は、B型粘度計(温度25℃、回転速度6rpm、ローターNo.3)を用いて測定した。
<測定用セルの組み立て>
3極式セル(東陽テクニカ製「TSB−1」)の作用極に上記測定用電極をセットし、参照極および補助極には金属Liをセットした。そして、非水電解液として濃度1MのLiPF6溶液[溶媒:EC/EMC混合溶媒(体積比3/7)、キシダ化学社製]を注入し、測定セルとした。
<交流インピーダンスの測定>
ソーラトロン社製のポテンショ・ガルバノスタット「SI 1287」を用いて、25℃で上記参照極に対して、電圧が0.1Vになるまで定電流(0.45mA)で充電した。その後、−10℃までセルを冷却したのち、ソーラトロン社製のインピーダンスゲインアナライザー(FRA)「1260A」を用いて、交流インピーダンス法(10mV、周波数0.05Hz〜100KHz)の測定を行った。得られたコールコールプロットの円弧幅より抵抗値を算出した。測定結果を表3に示す。抵抗値が小さいほど、合材層におけるイオン透過性が良好であると判断でき、電池の内部抵抗が抑制され、入出力特性や電池容量の向上が可能となるものと考えられる。
Figure 0006987632
3.電極の作製及び評価
[負極の作製]
表4に示す組成の、実施例2及び比較例3の蓄電デバイス電極用スラリーを調製し、各蓄電デバイス電極用スラリーを用いて負極を以下のようにして作製した。蓄電デバイス電極用スラリーに用いた材料は以下の通りである。
樹脂組成物:樹脂組成物A又は樹脂組成物C
負極活物質:グラファイト、昭和電工製、「AF−C」
負極導電材:カーボンファイバー、昭和電工製、「VGCF−H」
負極増粘剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ダイセル製、「#2200」
まず、負極活物質 288g、負極導電材 3g及び負極増粘剤 3gを混合した後、最終固形分濃度が50〜55質量%となるのに必要な量の蒸留水を徐々に加えてディスパーを用いて混練した。そして、混練物に樹脂組成物をポリマー固形分として6gを加え、さらにディスパーで混練を行った。その後、撹拌脱泡機(シンキー製「あわとり練太郎」)で脱泡を行い、150メッシュ濾布で粗大粒子を除去し、実施例2及び比較例3の蓄電デバイス電極用スラリーを得た。ここで、蓄電デバイス電極用スラリーの固形分濃度(質量%)とは、蓄電デバイス電極用スラリーが含有する、負極活物質、負極導電材、負極増粘剤及び樹脂組成物の各固形分の合計量(質量%)である。蓄電デバイス電極用スラリーおよび樹脂組成物の固形分濃度は、105℃で24時間乾燥し重量減量を測定することにより算出した。蓄電デバイス電極用スラリーの粘度は、B型粘度計(温度25℃、回転速度6rpm、ローターNo.3)を用いて測定した。
次に、実施例2及び比較例3の蓄電デバイス電極用スラリーをそれぞれ、集電体である銅箔上に乾燥後80g/m2となるように厚さを調節してバーコーターで塗工した。塗膜は、送風乾燥器を用いて80℃で5分乾燥し、さらに150℃で10分乾燥した。その後、ロールプレスにより電極密度を1.3〜1.4g/cm3に調整し、ドライルームにて1晩以上放置し、負極合材層を有する負極を作製した。
[負極の結着性の評価]
負極を45mm×45mmに打ち抜き、角と角を合わせて三角形に谷折りにしたのち、指で折り目を付け、再度開いた際に塗膜(負極合材層)の剥がれのないものをA、剥がれが見られるものをBとした。結果を表4に示した。
Figure 0006987632
リチウムイオン透過量及びリチウムイオン保持量に優れる、重合体aを含む実施例2の樹脂組成物Aを用いた負極は、表4に示すように、結着性が良好であった。
以上説明したとおり、優れたイオン透過性を有し結着性が良好な合材層を形成可能な本開示の樹脂組成物は、リチウムイオン電池を始め、リチウムイオンキャパシタやその他の蓄電デバイスの、電池容量や入出力特性が向上において有用である。

Claims (7)

  1. 下記構成単位A、及び下記構成単位Bを含有する重合体を含む蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
    構成単位A:下記式(5)で表される不飽和単量体由来の構成単位
    構成単位B:オキシアルキレン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位
    Figure 0006987632
    式中、R 12 、R 13 は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、
    14 は、水素又はメチル基であり、
    11 は、炭素数1以上12以下のアルキレン基又はR 15 −O−C(=O)−NH−R 16 で表される基であり、
    15 、R 16 は、それぞれ独立に、炭素数1以上12以下のアルキレン基である。
  2. 構成単位Aと構成単位Bのモル比(A/B)が、5/95以上70/30以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
  3. 前記重合体における前記構成単位Aの含有量が、10質量%以上45質量%以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
  4. 前記重合体の数平均分子量が、1万以上300万以下である、請求項1からのいずれかの項に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
  5. 水性媒体をさらに含有し、
    前記樹脂組成物の形態が、前記重合体が前記水性媒体に溶解した重合体溶液である、請求項1からのいずれかに記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物。
  6. 集電体、及び前記集電体上に形成された合材層を含む蓄電デバイス電極であって、
    前記合材層が、活物質、及び請求項1からのいずれかの項に記載の蓄電デバイス電極用樹脂組成物の固形分を含む、蓄電デバイス電極。
  7. 請求項に記載の蓄電デバイス電極を含む蓄電デバイス。
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