JP6987560B2 - 架橋パイプ用ポリエチレン組成物、前記組成物の製造方法、及び架橋パイプ - Google Patents

架橋パイプ用ポリエチレン組成物、前記組成物の製造方法、及び架橋パイプ Download PDF

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本発明は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物、前記組成物の製造方法、及び架橋パイプに関する。
従来から、住宅用に給水パイプとして塩化ビニルパイプが、又は給湯パイプとして銅パイプが主に使用されてきている。しかし、塩化ビニルパイプや銅パイプは、耐久年数が短いという問題があり、特に銅パイプは、錆による青水、赤水等の着色水や漏水が発生するという問題がある。また、銅パイプは、施工性が悪いという欠点も有している。このため、近年では、架橋ポリエチレンパイプが使用されつつある。架橋ポリエチレンパイプは、高温でのクリープ特性が高く、耐久年数が長く、かつ施工性が良好であるという点で、塩化ビニルパイプや銅パイプと比べて優れている。このため、架橋ポリエチレンパイプは、給水用、給湯用、及び暖房用のパイプとして有望である。
架橋ポリエチレンパイプを製造する代表的な方法の一つとして、ポリエチレンにジクミルパーオキサイドのような有機過酸化物を配合してなる樹脂組成物を、該有機過酸化物の分解温度以上で加熱しながら、パイプ状に押し出し成形する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、上記有機過酸化物が熱分解して有機ラジカルになり、この有機ラジカルの作用で上記ポリエチレンがラジカルになり、そのラジカルを介してポリエチレンの架橋が進行する。
また、架橋ポリエチレンパイプを製造する代表的な方法の他の一つとして、ポリエチレンにビニルトリエトキシシラン等のシラン化合物、有機過酸化物及びシラノール縮合触媒とを配合し、得られた組成物を加熱しながらパイプ状に押し出し成形した後、水分を含む環境に晒して架橋を進めるという方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上述した架橋ポリエチレンパイプの製造方法では、押出機内で架橋反応が一部進行するため、加工条件幅が狭く、極めて高度な技術が必要になる。また、使用できる原料ポリエチレンの分子量等が限定されるため、原料ポリエチレンを高分子量化することによる強度や耐久性の向上が極めて困難な状況にあった。
このような架橋パイプ用ポリエチレン樹脂組成物の高機能化及び成形加工性向上の課題に対して、種々の検討がなれさている。
例えば、特許文献3では線状系ポリエチレンと分岐状高圧法低密度系ポリエチレンとをブレンドすることによって、押出し加工性がよく、柔軟で、耐久安定性に優れた押出し成型向けポリエチレン樹脂組成物及びその組成物からなる架橋パイプが開示されている。
また、特許文献4では、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとをブレンドすることによって、押出加工性に優れ、柔軟性、高温での機械的特性、架橋特性、機械的強度及び生産性に優れた柔軟性シラン架橋ポリオレフィンになることが開示されている。
特公昭45−35658号公報 特開昭57−170913号公報 特許第5289729号公報 特開2001−64473号公報
しかしながら、特許文献3に開示される線状系ポリエチレンと分岐状高圧法低密度系ポリエチレンとからなる組成物から得られる架橋体では、柔軟性が付与できるものの、耐久性、特に高温でのクリープ耐性は低下する傾向にある。また、分岐状高圧法低密度系ポリエチレンは混練時の架橋反応によって溶融粘度が極端に高くなる傾向が有り、成形加工性が低下し、外観も悪くなる。
一方、特許文献4に開示される直鎖状低密度ポリエチレンでは、架橋による溶融粘度の上昇は抑制されるが、高温時のクリープ耐性は低下する。また、パイプに温水を通水する時に、密度の低い未架橋部分が溶出することで、臭気が発生する。さらには、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとは密度差が大きく、混練によって完全に双方を相溶させることが困難であるため、架橋体における、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性が大きく低下する傾向にある。
このように、2種のポリエチレンを混合して得られる樹脂組成物により高機能化することはできるが、本来付与すべき性能も悪化するため、満足できるものでは無い。
そこで、本発明では、成形加工性に優れ、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性に優れる架橋パイプを作製できる、架橋パイプ用ポリエチレン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、所定範囲の密度、分子量分布、及びポリエチレン中のAl含有量を有し、且つクロス分別クロマトグラフィー(以下、「CFC」という。)で低温側と高温側に所定量の溶出成分を有するポリエチレン組成物が、成形加工性に優れ、当該組成物より作製される架橋パイプは、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性に優れることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
密度が、935kg/m3以上955kg/m3以下であり、
分子量分布Mw/Mnが、4以上15以下であり、
含有Al量が、1質量ppm以上10質量ppm以下であり、
クロス分別クロマトグラフィーにより測定した、90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上30質量%以下であり、100℃以上の積分溶出量が、全溶出量の2質量%以上20質量%以下である、
架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[2]
メルトフローレートが、1.0以上10.0g/10分以下のポリエチレン(A)60質量%以上95質量%以下と、
粘度平均分子量Mvが、20×104以上200×104未満のポリエチレン(B)5質量%以上40質量%以下と、
からなる、[1]に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[3]
α−オレフィン含有量が、0.05mol%以上1.0mol%未満である、[1]又は[2]に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[4]
換算分子量103以下の成分の占有率が、全体の0.3質量%未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[5]
換算分子量106以上の成分の占有率が、全体の0.1質量%以上10.0質量%未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[6]
塩素含有量が、前記架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、5.0質量ppm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[7]
架橋パイプ用ポリエチレン組成物からなる成形体の−25℃でのシャルピー衝撃強さが10kJ/m2以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[8]
ポリエチレン(A)が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、分子量分布Mw/Mnが、3.0以上6.0以下である、[2]〜[7]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[9]
ポリエチレン(B)が、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、分子量分布Mw/Mnが、5以上15以下である、[2]〜[8]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[10]
ポリエチレン(B)のパウダー嵩密度が、0.40g/cm3以上0.55g/cm3以下である、[2]〜[9]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[11]
ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、及び、周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製された幾何拘束型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒成分[B]とを用いて重合した重合物である、[2]〜[10]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
[12]
メルトフローレートが、1.0以上10.0g/10分以下のポリエチレン(A)のペレットと、粘度平均分子量Mvが、20×104以上200×104未満のポリエチレン(B)のパウダーと、を溶融混練して造粒することを含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の製造方法。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部、有機過酸化物0.005〜5質量部、有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部、を含む組成物を、シラノール縮合触媒により架橋させ、作製された架橋パイプ。
[14]
給水用架橋パイプ、給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプから選ばれる、[13]に記載の架橋パイプ。
本発明のパイプ用ポリエチレン組成物は、成形加工性に優れ、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性に優れるパイプを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の密度は、935kg/m3以上955kg/m3以下であり、好ましくは937kg/m3以上953kg/m3以下であり、より好ましくは940kg/m3以上950kg/m3以下である。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の密度が935kg/m3以上であることにより、剛性が高く、クリープ特性に優れる架橋パイプが得られる。また、架橋パイプ用ポリエチレン組成物の密度が955kg/m3以下であることにより、柔軟性に優れ、機械強度が高く、施工が容易な架橋パイプが得られる。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の密度は、特に限定されないが、例えば、主にポリエチレン中のコモノマー種及びコモノマー含有量によって調整することができる。
尚、密度は、JIS K7112に準拠して測定されるものであり、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mw、即ち分子量分布Mw/Mnは、4以上15以下であり、好ましくは4以上14以下であり、より好ましくは5以上13以下である。
分子量分布Mw/Mnが4以上であることにより、成形加工性が向上し、表面が平滑なパイプが得られる。また、分子量分布Mw/Mnが15以下であることにより、低分子量成分の発生を抑制することが可能で臭気を抑制することができる。また、成形時の目やにの発生が抑制され平滑性の高いパイプが得られる傾向にある。
分子量分布Mw/Mnは、特に限定されないが、例えば、後述するポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の各々の分子量分布Mw/Mnと、組成比を調整すること等の方法により制御することができる。
分子量分布Mw/Mnは、GPCで求めることができる。より具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物のAl含有量は、該架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、1質量ppm以上10質量ppm以下であり、好ましくは2質量ppm以上9ppm質量ppm以下であり、より好ましくは3質量ppm以上8質量ppm以下である。
Al含有量が1質量ppm以上であることにより、塩素耐性が向上する傾向にある。また、Al含有量が10質量ppm以下であることにより、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の混練時のポリエチレンの熱劣化が抑制され、低温時の衝撃強度、及びクリープ耐性が向上する傾向にある。さらに、有機過酸化物や有機不飽和シラン化合物(架橋剤)との副反応も抑制されて、架橋反応が均一に起こるため、機械強度が高くなる傾向にある。
Al含有量を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する高活性であってAlの少ない助触媒を使用する方法、塩素含有量が少ない触媒を使用する方法、及び単位触媒あたりのポリエチレンの生産性を高くする方法、及び、触媒の失活を、遠心分離法によって溶媒を可能な限り分離した後に実施する方法等が挙げられる。
Alの含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物のCFCで測定した90℃未満の積分溶出量は、全溶出量の10質量%以上30質量%以下であり、好ましくは12質量%以上28質量%以下であり、より好ましくは14質量%以上26質量%以下である。
また、本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物のCFCで測定した100℃以上の積分溶出量は、全溶出量の2質量%以上20質量%以下であり、好ましくは4質量%以上18質量%以下であり、より好ましくは6質量%以上16質量%以下である。
90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上30質量%以下であることにより、架橋パイプの弾性率が向上して、特に低温時の耐衝撃性が向上する傾向にある。また、加工が容易で、柔軟性も高くなる。また、100℃以上の積分溶出量が、全溶出量の2質量%以上20質量%以下であることによって、高温時の耐クリープ性が極めて高い架橋パイプになる傾向がある。90℃未満の積分溶出量と100℃以上の積分溶出量が共に上記の範囲であることによって、従来困難であった、低温時の衝撃強度と高温時の耐クリープ性の両方を満足する架橋パイプを得られる傾向にある。また、架橋パイプの肉厚を薄くすることが可能となり、経済的にも好ましい。
CFCで測定した90℃未満の積分溶出量を、全溶出量の10質量%以上30質量%以下とし、且つ、100℃以上の積分溶出量を、全溶出量の2質量%以上20質量%以下に調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、架橋パイプ用ポリエチレン組成物をポリエチレン(A)とポリエチレン(B)からなる組成物とすること、ポリエチレン(A)のペレットとポリエチレン(B)のパウダーを窒素下で溶融混練して組成物を作製すること、押出機の有効長(L/D(Lは、重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)を表し、Dは、重合反応機の内径(m)を表す)を50以上とし、樹脂温度210℃以下で組成物を作製すること、換算分子量106以上の成分の占有率を全体の0.1質量%以上10.0質量%未満とすること、含有Al量を10ppm以下にすること等が挙げられる。
分子量差の大きいポリエチレン(A)とポリエチレン(B)とを混練して均一な組成物を作製するためには、通常、高い温度で押出機により混練される。その際、ポリエチレンが熱分解することでオリゴマーが生成し、90℃未満の積分溶出量が増加する。また架橋することで超高分子量体が生成し、100℃以上の積分溶出量が増加するが、上述の方法によって、低温側と高温側の積分溶出量を所定の範囲に調整することができる。
ここで、「クロス分別クロマトグラフィー(CFC)」とは、結晶性分別を行う温度上昇溶出分別部(以下、「TREF部」ともいう。)と分子量分別を行うGPC部とを組み合わせた装置であって、TREF部とGPC部とを直接接続することにより組成分布と分子量分布の相互関係の解析を行うことが可能な装置である。なお、TREF部での測定を、CFCでの測定と記す場合がある。
TREF部による測定は、「Journal of Applied Polymer Science,Vol 26,4217−4231(1981)」に記載されている原理に基づき、以下のようにして行われる。測定の対象とするポリエチレンをオルトジクロロベンゼン中で完全に溶解させる。その後、一定の温度で冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。このとき結晶性の高い成分が最初に結晶化され、続いて、温度の低下に伴って結晶性の低い成分が結晶化される。次に温度を段階的に上昇させると、結晶性の低い成分から高い成分へと順に溶出し、所定の温度での溶出成分の濃度を検出することができる。
ポリエチレンの各温度での溶出量、及び溶出積分量は、TREF部により、溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定することで求めることができる。カラムの温度プロファイルは、まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、ポリエチレンをオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液(例えば、濃度:16mg/8mL)を導入して120分間保持する。
次に、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させる。その後、カラムの温度を、昇温速度20℃/分で順次昇温する。40℃から80℃までは10℃間隔で昇温し、80℃から85℃までは5℃間隔で昇温し、85℃から90℃までは3℃間隔で昇温し、90℃から100℃までは1℃間隔で昇温し、100℃から120℃までは10℃間隔で昇温する。なお、各温度で20分間保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(ポリエチレン)の濃度を検出する。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量が得られる。
クロス分別クロマトグラフィーによる積分溶出量の測定は、より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量103以下の成分の占有率は、好ましくは全体の0.3質量%未満であり、より好ましくは全体の0.2質量%未満であり、さらに好ましくは全体の0.1質量%未満である。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量103以下の成分の占有率が0.3質量%未満であることにより、成形時の目やに等の発生が抑制される。さらに、低温時の耐衝撃性が向上する傾向にある。また、高温時のクリープ特性が向上し、通水時の臭気も低減させることができる。
換算分子量103以下の成分の占有率を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述するポリエチレン(A)を副反応や低分子量成分の生成を抑制できる触媒、例えば、メタロセン触媒等を使用して合成すること、単位触媒あたりのポリエチレンの生産性を高くすること、触媒の失活を、遠心分離法によって溶媒を可能な限り分離した後に実施すること、及び、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)を上述した方法で混練すること等の方法が挙げられる。
換算分子量103以下の成分の占有率は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量106以上の成分の占有率は、好ましくは全体の0.1質量%以上10.0質量%未満であり、より好ましくは全体の0.2質量%以上9.0質量%未満であり、さらに好ましくは全体の0.3質量%以上8.0質量%未満である。
ポリエチレン組成物の換算分子量106以上の成分の占有率が0.1質量%以上であることにより、機械強度、及びクリープ耐性が向上する傾向にある。また、架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量106以上の成分の占有率が10.0質量%未満であることにより、溶融粘度が小さくなり成形加工性が向上する傾向にあり、外観に優れたパイプとなる。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量106以上の成分の占有率を全体の0.1質量%以上10.0質量%未満に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(B)の分子量や分子量分布を所定の範囲に制御すること、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の混合量比を所定の範囲に制御すること、及び、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)を上述した方法で混練すること等の方法が挙げられる。
換算分子量106以上の成分の占有率は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の塩素含有量は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、好ましくは5.0質量ppm以下であり、より好ましくは3.0質量ppm以下であり、さらに好ましくは1.0質量ppm以下である。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の塩素含有量が5.0質量ppm以下であることにより、成形機等の腐食を抑制でき、ポリマーに含有される金属成分量を低減することができ、塩素及び塩酸に影響を受けやすい金属パイプ等の被覆材として使用した場合であっても、被保護材の錆等を抑制することができる傾向にある。さらに、塩素及び塩酸と有機過酸化物や有機不飽和シラン化合物(架橋剤)との反応が抑制される傾向にあるので、使用する架橋剤量を低減することができ、架橋反応が安定することによって機械強度やクリープ耐性が向上する傾向にある。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の塩素含有量は、特に限定されないが、塩素含有量が少ない触媒成分を使用することにより制御することができる。塩素含有量が少ない触媒成分としては、具体的には、触媒成分中の塩素含有量が好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは20質量ppm以下であり、さらに好ましくは5質量ppm以下であり、より少ないほど好ましい。
また、架橋パイプ用ポリエチレン組成物の塩素含有量は、単位触媒あたりのポリエチレンの生産性により制御することも可能である。ポリエチレンの生産性は、製造する際の反応器の重合温度や重合圧力やスラリー濃度により制御することが可能である。つまり、本実施形態で用いるポリエチレンの生産性を高くするには、重合温度を高くすること、重合圧力を高くすること、及びスラリー濃度を高くすることが挙げられる。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物の塩素含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物からなる成形体の−25℃でのシャルピー衝撃強さは、好ましくは10kJ/m2以上であり、より好ましくは15kJ/m2以上であり、さらに好ましくは20kJ/m2以上である。架橋パイプ用ポリエチレン組成物からなる成形体とは、架橋パイプ用ポリエチレン組成物から作製された成形体を指す。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、一般的に溶融粘度が小さくなるように低分子量のポリエチレンが使用されるため、衝撃強度、特に低温での衝撃強度には限界があった。そのため、例えば、埋設されるロードヒーティング用架橋パイプ等では、埋設時の石材等の衝撃でパイプが破損したり、キズや変形した箇所から特に冬場の凍結により漏水したりする等の問題があった。
−25℃でのシャルピー衝撃強さが10kJ/m2以上であることにより、架橋パイプ表面にキズや凹みのある状態であっても高い機械強度と、クリープ耐性を保持することが可能で、そのため薄肉にすることもできるため経済的にも有益である。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物からなる成形体の−25℃でのシャルピー衝撃強さを制御する方法としては、特に限定されないが、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の組成比、ポリマーの密度、分子量分布Mw/Mnを調整すること等により制御することができる。また、低分子量側のポリエチレン(A)のペレットと、高分子量側のポリエチレン(B)のパウダーとを混練し、得られたペレットを再混練することによって−25℃でのシャルピー衝撃強さを向上させることもできる。
一般的にポリエチレン同士であっても、分子量差が大きい、または一方が20×104を超える分子量である場合、通常の押出機では均一に二つのポリエチレンを混合することは困難である。不均一に混ざり合ったポリエチレン組成物の場合、例え高分子体であっても界面から破断するため、その強度は小さくなる。一方で、上述した方法で均一な架橋パイプ用ポリエチレン組成物とすることで、従来困難であった−25℃でのシャルピー衝撃強さを向上させることができる。
尚、シャルピー衝撃強度は、JIS K6922−2(1997)に準拠して試験片を作製し、JIS K7111(1996)に準じて測定することができる。シャルピー衝撃強度は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態におけるポリエチレン(A)は、特に限定されないが、エチレンと、α−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。また、ポリエチレン(A)は、他のコモノマーが共重合体の構成単位として含んでいてもよく、他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン、及びビニル化合物等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例として、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、及び1−テトラデセン等が挙げられる。α−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。α−オレフィンは、架橋剤である有機不飽和シラン化合物が反応しやすい3級炭素が多くなる観点から、プロピレン、及び1−ブテンが好ましい。
ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体が挙げられる。また、必要に応じて、他のコモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。上記共重合体は3元ランダム重合体であってもよい。他のコモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレン(A)は、架橋性の観点から、耐熱特性が低下しない範囲でコモノマーを挿入することが好ましい。具体的には、コモノマー量を0.3mol%以上1.0mol%未満にすることが好ましい。尚、各成分のコモノマー量は、13C−NMRスペクトル測定にて求めることができる。
ポリエチレン(A)の分子量分布Mw/Mnは、好ましくは3.0以上6.0以下であり、より好ましくは3.5以上5.8以下であり、さらに好ましくは4.0以上5.5以下である。
ポリエチレン(A)の分子量分布Mw/Mnが3.0以上であれば、ポリエチレン(B)との相溶性が向上し、均一な架橋パイプ用ポリエチレン組成物を得ることができる。また、ポリエチレン(A)の分子量分布Mw/Mnが6.0以下であれば、架橋パイプ用ポリエチレン組成物の換算分子量103以下の成分の占有率が0.3質量%未満になる傾向にあり、成形時の目やに等の発生が抑制されて、機械強度が向上する。
ポリエチレン(A)の分子量分布Mw/Mnを3.0以上6.0以下に制御する方法としては、副反応や低分子量成分の生成を抑制できる触媒、例えば、メタロセン触媒等を使用して合成すること等が挙げられる。
本実施形態におけるポリエチレン(B)は、特に限定されないが、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。また、ポリエチレン(B)におけるエチレンとα−オレフィンとの共重合体は、他のコモノマーが共重合体の構成単位として含んでいてもよく、他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン、及びビニル化合物が挙げられる。
α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、炭素数3〜20のαオレフィンの具体例として、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、及び1−テトラデセンが挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、架橋剤である有機不飽和シラン化合物が反応しやすい3級炭素が多くなる観点から、プロピレン、及び1−ブテンが好ましい。
ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体が挙げられる。また、必要に応じて、他のコモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。上記共重合体は3元ランダム重合体であってもよい。他のコモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ポリエチレン(B)は、架橋性の観点から、耐熱特性が低下しない範囲でコモノマーを挿入しても良い。尚、各成分のコモノマー量は13C−NMRスペクトル測定にて求めることができる。
ポリエチレン(B)の分子量分布Mw/Mnは、好ましくは5以上15以下であり、より好ましくは6以上14以下であり、さらに好ましくは7以上13以下である。
ポリエチレン(B)の分子量分布Mw/Mnが5以上であることにより、ポリエチレン(A)との相溶性が向上し、均一な架橋パイプ用ポリエチレン組成物を得ることができる。また、分子量分布Mw/Mnが15以下であることにより、換算分子量106以上の成分の占有率を10質量%未満にすることが可能で、溶融粘度が小さくなり成形加工性が向上し、外観に優れたパイプとなる。
ポリエチレン(B)のパウダーの嵩密度は、好ましくは0.40以上0.55g/cm3以下であり、より好ましくは0.46以上0.53g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.47以上0.51g/cm3以下である。パウダーの嵩密度が0.40以上であることにより、ポリエチレン(A)とのブレンド時にパウダーが偏在することなく、均一な状態で押出機に投入することができる。また、パウダーの嵩密度が0.55g/cm3以下であることにより、混練時のポリエチレン(A)への分散性が向上し、均一な架橋パイプ用ポリエチレン組成物を得ることができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、好ましくは、メルトフローレートが1.0以上10.0g/10分以下のポリエチレン(A)60質量%以上95質量%以下と、粘度平均分子量Mvが20×104以上200×104未満のポリエチレン(B)5質量%以上40質量%以下とからなり、より好ましくは、ポリエチレン(A)63質量%以上92質量%以下、ポリエチレン(B)8質量%以上37質量%以下であり、さらに好ましくは、ポリエチレン(A)65質量%以上90質量%以下、ポリエチレン(B)10質量%以上35質量%以下である。
ポリエチレン(A)が60質量%以上であることにより、加工性に優れ、架橋パイプの弾性率が向上して、特に低温時の耐衝撃性を向上させることができる。また、ポリエチレン(B)が5質量%以上であることにより、高温時の耐クリープ性が極めて高い架橋パイプになる傾向がある。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、α−オレフィン含有量が、0.05mol%以上1.0mol%未満であることが好ましく、0.1mol%以上0.7mol%未満であることがより好ましく、0.2mol%以上0.6mol%未満であることがさらに好ましい。
α−オレフィン含有量が0.05mol%以上であることにより、加工性に優れ、低温時の耐衝撃性が向上する傾向にある。また、α−オレフィン含有量が1.0mol%未満であることにより、高温時の耐クリープ性が向上する傾向にある。
α−オレフィン含有量を0.05mol%以上1.0mol%未満に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の混合量比を所定の範囲に制御すること等の方法が挙げられる。
α−オレフィン含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
〔ポリエチレンの製造方法〕
本実施形態におけるポリエチレン(A)の製造方法は、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物(以下、単に「ボレート化合物」ともいう。)、シクロペンタジエン化合物、及び周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製された幾何拘束型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒[B]との存在下で重合し、ポリエチレン(A)を得る重合工程を有することが好ましい。
すなわち、本実施形態におけるポリエチレン(A)は、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、及び、周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製された幾何拘束型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒成分[B]とを用いて重合した重合物であることが好ましい。
幾何拘束型メタロセン触媒[A]は、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、及び周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製して得ることができる。
担体物質の平均粒子径は、好ましくは1.0μm以上30μm以下、より好ましくは2.0μm以上20μm以下、さらに好ましくは3.0μm以上10μm以下である。平均粒径が1.0μm以上であることにより、得られる重合体粒子の飛散や付着を抑制できる傾向にある。また、平均粒径が30μm以下であることにより、重合体粒子が大きくなりすぎて生じる重合系内での沈降や、重合体粒子の後処理工程でのラインの閉塞を抑制することができる傾向にある。担体物質の粒径分布は、可能な限り狭い方が好ましく、粒径分布は、篩や遠心分離、サイクロンによって、微粉粒子と粗粉粒子を除去することで調整することができる。
担体物質の圧縮強度は、好ましくは1.0MPa以上10MPa未満、より好ましくは2.0MPa以上8.0MPa未満、さらに好ましくは3.0MPa以上6.0MPa未満である。圧縮強度が1.0MPa以上であることにより、触媒合成やフィードする際に破砕されて小さくなり、得られる重合体粒子の飛散や付着といった問題が生じることを抑制できる傾向にある。圧縮強度が10MPa未満であることにより、担体物質が重合中に破砕されずに、ポリエチレン中に残存する確率が高くなり、パイプ内面の平滑性が阻害される問題を抑制できる傾向にある。
また、得られた幾何拘束型メタロセン触媒[A]は、担体に担持されていない有機アルミニウム化合物、ボレート化合物等を除去することを目的に、不活性溶媒を用いでデカンテーション、濾過等の方法により洗浄することもできる。本実施形態で使用されるポリエチレンを製造する場合には、副反応によって生成する低分子量成分を低減するために、デカンテーション及び/又は濾過を3回以上実施することが好ましい。
液体助触媒は、液状の助触媒であり、幾何拘束型メタロセン触媒[A]の活性を増大させる物質である。液体助触媒としては、特に限定されないが、例えば、有機マグネシウム化合物及びメチルヒドロポリシロキサンから調製することができる。
ポリエチレン(B)の製造方法に使用される触媒は、チーグラー・ナッタ触媒が好ましい。チーグラー・ナッタ触媒を用いることにより、分子量分布Mw/Mnを、好ましい範囲である、5以上15以下に調整することが可能となる。
重合工程における重合法は、特に限定されないが、例えば、スラリー重合法、気相重合法、及び溶液重合法が挙げられ、これらの重合法により、エチレン、又はエチレンを含む単量体を重合又は共重合させることができる。この中でも、重合熱を効率的に除熱できるスラリー重合法が好ましい。スラリー重合法においては、重合媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、オレフィン自身を重合媒体として用いることもできる。
不活性炭化水素媒体としては、特に限定されないが、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。
重合工程において、上述した不活性炭化水素媒体の中でも、炭素数が6以上10以下の重合媒体を用いることがより好ましい。重合媒体の炭素数が6以上であることにより、架橋剤と反応して耐圧性、耐久性を低下させる低分子量成分が比較的溶解しやすく、ポリエチレンと重合媒体を分離する工程で除去されやすい傾向にある。重合媒体の炭素数が10以下であることにより、ポリエチレン中に残存する低分子量成分(媒体)が少なくなり、反応槽へのポリエチレンパウダーの付着等が抑制されて、工業的に安定的な運転が行える傾向にある。
重合工程における重合温度は、30℃以上100℃以下が好ましく、35℃以上95℃以下がより好ましく、40℃以上90℃以下がさらに好ましい。重合温度が30℃以上であれば、工業的に効率的な製造が可能となる傾向にある。一方、重合温度が100℃以下であれば、連続的に安定運転が可能となる傾向にある。
重合工程における重合圧力は、常圧以上2.0MPa以下が好ましく、より好ましくは0.05MPa以上1.5MPa以下、さらに好ましくは0.1MPa以上1.0MPa以下である。
重合工程における重合は、回分式、半連続式、及び連続式のいずれの方法においても行なうことができ、連続式で重合することが好ましい。連続式は、エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したポリエチレンと共に連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合系内がより安定化する。系内が均一な状態でエチレンが反応すると、ポリマー鎖中に分岐や二重結合等が生成されることを抑制することができる。これにより、架橋効率の高いポリエチレンが得られやすくなる。
ポリエチレン(A)、及びポリエチレン(B)の分子量は、特に限定されないが、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、重合系に水素を存在させること、重合温度を変化させること等によって調節することができる。また、重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、分子量を適切な範囲で制御することも可能である。重合系内に水素を添加する場合、水素のモル分率は、0mol%以上30mol%以下であることが好ましく、3mol%以上25mol%以下であることがより好ましく、5mol%以上20mol%以下であることがさらに好ましい。
触媒を失活させる薬剤としては、特に限定されないが、例えば、酸素、水、アルコール類、グリコール類、フェノール類、一酸化炭素、二酸化炭素、エーテル類、カルボニル化合物、及びアルキン類が挙げられる。また、触媒を失活させる方法は、上記失活させる薬剤以外にも、温度や湿度等によるものであってもよい。
ポリエチレン(A)、及びポリエチレン(B)の製造方法における溶媒分離方法は、デカンテーション法、遠心分離法、フィルター濾過法等によって行うことができ、ポリエチレンと溶媒との分離効率が良い遠心分離法がより好ましい。溶媒分離後にポリエチレンに含まれる溶媒の量は、特に限定されないが、ポリエチレンの質量(100質量%)に対して70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。ポリエチレン(A)、及びポリエチレン(B)に含まれる溶媒が少量の状態で溶媒を乾燥除去することにより、溶媒中に含まれるAl等がポリエチレン中に残存しにくい傾向にある。
ポリエチレン(A)、及びポリエチレン(B)の製造方法における乾燥温度は、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上140℃以下がより好ましく、70℃以上130℃以下がさらに好ましい。乾燥温度が50℃以上であることにより、効率的な乾燥が可能となる傾向にある。一方、乾燥温度が150℃以下であることにより、ポリエチレンの分解を抑制した状態で乾燥することが可能となる傾向にある。
本実施形態のポリエチレンの製造方法では、上記のような各成分以外にもポリエチレンの製造に有用な他の公知の成分及び方法を用いることができる。
〔架橋パイプ用ポリエチレン組成物の製造方法〕
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、メルトフローレートが、1.0以上10.0g/10分以下のポリエチレン(A)のペレットと、粘度平均分子量Mvが、20×104以上200×104未満のポリエチレン(B)のパウダーと、を溶融混練して造粒することを含む製造方法によって製造することが好ましい。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、具体的には、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)とを、ヘンシェルミキサーを使用して混合し、押出機の有効長L/Dが50以上の二軸押出成形機を使用して、窒素下、最高温度210℃以下の樹脂温度で溶融混錬して造粒する方法により製造することができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、該架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下の有機過酸化物と、0.1質量部以上10質量部以下の有機不飽和シラン化合物を添加して製造してもよい。また、有機過酸化物及び有機不飽和シラン化合物は、後述する架橋パイプ製造時に添加することもできる。
有機過酸化物は、後述の押し出し工程でラジカルに分解され、有機不飽和シラン化合物をポリエチレンにグラフトさせることができる。
有機過酸化物の含有量は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下であり、好ましくは0.007質量部以上1.0質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下である。含有量が0.005質量部以上であることで、有機不飽和シラン化合物のグラフト反応が効率的に進行する。また、含有量が5.0質量部以下とであることで、有機過酸化物によりポリエチレン中に生成したラジカルの再結合による不均一架橋を抑制し、パイプの押し出し加工性が低下することを抑制することができる。また、架橋パイプの通水中における有機過酸化物の臭気を低減することができる。
有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチル−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、4,4, −ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレリツク酸−ブチルエステル、1,1−ジ−(tーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及び分子中に2重結合基とパーオキサイド基を有する化合物が挙げられる。この中では、ジクミルパーオキサイドが経済的であり好ましい。
有機不飽和シラン化合物の含有量は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であり、好ましくは0.3質量部以上5.0質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上4.0質量部以下である。含有量が0.1質量部以上であることで、架橋パイプとしたときのシラン架橋を十分に進行させることができる。また、含有量が10質量部以下であることで、目やにの発生や、パイプ押し出し時の負荷の上昇等に起因するパイプの押出成形性の低下を抑制することができる。
有機不飽和シラン化合物としては、シラン架橋し得るものであれば制限されず、例えば、ビニルトリメチキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランが挙げられる。このような有機不飽和シラン化合物は、有機過酸化物の作用により発生したポリエチレン中のラジカルと反応し、該ポリエチレンにグラフトすることができる。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、シラノール縮合触媒をさらに含んでもよい。シラノール縮合触媒は、水及び/又は水蒸気の存在下で、架橋パイプ用ポリエチレン組成物にグラフトしたシラン化合物を架橋させることができる。
シラノール縮合触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウリレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、エチルアミン、ジブチルアミン、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、及びジブチルオクテートが挙げられる。
シラノール縮合触媒の含有量は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下であることが好ましい。含有量が0.001質量部以上であることで、シラン架橋を短時間で効率的に進行させることができる傾向にある。一方、含有量が10質量部以下であることで、架橋パイプに通水した場合におけるシラノール縮合触媒の溶出を抑制することができる傾向にある。
架橋パイプの製造時においては、架橋パイプ用ポリエチレン組成物の形態は特に限定されないが、例えばペレット及びパウダーのいずれかの形態である。
また、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及びシラノール縮合触媒は、それぞれ単独で含有させてもよいし、ポリエチレンとのマスターバッチとして含有させてもよい。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、中和剤、酸化防止剤、耐光安定剤等の添加剤をさらに含んでもよい。これらの添加剤は、架橋パイプ製造時に添加してもよい。
中和剤は、組成物中に含まれる塩素キャッチャー、成形加工助剤等として使用される。中和剤としては、特に限定されないが、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のステアリン酸塩が挙げられる。中和剤の含有量は、特に限定されないが、組成物に対して、好ましくは3000質量ppm以下であり、より好ましくは2000質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。中和剤は、架橋剤の反応を阻害することが知られており、塩素含有量が少ないポリエチレンであれば、添加しないことが好ましい。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、5000質量ppm以下が好ましく、より好ましくは4000質量ppm以下であり、さらに好ましくは3000質量ppm以下である。
耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、好ましくは5000質量ppm以下であり、より好ましくは4000質量ppm以下、さらに好ましくは3000質量ppm以下である。
架橋パイプ用ポリエチレン組成物又は架橋パイプ中に含まれる上記添加剤の含有量は、架橋パイプ用ポリエチレン組成物又は架橋パイプ中の添加剤をテトラヒドロフラン(THF)でソックスレー抽出により6時間抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量することにより求めることができる。
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物には、上記の他に公知のフェノール系安定剤、有機フォスファイト系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、高級脂肪酸の金属塩等の安定剤;顔料、耐候剤、染料、核剤、ステアリン酸カルシウム等の潤滑材;カーボンブラック、タルク、ガラス繊維等の無機充填材あるいは補強材、難燃剤、中性子遮断剤等のポリオレフィンに添加される配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。また、架橋パイプからの未反応の有機不飽和シラン化合物、シラノール縮合触媒、有機過酸化物の溶出をおさえるために、活性炭等の吸着剤を添加してもよい。
〔架橋パイプ〕
本実施形態の架橋パイプは、本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の架橋物からなる。具体的には、架橋パイプ用ポリエチレン組成物をパイプ状に成形し、架橋反応を進行させることにより架橋パイプを得ることができる。
架橋パイプの製造方法としては、組成物の架橋物から製造されれば特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)架橋パイプ用ポリエチレン組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及びシラノール縮合触媒を押出機で溶融混合し、その後パイプを成形し、得られたパイプを温水又は水蒸気の存在下でシリル基を架橋させる方法;
(2)架橋パイプ用ポリエチレン組成物、有機過酸化物、及び有機不飽和シラン化合物を一度押出機で溶融混合し、得られた組成物にシラノール縮合触媒を添加してパイプを成形し、該パイプを温水又は水蒸気の存在下でシリル基を架橋させる方法;
(3)架橋パイプ用ポリエチレン組成物、有機過酸化物、及び有機不飽和シラン化合物を含む組成物を用いてパイプを成形し、シラノール縮合触媒を含む温水又は水蒸気の存在下にパイプを晒してシリル基を架橋させる方法;
本実施形態の架橋パイプ用組成物は、上述したように、架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下の有機過酸化物と、0.1質量部以上10質量部以下の有機不飽和シラン化合物を添加して製造してもよく、有機過酸化物及び有機不飽和シラン化合物は、架橋パイプ製造時に添加することもできる。
本実施形態の好ましい態様の一つは、架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部、有機過酸化物0.005〜5質量部、有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部、を含む組成物を、シラノール縮合触媒により架橋させ、作製された架橋パイプである。
架橋パイプのゲル分率は、65%以上であることが好ましい。このゲル分率は、特に限定されないが、架橋物中の有機シラン化合物が均一にグラフトされ、さらにそのシラン基がシラノール縮合触媒により、均一に架橋した場合に高い値とすることができる。経験的に、ゲル分率が高い架橋パイプは、短期及び長期の熱間内圧クリープ等の機械強度に優れる。従来の架橋パイプ用ポリエチレン組成物を用いた架橋パイプにおいては、高いゲル分率を得るためには、多量の有機不飽和シラン化合物を用いる必要がある。しかも、従来の架橋パイプ用ポリエチレン組成物を用いた架橋パイプにおいては、高いゲル分率を達成しても、熱間内圧クリープ特性は十分なものではない。一方、本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物を用いた架橋パイプは、少量の有機シラン化合物添加量でも高いゲル分率が得られ、充分な耐圧性及び耐久性が達成できる傾向にある。
ここで、ゲル分率は、JIS K 6787−1997 水道用架橋ポリエチレン管 附属書7(規定)水道用架橋ポリエチレン管のゲル分率試験方法に準じて測定した値である。次に、架橋パイプのゲル分率の測定方法について説明する。架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し、下記式により求める。
ゲル分率(%)=(抽出残量(g)/10(g))×100
〔用途〕
本実施形態の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、成形性に優れ、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性に優れる。そのため、給水用架橋パイプ、給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプとして好適に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。まず、下記に各物性及び評価の測定方法及び評価基準について述べる。
(1)密度
JIS K7112:1999に従い、密度勾配管法(23℃)により、密度を測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
実施例及び比較例で得られた各ポリエチレンについて、JIS K7210 コードD:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に従い、メルトフローレートを測定した。
(3)α−オレフィン含有量
ポリエチレン中のα−オレフィンに由来する重合単位の含有率(mol%)の測定は、G.J.RayらのMacromolecules,10,773(1977)に開示された方法に準じて行い、13C−NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度より算出した。
測定装置 :日本電子製ECS−400
観測核 :13
観測周波数 :100.53MHz
パルス幅 :45°(7.5μsec)
パルスプログラム:single pulse dec
PD :5sec
測定温度 :130℃
積算回数 :30,000回以上
基準 :PE(−eee−)シグナルであり29.9ppm
溶媒 :オルトジクロロベンゼン−d4
試料濃度 :5〜10wt%
溶解温度 :130〜140℃
(4)粘度平均分子量(Mv)
20mLのデカリン(デカヒドロナフタレン)中にポリエチレン20mgを加え、150℃で2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、ポリエチレンの重量を変えて3点の溶液を作製し、落下時間を測定した。ブランクとしてポリエチレンを入れていない、デカリンのみの落下時間(tb)を測定した。以下の式に従って求めたポリマーの還元粘度(ηsp/C)をそれぞれプロットして、濃度(C)(単位:g/dL)とポリマーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C=(ts/tb−1)/C (単位:dL/g)
次に下記式Aを用いて、上記極限粘度([η])の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49 ・・・数式A
(5)分子量分布(Mw/Mn)、換算分子量103以下の成分の占有率、及び換算分子量106以上の成分の占有率
架橋パイプ用ポリエチレン組成物20mgにo−ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することで調製したサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)、換算分子量103以下の成分の占有率、及び換算分子量106以上の成分の占有率を求めた。
なお、測定に用いた材料ないし条件は、より詳細には以下のとおりとした。
・装置:Waters社製150−C ALC/GPC
・検出器:RI検出器
・移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・流量:1.0mL/分
・カラム:Shodex製AT−807Sを1本と東ソー製TSK−gelGMH−H6を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:140℃
(6)Al含有量
架橋パイプ用ポリエチレン組成物をマイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル社製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて、架橋パイプ用ポリエチレン組成物中のアルミニウムの元素濃度を測定した。
(7)塩素含有量
架橋パイプ用ポリエチレン組成物を自動試料燃焼装置(三菱化学アナリテック社製 AQF−100)で燃焼後、吸収液(Na2CO3とNaHCO3との混合溶液)に吸収させ、その吸収液をイオンクロマトグラフ装置(ダイオネクス社製、ICS1500、カラム(分離カラム:AS12A、ガードカラム:AG12A)サプレッサー ASRS300)に注入させ塩素含有量を測定した。
(8)CFC溶出量(TREF溶出量)の測定
架橋パイプ用ポリエチレン組成物について、昇温溶離分別(TREF)による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、架橋パイプ用ポリエチレン組成物をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液(例えば、濃度:16mg/8mL)を導入して120分間保持した。
次に、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。その後、カラムの温度を、昇温速度20℃/分で順次昇温した。40℃から80℃までは10℃間隔で昇温し、80℃から85℃までは5℃間隔で昇温し、85℃から90℃までは3℃間隔で昇温し、90℃から100℃までは1℃間隔で昇温し、100℃から120℃までは10℃間隔で昇温した。なお、各温度で20分間保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(ポリエチレン)の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を得た。
なお、測定の条件は、より詳細には以下のとおりとした。
・装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC−2
・カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8"o.d x 150mm)
・溶離液:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(ポリエチレン)20mg/o−ジクロロベンゼン20mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
・試料溶解条件:140℃×120分溶解
(9)パウダーの嵩密度
ポリエチレン(B)の嵩密度は、JIS K−6721:1997に従い測定した。
(10)−25℃のシャルピー衝撃強度
JIS K6922−2(1997)「プラスチック−ポリエチレン成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して試験片を作製し、JIS K7111(1996)「プラスチック−シャルピー衝撃強さの試験方法」に準じて測定した。
〔評価〕
(1)低温時の衝撃強度評価
架橋パイプ製造工程において、押出し機にTダイを組み合わせて、ポリエチレン樹脂組成物をシート状に押し出した。冷却を経て、肉厚1.5mmのシートを得た。その後、95℃の温水に24時間浸漬して架橋シートを得た。
得られた架橋シートから、JIS K6922−2(1997)「プラスチック−ポリエチレン成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」に準拠して試験片を作製し、JIS K6936−2(2007)付属書B「超高分子量ポリエチレン成形材料のダブルノッチ付きシャルピー衝撃強さの試験方法」に準じて、−25℃でのシャルピー衝撃強度を測定して、下記基準により低温時の耐衝撃性を評価した。
○:100KJ/m2以上
△:80KJ/m2以上100KJ/m2未満
×:80KJ/m2未満
(2)高温時の耐クリープ性評価
実施例及び比較例で得られた各架橋パイプに95℃の温水中で5.5MPaの円周応力を印加し、割れ又は漏れが生じるまでの時間を測定し、95℃熱間内圧クリープ破壊時間を測定して、下記基準により高温時の耐クリープ性を評価した。
○:800時間以上
△:600時間以上800時間未満
×:600時間未満
(3)加工時の油煙と押出し吐出圧の安定性評価
架橋パイプ製造工程において、加工時の油煙量を目視で観察して、押出し吐出圧の変動幅を測定して、下記基準により評価した。油煙が少なく、押出し吐出圧が安定することは、加工安定性が優れることを意味する。
○:油煙が少なく、押出し吐出圧が安定していた。
△:油煙が少なく、押出し吐出圧が変動した、若しくは、油煙が多く、押出し吐出圧が安定していた。
×:油煙が多く、押出し吐出圧が変動した。
〔触媒の調製方法〕
[幾何拘束型メタロセン触媒[I−a]の調製]
平均粒子径が15μm、表面積が700m2/g、粒子内細孔容積が1.8mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO2 1gあたり1.85mmol/gであった。窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000mLに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した式AlMg6(C253(n−C4912の1mol/Lヘキサン溶液を20mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調製し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mLを、上記で得られた成分[IV]のスラリー800mLに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートをシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32mLを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン触媒[I]を得た。
その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。
[液体助触媒成分[II]の調製]
200mLのフラスコにヘキサン40mLと有機マグネシウム化合物であるAlMg6(C253(n−C4912を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[チーグラー・ナッタ触媒成分[III]の調製]
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加した。10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4911(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800mLとを4時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1,600mL除去し、ヘキサン1,600mLで5回洗浄することにより、固体触媒成分[III]を調製した。この固体触媒成分[III]1g中に含まれるチタン量は、3.05mmolであった。
〔ポリエチレンの製造方法〕
[ポリエチレン(A−1)の製造方法]
攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器を用い、重合温度76℃、重合圧力0.85MPa、平均滞留時間1.4時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン40L/時間、触媒として上記の幾何拘束型メタロセン触媒[I−a]をTi原子換算で1.4mmol/時間、液体助触媒成分[II]をAl原子換算で20mmol/時間で供給した。分子量調整のための水素は、エチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して0.12mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.27mol%になるように供給することで、エチレン及び1−ブテンを重合させた。尚、脱水ノルマルヘキサンは重合器の底部より供給し、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから触媒と共に、重合器の液面と底部の中間から供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.08MPa、温度75℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1−ブテン、水素を分離した。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。その時のポリマーに対する溶媒等の含有量は45%であった。
分離された高密度ポリエチレンパウダーは、85℃で窒素ブローしながら乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。
[ポリエチレン(A−2)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して0.21mol%、1−ブテンは、エチレンの気相濃度に対して0.17mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(A−2)を得た。得られたポリエチレン(A−2)の評価結果を表1に示す。
[ポリエチレン(A−3)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して0.35mol%、1−ブテンは、エチレンの気相濃度に対して0.26mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(A−3)を得た。得られたポリエチレン(A−3)の評価結果を表1に示す。
[ポリエチレン(A−4)の製造方法]
重合工程において、固体触媒成分[III]0.2g/時間と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウム10mmol/時間を使用し、水素をエチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して25.0mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.48mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(A−4)を得た。得られたポリエチレン(A−4)の評価結果を表1に示す。
[ポリエチレン(B−1)の製造方法]
重合工程において、重合圧力は0.5MPa、重合温度83℃、固体触媒成分[III]0.2g/時間と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウム10mmol/時間を使用し、水素をエチレンの気相濃度に対して14.0mol%、1−ブテンは添加しない以外は、ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−1)を得た。得られたポリエチレン(B−1)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−2)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して9.0mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して1.87mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(B−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−2)を得た。得られたポリエチレン(B−2)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−3)の製造方法]
重合工程において、重合温度85℃、水素をエチレンの気相濃度に対して12.5mol%、1−ブテンは添加しない以外は、ポリエチレン(B−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−3)を得た。得られたポリエチレン(B−3)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−4)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンとの気相濃度に対して11.0mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.93mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(B−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−4)を得た。得られたポリエチレン(B−4)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−5)の製造方法]
重合工程において、重合温度82℃、水素をエチレンの気相濃度に対して0.09mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−5)を得た。得られたポリエチレン(B−5)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−6)の製造方法]
重合工程において、重合圧力は0.6MPa、重合温度85℃、水素をエチレンの気相濃度に対して17.0mol%、1−ブテンは添加しなかったこと以外は、ポリエチレン(B−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−6)を得た。得られたポリエチレン(B−6)の評価結果を表2に示す。
[ポリエチレン(B−7)の製造方法]
重合工程において、重合温度79℃、水素を供給せず、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して2.45mol%になるように供給した以外は、ポリエチレン(B−1)の製造方法と同様の操作により、ポリエチレン(B−7)を得た。得られたポリエチレン(B−7)の評価結果を表2に示す。
[実施例1]
〔架橋パイプ用ポリエチレン組成物の製造方法〕
得られたポリエチレン(A−1)のペレットとポリエチレン(B−1)のパウダーとを、70/30質量%の組成比でヘンシェルミキサーを使用して混合し、株式会社プラスチック工学研究所SBTN−32(L/D=60)の二軸押出成形機を使用して、窒素下、最高温度210℃以下の樹脂温度で溶融混錬して造粒することで、架橋パイプ用ポリエチレン組成物を得た。得られた架橋パイプ用ポリエチレン組成物の評価結果を表1に示す。
〔架橋パイプの製造方法〕
架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0質量部、有機過酸化物としてパーヘキサ25B(日本油脂(株)製)0.1質量部、ジオクチルスズジラウリレート0.05質量部、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタンを0.2質量部、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンを0.25質量部、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.25質量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.05質量部、ステアリン酸カルシウム0.15質量部をそれぞれ配合、ヘンシエルで混合した。その後、Reifenhauser社製単軸押出し機RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)とパイプ状ダイとを組み合わせて、ポリエチレン樹脂組成物をパイプ状に押し出した。冷却を経て、外径約18mm、肉厚約2.5mmのパイプを得た。その後、95℃の温水に24時間浸漬してシラノール縮合反応を進行させ、架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリエチレン(A−1)のペレットとポリエチレン(B−2)のパウダーとを、90/10質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[実施例3]
ポリエチレン(A−2)のペレットとポリエチレン(B−3)のパウダーとを、70/30質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例3の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[実施例4]
ポリエチレン(A−2)のペレットとポリエチレン(B−4)のパウダーとを、70/30質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例4の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例1]
ポリエチレン(A−1)のペレットのみを使用した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例1の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例2]
ポリエチレン(A−3)のペレットとポリエチレン(B−1)のパウダーとを、70/30質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例2の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例3]
ポリエチレン(A−4)のペレットとポリエチレン(B−1)のパウダーとを、70/30質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例3の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例4]
ポリエチレン(A−1)のペレットとポリエチレン(B−5)のパウダーとを、70/30質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例4の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例5]
ポリエチレン(A−1)のペレットとポリエチレン(B−6)のパウダーとを、50/50質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例5の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
[比較例6]
ポリエチレン(A−2)のペレットとポリエチレン(B−7)のパウダーとを、90/10質量%の組成比で混合した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例6の架橋パイプを得た。得られた架橋パイプの評価結果を表3に示す。
Figure 0006987560
Figure 0006987560
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本発明の架橋パイプ用ポリエチレン組成物は、成形性に優れ、低温時の衝撃強度、及び高温時のクリープ耐性に優れる。そのため、それからなる架橋パイプは、パイプ成形時に油煙が少なく、押出し吐出圧も安定する。また、低温環境下での強度に優れ、高温環境下においては耐久性に優れるため、特に給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプに好適に用いられる。

Claims (12)

  1. メルトフローレートが1.0以上10.0g/10分以下であり、分子量分布Mw/Mnが3.0以上6.0以下である、ポリエチレン(A)60質量%以上95質量%以下と、
    粘度平均分子量Mvが20×10 4 以上200×10 4 未満であり、分子量分布Mw/Mnが5以上15以下であり、パウダー嵩密度が0.40g/cm 3 以上0.55g/cm 3 以下である、ポリエチレン(B)5質量%以上40質量%以下と、
    からなり、
    密度が、935kg/m3以上955kg/m3以下であり、
    分子量分布Mw/Mnが、4以上15以下であり、
    含有Al量が、1質量ppm以上10質量ppm以下であり、
    クロス分別クロマトグラフィーにより、下記の条件で測定した、90℃未満の積分溶出量が、全溶出量の10質量%以上30質量%以下であり、100℃以上の積分溶出量が、全溶出量の2質量%以上20質量%以下である、
    架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
    (条件)
    充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、試料をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液(濃度:16mg/8mL)を導入して120分間保持する。
    次に、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させる。その後、カラムの温度を、昇温速度20℃/分で順次昇温する。40℃から80℃までは10℃間隔で昇温し、80℃から85℃までは5℃間隔で昇温し、85℃から90℃までは3℃間隔で昇温し、90℃から100℃までは1℃間隔で昇温し、100℃から120℃までは10℃間隔で昇温する。なお、各温度で20分間保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(ポリエチレン)の濃度を検出する。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を得る。
  2. α−オレフィン含有量が、0.05mol%以上1.0mol%未満である、請求項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  3. 換算分子量103以下の成分の占有率が、全体の0.3質量%未満である、請求項1又は2に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  4. 換算分子量106以上の成分の占有率が、全体の0.1質量%以上10.0質量%未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  5. 塩素含有量が、前記架橋パイプ用ポリエチレン組成物に対して、5.0質量ppm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  6. 架橋パイプ用ポリエチレン組成物からなる成形体の−25℃でのシャルピー衝撃強さが10kJ/m2以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  7. ポリエチレン(A)が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、分子量分布Mw/Mnが、3.0以上6.0以下である、請求項のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  8. ポリエチレン(B)が、エチレン単独重合体、及び/又は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、分子量分布Mw/Mnが、5以上15以下である、請求項のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  9. ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、及び、周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製された幾何拘束型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒成分[B]とを用いて重合した重合物である、請求項のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物。
  10. メルトフローレートが、1.0以上10.0g/10分以下のポリエチレン(A)のペレットと、粘度平均分子量Mvが、20×104以上200×104未満のポリエチレン(B)のパウダーと、を溶融混練して造粒することを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の架橋パイプ用ポリエチレン組成物100質量部、有機過酸化物0.005〜5質量部、有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部、を含む組成物を、シラノール縮合触媒により架橋させ、作製された架橋パイプ。
  12. 給水用架橋パイプ、給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプから選ばれる、請求項11に記載の架橋パイプ。
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