以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
<空気調和機の全体構成>
まず、本実施の形態にかかる空気調和機1の全体構成と基本的な動作概要とについて説明する。なお、図1は、本実施の形態にかかる空気調和機の冷房運転時および除霜運転時の概略構成図である。また、図2は、本実施の形態にかかる空気調和機の暖房運転時の概略構成図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる空気調和機1は、セパレート式の空気調和機であって、主に、室外機10と室内機30とから構成されている。空気調和機1は、室外機10と室内機30とが冷媒配管17および18を介して接続されることによって構成されている。以下、室外機10と室内機30とについて詳述する。
室外機10は、主に、筐体11、圧縮機12、四路切換弁13、室外熱交換器14、膨張弁15、室外ファン16、冷媒配管17、冷媒配管18、二方弁19、三方弁20、室外熱交換器温度センサ21、吐出温度センサ22、吸入温度センサ23、出口温度センサ24、外気温度センサ25および室外制御部29から構成されている。筐体11には、圧縮機12、四路切換弁13、室外熱交換器14、膨張弁15、室外ファン16、冷媒配管17、冷媒配管18、二方弁19、三方弁20、温度センサ21〜25および室外制御部29等が収納されている。
室外制御部29は、通信線を介して圧縮機12、四路切換弁13、膨張弁15、室外ファン16および温度センサ21〜25に通信接続されている。たとえば、室外制御部29のプロセッサは、随時、温度センサ21〜25の出力情報や、メモリに記憶される種々の制御パラメータ等を演算処理して適切な制御パラメータを導出し、その制御パラメータを、圧縮機12や、四路切換弁13、膨張弁15、室外ファン16に送信する。また、プロセッサは、必要に応じて、制御パラメータ等を室内制御部35に送信したり、受信したりする。
室内機30は、主に、筐体31、室内熱交換器32、室内ファン33、フラップ36、室内熱交換器温度センサ34、室内温度センサ37、室内湿度センサ38および室内制御部35から構成されている。室内機30は、一般的に室内の壁面に設置されている。筐体31には、室内熱交換器32、室内ファン33、室内熱交換器温度センサ34、室内温度センサ37、室内湿度センサ38および室内制御部35等が収納されている。フラップ36は、筐体31の一部を構成している。
室内熱交換器32は、3個の熱交換器32A、32B、32Cを、室内ファン33を覆う屋根のように組み合わせたものである。なお、各熱交換器32A、32B、32Cは、左右両端で複数回折り返された伝熱管(図示せず)に多数の放熱フィン(図示せず)が取り付けられたものであって、冷房運転時および除霜運転時(図1参照)には蒸発器として機能し、暖房運転時(図2参照)には凝縮器として機能する。
室内ファン33は、主に、クロスフローファンおよびモータから構成されている。クロスフローファンは、モータによって回転駆動され、室内の空気を筐体31に吸い込んで室内熱交換器32に供給すると共に、室内熱交換器32で熱交換された空気を室内に送出する。モータは、通信線を介して室内制御部35に通信接続されており、室内制御部35から送信される制御信号に従って動作する。
室内熱交換器温度センサ34は室内熱交換器32に配置されている。室内温度センサ37は、室内温度を測定するものであって筐体31内の吸込口付近に配置されている。温度センサ34,37は、通信線を介して室内制御部35に通信接続されており、計測された温度に関する情報を室内制御部35に送信している。
室内湿度センサ38は、室内の湿度を測定するものであって筐体31内の吸込口付近に配置されている。湿度センサ38は、通信線を介して室内制御部35に通信接続されており、計測された湿度に関する情報を室内制御部35に送信している。
室内制御部35は、通信線を介して室内ファン33、フラップ36および温度センサ34,37、湿度センサ38に通信接続されている。室内制御部35のプロセッサは、随時、リモートコントローラ50からの制御信号や、温度センサ34,37および湿度センサ38の出力情報等を演算処理して適切な制御パラメータを導出し、その制御パラメータ等を、室内ファン33や、フラップ36に送信する。また、プロセッサは、必要に応じて、制御パラメータ等を室外制御部29に送信したり、制御パラメータ等を室外制御部29から受信したりする。赤外線受光部35aは、リモートコントローラ50から発生される点滅赤外線を受光するものである。この赤外線受光部35aは、点滅赤外線を信号化処理し、生成した信号を室内制御部35に受け渡す。
室外機10の圧縮機12、四路切換弁13、室外熱交換器14および膨張弁15、ならびに室内機30の室内熱交換器32は、冷媒配管17,18によって順次接続され、冷媒回路を構成している。
<空気調和機の基本的な動作>
以下、本実施の形態にかかる空気調和機1の冷房運転、暖房運転、および除霜運転について詳述する。
冷房運転では、四路切換弁13が図1に示される状態、すなわち、圧縮機12の吐出管12aが室外熱交換器14に接続され、かつ、圧縮機12の吸入管12bが室内熱交換器32に接続された状態となる。また、このとき、二方弁19および三方弁20は開状態とされている。この状態で、圧縮機12が起動されると、ガス冷媒が、圧縮機12に吸入され、圧縮された後、四路切換弁13を経由して室外熱交換器14に送られ、室外熱交換器14において冷却され、液冷媒となる。その後、この液冷媒は、膨張弁15に送られ、減圧されて気液二相状態となる。気液二相状態の冷媒は、二方弁19を経由して室内熱交換器32に供給され、室内空気を冷却するとともに蒸発されてガス冷媒となる。最後に、そのガス冷媒は、三方弁20および四路切換弁13を経由して、再び、圧縮機12に吸入される。
暖房運転では、四路切換弁13が図2に示される状態、すなわち、圧縮機12の吐出管12aが室内熱交換器32に接続され、かつ、圧縮機12の吸入管12bが室外熱交換器14に接続された状態となる。また、このとき、二方弁19および三方弁20は開状態とされている。この状態で、圧縮機12が起動されると、ガス冷媒が、圧縮機12に吸入され、圧縮された後、四路切換弁13および三方弁20を経由して室内熱交換器32に供給され、室内空気を加熱すると共に凝縮されて液冷媒となる。その後、この液冷媒は、二方弁19を経由して膨張弁15に送られ、減圧されて気液二相状態となる。気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器14に送られて、室外熱交換器14において蒸発させられてガス冷媒となる。最後に、そのガス冷媒は、四路切換弁13を経由して、再び、圧縮機12に吸入される。
暖房運転時には、室外熱交換器14に霜が付き熱交換能力が落ちる場合がある。そこで、室外制御部29が、室外熱交換器用の温度センサ21からの温度に基づいて、室外熱交換器14に霜が付いたか否か(除霜が必要か否か)を判定する。室外制御部29は、霜が付いた(除霜が必要)と判断した場合に、四路切換弁13を切り換えて上述の冷房運転を行なうことによって除霜する(リバース除霜)。なお、室外制御部29は、室外熱交換器用の温度センサ21からの温度に基づいて、適切に室外熱交換器14の霜が除かれたか否かを判定する。
<空気調和機1の機能構成>
次に、図3を参照しながら、本実施の形態にかかる空気調和機1の機能構成について説明する。なお、図3は、第1の実施の形態にかかる空気調和機1の機能構成を表わす機能ブロック図である。
まず、上述したように、空気調和機1は、室外制御部29と室内制御部35とを含む。以下では、説明のために、室外制御部29と室内制御部35とを合わせて制御部100という。なお、室外制御部29と室内制御部35とは、配線によって通信可能である。そして、制御部100が実行する処理は、室外制御部29によって実行されてもよいし、室外制御部29によって実行されてもよいし、両者で役割分担することによって実行されてもよい。
また、空気調和機1が室内制御部35を有さずに、制御部100のほとんど全ての機能が室外制御部29に搭載されてもよい。あるいは、空気調和機1が室外制御部29を有さずに、制御部100のほとんど全ての機能が室内制御部35に搭載されてもよい。
制御部100は、例えば、各種演算処理を行なうためのプロセッサ110と、各種プログラムやデータを記憶するためのメモリ120と、タイマ130とを含む。プロセッサ110は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。プロセッサ110は、メモリ120内に格納されたプログラムに従って各種の処理を実行する。
メモリ120は、各種のRAM(Random Access Memory)、各種のROM(Read-Only Memory)などによって実現される。本実施の形態においては、メモリ120は、温度と相対湿度と露点温度との対応関係、すなわち湿度露点関係、などを記憶する。
タイマ130は後述する第1の経過時間tおよび第2の経過時間tsを測定する。本実施の形態においては、タイマ130は、室内ファン33の回転数が変更されてからの第1の経過時間tや、膨張弁の開度が変更されてからの第2の経過時間tsなどを測定して、プロセッサ110に受け渡す。
本実施の形態においては、膨張弁15の開度は、ステッピングモータ39での相の励磁ステップ数として算出されることとする。ただし、膨張弁15はこのような形式のものには限られない。制御部100は、サイクルが効率よく熱交換を行うために、蒸発器の過熱度を所定値に保つように、膨張弁15の開度の制御を行う。なお、「過熱度」という文言は、ある圧力のもとにある過熱蒸気温度と飽和蒸気温度との間の温度差を表わす。
<制御部100による室内機における結露を防止するための処理>
室内熱交換器32は冷房運転時に露点よりも低い温度となりやすく、そのために室内熱交換器32などの室内機30の内部は結露しやすい。以下では、室内機30の結露の程度を低減するために、本実施の形態にかかる制御部100が、実行する処理について説明する。図4は、本実施の形態にかかる制御部100による室内機における結露を防止するための処理を示すフローチャートである。本実施の形態においては、冷房中に、制御部100が、図4に示す処理を繰り返し実行する。
まず、制御部100は、タイマ130を参照して、第1の経過時間tが第1の所定期間、たとえば5分など、に達したか否かを判断する(ステップS102)。なお、本実施の形態においては、タイマ130は、室内ファン33の回転数に変化があったときからの経過時間tを測定している。
タイマ130の第1の経過時間tが第1の所定期間に達していない場合は(ステップS102にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。
タイマ130の第1の経過時間tが第1の所定期間に達した場合(ステップS102にてYESである場合)、制御部100は、室内湿度センサ38から取得した湿度Hが所定の湿度、たとえば60%、を超えているか否かを判断する(ステップS104)。湿度Hが所定の湿度を超えていない場合(ステップS104にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。なお、所定の湿度は不快指数を元に計算し、決定する事が好ましい。そうする事で、適切な湿度を維持しながら、結露防止が可能となる。
湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、室内熱交換器温度センサ34から取得した温度Tinと湿度Hとに基づいて、あるいは室内温度センサ37から取得した室内温度と湿度Hとに基づいて、メモリ120の湿度露点関係を参照することにより現在の露点Tdを計算する。制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば3℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。なお、所定の温度差は1〜6℃程度が望ましい。こうする事で、適切に結露防止する事ができる。
Td−Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合は(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%、上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。なお、開度の所定量ΔSは30%以下が望ましい。そうする事で、急激な冷媒流動変化を抑える事ができ、その結果、冷媒音の防止、さらに、能力変動を小さくすることができる。
制御部100は、第2の経過時間tsが第2の所定時間、たとえば5分、に達したか否かを判断する(ステップS162)。制御部100は、第2の経過時間tsが第2の所定時間に達すると(ステップS162にてYESである場合)、タイマ130の第2の経過時間tsと第1の経過時間tとをリセットして(ステップS164、ステップS166)、ステップS104からの処理を繰り返す。
第2の所定時間は3分〜20分が望ましい。第2の所定時間が短過ぎる場合、熱交換器の温度が変動し安定しにくい。逆に第2の所定時間が長過ぎる場合、膨張弁制御を実施する間隔が長くなるため、結露してしまう、または、能力が低下するといった課題が生じる。望ましい第2の所定時間を設定する事で、適切に結露防止する事ができる。
このように、本実施の形態にかかる空気調和機300は、室内熱交換器32の温度が露点よりも所定値以上低くなると膨張弁15の開度を上げるので、室内熱交換器32の温度が下がりすぎず、通常の空気調和機よりも結露が生じにくくなる。
なお、本実施の形態においては、図4に示したように、制御部100は、第2の経過時間tsが第2の所定時間に達すると(ステップS162にてYESである場合)、そのままステップS164からの処理を繰り返すものであった。しかしながら、図5に示すように、制御部100は、第2の経過時間tsが第2の所定時間に達すると(ステップS162にてYESである場合)、膨張弁15の開度をステップS112の直前の開度に戻してから(ステップS163)、ステップS164からの処理を実行してもよい。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、Td−Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合に膨張弁15の開度を所定量だけ上げるものであった。本実施の形態においては、制御部100は、以下のような処理を実行する。なお、第1の実施の形態と同様の処理についてはここではそれらの説明を繰り返さない。
図6を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第2の所定の温度差、たとえば2℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS108)。Td−Tinが第2の所定の温度差以下である場合は(ステップS108にてNOである場合)、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ減少させる(ステップS114)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
Td−Tinが第2の所定の温度差よりも大きい場合は(ステップS108にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば4℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、ステップS104からの処理を繰り返す。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態においては、Td−Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合に膨張弁15の開度を所定量だけ上げるものであった。本実施の形態においては、制御部100は、以下のような処理を実行する。なお、第1の実施の形態と同様の処理についてはここではそれらの説明を繰り返さない。
図7を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば2℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、膨張弁15の開度の上昇量ΔSを計算する(ステップS116)。ΔSはTd−Tinを変数とする関数であらわされる。Td−Tinの変化量が大きいほど、ΔSの変化量も大きくすることが好ましい。たとえば、制御部100は、以下の式に基づいて膨張弁15の開度の上昇量ΔSを計算する。なお、αはたとえば10%などである。
ΔS=α(Td−Tin)・・・(1)
制御部100は、膨張弁15の開度を計算された上昇量ΔS%だけ上昇させる(ステップS118)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
<第4の実施の形態>
第1〜第3の実施の形態においては、Td−Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合に膨張弁15の開度を上げるものであった。本実施の形態においては、制御部100は、Td−Tinに基づいて圧縮機12の回転数も調整するものである。より詳細には、制御部100は、以下のような処理を実行する。なお、第1の実施の形態と同様の処理についてはここではそれらの説明を繰り返さない。
図8を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば3℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば10%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、合わせて、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
あるいは、第2の実施の形態のように、第2の所定の温度差も利用してもよい。図9を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第2の所定の温度差、たとえば2℃よりも大きいか否かを判断する(ステップS108)。Td−Tinが第2の所定の温度差以下である場合は(ステップS108にてNOである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば10%だけ上げる(ステップS124)。そして制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上げる(ステップS115)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
一方、Td−Tinが第2の所定の温度差よりも大きい場合は(ステップS108にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば4℃、よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差よりも小さい場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、ステップS104からの処理を繰り返す。第1の所定の温度差は第2の所定の温度差よりも大きく、かつ、1〜6℃程度が望ましい。こうする事で、適切に結露防止する事ができる。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば10%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ下げる(ステップS113)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
あるいは、第3の実施の形態のように、温度差に応じて圧縮機12の回転数を調整してもよい。図10を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば2℃よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数の低減量ΔNを計算する(ステップS126)。ΔNはTd−Tinを変数とする関数であらわされる。Td−Tinの変化量が大きいほど、ΔNの変化量も大きくすることが好ましい。たとえば、制御部100は、以下の式に基づいて圧縮機12の回転数の低減量ΔNを計算する。なお、βはたとえば5%などである。
ΔN=β(Td−Tin)・・・(2)
制御部100は、圧縮機12の回転数を低減量ΔN%だけ低減させる(ステップS128)。
本実施の形態においては、制御部100は、膨張弁15の開度の上昇量ΔSも計算する(ステップS116)。たとえば、制御部100は、式(1)に基づいて膨張弁15の開度の上昇量ΔSを計算する。制御部100は、膨張弁15の開度を上昇量ΔS%だけ上昇させる(ステップS118)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
<第5の実施の形態>
第1〜第3の実施の形態においては、Td−Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合に膨張弁15の開度を上げるものであった。本実施の形態においては、制御部100は、Td−Tinに基づいて室内ファンの回転数も調整するものである。より詳細には、制御部100は、以下のような処理を実行する。なお、第1の実施の形態と同様の処理についてはここではそれらの説明を繰り返さない。
図11を参照して、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば10%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、合わせて、室内ファン33の回転数を所定の量Rだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS132)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
あるいは、他の組み合わせを採用することもできる。図12を参照して、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、室内ファン33の回転数を所定の量Rだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS132)。そして、制御部100は、合わせて、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
さらには、図13を参照して、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば8%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、室内ファン33の回転数を所定の量Rだけ、たとえば7%だけ上昇させる(ステップS132)。そして、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
<第6の実施の形態>
あるいは結露防止のために、風向きを変更することによって風量を増加させてもよい。図14を参照して、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば7%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、室内ファン33の回転数を所定の量Rだけ、たとえば7%だけ上昇させる(ステップS132)。そして、制御部100は、モータなどの風向変更機構40を制御して風向きを正面に向ける(ステップS142)。これによって、室内機30を通過する風量を増加させる。そして、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
当然ながら、第3の実施の形態のように、温度差に応じて圧縮機12の回転数や室内ファン33の回転数や膨張弁15の開度を調整してもよい。図15を参照して、湿度Hが所定の湿度を超えている場合(ステップS104にてYESである場合)、制御部100は、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差、たとえば2℃よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。Td−Tinが第1の所定の温度差以下である場合は(ステップS110にてNOである場合)、制御部100は、数秒間待機してから再度ステップS102からの処理を実行する。
露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、制御部100は、圧縮機12の回転数の低減量ΔNを計算する(ステップS126)。ΔNはTd−Tinを変数とする関数であらわされる。Td−Tinの変化量が大きいほど、ΔNの変化量も大きくすることが好ましい。たとえば、制御部100は、式(2)に基づいて圧縮機12の回転数の低減量ΔNを計算する。制御部100は、圧縮機12の回転数を低減量ΔN%だけ低減させる(ステップS128)。
制御部100は、合わせて、室内ファン33の回転数の上昇量ΔRを計算する(ステップS136)。ΔRはTd−Tinを変数とする関数であらわされる。Td−Tinの変化量が大きいほど、ΔRの変化量も大きくすることが好ましい。たとえば、制御部100は、以下の式に基づいて室内ファン33の回転数の上昇量ΔRを計算する。なお、γはたとえば10%などである。
ΔR=γ(Td−Tin)・・・(3)
制御部100は、室内ファン33の回転数を上昇量ΔR%だけ上昇させる(ステップS138)。
制御部100は、モータなどの風向変更機構40を制御して風向きを正面に向ける(ステップS148)。
制御部100は、合わせて、膨張弁15の開度の上昇量ΔSを計算する(ステップS116)。たとえば、制御部100は、式(1)に基づいて膨張弁15の開度の上昇量ΔSを計算する。制御部100は、膨張弁15の開度をΔS%だけ上昇させる(ステップS118)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100は、ステップS162からの処理を実行する。
<第7の実施の形態>
なお、風向きに関しては、人感センサを利用して以下のような処理を実行してもよい。まず、図1〜図3に示すように、室内機30の正面には人感センサ35dが搭載される。そして、制御部100は、人感センサ35dからのデータによって、空気調和機300の室内機30からの、人が存在する方向を取得することが可能に構成されている。
そして、図16を参照して、露点Td−室内熱交換器温度Tinが第1の所定の温度差よりも大きい場合(ステップS110にてYESである場合)、圧縮機12の回転数をΔNだけ、たとえば10%だけ下げる(ステップS122)。そして、制御部100は、室内ファン33の回転数を所定の量Rだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS132)。
制御部100は、人感センサ35dからのデータに基づいて、人物が存在する方向を取得する(ステップS143)。制御部100は、風向変更機構40からのデータに基づいて、現在人物のいる方向に風が吹き出しているか否かを判断する(ステップS144)。
現在人物のいる方向に風が吹き出している場合(ステップS144にてYESである場合)、制御部100は、人物のいる方向の範囲の中で、風量が増える方向に風向変更機構40を制御する(ステップS145)。そして、制御部100は、膨張弁15の開度を所定の量ΔSだけ、たとえば10%だけ上昇させる(ステップS112)。このとき、制御部100は、タイマ130による第2の経過時間tsの測定を開始する。制御部100はステップS162からの処理を実行する。
一方、現在人物のいない方向に風が吹き出している場合(ステップS144にてNOである場合)、制御部100は、人物のいない方向の範囲の中で、風量が増える方向に風向変更機構40を制御する(ステップS146)。そして、制御部100はステップS112からの処理を実行する。
これによって、風向きが変わることによるユーザの不快感を低減しつつ、室内機30に結露が生じる程度を低減することができる。
<まとめ(1)>
上記の第1から第7の実施の形態のように、たとえば図17に示すように、露点Td−室内熱交換器温度Tinの温度差が大きい場合には、圧縮機12の回転数を下げることが好ましく、膨張弁の開度を上げることが好ましく、室内ファン33の回転を上げることが好ましく、風向きを中央に向けることが好ましい。そして、露点Td−室内熱交換器温度Tinの温度差が中程度たとえば2℃から4℃の場合には、圧縮機12の回転数を少しだけ下げることが好ましく、膨張弁の開度を少しだけ上げることが好ましく、室内ファン33の回転を少しだけ上げることが好ましく、風向きをやや中央に向けることが好ましい。
ただし、図18に示すように、露点Td−室内熱交換器温度Tinの温度差を元に変更した圧縮機12の回転数変化量が大きい場合、効果が大きい圧縮機12の回転数を下げつつ、効果が小さい膨張弁15の開度を下げてもよい。
<まとめ(2)>
上記の第1から第7の実施の形態においては、室内熱交換器32と、室内熱交換器32の温度を測定するための温度センサ37と、膨張弁15と、湿度センサ38と、湿度センサ38の測定値に基づいて露点を計算し、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低い場合に、膨張弁15の開度を上げるための制御部100と、を備える空気調和機1が提供される。
好ましくは、空気調和機1は、圧縮機12をさらに備える。制御部100は、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低い場合に、圧縮機12の回転数を下げる。
好ましくは、制御部100は、露点と室内熱交換器32の温度との差が大きいほど、膨張弁15の開度を上げる程度を大きくする。
あるいは、室内熱交換器32と、室内熱交換器32の温度を測定するための温度センサ34と、圧縮機12と、膨張弁15と、湿度センサ38と、湿度センサ38の測定値に基づいて露点を計算し、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低い場合に、圧縮機12の回転数を下げて、膨張弁15の開度を下げるための制御部100と、を備える空気調和機1が提供される。
好ましくは、空気調和機1は、室内ファン33をさらに備える。制御部100は、室内ファン33の回転数が切り替わってから所定時間経過してから、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低いか否かを判断する。
好ましくは、制御部100は、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低い場合に、室内ファン33の回転数を上げる。
好ましくは、空気調和機1は、風向変更機構40をさらに備える。制御部100は、露点よりも室内熱交換器32の温度が所定値以上低い場合に、風量が増えるように風向変更機構40を制御する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。