JP6985022B2 - 鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造および鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合方法 - Google Patents
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Description
また、接合部にせん断補強筋に代わってせん断力を負担するせん断補強鋼材を設置することがあるが、せん断補強鋼材どうしを溶接したりボルトなどで機械的に接合したりする必要があり、せん断補強鋼材の設置に労力および工期がかかるという問題がある。
また、第1対向板部と第2対向板部とは、対向させて配置すればよいことにより、第1対向板部に対する第2対向板部の位置決めを行う際に、例えば第1対向板部の軸線と第2対向板部の軸線とを一致させなければならないなどの制約が少ないため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを容易に接合することができる。
また、第1対向板部が設けられた第1せん断補強鋼材、および第2対向板部が設けられた第2せん断補強鋼材が配置されるため、せん断補強筋を設けなくても第1せん断補強鋼材および第2せん断補強鋼材がせん断力を負担することができる。
本発明では、第1対向板部と第2対向板部とを例えばボルト接合などで機械的に接合しなくても、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とが接合されるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを容易に接合することができる。
第1対向板部と第2対向板部とを機械的に接合する必要がないことにより、第1対向板部に対する第2対向板部の位置決めを行う際に、例えば第1対向板部の軸線と第2対向板部の軸線とを一致させなければならないなどの制約が少ないため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを容易に接合することができる。
このような構成とすることにより、現場での作業を削減することができる。また、プレキャストコンクリート部材を接合コンクリート部の型枠とすれば、現場での作業を更に削減することができる。
このような構成とすることにより、貫通鉄筋によって接合コンクリート部が補強されるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを強固に接合することができる。
このような構成とすることにより、定着体によって貫通鉄筋が接合コンクリートとより定着し、さらに接合コンクリート部が補強されるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とをより強固に接合することができる。
このような構成とすることにより、ジベルによって第1対向板部および第2対向板部の少なくとも一方と接合コンクリート部とを一体化させることができるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とをより強固に接合することができる。
このような構成とすることにより、補剛材によって第1対向板部および第2対向板部の少なくとも一方と接合コンクリート部とを一体化させることができるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とをより強固に接合することができる。
このような構成とすることにより、複数設けられたせん断補強鋼材どうしの位置ずれを防止することができる。
このような構成とすることにより、隅角部においても第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを、容易に接合することができる。
このような構成とすることによっても、隅角部などにおいても第1せん断補強鋼材の対向板部と第2せん断補強鋼材の対向板部とが互いに対向して配置されるため、第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを、確実に接合することができる。
このような構成とすることにより、直線部においても第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とを、容易に接合することができる。
このような構成とすることにより、第1鉄筋と第2鉄筋によって接合コンクリート部が補強されるとともに、第1構造部と第2構造部とを強固に接合することができる。
このような構成とすることにより、ハンチ部を容易に形成することができる。
このような構成とすることにより、第1せん断補強鋼材および第2せん断補強鋼材として専用の部材を製作する必要がないため、第1せん断補強鋼材および第2せん断補強鋼材を容易に調達することができる。
以下、本発明の実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造について、図1乃至図12に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Aは、カルバート2の側壁部(第1構造体)3と頂版部(第2構造体)4とが接合部5を介して接合される接合構造に採用されている。
カルバート2が延びる水平方向を長さ方向とし、長さ方向に直交する水平方向を幅方向とする。
カルバート2は、底版11と、底版11の幅方向の両端部近傍それぞれの上側に配置された一対の側壁12,12と、一対の側壁12,12の上に配置される頂版13と、を有している。
一対の側壁12,12は、それぞれ長さ方向に配列された複数の側壁部3,3…で構成されている。長さ方向に隣り合う側壁部3,3は、それぞれ接合されている。
頂版13は、長さ方向に配列された複数の頂版部4,4…で構成されている。長さ方向に隣り合う頂版部4,4は、それぞれ接合されている。
カルバート2の構築では、1つの底版部6と、この底版部6の両端部それぞれの上側に配置される一対の側壁部3,3と、一対の側壁部3,3の上側に配置される1つの頂版部4を1つのユニット14とし、このユニット14を長さ方向に順次構築することでカルバート2が施工される。
なお、底版部6および一対の側壁部3を1つのユニットとしてこのユニットを長さ方向に順次構築した後に、頂版13全体を現場にてコンクリート打ちして構築してもよい。
一対の側壁部3,3のうちの幅方向の一方側に配置される側壁部3では、第1外殻部31が側壁部3の幅方向他方側の縁部に沿って配置され、第2外殻部32が側壁部3の幅方向一方側の縁部に沿って配置され、一対の側壁部3,3のうちの幅方向の他方側に配置される側壁部3では、第1外殻部31が側壁部3の幅方向一方側の縁部に沿って配置され、第2外殻部32が側壁部3の幅方向他方側の縁部に沿って配置されている。
第1対向板部334には、高さ方向の中間部に、板面から突出して幅方向に延びるリブ(補剛材)335が設けられている。リブ335は、第1対向板部334の両面それぞれに設けられている。リブ335の突出方向の先端部は、第1フランジ332および第2フランジ333の先端部と連続している。
本実施形態では2つの第1せん断補強鋼材33,33が、第1外殻部31と第2外殻部32との間に長さ方向に間隔をあけて配置されている。
本実施形態では、第1外殻部31、第2外殻部32、2つの第1せん断補強鋼材33,33、および側壁コンクリート部34の鉄筋は、工場などで予め組まれた側壁プレキャスト部材37として製作されてから現場に搬入されるように設定されている。
なお、第1外殻部31、第2外殻部32、2つの第1せん断補強鋼材33,33、および側壁コンクリート部34の鉄筋は、プレキャスト部材とせずに現場にて組む形態としてもよい。
図4に示すように、下板部41は、長尺の平板状に形成され、幅方向に延びて板面が上下方向を向く向きに配置されている。下板部41は、コンクリート部分411とコンクリート部分411に埋設された複数の第2鉄筋412とを有している。複数の第2鉄筋412は、それぞれ幅方向に延びる向きで長さ方向に間隔をあけて配置されている。複数の第2鉄筋412は、幅方向の両端部側がそれぞれコンクリート部分411の幅方向の両端面から幅方向の外側に突出している。第2鉄筋412のうちのコンクリート部分411から幅方向の外側にそれぞれ突出している部分を第2鉄筋接合部413,413とする。
第2せん断補強鋼材42は、幅方向の両端部分が下板部41のコンクリート部分411の幅方向の端部よりも幅方向の外側に配置されている。第2せん断補強鋼材42のうちの下板部41の下板コンクリート部45よりも幅方向の両側に突出する部分におけるウェブ421をそれぞれ第2対向板部425,425とする。
第2対向板部425には、幅方向の中間部に、板面から突出して上下方向に延びるリブ(補剛材)426が設けられている。リブ426は、第2対向板部425の両面それぞれに設けられている。リブ426の突出方向の先端部は、第1フランジ423および第2フランジ424の先端部と連続している。
本実施形態では2つの第2せん断補強鋼材42が、下板部41の上側において長さ方向に間隔をあけて配置されている。
本実施形態では、下板部41、第2せん断補強鋼材42、および頂版コンクリート部43の鉄筋は、工場などで予め組まれた頂版プレキャスト部材48として製作されてから現場に搬入されている。なお、下板部41、第2せん断補強鋼材42、および頂版コンクリート部43の鉄筋は、プレキャスト部材とせずに現場にて組む形態としてもよい。
なお、第1対向板部334、第2対向板部425、第1鉄筋接合部313および第2鉄筋接合部413の配置は適宜設定されてよい。例えば、第1対向板部334と第2対向板部425とが交互に配置されていてもよい。
接合部5には、第1対向板部334、第2対向板部425、第1鉄筋接合部313、および第2鉄筋接合部413が配置されており、これらが接合コンクリート部51に埋設されている。接合コンクリート部51は、第1対向板部334と第2対向板部425との間にも充填されている。
まず、図7に示すように、底版部6を構築する底版部構築工程を行う。
続いて、図8および図9に示すように一対の側壁部3,3を構築する側壁部構築工程を行う。
図8に示すように、底版部6の幅方向の両側それぞれの側壁接続部61,61に側壁プレキャスト部材37を設置し、幅方向の両側の第2外殻部32,32の側方に型枠39,39を設置する。この型枠39,39は、接合部5の型枠となる。なお、側壁プレキャスト部材37の第2外殻部32を接合部5の側方に位置するように上側に延伸させておき、型枠39,39の代わりとしてもよい。
図9に示すように、第1外殻部31と第2外殻部32との間に側壁コンクリート部34のコンクリートを打設し、所定期間の養生を行う。
図10に示すように、一対の側壁部3,3それぞれの上側に頂版プレキャスト部材48を設置し、一対の側壁部3,3それぞれの接合部分が配置されている領域に頂版部4の接合部分を配置する。このとき、2つの第1対向板部334の間に2つの第2対向板部425が配置され、第1対向板部334と第2対向板部425とが所定の間隔をあけて対向するように第1せん断補強鋼材33および第2せん断補強鋼材42を配置する(せん断補強鋼材設置工程)。
このとき、接合部5に配置されている第1対向板部334と第2対向板部425との間にもコンクリートを充填する。
これにより、頂版部4および接合部5が構築され、接合部5によって一対の側壁部3,3と頂版部4とが接合され、カルバート2を構築する1つのユニット14(1つの底版部6と、この底版部6の両端部それぞれの上側に配置される一対の側壁部3,3と、一対の側壁部3,3の上側に配置される1つの頂版部とが接合されたユニット)が構築される。
続いて、長さ方向に隣接するユニット14を同様にして順次構築し、カルバート2を構築する。
なお、上述しているが、底版部6および一対の側壁部3を1つのユニットとしてこのユニットを長さ方向に順次構築した後に、頂版13全体を現場にてコンクリート打ちして構築してもよい。
上述した本実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Aでは、側壁部3の第1対向板部334と頂版部4の第2対向板部425とが互いの板面が対向するように配置され、接合コンクリート部51に一体に埋設されている。これにより、第1対向板部334および第2対向板部425がそれぞれ接合コンクリート部51と定着し、接合コンクリート部51を介して第1対向板部334と第2対向板部425とが接合されるため、第1せん断補強鋼材33と第2せん断補強鋼材42とを容易に接合することができる。
また、第1対向板部334と第2対向板部425とは対向するように配置させればよく、第1対向板部334と第2対向板部425とを溶接したり機械的に接合したりする必要がない。これにより、第1対向板部334に対する第2対向板部425の位置決めを行う際に、例えば第1対向板部334の軸線と第2対向板部425の軸線とを一致させなければならないなどの制約が少ないため、第1せん断補強鋼材33と第2せん断補強鋼材42とを容易に接合することができる。
その結果、第1せん断補強鋼材33と第2せん断補強鋼材42との接合にかかる労力を削減することができるとともに、工期を短縮することができる。接合部5にせん断補強筋の設置する工程を無くすことができて工期を短縮することができる。
また、接合コンクリート部51に一体に埋設された第1せん断補強鋼材33および第2せん断補強鋼材42を介して、側壁部3と頂版部4とを容易に接合することができる。
また、第1対向板部334および第2対向板部425が隅角部(接合部5)のせん断力を負担することができるため、隅角部にせん断補強筋を設ける必要がない。
また、側壁部3の第1外殻部31、第2外殻部32、2つの第1せん断補強鋼材33,33、および側壁コンクリート部34の鉄筋は、工場などで予め組まれた側壁プレキャスト部材37として製作されてから現場に搬入され、頂版部4の下板部41、第2せん断補強鋼材42、および頂版コンクリート部43の鉄筋は、工場などで予め組まれた頂版プレキャスト部材48として製作されてから現場に搬入されていることにより、現場での作業を削減することができる。
また、第1対向板部334および第2対向板部425には、それぞれリブ335,426が設けられていることにより、リブ335,426によって第1対向板部334および第2対向板部425それぞれと接合コンクリート部51とを一体化させることができ、第1せん断補強鋼材33と第2せん断補強鋼材42とを強固に接合することができる。
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図13に示すように、第2実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Bでは、側壁部3Bの第1せん断補強鋼材33Bの第1対向板部334Bには、板面を貫通する第1貫通孔334bが形成さている。頂版部4Bの第2せん断補強鋼材42Bの第2対向板部425Bには、板面を貫通する第2貫通孔425bが形成されている。第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bの両方に挿通されて、接合コンクリート部51Bに埋設される貫通鉄筋71が設けられている。
第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bは、長さ方向に重なる位置に配置されている。第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bは、予め工場などで第1対向板部334Bおよび第2対向板部425Bに形成されている。
貫通鉄筋71には、両端部に定着体711,711が装着されている。図14に示すように、定着体711は、貫通鉄筋71の端部が挿入される筒状の筒状部712と、筒状部712の端部に一体に形成されて筒状部712よりも大径の円板部713とを有している。筒状部712と円板部713とは同軸に配置されている。定着体711は、貫通鉄筋71とともに接合コンクリート部51Bに埋設されている。
本実施形態では、第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bは、複数形成されていて、それぞれ貫通鉄筋71が挿通されている。
本実施形態では、3つの拘束部材73が設けられている。これらの拘束部材73は、例えば、少なくとも1つの拘束部材73が予め工場などで2つの第1せん断補強鋼材33B,33Bに取り付けられ、残りの拘束部材73が現場にて第2せん断補強鋼材42B,42Bが第1せん断補強鋼材33B,33Bと対向するように組み込まれた後に第1せん断補強鋼材33B,33Bに取り付けられるようにしてもよい。
接合コンクリート部51Bを打設して、第1対向板部334Bおよび第2対向板部425Bとともに、貫通鉄筋71、スタッドジベル72、および拘束部材73を接合コンクリート部51Bに埋設する。
また、貫通鉄筋71の先端部は、接合コンクリート部51Bと定着する定着体711が接続されている。これにより、定着体711によって貫通鉄筋71が接合コンクリート部51Bとより定着するため、さらに接合部5Bが補強され、第1せん断補強鋼板33Bと第2せん断補強鋼板42Bとをより強固に接合することができる。
また、2つの第1せん断補強鋼材33B,33Bが拘束部材73で互いに拘束されていることにより、2つの第1対向板部334B,334Bどうしも拘束されて第1対向板部334B,334Bの位置ずれを防止できることができる。
図15に示すように、第3実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Cでは、側壁部3Cの第1せん断補強鋼材33Cは、第1外殻部31および第2外殻部32の上端部よりも上方に突出しておらず、上端部が第1外殻部31および第2外殻部32の上端部と略同じ位置に配置されている。本実施形態では、第1せん断補強鋼材33Cの上側の部分が本発明の第1対向板部(以下、第1対向板部334Cとする)に相当している。第1対向板部334Cには、リブ335Cが形成されている。
また、図15および図16に示すように、頂版部4Cの第2せん断補強鋼材42Cは、下板部41の直上に配置される部分から幅方向の外側に突出する第1板部428aと、第1板部428aから下側に突出する第2板部428bと、を有している。第1板部428aと第2板部428bとを合せた形状は、長さ方向から見て略L字形となっている。第2板部428bには、リブ426が形成されている。本実施形態では、第2せん断補強鋼材42Cの第2板部428bが本発明の第2対向板部(以下、第2対向板部425Cとする)に相当している。
本実施形態では、第1外殻部31Cのコンクリート部分311と第2外殻部32Cのコンクリート部分311との間に打設されるコンクリートのうちの第1対向板部334Cおよび第2対向板部425Cを埋設する部分が本発明の接合コンクリート部(以下、接合コンクリート部51Cとする)に相当している。
本実施形態では、第2せん断補強鋼板42Cが配置されて、第1対向板部334Cと第2対向板部425Cとが対向してから側壁部3の第1外殻部31Cのコンクリート部分311と第2外殻部32Cのコンクリート部分311との間にコンクリートを打設している。
図17に示すように、第4実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Dは、1つの側壁部3Dの幅方向の両側それぞれに頂版部4Dが配置され、側壁部3Dおよび頂版部4DがT字形状に接合された側壁部(第1構造体)3Dと頂版部(第2構造体)4Dとの接合構造に採用されている。
下板部41Dは、幅方向に間隔をあけて配置された2つのコンクリート部分411D,411Dと、幅方向に延びて2つのコンクリート部分411D,411Dにわたるように設けられた第2鉄筋412Dと、を有している。第2鉄筋412Dは、幅方向の中間部分が下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dのいずれにも埋設されていない。第2鉄筋412Dのうちの下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dのいずれにも埋設されていない幅方向の中間部分が第2鉄筋接合部413Dとなっている。
第2鉄筋412Dは、長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。長さ方向に隣り合う第2鉄筋412D,412Dの間隔は、下側から側壁部3Dの第1せん断補強鋼材33Dを挿通可能な寸法に設定されている。
第2せん断補強鋼材42D,42Dは、下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dにわたるように設けられている。本実施形態では、第2せん断補強鋼材42Dのうちの幅方向の中間部分(下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dの間の部分)が本発明の第2対向板部(以下、第2対向板部425Dとする)に相当している。
第1対向板部334Dおよび第2対向板部425D、第1鉄筋接合部313Dおよび第2鉄筋接合部413Dは、頂版部4Dの下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dの間およびその上側に打設されたコンクリートに埋設されている。本実施形態では、頂版部4Dの下板部41Dの2つのコンクリート部分411D,411Dの間およびその上側の部分が側壁部3Dと頂版部4Dとの接合部5Dとなり、この部分に打設されたコンクリートが本発明の接合コンクリート部(以下、接合コンクリート部51Dとする)に相当している。
図18および図19に示すように、第5実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Eは、側壁部3E(第1構造体)と底版部6E(第2構造体)との接合構造に採用されている。図18では、底版部6Eと側壁部3EとがT字形状に接合される形態を示しており、図19では、底版部6Eと側壁部3EとがL字形状に接合される形態を示している。なお、図18および図19では、説明のために側壁部3Eと底版部6Eとが上下方向に間隔をあけて配置されているが、実際には、側壁部3Eの下端部が底版部6Eの側壁接続部61Eと当接している。
側壁部3Eには、第1実施形態と同様に、第1外殻部31と第2外殻部32との間に2つの第1せん断補強鋼材33E,33Eが設けられている。2つの第1せん断補強鋼材33E,33Eの下端部は、第1外殻部31および第2外殻部32の下端部の高さと略同じ高さに配置されている。本実施形態では、第1せん断補強鋼材33Eの下側の部分が本発明の第1対向板部(以下、第1対向板部334Eとする)に相当している。
底版部6Eは、幅方向に延びる底版コンクリート部62と、下部側が底版コンクリート部62に埋設され上部側が底版コンクリート部62から上側に突出する2つの第2せん断補強鋼材63と、を有している。第2せん断補強鋼材63は、底版コンクリート部62の側壁部3Eが接続される側壁接続部61Eから上側に突出している。第2せん断補強鋼材63は、板面が長さ方向を向く板状に形成されている。本実施形態では、第2せん断補強鋼材63のうちの底版コンクリート部62から上側に突出する部分が本発明の第2対向板部(以下、第2対向板部631とする)に相当している。
図20に示すように、第6実施形態による鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Fは、同一直線上に配置される2つの梁部8,8の接合構造に採用されている。第6実施形態では、2つの梁部8,8が延びる方向を長さ方向とし、長さ方向に直交する水平方向を幅方向とする。2つの梁部8,8は、互いの長さ方向の端部同士が接合部5Fを介して接合されている
2つの梁部8,8を第1梁部(第1構造体)81および第2梁部(第2構造体)82とし、第1梁部81が第2梁部82の長さ方向の一方側に配置されているものとする。
接合部5Fは、接合コンクリート部51Fが打設されるように構成され、第1対向板部813および第2対向板部823が接合コンクリート部51Fに一体に埋設されている。
第1対向板部813と第2対向板部823とは、接合コンクリート部51Fに埋設されることによって接合されている。
なお、第1梁部81に第1梁コンクリート部811から長さ方向の他方側に突出する第1鉄筋が設けられ、第2梁部82に第2梁コンクリート部821から長さ方向の一方側に突出する第2鉄筋が設けられていて、第1鉄筋と第2鉄筋とが接合部5Fに配置されて接合コンクリート部51Fに埋設されていてもよい。
例えば、上記の実施形態では、第1せん断補強鋼材33および第2せん断補強鋼材42は、I型鋼であるが、互いの板面が対向するように配置される第1対向板部および第2対向板部を有していれば、I型鋼以外の形鋼や、鋼板などの鋼材であってもよい。
また、上記の実施形態では、側壁部3の第1鉄筋312には第1鉄筋接合部313が設けられ、頂版部4の第2鉄筋412には第2鉄筋接合部413が設けられ、第1鉄筋接合部313と第2鉄筋接合部413とが接合コンクリート部51に埋設されているが、第1鉄筋接合部313および第2鉄筋接合部413が設けられておらず、接合コンクリート部51に埋設されない構成であってもよい。
例えば、図21に示す鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造1Gのように、側壁部3Gと頂版部4Gとの接合部5Gにおいて、第1せん断補強鋼材33Gの第1対向板部334Gおよび第2せん断補強鋼材42Gの第2対向板部425Gに第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bが形成されず、貫通鉄筋71が設けられていなくてもよい。なお、第1貫通孔334bおよび第2貫通孔425bが設けられ、貫通鉄筋71が挿通される場合は、これらの数や位置は適宜設定されてよい。また、上記の第2実施形態では、貫通鉄筋71の先端部には、定着体711が接続されているが、定着体711が接続されていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、1つの頂版部4に2つの第2対向板部425が設けられているが、1つの頂版部4に第2対向板部425が1つまたは3つ以上設けられていてもよい。
2 カルバート
3,3B〜3E,3G,3H 側壁部(第1構造体)
4,4B〜4D,4G,4H 頂版部(第2構造体)
6,6E 底版部
31 第1外殻部(プレキャストコンクリート部材)
32 第2外殻部(プレキャストコンクリート部材)
33,33B〜33E,33G,33H,812 第1せん断補強鋼材
41 下板部(プレキャストコンクリート部材)
42,42B〜42D,42G,42H,63,822 第2せん断補強鋼材
47 ハンチ部
51,51B〜51H 接合コンクリート部
71 貫通鉄筋
72 スタッドジベル(ジベル)
73 拘束部材
312 第1鉄筋
313 第1鉄筋接合部
334,334B〜334E,334G,813 第1対向板部(対向板部)
334b 第1貫通孔
335,335C リブ(補剛材)
412 第2鉄筋
413 第2鉄筋接合部
425,425B〜425D,425G,631,823 第2対向板部(対向板部)
425b 第2貫通孔
425c 第1板部
425d 第2板部
426 リブ(補剛材)
711 定着体
Claims (15)
- 上下方向に延びる鋼コンクリート複合構造の側壁部と、前記上下方向に交差する幅方向に延びる鋼コンクリート構造の頂版部と、が接合部を介して接合される鋼コンクリート複合構造において、前記側壁部に設けられせん断力を負担可能な第1せん断補強鋼材と、前記頂版部に設けられせん断力を負担可能な第2せん断補強鋼材とが、それぞれの一部に設けられた板状の対向板部を互いの板面が対向するように前記接合部に配置され、かつそれぞれの前記対向板部が前記接合部に設けられる接合コンクリート部に一体に埋設され、
前記第1せん断補強鋼材は、前記側壁部に上下方向全体にわたって設けられ、前記対向板部以外が前記側壁部のコンクリートに埋設され、
前記第2せん断補強鋼材は、前記頂版部に幅方向全体にわたって設けられ、前記対向板部以外が前記頂版部のコンクリートに埋設されていることを特徴とする鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記第1せん断補強鋼材と前記第2せん断補強鋼材とは、それぞれの前記対向板部が互いに接触しておらず前記接合コンクリート部を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材および前記第2せん断補強鋼材の少なくとも一方は、プレキャストコンクリート部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材の前記対向板部には、板面を貫通する第1貫通孔が形成され、
前記第2せん断補強鋼材の前記対向板部には、板面を貫通する第2貫通孔が形成され、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の両方を貫通する貫通鉄筋が前記接合コンクリート部に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記貫通鉄筋の先端部には、前記接合コンクリート部のコンクリートと定着する定着体が接続されていることを特徴とする請求項4に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材の前記対向板部および前記第2せん断補強鋼材の前記対向板部の少なくとも一方には、ジベルが設けられ、
前記ジベルは、前記接合コンクリート部に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記第1せん断補強鋼材の前記対向板部および前記第2せん断補強鋼材の前記対向板部の少なくとも一方には、補剛材が設けられ、
前記補剛材は、前記接合コンクリート部に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記第1せん断補強鋼材および前記第2せん断補強鋼材の少なくとも一方のせん断補強鋼材は、複数設けられていて、
複数設けられた前記せん断補強鋼材は、前記対向板部どうしが拘束部材で拘束されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とは、互いに交差する方向から接合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材および前記第2せん断補強鋼材の少なくとも一方のせん断補強鋼材の前記対向板部は、前記交差する方向のうちの他方のせん断補強鋼材に向かう側に延びていることを特徴とする請求項9に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材と第2せん断補強鋼材とは、同一直線上における互いに対向する方向から接合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記側壁部は第1鉄筋を有し、前記頂版部は第2鉄筋を有し、
前記第1鉄筋および前記第2鉄筋は、前記接合コンクリート部に一体に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 前記側壁部および前記頂版部の少なくとも一方は、他方と接合されるハンチ部を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。
- 前記第1せん断補強鋼材および前記第2せん断補強鋼材は、それぞれ形鋼であり、
前記第1せん断補強鋼材の前記対向板部および前記第2せん断補強鋼材の前記対向板部は、それぞれ前記形鋼のウェブであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合構造。 - 上下方向に延びる鋼コンクリート複合構造の側壁部と、前記上下方向に交差する幅方向に延びる鋼コンクリート構造の頂版部と、が接合部を介して接合される鋼コンクリート複合構造において、前記側壁部に設けられせん断力を負担可能な第1せん断補強鋼材と、前記頂版部に設けられせん断力を負担可能な第2せん断補強鋼材と、を接合部を介して接合する鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合方法において、
前記第1せん断補強鋼材と前記第2せん断補強鋼材とをそれぞれの一部に設けられた板状の対向板部が互いに対向するように前記接合部に配置するせん断補強鋼材設置工程と、
前記せん断補強鋼材設置工程の後に前記第1せん断補強鋼材の前記対向板部および前記第2せん断補強鋼材の前記対向板部を前記接合部に設ける接合コンクリート部で一体に埋設する接合コンクリート部打設工程と、を有し、
前記第1せん断補強鋼材は、前記側壁部に上下方向全体にわたって設けられ、前記対向板部以外が前記側壁部のコンクリートに埋設され、
前記第2せん断補強鋼材は、前記頂版部に幅方向全体にわたって設けられ、前記対向板部以外が前記頂版部のコンクリートに埋設されていることを特徴とする鋼コンクリート複合構造のせん断補強鋼材の接合方法。
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