この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における加工機械を示す斜視図である。図1中には、加工機械の加工エリア内の様子が示されている。
図1を参照して、加工機械100は、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)と、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing)加工)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機である。加工機械100は、SM加工の機能として、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する。
加工機械100は、第1主軸台111と、第2主軸台(不図示)と、工具主軸121と、下刃物台(不図示)とを有する。第1主軸台111、第2主軸台、工具主軸121および下刃物台は、スプラッシュガード206により囲われた加工エリア200内に設けられている。
第1主軸台111は、固定工具を用いた旋削加工時にワークを回転させるための主軸112を有する。主軸112は、水平方向に延びるZ軸に平行な中心軸201を中心に回転可能に設けられている。主軸112には、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構が設けられている。第2主軸台(不図示)は、第1主軸台111と同様の構造を有し、Z軸方向において第1主軸台111と対向して設けられている。
工具主軸(上刃物台)121は、回転工具を用いたミーリング加工時に回転工具を回転させる。工具主軸121は、鉛直方向に延びるX軸に平行な中心軸203を中心に回転可能に設けられている。工具主軸121には、回転工具を着脱可能に保持するためのクランプ機構が設けられている。
工具主軸121は、図示しないコラム等によりベッド上に支持されている。工具主軸121は、コラム等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、X軸方向、水平方向に延び、Z軸方向に直交するY軸方向、および、Z軸方向に移動可能に設けられている。工具主軸121がX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動することによって、工具主軸121に装着された回転工具による加工位置は、3次元的に変位する。工具主軸121は、さらに、Y軸に平行な中心軸204を中心に旋回可能に設けられている。
下刃物台(不図示)は、旋削加工のための複数の固定工具を装着する。下刃物台は、いわゆるタレット形であり、複数の固定工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。下刃物台は、図示しないサドル等によりベッド上に支持されている。下刃物台は、サドル等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、X軸方向およびZ軸方向に移動可能に設けられている。
加工機械100は、付加加工ヘッド21を有する。付加加工ヘッド21は、ワークに対して材料粉末を吐出するとともにレーザ光を照射することにより付加加工を行なう(指向性エネルギー堆積法(Directed Energy Deposition))。
付加加工ヘッド21は、ワークと相対移動可能なように構成されている。より具体的には、付加加工ヘッド21は、工具主軸121に着脱可能に設けられている。付加加工時、付加加工ヘッド21は、工具主軸121に装着される。工具主軸121が、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動することによって、ワークに対する付加加工ヘッド21の位置が3次元的に変位する。さらに本実施の形態では、工具主軸121が中心軸204を中心に旋回することによって、付加加工ヘッド21による付加加工の向き(ワークに対するレーザ光の照射方向)が変化する。除去加工時、付加加工ヘッド21は、工具主軸121から離脱される。
なお、本発明において、付加加工ヘッドがワークと相対移動可能なように構成される構造は、特に限定されない。たとえば、付加加工ヘッド21を移動させるためのヘッド移動機構が、工具主軸121とは別に設けられてもよいし、ワークを3軸移動させるためのワーク移動機構が設けられてもよい。
付加加工ヘッド21は、ヘッド本体22と、付加加工ツール26と、ケーブル継手23とを有する。
ヘッド本体22には、レーザ光および材料粉末が導かれる。付加加工ヘッド21のうちヘッド本体22が、工具主軸121に着脱可能に設けられている。付加加工ツール26は、ワークに向けてレーザ光を出射するとともに、ワークにおけるレーザ光の照射領域を定める。
ケーブル継手23は、ケーブル24をヘッド本体22に接続するための継手として設けられている。ケーブル24には、材料粉末をヘッド本体22に導くためのチューブと、レーザ光をヘッド本体22に導くための光ファイバとが収容されている。
図2は、図1中の付加加工ヘッドの内部構造を示す斜視図である。図3は、図1中の付加加工ヘッドの内部構造を示す別の斜視図である。図中には、付加加工ツール26がヘッド本体22から分離された状態が示されている。
図2および図3を参照して、ヘッド本体22および付加加工ツール26は、それぞれ、連結部51および連結部52を有する。連結部51および連結部52には、クランプ機構が内蔵されており、ヘッド本体22に対する付加加工ツール26の装着時、そのクランプ機構が作動することによって、連結部51および連結部52が互いに連結される。クランプ機構の一例として、バネ力によりクランプ状態を得て、油圧によりアンクランプ状態を得る機構が挙げられる。
ヘッド本体22は、レーザ光入射管42、レーザ光通路筐体43、レーザ光通路管44およびレーザ光通路筐体45を有する。
光ファイバ41には、図1中のケーブル24からレーザ光が導かれる。光ファイバ41は、レーザ光入射管42に接続されている。レーザ光入射管42、レーザ光通路筐体43、レーザ光通路管44およびレーザ光通路筐体45は、挙げた順に連なって設けられている。レーザ光入射管42、レーザ光通路筐体43、レーザ光通路管44およびレーザ光通路筐体45は、ヘッド本体22におけるレーザ光の光路を形成している。
付加加工ツール26は、レーザ光通路筐体48およびレーザ光出射筐体49を有する。レーザ光通路筐体48およびレーザ光出射筐体49は、連なって設けられている。レーザ光通路筐体48およびレーザ光出射筐体49は、付加加工ツール26におけるレーザ光の通路を形成している。
ヘッド本体22および付加加工ツール26は、それぞれ、接続部46および接続部47を有する。ヘッド本体22に対する付加加工ツール26の装着時、接続部46に接続部47が接続されることによって、ヘッド本体22および付加加工ツール26間でレーザ光の通路が連通する。
図4は、図1中の付加加工ヘッドの光学系を模式的に表した図である。図2から図4を参照して、ヘッド本体22は、コリメーションレンズ61、反射鏡62、反射鏡63および保護ガラス64を有する。
コリメーションレンズ61は、レーザ光入射管42に収容されている。コリメーションレンズ61は、光ファイバ41から入力されたレーザ光を平行光にして、反射鏡62および反射鏡63に向けて送る。反射鏡62および反射鏡63は、それぞれ、レーザ光通路筐体43およびレーザ光通路筐体45に収容されている。反射鏡62および反射鏡63は、コリメーションレンズ61からのレーザ光を反射させて付加加工ツール26に向けて送る。
保護ガラス64は、接続部46に設けられている。保護ガラス64は、ヘッド本体22に内蔵された光学部品を外部雰囲気から保護するために設けられている。
付加加工ツール26は、保護ガラス65、集光レンズ66および保護ガラス67を有する。集光レンズ66は、レーザ光通路筐体48に収容されている。集光レンズ66は、レーザ光をワーク上に集光するためのレンズであり、ワークにおけるレーザ光の照射領域を定める光学部品として設けられている。ワークにおけるレーザ光の照射領域を定める光学部品は、集光レンズ66に限られず、たとえば、ミラーであってもよい。
保護ガラス65および保護ガラス67は、それぞれ、接続部47およびレーザ光出射筐体49に設けられている。保護ガラス65および保護ガラス67は、付加加工ツール26に内蔵された光学部品を外部雰囲気から保護するために設けられている。
ヘッド本体22には、実行する付加加工の条件に合わせて、複数の付加加工ツール26(図4中では、付加加工ツール26A、付加加工ツール26Bおよび付加加工ツール26C)のうちいずれか1つの付加加工ツール26が選択的に装着される。複数の付加加工ツール26は、ワーク上に定められるレーザ光の照射領域の形状や大きさが互いに異なる。
図4中に示す例でいえば、付加加工ツール26Aは、集光レンズ66Aを有し、この集光レンズ66Aによって、ワーク上に直径2mmの円形の照射領域を定める。付加加工ツール26Bは、ホモジナイザー68および集光レンズ66Bを有し、このホモジナイザー68および集光レンズ66Bによって、ワーク上に3mm×8mmの矩形の照射領域を定める。付加加工ツール26Cは、集光レンズ66Cを有し、この集光レンズ66Cによって、ワーク上に直径4mmの円形の照射領域を定める。
なお、ヘッド本体22に複数種類の付加加工ツール26が選択的に装着される構成は、本発明において必須ではない。ワークにおけるレーザ光の照射領域を定める手段は、たとえば、付加加工ヘッド21内における光学部品の動作により実現されてもよい。また、本発明は、付加加工ヘッド21にレーザ光の光路を変更するための反射鏡62,63が設けられない構成であってもよい。
図5は、図1中の付加加工ヘッドの先端部を示す斜視図である。図2から図5を参照して、付加加工ツール26は、固定部材71と、回転部材76とを有する。固定部材71は、レーザ光出射筐体49と隣り合って設けられている。固定部材71は、レーザ光出射筐体49に対して、レーザ光通路筐体48の反対側に設けられている。固定部材71は、付加加工ツール26を構成する他の部品に固定して設けられている。
回転部材76は、中心軸221(図5を参照のこと)を中心に回転可能に設けられている。中心軸221は、付加加工ヘッド21(付加加工ツール26)からワークに向けて照射されるレーザ光231の光軸に沿った方向に延びる。本実施の形態では、中心軸221が、レーザ光231の光軸と重なる。回転部材76は、中心軸221の軸方向において、固定部材71と連設されている。すなわち、回転部材76および固定部材71は、中心軸221の軸方向において並んで設けられている。
固定部材71には、中空部74が設けられている(図5を参照のこと)。回転部材76には、中空部77が設けられている(図3を参照のこと)。レーザ光231は、中空部74および中空部77を通り、付加加工ヘッド21(付加加工ツール26)からワークに向けて照射される。
固定部材71は、基部72および円筒部73から構成されている。基部72は、レーザ光出射筐体49と隣り合って設けられている。円筒部73は、中空部74を備えた円筒形状を有する。円筒部73は、基部72からレーザ光231の光軸方向に沿って円筒状に延出するように設けられている。回転部材76は、基部72から円筒状に延出する円筒部73の先端に設けられている。回転部材76は、中空部77を備えた円板形状を有する。
ヘッド本体22は、回転駆動源としてのサーボモータ31と、クラッチ板32とを有する。付加加工ツール26は、クラッチ板33と、回転シャフト34と、プーリベルト35とを有する。
クラッチ板32は、サーボモータ31の出力軸に接続されている。回転シャフト34は、クラッチ板33に接続されている。ヘッド本体22に対する付加加工ツール26の装着時、クラッチ板33がクラッチ板32に摩擦係合することにより、サーボモータ31から出力された回転が回転シャフト34に伝達される。プーリベルト35は、回転シャフト34および回転部材76に設けられたプーリ(不図示)間に掛け渡されている。回転シャフト34の回転がプーリベルト35を介して回転部材76に伝達されることによって、回転部材76が中心軸221を中心に回転する。
なお、サーボモータ31から回転部材76に向けて回転を伝達する手段は、上記のプーリを用いた構成に限られず、たとえば、歯車を用いた構成であってもよい。
図6は、レーザ光の光路および材料粉末の流路を模式的に表わす図である。図4から図6を参照して、加工機械100は、レーザ発振装置161をさらに有する。レーザ発振装置161は、付加加工に用いられるレーザ光を発振する。
図6に示されるように、レーザ発振装置161において発振されたレーザ光は、光路162を進行し、付加加工ヘッド21からワークに向けて照射される。光路162は、図1中のケーブル24に収容される光ファイバと、上述の付加加工ヘッド21内に設けられた各種光学部品とによって規定されている。
図2、図3、図5および図6を参照して、加工機械100は、材料粉末供給装置171と、ノズル部151とをさらに有する(図2および図3中では、ノズル部151の図示が省略されている)。
材料粉末供給装置171は、付加加工に用いられる材料粉末をキャリアガスとともにノズル部151に向けて供給する。材料粉末供給装置171は、材料粉末を貯留するタンク部と、材料粉末とキャリアガスとを混合する混合部とから構成されている。
ノズル部151は、付加加工ヘッド21に設けられている。ノズル部151は、回転部材76により支持されている。ノズル部151は、ブラケット94を介して、回転部材76により支持されている。ノズル部151は、付加加工ヘッド21からワークに向けて照射されるレーザ光231の光軸(中心軸221)の軸周りにおいて、全周の一部分に対応する任意の位相位置に配置されている。ノズル部151は、レーザ光231の光軸(中心軸221)からその半径方向に離れた位置に設けられている。
ノズル部151は、回転部材76が中心軸221を中心に回転するのに伴って、ワークに向けて照射されるレーザ光231の周りで周方向に移動する。特に本実施の形態では、回転部材76の回転中心である中心軸221が、レーザ光231の光軸と重なるため、ノズル部151はレーザ光231の光軸を中心に回転移動する。
ノズル部151は、ワークに向けて材料粉末を吐出する複数の吐出口156(第1吐出口156A,第2吐出口156B)を有する。
ノズル部151は、ブロック体からなる。ノズル部151には、第1貫通孔152および第2貫通孔153が設けられている。第1貫通孔152は、直線状に延び、その先端で開口している。第1吐出口156Aは、第1貫通孔152の開口部により構成されている。第2貫通孔153は、直線状に延び、その先端で開口している。第2吐出口156Bは、第2貫通孔153の開口部により構成されている。第1吐出口156Aの開口面積と、第2吐出口156Bの開口面積とは、互いに等しい大きさである。第1吐出口156Aの開口面積と、第2吐出口156Bの開口面積とは、互いに異なる大きさであってもよい。本発明におけるノズル部は、ブロック体に限られず、たとえば、管部材から構成されてもよい。
加工機械100は、第1チューブ81と、スプリッタ91と、第2チューブ92と、第3チューブ93とをさらに有する(図2および図3中では、スプリッタ91、第2チューブ92および第3チューブ93の図示が省略されている)。第1チューブ81、スプリッタ91、第2チューブ92および第3チューブ93は、付加加工ヘッド21に設けられている。
第1チューブ81は、可撓性を有する。第1チューブ81は、たとえば、樹脂製のフレキシブルチューブである。第1チューブ81の内周面には、耐摩耗性を向上させるためのコーティング層が設けられてもよい。
第1チューブ81は、第2チューブ92および第3チューブ93よりも、付加加工ヘッド21における材料粉末の流れの上流側に設けられている。第1チューブ81は、配管継手86を介して、連結部52に接続されている。
第1チューブ81は、レーザ光231の周りで周回するように設けられている。第1チューブ81の周回中心軸は、レーザ光231の光軸に略一致する。第1チューブ81は、レーザ光231の周りで複数回、周回するように設けられている。図5中に示す例では、第1チューブ81は、レーザ光231の周りで5回、周回するように設けられている。第1チューブ81は、レーザ光231の光軸方向に沿って螺旋状に設けられている。すなわち、第1チューブ81は、レーザ光231の光軸方向にずれながらレーザ光231の周りを周回している。
第1チューブ81は、固定部材71(より具体的には、円筒部73)の周りで周回するように設けられている。第1チューブ81の周回中心軸は、回転部材76の回転中心である中心軸221に略一致する。
固定部材71(より具体的には、基部72)には、留め具82が取り付けられている。回転部材76には、留め具83が取り付けられている。第1チューブ81は、レーザ光231の周りで周回する区間の一方端にて、留め具82により固定部材71に支持され、レーザ光231の周りで周回する区間の他方端にて、留め具83により回転部材76に支持されている。
付加加工ツール26は、複数の保持ピン88を有する。複数の保持ピン88は、第1チューブ81をレーザ光231(円筒部73)の周りで周回する形態に保持するように構成されている。
より具体的には、保持ピン88は、ピン形状を有する。保持ピン88は、円筒部73の外周面から径方向外側に突出するように設けられている。複数の保持ピン88は、円筒部73における第1チューブ81の経路に沿って設けられている。すなわち、複数の保持ピン88は、中心軸221の軸方向に位置をずらしながら、中心軸221の周方向に所定間隔(本実施の形態では、90°間隔)を隔てて設けられている。第1チューブ81は、中心軸221の軸方向に隣り合う保持ピン88の間に位置決めされることにより、レーザ光231の周りで周回する形態に保持されている。
なお、周方向において保持ピン88が設けられる間隔は、特に限定されず、たとえば、120°間隔であってもよいし、60°間隔であってもよい。周方向において保持ピン88が設けられる間隔は、等間隔であることが好ましい。第1チューブ81をレーザ光231の周りで周回する形態に保持する機構は、上記のピン構造に限られず、たとえば、円筒部73の外周面上において中心軸221を中心に螺旋状に延びるリブ構造であってもよい。また、第1チューブ81がレーザ光231の周りで周回する回数は、特に限定されない。
第1チューブ81は、直線状のチューブ材であってもよいし、予め螺旋状に成形されたチューブ材であってもよい。
スプリッタ91は、ブラケット95およびブラケット94を介して、回転部材76により支持されている。スプリッタ91は、回転部材76が中心軸221を中心に回転するのに伴って、ノズル部151とともに、ワークに向けて照射されるレーザ光231の周りで周方向に移動する。
スプリッタ91は、チューブ分岐用のジョイントである。スプリッタ91は、チューブ分岐用のY型ジョイントである。スプリッタ91には、付加加工ヘッド21における材料粉末の流れの上流側から第1チューブ81が接続され、付加加工ヘッド21における材料粉末の流れの下流側から第2チューブ92および第3チューブ93が接続されている。スプリッタ91は、第1チューブ81を、第2チューブ92および第3チューブ93に分岐している。
第2チューブ92および第3チューブ93は、スプリッタ91およびノズル部151の間において互いに並列に延びている。第2チューブ92は、第1貫通孔152に連通するようにノズル部151に接続されている。第3チューブ93は、第2貫通孔153に連通するようにノズル部151に接続されている。
図6に示されるように、材料粉末供給装置171から複数の吐出口156(156A,156B)までの材料粉末の流路は、分岐点176を有する第1流路172と、複数の第2流路173(173A,173B)とを含む。
第1流路172は、材料粉末供給装置171から分岐点176まで延びている。分岐点176は、材料粉末流れの下流側における第1流路172の端部である。第1流路172には、材料粉末供給装置171からの材料粉末が供給されている。第1流路172は、少なくとも材料粉末供給装置171から付加加工ヘッド21まで延びている。本実施の形態では、第1流路172が、さらに付加加工ヘッド21を越えて、スプリッタ91が設けられた位置まで延びている。
複数の第2流路173は、分岐点176よりも材料粉末流れの下流側に設けられている。複数の第2流路173は、それぞれ、複数の吐出口156まで延びている。複数の第2流路173は、第1流路172から分岐し、複数の吐出口156に向けて材料粉末を送る。第2流路173Aおよび第2流路173Bは、分岐点176において第1流路172から分岐する。第2流路173Aは、第1流路172の分岐点176から第1吐出口156Aまで延びている。第2流路173Aは、第1流路172からの材料粉末を第1吐出口156Aに向けて送る。第2流路173Bは、第1流路172の分岐点176から第2吐出口156Bまで延びている。第2流路173Bは、第1流路172からの材料粉末を第2吐出口156Bに向けて送る。
第1流路172は、付加加工ヘッド21において、第1チューブ81およびスプリッタ91により形成されている。第1流路172の分岐点176は、スプリッタ91内に設けられている。第2流路173Aは、スプリッタ91、第2チューブ92およびノズル部151(第1貫通孔152)により形成されている。第2流路173Bは、スプリッタ91、第3チューブ93およびノズル部151(第2貫通孔153)により形成されている。
スプリッタ91は、分岐点176において、第1流路172を第2流路173Aおよび第2流路173Bに分岐させている。
図7は、付加加工時におけるノズル部およびワークを示す上面図である。図7中では、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向が白抜きの矢印により示されている。図8は、図7中の矢印VIIIに示す方向に見たノズル部およびワークを示す側面図である。
図6から図8を参照して、ノズル部151は、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)の軸周りにおいて、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向の前方の位相位置に配置されている。
第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bは、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)に直交する平面310内において、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向に直交する方向(矢印320に示す方向)に並んでいる。
ノズル部151における第1貫通孔152および第2貫通孔153は、互いに非平行に延びている。第1貫通孔152の中心軸をワークWに向けて延長した直線と、第2貫通孔153の中心軸をワークWに向けて延長した直線とは、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)に重なる位置で互いに交わる。ワークWにおけるレーザ光の照射領域241に対する第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの位置関係は、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)と、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向とを含む平面を挟んで対称となっている。
本実施の形態における加工機械100では、第1流路172を流れる材料粉末を、スプリッタ91内の分岐点176において第2流路173Aおよび第2流路173Bに分岐させることで、第2流路173Aおよび第2流路173bの各流路の流路面積を第1流路172の流路面積と変化させず、第2流路173Aおよび第2流路173Bの総流路面積を第1流路172の流路面積よりも大きくすることができる。これにより、第2流路173Aおよび第2流路173Bの各流路を流れるキャリアガスの流量や流速が減少するため、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの各吐出口156からワークWに向けて吐出される材料粉末の速度を遅くすることができる。その結果、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの各吐出口156からワークWに向けて吐出された材料粉末がワークWの表面上で飛び散る現象を抑制して、材料粉末の利用効率を高めることができる。
また、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向と、ワークWに対する材料粉末の吐出方向との間には、ワークWへの材料粉末の付着が良好となる最適な角度関係が存在する。これに対して、本実施の形態では、ノズル部151が、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)の軸周りにおいて、全周の一部分に対応する任意の位相位置(本実施の形態では、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向の前方の位相位置)に配置されている。これにより、材料粉末の利用効率をさらに高めることができる。
また、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向は、付加加工の進行に伴って刻々と変化する。さらに、ワークWへの材料粉末の付着が良好となる位相位置は、ワークWの加工条件によって異なる。これに対して、本実施の形態では、ノズル部151が、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)の軸周りにおいて周方向に移動可能に設けられている。このため、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向またはワークの加工条件に対応させて、ノズル部151を材料粉末の利用効率が良好となる位相位置に移動させることができる。
また、本実施の形態では、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bが、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)に直交する平面310内において、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向に直交する方向に並んでいる。このような構成により、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの双方を、ワークWにおけるレーザ光の照射領域241との関係において材料粉末の利用効率が良好となる位置に配置することが可能となる。これにより、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bから吐出される材料粉末をワークWにおけるレーザ光の照射領域241により効率的に吐出して、材料粉末の付着効率をさらに向上させることができる。
また、本実施の形態では、第1流路172が、少なくとも材料粉末供給装置171から付加加工ヘッド21まで延びている。このような構成により、少なくとも材料粉末供給装置171から付加加工ヘッド21までの間において、材料粉末が流れる流路の面積を小さく抑えることができる。これにより、材料粉末供給装置171からの材料粉末の供給を、より小さい流量のキャリアガスで実現することができる。
図9は、付加加工時におけるノズル部の位相位置の変形例を示す上面図である。図9は、図7に対応する図である。
図9を参照して、本変形例では、ノズル部151が、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)の軸周りにおいて、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向の後方の位相位置に配置されている。本変形例に示されるように、ワークWへの材料粉末の付着が良好となるノズル部151の位相位置は、特に限定されない。
図10は、ノズル部の第1変形例を示す上面図である。図10は、図7に対応する図である。図11は,図10中のXI−XI線上の矢視方向に見たノズル部およびワークを示す断面図である。
図10および図11を参照して、本変形例では、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bが、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)と、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向とを含む平面内において、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向に沿って並んでいる。
このような構成によれば、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向に直交する方向におけるノズル部151の厚みを小さくすることができる。これにより、たとえば、ワークの互いに直交する2面の隅部に沿って付加加工を行なう場合に、付加加工ヘッド21をその隅部と対向させながら移動させたとしても、ノズル部151がワークと干渉し難くなる。
図12は、ノズル部の第2変形例を示す側面図である。図12は、図8に対応する図である。図13は、図12中のノズル部が適用された場合のレーザ光の光路および材料粉末の流路を模式的に表わす図である。図13は、図6に対応する図である。
図12および図13を参照して、本変形例では、ノズル部151が、ワークに向けて材料粉末を吐出する複数の吐出口156(第1吐出口156A,第2吐出口156B,第3吐出口156C,第4吐出口156D)を有する。
ノズル部151には、第1貫通孔152および第2貫通孔153に加えて、第3貫通孔154および第4貫通孔155が設けられている。第3貫通孔154は、直線状に延び、その先端で開口している。第3吐出口156Cは、第3貫通孔154の開口部により構成されている。第4貫通孔155は、直線状に延び、その先端で開口している。第4吐出口156Dは、第4貫通孔155の開口部により構成されている。
第1吐出口156Aの開口面積と、第2吐出口156Bの開口面積と、第3吐出口156Cの開口面積と、第4吐出口156Dの開口面積とは、互いに等しい大きさである。第1吐出口156A、第2吐出口156B、第3吐出口156Cおよび第4吐出口156Dは、互いに異なる大きさの開口面積を有する複数の吐出口を含んでもよい。
第3吐出口156Cおよび第4吐出口156Dは、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)に直交する平面内において、ワークWに対する付加加工ヘッド21の進行方向に直交する方向に並んでいる。第3吐出口156Cおよび第4吐出口156Dは、それぞれ、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの上方に設けられている。
加工機械100は、複数のスプリッタ91(91A,91B,91C)を有する。スプリッタ91Aは、分岐点176において、第1流路172を中間流路174Aおよび中間流路174Bに分岐させている。スプリッタ91Bは、中間流路174Aを、第2流路173Aおよび第2流路173Bに分岐させている。スプリッタ91Cは、中間流路174Bを、第2流路173Cおよび第2流路173Dに分岐させている。
第2流路173A、第2流路173B、第2流路173Cおよび第2流路173Dは、それぞれ、第1吐出口156A、第2吐出口156B、第3吐出口156Cおよび第4吐出口156Dまで延びている。第2流路173A、第2流路173B、第2流路173Cおよび第2流路173Dは、それぞれ、第1吐出口156A、第2吐出口156B、第3吐出口156Cおよび第4吐出口156Dに向けて材料粉末を送る。
本変形例に示されるように、ノズル部151に設けられる吐出口156の数は、3つ以上の複数であってもよい。
図14は、材料粉末の流路の第1変形例を示す図である。図14は、図6に対応する図である。図14を参照して、本変形例では、付加加工ヘッド21に図6中のスプリッタ91が設けられていない。第1流路172の分岐点176は、ノズル部151内に設けられている。ノズル部151は、分岐点176において、第1流路172を第2流路173Aおよび第2流路173Bに分岐している。
図15は、材料粉末の流路の第2変形例を示す図である。図15は、図6に対応する図である。図15を参照して、本変形例では、スプリッタ91が、材料粉末が材料粉末供給装置171から付加加工ヘッド21に導かれる経路上に設けられている。第1流路172は、材料粉末が材料粉末供給装置171から付加加工ヘッド21に導かれる経路上の分岐点176において、第2流路173Aおよび第2流路173Bに分岐されている。
なお、本実施の形態では、付加加工ヘッドを備える加工機械がAM/SMハイブリッド加工機械である場合を説明したが、本発明はこれに限られない。付加加工ヘッドを備える加工機械は、たとえば、旋盤ベースのAM/SMハイブリッド加工機械であってもよいし、マシニングセンタベースのAM/SMハイブリッド加工機械であってもよい。また、付加加工ヘッドを備える加工機械は、付加加工のみ実行可能な加工機械であってもよい。
(実施の形態2)
図16は、この発明の実施の形態2における加工機械において、付加加工ヘッドの先端部を部分的に示す斜視図である。図17は、図16中の加工機械におけるノズル部を示す側面図である。本実施の形態における加工機械は、実施の形態1における加工機械100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
図16および図17を参照して、本実施の形態では、ノズル部151が、第1ノズル片151Aと、第2ノズル片151Bと、接続部181とを有する。
第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bは、互いに分割されたブロック体からなる。第1ノズル片151Aは、第1吐出口156Aを有する。第2ノズル片151Bは、第2吐出口156Bを有する。第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bは、ワークWに向けて照射されるレーザ光の光軸(中心軸221)に直交する平面310内に設けられている。第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bは、その平面310内において互いに離れて配置されている。
接続部181は、第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bを接続している。接続部181は、第1アーム183と、第2アーム184と、アーム接合部182とを有する。第1アーム183は、アーム形状を有する。第1アーム183の一方端は、第1ノズル片151Aに接続されている。第2アーム184は、アーム形状を有する。第2アーム184の一方端は、第2ノズル片151Bに接続されている。アーム接合部182は、第1アーム183および第2アーム184の他方端同士を接合している。接続部181は、アーム接合部182を角部とし、第1アーム183および第2アーム184が互いに所定の角度をなしながら、アーム接合部182から離れる方向に延伸するV字形状を有する。
図18は、図17中のノズル部(第1吐出口および第2吐出口間の距離の増大時)を示す側面図である。図19は、図18中のノズル部からワーク表面に吐出される材料粉末の領域を示す上面図である。
図16から図19を参照して、ノズル部151は、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの間の距離が変化するように変形可能に設けられている。
本実施の形態における加工機械は、第1移動機構部191をさらに有する。第1移動機構部191は、平面310の平面方向において第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bを移動させる。
第1移動機構部191は、サーボモータ192と、ギヤ194と、スクリューシャフト193とを有する。
サーボモータ192は、ギヤ194に対して回転を出力する。スクリューシャフト193は、ギヤ194と一体に設けられている。スクリューシャフト193は、ギヤ194を貫通し、ギヤ194の回転中心軸に沿って延びている。スクリューシャフト193の外周面には、雄ねじが設けられている。スクリューシャフト193に設けられる雄ねじの方向は、ギヤ194を挟んだ一方の側と他方の側とで逆向きである。スクリューシャフト193は、第1アーム183および第2アーム184に螺合されている。ギヤ194は、第1アーム183および第2アーム184の間に配置されている。
サーボモータ192から出力された回転は、ギヤ194に伝達される。たとえば、サーボモータ192から順方向の回転がギヤ194に伝達された場合、スクリューシャフト193がギヤ194と一体となって順方向に回転する。このとき、接続部181が、第1アーム183および第2アーム184がなす角度が大きくように変形することによって、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの間の距離が増大する。サーボモータ192から逆方向の回転がギヤ194に伝達された場合、スクリューシャフト193がギヤ194と一体となって逆方向に回転する。このとき、接続部181が、第1アーム183および第2アーム184がなす角度が小さくように変形することによって、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの間の距離が減少する。
図17に示されるノズル部151(151A,151B)においては、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの間の距離がW1に設定されている。
第1吐出口156Aから吐出される材料粉末と、第2吐出口156Bから吐出される材料粉末とによって、ワークWの表面には、材料粉末の吐出領域251が形成されている。吐出領域251は、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの並び方向において、幅B1を有する。
図18および図19に示されるノズル部151(151A,151B)においては、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの間の距離がW1よりも大きいW2に設定されている(W2>W1)。
第1吐出口156Aから吐出される材料粉末と、第2吐出口156Bから吐出される材料粉末とによって、ワークWの表面には、材料粉末の吐出領域252が形成されている。吐出領域252は、2つの円が、各円の中心同士が第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの並び方向にずれた形態により繋がった形状を有する。吐出領域252は、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの並び方向において、幅B1よりも大きい幅B2を有する(B2>B1)。
本実施の形態における加工機械によれば、ワーク表面上におけるレーザ光のスポット径に合わせて、材料粉末の吐出領域の大きさを変化させることができる。これにより、ワーク表面に向けて吐出された材料粉末のうちの、レーザ光により溶融される材料粉末の割合が増大するため、材料粉末の利用効率をさらに高めることができる。
図20は、図17中のノズル部(第1吐出口および第2吐出口間の距離の増大時、かつ、ワーク表面から第1吐出口および第2吐出口が設けられる平面までの距離の増大時)を示す側面図である。図21は、図20中のノズル部からワーク表面に吐出される材料粉末の領域を示す上面図である。
図16、図20および図21を参照して、本実施の形態における加工機械は、第2移動機構部196をさらに有する。第2移動機構部196は、ワークWの表面から第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bが設けられる平面310までの距離が変化するように、第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bを移動させる。第2移動機構部196は、第1吐出口156Aからの材料粉末の吐出方向(第1貫通孔152が延びる直線方向)と、第2吐出口156Bからの材料粉末の吐出方向(第2貫通孔153が延びる直線方向)とがなす角度の二等分線方向において、第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bを移動させる。
第2移動機構部196は、サーボモータ197と、ピニオン198と、ラック199とを有する。
サーボモータ197は、ピニオン198に対して回転を出力する。ピニオン198は、接続部181に取り付けられている。ピニオン198は、アーム接合部182によって回転可能なように支持されている。ラック199は、ピニオン198と噛合している。ラック199は、ラック199に設けられる複数の歯が、第1吐出口156Aからの材料粉末の吐出方向と、第2吐出口156Bからの材料粉末の吐出方向とがなす角度の二等分線上に沿って並ぶように設けられている。ピニオン198の回転中心軸は、ラック199に設けられる複数の歯の並び方向に直交する方向に延びている。
サーボモータ197から出力された回転は、ピニオン198に伝達される。たとえば、サーボモータ197から順方向の回転がピニオン198に伝達された場合、ピニオン198が順方向に回転する。このとき、ピニオン198とラック199との噛み合いによって、第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bは、レーザ光が照射されるワーク表面から遠ざかるように移動する。サーボモータ197から逆方向の回転がピニオン198に伝達された場合、ピニオン198が逆方向に回転する。このとき、ピニオン198とラック199との噛み合いによって、第1ノズル片151Aおよび第2ノズル片151Bは、レーザ光が照射されるワーク表面に近づくように移動する。
図17および図18に示されるノズル部151(151A,151B)においては、ワーク表面から第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bが設けられる平面310までの距離がH1に設定されている。
図20および図21に示されるノズル部151(151A,151B)においては、ワーク表面から第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bが設けられる平面310までの距離が、H1よりも大きいH2に設定されている。
第1吐出口156Aから吐出される材料粉末と、第2吐出口156Bから吐出される材料粉末とによって、ワークWの表面には、材料粉末の吐出領域253が形成されている。吐出領域253は、第1吐出口156Aおよび第2吐出口156Bの並び方向において、幅B1よりも大きい幅B3を有する(B3>B1)。吐出口252は、円形状(近似的な円形状)を有する。
このような構成によれば、ワーク表面上におけるレーザ光のスポット径に合わせて、材料粉末の吐出領域の大きさに加えて、吐出領域の形状を円形に近づけることができる。これにより、材料粉末の利用効率をさらに高めることができる。
なお、本実施の形態において説明した第1移動機構部191および第2移動機構部196に構造は一例であって、特に限定されるものではない。たとえば、本発明における第1移動機構部および第2移動機構部は、手動により動作するものであってもよい。
(実施の形態3)
図22は、この発明の実施の形態3における加工機械において、付加加工ヘッドの先端部に設けられたノズル部を示す斜視図である。図23は、図22中のノズル部を示す断面図である。本実施の形態における加工機械は、実施の形態1における加工機械100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図22および図23を参照して、加工機械は、第1管部材としての第1チューブ81を有する。第1チューブ81は、第1流路172を形成している。
本実施の形態では、図5中のスプリッタ91、第2チューブ92および第3チューブ93が設けられていない。ノズル部151は、第2管部材としての外管262と、第3管部材としての内管263と、複数の吐出口156としての第3吐出口156Eおよび第4吐出口156Fとを有する。
外管262は、中心軸226に沿って延びている。内管263は、外管262の内側に配置されている。内管263は、中心軸226に沿って延びている。
第1チューブ81、外管262および内管263は、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面(中心軸226の軸方向に直交する平面)により切断された場合に、円形の外形を有する。外管262および内管263は、共軸となるように設けられている。なお、外管262および内管263は、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合に、円形の外形に限られず、たとえば、四角形等の多角形の外形を有してもよいし、楕円形の外形を有してもよい。
ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の外管262の外形(直径)は、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の第1チューブ81の外形(直径)よりも大きい。ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の外管262の外形(直径)は、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の内管263の外形(直径)よりも大きい。
ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の内管263の外形(直径)は、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の第1チューブ81の外形(直径)よりも小さくてもよいし、ノズル部151における材料粉末流れに直交する平面により切断された場合の第1チューブ81の外形(直径)以上であってもよい。
外管262は、ノズル部151における材料粉末流れの上流側で、第1チューブ81に接続されている。外管262は、ノズル部151における材料粉末流れの下流側で第4吐出口156Fにおいて開口している。外管262は、第2流路173Fを形成している。第2流路173Fは、外管262の内側であって、内管263の外側に区画形成されている。第4吐出口156Fは、中心軸226を中心とするリング形状の開口面を形成している。
内管263は、ノズル部151における材料粉末流れの上流側で、第1チューブ81と対向して開口している。内管263は、ノズル部151における材料粉末流れの下流側で第3吐出口156Eにおいて開口している。内管263は、第2流路173Eを形成している。第2流路173Eは、内管263の内側に区画形成されている。第2流路173Eは、内管263によって第2流路173Fと区画されている。第2流路173Fは、第2流路173Eをその外周上から取り囲むように設けられている。第3吐出口156Eは、中心軸226を中心とする円形の開口面を形成している。
第1流路172を流れる材料粉末は、第2流路173Eおよび第2流路173Fを通り、それぞれ第3吐出口156Eおよび第4吐出口156FからワークWに向けて吐出される。このとき、第2流路173Eを形成する内管263は、材料粉末流れの上流側で、第1流路172を形成する第1チューブ81と対向して開口しているため、第2流路173Eには、材料粉末が相対的に密に流れ、第2流路173Fには、材料粉末が相対的に疎に流れる。
このような構成によれば、第1流路172を流れる材料粉末を、ノズル部151において第2流路173Eおよび第2流路173Fに分岐させることによって、第2流路173Eおよび第2流路173Fの総流路面積を第1流路172の流路面積よりも大きくすることができる。これにより、第2流路173Eおよび第2流路173Fの各流路を流れるキャリアガスの流量や流速が減少するため、第3吐出口156Eおよび第4吐出口156Fの各吐出口156からワークWに向けて吐出される材料粉末の速度を遅くすることができる。その結果、第3吐出口156Eおよび第4吐出口156Fの各吐出口156からワークWに向けて吐出された材料粉末がワークWの表面上で飛び散る現象を抑制して、材料粉末の利用効率を高めることができる。
また、ワークWの表面にレーザ光が照射されることによって、ワークWからノズル部151に対して輻射熱が加わる。本実施の形態では、外管262の内側の第2流路173Fにキャリアガスが流れることによって、ノズル部151を効率的に冷却することができる。
以上に説明した、この発明の実施の形態1〜3における加工機械の構造をまとめると、加工機械は、ワークに向けてレーザ光を照射し、ワークと相対移動可能な付加加工ヘッド21と、付加加工ヘッド21に設けられ、ワークに向けて照射されるレーザ光の光軸周りにおいて、全周の一部分に対応する任意の位相位置に配置されるノズル部151と、ノズル部151に向けてキャリアガスとともに材料粉末を供給する材料粉末供給装置171とを備える。ノズル部151は、ワークに向けて材料粉末を吐出する複数の吐出口156を有する。材料粉末供給装置171から複数の吐出口156までの材料粉末の流路は、分岐点を有し、材料粉末供給装置171から分岐点まで延びる第1流路172と、分岐点よりも材料粉末流れの下流側に設けられ、複数の吐出口156までそれぞれ延びる複数の第2流路173とを含む。
このように構成された、この発明の実施の形態1〜3における加工機械によれば、複数の吐出口156の各々からワークに向けて吐出される材料粉末の速度を遅くすることによって、材料粉末の飛び散り現象を防ぐことができる。また、ノズル部151を、材料粉末の利用効率が良好となる位相位置に配置することができる。これらの理由により、材料粉末の利用効率を十分に高めることができる。
(実施の形態4)
図24は、この発明の実施の形態4における加工機械において、付加加工ヘッドの先端部を示す斜視図である。本実施の形態における加工機械は、実施の形態1における加工機械100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図24を参照して、本実施の形態における加工機械は、付加加工ヘッド21と、材料粉末供給装置171(不図示)と、ノズル部341と、排気機構部331とを有する。
ノズル部341は、実施の形態1におけるノズル部151に替わって、付加加工ヘッド21に設けられている。ノズル部341は、ワークに向けて材料粉末を吐出する吐出口343を有する。ノズル部341には、貫通孔342が設けられている。貫通孔342は、直線状に延び、その先端で開口している。吐出口343は、貫通孔342の開口面により構成されている。
排気機構部331は、材料粉末供給装置171から吐出口343までの材料粉末の流路311上から、キャリアガスの一部を排気させる。排気機構部331は、吐出口343よりも流路311における材料粉末流れの上流側に設けられている。排気機構部331は、ノズル部341よりも流路311における材料粉末流れの上流側に設けられている。
本実施の形態における加工機械は、第1チューブ81と、ジョイント321と、第2チューブ326とをさらに有する。
第1チューブ81、ジョイント321、第2チューブ326およびノズル部151は、材料粉末供給装置171から吐出口343までの材料粉末の流路311の一部を形成している。第1チューブ81、ジョイント321、第2チューブ326およびノズル部151は、付加加工ヘッド21から吐出口343までの区間において流路311を形成している。
第1チューブ81、ジョイント321、第2チューブ326およびノズル部341は、付加加工ヘッド21に取り付けられている。第1チューブ81、ジョイント321、第2チューブ326およびノズル部341は、挙げた順に、流路311における材料粉末流れの上流側から下流側に並んで設けられている。第1チューブ81は、流路311における材料粉末流れの上流側からジョイント321に接続されている。第2チューブ326は、流路311における材料粉末流れの下流側からジョイント321に接続されている。第2チューブ326は、流路311における材料粉末流れの上流側からノズル部341に接続されている。
図25は、図24中のジョイント内のキャリアガスの流れを模式的に示す断面図である。図24および図25を参照して、ジョイント321は、排気機構部331を取り付け可能なエア継手である。ジョイント321は、主流路部322と、排気流路部323とを有する。
主流路部322は、流路311の一部を形成している。主流路部322は、直線状に延びる流路を形成している。主流路部322には、流路311における材料粉末流れの上流側から第1チューブ81が接続され、流路311における材料粉末流れの下流側から第2チューブ326が接続されている。排気流路部323は、主流路部322に接続されている。排気流路部323は、排気流路312を形成している。排気流路312は、流路311に接続されている。
排気流路部323には、排気機構部331が設けられている。排気機構部331は、エア抜きバルブである。排気機構部331を開弁することによって、排気流路312が外部空間に開放される。流路311の圧力が外部の圧力よりも高い条件下において、流路311を流れるキャリアガスの一部が、排気流路312に流入する。排気流路312に流入したキャリアガスの一部は、排気機構部331を通じて外部空間に排出される。
このような構成によれば、材料粉末供給装置171から吐出口343までの材料粉末の流路311上からキャリアガスの一部を排気させることによって、吐出口343からワークに向けて吐出される材料粉末の速度を遅くすることができる。これにより、吐出口343からワークに向けて吐出された材料粉末がワーク表面上で飛び散る現象を抑制して、材料粉末の利用効率を高めることができる。
図25に示されるように、排気流路312は、流路311から排気流路312へのキャリアガスの一部の流入方向が、少なくとも、流路311における材料粉末流れの下流側から上流側に向かう方向の成分を含むように設けられている。ジョイント321は、材料粉末流れの上流側の流路311と、排気流路312とが、90°よりも小さい角度θをなすように設けられている(θ<90°)。
このような構成によれば、流路311を流れる材料粉末が、キャリアガスとともに排気流路312に流入することを抑制できる。これにより、材料粉末の利用効率をさらに高めることができる。
なお、本実施の形態では、排気機構部331がジョイント321に設けられる場合を説明したが、このような構成に限られない。たとえば、排気機構部331は、ノズル部341に設けられてもよい。また、本実施の形態におけるノズル部341が、実施の形態1における複数の吐出口156が設けられたノズル部151に置き換えられる構成であってもよい。
以上に説明した、この発明の実施の形態4における加工機械の構造をまとめると、加工機械は、ワークに向けてレーザ光を照射し、ワークと相対移動可能な付加加工ヘッド21と、ワークに向けて材料粉末を吐出する吐出口343を有し、付加加工ヘッド21に設けられるノズル部341と、ノズル部341に向けてキャリアガスとともに材料粉末を供給する材料粉末供給装置171と、材料粉末供給装置171から吐出口343までの材料粉末の流路311上から、キャリアガスの一部を排気させる排気機構部331とを備える。
このように構成された、この発明の実施の形態4における加工機械によれば、吐出口343からワークに向けて吐出される材料粉末の速度を遅くすることによって、材料粉末の飛び散り現象を防ぐことができる。これにより、材料粉末の利用効率を高めることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。