JP6983814B2 - 抗ウイルス活性を示すヌクレオシド誘導体 - Google Patents

抗ウイルス活性を示すヌクレオシド誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、抗ウイルス活性を示すヌクレオシド誘導体に関し、より詳しくは、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、2’−デオキシプリンヌクレオシド誘導体、及び該誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤に関する。
B型肝炎ウイルス(HBV)が感染すると、急性又は劇症的に肝炎が生じ、時に死に至ることがある。また、慢性的に肝炎を発症させ、肝硬変、そして肝細胞癌へと進行する場合もある。その感染者数は全世界で約4億人いると推定され、東南アジアを中心として罹患率は非常に高く、その有効な治療方法の開発が世界的に希求されている。
HBVは、不完全2本鎖DNAウイルスであり、その生活環においてRNAからDNAを合成する逆転写を行うことが知られている。一方、宿主となるヒトにおいては、逆転写は行われないので、この段階を阻害することにより、HBVの複製のみを阻止できることが可能となる。そして、このような観点からのHBV感染症の治療薬として、ヌクレオシド誘導体製剤が開発されている(例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1参照)。
特開2004−244422号公報 特開2008−273960号公報 Yuki Takamatsu et al., HEPATOLOGY, Vol. 62, No. 4, 2015, pp. 1024-1036
現状のヌクレオシド誘導体製剤において、その多くが宿主細胞、すなわち服用するヒトの細胞に対しても毒性を有しており、中長期の服用による副作用が問題となっている。また、服用期間にヌクレオシド誘導体への耐性株が生じることもある。そのため、HBV等のウイルス感染症に対する有効な治療方法は確立されていないのが現状である。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくともHBVに対して抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対する毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構造式により表されるヌクレオシド誘導体が、少なくともHBVに対して抗ウイルス活性を有すると共に、宿主細胞に対する毒性が特に低いことを見出した。
Figure 0006983814
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、又はアジド基である。
即ち、本発明者らは、2’−デオキシアデノシンにおいて、プリン塩基の2位をアミノ基とすると共に、その6位を水素原子とすることにより、HBVに対して優れた抗ウイルス活性が得られると共に、宿主細胞に対する毒性を特に低くできることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体、及び該誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤に関し、より詳しくは、以下を提供するものである。
<1> 下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体。
Figure 0006983814
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、又はアジド基である。
<2>Rは、モノフルオロメチル基、エテニル基、シアノ基、又はアジド基である、<1>に記載のヌクレオシド誘導体。
<3><1>又は<2>に記載のヌクレオシド誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤。
<4> 抗B型肝炎ウイルス剤である、<3>に記載の抗ウイルス剤。
本発明によれば、少なくともHBVに対して抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対して毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することが可能となる。
(ヌクレオシド誘導体)
後述の実施例において示す通り、下記式で表されるヌクレオシド誘導体は、B型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有すると共に、宿主細胞に対する毒性が特に低いことが明らかになった。したがって、本発明は、抗ウイルス活性を示すヌクレオシド誘導体に関し、より詳しくは、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する、下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を提供するものである。
Figure 0006983814
式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、又はアジド基である。
本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくともB型肝炎ウイルス(HBV)に対して抗ウイルス活性を有する。本発明において「HBV」は、B型肝炎を発症させる能力を有するウイルスを意味する。HBVとしては、A(A2/Ae、A1/Aa)、B(Ba、B1/Bj)、C(Cs、Ce)、D〜H及びJの遺伝子型が知られているが、本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくとも1つの遺伝子型のHBVに対して抗ウイルス活性を有するものであればよい。上記の遺伝子型のうちHBV/Ceは、既存のヌクレオシド誘導体製剤であるエンテカビルに対して耐性を示す遺伝子型であることが知られている。したがって、本発明のヌクレオシド誘導体は、好ましくは、HBV/Ceに対して抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体である。
本発明において「抗ウイルス活性」とは、HBV等のウイルスが感染した細胞(宿主細胞)において、当該ウイルスを消滅させる又はその増殖を抑制する活性を意味し、例えば、宿主細胞におけるウイルス複製を抑制する活性が挙げられる。また、かかる抑制等の対象がゲノムとしてDNAを有するウイルス(DNAウイルス)である場合には、「抗DNAウイルス活性」と称する。さらに、かかる活性は、後述の実施例に示すように、宿主細胞におけるウイルスのコピー数等を指標として算出されるEC50値にて評価することができる。本発明のヌクレオシド誘導体は、抗ウイルス活性のEC50値が0.1μM以下であることが好ましく、0.05μM以下であることがより好ましく、0.01μM以下であることがさらに好ましく、0.005μM以下(例えば、0.004μM以下、0.003μM以下、0.002μM以下、0.001μM以下)であることがより好ましい。
また、本発明のヌクレオシド誘導体は、細胞毒性が低いことが好ましい。本発明において「細胞毒性」とは、細胞を殺傷する、その機能を阻害する、またはその増殖を抑制する活性を意味する。かかる活性は、後述の実施例に示すように、細胞の生存数等を指標として算出されるCC50値にて評価することができる。本発明のヌクレオシド誘導体は、CC50値が10μM以上であることが好ましく、50μM以上であることがより好ましく、100μM以上であることが更に好ましく、200μM以上であることが特に好ましい。
本発明のヌクレオシド誘導体に少なくともHBVに対する抗ウイルス活性を発揮させつつ、当該誘導体の細胞毒性を低下させることができるという観点から、各置換基は、以下に示す通り選択することが好ましい。
Rは、上述した通り、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、シアノ基、又はアジド基である。
「置換基を有していてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては特に制限はないが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられるが、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。より具体的には、「置換基を有していてもよいアルキル基」は、モノフルオロメチル基が好ましい。
「置換基を有していてもよいアルケニル基」におけるアルケニル基としては特に制限はないが、炭素数2以上の直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニル基がより好ましく、エテニル基がさらに好ましい。「置換基を有していてもよいアルケニル基」における置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基が挙げられる。
本発明のヌクレオシド誘導体には、薬理学上許容される塩、水和物又は溶媒和物も含まれる。このような薬理学上許容される塩としては、特に制限はなく、ヌクレオシド誘導体の構造等に応じて適宜選択することができ、例えば、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硫酸水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、スルファミン酸塩、マンデル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、パモン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2−アセトキシ安息香酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、イセチオン酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫
酸塩、アスパラギン酸塩、アジピン酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩等)、塩基付加塩(ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、カルシウム塩、ビスマス塩、バリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、銅塩、コバルト塩、ニッケル塩、カドミウム塩、アンモニウム塩、エチレンジアミン塩、N−ジベンジルエチレンジアミン塩)が挙げられる。また、水和物又は溶媒和物としては、特に制限はなく、例えば、ヌクレオシド誘導体又はその塩1分子に対し、0.1〜3分子の水又は溶媒が付加したものが挙げられる。
本発明のヌクレオシド誘導体には、互変異性体、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体等の総ての異性体及び異性体混合物が含まれる。さらに、本発明のヌクレオシド誘導体が生体内で酸化、還元、加水分解、アミノ化、脱アミノ化、水酸化、リン酸化、脱水酸化、アルキル化、脱アルキル化、抱合等の代謝を受けてなお所望の活性を示す化合物をも包含し、また本発明は生体内で酸化、還元、加水分解等の代謝を受けて本発明のヌクレオシド誘導体を生成する化合物(所謂、プロドラッグの形態)をも包含する。さらに、本発明のヌクレオシド誘導体は、後述の通り、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。
また、本発明のヌクレオシド誘導体の合成は、たとえば、リボース糖(ヒドロキシ基がアセチル基、ベンジル基等によって置換されることにより保護されたD−リボフラノース)と、プリン塩基(アデニン等)とを、シリル体経由で反応させ、さらにフェノキシチオカルボニル誘導体経由で還元してリボース糖の2位をデオキシ化し、また必要に応じ、公知の手法により、リボース糖及び/又はプリン塩基の目的の位置に置換基を導入することによって行うことができる。
このような本発明のヌクレオシド誘導体の合成方法は後述の実施例において詳細に示されているので、当業者であれば、実施例の記載を参照しつつ、反応原料、反応試薬、反応条件(例えば、溶媒、反応温度、触媒、反応時間)等を適宜選択しつつ、必要に応じてこれらの方法に適宜、修飾ないし改変を加えることにより、本発明のヌクレオシド誘導体を合成することは可能である。また、このようにして合成されたヌクレオシド誘導体は、一般のヌクレオシド、ヌクレオチドの単離・精製に使用されている方法(逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、再結晶法)を適宜単独又は組み合わせて用いることにより、分離、精製することができる。
(抗ウイルス剤、ウイルス感染症の予防方法、治療方法)
後述の実施例において示す通り、本発明のヌクレオシド誘導体は、少なくともB型肝炎ウイルスに対して抗ウイルス活性を有する。したがって、本発明のヌクレオシド誘導体を有効成分とする抗ウイルス剤を提供することができる。
本発明の抗ウイルス剤並びに後述の予防方法、治療方法が対象とする感染症としては特に制限はなく、例えば、HBV感染症が挙げられ、より具体的には、B型肝炎(慢性肝炎、急性肝炎、劇症肝炎)、それに伴う肝硬変、肝繊維化、肝細胞癌が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経口的又は非経口的に使用することができる。
これら製剤化においては、薬理学上許容される担体又は媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。より具体的には、担体として、乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、塩化ナトリウム等の固体状担体、グリセリン、落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、水等の液状担体も挙げられる。
また、本発明の抗ウイルス剤は、公知の他の抗ウイルス剤と併用してもよい。このような公知の抗ウイルス剤としては、対象疾患がHBV感染症である場合には、例えば、エンテカビル、3TC(ラミブジン)、アデフォビル等の公知のヌクレオシドアナログ製剤、インターフェロン(IFN)が挙げられる。また、このような薬剤を用いた抗ウイルス療法の他、免疫療法(副腎皮質ステロイドホルモン離脱療法、プロパゲルニウム製剤内服等)、肝庇護療法(グリチルリチン製剤の静注、胆汁酸製剤の内服等)との併用療法に、本発明の抗ウイルス剤を用いることもできる。
本発明の抗ウイルス剤の好ましい投与形態としては特に制限はなく、経口投与又は非経口投与、より具体的には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与、気道内投与、直腸投与及び筋肉内投与、輸液による投与が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、主にヒトを対象として使用することができるが、実験用動物等のヒト以外の動物も対象とすることができる。
本発明の抗ウイルス剤を投与する場合、その投与量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、重篤状態、薬物に対する忍容性、投与形態等に応じて、適宜選択される。1日当たりの本発明の抗ウイルス剤の投与量は、有効成分であるヌクレオシド誘導体の量として、通常0.00001〜1000mg/kg体重、好ましくは0.0001〜100mg/kg体重であり、1回又は複数回に分けて対象に投与される。本発明の抗ウイルス剤の製品又はその説明書は、ウイルス感染症を治療又は予防するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装等に表示を付したこと、又は製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。また、ウイルス感染症を治療するために用いられる旨の表示においては、本発明のヌクレオシド誘導体を投与することにより、ウイルスの逆転写酵素反応を阻害し、当該ウイルスの複製を抑制できることも本発明の抗ウイルス剤の作用機序に関する情報として含むことができる。
このように本発明は、本発明の抗ウイルス剤を対象に投与することによって、感染症を予防又は治療することができる。したがって、本発明は、本発明のヌクレオシド誘導体を投与することを特徴とする、ウイルス感染症を予防又は治療するための方法をも提供するものである。
本発明のヌクレオシド誘導体を投与する対象としては特に制限はなく、例えば、HBV等のウイルス感染症患者、感染症が発症する前のウイルス保有者、感染する前の者が挙げられる。
抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体を得るために、下記表1に示す組み合わせにて官能基を有する下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を、以下に示す方法にて合成した。なお、表中の番号は、以下に示す化合物の番号を示す。
Figure 0006983814
Figure 0006983814
また、比較化合物として、以下の表2に示す化合物C1及びC2を合成した。また、参照化合物として、以下の表3に化合物R1乃至R4を合成した。
Figure 0006983814
Figure 0006983814
なお、このようにして合成された化合物が、所望の構造を有する化合物であることは、H核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定することにより確認した。それらの結果も併せて以下に示す。
合成例1:9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン(化合物6)の合成
化合物6を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
先ず、化合物1(Nucleoside&Nucleotide,1985,4,641−649 参照)から、化合物2(9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物1(8.33g,13mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(65mL)に溶解させた後、イミダゾール(2.83g,42mmol)とtert−ブチルジメチルシリルクロリド(5.89g,39mmol)を順次加え、室温で20時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の3’水酸基保護体(13mmol)を得た。粗精製の3’水酸基保護体(13mmol)をクロロホルム(87mL)に溶解させた後、メタノール(37mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(7.42g,39mmol)を−15℃で滴下し、同温で1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液がオレンジから無色になるまで飽和重曹水を加え、クロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1→酢酸エチル→メタノール/クロロホルム=1/20)で精製を行い、化合物2を得た(5.44g,12mmol,2工程93%)。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ12.08(1H,brs),8.36(1H,brs),7.73(1H,s),6.19(1H,dd,J=9.0,5.5Hz),5.21(1H,d,J=10.5Hz),4.61(1H,d,J=5.5Hz),4.12(1H,d,J=1.0Hz),3.94(1H,m),3.74(1H,m),2.79(1H,m),2.65(1H,m),2.23(1H,m),1.28(3H,d,J=3.0Hz),1.27(3H,d,J=3.0Hz),0.93(9H,s),0.118(3H,s),0.115(3H,s)。
次に、このようにして得られた化合物2から、化合物3(9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物2(103mg,0.23mmol)をトルエン(0.23mL)とジメチルスルホキシド(0.23mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(132mg,0.69mmol)、ピリジン(36.9μL,0.46mmol)、トリフルオロ酢酸(18μL,0.23mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のアルデヒドを得た。粗精製のアルデヒドを1,4−ジオキサン(4.6mL)に溶解させた後、37%ホルムアルデヒド水溶液(100μL,1.0mmol)と1規定の水酸化ナトリウム水溶液(275μL,0.28mmol)を順次加え、室温で20分攪拌した。次に1規定の水酸化ナトリウム水溶液(275μL,0.28mmol)を追加し、室温で35分攪拌した後、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(26.0mg,0.69mmol)を加え、室温で45分攪拌した。反応終了後、1規定塩酸でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/20)で精製を行い、化合物3を得た(38.9mg,0.081mmol,2工程35%)。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ12.08(1H,brs),9.78(1H,brs),7.92(1H,s),6.27(1H,t,J=7.0Hz),4.83(1H,dd,J=7.0,4.0Hz),4.76(1H,brs),3.95(1H,d,J=12.0Hz),3.89(1H,d,J=11.0Hz),3.68−3.61(3H,m),2.85−2.77(2H,m),2.41(1H,m),1.25(3H,d,J=7.0Hz),1.22(3H,d,J=7.0Hz),0.90(9H,s),0.13(3H,s),0.12(3H,s)。
次に、このようにして得られた化合物3から、化合物4(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物3(726mg,1.5mmol)をピリジンで共沸させた後、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、0℃でトリエチルアミン(421μL,3.0mmol)と4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(767mg,2.3mmol)を順次加え、室温で20分、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、メタノールでクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、粗精製の6’水酸基保護体(958mg,1.2mmol)を得た。6’水酸基保護体(958mg,1.2mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解させた後、イミダゾール(291mg,4.27mmol)とtert−ブチルジメチルシリルクロリド(552mg,3.7mmol)を順次加え、室温で25分攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の5’水酸基保護体を得た。粗精製の5’水酸基保護体をクロロホルム(8mL)に溶解させた後、メタノール(4.5mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(928mg,4.9mmol)を−15℃で滴下し、同温で1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液がオレンジから無色になるまで飽和重曹水を加え、クロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物4を得た(461mg,0.77mmol,3工程51%)。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ12.03(1H,brs),8.68(1H,brs),7.94(1H,s),6.24(1H,t,J=6.0Hz),4.79(1H,dd,J=6.5,5.0Hz),3.83(1H,dd,J=12.0,4.5Hz),3.75(1H,d,J=10.5Hz),3.69−3.65(2H,m),2.68−2.58(3H,m),2.50−2.45(1H,m),1.27(3H,d,J=7.0Hz),1.24(3H,d,J=7.0Hz),0.92(9H,s),0.91(9H,s),0.14(3H,s),0.13(3H,s),0.08(3H,s),0.07(3H,s)。
次に、このようにして得られた化合物4から、化合物5(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物4(70.4mg,0.12mmol)をトルエン(0.12mL)とジメチルスルホキシド(0.12mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(67.9mg,0.35mmol)、ピリジン(19.0μL,0.24mmol)、トリフルオロ酢酸(9.0μL,0.12mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のアルデヒドを得た。粗精製のアルデヒドをピリジン(1.2mL)に溶解させた後、塩酸ヒドロキシルアミン(12.3mg,0.18mmol)を加え、室温で35分攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のオキシムを得た。粗精製のオキシムをジクロロメタン(1.2mL)に溶解させた後、0℃でトリエチルアミン(33μL,0.24mmol)とメタンスルホニルクロリド(14μL,0.18mmol)を順次加え、同温で1時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物5を得た(61.1mg,0.10mmol,3工程88%)。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ12.00(1H,brs),7.97(1H,brs),7.81(1H,s),6.36(1H,t,J=6.5Hz),4.82(1H,t,J=6.0Hz),3.91(2H,s),2.66−2.55(3H,m),1.31(6H,d,J=7.0Hz),0.97(9H,s),0.90(9H,s),0.19(3H,s),0.17(3H,s),0.11(3H,s),0.07(3H,s)。
次に、このようにして得られた化合物5から、化合物6(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン)を合成した。すなわち、化合物5(46.1mg,0.078mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(22μL,0.16mmol)、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(47.3mg,0.16mmol),4−ジメチルアミノピリジン(0.95mg,7.8μmol)を順次加え、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)で精製を行い、化合物6を得た(58.5mg,0.068mmol,88%)。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ7.99(1H,s),7.95(1H,brs),7.23(2H,s),6.38(1H,t,J=6.5Hz),5.18(1H,t,J=5.5Hz),4.25(2H,m),4.12(1H,d,J=11.5Hz),3.95(1H,d,J=11.0Hz),3.20(1H,m),2.94(1H,m),2.69(1H,brs),2.51(1H,m),1.30−1.26(18H,m),1.23(3H,d,J=2.0Hz),1.21(3H,d,J=1.5Hz),0.96(9H,s),0.88(9H,s),0.22(3H,s),0.14(3H,s),0.070(3H,s),0.065(3H,s)。
合成例2:9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物7)の合成
化合物7を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物6(626mg,0.730mmol) をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、ヒドラジン一水和物(0.2mL,4.12mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の6位ヒドラジド化体を得た。
粗精製の6位ヒドラジド化体(<0.730mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた後、酸化銀(I)(508mg,2.19mmol)を加え、遮光下および加熱還流下で15時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物7(180mg,0.313mmol,2工程43%) を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.91(1H,s),8.18(1H,brs),8.07(1H,s),6.43(1H,t,J=6.5 Hz),5.16(1H,t,J =6.0 Hz),4.12(1H,d,J=12Hz),3.96(1H,d,J=11Hz),3.23(1H,m),2.76(1H,brs),2.55(1H,m),1.23(6H,d,J=6.5Hz),0.97(9H,s),0.89(9H,s),0.23(3H,s),0.16(3H,s), 0.081(3H,s),0.067(3H,s)。
合成例3:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物8)の合成
化合物8を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物7(180mg,0.313mmol)をイソプロピルアルコール(2.5mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(45.3mg,0.313mmol)、ヒドラジン一水和物(2.5mL)を順次加え、室温で6.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、化合物8(120mg,0.238mmol,76%)を得た。
H−NMR (CDCl,500MHz);δ8.70(1H,s),7.88(1H,s),6.40(1H,dd,J=5.5,1.5Hz),5.04(2H,brs),4.95(1H,t,J=6.0Hz),3.99(1H,d,J=11Hz),3.88(1H,d,J=11Hz),3.05(1H,m),2.56(1H,m),0.97(9H,s),0.87(9H,s),0.20(3H,s),0.18(3H,s),0.083(3H,s),0.023(3H,s)。
合成例4:2−アミノ−9−(4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P1)の合成
化合物P1を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物8(120mg,0.238mmol)をクロロホルム(2mL)とメタノール(4mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(815mg,14.3mmol)を加え、室温下で137.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、粗精製の化合物P1を得た。粗精製の化合物P1に対し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/6)で精製を行い、化合物P1(57.5mg,0.208mmol,88%)を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.21(1H,s),6.51(1H,t,J=6.5Hz),4.90(1H,m),3.94(1H,d,J=12Hz,3.87(1H,d,J=12Hz),3.02(1H,m),2.56(1H,m)。
合成例5:2−アミノ−9−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンジル−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物10)の合成
化合物9を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物9(Tetrahedron,Vol.53,No.39,pp.13315−13322(1997)参照)(117mg,0.263mmol)と2−アミノ−6−クロロプリン(66.8mg,0.394mmol)をアセトニトリル(1.3mL)に溶解させた後、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(206μL,0.842 mmol)を加え、加熱還流下で1時間攪拌した。続いて反応溶液を室温に戻した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(64μL,0.342mmol)を加え、加熱還流下で5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2→1/1)で精製を行い、化合物10(122mg,0.220mmol,84%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ7.99(1H,s),7.38−7.29(10H,m),6.16(1H,d,J=5.5 Hz),5.91(1H,dd,J=5.5,5.5Hz),5.01(2H,brs),4.71−4.54(7H,m),3.72(1H,dd,J=10,2.0 Hz),3.66(1H,dd,J=10,2.0Hz),2.06(3H,s)。
合成例6:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−4−C−フルオロメチル−2−O−フェニルチオホルミル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物12)の合成
化合物12を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物10(122mg,0.220mmol)をメタノール(2mL)に溶解させた後、アンモニア水(0.5mL) を加え、室温で13時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物11を得た。
粗精製の化合物11(<0.220mmol)をジオキサンによる共沸脱水を行った。次にアセトニトリル(3mL)に溶解させた後、4−ジメチルアミノピリジン(80.6mg,0.660mmol)、フェニルクロロチオノホルメート(45.6μM,0.330mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)で精製を行い、化合物12(110.6mg,0.170mmol,2工程77%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.00(1H,s),7.41−7.33(13H,m),6.97(2H,d,J=8.0Hz),6.41(1H,dd,J=6.3,5.5Hz),6.37(1H,d,J=6.5Hz),5.00(2H,brs),4.88(1H,d,J=5.0Hz),4.76−4.59(6H,m),3.77(1H,dd,J=10,2.0Hz),3.74(1H,dd,J=10,2.0Hz)。
合成例7:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物13)の合成
化合物13を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物12(110.6mg,0.170mmol)をトルエン(6mL)に溶解させた後、水素化トリブチルスズ(229μL,0.850mmol)とアゾビスイソブチロニトリル(7.0mg,0.0425mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2→1/1)で精製を行い、化合物13(59.3mg,0.119mmol,70%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ7.99(1H,s),7.39−7.25(10H,m),6.34(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),5.02(2H,brs),4.67(2H,d,J=47.5 Hz),4.65(1H,d,J=12Hz),4.55−4.51(4H,m),3.63(1H,s),3.62(1H,s),2.78(1H,m),2.63(1H,m)。
合成例8:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物14)の合成
化合物14を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物13(59.3mg,0.119mmol)と10% パラジウム炭素(29.7mg,50wt%)にメタノール(3mL)を加えた後、トリエチルアミン(166μL,1.19mmol)を加え、室温、水素雰囲気下で19時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、化合物14(37.6mg,0.0811mmol,68%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.65(1H,s),7.94(1H,s),7.39−7.26(10H,m),6.39(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),4.97(2H,brs),4.69(2H,d,J=47Hz),4.66(1H,d,J=12Hz),4.57−4.50(4H,m),3.65(1H,s),3.64(1H,s),2.81(1H,m),2.62(1H,m)。
合成例9:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P2)の合成
化合物P2を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物14(18.0mg,0.0388mmol)をトルエンで共沸脱水した後、ジクロロメタン(1mL)に溶解させ、三塩化ホウ素(CHCl中1.0M,0.29mg,0.291mmol)を加え、−78℃で21時間攪拌した。反応終了後、1Mのトリエチルアミン‐二酸化炭素緩衝液(4.4mL)でクエンチを行った後、メタノールによる共沸を行った。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/5)と 分取薄層クロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、化合物P2(6.7mg,0.0237mmol,61%)を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.26(1H,s),6.42(1H,dd,J=6.5,6.5 Hz),4.73(1H,dd,J=6.5,4.0Hz),4.63(2H,dd,J=47.5,2.5Hz),3.76(2H,s),2.97(1H,m),2.48(1H,m)。
合成例10:9−(5−O−アセチル−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン(化合物15)の合成
化合物15を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物2(15.0mg,0.0332mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(13.9μL,0.0996mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.41mg,3.32μmol)、無水酢酸(4.71μL,0.0498mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、化合物15(11.4mg,0.0231mmol,70%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.57(1H,brs),8.02(1H,s),7.74(1H,s),6.23(1H,dd,J=7.5,6.0Hz),4.60(1H,dd,J=11.5,5.5Hz),4.48(1H,m),4.37(1H,dd,J=11.5,6.0Hz),2.76(1H,m),2.67(1H,m),2.33(1H,m),2.11(3H,s),1.30(3H,d,J=4.0Hz),1.28(3H,d,J=4.0Hz)0.93(9H,s),0.123(3H,s),0.120(3H,s)。
合成例11:9−(5−O−アセチル−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン(化合物16)の合成
化合物16を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物15(5.55g,11.2mmol)をジクロロメタン(56mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(3.1 mL,22.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(137mg,1.12mmol)、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(6.78g,22.4mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチとクロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)で精製を行い、化合物16(7.26g,9.55mmol,85%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.04(1H,s),7.85(1H,brs),7.23(2H,s),6.33(1H,t,J=6.5Hz),4.76(1H,dd,J=10.5,4.5Hz),4.39(1H,dd,J=12,4.5Hz),4.30−4.23(3H,m),4.13(1H,dd,J=9.5,4.5Hz),2.93(2H,m),2.86(1H,brs),2.44(1H,m),2.05(3H,s),1.30−1.26(18H,m),1.23(3H,d,J=3.0Hz),1.21(3H,d,J=3.5Hz)0.91(9H,s),0.13(3H,s),0.11(3H,s)。
合成例12:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物18)の合成
化合物18を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物16(6.92g,9.10mmol)を1,4−ジオキサン(65mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(7.6mL,54.6mmol),ギ酸(2.1mL,54.6mmol),1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(413mg,1.00mmol),酢酸パラジウム(II)(204mg,0.91mmol)を順次加え、90℃で3.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル、ショート)で精製を行い、粗精製の化合物17を得た。
粗精製の化合物17(<9.10 mmol)をメタノール(46mL)に溶解させた後、アンモニア水(15mL)を加え、室温で12.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、化合物18(1.82 g,4.18 mmol,2工程46%) を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.96(1H,s),8.30(1H,brs),8.09(1H,s),6.31(1H,dd,J=8.0,6.0 Hz),4.88(1H,ddd,J=5.5,2.5,2.5 Hz),4.44(1H,m),4.09(1H,dd,J=4.5,2.0Hz),3.95(1H,m),3.82(1H,m),3.02(1H,m),2.79(1H,m),2.30(1H,m),1.30(3H,d,J=2.0Hz),1.28(3H,d,J=2.0Hz),0.927(9H,s),0.138(3H,s),0.121(3H,s)。
合成例13:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物20)の合成
化合物20を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物18(26.8mg,0.0618mmol)をトルエン(0.5mL)とジメチルスルホキシド(0.5mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(35.5mg,0.185mmol),ピリジン(10μL,0.124mmol),トリフルオロ酢酸(4.7μL,0.0618mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。その後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(118mg,0.618mmol),ピリジン(30μL,0.371mmol),トリフルオロ酢酸(14μL,0.186mmol)を順次追加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物19を得た。
粗精製の化合物19(<0.0618mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解させた後、37% ホルムアルデヒド水溶液(27μL,0.272 mmol)、1規定の水酸化ナトリウム水溶液(155μL,0.155mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。続いて0℃で水素化ホウ素ナトリウム(7.0mg,0.185mmol)を加え、同温で30分攪拌した。反応終了後、メタノールによるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル→メタノール/クロロホルム=1/10)で精製を行い、化合物20(18.3mg,0.0393mmol,2工程64%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.94(1H,s),8.75(1H,brs),8.09(1H,s),6.38(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),5.30(1H,dd,J=6.5,5.0Hz),4.28(1H,brs),3.90−3.63(5H,m),3.09(1H,m),2.94(1H,m),2.51(1H,m),1.29(3H,d,J=6.0Hz),1.28(3H,d,J=7.0 Hz),0.945(9H,s),0.215(3H,s),0.152(3H,s)。
合成例13:9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物23)の合成
化合物23を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物20(103.4 mg,0.222mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.3mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(62μL,0.444mmol),4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(113mg,0.333mmol)を順次加え、0℃で1.5時間攪拌した。反応終了後、メタノールによるクエンチと、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物21を得た。
粗精製の化合物21(<0.222mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)に溶解した後、イミダゾール(52.9mg,0.777mmol),tert−ブチルジメチルシリルクロリド(100mg,0.666mmol)を順次加え、室温で16.5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物22を得た。
粗精製の化合物22(<0.222mmol)をクロロホルム(1.5mL)に溶解させた後、−15℃でメタノール(0.6mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(127mg,0.666 mmol)を滴下し、同温で2時間攪拌した。反応終了後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液によるクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物23(19.8 mg,0.0341mmol,3工程15.4%) を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.98(1H,s),8.83(1H, brs),8.27(1H,s),6.48(1H,dd,J=7.0,6.0Hz),4.97(1H,dd,J=6.5,5.5 Hz),3.87(1H,m),3.82(2H,s),3.73(1H,m),2.93(1H,m),2.78(1H,m),2.59(1H,m),1.29(3H,d,J=2.0Hz),1.28(3H,d,J=2.0Hz),0.939(9H,s),0.883(9H,s),0.165(3H,s),0.147(3H,s),0.043(6H,s)。
合成例14:9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物25)の合成
化合物25を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物23(42.7mg,0.0737mmol)をトルエン(0.5mL)とジメチルスルホキシド(0.5mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(141.3mg,0.737mmol),ピリジン(36μL,0.442mmol),トリフルオロ酢酸(17μL,0.221mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物24を得た。
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(79.0 mg,0.221mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させた後、−78℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,0.13mL,0.214mmol)を加え、0℃で30分攪拌した。続いて、テトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた粗精製の化合物24(<0.0737mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた後、室温で11時間攪拌した。続いて、別途調製した9.9当量のウィッティヒ(Wittig)試薬を0℃で加え、室温で3時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物25(14.4mg,0.0250mmol,2工程34%)を化合物25’との混合物(25:25’=1:0.3)として得た。なお、化合物25と化合物25’の混合比はH−NMRスペクトルより決定した。
化合物25のLRMS(ESI); m/z 598.4114[M+Na]
合成例15:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物26)の合成
化合物26を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物25と化合物25’の混合物(18.1mg,0.0314mmol)をイソプロピルアルコール(1mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(4.6mg,0.0314mmol)、ヒドラジン一水和物(1mL)を順次加え、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物26(10.1mg,0.0200mmol,64%)を化合物26’との混合物(26:26’=1:0.3)として得た。なお、化合物26と化合物26’の混合比はH−NMRスペクトルより決定した。
化合物26のLRMS(ESI); m/z 528.3378[M+Na]
合成例16:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P3)の合成
化合物P3を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物26と化合物26’の混合物(10.1mg,0.0200mmol)をクロロホルム(1mL)とメタノール(1mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(68.4mg,1.2mmol)を加え、室温下で84時間攪拌した。続いて、酸性フッ化アンモニウム(68.4mg,1.2mmol)を追加し、室温で48時間攪拌した。その後、酸性フッ化アンモニウム(205mg,3.6mmol)を追加し、室温で216時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、化合物P3(4.4mg,0.0159mmol,79%)を、化合物P3’との混合物(P3:P3’=1:0.3)として得た。なお、化合物P3と化合物P3’との混合比は H−NMR スペクトルより決定した。
化合物P3のH−NMR(CDOD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.36(1H,s),6.37(1H,dd,J=7.0,4.5Hz),6.00(1H,dd,J=17.5,11.0Hz),5.53(1H,dd,J=17.5,2.0Hz),5.32(1H,dd,J=11.0,2.0Hz),4.80(1H,t,J=6.5Hz),3.70(1H,d,J=12.0Hz),3.60(1H,d,J=12.0Hz),2.74(1H,m),2.41(1H,m);
化合物P3’のH−NMR(CDOD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.30(1H,s),6.33(1H,t,J=7.0Hz),4.61(1H,dd,J=6.0,4.0Hz),3.71(2H,d,J=12.0Hz),3.63(1H,d,J=12.0Hz),2.93(1H,m),2.42(1H,m),1.77(1H,m),1.68(1H,m),0.992(3H,t,J=7.5Hz)。
合成例17:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−5−O−ヨード−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物27)の合成
化合物27を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物18(323mg,0.742mmol)をピリジン(3.7mL)に溶解させた後、トリフェニルホスフィン(584mg,2.23mmol)とヨウ素(565mg,2.23mmol)を順次加え、室温で3時間攪拌した。その後、トリフェニルホスフィン(389mg,1.48mmol)とヨウ素(377mg,1.48mmol)を追加し、室温で16時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物27(352mg,0.645mmol,87%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.93(1H,s),8.35(1H,s),8.18(1H,s),6.38(1H,t,J=7.0 Hz),4.73(1H,m),4.06(1H,m),3.66(1H,dd,J=10.5,6.5 Hz),3.47(1H,dd,11,6.0Hz),3.21(1H,m),2.86(1H,brs),2.38(1H,m),1.30(3H,d,J=5.0Hz),1.29(3H,d,J=4.5 Hz),0.93(9H,s),0.18(3H,s),0.15(3H,s)。
合成例18:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−β−D−エリトロ−ペント−4−エノフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物28)の合成
化合物28を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物27(352mg,0.645mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶解させた後、ジアザビシクロウンデセン(481μL,3.23mmol)を加え、80℃で1.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物28(240mg,0.574mmol,89%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.95(1H,s),8.19(1H,s),8.06(1H,s),6.57(1H,t,J=6.0 Hz),5.12(1H,t,J=5.5Hz),4.51(1H,m),4.26(1H,m),3.05(1H,brs),2.95(1H,m),2.55 (1H,m),1.29(3H,d,J=3.0 Hz),1.28(3H,d,J=3.0 Hz),0.94(9H,s),0.18(3H,s),0.17(3H,s)。
合成例19:9−(4− C−アジド−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−5−O−ヨード−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物29)の合成
化合物29を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
アジ化ナトリウム(187mg,2.87mmol)と一塩化ヨウ素(ヘキサン中1.0M,1.44mL,1.44mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解させた後、N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させた化合物28(240mg,0.574mmol)を加え、室温で3.5時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物29(206mg,0.351mmol,61%) を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.94(1H,s),8.69(1H,s),8.08(1H,s),6.38(1H,dd,J=7.0,6.0Hz),5.39(1H,t,J=6.0Hz),4.00(1H,d,J=11.5Hz),3.73(1H,d,J=11.0Hz),3.34(1H,m),2.74(1H,brs),2.58(1H,m),1.30(3H,d,J=7.0Hz),1.28(3H,d,J=7.5Hz),0.97(9H,s),0.25(3H,s),0.18 (3H, s)。
合成例20:2−アミノ−9−(4− C−アジド−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物31)の合成
化合物31を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物29(152mg,0.259mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させた後、安息香酸ナトリウム(373mg,2.59mmol)と15−クラウン−5(514μL,2.59 mmol)を加え、90℃で24時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1) で精製を行い、粗精製の化合物30を得た。
粗精製の化合物30(<0.113 mmol)をイソプロピルアルコール(1.5mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(16.4mg,0.113mmol)、ヒドラジン一水和物(1.5mL)を順次加え、室温で15時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/10)で精製を行い、化合物31(38.4mg,0.0945mmol,2工程37%)を得た。
H−NMR(CDCl,500MHz);δ8.74(1H,s),7.83(1H,s),7.41(1H,s),6.41(1H,dd,J=9.0,5.5Hz),5.14(2H,brs),4.78(1H,dd,J=5.0,1.5 Hz),3.87(1H,d,J=12.5 Hz),3.53(1H,d,J=12.5 Hz),3.21(1H,m),2.38(1H,m),0.97(9H,s),0.21(3H,s),0.18(3H,s)。
合成例21:2−アミノ−9−(4−C−アジド−2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P4)の合成
化合物P4を、以下に示す反応工程にて合成した。
Figure 0006983814
化合物31(38.4mg,0.0945mmol)をクロロホルム(2mL)とメタノール(2mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(323mg,5.67mmol)を加え、室温で41時間攪拌した。続いて、酸性フッ化アンモニウム(323mg,5.67mmol)を追加し、室温で72時間攪拌した。その後、50℃で42時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/6→1/4)で精製を行い、化合物P4(22.6mg,0.0773mmol,82%)を得た。
H−NMR(CDOD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.26(1H,s),6.52(1H,dd,J=7.0,4.0Hz),4.88(1H,m),3.83(1H,d,J=12.0 Hz),3.75(1H,d,J=12.0Hz),2.90(1H,m),2.59(1H,m)。
合成例22:化合物C1及びC2の合成
上述した非特許文献1の記載に基いて、以下の式で表される化合物C1及びC2を合成した。
Figure 0006983814
Figure 0006983814
合成例23:2−アミノ−2’−デオキシ−4’−フルオロメチルアデノシン(化合物R1)の合成
2−アミノ−2’−デオキシ−4’−フルオロメチルアデノシン(化合物R1)を合成すべく、先ず、下記化合物32(2’−O−Acetyl−2−amino−3’,5’−di−O−benzyl−4’−fluoromethyladenosine)を、以下の通りにして合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物9(5.78g、12.9mmol)、2,6−ジアミノプリン(3.87g、25.8mmol)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(37.8mL、0.155mol)に1,2−ジクロロエタン(104mL)を加え、1時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(4.66mL、25.8mmol)を加え、8時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却後、飽和重曹水を加え撹拌し、生じた不溶物をセライト濾過により除去後、濾液有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、化合物32を得た(5.15g、9.60mmol、74.4%)。
H−NMR(CDCN):δ7.65(1H,s),7.24−7.08(10H,m),6.02(1H,d),5.98(1H,t),5.70(2H,br.s),4.95(2H,br.s),4.82(1H,d),4.71(1H,dd),4.61(1H,dd),4.62(1H,d),4.59(2H,d),4.56(1H,d),4.53(1H,d),3.70(2H,m),2.01(3H,s)。
次に、前記の通りにして得られた化合物32を用い、下記の通りに化合物33(2−Amino−3’,5’−di−O−benzyl−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物32(5.15g、9.60mmol)をメタノール(100mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(20mL、20mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸で中和した後、濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解、水洗した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜10:1)により精製し、化合物33を得た(4.70g、9.50mmol、99.0%)。
H−NMR(DMSO−d):δ7.84(1H,s),7.38−7.28(10H,m),6.72(2H,br.s),5.86(1H,d),5.81(2H,br.s),5.74(1H,d),5.01(1H,dd),4.89(1H,d),4.68−4.53(5H,m),4.28(1H,d),3.68(1H,dd),3.64(1H,dd)。
次に、前記の通りにして得られた化合物33を用い、下記の通りに化合物34(2−Amino−3’,5’−di−O−benzyl−2’−deoxy−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物33(4.70g、9.50mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(1.74g、14.2mmol)をアセトニトリル(38.0mL)に溶解し、0℃にてクロロチオノギ酸フェニル(1.54mL、11.4mmol)を加え、2時間撹拌した。メタノール(2mL)を加え撹拌した後、反応液を酢酸エチルで希釈、洗浄(飽和食塩水→0.1M塩酸→飽和食塩水→飽和炭酸水素ナトリウム水溶液)した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥後、濃縮し、残渣をトルエンで共沸し、粗製のチオ炭酸エステルを得た。
粗製のチオ炭酸エステル、水素化トリブチルスズ(10.2mL、37.9mmol)をトルエン(95.0mL)に溶解後、85℃に加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(20mg)を加え、2時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、化合物34を得た(3.23g、6.75mmol、71.1%)。
H−NMR(DMSO−d):δ7.87(1H,s),7.37−7.26(10H,m),6.71(2H,br.s),6.23(1H,d),5.80(2H,br.s),4.70−4.50(7H,m),3.64(2H,dd),3.60(2H,dd),2.91(1H,m),2.59(1H,m)。
次に、前記の通りにして得られた化合物34を用い、下記の通りに化合物R1(2−Amino−2’−deoxy−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
Figure 0006983814
すなわち、ナフタレン(9.08g、70.8mmol)を脱水テトラヒドロフラン(76.1mL)に溶解し、金属リチウム(369mg、53.2mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。溶液を−78℃に冷却後、化合物34(2.12g、4.33mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(35.6mL)を加え、−45℃で2時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えた後、反応液を酢酸エチルで希釈し、脱イオン水で抽出した。水層を合わせ少量にまで濃縮した後、ODSカラムクロマトグラフィー(脱イオン水〜5%メタノール)により精製し、真空乾燥の後、化合物R1を得た(0.90g、3.0mmol、68%)。
H−NMR(DMSO−d):δ7.91(1H,s),6.70(2H,br.s),6.24(1H,dd),5.72(2H,br.s),5.36−5.35(2H,m),4.60(1H,dd),4.50(1H,dd),4.51(1H,m),3.54(1H,br.s),3.53(1H,br.s),2.81(1H,m),2.22(1H,m)。
合成例24:6、4’−フルオロメチル−2’−デオキシグアノシン(化合物R2)の合成
合成例23にて得られた化合物R1を用い、下記の通り6、4’−フルオロメチル−2’−デオキシグアノシン(化合物R2)を合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物R1(500mg、1.68mmol)を50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)(45.0mL)に溶解し、子牛脾臓由来アデノシンデアミナーゼ(50uL、6.5units)を加え、40℃で2時間撹拌した。5℃で終夜静置し、析出した化合物R2を濾取、乾燥した(409mg)。更に濾液を少量にまで濃縮後、ODSカラムクロマトグラフィー(ODS 50cc、0〜5% MeOH)により精製(44mg)した。先に得られたものと合わせ、化合物R2を得た(453mg、1.51mmol、89.9%)。
H−NMR(DMSO−d):δ10.58(1H,br.s),7.91(1H,s),6.42(2H,br.s),6.19(1H,dd),5.37(1H,m),5.09(1H,t),4.59(1H,dd),4.49(1H,dd),4.49(1H,m),3.50(2H,m),2.71(1H,m),2.25(1H,m)。
合成例25:2−アミノ−2’−デオキシ−4’−ビニルアデノシン(化合物R3)の合成
2−アミノ−2’−デオキシ−4’−ビニルアデノシン(化合物R3)を合成すべく、先ず、下記化合物36(2−Benzamido−N−benzoyl−3’,5’−di−O−tert−butyldimethylsilyl−2’−deoxy−4’−vinyladenosine)を以下の通りにして合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物35(Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids,Vol.23,No.4,pp.671−690,2004 参照)(0.42g、0.57mmol)を乾燥ジメチルスルホキシド(2.5mL)、乾燥トルエン(1.3mL)に溶解し、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(328mg、1.71mmol)、乾燥ピリジン(104μL)、トリフルオロ酢酸(52μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、洗浄(飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)、濃縮した。残渣をテトラヒドロフランと3回共沸後、真空乾燥し、粗アルデヒドを得た。
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.02g、2.86mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(7.1mL)に懸濁し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.60M、1.79mL、2.86mmol)を加え、0℃で1時間撹拌後、前記粗アルデヒド乾燥テトラヒドロフラン溶液(5.9mL)を加え、室温で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え撹拌後、生成物を酢酸エチルにより抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)、濃縮後、残渣を少量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルを加え濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、化合物36を得た(293mg、0.402mmol、71%)。
H−NMR(CDCl):δ9.29(1H,br.s),9.24(1H,br.s),8.44(1H,s),8.04−7.49(10H,m),6.49(1H,t),5.98(1H,dd),5.57(1H,dd),5.34(1H,dd),4.90(1H,t),3.72(1H,d),3.68(1H,dd),2.87(3H,br.s),2.49(2H,m),0.94(9H,s),0.91(9H,s),0.04,0.03(12H,s)。
次に、前記の通りにして得られた化合物36を用い、下記の通りに化合物R3(2−Amino−2’−deoxy−4’−vinyladenosine)を合成した。
Figure 0006983814
すなわち、化合物36(293mg、0.402mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(1.3mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウムテトラヒドロフラン溶液(1.0M、2.01mL、2.01mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)により精製し、粗ジオール(293mg、0.402mmol、71%)を得た。粗ジオールをメタノール(10mL)、40%メチルアミン水溶液(10mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1〜5:1)により精製した。残渣を脱イオン水から再結晶化し、化合物R3を得た(83mg、0.28mmol、70%)。
H−NMR(DMSO−d):δ7.94(1H,s),6.71(1H,br.s),6.16(1H,t),5.95(1H,dd),5.69(2H,br.s),5.49(1H,t),5.35(1H,dd),5.19−5.16(2H,m),5.18(1H,dd),4.58(1H,q),3.50(1H,dd),3.41(1H,dd),2.54(1H,m),2.17(1H,m)。
合成例26:2’−デオキシ−4’−ビニルグアノシン(化合物R4)の合成
2’−デオキシ−4’−ビニルグアノシン(化合物R4)を、以下の通りにして合成した。
Figure 0006983814
すなわち、合成例25にて得られた化合物R3(30mg、0.10mmol)をトリス塩酸緩衝液(50mM、pH7.5、2.8mL)に溶解し、子牛脾臓由来アデノシンデアミナーゼ(3μL、3.5units)を加え、40℃で5時間撹拌した。5℃で終夜静置後、析出した固体を濾取し、少量の脱イオン水で洗浄した。得られた固体を真空乾燥し、化合物25を得た(25mg、0.085mmol、83%)。
H−NMR(DMSO−d):δ10.60(1H,br.s),7.98(1H,s),6.44(1H,br.s),6.10(1H,dd),5.95(1H,dd),5.34(1H,dd),5.24(1H,br.s),5.19(1H,dd),5.11(1H,br.s),4.57(1H,t),3.50(1H,d),3.40(1H,d),2.44(1H,m),2.19(1H,m)。
上述の通りに合成して得られたヌクレオシド誘導体において、以下に示す方法にて、抗ウイルス活性及び細胞毒性を評価した。なお、化合物P3については、化合物P3’との混合物の形で評価に供した。
試験例1:抗HBV活性の評価(2週間評価系)
供試細胞として、ヒト肝ガン由来細胞株(HepG2細胞)にHBV遺伝子を導入することにより、持続的にHBVを産生するように調製された、HepG2 2.2.15細胞を用いた。なお、HepG2 2.2.15細胞は、10%胎児ウシ血清含有DMEMにおける継続培養にて維持した。また、当該細胞は、エピソームとして産生するHBV遺伝子を有するため、このエピソームHBVのDNAを定量し、上記ヌクレオシド誘導体の存在下における当該量の減少度によって抗HBV活性を評価とした。得られた結果を表4乃至6に示す。
より具体的には、HepG2 2.2.15細胞を、12穴細胞培養皿の各ウェルに1.5×10cells/2mLの濃度になるよう播種した。細胞が80%コンフルエントに達した段階で、各ヌクレオシド誘導体を様々な濃度にて添加した。各ヌクレオシド誘導体を添加した培養液は4日毎に交換し、当該誘導体の存在下で12日間培養した。その後、各HepG2 2.2.15細胞から、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN社製)を用い、全細胞DNAを抽出し、200μLの1×TEバッファーに溶解した。次いで、このようにして抽出したDNAを鋳型として、リアルタイムPCRでHBV DNAを定量した。すなわち、HepG2 2.2.15細胞からの抽出DNAのうち2μLを2×SYBR PCR master mix(Applied Biosystems社製)を用いて増幅した。その増幅(PCR)反応には、HBVポリメラーゼ領域を検出する下記のプライマーセットを用いた:
5’−GCGAGGACTGGGGACCCTGTGACGAAC−3’(配列番号:1)、及び 5’−GTCCACCACGAGTCTAGACTCTGC−3’(配列番号:2)。
また、PCRの反応は、95℃で10分間、その後、95℃で15秒と60℃で1分間とを40サイクル行った。
このようなPCR反応によって得られたデータを、StepOneTM Software Version2.0(Applied Biosystems社製)で解析し、CT値を得た。次いで、既知濃度のHBVプラスミドを10倍ごとに希釈(20から2×10コピー)したものを用いて作成された検量線により、前記CT値を各ヌクレオシド誘導体存在下におけるHBVのコピー数(HBVのDNA量)へと変換した。そして、ヌクレオシド誘導体の非存在下にて培養した対照におけるそれと比較し、その減少度からEC50値を算出し、各ヌクレオシド誘導体の抗HBV活性を評価した。得られた結果を表4乃至6に示す。
試験例2:抗HBV活性の評価(1週間評価系)
供試細胞として、前記HepG2 2.2.15細胞を親株とする、HepG2 2.2.15.7細胞を用いた。なお、HepG2 2.2.15細胞は、10%胎児ウシ血清、G418(500μg/ml)及び抗生剤(ペニシリンとカナマイシン)含有DMEMにおける継続培養にて維持した。また、HepG2 2.2.15.7細胞は、HepG2 2.2.15細胞同様、ゲノムに統合されたDNAだけでなくエピソームとして産生されるHBV遺伝子を保持するHBV持続産生細胞である。そこで、各ヌクレオシド誘導体と共培養し、培養上清に放出されるウイルスのDNAコピー数を定量し、その減少度を抗HBV活性の評価の指標とした。
より具体的には、コラーゲンコートされた96穴細胞培養皿に細胞生存性90%以上のHepG2 2.2.15.7細胞を2×10cells/mlの濃度で播種し、細胞播種同日に、様々な濃度にて各ヌクレオシド誘導体を添加した。37℃、5%COの標準培養条件で3日培養した後、さらに各ヌクレオシド誘導体を含むフレッシュな培地に交換し、交換後3日目の培養上清からHBV DNAを回収した。そして、回収した培地から、上記同様にして、定量的PCRを行い検量線からウイルスコピー数を求め、ヌクレオシド誘導体ごとのEC50を算出した。得られた結果を表4乃至6に併せて示す。
なお、表中、1Wは1週間評価形の結果を表し、2Wは2週間評価系の結果を表す。両者の違いは、培養期間だけでなく、評価するDNAが細胞内を含めた全DNA(2週間評価系)か細胞外のみのDNA(1週間評価系)かの違いもある。
試験例3:細胞毒性試験
上記ヌクレオシド誘導体に関し、HepG2細胞に対する細胞毒性試験も行った。段階希釈後の各濃度の各ヌクレオシド誘導体を添加した培地と共に、HepG2細胞を1×10cells/mlの濃度になるよう播種した。このようにして様々な濃度の各ヌクレオシド誘導体の存在下、37℃、5%COの標準培養条件で7日間、これら細胞を培養した後、各ウェルの生存細胞数をMTTアッセイで定量化した。そして、得られた生存細胞数に基づき、各ヌクレオシド誘導体に関し、CC50を算出した。得られた結果を表4乃至6に併せて示す。
なお、表4乃至6には、選択性指数として、CC50値をEC50値で除した値も示している。この選択性指数が大きいほど、毒性/活性比が大きく、薬剤として好適である。
Figure 0006983814
Figure 0006983814
Figure 0006983814
表4乃至6に示した結果から明らかな通り、化合物P1乃至P4は、化合物C1及びC2並びにR1乃至R4と比較して、細胞毒性がより低いことが明らかとなった。また、化合物P1乃至P4は、HBVに対する優れた抗ウイルス活性を有することも明らかとなった。
以上説明したように、本発明によれば、少なくともHBVに対して優れた抗ウイルス活性を有し、宿主細胞に対する毒性が低いヌクレオシド誘導体を提供することが可能となる。したがって、本発明は、ウイルス感染症の予防又は治療において極めて有用である。
配列番号:1及び2
<223>人工的に合成されたプライマーの配列

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体。
    Figure 0006983814

    式(1)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい
    アルケニル基、シアノ基、又はアジド基である。
  2. Rは、モノフルオロメチル基、エテニル基、シアノ基、又はアジド基である、請求項1
    に記載のヌクレオシド誘導体。
  3. 請求項1又は2に記載のヌクレオシド誘導体を有効成分とする抗B型肝炎ウイルス剤。
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