JP6982932B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
大容量の電力変換装置では、スイッチング素子等の電力用半導体素子の発熱を抑制するため、水冷式の冷却システムが用いられることがある。冷却水は、ヒートシンク内に埋め込まれたパイプを通流し、圧接型パッケージに収納された電力用半導体素子を冷却する。
電力用半導体素子は、変換回路内で複数個用いられることが多く、回路形式によって、隣接する電力用半導体素子同士を電気的に接続したり、逆に絶縁したりすることがある。
電力用半導体素子への冷却水の供給系統は、電力用半導体素子の電気的な接続とは独立して別個に設計されるので、構造的に冗長な部分が生じる場合がある。そのため電力変換装置の構造が複雑になることがある。
特開2005−260142号公報
実施形態は、冷却水の供給系統および電力用半導体素子の電気的接続を簡素な構造とした電力変換装置を提供する。
実施形態に係る電力変換装置は、冷却水をそれぞれ通流可能とする導電性の第1ヒートシンクおよび第2ヒートシンクと、前記第1ヒートシンクと前記第2ヒートシンクとを流体的に接続するとともに電気的に接続する導電性の第1パイプと、前記第1ヒートシンクに一方の電極で接続された第1電力用半導体素子と、前記第2ヒートシンクに一方の電極で接続された第2電力用半導体素子と、を備える。
本実施形態では、冷却水の供給系統および電力用半導体素子の電気的接続を簡素な構造とした電力変換装置が実現される。
実施形態に係る電力変換装置の一部を例示する模式図である。 図2(a)は、実施形態の電力変換装置の一部を例示する模式的な斜視図である。図2(b)は、実施形態の電力変換装置の一部を例示する模式的な正面図である。 実施形態の電力変換装置の一部を例示するブロック図である。 比較例の電力変換装置の一部を例示する模式的な正面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
図1は、実施形態に係る電力変換装置の一部を例示する模式図である。
図1には、電力変換装置10に含まれる水冷配管の簡略化された系統図が示されている。図1には、電力変換装置10のスイッチング素子(電力用半導体素子)31、スイッチング素子31を冷却するための配管およびヒートシンク30が示されている。なお、図1は、配管の系統図であるため、スイッチング素子31等の電気的な接続は示されていない。
図1に示すように、実施形態の電力変換装置10は、主パイプ21,22と、分流パイプ23,25,26,27,29と、ヒートシンク30と、スイッチング素子31と、を備える。
主パイプ21は、分流パイプ23に流体的に接続されている。分流パイプ23は、コネクタ24を介して分流パイプ25に流体的に接続されている。分流パイプ25は、ヒートシンク30を介して分流パイプ26に流体的に接続されている。分流パイプ26は、ヒートシンク30を介して、分流パイプ27に流体的に接続されている。分流パイプ27は、コネクタ28を介して、分流パイプ29に流体的に接続されている。分流パイプ29は、主パイプ22に流体的に接続されている。
ヒートシンク30には、分流パイプ25,26および分流パイプ26,27とそれぞれ流体的に接続するパイプ(図示せず)が埋め込まれている。ヒートシンク30に埋め込まれたパイプに冷却水が流れることによって、ヒートシンク30は冷却される。したがって、ヒートシンク30に熱的に結合されたスイッチング素子31は、効果的に冷却される。
主パイプ21の一方の端部の側および主パイプ22の一方の端部側は、冷却水を循環させるポンプ等を含む冷却水循環システムが流体的に接続されている。ポンプから出力された冷却水は、主パイプ21、分流パイプ23,25、ヒートシンク30、分流パイプ26、ヒートシンク30、分流パイプ27,29、および主パイプ22の経路を還流する。
主パイプ21,22の間には、分流パイプ23,25、ヒートシンク30、分流パイプ26、ヒートシンク30、および分流パイプ27,29の冷却水の流れる経路が複数並列に接続されている。つまり、主パイプ21,22は、分流パイプ23,25,26,27,29および2つのヒートシンク30からなる冷却水の複数の分岐経路を有している。したがって、主パイプ21,22が延伸する方向に沿って配設されたヒートシンク30には、冷却水がそれぞれ循環することができる。
分流パイプ23,25,26,27,29のうち分流パイプ26は、導電性を有する材料で形成されている。たとえば分流パイプ26は、銅やアルミ、SUS等の金属材料で形成されている。ヒートシンク30は、高熱伝導度を実現するために銅やアルミ等の金属材料で形成されており、したがって、ヒートシンク30は、導電性を有する。そのため、分流パイプ26によって流体的に接続された2つのヒートシンク30は、電気的にも接続されている。なお、他の分流パイプ23,25,27,29は、絶縁性の材料、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PolyTetraFluoroEthylene、PTFE、またはテフロン(登録商標))で形成されている。したがって、ヒートシンク30およびスイッチング素子31は、主パイプ21,22とは電気的に絶縁されている。
分流パイプ23,25,26,27,29の内径はほぼ同一に設定されている。そのため、冷却水は、分流パイプ23,25,26,27,29をほぼ同一の圧力で通流し、分流パイプ23,25,26,27,29におけるヘッドロスは、ほぼ同一とすることができる。
スイッチング素子31は、主パイプ21,22の延伸する方向に沿って配設された隣接する2つのヒートシンク30の間に設けられている。スイッチング素子31は、圧接型パッケージに収納されており、ヒートシンク30に接する面は、電極が形成されている。この図は、配管の系統図のため、電気的な接続は示されていないが、スイッチング素子31の両方の電極は、2つのヒートシンク30にそれぞれ電気的に接続されている。
主パイプ21,22の延伸する方向に配設され、隣接するスイッチング素子31は、ヒートシンク30を介して、電気的に接続されている。分流パイプ23,25,26,27,29の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31は、分流パイプ26によって電気的に接続されている。つまり、主パイプ21,22の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31は、ヒートシンク30を介して、直列に接続されており、分流パイプ23,25,26,27,29の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31同士は、ヒートシンク30および分流パイプ26を介して、並列に接続されている。
図2(a)は、実施形態の電力変換装置の一部を例示する模式的な斜視図である。図2(b)は、実施形態の電力変換装置の一部を例示する模式的な正面図である。
図2(a)および図2(b)に示すように、分流パイプ25,26,27の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31は、分流パイプ26によって、流体的に接続されるとともに、電気的に接続されている。なお、図2(a)において、ヒートシンク30を介して直列に接続されたスイッチング素子31は、絶縁性のフレーム12に固定され、モジュールとして電力変換器を構成する。
図3は、実施形態の電力変換装置の一部を例示するブロック図である。
図3に示すように、電力変換装置10は、変換回路10cと、リアクトル3a,3bと、を含む。変換回路10cは、端子10a,10bを介して、リアクトル3a,3bに直列に接続され、変圧器2を介して、電力系統1に接続される。電力系統1は、たとえば三相の交流電力系統である。この例では、電力変換装置10は、サイリスタ位相制御リアクトル(Thyristor Controlled Reactor、TCR)である。
変換回路10cは、複数のスイッチング素子31を含む。複数のスイッチング素子31のうち、2つのスイッチング素子31は、逆並列に接続されている。スイッチング素子31は、サイリスタであり、逆並列に接続されるとは、一方のサイリスタのアノード電極と他方のサイリスタのカソード電極とを接続し、一方のサイリスタのカソード電極と他方のサイリスタアノード電極とを接続することをいう。
スイッチング素子31が逆並列に接続された並列回路(以下、逆並列回路という)は、同様にスイッチング素子31が逆並列に接続された逆並列回路に直列に接続されている。この例では、4つの逆並列回路が直列接続されているが、端子10a,10b間に印加される電圧に応じて、適切な数の逆並列回路が直列に接続される。
逆並列回路には、スナバ回路32およびFV監視回路33がそれぞれ並列に接続されている。スナバ回路32は、スイッチング素子31のアノード−カソード間への過電圧印加や過度なdv/dtを抑制するために設けられる。FV監視回路33は、スイッチング素子31が正常にオンしているか否かを監視する。FV監視回路33が監視するスイッチング素子31のオン電圧は、たとえば、光信号に変換されて、図示しない制御装置に送信される。制御装置では、電力系統1の電圧、電力変換装置10に流れる電流およびFV監視回路33によって検出されたオン電圧にもとづいて、制御信号を生成する。制御装置は、生成した制御信号をたとえば光信号に変換して、スイッチング素子31のゲート駆動回路(図示せず)に送信する。
このように、上述した電力変換装置10では、スイッチング素子31が逆並列に接続されるとともに、逆並列回路が多段に直列接続されている。大電力を扱う電力変換装置10では、各スイッチング素子31は、冷却システムによって冷却される。すでに説明したように、圧接型パッケージに収納されたスイッチング素子31は、両側の電極に電気的に接続されたヒートシンク30を流れる冷却水によって冷却される。
実施形態の電力変換装置10の効果について、比較例の電力変換装置と比較しつつ説明する。
図4は、比較例の電力変換装置の一部を例示する模式的な正面図である。
図4に示すように、比較例の電力変換装置110は、分流パイプ25,126,27と、ヒートシンク30と、スイッチング素子31と、接続部材130と、を備える。なお、図示されていない分流パイプ25,27の接続先は、実施形態の場合と同様に分流パイプ等をさらに介して、主パイプに流体的に接続されている。比較例の電力変換装置110では、分流パイプ126および接続部材を備える点で実施形態の場合と相違し、その他の点では実施形態の場合と同一である。
比較例の電力変換装置110では、分流パイプ126は、分流パイプ25,126,27の延伸する方向に配設された2つのヒートシンク30間を流体的に接続する。この分流パイプ126は、絶縁性の材料で形成されており、たとえばPTFEで形成されている。
分流パイプ25,126,27の延伸する方向に配設されたヒートシンク30は、接続部材130によって接続されている。接続部材130は、銅等の金属材料で形成されており、高い導電性を有する。したがって、分流パイプ25,126,27の延伸する方向に配設されたヒートシンク30は、電気的に接続され、ヒートシンク30に電気的に接続されたスイッチング素子31は、接続部材130によって逆並列に接続される。
このような比較例の構成では、分流パイプ25,126,27の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31同士が電気的に接続される場合と、電気的に絶縁される場合とを、接続部材130の有無によって切り替えることができるとの利点を有する。一方で、接続部材130を設ける場合には、接続部材130が必要となるとともに、2つのヒートシンク30にそれぞれねじ止めする等の接続作業が追加されることになる。
これに対して、実施形態の電力変換装置10では、分流パイプ25,26,27の延伸する方向に配設されたスイッチング素子31同士を電気的に接続する場合に、導電性を有する分流パイプ26を用いることで、接続部材130を省略することができ、接続部材130の接続工程を不要とすることができる。
導電性の高い材料は、一般に熱伝導度も高いので、分流パイプ26の断面積を適切に設定することによって、通流する冷却水の温度上昇を制御することが可能である。たとえば、分流パイプ26が冷却水によって直接冷却されることによって、分流パイプ26の電流密度を高くすることができる。したがって、分流パイプ26の断面積を、比較例の場合の接続部材130の断面積よりも小さく設定することが可能になり、部材の削減とともに、材料費自体も低減させることができる。
また、分流パイプ26の内径は、他の分流パイプ23,25,27,29の内径と等しくされている。これによって、通流する冷却水の圧力を他の分流パイプと等しくすることができ、したがって、実施形態の電力変換装置の分流パイプ26においても、比較例の場合の分流パイプ126のヘッドロスと同等とすることができる。
上述では、電力変換装置は、TCRであるとしたが、2つのサイリスタが逆並列に接続される変換器の回路を有するものであれば、これに限らない。たとえば、交流系統に直列に挿入する交流断路器や、他励式交直変換器等であってもよい。また、スイッチング素子は、逆並列に接続される場合に限らず、たとえば電流容量を増大させるために、順方向のスイッチング素子を並列に接続した回路を有する変換器であってもよい。
また、直列の接続されたすべてのスイッチング素子が、それぞれ並列または逆並列に接続されていなくてもよい。たとえば、直列に接続されたスイッチング素子のうち端部のスイッチング素子のアノード電極およびカソード電極のみが接続されるような場合等であってもよい。このような場合には、導電性を有する分流パイプは、電気的に接続されるヒートシンクのみに用いられ、他の分流パイプは、絶縁性の材質のものが用いられる。
スイッチング素子もサイリスタに限らず、IGBTやMOSFET等の自己消弧形のデバイスであってもよいし、ダイオードであってもよいし、複数種類の電力用半導体素子が混在してもよい。
以上説明した実施形態によれば、冷却水の供給系統およびスイッチング素子の電気的接続を簡素な構造とした電力変換装置を実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 電力系統、2 変圧器、3a,3b リアクトル、10 電力変換装置、12 フレーム、21,22 主パイプ、23,25,26,27,29 分流パイプ、24,28 コネクタ、30 ヒートシンク、31 スイッチング素子、32 スナバ回路、33 FV監視回路

Claims (5)

  1. 冷却水をそれぞれ通流可能とする導電性の第1ヒートシンクおよび第2ヒートシンクと、
    前記第1ヒートシンクと前記第2ヒートシンクとを流体的に接続するとともに電気的に接続する導電性の第1パイプと、
    前記第1ヒートシンクに一方の電極で接続された第1電力用半導体素子と、
    前記第2ヒートシンクに一方の電極で接続された第2電力用半導体素子と、
    を備えた電力変換装置。
  2. 前記冷却水をそれぞれ通流可能とする導電性の第3ヒートシンクおよび第4ヒートシンクと、
    前記第3ヒートシンクと前記第ヒートシンクとを流体的に接続するとともに電気的に接続する導電性の第2パイプと、
    をさらに備え、
    前記第1電力用半導体素子は、前記第3ヒートシンクに他方の電極で接続され、
    前記第2電力用半導体素子は、前記第4ヒートシンクに他方の電極で接続された請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記第1電力用半導体素子および前記第2電力用半導体素子は、サイリスタであり、
    前記第1電力用半導体素子のアノード電極は、前記第1ヒートシンクに電気的に接続され、
    前記第1電力用半導体素子のカソード電極は、前記第3ヒートシンクに電気的に接続され、
    前記第2電力用半導体素子のアノード電極は、前記第4ヒートシンクに電気的に接続され、
    前記第2電力用半導体素子のカソード電極は、前記第2ヒートシンクに電気的に接続された請求項2記載の電力変換装置。
  4. 前記第1ヒートシンクを介して前記第1電力用半導体素子の前記一方の電極に電気的に接続された第3電力用半導体素子と、
    前記第2ヒートシンクを介して前記第2電力用半導体素子の前記一方の電極に電気的に接続された第4電力用半導体素子と、
    をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
  5. 前記第1ヒートシンクに前記冷却水を供給する第3パイプと、
    前記第2ヒートシンクから前記冷却水を排出する第4パイプと、
    をさらに備え、
    前記第1パイプの内径は、前記第3パイプの内径および前記第4パイプの内径に等しい請求項1〜4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
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