JP6981644B2 - テルペン類の抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テルペン類の抽出方法に関し、例えば、植物に含まれるテルペン類をイオン液体によって抽出するテルペン類の抽出方法に関する。
シナロピクリン(Cynaropicrin)は、1960年にアーティチョークから単離・構造決定されたセスキテルペンラクトン天然有機化合物である。シナロピクリンは、NF−κb(nuclear factor κb)の転写活性抑制作用を有する。シナロピクリンは、紫外線及び炎症性サイトカインなどの外部刺激により、NF−κbの転写活性が促されることで引き起こる「光老化」を防ぎ、メラニン色素の増加を抑制し、美白効果が期待できる。また、キニシン(Cnicin)は、1959年にサントリソウから単離・構造決定されたセスキテルペンラクトン天然有機化合物である。シナロピクリン及びキニシンは、アフリカ睡眠病の起因となるTrypanosoma bruceiと呼ばれる寄生原虫に対して薬理活性を有し、アフリカ睡眠病治療候補薬としても期待されている。
ところで、近年、イオンのみで構成される低融点の有機塩であるイオン液体(Ionic Liquid、「イオン性液体」ともいう。)についての研究が脚光を浴びている。イオン液体は、イオンのみで構成される結果高い極性を示し、不揮発性、高い熱安定性、化学的安定性などの特性を有する。イオン液体には、室温付近で液体状態となる「常温溶融塩」又は「室温溶融塩」とも称されるものもある。また、イオン液体には、一般的な有機溶媒や水には溶解しにくいセルロースを溶解可能なものもあり、イオン液体を用いてコーヒー豆などに含まれるカフェオイルキナ酸を抽出する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
特開2015−209401号公報
Toyonobu Usuki, Shingo Ondda, Masahiro Yoshizawa−Fujita, Masahiro Rikukawa "Use of [C4mim]Cl for Efficient Extraction of Caffeoylquinic Acids from Sweet Potato Leaves" Scientific Reports 2017, 7, 6890.
シナロピクリン及びキニシンなどのテルペン類は、全合成がなされていないものも多くある。テルペン類を植物から効率的に抽出可能な抽出方法の開発が望まれている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、植物からテルペン類を効率良く抽出できるテルペン類の抽出方法を提供することを目的とする。
本発明に係るテルペン類の抽出方法は、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒とテルペン類を含む植物とを混合し、前記植物から前記テルペン類を前記抽出溶媒と共に抽出液として抽出する抽出工程と、前記抽出液と前記テルペン類を溶解可能な有機溶媒とを混合した後、遠心分離により前記抽出液と前記有機溶媒とを分離し、前記テルペン類を前記有機溶媒に回収する回収工程とを含む。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記回収工程において、前記抽出液と前記有機溶媒と水とを混合することが好ましい。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記抽出溶媒が、前記イオン液体とアセトン類、アルコール類及びエステル類からなる群から選択された少なくとも1種を含む極性溶媒との混合溶媒であることが好ましい。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記抽出工程において、前記抽出時の温度が15℃以上60℃以下であることが好ましい。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記混合溶媒は、前記イオン液体と前記極性溶媒との質量比(イオン液体:極性溶媒)が5:1〜1:5の範囲であることが好ましい。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、さらに、前記回収工程において分離された抽出液に前記有機溶媒を加えて混合した後、遠心分離により前記抽出液と前記有機溶媒とを分離して前記イオン液体を再生する再生工程を含むことが好ましい。
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記イオン液体が、下記一般式(1)で表されることが好ましい。
Figure 0006981644
(式(1)中、Rは、炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。)
本発明に係るテルペン類の抽出方法においては、前記テルペン類が、セスキテルペン類であることが好ましい。
本発明によれば、植物からテルペン類を効率良く抽出できるテルペン類の抽出方法を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係るテルペン類の抽出方法の概略を示すフロー図である。 図2は、本発明の実施例及び比較例に係るテルペン類の抽出方法の抽出率を示す図である。 図3は、本発明の実施例及び比較例に係るテルペン類の抽出方法の抽出時間と抽出率との関係を示す図である。 図4は、本発明の実施例及び比較例に係るテルペン類の抽出方法のイオン液体の再利用回数と抽出率との関係を示す図である。 図5は、本発明の実施例及び比較例に係るテルペン類の抽出方法の抽出率を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係るテルペン類の抽出方法の概略を示すフロー図である。図1に示すように、本実施の形態に係るテルペン類の抽出方法は、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒とテルペン類を含む植物とを混合し、植物からテルペン類を抽出溶媒と共に抽出液として抽出する抽出工程ST11と、抽出液とテルペン類を溶解可能な有機溶媒とを混合した後、遠心分離により抽出液と有機溶媒とを分離してテルペン類を有機溶媒に回収する回収工程ST12とを含む。以下、本実施の形態に係るテルペン類の抽出方法について詳細に説明する。
抽出工程ST11では、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒とテルペン類を含む植物とを所定時間混合する。また、抽出工程ST11では、抽出溶媒と共に所定時間混合した植物に含まれるテルペン類を抽出溶媒と共に抽出液として抽出する。
抽出溶媒は、セルロースを溶解可能なイオン液体を含有する(以下、単に、「イオン液体」ともいう)。イオン液体としては、セルロースを溶解可能なものであれば制限はない。イオン液体とは、幅広い温度範囲で流動性があり、完全にイオンからなる液体を示す。イオン液体としては、例えば、100℃以下(例えば、室温以下)にて液体状態となる塩を示す。
イオン液体は塩であり、カチオンとアニオンとを有する。抽出溶媒として用いられるイオン液体のカチオンとしては、例えば、4級アンモニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオンなどの有機カチオンが挙げられる。これらの有機カチオンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して併用してもよい。
イオン液体のカチオンとしては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン及び1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオンが挙げられる。これらの中でも、植物からテルペン類を効率良く抽出できる観点から、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンが好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンがより好ましい。
また、イオン液体のアニオンとしては、例えば、BF 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、HSO 、ClO 、CHSO 、CHSO 、CHSO 、CFSO 、CFSO 、CFCO 、CCO 、(CFSO、(CSO、ホスホン酸、(CHO)PO 、(CHO)CHPO 、(CHO)COPO 、(CHO)HPO 、(CO)PO 、(CO)CHPO 、(CO)CPO 、(CO)HPO などのリン酸系イオン、Cl、Br、Iなどのハロゲン化物イオン、炭素数1以上3以下のカルボン酸イオン、ギ酸イオン(HCOO)、過塩素酸イオン、CN、SCN、OCN、ONC、N などの擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン(NCN)、ジシアナミドイオン(N(CN) )などの擬ハロゲン化物イオンが挙げられる。
これらの中でも、イオン液体のアニオンとしては、リン酸系アニオンが好ましく、炭素数1以上5以下のアルキルホスホネートアニオン((RO)HPO )(Rは、1以上5以下の分岐を有していてもよいアルキル基を表す)がより好ましい。炭素数1以上5以下のアルキルホスホネートアニオンとしては、メチルホスホネートアニオン((CHO)HPO )、エチルホスホネートアニオン((CO)HPO )及びプロピルホスホネートアニオン((CO)HPO )が更に好ましく、メチルホスホネートアニオン((CHO)HPO )が特に好ましい。
また、イオン液体のカチオンとアニオンとの組み合わせとしては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルホスホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムプロピルホスホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブチルホスホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペンチルホスホネート及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドなどが挙げられる。
イオン液体としては、植物からテルペン類を効率良く抽出できる観点から、上述したカチオンとアニオンとの組み合わせの中でも、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。また、下記一般式(1)において、Rとしては、炭素数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。これらの炭素数1以上5以下のアルキル基は、無置換のものであってもよく、水酸基及びハロゲン原子などの置換基を有するものであってもよい。これらの中でも、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
Figure 0006981644
(式(1)中、Rは、炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。)
イオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルホスホネート及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムプロピルホスホネートがより好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネート([Cmim][(MeO)(H)PO])が更に好ましい。なお、抽出溶媒としてのイオン液体は、商業的に入手できるものを用いてもよく、公知の手法にて合成したものを用いてもよい。
また、抽出溶媒としては、テルペン類の抽出率をより向上する観点から、イオン液体を含む混合溶媒を用いることが好ましい。例えば、イオン液体を含む混合溶媒としては、イオン液体に加えて、水、有機溶媒、超臨界二酸化炭素などの超臨界流体を含む混合溶媒などが挙げられる。ここで、有機溶媒としては、例えば、ケトン類、アルコール類、エステル類、エーテル類及びニトリル類などの極性溶媒が好ましい。
アルコール類としては、炭素数1以上5以下のアルコール化合物が好ましく、炭素数1以上3以下のアルコール化合物がより好ましい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパピルアルコール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール及びt−ブタノール及びペンタノールなどが挙げられる。これらの中でも、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
ケトン類としては、炭素数1以上5以下のケトン化合物が好ましい。ケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノンなどが挙げられる。これらの中でも、アセトン及び2−ブタノンが好ましく、アセトンがより好ましい。
エステル類としては、炭素数1以上5以下のエステル基を有するエステル化合物が好ましく、炭素数1以上3以下のエステル基を有するエステル化合物がより好ましい。エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル及びプロピオン酸ペンチルなどが挙げられる。これらの中でも、エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル及びプロピオン酸プロピルが好ましく、酢酸エチル及びプロピオン酸エチルがより好ましく、酢酸エチルが更に好ましい。
エーテル類としては、炭素数4以上10以下のエーテル化合物が好ましい。エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサン2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノンなどが挙げられる。
ニトリル類としては、炭素数2以上5以下のニトリル化合物が好ましい。ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。
また、抽出溶媒として混合溶媒を用いる場合のイオン液体と極性溶媒との混合比は、テルペン類の抽出率をより向上する観点から、質量比(イオン液体:極性溶媒)が、5:1〜1:5の範囲であることが好ましく、4:1〜1:4の範囲であることがより好ましく、3:1〜1:3の範囲であることが更に好ましく、1:2〜2:1の範囲であることが特に好ましい。質量比(イオン液体:極性溶媒)が、5:1〜1:5の範囲であれば、テルペン類の抽出方法は、イオン液体による植物のセルロールの溶解性を損なうことなく、粘性が高いイオン液体が極性溶媒によって希釈されて混合溶媒の粘性が下がるので、テルペン類の抽出率をより向上することが可能となる。
本実施の形態では、セルロースを溶解するイオン液体を用いることにより、植物の細胞壁を構成するセルロースの内部に存在するテルペン類をイオン液体と共に抽出する。そのため、テルペン類としては、イオン液体によって抽出できるものであれば特に制限はなく、例えば、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン及びこれらが誘導体であるテルぺノイドなどの各種テルペン類を用いることができる。これらの中でも、テルペン類としては、植物からテルペン類を効率良く抽出できる観点から、セスキテルペン及びその誘導体であるセスキテルペン類が好ましく、セスキテルペンラクトン誘導体がより好ましく、下記式(2)に示すシナロピクリン及び下記式(3)に示すキニシンが更に好ましい。
Figure 0006981644
抽出溶媒に添加される植物としては、テルペン類を含むものであれば特に制限はない。抽出工程ST11における植物としては、例えば、サツマイモの葉、春菊、ゴボウ、フキ、ヨモギ、ニガナ、アーティチョーク及びサントリソウなどのキク科の植物、ナス、ジャガイモなどのナス科、コーヒー、モロヘイヤ、エンサイ、パイナップルの葉などが挙げられる。これらの中でも、ゴボウ、フキ、ヨモギ、ニガナ、アーティチョーク及びサントリソウなどのキク科の植物が好ましく、植物からテルペン類を効率良く抽出できる観点から、アーティチョーク及びサントリソウがより好ましい。
また、抽出工程ST11における植物としては、テルペン類を含む任意の植物の中の一部を用いてもよく、植物全部を用いてもよい。植物の一部としては、例えば、植物の葉を用いるのが好ましく、乾燥、粉末状のものを用いるのがより好ましい。また、抽出工程ST11における植物としては、抽出効率を高めるという観点から、粉砕された植物を用いることが好ましく、粉末状のものを用いることがより好ましい。植物の粉砕の方法としては、任意の方法を用いてよい。なお、元々粉砕されたものを購入して用いても良い。
抽出工程ST11における抽出温度としては、植物からテルペン類を抽出できる範囲であれば特に制限はない。抽出工程ST11における抽出温度は、植物からのテルペン類の抽出率を向上する観点から、15℃以上60℃以下であることが好ましく、20℃以上55℃以下であることがより好ましく、25℃以上50℃以下であることが更に好ましい。特に、本実施の形態においては、室温付近(例えば、25℃近辺)においても、植物からテルペン類を効率良く抽出できるので、抽出溶媒の加温に伴う設備及び時間などの抽出に要するコストを削減することが可能となる。
抽出工程ST11における抽出溶媒と植物とを混合する抽出時間としては、植物からテルペンを抽出できる範囲であれば特に制限はない。抽出時間としては、例えば、10分以上200分以下である。抽出時間としては、植物からテルペンを効率良く抽出する観点から、15分以上180分以下であることが好ましく、30分以上150分以下であることがより好ましく、60分以上140分以下であることが更に好ましく、110℃以上130℃以下が特に好ましいい。特に、本実施の形態においては、上述した室温付近で60分程度抽出を行うだけで、効率良くテルペンを抽出できるので、植物からテルペンの抽出に伴う時間などのコストを削減することができる。また、抽出時間は、120分程度とすることにより最も効率良く抽出を行うことが可能となる。
抽出工程ST11における植物と抽出溶媒との質量比としては、植物からテルペンを抽出できる範囲であれば特に制限はない。植物と抽出溶媒との質量比(植物:抽出溶媒)としては、植物と抽出溶媒とを効率良く撹拌してテルペン類を効率良く抽出する観点から、1:20〜1:3の範囲であることが好ましく、1:15〜1:5の範囲であることがより好ましく、1:12.5〜1:7.5の範囲であることが更に好ましい。なお、植物の質量は、乾燥させたものであってもよく、乾燥していないものであってもよい。
回収工程ST12では、抽出液とテルペン類を溶解可能な有機溶媒とを所定時間混合する。また、回収工程ST12では、混合した抽出液と有機溶媒とを所定時間遠心分離してテルペン類を有機溶媒に回収した後、抽出液と有機層とをデカンテーションにより分離する。
テルペン類を溶解可能な有機溶媒(以下、単に「有機溶媒」ともいう。)としては、遠心分離によりイオン液体と分液するものが用いられる。有機溶媒としては、例えば、上述した混合溶媒に用いられる極性溶媒が挙げられる。これらの中でも、有機溶媒としては、エステル類が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
また、回収工程ST12におけるテルペン類に対する有機溶媒の質量としては、抽出液からテルペン類を抽出できる範囲であれば制限はない。テルペン類に対する有機溶媒の質量としては、抽出液から効率良くテルペン類を回収する観点から、植物1質量部に対して、5質量部以上25質量部以下であることが好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、12.5質量部以上17.5質量部以下であることが更に好ましい。
回収工程ST12における抽出液と有機溶媒との混合時間は、抽出液からテルペン類を回収できる範囲であれば特に制限はない。混合時間としては、抽出液から効率良くテルペン類を回収する観点から、1分以上20分以下であることが好ましく、2分以上10分以下であることがより好ましく、3分以上7.5分以下であることが更に好ましい。
回収工程ST12における抽出液と有機溶媒との混合温度としては、抽出液からテルペン類を回収できる範囲であれば特に制限はない。回収工程ST12における混合温度は、例えば、10℃以上30℃以下などの室温で実施可能である。
回収工程ST12においては、抽出液及び有機溶媒に加えて、水を添加して混合してもよい。これにより、イオン液体を含む抽出液への有機溶媒の溶解性が低下し、イオン液体を含む抽出液とテルペン類及び有機溶媒を含む有機層との分液性が向上するので、抽出液からテルペン類をより一層効率良く回収することが可能となると考えられる。水としては、特に制限はなく、水道水、イオン交換水及び蒸留水などの各種水を用いることができる。
回収工程ST12で添加する水の質量としては、抽出液と有機層との分液性を向上できる範囲であれば制限はない。水の質量としては、抽出液と有機層との分液性を向上する観点から、植物1質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上6質量部以下であることが更に好ましい。
回収工程ST12では、一般的な遠心分離器を用いて遠心分離することにより、イオン液体及び抽出後の植物を含む抽出液とテルペン類及び有機溶媒を含む有機層とを分離する。遠心分離の時間としては、抽出液と有機層とを分離できる範囲であれば特に制限はない。遠心分離の時間としては、10秒以上5分以下が好ましく、30秒以上3分以下がより好ましい。また、遠心分離の温度としては、上述した混合温度と同様である。このように、本実施の形態では、遠心分離によって短時間、かつ、温和な温度条件で効率良くイオン液体及び抽出後の植物を含む抽出液を有機層と分離できるので、植物からのテルペン類の抽出に伴う設備の簡素化及び時間の短縮が可能となるだけでなく、分液性の向上により工業的なスケールアップも容易となる。
このようにして得られた有機層中に含まれるテルペン類は、例えば、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)絶対検量線法を用いて分析することにより、抽出率を測定することができる。
また、本実施の形態に係るテルペン類の抽出方法においては、回収工程ST12の後に、イオン液体を再利用可能に再生する再生工程を実施してもよい。
再生工程では、回収工程ST12で分離されたイオン液体を含む抽出液に、回収工程ST12で用いたものと同様の有機溶媒を加えて所定時間混合する。混合時の温度及び時間は、回収工程ST12と同様である。また、再生工程では、混合した抽出液及び有機溶媒を所定時間遠心分離することによりイオン液体と有機溶媒とをデカンテーションにより分離する。遠心分離の時間は、回収工程ST12と同様である。再生工程では、これらの工程を所定回数繰り返した後、濾過及び揮発分の濃縮を行うことによりイオン液体を再生する。
このようにして再生されたイオン液体は、抽出率を低下させることなく、少なくとも9回再利用することが可能となる。これにより、テルペン類の抽出方法は、テルペン類の抽出後に排出されるイオン液体を削減できるので、テルペン類の抽出に伴うコストを低減することができる。また、テルペン類の抽出方法は、テルペン類を抽出する毎にイオン液体を廃棄する必要がなくなると共に、イオン液体と有機溶媒とを混合及び遠心分離するだけで再生できるので、イオン液体の水洗などに伴って排出される排水を削減することもできる。また、テルペン類の抽出方法は、イオン液体と有機溶媒とを混合及び遠心分離するだけで再生できるので、特別な設備を用意することもなくイオン液体を再生できると共に、分液性も向上するので、スケールアップにも対応が可能となる。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、セルロースを溶解可能なイオン液体を用いて植物からテルペン類を抽出したテルペン類を、有機溶媒に溶解させて抽出した後、遠心分離によってテルペン類を含む有機層を分離して回収する。これにより、テルペン類の抽出方法は、植物から高い抽出率でテルペン類を回収できるので、効率良くテルペン類を抽出することが可能となる。また、他の有機溶媒や水を抽出溶媒として用いる場合と比較して、テルペン類を効率良く抽出可能なテルペン類の抽出方法を実現できる。さらに、遠心分離によってイオン液体を含む抽出液とテルペン類を含む有機溶媒との分液性が向上すると共に、分液操作などが不要となるのでスケールアップにも容易に対応可能となる。さらに、イオン液体を抽出溶媒として用いることで、イオン液体を抽出溶媒として繰り返し利用可能なテルペン類の抽出方法を実現できる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
まず、本発明者らは、イオン液体を用いたシナロピクリンの抽出について、抽出溶媒及び抽出温度と抽出率との関係について調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
(実施例1)
ミキサーにより粉砕したアーティチョークの葉(0.05g)と1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネート(以下、実施例及び比較例において、単に、「イオン液体」という)(0.5g)とをサンプル管に加え、25oCで60分間撹拌した。その後、蒸留水(0.214g)及び酢酸エチル(0.714g)を加えて5分間撹拌した後、1分間遠心分離を行うことで抽出液と有機層(酢酸エチル層)とを分離し、有機層をデカンテーションにより回収した。酢酸エチルの添加、遠心分離及び有機層の分離の操作は、3回繰り返した。得られた有機層について、下記の分析条件の逆相液体クロマトグラフィーにより分析を行い、絶対検量線法を用いてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.53%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(HPLCの分析条件)
カラム:YMC-Pack ODS-AM (150×4.6mm)
溶媒:グラジエント法によって以下の条件で測定した。
0min〜5min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
5min〜30min;アセトニトリル/蒸留水=100:0
30min〜40min;アセトニトリル/蒸留水=100:0
40min〜45min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
45min〜55min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
UV検出:228nm
(実施例2)
ミキサーにより粉砕したアーティチョークの葉(0.05g)とイオン液体(0.5g)とを50oCで60分間撹拌したこと以外は、実施例1と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.54%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例3)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)とアセトン(0.25g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.71%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例4)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)とアセトン(0.25g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.74%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例5)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)とエタノール(0.25g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.59%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例6)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)と酢酸エチル(0.25g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.67%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例7)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.375g)とエタノール(0.125g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.74%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(実施例8)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.125g)とエタノール(0.375g)とを混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.59%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(比較例1)
ミキサーにより粉砕したアーティチョークの葉(0.05g)とアセトン(0.5g)とをサンプル管に加え、25oCで60分間撹拌した。その後、更に15分間撹拌後、10分間遠心分離を行うことで固形物であるアーティチョークの葉から有機層(アセトン)を分離し、デカンテーションにより有機層を回収した。得られた有機層を実施例1と同様に分析してシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.46%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(比較例2)
ミキサーにより粉砕したアーティチョークの葉(0.05g)とアセトン(0.5g)とを50oCで60分間撹拌したこと以外は、比較例1と同様にしてシナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.53%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(比較例3)
アセトン(0.5g)に代えて、エタノール(0.5g)を用いたこと以外は、比較例2と同様にして。シナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.35%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
(比較例4)
アセトン(0.5g)に代えて、酢酸エチル(0.5g)を用いたこと以外は、比較例2と同様にして。シナロピクリンの抽出率を定量した。その結果、シナロピクリンの抽出率は、0.43%であった。結果を下記表1及び図2に示す。
Figure 0006981644
表1及び図2から分かるように、イオン液体を単独で用いた際には、抽出温度が25℃で抽出率が0.53%であり(実施例1)、抽出温度が50℃で抽出率が0.54%であり(実施例2)、いずれも高い抽出率が得られた。また、イオン液体と極性溶媒(アセトン、エタノール、酢酸エチル)の1:1の混合溶媒を用いて抽出を行った場合には(実施例3〜実施例6)、イオン液体のみを用いた場合と比較して抽出率が更に向上した(実施例3:0.71%、実施例4:0.74%、実施例5:0.59%、実施例6:0.67%)。また、イオン液体と有機溶媒(エタノール)の3:1の混合溶媒及び1:3の混合溶媒を用いた場合にも(実施例7、実施例8)、イオン液体のみを用いた場合と比較して抽出率が更に向上した(実施例7:0.74%、実施例8:0.59%)。これらの結果は、混合溶媒とすることにより、抽出溶媒の粘性が低下して撹拌効率が向上したためと考えられる。
これに対して、アセトンのみを用いた場合(比較例1、比較例2)、エタノールのみを用いた場合(比較例3)及び酢酸エチルのみを用いた場合(比較例4)には、いずれもイオン液体を用いた場合と比較して著しく抽出率が低下した(比較例1:0.46%、比較例2:0.53%、比較例3:0.35、比較例4:0.43%)。この結果は、これらの有機溶媒を用いた場合には、イオン液体を用いる場合と異なり、植物のセルロースを溶解することができなかったために、抽出率が低下したためと考えられる。
このように、上記実施例によれば、イオン液体及びイオン液体と有機溶媒との混合溶媒を用いることにより、25℃では極性溶媒であるアセトンのみを用いた場合に対して最大1.5倍の抽出率が得られると共に、50℃では極性溶媒であるアセトンのみを用いた場合に対して最大1.4倍も抽出率が向上することが分かる。
次に、本発明者らは、イオン液体を用いたシナロピクリンの抽出について、抽出時間と抽出率との関係について調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
(実施例9)
実施例2の条件で、抽出時間15分、30分、60分、90分、120分の時点での抽出率をそれぞれ測定した。結果を下記表2及び図3に示す。
(実施例10)
実施例3の条件で、抽出時間15分、30分、60分、90分、120分、150分、180分の時点での抽出率をそれぞれ測定した。結果を下記表2及び図3に示す。
(比較例5)
比較例2の条件で、抽出時間15分、30分、60分、90分、120分の時点での抽出率をそれぞれ測定した。結果を下記表2及び図3に示す。
Figure 0006981644
表2及び図3から分かるように、イオン液体のみを用いた場合には、60分以降に徐々に抽出率が増大する傾向があり、抽出率は最大で0.62%に達した(実施例9)。また、イオン液体とアセトンとの1:1の混合溶媒を用いた場合には、イオン液体のみを用いた場合よりも抽出率が向上し、抽出率は最大で0.92%に達した(実施例10)。これに対して、アセトンのみを用いた場合には、15分〜120分の間で抽出率の向上は見られなかった(比較例5)。これらの結果から、イオン液体を用いることにより、抽出率が向上し、イオン液体とアセトンとの混合溶媒として用いることにより、アセトンよりも最大で1.9倍も効率的に抽出できることが分かる。
次に、本発明者らは、上述した実施例3及び実施例10に係るイオン液体とアセトンとの1:1の混合溶媒を抽出溶媒として用いる場合について、イオン液体の再生によるリサイクルが可能であるか否かについて調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
(実施例11)
実施例3と同様にしてアーティチョークの葉からイオン液体とアセトンとの1:1の混合溶媒にて抽出を行い、遠心分離により有機層とアーティチョークの葉を含むイオン液体層とに分離した。有機層については、HPLCによって分析して第1回目の抽出率を算出した。次に、アーティチョークの葉を含むイオン液体層にエタノール(0.4g)を加えて30秒間撹拌した後、1分間遠心分離した後、濾過を行ってアーティチョークの葉を除去した。この操作を4回繰り返した後にイオン液体層を濃縮した。得られたイオン液体層にアセトン(0.25g)を加えてイオン液体とアセトンとの混合溶媒として再利用し、実施例3と同様にして抽出を実施した。以上の操作を9回繰り返して第1回目〜第9回目までの抽出率の変化を確認した。結果を図4に示す。
図4に示すように、イオン液体とアセトンとの1:1の混合溶媒の再利用について検討した結果、再利用を9回繰り返しても、抽出率は低下しなかった(第1回目:0.67%、第2回目:0.75%、第3回目:0.70%、第4回目:0.62%、第5回目:0.72%、第6回目:0.59%、第7回目:0.79%、第8回目:0.69%、第9回目:0.87%)。この結果から、上記実施例に係るイオン液体と有機溶媒との混合溶媒は、水洗及び分液などの煩雑な再生処理を必要とすることなく、有機溶媒による希釈と遠心分離を用いたデカンテーションとでイオン液体を容易に再生して再利用できることが分かる。
次に、本発明者らは、イオン液体を用いたキニシンの抽出について、抽出溶媒、抽出温度及び抽出率について調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
(実施例12)
ミキサーにより粉砕したサントリソウの葉(0.026g)とイオン液体(0.5g)とをサンプル管に加え、25oCで60分間撹拌した。その後、蒸留水(0.214g)及び酢酸エチル(0.714g)を加えて5分間撹拌後、1分間遠心分離を行うことで抽出液と有機層(酢酸エチル層)とを分離し、有機層をデカンテーションにより回収した。酢酸エチルの添加、遠心分離及び有機層の分離の操作を3回繰り返した後、得られた有機層について、下記の分析条件の逆相高速液体クロマトグラフィーにより分析を行い、絶対検量線法を用いてキニシンの抽出率を定量した。その結果、キニシンの抽出率は、0.56%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(HPLCの分析条件)
カラム:YMC-Pack ODS-AM (150×4.6mm)
溶媒:グラジエント法によって以下の条件で測定した。
0min〜5min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
5min〜30min;アセトニトリル/蒸留水=100:0
30min〜40min;アセトニトリル/蒸留水=100:0
40min〜45min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
45min〜55min;アセトニトリル/蒸留水=2:98
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
UV検出:228nm
(実施例13)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)とエタノール(0.25g)との混合溶媒を用いたこと以外は、実施例12と同様にしてキニシンの抽出率を測定した。その結果、キニシンの抽出率は、0.66%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(実施例14)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)とアセトン(0.25g)との混合溶媒を用いたこと以外は、実施例12と同様にしてキニシンの抽出率を測定した。その結果、キニシンの抽出率は、0.67%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(実施例15)
イオン液体(0.5g)に代えて、イオン液体(0.25g)と酢酸エチル(0.25g)との混合溶媒を用いたこと以外は、実施例12と同様にしてキニシンの抽出率を測定した。その結果、キニシンの抽出率は、0.58%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(比較例6)
ミキサーにより粉砕したサントリソウの葉(0.026g)とエタノール(0.5g)とをサンプル管に加え、25oCで60分間撹拌した。その後、更に15分間撹拌後、10分間遠心分離を行うことで有機層(アセトン)を分離した。得られた有機層を実施例12と同様に分析してキニシンの抽出率を定量した。その結果、キニシンの抽出率は、0.38%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(比較例7)
エタノール(0.5g)に代えて、アセトン(0.5g)とを用いたこと以外は、比較例6と同様にしてキニシンの抽出率を測定した。その結果、キニシンの抽出率は、0.49%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
(比較例8)
エタノール(0.5g)に代えて、酢酸エチル(0.5g)を用いたこと以外は、比較例6と同様にしてキニシンの抽出率を測定した。その結果、キニシンの抽出率は、0.33%であった。結果を下記表3及び図5に示す。
Figure 0006981644
表3及び図5から分かるように、イオン液体を抽出溶媒として用いた場合には、キニシンの抽出率は、0.56%であった(実施例12)。また、イオン液体と有機溶媒とを混合した場合には(実施例13:エタノール、実施例14:アセトン、実施例15:酢酸エチル)、それぞれ抽出率が、実施例13:0.66%、実施例14:0.67%、実施例15:0.58%と向上した。この結果は、イオン液体と有機溶媒とを混合することにより、抽出溶媒の粘性が低下して撹拌効率が上がった結果、抽出率が向上したためと考えられる。
これに対して、抽出溶媒としてエタノールのみを用いた場合(比較例6)、アセトンのみを用いた場合(比較例7)及び酢酸エチルのみを用いた場合(比較例8)には、いずれも抽出率が大きく悪化した(比較例6:0.38%、比較例7:0.49%、比較例8:0.33%)。この結果は、これらの有機溶媒では、サントリソウの葉のセルロースを溶解することができず、効率良くキニシンを抽出できなかったためと考えられる。
このように、本実施例によれば、イオン液体とアセトンとの混合溶媒とすることにより、アセトンのみを用いる場合と比較して1.4倍も効率的な抽出が可能となるだけでなく、遠心分離とデカンテーションとを用いた効率的な抽出を実現できることが分かる。

Claims (7)

  1. セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒とテルペン類を含む植物とを混合し、前記植物から前記テルペン類を前記抽出溶媒と共に抽出液として抽出する抽出工程と、 前記抽出液と前記テルペン類を溶解可能な有機溶媒とを混合した後、遠心分離により前記抽出液と前記有機溶媒とを分離し、前記テルペン類を前記有機溶媒に回収する回収工程とを含むことを特徴とする、テルペン類の抽出方法であって、
    前記有機溶媒は、エステル類からなり、前記植物1質量部に対して5質量部以上25質量部以下であり、
    前記イオン液体は、下記一般式(1)で表される、
    テルペン類の抽出方法。
    Figure 0006981644
    (式(1)中、Rは、炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。)
  2. 前記回収工程において、前記抽出液と前記有機溶媒と水とを混合する、請求項1に記載のテルペン類の抽出方法。
  3. 前記抽出溶媒が、前記イオン液体とアセトン類、アルコール類及びエステル類からなる群から選択された少なくとも1種を含む極性溶媒との混合溶媒である、請求項1又は請求項2に記載のテルペン類の抽出方法。
  4. 前記抽出工程において、抽出時の温度が15℃以上60℃以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテルペン類の抽出方法。
  5. 前記混合溶媒は、前記イオン液体と前記極性溶媒との質量比(イオン液体:極性溶媒)が5:1〜1:5の範囲である、請求項3に記載のテルペン類の抽出方法。
  6. さらに、前記回収工程において分離された抽出液に前記有機溶媒を加えて混合した後、遠心分離により前記抽出液と前記有機溶媒とを分離して前記イオン液体を再生する再生工程を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテルペン類の抽出方法。
  7. 前記テルペン類が、セスキテルペン類である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のテルペン類の抽出方法。
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