JP6980597B2 - 処理液吐出方法および処理液吐出装置 - Google Patents

処理液吐出方法および処理液吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、処理液吐出方法および処理液吐出装置に関する。
特許文献1には、ノズルからフォトレジスト液などの塗布液を基板に供給して塗布被膜を基板上に形成する塗布液供給装置が開示されている。当該装置は、ノズルに接続する塗布液供給配管に設けられた開閉弁(ここではエア作動弁)の開放と閉鎖とを行うことによって、ノズルからの塗布液の供給と停止とを行う。塗布液の塗布処理において、基板上における塗布液の塗布ムラが生じると膜厚が不均一となって後の工程に悪影響を与える。
当該装置では、ノズルが塗布液の供給を行っている状態から、ある閉鎖速度で開閉弁を閉鎖すると、開閉弁の閉鎖速度に応じて徐々に塗布液の吐出幅が細くなってゆき、遂には塗布液がノズル先端と基板との間のある位置で途切れる。この液切れ位置は、開閉弁の閉鎖速度に応じて変位する。
当該装置は、吸い戻し弁が設けられており、この吸い戻し弁の動作によってサックバックを行って、液切れ位置よりも上方の塗布液をノズルに吸い戻す。液切れ位置よりも下方の塗布液は、基板の表面に向かって細糸状となって落下する。また、塗布液の途切れた部分には数滴の液滴が生じて、当該細糸状の塗布液よりも遅れて基板に落下する。
当該装置は、ノズル先端と基板との間における液切れ位置をカメラで撮像して検出し、塗布ムラの生じない範囲に液切れ位置が存在するように開閉弁の閉鎖速度を調節することによって、塗布ムラを防止することを図っている。
特開2000−82646号公報
しかしながら、開閉弁の閉鎖期間中においてその閉鎖速度を略一定で制御した場合、その制御は必ずしも最適とは限らない。具体的には、閉鎖速度を塗布ムラが生じない値に決定すれば、その閉鎖速度に応じて閉鎖期間が決定されるので、別途に閉鎖期間を調整することができない。
この閉鎖期間を調整できることは種々の点で望ましい。その一例として、閉鎖期間を短縮できれば、開閉弁の応答性を向上できる。またそもそも閉鎖速度が一定であることが望ましいとは限らない。
そこで本願は、ノズルからの処理液の吐出を適切に停止できるとともに、弁の動作期間を調整可能な処理液吐出方法および処理液吐出装置を提供することを目的とする。
処理液吐出方法の第1の態様は、処理液吐出方法であって、配管を介してノズルに供給される処理液を前記ノズルから吐出する第1工程と、前記ノズルからの処理液の吐出停止の際に、前記配管に設けられた少なくとも一つの弁の弁体の移動速度または変形速度たる動作速度を、その動作期間において変化させる第2工程とを備え、前記動作期間は、前記弁体が移動し始めてから停止するまでの期間であり、前記少なくとも一つの弁は前記配管内の流路の開閉を切り替え、駆動機構から供給される気体の圧力に応じて開閉するエア作動弁を含み、前記エア作動弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、前記第2工程において、前記動作期間内の第1期間における前記閉鎖速度を、前記動作期間内の前記第1期間よりも後の第2期間における前記閉鎖速度よりも高くなるように、前記エア作動弁を制御し、かつ、前記気体の圧力に対応する指示値を前記動作期間において段階的に更新させ、前記指示値に基づいて前記駆動機構を制御して、前記動作期間において前記エア作動弁の前記閉鎖速度を変化させる
処理液吐出方法の第2の態様は、第1の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記気体は気体供給配管を介して前記エア作動弁に供給され、前記気体供給配管内の圧力は圧力センサによって測定され、前記第2工程において、前記圧力センサが測定した測定値に応じて、前記気体の圧力に対応する前記指示値を前記動作期間において段階的に更新させる
処理液吐出方法の第の態様は、第1または第2の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第2期間における前記指示値の更新回数は前記第1期間における更新回数よりも多い。
処理液吐出方法の第の態様は、第2の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第2工程において、前記指示値と、前記測定値との差に対して比例制御、比例積分制御または比例積分微分制御を行って前記駆動機構を制御して、前記動作速度を制御する。
処理液吐出方法の第の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻す吸い戻し弁を含む。
処理液吐出方法の第の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第2工程において、前記エア作動弁の前記弁体が移動または変形し始めるまでの非動作期間における前記気体の圧力の変化速度が、前記動作期間における前記気体の圧力の変化速度よりも高くなるように、前記駆動機構を制御する。
処理液吐出方法の第の態様は、第1から第のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記ノズルからの処理液の吐出の停止の際に、撮像部が前記ノズルの先端部の流路を前記ノズルの吐出方向とは異なる方向から撮像する第3工程と、前記第3工程において前記撮像部が撮像した原画像に基づいて所定の判定処理を行うことにより、前記少なくとも一つ弁の前記動作速度の適否を判定する第4工程とを備える。
処理液吐出方法の第の態様は、第の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記少なくとも一つの弁は、前記配管内の流路の開閉を切り替える開閉弁を含み、前記開閉弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、前記第4工程は、前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路に対応する第1画像領域の第1画像と、当該ノズルの先端から処理液の吐出方向に沿って前方に延在する前記処理液の吐出経路に対応する第2画像領域の第2画像とのそれぞれの画像について、前記第1画像と前記第2画像とのそれぞれにおける前記処理液の像の面積に応じた所定の第1特徴量を算出する工程と、前記第1画像の前記第1特徴量と前記第2画像の前記第1特徴量に所定の第1判定規則を適用することによって前記閉鎖速度が適切であるか、適切な速度よりも高いか低いかという前記閉鎖速度の区分を判定する工程とを備える。
処理液吐出方法の第の態様は、第の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第1判定規則は、前記ノズルの先端部の流路が液密状態でなければ前記開閉弁の前記閉鎖速度が前記適切な速度よりも高いと判定し、前記ノズルの先端部の流路が液密状態であって、かつ、前記吐出経路に前記処理液が存在していれば、前記閉鎖速度が前記適切な速度よりも低いと判定する規則である。
処理液吐出方法の第10の態様は、第の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記少なくとも一つの弁は、前記配管内の流路の開閉を切り替える開閉弁を含み、前記開閉弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、前記第4工程において、前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路および当該ノズルの先端から処理液の吐出方向に沿って前方に延在する前記処理液の吐出経路の画像に基づいて、前記閉鎖速度が適切であるか、適切な速度よりも高いか低いかという前記閉鎖速度の区分を判定する分類器によって前記閉鎖速度の区分を判定し、前記分類器は、前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路および前記吐出経路の画像のサンプル画像を用いて予め機械学習によって生成されている。
処理液吐出方法の第11の態様は、第10の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第4工程において、前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路に対応する第1画像領域の第1画像と、前記吐出経路に対応する第2画像領域の第2画像とのそれぞれの画像に基づいて前記開閉弁の前記閉鎖速度の前記区分を判定し、前記分類器は、前記第1画像と、前記第2画像とのそれぞれのサンプル画像を用いて、予め機械学習によって生成されている。
処理液吐出方法の第12の態様は、第、第または第11の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記処理液の吐出方向の下流側における前記第1画像領域の端部は、前記ノズルの先端から前記処理液の吐出方向の上流側に離れている。
処理液吐出方法の第13の態様は、第から第12のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻して前記処理液の端面位置を前記ノズルの先端から遠ざける吸い戻し弁を含み、前記第4工程は、前記原画像のうち前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に対応する第3画像領域の第3画像について、前記処理液の像の面積に応じた所定の第2特徴量を算出する工程と、前記第3画像の前記第2特徴量に所定の第2判定規則を適用することによって前記吸い戻し弁の前記動作速度が適切か、適切な速度よりも高いかの前記動作速度の区分を判定する工程とを備える。
処理液吐出方法の第14の態様は、第13の態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第2判定規則は、前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に処理液が残存していれば前記吸い戻し弁の前記動作速度が前記適切な速度よりも高いと判定する。
処理液吐出方法の第15の態様は、第から第12のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻して前記処理液の端面位置を前記ノズルの先端から遠ざける吸い戻し弁を含み、前記第4工程において、前記原画像のうち前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に対応する第3画像領域の第3画像に基づいて、前記吸い戻し弁の動作速度が適切であるか、適切な速度よりも高いかという前記吸い戻し弁の動作速度の区分を判定する分類器によって前記吸い戻し弁の動作速度の区分を判定し、前記分類器は、前記第3画像のサンプル画像を用いて予め機械学習によって生成されている。
処理液吐出方法の第16の態様は、第から第15のいずれか一つの態様にかかる記載の処理液吐出方法であって、前記第3工程において、前記ノズルからの処理液の吐出が停止したとき以後に、前記撮像部は前記ノズルの先端部の流路を時間的に順次に撮像し、前記第4工程において、前記撮像部が撮像した複数の原画像を平均または積算して派生画像を生成する工程と、前記派生画像に基づいて前記少なくとも一つの弁の前記動作速度の適否を判定する工程とを備える。
処理液吐出方法の第17の態様は、第から第16のいずれか一つの態様にかかる処理液吐出方法であって、前記第4工程で判定した前記少なくとも一つ弁の前記動作速度の適否に基づいて、当該動作速度が前記適切な速度になるように、前記第1工程における前記少なくとも一つの弁の動作を調整する第5工程をさらに備える。
処理液吐出装置の第18の態様は、処理液吐出装置であって、処理液を吐出するノズルと、前記ノズルと処理液供給源とを接続し、前記処理液供給源からの処理液を前記ノズルに導く配管と、前記配管に設けられた少なくとも一つの弁と、前記ノズルからの処理液の吐出停止の際に、前記少なくとも一つの弁の弁体の移動速度または変形速度たる動作速度を、前記少なくとも一つの弁の動作期間中に変化させる制御部とを備え、前記動作期間は、前記弁体が移動し始めてから停止するまでの期間であり、前記少なくとも一つの弁は前記配管内の流路の開閉を切り替え、駆動機構から供給される気体の圧力に応じて開閉するエア作動弁を含み、前記エア作動弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、前記制御部は、前記動作期間内の第1期間における前記閉鎖速度を、前記動作期間内の前記第1期間よりも後の第2期間における前記閉鎖速度よりも高くなるように、前記エア作動弁を制御し、かつ、前記気体の圧力に対応する指示値を前記動作期間において段階的に更新させ、前記指示値に基づいて前記駆動機構を制御して、前記動作期間において前記エア作動弁の前記閉鎖速度を変化させる
処理液吐出方法の第1、第2の態様および処理液吐出装置の第18の態様によれば、吐出停止時のノズル先端状態を良好にしつつ、別途に動作期間を調整できる。
しかも、吐出停止時のノズル先端状態に影響を与えやすい第2期間の閉鎖速度を、そのノズル先端状態が良好となるように設定できる。また第1期間における閉鎖速度を第2期間よりも高くしているので、動作期間を短縮できる。言い換えれば、ノズル先端状態を良好にしつつ開閉弁の応答性を向上できる。
しかも、動作速度を簡単に制御できる。
処理液吐出方法の第および第の態様によれば、吐出停止時のノズル先端状態に影響を与えやすい第2期間において、より細かく気体の圧力の変化速度、ひいては開閉弁の閉鎖速度を調整できる。
処理液吐出方法の第の態様によれば、動作速度を変化させることにより、良好なノズル先端状態の実現資する。
処理液吐出方法の第の態様によれば、弁の制御開始から弁の動作終了までの弁制御期間を短縮できる。言い換えれば、弁の応答性を向上できる。
処理液吐出方法の第の態様によれば、原画像には、弁の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。このような原画像に基づいて動作速度の適否を判定するので、高い判定精度で動作速度の適否を判定できる。
処理液吐出方法の第および第の態様によれば、第1画像および第2画像には、開閉弁の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。このような第1画像と第2画像とについて個別に処理液の像の存在を検出して開閉弁の閉鎖速度の区分を判定するので、高い判定精度で閉鎖速度の区分を判定できる。
処理液吐出方法の第10の態様によれば、ノズルの先端部の流路および吐出経路の画像には、開閉弁の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。このような画像を用いた学習によって閉鎖速度の区分を判定しているので、判定の精度が高い。
処理液吐出方法の第11の態様によれば、第1画像および第2画像には、開閉弁の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。分類器は、このような第1画像と第2画像との画像毎に、画像と開閉弁の閉鎖速度の区分との関係を学習できるので、分類器による判定精度を向上できる。
処理液吐出方法の第12の態様によれば、吐出方向の下流側における第1画像領域の端部からノズルの先端にわたる画像領域の画像を開閉弁の閉鎖速度の区分の判定に使用しない。当該画像領域は、処理液の存在と、開閉弁の閉鎖速度との関係を特定しにくい領域である。このため、判定の精度をさらに向上でき得る。
処理液吐出方法の第13の態様によれば、第3画像には、吸い戻し弁の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。このような第3画像内の処理液の存在に基づいて、吸い戻し弁の動作速度の区分を判定するので、適切に動作速度の区分を判定できる。
処理液吐出方法の第14の態様によれば、適切に動作速度の区分を判定できる。
処理液吐出方法の第15の態様によれば、第3画像には、吸い戻し弁の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る。このような第3画像を用いた学習によって動作速度の区分を判定しているので、判定の精度が高い。
処理液吐出方法の第16の態様によれば、派生画像には、処理液の存在態様の時間的な変化が含まれるので、判定精度を向上できる。
処理液吐出方法の第17の態様によれば、弁の動作速度を適切な値に調整できる。

基板処理装置の構成の一例を概略的に示す概略平面図である。 基板処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。 開閉弁の構成の一例を概略的に示す断面図である。 吸い戻し弁の構成の一例を概略的に示す断面図である。 吐出停止時のノズル先端状態と閉鎖速度との関係の一例を示す図である。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力設定部の動作の一例を示すフローチャートである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力設定部の動作の一例を示すフローチャートである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 制御部の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 圧力指示値と圧力の測定値との一例を示すグラフである。 基板処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。 基板処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。 制御部の内部構成の一例を概略的に示す図である。 基板処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。 吐出停止時のノズル先端状態と開閉弁の閉鎖速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。 制御部の内部構成の一例を概略的に示す図である。 基板処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。 吐出停止時のノズル先端状態と開閉弁の閉鎖速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。 ニューラルネットワークのモデルの一例を示す模式図である。 吐出停止時のノズル先端状態と吸い戻し弁の動作速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。 基板処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。 制御部の他の実施形態の構成例を模式的に示す図である。 制御部のさらに他の実施形態の構成例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、基板処理装置の一例であり、基板処理装置の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、各図では、同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。上下方向は鉛直方向であり、スピンチャックに対して基板側が上である。
第1の実施の形態.
<1.基板処理装置100の構成>
基板処理装置100の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は基板処理ユニット1を備える。
基板処理装置100は、半導体ウェハ等の複数枚の基板Wを処理するシステムである。基板Wの表面形状は略円形である。基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット1を備えている。基板処理装置100は、各基板処理ユニット1において、基板Wを、一枚ずつ、連続して処理することができるとともに、複数の基板処理ユニット1によって、複数の基板Wを並行して処理することもできる。
基板処理装置100は、並設された複数のセル(処理ブロック)、具体的には、インデクサセル110および処理セル120と、当該複数のセル110,120が備える各動作機構等を制御する制御部130と、を備える。
<インデクサセル110>
インデクサセル110は、装置外から受け取った未処理の基板Wを処理セル120に渡すとともに、処理セル120から受け取った処理済みの基板Wを装置外に搬出するためのセルである。インデクサセル110は、複数のキャリアC1を載置するキャリアステージ111と、各キャリアC1に対する基板Wの搬出入を行う基板搬送装置(移載ロボット)IRと、を備える。
キャリアステージ111に対しては、複数の未処理の基板Wを収納したキャリアC1が、装置外部から、OHT(Overhead Hoist Transfer)等によって搬入されて載置される。未処理の基板Wは、キャリアC1から1枚ずつ取り出されて装置内で処理され、装置内での処理が終了した処理済みの基板Wは、再びキャリアC1に収納される。処理済みの基板Wを収納したキャリアC1は、OHT等によって装置外部に搬出される。このように、キャリアステージ111は、未処理の基板Wおよび処理済みの基板Wを集積する基板集積部として機能する。なお、キャリアC1の形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや、収納された基板Wが外気と接するOC(Open Cassette)であってもよい。
移載ロボットIRは、基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面が水平な姿勢)で保持可能な複数のハンド(例えば、4つ)と、複数のハンドをそれぞれ移動する複数アームを備える。移載ロボットIRは、キャリアステージ111に載置されたキャリアC1から未処理の基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCR(後述する)に渡す。また、移載ロボットIRは、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCRから処理済みの基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、キャリアステージ111上に載置されたキャリアC1に収納する。移載ロボットIRは複数のハンドを同時に使用して基板Wの受渡しを行うことができる。
<処理セル120>
処理セル120は、基板Wに処理を行うためのセルである。処理セル120は、複数の基板処理ユニット1と、当該複数の基板処理ユニット1に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットCRと、を備える。搬送ロボットCRと制御部130とは、基板搬送装置である。ここでは、複数個(例えば、3個)の基板処理ユニット1が鉛直方向に積層されて、1個の基板処理装置群10を構成している。そして、複数個(図示の例では、4個)の基板処理装置群10が、搬送ロボットCRを取り囲むようにクラスタ状(房状)に設置される。したがって、複数の基板処理ユニット1は、搬送ロボットCRの周囲にそれぞれ配置される。基板処理ユニット1は、不図示のスピンチャックの上側(鉛直方向の上側)に配置された基板をスピンチャックよって着脱可能に保持し、所定の回転軸を中心にスピンチャックを回転させながら、基板に対して所定の処理(例えば、薬液処理、リンス処理、若しくは乾燥処理など)を行う。
搬送ロボットCRは、基板Wを片持ち支持しながら搬送するロボットである。搬送ロボットCRは、指定された基板処理ユニット1から処理済みの基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRに渡す。また、搬送ロボットCRは、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRから未処理の基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、指定された基板処理ユニット1に搬送する。搬送ロボットCRも移載ロボットIRと同様に複数(例えば、4つ)のハンドと、複数のハンドをそれぞれ移動する複数のアームを備えている。搬送ロボットCRは、複数のハンドを同時に使用して基板Wの搬送を行うことができる。
各基板処理ユニット1は、内部に処理空間を形成するチャンバー(「筐体」)121を備える。筐体121には、搬送ロボットが筐体121の内部にそのハンドを挿入するための搬出入口122が形成されている。搬出入口122には、制御部130の制御に基づいて開閉可能なシャッター(図示省略)が設けられている。シャッターは、基板Wの筐体121内への搬出入時に開かれ、基板Wの処理中は閉じられる。基板処理ユニット1は、搬送ロボットが配置されている空間に、この搬出入口を対向させるようにして配置される。基板処理ユニット1の具体的な構成については、後に説明する。
<制御部130>
制御部130は、移載ロボットIR、搬送ロボットCR、および、一群の基板処理ユニット1の各々の動作を制御する。制御部130のハードウエアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM162、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM163およびプログラムPGおよびデータなどを記憶しておく磁気ディスク161をバスライン29に電気的に接続して構成されている。バスライン29には、液晶パネルなどの表示部151およびキーボードなどの入力部152も電気的に接続されている。磁気ディスク161には、基板Wの処理内容および処理手順を規定するレシピ(不図示)なども記憶されている。
制御部130において、プログラムPGに記述された手順に従って主制御部としてのCPU11が演算処理を行うことにより、基板処理装置100の各部を制御する各種の機能部が実現される。具体的には、CPU11は、例えば、後述の圧力設定部12および制御信号生成部13などの各機能部として動作する。もっとも、制御部130において実現される一部あるいは全部の機能部は、専用の論理回路などでハードウエア的に実現されてもよい。
<2.基板処理ユニット1の構成>
図2は、基板処理ユニット(「処理液吐出装置」)1の構成の一例を概略的に示す図である。基板処理ユニット1は、例えば、平面内で回転している基板Wの一主面(上面ともいう)上に処理液L1を供給することで、基板Wの上面に対して各種処理を施すことができる。処理液L1としては、例えば、純水が用いられる。なお処理液L1は純水に限らず、炭酸水、イオン水、オゾン水または還元水(水素水)などの機能水であってもよい。あるいは、処理液L1はアンモニア水、アンモニア水と過酸化水素水との混合液、塩酸と過酸化水素水との混合液、フッ酸、硫酸と過酸化水素水との混合液、昇華性物質と溶剤との混合液、またはイソプロピルアルコールなどの薬液であってもよい。
図2で示されるように、基板処理ユニット1は、例えば、保持した基板Wを回転させつつ処理液L1を用いて基板Wに対する処理を行う処理部200と、処理部200に処理液L1を供給する処理液供給部7と、制御部130と、を備えている。
<2−1.処理部200>
処理部200は、スピンチャック221と、ノズル251とを筐体121内に備えている。処理部200は、基板Wをスピンチャック(「回転保持機構」)221によって下方から保持しつつ、所定の回転軸を中心に回転させる。処理部200は、当該基板Wの上面にノズル251から処理液L1を供給して基板Wに対して処理を行う。
スピンチャック221は、略水平な主面を有する円板状のスピンベースと、スピンベースの中心を通って鉛直方向に延在する回転軸を中心にスピンベースを回転させる回転機構とを備えている。スピンベースの周縁部には、基板Wの周縁を着脱可能に保持する複数の保持ピンが立設されている。スピンチャック221は、複数の保持ピンで基板Wの周縁部を保持することにより、スピンベースの上面と基板Wの下面とが対向するように基板Wを略水平姿勢で保持する。保持された基板Wの中心は、スピンベースの回転軸上に位置する。スピンチャック221は、この状態でスピンベースを回転軸を中心に回転させることにより、基板Wを当該回転軸を中心に回転させる。
ノズル251は、スピンチャック221に保持された基板Wの上方に配置されており、処理液供給部7から処理液L1を供給される。ノズル251は、供給された処理液L1をスピンチャック221により回転されている基板Wの上面に吐出する。基板Wの上面は、処理液L1によって処理される。
ノズル251は所定の移動機構(不図示)によって処理位置と待避位置との間で往復移動する。処理位置は図2に例示するように、ノズル251が、スピンチャック221に保持された基板Wと鉛直方向で対向する位置であり、待避位置は、ノズル251が、スピンチャック221によって保持された基板Wと鉛直方向で対向しない位置である。基板Wの処理部200への搬入搬出は、ノズル251が待避位置で停止した状態で、搬送ロボットCRにより行われる。処理部200に搬入された基板Wは、スピンチャック221により着脱自在に保持される。
<2−2.処理液供給部7>
処理液供給部7は開閉弁71と吸い戻し弁72と配管73と駆動機構74,75とを備えている。配管73は処理液供給源76とノズル251とを接続し、処理液供給源76が供給する処理液L1をノズル251に導く。
開閉弁71は配管73の経路途中に設けられ、配管73内の流路の開閉を切り替える。図2の例では、開閉弁71は、駆動機構74から供給された所定の気体H1の圧力に応じて開閉動作を行うエア作動弁である。例えば開閉弁71は気体H1が供給された状態で配管73内の流路を開き、気体H1が排出された状態で配管73内の流路を閉じるノーマリクローズタイプのエア作動弁である。
図3は、開閉弁71の構成の一例を概略的に示す断面図である。この開閉弁71は容器部Bx1と弁箱部Vx1と仕切り部Px1とを有しており、容器部Bx1および仕切り部Px1は駆動空間71aを形成し、弁箱部Vx1および仕切り部Px1は流路空間71bを形成している。仕切り部Px1は駆動空間71aおよび流路空間71bを仕切る部材である。
容器部Bx1内には、駆動空間71aを弾性空間71a1と気体供給空間71a2とに仕切る仕切り板712が設けられている。弾性空間71a1内には、仕切り板712を流路空間71b側に押圧する弾性体713が設けられる。弾性体713は例えば板バネである。またこの仕切り板712は弾性体713の押圧方向において摺動可能に設けられる。
仕切り板712は連結部714の一端に連結されている。この連結部714は例えば棒状の形状を有しており、仕切り部Px1を摺動可能に貫通する。連結部714の他端は流路空間71bにおいて弁体711に連結されている。流路空間71bは配管73の流路に連通する空間であり、配管73の流路の一部を形成している。
気体供給空間71a2には、後述の駆動機構74から気体H1が供給される。気体供給空間71a2内の気体H1の圧力(以下、供給圧力と称呼する)が基準値PL1よりも高くなると、仕切り板712が弾性体713側に移動し始める。仕切り板712は気体H1の供給圧力の増大に伴ってさらに弾性体713側に移動し、この供給圧力に応じた位置で停止する。ただし、気体H1の供給圧力が基準値PH1よりも高くなると、弾性体713は実質的にこれ以上弾性変形せずに、仕切り板712はこれ以上移動しない。あるいは、弾性空間71a1内にストッパが設けられる場合には、気体H1の供給圧力が基準値PH1に一致したときに、仕切り板712が当該ストッパに当接する。基準値PH1は当然に基準値PL1よりも高い。
弁体711は連結部714を介して仕切り板712に連結されているので、仕切り板712の移動に応じて駆動空間71a側に移動する。この移動により、流路空間71bにおいて開閉弁71を貫通する流路が開く。つまり、弁箱部Vx1に形成された弁座716の開口部を開く。ここでは供給圧力が基準値PH1よりも高くなると、弁体711が十分に流路を開くものとする。
逆に、気体供給空間71a2内の気体H1が駆動機構74によって排出されて、その供給圧力が基準値PH1を下回ると、仕切り板712および弁体711が開閉弁71を閉じる方向に移動し始める。そしてその供給圧力が基準値PL1を下回ると、弁体711が元の位置に戻り、弁座716の開口部を塞ぐ。つまり開閉弁71を閉じる。
駆動機構74は開閉弁71を駆動する。駆動機構74は例えば電空レギュレータであって、給気用の電磁弁741と排気用の電磁弁742とを有している。電磁弁741は配管743の経路途中に設けられ、配管743内の流路の開閉を切り替える。配管743は気体供給源745と開閉弁71の気体供給空間71a2とを接続する配管である。電磁弁741が開くことにより、気体供給源745からの気体H1が開閉弁71の気体供給空間71a2に供給される。これにより、気体供給空間71a2内の気体H1の供給圧力が増大する。気体供給源745は、例えば、高圧の気体H1を格納するボンベと、該ボンベから導出される高圧の気体H1の圧力を一定値まで下げるバルブ(圧力レギュレーターともいう)と、を有する。気体供給源745は基板処理装置100の外部に設けられてもよい。
電磁弁742は配管744の経路途中に設けられ、配管744内の流路の開閉を切り替える。配管744の一端は、電磁弁741と開閉弁71との間において配管743に接続されており、他端は不図示の排気部に接続されている。電磁弁742が開くことにより、開閉弁71の気体供給空間71a2内の気体H1が配管743の一部および配管744を流れて排気部に排出される。これによって、気体供給空間71a2内の気体H1の供給圧力が低下する。
電磁弁741,742の開閉は制御部130によって制御される。図2の例では、基板処理ユニット1には制御ボード140が設けられている。制御ボード140は、電磁弁741を駆動する駆動回路と、電磁弁742を駆動する駆動回路とを有している。制御部130は電磁弁741,742の開閉を適切なデューティで制御するための制御信号を制御ボード140に出力する。制御ボード140は当該制御信号に基づいて電磁弁741,742に駆動電流を流す。電磁弁741,742がそれぞれ適切なデューティで開閉することにより、駆動機構74は所望の供給圧力で気体H1を開閉弁71の気体供給空間71a2に供給することができる。
図2の例では、基板処理ユニット1には圧力センサ746が設けられている。この圧力センサ746は、電磁弁741と開閉弁71との間において配管743内の気体H1の圧力を測定し、その測定値Pm1を制御部130に出力する。例えば圧力センサ746はダイヤフラムと感圧素子とを有しており、気体H1の圧力に応じたダイヤフラムの変形を感圧素子が検出することで、気体H1の圧力を測定する。電磁弁741と開閉弁71との間のおける配管743内の気体H1の圧力は理想的には気体供給空間71a2内の気体H1の供給圧力と等しいので、測定値Pm1は気体H1の供給圧力を示すといえる。制御部130はこの測定値Pm1が目標値に近づくように、電磁弁741,742の開閉を制御する。
開閉弁71の弁体711の位置は上述のように気体H1の供給圧力の大きさに依存するので、気体H1の供給圧力の変化速度を制御することで、開閉弁71の動作速度(開閉速度とも呼ばれる)を制御することができる。
吸い戻し弁72は開閉弁71とノズル251との間において配管73の経路途中に設けられている。吸い戻し弁72は処理液L1の吐出停止の際に、ノズル251内の処理液L1を吸い戻し弁72側に移動させる(吸い戻す)。これにより、ノズル251内の処理液L1の端面位置がノズル251の先端252から遠ざかる。図2の例では、吸い戻し弁72は、駆動機構75から供給された所定の気体H2の圧力に応じて吸い戻し動作を行うエア作動弁である。例えば吸い戻し弁72は気体H2が排出された状態で処理液L1が吸い戻されている状態となるタイプのエア作動弁である。なお気体H2は気体H1と同じであってもよい。
図4は、吸い戻し弁72の構成の一例を概略的に示す断面図である。この吸い戻し弁72は容器部Bx2と弁箱部Vx2と仕切り部Px2とを有しており、容器部Bx2および仕切り部Px2は駆動空間72aを形成し、弁箱部Vx2および仕切り部Px2は弁箱空間72bを形成している。仕切り部Px2は駆動空間72aおよび弁箱空間72bを仕切る部材である。
容器部Bx2内には、駆動空間72aを弾性空間72a1と気体供給空間72a2とに区切る仕切り板722が設けられている。弾性空間72a1内には、仕切り板722を気体供給空間72a2側に押圧する弾性体723が設けられている。弾性体723は例えば板バネである。またこの仕切り板722は弾性体723の押圧方向において摺動可能に設けられる。
仕切り板722は連結部724の一端に連結されている。連結部724は例えば棒状の形状を有しており、仕切り部Px2を摺動可能に貫通している。連結部724の他端は弁箱空間72bにおいて弁体721に連結されている。弁体721は弁箱空間72bを非流路空間72b1と流路空間72b2とに仕切る仕切り板としても機能する。流路空間72b2は配管73の流路に連通しており、配管73の流路の一部として機能する。また弁体721は仕切り板722の移動に伴って変形可能であり、流路空間72b2の体積が弁体721の変形に応じて変化する。
気体供給空間72a2には、後述の駆動機構75から気体H2が供給される。気体供給空間72a2内の気体H2の圧力(以下、供給圧力と称呼する)が基準値PL1よりも高くなると、仕切り板722が弾性体723側に移動し始める。仕切り板722は気体H2の供給圧力の増大に伴ってさらに弾性体723側に移動し、この供給圧力に応じた位置で停止する。ただし、気体H2の供給圧力が基準値PH2よりも高くなると、弾性体723は実質的にこれ以上弾性変形せずに、仕切り板722はこれ以上移動しない。あるいは、弾性空間72a1内にストッパが設けられる場合には、気体H2の供給圧力が基準値PH2に一致したときに、仕切り板722が当該ストッパに当接する。基準値PH2は当然に基準値PL2よりも高い。
弁体721は連結部724を介して仕切り板722に連結されているので、仕切り板722の移動に伴って変形する。より具体的には、弁体721は流路空間72b2の体積を低下するように変形する。ここでは、気体H2の供給圧力が基準値PH2を超えると弁体721の変形が実質的に終了する。
逆に、気体供給空間72a2内の気体H2が駆動機構75によって排出されて、その供給圧力が基準値PH2を下回ると、仕切り板722が気体供給空間72a2側に移動し始める。これに伴って、流路空間72b2の体積が増大する方向に弁体721が変形し始める。これにより、吸い戻し弁72内の流路の体積が増大する。そして気体H2の供給圧力が基準値PL2を下回ると、弁体721が元の形状に戻る。この流路体積の増大により、吸い戻し弁72とノズル251との間の処理液L1が吸い戻し弁72側に吸い戻される(吸い戻し動作)。
駆動機構75は吸い戻し弁72を駆動する。駆動機構75は例えば電空レギュレータであって、給気用の電磁弁751と排気用の752と有している。電磁弁751は配管753の経路途中に設けられ、配管753内の流路の開閉を切り替える。配管753は気体供給源755と吸い戻し弁72の気体供給空間72a2とを接続する配管である。電磁弁751が開くことにより、気体供給源755からの気体H2が吸い戻し弁72の気体供給空間72a2に供給される。これにより、気体供給空間72a2内の気体H2の供給圧力が増大する。気体供給源755は、例えば、高圧の気体H2を格納するボンベと、該ボンベから導出される高圧の気体H2の圧力を一定値まで下げるバルブ(圧力レギュレーターともいう)と、を有する。気体供給源755は基板処理装置100の外部に設けられてもよい。
電磁弁752は配管754の経路途中に設けられ、配管754内の流路の開閉を切り替える。配管754の一端は、電磁弁751と吸い戻し弁72との間において配管753に接続されており、他端は不図示の排気部に接続されている。電磁弁752が開くことにより、吸い戻し弁72の気体供給空間72a2内の気体H2が配管753の一部および配管754を流れて排気部に排出される。これによって、気体供給空間72a2内の気体H2の供給圧力が低下する。
電磁弁751,752の開閉は制御部130によって制御される。具体的には、制御ボード140は、電磁弁751を駆動する駆動回路と、電磁弁752を駆動する駆動回路とを更に有している。制御部130は電磁弁751,752の開閉を適切なデューティで制御するための制御信号を制御ボード140に出力する。制御ボード140は当該制御信号に基づいて電磁弁751,752に駆動電流を流す。電磁弁751,752がそれぞれ適切なデューティで開閉することにより、駆動機構75は所望の供給圧力で気体H2を吸い戻し弁72の気体供給空間72a2に供給することができる。
図2の例では、基板処理ユニット1には圧力センサ756が設けられている。この圧力センサ756は、電磁弁751と吸い戻し弁72との間において配管753内の気体H2の圧力を測定し、その測定値Pm2を制御部130に出力する。圧力センサ756の構成の一例は圧力センサ746と同様である。電磁弁751と吸い戻し弁72との間における配管753内の気体H2の圧力は理想的には気体供給空間72a2内の気体H2の供給圧力と等しいので、測定値Pm2は気体H2の供給圧力を示すといえる。制御部130はこの測定値Pm2が目標値に近づくように、電磁弁751,752の開閉を制御する。
吸い戻し弁72の弁体721の変形の程度は上述のように気体H2の供給圧力の大きさに依存するので、気体H2の供給圧力の変化速度を制御することで、吸い戻し弁72の動作速度を制御することができる。例えば、気体H2の供給圧力の低下速度を制御することで、吸い戻し動作における吸い戻し弁72の動作速度を制御することができる。
<3.基板処理ユニットの動作の概要>
次に基板処理ユニット1の全体的な動作の一例を簡単に説明する。まず制御部130は筐体121のシャッター(不図示)を開き、搬送ロボットCRを制御して基板Wを筐体121の内部に搬入させ、基板Wをスピンチャック221の上に載置させる。次に制御部130は搬送ロボットCRを制御して搬送ロボットCRのハンドを筐体121の内部から引き抜かせ、シャッターを閉じる。これにより、基板Wの搬入動作が終了する。
次に制御部130はスピンチャック221を回転させ、また駆動機構74を制御して開閉弁71を開く。これにより、処理液供給源76から処理液L1が配管73の内部を流れてノズル251から基板Wの上面に吐出される。基板Wの上面に着液した処理液L1は回転による遠心力を受けて基板Wの上面で広がり、基板Wの周縁から飛散される。処理液L1が基板Wの上面に作用することにより、基板Wに対する処理が行われる。
十分な処理時間が経過すると、制御部130は駆動機構74を制御して開閉弁71を閉じるとともに、駆動機構75を制御して吸い戻し弁72に吸い戻し動作を行わせる。これにより、ノズル251からの処理液L1の吐出が停止する。また吸い戻し動作が行われることで、ノズル251の内部において処理液L1が吸い戻し弁72側に移動する。これにより、処理液L1の液垂れ(液滴の落下)が生じる可能性を低下することができる。処理液L1の吐出停止により、基板Wに対する処理が実質的に終了する。その後、他の処理、例えば乾燥処理等が適宜に行われてもよい。例えば基板Wの回転速度を増大させて、基板Wの上面における処理液を外側に飛散させることによって、基板Wを乾燥させてもよい。
<3−1.弁の動作速度とノズルの先端部の処理液の状態>
ところで、処理液L1の吐出停止時における開閉弁71および吸い戻し弁72の動作速度が不適切である場合には、処理液L1の吐出が適切に停止しない。例えば処理液L1が液滴状態でノズル251の先端252から落下することがある。この場合、吐出停止時のノズル251の先端部の処理液L1の状態(以下、ノズル先端状態と称呼する)は良好とはいえない。なおここでいう動作速度とは、弁体711の移動速度または弁体721の変形速度と把握することができる。また以下では、処理液L1の吐出停止時の開閉弁71の動作速度を閉鎖速度とも称呼する。
吐出停止時のノズル先端状態は開閉弁71の閉鎖速度と吸い戻し弁72の動作速度に依存するものの、開閉弁71の閉鎖速度が不適当であれば、吸い戻し弁72の動作速度を調整してもノズル先端状態を良好にできない場合もある。よって以下では、まず開閉弁71の閉鎖速度について説明する。
図5は、ノズル先端状態と開閉弁71の閉鎖速度との関係の一例を表形式で示す図である。図5の表の最上段には、3通りのノズル先端状態が示されている。上から2段目には、最上段に示される3つのノズル先端状態の良否が記載されている。最下段には、最上段に示される3つのノズル先端状態と開閉弁71の閉鎖速度との対応関係が示されている。開閉弁71の閉鎖速度は後に詳述するように駆動機構74によって調節される。
図5に示されるように、吐出停止時のノズル先端状態は開閉弁71の閉鎖速度によって変動する。開閉弁71の閉鎖速度が低すぎると、ノズル251が処理液L1の吐出を停止した後に、処理液L1の液滴L2が暫く落下し続ける(ぼた落ち)。すなわち、ノズル先端状態は好ましくない状態となる。
開閉弁71の閉鎖速度が高すぎると、いわゆるウォーターハンマーによって、ノズル251の内部の先端部に、処理液L1が液滴L2の状態で残留する。つまり液滴L2は、ノズル251の内部に沿って液密状態で存在する処理液L1から離れてノズル251の先端側の内面に付着する。このような液滴L2は、後に、基板W上に落下し得る。すなわち、ノズル先端状態は好ましくない状態となる。
開閉弁71の閉鎖速度が適切であれば、ノズル251の先端部はほぼ処理液L1による液密状態になるとともに、停止後に液滴L2が暫く落ち続けることもない。すなわち、ノズル先端状態は好ましい状態となる。
また発明者は、このノズル先端状態が開閉弁71の閉鎖期間のうち最初の方の閉鎖速度よりも最後の方の閉鎖速度に依存しやすいことを突き止めた。なおここでいう閉鎖期間とは、開閉弁71の弁体711が弁座716に向かって移動し始めてから停止するまでの期間である。
<3−2.開閉弁の閉鎖制御>
そこで、制御部130は開閉弁71の閉鎖速度をその閉鎖期間中において変化させる。つまり、本基板処理ユニット1では、装置固有の閉鎖速度で開閉弁71を閉じるのではない。より具体的な一例として、制御部130は吐出停止時のノズル先端状態に影響を与えにくい最初の閉鎖速度を、このノズル先端状態に影響を与えやすい最後の閉鎖速度よりも高く設定する。図2の例では、開閉弁71はエア作動弁であるので、制御部130は開閉弁71に供給する気体H1の供給圧力の変化速度を閉鎖期間中に変化させることで、閉鎖速度を上述のように変化させる。以下、より具体的な制御部130の一例について説明する。
図1に示すように、制御部130は圧力設定部12と制御信号生成部13とを備えている。圧力設定部12は、開閉弁71に供給する気体H1の供給圧力についての目標値(以下、圧力指示値と称呼する)P1*を設定し、その圧力指示値P1*を制御信号生成部13に出力する。制御信号生成部13は気体H1の供給圧力が圧力指示値P1*に近づくように、当該圧力指示値P1*に基づいて電磁弁741,742用の制御信号を生成する。電磁弁741,742はそれぞれの制御信号に基づいて開閉動作を行う。
圧力設定部12は開閉弁71を開状態から閉状態に切り替える際に、圧力指示値P1*を、基準値PH1よりも高い値から基準値PL1よりも低い値まで徐々に低下させる。図6は、圧力指示値P1*および気体H1の供給圧力の測定値Pm1の一例を示すグラフである。ここでは、圧力指示値P1*を低下させ始める時点t10から測定値Pm1が基準値PL1を下回る時点t13までの期間を弁制御期間Ta1と称呼し、時点t10から圧力指示値P1*が基準値PH1を下回る時点t11までの期間を非動作期間Tb1と称呼し、時点t11から時点t13までの期間を閉鎖期間Tc1と称呼する。
図6の例では、圧力指示値P1*および測定値Pm1は初期的に基準値PH1よりも高く、ほぼ一致している。これは、圧力指示値P1*が初期的には基準値PH1よりも高い値をとり、また測定値Pm1が圧力指示値P1*に近づくように、電磁弁741,742が制御されるからである。測定値Pm1が基準値PH1よりも高いので開閉弁71は初期的には開いており、ノズル251から処理液L1が基板Wの上面に向かって吐出されている。
図6の例では、時点t10において、圧力設定部12は圧力指示値P1*を値P1[0]に更新する。値P1[0]は基準値PL1よりも高く、基準値PH1よりも低い値である。より具体的には、値P1[0]は基準値PL1と基準値PH1との平均値よりも小さい値である。圧力指示値P1*が値P1[0]に更新されると、気体H1の供給圧力がこの値P1[0]に近づくように電磁弁741,742が制御されるので、気体H1の供給圧力が時間の経過とともに低下する。よって図6において測定値Pm1が時点t10以降において時間の経過とともに低下している。そして、測定値Pm1が基準値PH1を下回ると、開閉弁71の弁体711が移動し始める。つまり、開閉弁71が閉鎖動作を開始する。
非動作期間Tb1は、圧力指示値P1*を低下させてから開閉弁71の弁体711が移動し始めるまでの期間であり、この非動作期間Tb1は短いことが望ましい。図6の例では、値P1[0]が基準値PL1に近い値に設定されている。しかも圧力設定部12は非動作期間Tb1において圧力指示値P1*を値P1[0]まで時間の経過とともに徐々に低下させるのではなく、非動作期間Tb1の開始時点(時点t10)において値P1[0]に低下させている。よって、非動作期間Tb1をより効果的に短縮できる。
値P1[0]は基準値PH1よりも小さいので、測定値Pm1は基準値PH1を下回った時点t11以後も、時間の経過とともに低下する。
圧力設定部12は開閉弁71の閉鎖速度を閉鎖期間Tc1において変化させるべく、圧力指示値P1*の低下速度をその閉鎖期間Tc1において変化させる。ここでは閉鎖期間Tc1を2つの前期間T1および後期間T2に分割して考える。時点t12は前期間T1と後期間T2との境界を示しており、時点t11,t13の間の時点である。後期間T2は前期間T1よりも後の期間であり、後期間T2の長さは例えば予め設定される。
例えば圧力設定部12は圧力指示値P1*の低下速度の平均が後期間T2よりも前期間T1の方で高くなるように、圧力指示値P1*を閉鎖期間Tc1において変化させる。より具体的に図6の例では、圧力設定部12は時点t11から時点t12までの前期間T1において圧力指示値P1*を値P1[0]に維持し、時点t12から時点t13までの後期間T2において圧力指示値P1*を値P1[0]から時間の経過とともに低下させる。つまり、圧力設定部12は、圧力指示値P1*の後期間T2における低下速度の平均{=(P[0]−PL1)/T2}を、前期間T1における圧力指示値P1*の低下速度の平均{=(PH1−P[0]/T1)}よりも低く設定する。これにより、測定値Pm1は後期間T2において前期間T1よりも緩やかに低下する。この後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度は、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるように設定される。
図7は、圧力設定部12の上記動作のより具体的な一例を示すフローチャートであり、図8は、後期間T2における圧力指示値P1*および測定値Pm1のより具体的な一例を示すグラフである。図8に例示するように、ここでは圧力設定部12は後期間T2において圧力指示値P1*を段階的に低下させる。図8の例では、圧力設定部12は圧力指示値P1*を値P1[0]から値P1[5]へと5段階で低下させる。ここでは値P1[1]〜P[4]はそれぞれ値P1[0]から値P1[5]の領域を5つに等分割したときの値である。つまり値P1[0]〜P[5]の相互間の差は互いに等しい。また値P1[4]は基準値PL1よりも高い値であり、値P1[5]は基準値PL1以下の値(例えば零)である。なお、値P1[5]は零に近い値、例えば0.05[MPa]程度であってもよい。
図7を参照して、まずステップS1にて、圧力設定部12は圧力指示値P1*を基準値PH1よりも高い値から値P1[0]に更新する(図6の時点t10参照)。この圧力指示値P1*の更新に伴って、測定値Pm1は圧力指示値P1*(=P1[0])よりも高くなるので、時間の経過とともに低下する。次にステップS2にて、圧力設定部12は気体H1の供給圧力の測定値Pm1を更新する。より具体的には、圧力設定部12は、圧力センサ746から入力される測定値Pm1を記憶媒体に上書きする。次にステップS3にて、圧力設定部12は更新後の測定値Pm1が圧力指示値P1*(=値P1[0])以下であるか否かを判定する。測定値Pm1が圧力指示値P1*よりも高いときには、圧力設定部12は測定値Pm1が未だ圧力指示値P1*と一致していないと判定して、再びステップS2を実行する。一方で、測定値Pm1が圧力指示値P1*以下であるときには、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*とほぼ一致していると判定して、ステップS4にて、タイマ値を零に初期化する。制御部130はタイマ回路を有しており、当該タイマ値は当該タイマ回路によって出力される。
次にステップS5において、圧力設定部12はタイマ値が時間Δt1以上であるか否かを判定する。時間Δt1は例えば予め設定される。タイマ値が時間Δt1未満であるときには、圧力設定部12は再びステップS5を実行する。つまり、測定値Pm1が圧力指示値P1*に十分に近づいた時点から時間Δt1が経過するまでは、圧力指示値P1*を値P1[0]に維持する。これにより、時間Δt1が経過するまでは、測定値Pm1は圧力指示値P1*とほぼ等しく、時間の経過によらず略一定となる(図8参照)。
一方で、タイマ値が時間Δt1以上であるときには、ステップS6にて、圧力設定部12は値iを1に初期化し、ステップS7にて、圧力指示値P1*を値P1[i]に更新する。値P1[i]は値P1[i−1]よりも低い値である。圧力指示値P1*の更新により、測定値Pm1が再び圧力指示値P1*よりも高くなるので、測定値Pm1は再び時間の経過とともに低下する(図8参照)。
次にステップS8にて、圧力設定部12は値iがn(ここでは5)未満であるか否かを判定する。値iがn以上であるときには、圧力設定部12は動作を終了する。つまり、圧力指示値P1*が値P1[n](ここではP1[5])に更新されると、これ以上の圧力指示値P1*の更新は不要なので、動作を終了する。
一方で値iがn未満であれば、未だ圧力指示値P1*は値P1[n]に至っていないので、ステップS9にて、圧力設定部12は測定値Pm1を更新し、ステップS10にて、測定値Pm1が圧力指示値P1*(=値P1[i])以下であるか否かを判定する。測定値Pm1が圧力指示値P1*よりも高いときには、圧力設定部12は未だ測定値Pm1が圧力指示値P1*と一致していないと判定して、ステップS9を再び実行する。測定値Pm1が圧力指示値P1*以下であるときには、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*とほぼ一致したと判定して、ステップS11にてタイマ値を零に初期化する。
次にステップS12にて、圧力設定部12はタイマ値が時間Δt2以上であるか否かを判定する。時間Δt2は例えば予め設定されており、時間Δt1と同じであってもよく、異なっていてもよい。タイマ値が時間Δt2未満であるときには、圧力設定部12は再びステップS12を実行する。つまり、測定値Pm1が圧力指示値P1*とほぼ一致する時点から時間Δt2が経過するまでは、圧力指示値P1*を値P1[i]に維持する。これにより、時間Δt2が経過するまでは測定値Pm1は時間の経過によらず略一定となる(図8参照)。
タイマ値が時間Δt2以上であるときには、ステップS13にて、圧力設定部12は値iをインクリメントし、次にステップS7を実行する。これにより、時間Δt2の経過に伴って、圧力指示値P1*が次の値P1[i]に更新される。つまり、測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P[i])とほぼ一致した時点から時間Δt2が経過する度に、圧力指示値P1*が更新される(図8参照)。言い換えれば、測定値Pm1が圧力指示値P1*に十分近づいた後も時間Δt2が経過するまでは圧力指示値P1*が一定であるので、測定値Pm1は略一定に維持される。
以上のように、後期間T2においては、圧力指示値P1*が測定値Pm1とほぼ一致していながらも更新されない期間(時間Δt1,Δt2)が存在するので、測定値Pm1はその期間において略一定となるのに対して、前期間T1においてはそのような期間が存在しないので、測定値Pm1は時間の経過とともに低下し続ける(図6も参照)。したがって、前期間T1における測定値Pm1の低下速度の平均は後期間T2よりも高い。言い換えれば、前期間T1における開閉弁71の閉鎖速度の平均は後期間T2よりも高い。
後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度、ひいては後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度はノズル先端状態が良好となるように設定される。ここでは一例として、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度を、圧力指示値P1*の階段波形の突状の各頂点を結ぶ仮想線A1の傾きの絶対値で評価する。後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1は以下の式で表すことができる。
β1=P1[0]/(n・Δt2) ・・・(1)
式(1)を変形すると、時間Δt2は以下の式で表すことができる。
Δt2=P1[0]/(n・β1) ・・・(2)
後期間T2の長さ、値P1[0]、値nおよび低下速度β1は吐出停止時のノズル先端状態が良好になるように、例えばシミュレーションまたは実験等により設定されるので、時間Δt2を式(2)に基づいて決定することができる。
以上のように、吐出停止時のノズル先端状態に影響を与えやすい後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度がそのノズル先端状態が良好となるように制御されるとともに、そのノズル先端状態に影響を与えにくい前期間T1における閉鎖速度は高く制御される。これによれば、処理液L1の吐出を適切に停止しつつ(つまり吐出停止時のノズル先端状態を良好にしつつ)、閉鎖期間Tc1を短縮できる。つまり、より高い応答性で開閉弁71を閉じることができる。
また上述の例では、圧力指示値P1*を閉鎖期間Tc1において段階的に更新させることで、閉鎖期間Tc1において閉鎖速度を変化させている。これによれば、閉鎖速度を簡単に制御することができる。
また上述の例では、後期間T2における圧力指示値P1*の更新回数は前期間T1における圧力指示値P1*の更新回数よりも多い。これによれば、吐出停止時のノズル先端状態に影響を与えやすい後期間T2において、より細かく気体H1の供給圧力の低下速度、ひいては開閉弁71の閉鎖速度を制御できる。これによれば、後期間T2における閉鎖速度を所望の速度に制御しやすいので、ノズル先端状態を良好としやすい。
<3−2−1.圧力指示値P1*の低下速度の変化>
<3−2−1−1.値P[i]>
図6および図8の例では、閉鎖期間Tc1の後期間T2において圧力指示値P1*の低下速度β1は一定であるものの、必ずしもこれに限らない。図9は、後期間T2における圧力指示値P1*と測定値Pm1の一例を示すグラフである。図9の例では、値P1[0]〜P[5]の相互間の差が一定ではない。具体的には、値P1[0]〜P[2]の相互間の第1差は互いに一定であり、値P1[2]〜値P1[5]の相互間の第2差は互いに一定であるものの、第1差は第2差よりも大きく設定されている。これにより、圧力指示値P1*の低下速度β1は後期間T2の初期において高い値β11をとった後に、低い値β12をとることになる。つまり後期間T2において圧力指示値P1*の低下速度β1を変化させることができる。低下速度β1は以下の二つの式で表される。
β11=(P1[0]−P1[2])/(2・Δt2) ・・・(3)
β12=(P1[2]−P1[5])/(3・Δt2) ・・・(4)
<3−2−1−2.時間Δt2>
時間Δt2を適宜に変化させることで低下速度β1を変化させてもよい。図10は、圧力設定部12の動作の一例を示すフローチャートであり、図11は、後期間T2における圧力指示値P1*と測定値Pm1の一例を示すグラフである。図10のフローチャートでは、図7と比較して、ステップS12の替わりにステップS121〜S123が設けられている。ステップS121はステップS11の次に実行される。ステップS121にて、圧力設定部12は値iがn1(nよりも低く、ここでは2)以下であるか否かを判定する。値iがn1以下であるときには、ステップS122にて、圧力設定部12はタイマ値が時間Δt21以上であるか否かを判定する。時間Δt21は例えば予め設定される。タイマ値が時間Δt21未満であるときには、圧力設定部12は再びステップS122を実行する。タイマ値が時間Δt21以上であるときには、圧力設定部12はステップS13,S7をこの順に実行する。つまり、値iがn1以下であるときには、測定値Pm1が圧力指示値P1*とほぼ一致する時点から時間Δt21が経過したときに、圧力指示値P1*を更新する(ステップS13,S7)。
図11の例では、測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[1])とほぼ一致する時点から時間Δt21が経過した時点において、圧力指示値P1*が値P1[1]に更新され、測定値Pm1がその更新後の圧力指示値P1*(=P[2])とほぼ一致する時点から時間Δt21が経過した時点において、圧力指示値P1*が値P1[3]に更新されている。
ステップS121にて値iがn1よりも高いときには、ステップS123にて、圧力設定部12はタイマ値が時間Δt22以上であるか否かを判定する。時間Δt22は時間Δt21と異なっており、例えば時間Δt21よりも長い値に設定される。タイマ値が時間Δt22未満であるときには、圧力設定部12はステップS123を再び実行する。タイマ値が時間Δt22以上であるときには、圧力設定部12はステップS13,S7をこの順で実行する。つまり、値iがn1よりも高いときには、測定値Pm1が圧力指示値P1*とほぼ一致した時点から時間Δt22が経過したときに、圧力指示値P1*を更新する(ステップS13,S7)。
図11の例では、測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[3])とほぼ一致する時点から時間Δt22が経過した時点において、圧力指示値P1*が値P1[4]に更新され、測定値Pm1がその更新後の圧力指示値P1*(=P[4])とほぼ一致する時点から時間Δt22が経過した時点において、圧力指示値P1*が値P1[5]に更新されている。
これにより、圧力指示値P1*の低下速度β1は高い値β13をとった後に、低い値β14をとることになる。つまり後期間T2において圧力指示値P1*の低下速度β1を変化させることができる。低下速度β1(β13,β14)は以下の二つの式で表される。
β13=(P1[0]−P1[2])/(2・Δt21) ・・・(5)
β14=(P1[2]−P1[5])/(3・Δt22) ・・・(6)
図9および図11の例では、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を時間が経過するほど低下させている。これによれば、低下速度β1は閉鎖期間Tc1において低下速度β1が徐々に低くなる。よって開閉弁71の閉鎖速度の急激な変化を回避できる。これにより、処理液L1に乱れが生じる可能性を低下できる。
なお図9および図11の例では、後期間T2において低下速度β1を1回のみ変化させているが、より細かく変化させても構わない。
<3−2−2.PID制御>
<3−2−2−1.ゲイン>
上述の例では、閉鎖期間Tc1において圧力指示値P1*を段階的に徐々に低下させることにより、測定値Pm1の低下速度、ひいては開閉弁71の閉鎖速度を変化させた。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えばP(比例)制御、PI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御のフィードバック制御を採用した場合、測定値Pm1の低下速度はこのフィードバック制御で用いるゲイン(比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲイン)に依存する。よって当該ゲインを適宜に設定することで、測定値Pm1の低下速度、ひいては開閉弁71の閉鎖速度を調整してもよい。
図12は、制御部130の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。例えば制御信号生成部13は減算器131とPID制御部132と比較部133とを有している。減算器131には、圧力設定部12からの圧力指示値P1*と圧力センサ746からの測定値Pm1とが入力される。減算器131は圧力指示値P1*と測定値Pm1との差ΔP(=Pm1−P*)を算出し、差ΔPをPID制御部132に出力する。
PID制御部132は差ΔPに対してP制御、PI制御またはPID制御を行って、デューティ指示値D*を生成し、そのデューティ指示値D*を比較部133に出力する。デューティ指示値D*は電磁弁741,742の開閉のデューティについての目標値である。なお吐出停止時には開閉弁71を閉じるべく気体H1の供給圧力を低下させるので、電磁弁741のデューティは閉鎖動作において常に零に設定しても構わない。ここでは一例として、デューティ指示値D*は電磁弁742のデューティについての指示値とする。ここでいうデューティは例えば1周期において電磁弁742が開く期間の割合である。電磁弁742のデューティが高いほど気体H1の供給圧力の低下速度は高い。つまり、デューティ指示値D*も気体H1の供給圧力に対応する指示値であるといえる。
比較部133はデューティ指示値D*とキャリア波(例えば三角波)とを比較し、その比較に基づいて電磁弁742用の制御信号を生成し、この制御信号を制御ボード140に出力する。制御ボード140は当該制御信号に基づいて電磁弁742を制御する。
この制御より、測定値Pm1が圧力指示値P1*に近づく。図13は、圧力指示値P1*と測定値Pm1との一例を概略的に示すグラフである。図13の例でも、圧力設定部12は時点t10において圧力指示値P1*を値P1[0]に更新している。この圧力指示値P1*の低下に伴って、測定値Pm1は時点t10以降において時間の経過とともに低下している。具体的には、測定値Pm1が圧力指示値P1*から離れているときには比較的高い低下速度で低下し、圧力指示値P1*に近づくほど低い低下速度で低下している。測定値Pm1は圧力指示値P1*に漸近する。
そして、測定値Pm1と圧力指示値P1*(=P1[0])との差が所定値よりも小さくなる時点t12において、圧力設定部12は圧力指示値P1*を値P1[0]から値P1[5](例えば零)に更新する。この更新に伴って、時点t12において測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P[5])よりも高くなるので、測定値Pm1は再び高い低下速度で低下するものの、圧力指示値P1*に近づくにつれてその低下速度は小さくなる。
この測定値Pm1の低下速度はPID制御部132で用いるゲイン(比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲイン)に依存する。例えば比例ゲインを大きく設定するほど、測定値Pm1は特に圧力指示値P1*から離れているときにより高い低下速度で低下する。そこで、これらのゲインに基づいて測定値Pm1の低下速度を制御してもよい。
PID制御部132における各種ゲインは吐出停止時のノズル先端状態が良好となり、かつ、前期間T1における測定値Pm1の低下速度の平均が後期間T2よりも高くなるように設定される。
なお図13の例では、圧力指示値P1*を時点t10において値P1[0]に一旦更新した上で、時点t12において値P1[0]から値P1[5](例えば零)に更新しているものの、時点t10において値P1[5]に更新しても構わない。ただし、段階的に圧力指示値P1*を低下すれば、測定値Pm1の低下速度をより細かく制御することができる。より詳細な例については以下に述べる。
<3−2−2−2.圧力指示値>
上述のP制御、PI制御またはPID制御を用いつつも、圧力指示値P1*を段階的に低下させることで、閉鎖期間Tc1中の測定値Pm1の低下速度をより細かく制御してもよい。図14は、後期間T2における圧力指示値P1*と測定値Pm1の一例を概略的に示す図である。図7および図8を参照して説明した例では、測定値Pm1が圧力指示値P1*以下となった時点から時間Δt1あるいは時間Δt2が経過したときに、圧力指示値P1*を更新した。しかしながら、図14の例では、測定値Pm1はフィードバック制御によって圧力指示値P1*に漸近するので、測定値Pm1が圧力指示値P1*以下となりにくい。つまり、図7のステップS13,S10の判定では時間Δt1,Δt2の開始タイミングを検出しにくい。
そこで、図14の例では、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[0])と所定値p1との和以下となる時点t12から時間Δt1の経過後に、圧力指示値P1*を値P1[1]に更新する。同様に、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[i]:i=1〜5)と所定値p2との和以下となる時点から時間Δt2の経過後に、圧力指示値P1*を値P1[i+1]に更新する。
つまり、圧力設定部12の動作の一例はステップS3,S10を除いて図7のフローチャートと同様である。即ち、ステップS3においては、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[0])と所定値p1との和以下であるか否かを判定し、ステップS10においては、圧力設定部12は測定値Pm1が圧力指示値P1*(=P1[i])と所定値p2との和以下であるか否かを判定する。なお所定値p1は所定値p2と同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお上述の全てのグラフでは、閉鎖期間Tc1において測定値Pm1の低下速度が徐々に低くなるように変化している。しかるに、必ずしもこれに限らない。吐出停止時のノズル先端状態が良好となる条件を満足する限り、測定値Pm1の低下速度を閉鎖期間Tc1中において任意に変化させてもよい。例えば、後期間T2における測定値Pm1の時系列変化が、ノズル先端状態を良好にするのにより適した波形をとるように、圧力指示値P1*または各種ゲインを適宜に設定すればよい。例えば、後期間T2において測定値Pm1の低下速度が徐々に増大するように、圧力指示値P1*を設定しても構わない。
また閉鎖期間Tc1の短縮が必要でない場合には、前期間T1における閉鎖速度を後期間T2よりも低くしても構わない。要するに、前期間T1における閉鎖速度を後期間T2における閉鎖速度とは独立して設定しても構わない。これによれば、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるように後期間T2における閉鎖速度を制御しつつも、閉鎖期間Tc1を別途に調整することができる。
<3−2−3.非動作期間Tb1>
次に非動作期間Tb1における測定値Pm1の低下速度について説明する。非動作期間Tb1は気体H1の供給圧力が低下し始めてから、弁体711が移動し始めるまでの期間である。つまり非動作期間Tb1は開閉弁71の弁体711が未だ移動していない期間である。よって、非動作期間Tb1は短い方が好ましい。弁制御期間Ta1を短縮でき、開閉弁71の応答性を向上できるからである。
そこで制御部130は、非動作期間Tb1における測定値Pm1の低下速度の平均が閉鎖期間Tc1(より具体的には前期間T1)における測定値Pm1の低下速度の平均以上となるように、電磁弁741,742を制御してもよい。
図6の例では、圧力指示値P1*は非動作期間Tb1および前期間T1において値P[0]で一定であり、後期間T2において徐々に低下する。図6の例では、測定値Pm1の低下速度が非動作期間Tb1および前期間T1において同じであり、後期間T2よりも高い。これによれば、測定値Pm1の非動作期間Tb1における低下速度が前期間T1より低い場合に比べて、非動作期間Tb1を短縮することができる。なお、前期間T1において圧力指示値P1*を段階的に低下させてもよいものの、その低下速度は非動作期間Tb1における低下速度よりも低く、後期間T2よりも高く設定されるとよい。
図13の例でも、圧力指示値P1*は非動作期間Tb1および前期間T1において値P1[0]で一定であり、後期間T2においてより低い値P1[5]をとる。図14の例では、P制御、PI制御またはPID制御が行われるので、測定値Pm1が圧力指示値P1*よりも離れている非動作期間Tb1における低下速度の平均は、測定値Pm1がより圧力指示値P1*に近い前期間T1における低下速度の平均よりも高く、また後期間T2における低下速度の平均よりもさらに高い。これによれば、測定値Pm1の非動作期間Tb1における低下速度が前期間T1よりも低い場合に比比べて、非動作期間Tb1を短縮することができる。
非動作期間Tb1を短縮することにより、弁制御期間Ta1を短縮することができる。つまり、開閉弁71の応答性を向上できる。なお開閉弁71の応答性向上という点では前期間T1を短縮してもよいものの、前期間T1における閉鎖速度の増大は処理液L1の乱れを生じさせ得る。これに対して、非動作期間Tb1は弁体711が移動していない期間なので、非動作期間Tb1における測定値Pm1の低下速度を増大させても、処理液L1の乱れは生じさせない。よって、前期間T1の短縮よりも優先して非動作期間Tb1を短縮することが望ましい。
また制御信号生成部13は非動作期間Tb1において、給気用の電磁弁741を常に閉じ、排気用の電磁弁742を常に開くように、電磁弁741,742用の制御信号を生成してもよい。これにより、非動作期間Tb1において気体H1の供給圧力は最大の低下速度で低下する。よって、非動作期間Tb1を最も短縮できる。
<3−3.吸い戻し弁72の動作速度>
吐出停止時の吸い戻し弁72の動作速度も吐出停止時のノズル先端状態に影響する。ここでいう動作速度とは、吸い戻し弁72の弁体721の変形速度に相当する。吸い戻し弁72の動作速度が高すぎると、吐出停止時にノズル251の先端252から処理液L1が液滴として落下する(図5および図26も参照)。つまり、ノズル先端状態が好ましくない状態となる。そこでここでは、吐出停止時の吸い戻し弁72の動作速度をその動作期間Tc2において適切な値に設定することを企図する。ここでは、吸い戻し弁72はエア作動弁であるので、制御部130は吸い戻し弁72に供給する気体H2の供給圧力の低下速度を制御することで、動作速度を制御する。以下、より具体的に説明する。
圧力設定部12は、吸い戻し弁72に供給する気体H2の供給圧力についての目標値(以下、圧力指示値と称呼する)P2*を設定し、その圧力指示値P2*を制御信号生成部13に出力する。制御信号生成部13は、気体H2の供給圧力が圧力指示値P2*に近づくように、当該圧力指示値P2*に基づいて電磁弁751,752用の制御信号を生成し、当該制御信号を制御ボード140に出力する。制御ボード140は当該制御信号に基づいて電磁弁751,752を制御する。
この吸い戻し弁72の弁体721(図4)は既述の通り、気体H2の供給圧力が高い状態で流路空間72b2の体積を小さい状態に維持しており、気体H2の供給圧力が低下することにより流路空間72b2の体積を増大させて吸い戻し動作を行う。
そこで、圧力設定部12は吸い戻し動作を行う際には、圧力指示値P2*をその基準値PH2よりも高い値から基準値PL2よりも低い値まで徐々に低下させる。図15は、圧力指示値P2*および気体H2の供給圧力の測定値Pm2の一例を示すグラフである。ここでは、圧力指示値P2*を低下させ始める時点t20から測定値Pm2が基準値PL2を下回る時点t22までの期間を弁制御期間Ta2と称呼し、時点t20から圧力指示値P2*が基準値PH2を下回る時点t21までの期間を非動作期間Tb2と称呼し、時点t21から時点t22までの期間を動作期間Tc2と称呼する。
図15の例では、圧力指示値P2*および測定値Pm2は初期的に基準値PH2よりも高く、ほぼ一致している。これは、圧力指示値P2*が初期的には基準値PH2よりも高い値をとり、また測定値Pm2が圧力指示値P2*に近づくように、電磁弁751,752が制御されるからである。測定値Pm2が基準値PH2よりも高いので、吸い戻し弁72は初期的には流路空間72b2の体積を小さい値に維持している。また初期的には開閉弁71が開いており、処理液L1がノズル251から基板Wの上面に向かって吐出されている。
圧力設定部12は開閉弁71の閉鎖に伴って、圧力指示値P2*を値P2[0]に更新する(時点t20参照)。値P2[0]は基準値PL2よりも高く、基準値PH2以下の値である。ここでは、値P2[0]は基準値PH2と等しい。圧力指示値P2*が値P2[0]に更新されると、気体H2の供給圧力がこの値P2[0]に近づくように電磁弁751,752が制御されるので、気体H2の供給圧力が時間の経過とともに低下する。よって図15において測定値Pm2が時点t20以降において時間の経過とともに低下している。そして、測定値Pm2が基準値PH2を下回ると、吸い戻し弁72の弁体721が変形し始める。つまり、吸い戻し弁72が吸い戻し動作を開始する。
非動作期間Tb2は、圧力指示値P2*を低下させてから吸い戻し弁72の弁体721が変形し始めるまでの期間であり、この非動作期間Tb2は短いことが望ましい。図15の例では、非動作期間Tb2において圧力指示値P2*を値P2[0]まで時間の経過とともに徐々に低下させるのではなく、非動作期間Tb2の開始時点(時点t20)において値P2[0]に低下させている。これは、非動作期間Tb1の短縮に好適である。
圧力設定部12は測定値Pm2が圧力指示値P2*(=P2[0])とほぼ一致する時点t21において、圧力指示値P2*を値P2[0]から時間の経過とともに徐々に低下させる。つまり、圧力設定部12は、圧力指示値P2*の動作期間Tc2における低下速度の平均{=(P2[0]−PL2)/Tc2}を、非動作期間Tb2における圧力指示値P2*の低下速度の平均{=(PH2−P2[0]/Tb2)}よりも低く設定する。これにより、気体H2の供給圧力(測定値Pm2)は動作期間Tc2において非動作期間Tb2よりも緩やかに低下する。この動作期間Tc2における圧力指示値P2*の低下速度は、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるように設定される。この低下速度は例えばシミュレーションまたは実験等により設定される。
圧力設定部12の動作の具体的な一例は図7のフローチャートと同様である。具体的には、図7において、P1*,Pm1,P1[0]およびP1[i]をそれぞれP2*,Pm2m,P2[0]およびP2[i]に読み替えればよい。よって、ここでは繰り返しの説明を避ける。
これによれば、非動作期間Tb2における測定値Pm2の低下速度を動作期間Tc2よりも高く設定できるので、吐出停止時のノズル先端状態を良好にしつつ、弁制御期間Ta2を短縮することができる。言い換えれば、吸い戻し弁72の応答性を向上することができる。
<3−3−1.動作期間における動作速度の変化>
<3−3−1−1.圧力指示値>
図15の例では、動作期間Tc2にて圧力指示値P2*の低下速度は略一定であるものの、必ずしもこれに限らない。図16は、圧力指示値P2*と測定値Pm2の一例を示す図である。図16の例では、動作期間Tc2が2つの前期間T21および後期間T22に分割されており、前期間T21における圧力指示値P2*の低下速度は後期間T22における低下速度と異なっており、例えば高い。このような低下速度の変化は例えば図8および図9を参照した説明と同様に、値P2[i]の相互間の差および時間Δt2の少なくともいずれか一方を変化させることで実現される。
<3−3−1−2.PID制御部>
制御部130は開閉弁71と同様に、P制御、PI制御またはPID制御のフィードバック制御を用いて吸い戻し弁72を制御してもよい。図17は、圧力指示値P2*と測定値Pm2の一例を示す図である。図17では、圧力設定部12は時点t20において圧力指示値P2*を値P2[0]に更新し、測定値Pm2が圧力指示値P2*(=P2[0])とほぼ一致する時点t21において圧力指示値P2*を基準値PL1以下の値(ここでは零)に更新している。
測定値Pm2は、フィードバック制御で用いる各種ゲインに依存した低下速度で低下する。図17の例では、測定値Pm2の低下速度は測定値Pm2が圧力指示値P2*に近づくほど低くなっている。フィードバック制御で用いる各種ゲインは、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるように設定される。
<4.駆動機構および弁>
<4−1.ニードルバルブ>
上述の例では、駆動機構74は電磁弁741,742を有し、駆動機構75は電磁弁751,752を有しているものの、必ずしもこれに限らない。例えば駆動機構74は電磁弁741,742に代えて、配管743の経路途中に設けられる給気用のニードルバルブと、配管744の経路途中に設けられる排気用のニードルバルブとを備えていてもよい。各ニードルバルブはモーターによって駆動され、その開度が可変である。例えば排気用のニードルバルブが配管744の開度を増大させるほど、気体H1の供給圧力の低下速度は高くなる。よって、駆動機構74は排気用のニードルバルブの開度を閉鎖期間Tc1中に変化させて、気体H1の供給圧力の低下速度を上述のように変化させてもよい。駆動機構75も同様である。
<4−2.電動弁>
上述の例では、開閉弁71および吸い戻し弁72はエア作動弁であった。しかるに、必ずしもこれに限らない。開閉弁71および吸い戻し弁72は電動弁であってもよい。図18は、基板処理ユニット1の他の一例たる基板処理ユニット1Aの構成の一例を概略的に示す図である。
基板処理ユニット(「処理液吐出装置」)1Aは、基板処理ユニット1の処理液供給部7に代えて処理液供給部7Aを備えることを除いて、基板処理ユニット1と同様に構成されている。基板処理ユニット1Aは、基板処理ユニット1と同様に、基板Wに処理液L1を吐出して基板Wを一枚ずつ処理することができる。基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット1Aによって、複数の基板Wを並行して処理することができる。
基板処理ユニット1Aの処理液供給部7Aは、処理液供給部7の開閉弁71と吸い戻し弁72と駆動機構74,75とに代えて、開閉弁(「電動弁」)71Aと吸い戻し弁(「電動弁」)72Aと駆動機構74A,75Aを備えることを除いて、処理液供給部7と同様の構成を有している。
開閉弁71Aは、弁本体710と、モーター(「電動モーター」)717を備え、モーター717が、弁本体710の開閉機構を駆動することによって開閉弁71Aを開閉する。弁本体710は、配管73の経路途中に設けられている。弁本体710内には、例えば、配管73の内部を横切る方向に進退することで、弁本体710を開閉可能な、すなわち配管73の流路を開閉可能な不図示の棒状体(弁体)が設けられている。当該棒状体は、例えば、モーター717の回転軸に連結された不図示のボールネジ機構に連結されており、モーター717が回転すると、その回転速度に応じた速度で、回転方向に応じた方向に進退する。これにより、弁本体710の開度と開閉速度は、任意に調整される。制御部130は、制御ボード141に目標とする開閉速度に応じた制御信号を供給する。制御ボード141はモーター717を駆動する駆動回路を有しており、当該制御信号に応じた駆動電流をモーター717に供給する。開閉弁71Aは、モーター717の回転数(回転速度)に応じた速度で開閉動作を行う。換言すれば、開閉弁71Aは、制御ボード141が供給する駆動電流(モーター717が、例えば、DCモーターであれば駆動電流の電流値、ステッピングモーターであれば、駆動電流のパルスの周波数)に応じた速度で開閉を行う。すなわち、駆動機構74Aは、制御ボード141と、開閉弁71Aのモーター717とを備えているといえる。
この基板処理ユニット1Aにおいても、開閉弁71と同様に開閉弁71Aの閉鎖速度をその閉鎖期間中に変化させる。ただし開閉弁71Aの閉鎖速度はモーター717の回転速度に依存するので、制御部130はこの回転速度を閉鎖期間中に変化させる。例えば、制御部130は回転速度についての指示値を次のように設定する。つまり、後期間における回転速度の指示値を、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるように設定し、前期間における回転速度の指示値の平均が後期間よりも高くなるように設定する。
吸い戻し弁72Aは、弁本体720と、モーター(「電動モーター」)727を備え、モーター727が、弁本体720の弁機構を駆動することによって吸い戻し弁72Aを制御する。弁本体720は、配管73の経路途中に設けられている。弁本体720内には、例えば、配管73の内部の流路の一部として機能する流路空間が形成されており、その流路空間の体積を可変とする弁体が設けられている。当該弁体は、例えば、モーター727の回転軸に連結された不図示のボールネジ機構に連結されており、モーター727が回転すると、その回転速度に応じた速度で変形または移動して、当該流路空間の体積を変化させる。吸い戻し弁72Aの動作速度は、任意に調整される。制御部130は、制御ボード142に目標とする動作速度に応じた制御信号を供給する。制御ボード142はモーター727を駆動する駆動回路を有しており、当該制御信号に応じた駆動電流をモーター727に供給する。吸い戻し弁72Aは、モーター727の回転数(回転速度)に応じた速度で吸い戻し動作を行う。換言すれば、吸い戻し弁72Aは、制御ボード142が供給する駆動電流(モーター727が、例えば、DCモーターであれば駆動電流の電流値、ステッピングモーターであれば、駆動電流のパルスの周波数)に応じた速度で吸い戻し動作を行う。すなわち、駆動機構75Aは、制御ボード142と、吸い戻し弁72Aのモーター727とを備えているといえる。
この基板処理ユニット1Aにおいても、吸い戻し弁72と同様に吸い戻し弁72Aの動作速度を制御する。ただし吸い戻し弁72Aの動作速度はモーター727の回転速度に依存するので、制御部130はこの回転速度を設定する。例えば、制御部130は回転速度についての指示値を次のように設定する。つまり、吐出停止時のノズル先端状態が良好となるようにその動作期間中の回転速度の指示値を設定する。
<4−3.弁のタイプ>
上述の例では、開閉弁71はノーマリクローズタイプの弁であった。しかるに、ノーマリオープンタイプのエア作動弁であってもよい。この場合、気体H1の供給圧力の増大速度を閉鎖期間Tc1において制御することで、閉鎖速度を制御することができる。同様に吸い戻し弁72は、気体H2が排気された状態で流路空間72b2の体積を小さい値に維持し、気体H2が供給された状態で流路空間72b2に体積を増大させるタイプのエア作動弁であってもよい。この場合、気体H2の供給圧力の増大速度を動作期間Tc2において制御することで、吸い戻し動作における吸い戻し弁72の動作速度を制御することができる。
<5.指示値の種類>
上述の例では、開閉弁71および吸い戻し弁72の動作速度を調整すべく、圧力指示値P1*,P2*を設定しているものの、デューティ指示値D*を設定してもよい。電磁弁742のデューティが大きいほど、気体H1の供給圧力の低下速度が高まり、電磁弁752のデューティが大きいほど、気体H2の供給圧力の低下速度が高まるからである。例えば電磁弁742についてのデューティ指示値D*を閉鎖期間Tc1において順次に低下させることで、気体H1の供給圧力の低下速度を閉鎖期間Tc1において順次に低下させてもよい。電磁弁752についても同様である。
駆動機構74,75の各々が給気用のニードルバルブと排気用のニードルバルブを有している場合には、これらのニードルバルブはその開度が制御されるので、開度指示値を設定してもよい。例えば駆動機構74の排気用のニードルバルブについての開度指示値を閉鎖期間Tc1において順次に低下させることで、気体H1の供給圧力の低下速度を閉鎖期間Tc1において順次に低下させることができる。この開度指示値も気体H1の圧力に対応した指示値であるといえる。
第2の実施の形態.
第2の実施の形態では、吐出停止時のノズル先端状態をカメラで撮像し、このノズル先端状態が良好になるように、吐出停止時における開閉弁71の閉鎖速度および吸い戻し弁72の動作速度の少なくともいずれか一方を、その撮像画像に基づいて調整することを企図する。
<1.基板処理ユニット>
図19は、基板処理ユニット1Bの構成の一例を概略的に示す図である。基板処理ユニット1Bは、第1の実施の形態と比較して、速度判定装置(「判定装置」とも称する)300を更に備えている。またノズル251のうち少なくとも先端部は透明の材質を有している。当該透明の材質を有する材料として、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、若しくは石英などが採用され得る。したがって、ノズル251の先端部内の流路TG1に存在する処理液L1は、後述するカメラ65によって撮像される。また、ノズル251に供給される処理液L1は、ノズル251の流路TG1を通って、ノズル251の先端252から吐出方向AR1に沿って基板W側に吐出される。処理液L1がノズル251の先端252から吐出方向AR1に沿って流れる領域を、以下では吐出経路TG2とも称呼する。
判定装置300は、開閉弁71の閉鎖速度の適否、および、吸い戻し弁71の動作速度の適否の少なくともいずれか一方を判定する。以下では、まず閉鎖速度の判定について説明する。
<1−1.判定装置>
判定装置300は、筐体121内に設けられたカメラ(「撮像部」)65と、制御部130(より詳細には、後述の判定部14;図20も参照)とを備えている。カメラ65は、制御部130と電気的に接続されている。
<1−1−1.カメラ>
カメラ65は、例えば、レンズと、撮像素子と、制御処理回路(それぞれ不図示)とを備えている。レンズは、被写体の光学像を撮像素子に結像する。撮像素子は、被写体の光学像を電気信号に変換し、制御処理回路に供給する。制御処理回路は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130が供給する制御信号に従って撮像素子に撮像動作を行わせるとともに、撮像素子から供給される各電気信号を処理して多値のデジタル画像に変換することにより、撮像素子の有効画素数に応じた画像を表わす画像信号を生成し、制御部130に供給する。
すなわち、カメラ65は、撮像素子から供給される各電気信号を処理してデジタル画像に変換することにより、撮像素子の有効画素数に応じた画像を表わす画像信号を生成し、制御部130に出力する。制御部130は、当該画像信号(画像)を、例えば、磁気ディスク161に記憶する。
具体的には、カメラ65は、開閉弁71が流路を閉鎖してノズル251からの処理液L1の吐出が停止したときに、制御部130の制御に従って、筐体121内に規定される撮影対象領域50を撮像して画像G0を得る。以下では、画像G0を原画像G0とも称呼する。撮影対象領域50は、ノズル251の先端部の流路と、当該ノズル251の先端(吐出口)252から処理液L1の吐出方向AR1に沿って前方に延在する処理液L1の吐出経路とを含む。カメラ65は、吐出方向AR1とは異なる方向から撮像を行う。図19では、ノズル251の先端部の流路に内部領域51が含まれ、ノズル251の先端252から吐出方向AR1の前方に延在する処理液L1の吐出経路に前方領域52が含まれている。そして、撮影対象領域50は、内部領域51と前方領域52とを含んでいる。内部領域51の下端はノズル251の先端252よりも上方に位置しており、例えば前方領域52の上端はノズル251の先端252とほぼ一致する。内部領域51の下端は前方領域52の上端と離れている。
図5も参照して、内部領域51および前方領域52はノズル先端状態を写すことが可能な領域である。つまり、内部領域51および前方領域52は開閉弁71の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動を写すことが可能な領域である。よって、内部領域51および前方領域52を含む撮影対象領域50をカメラ65が撮像することにより、原画像G0において、閉鎖速度に応じたノズル先端状態を含めることができる。
カメラ65は、制御部130の制御に従って、開閉弁71が流路を閉鎖してノズル251からの処理液L1の吐出が停止したとき以後に、ノズル251の先端部の内部領域51と、当該ノズル251の先端252から処理液L1の吐出方向AR1に沿って前方に延在する前方領域52とを含む撮影対象領域50を時間的に順次に撮像することができる。
<1−1−2.制御部>
図20は、制御部130の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部130は圧力設定部12と制御信号生成部13とに加えて、判定部14と画像生成部17とを備えている。判定部14および画像生成部17はカメラ65によって撮像された原画像G0に基づいた動作を行うことから、判定装置300に属するともいえる。
<1−1−2−1.判定部>
判定部14は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0のうちノズル251の先端部の内部領域51およびノズル251の前方領域52の画像に基づいて所定の判定処理を行うことにより、開閉弁71の閉鎖速度が適切であるか、予め定められた適切な速度(「目標速度」、「目標閉鎖速度」)よりも高いか低いかという開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定する。すなわち、判定部14は、ノズル251から吐出する処理液L1の停止状態(吐出停止時のノズル先端状態)を判定する。
判定部14は、特徴量算出部15とルールベース判定部16とを備える。
特徴量算出部15は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0のうち内部領域51に対応するエリアA(「第1画像領域」)の第1画像G1と、前方領域52に対応するエリアB(「第2画像領域」)の第2画像G2とのそれぞれについて、処理液L1の像の面積に応じた所定の特徴量を算出する。特徴量としては、例えば、第1画像G1、第2画像G2のそれぞれの領域内の各画素のグレースケールでの画素値の総和、輝度の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差などが採用される。
ルールベース判定部16は、第1画像G1の特徴量と第2画像G2の特徴量に所定の判定規則K1を適用することによって開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定する。
判定規則K1として、例えば、内部領域51が液密状態でなければ開閉弁71の閉鎖速度が高すぎると判定し、内部領域51が液密状態であって、かつ、前方領域52に処理液L1が存在していれば、開閉弁71の閉鎖速度が低すぎると判定する規則が採用される。この判定規則K1は例えば磁気ディスク161に記憶されている。このような判定では、開閉弁71の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る原画像G0に基づいて閉鎖速度の適否を判定するので、高い判定精度で動作速度の適否を判定できる。
<1−1−2−2.画像生成部>
図5を参照して説明したように、開閉弁71の閉鎖速度が低すぎる場合には、吐出停止時においてノズル251から液滴L2が落下する。この液滴L2の落下のタイミングは一定ではないので、一度の撮像でこの液滴L2を原画像G0内に収めることは難しい。そこで吐出停止時の一定時間に亘ってカメラ65が連続して撮像を行うことにより、液滴L2を撮像することを企図する。これにより、その撮像により得られた複数の原画像G0(時系列画像)のうちいずれかに液滴L2を含めることができる。
判定部14は複数の原画像G0の全てに対して判定規則K1を適用してもよいものの、ここではより処理を簡易にするために、判定規則K1の適用対象となる画像(「派生画像」と称呼する)G10を複数の原画像G0に基づいて生成する。
例えば画像生成部17は、ノズル251が処理液L1の吐出を停止した直後から一定時間経過後までの間に撮像された当該時系列画像(複数の原画像G0)に基づいて、派生画像G10を生成する。当該一定時間は、例えば3秒間である。当該一定時間の開始タイミングを規定する吐出停止タイミングとしては、例えば、圧力指示値P1*が基準値PL1を下回った時点を採用してもよく、あるいは、当該時点から所定時間だけ遅れた時点を採用してもよい。あるいは、開閉弁71の開閉を検出する開閉センサを基板処理ユニット1Bに設け、当該開閉センサによって閉状態が検出された時点を採用してもよい。
画像生成部17は、複数の原画像G0の同じ座標の各画素の画素値を平均または積算して派生画像G10を生成する。この派生画像G10には、処理液の存在態様の時間変化が含まれる。よって、派生画像G10には、ノズル先端状態が写された原画像G0の情報が含まれるので、この派生画像G10に対して判定規則K1を適用することにより、ノズル先端状態を判定でき、ひいては開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定することができる。
より具体的には、例えば開閉弁71の閉鎖速度が低いために液滴L2が落下する場合(図5も参照)、派生画像G10の前方領域52における画素値(あるいは輝度値)はその液滴L2の分だけ大きくなると考えられる。つまり、派生画像G10のうち前方領域52に対応する派生画像G12の特徴量(グレースケールの画素値、輝度値の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差)は、閉鎖速度が適切である場合の特徴量に比べて大きくなると考えられる。この場合、判定部14は派生画像G12の特徴量と所定の基準値(空白基準値)との大小を比較し、当該特徴量が当該基準値よりも大きいときに、開閉速度が適切な速度よりも低い(つまり、低すぎる)と判定する。
また開閉弁71の閉鎖速度が高いためにノズル251の先端部に気柱が生じる場合(図5も参照)、派生画像G10の内部領域51における画素値(あるいは輝度値)はその気柱の分だけ小さくなると考えられる。つまり、派生画像G10のうち内部領域51に対応する派生画像G11の特徴量は、閉鎖速度が適切な場合の特徴量に比べて小さくなると考えられる。この場合、判定部14は派生画像G11の特徴量と所定の基準値(液密基準値)との大小とを比較し、当該特徴量が当該基準値よりも小さいときに、開閉速度が適切な速度よりも高い(つまり、高すぎる)と判定する。
<1−2.閉鎖速度の調整>
制御部130は判定装置300が判定した開閉弁71の閉鎖速度の区分に基づいて、当該閉鎖速度(より具体的には後期間T2における閉鎖速度)が適切な速度になるように、制御パラメータ(圧力指示値P1*の低下速度β1、デューティ指示値D*、開度指示値または各種ゲインなど)を決定する。
例えば圧力設定部12は判定装置300が判定した開閉弁71の閉鎖速度の区分に基づいて、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を決定する。具体的には、圧力設定部12は閉鎖速度が高すぎる場合には、後期間T2における低下速度β1を低下させ、開閉速度が低すぎる場合には、後期間T2における低下速度β1を増大させる。これにより、閉鎖速度を適切な速度とすることができ、より確実に吐出停止時のノズル先端状態を良好にすることができる。
あるいは、制御信号生成部13がPID制御部132を有している場合には、閉鎖速度(特に後期間T2における閉鎖速度)が適切な速度になるように、PID制御部132が各種ゲイン(比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲイン)を決定してもよい。PID制御部132は閉鎖速度が高すぎる場合には、例えば、比例ゲインを低下させる。またPID制御部132は閉鎖速度が高すぎる場合には、例えば、比例ゲインを増大させる。これにより、後期間T2における閉鎖速度を適切な速度とすることができ、より確実に吐出停止時のノズル先端状態を良好にすることができる。
<2.基板処理ユニット1Bの動作>
図21は、基板処理ユニット1Bの動作の一例を示すフローチャートであり、図22は、ノズル先端状態と、開閉弁71の閉鎖速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。
図22では、開閉弁71の閉鎖速度が「適切」、「高すぎる」、「低すぎる」の3つ状態のそれぞれに対して、吐出停止時のノズル先端状態として、「停止後状態1」と「停止後状態2」の2つの状態が例示されている。当該2つの状態は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0によって、それぞれ模式的に示されている。図22の各画像G0には、エリアA,Bが表示されている。なおここでは簡単のために吸い戻し弁72の吸い戻し動作を無視している。
開閉弁71の閉鎖速度が適切である場合には、吐出停止直後に処理液L1の下端は、ノズル251の先端252に一致または先端252よりも若干上方で停止する。吐出停止後に液滴L2がノズル251の先端252から落下することはない。つまり、ノズル先端状態は良好な状態である。
開閉弁71の閉鎖速度が低すぎる場合には、停止後状態1において、液滴L2は落下しておらず、処理液L1の下端面は、ノズル251の先端252から下方に向かって凸形状を有している。そして、停止後状態2においては、液滴L2が落下しており、処理液L1の下端は、ノズル251の先端252に一致している。なお、液滴L2が落下する場合でも処理液L1の下端は、ノズル251の先端252に一致するとは限らず、また、凸形状を保つ場合もある。この場合、液滴L2の落下と、処理液L1の下端面が停止後状態1と同様に凸形状を有することとは、同時に起こる。
開閉弁71の閉鎖速度が高すぎる場合には、停止後状態1において、ウォーターハンマーによって、ノズルの先端部には、その内壁面に付着した液滴L2と、ノズル251の先端252に溜まった液滴L2を除いて、処理液L1が存在しない領域が生じている。処理液L1の下端面は、ノズル251の先端252よりもかなり上方に位置する。そして、停止後状態2においては、ノズル251の先端252を閉鎖する大きさの液溜まり状の液滴L2が生じている。また、停止後状態1と同様に、ノズル251の先端部には、処理液L1が存在しない領域が生じており、処理液L1の下端面は、ノズル251の先端252よりもかなり上方に位置する。停止後状態1,2において、ノズル251の先端部に残存している液滴L2は、乾燥するとパーティクルとなるおそれがある。
以下に、図22を適宜参照しつつ、図21のフローチャートに基づいて基板処理ユニット1B(判定装置300)の動作について説明する。
図21のステップS210では、カメラ65は、開閉弁71が流路を閉鎖してノズル251からの処理液L1の吐出が停止したときに、ノズル251の先端部の内部領域51(図22)と、当該ノズル251の先端252の前方領域52とを含む撮影対象領域50を撮像する。撮像された画像(「原画像」)G0は、制御部130に供給される。
次にステップS220では、特徴量算出部15が、ノズル251の先端部の流路における内部領域51に対応するエリアA(図22)の第1画像G1と、ノズル251の先端部における処理液L1の吐出経路上の前方領域52に対応するエリアB(図22)の第2画像G2とについて特徴量を算出する。なお特徴量算出部15は第1画像G1および第2画像G2に代えて、派生画像G11,G12の特徴量を算出してもよい。
なお、エリアA,Bは、ノズル251の先端(吐出口)252の幅を有して、処理液L1の吐出方向AR1に細長いように設定されている。
次にステップS230では、ルールベース判定部16は第1画像G1(あるいは派生画像G11)の特徴量に基づいてエリアAが処理液L1による液密状態が否かを判定する。当該特徴量は例えば第1画像G1(あるいは派生画像G11)におけるグレースケールの画素値の総和、輝度値の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差である。例えば、ルールベース判定部16は当該特徴量が液密基準値よりも大きいときに、エリアAが液密状態であると判定し、当該特徴量が液密基準値よりも小さいときに、エリアAが液密状態ではないと判定する。
当該判定の結果、エリアAが液密状態でなければ、ステップS240において、ルールベース判定部16は、開閉弁71の閉鎖速度が高すぎると判定する。
次にステップS250では、圧力設定部12は、後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度が低くなるように後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を決定し、処理は、ステップS290に移される。例えば圧力設定部12は低下速度β1に所定量Δβ1を減算して新たな低下速度β1を算出してもよい。あるいは、後期間T2における閉鎖速度が低くなるように、PID制御部132が各種ゲインを所定量だけ変更しても構わない。要するに、制御部130は後期間T2における閉鎖速度が低くなるように、後期間T2における気体H1の供給圧力の低下速度に関連する制御パラメータを所定量だけ変更する。
ステップS230の判定の結果、エリアAが液密状態であれば、処理はステップS260に移される。
ステップS260では、ルールベース判定部16は、第2画像G2(あるいは派生画像G12)の特徴量に基づいてエリアBが処理液L1の殆ど存在しない状態(以下、空白状態と称呼する)であるか否かを判定する。当該特徴量は例えば第2画像G2(あるいは派生画像G12)におけるグレースケールの画素値の総和、輝度値の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差である。例えば、ルールベース判定部16は当該特徴量が空白基準値よりも小さいときに、エリアBが空白状態であると判定し、当該特徴量が空白基準値よりも大きいときに、エリアBが空白状態ではないと判定する。
当該判定の結果、エリアBに処理液L1が存在すれば(つまり空白状態でなければ)、処理は、ステップS270に移される。
ステップS270では、ルールベース判定部16は、開閉弁71の閉鎖速度が低すぎると判定する。
次にステップS280では、圧力設定部12は後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度が高くなるように、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を設定する。例えば圧力設定部12は低下速度β1に所定量Δβ1を加算して新たな低下速度β1を算出してもよい。あるいは、後期間T2における閉鎖速度が高くなるように、PID制御部132が各種ゲインを所定量だけ変更しても構わない。要するに、制御部130は後期間T2における閉鎖速度が高くなるように、後期間T2における気体H1の供給圧力の低下速度に関連する制御パラメータを所定量だけ変更する。
ステップS250またはステップS280の後に、ステップS290では、設定された制御パラメータで処理液L1の吐出を停止すべく、基板処理ユニット1Bは、ノズル251から一旦処理液L1を吐出した後、再度、吐出を停止する。その後、処理は、ステップS210に戻されて、基板処理ユニット1Bは、ステップS210以下の各処理を行う。
ステップS260での判定の結果、エリアBが、処理液L1の殆ど存在しない状態(空白状態)であれば、基板処理ユニット1Bは、図21の動作を終了する。
図21の動作において、ルールベース判定部16は、内部領域51が液密状態でなければ開閉弁71の閉鎖速度が高すぎると判定し、内部領域51が液密状態であって、かつ、前方領域52に処理液L1が存在していれば、開閉弁71の閉鎖速度が低すぎると判定する規則を判定規則K1として用いている。そして、ルールベース判定部16は、第1画像G1(あるいは派生画像G11、以下、同様)の特徴量と第2画像G2(あるいは派生画像G12、以下、同様)の特徴量に判定規則K1を適用することによって開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定している。開閉弁71の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る第1画像G1と第2画像G2とについて、個別に処理液の像の存在を検出して開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定するので、高い判定精度で閉鎖速度の区分を判定できる。
図22に示されるように、処理液L1の吐出方向AR1の下流側におけるエリアAの端部は、ノズル251の先端252から処理液L1の吐出方向AR1の上流側に離れている。このため、判定部14は、吐出方向AR1の下流側における第1画像G1(内部領域51)の端部からノズル251の先端252にわたる画像領域の画像を開閉弁71の閉鎖速度の区分の判定に使用しない。当該画像領域は、処理液L1の存在と、開閉弁71の閉鎖速度との関係を特定しにくい領域である(図22の上段の停止後状態1,2参照)。つまり、ノズル先端状態が良好であっても、処理液L1の下端位置はノズル251の先端部でばらつくので、内部領域51と前方領域52との間の画像領域の状態(液密状態か否か)はばらつく。したがって、当該画像領域が液密状態であっても空白状態であっても、その状態を根拠としてノズル先端状態の良否を判定することは難しい。このため、当該画像領域が判定に使用されない場合には、判定の精度が向上し得る。
<3.機械学習>
上述の例では、判定部14は判定規則K1に基づいて開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定した。しかるに必ずしもこれに限らない。例えば判定部14は機械学習によって開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定してもよい。
図23は、制御部130の内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。図23の例では、判定部14は分類器K2を備えている。分類器K2は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0のうちノズル251の先端部の内部領域51およびノズル251の前方領域52の画像に基づいて、開閉弁71の閉鎖速度が適切であるか、適切な速度よりも高いか低いかという開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定する。すなわち、判定部14は、分類器K2によって開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定する。
制御部130は、機械学習部18を備えている。分類器K2は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0のうちノズル251の先端部の内部領域51およびノズル251の前方領域52のサンプル画像を用いて予め機械学習部18が行う機械学習によって生成されている。
機械学習部18は、生成された分類器K2を、磁気ディスク161に記憶する。分類器K2は、例えば、分類器K2としての機能を実現するプログラム、若しくは、パラメータなどして記憶される。機械学習部18は、機械学習のアルゴリズムとして、例えば、近傍法、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどを用いる。
なお、機械学習部18をオフラインで定期的または不定期に更新してもよい。また、予め機械学習された機械学習部18に対し、さらにサンプル画像(教師データ)を追加してオンライン学習を行い更新させてもよい。
また、基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット1Bを備えているが、一つの基板処理ユニット1Bに対して機械学習により生成した分類器K2を他の基板処理ユニット1Bにおける開閉弁71の制御に使用してもよい。
図24は、基板処理ユニット1Bの上記動作の一例を示すフローチャートであり、図25は、吐出停止時のノズル先端状態と、開閉弁71の閉鎖速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。
図24のステップS310では、機械学習部18は、ノズル251の先端部の内部(流路)と当該先端部の前方の処理液L1の吐出経路とを含むエリアC(図25)の画像を、開閉弁の閉鎖速度が「適切」、「高すぎる」、「低すぎる」の各クラスに分類するように機械学習する。機械学習部18は、当該機械学習によって生成された分類器K2を磁気ディスク161に記憶する。
なお、図22の例に対して、判定部14が分類器K2を適用する場合には、分類器K2は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した画像G0のうち内部領域51に対応するエリアAの第1画像G1と、前方領域52(図22)に対応するエリアBの第2画像G2とのそれぞれの画像に基づいて開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定する。分類器K2は、第1画像G1と、第2画像G2とのそれぞれのサンプル画像を用いて、予め機械学習によって生成される。
ステップS320では、カメラ65は、開閉弁71が流路を閉鎖してノズル251からの処理液L1の吐出が停止したときに、ノズル251の先端部の内部(流路)と当該先端部よりも前方の処理液L1の吐出経路とを含む撮影対象領域50を撮像する。
次にステップS330では、判定部14は、撮像された画像(原画像)G0のうちエリアCの画像(あるいは第1画像G1および第2画像G2)を分類器K2によって分類し、開閉弁71の閉鎖速度の属する区分を判定する。
なお、エリアCは、ノズル251の先端(吐出口)252の幅を有して、処理液L1の吐出方向AR1に細長いように設定されている。図25のエリアCは、図22のエリアA,Bを合せた範囲よりも、僅かに長い領域となっている。これは、エリアA,Bが互いに離れて設けられているためである。
ステップS340では、判定部14は、当該閉鎖速度が「高すぎる」に分類(判定)されたか否を判定する。
当該判定の結果、当該閉鎖速度が「高すぎる」に分類されれば、処理は、ステップS350に移される。
ステップS350では、圧力設定部12は、後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度が低くなるように、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を決定し、処理はステップS380に移される。例えば圧力設定部12は低下速度β1に所定量Δβ1を減算して新たな低下速度β1を算出してもよい。要するに、後期間T2における閉鎖速度が低くなるように、制御パラメータを所定量だけ変更する。
ステップS340の判定の結果、開閉弁71の閉鎖速度が「高すぎる」に分類されなければ、処理は、ステップS360に移される。
ステップS360では、判定部14は、開閉弁71の閉鎖速度が「低すぎる」に分類されたか否かを判定する。
当該判定の結果、閉鎖速度が「低すぎる」に分類されれば、処理はステップS370に移される。
ステップS370では、圧力設定部12は後期間T2における開閉弁71の閉鎖速度が高くなるように、後期間T2における圧力指示値P1*の低下速度β1を決定する。例えば圧力設定部12は低下速度β1に所定量Δβ1を加算して新たな低下速度β1を算出してもよい。要するに、後期間T2における閉鎖速度が高くなるように、制御パラメータを所定量だけ変更する。
ステップS350またはステップS370の後に、ステップS380では、設定された制御パラメータで処理液L1の吐出を停止すべく、基板処理ユニット1Bは、ノズル251から一旦処理液L1を吐出した後、再度、吐出を停止する。その後、処理は、ステップS320に戻されて、基板処理ユニット1Bは、ステップS320以下の各処理を行う。
ステップS360での判定の結果、開閉弁71の閉鎖速度が「低すぎる」に分類されない場合には、基板処理ユニット1Bは、図25の動作を終了する。
以上のように、機械学習を用いてもノズル先端状態に応じて閉鎖速度を調整できる。また開閉弁71の閉鎖速度に応じたノズル先端状態の変動が写る原画像G0(第1画像G1および第2画像G2)を用いた学習によって閉鎖速度の区分を判定しているので、判定の精度が高い。また、第1画像G1および第2画像G2に対して分類器K2を適用する場合には、内部領域51と前方領域52との間の領域を判定に採用しないので、判定の精度が向上し得る。
図26は、機械学習のモデルの一例を示す模式図である。図26の例では、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)NN1のモデルが示されている。このモデルは分類器K2に格納される。このモデルには、入力層と中間層(隠れ層)と出力層とが設けられている。各層は複数のノード(人工ニューロン)を有しており、各ノードにはその前段の層のノードの出力データが入力される。各ノードは例えば公知の関数の結果を出力する。中間層の層数は1に限らず、任意に設定できる。
判定部14は、この分類器K2を用いて、入力層から中間層を経て出力層の演算処理を行うことにより、ノズル先端状態についてのマッチングを行うことができる。より具体的には、例えば判定部14は、撮像された画像におけるノズル先端状態を、複数のクラス(図22に示す6つのノズル先端状態)のいずれか一つにマッチングする。図26の例では、各クラスが、対応する各画像Gkによって模式的に示されている。各クラスの特徴は、上述のサンプリング画像(先端252の近傍部分における停止直後の処理液L1の各状態に対応する各サンプリング画像(より詳細には、各サンプリング画像の画素値もしくは輝度の総和、または画素値または輝度の標準偏差))を用いた学習によって予め生成されている。
入力層には、ノズル251の先端252の近傍を撮影した画像GI(原画像G0(第1画像G1および第2画像G2))が入力される。撮影された画像GIは、判定部14が実行するニューラルネットワークNN1による画像認識によって、最も類似する特徴を有するクラスにマッチングされる。なお、判定部14は、画像GIのノズル先端状態が図22の6つのノズル先端状態のいずれに分類されるのかの分類結果を出力している、ともいえる。
そして、判定部14はこの分類結果に基づいて開閉弁71の閉鎖速度を分類する。例えば、判定部14は画像GIにおけるノズル先端状態が図26の紙面上側の2つのノズル先端状態のいずれか一方に分類されたときには、開閉弁71の閉鎖速度を「適切」のクラスに分類し、図26の紙面中ほどの2つのノズル先端状態のいずれか一方に分類されたときには、開閉弁71の閉鎖速度を「低すぎる」に分類し、図26の紙面下側の2つのノズル先端状態に分類されたときには、開閉弁71の閉鎖速度を「高すぎる」に分類する。図26により示される動作は、上述したステップS340、ステップS360の処理に対応する。
なお上述の例では、判定部14はニューラルネットワークを用いて画像GIのノズル先端状態を6つのノズル先端状態を分類し、その分類結果に基づいて、閉鎖速度を分類しているものの、必ずしもこれに限らない。判定部14は、ニューラルネットワークを用いて直接に閉鎖速度を分類してもよい。つまり、出力層が開閉弁71の閉鎖速度を「高すぎる」、「適切」および「低すぎる」の3つのクラスに分類してもよい。
また、図26の画像GI,Gkは、ノズル251の先端252の近傍を撮影した画像を示しているが、必ずしもノズル251の先端252の近傍のみを抽出した画像でなく、撮像素子が撮像した全体画像を特徴ベクトルとして学習させてもよい。この場合、機械学習部19は結果的に複数の全体画像において生じるノズル先端状態の差分に着目し学習が行われると考えられるからである。
<3−1.派生画像>
判定部14は原画像G0に代えて派生画像G10に基づいて判定を行ってもよい。具体的には、判定部14は、派生画像G10のうちノズル251の先端部の内部領域51およびノズル251の前方領域52の画像に基づいて、開閉弁71の閉鎖速度の区分を判定してもよい。この場合、分類器K2は、派生画像G10のうちノズル251の先端部の内部領域51およびノズル251の前方領域52のサンプル画像を用いて予め機械学習部18が行う機械学習によって生成される。
<4.吸い戻し弁>
制御部130の判定部14は、カメラ65が撮像した原画像G0(あるいは派生画像G10)に基づいて、吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定してもよい。
図27は、ノズル先端状態と、吸い戻し弁72の動作速度の区分との関係の一例を表形式で示す図である。図27では、吸い戻し弁72の動作速度が「適切」である状態に対して、吐出停止時のノズル先端状態として「停止後状態1」が例示され、吸い戻し弁72の動作速度が「高すぎる」状態に対して、吐出停止時のノズル先端状態として「停止後状態1」および「停止後状態2」の2つの状態が例示されている。当該2つの状態は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した画像G0によって、それぞれ模式的に示されている。図27の各画像G0には、エリアDが表示されている。エリアDは、吸い戻し動作後の処理液の端面位置とノズル251の先端252との間の流路の少なくとも一部に対応した領域である。
吸い戻し弁72の動作速度が適切である場合、吐出停止直後に処理液L1の下端は、ノズル251の先端252よりも上方で停止する。吐出停止後に液滴L2がノズル251の先端252から落下することはない。つまり、ノズル先端状態は良好な状態である。
吸い戻し弁72の動作速度が高すぎる場合には、ノズル先端状態は停止後状態1または停止後状態2となる。停止後状態1においては、急激な流路の体積変化によって、ノズル251の先端部には、その内壁面に液滴L2が付着している。また停止後状態2においては、その内壁面に液滴L2が付着しつつ、ノズル251の先端252を閉鎖する大きさの液溜まり状の液滴L2が生じている。停止後状態1,2において、ノズル251の先端部に残存している液滴L2は、乾燥するとパーティクルとなるおそれがある。
エリアDに対応する内部領域53の上端は、例えば、吸い戻し弁72の動作速度が適切な場合の処理液L1の下端位置よりも下側に位置しており、内部領域53の下端はノズル251の先端252とほぼ一致する。吸い戻し弁72の動作速度が適切である場合には、内部領域53内には処理液L1は殆ど残存せず、吸い戻し弁72の動作速度が高すぎる場合には、内部領域53内に処理液L1が液滴L2として残存する。つまり、内部領域53は、吸い戻し弁72の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る領域である。
そこで、判定部14は原画像G0のうちエリアDに対応する内部領域53に着目して、吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定する。
<4−1.ルールベース>
判定部14の特徴量算出部15は原画像G0のうち内部領域53に対応する第3画像G3について、処理液L1の像の面積に応じた所定の特徴量を算出する。特徴量としては、例えば、第3画像G3の領域内の各画素のグレースケールでの画素値の総和、輝度の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差などが採用される。
判定部14のルールベース判定部16は、第3画像G3の特徴量に所定の判定規則を適用することによって吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定する。当該判定規則として、例えば、内部領域53が空白状態でなければ吸い戻し弁72の動作速度が高すぎると判定する。ここでいう空白状態とは、内部領域53に処理液L1が殆ど残存していない状態である。
なお判定部14は、開閉弁71における判定処理と同様に、派生画像G10に対して判定処理を行っても構わない。判定部14は派生画像G10のうち内部領域53に対応する派生画像G13について、処理液L1の像の面積に応じた所定の特徴量を算出する。特徴量としては、例えば、派生画像G13の領域内の各画素のグレースケールでの画素値の総和、輝度の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差などが採用される。
図28は、基板処理ユニット1Bの動作の一例を示すフローチャートである。ステップS410では、カメラ65は、吸い戻し弁72が吸い戻し動作が終了してから、ノズル251の先端部の内部領域53(図27)を含む撮影対象領域50を撮像する。撮像された画像(「原画像」)G0は、制御部130に供給される。
ステップS420では、特徴量算出部15が、ノズル251の先端部の流路における内部領域53に対応するエリアD(図27)の第3画像G3(あるいは派生画像G13)について特徴量を算出する。なおエリアDは、ノズル251の先端(吐出口)252の幅を有して、処理液L1の吐出方向AR1に細長いように設定されている。
次にステップS430では、ルールベース判定部16は当該特徴量に基づいてエリアDが空白状態であるか否かを判定する。当該特徴量は例えば第3画像G3(あるいは派生画像G13)におけるグレースケールの画素値の総和、輝度値の総和、グレースケールでの画素値の標準偏差、または輝度の標準偏差である。例えば、ルールベース判定部16は当該特徴量が空白基準値よりも小さいときに、エリアCが空白状態であると判定し、当該特徴量が空白基準値よりも大きいときに、エリアDが空白状態ではないと判定する。当該判定の結果、エリアDが空白状態であれば、吸い戻し弁72の動作速度は適切なので処理を終了する。
一方で当該判定の結果、エリアDが空白状態でなければ、ステップS440において、ルールベース判定部16は、吸い戻し弁72の動作速度が高すぎると判定する。
次にステップS450では、圧力設定部12は、吸い戻し弁72の動作速度が低くなるように圧力指示値P2*の低下速度β2(より具体的には動作期間Tc2における低下速度β2)を決定する。例えば圧力設定部12は低下速度β2に所定値Δβ2を減算して新たな低下速度β2を算出する。あるいは、動作期間Tc2における動作速度が高くなるように、PID制御部132が各種ゲインを所定量だけ変更しても構わない。要するに、制御部130は動作期間Tc2における吸い戻し弁72の動作速度が低くなるように、動作期間Tc2における気体H2の供給圧力の低下速度に関連する制御パラメータを所定量だけ変更する。
次にステップS460では、設定された制御パラメータで吸い戻し動作を行うべく、基板処理ユニット1Bは、ノズル251から一旦処理液L1を吐出した後、再度、吐出を停止する。その後、処理は、ステップS410に戻されて、基板処理ユニット1Bは、ステップS410以下の各処理を行う。
以上のように、基板処理ユニット1Bによれば、吸い戻し弁72の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る第3画像G3(あるいは派生画像G13)内に基づいて、吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定するので、適切に動作速度の区分を判定できる。またその判定結果に応じて、ノズル先端状態が良好となるように吸い戻し弁72の動作速度を調整することができる。
<4−2.機械学習>
上述の例では、判定部14は判定規則に基づいて吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定した。しかるに必ずしもこれに限らない。例えば判定部14は開閉弁71の判定処理と同様に、機械学習によって吸い戻し弁72の動作速度の区分を判定してもよい。つまり、機械学習部18は、カメラ65が撮影対象領域50を撮像した原画像G0のうちノズル251の先端部の内部領域53のサンプル画像(あるいは派生画像G10のうちノズル251の先端部の内部領域53のサンプル画像)を用いて予め機械学習を行って、分類器を生成する。この分類器は例えば磁気ディスク161に記録される。判定部14は、カメラ65によって撮像された原画像G0のうち第3画像G3(あるいは派生画像G13)を分類器に入力することで、当該分類器を用いて吸い戻し弁72の動作速度を判定する。
これによれば、吸い戻し弁72の動作速度に応じたノズル先端状態の変動が写る第3画像G3(あるいは派生画像G13)を用いた学習によって動作速度の区分を判定しているので、判定の精度が高い。
図29は、基板処理装置100の制御部130の他の実施形態の構成例として制御部130Bを模式的に示す図である。
図29に示すように、機械学習部18は、基板処理装置100の外部に設けられたサーバ23に設けられている。機械学習部18による機械学習は、オフラインで行われる。また、判定部14および分類器K2もサーバ23に設けられている。制御部130Bは、通信部21を介してネットワーク22と接続され、外部のサーバ23は、ネットワーク22と接続されている。
制御部130BのCPU11は、通信部21とネットワーク22とを介してサーバ23に設けられた判定部14、機械学習部18、および分類器K2と情報の伝達を行う。制御部130Bは、制御部130の機械学習部18、判定部14、分類器K2を備えていないことを除いて、制御部130と同様に構成されている。制御部130Bは、撮像部65によって撮像された画像を、通信部21を介してサーバ23へと送信し、サーバ23による演算結果(分類結果)を、通信部21を介して受信する。圧力設定部12はその分類結果に応じて圧力指示値P1*を決定する。
これによれば、サーバ23に判定機能(判定部14および分類器K2)が設けられているので、複数の基板処理ユニット1Bに対して共通のマッチング(判定)を行うことができる。なお図29において、画像生成部17もサーバ23に設けられてもよい。また図29の態様は図20の態様にも適用可能である。つまり、図20の判定部14(あるいは更に画像生成部17)をサーバ23に設けてもよい。
この場合、基板処理装置100およびサーバ23を含む全体の装置を処理液吐出装置とみなすことができる。
なお、機械学習部18をオフラインで定期的または不定期に更新してもよい。また、予め機械学習された機械学習部18に対し、さらにサンプル画像(教師データ)を追加してオンライン学習を行い更新させてもよい。さらに、ネットワーク22を介して他のCPUを用い、サンプル画像(教師データ)にてオンライン学習を行ってもよい。
図30は、基板処理装置100の制御部130の他の実施形態の構成例として制御部130Cを模式的に示す図である。図30に示すように、制御部130Cは、分類器K2を磁気ディスク161ではなく、ROM162に記憶していることを除いて、制御部130と同様に構成されており、同様に動作する。このように、分類器K2をROM162に格納してもよい。
<5.弁の種類>
第2の実施の形態においても、開閉弁71、吸い戻し弁72および駆動機構74,75に替えて、開閉弁71A、吸い戻し弁72Aおよび駆動機構74A,75Aが用いられても構わない。
処理液吐出方法および処理液吐出装置は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、処理液吐出方法および処理液吐出装置は実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 基板処理ユニット(処理液吐出装置)
251 ノズル
65 カメラ(撮像部)
71,71A 弁(開閉弁)
72,72A 弁(吸い戻し弁)
73 配管
74,75,74A,75A 駆動機構
130 制御部
G0 画像(原画像)

Claims (18)

  1. 処理液吐出方法であって、
    配管を介してノズルに供給される処理液を前記ノズルから吐出する第1工程と、
    前記ノズルからの処理液の吐出停止の際に、前記配管に設けられた少なくとも一つの弁の弁体の移動速度または変形速度たる動作速度を、その動作期間において変化させる第2工程と
    を備え
    前記動作期間は、前記弁体が移動し始めてから停止するまでの期間であり、
    前記少なくとも一つの弁は前記配管内の流路の開閉を切り替え、駆動機構から供給される気体の圧力に応じて開閉するエア作動弁を含み、
    前記エア作動弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、
    前記第2工程において、
    前記動作期間内の第1期間における前記閉鎖速度を、前記動作期間内の前記第1期間よりも後の第2期間における前記閉鎖速度よりも高くなるように、前記エア作動弁を制御し、かつ、前記気体の圧力に対応する指示値を前記動作期間において段階的に更新させ、前記指示値に基づいて前記駆動機構を制御して、前記動作期間において前記エア作動弁の前記閉鎖速度を変化させる、処理液吐出方法。
  2. 請求項1に記載の処理液吐出方法であって、
    前記気体は気体供給配管を介して前記エア作動弁に供給され、
    前記気体供給配管内の圧力は圧力センサによって測定され、
    前記第2工程において、前記圧力センサが測定した測定値に応じて、前記気体の圧力に対応する前記指示値を前記動作期間において段階的に更新させる、処理液吐出方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の処理液吐出方法であって、
    前記第2期間における前記指示値の更新回数は前記第1期間における更新回数よりも多い、処理液吐出方法。
  4. 請求項2に記載の処理液吐出方法であって
    記第2工程において、前記指示値と、前記測定値との差に対して比例制御、比例積分制御または比例積分微分制御を行って前記駆動機構を制御して、前記動作速度を制御する、処理液吐出方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻す吸い戻し弁を含む、処理液吐出方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって
    記第2工程において、前記エア作動弁の前記弁体が移動または変形し始めるまでの非動作期間における前記気体の圧力の変化速度が、前記動作期間における前記気体の圧力の変化速度よりも高くなるように、前記駆動機構を制御する、処理液吐出方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記ノズルからの処理液の吐出の停止の際に、撮像部が前記ノズルの先端部の流路を前記ノズルの吐出方向とは異なる方向から撮像する第3工程と、
    前記第3工程において前記撮像部が撮像した原画像に基づいて所定の判定処理を行うことにより、前記少なくとも一つ弁の前記動作速度の適否を判定する第4工程と
    を備える、処理液吐出方法。
  8. 請求項7に記載の処理液吐出方法であって、
    前記少なくとも一つの弁は、前記配管内の流路の開閉を切り替える開閉弁を含み、
    前記開閉弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、
    前記第4工程は、
    前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路に対応する第1画像領域の第1画像と、当該ノズルの先端から処理液の吐出方向に沿って前方に延在する前記処理液の吐出経路に対応する第2画像領域の第2画像とのそれぞれの画像について、前記第1画像と前記第2画像とのそれぞれにおける前記処理液の像の面積に応じた所定の第1特徴量を算出する工程と、
    前記第1画像の前記第1特徴量と前記第2画像の前記第1特徴量に所定の第1判定規則を適用することによって前記閉鎖速度が適切であるか、適切な速度よりも高いか低いかという前記閉鎖速度の区分を判定する工程と
    を備える、処理液吐出方法。
  9. 請求項8に記載の処理液吐出方法であって、
    前記第1判定規則は、
    前記ノズルの先端部の流路が液密状態でなければ前記開閉弁の前記閉鎖速度が前記適切な速度よりも高いと判定し、前記ノズルの先端部の流路が液密状態であって、かつ、前記吐出経路に前記処理液が存在していれば、前記閉鎖速度が前記適切な速度よりも低いと判定する規則である、処理液吐出方法。
  10. 請求項7に記載の処理液吐出方法であって、
    前記少なくとも一つの弁は、前記配管内の流路の開閉を切り替える開閉弁を含み、
    前記開閉弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、
    前記第4工程において、
    前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路および当該ノズルの先端から処理液の吐出方向に沿って前方に延在する前記処理液の吐出経路の画像に基づいて、前記閉鎖速度が適切であるか、適切な速度よりも高いか低いかという前記閉鎖速度の区分を判定する分類器によって前記閉鎖速度の区分を判定し、
    前記分類器は、
    前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路および前記吐出経路の画像のサンプル画像を用いて予め機械学習によって生成されている、処理液吐出方法。
  11. 請求項10に記載の処理液吐出方法であって、
    前記第4工程において、
    前記原画像のうち前記ノズルの先端部の流路に対応する第1画像領域の第1画像と、前記吐出経路に対応する第2画像領域の第2画像とのそれぞれの画像に基づいて前記開閉弁の前記閉鎖速度の前記区分を判定し、
    前記分類器は、
    前記第1画像と、前記第2画像とのそれぞれのサンプル画像を用いて、予め機械学習によって生成されている、処理液吐出方法。
  12. 請求項8、請求項9または請求項11に記載の処理液吐出方法であって、
    前記処理液の吐出方向の下流側における前記第1画像領域の端部は、前記ノズルの先端から前記処理液の吐出方向の上流側に離れている、処理液吐出方法。
  13. 請求項7から請求項12のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻して前記処理液の端面位置を前記ノズルの先端から遠ざける吸い戻し弁を含み、
    前記第4工程は、
    前記原画像のうち前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に対応する第3画像領域の第3画像について、前記処理液の像の面積に応じた所定の第2特徴量を算出する工程と、
    前記第3画像の前記第2特徴量に所定の第2判定規則を適用することによって前記吸い戻し弁の前記動作速度が適切か、適切な速度よりも高いかの前記動作速度の区分を判定する工程と
    を備える、処理液吐出方法。
  14. 請求項13に記載の処理液吐出方法であって、
    前記第2判定規則は、
    前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に処理液が残存していれば前記吸い戻し弁の前記動作速度が前記適切な速度よりも高いと判定する、処理液吐出方法。
  15. 請求項7から請求項12のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記少なくとも一つの弁は、処理液の吐出停止の際に前記ノズル内の処理液を吸い戻して前記処理液の端面位置を前記ノズルの先端から遠ざける吸い戻し弁を含み、
    前記第4工程において、
    前記原画像のうち前記処理液の前記端面位置と前記ノズルの先端との間の流路の少なくとも一部に対応する第3画像領域の第3画像に基づいて、前記吸い戻し弁の動作速度が適切であるか、適切な速度よりも高いかという前記吸い戻し弁の動作速度の区分を判定する分類器によって前記吸い戻し弁の動作速度の区分を判定し、
    前記分類器は、
    前記第3画像のサンプル画像を用いて予め機械学習によって生成されている、処理液吐出方法。
  16. 請求項7から請求項15のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記第3工程において、
    前記ノズルからの処理液の吐出が停止したとき以後に、前記撮像部は前記ノズルの先端部の流路を時間的に順次に撮像し、
    前記第4工程において、
    前記撮像部が撮像した複数の原画像を平均または積算して派生画像を生成する工程と、
    前記派生画像に基づいて前記少なくとも一つの弁の前記動作速度の適否を判定する工程と
    を備える、処理液吐出方法。
  17. 請求項7から請求項16のいずれか一つに記載の処理液吐出方法であって、
    前記第4工程で判定した前記少なくとも一つ弁の前記動作速度の適否に基づいて、当該動作速度が前記適切な速度になるように、前記第1工程における前記少なくとも一つの弁の動作を調整する第5工程をさらに備える、処理液吐出方法。
  18. 処理液吐出装置であって、
    処理液を吐出するノズルと、
    前記ノズルと処理液供給源とを接続し、前記処理液供給源からの処理液を前記ノズルに導く配管と、
    前記配管に設けられた少なくとも一つの弁と、
    前記ノズルからの処理液の吐出停止の際に、前記少なくとも一つの弁の弁体の移動速度または変形速度たる動作速度を、前記少なくとも一つの弁の動作期間中に変化させる制御部と
    を備え
    前記動作期間は、前記弁体が移動し始めてから停止するまでの期間であり、
    前記少なくとも一つの弁は前記配管内の流路の開閉を切り替え、駆動機構から供給される気体の圧力に応じて開閉するエア作動弁を含み、
    前記エア作動弁を閉じるときの前記動作速度を閉鎖速度と呼ぶと、
    前記制御部は、
    前記動作期間内の第1期間における前記閉鎖速度を、前記動作期間内の前記第1期間よりも後の第2期間における前記閉鎖速度よりも高くなるように、前記エア作動弁を制御し、かつ、前記気体の圧力に対応する指示値を前記動作期間において段階的に更新させ、前記指示値に基づいて前記駆動機構を制御して、前記動作期間において前記エア作動弁の前記閉鎖速度を変化させる、処理液吐出装置。
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