JP6980376B2 - フォトクロミック光学物品 - Google Patents
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Description
(1)下記式(1)
420nmにおける吸光度が0.100未満であり、430nmにおける吸光度が0.015未満であり、かつ、発色濃度を測定する際に、380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値を、380nm以下の波長の光を遮断しない状態で測定した発色濃度の値で除した値が0.60未満となる第二フォトクロミック化合物
を含むフォトクロミック組成物を含有してなるフォトクロミック光学物品である。なお、本発明において、上記吸光度、発色濃度は、23℃におけるフォトクロミック化合物の1mMトルエン溶液(溶媒に溶解した状態のもの)を測定した際の値である。
(2)さらに、550〜600nmの波長の範囲に吸収ピークを有する色素を含有してなる前記フォトクロミック光学物品であることが好ましく、
(3)前記色素が、ポルフィリン系化合物である前記フォトクロミック光学物品であることが好ましい。
(4)下記式(1)
(5)前記積層体が、前記フォトクロミック層、および前記光学基材の少なくとも一方に、550〜600nmの波長の範囲に吸収ピークを有する色素を含有してなる(4)のフォトクロミック光学物品であることが好ましい。
(8)第一〜第二の本発明のフォトクロミック光学物品、および偏光シートを有する光学積層体である。
本発明において、上記特性(吸光度、および発色濃度)を有するフォトクロミック化合物は、23℃、溶液中(溶媒に溶かした状態)で測定した値である。上記特性を有するフォトクロミック化合物であれば、例えば、樹脂をマトリックスとする光学物品中であっても、優れた効果を発揮する。そして、23℃で測定した特性が上記範囲を満足するものであれば、通常の使用、例えば、自動車等の移動手段の室内で使用する眼鏡レンズの使用温度であっても、優れた効果を発揮する。なお、測定に使用する溶媒は、フォトクロミック化合物を溶解せきるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。本発明においては、トルエンを使用した。具体的な測定条件は、下記の実施例において記載した。なお、フォトクロミック光学物品に含まれるフォトクロミック化合物の該吸光度、および発色濃度を測定するためには、該光学物品からフォトクロミック化合物を抽出し、抽出したフォトクロミック化合物について測定を実施すればよい。
420nmにおける吸光度が0.150以上0.800以下、430nmにおける吸光度が0.020以上0.500以下となることが好ましく、
420nmにおける吸光度が0.200以上0.700以下、430nmにおける吸光度が0.050以上0.300以下となることがより好ましく、
420nmにおける吸光度が0.300以上0.60以下、430nmにおける吸光度が0.070以上0.200以下となることがさらに好ましい。なお、以下に説明するフォトクロミック組成物も、前記範囲の吸光度を満足することが好ましい。
本発明で使用するフォトクロミック化合物は、1種類のフォトクロミック化合物を使用することもできるし、2種以上のフォトクロミック化合物を併用して使用することもできる。以下に説明する、420nmにおける吸光度が0.100以上、430nmにおける吸光度が0.015以上、可視光感度が0.60以上となるフォトクロミック化合物(本特性を満足するフォトクロミック化合物)を、第一フォトクロミック化合物とする場合もある。
ここで、R1、R2及びR3は、下記の置換基から選ばれる基であることが好ましい。
R1は、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアリール基であり、
R2は、アルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合している芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環に結合する複素環基、アリールオキシ基、またはアリール基であり、
R3は、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、またはアリール基であることが最も好ましい。
R1は、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアリール基のうちから選ばれるいずれかの基であり、
R2は、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、またはアリール基であり、
R3は、アルコキシ基であることが最も好ましい。
前記式(1)において、R4およびR5は、それぞれ、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキル基であることが好ましい。その中でも、特に優れたフォトクロミック特性退色速度を発揮するためには、上記R4およびR5の少なくとも一方、好ましくは両方が、アリール基またはヘテロアリール基であることが好ましい。さらに、R4およびR5の少なくとも一方、好ましくは両方の基が、下記(i)〜(iii)に示される何れかの基であることが特に好ましい。
(ii)アミノ基を置換基として有するアリール基またはヘテロアリール基、
(iii)窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でアリール基またはヘテロアリール基と結合する複素環基を置換基として有するアリール基またはヘテロアリール基、
上記(i)〜(iii)におけるアリール基またはヘテロアリール基に置換する置換基の位置およびその総数は特に限定されるものではないが、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、アリール基がフェニル基であるときには、置換位置は3位または4位であり、その際の置換基の数は1であることが好ましい。特に、フェニル基の3位または4位に、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、アリール基が置換している基であることが好ましい。
前記式(1)において、R6およびR7は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基またはアリール基である。
環員炭素数が3〜20である脂肪族環、
前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、
環員原子数が3〜20である複素環または
前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環
を形成していてもよい。
本発明において、R6およびR7の好適な置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、R6およびR7が結合する13位の炭素原子と共に環を形成している場合が挙げられる。アルキル基としては、メチル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基が挙げられる。上記好適な置換基の中でも、高いダブルピーク性を維持したまま、退色速度をより速くするためには、R6およびR7は、それらが結合する13位の炭素原子と共に環を形成していることが好ましい。中でも、退色速度が特に速くなるという観点から、前記脂肪族環または前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成していることがさらに好ましく、とりわけ特にサーモクロミズムによる初期着色を低減する観点から、前記脂肪族環を形成していることが特に好ましい。
本発明において、R6およびR7が結合して形成する単環またはビシクロ環として最も好適なものの代表例は、例えば下記式で示される。下記式中、13を付された炭素原子が13位の炭素原子である。
本発明のフォトクロミック光学物品には、420nmにおける吸光度が0.100以上であり、430nmにおける吸光度が0.015以上であり、かつ可視光感度が0.60以上となるフォトクロミック化合物が含まれる。このフォトクロミック化合物は、それ単独で本特性を満足するフォトクロミック化合物(前記第一フォトクロミック化合物)であれば、それ一種類で使用することもできる。ただし、色調調整をする場合には、<第一フォトクロミック化合物>で例示した化合物以外の、その他のフォトクロミック化合物を併用することができる。当然のことであるが、複数種類のフォトクロミック化合物を使用した場合には、複数種類のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物の状態で前記物性を満足する必要がある。
本発明に使用される第二フォトクロミック化合物は、1種類のフォトクロミック化合物を使用することもできるし、2種以上のフォトクロミック化合物を併用して使用することもできる。
<R30>
式中、R30は、水素原子である。
式中、R10、およびR20は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合している芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環に結合する複素環基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、またはアリール基である。
R40、およびR50は、前記式(1)におけるR4、およびR5と同一の基が挙げられる。つまり、R40、およびR50は、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキル基であることが好ましい。その中でも、特に優れたフォトクロミック特性退色速度を発揮するためには、上記R40およびR50の少なくとも一方、好ましくは両方が、アリール基またはヘテロアリール基であることが好ましい。さらに、R40およびR50の少なくとも一方、好ましくは両方の基が、下記(i)〜(iii)に示される何れかの基であることが特に好ましい。
(ii)アミノ基を置換基として有するアリール基またはヘテロアリール基、
(iii)窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でアリール基またはヘテロアリール基と結合する複素環基を置換基として有するアリール基またはヘテロアリール基、
上記(i)〜(iii)におけるアリール基またはヘテロアリール基に置換する置換基の位置およびその総数は特に限定されるものではないが、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、アリール基がフェニル基であるときには、置換位置は3位または4位であり、その際の置換基の数は1であることが好ましい。特に、フェニル基の3位または4位に、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、アリール基が置換している基であることが好ましい。
R60、およびR70は、前記式(1)におけるR6、およびR7と同一の基が挙げられる。その中でも、特に、得られるフォトクロミック光学物品の防眩性、および透過性を高度に両立するためには、R6およびR7と同じく、 R60、およびR70は、それらが結合する13位の炭素原子と共に、
環員炭素数が3〜20である脂肪族環、
前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、
環員原子数が3〜20である複素環または
前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環
を形成することが好ましい。これら環基を形成する場合において、好ましい基は、R6、およびR7で説明した基と同様の基が挙げられる。さらには、R60、およびR70は、R6、およびR7において、特に好ましい基として具体的に例示した、単環またはビシクロ環であることが好ましい。
本発明のフォトクロミック光学物品において、フォトクロミック組成物が含まれる場合には、そのフォトクロミック組成物を溶媒で溶解した際に、420nmにおける吸光度が0.100以上、430nm以上における吸光度が0.015以上、可視光感度が0.60以上とならなければならない。
本発明に使用される550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素としては、それ自体公知のものを使用することができ、これらは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
Y1、Y3、Y5、およびY7は、水素原子であり、
Y2、Y4、Y6、およびY8は、それぞれ、炭素数1〜6の直鎖、または分岐のアルキル基であり、
Mは、2価の金属原子または酸化金属原子である。)
で示されるテトラアザポルフィリン化合物が挙げられる。
本発明において、前記色素を使用する場合には、使用するフォトクロミック化合物(フォトクロミック組成物)、および色素自体の特性に応じて配合量を適宜決定すればよい。中でも、より効果の優れた性能のフォトクロミック光学物品とし、かつ該光学物品をより容易に製造するためには、以下の配合割合とすることが好ましい。
本発明のフォトクロミック光学物品の形態、及び製造方法は、特に制限されず、公知の形態、及び製造方法を、目的に応じて適用することが出来る。
本発明において、練り込み方法でフォトクロミック光学物品を製造する場合には、具体的には、以下の方法を採用することが好ましい。前記樹脂成分において、熱可塑性樹脂とフォトクロミック化合物とを溶融混練してフォトクロミック化合物を含む樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を射出成型する方法が挙げられる。
本発明において、積層法でフォトクロミック光学物品を製造する場合には、具体的には、以下の方法を採用することが好ましい。
本発明において、バインダー法でフォトクロミック光学物品を製造する場合には、具体的には、以下の方法を採用することが好ましい。
本発明のフォトクロミック光学物品には、本発明の効果を損なわない範囲でそれ自体公知の各種配合剤、例えば、離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、香料等の各種安定剤、添加剤を、必要に応じて配合することができる。
また、本発明のフォトクロミック光学物品においては、更に偏光シートを積層し、フォトクロミック機能と偏光機能を併せ持つ光学積層体とすることも出来る。
また、本発明のフォトクロミック光学物品、または光学積層体の表面には、その用途に応じて、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤を用いてのハードコート膜の形成、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の蒸着による薄膜形成、有機高分子を塗布しての薄膜による反射防止処理、帯電防止処理、防汚処理、防曇処理等の後加工を施すことも可能である。
<第一フォトクロミック化合物>
<第二フォトクロミック化合物>
Dye1;テトラアザポルフィリン化合物(三井化学社製:染料PD311S)。テトラヒドロフラン中で測定した結果、吸収ピークは585nmであり、585nmにおける吸収強度は2.7×105ml/g・cmであった。
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(商品名VF−PS#7500;クラレ社製)原反を、ヨウ素0.04%とヨウ化カリウム0.4%の混合溶液(染色液)を用いて、30℃に保持した前記染色浴中で、原反の長さに対して3倍になるように延伸しながら、前記フィルムを染色した。このフィルムをさらに3.5%ホウ酸水溶液(延伸浴)に浸漬して、原反の6倍になるように延伸を行うことによって、偏光フィルム(厚み27μm)を作製した。得られた偏光フィルムの視感透過率は42.5%、偏光度は99.2%であった。
本発明において、420nm、及び430nmにおけるフォトクロミック化合物の吸光度は、以下の方法により測定した。実施例、比較例で使用したフォトクロミック化合物をトルエンに溶解し、1.0mMの濃度に調製した溶液を準備した。この溶液を、光路長1mmの石英セルに入れて測定試料とした。測定試料の温度は23℃とし、UV/VIS分光光度計(島津製作所製、型式:UV−1700)を用いて、420nm、及び430nmにおける吸光度を測定した。なお、フォトクロミック組成物の場合には、表1に示す配合割合で配合したフォトクロミック組成物において、含まれるフォトクロミック化合物の合計濃度が1.0mM濃度となるように調整した。
本発明において、可視光感度(380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値(εc)とし、380nm以下の波長の吸収を遮断しない状態で測定した発色濃度の値(εn)としたとき、(εc/εn)で示される値)は、以下の方法により測定した。実施例、比較例で使用したフォトクロミック化合物をトルエンに溶解し、1.0mM(ミリモル)の濃度に調製した溶液を準備した。この溶液を、光路長1mmの石英セルに入れて試料とし、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)、及びUVカットフィルター(アイエヌジー株式会社製合わせガラス;ガラス/HPR膜/ガラスを使用。380nm以下の波長の光を99.8%遮断できるもの。)を介して23℃、試料表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させた。最大吸収波長における発色濃度を測定し、UVカットフィルター使用時の発色濃度(εc)を得た。この測定を、UVカットフィルター未使用のでも実施し、UVカットフィルター未使用時の発色濃度(εn)を得た。なお、フォトクロミック組成物の場合には、表1に示す配合割合で配合したフォトクロミック組成物において、含まれるフォトクロミック化合物の合計濃度が1.0mM濃度となるように調整した。
グリシジルメタクリレート3質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が9であり、平均分子量が508)20質量部、トリプロピレングリコールジメタクリレート40質量部、4官能性ウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業製U−4HA)10質量部、メチルエーテルポリエチレングリコールアクリレート(平均分子量454)3質量部、α−メチルスチレン1質量部、α−メチルスチレンダイマー3質量部からなる重合性単量体100質量部に、フォトクロミック化合物(PC1)を0.04質量部、重合開始剤としてパーブチルND 1部、パーオクタO 0.1部添加し十分に混合した(フォトクロミック硬化性組成物を製造した。)。
本発明において、420nm、及び430nmにおけるフォトクロミック光学物品の吸光度は、測定温度23℃にて、UV/VIS分光光度計(島津製作所製、型式:UV−1700)を用いて測定した。
得られたフォトクロミック光学物品を試料とし、これに、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)、及びUVカットフィルター(アイエヌジー株式会社製合わせガラス;ガラス/HPR膜/ガラスを使用。380nm以下の波長の光を99.8%遮断できるもの)を介して23℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2、245nm=24μW/cm2で300秒間照射して発色させ、前記光学物品のフォトクロミック特性を測定した。この測定を、UVカットフィルター未使用のでも実施した。各フォトクロミック特性は、以下の方法で評価した。
前記方法で作製したフォトクロミック光学物品からなる眼鏡レンズを作製した。該眼鏡レンズを使用して、以下の方法により、自動車内での防眩性を評価した。この防眩性は、7月の10時〜15時(場所;日本)において、当該眼鏡レンズ、または、当該眼鏡レンズからフォトクロミック化合物のみを除外した眼鏡レンズを着用して被験者10人に自動車を運転してもらい、上記2種類の眼鏡レンズ装着時の眩しさの違いにより評価した。評価結果は、当該眼鏡レンズの方が、当該眼鏡レンズからフォトクロミック化合物のみを除外した眼鏡レンズと比較して、防眩性が高い(眩しくない)と感じた人数で評価した。
表2に示したフォトクロミック化合物(組成物)の種類以外は、実施例1と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(練り込み品)の特性を評価した。その結果を、表2に示す。
m−キシレンジイソシアネート55質量部、ジペンタエリスリト−ルヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)40質量部、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(n≒10、Mw=668)10質量部からなる重合性単量体100部に、PC1を0.04部、内部離型剤としてZelecUN(酸性リン酸エステル、STEPAN社製)を0.1部、硬化触媒としてジブチルチンジラウレート0.01部添加し十分に混合した(フォトクロミック硬化性組成物を準備した。)。
表3に示したフォトクロミック化合物の種類以外は、実施例10と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(練り込み品)の特性を評価した。その結果を、表3に示す。
ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が14であり、平均分子量が736)30質量部、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(エチレグリコール鎖の平均鎖長が10であり、平均分子量が、804)30質量部、ペンタンジオールとヘキサンジオールを主成分とするポリアルキレンカーボネートジオールとアクリル酸のエステル化物(平均分子量640、(メタ)アクリル等量320)10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート29質量部、グリシジルメタアクリレート 1質量部、及びフォトクロミック化合物PC1 1.5質量部を加え、70℃で15分間撹拌混合し、フォトクロミック化合物を溶解させた。室温に冷却後、更に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量508)3質量部、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox245)3質量部、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(商品名:Irgacure819、BASF社製)0.3質量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング株式会社製L7001 0.1質量部を加え、コーティング法に用いるフォトクロミック硬化性組成物を得た。
表4に示したフォトクロミック化合物の種類以外は、実施例19と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(積層品;コーティング法)の特性を評価した。その結果を、表4に示す。
ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が14であり、平均分子量が736)30質量部、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(エチレグリコール鎖の平均鎖長が10であり、平均分子量が、804)30質量部、ペンタンジオールとヘキサンジオールを主成分とするポリアルキレンカーボネートジオールとアクリル酸のエステル化物(平均分子量640、(メタ)アクリル等量320)10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート29質量部、グリシジルメタアクリレート 1質量部、及びフォトクロミック化合物PC1 0.12質量部を加え、70℃で15分間撹拌混合し、フォトクロミック化合物を溶解させた。室温に冷却後、更に、2−イソシアナトエチルメタクリレート5質量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量508)3質量部、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox245)3質量部、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(商品名:Irgacure819、BASF社製)0.2質量部を加え、注型重合法に用いるフォトクロミック硬化性組成物を得た。
表5に示したフォトクロミック化合物の種類以外は、実施例28と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(積層品;注型重合法)の特性を評価した。その結果を、表5に示す。
(1)フォトクロミック組成物用ポリウレタンウレア樹脂の製造
撹拌翼、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた5Lのセパラブルフラスコ(4つ口)を用意し、この容器に数平均分子量800のポリカーボネートジオール885質量部、イソホロンジイソシアネート350質量部、トルエン250質量部を仕込み、窒素雰囲気下、100℃で7時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を0℃付近まで冷却し、イソプロピルアルコール715質量部、ジエチルケトン1335質量部に溶解させた後、液温を0℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン85質量部とジエチルケトン70質量部の混合溶液を30分以内に滴下し、0℃で1時間反応させた。その後さらに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン20質量部を滴下し、0℃で1時間反応させることにより、ポリウレタンウレア樹脂のジエチルケトン溶液を得た。
(1)で得られたポリウレタンウレア樹脂の溶液500質量部、フォトクロミック化合物PC1 3.0質量部、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物 20質量部、さらに酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート] 2質量部、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.3質量部を添加し、室温で攪拌・混合を行い、バインダー法用のフォトクロミック硬化性組成物を得た。
撹拌翼、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた5Lのセパラブルフラスコ(4つ口)を用意し、この容器に数平均分子量1000のポリカーボネートジオール400質量部、イソホロンジイソシアネート175質量部、トルエン120質量部を仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を20℃付近まで冷却し、プロピレングリコール−モノメチルエーテル2500質量部に溶解させた後、液温を20℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるイソホロンジアミン60質量部を滴下し、20℃で1時間反応させた。その後さらに、n−ブチルアミン3質量部を滴下し、20℃で1時間反応させることにより、ポリウレタンウレア樹脂のプロピレングリコール−モノメチルエーテル溶液を得た。
(3)で得られたポリウレタンウレア樹脂溶液500質量部に、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.2質量部を添加し、室温で攪拌・混合を行い、接着層用接着剤を得た。
コーター(テスター産業製)を用いて、(3)で得られたポリウレタンウレア樹脂溶液を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一、第二光学シート)上に、塗工速度0.5m/minで塗工し、乾燥温度110℃で3分間乾燥させることにより、膜厚5μmの接着樹脂層を有するポリカーボネートシートを得た。
表6に示したフォトクロミック化合物の種類以外は、実施例37と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(バインダー品)の特性を評価した。その結果を、表6に示す。
実施例1で準備したフォトクロミック硬化性組成物に、550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素Dye1 0.001質量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(練り込み品)の特性を評価した。その結果を、表7に示す。
実施例10のフォトクロミック硬化性組成物に、550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素Dye1 0.001質量部を添加した以外は、実施例10と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(練り込み品)の特性を評価した。その結果を、表7に示す。
実施例19の湿気硬化型ウレタン樹脂溶液(プライマー層形成用樹脂溶液)に、550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素Dye1 0.1質量部を添加した以外は、実施例19と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(積層品;コーティング法)の特性を評価した。その結果を、表7に示す。
実施例28のフォトクロミック硬化性組成物に、550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素Dye1 0.004質量部を添加した以外は、実施例28と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(積層品;注型重合法)の特性を評価した。その結果を、表7に示す。
実施例37の第二光学シート上の接着樹脂層に、550〜600nmの範囲に吸収ピークを有する色素Dye1 0.1質量部を添加した以外は、実施例37と同様の方法にてフォトクロミック光学物品を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(バインダー品)の特性を評価した。その結果を、表7に示す。
実施例37、または50で得られたフォトクロミック光学物品(バインダー品;第一光学シート/接着樹脂層/フォトクロミック層/接着樹脂層/第二光学シート)において、第二光学シート側のフォトクロミック層と接着樹脂層の間に、偏光フィルムを積層した以外は、実施例37、または50と同様の方法にて光学積層体を作製し、得られたフォトクロミック光学物品(バインダー品)の特性を評価した。その結果を、表8に示す。
Claims (10)
- 下記式(1)
R3は、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合している芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環に結合する複素環基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基、または置換基を有してもよい炭素数6〜14のアリール基であり、
R4及びR5は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜14のヘテロアリール基または炭素数1〜6のアルキル基であり、
R6及びR7は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシアルキル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基または置換基を有してもよい炭素数6〜14のアリール基であり、あるいは、
R6及びR7は、それらが結合する13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3〜20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環員原子数が3〜20である複素環、または前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成していてもよい)
に表され、
23℃、1.0mMの濃度に調整したトルエン溶液を測定試料とした場合に、
420nmにおける吸光度が0.100以上0.800以下であり、
430nmにおける吸光度が0.015以上0.500以下であり、かつ、
発色濃度を測定する際に、380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値を、380nm以下の波長の光を遮断しない状態で測定した発色濃度の値で除した値が0.60以上となる第一フォトクロミック化合物、及び、
23℃、1.0mMの濃度に調整したトルエン溶液を測定試料とした場合に、
420nmにおける吸光度が0.100未満であり、
430nmにおける吸光度が0.015未満であり、かつ、
発色濃度を測定する際に、380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値を、380nm以下の波長の光を遮断しない状態で測定した発色濃度の値で除した値が0.60未満となる第二フォトクロミック化合物
を含むフォトクロミック組成物を含有してなるフォトクロミック光学物品。 - 前記式(1)において、R3は、炭素数1〜6のアルコキシ基である請求項1に記載のフォトクロミック光学物品。
- さらに、550〜600nmの波長の範囲に吸収ピークを有する色素を含有してなる請求項1又は2に記載のフォトクロミック光学物品。
- 前記色素が、ポルフィリン系化合物である請求項3に記載のフォトクロミック光学物品。
- 下記式(1)
R3は、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、環員窒素原子を含み且つその窒素原子でそれが結合している芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環に結合する複素環基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基、または置換基を有してもよい炭素数6〜14のアリール基であり、
R4及びR5は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜14のヘテロアリール基または炭素数1〜6のアルキル基であり、
R6及びR7は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシアルキル基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数7〜11のアラルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールオキシ基または置換基を有してもよい炭素数6〜14のアリール基であり、あるいは、
R6及びR7は、それらが結合する13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3〜20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環員原子数が3〜20である複素環、または前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成していてもよい)
に表され、
23℃、1.0mMの濃度に調整したトルエン溶液を測定試料とした場合に、
420nmにおける吸光度が0.100以上0.800以下であり、
430nmにおける吸光度が0.015以上0.500以下であり、かつ、
発色濃度を測定する際に、380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値を、380nm以下の波長の光を遮断しない状態で測定した発色濃度の値で除した値が0.60以上となる第一フォトクロミック化合物、及び、
23℃、1.0mMの濃度に調整したトルエン溶液を測定試料とした場合に、
420nmにおける吸光度が0.100未満であり、
430nmにおける吸光度が0.015未満であり、かつ、
発色濃度を測定する際に、380nm以下の波長の光を遮断した状態で測定した発色濃度の値を、380nm以下の波長の光を遮断しない状態で測定した発色濃度の値で除した値が0.60未満となる第二フォトクロミック化合物
を含むフォトクロミック組成物を含有するフォトクロミック層と、
光学基材と
を少なくとも有する積層体からなるフォトクロミック光学物品。 - 前記式(1)において、R3は、炭素数1〜6のアルコキシ基である請求項5に記載のフォトクロミック光学物品。
- 前記積層体が、
前記フォトクロミック層、および前記光学基材の少なくとも一方に、550〜600nmの波長の範囲に吸収ピークを有する色素を含有してなることを特徴とする請求項5又は6に記載のフォトクロミック光学物品。 - 前記積層体が、さらに、プライマー層を有し、かつ、前記光学基材、前記プライマー層、および前記フォトクロミック層をこの順で有してなり、
少なくとも前記プライマー層が、550〜600nmの波長の範囲に吸収ピークを有する色素を含有してなることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のフォトクロミック光学物品。 - 前記色素が、ポルフィリン系化合物である請求項7又は8に記載のフォトクロミック光学物品。
- 請求項1〜9の何れかに記載のフォトクロミック光学物品、および偏光シートを有する光学積層体。
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