JP6979270B2 - グラファイト樹脂複合体 - Google Patents
グラファイト樹脂複合体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6979270B2 JP6979270B2 JP2016244722A JP2016244722A JP6979270B2 JP 6979270 B2 JP6979270 B2 JP 6979270B2 JP 2016244722 A JP2016244722 A JP 2016244722A JP 2016244722 A JP2016244722 A JP 2016244722A JP 6979270 B2 JP6979270 B2 JP 6979270B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- graphite
- thermosetting resin
- resin composition
- heat conductive
- heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
グラファイト一次粒子が3次元的に連続する一体構造をなしているグラファイト焼結体に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなり、少なくともひとつの熱伝導面を有するグラファイト樹脂複合体であって、
前記グラファイト焼結体と前記熱硬化性樹脂組成物との合計量に対する前記グラファイト焼結体の比率が、70体積%以上80体積%以下であり、
前記グラファイト焼結体と前記熱硬化性樹脂組成物との合計量に対する前記熱硬化性樹脂組成物の比率が、20体積%以上30体積%以下であり、
前記熱伝導面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおいて、前記グラファイト一次粒子の(002)面に相当する回折ピーク強度を前記グラファイト一次粒子の(100)面に相当する回折ピーク強度で割った値が、30未満である
ことを特徴とするグラファイト樹脂複合体。
前記熱伝導面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおいて、前記グラファイト一次粒子の(002)面に相当する回折ピーク強度を前記グラファイト一次粒子の(100)面に相当する回折ピーク強度で割った値が、0.01以上25以下である、[1]に記載のグラファイト樹脂複合体。
前記熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する物質及びシアネート基を有する物質の何れか一方又は両方と、水酸基を有する物質及びマレイミド基を有する物質の何れか一方又は両方との組み合わせである、[1]または[2]に記載のグラファイト樹脂複合体。
前記熱硬化性樹脂組成物が、ビスマレイミドトリアジン樹脂である、[3]に記載のグラファイト樹脂複合体。
前記熱硬化性樹脂組成物の示差走査型熱量計で測定される発熱開始温度が、180℃以上300℃以下の範囲であり、且つ硬化率が5%以上60%以下の範囲であり、且つ数平均分子量が450以上4800以下の範囲である、[1]〜[4]のいずれかに記載のグラファイト樹脂複合体。
[1]〜[5]のいずれかに記載のグラファイト樹脂複合体を加工してなり、熱伝導面を両面に有する熱伝導性接着シート。
[6]に記載の熱伝導性接着シートの両面の熱伝導面にそれぞれ接着された二つ以上の電子部材を備えた車載用パワーモジュール構造体。
前記電子部材が、基板用の金属ベース板、ならびに基板を冷却するための放熱板および熱交換用冷却器から選択される一種以上である、[7]に記載の車載用パワーモジュール構造体。
半導体装置である、[7]または[8]に記載の車載用パワーモジュール構造体。
本発明では、グラファイト一次粒子同士が焼結により結合した状態で2個以上集合した状態を、3次元的に連続する一体構造の「グラファイト焼結体」と定義する。さらに、本発明では、グラファイト焼結体と熱硬化性樹脂組成物からなる複合体を「グラファイト樹脂複合体」と定義する。また、グラファイト樹脂複合体をシート状に加工したものを「熱伝導性接着シート」と定義する。
グラファイト樹脂複合体中のグラファイト焼結体は70〜80体積%(熱硬化性樹脂組成物は20〜30体積%)の範囲内であることが好ましく、71〜79体積%であることがより好ましい。グラファイト焼結体の量が70体積%より小さいと熱伝導率の低い熱硬化性樹脂組成物の割合が増えるため、熱伝導率が低下する。グラファイト焼結体の量が80体積%より大きいと、金属板等の電子部材を熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際に、電子部材表面の形状に熱硬化性樹脂組成物が沿うように結合し難くなり、引っ張りせん断接着強さと熱伝導率が低下する可能性がある。セラミックス樹脂複合体中のグラファイト焼結体の割合(体積%)は、以下に示すグラファイト焼結体のかさ密度と気孔率の測定より求めることができる。
グラファイト焼結体かさ密度(D)=質量/体積 ・・・・・(1)
グラファイト焼結体気孔率(%)=(1−(D/グラファイト焼結体真密度))×100=熱硬化性樹脂組成物の割合(%) ・・・・・(2)
グラファイト焼結体の割合(%)=100−熱硬化性樹脂組成物の割合・・・・・(3)
グラファイト焼結体は、例えばコークス、タールピッチをねつ合、成形し最初におよそ1000℃で焼成、次いで約3000℃で黒鉛化することによって得られる。成形方法としてはCIP成形、押出成形、モールド成形がある。
本発明のグラファイト焼結体と熱硬化性樹脂組成物は、例えばグラファイト焼結体に熱硬化性樹脂組成物を含浸させることで、複合化することができる。熱硬化性樹脂組成物の含浸は、真空含浸、1〜300MPa(G)での加圧含浸、又はそれらの組合せの含浸で行うことができる。真空含浸時の圧力は、1000Pa(abs)以下が好ましく、100Pa(abs)以下が更に好ましい。加圧含浸工程では、圧力1MPa(G)未満ではグラファイト焼結体の内部まで熱硬化性樹脂組成物が十分含浸できない可能性があり、300MPa(G)超では設備が大規模になるためコスト的に不利である。グラファイト焼結体の内部に熱硬化性樹脂組成物を容易に含浸させるには、真空含浸及び加圧含浸時に100〜180℃に加熱し、熱硬化性樹脂組成物の粘度を低下させると更に好ましく行うことができる。
本発明のグラファイト樹脂複合体は、少なくとも片面、好ましくは両面に熱伝導面を有し、当該熱伝導面を熱伝導対象に接着するように構成される。この熱伝導面において、グラファイト一次粒子の配向が制御されているところに特徴がある。
熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ基を有する物質及びシアネート基を有する物質の何れか一方又は両方と、水酸基を有する物質及びマレイミド基を有する物質の何れか一方又は両方との組み合わせであることが好ましい。これらの中でも、シアネート基を有する物質とマレイミド基を有する物質の組み合わせがより好ましい。エポキシ基を有する物質としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂(クレゾールのボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等)、フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられ、シアネート基を有する物質としては、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1'−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,3−ビス(2−(4−シアナトフェニル)イソプロピル)ベンゼン等のシアネート樹脂が挙げられ、水酸基を有する物質としては、フェノールノボラック樹脂、4,4'−(ジメチルメチレン)ビス[2−(2−プロペニル)フェノール]等のフェノール類が挙げられ、マレイミド基を有する物質としては、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3'−ジメチル−5,5'−ジエチル−4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4'−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等のマレイミド樹脂が挙げられる。特に好ましくは、得られる特性が優れることに鑑み、熱硬化性樹脂組成物としてビスマレイミドトリアジン樹脂を使用することができる。
グラファイト焼結体と複合化した熱硬化性樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)することでグラファイト樹脂複合体を得ることができる。加熱方式としては、赤外線加熱、熱風循環、オイル加熱方式、ホットプレート加熱方式又はそれらの組み合わせで行うことができる。半硬化は、含浸終了後に含浸装置の加熱機能を利用してそのまま行っても良いし、含浸装置から取り出した後に、熱風循環式コンベア炉等の公知の装置を用いて別途行っても良い。
グラファイト樹脂複合体に含有される熱硬化性樹脂組成物の示差走査型熱量計で測定した発熱開始温度は180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更により好ましい。当該発熱開始温度が180℃より小さいと、真空含浸及び加圧含浸時に熱硬化性樹脂組成物を加熱した際に、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応が進み、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇して、熱硬化性樹脂組成物がグラファイト焼結体の気孔内に含浸することができなくなる。このため、グラファイト樹脂複合体の接着性が低下する。当該発熱開始温度の上限については特に制限は無いが、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際の生産性や装置部品の耐熱性を考慮すると、300℃以下が実際的である。発熱開始温度は、硬化促進剤等により制御することができる。
グラファイト樹脂複合体に含有される熱硬化性樹脂組成物の硬化温度は、180℃以下であるのが好ましく、160℃以下であるのがより好ましい。また当該熱硬化性樹脂組成物の硬化時間は、10〜15時間程度が好ましい。
発熱開始温度とは、熱硬化性樹脂組成物を示差走査型熱量計にて加熱硬化した場合に得られる、横軸に温度(℃)、縦軸に熱流(mW)をとった発熱曲線において、発熱ピークから発熱曲線の立ち上がりへ向かう曲線上の変曲点における接線とベースラインとの交点における温度である。
グラファイト樹脂複合体に含有される熱硬化性樹脂組成物の硬化状態を示す用語である「半硬化(Bステージ)状態」とは、示差走査熱量測定を用いて下記計算式から求められる硬化率が5〜60%の状態をいう。当該硬化率が5%より小さいと、グラファイト樹脂複合体を板状の熱伝導性接着シートに切断する際の熱で、未硬化の状態の熱硬化性樹脂組成物が溶融し厚みのバラツキが発生する。また、グラファイト樹脂複合体が切断の際の衝撃に耐えることができず割れが発生し、シート成形が困難となる。さらには、熱伝導性接着シートを加熱加圧により接着する際に、電子部材表面に熱伝導率の低い接着(熱硬化性樹脂組成物)層が形成され、熱伝導率が低下する。当該硬化率が90%より大きいと、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際に熱硬化性樹脂組成物が溶融しないため、熱伝導性接着シートを接着することができない。グラファイト樹脂複合体中の熱硬化性樹脂組成物の硬化率は好ましくは10〜90%であり、より好ましくは12〜40%であり、更により好ましくは15〜30%である。
硬化率(%)=[(X−Y)/X]×100
X:加熱により硬化を進める前の状態の熱硬化樹脂組成物を、示差走査型熱量計を用いて硬化させた際に生じた熱量。
Y:加熱により、半硬化状態(Bステージ)とした熱硬化性樹脂組成物(硬化率を評価する対象となる熱硬化性樹脂組成物)について、示差走査型熱量計を用いて硬化させた際に生じた熱量。
特定できる。また当該技術分野において、「Cステージ状態」とは、熱硬化性樹脂組成物の硬化がほぼ終了しており、高温に加熱しても再度溶融することはない状態をいう。具体的には、「Bステージ状態」の欄で述べた硬化率が60%を超えている状態をいう。さらに、「Aステージ状態」とは、加熱による硬化が全く進んでいないか又は僅かしか進んでおらず、常温の20℃で液体の状態をいう。具体的には、「Bステージ状態」の欄で述べた硬化率が5.0%より小さい状態をいう。
本発明におけるグラファイト樹脂複合体に含有される熱硬化性樹脂組成物の数平均分子量とは、サイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECと略記する)によって測定されるポリスチレン換算で示される平均分子量である(JIS K 7252−1:2016 3.4.1項 式(1)に準拠)。数平均分子量は、450〜4800の範囲のものが好ましく、500〜4000の範囲のものがより好ましく、550〜3500の範囲のものが更により好ましい。数平均分子量が450より小さいと、グラファイト樹脂複合体を板状の熱伝導性接着シートに切断する際の熱で、熱硬化性樹脂組成物が溶融し厚みのバラツキが発生する。また、グラファイト樹脂複合体が切断の際の衝撃に耐えることができず割れが発生する。さらには、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際に、界面に熱伝導率の低い接着(熱硬化性樹脂組成物)層が形成され、熱伝導率が低下する。数平均分子量が4800より大きいと、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際の熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が高いため、電子部材との接着強さが低下する。また、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際に、電子部材の表面にグラファイト焼結体と熱硬化性樹脂組成物が結合しづらくなるため熱伝導率が低下する。
本発明におけるグラファイト樹脂複合体に含有される熱硬化性樹脂組成物の溶融温度は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、95℃以上であることが更により好ましい。当該溶融温度が70℃より小さいと、グラファイト樹脂複合体を板状の熱伝導性接着シートに切断する際の熱で、熱硬化性樹脂組成物が溶融し厚みのバラツキが発生する。当該溶融温度の上限については、特に制限は無いが、熱伝導性接着シートに加熱加圧により接着する際に、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応の進行による粘度上昇を抑制する必要があることを考えると、溶融温度は180℃以下が実際的であり、典型的には150℃以下であり、より典型的には120℃以下である。本発明の溶融温度は、示差走査熱量測定により熱硬化性樹脂組成物を加熱した際の吸熱ピークの温度である。
本発明の実施形態に係る熱伝導性接着シートは、少なくとも片面に、好ましくは両面に、熱伝導面を有する。この熱伝導面は、例えば熱交換冷却器(ヒートシンク)や放熱板(銅ベースなど)といった熱伝導対象に接着するように構成される。熱伝導面においてグラファイト一次粒子の配向が制御されていることについては上述したとおりである。熱伝導性接着シートの使用態様例については後述する。
熱伝導性接着シートの厚みは、要求特性によって変えることができる。例えば、熱抵抗が重要である場合は、0.1mm〜0.35mmの薄いものを用いることができる。
本発明の実施形態に係る熱伝導性接着シートは、車載用パワーモジュール構造体中に含めることができる。車載用パワーモジュール構造体は、二つ以上の電子部材の接着に、当該熱伝導性接着シートを用いることで製造することができる。二つ以上の電子部材とは、例えば一方の電子部材がアルミ製の熱交換冷却器(ヒートシンク)、他方の電子部材がパワーモジュール底面の銅板(放熱板)である。従来技術においては、放熱シート等のTIM(Thermal Interface Material)をネジ止めで固定することでパワーモジュールの発熱性電子部品の熱を銅製の放熱板から放熱シートを介してアルミ製の冷却器に逃がしているが、本発明の実施形態に係る熱伝導性接着シートは高熱伝導率と共に、接着機能を併せ持つことからネジ止めが不要であり、車載用パワーモジュール構造体の構成部材として好適である。好ましい実施形態においては、車載用パワーモジュール構造体は半導体装置であってよい。
本発明の実施形態に係る車載用パワーモジュール構造体を製造するにあたっては、熱伝導性接着シートを放熱板と熱交換冷却器の間の接着に用いることができる。この接着にあたっては、熱伝導性接着シートに含まれるグラファイト樹脂複合体を加熱することにより、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂を溶融させ、被着体表面の形状に沿うような形状として接着性を発現させ、さらに加熱することにより熱硬化性樹脂を完全に硬化した状態(Cステージ)とし、被着体との間の接着を強固にすることが可能である。より短時間で接着する場合にはCステージ状態に熱硬化性樹脂と塗布し加熱し硬化する方法も可能である。加熱方式としては、赤外線加熱、熱風循環、オイル加熱方式、ホットプレート加熱方式又はそれらの組み合わせで行うことができる。半硬化は、含浸終了後に含浸装置の加熱機能を利用してそのまま行っても良いし、含浸装置から取り出した後に、熱風循環式コンベア炉等の公知の装置を用いて別途行っても良い。なお、被着体に接着するのは熱伝導性接着シートの熱伝導面とするのが好ましい。
グラファイト焼結体として、東海カーボン社製黒鉛(G100(実施例1及び3)、G159(実施例2))を使用した。また熱硬化性樹脂組成物として、ビスマレイミドトリアジン樹脂(三菱ガス化学社製の「BT2160」)を使用した。配合比等を下記表に比較例とまとめて示す。
グラファイト焼結体へ熱硬化性樹脂組成物の含浸を行った。グラファイト焼結体及び熱硬化性樹脂組成物を、真空加温含浸装置(協真エンジニアリング社製の「G−555AT−R」)を用いて、温度145℃、圧力15Pa(abs)の真空中で各々10分間脱気した後、引き続き同装置内で前記の加温真空下でグラファイト焼結体を熱硬化性樹脂組成物中に10分間浸漬した。さらに、加圧加温含浸装置(協真エンジニアリング社製の「HP−4030AA−H45」)を用いて、温度145℃、圧力3.5MPaの加圧下にて120分間含浸し、グラファイト焼結体と熱硬化性樹脂組成物を複合化した。その後、大気圧下、160℃で、下記表に示す時間条件で加熱し、熱硬化性樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)させ、グラファイト樹脂複合体とした。
グラファイト樹脂複合体中のグラファイト焼結体の割合は、先述した方法に従い、グラファイト焼結体のかさ密度及び真密度から求めた。かさ密度は、先述した方法に従い、ノギス(ミツトヨ社製、「CD67−SPS」)及び電子天秤(エー・アンド・デイ社製、「MC−1000」)で測定したグラファイト焼結体の体積(各辺の長さから算出)及び質量から求めた。真密度は、先述した方法に従い、乾式自動密度計(マイクロメリティックス社製、「AccuPyc II 1340」)で求めたグラファイトの体積と質量より求めた。算出結果を下記表に示す。
熱伝導性接着シートの厚みをJIS K 7130:1999のA法に準拠して測定した。測定した熱伝導性接着シートの幅×長さ=50mm×50mmであり、1種類毎に、1枚当たり10箇所、合計10枚測定して平均を算出した。得られた熱伝導性接着シートの厚みについての評価結果を下記表に示す。
本発明において評価対象となる熱伝導率は、熱硬化性樹脂組成物の硬化がほぼ終了してCステージ状態となった熱伝導性接着シートの熱伝導率である。測定器には、日立テクノアンドサービス社製、「樹脂材料熱抵抗測定器」を用いた。得られた熱伝導率の評価結果を下記表に示す。
幅×長さ×厚み=25mm×12.5mm×320μmの熱伝導性接着シートの両面に、幅×長さ×厚み=25mm×100mm×1.0mmの銅板を積層(サンプルサイズ及び積層方法はJIS K 6850:1999 付図.1参照)し、圧力5MPa、加熱温度240℃、加熱時間5時間の条件で、真空加熱プレス機を用いてプレス接着し、せん断接着強さ測定用サンプルを得た。測定装置は、オートグラフ(島津製作所社製の「AG−100kN」)を用い、測定条件は、測定温度25℃、クロスヘッドスピード5.0mm/minにて、JIS K 6850:1999に準拠して測定を実施した。得られた引っ張りせん断接着強さの評価結果を下記表に示す。
熱伝導性接着シートの熱伝導面のX線回折方法として、サンプルを樹脂ホルダーへ固定し、3kW−X線回折装置(ブルカー社製、D8ADVANCE)を用いて、2θ=10〜70°にて測定を行い、(002)面及び(100)面のピーク強度を測定した。
グラファイト焼結体として東海カーボン社製の製品(G535(比較例1)、G348(比較例2))を使用した他は、上記実施例と同様に作成し評価を行った。配合比等を下記表に実施例とまとめて示す。なお比較例2については、樹脂の含浸ができなかったために複合体の作製が不可能であった。この比較例2の結果については、グラファイトの空隙率が小さいために樹脂の含浸ができなかったものと推測される。
Claims (9)
- グラファイト一次粒子が3次元的に連続する一体構造をなしているグラファイト焼結体に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなり、少なくともひとつの熱伝導面を有するグラファイト樹脂複合体であって、
前記熱硬化性樹脂組成物の示差走査型熱量計で測定される溶融温度が、70℃以上180℃以下の範囲であり、
前記熱硬化性樹脂組成物の示差走査型熱量計で測定される発熱開始温度が、180℃以上300℃以下の範囲であり、
前記グラファイト焼結体と前記熱硬化性樹脂組成物との合計量に対する前記グラファイト焼結体の比率が、70体積%以上80体積%以下であり、
前記グラファイト焼結体と前記熱硬化性樹脂組成物との合計量に対する前記熱硬化性樹脂組成物の比率が、20体積%以上30体積%以下であり、
前記熱伝導面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおいて、前記グラファイト一次粒子の(002)面に相当する回折ピーク強度を前記グラファイト一次粒子の(100)面に相当する回折ピーク強度で割った値が、30未満である
ことを特徴とするグラファイト樹脂複合体。 - 前記熱伝導面にX線を照射して得られるX線回折パターンにおいて、前記グラファイト一次粒子の(002)面に相当する回折ピーク強度を前記グラファイト一次粒子の(100)面に相当する回折ピーク強度で割った値が、0.01以上25以下である、請求項1に記載のグラファイト樹脂複合体。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する物質及びシアネート基を有する物質の何れか一方又は両方と、水酸基を有する物質及びマレイミド基を有する物質の何れか一方又は両方との組み合わせである、請求項1または2に記載のグラファイト樹脂複合体。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、ビスマレイミドトリアジン樹脂である、請求項3に記載のグラファイト樹脂複合体。
- 前記熱硬化性樹脂組成物の硬化率が5%以上60%以下の範囲であり、且つ数平均分子量が450以上4800以下の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラファイト樹脂複合体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラファイト樹脂複合体を含み、熱伝導面を両面に有する熱伝導性接着シート。
- 請求項6に記載の熱伝導性接着シートの両面の熱伝導面にそれぞれ接着された二つ以上の電子部材を備えた車載用パワーモジュール構造体。
- 前記電子部材が、基板用の金属ベース板、ならびに基板を冷却するための放熱板および熱交換用冷却器から選択される一種以上である、請求項7に記載の車載用パワーモジュール構造体。
- 請求項7または8に記載の車載用パワーモジュール構造体を含む半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244722A JP6979270B2 (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | グラファイト樹脂複合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244722A JP6979270B2 (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | グラファイト樹脂複合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018095541A JP2018095541A (ja) | 2018-06-21 |
JP6979270B2 true JP6979270B2 (ja) | 2021-12-08 |
Family
ID=62631735
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016244722A Active JP6979270B2 (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | グラファイト樹脂複合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6979270B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4206165A4 (en) * | 2020-09-29 | 2024-02-14 | Denka Company Limited | METHOD FOR EVALUATING THE ADHESION RELIABILITY AND THERMAL RADIATION PERFORMANCE OF A COMPOSITE, AND COMPOSITE |
CN114806079B (zh) * | 2022-01-10 | 2024-03-12 | 三峡大学 | 一种石墨/环氧树脂复合材料的制备方法 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3518109B2 (ja) * | 1994-11-30 | 2004-04-12 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 金属箔張複合セラミックス板及びその製造法 |
DE10060839A1 (de) * | 2000-12-07 | 2002-06-13 | Sgl Carbon Ag | Imprägnierter Körper aus expandiertem Graphit |
JP2003321554A (ja) * | 2002-04-26 | 2003-11-14 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性成形体及びその製造方法 |
US6771502B2 (en) * | 2002-06-28 | 2004-08-03 | Advanced Energy Technology Inc. | Heat sink made from longer and shorter graphite sheets |
JP2005075672A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-03-24 | Seiko Epson Corp | 成形体 |
JP2009049062A (ja) * | 2007-08-14 | 2009-03-05 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 金属ベース回路用基板の製造方法及び金属ベース回路用基板 |
US8085531B2 (en) * | 2009-07-14 | 2011-12-27 | Specialty Minerals (Michigan) Inc. | Anisotropic thermal conduction element and manufacturing method |
JP5855042B2 (ja) * | 2013-03-29 | 2016-02-09 | 三菱電機株式会社 | パワーモジュールの製造方法 |
-
2016
- 2016-12-16 JP JP2016244722A patent/JP6979270B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018095541A (ja) | 2018-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6861697B2 (ja) | セラミックス樹脂複合体 | |
US11034623B2 (en) | Thermal conductive member and heat dissipation structure including the same | |
TW201105577A (en) | Substrate formed by aluminum-graphite composite, heat radiating component using the same and LED luminescent member | |
KR20160042883A (ko) | 질화 붕소-수지 복합체 회로 기판, 질화 붕소-수지 복합체 방열판 일체형 회로 기판 | |
KR102382407B1 (ko) | 전기 회로 장치의 방열 구조 | |
JP2016111171A (ja) | セラミックス樹脂複合体回路基板及びそれを用いたパワー半導体モジュール | |
JP7217391B1 (ja) | 複合体及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 | |
WO2015115649A1 (ja) | 炭化珪素質複合体及びその製造方法並びにそれを用いた放熱部品 | |
JP7550869B2 (ja) | 複合体及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 | |
JP6979270B2 (ja) | グラファイト樹脂複合体 | |
JP2010245400A (ja) | 複合積層板及びその製造方法 | |
TWI491583B (zh) | 鋁-石墨質複合物及其製造方法、使用其之散熱零件及led發光構件 | |
JP4075268B2 (ja) | 回路基板の製造方法 | |
JP7381806B2 (ja) | 積層部品、及びその製造方法、並びに、積層体、及びその製造方法 | |
JP7176159B2 (ja) | 複合シート及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 | |
WO2022209402A1 (ja) | 回路基板の製造方法及び回路基板 | |
JP7451827B2 (ja) | 回路基板の製造方法及び回路基板 | |
JP7148758B1 (ja) | 複合シート及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 | |
JP7165844B2 (ja) | 複合シート及びその製造方法、並びに、積層体及びその製造方法 | |
JP7196367B2 (ja) | 複合シート及びその製造方法、積層体及びその製造方法、並びに、パワーデバイス | |
JP2007335835A (ja) | 配線板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191211 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201014 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201104 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20210104 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210125 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210629 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210824 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211026 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211115 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6979270 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |