JP6978946B2 - ギアードモータおよび排水弁駆動装置 - Google Patents

ギアードモータおよび排水弁駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6978946B2
JP6978946B2 JP2018002328A JP2018002328A JP6978946B2 JP 6978946 B2 JP6978946 B2 JP 6978946B2 JP 2018002328 A JP2018002328 A JP 2018002328A JP 2018002328 A JP2018002328 A JP 2018002328A JP 6978946 B2 JP6978946 B2 JP 6978946B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
speed
train
wheel
rotation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018002328A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019122206A (ja
Inventor
敏臣 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Sankyo Corp
Original Assignee
Nidec Sankyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nidec Sankyo Corp filed Critical Nidec Sankyo Corp
Priority to JP2018002328A priority Critical patent/JP6978946B2/ja
Publication of JP2019122206A publication Critical patent/JP2019122206A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6978946B2 publication Critical patent/JP6978946B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
  • Detail Structures Of Washing Machines And Dryers (AREA)
  • Gear Transmission (AREA)
  • Retarders (AREA)
  • Mechanical Operated Clutches (AREA)

Description

本発明は、モータの駆動力を排水弁に伝達する排水弁駆動装置、および、排水弁駆動部材などの被駆動部材を駆動するギアードモータに関する。
洗濯機等の排水弁をモータの駆動力で動かす排水弁駆動装置として、排水弁に連結される排水弁駆動部材と、排水弁駆動部材を駆動するギアードモータを備えたものがある。特許文献1には、排水弁駆動部材としてレバーを備え、ギアードモータは、モータを駆動源とする伝達輪列(駆動輪列)およびクラッチ機構(第1、第2のクラッチ手段)を備えた排水弁駆動装置が開示されている。特許文献1では、伝達輪列は、ロータの回転をクラッチピニオン、遊星歯車機構、および減速ギア(減速輪列)を介して出力ギア(出力軸)へ伝達する。また、第1のクラッチ手段は、出力ギアの回転位置に応じてクラッチレバーを回転させてクラッチピニオンの爪とロータの爪との噛み合いを継断する。
特許文献1において、第2のクラッチ手段は、遊星歯車機構から減速ギアへモータの回転トルクが伝達される状態と伝達されない状態を切り換える。第2のクラッチ手段は、遊星歯車機構の内歯歯車が形成された第2回転体(リング歯車)と噛み合う増速ギア(増速歯車)と、増速ギアと噛み合うロックギア(クラッチ歯車)と、ロックギアの回転をロックするロックレバーが形成された扇ギア(扇歯車)を備える。扇ギアは、ロータマグネットとの間の磁気誘導により回転する誘導回転体と噛み合っている。
特許文献1では、起動時にモータに通電すると、ロータおよび誘導回転体が回転し、扇ギアがばねの付勢力に逆らって回転する。これにより、ロックレバーによってロックギアがロックされるので、ロックギアおよび増速ギアの回転が規制されて、増速ギアと噛み合う遊星歯車機構の第2回転体の回転が規制される。その結果、遊星歯車機構は、ロータピニオンの回転を減速ギアへ伝達する状態に切り換わるので、モータの回転が減速ギアを介して出力ギアへ伝達され、排水弁駆動部材が駆動される。
出力ギアが所定の位置まで回転したとき、第1のクラッチ手段は、クラッチピニオンの爪がロータの爪と噛み合わなくなり、且つ、クラッチピニオンの係合部がクラッチレバーと係合してクラッチピニオンがロックされる。従って、伝達輪列がロックされ、排水弁駆動部材が外力で動かないように保持された負荷保持状態となる。
負荷保持状態でモータへの通電を切ると、第2のクラッチ手段は、誘導回転体が磁気誘導によって保持されなくなるので、ばねの付勢力によってロックレバーがロックギアから退避する。その結果、ロックギアと増速ギアの回転規制が解除され、遊星歯車機構の第2回転体の回転規制も解除されるので、ロックギア、増速ギア、および第2回転体が空転可能となる。従って、クラッチピニオンの回転がロックされていても、第2回転体が空転可能であるために、伝達輪列は、遊星歯車機構の第3回転体、減速ギア、および出力ギアが空転可能となる。よって、排水弁駆動部材に外力が加わると、出力ギア、減速ギア、および第3回転体が空転し、第2回転体、増速ギアおよびロックギアも空転して、排水弁駆動部材を動かすことができる状態(負荷開放状態)となる。
特開2002−242951号公報
特許文献1では、上記のように、排水弁駆動部材をモータの駆動力によって駆動する際は、クラッチピニオン、遊星歯車機構(第1回転体、第3回転体)、減速ギア、出力ギアの順に第1の経路で回転が伝達される。このとき、第2のクラッチ手段は、ロックギアと増速ギアの回転が規制されている。一方、外力によって排水弁駆動部材を動かすことができる負荷開放状態では、出力ギア、減速ギア、遊星歯車機構(第3回転体、第2回転体)の順に第1の経路とは逆行する第2の経路で回転が伝達され、モータ側へは回転トルクを伝達せずに増速ギアとロックギアが空転する。
この種の排水弁駆動装置では、伝達輪列およびクラッチ機構を構成する輪列に大きな回転トルクが加わるため、これらの輪列を構成する歯車は、バックラッシを小さくした設計となっている。そのため、噛み合う歯の間の隙間が小さくなっているので、ギアードモータの組立工程や、組立後の装置の輸送中、動作中において歯車間に異物が混入すると、歯車間の隙間に異物が噛み込んで輪列がロックするおそれがある。特に、減速ギアを含む減速輪列(伝達輪列)だけでなく、増速ギアを含む増速輪列(第2のクラッチ手段)を空転させて外力によって排水弁駆動部材を駆動するときに異物の噛み込みが発生し、歯車がロックすることが確認されている。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、減速輪列を備えた伝達輪列による回転トルクの伝達が増速輪列を備えたクラッチ機構によって継断されるギアードモータにおいて、異物の噛み込みによる動作不良を抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明のギアードモータは、モータと、被駆動部材が連結される出力ギアを含む伝達輪列と、前記伝達輪列が前記モータの回転を前記被駆動部材へ伝達する第1の状態と、前記伝達輪列が前記モータの回転を前記被駆動部材へ伝達しない第2の状態とを切り換えるクラッチ機構と、を有し、前記伝達輪列は減速輪列を備え、前記クラッチ機構は、前記伝達輪列を構成する歯車の1つと噛み合う増速輪列を備え、前記増速輪列を構成する歯車のモジュールは、前記減速輪列を構成する歯車のモジュールより大きいことを特徴とする。
本発明は、このように、出力ギアを含む伝達輪列が減速輪列を含んでおり、クラッチ機構は、伝達輪列の歯車と噛み合う増速輪列を含んでいるギアードモータにおいて、クラッチ機構の歯車(増速輪列)のモジュールを、伝達輪列の歯車(減速輪列)のモジュールより大きくしている。これにより、異物の噛み込みが発生する増速輪列において、歯と歯の隙間を拡げることができ、異物が通り抜けるスペースを確保することができる。従って、異物の噛み込みを少なくすることができ、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。よって、異物の噛み込みによる動作不良を抑制できる。
本発明において、前記増速輪列を構成する歯車は、頂げき係数が0.25より大きいことが好ましい。このようにすると、歯先と歯底との隙間(頂げき)を確保できるため、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。
本発明において、前記増速輪列および前記減速輪列は、標準平歯車によって構成されることが好ましい。このようにすると、モジュールの変更により歯と歯の隙間を拡げることができ、異物が通り抜けるスペースを確保することができる。従って、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。
本発明において、前記第1の状態は、前記増速輪列の回転が規制され、且つ、前記モー
タの回転に基づいて前記減速輪列が回転する状態であり、前記第2の状態は、前記減速輪列および前記増速輪列が空転する状態であることが好ましい。このようにすると、第1の状態では、モータの駆動力によって被駆動部材を動かすことができる。また、第2の状態では、減速輪列および増速輪列を空転させて、外力によって被駆動部材を動かすことができる。従って、外力によって被駆動部材を動かす動作の際に、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。
本発明において、前記伝達輪列は遊星歯車機構を備え、前記遊星歯車機構は、遊星歯車、前記遊星歯車と噛み合う太陽歯車を備えた第1回転体、前記遊星歯車と噛み合う内歯歯車を備えた第2回転体、および、前記遊星歯車を支持する第3回転体を備え、前記増速輪列は、前記第2回転体と噛み合う増速ギア、および、前記増速ギアと噛み合うロックギアを備え、前記減速輪列は、前記出力ギアを噛み合う減速ギアを備え、前記増速ギアのモジュールは、前記減速ギアのモジュールより大きいことが好ましい。このようにすると、増速ギアとロックギアの間、および、増速ギアと遊星歯車機構との間で歯と歯の隙間を拡げることができ、異物が通り抜けるスペースを確保することができる。従って、増速輪列に異物が噛み込んでロックするおそれを少なくすることができる。
上記課題を解決するために、本発明の排水弁駆動装置は、上記のギアードモータと、前記出力ギアの回転に基づいて駆動される排水弁駆動部材と、を有することを特徴とする。これにより、異物の噛み込みによってギアードモータの歯車がロックするおそれを少なくすることができる。従って、排水弁駆動装置の動作不良を抑制できる。
本発明によれば、出力ギアを含む伝達輪列が減速輪列を含んでおり、クラッチ機構は、伝達輪列の歯車と噛み合う増速輪列を含んでいるギアードモータにおいて、クラッチ機構の歯車(増速輪列)のモジュールを、伝達輪列の歯車(減速輪列)のモジュールより大きくしている。これにより、異物の噛み込みが発生する増速輪列において、歯と歯の隙間を拡げることができ、異物が通り抜けるスペースを確保することができる。従って、異物の噛み込みを少なくすることができ、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。よって、異物の噛み込みによる動作不良を抑制できる。
本発明を適用したギアードモータを備えた排水弁駆動装置の斜視図である。 図1の排水弁駆動装置の分解斜視図である。 第2ケースを取り外したギアードモータの平面図である。 ギアユニットの歯車の軸を繋ぐ断面を示した輪列展開図である。 モータおよびギアユニットを+Z方向側から見た分解斜視図である。 ギアユニットを−Z方向側から見た分解斜視図である。 第2クラッチ機構および遊星歯車機構の輪列展開図である。 増速ギアとロックギアとの噛み合い部の説明図である。 増速ギアと遊星歯車機構との噛み合い部の説明図である。 増速輪列における噛み合い部のクリアランス、モジュールの一覧表である。
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係るギアードモータ2および排水弁駆動装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明を適用したギアードモータ2を備えた排水弁駆動装置1の斜視図であり、図2は図1の排水弁駆動装置1の分解斜視図である。排水弁駆動装置1は、図示しない排水弁を駆動するための排水弁駆動部材であるレバー10と、レバー10を回転させて排水弁を開閉するギアードモータ2を備える。レバー10は、Z方
向に延在する回転軸線Lを中心として回転する。本明細書において、Z方向の一方側を+Z方向、他方側を−Z方向とする。また、CW方向、CCW方向は排水弁駆動装置1を+Z方向側から見た場合のCW方向、CCW方向である。
ギアードモータ2は、ケース20と、ケース20に収容されるギアユニット3およびモータ40を備える。モータ40の回転は、ギアユニット3を介してレバー10に伝達される。ケース20は、第1ケース21および第2ケース22を備えており、第1ケース21の底部にモータ40が収容される。モータ40のZ方向の一方側(+Z方向)にギアユニット3が配置され、ギアユニット3を覆うように第2ケース22が第1ケース21に組み付けられている。
レバー10は、出力ギア54の+Z方向の端部に設けられたセレーション部13に取り付けられ、出力ギア54と一体に回転する。セレーション部13は、第2ケース22に形成された開口部23(図4参照)に配置される。レバー10は、回転軸線Lを中心として径方向外側へ延びる腕部11と、腕部11の先端に設けられた排水弁連結部12を備える。レバー10が第1の回転位置(閉位置)に位置すると、排水弁連結部12に図示しないワイヤー等を介して連結された排水弁によって排水口が閉鎖される。レバー10が第1の回転位置とは異なる第2の回転位置(開位置)に移動すると、排水弁が排水口から離れて排水が開始される。
排水弁駆動装置1は、レバー10が第2の回転位置(開位置)に位置する状態で、駆動源であるモータ40への通電を継続して、レバー10を保持する。また、排水弁駆動装置1は、モータ40への通電を停止してレバー10の保持状態を解除すると、外力によりレバー10を第1の回転位置(閉位置)へ戻すことができるようになる。例えば、排水弁の弁体に連結されたばね力等の付勢力によってレバー10が第1の回転位置へ戻り、排水弁によって排水口が閉鎖される。
図3は第2ケース22を取り外したギアードモータ2の平面図である。また、図4はギアユニット3の歯車の軸を繋ぐ断面を示した輪列展開図である。図3、図4において、ギアユニット3の歯車の軸(回転中心軸線)を符号C、D、E、F、G、H、Oで示す。これらの軸はZ方向を向いている。ギアユニット3は、モータ40の回転をレバー10に伝達する伝達輪列50と、モータ40から伝達輪列50への回転トルクの伝達を継断する第1クラッチ機構60と、レバー10に外部負荷が加わった場合に伝達輪列50の回転を規制してレバー10を保持する回転規制機構70と、伝達輪列50が回転トルクを伝達する状態と伝達しない状態とを切り換える第2クラッチ機構80を備える。
(モータ)
図5は、モータ40およびギアユニット3を+Z方向側から見た分解斜視図である。モータ40は、AC同期モータである。図4、図5に示すように、モータ40は、カップ状のモータケース41と、モータケース41の+Z方向側の端部に取り付けられる支持プレート42と、モータケース41の内側に配置されるボビン43と、ボビン43に巻回されるステータコイル44と、ボビン43の内周側に配置されるロータ45を備える。ロータ45は、支持プレート42の中央に開口する中央穴に配置されている。
モータケース41および支持プレート42は磁性板からなる。支持プレート42には、ロータ45が配置される中央穴の縁から−Z方向に屈曲して延びる極歯が形成されている。また、モータケース41には、モータケース41の底部を切り起こして+Z方向に屈曲させた極歯が形成されている。支持プレート42に設けられた極歯とモータケース41から切り起こされた極歯は周方向に交互に配列され、マグネット451の外周面と径方向に対向する。すなわち、モータケース41および支持プレート42はステータコアを兼ねて
いる。また、支持プレート42には、伝達輪列50を構成する複数の歯車を回転可能に支持する固定軸の−Z方向の端部が圧入される。固定軸の+Z方向の端部は、第2ケース22に設けられた凹部に圧入等によって固定される。
図4に示すように、ロータ45は、略円筒状のマグネット451と、マグネット451の内周側に配置される軸部452を備える。ロータ45は、固定軸453によって回転可能に支持される。ロータ45の回転中心軸線はO軸であり、固定軸453はO軸を中心としてZ方向に延在する。ロータ45は、フェライト磁石等からなるマグネット451を軸部452の−Z方向の端部にインサート成形して形成される。
マグネット451と軸部452との間には誘導回転体46が配置される。誘導回転体46は、アルミニウムや銅等の非磁性金属からなる誘導リング461を樹脂部材である軸部にインサート成形したものである。モータ40に通電しロータ45が回転すると、マグネット451と誘導リング461との間に渦電流が発生し、渦電流により磁束が生じてマグネット451に対する誘導回転体46の相対回転を妨げるブレーキ力が発生する。誘導回転体46とロータ45は、このブレーキ力(渦電流によるブレーキ力)によって共回りするように結合される。図5に示すように、誘導回転体46の上端部は、マグネット451の+Z方向側に突出しており、この突出部の外周面にロータギア47が形成されている。ロータギア47は、ロータ45の回転を第2クラッチ機構80に伝達する歯車である。
(伝達輪列)
図6は、ギアユニット3を−Z方向側から見た分解斜視図である。図3〜図6に示すように、伝達輪列50は、ロータピニオン51、遊星歯車機構52、減速ギア53、および出力ギア54を備える。ロータピニオン51の回転中心軸線はO軸であり、遊星歯車機構52の回転中心軸線はE軸であり、減速ギア53の回転中心軸線はD軸であり、出力ギア54の回転中心軸線はC軸である。伝達輪列50は、モータ40の駆動力をこの順でレバー10へ伝達する。
ロータピニオン51は樹脂により形成され、ロータ45の固定軸453によって回転可能かつ軸線方向(すなわち、Z方向)に移動可能に支持される。ロータピニオン51とロータ45との間には第1クラッチ機構60が設けられている。第1クラッチ機構60の継断状態を切り換えることにより、ロータピニオン51がロータ45と一体に回転する状態(クラッチ接続状態)と、ロータピニオン51がロータ45と一体に回転しない状態(クラッチ切断状態)に切り換えられる。
図4〜図6に示すように、遊星歯車機構52は、太陽歯車521が形成された第1回転体522と、内歯歯車523が形成された第2回転体524と、太陽歯車521および内歯歯車523と噛み合う複数の遊星歯車525と、複数の遊星歯車525を回転可能に保持する第3回転体526を備える。第1回転体522は、ロータピニオン51と噛み合う大径歯車部527を備える。すなわち、大径歯車部527は、ロータピニオン51の回転が入力される入力歯車となっている。また、第2回転体524の外周面には、第2クラッチ機構80の増速ギア85と噛み合う大径歯車部528が形成されている。
排水弁駆動装置1の起動時には、第2クラッチ機構80の増速ギア85の回転が規制されるので、第2回転体524の回転が増速ギア85によって規制される。その結果、太陽歯車521が形成された第1回転体522の回転に基づき、遊星キャリアである第3回転体526が回転する。第3回転体526の−Z方向の端部には、減速ギア53の大径歯車部531と噛み合う小径歯車部529が形成されている。従って、ロータピニオン51の回転が遊星歯車機構52から減速ギア53へ伝達され、減速ギア53にモータ40の回転トルクが伝達される。また、外力によってレバー10を回転させるときには、第2クラッ
チ機構80は、増速ギア85の回転が規制される状態から、増速ギア85が空回りする状態に切り換えられる。その結果、遊星歯車機構52は、遊星歯車525が公転しようとしても、内歯歯車523が形成された第2回転体524が空回りするため、遊星キャリアである第3回転体526が回転することはない。従って、伝達輪列50は、減速ギア53にモータ40の回転トルクが伝達されない状態となる。
伝達輪列50において、遊星歯車機構52は、ロータピニオン51より大径の大径歯車部527がロータピニオン51と噛み合っており、これによりロータ45の回転は減速されて遊星歯車機構52へ入力される。そして、遊星歯車機構52の内部においてさらに回転が減速されて減速ギア53へ入力される。減速ギア53は、遊星歯車機構52の小径歯車部529と噛み合う大径歯車部531、および、出力ギア54と噛み合う小径歯車部532を備えた複合歯車である。従って、減速ギア53においてさらに回転が減速されて出力ギア54へ伝達される。従って、伝達輪列50は減速輪列を構成している。
(第1クラッチ機構)
図5、図6に示すように、第1クラッチ機構60は、ロータピニオン51の−Z方向の端面に形成された第1クラッチ爪61と、ロータ45の軸部452に形成された第2クラッチ爪62と、軸部452から離間する方向(本形態では、+Z方向)にロータピニオン51を付勢するコイルばね63(図4参照)と、ロータピニオン51をロータ45側(−Z方向)に押し下げて第1クラッチ機構60の継断を切り換える扇型のクラッチ切換レバー64を備える。クラッチ切換レバー64は、減速ギア53の+Z方向側に配置され、減速ギア53を回転可能に支持する固定軸533によって回転可能に支持される。
クラッチ切換レバー64には、−Z方向に突出するカムピン65および傾斜カム67が形成されている。カムピン65はクラッチ切換レバー64の出力ギア54側の縁に形成され、出力ギア54の+Z方向の端面に形成されたカム溝66に挿入される。傾斜カム67は、クラッチ切換レバー64を貫通する円弧溝68の縁に沿って形成されている。傾斜カム67はロータピニオン51を−Z方向に移動させるカム部であり、周方向に延在する傾斜面671と、傾斜面671の遊星歯車機構52側(CCW方向)において周方向に延在するカム面672を備える。カム面672は、クラッチ切換レバー64の回転軸線方向(Z方向)に対して垂直な水平面である。
クラッチ切換レバー64の円弧溝68には、ロータ45の固定軸453が挿通される。クラッチ切換レバー64が固定軸533を中心として回転すると、固定軸453は円弧溝68内を周方向に移動する。図6に示すように、傾斜カム67は円弧溝68の遊星歯車機構52側(CCW方向)の端部側に形成されている。また、円弧溝68の出力ギア54側(CW方向)の端部には、−Z方向に突出するロック突起69が形成されている。後述するように、ロック突起69は、ロータピニオン51の回転を規制することによって間接的に遊星歯車機構52をロックするための回転規制機構70を構成する。
クラッチ切換レバー64が出力ギア54側に回転すると、固定軸453と、固定軸453に取り付けられたロータピニオン51は、円弧溝68に沿ってカム面672側へ相対移動する。その際、傾斜カム67の傾斜面671により、ロータピニオン51が軸部452側(−Z方向側)に押し下げられる。これにより、第1クラッチ爪61と第2クラッチ爪62とが係合し、第1クラッチ機構60は、ロータピニオン51が軸部452と一体回転するクラッチ接続状態に切り換わる。一方、クラッチ切換レバー64が遊星歯車機構52側に回転すると、傾斜カム67がロータピニオン51と重なる位置から退避するので、コイルばね63の付勢力によってロータピニオン51が+Z方向に押し上げられる。これにより、第1クラッチ爪61と第2クラッチ爪62との係合が解除され、第1クラッチ機構60はクラッチ切断状態に切り換わる。
クラッチ切換レバー64は、出力ギア54の回転に連動して回転する。すなわち、クラッチ切換レバー64は、カムピン65およびカム溝66を介して、出力ギア54のCW方向の回転に連動して出力ギア54側に回転する。これにより、クラッチ接続動作が行われる。また、出力ギア54がCCW方向に回転する際には、出力ギア54から+Z方向に突出する突起55がクラッチ切換レバー64を押圧して遊星歯車機構52側に回転させる。これにより、クラッチ切断動作が開始される。
排水弁駆動装置1は、出力ギア54をCCW方向に回転させて排水を開始させるが、出力ギア54の突起55の位置は、出力ギア54が所定の回転位置に到達するとクラッチ切換レバー64を押圧して遊星歯車機構52側に回転させるように設定されている。このため、レバー10が上述した第2の回転位置(開位置)へ移動すると、上述したクラッチ切断動作が行われる。これにより、モータ40の駆動力がロータピニオン51に伝達されない状態となり、伝達輪列50の動作が停止する。従って、レバー10が第2の回転位置を超えて回転しないようにすることができ、レバー10の過度な回転を防止できる。
(第2クラッチ機構)
第2クラッチ機構80は、ロータ45の回転時にロータ45と共回りする誘導回転体46に形成されたロータギア47と、ロータギア47と噛み合う扇ギア82およびロックレバー83が形成された回転部材81と、ロックギア84と、増速ギア85と、ねじりコイルばね86を備える。第2クラッチ機構80は、モータ40の駆動力およびねじりコイルばね86の付勢力によってロックレバー83を駆動して、ロックギア84および増速ギア85の回転を規制する状態と規制しない状態を切り換える。これにより、上記のように、伝達輪列50が駆動力を伝達する状態と伝達しない状態とを切り換えることができる。
図7は、第2クラッチ機構80および遊星歯車機構52の輪列展開図であり、図4のE軸、F軸、G軸、およびH軸の範囲の部分拡大図である。図3、図4、図7に示すように、回転部材81の回転中心軸線はH軸であり、ロックギア84の回転中心軸線はG軸であり、増速ギア85の回転中心軸線はF軸である。ロータ45が正転方向(CW方向)に回転すると、ロータギア47と噛み合う扇ギア82にロータ45の回転が入力される。扇ギア82は、ロータ45の回転方向と逆方向(CCW方向)に回転する。図3、図5に示すように、扇ギア82は、付勢部材であるねじりコイルばね86によってロータ45の回転方向と同一方向(CW方向)に付勢されている。従って、扇ギア82は、ねじりコイルばね86の付勢力に逆らってCCW方向に回転する。
ロックレバー83は、扇ギア82と同一方向(CCW方向)に回転する。図6、図7に示すように、ロックギア84は、外周面に複数の突起部841が等角度間隔で形成された大径部842と、大径部842よりも小径の小径歯車部843を備える。扇ギア82がCCW方向に回転すると、ロックレバー83はCCW方向に回転してロックギア84の大径部842の外周面に接触する。その結果、ロックレバー83と突起部841とが係合してロックギア84の回転が規制される。回転規制時には、ロックレバー83の先端と突起部841とがロックギア84の外周面の接線方向に当接する。
第2クラッチ機構80は、ロックレバー83がロックギア84の回転を規制するロック状態を形成して、増速ギア85の回転を規制する。図5、図7に示すように、増速ギア85は、大径歯車部851および小径歯車部852を備えた複合歯車である。増速ギア85は、大径歯車部851がロックギア84の小径歯車部843と噛み合っており、小径歯車部852は、第2回転体524に形成された大径歯車部528と噛み合う。従って、増速ギア85を介して、第2回転体524の回転が規制される。これにより、伝達輪列50はモータ40の駆動力を出力ギア54へ伝達する状態に切り換わる。
また、第2クラッチ機構80は、ロックレバー83がロックギア84の突起部841と係合すると、ロックレバー83および扇ギア82の回転が規制され、扇ギア82と噛み合っているロータギア47を備える誘導回転体46の回転が規制される。その結果、ロータ45と誘導回転体46の相対回転速度は増大する。第2クラッチ機構80は、誘導回転体46とマグネット451との間に生じる渦電流によるブレーキ力により、外力などによって増速ギア85側からロックギア84に回転力が加わった場合に、その回転力によってロックギア84とロックレバー83との係合が外れないように保持する。従って、ロックレバー83の回転を規制するロック状態を保持できる。
第2クラッチ機構80は、ロックギア84をロックレバー83でロックしている状態でモータ40への通電が停止されると、ロックギア84のロック状態が解除されて空転可能な状態に切り換わる。すなわち、ロータ45の回転が停止すると、誘導回転体46とマグネット451との間に作用していたブレーキ力が消滅する。従って、ロータギア47は、扇ギア82をねじりコイルばね86の付勢力に逆らって保持できなくなり、扇ギア82がねじりコイルばね86による付勢方向に回転する。扇ギア82の回転により、ロックレバー83がロックギア84から離れるため、ロックギア84のロック状態が解除される。これにより、第2クラッチ機構80は、ロックギア84および増速ギア85が空転可能な状態に切り換わる。
第2クラッチ機構80の増速ギア85が空転可能な状態に切り換わると、伝達輪列50においては、上述したように、減速ギア53と噛み合う第3回転体526の回転に伴って第2回転体524が空転し、減速ギア53にモータ40の回転トルクが伝達されない状態となる。また、このとき、増速ギア85およびロックギア84が空転する。従って、レバー10に加わる外部負荷が遊星歯車機構52、増速ギア85、およびロックギア84の空転によってモータ40側へ伝達されない負荷開放状態となる。
第2クラッチ機構80において、増速ギア85とロックギア84が空転する際、増速ギア85は、遊星歯車機構52の第2回転体524と噛み合う入力部が第2回転体524の大径歯車部528より歯数の少ない小径歯車部852であり、ロックギア84と噛み合う出力部がロックギア84の小径歯車部843より歯数の多い大径歯車部851である。従って、第2クラッチ機構80は、第2回転体524と増速ギア85の間、および、増速ギア85とロックギア84の間で回転が増速される増速輪列を構成している。
(回転規制機構)
図5に示すように、ロータピニオン51は、外周面に歯部が形成された歯車部511と、歯車部511の+Z方向の端面から突出する軸部512と、軸部512の外周面から径方向外側へ突出する被ロック突起71を備える。回転規制機構70は、クラッチ切換レバー64の円弧溝68のCW方向の端部に形成されたロック突起69を被ロック突起71と係合させることによってロータピニオン51の回転を規制する。ロータピニオン51は第1回転体522の大径歯車部527と噛み合っている。従って、回転規制機構70は、間接的に第1回転体522の回転を規制する。
排水弁駆動装置1は、レバー10が第2の回転位置(開位置)へ移動するまで出力ギア54が回転したときに、出力ギア54の突起55によってクラッチ切換レバー64を遊星歯車機構52側へ押圧する。これにより、クラッチ切断動作が行われるとともに、ロック突起69と被ロック突起71とが係合して、ロータピニオン51と第1回転体522の回転が規制される。ここで、遊星歯車機構52は、排水弁駆動装置1の起動時には、第2クラッチ機構80により、第2回転体524の回転を増速ギア85によって規制しているため、回転規制機構70によって第1回転体522の回転が規制されると、減速ギア53と
噛み合う第3回転体526の回転も規制され、ロック状態となる。従って、レバー10に外力が加わり、出力ギア54側から伝達輪列50に回転トルクが加えられても回転トルクが伝達されない状態となり、レバー10を第2の回転位置で保持する負荷保持状態が形成される。
負荷保持状態でモータ40への通電を切ると、上述したように、第2クラッチ機構80が第2回転体524の回転を規制しなくなるので、遊星歯車機構52のロック状態が解除される。すなわち、第1回転体522の回転が規制されていても、減速ギア53の回転に基づき、第2回転体524と第3回転体526が空転可能な負荷開放状態となる。
回転規制機構70は、外力によりレバー10を回転可能な負荷開放状態に切り換わってレバー10が回転するとき、出力ギア54の回転に伴ってクラッチ切換レバー64が出力ギア54側(CW方向)に回転すると、ロック突起69から被ロック突起71が離れる。これにより、回転規制機構70によるロータピニオン51および第1回転体522の回転規制が解除される。また、このとき、傾斜カム67によってロータピニオン51が押し下げられるので、第1クラッチ機構60のクラッチ接続動作が行われる。
(排水弁駆動装置の動作:起動時の動作)
以下、排水弁駆動装置1の動作について説明する。起動時には、レバー10が排水弁を閉じる位置(第1の回転位置)まで回転しているものとする。この状態でモータ40への通電を開始すると、ロータ45が回転を開始する。この際、図示しない逆転防止機構により、ロータ45の逆転方向への回転が規制されるので、ロータ45は正転方向へ回転する。
次に、ロータ45の正転方向の回転により、第2クラッチ機構80がロックギア84をロックする状態に切り換わる。まず、ロータ45の回転により、ロータギア47と噛み合う扇ギア82がねじりコイルばね86の付勢力に逆らって回転し、ロックレバー83がロックギア84と当接して突起部841と係合し、ロックギア84をロックする。これにより、伝達輪列50は回転トルクを伝達する状態に切り換わる。すなわち、伝達輪列50においては、遊星歯車機構52の第2回転体524の回転が第2クラッチ機構80の増速ギア85によって規制され、ロータピニオン51の回転が遊星歯車機構52から減速ギア53へ伝達される状態に切り換わる。従って、ロータ45の正転方向の回転により、レバー10が排水弁を開放する方向へ回転する。
(負荷保持状態を形成する際の動作)
排水弁駆動装置1は、レバー10が第2の回転位置まで回転すると、第1クラッチ機構60のクラッチ切換レバー64が回転してクラッチ切断動作が行われ、伝達輪列50にロータ45の回転が入力されなくなる。従って、レバー10は第2の回転位置を超えて回転することはない。また、クラッチ切換レバー64の回転により、回転規制機構70のロック突起69がロータピニオン51の被ロック突起71と係合するので、ロータピニオン51と噛み合う遊星歯車機構52の第1回転体522の回転が規制される。従って、遊星歯車機構52は、第1回転体522と第2回転体524の回転が規制されたロック状態となり、伝達輪列50は回転トルクを伝達できなくなる。その結果、レバー10を回転させようとする外力が加えられてもレバー10が回転しない負荷保持状態となる。これにより、排水弁が開状態で保持される。
(負荷開放時の動作)
排水弁駆動装置1は、負荷保持状態でモータ40への通電を切ると、レバー10を外力で回転させることが可能な負荷開放状態に移行する。すなわち、モータ40への通電を切ると、ロータ45の回転が停止する。第2クラッチ機構80は、ロータ45の回転停止に
よってロータ45と誘導回転体46とを共回りさせる磁気誘導力が消失するので、ロータギア47と噛み合う扇ギア82は、ねじりコイルばね86の付勢方向に戻る。その結果、ロックレバー83とロックギア84との係合が解除され、ロックギア84および増速ギア85の回転規制が解除される。これにより、伝達輪列50は回転トルクを伝達しない状態に切り換わる。すなわち、伝達輪列50の遊星歯車機構52において第2回転体524の回転規制が解除されるので、遊星歯車機構52のロックが解除される。これにより、伝達輪列50が空転可能な負荷開放状態となる。この状態で、レバー10を回転させようとする外力が加わると、伝達輪列50が空転してレバー10が回転する。また、このとき、遊星歯車機構52の第2回転体524と噛み合う増速ギア85およびロックギア84も空転する。
本形態では、ロックギア84にはブレーキゴム87が組み込まれている。ブレーキゴム87は、外力によりレバー10を回転させるときに遠心力により拡がってロックギア84との間に摩擦力を発生させる。これにより、レバー10を回転させる際の回転速度が低下する。よって、外力によってレバー10が急激に回転することによる破損のおそれを少なくすることができる。
レバー10が最大回転位置に到達する手前の所定位置まで回転すると、出力ギア54のCW方向の回転に基づいてクラッチ接続動作が始まる。すなわち、出力ギア54に形成されたカム溝66とクラッチ切換レバー64に設けられたカムピン65により、クラッチ切換レバー64が出力ギア54側に回転してクラッチ接続動作が行われる。これにより、伝達輪列50にロータ45の回転が入力される状態に戻る。また、このクラッチ切換レバー64の回転により、回転規制機構70による遊星歯車機構52の第1回転体522のロックが解除される。従って、伝達輪列50は回転トルクを伝達可能な状態に戻る。
(歯車形状)
排水弁駆動装置1において、モータ40の駆動力によってレバー10を回転させる第1の状態では、伝達輪列50は、第1の経路で回転を伝達する。すなわち、第1の状態では、伝達輪列50は、ロータピニオン51、遊星歯車機構52(第1回転体522、第3回転体526)、減速ギア53、および出力ギア54の順でモータ40の回転を減速して伝達する。また、第1の状態では、第2クラッチ機構80はロックギア84と増速ギア85の回転が規制されており、伝達輪列50(減速輪列)のみが回転する。
一方、外力によりレバー10を回転させることが可能な第2の状態(負荷開放状態)では、伝達輪列50および第2クラッチ機構80は、第2の経路で回転を伝達する。すなわち、第2の状態では、レバー10に加わる外力によって、出力ギア54、減速ギア53、遊星歯車機構52(第3回転体526)がモータ40による回転時とは逆行する方向に回転を伝達する。また、このとき、遊星歯車機構52は第1回転体522がロックされてモータ40側へ回転トルクが伝達されない状態となっているため、第2回転体524が空転し、第2クラッチ機構80は、第2回転体524と噛み合う増速ギア85とロックギア84が空転する。つまり、第2の状態では、伝達輪列50(減速輪列)が空転するとともに、第2回転体524、増速ギア85、およびロックギア84によって構成される増速輪列が空転する。
本形態では、ギアユニット3を構成する歯車が異物の噛み込みによってロックするおそれを少なくするため、第2回転体524、増速ギア85、およびロックギア84によって構成される増速輪列の歯車のモジュールをMAとし、第3回転体526、減速ギア53、および出力ギア54によって構成される減速輪列の歯車のモジュールをMBとしたとき、MA>MBの条件を満たすように、ギアユニット3を構成する。なお、ギアユニット3において、上記の増速輪列と減速輪列を構成する歯車は、全て標準平歯車である。また、本
明細書において、歯車のモジュールMの定義は、歯車のピッチ円直径dを歯数nで除した値(M=d/n)である。
MA>MBの条件を満たす構成を採用した理由は、本形態のような減速輪列(伝達輪列50)と増速輪列(第2クラッチ機構80)を備えた排水弁駆動装置1において、減速輪列と増速輪列で歯車のモジュールを同程度としていた場合に、モータ40の駆動力によってレバー10を回転させる第1の状態より、外力によりレバー10が回転する第2の状態(負荷開放状態)において、異物の噛み込みが多く発生したためである。つまり、異物の噛み込みが多く発生するのは、増速輪列が回転しているときである。従って、本形態では、増速輪列での異物の噛み込みを抑制することによって、排水弁駆動装置1におけるギアユニット3の異物の噛み込みを抑制する構造を採用した。そのため、減速輪列の歯車のモジュールMBについては変更せず、増速輪列の歯車のモジュールMAを、減速輪列の歯車のモジュールMBより大きくした。
(実施例)
図8、図9、図10は、本形態にかかる一実施例を説明する図である。図8、図9は、増速輪列における歯車の噛み合い部の説明図である。図8は、増速ギア85とロックギア84との噛み合い部の説明図であり、増速ギア85の大径歯車部851とロックギア84の小径歯車部843とが噛み合っている箇所(図7の領域B1)を軸線方向から見た説明図である。また、図9は、増速ギア85と遊星歯車機構52(第2回転体524)との噛み合い部の説明図であり、増速ギア85の小径歯車部852と第2回転体524の大径歯車部528とが噛み合っている箇所(図7の領域B2)を軸線方向から見た説明図である。図8、図9において、(a)は従来品の形状であり、(b)は本形態で採用した形状である。図8、図9から明らかなように、実施例では、増速輪列の噛み合い部において、噛み合う歯の一方の歯先と他方の歯底との隙間が従来品より大きくなっている。歯先と歯底との隙間の寸法は、周方向のクリアランスC1の方が、径方向のクリアランスC2より大きい。
図10は、図8、図9に示した従来品と実施例の増速輪列のそれぞれについて、噛み合い部の周方向のクリアランスC1、径方向のクリアランスC2、および、モジュールMAを示した一覧表である。図8に示す増速ギア85とロックギア84との噛み合い部については、歯車のモジュールMAを従来品のモジュールM1の1.8倍以上とした。また、図9に示す増速ギア85と遊星歯車機構52(第2回転体524)との噛み合い部については、歯車のモジュールMAを従来品のモジュールM2の1.6倍以上とした。
このようなモジュールMAを採用した結果、歯先と歯底との隙間の寸法は、周方向のクリアランスC1と径方向のクリアランスC2が実施例では図10に示す寸法となった。まず、図8に示す増速ギア85とロックギア84との噛み合い部については、従来品ではC1aであった周方向のクリアランスC1が2倍以上(C1≧2C1a)に拡大した。また、従来品ではC2aであった径方向のクリアランスC2が2.3倍以上(C2≧2.3C2a)に拡大した。そして、図9に示す増速ギア85と遊星歯車機構52(第2回転体524)との噛み合い部については、従来品ではC1bであった周方向のクリアランスC1が2倍以上(C1≧2C1b)に拡大した。また、従来品ではC2bであった径方向のクリアランスC2が2.6倍以上(C2≧2.6C2b)に拡大した。このように、歯車のモジュールMAを従来品のモジュールの1.6倍以上とした結果、歯先と歯底との隙間は、径方向のクリアランスC2が従来品の少なくとも2.3倍以上となった。また、周方向のクリアランスC1は径方向のクリアランスC1より大きい寸法となった。
なお、実施例のギアユニット3は、各歯車の軸線方向の厚さは、周方向のクリアランスC1および径方向のクリアランスC2より大きい寸法である。従って、歯先と歯底との隙
間の軸線方向の高さは十分に確保されているため、軸線方向で異物を噛み込むおそれは少ない構造となっている。
ここで、図8〜図10において「径方向のクリアランスC2」として示した寸法は、噛み合う歯車の一方の歯先円から、他方の歯底円までの径方向の距離(歯と歯溝の共通中心線上の距離)を意味する。
図8〜図10に示した本形態の歯車形状を増速輪列に採用するにあたって、形状変更の影響の検証を行った。検証項目としては、初期性能としてレバー10の回転トルク、レバー10の戻り時間を検証した。また、耐久性能として、50000回および100000回の連続動作の検証を行った。また、異物のサイズ毎、発生位置毎に、異物による動作不良の確認を行った。その結果は、初期性能、耐久性能において問題ないことが確認された。また、1辺の長さが0.3mmの立方体サイズまでの異物に関しては、異物の噛み込みによる動作不良を抑制できることを確認した。
(本発明の主な作用効果)
以上のように、本形態の排水弁駆動装置1は、排水弁駆動部材であるレバー10を駆動するためのギアードモータ2として、モータ40と、モータ40の回転を伝達するギアユニット3を備えたものを用いており、ギアユニット3は、被駆動部材であるレバー10が連結される出力ギア54を含む伝達輪列50と、伝達輪列50がモータ40の回転をレバー10へ伝達する第1の状態と、伝達輪列50がモータ40の回転をレバー10へ伝達しない第2の状態とを切り換える第2クラッチ機構80を有している。また、伝達輪列50は減速ギア53を含む減速輪列を備えており、且つ、第2クラッチ機構80は、伝達輪列50を構成する遊星歯車機構52の第2回転体524と噛み合う増速ギア85を含む増速輪列を備えている。そして、ギアユニット3の歯車形状として、増速輪列を構成する歯車のモジュールMAが、伝達輪列50(減速輪列)を構成する歯車のモジュールMBより大きい形状を採用している。
本発明者らは、本形態のように、出力ギア54を含む伝達輪列50が減速輪列(出力ギア54、減速ギア53、遊星歯車機構52)を含んでおり、第2クラッチ機構80は、伝達輪列50の歯車(遊星歯車機構52の第2回転体524の大径歯車部528)と噛み合う増速輪列(増速ギア85、ロックギア84)を含んでおり、第2クラッチ機構80によって回転伝達経路を切り換えて動作するギアードモータ2においては、増速輪列が回転する際に異物の噛み込みが発生することを確認した。そこで、増速輪列のモジュールを従来より大きくすることとし、減速輪列については従来のモジュールとして、増速輪列のモジュールが減速輪列のモジュールより大きい構成を採用した。
このような歯車形状を採用したことにより、異物の噛み込みが発生する増速輪列において、歯と歯の隙間を拡げることができ、異物が通り抜けるスペースを確保することができる。従って、異物の噛み込みを少なくすることができ、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。よって、ギアードモータ2および排水弁駆動装置1の動作不良を抑制できる。また、本形態では、減速輪列を含む伝達輪列50については、従来通りのモジュールを採用したので、伝達輪列50の歯車は大型化しない。従って、ギアードモータ2が大型化することを抑制でき、排水弁駆動装置1が大型化することを抑制できる。
本形態では、第2クラッチ機構80の増速輪列(増速ギア85、ロックギア84)が回転しない第1の状態では、モータ40の駆動力によって伝達輪列50(減速輪列)が回転して、レバー10を動かすことができる。また、増速ギア85とロックギア84を自由に回転するようにした第2の状態では、減速輪列(出力ギア54、減速ギア53、遊星歯車
機構52(第3回転体526、第2回転体524)および増速輪列(増速ギア85、ロックギア84)を空転させて、外力によってレバー10を動かすことができる。従って、外力によってレバー10を動かす動作の際に、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。
(他の実施形態)
(1)上記形態では、歯の形状の指標としてモジュールMと用いたが、歯の形状の指標は、モジュールMに限定されるものではない。たとえば、歯車の設計においては、歯の形状の指標として「頂げき係数k」が用いられる。本明細書において、頂げき係数kの定義は、k=(歯元の丈(ピッチ円から歯底までの距離)/モジュールM)−1である。上記形態では、増速輪列を構成する歯車の頂げき係数kは0.25であるが、頂げき係数kが0.25より大きくなるように設計してもよい。頂げき係数を0.25より大きい値とした歯車形状により、異物が通り抜けるスペースを確保することができるようになった。例えば、1辺の長さが0.3mmの立方体サイズまでの異物に関しては、歯と歯の隙間を通り抜けるようになった。従って、異物が噛み込んで輪列がロックするおそれを少なくすることができる。
(2)上記形態の排水弁駆動装置1は、排水弁駆動部材としてレバー10を用いるものであったが、排水弁駆動部材としてスライダーやプーリを用いることもできる。また、本形態のギアードモータ2は、排水弁駆動部材を被駆動部材とするものであったが、排水弁とは異なる部材を駆動する装置にギアードモータ2を用いることもできる。
1…排水弁駆動装置、2…ギアードモータ、3…ギアユニット、10…レバー、11…腕部、12…排水弁連結部、13…セレーション部、20…ケース、21…第1ケース、22…第2ケース、23…開口部、40…モータ、41…モータケース、42…支持プレート、43…ボビン、44…ステータコイル、45…ロータ、46…誘導回転体、47…ロータギア、50…伝達輪列、51…ロータピニオン、52…遊星歯車機構、53…減速ギア、54…出力ギア、55…突起、60…第1クラッチ機構、61…第1クラッチ爪、62…第2クラッチ爪、63…コイルばね、64…クラッチ切換レバー、65…カムピン、66…カム溝、67…傾斜カム、68…円弧溝、69…ロック突起、70…回転規制機構、71…被ロック突起、80…第2クラッチ機構、81…回転部材、82…扇ギア、83…ロックレバー、84…ロックギア、85…増速ギア、86…ねじりコイルばね、87…ブレーキゴム、451…マグネット、452…軸部、453…固定軸、461…誘導リング、511…歯車部、512…軸部、521…太陽歯車、522…第1回転体、523…内歯歯車、524…第2回転体、525…遊星歯車、526…第3回転体、527…大径歯車部、528…大径歯車部、529…小径歯車部、531…大径歯車部、532…小径歯車部、533…固定軸、671…傾斜面、672…カム面、841…突起部、842…大径部、843…小径歯車部、851…大径歯車部、852…小径歯車部、L…回転軸線

Claims (6)

  1. モータと、
    被駆動部材が連結される出力ギアを含む伝達輪列と、
    前記伝達輪列が前記モータの回転を前記被駆動部材へ伝達する第1の状態と、前記伝達輪列が前記モータの回転を前記被駆動部材へ伝達しない第2の状態とを切り換えるクラッチ機構と、を有し、
    前記伝達輪列は減速輪列を備え、
    前記クラッチ機構は、前記伝達輪列を構成する歯車の1つと噛み合う増速輪列を備え、
    前記増速輪列を構成する歯車のモジュールは、前記減速輪列を構成する歯車のモジュールより大きいことを特徴とするギアードモータ。
  2. 前記増速輪列を構成する歯車は、頂げき係数が0.25より大きいことを特徴とする請求項1に記載のギアードモータ。
  3. 前記増速輪列および前記減速輪列を構成する歯車は、標準平歯車であることを特徴とする請求項1または2に記載のギアードモータ。
  4. 前記第1の状態は、前記増速輪列の回転が規制され、且つ、前記モータの回転に基づいて前記減速輪列が回転する状態であり、
    前記第2の状態は、前記減速輪列および前記増速輪列が空転する状態であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のギアードモータ。
  5. 前記伝達輪列は遊星歯車機構を備え、前記遊星歯車機構は、遊星歯車、前記遊星歯車と噛み合う太陽歯車を備えた第1回転体、前記遊星歯車と噛み合う内歯歯車を備えた第2回転体、および、前記遊星歯車を支持する第3回転体を備え、
    前記増速輪列は、前記第2回転体と噛み合う増速ギア、および、前記増速ギアと噛み合うロックギアを備え、
    前記減速輪列は、前記出力ギアを噛み合う減速ギアを備え、
    前記増速ギアのモジュールは、前記減速ギアのモジュールより大きいことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のギアードモータ。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載のギアードモータと、
    前記出力ギアの回転に基づいて駆動される排水弁駆動部材と、を有することを特徴とする排水弁駆動装置。
JP2018002328A 2018-01-11 2018-01-11 ギアードモータおよび排水弁駆動装置 Active JP6978946B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018002328A JP6978946B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 ギアードモータおよび排水弁駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018002328A JP6978946B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 ギアードモータおよび排水弁駆動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019122206A JP2019122206A (ja) 2019-07-22
JP6978946B2 true JP6978946B2 (ja) 2021-12-08

Family

ID=67306622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018002328A Active JP6978946B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 ギアードモータおよび排水弁駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6978946B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111668762A (zh) * 2020-06-16 2020-09-15 浙江博来工具有限公司 电力电线墙壁线管自动穿线器

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10953A (ja) * 1996-06-17 1998-01-06 Mitsubishi Automob Eng Co Ltd 左右駆動力配分装置
JP2003117413A (ja) * 2001-10-16 2003-04-22 Toko Inc 合成樹脂の破砕装置
JP2017158393A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 日本電産サンキョー株式会社 ギアードモータおよび排水弁駆動装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019122206A (ja) 2019-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6025704B2 (ja) モータ式アクチュエータ
JP6574198B2 (ja) 乗り物のための電気駆動ユニット
JP6978946B2 (ja) ギアードモータおよび排水弁駆動装置
JP5751971B2 (ja) モータユニット
JP2015195637A (ja) 排水弁駆動装置
JP2018002087A (ja) ウェビング巻取装置
JP5751970B2 (ja) モータアクチュエータ
JP2019140875A (ja) 減速機付きモータ
WO2017150178A1 (ja) 回転規制装置および排水弁駆動装置
JP2013232997A (ja) モータアクチュエータ
JP2017155901A (ja) クラッチ機構および排水弁駆動装置
CN108691911B (zh) 离合机构及排水阀驱动装置
CN113037007A (zh) 一种给汽车启动发电驱动装置
US20190181732A1 (en) Motor and Actuator Unit
JP2013232999A (ja) モータアクチュエータ
KR101184923B1 (ko) 감속기
WO2016039362A1 (ja) トルクリミッタ機構を備えるアクチュエータ
JP6792998B2 (ja) ロータおよび排水弁駆動装置
JP6740078B2 (ja) クラッチ機構および排水弁駆動装置
JP2518808Y2 (ja) スリップ機構
JP2012219957A (ja) トルクリミッタおよび動力伝達装置
JP2006050857A (ja) ギヤードモータ
CN101378210A (zh) 自动门的驱动源
JP2020150732A (ja) モータアクチュエータ
JP4153668B2 (ja) ギアードモータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201207

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211014

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211019

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6978946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150