以下、本発明の実施の形態について、実施の形態及びその図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ又は大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態1)
[1.1 高周波回路の構成]
まず、実施の形態1に係る高周波回路1の構成について図1から図2Bを用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る高周波回路1の一例を示す構成図である。
高周波回路1は、高周波信号を分波又は合波する第1の回路10及び第1の回路10に直列に接続され、高周波信号を分波又は合波する第2の回路20を備える。第1の回路10及び第2の回路20は、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路を1つの信号経路にまとめる機能、又は、1つの信号経路をそれぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路に分ける機能を有する回路である。また、高周波回路1は、端子Port1〜Port4を備える。端子Port1〜Port3のそれぞれと端子Port4とを結ぶ信号経路には、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する。高周波回路1は、端子Port1〜Port3に入力された高周波信号を合波して端子Port4から出力する機能を有する。また、高周波回路1は、端子Port4に入力された高周波信号を分波して端子Port1〜Port3から出力する機能を有する。例えば、端子Port1と端子Port4とを結ぶ信号経路にはHBの高周波信号が伝搬し、端子Port2と端子Port4とを結ぶ信号経路にはLB(Low Band)の高周波信号が伝搬し、端子Port3と端子Port4とを結ぶ信号経路にはMBの高周波信号が伝搬する。例えば、ここでは、HBは2300MHz〜2700MHzの周波数帯域であり、LBは2100MHz帯の周波数帯域であり、MBは2100MHz〜2200MHzの周波数帯域である。なお、上記の周波数帯域は一例であり、本発明は、その他の周波数帯域にも適用可能である。高周波回路1は、例えば、端子Port1〜Port3にそれぞれ接続された信号経路を端子Port4でまとめる回路である。
第1の回路10は、第1のHPF11と第1のLPF12とを含む。第1のHPF11の通過帯域は、第1のLPF12の通過帯域よりも高域側に位置する。第1のHPF11及び第1のLPF12は、例えば、LC共振回路である。これにより、高域側に広い通過帯域を有する第1のHPF11及び低域側に広い通過帯域を有する第1のLPF12を容易に実現でき、低い周波数帯域を有する信号から高い周波数帯域を有する信号までCA化に対応できる。ただし、第1のHPF11及び第1のLPF12の通過特性は、減衰スロープの急峻度が低いものとなる。
第1のHPF11及び第1のLPF12は、LC共振回路として例えば、チップインダクタ及びチップコンデンサ等のディスクリート部品で実現される。また、第1のHPF11及び第1のLPF12は、LC共振回路として例えば、IPDで実現されてもよい。これにより、第1のHPF11及び第1のLPF12を小型化することができる。なお、第1のHPF11及び第1のLPF12の回路構成は、単にインダクタとコンデンサとを直列又は並列に接続した一般的な回路構成であるため、図示を省略する。
第2の回路20は、BEF21とBPF22を含む。BEF21とBPF22とのうちの少なくとも1つは、弾性波共振子で構成される。弾性波共振子は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)共振子及びバルク弾性波(BAW:Bulk Acoustic Wave)共振子のいずれであってもよい。本実施の形態では、例えば、BEF21及びBPF22のいずれも弾性表面波共振子で構成される。BEF21及びBPF22の詳細な回路構成については、後述する図2A及び図2Bで説明する。
なお、SAW共振子で構成されるフィルタは、基板とIDT(Interdigital transducer)電極とを備えている。基板は、少なくとも表面に圧電性を有する基板である。例えば、基板は、表面に設けられた圧電薄膜、当該圧電薄膜と音速の異なる膜、および支持基板などの積層体で構成されていてもよい。また、例えば、基板は、基板全体に圧電性を有していてもよい。この場合、基板は、圧電体層一層からなる圧電基板である。
端子Port1は、HBを通過帯域とする第1のHPF11の入力端子に接続される。端子Port2は、LBを通過帯域とする第1のLPF12の入力端子に接続される。端子Port3は、MBを通過帯域とするBPF22の入力端子に接続される。また、第1のHPF11及び第1のLPF12は共通の第1共通端子(出力端子)を有し、第1共通端子とBEF21の入力端子とが直列に接続される。つまり、本実施の形態では、第1の回路10と第2の回路20とが直列に接続されるとは、第1共通端子とBEF21の入力端子とが直列に接続されることを意味する。例えば、BEF21は、第1のHPF11でフィルタリングされた信号又は第1のLPF12でフィルタリングされた信号をさらにフィルタリングする。
また、BEF21及びBPF22は共通の第2共通端子(出力端子)を有し、例えば、BEF21又はBPF22でフィルタリングされた信号が端子Port4から出力される。つまり、端子Port4からは、直列に接続された第1のHPF11及びBEF21、直列に接続された第1のLPF12及びBEF21、又は、BPF22でフィルタリングされた信号が出力される。このように、高周波回路1は、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路を1つの信号経路にまとめる。本実施の形態では、直列に接続された第1のHPF11及びBEF21を経由する経路を第1の経路、直列に接続された第1のLPF12及びBEF21を経由する経路を第2の経路、BPF22を経由する経路を第3の経路と呼ぶ。
なお、高周波回路1は、他の部品と組み合わせて高周波モジュールや半導体装置として実現されてもよい。また、高周波回路1は、他の部品と組み合わせずに、高周波回路1のみの素子として実現されてもよい。例えば、高周波回路1が高周波回路1のみの素子として実現される場合、第1の回路10及び第2の回路20は一体に形成されてもよいし、別体に形成されてもよい。
次に、BEF21及びBPF22の詳細な回路構成について、図2A及び図2Bを用いて説明する。
図2Aは、実施の形態1に係るBEF21の一例を示す回路図である。
図2Bは、実施の形態1に係るBPF22の一例を示す回路図である。
本願の高周波回路において、BEF21は少なくとも一つの弾性波共振子および少なくとも一つのインダクタから構成される。弾性波共振子は弾性波が励振しない周波数領域ではキャパシタと同様の挙動を示すため、弾性波が励振しない周波数領域ではLCフィルタと同様の挙動を示し、弾性波が励振する領域では弾性波フィルタとしての挙動を示す。このため、少なくとも一つの弾性波共振子および少なくとも一つのインダクタから構成されるフィルタを、ハイブリッドフィルタと呼ぶこともある。具体的には、図2Aに示されるように、BEF21は、インダクタ211s、212s及び213p、並びに、弾性表面波共振子211p、212p、213s及び214sを備える。インダクタ211s及び212s、並びに、弾性表面波共振子213s及び214sは、端子Port5と端子Port4とを結ぶ経路(直列腕)上に、互いに直列に接続されている。端子Port4は、図1に示される端子Port4に対応している。端子Port5は、図1では図示していないが、BEF21の第1の回路10に接続される端子である。また、弾性表面波共振子211p及び212p、並びに、インダクタ213pは、インダクタ211s及び212s、インダクタ212s及び弾性表面波共振子213s、並びに、弾性表面波共振子213s及び214sの各接続点と、基準端子(グランド)とを結ぶ経路(並列腕)上に接続されている。インダクタ211s及び212s、並びに、弾性表面波共振子211p及び212pにより構成される、通過帯域の一部が弾性表面波共振子211p及び212pに応じた減衰極によって減衰させられたローパスフィルタ型回路(LPF型回路)と、弾性表面波共振子213s及び214s、並びに、インダクタ213pにより構成される、通過帯域の一部が弾性表面波共振子213s及び214sに応じた減衰極によって減衰させられたハイパスフィルタ型回路(HPF型回路)とにより、BEF21の減衰帯域が作られている。LPF型回路とHPF型回路を組み合わせることで、減衰させる帯域以外は高周波信号が通過するバンドパスフィルタの特性となり、通過帯域以外の減衰を確保することが出来る。上記接続構成により、ラダー型の弾性表面波フィルタであるBEF21が構成される。BEF21は、少なくとも一つの弾性表面波共振子で構成されているため、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度が高い。
また、図2Bに示されるように、BPF22は、弾性表面波共振子221s、222s、223s、221p及び222pを備える。弾性表面波共振子221s、222s及び223sは、端子Port3と端子Port4とを結ぶ経路(直列腕)上に、互いに直列に接続されている。端子Port3は、図1に示される端子Port3に対応している。また、弾性表面波共振子221p及び222pは、弾性表面波共振子221s及び222s、並びに、弾性表面波共振子222s及び223sの各接続点と、基準端子(グランド)とを結ぶ経路(並列腕)上に接続されている。上記接続構成により、ラダー型の弾性表面波フィルタであるBPF22が構成される。BPF22は、弾性表面波共振子で構成されているため、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度が高い。
[1.2 高周波回路の通過特性]
次に、高周波回路1の通過特性について、図3Aから図4を用いて説明する。
図3Aは、実施の形態1に係る高周波回路1の第1経路における通過特性の一例を示すグラフである。図3Aの(a)は、第1のHPF11の通過特性及びBEF21の通過特性を示すグラフであり、図3Aの(b)は、直列に接続された第1のHPF11及びBEF21を経由する経路(第1経路)の通過特性を示すグラフである。例えば、第1経路に着目すると、図3Aの(b)には、端子Port1に入力された信号の強度に対する端子Port4から出力された信号の強度比である挿入損失が模式的に示されている。
図3Aの(a)に示される実線は第1のHPF11の通過特性を示し、破線はBEF21の通過特性を示している。BEF21の減衰帯域は第1のHPF11の通過帯域よりも低域側に位置する。具体的には、BEF21の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープ(BEF21の高域側の通過帯域からBEF21の減衰帯域に向けて通過特性が減衰している箇所)は、第1のHPF11の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープ(第1のHPF11の通過帯域から第1のHPF11の減衰帯域に向けて通過特性が減衰している箇所)を減衰させている。その結果、図3Aの(b)に示されるように、第1経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなる。なお、図3Aを含め、以下で示す通過特性のグラフの縦軸において、挿入損失は、上側が小さく下側が大きいとしている。また、第1のHPF11は高域側に広い通過帯域を有するため、第1経路では、高域側の広い周波数帯域内のHBの高周波信号が通過し、MB及びLBの高周波信号を減衰させることができる。
図3Bは、実施の形態1に係る高周波回路1の第2経路における通過特性の一例を示すグラフである。図3Bの(a)は、第1のLPF12の通過特性及びBEF21の通過特性を示すグラフであり、図3Bの(b)は、直列に接続された第1のLPF12及びBEF21を経由する経路(第2経路)の通過特性を示すグラフである。
図3Bの(a)に示される実線は第1のLPF12の通過特性を示し、破線はBEF21の通過特性を示している。BEF21の減衰帯域は第1のLPF12の通過帯域よりも高域側に位置する。具体的には、BEF21の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープ(BEF21の低域側の通過帯域からBEF21の減衰帯域に向けて通過特性が減衰している箇所)は、第1のLPF12の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープ(第1のLPF12の通過帯域から第1のLPF12の減衰帯域に向けて通過特性が減衰している箇所)を減衰させる。これにより、第1のLPF12の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープがBEF21によって減衰させられる。このとき、BEF21は、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度が高いため、図3Bの(b)に示されるように、第2経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなる。また、第1のLPF12は低域側に広い通過帯域を有するため、第2経路では、低域側の広い周波数帯域内のLBの高周波信号が通過し、MB及びHBの高周波信号を減衰させることができる。
図3Cは、実施の形態1に係る高周波回路1の第3経路における通過特性の一例を示すグラフである。
図3Cに示される実線はBPF22の通過特性を示している。BPF22は、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度が高いため、図3Cに示されるように、BPF22を経由する経路(第3経路)の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなる。また、第3経路では、第1のHPF11の通過帯域と第1のLPF12の通過帯域との間にBPF22の通過帯域が位置するため、BPF22の通過帯域に応じたMBの高周波信号が通過し、LB及びHBの高周波信号を減衰させることができる。
なお、図3Aから図3Cは、それぞれ同じスケールのグラフである。したがって、図3A〜図3Cに示されるように、BEF21の減衰帯域、及び、BPF22の通過帯域は、第1のHPF11の通過帯域と第1のLPF12の通過帯域との間に位置する。さらに、BEF21の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは、第1のHPF11の通過特性における遷移帯域における減衰スロープ、及び、第1のLPF12の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの少なくとも一方を減衰させる。これにより、急峻度が低い第1のHPF11又は第1のLPF12の減衰スロープは、急峻度が高いBEF21の減衰スロープによって減衰させられ、第1経路又は第2経路において減衰スロープの急峻度が高くなる。また、BPF22は、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度が高いため、第3経路において減衰スロープの急峻度が高くなる。
次に、図4において、第1経路から第3経路の通過特性を比較する。
図4は、第1経路から第3経路の通過特性を比較した図である。
上述したように、第1経路にはHBの高周波信号が伝搬し、第2経路にはLBの高周波信号が伝搬し、第3経路にはMBの高周波信号が伝搬する。第1のHPF11は高域側に広い通過帯域を有するため、第1経路では、高域側の広い周波数帯域内のHBの高周波信号が通過する。第1のLPF12は低域側に広い通過帯域を有するため、第2経路では、低域側の広い周波数帯域内のLBの高周波信号が通過する。また、第3経路では、第1のHPF11の通過帯域と第1のLPF12の通過帯域との間にBPF22の通過帯域が位置するため、BPF22の通過帯域に応じたMBの高周波信号が通過する。このように、高周波回路1は、低域側の例えばLBの信号から高域側の例えばHBの信号まで広い周波数帯域の信号のCA化に対応できる。
また、第1経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなっており、第3経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなっているため、第1経路を通過するHBの高周波信号と第3経路を通過するMBの高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。また、第2経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなっており、第3経路の通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープは急峻なものとなっているため、第2経路を通過するLBの高周波信号と第3経路を通過するMBの高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。
このように、第1のHPF11及び第1のLPF12を含む第1の回路10とBEF21及びBPF22を含む第2の回路20とを直列に接続するだけの簡易な構成で、それぞれ異なる周波数帯域の複数のバンドの信号を同時に送受信することが可能で、かつ、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度を高くできる。
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1に係る高周波回路1は、最低限必要な構成要素である第1の回路10及び第2の回路20のみを備えたが、本発明の高周波回路は、さらに他の構成要素を備えてもよい。また、本発明の高周波回路は、通信装置に適用することができる。そこで、実施の形態1の変形例では、第1の回路10及び第2の回路20に加え、さらに、他の構成要素を備える高周波回路1a、及び、高周波回路1aを備える通信装置100について説明する。
[2.1 通信装置の構成]
実施の形態1の変形例に係る通信装置100の構成について図5から図6Bを用いて説明する。
図5は、実施の形態1の変形例に係る通信装置100の一例を示す構成図である。なお、図5には、通信装置100の構成要素に含まれないアンテナ素子ANTも図示されている。
通信装置100は、高周波回路1a及びRF信号処理回路(RFIC:Radio Frequency Integrated Circuit)80を備える。
高周波回路1aは、第1の回路10、第2の回路20、LNA回路30、スイッチ回路40、第3の回路50及びスイッチIC(Integrated Circuit)70を備える。つまり、高周波回路1aは、高周波回路1の構成要素に加えて、さらに、LNA回路30、スイッチ回路40、第3の回路50、及び、スイッチIC70を備える。第1の回路10及び第2の回路20は、実施の形態1におけるものと同じであるため、説明を省略する。
スイッチIC70は、アンテナ素子ANTと接続された共通端子と、第3の回路50が有する例えばマルチプレクサ51及び55の入力端子に接続された複数の選択端子とを有する。スイッチIC70は、例えば通信装置100が有する制御部(図示せず)からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、アンテナ素子ANTとそれぞれ所定のバンドに対応したマルチプレクサ51及び55のいずれかとを接続する。
第3の回路50は、高周波信号を分波又は合波する回路であり、それぞれ例えば弾性表面波フィルタであるBPF52〜54及びBPF56〜58を有する。BPF52〜54はマルチプレクサ51を構成し、BPF56〜58はマルチプレクサ55を構成している。なお、マルチプレクサ51及び55は、ここではトリプレクサであるが、デュプレクサ又はクアッドプレクサ等であってもよい。BPF52〜54及びBPF56〜58のそれぞれの通過帯域は、特に限定されない。例えば、BPF52及び56はHBの通過帯域であり、BPF53及び57はLBの通過帯域であり、BPF54及び58はMBの通過帯域である。
スイッチ回路40は、スイッチIC41〜43を有する。例えば、第1の回路10とスイッチ回路40とは、同一チップで形成される。これにより、高周波回路1aを多機能化しつつ、高周波回路1aの小型化を実現でき、ひいては、通信装置100の小型化を実現できる。なお、本変形例では、スイッチ回路40は、3つのスイッチIC41〜43を有するが、これに限らず、通信装置100が取り扱うバンド数に応じて、2つ以下、又は、4つ以上のスイッチICを有していてもよい。
スイッチIC41は、第3の回路50が有するBPF52及び56の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路30が有するLNA31の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC41は、例えば通信装置100が有する制御部からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、それぞれHBに対応したBPF52及び56のいずれかとLNA31とを接続する。
スイッチIC42は、第3の回路50が有するBPF53及び57の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路30が有するLNA32の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC42は、例えば通信装置100が有する制御部からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、それぞれLBに対応したBPF53及び57のいずれかとLNA32とを接続する。
スイッチIC43は、第3の回路50が有するBPF54及び58の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路30が有するLNA33の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC43は、例えば通信装置100が有する制御部からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、それぞれMBに対応したBPF54及び58のいずれかとLNA33とを接続する。
LNA回路30は、LNA31〜33を備え、例えば、HB、LB及びMB等の高周波信号を増幅し、第1の回路10及び第2の回路20へ出力する受信増幅回路である。例えば、第1の回路10とLNA回路30とは、同一チップで形成される。これにより、高周波回路1aを多機能化しつつ、高周波回路1aの小型化を実現でき、ひいては、通信装置100の小型化を実現できる。なお、本変形例では、第1の回路10とLNA回路30とスイッチ回路40とが同一チップで形成されるが、LNA回路30及びスイッチ回路40のうちのいずれかが、第1の回路10と同一チップで形成されてもよい。また、LNA回路30及びスイッチ回路40のいずれも、第1の回路10と同一チップで形成されなくてもよい。
RF信号処理回路80は、アンテナ素子ANTから高周波回路1aを介して入力された高周波信号を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号を例えばベースバンド信号処理回路(図示せず)へ出力する。
このように、本発明の高周波回路を、多機能化し、通信装置に適用してもよい。
なお、本実施の形態では、高周波回路1aは、受信経路に適用されているが、送信経路に適用されてもよい。この場合、LNA回路30の代わりにパワーアンプ(以下、PAとも呼ぶ)回路が配置され、第1の回路10及び第2の回路20は、アンテナANTに直接的又は間接的に接続され、アンテナANTへの高周波信号の合波に用いられる。
[2.2 積層基板]
高周波回路1aは、複数の層が積層されて構成される積層基板90を含んでもよい。高周波回路1aは、例えば、積層基板90の最上層又は最下層に部品が実装されたり、積層基板90の内層に部品が内蔵されたり、積層基板90を構成する各層に配線パターンが設けられたりすることで実現される。ここで、積層基板90について、図6A及び図6Bを用いて説明する。
図6Aは、実施の形態1の変形例に係る積層基板90の一例を示す斜視図である。図6Aでは、積層基板90に実装される部品、及び、積層基板90に設けられる配線パターン等の図示を省略している。
図6Bは、図6AのVIB−VIB線における断面図である。図6Bでは、積層基板90を構成する各層に設けられた配線パターンのうちの一部を示している。
積層基板90は、積層基板90の最下層である基準グランド層91と第1層93と第2層95とを有する。ここでは、基準グランド層91は、積層基板90の最下層としている。第1層93は、第2層95よりも基準グランド層91側に位置する。つまり、基準グランド層91よりも上層に第1層93が配置され、第1層93よりも上層に第2層95が配置されている。
基準グランド層91には、積層基板90の基準電位となる基準グランドパターン92が設けられている。基準グランド層91は、高周波回路1aが実装基板に接続される際に、高周波回路1aの基準電位となる基準グランドパターン92を実装基板のグランドに接続するための層である。
第1層93には、基準グランドパターン92に電気的に接続された、第1の回路10のグランドパターン94が設けられている。グランドパターン94と基準グランドパターン92とは、例えば層間接続ビアによって電気的に接続されている。グランドパターン94と基準グランドパターン92とは、間に他の層が介在しており物理的に離れているため、グランドパターン94は寄生インダクタ成分を有する。
第2層95には、基準グランドパターン92に電気的に接続された、第2の回路20のグランドパターン96が設けられている。グランドパターン96と基準グランドパターン92とは、例えば層間接続ビアによって電気的に接続されている。グランドパターン96と基準グランドパターン92とは、間に他の層が介在しており物理的に離れているため、グランドパターン96は寄生インダクタ成分を有する。ただし、第1層93は第2層95よりも基準グランド層91側に位置するため、グランドパターン96は、グランドパターン94よりも大きな寄生インダクタ成分を有する。したがって、第2の回路20に含まれるBEF21及びBPF22はラダー型の弾性表面波フィルタであるため、第2の回路20のグランドパターン96が基準グランド層91から遠くに設けられることで、寄生インダクタ成分が大きくなり、第2の回路20の通過帯域外における減衰特性が向上する。
また、第2層95には、基準グランドパターン92に電気的に接続された、第3の回路50のグランドパターン97が設けられている。つまり、グランドパターン96とグランドパターン97とは、積層基板90を構成する複数の層のうちの1つの層(第2層95)に設けられる。また、グランドパターン96とグランドパターン97とは、第2層95において互いに分離して設けられる。つまり、グランドパターン96とグランドパターン97とは、第2層95においては接続されていない。これにより、グランドパターン96とグランドパターン97とを介して第2の回路20及び第3の回路50が結合することを抑制でき、受信感度の向上等の効果を奏することができる。
高周波回路1aが備える第1の回路10、第2の回路20及び第3の回路50等の積層基板90におけるグランドパターンの配置をこのようにすることで、減衰特性と通過特性とを両立した高周波回路1aが実現できる。
(実施の形態2)
実施の形態1に係る高周波回路1は、例えば、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路を1つの信号経路にまとめたが、本発明の高周波回路は、1つの信号経路をそれぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路に分けてもよい。そこで、実施の形態2では、1つの信号経路をそれぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する複数の信号経路に分ける高周波回路2について説明する。
[3.1 高周波回路の構成]
実施の形態2に係る高周波回路2の構成について図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態2に係る高周波回路2の一例を示す構成図である。
高周波回路2は、第1の回路110及び第1の回路110に直列に接続された第2の回路120を備える。また、高周波回路2は、第3のHPF131及び第3のLPF132、並びに、整合回路140を備える。高周波回路2は、端子Port11〜Port17を備える。端子Port11には、例えば、アンテナ素子が接続される。また、端子Port12〜Port17を通過する信号経路には、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する。本実施の形態では、高周波回路2は、受信経路に適用され、端子Port11に入力された高周波信号を分波して端子Port12〜Port17から出力する機能を有する。なお、高周波回路2は、送信経路に適用され、端子Port12〜Port17に入力された高周波信号を合波して端子Port11から出力する機能を有していてもよい。
端子Port12を通過する信号経路には例えばLTE−U(LTE−Unlicensed)の高周波信号が伝搬する。端子Port13を通過する信号経路には例えばUHBの高周波信号が伝搬する。端子Port14を通過する信号経路には例えばHB2の高周波信号が伝搬する。端子Port15を通過する信号経路には例えばHB1の高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。端子Port17を通過する信号経路には例えばLBの高周波信号が伝搬する。例えば、LTE−Uは5GHz帯の周波数帯域であり、UHBは2700MHz〜3800MHzの周波数帯域であり、HB2は2496MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、HB1は2300MHz〜2400MHzの周波数帯域であり、MBは1710MHz〜2170MHzの周波数帯域であり、LBは699MHz〜960MHzの周波数帯域である。なお、上記の周波数帯域は一例であり、本発明は、その他の周波数帯域にも適用可能である。高周波回路2は、例えば、端子Port11に接続される信号経路を端子Port12〜Port17のそれぞれに分岐させる回路である。
第1の回路110は、第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114を含む。第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114は、例えば、LC共振回路である。これにより、高域側に広い通過帯域を有する第1のHPF111及び第2のHPF113、並びに、低域側に広い通過帯域を有する第2のLPF112及び第1のLPF114を容易に実現でき、低い周波数帯域を有する信号から高い周波数帯域を有する信号までCA化に対応できる。ただし、第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114の通過特性は、減衰スロープの急峻度が低いものとなる。なお、第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114の回路構成は、インダクタとコンデンサとを直列又は並列に接続した一般的な回路構成であるため、図示を省略する。
第2の回路120は、BEF123とBPFとを含む。本実施の形態では、BPFは、互いに通過帯域の異なる第1のBPF121と第2のBPF122とを含む。BEF123と第1のBPF121及び第2のBPF122とのうちの少なくとも1つは、弾性波共振子で構成される。本実施の形態では、例えば、BEF123、第1のBPF121及び第2のBPF122のいずれも弾性表面波共振子で構成される。BEF123の回路構成は例えば図2Aに示される回路構成と同じであり、第1のBPF121及び第2のBPF122の回路構成は例えば図2Bに示される回路構成と同じであるため、説明を省略する。
高周波回路2は、複数の信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うマルチプレクサである。
なお、SAW共振子で構成されるフィルタは、基板とIDT電極とを備えている。基板は、少なくとも表面に圧電性を有する基板である。例えば、基板は、表面に設けられた圧電薄膜、当該圧電薄膜と音速の異なる膜、および支持基板などの積層体で構成されていてもよい。また、例えば、基板は、基板全体に圧電性を有していてもよい。この場合、基板は、圧電体層一層からなる圧電基板である。
第1のHPF111及び第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114、第3のHPF131及び第3のLPF132、並びに、第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123は、それぞれ共通端子(入力端子)を有する。第1のHPF111の出力端子と第3のHPF131及び第3のLPF132の共通端子とは接続される。第2のLPF112の出力端子と第2のHPF113及び第1のLPF114の共通端子とは接続される。第2のHPF113の出力端子と第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123の共通端子とは接続される。本実施の形態において、第1の回路110と第2の回路120とが直列に接続されるとは、第2のHPF113の出力端子と第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123の共通端子とが接続されることを意味する。なお、本実施の形態において、第2のHPF113の出力端子と第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123の共通端子とは、整合回路140を介して接続される。
整合回路140は、第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123のインピーダンスマッチングをするための回路であり、第1のBPF121及び第2のBPF122に接続される。整合回路140は、例えば、シャントインダクタ、シャントキャパシタ、シリーズ接続されたインダクタ、シリーズ接続されたキャパシタのうち少なくとも一つを含む回路で構成される回路である。
[3.2 高周波回路の通過特性]
次に、高周波回路2の通過特性について、図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態2に係る高周波回路2の通過特性を説明するための図である。図8の(a)は、高周波回路2が有する各フィルタの通過帯域(BEF123については減衰帯域)を模式的に示した図である。図8の(b)は、高周波回路2の端子Port11と端子Port12〜17のそれぞれとを結んだ各経路における通過特性を比較した図である。
図8の(a)に示されるように、第1のHPF111の通過帯域は、第2のLPF112の通過帯域よりも高域側に位置し、第3のHPF131の通過帯域は、第3のLPF132の通過帯域よりも高域側に位置し、第1のHPF111の通過帯域は第3のLPF132の通過帯域及び第3のHPF131の通過帯域と重複する。これにより、直列に接続された第1のHPF111及び第3のHPF131を経由する経路における通過帯域はLTE−Uとなり、直列に接続された第1のHPF111及び第3のLPF132を経由する経路における通過帯域はUHBとなる。
また、第2のHPF113の通過帯域は、第1のHPF111の通過帯域と第1のLPF114の通過帯域との間に位置し、第2のLPF112の通過帯域は第1のLPF114の通過帯域及び第2のHPF113の通過帯域と重複する。これにより、直列に接続された第2のLPF112及び第1のLPF114を経由する経路における通過帯域はLBとなる。
また、第2のHPF113の通過帯域と、第1のBPF121及び第2のBPF122の通過帯域と、BEF123の減衰帯域とは、重複する。これにより、直列に接続された第2のLPF112、第2のHPF113及びBEF123を経由する経路における通過帯域はMBとなる。直列に接続された第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のBPF121を経由する経路における通過帯域はHB1となる。直列に接続された第2のLPF112、第2のHPF113及び第2のBPF122を経由する経路における通過帯域はHB2となる。なお、第1のHPF111の通過帯域は第1のLPF114の通過帯域よりも高域側に位置し、BEF123の減衰帯域及びBPF(第1のBPF121及び第2のBPF122)の通過帯域は、第1のHPF111の通過帯域と第1のLPF114の通過帯域との間に位置している。
以上の構成により、図8の(b)に示されるように、高周波回路2は、低域側の例えばLBの信号から高域側の例えばLTE−Uの信号まで広い周波数帯域の信号のCA化に対応できる。また、BEF123の減衰帯域と第1のBPF121の通過帯域(HB1)及び第2のBPF122の通過帯域(HB2)とが重複するため、第1のBPF121の通過帯域及び第2のBPF122の通過帯域が第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)と重複しない。したがって、第1のBPF121又は第2のBPF122の通過帯域の周波数成分を有する信号と第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)の周波数成分を有する信号とが互いに影響を与えにくくなる。また、第2のHPF113の通過帯域の一部が、BEF123の急峻度が高い減衰スロープによって減衰させられることで、直列に接続された第2のHPF113及びBEF123の減衰スロープの急峻度が、図8の(b)のMBの通過特性における高域側の減衰スロープの急峻度のように、高くなる。したがって、MBの高周波信号とHB1の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。また、第1のBPF121及び第2のBPF122のそれぞれの減衰スロープの急峻度は高いため、HB1の高周波信号とHB2の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。
図8(a)に示されるように、バンドパスフィルタ(第1のBPF121、第2のBPF122、またはその両方)の通過帯域の一部は、バンドエリミネーションフィルタ(BEF123)減衰帯域の一部と重複している。この構造により、バンドパスフィルタの挿入損失が改善される。
図8(a)に示されるように、バンドエリミネーションフィルタ(BEF123)の減衰帯域以外の帯域である通過帯域の一部は、バンドパスフィルタ(第1のBPF121、第2のBPF122、またはその両方)の通過帯域よりも低い。
実施の形態2に係る高周波回路2では、バンドエリミネーションフィルタ(BEF123)が用いられている。このバンドエリミネーションフィルタ(BEF123)がLCフィルタで構成される場合、広い通過帯域を実現可能である。LTEの周波数割り当てではMBの帯域幅はHBの帯域幅よりも大きい。そのため、帯域幅の広いMBにバンドエリミネーションフィルタを用い、MBよりも帯域幅の狭いHBにバンドパスフィルタを用いることによって、高周波回路2は、LTEにおけるMBとHBのキャリアアグリゲーションに適切な回路となる。
このように、第1のHPF111、第2のLPF112、第1のLPF114及び第2のHPF113を含む第1の回路110と、第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123を含む第2の回路120とを直列に接続するだけの簡易な構成で、それぞれ異なる周波数帯域の複数のバンドの信号を同時に送受信することが可能となり、かつ、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度を高くできる。
[3.3 整合回路と第1のBPF及び第2のBPFとの位置関係]
次に、整合回路140と第1のBPF121及び第2のBPF122との位置関係について、図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態2に係る高周波回路2の一例を示す配置図である。図9は、高周波回路2が積層基板等で実現される際の、高周波回路2の構成要素の一部の基板上での配置を模式的に示している。図9には、整合回路140と第1のBPF121とを接続する配線141、及び、整合回路140と第2のBPF122とを接続する配線142が示されている。
図8の(a)に示されるように、第1のBPF121の通過帯域と第2のBPF122の通過帯域とのうち、第1のBPF121の通過帯域の方がBEF123の所望の通過帯域(第2のHPF113の通過帯域におけるBEF123の破線の矢印を除く範囲、例えば図8の(a)におけるMBの範囲)の近くに位置している。したがって、第1のBPF121は、第2のBPF122に比べ、BEF123に影響を与えやすい。例えば、整合回路140と第1のBPF121とを接続する配線141が長い場合には、配線141によるインピーダンスの変動分、整合回路140によって行われる第1のBPF121のインピーダンスマッチングにおける調整量が大きくなる。この場合には、長い配線141に関するインピーダンスマッチングにより、通過帯域が第1のBPF121の通過帯域の近くに位置しているBEF123は影響を受けてしまう。
一方、第1のBPF121の通過帯域と第2のBPF122の通過帯域とのうち、第2のBPF122の通過帯域の方がBEF123の所望の通過帯域の遠くに位置しているため、第2のBPF122は、第1のBPF121に比べ、BEF123に影響を与えにくい。したがって、整合回路140と第2のBPF122とを接続する配線142が長い場合であっても、通過帯域が第2のBPF122の通過帯域の近くに位置していないBEF123は、配線142に関するインピーダンスマッチングによる影響を受けにくい。
そこで、図9に示されるように、整合回路140と第1のBPF121とを接続する配線141を、整合回路140と第2のBPF122とを接続する配線142よりも短くする。これにより、配線141による第1のBPF121のインピーダンスマッチングにおける調整量を少なくすることができ、BEF123が第1のBPF121のインピーダンスマッチングにより受ける影響を少なくすることができる。
[3.4 高周波回路のその他の特徴]
次に、高周波回路2のその他の特徴について、図10を用いて説明する。
図10は、第2のBPF122に並列にインダクタ150が接続された回路の一例を示す回路図である。なお、上述したように、第2のBPF122の回路構成は例えば図2Bに示される回路構成と同じであるため、説明を省略する。なお、端子Port14は、図7に示される端子Port14に対応している。端子Port18は、図7では図示していないが、第2のBPF122の整合回路140に接続される端子である。また、図7では、インダクタ150の図示を省略している。
一般的に、BPFの通過帯域を広くする場合、当該通過帯域外の減衰量は小さくなる。そこで、BPFの通過帯域を広くする場合であっても、当該通過帯域外に減衰極を有するインダクタがBPFに並列に接続されることで、当該インダクタ及び当該インダクタが接続されたときに発生する寄生容量成分によって、当該通過帯域外の減衰量を大きくすることができる。
本実施の形態では、図8の(b)に示されるように、第1のBPF121の通過帯域(HB1)よりも第2のBPF122の通過帯域(HB2)の方が広い。そこで、図10に示されるように、通過帯域がより広い第2のBPF122には、インダクタ150が並列に接続される。これにより、第2のBPF122の通過帯域を広くすることで小さくなった当該通過帯域外の減衰量を、大きくすることができる。なお、インダクタ150は、第1のBPF121に並列に接続されてもよく、第1のBPF121及び第2のBPF122のそれぞれに並列に接続されてもよい。
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2に係る高周波回路2は、最低限必要な構成要素である第1の回路110及び第2の回路120を備えたが、本発明の高周波回路は、さらに他の構成要素を備えてもよい。また、本発明の高周波回路は、通信装置に適用することができる。そこで、実施の形態2の変形例では、第1の回路110及び第2の回路120に加え、さらに、他の構成要素を備える高周波回路2a、及び、高周波回路2aを備える通信装置200について説明する。
[4.1 通信装置の構成]
実施の形態2の変形例に係る通信装置200の構成について図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2の変形例に係る通信装置200の一例を示す構成図である。なお、図11には、通信装置200の構成要素に含まれないアンテナ素子ANTも図示されている。
通信装置200は、高周波回路2a及びRF信号処理回路190を備える。
高周波回路2aは、第1の回路110及び第2の回路120、第3のHPF131、第3のLPF132、LNA回路160、スイッチ回路170及び第3の回路180を備える。つまり、高周波回路2aは、高周波回路2の構成要素に加えて、さらに、LNA回路160、スイッチ回路170及び第3の回路180を備える。第1の回路110、第2の回路120、第3のHPF131及び第3のLPF132は、実施の形態2におけるものと同じであるため、説明を省略する。
第3の回路180は、例えば、デュプレクサ181〜184を有する。デュプレクサ181は、例えばLTE−Uの高周波信号を分波するフィルタである。デュプレクサ182は、例えばUHBの高周波信号を分波するフィルタである。デュプレクサ183は、例えばMBの高周波信号を分波するフィルタである。デュプレクサ184は、例えばLBの高周波信号を分波するフィルタである。デュプレクサ181〜184により、LTE−U等の広い周波数帯域の高周波信号を特定の狭い周波数帯域の高周波信号に分波できる。
スイッチ回路170は、スイッチIC171〜173を有する。例えば、第1の回路110とスイッチ回路170とは、同一チップで形成される。なお、本変形例では、スイッチ回路170は、3つのスイッチIC171〜173を有するが、これに限らず、通信装置200が取り扱うバンド数に応じて、2つ以下、又は、4つ以上のスイッチICを有していてもよい。
スイッチIC171は、第3の回路180が有するデュプレクサ181及び182の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路160が有するLNA161の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC171は、例えば通信装置200が有する制御部(図示せず)からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、LTE−U対応したデュプレクサ181を構成するフィルタ及びUHBに対応したデュプレクサ182を構成するフィルタのいずれかとLNA161とを接続する。
スイッチIC172は、第2の回路120が有する第1のBPF121及び第2のBPF122、並びに、第3の回路180が有するデュプレクサ183の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路160が有するLNA162の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC172は、例えば通信装置200が有する制御部からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、HB1に対応した第1のBPF121、HB2に対応した第2のBPF122及びMBに対応したデュプレクサ183を構成するフィルタのいずれかとLNA162とを接続する。
スイッチIC173は、第3の回路180が有するデュプレクサ184の出力端子に接続された複数の選択端子とLNA回路160が有するLNA163の入力端子に接続された共通端子とを有する。スイッチIC173は、例えば通信装置200が有する制御部からの制御信号に応じて、当該共通端子と当該複数の選択端子のいずれかとを接続することで、LBに対応したデュプレクサ184を構成するフィルタのいずれかとLNA163とを接続する。
LNA回路160は、LNA161〜163を備え、例えば、LBからLTE−Uの高周波信号を増幅し、RF信号処理回路190へ出力する受信増幅回路である。例えば、第1の回路110とLNA回路160とは、同一チップで形成される。なお、本変形例では、第1の回路110とLNA回路160とスイッチ回路170とが同一チップで形成されるが、LNA回路160及びスイッチ回路170のうちのいずれかが、第1の回路110と同一チップで形成されてもよい。また、LNA回路160及びスイッチ回路170のいずれも、第1の回路110と同一チップで形成されなくてもよい。
RF信号処理回路190は、アンテナ素子ANTから高周波回路2aを介して入力された高周波信号を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号を例えばベースバンド信号処理回路(図示せず)へ出力する。
このように、本発明の高周波回路を、多機能化し、通信装置に適用してもよい。
なお、本実施の形態では、高周波回路2aは、受信経路に適用されているが、送信経路に適用されてもよい。この場合、LNA回路160の代わりにPA回路が配置され、第1の回路110及び第2の回路120は、アンテナANTへの高周波信号の合波に用いられる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る高周波回路及び通信装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1及びその変形例では、第2の回路20は、1つのBPF22を備えたが、これに限らず、複数のBPFを含んでいてもよい。
また、例えば、実施の形態2及びその変形例では、第2の回路120は、第1のBPF121及び第2のBPF122を備えたが、これに限らず、1つのBPF又は3つ以上のBPFを含んでいてもよい。
また、例えば、実施の形態2及びその変形例では、高周波回路2(2a)は、第3のHPF131及び第3のLPF132を備えたが、これに限らず、これらを備えなくてもよい。
また、例えば、実施の形態2及びその変形例では、第2のBPF122に、インダクタ150が並列に接続されたが、これに限らず、インダクタ150が接続されなくてもよい。
また、例えば、実施の形態2では、高周波回路2は、整合回路140を備えたが、これに限らず、整合回路140を備えなくてもよい。
また、例えば、実施の形態2及びその変形例では、第1の回路110は、第2のLPF112を備えたが、これに限らず、第2のLPF112を備えなくてもよい。つまり、第1のHPF111、第2のHPF113及び第1のLPF114が共通の端子(入力端子)を有していてもよい。さらに、第1の回路110は、第1のHPF111を備えなくてもよい。ここで、第1の回路が第1のHPF111および第2のLPF112を備えない高周波回路について、図12を用いて説明する。
図12は、その他の実施の形態に係る高周波回路2bの一例を示す構成図である。
図12に示されるように、高周波回路2bは、第2のHPF113と第1のLPF114とを含む第1の回路110aを備える。また、高周波回路2bは、第1の回路110aに直列に接続され、BEF123とBPFとを含む第2の回路120aを備える。ここでは、BPFは、互いに通過帯域の異なる第1のBPF121と第2のBPF122とを含む。BEF123と第1のBPF121及び第2のBPF122とのうちの少なくとも1つは、弾性波共振子で構成される。
また、第2のHPF113の通過帯域は、第1のLPF114の通過帯域よりも高域側に位置し、BEF123の減衰帯域、並びに、第1のBPF121及び第2のBPF122の通過帯域は、第1のLPF114の通過帯域よりも高域側に位置し、かつ、第2のHPF113の通過帯域と重複する。これにより、高周波回路2bの端子Port21と端子Port14〜17のそれぞれとを結んだ各経路における通過特性は、図8の(b)に示されるものからUHB及びLTE−Uを除いたものになる。
図12の高周波回路2bにおいて、1つの信号経路が4つの信号経路に分けられる。つまり、図12の高周波回路2bは、マルチプレクサであり、1つの信号経路を4つの信号経路に分けるクアッドプレクサである。
端子Port14を通過する信号経路には例えばHB2の高周波信号が伝搬する。端子Port15を通過する信号経路には例えばHB1の高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。端子Port17を通過する信号経路には例えばLBの高周波信号が伝搬する。例えば、HB2は2496MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、HB1は2300MHz〜2400MHzの周波数帯域であり、MBは1427MHz〜2200MHzの周波数帯域であり、LBは452MHz〜960MHzの周波数帯域である。この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する4つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
以上の構成により、高周波回路2bは、低域側の例えばLBの信号から高域側の例えばHB2の信号まで広い周波数帯域の信号のCA化に対応できる。また、BEF123の減衰帯域と第1のBPF121の通過帯域(HB1)及び第2のBPF122の通過帯域(HB2)とが重複するため、第1のBPF121の通過帯域及び第2のBPF122の通過帯域が第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)と重複しない。したがって、第1のBPF121又は第2のBPF122の通過帯域の周波数成分を有する信号と第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)の周波数成分を有する信号とが互いに影響を与えにくくなる。また、第2のHPF113の通過帯域の一部が、BEF123の急峻度が高い減衰スロープによって減衰させられることで、直列に接続された第2のHPF113及びBEF123の減衰スロープの急峻度が高くなる。したがって、MBの高周波信号とHB1の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。また、第1のBPF121及び第2のBPF122のそれぞれの減衰スロープの急峻度は高いため、HB1の高周波信号とHB2の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。
このように、第2のHPF113及び第1のLPF114を含む第1の回路110aと、第1のBPF121、第2のBPF122及びBEF123を含む第2の回路120aとを直列に接続するだけの簡易な構成で、それぞれ異なる周波数帯域の複数のバンドの信号を同時に送受信することが可能となり、かつ、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度を高くできる。
第2のHPF113における、第1のLPF114の通過帯域に相当する帯域での減衰量は、第1のローパスフィルタ(第1のLPF114)が無い場合と比べて、15dB以上であり、第2のHPF113は、インダクタおよびキャパシタから構成され、第1のLPF114は、インダクタおよびキャパシタから構成されてもよい。以上の構成により、歪特性が改善される。この理由としては、以下が考えられる。
弾性波共振子は基本的に歪特性が悪く、送信信号などの高い信号強度の高周波信号が印加されると、高調波(2倍波、3倍波など)や相互変調歪(IMD2、IMD3)等の歪が発生する。歪の発生は、通信装置の受信感度の劣化等に繋がるため、出来るだけ歪を発生させないことが通信品質上重要となる。
例えば、図12においてPort17より第1のLPF114の通過帯域であるローバンド(LB)の送信信号が入力された場合、LBの送信信号はPort21に出力されると同時に、一部の信号は第2のHPF113にて減衰されつつも第2の回路120aに回り込み、第2の回路120aに含まれる弾性波共振子において歪が発生する。
ここで、第2のHPF113における、第1のLPF114の通過帯域に相当する帯域での減衰量が15dB以上であれば、第2の回路120aに到達するLBの送信信号は効果的に抑えられる。よって、第2の回路120aで発生する歪を有効に抑えることが出来る。
特に、LBの通過帯域が452〜960MHz、第2の回路120aの通過帯域が1427〜2690MHzの場合、LBの2倍波や3倍波が第2の回路120aの通過帯域と一部重複する。このような場合、通信感度の劣化につながってしまう。従って、このような周波数構成ではLBの信号が第2の回路120aに出来るだけ到達しない様に、第2のHPF113における、第1のLPF114の通過帯域に相当する帯域での減衰量を15dB以上確保することは極めて有効である。
また、第2のHPF113及び第1のLPF114は、それぞれインダクタおよびキャパシタから構成されていることが望ましい。インダクタやキャパシタは歪特性が良好な素子であるためである。
図13は、その他の実施の形態に係る高周波回路2cの一例を示す構成図である。
図13に示されている高周波回路2cにおいて、第2の回路120bは、BEF123と第1のBPF121に加えて、さらにハイパスフィルタ(HPF124)を含む。
また、第2のHPF113の通過帯域は、第1のLPF114の通過帯域よりも高域側に位置し、BEF123の減衰帯域、並びに、第1のBPF121及びHPF124の通過帯域は、第1のLPF114の通過帯域よりも高域側に位置し、かつ、第2のHPF113の通過帯域と重複する。これにより、高周波回路2cの端子Port21と端子Port14〜17のそれぞれとを結んだ各経路における通過特性は、図8の(b)に示されるものからUHB及びLTE−Uを除いたものになる。
以上の構成により、高周波回路2cは、低域側の例えばLBの信号から高域側の例えばHB2の信号まで広い周波数帯域の信号のCA化に対応できる。また、BEF123の減衰帯域と第1のBPF121の通過帯域(HB1)及びHPF124の通過帯域(HB2)とが重複するため、第1のBPF121の通過帯域及びHPF124の通過帯域が第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)と重複しない。したがって、第1のBPF121又はHPF124の通過帯域の周波数成分を有する信号と第2のHPF113の通過帯域のうちBEF123の減衰帯域を除く帯域(MB)の周波数成分を有する信号とが互いに影響を与えにくくなる。また、第2のHPF113の通過帯域の一部が、BEF123の急峻度が高い減衰スロープによって減衰させられることで、直列に接続された第2のHPF113及びBEF123の減衰スロープの急峻度が高くなる。したがって、MBの高周波信号とHB1の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。また、第1のBPF121及びHPF124のそれぞれの減衰スロープの急峻度は高いため、HB1の高周波信号とHB2の高周波信号とは、互いに影響を与えにくくなる。
このように、第2のHPF113及び第1のLPF114を含む第1の回路110aと、第1のBPF121、HPF124及びBEF123を含む第2の回路120bとを直列に接続するだけの簡易な構成で、それぞれ異なる周波数帯域の複数のバンドの信号を同時に送受信することが可能となり、かつ、通過特性における遷移帯域に位置する減衰スロープの急峻度を高くできる。
図14は、第2の回路120cが、第2のBPF122を備えず、第1のBPF121を備える高周波回路2dの一例を示す構成図である。図14の高周波回路2dにおいて、1つの信号経路が3つの信号経路に分けられる。つまり、図14の高周波回路2dは、1つの信号経路を3つの信号経路に分けるトリプレクサである。例えば、図14の高周波回路2dにおいて、端子Port15を通過する信号経路には周波数帯域2300MHz〜2690MHzの高周波信号(HBの高周波信号)が伝搬する。例えば、端子Port16を通過する信号経路には周波数帯域1427MHz〜2200MHzの高周波信号(MBの高周波信号)が伝搬する。例えば、端子Port17を通過する信号経路には周波数帯域452MHz〜960MHzの高周波信号(LBの高周波信号)が伝搬する。この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する3つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
なお、高周波回路2dが第1のBPF121の代わりにハイパスフィルタ(HPF124)を備える場合であっても同様の作用、効果を得ることが出来る。
図15は、第2の回路120cが、第2のBPF122を備えず、第1のBPF121を備え、第1の回路110と第2の回路120cとの間に整合回路を備えない高周波回路2eの一例を示す構成図である。
図15に示されるように、高周波回路2eは、第1の回路110及び第1の回路110に直列に接続された第2の回路120cを備える。また、高周波回路2eは、第3のHPF131及び第3のLPF132を備える。
第1の回路110は、第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113及び第1のLPF114を含む。第2の回路120cは、BEF123と第1のBPF121とを含む。
高周波回路2eは、端子Port11〜Port13およびPort15〜Port17を備える。端子Port11には、例えば、アンテナ素子が接続される。また、端子Port12、Port13およびPort15〜Port17を通過する信号経路には、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する。本実施の形態では、高周波回路2eは、受信経路に適用され、端子Port11に入力された高周波信号を分波して端子Port12、Port13およびPort15〜Port17から出力する機能を有する。なお、高周波回路2eは、送信経路に適用され、端子Port12、Port13およびPort15〜Port17に入力された高周波信号を合波して端子Port11から出力する機能を有していてもよい。
図15の高周波回路2eにおいて、1つの信号経路が5つの信号経路に分けられる。つまり、図15の高周波回路2eは、1つの信号経路を5つの信号経路に分けるペンタプレクサである。
端子Port12を通過する信号経路には例えばLTE−Uの高周波信号が伝搬する。端子Port13を通過する信号経路には例えばUHBの高周波信号が伝搬する。端子Port15を通過する信号経路には例えばHBの高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。端子Port17を通過する信号経路には例えばLBの高周波信号が伝搬する。例えば、LTE−Uは5GHz帯の周波数帯域であり、UHBは3400MHz〜3800MHzの周波数帯域であり、HBは2300MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、MBは1427MHz〜2200MHzの周波数帯域であり、LBは452MHz〜960MHzの周波数帯域である。なお、上記の周波数帯域は一例であり、本発明は、その他の周波数帯域にも適用可能である。高周波回路2eは、例えば、端子Port11に接続される信号経路を端子Port12、Port13およびPort15〜Port17のそれぞれに分岐させる回路である。
この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する5つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
図16は、第1の回路110と第2の回路120aとの間に整合回路を備えない高周波回路2fの一例を示す構成図である。
高周波回路2fは、端子Port11〜Port17を備える。端子Port11には、例えば、アンテナ素子が接続される。また、端子Port12〜Port17を通過する信号経路には、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する。本実施の形態では、高周波回路2fは、受信経路に適用され、端子Port11に入力された高周波信号を分波して端子Port12〜Port17から出力する機能を有する。なお、高周波回路2fは、送信経路に適用され、端子Port12〜Port17に入力された高周波信号を合波して端子Port11から出力する機能を有していてもよい。
図16の高周波回路2fにおいて、1つの信号経路が6つの信号経路に分けられる。つまり、図16の高周波回路2fは、1つの信号経路を6つの信号経路に分けるヘクサプレクサである。
端子Port12を通過する信号経路には例えばLTE−Uの高周波信号が伝搬する。端子Port13を通過する信号経路には例えばUHBの高周波信号が伝搬する。端子Port14を通過する信号経路には例えばHB2の高周波信号が伝搬する。端子Port15を通過する信号経路には例えばHB1の高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。端子Port17を通過する信号経路には例えばLBの高周波信号が伝搬する。
例えば、LTE−Uは5GHz帯の周波数帯域であり、UHBは3400MHz〜3800MHzの周波数帯域であり、HB2は2496MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、HB1は2300MHz〜2400MHzの周波数帯域であり、MBは1427MHz〜2200MHzの周波数帯域であり、LBは452MHz〜960MHzの周波数帯域である。なお、上記の周波数帯域は一例であり、本発明は、その他の周波数帯域にも適用可能である。高周波回路2fは、例えば、端子Port11に接続される信号経路を端子Port12〜Port17のそれぞれに分岐させる回路である。
この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する6つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
図17は、その他の実施の形態に係る高周波回路2gの一例を示す構成図である。
図17に示されるように、高周波回路2gは、第2のHPF113を含む第1の回路110bを備える。また、高周波回路2gは、第1の回路110bに直列に接続され、BEF123と第1のBPF121とを含む第2の回路120cを備える。BEF123と第1のBPF121とのうちの少なくとも1つは、弾性波共振子で構成される。
図17の高周波回路2gにおいて、1つの信号経路が2つの信号経路に分けられる。つまり、図17の高周波回路2gは、1つの信号経路を2つの信号経路に分けるダイプレクサである。
端子Port15を通過する信号経路には例えばHBの高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。例えば、HBは2300MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、MBは1427MHz〜2200MHzの周波数帯域である。この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する2つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
第2のHPF113における帯域外の減衰量は15dB以上である。帯域外の周波数としては、例えばLBの高周波信号である452MHz〜960MHzの周波数帯である。この構成により、Port21から侵入してきたLBの高周波信号が、第2の回路120cに到達する間に十分減衰されるため、歪特性が改善される。
例えば、図17の高周波回路2gはLBを含まない用途に最適に用いられる。例えば、HBの高周波信号とMBの高周波信号とを用いた4x4 multiple−input and multiple−output(所謂4x4 MIMO、送信用、受信用でそれぞれ4本のアンテナを使用して同時にデータを送受信する技術)に最適に用いられる。
図18は、その他の実施の形態に係る高周波回路2hの一例を示す構成図である。
図18に示されるように、高周波回路2hは、第1の回路110c及び第1の回路110cに直列に接続された第2の回路120cを備える。また、高周波回路2hは、第3のHPF131及び第3のLPF132を備える。高周波回路2hは、端子Port12、Port13、Port15、Port16を備える。
第1の回路110cは、第1のHPF111、第2のLPF112、第2のHPF113を含む。第2の回路120cは、BEF123と第1のBPF121とを含む。BEF123と第1のBPF121とは、弾性波共振子で構成される。本実施の形態では、例えば、BEF123、第1のBPF121のいずれも弾性表面波共振子で構成される。
端子Port11には、例えば、アンテナ素子が接続される。また、端子Port12、Port13、Port15、Port16を通過する信号経路には、それぞれ互いに異なる周波数帯域の高周波信号が伝搬する。本実施の形態では、高周波回路2hは、受信経路に適用され、端子Port11に入力された高周波信号を分波し、端子Port12、Port13、Port15、Port16から出力する機能を有する。なお、高周波回路2hは、送信経路に適用され、端子Port12、Port13、Port15、Port16に入力された高周波信号を合波して端子Port11から出力する機能を有していてもよい。
図18の高周波回路2hにおいて、1つの信号経路が4つの信号経路に分けられる。つまり、図18の高周波回路2hは、1つの信号経路を4つの信号経路に分けるクアッドプレクサである。
端子Port12を通過する信号経路には例えばLTE−Uの高周波信号が伝搬する。端子Port13を通過する信号経路には例えばUHBの高周波信号が伝搬する。端子Port15を通過する信号経路には例えばHBの高周波信号が伝搬する。端子Port16を通過する信号経路には例えばMBの高周波信号が伝搬する。例えば、LTE−Uは5GHz帯の周波数帯域であり、UHBは3400MHz〜3800MHzの周波数帯域であり、HBは2300MHz〜2690MHzの周波数帯域であり、MBは1427MHz〜2200MHzの周波数帯域である。なお、上記の周波数帯域は一例であり、本発明は、その他の周波数帯域にも適用可能である。高周波回路2hは、例えば、端子Port11に接続される信号経路を端子Port12、Port13、Port15、Port16のそれぞれに分岐させる回路である。この構成であると、異なる周波数帯域の通過帯域を有する4つの信号を同時に送信、受信、またはその両方を行うキャリアアグリゲーションが可能となる。
第2のHPF113における第2のLPF112の通過帯域の減衰量は15dB以上である。この構成により、歪特性が改善される。
例えば、図18の高周波回路2hは、LTE−Uの高周波信号と、UHBの高周波信号と、HBの高周波信号、とMBの高周波信号とを用いた4x4 multiple−input and multiple−output(所謂4x4 MIMO、送信用、受信用でそれぞれ4本のアンテナを使用して同時にデータを送受信する技術)に最適に用いられる。
また、例えば、上記実施の形態では、第1の回路に含まれるBEFは、図2Aに示される回路構成であったが、これに限らず、弾性波共振子を用いたその他の回路構成で実現されるBEFであってもよい。また、第2の回路に含まれるBPFは、図2Bに示される回路構成であったが、これに限らず、弾性波共振子を用いたその他の回路構成で実現されるBPFであってもよい。
また、例えば、実施の形態1では、3つの信号経路が1つにまとめられた(つまりトリプレクサ)が、これに限らず、4つ以上の信号経路が1つにまとめられてもよい(つまりクアッドプレクサ、ペンタプレクサ、へクサプレクサまたはそれ以上のマルチプレクサ)。
また、例えば、実施の形態2では、1つの信号経路が6つの信号経路に分けられたが、これに限らない。例えば、高周波回路2が第3のHPF131及び第3のLPF132を備えない場合、又は、第2の回路120がBPFを1つ含む場合、1つの信号経路が5つの信号経路に分けられてもよい。また、例えば、高周波回路2が第3のHPF131及び第3のLPF132を備えず、かつ、第2の回路120がBPFを1つ含む場合、1つの信号経路が4つの信号経路に分けられてもよい。
また、実施の形態1の変形例では、通信装置100は、高周波回路1aを備えたが、これに限らず、例えば高周波回路1を備えてもよい。つまり、通信装置100は、LNA回路30、スイッチ回路40及び第3の回路50等を備えなくてもよい。
また、実施の形態2の変形例では、通信装置200は、高周波回路2aを備えたが、これに限らず、例えば高周波回路2を備えてもよい。つまり、通信装置200は、LNA回路160、スイッチ回路170及び第3の回路180等を備えなくてもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。