(7.詳細な説明)
(7.1 概説)
本明細書に提供されるのは、対象のβ-サラセミア、例えば、輸血依存性又は輸血非依存性β-サラセミアを治療する方法であって、対象にActRIIシグナル伝達インヒビターを投与することを含む、方法である。
(7.2 略語及び術語)
本明細書で使用されるように、数と一緒に使用されるときの「約」という用語は、言及された数の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%以内の任意の数を指す。ある実施態様において、「約」という用語は、列挙されている正確な数を包含する。
本明細書で使用されるように、「ActRII」は、アクチビン受容体II型を指す。本明細書で使用されるように、「ActRIIA」は、アクチビン受容体IIA型を指す。例えば、Mathews及びValeの文献、1991, Cell 65:973-982を参照されたい。GenBank(商標)アクセッション番号NM_001278579.1は、例示的なヒトActRIIA核酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP_001265508.1は、例示的なヒトActRIIAアミノ酸配列を提供する。本明細書で使用されるように、「ActRIIB」は、アクチビン受容体IIB型を指す。例えば、Attisanoらの文献、1992, Cell 68: 97-108を参照されたい。GenBank(商標)アクセッション番号NM_001106.3は、例示的なヒトActRIIB核酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP_001097.2は、例示的なヒトActRIIBアミノ酸配列を提供する。
本明細書で使用されるように、「ActRIIA-mFc」又は「mActRIIA-Fc」は、マウスアクチビンIIA型受容体-IgG1融合タンパク質を指す。例えば、米国特許第8,173,601号を参照されたい。本明細書で使用されるように、「mActRIIB-Fc」又は「ActRIIB-mFc」は、マウスアクチビンIIB型受容体-IgG1融合タンパク質を指す。例えば、米国特許第8,173,601号を参照されたい。本明細書で使用されるように、「hActRIIA-Fc」又は「ActRIIA-hFc」は、ヒトアクチビンIIA型受容体-IgG1融合タンパク質を指す。例えば、米国特許第8,173,601号を参照されたい。ある実施態様において、ActRIIA-hFcは、配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用されるように、「hActRIIB-Fc」又は「ActRIIB-hFc」は、ヒトアクチビンIIB型受容体-IgG1融合タンパク質を指す。例えば、米国特許第8,173,601号を参照されたい。ある実施態様において、ActRIIB-hFcは、配列番号25のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。
「AE」は、有害事象を指す。
「β0」は、βグロビンサブユニット合成の欠如と関連するアレルを指す。
「β+」は、βグロビンサブユニット合成の低下と関連するアレルを指す。
「Hb」は、ヘモグロビンタンパク質を指す。GenBank(商標)アクセッション番号NP_000549.1(配列番号48)は、ヒトヘモグロビンαサブユニットの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP_000509.1(配列番号49)は、ヒトヘモグロビンβサブユニットの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP_000550.2(配列番号50)は、ヒトヘモグロビンγサブユニットの例示的なアミノ酸配列を提供する。通常、ヒト成人における最も一般的な形態のヘモグロビンは、2つのαサブユニット及び2つのβサブユニットを含む。「ヘモグロビンF」又は「HbF」とも呼ばれる胎児ヘモグロビンは、2つのαサブユニット及び2つのγサブユニットを含む。
「HbE」又は「ヘモグロビンE」は当技術分野で認められている用語であり、ヘモグロビン、例えば、ヒトヘモグロビンの突然変異形態を指す。ヘモグロビンEは、2つのαサブユニット及び2つのβサブユニットを含み、ここで、βサブユニットの位置26は、グルタミン酸からリジンへと(E26K)突然変異している。
「HbE/β-サラセミア」は、ヘモグロビンEとβ0アレルの共遺伝を指す。
「HbS」又は「ヘモグロビンS」は当技術分野で認められている用語であり、ヘモグロビン、例えば、ヒトヘモグロビンの突然変異形態を指す。ヘモグロビンSは、2つのαサブユニット及び2つのβサブユニットを含み、ここで、βサブユニットの位置6は、グルタミンからバリンへと(G6V)突然変異している。
ある実施態様において、赤血球の1単位は、約400〜500mLの献血から得られる濃厚赤血球の量を指す。
(7.3 治療及び/又は予防の方法)
(7.3.1 β-サラセミア)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のβ-サラセミアを治療及び/又は予防する方法であって、対象にActRIIシグナル伝達インヒビター(例えば、アクチビンリガンドトラップ)の約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.1mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該ActRIIシグナル伝達インヒビターが、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与される、方法である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象のβ-サラセミアを治療及び/又は予防する方法であって、対象にActRIIシグナル伝達インヒビター(例えば、アクチビンリガンドトラップ)の約0.8mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該ActRIIシグナル伝達インヒビターが、対象に対して、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与される、方法である。
ある実施態様において、β-サラセミアとの関連における「治療する」、「治療」、又は「治療すること」は、β-サラセミアの少なくとも1つの症状の改善を含む。βサラセミアの症状の非限定的な例としては、骨髄における赤血球産生の欠陥、無効造血、ヘモグロビンレベルの不足、多臓器機能不全、鉄過剰症、蒼白、疲労、黄疸、及び脾腫が挙げられる。
ある実施態様において、対象は、第7.5節に記載されているような対象である。ある実施態様において、β-サラセミアは輸血依存性β-サラセミアである。ある実施態様において、β-サラセミアは、輸血非依存性β-サラセミアである。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されるActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.1節に記載されているようなActRIIAシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIAシグナル伝達インヒビターは、ActRIIA-Fc、例えば、ActRIIA-hFc(例えば、配列番号7)である。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、第7.9節に記載されているような組成物として投与される。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、第7.8節に記載されているような第二の医薬活性剤又は療法と組み合わせて投与される。
ある実施態様において、該方法は、対象に、第7.3.2節又は第7.4節に記載されているようなActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含む。例えば、該方法は、対象に施されるべき後続の投与レジメンを決定するための手段としての対象におけるヘモグロビン濃度の解析をさらに含むことができる。ある実施態様において、対象におけるヘモグロビン濃度を用いて、(i)対象にとっての適切な投与を評価すること(ここで、該対象は、ActRIIシグナル伝達インヒビター(例えば、アクチビンリガンドトラップ)で治療されることになる候補であるかもしくはそれで治療されている);(ii)治療中にActRIIシグナル伝達インヒビターの投薬量を調整するかどうかを評価すること;及び/又は(iii)ActRIIシグナル伝達インヒビターの適切な維持用量を評価することができる。対象におけるヘモグロビン濃度に応じて、ActRIIシグナル伝達インヒビターの投与を開始するか、増大させるか、低下させるか、延期するか、又は終了することができる。例えば、表1及び表2を参照されたい。ある実施態様において、該方法は、(a)対象におけるヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること;(b)第一の期間の後、対象におけるヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;並びに(c)第二の期間の後、初期用量の投与を中止すること及び対象にActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該後続用量は、皮下注射によって、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、該方法は、対象におけるヘモグロビン濃度の第三の測定値を取得することをさらに含む。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量は、約1.25mg/kgの最大後続用量まで増量される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における赤血球応答をもたらす。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも33%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも50%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも25%、30%、33%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月の少なくとも25%、30%、33%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも12週間の少なくとも33%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも12週間の少なくとも50%の輸血負荷の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも1、2、3、4、又はそれより多くの赤血球単位の赤血球輸血の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における最低少なくとも8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月の少なくとも1、2、3、4、又はそれより多くの赤血球単位の赤血球輸血の低下を含む。ある実施態様において、赤血球応答は、対象における少なくとも12週間の少なくとも2単位の赤血球の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、(i)対象における少なくとも12週間の少なくとも33%の輸血負荷の低下、及び(ii)対象における少なくとも12週間の少なくとも2単位の赤血球の低下を含み、ここで、該対象は輸血依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、輸血負荷の低下は、ベースライン時の本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象の輸血負荷と比較したときのものである。ある実施態様において、赤血球の単位の低下は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象に投与される赤血球の単位と比較したときのものである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における赤血球応答をもたらす。ある実施態様において、赤血球応答は、本明細書に提供される方法による治療の前の対象におけるヘモグロビン濃度と比較して、対象における0.75g/dL、1g/dL、1.25g/dL、又は1.5g/dLを超えるヘモグロビン濃度の増加を含み、ここで、該ヘモグロビン濃度は、対象への輸血の非存在下における少なくとも連続12週間にわたる対象におけるヘモグロビン濃度によって測定され、かつ該対象は輸血非依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、赤血球応答は、本明細書に提供される方法による治療の前の対象におけるヘモグロビン濃度と比較して、対象における1g/dLを超えるヘモグロビン濃度の増加を含み、ここで、該ヘモグロビン濃度は、対象への輸血の非存在下における少なくとも連続12週間にわたる対象におけるヘモグロビン濃度によって測定され、かつ該対象は輸血非依存性βサラセミアを有する。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法に従って治療される輸血依存性β-サラセミア対象は、治療後少なくとも8週間、9週間、10週間、12週間、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は1年間、赤血球輸血を必要としない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法に従って治療される輸血依存性β-サラセミア対象は、治療後少なくとも8週間、赤血球輸血を必要としない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法に従って治療される輸血依存性β-サラセミア対象は、治療後少なくとも12週間、赤血球輸血を必要としない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法に従って治療される輸血依存性β-サラセミア対象は、治療後少なくとも8週間、赤血球輸血を必要としない。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度のレベルと比較して、対象における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の肝鉄濃度の減少をもたらす。ある実施態様において、対象における肝鉄濃度は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度と比較して、約10%減少する。ある実施態様において、対象における肝鉄濃度は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度と比較して、約15%減少する。ある実施態様において、対象における肝鉄濃度は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度と比較して、約20%減少する。ある実施態様において、対象における肝鉄濃度は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度と比較して、5%〜30%減少する。ある実施態様において、対象における肝鉄濃度は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における肝鉄濃度と比較して、10%〜30%減少する。ある実施態様において、肝鉄濃度は、第7.7節に記載されているアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における心筋鉄濃度と比較して、対象における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の心筋鉄濃度の減少をもたらす。ある実施態様において、心筋鉄濃度は、第7.7節に記載されているアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、例えば、対象に投与される1以上の鉄キレート治療剤の用量又は頻度の減少などの、対象における1日当たりの鉄キレート療法の低下をもたらす。鉄キレート治療剤の非限定的な例としては、デフェラシロクス、デフェリプロン、及びデフェロキサミンが挙げられる。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1週間、2週間、3週間、又は4週間以内の対象における血清フェリチンレベルと比較して、対象における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の血清フェリチンレベルの低下をもたらす。ある実施態様において、血清フェリチンレベルは、第7.7節に記載されているアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における胎児ヘモグロビン濃度と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは少なくとも500%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは高々500%の対象における胎児ヘモグロビン濃度の増加をもたらす。ある実施態様において、胎児ヘモグロビン濃度は、第7.7節に記載されているようなアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象におけるGDF11濃度と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは少なくとも500%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは高々500%の対象におけるGDF11濃度の減少をもたらす。ある実施態様において、GDF11濃度は、第7.7節に記載されているようなアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の前1、2、3、又は4週間以内の症状と比較して、1以上のβ-サラセミアの臨床的合併症と関連する症状を軽減する。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、1以上の輸血依存性β-サラセミアの臨床的合併症と関連する症状を軽減する。輸血依存性β-サラセミアの非限定的な例としては、成長遅延、蒼白、黄疸、筋肉組織の不良、外反膝、肝脾腫大症、下腿潰瘍、髄外造血による腫瘤(mass)の発生、骨髄の拡大による骨格変化、並びに例えば、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、及びヒト免疫不全ウイルス感染などの長期赤血球輸血の臨床的合併症、同種免疫、並びに例えば、肝臓障害、心臓障害、及び内分泌腺障害などの、鉄過剰症による臓器障害が挙げられる。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における症状と比較して、1以上の輸血非依存性β-サラセミアの臨床的合併症と関連する症状を軽減する。輸血非依存性β-サラセミアの非限定的な例としては、例えば、真性糖尿病、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症などの内分泌腺異常、血栓事象、肺高血圧症、凝固性亢進、高齢期の輸血依存性の発症、無効造血、骨髄髄質の外側への造血組織の拡大、髄外造血腫瘤の形成、骨格の変形、骨減少症、骨粗鬆症、骨痛、胆石、下腿潰瘍、及び同種免疫が挙げられる。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における赤血球形態と比較して、対象における赤血球形態を改善する。赤血球形態の改善の非限定的な決定因子としては、対象における異常赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下、対象における好塩基性斑点を有する赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下、対象における奇形赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下、対象における破砕赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下、及び対象における不規則に縮小した赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における異常赤血球の数と対象における赤血球の総数の比と比較して、対象における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の対象における異常赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における好塩基性斑点を有する赤血球の数と本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における赤血球の総数の比と比較して、対象における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の対象における好塩基性斑点を有する赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における奇形赤血球の数と本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における赤血球の総数の比と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の対象における奇形赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における破砕赤血球の数と本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における赤血球の総数の比と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の対象における破砕赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、対象における不規則に縮小した赤血球の数と本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における赤血球の総数の比と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは少なくとも100%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは高々100%の対象における不規則に縮小した赤血球の数と対象における赤血球の総数の比の低下をもたらす。ある実施態様において、赤血球形態は、第7.7節に記載されているようなアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の骨粗鬆症の1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの症状の軽減をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の骨減少症の1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの症状の軽減をもたらす。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における骨ミネラル密度と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは少なくとも500%、又は高々5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、もしくは高々500%の対象における骨ミネラル密度の増加をもたらす。ある実施態様において、該骨ミネラル密度は、全身骨ミネラル密度、全股関節骨ミネラル密度、又は腰椎骨ミネラル密度である。ある実施態様において、該骨ミネラル密度は、第7.7節に記載されているようなアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における骨格の変形と比較して、対象における骨格の変形の減少をもたらす。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象(例えば、第7.5節に記載されているような対象)の治療は、本明細書に提供される方法による対象の治療の開始前1、2、3、又は4週間以内の対象における生活の質と比較して、対象における生活の質の改善をもたらす。ある実施態様において、生活の質は、第7.7節に記載されているようなアッセイに従って決定される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
(7.3.2 調整投与)
また本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象(第7.3.1節を参照)のβ-サラセミアを治療する方法であって、対象に施されるべき後続の投与レジメンを決定するための手段としての対象におけるヘモグロビン濃度の解析をさらに含む、方法である。ある実施態様において、対象におけるヘモグロビン濃度を用いて、(i)対象にとっての適切な投与を評価すること(ここで、該対象は、ActRIIシグナル伝達インヒビター(例えば、アクチビンリガンドトラップ)で治療されることになる候補であるかもしくはそれで治療されている);(ii)治療中にActRIIシグナル伝達インヒビターの投薬量を調整するかどうかを評価すること;及び/又は(iii)ActRIIシグナル伝達インヒビターの適切な維持用量を評価することができる。対象におけるヘモグロビン濃度に応じて、ActRIIシグナル伝達インヒビターの投与を開始するか、増大させるか、低下させるか、延期するか、又は終了することができる。例えば、表1及び表2を参照されたい。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
表1.後続の投与レジメン:投与延期、用量低下、及び投与中止
ある実施態様において、それを必要としている対象(第7.3.1節を参照)のβ-サラセミアを治療する方法は、(a)対象におけるヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること;(b)第一の期間の後、対象におけるヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;並びに(c)第二の期間の後、初期用量の投与を中止すること及び対象にActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該後続用量は、皮下注射によって、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、該方法は、対象におけるヘモグロビン濃度の第三の測定値を取得することをさらに含む。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、第一の測定値及び/又は第二の測定値は、第7.7節に記載されている通りに取得される。ある実施態様において、ヘモグロビン濃度の第一の測定値は、対象にActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量を投与する前に取得される。ある実施態様において、ヘモグロビン濃度の第一の測定値は、ActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量が対象に投与された直後、又は高々その1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは1週間以内に取得される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、ヘモグロビン濃度の第二の測定値は、ActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量が対象に投与されてから約3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月後に取得される。
ある実施態様において、第二の期間は、第二の測定値が取得されたときから1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、又は12週間以内である。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量は、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.6mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.25mg/kgである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量は、約1.25mg/kgの最大後続用量まで増量される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、該方法は、対象におけるヘモグロビン濃度の第三の測定値を取得することをさらに含む。
具体的な実施態様において、(a)ヘモグロビン濃度の第二の測定値は12.5g/dL以下であり;(b)ヘモグロビン濃度の第二の測定値はヘモグロビン濃度の第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;かつ(c)後続用量は初期用量と等しい。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
別の具体的な実施態様において、(a)ヘモグロビン濃度の第二の測定値は12.5g/dL以下であり;(b)ヘモグロビン濃度の第二の測定値はヘモグロビン濃度の第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;かつ(c)後続用量は初期用量よりも約25%少ない。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
また別の具体的な実施態様において、(a)ヘモグロビン濃度の第二の測定値は、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり;かつ(ii)ヘモグロビン濃度の第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;(b)後続用量は初期用量と等しく;かつ(c)第二の期間は、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
また別の具体的な実施態様において、(a)ヘモグロビン濃度の第二の測定値は、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;(b)後続用量は初期用量よりも約25%少なく;かつ(c)第二の期間は、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が(i)12.5g/dL以下であると決定され、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の第一の測定値とヘモグロビン濃度の第三の測定値の変化が1.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
また別の具体的な実施態様において、(a)ヘモグロビン濃度の第二の測定値は14g/dL超であり;(b)後続用量は初期用量よりも約25%少なく;かつ(c)第二の期間は、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL未満となるまでの最大12週間の投与延期からなる。ある実施態様において、該方法は、ヘモグロビン濃度の第三の測定値を決定することをさらに含む。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、初期用量は、第7.4節に記載されている通りに投与される。ある実施態様において、初期用量は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、皮下注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象の上腕、腹部、又は大腿部への皮下注射によって、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、初期用量は、第7.4節に記載されている通りに投与される。ある実施態様において、初期用量は、21日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、皮下注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象の上腕、腹部、又は大腿部への皮下注射によって、21日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、初期用量は、第7.4節に記載されている通りに投与される。ある実施態様において、初期用量は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、皮下注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、初期用量は、対象の上腕、腹部、又は大腿部への皮下注射によって、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、後続用量は、第7.4節に記載されている通りに投与される。ある実施態様において、後続用量は、21日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、後続用量は、皮下注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、後続用量は、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、後続用量は、対象の上腕、腹部、又は大腿部への皮下注射によって、21日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある実施態様において、後続用量は、第7.4節に記載されている通りに投与される。ある実施態様において、後続用量は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、後続用量は、皮下注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、後続用量は、対象に対して、対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される。ある実施態様において、後続用量は、対象の上腕、腹部、又は大腿部への皮下注射によって、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日に1回、対象に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。
ある他の実施態様において、対象は、第7.5節に記載されているような対象である。ある実施態様において、対象はβ-サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は輸血依存性β-サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は重症型β-サラセミアを有する。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは重症型β-サラセミアである。ある実施態様において、対象は輸血非依存性β-サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は中間型β-サラセミアを有する。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアは中間型β-サラセミアである。
ある実施態様において、ヘモグロビン濃度(すなわち、第一のヘモグロビン濃度、第二のヘモグロビン濃度、及び第三のヘモグロビン濃度)は、第7.7節に記載されている通りに決定される。
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、第7.8節に記載されているような、第二の医薬活性剤又は療法と組み合わせて使用することができる。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6節に記載されている通りである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.2節に記載されているようなActRIIBシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.1節に記載されているようなActRIIAシグナル伝達インヒビターである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIA-Fc、例えば、ActRIIA-hFc(例えば、配列番号7)である。
(7.4 投与レジメン)
ある実施態様において、本明細書に提供される方法(第7.3.1節及び第7.3.2節を参照)に従って投与されるActRIIシグナル伝達インヒビターの用量は、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、又は約1.2mg/kgである。ある実施態様において、本明細書に提供される方法(第7.3.1節及び第7.3.2節を参照)に従って投与されるActRIIシグナル伝達インヒビターの用量は、約0.8mg/kgである。ある実施態様において、ActRIIインヒビターは、第7.6.2節に示されているようなActRIIBシグナル伝達のインヒビターである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIB-Fc、例えば、ActRIIB-hFc(例えば、配列番号25)である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.6.1節に示されているようなActRIIAシグナル伝達のインヒビターである。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIA-Fc、例えば、ActRIIA-hFc(例えば、配列番号7)である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIAシグナル伝達インヒビターとActRIIBシグナル伝達インヒビターの組合せである。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に皮下投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、皮下投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に21日毎に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日毎に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、21日毎に、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、皮下投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、対象に、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日毎に、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、皮下投与される。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第7.9節に記載されているような組成物である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、注射用水で再構成される防腐剤を含まない滅菌凍結乾燥粉末である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの単一用量は、1mLを超える容量の注射用水中で再構成される。そのような実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの単一用量は、等量の再構成されたActRIIシグナル伝達インヒビターの2回の注射によって、対象に投与される。ある実施態様において、該2回の注射は、別々の部位で、対象に投与され、例えば、1回の注射は右大腿部に、1回の注射は左大腿部に投与される。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの用量は初期用量である。ある実施態様において、初期用量は、約0.8mg/kgである。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの用量は後続用量である。ある実施態様において、後続用量は初期用量よりも多い。ある実施態様において、後続用量は初期用量よりも少ない。ある実施態様において、後続用量は、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.6mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.25mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.6mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.25mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約0.3mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約0.45mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約0.6mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約1.0mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、約1.25mg/kgである。ある実施態様において、後続用量は、初期用量よりも約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、もしくは約35mg多いか、又は初期用量よりも約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.15mg/kg、約0.25mg/kg、約0.3mg/kg、約0.35mg/kg、約0.4mg/kg、もしくは約0.5mg/kg多い。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量は、約0.2マイクログラム/kg以上の血清濃度を達成するのに十分な間隔及び量で投与され、約1マイクログラム/kg又は2マイクログラム/kg又はそれを上回る血清レベルは、骨密度及び骨強度に対する顕著な効果を達成するのに望ましい。後続の投与レジメンは、0.2〜15マイクログラム/kg、任意に、1〜5マイクログラム/kgの血清濃度に達するように設計することができる。ヒトでは、0.2マイクログラム/kgの血清レベルを約0.1mg/kg以上の単一後続用量で達成することができ、1マイクログラム/kgの血清レベルを約0.3mg/kg以上の単一後続用量で達成することができる。分子の観察される血清半減期は、約20〜30日であり、ほとんどのFc融合タンパク質よりも実質的に長く、したがって、例えば、約0.2〜0.4mg/kgを1週間に1回もしくは2週間に1回の頻度で投与することにより、持続的有効血清レベルを達成することができるか、又は投与間の間隔をより長くして、より大きい用量を使用することができる。例えば、約1〜3mg/kgの後続用量を1カ月に1回もしくは2カ月に1回の頻度で使用することができ、骨に対する効果は、投与が、3、4、5、6、9、12カ月、又はそれより長い期間に1回しか必要ないほど十分に長持ちし得る。ActRIIシグナル伝達インヒビターの血清レベルは、当業者に公知の任意の手段によって測定することができる。例えば、ActRIIシグナル伝達インヒビターに対する抗体を用いて、例えば、ELISAを用いて、ActRIIシグナル伝達インヒビターの血清レベルを決定することができる。
ある実施態様において、後続用量は初期用量よりも高い頻度で投与される。ある実施態様において、後続用量は初期用量よりも低い頻度で投与される。ある実施態様において、後続用量は初期用量と同じ頻度で投与される。ある実施態様において、後続用量は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日毎に投与される。ある実施態様において、後続用量は、21日毎に投与される。ある実施態様において、後続用量は、継続的に及び/又は無制限に投与される。
本明細書に提供される用量(例えば、ActRIIシグナル伝達インヒビターの用量又は第二の活性剤の用量)と一緒に使用されるとき、「約」という語は、言及された数の1、5、又は10%以内の任意の数を指す。
(7.5 患者集団)
本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、任意の哺乳動物、例えば、齧歯類及び霊長類、好ましい実施態様においては、ヒトであることができる。ある実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて、対象のβ-サラセミア、例えば、輸血依存性β-サラセミア、輸血非依存性β-サラセミア、重症型β-サラセミア、及び中間型β-サラセミアを治療し、β-サラセミアを有する対象の輸血負荷を低下させ、もしくは該治療をモニタリングし、及び/又は任意の哺乳動物、例えば、齧歯類もしくは霊長類で、より好ましい実施態様においては、ヒト対象で、本明細書に提供される方法に従って治療される対象を選択することができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、任意の年齢であることができる。ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は18歳未満である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は13歳未満である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、又は5歳未満である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、1〜3歳、3〜5歳、5〜7歳、7〜9歳、9〜11歳、11〜13歳、13〜15歳、15〜20歳、20〜25歳、25〜30歳、又は30歳超である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、30〜35歳、35〜40歳、40〜45歳、45〜50歳、50〜55歳、55〜60歳、又は60歳超である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、60〜65歳、65〜70歳、70〜75歳、75〜80歳、又は80歳超である。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象(第7.3節を参照)はβ-サラセミアを有する。ある実施態様において、β-サラセミアは輸血依存性β-サラセミアである。輸血依存性β-サラセミアは「クーリー貧血」としても知られる。ある実施態様において、β-サラセミアは重症型β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは重症型β-サラセミアである。ある実施態様において、β-サラセミアは輸血非依存性β-サラセミアである。ある実施態様において、β-サラセミアは中間型β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは非中間型β-サラセミアである。ある実施態様において、該対象はHbE/βサラセミアを有する。ある実施態様において、該対象は、(i)重症型β-サラセミアを有し;(ii)重症HbE/β-サラセミアを有し;かつ(iii)輸血依存性である。ある実施態様において、該対象は、(i)中間型β-サラセミアを有し;(ii)軽度/中等度HbE/β-サラセミアを有し;かつ(iii)輸血非依存性である。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象(第7.3節を参照)は輸血依存性β-サラセミアを有する。ある実施態様において、該対象は輸血依存性β-サラセミアを有すると診断されている。ある実施態様において、該対象はβ-サラセミア及びヘモグロビンEを有すると診断されている。ある実施態様において、診断は遺伝子解析によって確認されている。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは重症型β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは重症型β-サラセミアである。ある実施態様において、該対象は、突然変異体βグロビンアレルのホモ接合性又は複合ヘテロ接合性を含む遺伝子型を含む。ある実施態様において、該ホモ接合性はβ0/β0を含み、ここで、β0は、βグロビン鎖合成の欠如と関連するアレルを指す。ある実施態様において、該ホモ接合性はβ+/β+を含み、ここで、β+は、βグロビン鎖合成の低下と関連するアレルを指す。ある実施態様において、該複合ヘテロ接合性はβ0/β+を含み、ここで、β0は、βグロビン鎖合成の欠如と関連するアレルを指し、かつβ+は、βグロビン鎖合成の低下と関連するアレルを指す。ある実施態様において、該複合ヘテロ接合性はβ0/HbEを含み、ここで、β0は、βグロビン鎖合成の欠如と関連するアレルを指し、かつHbEは、ヘモグロビンEを指す。ある実施態様において、該複合ヘテロ接合性はβ+/HbEを含み、ここで、β+は、βグロビン鎖合成の低下と関連するアレルを指し、かつHbEは、ヘモグロビンEを指す。ある実施態様において、該対象は症候性サラセミアを有する。ある実施態様において、該対象は、α-グロビン遺伝子の共遺伝性重複を有する。ある実施態様において、該対象は、輸血依存性β-サラセミアを有すると診断されている。ある実施態様において、診断は遺伝子解析によって確認されている。ある実施態様において、該対象はヒト幼児対象である。ある実施態様において、該対象は遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有する。
ある実施態様において、対象は、生涯にわたる定期的な赤血球輸血を必要とする。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアを有する対象は、24週間にわたる5赤血球単位よりも多い輸血を必要とする。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアを有する対象は、24週間にわたる6赤血球単位よりも多い輸血を必要とする。ある実施態様において、該対象は高輸血負荷を有する。ある実施態様において、高輸血負荷は、本明細書に提供される方法による治療の前の24週間にわたる12以上の赤血球単位である。ある実施態様において、該対象は低輸血負荷を有する。ある実施態様において、低輸血負荷は、本明細書に提供される方法による治療の前の24週間にわたる7〜12赤血球単位である。
ある実施態様において、対象は、輸血依存性β-サラセミアの1以上の臨床的合併症を有する。輸血依存性β-サラセミアの臨床的合併症の非限定的な例としては、成長遅延、蒼白、黄疸、筋肉組織の不良、外反膝、肝脾腫大症、下腿潰瘍、髄外造血による腫瘤の発生、及び骨髄の拡大による骨格変化が挙げられる。ある実施態様において、対象は、長期赤血球輸血の1以上の合併症を有する。長期赤血球輸血の合併症の非限定的な例としては、例えば、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、及びヒト免疫不全ウイルス感染などの輸血関連感染、同種免疫、並びに例えば、肝臓障害、心臓障害、及び内分泌腺障害などの、鉄過剰症による臓器障害が挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象(第7.3節を参照)は輸血非依存性β-サラセミアを有する。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアを有する対象は、24週間にわたる0〜5赤血球単位の輸血を必要とする。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアを有する対象は、24週間にわたる0〜6赤血球単位の輸血を必要とする。ある実施態様において、該対象は、β-サラセミアを有すると診断されている。ある実施態様において、該対象は、β-サラセミア及びヘモグロビンEを有すると診断されている。ある実施態様において、β-サラセミアは遺伝子解析によって確認されている。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアは中間型β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血非依存性βサラセミアは軽度から中等度のヘモグロビンE/β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアは定期的な赤血球輸血を必要としない。ある実施態様において、該対象は赤血球輸血を滅多に必要としない。ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミアは高齢期に定期的な赤血球輸血を必要とする。ある実施態様において、該対象は、本明細書に提供される方法による治療の前の24週間、0〜5赤血球単位を投与されている。ある実施態様において、該対象は、本明細書に提供される方法による治療の前の24週間、0〜6赤血球単位を投与されている。ある実施態様において、該対象は、10.0g/dL未満の平均ベースラインヘモグロビンレベルを有する。
ある実施態様において、β-サラセミアは輸血非依存性β-サラセミアである。ある実施態様において、β-サラセミアは中間型β-サラセミアである。ある実施態様において、輸血依存性β-サラセミアは非中間型β-サラセミアである。ある実施態様において、対象は、複合ヘテロ接合性を含む遺伝子型を含む。ある実施態様において、複合ヘテロ接合性はβ0アレルを含み、ここで、β0は、βグロビン鎖合成の欠如と関連するアレルを指す。ある実施態様において、複合ヘテロ接合性はβ+アレルを含み、ここで、β+は、βグロビン鎖合成の低下と関連するアレルを指す。ある実施態様において、複合ヘテロ接合性はβ0/β+を含み、ここで、β0は、βグロビン鎖合成の欠如と関連するアレルを指し、かつβ+は、βグロビン鎖合成の低下と関連するアレルを指す。ある実施態様において、複合ヘテロ接合性は、1以上のヘモグロビン変異体を含む。ある実施態様において、該ヘモグロビン変異体はヘモグロビンEである。ある実施態様において、対象は、(i)2つの重度のβグロビン鎖突然変異の共遺伝を含む遺伝子型を含み、かつ(ii)α-サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は、(i)2つの重度のβグロビン鎖突然変異の共遺伝を含む遺伝子型を含み、かつ(ii)遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有する。ある実施態様において、対象は症候性サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は、α-グロビン遺伝子の共遺伝性重複を有する。ある実施態様において、対象は、β-サラセミアを有すると診断されている。ある実施態様において、診断は遺伝子解析によって確認されている。
ある実施態様において、対象は、輸血非依存性β-サラセミアの1以上の臨床的合併症を示す。輸血非依存性β-サラセミアの臨床的合併症の非限定的な例としては、例えば、真性糖尿病、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症などの内分泌腺異常、血栓事象、肺高血圧症、凝固性亢進、高齢期の輸血依存性の発症、無効造血、骨髄髄質の外側への造血組織の拡大、髄外造血腫瘤の形成、骨格の変形、骨減少症、骨粗鬆症、骨痛、胆石、及び下腿潰瘍が挙げられる。ある実施態様において、対象は同種免疫を示す。
ある実施態様において、対象は軽度の症状のβ-サラセミア症状を示す。ある実施態様において、対象はほぼ正常に成長する。
ある実施態様において、輸血非依存性β-サラセミア対象は重度の症状を示す。重度の症状の非限定的な例としては、成長遅延、発達遅滞、及び骨格の変形が挙げられる。
ある実施態様において、対象は脾腫を有する。ある実施態様において、脾腫は、対象の人生の最初の6〜12カ月で発症する。
ある実施態様において、対象は、対象の人生の最初の10年間の成長障害を有する。
ある実施態様において、対象は小球性低色素性貧血を示す。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象の治療の前の対象におけるヘモグロビンA2レベルは、参照集団(例えば、第7.7節に記載される参照集団)におけるヘモグロビンA2レベルと比較して上昇している。ある実施態様において、本明細書に提供される方法による対象の治療の前の対象における胎児ヘモグロビンレベルは、参照集団(例えば、第7.7節に記載される参照集団)における胎児ヘモグロビンレベルと比較して上昇している。
ある実施態様において、対象はヘモグロビンSを発現しない。
ある実施態様において、対象はヘモグロビンSを発現しない。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前12週間以内に、赤血球輸血を受けておらず、ここで、該対象は輸血非依存性β-サラセミアを有する。ある実施態様において、対象は、活動性C型肝炎感染を有さない。ある実施態様において、対象は、活動性B型肝炎感染を有さない。ある実施態様において、対象はヒト免疫不全ウイルスについて陽性ではない。ある実施態様において、対象はインスリン依存性糖尿病を有さない。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前3カ月以内に、赤血球生成刺激剤を投与されていない。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前168日以内に、鉄キレート療法を受けていない。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前168日以内に、ヒドロキシウレア治療を受けていない。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前168日以内に、ビホスホネート(biphosphonates)を投与されていない。ある実施態様において、対象は、制御不能な高血圧を有さない。制御不能な高血圧は、NCI CTCAEバージョン4.0によるグレード>1を指す。ある実施態様において、対象は、正常上限の3倍を超えるALTを有する肝疾患を有さない。ある実施態様において、対象は、肝生検によって決定したとき、肝臓の肝硬変/線維化の組織病理学的証拠を有する肝疾患を有さない。ある実施態様において、対象は心疾患を有さない。心疾患又は心不全は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)によって、分類3以上として分類されることができる。ある実施態様において、対象は、治療を必要とする不整脈を有さない。ある実施態様において、対象は肺疾患を有さない。肺疾患の非限定的な例としては、肺線維症及び肺高血圧症が挙げられる。ある実施態様において、対象は、コッククロフト・ゴールト法によって決定したとき、60mL/分未満のクレアチニンクリアランス速度を有さない。ある実施態様において、対象は葉酸欠乏症を有さない。ある実施態様において、対象は、グレード3以上のタンパク尿を有さない。ある実施態様において、対象は副腎不全を有さない。ある実施態様において、対象は、大きな外科手術が脾臓摘出術である場合を除いて、本明細書に提供される方法による治療の前30日以内に、大きな外科手術を受けていない。ある実施態様において、対象は、組換えタンパク質に対する重度のアレルギー反応もしくはアナフィラキシー反応又は過敏症の既往を有さない。ある実施態様において、対象は、長期の抗凝血剤療法を受けていない。抗凝血剤療法の非限定的な例としては、ヘパリン及びワルファリンが挙げられる。ある実施態様において、対象は、本明細書に提供される方法による治療の前28日以内に、細胞毒性剤、全身コルチコステロイド、免疫抑制薬、又は抗凝血剤療法による治療を受けていない。
ある実施態様において、対象は他の治療介入を受けている。他の治療介入の非限定的な例としては、脾臓摘出術、輸血療法、鉄キレート療法、及び胎児ヘモグロビン誘導剤が挙げられる。ある実施態様において、対象は鉄キレート療法を必要とする。組合せ療法の説明については、第7.8節を参照されたい。
ある実施態様において、対象は、第8節に記載されているような対象である。
本明細書で使用されるように、「患者」及び「対象」という語は互換的に使用される。
(7.6 ActRIIシグナル伝達のインヒビター)
本節に記載の及び当技術分野で公知のActRIIシグナル伝達インヒビターを本明細書に提供される方法で使用することができる。ある実施態様において、本節に記載されるActRIIシグナル伝達インヒビターを本明細書に提供される方法で使用することができる(第7.3節を参照)。
本明細書に包含されるActRIIシグナル伝達受容体のインヒビターとしては、ActRIIAシグナル伝達インヒビター及びActRIIBシグナル伝達インヒビターが挙げられる(下記参照)。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIAシグナル伝達に特異的である。他の実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIBシグナル伝達に特異的である。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIAシグナル伝達を優先的に阻害する。他の実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIBシグナル伝達を優先的に阻害する。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、ActRIIAシグナル伝達とActRIIBシグナル伝達の両方を阻害する。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達のインヒビターは、ActRIIのアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドであることができる。理論によって束縛されるものではないが、そのようなアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドは、アクチビンを捕捉し、それにより、アクチビンシグナル伝達を妨げる。これらのアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドは、ActRIIの細胞外ドメインの全て又は一部(すなわち、ActRIIAの細胞外ドメインの全てもしくは一部又はActRIIBの細胞外ドメインの全てもしくは一部)を含み得る。具体的な実施態様において、ActRIIの細胞外ドメインは可溶性である。
ある実施態様において、アクチビン結合ドメインを含むポリペプチドは、抗体のFc部分に連結される(すなわち、ActRII受容体のアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドと抗体のFc部分とを含むコンジュゲートが作製される)。理論によって束縛されるものではないが、抗体部分は、コンジュゲートに増大した安定性を付与する。ある実施態様において、アクチビン結合ドメインは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介して、抗体のFc部分に連結される。
本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達のインヒビターは、細胞外又は細胞内のどちらかで直接的又は間接的にActRIIAシグナル伝達及び/又はActRIIBシグナル伝達を阻害する分子を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達及び/又はActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、受容体それ自体との相互作用を介して、ActRIIAシグナル伝達及び/又はActRIIBシグナル伝達を阻害する。他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達及び/又はActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、ActRIIA及び/又はActRIIBリガンド、例えば、アクチビンとの相互作用を介して、ActRIIAシグナル伝達及び/又はActRIIBシグナル伝達を阻害する。
(7.6.1 ActRIIAシグナル伝達のインヒビター)
本明細書で使用されるように、「ActRIIA」という用語は、任意の種由来のアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)タンパク質のファミリー及び突然変異生成又は他の修飾によってそのようなActRIIAタンパク質から得られた変異体を指す。本明細書中でのActRIIAに対する言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ActRIIAファミリーのメンバーは、一般に、システインに富む領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び予想上のセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される、膜貫通タンパク質である。
本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターとしては、限定するものではないが、アクチビン結合可溶性ActRIIAポリペプチド;アクチビン(特に、βA又はβBとも呼ばれる、アクチビンA又はBサブユニット)に結合し、ActRIIA結合を破壊する抗体; ActRIIAに結合し、アクチビン結合を破壊する抗体;アクチビン又はActRIIA結合について選択された非抗体タンパク質(そのようなタンパク質並びにその設計及び選択方法については、例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、WO/2002/088171号、WO/2006/055689号、WO/2002/032925号、WO/2005/037989号、US 2003/0133939号、及びUS 2005/0238646号を参照);並びにFcドメインにコンジュゲートすることができる、アクチビン又はActRIIA結合について選択されたランダム化ペプチドが挙げられる。
ある実施態様において、アクチビン又はActRIIA結合活性を有する2以上の異なるタンパク質(又は他の部分)、特に、それぞれI型(例えば、可溶性I型アクチビン受容体)及びII型(例えば、可溶性II型アクチビン受容体)結合部位を遮断するアクチビンバインダーを1つに連結させて、ActRIIAシグナル伝達を阻害し、したがって、本明細書に記載される組成物及び方法で使用することができる、二機能性又は多機能性結合分子を作出することができる。ある実施態様において、ActRIIAシグナル伝達を阻害するアクチビン-ActRIIAシグナル伝達軸アンタゴニストとしては、核酸アプタマー、小分子、並びに本明細書に記載される組成物及び方法で使用される他の薬剤が挙げられる。
(7.6.1.1 ActRIIAポリペプチドを含むActRIIAシグナル伝達インヒビター)
「ActRIIAポリペプチド」という用語には、ActRIIAファミリーメンバーの任意の天然のポリペプチド並びに有用な活性を保持するその任意の変異体(突然変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドが含まれる。例えば、ActRIIAポリペプチドには、ActRIIAポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一な、及び任意に、少なくとも85%、90%、95%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一な配列を有する任意の公知のActRIIAの配列に由来するポリペプチドが含まれる。例えば、ActRIIAポリペプチドは、ActRIIAタンパク質及び/又はアクチビンに結合し、それらの機能を阻害することができる。ActRIIBポリペプチドは、骨成長及び骨石灰化を促進するその能力について選択することができる。ActRIIAポリペプチドの例としては、ヒトActRIIA前駆ポリペプチド(配列番号1)並びに可溶性ヒトActRIIAポリペプチド(例えば、配列番号2、3、7、及び12)が挙げられる。そのアミノ酸配列が配列番号1に示されているActRIIA前駆ポリペプチドに関して、ヒトActRIIA前駆ポリペプチドのシグナルペプチドは、アミノ酸位置1〜20に位置し;細胞外ドメインは、アミノ酸位置21〜135に位置し、ヒトActRIIA前駆ポリペプチド(配列番号1)のN結合型グリコシル化部位は、配列番号1のアミノ酸位置43及び56に位置する。配列番号1のヒトActRIIB前駆ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号4(GenbankエントリーNM_001616のヌクレオチド164〜1705)として開示されている。配列番号2の可溶性ヒトActRIIAポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号5として開示されている。該配列の説明については、表3を参照されたい。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAポリペプチドは、可溶性ActRIIAポリペプチドである。ActRIIAタンパク質の細胞外ドメインは、アクチビンに結合することができ、かつ通常、可溶性であり、したがって、可溶性アクチビン結合ActRIIAポリペプチドと呼ぶことができる。したがって、本明細書で使用されるように、「可溶性ActRIIAポリペプチド」という用語は、通常、ActRIIAタンパク質の任意の天然の細胞外ドメインを含む、ActRIIAタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチド並びにその任意の変異体(突然変異体、断片、及びペプチド模倣形態を含む)を指す。可溶性ActRIIAポリペプチドは、アクチビンに結合することができる;しかしながら、野生型ActRIIAタンパク質は、アクチビンへの結合に関してGDF8/11と比べて顕著な選択性を示さない。天然又は改変ActRIIAタンパク質を第二のアクチビン選択的結合剤とカップリングさせることにより、該タンパク質に、アクチビンに対する特異性の付加を与えることができる。可溶性アクチビン結合ActRIIAポリペプチドの例としては、配列番号2、3、7、12、及び13に示される可溶性ポリペプチドが挙げられる。可溶性アクチビン結合ActRIIAポリペプチドの他の例は、ActRIIAタンパク質の細胞外ドメインに加えて、シグナル配列、例えば、ミツバチメリチンリーダー配列(配列番号8)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー(配列番号9)、又は天然のActRIIAリーダー(配列番号10)を含む。配列番号13に示されるActRIIA-hFcポリペプチドでは、TPAリーダーが使用されている。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達のインヒビターは、抗体のFc部分に連結されたActRIIAのアクチビン結合ドメインを含むコンジュゲート/融合タンパク質を含む。ある実施態様において、該アクチビン結合ドメインは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介して、抗体のFc部分に連結される。任意に、Fcドメインは、Asp-265、リジン322、及びAsn-434などの残基に1以上の突然変異を有する。ある場合には、これらの突然変異のうちの1つ又は複数(例えば、Asp-265突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べてFcγ受容体に結合する能力が低下している。他の場合には、これらの突然変異のうちの1つ又は複数(例えば、Asn-434突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメイン比べてMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に結合する能力が増大している。Fcドメインに融合したActRIIAの可溶性細胞外ドメインを含む例示的な融合タンパク質は、配列番号6、7、12、及び13に示されている。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、抗体のFc部分に連結されたActRIIAの細胞外ドメイン、又はその一部を含み、ここで、該ActRIIAシグナル伝達インヒビターは、配列番号6、7、12、及び13から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、抗体のFc部分に連結されたActRIIAの細胞外ドメイン、又はその一部を含み、ここで、該ActRIIAシグナル伝達インヒビターは、配列番号6、7、12、及び13から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達のインヒビターは、ActRIIAの細胞外ドメインの切断形態を含む。切断は、ActRIIAポリペプチドのカルボキシ末端及び/又はアミノ末端にあることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインと比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸長いものであることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIAポリペプチドの細胞外ドメインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のN末端アミノ酸であることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIAポリペプチドの細胞外ドメインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のC末端アミノ酸であることができる。例えば、ActRIIAの切断形態としては、アミノ酸20〜119; 20〜128; 20〜129; 20〜130; 20〜131; 20〜132; 20〜133; 20〜134; 20〜131; 21〜131; 22〜131; 23〜131; 24〜131;及び25〜131を有するポリペプチドが挙げられ、ここで、該アミノ酸位置は、配列番号1におけるアミノ酸位置を指す。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達のインヒビターは、1以上のアミノ酸置換を有するActRIIAの細胞外ドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達のインヒビターは、アミノ酸置換も保有するActRIIA細胞外ドメインの切断形態を含む。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIA受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIA受容体の切断された細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIA受容体の切断された細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質であり、ここで、該ヒトActRIIA受容体の切断された細胞外ドメインは、1以上のアミノ酸置換を保有する。
ActRIIAポリペプチドの機能的に活性のある断片は、例えば、ActRIIAポリペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換え産生されたポリペプチドをスクリーニングすることにより得ることができる。さらに、断片を、従来のメリフィールド固相f-Moc又はt-Boc化学などの当技術分野で公知の技術を用いて化学合成することができる。該断片を(組換えによるか又は化学合成によって)産生し、試験して、ActRIIAタンパク質又はアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能し得るペプチジル断片を同定することができる。
さらに、ActRIIAポリペプチドの機能的に活性のある変異体は、例えば、ActRIIAポリペプチドをコードする対応する突然変異核酸から組換え産生された修飾ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。該変異体を産生し、試験して、ActRIIAタンパク質又はアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能し得るものを同定することができる。ある実施態様において、ActRIIAポリペプチドの機能的変異体は、配列番号2又は3から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。ある場合には、該機能的変異体は、配列番号2又は3から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一なアミノ酸配列を有する。
機能的変異体は、例えば、ActRIIAポリペプチドの構造を、治療効力、又は安定性(例えば、エクスビボでの保存期間及びインビボでのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強するような目的で修飾することにより作製することができる。アクチビン結合を保持するように選択された場合のそのような修飾ActRIIAポリペプチドは、天然のActRIIAポリペプチドの機能的等価物とみなすことができる。修飾ActRIIAポリペプチドは、例えば、アミノ酸置換、欠失、又は付加により産生することもできる。例えば、ロイシンとイソロイシンもしくはバリンとの、アスパラギン酸とグルタミン酸との、トレオニンとセリンとの単独置換、又はあるアミノ酸と構造的に関連するアミノ酸との同様の置換(例えば、保存的突然変異)によって、得られる分子の生物活性が大きく影響を受けることはないであろうと予想するのは合理的である。保存的置換は、その側鎖において関連があるアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。ActRIIAポリペプチドのアミノ酸配列の変化によって機能的ホモログが生じるかどうかは、野生型ActRIIAポリペプチドと同様の様式で細胞内の応答を引き起こす変異体ActRIIAポリペプチドの能力を評価することにより容易に決定することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供される本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAシグナル伝達インヒビターは、ポリペプチドのグリコシル化を改変することができる1以上の特定の突然変異を有するActRIIAポリペプチドを含むことができる。そのような突然変異は、1以上のグリコシル化部位、例えば、O結合型又はN結合型グリコシル化部位を導入又は除去することができる。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、通常、適当な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるアスパラギン-X-トレオニン(又はアスパラギン-X-セリン)(ここで、「X」は、任意のアミノ酸である)というトリペプチド配列を含む。改変は、野生型ActRIIAポリペプチドの配列への1以上のセリンもしくはトレオニン残基の付加、又は該残基による置換によって行うこともできる(O結合型グリコシル化部位の場合)。グリコシル化認識部位の1番目もしくは3番目のアミノ酸位置のうちの一方もしくは両方における種々のアミノ酸置換もしくは欠失(及び/又は2番目の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾されたトリペプチド配列中での非グリコシル化をもたらす。ActRIIAポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、ActRIIAポリペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリング様式に応じて、糖(複数可)を、(a)アルギニン及びヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインの遊離スルフヒドリル基;(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基;(e)芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンの芳香族残基;又は(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これらの方法は、引用により本明細書中に組み込まれる、1987年9月11日に公開されたWO 87/05330号、及びAplin及びWristonの文献(1981) CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306に記載されている。ActRIIAポリペプチド上に存在する1以上の炭水化物部分の除去は、化学的に及び/又は酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、又は同等の化合物へのActRIIAポリペプチドの暴露を含み得る。この処理は、結合糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんど又は全ての糖の切断をもたらすが、アミノ酸配列は無傷のまま残す。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinらの文献(1987) Arch. Biochem. Biophys. 259:52及びEdgeらの文献(1981) Anal. Biochem. 118:131によりさらに記載されている。ActRIIAポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraらの文献(1987) Meth. Enzymol. 138:350により記載されているような種々のエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。ActRIIAポリペプチドの配列は、適切な場合、使用される発現系の種類に応じて、後に続くことができるが、それは、哺乳動物、酵母、昆虫、及び植物の細胞が全て、該ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入することができるためである。一般に、ヒトで使用されるActRIIAタンパク質は、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株、例えば、HEK293又はCHO細胞株で発現させることができるが、他の発現系、例えば、他の哺乳動物発現細胞株、グリコシル化酵素が改変されている酵母細胞株、及び昆虫細胞も同様に有用であると考えられる。
本明細書にさらに提供されるのは、突然変異体、特に、ActRIIAポリペプチドのコンビナトリアル突然変異体のセット、及び切断突然変異体を作製する方法であり;コンビナトリアル突然変異体のプールは、機能的変異体配列を同定するのに特に有用である。そのようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのいずれかとして作用することができるか、又はその代わりに、新規の活性を全て併せ持つ、ActRIIAポリペプチド変異体を作製することであり得る。種々のスクリーニングアッセイは以下に提供されており、そのようなアッセイを用いて、変異体を評価することができる。例えば、ActRIIAポリペプチド変異体を、ActRIIAリガンドに結合する能力、ActRIIAリガンドのActRIIAポリペプチドへの結合を妨げる能力、又はActRIIAリガンドによって引き起こされるシグナル伝達に干渉する能力についてスクリーニングすることができる。
天然のActRIIAポリペプチドと比べて選択的な又は全般的に増大した効力を有する、コンビナトリアル由来の変異体を作製することができる。同様に、突然変異生成により、対応する野生型ActRIIAポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する変異体を生じさせることができる。例えば、改変タンパク質を、タンパク質分解、又は天然のActRIIAポリペプチドの破壊、さもなければ、不活化をもたらす他の細胞プロセスに対してより安定な状態又はあまり安定でない状態にすることができる。そのような変異体、及びそれらをコードする遺伝子を用いて、ActRIIAポリペプチドの半減期を調節することにより、ActRIIAポリペプチドレベルを改変することができる。例えば、短い半減期は、より一時的な生物学的効果を生じることができ、対象内の組換えActRIIAポリペプチドレベルのより厳しい制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質では、突然変異をリンカー(存在する場合)及び/又はFc部分中で生成させて、タンパク質の半減期を変化させることができる。
コンビナトリアルライブラリーは、各々が潜在的ActRIIAポリペプチド配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって生成させることができる。例えば、潜在的ActRIIAポリペプチドヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、又はその代わりに、より大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイの場合)として発現可能となるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することができる。
潜在的ホモログのライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から作製することができる多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成装置で実行することができ、その後、合成遺伝子を発現用の適当なベクターに連結することができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である(例えば、Narang, S Aの文献(1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraらの文献(1981) Recombinant DNA, Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules, AG Walton, Amsterdam編: Elsevier pp 273-289; Itakuraらの文献(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraらの文献(1984) Science 198:1056; Ikeらの文献(1983) Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい)。そのような技術は、他のタンパク質の定方向進化において利用されている(例えば、Scottらの文献(1990) Science 249:386-390; Robertsらの文献(1992) PNAS USA 89:2429-2433; Devlinらの文献(1990) Science 249: 404-406; Cwirlaらの文献(1990) PNAS USA 87: 6378-6382;並びに米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、及び第5,096,815号を参照されたい)。
或いは、他の形態の突然変異生成を用いて、コンビナトリアルライブラリーを作製することができる。例えば、ActRIIAポリペプチド変異体を、例えば、アラニンスキャニング突然変異生成などを用いるスクリーニングによって(Rufらの文献(1994) Biochemistry 33:1565-1572; Wangらの文献(1994) J. Biol. Chem. 269:3095-3099; Balintらの文献(1993) Gene 137:109-118; Grodbergらの文献(1993) Eur. J. Biochem. 218:597-601; Nagashimaらの文献(1993) J. Biol. Chem. 268:2888-2892; Lowmanらの文献(1991) Biochemistry 30:10832-10838;及びCunninghamらの文献(1989) Science 244:1081-1085)、リンカースキャニング突然変異生成によって(Gustinらの文献(1993) Virology 193:653-660; Brownらの文献(1992) Mol. Cell Biol. 12:2644-2652; McKnightらの文献(1982) Science 232:316);飽和突然変異生成によって(Meyersらの文献(1986) Science 232:613); PCR突然変異生成によって(Leungらの文献(1989) Method Cell Mol Biol 1:11-19);又は化学的突然変異生成などを含むランダム突然変異生成によって(Millerらの文献(1992) 細菌遺伝学の短期講座(A Short Course in Bacterial Genetics)、CSHL Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;及びGreenerらの文献(1994) Strategies in Mol Biol 7:32-34)、ライブラリーから作製し、単離することができる。特にコンビナトリアル設定でのリンカースキャニング突然変異生成は、ActRIIAポリペプチドの切断(生物活性)形態を同定する魅力的な方法である。
点突然変異及び切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、さらに言うなら、特定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするための、広範な技術が当技術分野で公知である。そのような技術は、一般に、ActRIIAポリペプチドのコンビナトリアル突然変異生成によって作製される遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーのスクリーニングに最も広く使用されている技術は、通常、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、適当な細胞を得られたベクターのライブラリーで形質転換すること、及びコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の検出によって、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的簡単な単離が容易になる条件下で発現させることを含む。好ましいアッセイとしては、アクチビン結合アッセイ及びアクチビン媒介性細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のインヒビターで使用されるActRIIAポリペプチドは、ActRIIAポリペプチドに天然に存在する任意の修飾に加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。そのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化を挙げることができるが、これらに限定されない。結果として、修飾されたActRIIAポリペプチドは、非アミノ酸要素、例えば、ポリエチレングリコール、脂質、多糖又は単糖、及びホスフェートを含有することができる。ActRIIAポリペプチドの機能性に対するそのような非アミノ酸要素の効果は、当業者に公知の任意の方法によって試験することができる。ActRIIAポリペプチドが、該ActRIIAポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞内で産生される場合、翻訳後プロセシングもまた、該タンパク質の正確なフォールディング及び/又は機能に重要であり得る。様々な細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH-3T3、又はHEK293)は、そのような翻訳後活性のための特異的細胞装置及び特徴的機構を有しており、該細胞を、ActRIIAポリペプチドの正確な修飾及びプロセシングを保証するように選択することができる。
ある態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のインヒビターで使用されるActRIIAポリペプチドの機能的変異体又は修飾形態には、ActRIIAポリペプチドの少なくとも一部及び1以上の融合ドメインを有する融合タンパク質が含まれる。そのような融合ドメインのよく知られた例としては、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、又はヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。融合ドメインを、所望の特性を付与するように選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的で、親和性クロマトグラフィー用の関連するマトリックス、例えば、グルタチオン、アミラーゼ、及びニッケル又はコバルトコンジュゲート樹脂が使用される。そのようなマトリックスの多くは、「キット」形態で入手可能であり、これには、例えば、(HIS6)融合パートナーと合わせて有用な、Pharmacia GST精製システム及びQIAexpress(商標)システム(Qiagen)がある。別の例として、融合ドメインを、ActRIIAポリペプチドの検出を容易にするように選択することができる。そのような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)及び通常、特異的抗体が利用可能な短いペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体がすぐに利用可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、及びc-mycタグが挙げられる。場合により、融合ドメインは、例えば、第Xa因子又はトロンビン用のプロテアーゼ切断部位を有し、該部位は、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分消化し、それにより、組換えタンパク質をそれから遊離させることを可能にする。その後、遊離したタンパク質を、後続のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離することができる。ある好ましい実施態様において、ActRIIAポリペプチドを、インビボでActRIIAポリペプチドを安定化するドメイン(「スタビライザー」ドメイン)と融合させる。「安定化する」とは、血清半減期を延長する全てのことを意味し、これは、破壊の減少によるものか、腎臓によるクリアランスの減少によるものか、又は他の薬物動態作用によるものかを問わない。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範なタンパク質に望ましい薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、望ましい特性を付与することができる。選択され得る他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメイン及び(望ましい場合、追加の生物学的機能、例えば、骨成長又は筋肉成長のさらなる刺激を付与する)機能ドメインが挙げられる。
融合タンパク質の様々なエレメントを、所望の機能と一致する任意の方法で配置し得ることが理解される。例えば、ActRIIAポリペプチドを異種ドメインのC末端に配置することができ、又はその代わりに、異種ドメインをActRIIAポリペプチドのC末端に配置することができる。ActRIIAポリペプチドドメイン及び異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接している必要がなく、追加のドメイン又はアミノ酸配列を、どちらかのドメインのC末端もしくはN末端、又はこれらのドメインの間に含めることができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のインヒビターで使用されるActRIIAポリペプチドは、ActRIIAポリペプチドを安定化することができる1以上の修飾を含むことができる。例えば、そのような修飾は、ActRIIAポリペプチドのインビトロ半減期を向上させるか、ActRIIAポリペプチドの循環半減期を向上させるか、又はActRIIAポリペプチドのタンパク質分解を低下させることができる。そのような安定化修飾としては、融合タンパク質(例えば、ActRIIAポリペプチド及びスタビライザードメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、ActRIIAポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)、並びに炭水化物部分の修飾(例えば、ActRIIAポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)を挙げることができるが、これらに限定されない。融合タンパク質の場合、ActRIIAポリペプチドを、スタビライザードメイン、例えば、IgG分子(例えば、Fcドメイン)に融合させる。本明細書で使用されるように、「スタビライザードメイン」という用語は、融合タンパク質の場合に見られる融合ドメイン(例えば、Fc)を指すだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、又はポリエチレングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含む。
ある実施態様において、他のタンパク質から単離されているか、又は別の方法で他のタンパク質を実質的に含まない、単離及び/又は精製された形態のActRIIAポリペプチドを、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。ActRIIAポリペプチドは、通常、組換え核酸からの発現によって産生することができる。
ある態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIAポリペプチドは、本明細書に開示される断片、機能的変異体、及び融合タンパク質を含む、ActRIIAポリペプチドのいずれか(例えば、可溶性ActRIIAポリペプチド)をコードする単離された及び/又は組換え核酸を用いて作製される。例えば、配列番号4は、天然のヒトActRIIA前駆ポリペプチドをコードし、一方、配列番号5は、ActRIIAのプロセシングされた細胞外ドメインをコードする。そのような核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得る。そのような核酸は、DNA又はRNA分子であり得る。これらの核酸を、例えば、ActRIIAポリペプチドを作製する方法で、又は直接的な治療剤として(例えば、遺伝子療法の手法で)使用することができる。
ある態様において、ActRIIAポリペプチドをコードする核酸には、配列番号4又は5の変異体である核酸が含まれ得る。変異体ヌクレオチド配列には、1以上のヌクレオチド置換、付加、又は欠失によって異なる配列、例えば、アレル変異体が含まれる。
ある実施態様において、ActRIIAポリペプチドをコードする単離された核酸配列又は組換え核酸配列は、配列番号4又は5と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であることができる。当業者は、配列番号4又は5に相補的な核酸配列、及び配列番号4又は5の変異体を本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用し得ることを理解しているであろう。さらなる実施態様において、そのような核酸配列は、単離されたもの、組換え体、及び/もしくは異種ヌクレオチド配列と融合したもの、又はDNAライブラリー由来のものであることができる。
他の実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用される核酸は、極めてストリンジェントな条件下で、配列番号4もしくは5に表記されたヌクレオチド配列、配列番号4もしくは5の相補配列、又はこれらの断片にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むことができる。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができることを理解しているであろう。例えば、ハイブリダイゼーションを、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、次いで、50℃での2.0×SSCの洗浄で実施することができる。例えば、洗浄工程での塩濃度を、50℃で約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまで選択することができる。さらに、洗浄工程での温度を、室温、約22℃での低いストリンジェンシー条件から約65℃での高いストリンジェンシー条件へと上昇させることができる。温度と塩の両方を変化させることができ、又は他の変数を変化させながら、温度もしくは塩濃度を一定に保つことができる。一実施態様において、室温での6×SSC、次に、室温での2×SSCでの洗浄の低いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸を、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。
遺伝暗号の縮重のために配列番号4又は5に示される核酸とは異なる単離された核酸も、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用することができる。例えば、いくつかのアミノ酸は、複数のトリプレットによって指定される。同じアミノ酸を特定するコドン、又はシノニム(例えば、CAUとCACは、ヒスチジンについてのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント突然変異」を生じさせることができる。しかしながら、対象タンパク質のアミノ酸配列の変化を実際にもたらすDNA配列多型が哺乳動物細胞の間に存在すると考えられる。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1以上のヌクレオチドにおけるこれらの変異(variation)(ヌクレオチドの最大約3〜5%)が、天然のアレル変異(variation)が原因で、所与の種の個体間に存在し得ることを理解しているであろう。
ある実施態様において、組換え核酸を、発現コンストラクト中の1以上の調節ヌクレオチド配列に動作可能に連結することができる。調節ヌクレオチド配列は、通常、発現に使用される宿主細胞に適したものである。種々の宿主細胞について、数多くの種類の適切な発現ベクター及び好適な調節配列が当技術分野で公知である。一般に、該1以上の調節ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダー又はシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、並びにエンハンサー又はアクチベーター配列が挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野で公知の構成的又は誘導性プロモーターが本明細書で企図される。プロモーターは、天然プロモーター、又は複数のプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのどちらかであり得る。発現コンストラクトは、細胞内でプラスミドなどのエピソーム上に存在してもよく、又は発現コンストラクトは、染色体に挿入されてもよい。好ましい実施態様において、発現ベクターは、形質転換した宿主細胞の選択を可能にする選択可能マーカー遺伝子を含む。選択可能マーカー遺伝子は当技術分野で周知であり、使用される宿主細胞によって異なる。
ある態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用される核酸は、ActRIIAポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に動作可能に連結されているヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供することができる。調節配列は当技術分野で認められており、ActRIIAポリペプチドの発現を導くように選択される。したがって、調節配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメントを含む。例示的な調節配列は、Goeddelの文献;遺伝子発現技術:酵素学の方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology), Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。例えば、それに動作的に連結されたときDNA配列の発現を制御する多種多様な発現制御配列のいずれかをこれらのベクター中で用いて、ActRIIAポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期及び後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルス又はサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TAC又はTRCシステム、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって誘導されるT7プロモーター、ラムダファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼ又は他の解糖系酵素のプロモーター、酸ホスファターゼ、例えば、Pho5のプロモーター、酵母のα接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリヘドロンプロモーター、並びに原核もしくは真核細胞又はそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、並びにこれらの様々な組合せが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択及び/又は発現が望まれるタンパク質の種類のような因子によって決まることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び該ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質、例えば、抗生物質マーカーの発現も考慮されるべきである。
本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用される組換え核酸は、クローニングされた遺伝子、又はその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫、もしくは哺乳動物)、又はその両方における発現に好適なベクター中に連結することにより産生することができる。組換えActRIIAポリペプチドの産生用の発現ビヒクルとしては、プラスミド及び他のベクターが挙げられる。例えば、好適なベクターとしては、大腸菌(E. coli)などの原核細胞における発現用の、以下のタイプのプラスミド: pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びpUC由来プラスミドが挙げられる。
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進する原核生物配列と、真核細胞で発現される1以上の真核生物転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo 及びpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに好適な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちのいくつかは、原核細胞と真核細胞の両方における複製及び薬物耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾されている。或いは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、又はエプスタイン-バーウイルス(pHEBo、pREP由来、及びp205)などのウイルスの派生物を、真核細胞におけるタンパク質の一過性発現に使用することができる。(レトロウイルスを含む)他のウイルス発現系の例は、以下の遺伝子療法送達系の記載において見出すことができる。プラスミドの調製及び宿主生物の形質転換に利用される様々な方法は、当技術分野で周知である。原核細胞と真核細胞の両方に関する他の好適な発現系、及び一般的な組換え手順については、分子クローニング 実験マニュアル(Molecular Cloning A Laboratory Manual)、第3版、Sambrook、Fritsch、及びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)を参照されたい。いくつかの例において、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。そのようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393、及びpVL941)、pAcUW由来ベクター(例えば、pAcUW1)、並びにpBlueBac由来ベクター(例えば、β-gal含有pBlueBac III)が挙げられる。
Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)、及びpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wis.)などのベクターを、CHO細胞内での対象ActRIIAポリペプチドの産生のために設計することができる。明らかになるように、対象遺伝子コンストラクトを用いて、例えば、精製用の、融合タンパク質又は変異体タンパク質を含む、タンパク質を産生するために、培養で増殖した細胞内での対象ActRIIAポリペプチドの発現を生じさせることができる。
1以上の該対象ActRIIAポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号4又は5)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞を、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIAポリペプチドの産生において使用することができる。宿主細胞は、任意の原核又は真核細胞であり得る。例えば、本明細書に提供されるActRIIAポリペプチドを、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母、又は哺乳動物細胞で発現させることができる。他の好適な宿主細胞は、当業者に公知である。
したがって、本明細書に提供されるのは、ActRIIAポリペプチドを産生する方法である。例えば、ActRIIAポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、ActRIIAポリペプチドの発現が生じるのを可能にする適当な条件下で培養することができる。ActRIIAポリペプチドを分泌させ、細胞とActRIIAポリペプチドを含む培地の混合物から単離することができる。或いは、ActRIIAポリペプチドを細胞質内又は膜画分に保持し、細胞を回収し、溶解させ、タンパク質を単離することができる。細胞培養物には、宿主細胞、培地、及び他の副産物が含まれる。細胞培養用の好適な培地は、当技術分野で周知である。対象ActRIIAポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIAポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫親和性精製、及びActRIIAポリペプチドに融合したドメインに結合する物質による親和性精製(例えば、プロテインAカラムを用いて、ActRIIA-Fc融合体を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当技術分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、又はその両方から単離することができる。好ましい実施態様において、ActRIIAポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。一実施態様において、精製は、例えば、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及び陽イオン交換クロマトグラフィーのうちの3つ以上を、任意の順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程により達成される。精製は、ウイルス濾過及びバッファー交換で終了させることができる。本明細書で実証されるように、ActRIIA-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定して98%を超える純度及びSDS PAGEにより決定して95%を超える純度に精製された。この精製レベルは、マウスの骨に対する望ましい効果並びにマウス、ラット、及び非ヒト霊長類における許容し得る安全性プロファイルを達成するのに十分であった。
別の実施態様において、組換えActRIIAポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いる親和性クロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にすることができる。次いで、精製リーダー配列をエンテロキナーゼによる処理によって後から除去し、精製ActRIIAポリペプチドを提供することができる(例えば、Hochuliらの文献(1987) J. Chromatography 411:177;及びJanknechtらの文献、PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の接続は、ライゲーションのための平滑末端又は互い違い末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要な場合の付着末端の充填(filling-in)、望ましくない接続を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的ライゲーションを利用する従来の技術に従って実施される。別の実施態様において、融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。或いは、後からアニーリングさせてキメラ遺伝子配列を生成させることができる2つの連続する遺伝子断片間の相補的突出を生じさせるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を実施することができる(例えば、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、Ausubelら編、John Wiley & Sons: 1992を参照されたい)。
ActRIIA-Fc融合タンパク質は、安定にトランスフェクトされたCHO-DUKX Bl 1細胞で、配列番号9の組織プラスミノーゲンリーダー配列を用いて、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)から発現させることができる。Fc部分は、配列番号7に示されるヒトIgGl Fc配列である。ある実施態様において、発現させたとき、含まれるタンパク質は、ActRIIA-Fc融合タンパク質1分子当たり、平均で約1.5〜2.5モルのシアル酸を有する。
ある実施態様において、ActRIIA-Fc融合体の長い血清半減期は、ヒト対象で25〜32日であることができる。さらに、CHO細胞で発現される物質は、ヒト293細胞で発現されるActRIIA-hFc融合タンパク質について報告されたものよりも高いアクチビンBリガンドに対する親和性を有することができる(del Reらの文献、J Biol Chem. 2004 Dec 17;279(51):53126-35)。さらに、理論によって束縛されるものではないが、TPAリーダー配列の使用は、他のリーダー配列よりも大きな産生をもたらし、天然のリーダーで発現されるActRIIA-Fcとは異なり、極めて純粋なN末端配列を提供することができる。天然のリーダー配列の使用は、各々異なるN末端配列を有する2つの主要な種のActRIIA-Fcを生じさせることができる。
(7.6.2 ActRIIBシグナル伝達のインヒビター)
本明細書で使用されるように、「ActRIIB」という用語は、任意の種由来のアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリー及び突然変異生成又は他の修飾によってそのようなActRIIBタンパク質から得られた変異体を指す。本明細書中でのActRIIBに対する言及は、該受容体の現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、システインに富む領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び予想上のセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される、膜貫通タンパク質である。
本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターとしては、限定するものではないが、アクチビン結合可溶性ActRIIBポリペプチド;アクチビン(特に、βA又はβBとも呼ばれる、アクチビンA又はBサブユニット)に結合し、ActRIIB結合を破壊する抗体; ActRIIBに結合し、アクチビン結合を破壊する抗体;アクチビン又はActRIIB結合について選択された非抗体タンパク質;及びFcドメインにコンジュゲートすることができる、アクチビン又はActRIIB結合について選択されたランダム化ペプチドが挙げられる。
ある実施態様において、アクチビン又はActRIIB結合活性を有する2以上の異なるタンパク質(又は他の部分)、特に、それぞれI型(例えば、可溶性I型アクチビン受容体)及びII型(例えば、可溶性II型アクチビン受容体)結合部位を遮断するアクチビンバインダーを1つに連結させて、ActRIIBを阻害し、したがって、本明細書に記載される組成物及び方法で使用することができる、二機能性又は多機能性結合分子を作出することができる。ある実施態様において、ActRIIBを阻害するアクチビン-ActRIIBシグナル伝達軸アンタゴニストとしては、核酸アプタマー、小分子、並びに本明細書に記載される組成物及び方法で使用される他の薬剤が挙げられる。
(7.6.2.1 ActRIIBポリペプチドを含むActRIIBシグナル伝達インヒビター)
本明細書で使用されるように、「ActRIIBポリペプチド」という用語は、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然のポリペプチド並びに有用な活性を保持するその任意の変異体(突然変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを指す。例えば、ActRIIBポリペプチドには、ActRIIBポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一な、及び任意に、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一な配列を有する任意の公知のActRIIB受容体の配列に由来するポリペプチドが含まれる。例えば、ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBタンパク質及び/又はアクチビンに結合し、それらの機能を阻害することができる。ActRIIBポリペプチドの例としては、ヒトActRIIB前駆ポリペプチド(配列番号16又は配列番号28)が挙げられる。そのアミノ酸配列が配列番号16又は配列番号28に示されているActRIIB前駆ポリペプチド(すなわち、ヒトActRIIB前駆ポリペプチド)に関して、該ActRIIB前駆ポリペプチドのシグナルペプチドは、アミノ酸1〜18に位置し;細胞外ドメインは、アミノ酸19〜134に位置し、潜在的N結合型グリコシル化部位は、アミノ酸位置42及び65に位置する。配列番号16のヒトActRIIB前駆ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号19として開示されている(配列番号19は、アミノ酸位置64に対応するコドンでアラニンを提供するが、その代わりにアミノ酸位置64に対応するコドンでアルギニンを提供するように、当技術分野で公知の方法を用いて、当業者により、容易に修飾されることができる)。該配列の説明については、表3を参照されたい。
別途、具体的に表記されない限り、本明細書に記載される全てのActRIIB関連ポリペプチドに関するアミノ酸の付番は、配列番号16及び配列番号28(これらは、位置64で発現されるアミノ酸だけが異なる)に関するアミノ酸付番に基づく。例えば、ActRIIBポリペプチドがアミノ酸位置79で置換/突然変異を有すると記載されている場合、位置79は、ActRIIBポリペプチドが由来する配列番号16又は配列番号28中の79番目のアミノ酸を指すものと理解されるべきである。同様に、ActRIIBポリペプチドがアミノ酸位置64でアラニン又はアルギニンを有すると記載されている場合、位置64は、ActRIIBポリペプチドが由来する配列番号16又は配列番号28中の64番目のアミノ酸を指すものと理解されるべきである。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、ActRIIBのアクチビン結合ドメインを含むポリペプチドを含む。いくつかの実施態様において、ActRIIBのアクチビン結合ドメインは、ActRIIBの細胞外ドメイン、又はその部分を含む。具体的な実施態様において、ActRIIBの細胞外ドメイン又はその部分は可溶性である。ActRIIBポリペプチドの例示的な修飾形態は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20090005308号及び第20100068215号に開示されている。ActRIIBポリペプチドの例示的な修飾形態は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際特許出願公開WO 2008/097541号及びWO 2010/019261号にも開示されている。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドは、可溶性ActRIIBポリペプチドである。「可溶性ActRIIBポリペプチド」という用語は、通常、ActRIIBタンパク質の任意の天然の細胞外ドメインを含む、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチド並びにその任意の変異体(突然変異体、断片、及びペプチド模倣形態を含む)を指す。可溶性ActRIIBポリペプチドは、アクチビンに結合することができる;しかしながら、野生型ActRIIBタンパク質は、アクチビンへの結合に関してGDF8/11と比べて顕著な選択性を示さない。ある実施態様において、様々な結合特性を有するActRIIBの改変形態を本明細書に提供される方法で使用することができる。そのような改変形態は、例えば、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際特許出願公開第WO 2006/012627号及びWO 2010/019261号に開示されている。天然又は改変ActRIIBタンパク質を第二のアクチビン選択的結合剤とカップリングさせることにより、該タンパク質に、アクチビンに対する特異性の付加を与えることができる。例示的な可溶性ActRIIBポリペプチドとしては、ヒトActRIIBポリペプチドの細胞外ドメイン(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43)が挙げられる。
ActRIIB前駆アミノ酸配列、すなわち、配列番号16のアミノ酸64に対応する位置のアラニン(本明細書中、「A64」と呼ばれる)を有する、Hildenらの文献(Blood, 1994, 83(8):2163-70)によって開示されたActRIIB細胞外配列を有するFc融合タンパク質は、アクチビン及びGDF-11に対する比較的低い親和性を保有することが示されている。対照的に、ActRIIB前駆アミノ酸配列の位置64のアルギニン(本明細書中、「R64」と呼ばれる)を有するFc融合タンパク質は、低ナノモル濃度から高ピコモル濃度の範囲のアクチビン及びGDF-11に対する親和性を有する(例えば、その開示が完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20100068215号を参照されたい)。その開示が完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/019261号も参照されたい。位置64のアルギニンを有するActRIIB前駆アミノ酸配列は、配列番号28に示されている。したがって、ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、(i)ActRIIB前駆アミノ酸配列、すなわち、配列番号16のアミノ酸64に対応する位置のアラニン;又は(ii)ActRIIB前駆アミノ酸配列、すなわち、配列番号28の位置64のアルギニンのどちらかを含み得る。他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIB前駆アミノ酸配列、すなわち、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸64に対応する位置にアラニンでもアルギニンでもないアミノ酸を含み得る。
ActRIIBの細胞外ドメインのC末端におけるプロリンノットの欠失は、アクチビンに対する受容体の親和性を低下させることが示されている(例えば、Attisanoらの文献、Cell, 1992, 68(1):97-108を参照されたい)。配列番号28のアミノ酸20〜119を含むActRIIB-Fc融合タンパク質(すなわち、配列番号32)の「ActRIIB(20-119)-Fc」は、プロリンノット領域及び完全な膜近傍領域を含む、配列番号28のアミノ酸20〜134を含むActRIIB-Fc融合タンパク質(すなわち、配列番号31)の「ActRIIB(20-134)-Fc」と比べて、GDF-11及びアクチビンに対する結合が低下している。しかしながら、配列番号28のアミノ酸20〜129を含むActRIIB-Fc融合タンパク質の「ActRIIB(20-129)-Fc」は、プロリンノット領域が破壊されているにもかかわらず、ActRIIBの非切断型細胞外ドメインと比べて、同様の、しかし、若干低下した活性を保持している。したがって、配列番号28(又は配列番号16)のアミノ酸134、133、132、131、130、及び129で終結する細胞外ドメインを含むActRIIBポリペプチドは全て活性を有すると考えられるが、アミノ酸134又は133で終結するコンストラクトが最も高い活性を有し得る。同様に、配列番号28のP129及びP130の突然変異がリガンド結合をそれほど減少させないという事実によって示されるように、残基129〜134のいずれかでの突然変異は、リガンド結合親和性を大幅に変化させるとは考えられない。したがって、本明細書に記載される方法及び組成物に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、配列番号28(又は配列番号16)のアミノ酸109(すなわち、最後のシステイン)で早くも終わり得るが、配列番号28(又は配列番号16)のアミノ酸位置109と119又はその間で終わる形態は、低下したリガンド結合能を有すると考えられる。
配列番号16及び配列番号28のアミノ酸29は、ActRIIB前駆体配列中の最初のシステインに相当する。配列番号16もしくは配列番号28のN末端のアミノ酸29、又はこれらのアミノ酸位置の前から始まるActRIIBポリペプチドは、リガンド結合活性を保持していると考えられる。配列番号16又は配列番号28の位置24におけるアラニンからアスパラギンへの突然変異は、リガンド結合にそれほど影響を及ぼすことなく、N結合型グリコシル化配列を導入する。これは、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜29に対応するシグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域の間の領域中の突然変異が良好に許容されることを裏付けるものである。特に、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置20、21、22、23、及び24から始まるActRIIBポリペプチドは活性を保持しており、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置25、26、27、28、及び29から始まるActRIIBポリペプチドも活性を保持すると考えられる。配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置22、23、24、又は25から始まるActRIIBポリペプチドは最も大きい活性を有する。
まとめると、本明細書に記載される方法及び組成物に従って使用されるActRIIB前駆タンパク質(すなわち、配列番号16又は配列番号28)の活性部分(すなわち、ActRIIBポリペプチド)は、通常、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸29〜109を含み、そのようなActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸19〜29のいずれか1つに対応する残基から始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸109〜134のいずれか1つに対応する位置で終わることができる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチドの具体的な例としては、配列番号16又は配列番号28の19〜29、20〜29、又は21〜29のアミノ酸位置から始まり、配列番号16又は配列番号28の119〜134、119〜133、又は129〜134、129〜133のアミノ酸位置で終わるものが挙げられる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチドの他の具体的な例としては、配列番号16又は配列番号28の20〜24(又は21〜24、又は22〜25)のアミノ酸位置から始まり、配列番号16又は配列番号28の109〜134(もしくは109〜133)、119〜134(もしくは119〜133)、又は129〜134(もしくは129〜133)のアミノ酸位置で終わるものが挙げられる。これらの範囲に含まれる変異体ActRIIBポリペプチド、特に、配列番号16又は配列番号28の対応する部分との少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性又は配列相同性を有するものも企図される。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、ActRIIBの細胞外ドメインの切断形態を含む。切断は、ActRIIBポリペプチドのカルボキシ末端及び/又はアミノ末端にあることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIBポリペプチド細胞外ドメインと比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸長いものであることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIBポリペプチド細胞外ドメインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のN末端アミノ酸であることができる。ある実施態様において、切断は、成熟したActRIIBポリペプチド細胞外ドメインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のC末端アミノ酸であることができる。例えば、ActRIIBの切断形態としては、アミノ酸20〜119; 20〜128; 20〜129; 20〜130; 20〜131; 20〜132; 20〜133; 20〜134; 20〜131; 21〜131; 22〜131; 23〜131; 24〜131;及び25〜131を有するポリペプチドが挙げられ、ここで、該アミノ酸位置は、配列番号16又は配列番号28におけるアミノ酸位置を指す。
ActRIIBのさらなる例示的な切断形態としては、(i)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸21〜29のいずれかのアミノ酸から始まり(任意に、配列番号16又は配列番号28の22〜25から始まり)、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸109〜134のいずれかで終わるポリペプチド;(ii)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり(任意に、配列番号16又は配列番号28の22〜25から始まり)、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸109〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(iii)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり(任意に、配列番号16又は配列番号28の22〜25から始まり)、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸109〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(iv)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸109〜134のいずれかで終わるポリペプチド;(v)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸118〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(vi)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸118〜134のいずれかで終わるポリペプチド;(vii)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸128〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(viii)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸128〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(ix)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸118〜134のいずれかで終わるポリペプチド;(x)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸118〜133のいずれかで終わるポリペプチド;(xi)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸128〜134のいずれかで終わるポリペプチド;及び(xii)配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸128〜133のいずれかで終わるポリペプチドが挙げられる。具体的な実施態様において、ActRIIBポリペプチドは、配列番号16もしくは配列番号28のアミノ酸位置25から始まり、配列番号16もしくは配列番号28のアミノ酸位置131で終わるアミノ酸配列を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。別の具体的な実施態様において、ActRIIBポリペプチドは、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、もしくは43のアミノ酸配列からなるか、又はそれらから本質的になる。
本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドはいずれも、ホモ二量体として産生することができる。本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドはいずれも、IgG重鎖由来の定常領域、例えば、Fcドメインを含む異種部分を有する融合タンパク質として製剤化することができる。本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドはいずれも、任意に、配列番号16又は配列番号28に対する1以上の追加のアミノ酸置換、欠失、又は挿入と組み合わせて、配列番号16又は配列番号28の位置79に対応する位置に酸性アミノ酸を含むことができる。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、1以上のアミノ酸置換/突然変異を有するActRIIBの細胞外ドメインを含む。そのようなアミノ酸置換/突然変異は、例えば、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置79のロイシンからアスパラギン酸又はグルタミン酸などの酸性アミノ酸への交換であり得る。例えば、配列番号16又は配列番号28の位置L79をActRIIB細胞外ドメインポリペプチド中で改変して、改変されたアクチビン-ミオスタチン(GDF-11)結合特性を付与することができる。L79A及びL79P突然変異は、アクチビン結合よりも大きい程度にGDF-11結合を低下させる。L79E及びL79D突然変異はGDF-11結合を保持する一方で、大きく低下したアクチビン結合を示す。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、アミノ酸置換、例えば、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置79のロイシンからアスパラギン酸又はグルタミン酸などの酸性アミノ酸への交換も保有するActRIIB細胞外ドメインの切断形態を含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるアミノ酸置換も保有するActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインの切断形態は、配列番号23である。切断され及び/又は1以上のアミノ酸置換を保有するActRIIBの形態は、上で論じられているような抗体のFcドメインに連結させることができる。
ActRIIBポリペプチドの機能的に活性のある断片は、例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換え産生されたポリペプチドをスクリーニングすることにより得ることができる。さらに、断片を、従来のメリフィールド固相f-Moc又はt-Boc化学などの当技術分野で公知の技術を用いて化学合成することができる。該断片を(組換えによるか又は化学合成によって)産生し、試験して、ActRIIBタンパク質又はアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能し得るペプチジル断片を同定することができる。
さらに、ActRIIBポリペプチドの機能的に活性のある変異体は、例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする対応する突然変異核酸から組換え産生された修飾ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。該変異体を産生し、試験して、ActRIIBタンパク質又はアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能し得るものを同定することができる。ある実施態様において、ActRIIBポリペプチドの機能的変異体は、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該機能的変異体は、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一なアミノ酸配列を有する。
機能的変異体は、例えば、ActRIIBポリペプチドの構造を、治療効力、又は安定性(例えば、エクスビボでの保存期間及びインビボでのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強するような目的で修飾することにより作製することができる。アクチビン結合を保持するように選択された場合のそのような修飾ActRIIBポリペプチドは、天然のActRIIBポリペプチドの機能的等価物とみなすことができる。修飾ActRIIBポリペプチドは、例えば、アミノ酸置換、欠失、又は付加により産生することもできる。例えば、ロイシンとイソロイシンもしくはバリンとの、アスパラギン酸とグルタミン酸との、トレオニンとセリンとの単独置換、又はあるアミノ酸と構造的に関連するアミノ酸との同様の置換(例えば、保存的突然変異)によって、得られる分子の生物活性が大きく影響を受けることはないであろうと予想するのは合理的である。保存的置換は、その側鎖において関連があるアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列の変化によって機能的ホモログが生じるかどうかは、野生型ActRIIBポリペプチドと同様の様式で細胞内の応答を引き起こす変異体ActRIIBポリペプチドの能力を評価することにより容易に決定することができる。
ActRIIBポリペプチド突然変異体、特に、ActRIIBポリペプチドのコンビナトリアル突然変異体のセット、及び切断突然変異体;機能的変異体配列を同定するのに特に有用であるコンビナトリアル突然変異体のプールを、本明細書に記載される方法及び組成物で使用することができる。そのようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのいずれかとして作用することができるか、又はその代わりに、新規の活性を全て併せ持つ、ActRIIBポリペプチド変異体を作製することであり得る。
ActRIIBのリガンド結合ポケットは、配列番号16又は配列番号28の残基Y31、N33、N35、L38〜T41、E47、E50、Q53〜K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78〜N83、Y85、R87、A92、及びE94〜F101によって規定されることが示されている。これらの位置では、保存的突然変異は許容されるが、K74A突然変異は、R40A、K55A、F82A、及び位置L79での突然変異がそうであるように、良好に許容されると考えられる。R40は、ゼノパス(Xenopus)ではKであり、この位置の塩基性アミノ酸が許容されることを示している。Q53は、ウシActRIIBではR、及びゼノパスActRIIBではKであり、それゆえ、R、K、Q、N、及びHを含むアミノ酸がこの位置で許容される。したがって、本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドの一般式は、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸29〜109を含むが、任意に、配列番号16又は配列番号28の20〜24又は22〜25の範囲のアミノ酸位置から始まり、配列番号16又は配列番号28の129〜134の範囲のアミノ酸位置で終わり、リガンド結合ポケット内に1、2、5、又は15以下の保存的アミノ酸変化を含み、かつリガンド結合ポケット内の配列番号16又は配列番号28のアミノ酸位置40、53、55、74、79、及び/又は82に0、1、又はそれより多くの非保存的変化を含むものである。そのようなActRIIBポリペプチドは、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸29〜109の配列との80%、90%、95%、又は99%を超える配列同一性又は配列相同性を保持し得る。ばらつきが特に良好に許容され得る結合ポケットの外側の部位としては、ActRIIBの細胞外ドメインのアミノ末端及びカルボキシ末端、並びに位置42〜46及び65〜73が挙げられる。配列番号16又は配列番号28の位置65におけるアスパラギンからアラニンへの変化(N65A)は、A64バックグラウンドでのリガンド結合を実際に改善し、したがって、R64バックグラウンドでのリガンド結合に悪影響を及ぼさないと考えられる。この変化は、おそらくは、A64バックグラウンドでのN65におけるグリコシル化を消失させ、したがって、この領域での顕著な変化が許容される可能性が高いことを示している。R64A変化はあまり許容されないが、R64Kは良好に許容され、したがって、Hなどの別の塩基性残基は、位置64で許容され得る。
リガンド結合ドメイン内に突然変異を有するActRIIBポリペプチドの具体的な例として、変異体ActRIIBポリペプチドが、アクチビンではなく、GDF8に優先的に結合するように、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正電荷を有するアミノ酸残基Asp(D80)を異なるアミノ酸残基に突然変異させることができる。具体的な実施態様において、D80残基を、非荷電アミノ酸残基、負電荷を有する(negative)アミノ酸残基、及び疎水性アミノ酸残基:からなる群から選択されるアミノ酸残基に変化させる。さらなる具体的な例として、疎水性残基L79を酸性アミノ酸のアスパラギン酸又はグルタミン酸に改変して、GDF11結合を保持したまま、アクチビン結合を大きく低下させることができる。当業者によって認識されるように、記載された突然変異、変異体、又は修飾の大部分は、核酸レベルで、又は場合によっては、翻訳後修飾もしくは化学合成により生成させることができる。そのような技術は、当技術分野で周知である。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達のインヒビターは、抗体のFc部分に連結したActRIIB受容体の細胞外ドメイン(例えば、アクチビン結合ドメイン)を含むコンジュゲート/融合タンパク質を含む。そのようなコンジュゲート/融合タンパク質は、本明細書に開示されるActRIIBポリペプチドのいずれか(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、もしくは43のいずれか)、当技術分野で公知の任意のActRIIBポリペプチド、又は当技術分野で公知の及び/もしくは本明細書に提供される方法を用いて作製される任意のActRIIBポリペプチドを含み得る。
ある実施態様において、該細胞外ドメインは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介して、抗体のFc部分に連結される。例示的なリンカーとしては、短いポリペプチド配列、例えば、2〜10個、2〜5個、2〜4個、2〜3個のアミノ酸残基(例えば、グリシン残基)、例えば、Gly-Gly-Glyリンカーなどが挙げられる。具体的な実施態様において、該リンカーは、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly(GGG)を含む。別の具体的な実施態様において、該リンカーは、アミノ酸配列Thr-Gly-Gly-Gly(TGGG)を含む。任意に、Fcドメインは、Asp-265、リジン322、及びAsn-434などの残基に1以上の突然変異を有する。ある場合には、これらの突然変異のうちの1つ又は複数(例えば、Asp-265突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、Fcγ受容体に結合する能力が低下している。他の場合には、これらの突然変異のうちの1つ又は複数(例えば、Asn-434突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べて、MHCクラスI関連Fc-受容体(FcRN)に結合する能力が増大している。Fcドメインに融合したActRIIBの可溶性細胞外ドメインを含む例示的な融合タンパク質は、配列番号20、21、24、25、34、35、38、39、40、41、44、46、及び47に示されている。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、抗体のFc部分に連結されたActRIIBの細胞外ドメイン、又はその部分を含み、ここで、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、配列番号20、21、24、25、34、35、38、39、40、41、44、46、及び47から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、抗体のFc部分に連結されたActRIIBの細胞外ドメイン、又はその部分を含み、ここで、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターは、配列番号20、21、24、25、34、35、38、39、40、41、44、46、及び47から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIB受容体の切断された細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、ヒトActRIIB受容体の切断された細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質であり、ここで、該ヒトActRIIB受容体の切断された細胞外ドメインは、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸79に対応するアミノ酸位置にアミノ酸置換を保有する。一実施態様において、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸79に対応するアミノ酸位置でのアミノ酸置換は、ロイシンからアスパラギン酸への置換(すなわち、L79D突然変異)である。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、配列番号24又は25であり、これらは、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質を表し、ここで、該ActRIIB細胞外ドメインは、配列番号28のアミノ酸25〜131を含み、L79D突然変異を有する。配列番号24のActRIIB-Fc融合タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号45に示されている。
別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIBシグナル伝達インヒビターは、配列番号34又は35であり、これらは、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分の融合タンパク質を表し、ここで、該ActRIIB細胞外ドメインは、配列番号16のアミノ酸25〜131を含み、L79D突然変異を有する。
アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、通常、適当な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるアスパラギン-X-トレオニン(又はアスパラギン-X-セリン)(ここで、「X」は、任意のアミノ酸である)というトリペプチド配列を含む。改変は、野生型ActRIIBポリペプチドの配列への1以上のセリンもしくはトレオニン残基の付加、又はそれらによる置換によって行うこともできる(O結合型グリコシル化部位の場合)。グリコシル化認識部位の1番目もしくは3番目のアミノ酸位置のうちの一方もしくは両方における種々のアミノ酸置換もしくは欠失(及び/又は2番目の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾されたトリペプチド配列中での非グリコシル化をもたらす。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、ActRIIBポリペプチドへのグリコシドの化学的又は酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリング様式に応じて、糖(複数可)を、(a)アルギニン及びヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインの遊離スルフヒドリル基;(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基;(e)芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンの芳香族残基;又は(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これらの方法は、引用により本明細書中に組み込まれる、1987年9月11日に公開された国際特許出願第WO 87/05330号、並びにAplin及びWristonの文献(1981) CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306に記載されている。ActRIIBポリペプチド上に存在する1以上の炭水化物部分の除去は、化学的に及び/又は酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、又は同等の化合物へのActRIIBポリペプチドの暴露を含み得る。この処理は、結合糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんど又は全ての糖の切断をもたらすが、アミノ酸配列は無傷のまま残す。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinらの文献(1987) Arch. Biochem. Biophys. 259:52によって、及びEdgeらの文献(1981) Anal. Biochem. 118:131によってさらに記載されている。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraらの文献(1987) Meth. Enzymol. 138:350により記載されているような種々のエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。ActRIIBポリペプチドの配列は、適切な場合、使用される発現系の種類に応じて、後に続くことができるが、それは、哺乳動物、酵母、昆虫、及び植物の細胞が全て、該ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入することができるためである。一般に、ヒトで使用されるActRIIBタンパク質は、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株、例えば、HEK293又はCHO細胞株で発現されるが、他の発現系、例えば、他の哺乳動物発現細胞株、グリコシル化酵素が改変されている酵母細胞株、及び昆虫細胞も同様に有用であると考えられる。
具体的な実施態様において、ActRIIB(R64)-Fc形態と比べて、ActRIIB-Fc融合タンパク質の血清半減期を延長するさらなるN結合型グリコシル化部位(N-X-S/T)の付加を含む突然変異ActRIIBポリペプチドを、本明細書に記載される方法及び組成物で使用することができる。具体的な実施態様において、配列番号16又は配列番号28の位置24におけるアスパラギン(A24N)の導入は、より長い半減期を付与するNXT配列の生成をもたらす。他のNX(T/S)配列は、42〜44(NQS)及び65〜67(NSS)に見出すことができるが、後者は、位置64のRでは(すなわち、R64ポリペプチド中では)効率的にグリコシル化することができない。N-X-S/T配列は、通常、上で詳述されている、ActRIIBのリガンド結合ポケットの外側の位置で導入することができる。非内在性N-X-S/T配列の導入のための特に好適な部位としては、配列番号16又は配列番号28のアミノ酸20〜29、20〜24、22〜25、109〜134、120〜134、又は129〜134が挙げられる。N-X-S/T配列は、ActRIIB配列とFc又は他の融合体成分との間のリンカーに導入することもできる。そのような部位は、既存のSもしくはTに対して正しい位置にNを導入することによるか、又は既存のNに対応する位置にSもしくはTを導入することにより、最小限の労力で導入することができる。したがって、N結合型グリコシル化部位を生成させる望ましい改変は: A24N、R64N、S67N(おそらくは、N65A改変と併存する)、E106N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112S、及びR112Tである(これらの位置に対応する全てのアミノ酸位置について、それらを配列番号16又は配列番号28に見出すことができる)。グリコシル化によって保護が生じるので、グリコシル化されると予測される任意のSを、免疫原性部位を生成させることなく、Tに改変することができる。同様に、グリコシル化されると予測される任意のTをSに改変することができる。したがって、改変S67T及びS44Tは本明細書に包含される。同様に、A24N変異体において、S26T改変を使用することができる。したがって、ActRIIBポリペプチドは、1以上の追加の非内在性N結合型グリコシル化コンセンサス配列を含むことができる。
種々のスクリーニングアッセイを用いて、ActRIIBポリペプチド変異体を評価することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド変異体を、ActRIIBリガンドに結合する能力、ActRIIBリガンドのActRIIBポリペプチドへの結合を妨げる能力、又はActRIIBリガンドによって生じるシグナル伝達に干渉する能力についてスクリーニングすることができる。ActRIIBポリペプチド又はその変異体の活性を、細胞ベースのアッセイ又はインビボアッセイで試験することもできる。
天然のActRIIBポリペプチドと比べて選択的な又は全般的に増大した効力を有する、コンビナトリアル由来の変異体を作製することができる。同様に、突然変異生成により、対応する野生型ActRIIBポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する変異体を生じさせることができる。例えば、改変タンパク質を、タンパク質分解、又は天然のActRIIBポリペプチドの破壊、さもなければ、不活化をもたらす他の細胞プロセスに対してより安定な状態又はあまり安定でない状態にすることができる。そのような変異体、及びそれらをコードする遺伝子を用いて、ActRIIBポリペプチドの半減期を調節することにより、ActRIIBポリペプチドレベルを改変することができる。例えば、短い半減期は、より一時的な生物学的効果を生じることができ、対象内の組換えActRIIBポリペプチドレベルのより厳しい制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質では、突然変異をリンカー(存在する場合)及び/又はFc部分中で生成させて、タンパク質の半減期を改変することができる。
コンビナトリアルライブラリーは、各々の潜在的ActRIIBポリペプチド配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって生成させることができる。例えば、潜在的ActRIIBポリペプチドヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、又はその代わりに、より大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイの場合)として発現可能となるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的に連結して遺伝子配列にすることができる。
潜在的ホモログのライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から作製することができる多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成装置で実行することができ、その後、合成遺伝子を発現用の適当なベクターに連結することができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である(例えば、Narang, S Aの文献(1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraらの文献(1981) Recombinant DNA, Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules, AG Walton編、Amsterdam: Elsevier pp 273-289; Itakuraらの文献(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraらの文献(1984) Science 198:1056; Ikeらの文献(1983) Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい)。そのような技術は、他のタンパク質の定方向進化において利用されている(例えば、Scottらの文献(1990) Science 249:386-390; Robertsらの文献(1992) PNAS USA 89:2429-2433; Devlinらの文献(1990) Science 249: 404-406; Cwirlaらの文献(1990) PNAS USA 87: 6378-6382;並びに米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、及び第5,096,815号を参照されたい)。
或いは、他の形態の突然変異生成を用いて、コンビナトリアルライブラリーを作製することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド変異体を、例えば、アラニンスキャニング突然変異生成などを用いるスクリーニングによって(Rufらの文献(1994) Biochemistry 33:1565-1572; Wangらの文献(1994) J. Biol. Chem. 269:3095-3099; Balintらの文献(1993) Gene 137:109-118; Grodbergらの文献(1993) Eur. J. Biochem. 218:597-601; Nagashimaらの文献(1993) J. Biol. Chem. 268:2888-2892; Lowmanらの文献(1991) Biochemistry 30:10832-10838;及びCunninghamらの文献(1989) Science 244:1081-1085)、リンカースキャニング突然変異生成によって(Gustinらの文献(1993) Virology 193:653-660; Brownらの文献(1992) Mol. Cell Biol. 12:2644-2652; McKnightらの文献(1982) Science 232:316);飽和突然変異生成によって(Meyersらの文献(1986) Science 232:613); PCR突然変異生成によって(Leungらの文献(1989) Method Cell Mol Biol 1:11-19);又は化学的突然変異生成などを含むランダム突然変異生成によって(Millerらの文献(1992) 細菌遺伝学の短期講座(A Short Course in Bacterial Genetics)、CSHL Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;及びGreenerらの文献(1994) Strategies in Mol Biol 7:32-34)、ライブラリーから作製し、単離することができる。特にコンビナトリアル設定でのリンカースキャニング突然変異生成は、ActRIIBポリペプチドの切断(生物活性)形態を同定する魅力的な方法である。
点突然変異及び切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、さらに言うなら、特定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするための、広範な技術が当技術分野で公知である。そのような技術は、一般に、ActRIIBポリペプチドのコンビナトリアル突然変異生成によって作製される遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーのスクリーニングに最も広く使用されている技術は、通常、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、適当な細胞を得られたベクターのライブラリーで形質転換すること、及びコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の検出によって、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的簡単な単離が容易になる条件下で発現させることを含む。好ましいアッセイとしては、アクチビン結合アッセイ及びアクチビン媒介性細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドに天然に存在する任意の修飾に加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。そのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。結果として、修飾されたActRIIBポリペプチドは、非アミノ酸要素、例えば、ポリエチレングリコール、脂質、多糖又は単糖、及びホスフェートを含有することができる。ActRIIBポリペプチドの機能性に対するそのような非アミノ酸要素の効果は、当業者に公知の任意の方法によって試験することができる。ActRIIBポリペプチドが、ActRIIBポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞内で産生される場合、翻訳後プロセシングもまた、タンパク質の正確なフォールディング及び/又は機能に重要であり得る。様々な細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH-3T3、又はHEK293)は、そのような翻訳後活性のための特異的細胞装置及び特徴的機構を有しており、該細胞を、ActRIIBポリペプチドの正確な修飾及びプロセシングを保証するために選択することができる。
ある態様において、ActRIIBポリペプチドの機能的変異体又は修飾形態には、ActRIIBポリペプチドの少なくとも一部及び1以上の融合ドメインを有する融合タンパク質が含まれる。そのような融合ドメインのよく知られた例としては、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、又はヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。融合ドメインを、所望の特性を付与するように選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的で、親和性クロマトグラフィー用の関連するマトリックス、例えば、グルタチオン、アミラーゼ、及びニッケル又はコバルトコンジュゲート樹脂が使用される。そのようなマトリックスの多くは、「キット」形態で入手可能であり、これには、例えば、(HIS6)融合パートナーと合わせて有用な、Pharmacia GST精製システム及びQIAexpress(商標)システム(Qiagen)がある。別の例として、融合ドメインを、ActRIIBポリペプチドの検出を容易にするように選択することができる。そのような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)及び通常、特異的抗体が利用可能な短いペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体がすぐに利用可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、及びc-mycタグが挙げられる。場合により、融合ドメインは、例えば、第Xa因子又はトロンビン用のプロテアーゼ切断部位を有し、該部位は、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分消化し、それにより、組換えタンパク質をそれから遊離させることを可能にする。その後、遊離したタンパク質を、後続のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離することができる。ある好ましい実施態様において、ActRIIBポリペプチドを、インビボでActRIIBポリペプチドを安定化するドメイン(「スタビライザー」ドメイン)と融合させる。「安定化する」とは、血清半減期を延長する全てのことを意味し、これは、破壊の減少によるものか、腎臓によるクリアランスの減少によるものか、又は他の薬物動態作用によるものかを問わない。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範なタンパク質に望ましい薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、望ましい特性を付与することができる。選択され得る他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメイン及び(望ましい場合、追加の生物学的機能、例えば、骨成長又は筋肉成長のさらなる刺激を付与する)機能ドメインが挙げられる。
融合タンパク質の様々なエレメントを、所望の機能と一致する任意の方法で配置し得ることが理解される。例えば、ActRIIBポリペプチドを異種ドメインのC末端に配置することができ、又はその代わりに、異種ドメインをActRIIBポリペプチドのC末端に配置することができる。ActRIIBポリペプチドドメイン及び異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接している必要がなく、追加のドメイン又はアミノ酸配列を、どちらかのドメインのC末端もしくはN末端、又はこれらのドメインの間に含めることができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドを安定化することができる1以上の修飾を含む。例えば、そのような修飾は、ActRIIBポリペプチドのインビトロ半減期を向上させるか、ActRIIBポリペプチドの循環半減期を向上させるか、又はActRIIBポリペプチドのタンパク質分解を低下させる。そのような安定化修飾としては、融合タンパク質(例えば、ActRIIBポリペプチド及びスタビライザードメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)、並びに炭水化物部分の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。融合タンパク質の場合、ActRIIBポリペプチドを、スタビライザードメイン、例えば、IgG分子(例えば、Fcドメイン)に融合させる。本明細書で使用されるように、「スタビライザードメイン」という用語は、融合タンパク質の場合に見られる融合ドメイン(例えば、Fc)を指すだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、又はポリエチレングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含む。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物は単離又は精製されたActRIIBポリペプチドを使用する、すなわち、他のタンパク質から単離されているか又は別の方法で他のタンパク質を実質的に含まないActRIIBポリペプチドを本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。ActRIIBポリペプチドは、通常、組換え核酸からの発現によって産生される。
ある態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、本明細書に開示される断片、機能的変異体、及び融合タンパク質を含む、単離された及び/又は組換え核酸によってコードされる。例えば、配列番号19は、天然のヒトActRIIB前駆ポリペプチドをコードする。対象核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得る。そのような核酸は、DNA又はRNA分子であり得る。これらの核酸を、例えば、ActRIIBポリペプチドを作製する方法で、又は直接的な治療剤として(例えば、遺伝子療法の手法で)使用することができる。
ある態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる核酸は、配列番号19の変異体並びに可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)の変異体である核酸を含むことがさらに理解される。変異体ヌクレオチド配列には、1以上のヌクレオチド置換、付加、又は欠失によって異なる配列、例えば、アレル変異体が含まれる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる単離された又は組換え核酸配列は、配列番号19又は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。当業者は、配列番号19又は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)に相補的な核酸配列、並びに配列番号19又は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)の変異体を、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができることを理解するであろう。さらなる実施態様において、該核酸配列は、単離されたもの、組換え体、及び/もしくは異種ヌクレオチド配列と融合したもの、又はDNAライブラリー中のものであることができる。
他の実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる核酸は、配列番号19に表記されるヌクレオチド配列もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)、配列番号19もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)の相補的配列、又はこれらの断片に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができることを理解するであろう。例えば、ハイブリダイゼーションを、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、次いで、50℃での2.0×SSCの洗浄で実施することができる。例えば、洗浄工程での塩濃度を、50℃で約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまで選択することができる。さらに、洗浄工程での温度を、室温、約22℃での低いストリンジェンシー条件から約65℃での高いストリンジェンシー条件へと上昇させることができる。温度と塩の両方を変化させることができ、又は他の変数を変化させながら、温度もしくは塩濃度を一定に保つことができる。一実施態様において、室温での6×SSC、次に、室温での2×SSCでの洗浄の低いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸を、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。
遺伝暗号の縮重のために配列番号19又は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸)に示される核酸とは異なる単離された核酸を用いて、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生することもできる。例えば、いくつかのアミノ酸は、複数のトリプレットによって指定される。同じアミノ酸を特定するコドン、又はシノニム(例えば、CAUとCACは、ヒスチジンについてのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント突然変異」を生じさせることができる。しかしながら、対象タンパク質のアミノ酸配列の変化を実際にもたらすDNA配列多型が哺乳動物細胞の間に存在すると考えられる。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1以上のヌクレオチドにおけるこれらの変異(variation)(ヌクレオチドの最大約3〜5%)が、天然のアレル変異(variation)が原因で、所与の種の個体間に存在し得ることを理解しているであろう。ありとあらゆるそのようなヌクレオチド変異(variation)及び結果として生じるアミノ酸多型を本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる組換え核酸を、発現コンストラクト中の1以上の調節ヌクレオチド配列に動作可能に連結することができる。調節ヌクレオチド配列は、通常、発現に使用される宿主細胞に適したものである。種々の宿主細胞について、数多くの種類の適切な発現ベクター及び好適な調節配列が当技術分野で公知である。一般に、該1以上の調節ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダー又はシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、並びにエンハンサー又はアクチベーター配列が挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野で公知の構成的又は誘導性プロモーターを本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる。プロモーターは、天然プロモーター、又は複数のプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのどちらかであり得る。発現コンストラクトは、細胞内でプラスミドなどのエピソーム上に存在してもよく、又は発現コンストラクトは、染色体に挿入されてもよい。好ましい実施態様において、発現ベクターは、形質転換した宿主細胞の選択を可能にする選択可能マーカー遺伝子を含む。選択可能マーカー遺伝子は当技術分野で周知であり、使用される宿主細胞によって異なる。
ある態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる核酸は、ActRIIBポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に動作可能に連結されているヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供される。調節配列は当技術分野で認められており、ActRIIBポリペプチドの発現を導くように選択される。したがって、調節配列という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメントを含む。例示的な調節配列は、Goeddelの文献;遺伝子発現技術:酵素学の方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology), Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。例えば、それに動作的に連結されたときDNA配列の発現を制御する多種多様な発現制御配列のいずれかをこれらのベクター中で用いて、ActRIIBポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期及び後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルス又はサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TAC又はTRCシステム、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって誘導されるT7プロモーター、ラムダファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼ又は他の解糖系酵素のプロモーター、酸ホスファターゼ、例えば、Pho5のプロモーター、酵母のα接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリヘドロンプロモーター、並びに原核もしくは真核細胞又はそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、並びにこれらの様々な組合せが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択及び/又は発現が望まれるタンパク質の種類のような因子によって決まることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及び該ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質、例えば、抗生物質マーカーの発現も考慮されるべきである。
組換え核酸は、クローニングされた遺伝子、又はその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫、もしくは哺乳動物)、又はその両方における発現に好適なベクター中に連結することにより産生することができる。組換えActRIIBポリペプチドの産生用の発現ビヒクルとしては、プラスミド及び他のベクターが挙げられる。例えば、好適なベクターとしては、大腸菌などの原核細胞における発現用の、以下のタイプのプラスミド: pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びpUC由来プラスミドが挙げられる。
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進する原核生物配列と、真核細胞で発現される1以上の真核生物転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo 及びpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに好適な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちのいくつかは、原核細胞と真核細胞の両方における複製及び薬物耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾されている。或いは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、又はエプスタイン-バーウイルス(pHEBo、pREP由来、及びp205)などのウイルスの派生物を、真核細胞におけるタンパク質の一過性発現に使用することができる。(レトロウイルスを含む)他のウイルス発現系の例は、以下の遺伝子療法送達系の記載において見出すことができる。プラスミドの増殖及び宿主生物の形質転換に利用される様々な方法は、当技術分野で周知である。原核細胞と真核細胞の両方に関する他の好適な発現系、及び一般的な組換え手順については、分子クローニング 実験マニュアル(Molecular Cloning A Laboratory Manual)、第3版、Sambrook、Fritsch、及びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)を参照されたい。いくつかの例において、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。そのようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393、及びpVL941)、pAcUW由来ベクター(例えば、pAcUW1)、並びにpBlueBac由来ベクター(例えば、β-gal含有pBlueBac III)が挙げられる。
一実施態様において、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)、及びpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wis.)などのベクターを、CHO細胞内での本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドの産生のために設計することができる。明らかになるように、対象遺伝子コンストラクトを用いて、例えば、精製用の、融合タンパク質又は変異体タンパク質を含む、タンパク質を産生するために、培養で増殖した細胞内での対象ActRIIBポリペプチドの発現を生じさせることができる。
1以上の該対象ActRIIBポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号19又は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、33、36、37、42、及び43をコードする核酸))を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞を、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するのに好適なActRIIBポリペプチドを産生するために使用することができる。宿主細胞は、任意の原核又は真核細胞であり得る。例えば、ActRIIBポリペプチドを、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母、又は哺乳動物細胞で発現させることができる。他の好適な宿主細胞は、当業者に公知である。
したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドを産生する方法である。例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、ActRIIBポリペプチドの発現が生じるのを可能にする適当な条件下で培養することができる。ActRIIBポリペプチドを分泌させ、細胞とActRIIBポリペプチドを含む培地の混合物から単離することができる。或いは、ActRIIBポリペプチドを細胞質内又は膜画分に保持し、細胞を回収し、溶解させ、タンパク質を単離することができる。細胞培養物には、宿主細胞、培地、及び他の副産物が含まれる。細胞培養用の好適な培地は、当技術分野で周知である。対象ActRIIBポリペプチドを、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIBポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫親和性精製、及びActRIIBポリペプチドに融合しているドメインに結合する物質による親和性精製(例えば、プロテインAカラムを用いて、ActRIIB-Fc融合体を精製することができる)を含む、タンパク質を精製するための当技術分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、又はその両方から単離することができる。好ましい実施態様において、ActRIIBポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。好ましい実施態様において、精製は、例えば、以下のもの:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及び陽イオン交換クロマトグラフィーのうちの3つ以上を、任意の順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィー工程により達成される。精製は、ウイルス濾過及びバッファー交換で終了させることができる。本明細書で実証されるように、ActRIIB-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定して98%を超える純度及びSDS PAGEにより決定して95%を超える純度に精製された。この精製レベルは、マウスの骨に対する望ましい効果並びにマウス、ラット、及び非ヒト霊長類における許容し得る安全性プロファイルを達成するのに十分であった。
別の実施態様において、組換えActRIIBポリペプチドの所望の部分のN末端におけるポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いる親和性クロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にすることができる。次いで、精製リーダー配列をエンテロキナーゼによる処理によって後から除去し、精製ActRIIBポリペプチドを提供することができる(例えば、Hochuliらの文献(1987) J. Chromatography 411:177;及びJanknechtらの文献、PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の接続は、ライゲーションのための平滑末端又は互い違い末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要な場合の付着末端の充填(filling-in)、望ましくない接続を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的ライゲーションを利用する従来の技術に従って実施される。別の実施態様において、融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。或いは、後からアニーリングさせてキメラ遺伝子配列を生成させることができる2つの連続する遺伝子断片間の相補的突出を生じさせるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を実施することができる(例えば、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、Ausubelら編、John Wiley & Sons: 1992を参照されたい)。
ActRIIB-Fc融合タンパク質は、安定にトランスフェクトされたCHO-DUKX Bl 1細胞で、配列番号8の組織プラスミノーゲンリーダー配列を用いて、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)から発現させることができる。Fc部分は、配列番号7に示されるヒトIgGl Fc配列を含むことができる。ある実施態様において、発現させたとき、含まれるタンパク質は、ActRIIB-Fc融合タンパク質1分子当たり、平均で約1.5〜2.5モルのシアル酸を有する。
ある実施態様において、ActRIIB-Fc融合体の長い血清半減期は、ヒト対象で25〜32日であることができる。さらに、CHO細胞で発現される物質は、ヒト293細胞で発現されるActRIIB-hFc融合タンパク質について報告されたものよりも高いアクチビンBリガンドに対する親和性を有することができる(del Reらの文献、J Biol Chem. 2004 Dec 17;279(51):53126-35)。さらに、理論によって束縛されるものではないが、TPAリーダー配列の使用は、他のリーダー配列よりも大きな産生をもたらし、天然のリーダーで発現されるActRIIB-Fcとは異なり、極めて純粋なN末端配列を提供することができる。天然のリーダー配列の使用は、各々異なるN末端配列を有する2つの主要な種のActRIIB-Fcを生じさせることができる。
(7.6.3 他のActRII受容体シグナル伝達インヒビター)
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達のインヒビターは、核酸化合物である。
ActRII受容体を阻害する核酸化合物のカテゴリーの例としては、アンチセンス核酸、siRNA又はRNAiコンストラクト、及び触媒核酸コンストラクトが挙げられる。核酸化合物は、一本鎖又は二本鎖であり得る。二本鎖化合物は、鎖のどちらか一方が一本鎖である突出又は非相補性領域を含むこともできる。一本鎖化合物は、自己相補性領域を含むことができ、これは、該化合物が、二本鎖らせん構造の領域を含む、いわゆる「ヘアピン」又は「ステムループ」構造を形成し得ることを意味する。
ある実施態様において、ActRII受容体を阻害する核酸化合物は、1000以下、500以下、250以下、100以下、又は50、35、30、25、22、20、もしくは18以下のヌクレオチドの全長ActRII受容体核酸配列又はアクチビン核酸配列(例えば、βA又はβBとも呼ばれる、アクチビンA又はアクチビンBサブユニットの核酸配列)からなる領域に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。具体的な実施態様において、相補性領域は、少なくとも8ヌクレオチド、任意に、少なくとも10又は少なくとも15ヌクレオチド、任意に、15〜25ヌクレオチドである。相補性領域は、標的転写物のイントロン、コード配列、又は非コード配列、例えば、コード配列部分に含まれ得る。一般に、ActRII受容体を阻害する核酸化合物は、約8〜約500ヌクレオチド又は塩基対長の長さを有し、任意に、長さは、約14〜約50ヌクレオチドである。ActRII受容体を阻害する核酸化合物は、DNA(特にアンチセンスとして使用される)、RNA、又はRNA:DNAハイブリッドであり得る。どの1つの鎖も、DNAとRNAの混合物、及びDNA又はRNAのどちらかに容易に分類することができない修飾形態を含み得る。同様に、二本鎖核酸化合物は、DNA:DNA、DNA:RNA、又はRNA:RNAであり得、どの1つの鎖も、DNAとRNAの混合物、及びDNA又はRNAのどちらかに容易に分類することができない修飾形態も含み得る。
ActRII受容体を阻害する核酸化合物は、骨格(ヌクレオチド間結合を含む、天然の核酸の糖-リン酸部分)又は塩基部分(天然の核酸のプリンもしくはピリミジン部分)に対する1以上の修飾を含む、種々の修飾のいずれかを含み得る。ある実施態様において、アンチセンス核酸化合物は、約15〜約30ヌクレオチドの長さを有し、多くの場合、特定の特徴、例えば、血清中での安定性、細胞内での安定性、又は例えば、経口送達化合物の場合は胃、及び吸入化合物の場合は肺などの、該化合物が送達される可能性が高い場所での安定性を改善する1以上の修飾を含む。RNAiコンストラクトの場合、標的転写物に相補的な鎖は、通常、RNA又はその修飾物である。他の鎖は、RNA、DNA、又は任意の他の変形物であり得る。二本鎖又は一本鎖「ヘアピン」RNAiコンストラクトの二重鎖部分は、ある実施態様において、それがDicer基質としての役割を果たす限り、18〜40ヌクレオチド長、及び任意に、約21〜23ヌクレオチド長の長さを有する。触媒的又は酵素的核酸は、リボザイム又はDNA酵素であり得、修飾形態も含み得る。ある実施態様において、ActRII受容体を阻害する核酸化合物は、生理的条件下で及び非センス又はセンス対照がほとんど又は全く効果がない濃度で、その標的の発現を約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれより大きく阻害し得る。核酸化合物の効果を試験するための濃度としては、1、5、10マイクロモル濃度、又はそれを上回る濃度が挙げられる。
他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達のインヒビターは、抗体である。そのような抗体としては、アクチビン(特に、βA又はβBとも呼ばれる、アクチビンA又はBサブユニット)に結合し、ActRII受容体結合を破壊する抗体;及びActRII受容体ポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIA又は可溶性ActRIIBポリペプチド)に結合し、アクチビン結合を破壊する抗体が挙げられる。
ActRII受容体ポリペプチド又はアクチビンポリペプチドに由来する免疫原を使用することにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清又はモノクローナル抗体を標準的なプロトコルによって作製することができる(例えば、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)、Harlow及びLane編(Cold Spring Harbor Press: 1988)を参照されたい)。哺乳動物、例えば、マウス、ハムスター、又はウサギを、ActRII受容体ポリペプチドの免疫原性形態、抗体応答を誘発することができる抗原性断片、又は融合タンパク質で免疫することができる。タンパク質又はペプチドに免疫原性を付与する技術には、担体へのコンジュゲーション又は当技術分野で周知の他の技術が含まれる。ActRII受容体又はアクチビンポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫の発達は、血漿又は血清中の抗体力価の検出によりモニタリングすることができる。標準的なELISA又は他の免疫アッセイを抗原としての免疫原とともに用いて、抗体のレベルを評価することができる。
動物をActRII受容体ポリペプチドの抗原性調製物で免疫した後、抗血清を得ることができ、望ましい場合、ポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫動物から回収し、標準的な体細胞融合法によって骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。そのような技術は当技術分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(Kohler及びMilstein(1975) Nature, 256: 495-497により最初に開発されたもの)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarらの文献(1983) Immunology Today, 4: 72)、及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleらの文献(1985)モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R. Liss, Inc. pp. 77-96)を含む。ハイブリドーマ細胞を、ActRII受容体ポリペプチドと特異的に反応する抗体の産生について免疫化学的にスクリーニングし、モノクローナル抗体を、そのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離することができる。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、その断片を含むことが意図され、該断片もまた、対象ポリペプチドと特異的に反応する。抗体を従来の技術を用いて断片化し、該断片を、全抗体について上で記載されているのと同じ方法で、有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2断片は、抗体をペプシンで処理することにより作製することができる。得られたF(ab)2断片を処理して、ジスルフィド架橋を還元し、Fab断片を産生することができる。抗体は、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されるActRII受容体又はアクチビンポリペプチドに対する親和性を有する二重特異性、単鎖、キメラ、ヒト化、及び完全ヒト分子を含むことがさらに意図される。抗体は、それに付着し、検出されることができる標識をさらに含むことができる(例えば、該標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、又は酵素補因子であることができる)。
ある実施態様において、抗体は組換え抗体であり、この用語は、一部は分子生物学の技術によって作製される任意の抗体を包含し、これには、CDR移植又はキメラ抗体、ライブラリー選択抗体ドメインから組み立てられたヒト抗体又は他の抗体、単鎖抗体、並びに単ドメイン抗体(例えば、ヒトVHタンパク質又はラクダ科VHHタンパク質)が含まれる。ある実施態様において、抗体はモノクローナル抗体であることができ、及びある実施態様において。例えば、ActRII受容体ポリペプチド又はアクチビンポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、検出可能な免疫応答を刺激するのに有効な量の抗原ポリペプチドを含む免疫原性組成物をマウスに投与し、該マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓由来の細胞)を取得し、該抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを取得し、該抗体産生ハイブリドーマを試験して、該抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定することを含み得る。ひとたび取得されれば、ハイブリドーマを、細胞培養物中で、及び任意に、ハイブリドーマ由来細胞が抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で増殖させることができる。モノクローナル抗体は、該細胞培養物から精製してもよい。
抗体に関して使用される「と特異的に反応する」という形容詞は、当技術分野で一般に理解されているように、抗体が特定のタイプの生物学的試料中の関心対象の抗原の存在を最小限検出するのに有用であるほど、抗体が関心対象の抗原(例えば、ActRII受容体ポリペプチド)と関心対象ではない他の抗原との間で十分に選択的であることを意味することが意図される。治療への応用などの、抗体を利用する特定の方法において、より高度の結合特異性が望ましい場合がある。モノクローナル抗体は、通常、所望の抗原と交差反応性ポリペプチドとを効果的に識別する傾向が(ポリクローナル抗体と比較して)より高い。抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす1つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は様々な異なる親和性を伴って達成され得るが、通常、好ましい抗体は、約10-6、10-7、10-8、10-9、又はそれ未満の親和性(解離定数)を有する。アクチビンとActRII受容体の異常に強力な結合を考慮すると、中和抗アクチビン又は抗ActRII受容体抗体は、通常、10-10以下の解離定数を有すると考えられる。
さらに、望ましい抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために使用される技術は、得られる抗体の特性に影響を及ぼし得る。例えば、抗体を溶液中の抗原に結合させるのに使用する場合、溶液結合を試験することが望ましい場合がある。抗体と抗原の相互作用を試験して、特に望ましい抗体を同定するために、種々の異なる技術が利用可能である。そのような技術としては、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore(商標)結合アッセイ、Biacore AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International社, Gaithersburg, Md.の常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、及び免疫組織化学が挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達インヒビターには、別の形態のアクチビン、特に、I型受容体結合ドメイン中に改変を有し、II型受容体に結合することができ、かつ活性のある三重複合体を形成しないものが含まれる。ある実施態様において、アクチビンA、B、C、もしくはE、又は特に、ActRII受容体発現を阻害する核酸、例えば、アンチセンス分子、siRNA、又はリボザイムを、本明細書に記載される組成物及び方法で使用することができる。ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達インヒビターは、特に、GDF8及びアクチビンに関して、TGF-βファミリーの他のメンバーと比べて、GDF11媒介性シグナル伝達の阻害に選択性を示す。
他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達のインヒビターは、ActRII受容体アンタゴニスト活性を有する非抗体タンパク質であり、これには、インヒビン(すなわち、インヒビンαサブユニット)、フォリスタチン(例えば、フォリスタチン-288及びフォリスタチン-315)、ケルベロス(Cerberus)、フォリスタチン関連タンパク質(「FSRP」)、エンドグリン、アクチビンC、α(2)-マクログロブリン、並びにM108A(位置108におけるメチオニンからアラニンへの変化)突然変異体アクチビンAが含まれる。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達インヒビターは、アクチビン生物活性に拮抗し、及び/又はアクチビンに結合するフォリスタチンポリペプチドである。「フォリスタチンポリペプチド」という用語には、フォリスタチンの任意の天然のポリペプチド並びに有用な活性を保持するその任意の変異体(突然変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドが含まれ、フォリスタチンの任意の機能的単量体又は多量体がさらに含まれる。アクチビン結合特性を保持するフォリスタチンポリペプチドの変異体は、フォリスタチンとアクチビンの相互作用に関する以前の研究に基づいて同定することができる。例えば、引用により完全に本明細書中に含まれるWO2008/030367号には、アクチビン結合に重要であることが示されている具体的なフォリスタチンドメイン(「FSD」)が開示されている。フォリスタチンポリペプチドには、フォリスタチンポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一な、及び任意に、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一な配列を有する任意の公知のフォリスタチンの配列に由来するポリペプチドが含まれる。フォリスタチンポリペプチドの例としては、成熟フォリスタチンポリペプチドもしくはより短いアイソフォーム、又は例えば、引用により完全に本明細書中に含まれるWO2005/025601号に記載されているヒトフォリスタチン前駆ポリペプチドの他の変異体が挙げられる。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法で使用されるActRIIシグナル伝達インヒビターは、アクチビン生物活性に拮抗し、及び/又はアクチビンに結合するフォリスタチン様関連遺伝子(FLRG)である。「FLRGポリペプチド」という用語には、FLRGの任意の天然のポリペプチド並びに有用な活性を保持するその任意の変異体(突然変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドが含まれる。アクチビン結合特性を保持するFLRGポリペプチドの変異体は、FLRGとアクチビンの相互作用をアッセイするルーチンの方法を用いて同定することができる。例えば、引用により完全に本明細書中に含まれる米国特許第6,537,966号を参照されたい。FLRGポリペプチドには、FLRGポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一な、及び任意に、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを上回って同一な配列を有する任意の公知のFLRGの配列に由来するポリペプチドが含まれる。
ある実施態様において、フォリスタチンポリペプチド及びFLRGポリペプチドの機能的変異体又は修飾形態には、フォリスタチンポリペプチド又はFLRGポリペプチドの少なくとも一部と、例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化、又は多量体化を容易にするドメインなどの1以上の融合ドメインとを有する融合タンパク質が含まれる。好適な融合ドメインは、ActRIIA及びActRIIBポリペプチドに関して上で詳細に論じられている。一実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、Fcドメインに融合したフォリスタチンポリペプチドのアクチビン結合部分を含む融合タンパク質である。別の実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、Fcドメインに融合したFLRGポリペプチドのアクチビン結合部分を含む融合タンパク質である。
(7.7 アッセイ)
様々なActRIIポリペプチド変異体、又は可溶性ActRIIポリペプチド変異体を、ActRIIを阻害するその能力について試験することができる。さらに、化合物を、ActRIIを阻害するその能力について試験することができる。ひとたびActRIIシグナル伝達活性のインヒビターが確認されれば、これらの化合物を本明細書に提供される方法とともに使用することができる。ActRIIは、ActRIIA又はActRIIBであることができる。下記のアッセイは、ActRIIAについて記載されているが、ActRIIBについても同様に実施することができる。
(7.7.1 参照集団)
ある実施態様において、参照集団の大きさは、1、5、10、25、50、75、100、200、250、300、400、500、又は1000個体であることができる。ある実施態様において、参照集団はランダムボランティアからなる。ある実施態様において、参照集団は健常人からなる。ある実施態様において、参照集団は、第7.5節に記載されているような患者集団と同じ年齢、体重、及び/又は性別の人々からなる。ある実施態様において、参照集団は、β-サラセミアを有さない人々からなる。
(7.7.2 タンパク質レベル及び/又は活性の評価)
タンパク質、例えば、ヘモグロビン、胎児ヘモグロビン、又はGDF11のレベルは、当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意の方法によって決定することができる。例えば、組織試料中のタンパク質、例えば、ヘモグロビン、胎児ヘモグロビン、又はGDF11のレベルは、例えば、ノーザンブロッティング、PCR解析、リアルタイムPCR解析、又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の他の技法を用いて、試料中のタンパク質の転写されたRNAを評価する(例えば、定量する)ことにより決定することができる。一実施態様において、組織試料中のタンパク質のレベルは、試料中のタンパク質のmRNAを評価する(例えば、定量する)ことにより決定することができる。
組織試料中のタンパク質、例えば、ヘモグロビン、胎児ヘモグロビン、又はGDF11のレベルは、例えば、免疫組織化学的解析、ウェスタンブロッティング、ELISA、免疫沈降、フローサイトメトリー解析、又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の他の技法を用いて、試料中のタンパク質のタンパク質発現のレベルを評価する(例えば、定量する)ことにより決定することもできる。特定の実施態様において、タンパク質のレベルは、患者の組織試料中(例えば、ヒト血清中)に存在するタンパク質の量を定量することができ、かつ/又はアクチビンII型受容体シグナル伝達インヒビターによる治療の後のタンパク質のレベルの是正を検出することができる方法によって決定される。一実施態様において、組織試料中のタンパク質のレベルは、ELISAを用いて、試料中のタンパク質のタンパク質発現を評価する(例えば、定量する)ことにより決定される。
(7.7.3 血清フェリチンレベルの低下)
血清フェリチンレベルは、当業者に公知のアッセイに従って決定することができる。通常、成人男性は、24〜336ng/mLの血清フェリチン濃度を有し、通常、成人女性は、11〜307ng/mLの血清フェリチン濃度を有する。
(7.7.4 鉄レベル)
鉄レベル、例えば、肝臓又は心筋の鉄レベルなどは、当業者に公知のアッセイに従って決定することができる。例えば、鉄レベル(例えば、肝鉄濃度又は心筋鉄濃度)は、磁気共鳴イメージングによって決定することができる。
(7.7.5 赤血球形態)
赤血球形態は、例えば、血液塗抹検査などの、当業者に公知のアッセイに従って評価することができる。対象における異常赤血球の数と対象における赤血球の総数の比は、例えば、血液試料を取得すること、血液塗抹検査を実施すること、塗抹中の異常赤血球の数をカウントすること、塗抹中の赤血球の総数をカウントすること、及び異常赤血球の数を塗抹中の赤血球の総数で割ることにより比を決定することにより決定することができる。対象における好塩基性斑点を有する赤血球の数と対象における赤血球の総数の比は、例えば、血液試料を取得すること、血液塗抹検査を実施すること、塗抹中の好塩基性斑点を有する赤血球の数をカウントすること、塗抹中の赤血球の総数をカウントすること、及び好塩基性斑点を有する赤血球の数を塗抹中の赤血球の総数で割ることにより比を決定することにより決定することができる。対象における奇形赤血球の数と対象における赤血球の総数の比は、例えば、血液試料を取得すること、血液塗抹検査を実施すること、塗抹中の奇形赤血球の数をカウントすること、塗抹中の赤血球の総数をカウントすること、及び奇形赤血球の数を塗抹中の赤血球の総数で割ることにより比を決定することにより決定することができる。対象における破砕赤血球の数と対象における赤血球の総数の比は、例えば、血液試料を取得すること、血液塗抹検査を実施すること、塗抹中の破砕赤血球の数をカウントすること、塗抹中の赤血球の総数をカウントすること、及び破砕赤血球の数を塗抹中の赤血球の総数で割ることにより比を決定することにより決定することができる。対象における不規則に縮小した赤血球の数と対象における赤血球の総数の比は、例えば、血液試料を取得すること、血液塗抹検査を実施すること、塗抹中の不規則に縮小した赤血球の数をカウントすること、塗抹中の赤血球の総数をカウントすること、及び不規則に縮小した赤血球の数を塗抹中の赤血球の総数で割ることにより比を決定することにより決定することができる。
(7.7.6 赤血球応答)
赤血球応答の持続時間は、応答を達成する対象について計算することができる。応答の持続時間を計算するために使用されるアルゴリズムは、次の通りである:(1)応答の最初の日=応答を示している最初の12週間のインターバルの最初の日。応答の最後の日=応答を示している最後の連続129週間のインターバルの最後の日。最終評価の日=薬物をまだ服用している対象の最後の診察日又は治療を中止した対象の中止日のいずれか。赤血球応答の持続時間は、最終評価日の前に応答が終了するか否かに応じて、次の通りに計算することができる:(1)その応答が治療期間の最後まで継続しない対象、応答の持続時間は打ち切られず、以下のように計算される:応答持続時間=応答の最後の日−応答の最初の日+1;(2)治療期間の最後で赤血球応答を示し続ける対象、応答の最後の日は打ち切られ、応答の持続時間は以下のように計算される:応答持続時間=最後の応答評価の日−応答の最初の日+1。
最初の赤血球応答までの時間は次の通りに計算することができる:試験薬の最初の投与から応答開始の最初の日までの日数は:応答までの時間=応答の最初の日−最初の試験薬の日+1を用いて計算される。
(7.7.7 輸血負荷)
1単位の赤血球は約200mgの鉄を含有すると推定されるが、体は、通常、1日に1.5mgの鉄しか喪失しない。本明細書に提供される方法によって治療される対象における輸血負荷は、対象の輸血の必要性(すなわち、赤血球輸血の量及び頻度)を決定することにより決定することができる。非限定的な例として、3週間毎に2単位の赤血球の輸血を必要とする対象が、本明細書に提供される方法による治療によって、4週間毎への輸血頻度の低下を達成する場合、対象は、輸血負荷が25%低下している。
(7.7.8 臨床的合併症の評価)
対象の髄外造血(EMH)腫瘤は、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)及びコンピュータ断層撮影スキャニングなどの、当業者に公知のアッセイによって評価することができる。ある実施態様において、対象のEMH腫瘤はMRIによって評価することができる。
脾腫は、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)などの、当業者に公知のアッセイによって評価することができる。
三尖弁逆流速度(TRV)は、例えば、心エコー検査(ECHO)などの、当業者に公知のアッセイによって評価することができる。
対象における肝鉄濃度は、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)などの、当業者に公知のアッセイによって評価することができる。
(7.7.9 骨粗鬆症及び骨ミネラル密度)
骨粗鬆症の症状の非限定的な例としては、背部痛、経時的な身長の低下、前屈姿勢、骨折しやすいこと、及び骨ミネラル密度の減少が挙げられる。本明細書に提供される方法に従って治療される対象における骨ミネラル密度は、例えば、骨密度スキャニング(二重エネルギーX線吸収測定法(DXAもしくはDEXA)又は骨密度測定法とも呼ばれる)及び超音波などの、当業者に公知のアッセイによって決定することができる。ある実施態様において、本明細書に提供される方法に従って治療される対象における骨ミネラル密度はDXAによって決定される。
(7.7.10 骨格の変形)
本明細書に提供される方法に従って治療される対象における骨格の変形は、例えば、X線、並びに例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)及びコンピュータ断層撮影などのイメージング技法などの、当業者に公知のアッセイによって決定することができる。
(7.7.11 骨代謝回転)
骨代謝回転の様々な循環マーカーを用いて、低い骨代謝回転などの骨障害を診断することができる。骨代謝回転の循環マーカーは、骨特異的アルカリホスファターゼ(bAP)、オステオカルシン、プロコラーゲンI型C末端プロペプチド(PICP)、及びインスリン様成長因子-1(IGF-1)などの、骨形成のマーカーであり、一部は、ピリジノリン、デオキシピリジノリン、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)、TRAP 5b型、ピリジノリン、デオキシピリジノリン及びプロコラーゲンI型C末端テロペプチド(ICTP)、血清又は尿コラーゲン架橋(N-テロペプチド又はC-テロペプチド)、並びに25ヒドロキシビタミンDなどの骨吸収のマーカーである。完全な副甲状腺ホルモン(PTH)分子を測定するためのアッセイを使用することもできる。当業者は、骨ミネラル密度(BMD)、骨量、骨梁量、及び骨梁幅の評価を可能にするイメージング法を認識している。例えば、Tilman B. Drueke及びSharon M. Moeの文献、慢性腎疾患における骨ミネラル代謝の障害:診断及び治療を改善するための国際的なイニシアチブ(Disturbances of bone and mineral metabolism in chronic kidney disease: an international initiative to improve diagnosis and treatment)、Nephrol Dial Transplant(2004) 19: 534-536; Okuno S、Inaba M.の文献、骨代謝回転の生化学的マーカー。新しい局面。透析と骨代謝マーカー(Biochemical markers of bone turnover. New aspect. Dialysis and bone metabolic marker)、Clin Calcium. 2009 Aug;19(8):1084-91; Herberth J、Monier-Faugere MC、Mawad HW、Branscum AJ、Herberth Z、Wang G、Cantor T、Malluche HHの文献、5つのよく使用されるインタクト副甲状腺ホルモンアッセイは、CKD-5対象における骨代謝回転異常のスクリーニングには有用であるが、その診断には有用でない(The five most commonly used intact parathyroid hormone assays are useful for screening but not for diagnosing bone turnover abnormalities in CKD-5 subjects)、Clin Nephrol. 2009 Jul;72(1):5-14; Lehmann G、Ott U、Kaemmerer D、Schuetze J、Wolf G.の文献、慢性腎疾患ステージ3〜5の対象における骨代謝回転の骨組織形態計測及び生化学マーカー(Bone histomorphometry and biochemical markers of bone turnover in subjects with chronic kidney disease Stages 3 - 5)、Clin Nephrol. 2008 Oct;70(4):296-305; Drueke TB.の文献、副甲状腺ホルモン測定は腎性骨疾患の診断に有用か?(Is parathyroid hormone measurement useful for the diagnosis of renal bone disease?)、Kidney Int. 2008 Mar;73(6):674-6; Yamada S、Inaba M、Kurajoh M、Shidara K、Imanishi Y、Ishimura E、Nishizawa Y.の文献、慢性腎疾患の対象における骨吸収マーカーとしての血清酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRACP5b)の有用性:腎機能障害からの独立性(Utility of serum tartrate-resistant acid phosphatase (TRACP5b) as a bone resorption marker in subjects with chronic kidney disease: independence from renal dysfunction.)、Clin Endocrinol(Oxf). 2008 Aug;69(2):189-96. Epub 2008 Jan 23を参照されたい。Paul D. Millerの文献、慢性腎疾患における骨粗鬆症の診断及び治療(Diagnosis and Treatment of Osteoporosis in Chronic Renal Disease), 2009も参照されたい。
軽度の腎機能障害を有するCKD対象における骨吸収をモニタリングするための別のマーカーは、I型コラーゲンN-テロペプチド(S-NTX)の血清濃度である。例えば、Hamano T、Fujii N、Nagasawa Y、Isaka Y、Moriyama T、Okada N、Imai E、Horio M、Ito T.の文献、血清NTXは、グルココルチコイド治療を受けた慢性腎疾患の対象に対する抗吸収療法を評価するための実用的マーカーである(Serum NTX is a practical marker for assessing antiresorptive therapy for glucocorticoid treated subjects with chronic kidney disease.)、Bone. 2006 Nov;39(5):1067-72. Epub 2006 Jun 16を参照されたい。
定量的コンピュータ断層撮影(QCT)を用いて、骨代謝回転を決定することもできる。
対象における骨芽細胞転換をモニタリングするために、例えば、Runx2及びAlpなどのマーカーを評価することができる。血管平滑筋機能及び分化した血管平滑筋細胞のレベルをモニタリングするために、例えば、Sm22-αなどのマーカーを評価することができる。
(7.7.12 心臓のサイズ及び心肥大)
心臓のサイズ及び心肥大は、当業者に公知の任意の方法、例えば、磁気共鳴イメージング、心電図検査、心エコー検査、及び非造影増強心臓コンピュータ断層撮影法などによって決定することができる。
(7.7.13 生活の質)
本明細書に提供される方法に従って治療される対象の生活の質を評価するために、ショートフォーム(36)健康調査(SF-26)及び/又は癌療法の機能的評価−貧血用(FACT-An)を利用することができる。
SF-36(バージョン2.0)は、8つの健康領域:(1)身体機能(PF)、3aから3jまでの10項目;(2)日常役割機能−身体(RP)、4aから4dまでの4項目;(3)体の痛み(BP)、項目7及び8;(4)全体的健康感(GH)、項目1及び11a〜11d、(5)活力(VT)、項目9a、9e、9g、及び9i;(6)社会生活機能(SF)、項目6及び10;(7)日常役割機能−精神(RE)、項目5a、5b、及び5c;並びに(8)心の健康(MH)、9b、9c、9d、9f、及び9hの5項目を評価する8つの多項目尺度からなる自己記入式質問票である。2つの全体的サマリースコア:(1)身体的側面のサマリースコア(PCS);及び(2)精神的側面のサマリースコア(MCS)も得ることができる。健康領域の得点、並びにPCS及びMCS得点は、標準値に基づく得点(平均50及びSD 10)に変換され、より高い得点がより良好な健康を示す。SF-36の最重要関心事は、健康領域の標準値に基づく得点、並びにPCS及びMCSの標準値に基づく得点である。健康領域の標準値に基づく得点、PCS及びMCSの標準値に基づく得点、並びにこれらの標準値に基づく得点のベースラインからの変化のサマリー統計値(n、平均、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値)を評価することができる。SF-36の採点及び欠測値に対処する方法は、この質問票の開発者によって提供されている指示に従って達成することができる。
或いは、FACT-Anを用いて、本明細書に提供される方法に従って治療される対象の生活の質を決定することができる。FACT-Anは、生活の質の4つの一般領域(身体、社会/家族、精神、及び機能の幸福)を測定する中核になる27項目の一般的なアンケート(FACT−一般、又はFACT−G全体)からなる癌に特化した47項目のアンケートである。FACT-An尺度は、5点リッカート評価尺度(0=全く当てはまらない; 1=あまり当てはまらない; 2=そこそこ当てはまる; 3=よく当てはまる;及び4=極めてよく当てはまる)を用いる自己記入用に、下位尺度領域によって、1〜4ページ目にフォーマットが指定されている。FACT質問票の採点は、この質問票の開発者によって提供されている指示に従って、全尺度水準で遂行することができる。FACT-G総得点は、一般的なHRQoL質問票の範囲内の4つの領域を合計することにより採点することができる。
(7.7.14 有害事象共通用語規準(CTCAE、バージョン4.0))
グレード1は、軽度有害事象を指す。具体的には、グレード1は、一過性又は軽度の不快感を指す。活動制限及び医学的介入/療法は、グレード1の有害事象に必要とされない。グレード2は、中等度の有害事象を指す。具体的には、グレード2は、軽度から中等度の活動制限を指す。ある程度の援助が必要とされ得るが、グレード2の有害事象には、医学的介入/療法は全く必要ないか、又は最小限の医学的介入/療法しか必要とされない。グレード3は、重度の有害事象を指す。具体的には、グレード3は、顕著な活動制限を指す。ある程度の援助が通常必要とされ、医学的介入/療法が必要とされる一方で、グレード3の有害事象については、入院が可能である。グレード4は、生命を脅かす有害事象を指す。具体的には、グレード4は、極端な活動制限を指し、グレード4の有害事象には、要求される相当な援助、要求される相当な医学的介入/療法、及び入院又はホスピスケアの可能性がある。グレード5の有害事象は死亡である。
(7.7.15 ヘマトクリット)
ヘマトクリットは、所与の容量の全血中の赤血球のパーセンテージを測定するものであり、標準的な全血算値の一部として含まれ得る。ヘマトクリットは、通常、男性では約45%、女性では約40%である。しかしながら、β-サラセミア患者は、典型的には、通常見られるヘマトクリットよりも低いヘマトクリットを有する。したがって、本明細書に提供される方法による治療を受けているβ-サラセミア患者におけるヘマトクリットの決定は、そのような治療の効力の決定を可能にする。
(7.7.16 ヘモグロビン)
ヘモグロビン濃度は、当業者に公知のアッセイに従って決定することができる。β-サラセミア患者は、典型的には、通常見られる濃度よりも低いヘモグロビン濃度を有する。したがって、本明細書に提供される方法による治療を受けているβ-サラセミア患者におけるヘモグロビン濃度の決定は、そのような治療の効力の決定を可能にする。
(7.7.17 スクリーニングアッセイ)
様々なActRIIポリペプチド変異体、又は可溶性ActRIIポリペプチド変異体を、ActRIIを阻害するその能力について試験することができる。さらに、化合物を、ActRIIを阻害するその能力について試験することができる。ひとたびActRII活性のシグナル伝達インヒビターが確認されれば、これらの化合物を本明細書に提供される方法とともに使用することができる。ActRIIは、ActRIIA又はActRIIBであることができる。下記のアッセイは、ActRIIAについて記載されているが、ActRIIBについても同様に実施することができる。
例えば、骨産生又は骨破壊に関与する遺伝子の発現に対するActRIIAポリペプチド変異体の効果を評価することができる。これは、必要な場合、1以上の組換えActRIIAリガンドタンパク質(例えば、アクチビン)の存在下で実施することができ、細胞を、ActRIIAポリペプチド及び/又はその変異体、並びに任意にActRIIAリガンドを産生するようにトランスフェクトすることができる。同様に、ActRIIAポリペプチドをマウス又は他の動物に投与することができ、1以上の骨特性、例えば、密度又は体積を評価することができる。骨折の治癒速度を評価することもできる。二重エネルギーX線吸収法(DEXA)は、動物の骨密度を評価するための十分に確立された非侵襲的な定量技術である。ヒトにおいて、中枢DEXAシステムを用いて、脊椎及び骨盤の骨密度を評価することができる。これらは、全骨密度の最良の予測因子である。末梢DEXAシステムを用いて、例えば、手、手首、足首、及び足の骨を含む、末梢骨の骨密度を評価することができる。CATスキャンを含む、従来のX線イメージングシステムを用いて、骨成長及び骨折治癒を評価することができる。さらに、定量的コンピュータ断層撮影(qCT)を用いて、骨密度を測定することができる。骨の機械的強度を評価することもできる。
ある態様において、本明細書に提供されるのは、アクチビン-ActRIIAシグナル伝達経路のアゴニスト又はアンタゴニストとなる化合物(薬剤)を同定するためのActRIIAポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIAポリペプチド)及びアクチビンポリペプチドの使用である。このスクリーニングを通じて同定された化合物を試験して、骨の成長又は石化をインビトロで調節するその能力を評価することができる。任意に、これらの化合物を動物モデルでさらに試験して、インビボで組織成長を調節するその能力を評価することができる。
アクチビン及びActRIIAポリペプチドを標的とすることによって組織成長を調節する治療剤をスクリーニングする数多くの手法がある。ある実施態様において、化合物のハイスループットスクリーニングを実施して、骨に対するアクチビン又はActRIIA媒介性効果を撹乱する薬剤を同定することができる。ある実施態様において、アッセイを実施して、アクチビンに対するActRIIAポリペプチドの結合を特異的に阻害し又は低下させる化合物をスクリーニング及び同定する。或いは、アッセイを用いて、アクチビンに対するActRIIAポリペプチドの結合を増強する化合物を同定することができる。さらなる実施態様において、化合物を、アクチビン又はActRIIAポリペプチドと相互作用するその能力によって同定することができる。
種々のアッセイ形式が十分であり、本開示を考慮すれば、本明細書に明示的に記載されていないものが、それにもかかわらず、当業者によって理解されるであろう。本明細書に記載されているように、本明細書で使用される試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアル化学法によって作出することができる。或いは、対象化合物は、インビトロ又はインビボで合成された天然の生体分子であることができる。組織成長のモジュレーターとして作用するその能力について試験される化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物、もしくは他の生物により産生されるか(例えば、天然物)、化学的に産生されるか(例えば、ペプチド模倣体を含む小分子)、又は組換えで産生されることができる。本明細書で企図される試験化合物としては、非ペプチド有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、糖、ホルモン、及び核酸分子が挙げられる。具体的な実施態様において、試験薬剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小有機分子である。
試験化合物は、単一の別個の実体として提供するか、又は例えば、コンビナトリアル化学によってより複雑度の高いライブラリー中に提供することができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、及び他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験系に対する試験化合物の提示は、特に、最初のスクリーニング工程において、単離された形態か、又は化合物の混合物としてかのいずれかであり得る。任意に、該化合物は、他の化合物で誘導体化され、該化合物の単離を容易にする誘導体化基を有することができる。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化クロスリンカー、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。
化合物及び天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所与の期間に調査される化合物の数を最大にするためには、ハイスループットアッセイが望ましい。精製又は半精製されたタンパク質を用いて得ることができるような、無細胞系で実施されるアッセイは、試験化合物によって媒介される分子標的の変化の迅速な発生及び比較的容易な検出を可能にするように作製することができるという点で、多くの場合、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性又はバイオアベイラビリティの効果は、通常、インビトロ系では無視することができ、その代わりに、このアッセイは、主として、ActRIIAポリペプチドとアクチビンの間の結合親和性の変化として現われ得るような分子標的に対する薬物の効果に焦点を当てている。
単に例証するために、例示的なスクリーニングアッセイにおいて、関心対象の化合物を、通常アクチビンに結合することができる単離及び精製されたActRIIAポリペプチドと接触させる。その後、化合物とActRIIAポリペプチドの混合物に、ActRIIAリガンドを含む組成物を添加する。ActRIIA/アクチビン複合体の検出及び定量は、ActRIIAポリペプチドとアクチビンの間の複合体形成の阻害(又は強化)における化合物の効力を決定するための手段を提供する。化合物の効力は、様々な濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量応答曲線を作成することにより評価することができる。さらに、対照アッセイを実施して、比較用のベースラインを提供することもできる。例えば、対照アッセイでは、単離及び精製されたアクチビンを、ActRIIAポリペプチドを含む組成物に添加し、ActRIIA/アクチビン複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般に、反応物を混合し得る順序を変えることができ、また、反応物を同時に混合することができることが理解されるであろう。さらに、精製タンパク質の代わりに、細胞の抽出物及び溶解物を用いて、好適な無細胞アッセイ系を提供することができる。
ActRIIAポリペプチドとアクチビンの間の複合体形成は、種々の技術により検出することができる。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、検出可能に標識されたタンパク質、例えば、放射性標識された(例えば、32P、35S、14C、もしくは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC)、又は酵素標識されたActRIIAポリペプチド又はアクチビンを用いて、免疫アッセイによるか、又はクロマトグラフィー検出によって定量することができる。
ある実施態様において、本明細書で企図されるのは、直接的に又は間接的に、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用の程度を測定する際の蛍光偏光アッセイ及び蛍光共鳴エネルギー遷移(FRET)アッセイの使用である。さらに、他の検出様式、例えば、光導波路(PCT公開WO 96/26432号及び米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、並びに表面力センサーに基づく検出様式は、本発明に記載の多くの実施態様と適合する。
さらに、「ツーハイブリッドアッセイ」としても知られる相互作用トラップアッセイを、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を撹乱又は強化する因子の同定のために使用することができる。例えば、米国特許第5,283,317号; Zervosらの文献(1993) Cell 72:223-232; Maduraらの文献(1993) J Biol Chem 268:12046-12054; Bartelらの文献(1993) Biotechniques 14:920-924;及びIwabuchiらの文献(1993) Oncogene 8:1693-1696)を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書で企図されるのは、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を断ち切る化合物(例えば、小分子又はペプチド)を同定するためのリバースツーハイブリッドシステムの使用である。例えば、Vidal及びLegrainの文献(1999) Nucleic Acids Res 27:919-29; Vidal及びLegrainの文献(1999) Trends Biotechnol 17:374-81;並びに米国特許第5,525,490号;第5,955,280号;及び第5,965,368号を参照されたい。
ある実施態様において、対象化合物は、ActRIIA又はアクチビンポリペプチドと相互作用するその能力によって同定される。該化合物とActRIIA又はアクチビンポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合性であっても非共有結合性であってもよい。例えば、そのような相互作用は、光架橋、放射性標識リガンド結合、及び親和性クロマトグラフィーを含む、インビトロの生化学的方法を用いて、タンパク質レベルで同定することができる(Jakoby W Bらの文献、1974, Methods in Enzymology 46: 1)。ある場合には、該化合物を、メカニズムに基づくアッセイ、例えば、アクチビン又はActRIIAポリペプチドに結合する化合物を検出するアッセイでスクリーニングすることができる。これは、固相又は流体相の結合事象を含み得る。或いは、アクチビン又はActRIIAポリペプチドをコードする遺伝子を、レポーターシステム(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、又は緑色蛍光タンパク質)とともに細胞内にトランスフェクトし、好ましくは、ハイスループットスクリーニングによるか又はライブラリーの個々のメンバーを用いて、ライブラリーに対してスクリーニングすることができる。他のメカニズムに基づく結合アッセイ、例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを使用することができる。結合アッセイは、ウェル、ビーズ、もしくはチップに固定されているか、又は固定された抗体によって捕捉されているか、又はキャピラリー電気泳動によって分解される標的を用いて実施することができる。結合した化合物は、通常、比色又は蛍光又は表面プラズモン共鳴を用いて検出することができる。
ある態様において、本明細書に提供されるのは、骨形成を調節(刺激又は阻害)し、及び骨量を増加させるための方法及び薬剤である。それゆえ、同定された任意の化合物を、全細胞又は組織中で、インビトロ又はインビボで試験して、骨の成長又は石化を調節するその能力を確認することができる。当技術分野で公知の様々な方法をこの目的のために使用することができる。特に、該化合物を骨代謝回転を増加させるその能力について試験することができる。
例えば、骨又は軟骨の成長に対するActRIIA又はアクチビンポリペプチド又は試験化合物の効果は、Msx2の誘導又は骨前駆細胞から骨芽細胞への分化を細胞ベースのアッセイで測定することにより決定することができる(例えば、Daluiskiらの文献、Nat Genet. 2001, 27(1):84-8; Hinoらの文献、Front Biosci. 2004, 9:1520-9を参照されたい)。細胞ベースのアッセイの別の例は、間葉前駆細胞及び骨芽細胞における対象ActRIIA又はアクチビンポリペプチド及び試験化合物の骨形成活性を解析することを含む。例証するために、アクチビン又はActRIIAポリペプチドを発現する組換えアデノウイルスを構築して、多能性間質前駆細胞C3H10T1/2細胞、前骨芽C2Cl2細胞、及び骨芽TE-85細胞に感染させることができる。その後、骨形成活性は、アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、及び基質石灰化の誘導を測定することにより決定される(例えば、Chengらの文献、J bone Joint Surg Am. 2003, 85-A(8): 1544-52を参照されたい)。
また本明細書に提供されるのは、骨又は軟骨の成長を測定するためのインビボアッセイである。例えば、Namkung-Matthaiらの文献、Bone, 28:80-86(2001)には、骨折後の初期における骨修復を研究するラット骨粗鬆症モデルが開示されている。また、Kuboらの文献、Steroid Biochemistry & Molecular Biology, 68:197-202(1999)には、骨折後の後期における骨修復を研究するラットの骨粗鬆症モデルが開示されている。Anderssonらの文献、J. Endocrinol. 170:529-537には、マウス骨粗鬆症モデルが記載されている。このモデルでは、マウスから卵巣が摘出され、それにより、マウスは相当な骨ミネラル含量及び骨ミネラル密度を失い、骨梁は骨ミネラル密度の約50%を失う。骨密度は、副甲状腺ホルモンなどの因子の投与により、卵巣摘出マウスで増加させることができる。ある態様において、当技術分野で公知の骨折治癒アッセイを使用することができる。これらのアッセイは、骨折法、組織学的解析、及び生体力学解析を含み、これらは、例えば、骨折を引き起こし、及びその程度を測定するための実験プロトコル、並びに修復過程のその開示について引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,521,750号に記載されている。
(7.8 組合せ療法)
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、第二の医薬活性剤又は療法と組み合わせて実施される。そのような組合せ療法は、治療の個々の成分の同時的、連続的、又は個別的な投与によって達成することができる。さらに、そのような組合せ療法の成分として投与されるとき、ActRIIシグナル伝達インヒビター及び第二の医薬活性剤又は療法は相乗的であり得、その結果、該成分のいずれか又は両方の日用量を、通常であれば単剤療法として投与されるどちらかの成分の用量と比較して低下させることができる。或いは、そのような組合せ療法の成分として投与されるとき、本明細書に提供されるActRIIシグナル伝達インヒビター及び第二の医薬活性剤又は療法は相加的であり得、その結果、該成分の各々の日用量は、通常であれば単剤療法として投与されるどちらかの成分の用量と同様又は同一となる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるActRIIシグナル伝達インヒビターは、第二の医薬活性剤又は療法と同じ日に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第二の医薬活性剤又は療法の1日前、2日前、3日前、又はそれより前に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第二の医薬活性剤又は療法の1日後、2日後、3日後、又はそれより後に投与される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、第二の医薬活性剤又は療法から1週間、2週間、3週間、又はそれより長い週数以内に投与される。
ある実施態様において、第二の医薬活性剤又は療法は、それぞれ、β-サラセミアを治療するために使用される活性剤又は療法である。β-サラセミアを治療するために使用される医薬活性剤又は療法の非限定的な例としては、赤血球輸血、例えば、デフェロキサミン、デフェリプロン、及び/又はデフェラシロクスなどの鉄キレート療法、例えば、ヒドロキシウレアなどの胎児ヘモグロビン誘導剤、並びに造血幹細胞移植が挙げられる。
(7.9 医薬組成物)
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビター(例えば、ActRIIポリペプチド)は、本明細書に記載される方法とともに使用される医薬として許容し得る担体とともに製剤化される。例えば、ActRIIポリペプチドは、単独で又は医薬製剤(治療的組成物)の成分として投与することができる。対象化合物は、ヒト又は動物用医薬品で使用される任意の好都合な方法での投与のために製剤化することができる。ActRIIは、ActRIIA又はActRIIBであることができる。
好ましい実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、皮下投与用に製剤化される。
別の好ましい実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、防腐剤を含まない滅菌凍結乾燥粉末又はケーキとして容器中に包装される。ある実施態様において、容器は25mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む。ある実施態様において、25mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む容器は、合計37.5mgのタンパク質を含む。ある実施態様において、25mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む容器中のActRIIシグナル伝達インヒビターは、0.68mLの注射用水で再構成される。ある実施態様において、容器は、75mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む。ある実施態様において、75mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む容器は、合計87.5mgのタンパク質を含む。ある実施態様において、75mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む容器中のActRIIシグナル伝達インヒビターは、1.6mLの注射用水で再構成される。ある実施態様において、容器中のActRIIシグナル伝達インヒビターは、注射用水中の再構成されたActRIIシグナル伝達インヒビターの最終濃度が約6.5のpHで50mg/mLとなるような容量の注射用水で再構成される。ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、再構成から10時間以内に対象に投与される。ある実施態様において、容器は、10mMクエン酸塩バッファーに基づく溶液中に、50mg/mLの濃度のActRIIシグナル伝達インヒビターを含み、ここで、該10mMクエン酸塩バッファーに基づく溶液は、10mMクエン酸塩、pH 6.5、9%スクロース、及び0.02%ポリソルベート80を含む。ある実施態様において、容器は、2℃〜8℃で保存される。ある実施態様において、容器は、2℃〜8℃で、18カ月間、保存される。ある実施態様において、容器は、灰色のブチルコート栓付きの3mLガラスバイアルである。ある実施態様において、容器は、灰色のゴム栓付きの3mLガラスバイアルである。ある実施態様において、ゴム栓は、着色されたプラスチック製のボタンを有するクリンプ型のアルミニウムフリップキャップによって所定の位置に固定される。ある実施態様において、3mLガラスバイアルは25mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含み、着色されたプラスチック製のボタンは赤である。ある実施態様において、3mLガラスバイアルは75mgのActRIIシグナル伝達インヒビターを含み、着色されたプラスチック製のボタンは白である。
具体的な実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、防腐剤を含まない滅菌凍結乾燥粉末又はケーキとして容器中に包装される。具体的な実施態様において、容器は、10mMクエン酸塩バッファー、pH 6.5中に、50mg/mLのActRIIシグナル伝達インヒビターを含む。具体的な実施態様において、容器は、56mgのActRIIシグナル伝達インヒビター、0.19mgのクエン酸一水和物、3.03mgのクエン酸三ナトリウム無水物、0.24mgのポリソルベート80、及び100.80mgのスクロースを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供される治療法は、(ActRIIシグナル伝達インヒビターを含む)組成物を全身に又はインプラントもしくは装置として局所に投与することを含む。投与されるとき、本明細書に提供される使用のための治療的組成物は、パイロジェンフリーの生理的に許容される形態にある。上記の組成物中に任意に含めることもできるActRIIシグナル伝達インヒビター以外の治療的に有用な薬剤は、対象化合物(例えば、ActRIIポリペプチド、例えば、ActRIIA及び/又はActRIIBポリペプチド(第7.6節参照))と同時に又は連続的に投与することができる。
通常、ActRIIシグナル伝達インヒビターは非経口投与される。好ましい実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは皮下投与される。非経口投与に好適な医薬組成物は、1以上のActRIIポリペプチドを、1以上の医薬として許容し得る滅菌等張性水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、又は使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散液へと再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて含むことができ、これらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁化剤もしくは増粘剤を含有することができる。本明細書に記載される方法で使用される医薬組成物中で利用され得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
本明細書に記載される組成物は、補助剤、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含むこともできる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることにより確保することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを該組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射用医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによりもたらすことができる。
投薬レジメンは、本明細書に記載される化合物(例えば、上記の第7.3.2節並びに表1及び表2に記載されているような、ActRIIポリペプチド、例えば、ActRIIA及び/又はActRIIBポリペプチド(第7.6節参照))の作用を修飾する様々な因子を考慮して、担当医により決定されるということが理解される。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、医薬組成物中で実質的に純粋である。具体的には、医薬組成物中の化合物の高々20%、10%、5%、2.5%、1%、0.1%、又は高々0.05%が、ActRIIシグナル伝達インヒビター及び医薬として許容し得る担体以外の化合物である。
ある実施態様において、ActRIIシグナル伝達インヒビターは、本明細書に提供される方法に従って、室温で(例えば、第7.5節に示されているような)患者に投与される。
(8.実施例)
(8.1 実施例1:輸血依存性βサラセミアの成人におけるmActRIIB-Fcの有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験)
本実施例は、β-サラセミアが原因で定期的な赤血球輸血を必要とする成人におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験の概説を提供する。第3相試験の適応は、ヘモグロビンS/β-サラセミアを除く、β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断を有する、輸血依存性β-サラセミアの成人である。
(8.1.1 目的)
第3相試験の第一の目的は、ActRIIB-hFc(配列番号25)ベストサポーティブケア(BSC)対プラセボ+BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した最低6カ月の治療の後の連続12週間にわたる33%以上の輸血負荷(経時的な単位赤血球)の低下として定義される赤血球応答を有する対象の比率を決定することである。
第3相試験の第二の目的は:(1)プラセボと比較したActRIIB-hFc(配列番号25)の安全性及び免疫原性を評価すること;(2)プラセボと比較した8週間以上輸血していない対象の比率に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(3)プラセボと比較した肝鉄濃度(LIC)の変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(4)プラセボと比較した生活の質(QoL)尺度(例えば、輸血非依存性に特化した新しいPRO、SF-36)に対するActRIIB-hFc(配列番号25)治療の効果を評価すること;(5)プラセボと比較した骨粗鬆症(骨ミネラル密度)に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(6)医療資源利用に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の使用を評価すること;(7)無作為化前12週間のインターバルと比較した、主要エンドポイント解析で使用される同じ12週間にわたる、プラセボ+BSCと比較した輸血負荷の平均変化率に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(8)輸血負荷又は輸血非依存性の低下の持続期間を評価すること;(9)赤血球応答までの時間を評価すること;(10)血清フェリチンの変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(11)心鉄過剰症の変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;並びに(12)β-サラセミアを有する対象におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の集団薬物動態(PK)を評価することを含む。
探索的目的は:(1)血清GDF11のベースライン及び変化とActRIIB-hFc(配列番号25)による治療に対する応答との関係を調べること;及び(2)胎児ヘモグロビン(HbF)の変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を調べることである。
(8.1.2 試験設計)
本実施例は、輸血依存性β-サラセミアの成人において、ベストサポーティブケア(BSC)と比較したActRIIB-hFc(配列番号25)(ACE-536)+ベストサポーティブケアの有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験を提示している。本試験は、(i)スクリーニング期間、(ii)二重盲検治療期間、(iii)非盲検延長期間、及び(iv)追跡調査期間に分けられる。
患者適格性は、適格性を決定するためのスクリーニング期間中に決定され、この期間は、1回目の投与の1日目より前の28日以内である。患者は以下の因子に基づいて層別化される:(1)ベースライン時の輸血負荷(ここで、高輸血負荷は、無作為化前24週間で15 RBC単位以上であり、低輸血負荷は、無作為化前24週間で7〜14 RBC単位である);及び(2)地理的地域。
治療期間中、適格対象は、実験群(ActRIIB-hFc(配列番号25))+BSC又は対照群(プラセボ)+BSCのいずれかに2:1の比で無作為に割り付けられる。二重盲検治療期間は、投与の延期とは無関係に、試験1日目(すなわち、1回目の投与の1日目)の後の最初の48週間と考えられる。各々の対象に対するActRIIB-hFc(配列番号25)による治療は試験1日目に開始される。対象は、皮下(SC)注射によって、3週間に1回、48週間投与されるActRIIB-hFc(配列番号25)の約0.8mg/kgの開始用量レベルで治療を開始する。ActRIIB-hFc(配列番号25)の用量は、約1.25mg/kgの最大値まで増量することができる。
対象は、用量修正が必要とされない限り、治療期間中及び延長期間中に、約0.8mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)の開始用量から約1mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)まで、その後、約1.25mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)まで段階的に用量増加させることができる。用量増加は、その前の2サイクル(すなわち、その前の6週間)の輸血頻度に基づく。
上の表1及び表2に詳述されているような用量修正ガイドラインに従って、各々の対象に対するActRIIB-hFc(配列番号25)もしくはプラセボの投与を延期し及び/又は該ActRIIB-hFc(配列番号25)もしくはプラセボの用量を低下させることができる。
全ての対象は、治験責任医師の裁量で、48週間の二重盲検治療期間の終了時に、非盲検延長期間に入り、かつActRIIB-hFc(配列番号25)を投与される選択肢を有する。非盲検延長期間は96週間(すなわち、2年間)持続し、上の表1及び表2に記載されているような用量増加、用量修正、投与延期、及び用量低下の対象となる。該延長期間は、新たに得られる安全性データに基づいて延長することができる。
非盲検延長期間を終了する対象又は非盲検延長期間に入らない対象又は治療を早期に中止する対象は、治療後の追跡調査期間に進む。該追跡調査期間は、対象の最後の試験薬投与後、12週間持続する。
(8.1.2.1 対照集団)
対照集団は、年齢18歳以上でかつ輸血依存性である、ヘモグロビンE/β-サラセミアを含む、輸血依存性β-サラセミアと診断された対象からなる。輸血依存は、無作為化前24週間で35日以上の無輸血期間がない、24週間に7赤血球単位以上の定期輸血と定義される。ある態様において、輸血依存は、無作為化前24週間で35日以上の無輸血期間がない、24週間に6赤血球単位を上回る定期輸血と定義される。ある態様において、輸血依存は、無作為化前24週間で35日以上の無輸血期間がない、24週間に5赤血球単位を上回る定期輸血と定義される。
(8.1.2.2 試験期間)
各々の対象の試験参加は、約最大160週間(40カ月)であり、これには:最大4週間(1カ月)のスクリーニング期間、48週間(12カ月)のプラセボ対照治療期間、その後の約最大96週間(2年)持続する非盲検延長期間が含まれる。治療後の追跡調査期間は、最後の投与の後、12週間(3カ月)持続する。
各々の個々の対象の治療の最後は、治療期間中又は非盲検延長期間中の最後の診察日のどちらか日付の遅い方と定義される。試験の最後は、治療期間中又は非盲検延長期間中の各々の個々の対象の最後の診察日のどちらか日付が遅く、かつ治療後の12週間の追跡調査期間を終了する方と定義される。治験の最後は、プロトコル及び/又は統計解析計画に予め規定されているような、治療後の追跡調査を終了する最後の対象の最後の診察日、又は一次解析、二次解析、及び/もしくは探索的解析に必要とされる最後の対象からの最後のデータ点の受取日のどちらか日付の遅い方と定義される。
(8.1.2.3 試験治療)
ActRIIB-hFc(配列番号25)は、再構成後に対象への皮下(SC)注射として対象に投与される、凍結乾燥粉末として提供される。皮下注射は、治療期間中及び妥当な場合、非盲検延長期間中、3週間毎に、上腕、腹部、又は大腿部に与えられる。対象は、ActRIIB-hFc(配列番号25)を約0.8mg/kgの用量レベルで開始し、約1.25mg/kgの最大値まで用量増加させることができる(上の表1及び表2を参照)。
プラセボ(生理食塩水)は、対象への皮下(SC)注射として、試験スタッフにより、臨床現場で対象に投与される。皮下注射は、治療期間中、3週間毎に、上腕、腹部、又は大腿部に与えられる。
(8.1.2.4 重要な有効性評価の概説)
一次有効性評価は、ActRIIB-hFc(配列番号25)対プラセボ+BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した、最低6カ月の治療の後に評価される、連続12週間にわたる33%以上の輸血負荷(経時的な単位赤血球)の低下を有する対象の比率である。
二次有効性評価としては:(1)治療中、8週間以上、輸血をしない対象の比率;(2)磁気共鳴イメージング(MRI)によって決定される肝鉄濃度(LIC、mg/g乾燥重量)の変化;(3)生活の質(QoL; TranQoLを使用)の変化;及び(4)鉄キレート療法の平均日用量の変化が挙げられる。
他の有効性評価としては:(1)DXAによって決定される全股関節及び腰椎骨ミネラル密度;(2)医療資源の利用;(3)一次エンドポイントと同じ12週間の期間を用いた輸血負荷の変化率;(4)輸血負荷又は輸血非依存の低下の持続期間;(5)赤血球応答までの時間;(6)血清フェリチンの変化;並びに(7)MRIによって決定される心鉄過剰症の変化;SF-36によって決定されるQoLの変化が挙げられる。
(8.1.2.5 重要な安全性評価の概説)
全ての患者は、AE、臨床検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、心臓ドップラー、抗薬物抗体(ADA)検査、及びECOG一般状態をモニタリングすることにより、安全性について評価される。
(8.1.2.6 重要な探索的評価の概説)
ActRIIB-hFc(配列番号25)による対象の治療が対象における血清GDF11濃度/レベルを減少させ及び/又は胎児ヘモグロビン濃度/レベルを増加させる能力を評価する。
(8.2 実施例2:輸血非依存性βサラセミアの成人におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験)
本実施例は、輸血非依存性β-サラセミアの成人におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験の概説を提供している。第3相試験の適応は、β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断を有する、輸血非依存性β-サラセミアの成人である。
(8.2.1 目的)
第3相試験の第一の目的は、β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断を有し、年齢18歳以上であり、無作為化前24週間の間に、0〜6赤血球単位を投与され、平均ベースラインヘモグロビンレベルが10.0g/dL未満である、輸血非依存性β-サラセミアと診断された対象におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を決定することである。ある態様において、該対象は、無作為化前24週間の間に、0〜5赤血球単位を投与されている。
第3相試験の第二の目的は:(1)プラセボと比較したActRIIB-hFc(配列番号25)の安全性及び免疫原性を評価すること;(2)プラセボと比較した肝鉄濃度(LIC)の変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(3)プラセボと比較した生活の質(QoL)尺度(例えば、輸血非依存性に特化した新しいPRO、SF-36)に対するActRIIB-hFc(配列番号25)治療の効果を評価すること;(4)プラセボと比較した、存在する場合、髄外造血腫瘤、下腿潰瘍、脾腫、肺高血圧症(PAH;三尖弁逆流速度(TRV)によって測定される)、及び骨粗鬆症(骨ミネラル密度によって測定される)を含む、サラセミアの合併症の改善に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(5)プラセボと比較した、無作為化前4週間と比べた治療の最後の4週間で使用される鉄キレート療法(ICT)の平均日用量の変化を評価すること;(6)血清フェリチンの変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(7)プラセボと比較した、治療中の連続12週間のインターバルにわたるベースラインからの平均ヘモグロビンレベル変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を評価すること;(8)赤血球応答の持続期間を評価すること;並びに(9)β-サラセミアを有する対象におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の集団薬物動態(PK)を評価することを含む。
探索的目的は:(1)血清GDF11のベースライン及び変化とActRIIB-hFc(配列番号25)による治療に対する応答との関係を調べること;及び(2)胎児ヘモグロビン(HbF)の変化に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を調べること;(3)RBC品質に対するActRIIB-hFc(配列番号25)のインビボ有効性を調べること;及び(4)医療資源利用に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果を調べることである。
(8.2.2 試験設計)
本実施例は、ベストサポーティブケアと比較した、輸血非依存性β-サラセミアの成人におけるActRIIB-hFc(配列番号25)(ACE-536)+ベストサポーティブケアの有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験を提示している。本試験は、(i)スクリーニング期間、(ii)二重盲検治療期間、(iii)非盲検延長期間、及び(iv)追跡調査期間に分けられる。
患者適格性は、適格性を決定するためのスクリーニング期間中に決定され、この期間は、無作為化前の28日以内である。患者は以下の因子に基づいて層別化される:(1)ベースラインヘモグロビンレベル(≧8.5g/dL又は<8.5g/dL)、及び(2)ICT使用。
治療期間中、適格対象は、実験群(ActRIIB-hFc(配列番号25))+BSC又は対照群(プラセボ)+BSCのいずれかに2:1の比で無作為に割り付けられる。二重盲検治療期間は、投与の延期とは無関係に、試験1日目(すなわち、1回目の投与の1日目)の後の最初の48週間と考えられる。各々の対象に対するActRIIB-hFc(配列番号25)による治療は試験1日目に開始される。対象は、皮下(SC)注射によって、3週間に1回、48週間投与されるActRIIB-hFc(配列番号25)の約0.8mg/kgの開始用量レベルで治療を開始する。ActRIIB-hFc(配列番号25)の用量は、約1.25mg/kgの最大値まで増量することができる。
対象は、用量修正が必要とされない限り、治療期間中及び延長期間中に、約0.8mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)の開始用量から約1mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)まで、その後、約1.25mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)まで段階的に用量増加させることができる。用量増加は、その前の2サイクル(すなわち、その前の6週間)の輸血頻度に基づく。
上の表1及び表2に詳述されているような用量修正ガイドラインに従って、各々の対象に対するActRIIB-hFc(配列番号25)もしくはプラセボの投与を延期し及び/又は該ActRIIB-hFc(配列番号25)もしくはプラセボの用量を低下させることができる。
全ての対象は、治験責任医師の裁量で、48週間の二重盲検治療期間の終了時に、非盲検延長期間に入り、かつActRIIB-hFc(配列番号25)を投与される選択肢を有する。非盲検延長期間は96週間(すなわち、2年間)持続し、上の表1及び表2に記載されているような用量増加、用量修正、投与延期、及び用量低下の対象となる。該延長期間は、新たに得られる安全性データに基づいて延長することができる。
非盲検延長期間を終了する対象又は非盲検延長期間に入らない対象又は治療を早期に中止する対象は、治療後の追跡調査期間に進む。該追跡調査期間は、対象の最後の試験薬投与後、12週間持続する。
(8.2.2.1 対照集団)
対照集団は、β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断を有し、年齢18歳以上であり、無作為化前24週間の間に、0〜6赤血球単位を投与され、平均ベースラインヘモグロビンレベルが10.0g/dL未満である、輸血非依存性β-サラセミアと診断された対象からなる。ある態様において、該対象は、無作為化前24週間の間に、0〜5 RBC単位を投与されている。
(8.2.2.2 試験期間)
各々の対象の試験参加は、約最大160週間(40カ月)であり、これには:最大4週間(1カ月)のスクリーニング期間、48週間(12カ月)のプラセボ対照治療期間、その後の約最大96週間(2年)持続する非盲検延長期間が含まれる。治療後の追跡調査期間は、最後の投与の後、12週間(3カ月)持続する。
各々の個々の対象の治療の最後は、治療期間中又は非盲検延長期間中の最後の診察日のどちらか日付の遅い方と定義される。試験の最後は、治療期間中又は非盲検延長期間中の各々の個々の対象の最後の診察日のどちらか日付が遅く、かつ治療後の12週間の追跡調査期間を終了する方と定義される。治験の最後は、プロトコル及び/又は統計解析計画に予め規定されているような、治療後の追跡調査を終了する最後の対象の最後の診察日、又は一次解析、二次解析、及び/もしくは探索的解析に必要とされる最後の対象からの最後のデータ点の受取日のどちらか日付の遅い方と定義される。
(8.2.2.3 試験治療)
ActRIIB-hFc(配列番号25)は、再構成後に対象への皮下(SC)注射として対象に投与される、凍結乾燥粉末として提供される。皮下注射は、治療期間中及び妥当な場合、非盲検延長期間中、3週間毎に、上腕、腹部、又は大腿部に与えられる。対象は、ActRIIB-hFc(配列番号25)を約0.8mg/kgの用量レベルで開始し、約1.25mg/kgの最大値まで用量増加させることができる(上の表1及び表2を参照)。
プラセボ(生理食塩水)は、対象への皮下(SC)注射として、試験スタッフにより、臨床現場で対象に投与される。皮下注射は、治療期間中、3週間毎に、上腕、腹部、又は大腿部に与えられる。
(8.2.2.4 重要な有効性評価の概説)
一次有効性評価は赤血球応答を示す対象の比率であり:対象は輸血をしておらず、プラセボ+BSCと比較した最低6カ月の治療後の連続12週間のインターバルにわたるヘモグロビン値の平均によって測定したとき、ヘモグロビンがベースラインから1.0g/dL以上増加している。そのような評価は、4週間にわたって1週間以上のインターバルで実施される、中央検査室による少なくとも2回のヘモグロビン測定を必要とする。
二次有効性評価としては:(1)磁気共鳴イメージング(MRI)によって決定される肝鉄濃度(LIC、mg/g乾燥重量)の変化;(2)生活の質(QoL;輸血非依存性に特化した新たな患者報告転帰(PRO))の変化;(3)鉄キレート療法の日用量の変化;(4)血清フェリチン濃度の変化;(5)12週間にわたるベースラインからの平均ヘモグロビン変化;(6)輸血の非存在下におけるベースラインからの1.0g/dL以上の平均ヘモグロビン増加の持続期間;(7)集団薬物動態パラメータと曝露-応答の関係性;並びに(8)以下の病的状態:(i)MRIによって決定される髄外造血腫瘤体積;(ii)下腿潰瘍のサイズ;(iii)MRIによって決定される脾臓体積;(iv)心エコー図によって測定されるTRV;及び(v)DXAによって測定される骨ミネラル密度のうちの1つ又は複数の変化が挙げられる。
(8.2.2.5 重要な安全性評価の概説)
全ての患者は、AE、臨床検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、心臓ドップラー、抗薬物抗体(ADA)検査、及びECOG一般状態をモニタリングすることにより、安全性について評価される。
(8.2.2.6 重要な探索的評価の概説)
ActRIIB-hFc(配列番号25)による対象の治療が対象における血清GDF11濃度/レベルを減少させ及び/又は胎児ヘモグロビン濃度/レベルを増加させる能力を評価する。さらに、赤血球品質に対するActRIIB-hFc(配列番号25)による対象の治療の影響も評価される。最後に、対象による医療資源利用に対するActRIIB-hFc(配列番号25)による対象の治療の影響も評価される。
(8.3 実施例3: ActRIIB-hFc(配列番号25)シグナル伝達インヒビターは、βサラセミアの成人において、ヘモグロビンを増加させ、輸血負荷及び肝鉄濃度を減少させる)
(8.3.1 序論)
修飾されたアクチビン受容体を含む融合タンパク質であるActRIIB-hFc(配列番号25)が、β-サラセミアの治療用に開発中である。β-サラセミアにおいて、貧血及び合併症は、過剰なα-グロビンによって引き起こされる無効造血が原因で起こる。ActRIIB-hFc(配列番号25)は、GDF11及びTGF-βスーパーファミリーの他のリガンドに結合して、後期の赤血球分化を促進する。非臨床的研究及び臨床的研究により、ActRIIB-hFc(配列番号25)が十分に忍容され、無効造血の効果を是正したことが示された。(Suragani Rの文献、Blood 2014、Attie Kの文献、Am J Hematol 2014)。
本実施例は、輸血依存性又は輸血非依存性β-サラセミアの成人において、ActRIIB-hFc(配列番号25)を評価するための現在進行中の第2相多施設共同非盲検用量設定試験からのデータを提示している。有効性転帰としては、輸血非依存性β-サラセミアを有する患者におけるヘモグロビン(Hb)増加、輸血依存性β-サラセミアを有する患者におけるRBC輸血負荷の低下、及び磁気共鳴イメージング(MRI)による肝鉄濃度(LIC)が挙げられる。
(8.3.2 方法)
組入れ基準には、輸血依存性であると定義されたか、又は輸血非依存性で、10.0g/dL未満のベースラインHbを有すると定義された、18歳以上の貧血のヒトが含まれた。ActRIIB-hFc(配列番号25)を、2カ月間の追跡調査試験で、最大5用量まで、3週間毎に、皮下投与した。連続コホート(各々n=6)に、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、及び1.25mg/kgで投与した。延長コホート(n=30)は現在進行中であり;試験を終了する患者は、現在進行中の12カ月間の延長試験に入ることができる。
(8.3.3 結果)
予備的データ(日付の時点)は、3カ月間治療された35人の患者(25人の輸血非依存患者及び10人の輸血依存患者)について入手可能であった。患者の中央値年齢は35.0歳(20〜57歳)であり、患者の86%が過去に脾臓摘出術を受けていた。輸血非依存患者の平均(SD)ベースラインHbは8.4(±0.9)g/dLであった。治療前の輸血依存患者の輸血負荷は6〜8単位/12週の範囲であった。20人の患者は、ベースライン時に安定な鉄キレート療法(ICT)を受けていた。
0.8〜1.25mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25; n=8)で治療された輸血非依存患者のHbの平均(SD)最大増加は、0.2〜0.6mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25; n=17)で治療された患者の1.2g/dLと比較して、1.7g/dLであった。高用量群の8人の患者うちの3人(38%)は、低用量群の17人の患者のうちの0人と比較して、Hbの平均増加が1.5g/dLを上回り、これは、2週間以上維持された(9週間の平均持続時間)。0.8〜1.25mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25)で治療された9人の輸血依存患者は全て、治療前12週間と比較して、治療を受けた12週間にわたって、輸血負荷が20%を超えて減少した(平均72%、範囲43〜100%)。
輸血依存患者において、平均ベースライン肝鉄濃度は、鉄キレート療法にもかかわらず、7.4mg Fe/g乾燥重量(n=9)であり、肝鉄濃度の平均低下は、ActRIIB-hFc(配列番号25)治療の16週目まで、16.3%であった。5mg/g乾燥重量以上のベースライン肝鉄濃度を有する輸血非依存患者において、肝鉄濃度の平均低下は、0.2〜0.4mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25; n=5)が投与された患者の7.0%と比較して、0.6〜1.25mg/kgのActRIIB-hFc(配列番号25; n=5)が投与された患者で18.2%であった。5mg/kg乾燥重量未満のベースライン肝鉄濃度を有する輸血非依存患者において、肝鉄濃度の平均変化は-1.2%(n=10)であった。ベースライン時に長期にわたる下腿潰瘍を有する3人の患者(2人の輸血非依存患者及び1人の輸血依存患者)は、ActRIIB-hFc(配列番号25)治療の開始後4〜6週間以内に、実質的に治癒した。
ActRIIB-hFc(配列番号25)は、概ね十分に忍容され、関連する重篤な有害事象はこれまで報告されていない。最も頻度の高い関連有害事象には、骨痛、頭痛、筋肉痛、四肢疼痛、及び無力症が含まれた。血小板の顕著な変化も白血球の顕著な変化も認められなかった。
(8.3.4 結論)
3週間毎に、最大5用量まで、患者に皮下投与されたActRIIB-hFc(配列番号25)は、概ね安全でかつ十分に忍容され、輸血非依存性β-サラセミア患者におけるHbレベルを増大させ、輸血依存性β-サラセミア患者における輸血の必要性を減少させた。輸血依存患者と輸血非依存患者はどちらも、治療中に肝鉄濃度が大幅に減少し、下腿潰瘍の治癒が3人の患者のうちの3人で起こった。ActRIIB-hFc(配列番号25)は、輸血依存性β-サラセミア又は輸血非依存性β-サラセミアのいずれかを有する患者にとっての前途有望な治療法である。
(8.4 実施例4: ActRIIB-hFc(配列番号25)シグナル伝達インヒビターは、βサラセミアの成人において、ヘモグロビンを増加させ、輸血負荷及び肝鉄濃度を減少させる(続き))
(8.4.1 序論)
序論(第8.3.1節)並びに材料及び方法(第8.3.2節)を参照されたい。本実施例は、第2相試験で後日得られた、第8.3節からの追加データを提示している。簡潔に説明すると、用量増加コホート(合計35人の患者)に、0.2〜1.25mg/kgを投与した(コホート当たり3〜6人の患者)。具体的には、用量増加コホートの用量は、0.2(患者6人); 0.4(患者6人); 0.6(患者6人); 0.8(患者6人); 1.0(患者6人);及び1.25mg/kg(患者5人)であった。延長コホートは0.8mg/kgから開始した(患者4人;用量レベルを2人の患者で1.0mg/kgまで増大させ; 1.25mg/kgまで投与する可能性があった)。ActRIIB-hFc(配列番号25)を、3週間毎に、3カ月間、皮下投与した。延長試験は、追加の12カ月間の治療のために現在進行中である。一次有効性エンドポイントは次の通りであった。輸血非依存患者(NTD; 4U/8週未満、10g/dl未満のヘモグロビン)について: 2週間以上、1.5g/dL以上のHb増加;輸血依存患者(TD; 6カ月にわたって確認された、4U/8週以上)について: 12週間にわたる20%以上の輸血負荷の減少。二次有効性エンドポイントは、肝鉄濃度(MRIによって測定される)、血清フェリチン、及び赤血球生成のバイオマーカーであった。
(8.4.2 結果)
予備的データ(日付の時点)は、ActRIIB-hFc(配列番号25)治療で3カ月処置された39人の患者(25人の輸血非依存患者及び14人の輸血依存患者)について入手可能であり、4人の患者は、後続の12カ月間の延長期間において、ActRIIB-hFc(配列番号25)治療でさらに処置された。患者の中央値年齢は40.0歳(20〜57歳)であり、49%が男性であり、患者の32%は過去に脾臓摘出術を受けていた。輸血非依存患者(NTD)の平均(SD)ベースラインHbは8.3(±0.9)g/dLであった。NTDの平均肝鉄濃度(MRIによる)は5.8±3.8mg/g dwであった。輸血依存患者は、平均7.3(±0.9) RBC単位/12週を投与され、5.2(±5.7)mg/g dwの平均肝鉄濃度(LIC)を有していた。LICに関して、臨床的目的は、LICを、輸血非依存患者では5mg/g dw未満に、輸血依存患者では7mg/g dw未満に維持することである。
高用量群(すなわち、0.8〜1.25mg/kg)の8人の輸血非依存患者のうちの4人(50%)は、低用量群(すなわち、0.2〜0.6mg/kg)の17人の患者のうちの0人と比較して、Hbの平均増加が1.5g/dLを上回り、これは、2週間以上維持された。高用量群(すなわち、0.8〜1.25mg/kg)の8人の輸血非依存患者のうちの3人(38%)は、低用量群(すなわち、0.2〜0.6mg/kg)の17人の患者のうちの0人と比較して、Hbの平均増加が1.5g/dLを上回り、これは、9週間以上維持された。
5mg/g dw未満のベースラインLICを有する10人の輸血非依存患者のうちの10人(100%)が5mg/g dw未満のLICを維持した。3人の患者で、LICが、4カ月間の治療期間の経過中に、約0.5mg/g dw〜約2mg/g dwだけ下落した。2人の患者で、LICが約0.5mg/g dw〜約1.0mg/g dw超だけ増加し、5人の患者で、LICが、4カ月間の治療期間にわたって、本質的に変化しないままであった。鉄キレート剤を投与された2人の患者は、0.5mg/g dw以下だけのそのLIC減少を見た。
5mg/g dw以上のベースラインLICを有する12人の輸血非依存患者のうちの8人(67%)は、16週間の治療期間中に、1mg/g dw以上(少なくとも1mg/g dw〜最大4.6mg/g乾燥重量)減少した。8人の患者のうちの5人は、この間に鉄キレート剤を投与された。8人の患者のうちの5人は、16週間の治療期間中に、約2mg/g dw以上減少し、これらの患者のうちの3人は、鉄キレート剤も投与された。12人の患者のうちの2人はLICが1mg/g dw以上増加し、1人の患者は、16週間の治療期間中に、LICが2mg/g dw以上増加した。
輸血非依存患者において、ヘモグロビンの増加は、LICの低下と相関することが分かった(R2=0.305、p値=0.063)。
12週間にわたって0.6〜1.25mg/kgの用量レベルでActRIIB-hFc(配列番号25)治療を受けている10人の輸血依存患者のうちの10人が40%を上回る輸血負荷の低下を経験した。これらの患者の10人中9人が60%を上回る低下を経験し、患者の10人中2人が80%を上回る輸血負荷の低下を経験した。
7mg/g dw未満のベースラインLICを有する7人の輸血依存患者のうちの7人(100%)は、4カ月のActRIIB-hFc(配列番号25)治療期間にわたって、7mg/g dw未満のLICを維持した。5人の患者は、約0.5mg/g dw〜約2.0mg/g dwの減少を経験し、2人の患者は、4カ月のActRIIB-hFc(配列番号25)治療期間において、約0.5mg/g dw〜約1.0mg/g dwの増加を経験した。7人の患者全てが、ActRIIB-hFc(配列番号25)の他に、鉄キレート剤を投与された。
7mg/g dw以上のベースラインLICを有する3人の輸血依存患者のうちの2人が、16週間のActRIIB-hFc(配列番号25)治療期間にわたって、1mg/g dw以上(1.96mg/g dw及び4.7mg/g dw)の減少を経験した。3人の患者全てが、ActRIIB-hFc(配列番号25)の他に、鉄キレート剤を投与された。
長期にわたる持続的な下腿潰瘍を有する3人の患者のうちの3人がActRIIB-hFc(配列番号25)による治療を受けている間に治癒を経験した。1人の輸血非依存患者は、0.4mg/kgの用量でActRIIB-hFc(配列番号25)を投与され、6週間後に完全治癒を経験した。1人の輸血依存患者は、1.0mg/kgの用量でActRIIB-hFc(配列番号25)を投与され、18週間後に完全治癒を経験した。1人の輸血依存患者は、1.25mg/kgの用量でActRIIB-hFc(配列番号25)を投与され、5週間後に完全治癒を経験した。
ActRIIB-hFc(配列番号25)は、概ね十分に忍容され、関連する重篤な有害事象はこれまで報告されていない。最も頻度の高い関連有害事象には、骨痛(23.1%の患者)、筋肉痛(17.9%の患者)、頭痛(15.4%の患者)、無力症(10.3%の患者)、四肢疼痛(7.7%の患者)、インフルエンザ(5.1%の患者)、斑(5.1%の患者)、及び筋骨格痛(5.1%の患者)が含まれた。
(8.4.3 結論)
3週間毎に、最大16週間、患者に皮下投与されたActRIIB-hFc(配列番号25)は、概ね安全でかつ十分に忍容された。持続的なヘモグロビン増加は、輸血非依存患者の中の高用量のActRIIB-hFc(配列番号25; 0.8〜1.25mg/kg)で治療された50%を上回る患者で認められた。33%を上回る輸血負荷の減少は、ActRIIB-hFc(配列番号25)を投与された輸血依存患者の大部分で認められた。肝鉄濃度の減少は、鉄キレート療法の有無にかかわらず、輸血依存患者及び輸血非依存患者の大部分で認められた。ActRIIB-hFc(配列番号25)を投与された3人の患者のうちの3人が下腿潰瘍の速やかな治癒を示した。
(8.5 実施例5:βサラセミアが原因で定期的な赤血球輸血を必要とする成人におけるプラセボと比較したActRIIB-hFc(配列番号25)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験)
本実施例は、実施例1(第8.1節)に記載されているβ-サラセミアが原因で定期的な赤血球輸血を必要とする成人におけるActRIIB-hFc(配列番号25)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験の概説の更新情報である。第3相試験の適応は、ヘモグロビンS/β-サラセミアを除く、β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断を有する、輸血依存性β-サラセミアの成人である。
(8.5.1 簡単な概要)
これは、β-サラセミアが原因で定期的な赤血球輸血を必要とする成人におけるプラセボ+BSCと比較したActRIIB-hFc(配列番号25)+ベストサポーティブケア(BSC)の有効性及び安全性を決定するための第3相二重盲検無作為化プラセボ対照多施設共同試験である。
本試験は、スクリーニング/導入期間、二重盲検治療期間、長期二重盲検治療期間、及び治療後の追跡調査期間に分けられる。
(8.5.2 主要転帰尺度)
本試験の主要転帰測定は、無作為化前12週間と比較した第13週から第24週までの血液学的改善(HI)を有する対象の比率であり、ここで、HIは、該12週間と比較した第13週から第24週までの少なくとも2単位の低下を伴う、ベースラインからの33%以上の赤血球数(RBC)輸血負荷の低下と定義され;第13週から第24週まで及び無作為化前12週間で輸血されたRBC単位数として報告される。この測定の時間枠は最大約24週間である。
(8.5.3 副次的転帰尺度)
本試験の副次的転帰測定は、無作為化前12週間のインターバルと比較した第37週から第48週までの血液学的改善(HI)を有する対象の比率であり、ここで、HIは、該12週間と比較した第37週から第48週までの少なくとも2単位の低下を伴う、ベースラインからの33%以上の赤血球数(RBC)輸血負荷の低下と定義され;第37週から第48週まで及び無作為化前12週間で輸血されたRBC単位数として報告される。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、プラセボ+BSCと比較したラスパテルセプト+BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した第37週から第48週までの少なくとも2単位の低下を伴う、ベースラインからのRBC輸血負荷の50%以上の低下を有する対象の比率であり、ここで、輸血負荷の50%以上の低下は、プラセボ+BSCと比較したラスパテルセプト+(ベストサポーティブケア)BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した第37週から第48週までの少なくとも2単位の低下と定義され;第37週から第48週まで及び無作為化前12週間で輸血されたRBC単位数として報告される。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、プラセボ+BSCと比較したラスパテルセプト+BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した第13週から第24週までの少なくとも2単位の低下を伴う、ベースラインからのRBC輸血負荷の50%以上の低下を有する対象の比率であり、ここで、輸血負荷の50%以上の低下は、プラセボ+BSCと比較したラスパテルセプト+(ベストサポーティブケア)BSCの無作為化前12週間のインターバルと比較した第13週から第24週までの少なくとも2単位の低下と定義され;第37週から第48週まで及び無作為化前12週間で輸血されたRBC単位数として報告される。この測定の時間枠は最大約24週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、第13週から第24週までのベースラインからの輸血負荷(RBC単位)の平均変化である。この測定の時間枠は最大約24週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、磁気共鳴イメージング(MRI)によるベースラインからの肝鉄濃度(LIC、mg/g乾燥重量)の平均変化である。この測定の時間枠は最大約24週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、ベースラインからの鉄キレート療法の平均日用量の平均変化である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、ベースラインからの血清フェリチンの平均変化である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、二重エネルギーX線吸収法(DXA)によるベースラインからの全股関節及び腰椎骨ミネラル密度(BMD)の平均変化である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、MRI(例えば、T2 MRI)によるベースラインからの心筋鉄の平均変化である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、1回目の投与の1日目より前の4週間以内、及び12、24、36、及び48週目、その後、長期間の間、12週間毎に施されるTranQOLという生活の質に関するツールである。ベースラインからの得点の変化を評価する。TranQolは、この集団に特化したツールである。TranQolは、成人のβ-サラセミア患者用に開発された疾患に特化した生活の質に関する新たな質問票である。予め規定された精神領域及び学校/職業領域からの得点と合計得点のサマリー統計値を、全試料及び各々の治療群について、各々の投与時点で(ベースライン時、12、24、36、及び48週目、及びその後、長期治療期間中の12週間毎に)計算する。この測定の時間枠は最大約3年である。
本試験の別の副次的転帰測定は、1回目の投与の1日目より前の4週間以内、及び12、24、36、及び48週目、その後、長期間の間、12週間毎に施される生活の質に関するツールである。SF-36バージョン2.0は、8つの健康領域:身体機能、日常役割機能−身体、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能−精神、及び心の健康を評価する8つの多項目尺度からなる自己記入式質問票である。2つの全体的サマリースコア(身体的側面及び精神的側面)も得ることができる。この測定の時間枠は最大約3年である。
本試験の別の副次的転帰測定は、プラセボと比較した医療資源の利用に対するActRIIB-hFc(配列番号25)の効果である。入院、事前の同時に行われる治療及び手術、並びにRBC輸血利用を集約したものが評価される。この測定の時間枠は最大約3年である。
本試験の別の副次的転帰測定は、治療中、8週間以上、輸血非依存性である対象の比率である。これは、MRI(例えば、T2 MRI)によって決定される心筋鉄レベルによって評価することができる。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は輸血負荷の低下の持続期間である。第一の応答の持続期間は、応答を達成する各々の対象について計算される。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、輸血非依存の持続期間、例えば、治療期間内の連続する途切れのない8週間の時間間隔、すなわち、1日目〜56日目、2日目〜57日目などにおける輸血の欠如である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は赤血球応答までの時間である。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、プラセボと比較したベースライン後の輸血事象頻度である。ベースラインからの輸血事象の数の年変換の平均変化は、治療群別にまとめられる。この測定の時間枠は最大約48週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、薬物動態学的な血漿濃度-時間曲線下面積である。この測定の時間枠は最後の投与から最大9週間である。
本試験の別の副次的転帰測定は、薬物動態学的な最大血漿中濃度(maximum observed concentration in plasma)である。この測定の時間枠は最後の投与から最大9週間である。
(8.5.4 安全性転帰尺度)
有害事象を有する参加者の数を最大約3.5年間評価する。
(8.5.5 群/介入)
対象に、ActRIIB-hFc(配列番号25)+ベストサポーティブケア(BSC)を施す。ActRIIB-hFc(配列番号25)を、21日に1回、対象に皮下投与する。対象は、1mg/kgの用量レベルのActRIIB-hFc(配列番号25)から開始する。
或いは、対象に、プラセボ+ベストサポーティブケア(BSC)を施す。プラセボは、21日に1回、対象に皮下投与される、生理食塩水溶液である。
(8.5.6 組入れ基準)
対象は、試験に登録されるために以下の基準を満たさなければならない:(1)インフォームドコンセント文書(ICF)に署名する時点で少なくとも18歳以上の男女;(2)対象は、実施されている試験関連評価/手順の前に、インフォームドコンセントフォームを理解し、それに自主的に署名をしなければならない;(3)対象は、試験訪問日程及び他のプロトコル要件に従う意思があり、かつそれに従うことができる;(4)β-サラセミア又はヘモグロビンE/β-サラセミアの文書による診断;(5)定期的に輸血され、以下のように定義される:無作為化前24週間で6〜20赤血球(RBC)単位及びその期間中35日以上の無輸血期間なし;このプロトコルの1単位は、約400〜500mLの献血から得られる濃厚RBCの量を指す;(6)一般状態: 0又は1の東部共同腫瘍学グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)スコア;(7)この研究に適した妊娠の可能性がある女性(FCBP)は:(a)ある時点で初潮を達成しているか、(b)子宮摘出術も両側卵巣摘出術も受けていないか、又は(c)少なくとも24カ月連続して、自然に月経が閉止していない(すなわち、先行する連続24カ月のどの時点でも月経があった)女性と定義される(癌治療後の無月経は妊娠の可能性を除外しない);試験に参加しているFCBPは:(a)試験治療を開始する前に治験責任医師によって検証される2回の妊娠検査が陰性であり;この女性は、試験の経過中及び試験治療の終了後、継続的な妊娠検査に同意しなければならず;これは、対象が本当に異性との性的接触を絶つことを実践しても適用され;かつ(b)試験治療中(投与の中断を含む)及び試験治療の中止後、12週間(複数用量薬物動態(PK)データに基づくラスパテルセプトの平均最終半減期の約5倍)、本当に異性との性的接触を絶つことを約束するか(これは月単位でかつ原資料に基づいて精査されなければならない)、又は治験薬を開始する28日前に、間断なく、効果的な避妊を使用することに同意し、かつそれに応じることができなければならない;(8)男性対象は、その人が精管切除術を受けるのに成功していたとしても、試験に参加している間、投与中断の間、及び治験薬中止後、少なくとも12週間(複数用量PKデータに基づくラスパテルセプトの平均最終半減期の約5倍)、本当の禁欲を実践するか、又は妊娠した女性もしくは妊娠の可能性がある女性との性的接触の間、コンドームを使用することに同意しなければならない。
(8.5.7 除外基準)
以下のいずれかが存在すると、対象は登録から除外される:(1)対象が試験に参加するのを妨げる何らかの重大な身体疾患、検査所見の異常、又は精神疾患;(2)万一、対象が試験に参加した場合に、対象を容認しがたいリスクに曝す、検査所見の異常の存在を含む何らかの状態;(3)試験のデータを解釈する能力を狂わせる何らかの状態;(4)ヘモグロビンS/β-サラセミア又はアルファ(α)-サラセミア(例えば、ヘモグロビンH)の診断;β-サラセミアとα-サラセミアの併存は認められる;(5)活動性C型肝炎(HCV)感染もしくは活動性感染性B型肝炎の証拠、又は既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性;(6)無作為化前24週間以内の医学的介入を必要とする深部静脈血栓症(DVT)又は卒中;(7)無作為化前28日以内の長期抗凝血剤療法。静脈洞血栓症(SVT)に対する低分子量(LMW)ヘパリン及び長期アスピリンは認められる;(8)1000×109個/Lを上回る血小板数;(9)インスリン依存性糖尿病、すなわち、インスリンによる長期治療;(10)無作為化前28日以内の別の治験薬又は装置による治療;(11)ActRIIA-hFc(配列番号7)又はActRIIB-hFc(配列番号25)への事前曝露;(12)無作為化前24週間以内の赤血球生成刺激剤(ESA)の使用;(13)無作為化前24週間以内に開始された場合の鉄キレート療法(治療前24週間よりも前又は治療中に開始された場合は認められる);(14)無作為化前24週間以内のヒドロキシウレア治療;(15)妊娠中又は授乳中の女性;(16)制御不能な高血圧。このプロトコルに適した制御される高血圧は、NCI有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0(現在有効なマイナーバージョン)によるグレード1以下と考えられる;(17)以下を含む大きな臓器障害:(a)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が3×正常上限(ULN)を上回る肝疾患又は肝生検での肝硬変/線維化の組織病理学的証拠;(b)心疾患、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)分類3以上によって分類される心不全、もしくは治療を必要とする重大な不整脈、もしくは無作為化から6カ月以内の最近の心筋梗塞;(c)臨床的に重大である肺線維症もしくは肺高血圧症を含む肺疾患;及び/又は(d)60mL/分未満のクレアチニンクリアランス(コッククロフト・ゴールト法による);(18)NCI CTCAEバージョン4.0(現在有効なマイナーバージョン)によるグレード3以上のタンパク尿;(19)副腎不全;(20)無作為化前12週間以内の大きな手術(対象は、無作為化前のいかなる過去の手術からも完全に回復していなければならない);(21)治験薬中の組換えタンパク質又は賦形剤に対する重度のアレルギー反応又はアナフィラキシー反応又は過敏症の既往(治験薬概要書を参照);(22)無作為化前28日以内の細胞毒性剤、免疫抑制薬。
(10.等価物)
本発明は、その具体的な実施態様に関して詳細に記載されているが、機能的に等価であるバリエーションが本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。実際、本明細書に示され、記載されたものに加えた本発明の様々な変更は、前述の説明及び付随する図面から当業者に明らかになるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施態様の多くの等価物を認識するか、又はルーチンの実験だけを用いて、それらを確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
本明細書に言及された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、又は特許出願が、その全体として引用により具体的かつ個別に組み込まれることが示される場合と同じ程度に、引用により本明細書中に組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与される、前記方法。
(構成2)
それを必要としている対象の輸血依存性β-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与される、前記方法。
(構成3)
それを必要としている対象の輸血非依存性β-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与される、前記方法。
(構成4)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、該対象の遺伝子型が、β 0 /β 0 、β + /β + 、β 0 /β + 、β 0 /HbE、及びβ + /HbEからなる群から選択される、前記方法。
(構成5)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、該対象の遺伝子型が2つの重度のヘモグロビンβ鎖突然変異の共遺伝を含み、かつ該対象がα-サラセミアを有する、前記方法。
(構成6)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、皮下投与され、該対象の遺伝子型が2つの重度のヘモグロビンβ鎖突然変異の共遺伝を含み、かつ該対象が遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有する、前記方法。
(構成7)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、前記方法。
(構成8)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該対象の遺伝子型が、β 0 /β 0 、β + /β + 、β 0 /β + 、β 0 /HbE、及びβ + /HbEからなる群から選択される、前記方法。
(構成9)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該対象が遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有する、前記方法。
(構成10)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体II型(ActRII)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該投与が、投与と投与の間の該対象由来の血清中のGDF-11レベルを検出可能な程度に低下させるのに十分である、前記方法。
(構成11)
前記β-サラセミアが輸血依存性β-サラセミアである、構成6〜10のいずれか一項記載の方法。
(構成12)
前記β-サラセミアが非輸血依存性β-サラセミアである、構成6〜10のいずれか一項記載の方法。
(構成13)
前記対象におけるヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象におけるヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;及びヘモグロビン濃度の該第二の測定値とヘモグロビン濃度の該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成1〜12のいずれか一項記載の方法。
(構成14)
前記対象におけるヘマトクリットの第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象におけるヘマトクリットの第二の測定値を取得すること;及びヘマトクリットの該第二の測定値とヘマトクリットの該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成1〜12のいずれか一項記載の方法。
(構成15)
前記対象における胎児ヘモグロビンの第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象における胎児ヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;及び胎児ヘモグロビン濃度の該第二の測定値と胎児ヘモグロビン濃度の該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成1〜12のいずれか一項記載の方法。
(構成16)
(a)前記対象におけるヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること
(b)第一の期間の後、該対象におけるヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;
(c)第二の期間の後、前記初期用量の投与を中止すること及び該対象に前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該後続用量が、皮下注射によって、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される、構成1〜12のいずれか一項記載の方法。
(構成17)
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値が、前記対象に前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量を投与する前に取得される、構成11〜16のいずれか一項記載の方法。
(構成18)
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値が、前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量が前記対象に投与された直後、又は高々その1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは1週間以内に取得される、構成11〜17のいずれか一項記載の方法。
(構成19)
ヘモグロビン、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの初期用量が前記対象に投与されてから約3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月後に取得される、構成11〜18のいずれか一項記載の方法。
(構成20)
前記第二の期間が、前記第二の測定値が取得されたときから1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、又は12週間以内である、構成11〜19のいずれか一項記載の方法。
(構成21)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターの後続用量が、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.6mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.25mg/kgである、構成11〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成22)
前記方法が、前記対象におけるヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の第三の測定値を取得することをさらに含む、構成11〜21のいずれか一項記載の方法。
(構成23)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が12.5g/dL以下であり;
(b)ヘモグロビン濃度の該第二の測定値がヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;かつ
(c)前記後続用量が前記初期用量と等しい、
構成16〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成24)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が12.5g/dL以下であり;
(b)ヘモグロビン濃度の該第二の測定値がヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;かつ
(c)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少ない、
構成16〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成25)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり;かつ(ii)ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;
(b)前記後続用量が前記初期用量と等しく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成16〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成26)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;
(b)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少なく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が(i)12.5g/dL以下であると決定され、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の該第一の測定値とヘモグロビン濃度の該第三の測定値の変化が1.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成16〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成27)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が14g/dL超であり;
(b)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少なく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL未満となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成16〜20のいずれか一項記載の方法。
(構成28)
前記初期用量が21日に1回投与される、構成1〜27のいずれか一項記載の方法。
(構成29)
前記後続用量が21日に1回投与される、構成11〜28のいずれか一項記載の方法。
(構成30)
前記方法が、前記対象におけるGDF11レベルを減少させることをさらに含む、構成1〜29のいずれか一項記載の方法。
(構成31)
前記方法が、前記対象における胎児ヘモグロビンレベルを増大させることをさらに含む、構成1〜30のいずれか一項記載の方法。
(構成32)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターがActRIIAシグナル伝達のインヒビターである、構成1〜31のいずれか一項記載の方法。
(構成33)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターが、ActRIIAの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である、構成1〜31のいずれか一項記載の方法。
(構成34)
前記ActRIIAシグナル伝達インヒビターが:
(a)配列番号2と90%同一のもの;
(b)配列番号2と95%同一のもの;
(c)配列番号2と98%同一のもの;
(d)配列番号2;
(e)配列番号3と90%同一のもの;
(f)配列番号3と95%同一のもの;
(g)配列番号3と98%同一のもの;
(h)配列番号3;
(i)配列番号6と90%同一のもの;
(j)配列番号6と95%同一のもの;
(k)配列番号6と98%同一のもの;
(l)配列番号6;
(m)配列番号7と90%同一のもの;
(n)配列番号7と95%同一のもの;
(o)配列番号7と98%同一のもの;及び
(p)配列番号7
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、構成32記載の方法。
(構成35)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターが配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、構成32記載の方法。
(構成36)
該ActRIIシグナル伝達インヒビターがActRIIBシグナル伝達のインヒビターである、構成1〜31のいずれか一項記載の方法。
(構成37)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターが、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である、構成1〜31のいずれか一項記載の方法。
(構成38)
前記ActRIIBインヒビターが:
(a)配列番号17と90%同一のもの;
(b)配列番号17と95%同一のもの;
(c)配列番号17と98%同一のもの;
(d)配列番号17;
(e)配列番号20と90%同一のもの;
(f)配列番号20と95%同一のもの;
(g)配列番号20と98%同一のもの;
(h)配列番号20;
(i)配列番号21と90%同一のもの;
(j)配列番号21と95%同一のもの;
(k)配列番号21と98%同一のもの;
(l)配列番号21;
(m)配列番号25と90%同一のもの;
(n)配列番号25と95%同一のもの;
(o)配列番号25と98%同一のもの;及び
(p)配列番号25
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである、構成36記載の方法。
(構成39)
前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、構成36記載の方法。
(構成40)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成41)
それを必要としている対象の輸血依存性β-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体II型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成42)
それを必要としている対象の輸血非依存性β-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成43)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、ここで、該対象の遺伝子型が、β 0 /β 0 、β + /β + 、β 0 /β + 、β 0 /HbE、及びβ + /HbEからなる群から選択され、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成44)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、該対象の遺伝子型が2つの重度のヘモグロビンβ鎖突然変異の共遺伝を含み、該対象がα-サラセミアを有し、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成45)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与することを含み、ここで、該アクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターが、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に、21日毎に皮下投与され、該対象の遺伝子型が2つの重度のヘモグロビンβ鎖突然変異の共遺伝を含み、該対象が遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有し、かつ該ActRIIBシグナル伝達インヒビターが配列番号25のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(構成46)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、前記方法。
(構成47)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該対象の遺伝子型が、β 0 /β 0 、β + /β + 、β 0 /β + 、β 0 /HbE、及びβ + /HbEからなる群から選択される、前記方法。
(構成48)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターを21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該対象が遺伝性高胎児ヘモグロビン血症を有する、前記方法。
(構成49)
それを必要としている対象のβ-サラセミアを治療する方法であって、該対象にアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)シグナル伝達インヒビターの約0.8mg/kg又は約1.0mg/kgの初期用量を投与すること、及びその後、該β-サラセミアが治療されるように、該ActRIIBシグナル伝達インヒビターを該対象に21日間隔で1回以上投与することを含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含み、かつ該投与が、投与と投与の間の該対象由来の血清中のGDF-11レベルを検出可能な程度に低下させるのに十分である、前記方法。
(構成50)
前記β-サラセミアが輸血依存性β-サラセミアである、構成46〜49のいずれか一項記載の方法。
(構成51)
前記β-サラセミアが非輸血依存性β-サラセミアである、構成46〜49のいずれか一項記載の方法。
(構成52)
前記対象におけるヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象におけるヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;及びヘモグロビン濃度の該第二の測定値とヘモグロビン濃度の該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成40〜51のいずれか一項記載の方法。
(構成53)
前記対象におけるヘマトクリットの第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象におけるヘマトクリットの第二の測定値を取得すること;及びヘマトクリットの該第二の測定値とヘマトクリットの該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成40〜51のいずれか一項記載の方法。
(構成54)
前記対象における胎児ヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること;第一の期間の後、該対象における胎児ヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;及び胎児ヘモグロビン濃度の該第二の測定値と胎児ヘモグロビン濃度の該第一の測定値の差に基づいて前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該投与が、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に皮下投与することを含む、構成40〜51のいずれか一項記載の方法。
(構成55)
(a)前記対象におけるヘモグロビン濃度の第一の測定値を取得すること
(b)第一の期間の後、該対象におけるヘモグロビン濃度の第二の測定値を取得すること;
(c)第二の期間の後、前記初期用量の投与を中止すること及び該対象に該ActRIIBシグナル伝達インヒビターの後続用量を投与することをさらに含み、ここで、該後続用量が、皮下注射によって、該対象の上腕、腹部、又は大腿部に投与される、
構成40〜51のいずれか一項記載の方法。
(構成56)
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値が、前記対象に前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの初期用量を投与する前に取得される、構成52〜55のいずれか一項記載の方法。
(構成57)
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値が、前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの初期用量が前記対象に投与された直後、又は高々その1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは1週間以内に取得される、構成52〜56のいずれか一項記載の方法。
(構成58)
ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの初期用量が前記対象に投与されてから約3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月後に取得される、構成52〜57のいずれか一項記載の方法。
(構成59)
前記第二の期間が、前記第二の測定値が取得されたときから1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、又は12週間以内である、構成52〜58のいずれか一項記載の方法。
(構成60)
前記ActRIIBシグナル伝達インヒビターの後続用量が、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.6mg/kg、約1.0mg/kg、又は約1.25mg/kgである、構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成61)
前記方法が、前記対象におけるヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、又は胎児ヘモグロビン濃度の第三の測定値を取得することをさらに含む、構成52〜60のいずれか一項記載の方法。
(構成62)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が12.5g/dL以下であり;
(b)ヘモグロビン濃度の該第二の測定値がヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;かつ
(c)前記後続用量が前記初期用量と等しい、
構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成63)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が12.5g/dL以下であり;
(b)ヘモグロビン濃度の該第二の測定値がヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;かつ
(c)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少ない、
構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成64)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり;かつ(ii)ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL以下大きく;
(b)前記後続用量が前記初期用量と等しく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成65)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が、(i)12.5g/dL超、14g/dL以下であり、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の前記第一の測定値よりも1.5g/dL超大きく;
(b)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少なく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が(i)12.5g/dL以下であると決定され、かつ(ii)ヘモグロビン濃度の該第一の測定値とヘモグロビン濃度の該第三の測定値の変化が1.5g/dL以下となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成66)
(a)ヘモグロビン濃度の前記第二の測定値が14g/dL超であり;
(b)前記後続用量が前記初期用量よりも約25%少なく;かつ
(c)前記第二の期間が、ヘモグロビン濃度の第三の測定値が12.5g/dL未満となるまでの最大12週間の投与延期からなる、
構成52〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成67)
前記初期用量が21日に1回投与される、構成40〜66のいずれか一項記載の方法。
(構成68)
前記後続用量が21日に1回投与される、構成52〜67のいずれか一項記載の方法。
(構成69)
前記方法が、前記対象におけるGDF11レベルを減少させることをさらに含む、構成40〜68のいずれか一項記載の方法。
(構成70)
前記方法が、前記対象における胎児ヘモグロビンレベルを増大させることをさらに含む、構成40〜69のいずれか一項記載の方法。
(構成71)
対象における胎児ヘモグロビンレベルを増大させる方法であって、ActRIIBシグナル伝達インヒビターを該対象に投与することを含む、前記方法。
(構成72)
前記対象がヘモグロビンEを発現する、構成1〜71のいずれか一項記載の方法。
(構成73)
前記対象がヘモグロビンSを発現しない、構成1〜72のいずれか一項記載の方法。
(構成74)
赤血球応答が、(i)12週間、33%以上の輸血負荷の低下、及び(ii)12週間にわたる少なくとも2単位の赤血球の低下からなる、構成1〜73のいずれか一項記載の方法。
(構成75)
前記赤血球応答が、ベースラインヘモグロビン濃度と比較して1g/dL超のヘモグロビン濃度の増加からなり、ここで、該ヘモグロビン濃度の増加が、輸血の非存在下における連続12週間にわたるヘモグロビン濃度値によって測定される、構成1〜73のいずれか一項記載の方法。
(構成76)
前記対象がヒトである、構成1〜75のいずれか一項記載の方法。
(構成77)
前記ActRIIシグナル伝達インヒビターが、防腐剤を含まない滅菌凍結乾燥ケーキとして容器中に包装され、前記対象への投与の前に2℃〜8℃で保存される、構成1〜76のいずれか一項記載の方法。
(構成78)
前記容器が37.5mgの前記ActRIIシグナル伝達インヒビターを含む、構成77記載の方法。
(構成79)
前記容器が75mgの前記ActRIIシグナル伝達インヒビターを含む、構成77記載の方法。