JP6976344B2 - 硬化性組成物、硬化膜、積層体、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および赤外線センサ - Google Patents
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Description
<1> 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物である、硬化性組成物。
<2> 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、ラジカル重合開始剤Aは、熱分解温度が120〜270℃であり、かつ、熱分解速度が33〜60W/℃・molである化合物である、硬化性組成物。
<3> ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物である、<2>に記載の硬化性組成物。
<4> ラジカル重合開始剤Aの含有量が、硬化性組成物の全固形分に対して0.1〜20質量%である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<5> ラジカル重合性化合物の100質量部に対してラジカル重合開始剤Aを1〜100質量部含有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<6> さらに、ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bを含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<7> ラジカル重合開始剤Bが、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物およびベンジルジメチルケタールから選ばれる少なくとも1種である、<6>に記載の硬化性組成物。
<8> ラジカル重合開始剤Bの熱分解温度が100〜270℃である、<6>または<7>に記載の硬化性組成物。
<9> ラジカル重合開始剤Bの熱分解速度が3〜10W/℃・molである、<6>〜<8>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<10> ラジカル重合開始剤Aの100質量部に対してラジカル重合開始剤Bを0.1〜2000質量部含有する、<6>〜<9>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の硬化性組成物から得られる硬化膜。
<12> 支持体上に<11>に記載の硬化膜を有する積層体。
<13> 支持体と硬化膜との間に、環状エーテル基を有する化合物を含む組成物を用いて得られる膜を有する、<12>に記載の積層体。
<14> 支持体が銅を含有するガラス基材である、<12>または<13>に記載の積層体。
<15> 硬化膜上に無機膜を有する、<12>〜<14>のいずれか1つに記載の積層体。
<16> 硬化膜と無機膜との間に平坦化層を有する、<15>に記載の積層体。
<17> <11>に記載の硬化膜を有する近赤外線カットフィルタ。
<18> <11>に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
<19> <11>に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
<20> <11>に記載の硬化膜を有する赤外線センサ。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定でのポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID(内径)×15.0cm)を用い、溶離液として10mmol/LのリチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本明細書において、近赤外線とは、波長700〜2,500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程を表すだけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明の硬化性組成物の第1の態様は、近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物であることを特徴とする。
また、本発明の硬化性組成物の第2の態様は、近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、ラジカル重合開始剤Aは、熱分解温度が120〜270℃であり、かつ、熱分解速度が33〜60W/℃・molである化合物であることを特徴とする。
本発明の硬化性組成物は、近赤外線吸収色素を含有する。近赤外線吸収色素は、顔料(近赤外線吸収顔料ともいう)であってもよく、染料(近赤外線吸収染料ともいう)であってもよい。また、近赤外線吸収染料と近赤外線吸収顔料とを併用することも好ましい。近赤外線吸収染料と近赤外線吸収顔料とを併用する場合、近赤外線吸収染料と近赤外線吸収顔料との質量比は、近赤外線吸収染料:近赤外線吸収顔料=99.9:0.1〜0.1:99.9であることが好ましく、99.9:0.1〜10:90であることがより好ましく、99.9:0.1〜20:80であることがさらに好ましい。
式中、R1aおよびR1bは、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2およびR3は、各々独立に水素原子または置換基を表し、R2およびR3は、互いに結合して環を形成してもよく、R4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BR4AR4B、または金属原子を表し、R4は、R1a、R1bおよびR3から選ばれる少なくとも一つと共有結合もしくは配位結合していてもよく、R4AおよびR4Bは、各々独立に置換基を表す。R4AおよびR4Bは互いに結合して環を形成していてもよい。式(PP)の詳細については、特開2009−263614号公報の段落番号0017〜0047、特開2011−68731号公報の段落番号0011〜0036、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0024の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基、アシル基(好ましくは炭素数1〜30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜30)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30)、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルフィノ基、アリールスルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1〜30)。これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した基が挙げられる。
式(SQ)中、A1およびA2は、それぞれ独立に、アリール基、ヘテロアリール基または式(A−1)で表される基を表す;
式(A−1)中、Z1は、含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、R2は、アルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、dは、0または1を表し、波線は連結手を表す。式(SQ)の詳細については、特開2011−208101号公報の段落番号0020〜0049、特許第6065169号公報の段落番号0043〜0062、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0024〜0040の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に芳香族環を表し、
XAおよびXBはそれぞれ独立に置換基を表し、
GAおよびGBはそれぞれ独立に置換基を表し、
kAは0〜nAの整数を表し、kBは0〜nBの整数を表し、
nAおよびnBはそれぞれ環Aまたは環Bに置換可能な最大の整数を表し、
XAとGA、XBとGB、XAとXBは、互いに結合して環を形成しても良く、GAおよびGBがそれぞれ複数存在する場合は、互いに結合して環構造を形成していても良い。
−(CH2)n1− ・・・(1)
式(1)中、n1は2または3である。
−(CH2)n2−O−(CH2)n3− ・・・(2)
式(2)中、n2とn3はそれぞれ独立して0〜2の整数であり、n2+n3は1または2である。
R1およびR2は、それぞれ独立して、アルキル基またはアリール基を表す。アルキル基およびアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した式(PP)で説明した置換基Tが挙げられる。
R3〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。
nは2または3である。
式(C)
式中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団であり、
R101およびR102は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表し、
L1は、奇数個のメチン基を有するメチン鎖を表し、
aおよびbは、それぞれ独立に、0または1であり、
aが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが二重結合で結合し、bが0の場合は、炭素原子と窒素原子とが単結合で結合し、
式中のCyで表される部位がカチオン部である場合、X1はアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位がアニオン部である場合、X1はカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、cは0である。
本発明の硬化性組成物は、上述した近赤外線吸収色素以外の近赤外線吸収剤(他の近赤外線吸収剤ともいう)をさらに含んでもよい。他の近赤外線吸収剤としては、無機顔料(無機粒子)が挙げられる。無機顔料の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。無機顔料としては、金属酸化物粒子または金属粒子が好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子などが挙げられる。また、無機顔料としては酸化タングステン系化合物を用いることもできる。酸化タングステン系化合物は、セシウム酸化タングステンであることが好ましい。酸化タングステン系化合物の詳細については、特開2016−006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、上述した近赤外線吸収色素と他の近赤外線吸収剤との合計質量中における他の近赤外線吸収剤の含有量は、1〜99質量%が好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないことも好ましい。他の近赤外線吸収剤を実質的に含有しないとは、上述した近赤外線吸収色素と他の近赤外線吸収剤との合計質量中における他の近赤外線吸収剤の含有量が0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、他の近赤外線吸収剤を含有しないことがさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物を含有する。ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を3個以上有する化合物であることがさらに好ましい。ラジカル重合性化合物におけるエチレン性不飽和結合を有する基の個数の上限は、たとえば、15個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。ラジカル重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
また、ラジカル重合性化合物としては、8UH−1006、8UH−1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB−A0(共栄社化学(株)製)などを用いることも好ましい。
また、ラジカル重合性化合物としては、特開2017−48367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物を用いることもできる。
ラジカル重合性化合物の含有量は、近赤外線吸収色素の100質量部に対して、20〜300質量部であることが好ましい。上限は、200質量部以下であることが好ましく150質量部以下であることがより好ましく、120質量部以下であることが更に好ましい。下限は、30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、60質量部以上であることが更に好ましい。ラジカル重合性化合物と近赤外線吸収色素との割合が上記範囲であれば、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。ラジカル重合性化合物を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の硬化性組成物はラジカル重合開始剤Aを含有する。ラジカル重合開始剤Aは、光または熱の作用によってラジカルを発生させてラジカル重合性化合物の重合反応を開始または促進させる化合物である。ラジカル重合開始剤Aは、少なくとも熱の作用によってラジカルを発生する化合物であることが好ましい。
または、
熱分解温度が120〜270℃であり、かつ、熱分解速度が33〜60W/℃・molである化合物を用いる(第2の態様)。
また、ラジカル重合開始剤の熱分解速度は、示差走査熱量(DSC)測定により測定した値である。より具体的には、ラジカル重合開始剤を23℃の状態から昇温速度10℃/分の条件で昇温して、100℃以降で発熱ピークの立ち上がり温度と、発熱ピークの極大温度とを結ぶ線の傾きにより熱分解速度を算出した。
上記式においてεはモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)、Aは吸光度、cは測定溶液の濃度(mol/L)、lは光路長(cm)を表す。
式(T−1)中、Rt5およびRt6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、Ti(RM1)(RM2)(RM3)、Zr(RM1)(RM2)(RM3)、Si(RM1)(RM2)(RM3)またはB(RM1)(RM2)を表し、RM1〜RM3は、それぞれ独立して置換基を表す。
式(T−2)中、M1は、Ti(RM4)(RM5)、Zr(RM4)(RM5)、Si(RM4)(RM5)またはB(RM4)を表し、RM4およびRM5はそれぞれ独立して置換基を表す。
式(T−3)中、M2は、Ti(RM6)、Zr(RM6)、Si(RM6)またはBを表し、RM6は置換基を表し、L1は2価の連結基を表す。
置換基としてのアルキル基、RX1およびRX2が表すアルキル基、式(T−1)におけるRt5およびRt6が表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
置換基としてのアリール基、RX1およびRX2が表すアリール基、式(T−1)におけるRt5およびRt6が表すアリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。アリール基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。
置換基としての複素環基、ならびに、RX1およびRX2が表す複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。また、複素環基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。
また、硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物の100質量部に対してラジカル重合開始剤Aを1〜200質量部含有することが好ましい。下限は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。上限は、150質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。ラジカル重合開始剤Aとラジカル重合性化合物との割合が上記範囲であれば、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合開始剤として、上述したラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bを含むことが好ましい。この態様によれば、本発明の効果がより顕著に得られる傾向にある。更には、得られる硬化膜の分光特性(例えば近赤外線遮蔽性など)をより向上させることができる。ラジカル重合開始剤Aとラジカル重合開始剤Bとを併用することにより、製膜時における近赤外線吸収色素の会合性などを向上させることができるためであると推測される。また、例えば、ラジカル重合開始剤Bとして、ラジカル重合開始剤Aよりも熱分解速度が遅い化合物を用いた場合においては、硬化性組成物の硬化性を適度に調整でき、その結果、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
また、ラジカル重合開始剤Aの熱分解温度とラジカル重合開始剤Bの熱分解温度の差の絶対値は12℃以上であることが好ましく、13℃以上であることがより好ましい。上限は35℃以下であることが好ましく、34℃以下であることがより好ましい。両者の熱分解温度の差が上記範囲であれば、熱硬化性と保存安定性を両立するという効果が得られる。
また、ラジカル重合開始剤Aの熱分解速度とラジカル重合開始剤Bの熱分解速度の差の絶対値は27W/℃・mol以上であることが好ましく、30W/℃・mol以上であることがより好ましい。上限は55W/℃・mol以下であることが好ましく、53W/℃・mol以下であることがより好ましい。両者の熱分解速度の差が上記範囲であれば、硬化性組成物の硬化性を適度に調整でき、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
式(T−11)
式中Rt11は、置換基を表し、Rt12およびRt13は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表し、Rt12とRt13が互いに結合して環を形成していてもよく、mは0〜4の整数を表す。
有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3’4,4’−テトラ−(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(tert−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(tert−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。有機過酸化物の市販品としては、パーブチルO、パーブチルZ、パーヘキサ25B(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物の100質量部に対してラジカル重合開始剤Bを1〜200質量部含有することが好ましい。下限は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。上限は、150質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。ラジカル重合開始剤Bとラジカル重合性化合物との割合が上記範囲であれば、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
また、ラジカル重合開始剤Aの100質量部に対してラジカル重合開始剤Bを0.1〜2000質量部含有することが好ましい。下限は、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。上限は、1500質量部以下が好ましく、1000質量部以下がより好ましく、500質量部以下が更に好ましい。ラジカル重合開始剤Aとラジカル重合開始剤Bとの割合が上記範囲であれば、分光特性が良好で、近赤外線吸収色素に由来する凝集物の発生がより抑制された硬化膜を形成し易い。
本発明の硬化性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有させてもよい。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。環状エーテル基を有する化合物は、1分子内に環状エーテル基を2個以上有する化合物であることが好ましい。環状エーテル基を有する化合物における環状エーテル基の数の上限は、100個以下であることが好ましく、10個以下であることがより好ましく、5個以下であることが更に好ましい。
環状エーテル基を有する化合物が芳香族環を含む場合、芳香族環の数としては、1個以上であることが好ましく、近赤外線吸収色素との相溶性が高まり、優れた耐水密着性が得られやすいという理由から2個以上であることがより好ましい。上限は、5個以下が好ましく、4個以下がより好ましい。また、環状エーテル基を有する化合物が繰り返し単位を有する化合物である場合、一つの繰り返し単位における芳香族環の数は、1〜10個が好ましい。上限は、7個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。下限は、2個以上が好ましい。なお、環状エーテル基を有する化合物における芳香族環の数とは、単環の芳香族環の数と、縮合環を構成する環の数の合計値である。例えば、環状エーテル基を有する化合物における芳香族環としてナフタレン環を有する化合物の場合、この環状エーテル基を有する化合物の芳香族環の数は2個である。環状エーテル基を有する化合物における芳香族環としてベンゼン環とナフタレン環を有する化合物の場合、この環状エーテル基を有する化合物の芳香族環の数は3個である。
また、本発明の硬化性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を実質的に含有しないことも好ましい。環状エーテル基を有する化合物を実質的に含有しないとは、環状エーテル基を有する化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、0.1質量%以下であることを意味し、0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが一層好ましい。
本発明の硬化性組成物は、樹脂を含有することができる。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
式中、R5は水素原子またはアルキル基を表し、L4〜L7は各々独立に単結合または2価の連結基を表し、R10〜R13は各々独立にアルキル基またはアリール基を表す。R14およびR15は、各々独立に水素原子または置換基を表す。
、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物は、有彩色着色剤を含有することができる。本発明において、有彩色着色剤とは、白色着色剤および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。有彩色着色剤は、波長400nm以上650nm未満の範囲に吸収を有する着色剤が好ましい。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)、
これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
また、本発明の硬化性組成物は、有彩色着色剤を実質的に含有しないことも好ましい。有彩色着色剤を実質的に含有しないとは、有彩色着色剤の含有量が、硬化性組成物の全固形分に対して0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、有彩色着色剤を含有しないことがさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物は、赤外線を透過させて可視光を遮光する色材(以下、可視光を遮光する色材ともいう)を含有することもできる。
本発明において、可視光を遮光する色材は、紫色から赤色の波長領域の光を吸収する色材であることが好ましい。また、本発明において、可視光を遮光する色材は、波長450〜650nmの波長領域の光を遮光する色材であることが好ましい。また、可視光を遮光する色材は、波長900〜1300nmの光を透過する色材であることが好ましい。
本発明において、可視光を遮光する色材は、以下の(A)および(B)の少なくとも一方の要件を満たすことが好ましい。
(A):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。
(B):有機系黒色着色剤を含む。
(1)黄色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
(2)黄色着色剤、青色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
(3)黄色着色剤、紫色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
(4)黄色着色剤および紫色着色剤を含有する態様。
(5)緑色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
(6)紫色着色剤およびオレンジ色着色剤を含有する態様。
(7)緑色着色剤、紫色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
(8)緑色着色剤および赤色着色剤を含有する態様。
また、本発明の硬化性組成物は、可視光を遮光する色材を実質的に含有しないことも好ましい。可視光を遮光する色材を実質的に含有しないとは、可視光を遮光する色材の含有量が、硬化性組成物の全固形分に対して0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、可視光を遮光する色材を含有しないことがさらに好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらに顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、色素骨格に、酸基および塩基性基から選ばれる少なくとも1種の基が結合した化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
式(B1)中、Pは色素骨格を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基または塩基性基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
本発明の硬化性組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤の種類は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。また、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明の硬化性組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応および縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられる。シランカップリング剤は、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シランカップリング剤は、ウレア基を有するシランカップリング剤が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0238〜0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
フッ素原子で置換されたアルキレン基としては、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であることが好ましい。
フッ素原子で置換されたアルキル基としては、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であることが好ましい。
フッ素原子で置換されたアルキレン基及びフッ素原子で置換されたアルキル基中の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。
フッ素原子で置換されたアリール基は、アリール基がフッ素原子で直接に置換されているか、トリフルオロメチル基で置換されていることが好ましい。
フッ素原子で置換されたアルキレン基、フッ素原子で置換されたアルキル基、及び、フッ素原子で置換されたアリール基は、フッ素原子以外の置換基をさらに有していてもよい。これらの具体例としては、例えば、特開2011−100089号公報の段落0266〜0272を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(X) −(LA−O)n− 上記LAは、フッ素原子で置換されたアルキレン基を表す。フッ素原子で置換されたアルキレン基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。フッ素原子で置換されたアルキレン基は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。nは1以上の整数を表し、1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。なお、nが2以上の場合、複数の−(LA−O)−中のLAは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(B1)〜(B3)中、L1〜L4が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、ハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、ハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基、−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO2−、−SO2NR12−、−O−、−S−、−SO2−、又は、これらの組み合わせが挙げられる。なかでも、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基及び炭素数6〜12のハロゲン原子が置換していてもよいアリーレン基からなる群から選択される少なくとも1種、又は、これらの基と−NR12−、−CONR12−、−CO−、−CO2−、−SO2NR12−、−O−、−S−、及び−SO2−からなる群から選択される少なくとも1種の基との組み合わせからなる基が好ましく、炭素数2〜10のハロゲン原子が置換していてもよいアルキレン基、−CO2−、−O−、−CO−、−CONR12−、又は、これらの基の組み合わせからなる基がより好ましい。ここで、上記R12は、水素原子又はメチル基を表す。
上記式(B2)で表される繰り返し単位及び式(B3)で表される繰り返し単位の合計含有量は、含フッ素硬化性化合物中の全繰り返し単位に対して、5〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましい。なお、式(B2)で表される繰り返し単位が含まれず、式(B3)で表される繰り返し単位が含まれる場合は、式(B2)で表される繰り返し単位の含有量は0モル%として、式(B3)で表される繰り返し単位の含有量が上記範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノブタジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。共役ジエン化合物の市販品としては、例えば、UV−503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱重合禁止剤、可塑剤、密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分は、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。酸化防止剤としては、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物または分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。これらは2種以上を混合して使用してもよい。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜リン酸エチルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらは、市販品として入手できる。例えば、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330((株)ADEKA)などが挙げられる。また、酸化防止剤として、国際公開WO2017/006600号公報に記載された多官能ヒンダードアミン酸化防止剤を用いることもできる。酸化防止剤の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
潜在酸化防止剤とは、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100〜250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80〜200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が好ましい。潜在酸化防止剤としては国際公開WO2014/021023号公報、国際公開WO2017/030005号公報、特開2017−008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA−5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、前述の成分を混合して調製できる。硬化性組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して硬化性組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して硬化性組成物として調製してもよい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度であり、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物を確実に除去できる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。具体的には、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジが挙げられる。
また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)または株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、第1のフィルタと同様の素材等で形成されたものを使用することができる。
また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
本発明の硬化膜は、上述した本発明の硬化性組成物から得られるものである。本発明の硬化膜は、近赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。また、熱線遮蔽フィルタや赤外線透過フィルタとして用いることもできる。本発明の硬化膜は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。
(1)質量%で、P2O5 46〜70%、AlF3 0.2〜20%、ΣRF(R=Li、Na、K)0〜25%、ΣR’F2(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Pb) 1〜50%からなり、F 0.5〜32%、O 26〜54%を含む基礎ガラス100質量部に対し、外掛け表示でCuO 0.5〜7質量部を含むガラス。
(2)質量%で、P2O5 25〜60%、Al2O3 1〜13%、MgO 1〜10%、CaO 1〜16%、BaO 1〜26%、SrO 0〜16%、ZnO 0〜16%、Li2O 0〜13%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜11%、CuO 1〜7%、ΣRO(R=Mg、Ca、Sr、Ba) 15〜40%、ΣR’2O(R’=Li、Na、K) 3〜18%(ただし、39%モル量までのO2-イオンがFで置換されている)からなるガラス。
(3)質量%で、P2O5 5〜45%、AlF3 1〜35%、ΣRF(R=Li、Na、K) 0〜40%、ΣR’F2(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Pb、Zn) 10〜75%、R”Fm(R”=La、Y、Cd、Si、B、Zr、Ta、mはR”の原子価に相当する数) 0〜15%(ただし、弗化物総合計量の70%までを酸化物に置換可能)、およびCuO 0.2〜15%を含むガラス。
(4)カチオン%で、P5+ 11〜43%、Al3+ 1〜29%、ΣRカチオン(R=Mg、Ca、Sr、Ba、Pb、Zn) 14〜50%、ΣR’カチオン(R’=Li、Na、K) 0〜43%、ΣR’’カチオン(R’’=La、Y、Gd、Si、B、Zr、Ta) 0〜8%、およびCu2+ 0.5〜13%を含み、さらにアニオン%でF- 17〜80%含有するガラス。
(5)カチオン%で、P5+ 23〜41%、Al3+ 4〜16%、Li+ 11〜40%、Na+ 3〜13%、ΣRカチオン(R=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn) 12〜53%、およびCu2+ 2.6〜4.7%を含み、さらにアニオン%でF- 25〜48%、およびO2- 52〜75%を含むガラス。
(6)質量%で、P2O5 70〜85%、Al2O3 8〜17%、B2O3 1〜10%、Li2O 0〜3%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、ただし、ΣR2O(R=Li、Na、K) 0.1〜5%、SiO2 0〜3%からなる基礎ガラス100質量部に対し、外割でCuOを0.1〜5質量部含むガラス。
(1)波長400nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
(2)波長500nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長600nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長650nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
本発明の積層体は、支持体上に本発明の硬化膜を有する。支持体としては、透明基材が挙げられ、ガラス基材であることが好ましく、銅を含有するガラス基材であることがより好ましい。特に本発明の硬化膜を近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の硬化膜を、銅を含有するガラス基材に上に積層して積層体とすることで、幅広い範囲の近赤外線を遮光することができる。
また、本発明の硬化膜の厚さt1と、上記膜Aの厚さt2との比は、t1:t2=1:0.002〜0.2であることが好ましく、1:0.006〜0.1であることがより好ましく、1:0.01〜0.04であることが更に好ましい。
次に、本発明の硬化膜の製造方法について説明する。本発明の硬化膜の製造方法は、上述した本発明の硬化性組成物を適用して硬化性組成物層を形成する工程と、硬化性組成物層を加熱硬化する工程と、を含む。
フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、本発明の硬化性組成物を適用して形成した硬化性組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の硬化性組成物層を除去することにより現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。必要に応じて、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
ドライエッチング法でのパターン形成は、硬化性組成物層を加熱硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013−064993号公報の段落番号0010〜0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
次に、本発明の近赤外線カットフィルタについて説明する。本発明の近赤外線カットフィルタは、本発明の硬化膜を含む。本発明の近赤外線カットフィルタは、支持体上に本発明の硬化膜を有することが好ましい。支持体としては、上述した支持体が挙げられ、透明基材であることが好ましく、ガラス基材であることがより好ましく、銅を含有するガラス基材であることが更に好ましい。この態様によれば、幅広い範囲の近赤外線を遮光することができる。
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の硬化膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の硬化膜を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
本発明の画像表示装置は、本発明の硬化膜を含む。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)および黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加えさらに赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
本発明の赤外線センサは、上述した本発明の硬化膜を含む。赤外線センサの構成としては、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。以下、本発明の赤外線センサの一実施形態について、図面を用いて説明する。
ラジカル重合開始剤の熱分解温度は、示差熱(TG−DTA)測定により測定した。具体的にはラジカル重合開始剤を23℃の状態から昇温速度10℃/分の条件で昇温して、ラジカル重合開始剤の重量減少が始まる温度を測定した。
ラジカル重合開始剤の熱分解速度は、示差走査熱量(DSC)測定により測定した。具体的には、ラジカル重合開始剤を23℃の状態から昇温速度10℃/分の条件で昇温して、100℃以降で発熱ピークの立ち上がり温度と、発熱ピークの極大温度とを結ぶ線の傾きにより熱分解速度を算出した。
・樹脂1:下記構造の樹脂(重量平均分子量41,400、繰り返し単位に付記した数値はモル数である)のシクロペンタノン30質量%溶液。
・樹脂2:下記構造の樹脂(重量平均分子量33100、繰り返し単位に付記した数値はモル数である)のシクロペンタノン30質量%溶液。
・有機溶剤1:シクロペンタノン
・有機溶剤2:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド
・有機溶剤3:3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド
・ラジカル重合開始剤A1:下記構造の化合物(ピナコール化合物、熱分解温度182℃、熱分解速度56W/℃・mol)
・ラジカル重合開始剤A2:下記構造の化合物(ピナコール化合物、熱分解温度178℃、熱分解速度54W/℃・mol。以下の構造式中、Phはフェニル基を表し、Buはブチル基を表す。)
・ラジカル重合開始剤A3:下記構造の化合物(ピナコール化合物、熱分解温度178℃、熱分解速度54W/℃・mol。以下の構造式中、Phはフェニル基を表し、iPrはイソプロピル基を表す。)
・ラジカル重合開始剤A4:下記構造の化合物(ピナコール化合物、熱分解温度172℃、熱分解速度50W/℃・mol。以下の構造式中、Phはフェニル基を表す。)
・ラジカル重合開始剤B1:IRGACURE−184(BASF社製、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物、熱分解温度151℃、熱分解速度4W/℃・mol)
・ラジカル重合開始剤B2:IRGACURE−2959(BASF社製、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物、熱分解温度165℃、熱分解速度8W/℃・mol)
・ラジカル重合開始剤B3:IRGACURE−651(BASF社製、ベンジルジメチルケタール化合物、熱分解温度170℃、熱分解速度5W/℃・mol)
・ラジカル重合開始剤B4:IRGACURE−OXE01(BASF社製、オキシム化合物、熱分解温度170℃、熱分解速度30W/℃・mol)
下記組成の原料を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製))で、2時間かけて分散し、分散液1を調製した。
−分散液1の組成−・下記構造の近赤外線吸収色素(平均一次粒子径200nm)・・・11.6質量部
・下記構造の顔料誘導体・・・・3.5質量部
・分散剤(下記構造の樹脂、重量平均分子量22,900、主鎖の繰り返し単位に付記した数値はモル数であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し単位の繰り返し数を示す。)・・・7.2質量部
・シクロヘキサノン ・・・77.77質量部
C.I.Pigment Black32の60質量部、C.I.Pigment Blue15:6の20質量部、C.I.Pigment Yellow139の20質量部、ソルスパース76500(日本ルーブリゾール(株)製、固形分濃度50質量%)の80質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの700質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて8時間分散して、分散液2を得た。
各硬化性組成物を、ガラス基材(EAGLE XG、Corning社製、アルカリ土類ボロアルミノシリケート)上に製膜後の膜厚が2.5μmとなるようにミカサコーターにてスピンコート塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒間乾燥し、次いで、220℃で5分間加熱して硬化膜を製造した。得られた硬化膜について、紫外可視近赤外分光光度計U−4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長700〜1300nmの範囲の透過率を測定し、硬化膜の極大吸収波長での透過率の値(T)を用いて以下の基準で近赤外線遮蔽性を評価した。
5:T≦1%
4:1%<T≦3%
3:3%<T≦5%
2:5%<T≦10%
1:10%<T
各硬化性組成物をガラス基材上に製膜後の膜厚が2.5μmとなるようにミカサコーターにてスピンコート塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒間乾燥し、次いで、220℃で5分間加熱して硬化膜を製造した。
硬化膜が形成されたガラス基材を、23℃のアセトン中に5分間浸漬した後に、超高分解能走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、加速電圧2.0kV、観測倍率50000倍にて膜断面の画像を観察した。画像中、任意の3か所の穴空き部分(膜中に穴が空いたように観察される部分)の長軸方向の長さを測定し、その平均値を凝集サイズとして算出した。
各硬化性組成物の調製後、ただちにガラス基材上に製膜後の膜の厚さが1.0μmとなるようにAct8(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコート塗布し、次にホットプレートを用いて220℃で5分間加熱し、硬化膜を製造した。得られた硬化膜について、紫外可視近赤外分光光度計U−4100((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長400〜1,300nmの範囲における光透過率を測定した。調製直後の硬化性組成物を用いて製造した硬化膜の分光を分光1とする。
次に、調製直後の各硬化性組成物を、温度23℃のクリーンルームにて2カ月保管した後、保管後の各硬化性組成物を用いて上記と同様にして硬化膜を製造し、波長400〜1,300nmの範囲における光透過率を測定した。保管後の硬化性組成物を用いて製造した硬化膜の分光を分光2とする。
上記の分光1と分光2を用いて、各波長における調製直後の硬化性組成物を用いて製造した硬化膜と、保管後の硬化性組成物を用いて製造した硬化膜の透過率との差を算出し、波長400〜1,300nmの範囲における上記透過率の差の最大値(ΔT%)を求めて、以下の基準で保存安定性を評価した。
3:ΔT%<1
2:1≦ΔT%<5
1:5≦ΔT%
実施例1の硬化性組成物を、ガラス基材から弗燐酸塩ガラス基材(製品名:NF−50、AGCテクノグラス社製、大きさ50mm×50mm、厚さ0.05mm、銅を含有するガラス基材である)に変更し、上記近赤外遮光性を評価したところ、同様な効果が得られた。
Claims (21)
- 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aと、前記ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bとを含み、
前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物であり、
前記ラジカル重合開始剤Bが、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物およびベンジルジメチルケタールから選ばれる少なくとも1種である、硬化性組成物。 - 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aと、前記ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bとを含み、
前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物であり、
前記ラジカル重合開始剤Bの熱分解温度が100〜270℃である、硬化性組成物。 - 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aと、前記ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bとを含み、
前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物であり、
前記ラジカル重合開始剤Bの熱分解速度が3〜10W/℃・molである、硬化性組成物。 - 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aと、前記ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bとを含み、
前記ラジカル重合開始剤Aは、熱分解温度が120〜270℃であり、かつ、熱分解速度が33〜60W/℃・molである化合物であり、
前記ラジカル重合開始剤Bが、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物およびベンジルジメチルケタールから選ばれる少なくとも1種である、硬化性組成物。 - 近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、
前記近赤外線吸収色素は、単環または縮合環の芳香族環を含むπ共役平面を有する化合物であり、
前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物であり、
前記ラジカル重合性化合物の100質量部に対して前記ラジカル重合開始剤Aを20〜200質量部含有する、硬化性組成物。 - 前記近赤外線吸収色素の含有量が、前記硬化性組成物の全固形分に対して3〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記近赤外線吸収色素は、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記ラジカル重合開始剤Aの含有量が、硬化性組成物の全固形分に対して0.1〜20質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物の100質量部に対して前記ラジカル重合開始剤Aを1〜100質量部含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- さらに、前記ラジカル重合開始剤Aとは異なるラジカル重合開始剤Bを含む、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記ラジカル重合開始剤Aの100質量部に対して前記ラジカル重合開始剤Bを0.1〜2000質量部含有する、請求項1、2、3、4または10に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物から得られる硬化膜。
- 支持体上に請求項12に記載の硬化膜を有する積層体。
- 支持体上に硬化膜を有する積層体であって、
前記硬化膜は、近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物である、硬化性組成物から得られる硬化膜であり、
前記支持体と前記硬化膜との間に、環状エーテル基を有する化合物を含む組成物を用いて得られる膜を有する積層体。 - 支持体上に硬化膜を有する積層体であって、
前記硬化膜は、近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物である、硬化性組成物から得られる硬化膜であり、
前記支持体が銅を含有するガラス基材である積層体。 - 支持体上に硬化膜を有する積層体であって、
前記硬化膜は、近赤外線吸収色素と、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤Aとを含み、前記ラジカル重合開始剤Aがピナコール化合物である、硬化性組成物から得られる硬化膜であり、
前記硬化膜上に無機膜を有する積層体。 - 前記硬化膜と前記無機膜との間に平坦化層を有する、請求項16に記載の積層体。
- 請求項12に記載の硬化膜を有する近赤外線カットフィルタ。
- 請求項12に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
- 請求項12に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
- 請求項12に記載の硬化膜を有する赤外線センサ。
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