JP6975523B2 - アルミニウム合金製バスバーの製造方法及びバスバー - Google Patents
アルミニウム合金製バスバーの製造方法及びバスバー Download PDFInfo
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Description
このバスバー(接続部品)は、導電性に優れている必要がある。また、前記電動輸送機器では設置スペースが限られるため、設置される電気機器の省スペース化や小型化が要望されている。それに伴い、車載機器の接続部品としてのバスバーは、曲げ半径の小さい湾曲部分を有する形状に設計される場合が多い。従って、バスバー用素材は、曲げ加工性にも優れる必要がある。
特許文献2には、前記特許文献1と同じ組成からなり、導電率が45.0%IACS以上で、結晶方位分布関数解析による板表面のCube方位分布密度がランダム方位に対して45以上、板表面における圧延方向の平均結晶粒径が150μm以下であるバスバー用アルミニウム合金板が記載されている。
特許文献1,2において、アルミニウム合金板の曲げ加工性は、アルミニウム合金板の板厚方向、すなわち面外曲げ(板の平面外への曲げ)試験により評価されている。
従って、本発明は、バスバー用アルミニウム合金板を幅曲げしてバスバーを製造する場合に、アルミニウム合金板の曲げ加工性を改善することを目的とする。
[アルミニウム合金板]
アルミニウム合金製バスバーの製造に用いるアルミニウム合金板は、JIS又はAAに規定される6000系アルミニウム合金からなる。6000系アルミニウム合金は、Si及びMgを主要元素として含有するとともに、導電性を低下させる合金元素量が少なく、比較的高い導電率及び高い強度を得やすい。また、幅曲げ(面内曲げ)における曲げ加工性、及び面外曲げ加工性にも優れる。
Si及びMgの好ましい含有量範囲は、それぞれ0.3〜1.5質量%、0.3〜1.0質量%である。SiとMgは溶体化熱処理後の人工時効処理時に時効析出物を形成してアルミニウム合金板の強度を向上させる。また、Si、Mgは高温環境下での転位の移動を阻害することで、アルミニウム合金板の耐クリープ性を向上させる。
バスバーの製造にあたり、従来は、アルミニウム合金板を圧延方向に対し平行(0°方向)にスリットして、所定の板幅のアルミニウム合金条を作製し、このアルミニウム合金条を所定長さに切断して短冊状のバスバー素材とし、このバスバー素材に曲げ加工等の所要の工程を施していた。この場合、バスバーの長手方向がアルミニウム合金板の圧延方向に平行(0°方向)である。
一方、本開示に係るアルミニウム合金製バスバーの製造方法においては、短冊状のバスバー素材を6000系アルミニウム合金板から切り出すとき、前記バスバー素材の長手方向が圧延方向に対し90°の方向になるようにする。このバスバー素材に幅曲げを含む所要の工程を施すことで、アルミニウム合金製バスバーが製造される。製造されたアルミニウム合金製バスバーは、長手方向が6000系アルミニウム合金板の圧延方向に対し90°の方向であり、幅曲げされた曲げ部を長手方向に沿って1箇所以上有する。
なお、本発明において、90°方向とは、正確に90°方向のみでなく、目的上許容される製造誤差の範囲、すなわち略90°方向を含む意味で用いられる。
Si:0.5質量%、Mg:0.5質量%、残部Al及び不可避不純物(うちFe:0.35質量%)の組成を有する6000系アルミニウム合金鋳塊に対し、通常の条件で均質化処理及び熱間圧延を施し、板厚5mmの熱間圧延材とし、続いて冷間圧延(圧延率60%)して、板厚2mmの冷間圧延材を得た。この冷間圧延材に対し、550℃で溶体化処理を施した後、200℃で時効処理を施した。時効処理後の冷間圧延材(アルミニウム合金板)を供試材として、機械的性質、導電率及び曲げ加工性を、以下の要領で求めた。その結果を表1に示す。
前記供試材から長手方向が図1に示す3種類の方向(圧延方向に対し0°、45°、90°の方向)となるように、JIS5号試験片を切り出し、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張強さ、0.2%耐力及び伸びを測定した。なお、クロスヘッド速度は5mm/分で行った。
各6000系アルミニウム合金板から、図1に示すように、3種類の方向(圧延方向に対し0°、45°、90°の方向)に、短冊状の試験片を切り出した。試験片の幅は各方向ごとに4種類(9mm、11mm、13mm、15mm)とし、試験片の長さは300mmとした。これらの試験片に対し、図2に示す工具(ダイス2、ポンチ3)を用いて幅曲げ試験を行った。
幅曲げ後の試験片1の曲げ部6を目視観察し、曲げ外側における割れ発生の有無を調べた。曲げ部6に割れが発生していなかった場合、曲げ加工性良(○)と評価し、前記曲げ部6に割れが発生していた場合、曲げ加工性不良(×)と評価した。
また、限界試験片幅Bと内側曲げ半径R(=5mm)の比は、幅曲げ加工における曲げ加工性の指標となり得るものであるが、従来材に相当するNo.1では1.8であるのに対し、No.3では2.6と顕著に大きい。
2 ダイス
3 ポンチ
Claims (2)
- 6000系アルミニウム合金板から圧延方向に対し90°方向に短冊状の素材を切り出し、前記短冊状の素材を幅曲げすることを特徴とするアルミニウム合金製バスバーの製造方法。
- 6000系アルミニウム合金板からなり、幅曲げされた曲げ部を1箇所以上有するバスバーにおいて、長手方向が圧延方向に対し90°方向であることを特徴とするアルミニウム合金製バスバー。
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