以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、ホイール式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図10は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械としてのホイール式の油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、左,右の前輪2A(片側のみ図示)および左,右の後輪2B(片側のみ図示)を有する自走可能なホイール式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に設けられた上部旋回体4と、上部旋回体4に俯仰の動作が可能に設けられたフロント装置5とを含んで構成されている。この場合、下部走行体2と上部旋回体4は、油圧ショベル1の車体を構成している。
作業装置とも呼ばれるフロント装置5は、土砂の掘削作業等を行うものであり、上部旋回体4の前側に俯仰の動作が可能に取付けられている。フロント装置5は、上部旋回体4の旋回フレーム(車体フレーム)6に回動可能に取付けられたブーム5Aと、ブーム5Aの先端部に回動可能に取付けられたアーム5Bと、アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、ブーム5Aを駆動するブームシリンダ5Dと、アーム5Bを駆動するアームシリンダ5Eと、バケット5Cを駆動するバケットシリンダ5Fとにより構成されている。
また、上部旋回体4は、後述する旋回フレーム6と、カウンタウエイト7と、エンジン8と、熱交換装置11と、キャブ12と、エンジン8および熱交換装置11等の搭載機器類を覆う建屋カバー13とを含んで構成されている。旋回フレーム6は、上部旋回体4の支持構造体(ベースフレーム)となるもので、前端側にフロント装置5が取付けられている。
図3に示すように、旋回フレーム6は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、左縦板6Bの左側に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム6Dと、右縦板6Cの右側に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた右サイドフレーム6Eと、前記底板6Aおよび左縦板6Bから左側に張出し、その先端部に左サイドフレーム6Dを支持する複数本の左張出しビーム6Fと、底板6Aおよび右縦板6Cから右側に張出し、その先端部に右サイドフレーム6Eを支持する複数本の右張出しビーム6Gとにより構成されている。ここで、複数の左張出しビーム6Fのうち旋回フレーム6の後端側に位置する2本の左張出しビーム6F間には、熱交換装置支持台6Hと、後述するバッテリ搭載台15とが設けられている。
カウンタウエイト7は、旋回フレーム6を構成する左,右の縦板6B,6Cの後端に設けられている。このカウンタウエイト7は、フロント装置5との重量バランスをとるためのものである。ここで、油圧ショベル1は、小旋回型の油圧ショベルであるので、カウンタウエイト7は、上部旋回体4の旋回中心に近い位置に配置されている。これに伴い、カウンタウエイト7の後面7Aは、上部旋回体4の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。
エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6の後部に設けられている。図2に示すように、エンジン8は、左,右方向に延在する横置き状態で旋回フレーム6上に搭載されている。エンジン8の長さ方向(左,右方向)の一側となる左側には、外部の空気を冷却風として吸込む冷却ファン8Aが配置されている。一方、エンジン8の右側には、油圧ポンプ9が配置されている。油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、下部走行体2、上部旋回体4、フロント装置5に設けられた各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。
ここで、エンジン8の排気側には、排気管8Bが接続され、排気管8Bの途中部位には、排気ガス後処理装置10が設けられている。排気ガス後処理装置10は、排気ガスに含まれる有害物質を浄化処理すると共に、排気ガスの騒音を低減するための消音機構を備えている。
熱交換装置11は、エンジン8の左側に位置して旋回フレーム6の熱交換装置支持台6H上に設けられている。熱交換装置11は、冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向(エンジン8の長さ方向)の上流側に位置するように冷却ファン8Aと対面して配置され、冷媒を冷却するものである。この熱交換装置11は、例えば外殻を構成する支持枠体11Aと、支持枠体11A内に配設されエンジン冷却水を冷却するラジエータ11B、作動油を冷却するオイルクーラ11C、エンジン8が吸込む空気を冷却するインタクーラ11D等により構成されている。熱交換装置11は、エンジン8、油圧ポンプ9等と一緒に後述の建屋カバー13によって覆われている。
キャブ12は、エンジン8の前側で、かつフロント装置5の左側に設けられている。キャブ12は、オペレータが搭乗するもので、内部にはオペレータが着座する運転席、走行用のハンドル、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。さらに、運転席の近傍には、油圧ショベル1の電気系統のオン,オフ、エンジン8の始動、停止等を操作するキースイッチ(図示せず)が配設されている。
建屋カバー13は、上部旋回体4の後側に位置して旋回フレーム6上に設けられている。建屋カバー13は、カウンタウエイト7と、キャブ12と、エンジン8および熱交換装置11等を含む搭載機器を覆うものである。建屋カバー13は、エンジン8および熱交換装置11等の上方を覆う上面カバー13Aと、上面カバー13Aの左端から熱交換装置11に対面するように立下がる左側面カバー13Bと、上面カバー13Aの右端から立下がる右側面カバー(図示せず)とにより構成されている。
左側面カバー13Bは、旋回フレーム6の左サイドフレーム6D上に配置され、例えば前部を支点にして開閉することができる。これにより、左側面カバー13Bは、後述するバッテリ収容部14を開閉可能に閉塞している。
バッテリ収容部14は、熱交換装置11の左側に位置して旋回フレーム6上に形成されている。即ち、バッテリ収容部14は、熱交換装置11に供給される冷却風の流れ方向に対して熱交換装置11よりも上流側に配置されている。バッテリ収容部14は、キャブ12と、カウンタウエイト7と、熱交換装置11と、建屋カバー13の上面カバー13Aおよび左側面カバー13Bとによって囲まれ、左側面カバー13Bによって開閉可能に閉塞されている。このバッテリ収容部14には、後述する標準バッテリ16または特殊バッテリ19を搭載するためのバッテリ搭載台15が設けられており、以下、バッテリ搭載台15について図3および図4を参照して説明する。
バッテリ搭載台15は、エンジン8の左側に位置して旋回フレーム6上に設けられ、旋回フレーム6の左サイドフレーム6Dと熱交換装置支持台6Hとの間に配設されている。バッテリ搭載台15は、平面視で台形状をなす板体からなり、旋回フレーム6を構成する複数の左張出しビーム6Fのうち後端側に位置する2本の左張出しビーム6Fと左サイドフレーム6Dとに、溶接等の手段を用いて固定されている。バッテリ搭載台15の上面15Aには、後述の標準バッテリ16を搭載するための3個のストッパ15B1,15B2,15B3が設けられている。
3個のストッパ15B1,15B2,15B3は、それぞれバッテリ搭載台15の上面15Aから上方に突出して設けられている。また、バッテリ搭載台15の右端縁部には、ストッパ15B1と左,右方向で対向する位置に、上面15Aから上方に突出する突出板15B4が設けられている。これら各ストッパ15B1,15B2,15B3と突出板15B4とは、バッテリ搭載台15の上面15Aに直接搭載される標準バッテリ16をバッテリ搭載台15に対して位置決めするものである。ストッパ15B1は、バッテリ搭載台15の左端側(左サイドフレーム6D側)に配置され、前,後方向に延びる長方形の突起として形成されている。図8に示すように、ストッパ15B1は、バッテリ搭載台15の上面15Aから突出寸法(突出長さ)tだけ突出している。ストッパ15B2,15B3は、バッテリ搭載台15の後側に配置され、それぞれ左,右方向に延びる長方形の突起として形成されている。これらストッパ15B2,15B3のバッテリ搭載台15の上面15Aからの突出寸法は、ストッパ15B1と等しく設定されている。また、突出板15B4のバッテリ搭載台15の上面15Aからの突出寸法は、ストッパ15B1と同等もしくはストッパ15B1よりも大きく設定されている。これら3個のストッパ15B1,15B2,15B3および突出板15B4は、後述する標準バッテリ16を構成する筐体16A,16Bの下端縁部16A1,16B1が当接することにより、バッテリ搭載台15に対して標準バッテリ16を位置決めする。
バッテリ搭載台15の上面15Aのうち左,右方向の中央部には、一対のJボルト挿通孔15C,15Dが、前,後方向に離間した2箇所に設けられている。Jボルト挿通孔15C,15Dは、バッテリ搭載台15を上,下方向に貫通して前,後方向に延びる長孔として形成され、後述のJボルト16Eを用いて標準バッテリ16をバッテリ搭載台15の上面15Aに締結するときに、Jボルト16Eの先端(下端)に設けられた半円弧状の鉤部(図示せず)が係止されるものである。
また、バッテリ搭載台15には、4個のボルト挿通孔15E1,15E2,15E3,15E4が上,下方向に貫通して穿設されている。これら4個のボルト挿通孔15E1,15E2,15E3,15E4は、後述する特殊バッテリ用ブラケット18をバッテリ搭載台15に固定するボルト18Cが挿通されるものである。
標準バッテリ16は、バッテリ収容部14に設けられたバッテリ搭載台15に取付けられている。標準バッテリ16は、エンジン8および各種の電気機器の電源となるものであり、例えば電荷を蓄える蓄電装置として一般的な12Vの鉛蓄電池が用いられる。標準バッテリ16は、内部に電解液と鉛製の極板(いずれも図示せず)とを収容した直方体状をなす2個の筐体16A,16Bを有している。
標準バッテリ16の2個の筐体16A,16Bは、Jボルト挿通孔15C,15Dを挟んで左,右方向に並んだ状態でバッテリ搭載台15の上面15Aに搭載されている。この場合、左側の筐体16Aの下端縁部16A1は、バッテリ搭載台15の上面15Aに突設されたストッパ15B1,15B2に当接し、右側の筐体16Bの下端縁部16B1は、バッテリ搭載台15の上面15Aに突設されたストッパ15B3および突出板15B4に当接する。これにより、標準バッテリ16の2個の筐体16A,16Bが、バッテリ搭載台15に対して水平方向に位置決めされている。また、左,右の筐体16A,16Bの上端間には押え板16Cが架け渡され、押え板16Cよりも上側には、左,右の筐体16A,16Bを上方から覆う筐体カバー16Dが配置されている。
2本のJボルト16Eは、左,右の筐体16A,16B間に配置されている。2本のJボルト16Eの下端には半円弧状に屈曲した鉤部(図示せず)が設けられ、上端にはねじ部16E1が形成されている。2本のJボルト16Eの鉤部は、それぞれバッテリ搭載台15に設けられた2組のJボルト挿通孔15C,15Dに係止され、2本のJボルト16Eのねじ部16E1は、それぞれ押え板16Cおよび筐体カバー16Dを貫通して筐体カバー16D上に突出している。そして、2本のJボルト16Eのねじ部16E1にナット16Fを螺着することにより、標準バッテリ16の左,右の筐体16A,16Bは、筐体カバー16Dによって上方から覆われた状態でバッテリ搭載台15に固定されている。
ここで、本実施の形態では、バッテリ搭載台15に後述するスペーサ17および特殊バッテリ用ブラケット18を取付けることにより、標準バッテリ16とは形状が異なる特殊バッテリ19が搭載される構成となっており、以下、スペーサ17および特殊バッテリ用ブラケット18について説明する。
2本のスペーサ17は、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aに左,右方向に離間して設けられている(図8、図10参照)。各スペーサ17は、特殊バッテリ用ブラケット18をバッテリ搭載台15の上面15Aに取付けたときに、バッテリ搭載台15の上面15Aと特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aとの間に配置されるものである。なお、本実施の形態では、2本のスペーサ17が特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aに一体的に固着された場合を例示している。
図8および図10に示すように、2本のスペーサ17は、前,後方向に延びる長方形の板体として形成され、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aの左,右方向の両側に溶接、接着等の手段を用いて固着されている。2本のスペーサ17は、特殊バッテリ用ブラケット18がバッテリ搭載台15の上面15Aに搭載されたときに上面15Aに当接し、この上面15Aと特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aとの間に空間Sを形成するものである。
ここで、図8に示すように、空間Sの高さ寸法、即ち、バッテリ搭載台15の上面15Aからのスペーサ17の突出寸法(高さ寸法)Tは、バッテリ搭載台15に設けられた3個のストッパ15B1〜15B3の突出寸法(突出長さ)tよりも大きく設定されている(T>t)。従って、特殊バッテリ用ブラケット18をバッテリ搭載台15の上面15Aに取付けたときに、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aが各ストッパ15B1〜15B3に干渉するのを、各スペーサ17によって回避することができる構成となっている。
2個の特殊バッテリ用ブラケット18は、標準バッテリ16とは形状が異なる特殊バッテリ19を搭載する場合に、スペーサ17を介してバッテリ搭載台15の上面15A側に左,右方向に並んで設けられる。即ち、2個の特殊バッテリ用ブラケット18は、スペーサ17を介することで、バッテリ搭載台15の上面15Aとの間に空間Sを形成する構成となっている。2個の特殊バッテリ用ブラケット18は、前,後方向に延びる長方形の板体として形成され、互いに同一形状を有している。図9に示すように、特殊バッテリ用ブラケット18には、対角線上に配置された2個の角部付近に位置して2個のボルト挿通孔18Bが穿設されている。これら2個のボルト挿通孔18Bは、特殊バッテリ用ブラケット18と、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aに固着されたスペーサ17とを、上,下方向に貫通している。
ここで、2個の特殊バッテリ用ブラケット18のうち左側の特殊バッテリ用ブラケット18に形成された2個のボルト挿通孔18Bは、バッテリ搭載台15に形成された2個のボルト挿通孔15E1,15E2に対応している。一方、右側の特殊バッテリ用ブラケット18に形成された2個のボルト挿通孔18Bは、バッテリ搭載台15に形成された2個のボルト挿通孔15E3,15E4に対応している。従って、2個の特殊バッテリ用ブラケット18の各ボルト挿通孔18Bと、バッテリ搭載台15の各ボルト挿通孔15E1,15E2,15E3,15E4とにそれぞれボルト18Cを挿通し、バッテリ搭載台15の下面15F側で各ボルト18Cにナット18Dを螺着することにより、バッテリ搭載台15の上面側に2個の特殊バッテリ用ブラケット18が固定される。
特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eの前端および後端には、ボルト挿通孔18Bとは左,右方向の反対側に位置して2本のストッパ18Fが設けられている。2本のストッパ18Fは、左,右方向に延びる円柱状の棒材からなり、特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eに溶接等の手段を用いて固着されている。これら各ストッパ18Fは、特殊バッテリ用ブラケット18の上面18E側に後述の特殊バッテリ19を取付けたときに、特殊バッテリ19を構成する筐体19A,19Bの下端縁部19A3,19B3が当接するものである。
2個の特殊バッテリ用ブラケット18のうち左側の特殊バッテリ用ブラケット18の左端縁部には、上面18Eから上方に向けて折曲げられた2枚の左当接板18Gが設けられている。一方、2個の特殊バッテリ用ブラケット18のうち右側の特殊バッテリ用ブラケット18の右端縁部には、上面18Eから上方に向けて折曲げられた2枚の右当接板18Hが設けられている。図6に示すように、左側の特殊バッテリ用ブラケット18に設けられた左当接板18Gと右側の特殊バッテリ用ブラケット18に設けられた右当接板18Hとは、左,右方向で対面している。これら左,右の当接板18G,18Hは、特殊バッテリ用ブラケット18の上面18E側に特殊バッテリ19を取付けたときに、特殊バッテリ19を構成する後述の筐体19A,19Bの下端縁部19A3,19B3が当接するものである。
このように、左側の特殊バッテリ用ブラケット18に設けられたストッパ18Fおよび左当接板18Gと、右側の特殊バッテリ用ブラケット18に設けられたストッパ18Fおよび右当接板18Hとに、特殊バッテリ19を構成する筐体19A,19Bの下端縁部19A3,19B3がそれぞれ当接することにより、各特殊バッテリ用ブラケット18に対して特殊バッテリ19が水平方向に位置決めされる構成となっている。
次に、特殊バッテリ19は、標準バッテリ16に代えてバッテリ搭載台15に搭載されるものである。特殊バッテリ19は、標準バッテリ16と同様に、エンジン8および各種の電気機器の電源となるものであり、例えば寒冷地でのエンジン8の始動性を向上させるものである。特殊バッテリ19は、内部に電解液と極板(いずれも図示せず)とを収容した2個の筐体19A,19Bを有している。各筐体19A,19Bの上側には、前記極板に接続されたマイナス端子19A1,19B1とプラス端子19A2,19B2とが設けられている。
特殊バッテリ19の2個の筐体19A,19Bは、バッテリ搭載台15上に取付けられた左,右の特殊バッテリ用ブラケット18上に搭載されている。この場合、左側の筐体19Aの下端縁部19A3は、左側の特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eに設けられたストッパ18Fおよび左当接板18Gに当接し、右側の筐体19Bの下端縁部19B3は、右側の特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eに設けられたストッパ18Fおよび右当接板18Hに当接する。これにより、特殊バッテリ19の2個の筐体19A,19Bが、左,右の特殊バッテリ用ブラケット18に対して水平方向に位置決めされている。また、左,右の筐体19A,19Bの上端間には押え板19Cが架け渡されている。
左,右の筐体19A,19B間には、2本のJボルト16Eが配置されている。2本のJボルト16Eの鉤部(図示せず)は、それぞれバッテリ搭載台15に設けられた2組のJボルト挿通孔15C,15Dに係止され、2本のJボルト16Eのねじ部16E1は、それぞれ押え板19C上に突出している。そして、2本のJボルト16Eのねじ部16E1にナット16Fを螺着することにより、特殊バッテリ19の左,右の筐体19A,19Bは、左,右の特殊バッテリ用ブラケット18にそれぞれ固定されている。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、バッテリ搭載台15に標準バッテリ16を取付ける作業について説明する。
作業者は、旋回フレーム6上に設けられたバッテリ搭載台15上に標準バッテリ16を載置する。このとき、標準バッテリ16を構成する2個の筐体16A,16Bは、Jボルト挿通孔15C,15Dを挟んで左,右方向に並んだ状態でバッテリ搭載台15の上面15Aに搭載される。また、左側の筐体16Aの下端縁部16A1は、バッテリ搭載台15の上面15Aに突設されたストッパ15B1,15B2に当接し、右側の筐体16Bの下端縁部16B1は、バッテリ搭載台15の上面15Aに突設されたストッパ15B3および突出板15B4に当接させる。これにより、標準バッテリ16の2個の筐体16A,16Bが、バッテリ搭載台15に対して水平方向に位置決めされる。
そして、バッテリ搭載台15に設けられた2組のJボルト挿通孔15C,15Dに対し、それぞれJボルト16Eの鉤部(図示せず)を引掛け、これら2本のJボルト16Eを、左,右の筐体16A,16B間に直立した状態に保持する。この状態で、2本のJボルト16Eの上端側に、それぞれ押え板16Cおよび筐体カバー16Dを挿通し、筐体カバー16Dの上方に突出した2本のJボルト16Eのねじ部16E1にナット16Fを螺着する。これにより、2本のJボルト16Eの鉤部は、2組のJボルト挿通孔15C,15Dに係止され、左,右の筐体16A,16Bは、押え板16Cとバッテリ搭載台15との間に挟持される。このようにして、標準バッテリ16は、筐体カバー16Dによって上方から覆われた状態で、バッテリ搭載台15上に固定される。
次に、バッテリ搭載台15に対し、標準バッテリ16に代えて特殊バッテリ19を取付ける作業について説明する。
まず、作業者は、キャブ12内のキースイッチをオフに切換える。次に、建屋カバー13の左側面カバー13Bを開き、スイッチ切換レバー等を操作して標準バッテリ16のマイナス端子(図示せず)と旋回フレーム6との間を電気的に遮断する。これにより、標準バッテリ16の電源を完全に切ることができる。
次に、作業者は、標準バッテリ16をバッテリ搭載台15に固定するためのJボルト16Eからナット16Fを取外す。そして、筐体カバー16D、押え板16C、左,右の筐体16A,16Bをバッテリ搭載台15から取外す。これにより、標準バッテリ16をバッテリ搭載台15から取外すことができる。
次に、スペーサ17を介してバッテリ搭載台15の上面15A側に2個の特殊バッテリ用ブラケット18を左,右方向に並んで配設する。このとき、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aに一体的に固着されているスペーサ17は、バッテリ搭載台15の上面15Aと特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aとの間に配置される。
この場合、2個の特殊バッテリ用ブラケット18のうち左側の特殊バッテリ用ブラケット18に形成された2個のボルト挿通孔18Bは、バッテリ搭載台15に形成された2個のボルト挿通孔15E1,15E2に対応する。一方、右側の特殊バッテリ用ブラケット18に形成された2個のボルト挿通孔18Bは、バッテリ搭載台15に形成された2個のボルト挿通孔15E3,15E4に対応する。
従って、2個の特殊バッテリ用ブラケット18の各ボルト挿通孔18Bと、バッテリ搭載台15の各ボルト挿通孔15E1,15E2,15E3,15E4とにそれぞれボルト18Cを上方から貫通し、バッテリ搭載台15の下面15F側で各ボルト18Cにナット18Dを螺着することにより、バッテリ搭載台15の上面15A側に2個の特殊バッテリ用ブラケット18を固定することができる。
次に、特殊バッテリ用ブラケット18上に特殊バッテリ19を載置する。即ち、特殊バッテリ19の2個の筐体19A,19Bを、バッテリ搭載台15上に取付けられた左,右の特殊バッテリ用ブラケット18上に搭載する。この場合、左側の筐体19Aの下端縁部19A3は、左側の特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eに設けられたストッパ18Fおよび左当接板18Gに当接する。右側の筐体19Bの下端縁部19B3は、右側の特殊バッテリ用ブラケット18の上面18Eに設けられたストッパ18Fおよび右当接板18Hに当接する。これにより、特殊バッテリ19の2個の筐体19A,19Bを、左,右の特殊バッテリ用ブラケット18に対して水平方向に位置決めすることができる。
この状態で、バッテリ搭載台15に設けられた2組のJボルト挿通孔15C,15Dに対し、それぞれJボルト16Eの鉤部を引掛け、これら2本のJボルト16Eを、左,右の筐体16A,16B間に直立した状態に保持する。この状態で、2本のJボルト16Eの上端側にそれぞれ押え板19Cを挿通し、押え板19Cの上方に突出した2本のJボルト16Eのねじ部16E1にナット16Fを螺着する。これにより、左,右の筐体19A,19Bは、押え板19Cとバッテリ搭載台15との間に挟持される。このようにして、特殊バッテリ19を、標準バッテリ16に代えてバッテリ搭載台15上に固定することができる。
バッテリ搭載台15上に特殊バッテリ19を取付けた後には、作業者は、スイッチ切換レバー等を操作して、特殊バッテリ19のマイナス端子19A1,19B1と旋回フレーム6との間を電気的に伝導させる。そして、キャブ12内のキースイッチをオンに切換え、特殊バッテリ19の電源をオンにする。これにより、標準バッテリ16に代わる特殊バッテリ19を用いて寒冷地等でのエンジン8の始動性を向上させることができる。
かくして、本実施の形態によれば、バッテリ搭載台15の上面15Aに、ストッパ15B1,15B2,15B3の突出寸法tよりも大きな突出寸法Tをもって突出するスペーサ17と、スペーサ17を介してバッテリ搭載台15の上面15A側に配置され、バッテリ搭載台15の上面15Aとの間に空間Sを形成する特殊バッテリ用ブラケット18とを設ける構成としている。これにより、バッテリ搭載台15の上面15Aに、標準バッテリ16を位置決めするためのストッパ15B1,15B2,15B3が設けられている場合でも、特殊バッテリ用ブラケット18をスペーサ17の突出寸法Tだけバッテリ搭載台15の上面15Aよりも上方に配置することができる。従って、ストッパ15B1,15B2,15B3に干渉することなく、バッテリ搭載台15の上面15Aに特殊バッテリ用ブラケット18を取付けることができる。
これにより、特殊バッテリ19は、ストッパ15B1,15B2,15B3との干渉を避けた状態で、特殊バッテリ用ブラケット18を介してバッテリ搭載台15Dに安定して取付けることができる。この結果、例えば寒冷地や熱帯地域でのエンジン8の始動性に優れた特殊バッテリ19を、標準バッテリ16に代えてバッテリ搭載台15に取付けることができ、外気温等の油圧ショベル1の作業環境に関わらず、エンジン8の良好な始動性を確保することができる。
次に、図11は、本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、バッテリ搭載台と特殊バッテリ用ブラケットとの間に形成された空間にヒータが設けられていることにある。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図中、ヒータ21は、バッテリ搭載台15の上面15Aと各特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aとの間に形成された空間S内に設けられている。ヒータ21は、例えばニクロム線等の電熱線21Aと、電熱線21Aに接続された抵抗素子21Bとからなり、バッテリ等のヒータ電源21Cに接続されている。ヒータ21は、ヒータ電源21Cをオンに切替えることで流れる電流および抵抗素子21Bの抵抗による発熱を利用して、特殊バッテリ19を保温する。
第2の実施の形態は、上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、本実施の形態によれば、スペーサ17によってバッテリ搭載台15と各特殊バッテリ用ブラケット18との間に形成された空間S内にヒータ21を設ける構成としている。これにより、寒冷地で低温時に特殊バッテリ19を用いてエンジン8を始動させるときには、空間S内に設けられたヒータ21による発熱を利用して特殊バッテリ19を暖めることにより、寒冷地でのエンジン8の始動性を向上させることができる。
次に、図12は、本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、バッテリ搭載台と特殊バッテリ用ブラケットとの間に形成された空間にクーラが設けられていることにある。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図中、クーラ31は、バッテリ搭載台15の上面15Aと各特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aとの間に形成された空間S内に設けられている。クーラ31は、例えば螺旋状に屈曲した冷却パイプ31Aと、この冷却パイプ31Aに接続された接続パイプ31Bとを有し、接続パイプ31Bの途中には冷却水等の冷媒を循環させるポンプ31Cが接続されている。クーラ31は、ポンプ31Cによって冷却パイプ31Aおよび接続パイプ31Bに冷却水等の冷媒を循環させることで、特殊バッテリ19を冷却する。
第3の実施の形態は、上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、本実施の形態によれば、スペーサ17によってバッテリ搭載台15と各特殊バッテリ用ブラケット18との間に形成された空間S内にクーラ31を設ける構成としている。これにより、例えば熱帯地域において高温時に特殊バッテリ19を用いてエンジン8を始動させるときには、空間S内に設けられたクーラ31によって特殊バッテリ19を冷却することにより、熱帯地域でのエンジン8の始動性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、熱交換装置11がエンジン8の左側に設けられ、バッテリ搭載台15が熱交換装置11よりも左側に設けられる場合を例示した。しかし、本発明はこれ限らず、例えば熱交換装置11をエンジン8の右側に設け、熱交換装置11よりも右側にバッテリ搭載台15を設けてもよい。この場合、標準バッテリ16または特殊バッテリ19は、エンジン8(熱交換装置11)の右側に搭載される。
また、実施の形態では、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aに、スペーサ17を溶接、接着等の手段を用いて一体的に固着した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば切削加工等によって特殊バッテリ用ブラケットの下面にスペーサを一体形成する構成としてもよい。また、特殊バッテリ用ブラケット18の下面18Aにスペーサを固着することなく、特殊バッテリ用ブラケット18とは別部材となったスペーサを形成し、このスペーサを特殊バッテリ用ブラケット18とバッテリ搭載台15との間に挟込む構成としてもよい。
さらに、本実施の形態では、建設機械としてホイール式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、クローラ式の油圧ショベル、油圧クレーン等、上部旋回体と下部走行体とを備えた各種の建設機械に広く適用することができる。