以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、電源装置の一例として、蓄電装置を示す。蓄電装置は、例えば、外部から供給される電力を充電することができる。また、蓄電装置は、充電した電力を外部に放電することができる。電源装置は、蓄電装置に限られない。電源装置は、外部に電力を供給できる任意の装置であってもよく、例えば、太陽電池、風力発電装置、水力発電装置及び燃料電池等の電源装置であってもよい。
図1は、本開示の一実施形態に係る電源システム1の一例を示す概略構成図である。電源システム1には、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20A、20B、及び20C等の装置が含まれる。電源システム1は、電力系統50に接続され、電力系統50に接続された負荷60等に電力を供給する。電源システム1は、売電可能な電力等を電力系統50に供給してもよい。負荷60は、例えば、電力を消費する任意の電気機器等である。以下、蓄電装置20A、20B、及び20Cを特に区別しない場合、単に、蓄電装置20と総称する。なお、図1において、説明の簡便のため、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20のそれぞれから電力を供給する際の電力線の図示は省略する。
電源システム1において、蓄電装置20は、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20等の、少なくとも1つの他の装置とともに共通の通信線30に通信可能に接続される。図1において、共通の通信線30は実線で示される。共通の通信線30は、例えば、バス型に構成されてもよい。以降、共通の通信線30を共通線30ともいう。電源システム1に含まれる各装置は、共通線30上の各ノード31A、31B、31C、及び31Dに接続される。以下、ノード31A、31B、31C、及び31Dを特に区別しない場合、単に、ノード31と総称する。図1において、ノード31は黒丸で示される。本明細書において、共通線30に設けられたノード31のうち、共通線30上でお互いに最も離れた場所に位置するノード31をそれぞれ共通線30の端部という。図1において、電源システム1に含まれる装置のうち、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20Cが、それぞれ共通線30の端部であるノード31A及び31Dに接続されている。
更に、電源システム1に含まれる装置は、共通線30の隣り合うノード31に接続された他の装置と、装置同士を1対1で通信可能に接続するための個別の通信線40により接続される。図1において、個別の通信線40は破線で示される。以降、個別の通信線40を個別線40ともいう。図1において、蓄電装置20Aは、ノード31Bと隣り合うノード31Aに接続されたパワーコンディショナ10、及びノード31Bと隣り合うノード31Cに接続された蓄電装置20Bのそれぞれと、個別線40で接続されている。このため、図1において、電源システム1に含まれる装置は、3本の個別線40により、パワーコンディショナ10、蓄電装置20A、20B、及び20Cの順に、直列に接続されている。共通線30及び個別線40は、信号の送信方向が同一又は異なる複数の通信線を含んでもよい。複数の通信線は、LANケーブル等のように1つのケーブル状にまとめられてもよい。本明細書において、共通線30及び個別線40は有線であるものとして説明する。しかしながら、共通線30及び個別線40は、それぞれ有線、無線又はその両方であってもよい。
パワーコンディショナ10及び蓄電装置20は、用途に応じて、共通線30又は個別線40を介して互いに通信を行う。パワーコンディショナ10及び蓄電装置20は、主に共通線30を介して他の装置とCAN(Controller Area Network)通信等の通信を行ってもよい。一方で、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20は、共通線30の設定中など、共通線30で通信ができない場合に、個別線40を介して通信を行ってもよい。例えば、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20は、共通線30における通信に向けた処理のために、個別線40を介して通信を行ってもよい。共通線30における通信に向けた処理には、共通線30の端部に終端抵抗を接続する処理、或いは共通線30での通信に用いる識別子(ID、identifier)をそれぞれの装置に付与する処理等が含まれてもよい。
図1では、一例として、1台のパワーコンディショナ10と、3台の蓄電装置20A、20B、及び20Cを含む電源システム1が図示されているが、電源システム1に含まれる装置の構成及び数は任意に定められてもよい。例えば、電源システム1に求められる蓄電容量に応じて、蓄電装置20は、増設又は撤去されてもよい。
パワーコンディショナ10は、電力制御装置(PCS、Power Conditioning System)ともいう。パワーコンディショナ10は、蓄電装置20から出力された直流電力を交流電力に変換して電源システム1の外部に供給し、或いは、電源システム1の外部から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電装置20に充電してもよい。更に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20による充電及び放電を制御し、蓄電装置20の充電状態及び動作状態等の充放電の制御に必要な情報を取得してもよい。パワーコンディショナ10は、蓄電装置20の制御及び情報の取得等に関する信号を、前述した共通線30を介して送受信してもよい。
蓄電装置20は、電力系統50に接続された負荷60等に電力を供給する。蓄電装置20は、蓄電装置20自身に充電された電力を電力系統50及び負荷60を含む、電源システム1の外部に供給する。以下、蓄電装置20自身を自装置ともいう。また、蓄電装置20は、電源システム1の外部から供給された電力を充電する。蓄電装置20は、パワーコンディショナ10から共通線30を介して受信した信号に基づき、電力の充電及び放電、或いは蓄電装置20に関する情報を含む信号の送信等を行ってもよい。更に、蓄電装置20は、共通線30を介して、他の蓄電装置20に対して自装置の充電状態及び動作状態等に関する情報を含む信号の送信等を行ってもよい。
図2に、本開示の一実施形態に係る電源装置の一例である蓄電装置20の概略構成を示す。蓄電装置20は、制御部21、蓄電部22、通信部23、記憶部24、報知部25、入力部26、終端抵抗27、及びスイッチ28等の構成要素を備えてもよい。説明のため、図2において左側を上位と呼び、右側を下位と呼ぶ。例えば、図2において、蓄電装置20は、他の装置のうち第1の装置70Aの下位に設置されている。また、蓄電装置20は、他の装置のうち第2の装置70Bの上位に設置されている。
制御部21は、詳細を後述するように、蓄電装置20の各構成要素を制御するための処理を行う1つ以上のプロセッサである。制御部21は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサで構成されてもよい。
制御部21は、蓄電装置20の各構成要素と有線、無線又はその両方で接続され、これらの構成要素をはじめとして蓄電装置20の全体又は一部を制御及び管理する。制御部21は、記憶部24に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、蓄電装置20の各構成要素に係る種々の機能を実現する。制御部21が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。
蓄電部22は、制御部21の制御に基づき、電力の充電及び放電を行う。蓄電部22は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、又はこれらの組み合わせ等の任意の蓄電池を含んでもよい。蓄電部22は、1つ以上のセルで構成されてもよい。蓄電部22による電力の充電及び放電は、セルの単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。或いは、蓄電部22による電力の充電及び放電は、複数のセルを接続したモジュールの単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。蓄電部22を構成するセル及びモジュールの数、若しくはモジュールに含まれるセルの数は、蓄電装置20の用途等に応じて、任意に定められてもよい。
通信部23は、制御部21の制御に基づき、他の装置と通信を行う。例えば、通信部23は、電源システム1に含まれる、第1の装置70A、第2の装置70B、及び第3の装置70Cの通信部とともに共通線30に接続される。以下、共通線30に共に接続される第1の装置70A、第2の装置70B、及び第3の装置70Cを特に区別しない場合、単に、他の装置70と総称する。通信部23は、共通線30を介して、他の装置70からの信号を受信し、他の装置70へ信号を送信する。共通線30に接続される他の装置70には、例えば、パワーコンディショナ10、蓄電装置20、又は他の電源装置等が含まれてもよい。蓄電装置20は、共通線30を介して、信号を他の装置70から受信し、受信した信号に基づき動作してもよい。或いは、蓄電装置20は、共通線30を介して、充電量及び故障状況等の蓄電装置20に関する情報を含む信号を他の装置70に送信してもよい。
更に、共通線30には、終端抵抗27及びスイッチ28が接続されていてもよい。スイッチ28は、終端抵抗27の共通線30との接続を制御可能な任意の機器であってもよい。制御部21によりスイッチ28が制御されることにより、終端抵抗27は、共通線30に接続され、或いは共通線30から切り離される。終端抵抗27は、蓄電装置20が共通線30の端部に位置する場合に、共通線30に接続される。これにより、共通線30の端部における信号の不要な反射を防ぐことができ、共通線30を介して送信される信号の品質が向上する。
また、通信部23は、他の装置70のうち、共通線30の隣り合うノード31に接続された第1の装置70A及び第2の装置70Bのそれぞれと個別線40A及び40Bにより接続される。以下、個別線40A及び40Bを特に区別しない場合、単に、個別線40と総称する。これにより、共通線30に接続される蓄電装置20及び他の装置70のそれぞれは、個別線40により直列に接続される。通信部23は、個別線40を介して、第1の装置70A及び第2の装置70Bからの信号を受信し、第1の装置70A及び第2の装置70Bへの信号を送信する。従って、蓄電装置20は、共通線30で通信ができない場合であっても、個別線40を介して、第1の装置70A及び第2の装置70Bと通信することができる。このため、蓄電装置20は、個別線40を介して、他の装置70と通信して、共通線30における通信を可能にするために、共通線30の端部に接続された装置の終端抵抗27を共通線30に接続してもよい。更に、蓄電装置20は、個別線40を介して、他の装置70と通信して、共通線30における通信で用いるIDを作成してもよい。
通信部23は、更に、前述した個別線40A、40B、及び共通線30にそれぞれ接続される、第1の通信部23A、第2の通信部23B、及び第3の通信部23Cを含んでもよい。図2において、第1の通信部23Aは、個別線40Aに接続され、第1の装置70Aと通信を行う。第2の通信部23Bは、個別線40Bに接続され、第2の装置70Bと通信を行う。第3の通信部23Cは、共通線30に接続され、蓄電装置20と共に共通線30に接続された他の装置70と通信を行う。第1の通信部23A、第2の通信部23B、及び第3の通信部23Cは、1つの通信部で構成されてもよい。
記憶部24は、蓄電装置20の各機能を制御するための処理、処理に用いられる情報及びプログラム等を記憶する。記憶部24は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であってもよい。記憶部24は、例えば主記憶装置又は補助記憶装置として機能してもよい。記憶部24は、制御部21に含まれるキャッシュメモリ等であってもよい。また、記憶部24は、揮発性の記憶装置であってもよく、不揮発性の記憶装置であってもよい。本実施形態では、記憶部24は、例えば、詳細を後述するように、共通線30における通信に用いられるID等を記憶する。
報知部25は、音、振動、光、及び画像等で情報を報知する。報知部25は、例えばスピーカ、振動子、ランプ、及び表示デバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等とすることができる。報知部25は、蓄電部22の充電量又は劣化度合い、記憶部24に記憶されたID、終端抵抗27の接続の有無、及び自装置の故障の有無等の少なくとも1つの情報を報知してもよい。
入力部26は、ユーザからの入力操作を受け付ける。入力部26は、例えば電源ボタン等の物理キー、報知部25の表示デバイスと一体的に設けられたタッチパネル等の入力デバイス、及びマウス等のポインティングデバイス等の少なくとも1つを含む。入力部26は、ユーザによって操作されると、そのユーザ操作を電子情報として制御部21に送信する。入力部26は、例えば、後述する、共通線30に接続される予定の装置の数を指定するユーザ操作を受け付ける。
(終端抵抗の接続及びIDの設定)
以下に、制御部21による蓄電装置20の各構成要素の制御について説明する。まず、共通線30を使用可能にするために実施される、制御部21による制御を説明する。制御部21は、通信部23から、個別線40を介して、他の装置70に、装置の存在を通知する信号を送信する。以下、装置の存在を通知する信号を、存在通知信号ともいう。例えば、存在通知信号は、図2において、下位の装置から上位の装置に送信されてもよい。かかる場合、制御部21は、第1の通信部23Aから、個別線40Aを介して、第1の装置70Aに、存在通知信号を送信する。一方で、制御部21は、第2の装置70Bから、個別線40Bを介して、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信する。存在通知信号は、任意のタイミングで送信されてもよい。例えば、存在通知信号は、第1の通信部23Aに個別線40Aが接続されたとき、或いは入力部26において存在通知信号を送信するためのユーザ操作を受け付けたときに、第1の通信部23Aから送信されてもよい。
存在通知信号は、第1の装置70Aから、個別線40Aを介して、装置の存在の通知を要求する信号を受信した場合に、第1の装置70Aに対して個別線40Aを介して送信されてもよい。以下、装置の存在の通知を要求する信号を、要求信号ともいう。かかる場合、制御部21は、第1の装置70Aから、個別線40Aを介して、第1の通信部23Aにて、要求信号を受信した場合に、第1の通信部23Aから、個別線40Aを介して、第1の装置70Aに、存在通知信号を送信する。更に、制御部21は、第1の通信部23Aにて、要求信号を受信すると、第1の通信部23Aから、存在通知信号を送信するとともに、第2の通信部23Bから、個別線40Bを介して、第2の装置70Bに、要求信号を送信してもよい。
これにより、電源システム1において、個別線40で直列に接続された蓄電装置20を含む複数の装置70は、個別線40の接続に沿って、一定の方向に存在通知信号を順次送信することができる。存在通知信号が送信される方向は、前述した方向に限られず、その反対方向、つまり、図2の上位の装置から下位の装置に送信されてもよい。
存在通知信号及び要求信号は、任意の信号であってよい。例えば、存在通知信号及び要求信号は、電圧のハイ又はローによるデジタル信号であってもよい。或いは、存在通知信号及び要求信号はどちらも区別されず、要求信号として存在通知信号が送信されてもよい。例えば、制御部21は、第1の通信部23Aにて、第1の装置70Aからの存在通知信号を受信した場合に、第1の通信部23Aから、第1の装置70Aに自装置の存在通知信号を送信してもよい。また、制御部21は、第1の装置70Aへの存在通知信号の送信とともに、第2の通信部23Bから、第2の装置70Bに自装置の存在通知信号を送信してもよい。
制御部21は、第2の通信部23Bにて、第2の装置70Bから存在通知信号を受信したか否かに基づき、蓄電装置20が共通線30の端部に接続されているか否かを判定する。具体的には、制御部21は、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信しない場合に、第2の装置70Bが存在していない、すなわち蓄電装置20が共通線30の端部に接続されていると判定してもよい。本明細書において、共通線30の「端部に接続されている」とは、共通線30に設けられたノード31のうち、そのノード31よりも端部側に装置が接続されたノード31が存在しないことを意味する。制御部21は、自装置が共通線30の端部に接続されているか否かの判定の結果を記憶部24に記憶してもよい。第2の装置70Bから存在通知信号を受信したか否かの判定は、種々の方法で行われてよい。例えば、制御部21は、第2の装置70Bへ要求信号、或いは自装置の存在通知信号を送信してから、第2の装置70Bから存在通知信号を受信せずに所定期間経過した場合に、第2の装置70Bから存在通知信号を受信しないと判定してもよい。
制御部21は、蓄電装置20が共通線30の端部に接続されていると判定された場合に、スイッチ28を制御して、終端抵抗27を共通線30に接続する。かかる場合、制御部21は、自装置の終端抵抗27を共通線30に接続したことを記憶部24に記憶してもよい。これらの処理を、電源システム1に含まれる複数の装置がそれぞれ実施することによって、電源システム1の共通線30の1つ又は両方の端部に終端抵抗27が接続され得る。
制御部21は、終端抵抗27を共通線30に接続した場合に、第1の通信部23Aから、個別線40Aを介して、第1の装置70Aに、終端抵抗が接続されたことを示す終端抵抗接続信号を送信してもよい。更に、制御部21は、第2の通信部23Bにて終端抵抗接続信号を受信した場合に、第1の通信部23Aから終端抵抗接続信号を送信してもよい。これにより、電源システム1に含まれる装置において、終端抵抗27が共通線30に接続されたことが共有され得る。
次に、制御部21は、第1の装置70Aから、個別線40Aを介して、第1の通信部23Aにて、第1の装置70AのIDを含む信号を受信する。制御部21は、第1の装置70AのIDに基づき、自装置のIDを算出する。更に、制御部21は、第2の通信部23Bから、個別線40Bを介して、第2の装置70Bに、自装置のIDを含む信号を送信する。以下、装置のIDを含む信号を、ID信号ともいう。ID信号は、上位の装置から下位の装置に送信されてもよい。ID信号は、任意の信号であってよい。例えば、ID信号は、複数の信号線を用いた電圧のハイ又はローの組み合わせによるデジタル信号であってもよい。また、ID信号は、振幅変調、周波数変調、又は位相変調等を用いたアナログ信号、或いはPWM(Pulse Width Modulation)を用いたパルス信号等であってもよい。
これにより、電源システム1において、個別線40で直列に接続された蓄電装置20を含む複数の装置70は、個別線40の接続に沿って、一定の方向にID信号を順次送信することができる。ID信号が送信される方向は、前述した方向に限られず、その反対方向、つまり、図2の下位の装置から上位の装置に送信されてもよい。また、ID信号と存在通知信号とは反対方向に送信されてもよく、或いは、同じ方向に送信されてもよい。
制御部21は、ID信号を送信する際に、自装置の終端抵抗27が共通線30に接続されているか否かを判定してもよい。制御部21は、自装置の終端抵抗27が共通線30に接続されている場合に、第2の装置70Bが存在していない、すなわち蓄電装置20が共通線30の端部に接続されていると判定してもよい。かかる場合に、制御部21は、第2の通信部23Bから、第2の装置70Bに対する、自装置のIDを含む信号を送信しなくてもよい。
制御部21は、受信したID信号に含まれる第1の装置70AのIDに基づき、任意の方法で蓄電装置20のIDを算出してもよい。例えば、IDが数値情報である場合、制御部21は、受信した第1の装置70AのIDに所定の数値を加算或いは減算することで、蓄電装置20のIDを算出してもよい。IDを算出する方法は、電源システム1に含まれる全ての装置で同一とされてもよい。これによって、制御部21は、自装置と他の装置70とが接続された共通線30のノードの位置等に基づいて、自装置のIDから他の装置70のIDを算出することができる。
蓄電装置20のIDは、任意の用途に用いられてもよい。例えば、蓄電装置20のIDは、共通線30に接続される他の装置70と通信を行うために用いられてもよい。例えば、共通線30においてCAN通信が行われる場合、IDはCAN通信で用いられる11ビット又は29ビットのIDであってもよい。更に、蓄電装置20のIDには、複数のIDが含まれてもよい。例えば、蓄電装置20のIDには、自装置からの送信先を指定しない信号であることを示すID等が含まれてもよい。或いは、蓄電装置20のIDには、自装置から他の装置70のうち特定の装置への信号であることを示すID、及び特定の装置から自装置への信号であることを示すIDが含まれてもよい。蓄電装置20のIDに複数のIDが含まれる場合、前述したID信号には、複数のIDのうち少なくとも1つのIDが含まれ得る。
制御部21は、算出された蓄電装置20のIDを記憶部24に記憶してもよい。制御部21は、算出された蓄電装置20のIDそのものを記憶部24に記憶してもよく、IDを特定する情報を記憶部24に記憶して、IDを使用する際に記憶部24に記憶されたIDを特定する情報に基づいて蓄電装置20のIDを算出してもよい。例えば、制御部21は、複数のIDの全てを記憶部24に記憶してもよい。或いは、制御部21は、複数のIDのうち少なくとも1つのIDを、IDを特定する情報として記憶部24に記憶し、他のIDを使用する際に、IDを特定する情報として記憶されたIDに基づいて、他のIDを算出してもよい。例えば、制御部21は、前述した、自装置からの信号であることを示す第3のIDに所定の値を加算又は減算して、共通線30において蓄電装置20と隣り合うノード31に接続された装置からの信号であることを示すIDを算出してもよい。これらの処理を、電源システム1に含まれる複数の装置がそれぞれ実行することによって、それぞれの装置にIDが付与され、共通線30における通信が可能になる。
IDの設定が完了したのち、制御部21は、第1の通信部23Aから、IDの設定が完了したことを示すID設定完了信号を送信してもよい。制御部21は、第2の通信部23Bにて、ID設定完了信号を受信した場合に、第1の通信部23Aから、ID設定完了信号を送信してもよい。制御部21は、第2の通信部23Bから、ID信号を送信したのち、第2の通信部23Bにて、ID設定完了信号を受信せずに所定の期間が経過した場合に、第2の装置70Bが存在しない、すなわち自装置が共通線30の端部に接続されていると判定してもよい。或いは、制御部21は、装置の終端抵抗27が共通線30に接続されている場合に、第2の装置70Bが存在していない、すなわち蓄電装置20が共通線30の端部に接続されていると判定してもよい。制御部21は、自装置が共通線30の端部に接続されていると判定した場合に、第1の通信部23Aから、ID設定完了信号を送信してもよい。これにより、電源システム1に含まれる装置において、IDの設定が完了したことが共有され得る。更に、制御部21は、第1の通信部23Aから、ID設定完了信号を送信する際に、受信したID設定完了信号に自装置のIDを追加して作成した信号を送信してもよい。これにより、最も上位に位置する装置は、ID設定完了信号を受信することで、下位に位置する全ての装置、つまり共通線30で通信可能な装置に付与されている、ID及びIDの数を取得することができる。
制御部21は、予め、共通線30に接続される予定の装置の数を記憶部24に記憶しておいてもよい。制御部21は、自装置が共通線30の最も上位に位置する場合に受信したID設定完了信号に含まれる情報に基づいて、共通線30に接続される予定の装置の数と、共通線30に実際に接続された装置の数とが等しいか否かを判定してもよい。制御部21は、判定した結果を、報知部25から報知してもよい。例えば、制御部21は、接続される予定の装置の数と実際に接続された装置の数とが等しくない場合に、ランプを点滅させてもよい。これによりユーザは、蓄電装置20の接続に異常があることを認識し得る。また、制御部21は、接続される予定の装置の数と実際に接続された装置の数とが等しくない場合に、前述した終端抵抗の接続処理及びIDの設定処理を再開させる信号を他の装置70に送信してもよい。
(バス型の通信線における通信)
前述のとおり、電源システム1の共通線30の端部にそれぞれ終端抵抗27が接続され、共通線30に接続されるそれぞれの装置にIDが付与されると、共通線30における装置間の通信が行われる。以下に、共通線30が使用可能になった後に実施される、制御部21による制御を説明する。制御部21は、第3の通信部23Cから、共通線30を介して、他の装置70に、前述したIDを含む信号を送信する。例えば、制御部21は、自装置からの送信先を指定しない信号であることを示すIDを含む信号を送信することで、送信先を指定しないで、他の装置70の全てに対して信号を送信してもよい。一方で、制御部21は、共通線30を介して、第3の通信部23Cに、送信先を指定しない信号が送られたとき、信号を受信してもよい。これによって、制御部21は、複数の装置70が通信可能に接続される共通線30において、ブロードキャストによる情報の授受を行ってもよい。制御部21は、共通線30を介して、第3の通信部23Cに、送信先を指定しない信号が送られた際に、送信元に応じて、信号を受信するか否かを判定してもよい。
更に、制御部21は、自装置から特定の装置への信号であることを示すIDを含む信号を送信することで、他の装置70のうち特定の装置のみに信号を送信してもよい。一方で、制御部21は、共通線30を介して、第3の通信部23Cに、信号が送られると、当該信号に含まれるIDから自装置に対する信号であるか否かを判定してもよい。制御部21は、記憶部24に記憶されたIDを特定する情報に基づいて、信号が自装置に対する信号であるか否かを判定してもよい。制御部21は、信号が自装置に対する信号であると判定した場合に、信号を受信してもよい。これによって、制御部21は、複数の装置70が通信可能に接続される共通線30において、特定の装置との情報の授受を行ってもよい。
制御部21は、共通線30を介して受信した信号に基づいて、前述した終端抵抗の接続及びIDの設定に関する処理を行ってもよい。例えば、蓄電装置20の終端抵抗27が共通線30に接続されているとする。かかる場合、制御部21は、共通線30を介して第3の通信部23Cにて所定の信号を受信すると、終端抵抗27を共通線30から切り離し、第2の通信部23Bにて存在通知信号を受信するまで、第2の通信部23Bから要求信号を所定のタイミングで送信し得る。所定の信号は、任意の信号であってもよい。例えば、所定の信号は、前述した、終端抵抗の接続処理及びIDの設定処理を再開させる信号であってもよい。かかる場合、所定の信号は、共通線30に接続される予定の装置の数と、共通線30に接続された装置の数とが異なると判定された場合に、他の装置70のいずれかから送信され得る。所定の信号を受信すると、制御部21は、自装置の終端抵抗27を共通線30から切り離す。更に、制御部21は、第2の通信部23Bから、要求信号を送信する。
これにより、蓄電装置20よりも下位に接続された装置において、前述した終端抵抗の接続に関する処理及びIDの設定に関する処理が再度実行される。第2の装置70Bは、要求信号を受信すると、前述した終端抵抗27を共通線30に接続するための処理を行うとともに、蓄電装置20の第2の通信部23Bに、個別線40Bを介して、存在通知信号を送信する。制御部21は、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信しない場合には、自装置と第2の装置70Bとが個別線40Bで正しく接続されていない、或いは第2の装置70Bの設置及び起動が完了していないと判断してもよい。かかる場合、制御部21は、第2の通信部23Bにて存在通知信号を受信するまで、第2の通信部23Bから要求信号を所定のタイミングで送信してもよい。第2の通信部23Bから要求信号を送信するタイミングは、1回以上の任意のタイミングであってもよい。タイミングが複数回の場合、例えば、所定の時間間隔ごと、或いは所定の処理が実行されるごとに、要求信号が送信されてもよい。
本開示において、前述した蓄電装置20の構成要素或いは制御部21が実行する処理の一部又は全部は、蓄電装置20を制御する制御装置により提供されてもよい。制御装置は、蓄電装置20と有線又は無線により通信可能に接続された情報処理装置であってもよい。例えば、制御装置は、複数の蓄電装置20を制御及び管理するためのバッテリーマネジメントシステム(Battery Management System:BMS)に含まれてもよい。或いは、制御装置は、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System:HEMS)に含まれてもよい。更に、制御装置は、電源システム1の電力制御装置である、パワーコンディショナ10に含まれてもよい。例えば、共通線30の最上位に接続されたパワーコンディショナ10によって、前述した、ID設定完了信号に基づく、共通線30に接続される予定の装置の数と、共通線30に実際に接続された装置の数とが等しいか否かの判定が行われてもよい。パワーコンディショナ10は、接続される予定の装置の数と実際に接続された装置の数とが等しくない場合に、ユーザに報知を行い、或いは、終端抵抗の接続処理及びIDの設定処理を再開させる信号を蓄電装置20に送信してもよい。
更に、前述した蓄電装置20の構成要素或いは制御部21が実行する処理の一部又は全部は、他の蓄電装置20により提供されてもよい。かかる場合、電源システム1に含まれる複数の蓄電装置20のうち、少なくとも1つの蓄電装置20が、他の蓄電装置20の制御装置として動作し得る。
(電源システムの動作例)
図3及び図4を参照して、本開示の一実施形態に係る電源システム1が実行する、終端抵抗の接続及びIDの付与の処理の一例を説明する。図3は、電源システム1に含まれる、それぞれ共通線30に接続された、パワーコンディショナ10と、蓄電装置20A、20B及び20Cとを含む4つの装置を示す。パワーコンディショナ10と蓄電装置20A、蓄電装置20Aと蓄電装置20B、及び蓄電装置20Bと蓄電装置20Cは、それぞれ個別線40A、40B及び40Cにより接続されている。これにより、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20A〜20Cは、共通線30の端部に位置するパワーコンディショナ10及び蓄電装置20Cが両端に位置するように、共通線30における隣り合うノード31の装置と個別線40により直列に接続されている。説明のため、図3において左側を上位と呼び、右側を下位とよぶ。
はじめに、設置作業員等によって、図3に示すとおり、電源システム1に含まれる装置の設置及び配線等を含む設置作業が行われる。設置作業が終わると、設置作業員等によって、最上位に位置するパワーコンディショナ10の終端抵抗27が共通線30に接続され、パワーコンディショナ10のIDが設定される。この時点において、蓄電装置20A、20B、及び20Cのそれぞれは、終端抵抗が未接続の状態で、IDが設定されていないものとする。また、説明のため、配線ミスによって、蓄電装置20B及び20Cが個別線40Cにより正しく接続されていないものとする。
最上位に位置するパワーコンディショナ10から、個別線40Aを介して、蓄電装置20Aに要求信号が送信されることによって、本処理が開始される(ステップS101)。蓄電装置20Aは、要求信号を受信すると、個別線40Aを介して、パワーコンディショナ10へ存在通知信号を送信するとともに、個別線40Bを介して、蓄電装置20Bへの要求信号を送信する(ステップS102)。更に、蓄電装置20Bは、要求信号を受信すると、個別線40Bを介して、蓄電装置20Aに存在通知信号を送信するとともに、個別線40Cを介して、蓄電装置20Cへの要求信号を送信する(ステップS103)。蓄電装置20Aは、蓄電装置20Bから存在通知信号を受信すると、自装置が共通線30の端部に位置しないと判断し、終端抵抗27を接続しない。一方で、蓄電装置20Bは、個別線40Cを介して蓄電装置20Cと通信が行えないため、蓄電装置20Cから存在通知信号を受信しない。そのため、蓄電装置20Bは、自装置が共通線30の端部に位置すると判断し、終端抵抗27を接続する(ステップS104)。蓄電装置20Bは、終端抵抗27を接続すると、終端抵抗接続信号を、個別線40Bを介して、上位に接続された蓄電装置20Aに送信する(ステップS105)。蓄電装置20Aは、個別線40Bを介して、終端抵抗接続信号を受信すると、個別線40Aを介して、上位のパワーコンディショナ10に終端抵抗接続信号を送信する(ステップS106)。
最上位に位置するパワーコンディショナ10は、終端抵抗接続信号を受信すると、IDの設定を開始する。パワーコンディショナ10は、個別線40Aを介して、蓄電装置20Aに自装置のIDを含むID信号を送信する(ステップS107)。蓄電装置20Aは、パワーコンディショナ10のIDを含むID信号を受信すると、パワーコンディショナ10のIDに基づき、自装置のIDを設定する(ステップS108)。その後、蓄電装置20Aは、個別線40Bを介して、蓄電装置20Bに自装置のIDを含むID信号を送信する(ステップS109)。蓄電装置20Bも同様に、蓄電装置20AのIDを含むID信号を受信すると、蓄電装置20AのIDに基づき、自装置のIDを設定する(ステップS110)。蓄電装置20Bは、自装置の終端抵抗27が共通線30に接続されているため、個別線40Cを介して、下位の装置に自装置のIDを含むID信号を送信しない。
蓄電装置20Bは、自装置の終端抵抗27が共通線30に接続されている場合に、自装置のIDを含むID設定完了信号を、個別線40Bを介して、蓄電装置20Aに送信する(ステップS111)。蓄電装置20Aは、個別線40Bを介して、ID設定完了信号を受信すると、ID設定完了信号に自装置のIDを更に含め、個別線40Aを介して、上位のパワーコンディショナ10にID設定完了信号を送信する(ステップS112)。
最上位に位置するパワーコンディショナ10は、受信したID設定完了信号に含まれるIDの情報から、パワーコンディショナ10自身の他に、蓄電装置20A及び20Bが共通線30で通信可能に接続されていると判定してもよい。更に、パワーコンディショナ10は、ID設定完了信号に含まれるIDの数に基づいて、共通線30に接続された蓄電装置20の数を判定する。その際、パワーコンディショナ10は、予め設置作業員によって入力された蓄電装置20の接続予定の装置の数と、共通線30に接続された蓄電装置20の数とを比較してもよい。パワーコンディショナ10は、接続予定の数が蓄電装置20A、20B、及び20Cの3つであるのに対し、接続された蓄電装置20の数が蓄電装置20A及び20Bの2つであるため、電源システム1において誤配線が生じていると判定する(ステップS113)。パワーコンディショナ10は、判定した結果をリモコン等に表示して、設置作業員に通知する(ステップS114)。設置作業員は、通知された情報に基づいて、電源システム1の配線等を点検する。パワーコンディショナ10は、判定した結果を通知する際に、最下位に接続されている蓄電装置20Cの情報を通知してもよい。これにより、設置作業員は、蓄電装置20Cまでは正しく配線が行われていると判断し得る。
次に、図5A及び図5Bを参照して、共通線30が使用可能な状態における、蓄電装置20の終端抵抗の接続及びIDの設定について説明する。例えば、前述したように、パワーコンディショナ10によって、共通線30に接続された蓄電装置20の数が、設置予定の装置の数と異なると判定された場合に、本処理が行われてもよい。パワーコンディショナ10は、共通線30を介して、共通線30の端部に接続されている蓄電装置20Bに所定の信号を送信する(ステップS201)。蓄電装置20Bは、共通線30を介して所定の信号を受信すると、終端抵抗27を共通線30から切り離すとともに(ステップS202)、個別線40Cを介して、蓄電装置20Cへの要求信号を送信する(ステップS203)。蓄電装置20Bは、個別線40Cを介して、蓄電装置20Cから存在通知信号を受信しないと、例えば、10秒間隔等、所定のタイミングで、蓄電装置20Cから存在通知信号を受信するまで、個別線40Cを介して、要求信号の送信を繰り返す。
その後、設置作業員によって点検が行われ、蓄電装置20B及び20Cが個別線40Cにより正しく接続される(ステップS204)。すると、蓄電装置20Cは、蓄電装置20Bからの要求信号を受信することができる。蓄電装置20Cは、要求信号を受信すると、個別線40Cを介して、蓄電装置20Bに存在通知信号を送信するとともに、個別線にて、自装置よりも下位に接続される蓄電装置への要求信号を送信する(ステップS205)。蓄電装置20Cよりも下位に電源装置は接続されていないため、蓄電装置20Cは、存在通知信号を受信せず、自装置が共通線30の端部に位置すると判断し、終端抵抗27を接続する(ステップS206)。蓄電装置20Cは、終端抵抗27を接続すると、終端抵抗接続信号を、個別線40Cを介して、上位に接続された装置である蓄電装置20Bに送信する(ステップS207)。その後、蓄電装置20A及び20Bにおいて、ステップS103における処理が行われ、終端抵抗接続信号は、最上位のパワーコンディショナ10まで送信される。
パワーコンディショナ10は、終端抵抗接続信号を受信すると、図5Bに示すように、ID設定処理を開始してもよい。パワーコンディショナ10は、IDが設定されている蓄電装置20のうち、最も下位にある蓄電装置20Bに、共通線30を介して、自装置のIDを含むID信号を送信する(ステップS208)。蓄電装置20Bは、共通線30を介してID信号が送信されると、自装置のIDが既に設定されているため、個別線40Cを介して、蓄電装置20Cに自装置のIDを含むID信号を送信する(ステップS209)。蓄電装置20Cも同様に、蓄電装置20BのIDを含むID信号を受信すると、蓄電装置20BのIDに基づき、自装置のIDを設定する(ステップS210)。蓄電装置20Cは、自装置の終端抵抗27が共通線30に接続されている場合に、下位の装置にID信号を送信せず、自装置のIDを含むID設定完了信号を、個別線40Cを介して、蓄電装置20Bに送信する(ステップS211)。その後、蓄電装置20A及び20Bにおいて、ステップS112における処理が行われ、ID設定完了信号は、蓄電装置20A及び20BのIDを更に加えられて、最上位のパワーコンディショナ10まで送信される。
パワーコンディショナ10は、受信したID設定完了信号から、パワーコンディショナ10自身の他に、蓄電装置20A、20B及び20Cが共通線30で通信可能に接続されていると判定する。更に、パワーコンディショナ10は、ID設定完了信号に含まれるIDの数に基づいて、共通線30に接続された蓄電装置20の数を判定し、その数が蓄電装置20の接続予定数と等しいか否かを判定する(ステップS212)。パワーコンディショナ10は、判定した結果をリモコン等に表示して、設置作業員に通知する(ステップS213)。これにより、設置作業員は、電源システム1に含まれる、パワーコンディショナ10、蓄電装置20A、20B及び20Cが共通線30を介して互いに通信をすることができると判断する。
以前述べたように、本実施形態に係る電源装置である蓄電装置20は、少なくとも1つの他の装置70とともに共通の通信線30に接続される。蓄電装置20は、第1の通信部23Aと、第2の通信部23Bと、終端抵抗27と、制御部21と、を備える。第1の通信部23Aは、他の装置70のうち第1の装置70Aと個別の通信線40Aで接続される。第2の通信部23Bは、他の装置70のうち第2の装置70Bと個別の通信線40Bで接続される。終端抵抗27は、共通の通信線30に接続可能である。制御部21は、第1の通信部23Aにて、装置の存在の通知を要求する要求信号を受信すると、第1の通信部23Aから、装置の存在を通知する存在通知信号を送信するとともに、第2の通信部23Bから、要求信号を送信する。制御部21は、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信しないと、終端抵抗27を共通の通信線30に接続する。かかる構成によれば、蓄電装置20は、他の装置70とともに共通の通信線30に接続される場合に、自装置が接続された共通の通信線30における位置に応じて、共通の通信線30に終端抵抗27を接続することができる。このため、複数の電源装置を制御する技術の有用性が向上する。
本実施形態に係る電源装置である蓄電装置20の制御部21は、第1の通信部23Aにて、第1の装置70AのIDを含む信号を受信すると、第1の装置70AのIDに基づいて、自装置のIDを設定し、第2の通信部23Bから、自装置のIDを含む信号を送信する。かかる構成によれば、蓄電装置20は、他の装置70とともに共通の通信線30に接続される場合に、共通の通信線30における通信で用いられるIDを、自装置が接続された共通の通信線30における位置に応じて、付与することができる。このため、複数の電源装置を制御する技術の有用性が向上する。
以前述べたように、本実施形態に係る電源装置である蓄電装置20は、第3の通信部23Cを備える。第3の通信部23Cは、共通の通信線30に接続される。制御部21は、第3の通信部23Cにて、所定の信号を受信すると、終端抵抗27を共通の通信線30から切り離すとともに、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信するまで、第2の通信部23Bから、要求信号を所定のタイミングで送信する。かかる構成によれば、共通の通信線30に終端抵抗27を接続する位置が変更された場合に、終端抵抗27を接続するための処理を、当該処理が未実施の装置に限定して、再度実行させることができる。このため、複数の電源装置を制御する技術の有用性が向上する。
本実施形態に係る電源装置である蓄電装置20において、所定の信号は、共通の通信線30に接続される予定の装置の数と、共通の通信線30に接続された装置の数とが異なると判定された場合に、他の装置70のいずれかから送信される信号である。かかる構成によれば、電源システム1において、通信線の誤配線が発生した場合に、終端抵抗27を接続するための処理を、当該処理が未実施の装置に限定して、再度実行することができる。このため、複数の電源装置を制御する技術の有用性が向上する。
本実施形態に係る制御装置は、少なくとも1つの他の装置70とともに共通の通信線30に接続される電源装置である蓄電装置20である。蓄電装置20は、第1の通信部23Aと、第2の通信部23Bと、終端抵抗27と、制御部21と、を備える。第1の通信部23Aは、他の装置70のうち第1の装置70Aと個別の通信線40Aで接続される。第2の通信部23Bは、他の装置70のうち第2の装置70Bと個別の通信線40Bで接続される。終端抵抗27は、共通の通信線30に接続可能である。制御装置は、蓄電装置20に、第1の通信部23Aにて、装置の存在の通知を要求する要求信号を受信すると、第1の通信部23Aから、装置の存在を通知する存在通知信号を送信させるとともに、第2の通信部23Bから、要求信号を送信させる。制御装置は、蓄電装置20に、第2の通信部23Bにて、存在通知信号を受信しないと、終端抵抗27を共通の通信線30に接続させる。かかる構成によれば、制御装置は、電源装置に内蔵されてもよいし、或いは電源装置を制御するバッテリーマネジメントシステム又はホームエネルギーマネジメントシステム等に含まれてもよい。このため、共通の通信線に接続される複数の電源装置を制御する技術の有用性が向上する。
前述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本開示は、前述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、各手段、又は各ステップ等に含まれる機器等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、前述した実施形態において、電源装置は、蓄電装置であるものとして説明したが、この限りではない。電源装置は、例えば、太陽電池、風力発電装置、及び燃料電池等であってもよい。