JP6972671B2 - リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
シリコン系負極活物質は、電流を生じさせる反応に関与することができる。シリコン系負極活物質は、炭素系負極活物質と比較して質量当たりの理論容量が大きいため、エネルギー密度が大きくすることができる。
負極用バインダは、シリコン系負極活物質同士などを結合させることができる。負極用バインダを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)などのエラストマーが挙げられる。これらの負極用バインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、負極用バインダとしての接着性や耐熱性が優れていることから、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
負極集電体11は、後述する負極タブ65などと接続され、リチウムイオン二次電池100の外部と電子の受け渡しをする。負極集電体11を形成する材料は特に限定されないが、例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)などの金属が好ましい。これらの中でも、負極集電体11を形成する材料として、銅(Cu)を用いることが好ましい。負極集電体11の厚さは特に限定されないが、通常は1μm〜100μm程度である。
負極活物質層12には、上述したシリコン系負極活物質と負極用バインダとを含有させることができる。負極活物質層12におけるシリコン系負極活物質の含有量は、60質量%〜90質量%が好ましく、70質量%〜85質量%がより好ましい。また、負極活物質層12における負極用バインダの含有量は、6質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましい。上記のような範囲とすることにより、バインダによるシリコン系負極活物質の被覆率をより好ましい範囲とすることができる。
負極活物質層12には、負極用導電助剤などをさらに含めてもよい。負極用導電助剤は、負極活物質層の内部における電子ネットワークを効果的に形成することができる。負極用導電助剤を形成する材料としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。これらの負極用導電助剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。負極活物質層12における負極用導電助剤の含有量は特に限定されないが、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましい。負極用導電助剤の含有量をこのような範囲とすることにより、負極活物質層12の導電性を向上させることができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用負極を備える。そのため、上述したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、サイクル特性に優れている。
正極20には、正極集電体21と、正極活物質層22と、を含めることができる。正極活物質層22は、正極集電体21の少なくとも一方の面に配置することができる。
正極集電体21は、後述する正極タブ60などと接続され、リチウムイオン二次電池100の外部と電子の受け渡しをする。正極集電体21を形成する材料は特に限定されないが、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、及びこれらの合金などの金属が挙げられる。正極集電体21を形成する材料は、上述した金属単体、上述した金属を組み合わせた合金、上述した金属の組み合わせのめっき材などを用いることができる。なかでも、正極集電体21を形成する材料は、電子伝導性や電池作動電位の観点から、アルミニウムを含むことが好ましい。正極集電体21の厚さは特に限定されないが、通常は1μm〜100μm程度である。
正極活物質層22は、例えば、正極活物質、正極用バインダ、正極用導電助剤などを含有する。正極活物質層22の膜厚は特に限定されないが、20μm〜80μmであることが好ましく、20μm〜50μmであることがより好ましい。
正極活物質は、電流を生じさせる反応に関与することができる。正極活物質層22における正極活物質の含有量は特に限定されないが、80質量%〜98質量%であることが好ましい。
正極用バインダは、正極活物質同士又は正極活物質と正極用導電助剤を結合させることができる。正極用バインダを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)などのエラストマーが挙げられる。これらの正極用バインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、バインダとしての接着性や耐熱性が優れていることから、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。正極活物質層22中に含まれる正極用バインダの含有量は特に限定されないが、0.5質量%〜15質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
正極用導電助剤は、正極活物質層22の内部における電子ネットワークを効果的に形成し、リチウムイオン二次電池100の放電容量を大きくすることができる。正極活物質層22中に含まれる正極用導電助剤の含有量は特に限定されないが、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜6質量%がより好ましい。正極用導電助剤の含有量をこのような範囲とすることにより、正極活物質層22の導電性を向上させることができる。
セパレータ30は、正極20と負極10との間に配置することができる。セパレータ30は、正極20と負極10とを隔離し、リチウムイオンの移動を仲介する。セパレータ30の膜厚は、内部抵抗を低減させる観点から、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましい。セパレータ30には、非水電解質を含めることができる。非水電解質としては、イオン伝導性ポリマーにリチウム塩が溶解したゲル状又は固体状のポリマー電解質、並びに有機溶媒にリチウム塩が溶解した液体電解質を多孔質基体層に保持させて用いることができる。
正極タブ60は、正極集電体21と、リチウムイオン二次電池100の外部の機器とを電気的に接続することができる。また、負極タブ65は、負極集電体11と、リチウムイオン二次電池100の外部の機器とを電気的に接続することができる。正極タブ60及び負極タブ65を形成する材料は特に限定されず、例えばアルミニウム、銅、チタン、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1つの金属を用いることができる。なお、正極タブ60及び負極タブ65を形成する材料は、同一であっても異なっていてもよい。
外装体70は、単電池層40又は発電要素50を収容することができる。外装体70は、例えば、缶や、フィルムにより形成されたものが挙げられる。また、外装体70の形状は、特に限定されず、円筒型、角型、シート型とすることができる。特に限定されないが、小型化及び軽量化などの観点より、外装体70はフィルムにより形成されていることが好ましい。なかでも、高出力化や冷却性能の観点からは、フィルムはラミネートフィルムであることが好ましく、ラミネートフィルムはアルミニウムを含むことが好ましい。また、リチウムイオン二次電池100は扁平積層型リチウムイオン二次電池であることが好ましい。このようなリチウムイオン二次電池は、放電容量及び放熱性能を高くすることができるため、車両に搭載する場合に最適である。アルミニウムを含むラミネートフィルムの一例としては、PP/アルミニウム/ナイロンの3層ラミネートフィルムが挙げられる。
リチウムイオン二次電池用負極の製造方法は、例えば、負極活物質を含む正極スラリーを調製し、負極スラリーを負極集電体11上に塗布、乾燥、プレスして負極活物質層12を形成することにより作製することができる。負極スラリーは、上述した負極活物質、負極用バインダ、負極用導電助剤の他、溶媒を含めることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、上述したリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を備えていればよい。本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法は、例えば正極の作製工程と、組立工程と、を備えていてもよい。
正極20の作製工程は、例えば、正極活物質を含む正極スラリーを調製し、正極スラリーを正極集電体21上に塗布、乾燥、プレスして正極活物質層22を形成することにより作製することができる。正極スラリーは、上述した正極活物質、正極用バインダ、正極用導電助剤及び溶媒を含めることができる。
上述のようにして作製された正極20及び負極10との間に、セパレータ30を介して積層することにより、単電池層40を作製することができる。また、必要に応じ、単電池層40を複数積層させることにより、発電要素50を作製してもよい。このようにして得られた単電池層40又は発電要素50を、外装体70内に封止することにより、リチウムイオン二次電池を作製することができる。
(負極の作製)
まず、遊星型ボールミル(ドイツ フリッチュ社製P−6)を用いて、メカニカルアロイ法により金属粉末を合金化処理及び粉砕処理した。具体的には、質量比で、Si:Sn:Ti=66:5:29となるように調製した金属粉末と、ジルコニア製粉砕ボールとを、ジルコニア製容器に投入した。その後、ジルコニア製容器を固定する台座を、600rpmで12.5時間回転させて、金属粉末を合金化した。その後、台座を200rpmで2時間回転させ、合金を粉砕処理した。なお、レーザー回折・散乱法により測定したシリコン径負極活物質の平均粒子径は2μmであった。
金属リチウムの正極と上述のようにして得られた負極を用いて、積層型リチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、正極と負極との間にセパレータを配置し、正極と負極とを交互に積層させ、発電要素を作製した。セパレータは、40μm厚のポリオレフィンを用いた。なお、この積層体には、正極を2枚、負極を3枚及びセパレータを4枚積層させている。
負極活物質層の組成を負極活物質87.5質量%と、負極用導電助剤5質量%と、負極用バインダ7.5質量%とした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を作製した。
負極活物質層の組成を負極活物質91質量%と、負極用導電助剤4質量%と、負極用バインダ5質量%とした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を作製した。
負極活物質層の組成を負極活物質95質量%と、負極用導電助剤4質量%と、負極用バインダ1質量%とした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を作製した。
(シリコン系負極活物質の比表面積SA)
シリコン系負極活物質の比表面積SAは上述のようにして得られたシリコン系負極活物質をそのまま用いてBET比表面積を測定した。BET比表面積は、JIS Z8830:2013に準じて測定した。具体的には、BET比表面積は、静的容量法により、窒素ガスを吸着ガスとして測定し、多点法により解析した。
乾燥後の負極活物質層の厚さが30μmとなるように、上記ポリアミック酸をガラス板に均一に塗布した。そして、真空中で24時間乾燥させ、さらに真空中300℃で1時間乾燥焼成を行った。そして、熱処理により形成されたバインダをガラス板から削ぎ落として粉末状にして回収し、BET比表面積を測定した。BET比表面積は、上記と同様に、JIS Z8830に準じて測定した。なお、SBは、バインダを形成する材料と熱処理温度が同一であれば、略同一の値となる。
まず、実施例のようにして作製した電極スラリーを準備した。次に、乾燥後の負極活物質層の厚さが30μmとなるように、上記電極スラリーをガラス板に均一に塗布した。そして、真空中で24時間乾燥させ、さらに真空中300℃で1時間乾燥焼成を行った。そして、熱処理により形成されたバインダに被覆されたシリコン系負極活物質をガラス板から削ぎ落として粉末状にして回収し、BET比表面積を測定した。BET比表面積は、上記と同様に、JIS Z8830に準じて測定した。なお、SAの測定に用いたシリコン系負極活物質と、SCの測定に用いたバインダに被覆されたシリコン系負極活物質の平均粒子径は略同一である。
負極用バインダの引張弾性率は、JIS K7161−1:2014(ISO 527−1:2012)に準じて測定した。なお、試験温度23±2℃、試験速度1mm/minで測定した。
放電容量維持率は、以下のようにして測定した。まず、室温下(25℃)で、最低電圧が0.01Vとなるまで0.1Cで定電流充電した後、最高電圧が2.0Vとなるまで1.0Cで定電流放電する充放電サイクルを1サイクル行った。その後、放電レートを0.3Cとした以外は1サイクル目と同様にして充放電をさらに99サイクル行った。そして、1サイクル目と100サイクル目において、2.0Vから0.01Vまで放電した時の放電容量を測定し、100サイクル目の放電容量に対する1サイクル目の放電容量の割合を放電容量維持率とした。
100 リチウムイオン二次電池
Claims (2)
- シリコン系負極活物質と、前記シリコン系負極活物質を被覆するバインダとを含む負極活物質層を備え、
前記シリコン系負極活物質の比表面積をSA、前記バインダの比表面積をSB、前記バインダに被覆された前記シリコン系負極活物質の比表面積をSCとしたときに、0.5≦(SA―SC)/(SA−SB)の関係を満たし、
前記負極活物質層における前記バインダの含有量は30質量%以下であり、
前記バインダの引張弾性率が3.2GPa以上3.5GPa以下であり、
前記バインダはポリイミドを含み、
前記S A 、S B 及びS C の比表面積は、それぞれ窒素ガスを吸着ガスとして測定したBET比表面積であり、
前記S B の測定に用いたバインダの平均粒子径と、前記S C の測定に用いたバインダに被覆されたシリコン系負極活物質の平均粒子径は同一であり、
前記バインダの引張弾性率は、JIS K7161−1:2014に準じ、試験温度23℃、試験速度1mm/minで測定される、リチウムイオン二次電池用負極。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池。
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